JP2015213909A - 粒子を分離する方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒子の分別方法の提供【解決手段】粒子の階段状通路の中を流動することが可能かどうかの能力に基づき、粒子を分別する方法に関するもので、本方法では、本体10およびカバー12は分離素子14を含む空所を画定し、空所は入口領域と出口領域とを有し、分離素子14は第1の段61と第2の段62とを有し、かつ流体によって入口領域と出口領域を接続する階段状通路を画定し、粒子のうちの少なくとも一部は、第1の段61によって境界が定められた経路内に収容されるが、粒子のうちの少なくとも一部は、第2の段62によって境界が定められたさらに狭い経路の中を通過することができない、このようにして粒子の分別を行う方法。【選択図】図1B

Description

粒子の研究や使用に関する基本的な作業のうち、不可欠なものとして、異なる種類の粒子を分離(segregate)する能力がある。例えば、細胞生物学分野の数えきれないほどの応用において、ある種類の細胞をその他の種類の細胞から分離するような前記能力が必要とされる。産業廃棄物管理に関する分野の応用では、固体粒子を産業廃水又は廃ガスから分離する能力が必要とされる。農業や食品加工の分野の応用では、粒子状の不純物を例えば穀物のような粒子状の食料製品から分ける能力が必要とされる。
例えば、出産直後に臍から採血される血液(「臍帯血」)は、胚幹細胞や造血幹細胞などの幹細胞を豊富に含む。造血幹細胞は血液疾患の治療に役立つものである。臍帯血サンプルを保存する方法は公知である。これらの方法には欠点があり、将来的な医療処置で使用するのに十分な数の幹細胞を保存するためには、比較的大容量(例えば100〜250ミリリットル)の血液を保存しなければならないことが挙げられる。大容量の臍帯血を保存するのはコストを上昇させ、前記処置における便宜性を軽減する。もし、保存前に幹細胞を直ちに臍帯血から切り離すことが可能であれば、前記保存容量を著しく減らすこと(例えば、0.1〜1ミリリットル)が可能である。しかしながら、現行の臍帯血から幹細胞を切り離す方法は、高価で扱いにくく効果的ではない。効率がよく、かつ対費用効果の高い幹細胞を臍帯血から分離する方法が必要とされている。
更なる一例として、明らかに胎児を由来とする細胞(すなわち胎児様細胞(fetal−like cells))は、妊婦の血液中や以前妊娠したことのある女性の血液中に存在する。これらの細胞は母親が男児を妊娠又は出産した時には男性DNAを有することから、前記DNAは胎児由来であると思われる。これらの細胞は、母体の血流には数少なく、母体血液1ミリリットルにつき10から12細胞ほどしか存在しない。母体血液中で観察される胎児様細胞のうち、胎児の栄養膜は女性が出産した後に比較的早く分解する可能性がある。他の種類の胎児様細胞は、少数ではあるが、妊娠後数年若しくは何十年と女性の血液中で耐えることが報告されている。希少性と一部胎児様細胞の短い持続性が、胎児様細胞を捕捉することを困難にしている。結果的に、これら細胞についてはあまりよく知られていない。迅速で経済的、かつ効果的に胎児様細胞を母体血液から分離する方法が必要とされている。また、母体血液中の他の胎児様細胞から胎児の栄養膜を分離する方法も必要とされている。
機械的デバイスであって、生体細胞やその他の小粒子を操作することを目的とし、構成要素が何十マイクロメートル(つまり生体細胞の大きさ)からナノメートル(一部の生体高分子の大きさ)である装置が記載されている。例えば、米国特許番号第5,928,880号、米国特許番号第5,866,345号、米国特許番号第5,744,366号、米国特許番号第5,486,335号、及び米国特許番号第5,427,946号は細胞や生体分子を取り扱うデバイスを記載している。PCT国際公開公報第WO03/008931号は、粒子及び細胞の分離、同定、選別、及び操作に関する微細構造を記載している。
空間中の血液の経路は一次元、マイクロメートル単位で定義され、これは困難を引き起こす。細胞の完全性(cellular integrity)を乱す傾向をもつ潮汐力によって前記経路の空間内にて細胞が"詰め込まれる(packing)"ことにより生じる、詰まりの可能性を考慮しなければならないからである。これは、細胞の完全性が低下した場合、血液自体に凝固する傾向(連鎖的なものである)があり、それによって複雑化する。更に、大きな粒子(細胞、凝集された細胞、細胞外物質、及び生体サンプル内の特徴付けし難い「残骸」(debris)が従来のデバイスの液体経路を詰まらせ、効率性と作業性を阻害する。
本明細書に開示される発明の要旨は、生体細胞、細胞小器官、及び他の粒子を、粒子若しくは細胞の混在集団から分離し操作する目的で使用することができるものである。
本明細書に開示される本発明は細胞などの粒子を分離する装置に関するものである。前記装置は、本体、カバー、分離素子を含む。前記本体及びカバーは、を画定するものである。前記分離素子は、前記の内側に含まれる。前記は流体入口領域、及び流体出口領域を有するものである。前記分離素子は、前記空所内の前記入口領域、及び出口領域を流体接続する階段状通路を画定する形状を有する。前記分離素子は、第1の段と第2の段を含み、それぞれの段が前記階段状通路へと延出しているものである。前記第2の段が境界を定める経路は、前記第1の段が境界を定める経路よりも寸法が狭くなっている。粒子を含む流体が前記入口領域に存在する場合、流体は前記入口領域から前記第1の経路を通り、そして前記第2の経路を通って前記出口領域へと流動する。もし前記粒子の大きさがそれぞれの経路の狭寸法を超えないような場合、若しくは前記粒子が十分に変形可能であって、変形後の形状の粒子がそれぞれの経路を通ることができるような場合は、前記流体中に懸濁する粒子が、前記第1の経路及び第2の経路を通過することが可能となる。ある一定の粒子のみが経路を通過することが可能となるよう、第2の経路の狭寸法を選択することによって粒子を分離することができる。前記第1の経路の狭寸法は、前記流体中の粒子が前記第1の経路を独立的に通過することができるような幅が選択され、また一方で、もし2つの粒子が前記第1の経路の狭寸法全体に積み重なるような場合には、2つの粒子が同時に前記第1の経路を通過することができないような幅が選択される。
前記装置は、前記装置の外側から前記入口領域へと流体の流動を促進するような流体入口ポート、前記出口領域から前記装置の外側へと流体を促進するような流体出口ポート、又はその両方を含むことができる。流体変位装置(fluid displacement device)(例えば、ポンプや重力式流体リザーバ(gravity−fed fluid reservoir)は、前記入口ポート及び出口ポートの1若しくは両方を流体接続することが可能であり、前記階段状通路を通る流体の流動を促進する。このような流動は、前記入口領域から前記出口領域へと、粒子を分離する目的で方向付けされる。流体流動は、前記出口領域から前記入口領域へと方向付けされてもよく、例えば、入口領域から出口領域への流体流動の間に、前記第2の経路を通過することができなかった流体を流し出すことが可能である。
前記分離素子の段は、階段状通路内経路を画定するものであり、2またはそれ以上の段が設けられてもよい。前記段は、垂直に交わりあう平面領域(つまり典型的な直角の段)によって形成されていてもよく、段の蹴上げ部分(すなわち蹴込み面)に傾斜をつけ、つまり第1の段平面部と第2の段平面部とが、勾配のある平面または曲線上にカーブした面によって接続され形成されていてもよい。平面的な段領域は、カバーの一部、本体の一部、またはその両方に実質的に平行であって、かつそれが境界を定める経路の狭寸法の倍数(たとえば、2、4、10、または1000)と同等の長さ(バルク流体流動の方向において)が好ましく、平面的な領域の幅(バルク流体流動に垂直な方向において)は、それが境界を定める経路の狭寸法の倍数(たとえば、10000の10、1000)と同等なものが好ましい。
前記装置は、前記内に、前記デバイスの組立てと動作中に前記階段状通路の寸法を維持する1若しくはそれ以上の支持部を有することができる。前記支持部は、前記分離素子の間の距離、前記本体、またはカバーの間を完全にわたるものであってもよく、もしくは、素子の変形に備えた空間を提供するように、距離の部分だけに及ぶものでもよい(例えば、前記装置を組立てしたり、クランプする場合にである)。
本発明は、粒子を分離する方法を含むものである。前記方法は、前記装置の入口領域に粒子を導入し、それらを階段状通路を経て出口領域へと移動することを可能とする(すなわち、内因的な細胞の運動性や、誘導された流体流動の影響下においてである)。前記粒子のうち少なくともいくつかは、前記通路中の段によって前記出口領域に入ることを阻まれ、結果的に前記粒子の分離が行われる。前記階段状通路の全ての段を移動可能な粒子、前記出口領域から収集される。前記階段状通路中、少なくとも1つの段を移動することができない粒子は、前記通路の中の移動を阻害する段から上流の通路に部分から収集される。例えば、捕われた粒子は、前記階段状通路にデバイスを(例えば、カテーテル)を差し込んだり、流体流動を逆行させ、捕われた細胞を前記通路から外へと前記入口領域から流すことや、もしくは前記装置を解体し、捕われた粒子を直接回収することによって回収することができる。もし、前記捕われた粒子が細胞であれば、細胞は、前記階段状通路内で溶解され、そして何れかの方向に流動させることで前記溶解生成物(lysis product)を直接収集することもできる。
本発明の上述の概要および以下の詳細な説明は、添付の図面と併せ読まれることによってより良く理解されるであろう。これらの図面は、本開示の内容を図示する目的で含まれるものであって、図示される厳密な配置および手段に本開示の内容が原点されるものではない。
図1は、図1Aおよび1Bからなる。図1Aは1実施形態における前記装置の一部の平面図である。図1Bは図1Aに図示される装置の前記部分の、平面1Bからみた垂直断面であり、空所11を画定する本体10を図示する。カバー12は前記11一面に渡って配置され、前記本体と流体密封状態を形成する。第1の段61と第2の段62を有する分離素子14は、入口領域16と出口領域18の間の前記14内に配置される。前記第1の段61は、広面31および昇降面41を有する。前記第2の段は、広面32および昇降面42を有する。 図1は、図1Aおよび図1Bからなる。図1Aは1実施形態における前記装置の一部の平面図である。図1Bは図1Aに図示される装置の前記部分の、平面1Bからみた垂直断面であり、空所11を画定する本体10を図示する。カバー12は前記空所11一面に渡って配置され、前記本体と流体密封状態を形成する。第1の段61と第2の段62を有する分離素子14は、入口領域16と出口領域18の間の前記空所14内に配置される。前記第1の段61は、広面31および昇降面41を有する。前記第2の段は、広面32および昇降面42を有する。 図2は、図2A、図2B、および図2Cからなる。図2Aは、内側支持構造20を有する実施形態における前記装置の一部の平面図である。図2Bは、前記図2Aに図示される装置の前記部分の、平面2Cからみた垂直断面である。図2Cは、図2Aに図示される、装置の、面2Cからみた垂直断面である。 図2は、図2A、図2B、および図2Cからなる。図2Aは、内側支持構造20を有する実施形態における前記装置の一部の平面図である。図2Bは、前記図2Aに図示される装置の前記部分の、平面2Cからみた垂直断面である。図2Cは、図2Aに図示される、装置の、面2Cからみた垂直断面である。 図2は、図2A、図2B、および図2Cからなる。図2Aは、内側支持構造20を有する実施形態における前記装置の一部の平面図である。図2Bは、前記図2Aに図示される装置の前記部分の、平面2Bからみた垂直断面である。図2Cは、図2Aに図示される、装置の、平面2Cからみた垂直断面である。 図3は、図3Aおよび図3Bからなり、本明細書に記載の、前記第1の経路と前記第2の経路内において、実質的に一定な直線流動速度を達成するよう選択された前記第1の経路と前記第2の経路のジオメトリが記述された前記装置の構成を図示する。図3Aは、それぞれの経路の幅が、前記入口領域から前記出口領域への方向に従って増加するような一連の経路の平面図である。図3Bは、図3Aに示される前記一連の経路の平面3Bからみた垂直断面であり、それぞれの経路の高さが、前記入口領域から電気出口領域への方向に従って減少するものである。 図3は、図3Aおよび図3Bからなり、本明細書に記載の、前記第1の経路と前記第2の経路内において、実質的に一定な直線流動速度を達成するよう選択された前記第1の経路と前記第2の経路のジオメトリが記述された前記装置の構成を図示する。図3Aは、それぞれの経路の幅が、前記入口領域から前記出口領域への方向に従って増加するような一連の経路の平面図である。図3Bは、図3Aに示される前記一連の経路の平面3Bからみた垂直断面であり、それぞれの経路の高さが、前記入口領域から電気出口領域への方向に従って減少するものである。 図4は、段の長さ「l」、高さ「h」、および幅「w」を図示し、前記段に向かうバルク流体流動の方向を示す「BFF」(bulk fluid flow:BFF)を表示する分離素子の一部の斜視図である。 図5は、組立てられた装置の前記カバー12の平面図を示すカラーイメージであり、本明細書の実施例2に記載の、適切に組立てられた装置における光のパターンを示す。 図6は、本明細書の実施例3および4に記載の実験において使用される装置の、分離素子14、カバー12、底部10、および第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8の段(61〜68)の相対配置を図示する略図である。流体流動の方法は「D」で示す。 図7は、本明細書の実施例4に記載の実験での分離素子内における、胎児様細胞(fetal−like cells)が発見されたおおよその場所を図示するマップである。「出口区域」と示された相対垂直位置の部分は、カバーから段までの距離が4.2および4.4マイクロメートルである段が見つかったカセットの部分とだいたい対応し、「入口区域」と示された相対垂直位置の部分は、カバーから段までの距離が5.2および5.4マイクロメートルである段が見つかったカセットの部分とだいたい対応するものである。
ここに開示される発明は、粒子が経路を通過する能力に基づき粒子を分離する装置に関する。粒子(例えば、液体中またはガス状の流体中に懸濁する粒子、もしくは真空中の粒子)は、前記装置内の分離素子によって画定される階段状通路中を移動する。前記階段状通路は、少なくとも2つの経路を含むものであり、それぞれの経路は狭寸法を有し、連続して流体接続されるものである。流体中の大半または全ての粒子は、前記第1の経路の中を移動可能であるが、前記粒子のうちいくつかだけが前記第2の経路を移動することができる。その結果、一部の粒子が階段状通路の全てを移動し、反面残りの粒子は前記装置内、例えば前記第1の経路中、に留まることとなり、粒子の分離がなされる。粒子の移動は、例えば、流体流動、重力、振動、またはこれらの如何なる組合せによって刺激される。
定義
本明細書中に使用される以下のそれぞれの用語は、ここで関連付けられる意味を有するものとする。
図4において矩形状の階段として図示される段の「長さ」(または、前記段によって境界が定められる前記経路の「長さ」、すなわち図4における「l」)は、前記段に対応した前記経路の中を、バルク流体流動の方向へと段が延出している距離を表す。
図4において矩形状の階段として図示される段の「高さ」(図4における「h」)は、前記分離素子と離れる方向へ、先の(すなわち上流の)段表面へと前記段が延出している距離を表す。
図4において矩形状の階段として図示される段の「幅」(または、前記段によって境界が定められる前記経路の「幅」、すなわち図4における「w」)は、前記段に対応した前記経路の中を、バルク流体流動に対し垂直の方向へと前記段が延出している距離を表す。
経路の「狭寸法」とは、前記分離素子の段の広い部分と、そこに(通常は平衡に)向かい合う、前記装置の表面(すなわち、前記カバー部または本体の前記空所に面している側の表面のこと)との間の距離を表す。例えば、経路中の流体流動の方向の大半に対して垂直であるような平面からみたところ、矩形状の断面を有するような経路の場合、当該経路の狭寸法とは、前記段の平坦な表面と、そこから前記装置の向かいあった側面の平坦な表面とのそれぞれに直角でその間に延出している線の長さとなる。更に一例として、図1Bの経路51および52のそれぞれの「狭寸法」とは、前記段表面31および32のそれぞれと、カバー12の最も近い表面部との間の最短距離のことである。
経路の「流動区域」とは、前記経路の断面のことであり、前記経路中の流体流動の方向に対して垂直である平面にみられる断面のことである。
詳細な説明
ここに開示される発明は、粒子を分離する装置に関するものであり少なくとも2つの経路(第2の経路52(下流)が第1の経路51(上流)よりも狭いもの)内を、粒子が通過する能力に基づくものである。前記装置は、本体10およびカバー12によって形成される空所11の中に配置される、分離素子14を具備する。前記空所11内で、前記分離素子14が前記空所の出口領域17から前記空所の入口領域15を分離している。前記入口および出口領域は、前記分離素子14と、前記本体10およびカバー12のうちの1つかまたは両方によって画定される階段状通路を使うことよって流体のやり取りを行うものである。前記分離素子に形成された段は前記第1および第2の経路を画定する。前記装置は、選択的に、前記空所11の前記入口領域15と流体的なやり取りを行う入口ポート16、および前記空所11の前記出口領域17と流体的なやり取りを行う出口ポート18を有し、前記入口領域および前記出口領域へ流体を供給したり採取することを促進するものである。
作業においては、前記入口領域15の粒子は前記第1の経路51および、もしそれが可能であれば、前記第2の経路52へと通過する。前記第2の経路52の粒子は、前記出口領域17へと通過する。前記第2の経路52へと通過し、経路に沿って流れることができない細胞は前記出口領域17に到達することができない。この方法では、前記出口領域17に到達可能な粒子が、前記出口領域17に到達不可である粒子から分離される。前記2つの粒子の集団は、前記装置から個別に回収することができる。例えば、前記出口領域17の粒子は、前記出口領域17から採取された液体の流れとして回収することができる。(すなわち、出口ポートを使うか、または前記出口領域17へと挿入されたカテーテルを使う方法である。前記第2の経路52を前記出口領域17へと通過することができなかった粒子は、前記第1の経路51から前記入口領域15といった逆方向へと流し出すことによって回収できる。このような粒子は、前記入口領域15から採取される。あるいは、前記第2の経路52を前記出口領域17へと通過できなかった粒子を前記装置中に残すことも可能であり、前記装置を分解し回収することができる。前記第1の経路51または前記第2の経路52の何れにも入ることができなかった粒子は、前記入口領域15から回収することができる。
本明細書に記載の装置は、多種多様な広範囲にわたる応用で使用することが可能である。混在粒子の集団から粒子を分離することに加え、1またはそれ以上の前記分離された粒子の集団を、例えば同定すること、またはそれらをさらに操作するような応用で前記デバイスを使用することができる。前記装置の構造および動作は、粒子分離の従来技術で使用されたデバイスに比べ、分離されることによる粒子の詰まりに耐えうる。本明細書に記載の装置を使用して分離される前記粒子は、液体やガス状の流体に懸濁している粒子、または全く流体を含有しないものであってもよい(すなわち、真空中の粒子である)。さらに、粒子が懸濁しているすべての流体は、前記装置中を流れ動いていても静的状態にあってもよい。すなわち、粒子が懸濁する流体が前記装置内の空間を移動しているか否かに関わらず粒子の分離は可能である。したがって、例えば、乾燥粒子の混合物中にある粒子の分離は可能であり、前記混合物を入口領域に提供し、前記装置を(重力が前記粒子を前記分離領域中に引き込みやすい向きに)振動させたり振ったりすることによってなされる。このような方法は、流体中での粒子の懸濁が好ましくないと思われる場合や、不必要な場合に有益となる(例えば、植物の種を、別植物の種など、他の粒子物質から分離するときなどである)。
前記装置の部品および部分的な説明を詳細に述べる。
本体およびカバー
当該装置は本体10およびカバー12を有し、これらの間に空所11を画定するものである。前記空所11の一部は、分離素子14によって部分的に画定され階段状通路である。また、前記階段状通路は、前記分離素子14の階段状表面31および32と向かい合う前記本体10の表面、前記カバー12の表面、またはこれらの組合せによってもまた画定される(すなわち、前記本体10および/またはカバー12の階段状通路を画定している表面は、前記分離素子14の階段状通路を画定している表面と、これらの表面同志がその間に(例えば前記階段状通路のような)延出する内腔部を形成するような状態で接している。前記装置の構造を単純化するには、階段状通路を画定しているほとんど、もしくはその全ての表面が、分離素子14を形成するか、機械的に加工されているのがよい。分離素子14は、前記カバー12若しくは前記本体10の凹部に形成される一体的なものであって、前記凹部部分は平坦な表面に囲われているため、前記本体10または前記カバー12の向かい合う表面が、前記本体10およびカバー12の前記平らな表面の間に接触し階段状通路を形成するためには、もう1つの平らな表面しか必要としないものである。
前記分離素子14は、好ましくは、前記本体10およびカバー12のうち1つと(その一部として形成されるか機械加工されるかして)一体的であるものである。本実施形態において、前記装置の動作部分は基本的に2つの箇所からなる。カバー12および分離素子14をその一部として有する本体10か、本体10および分離素子14をその一部として有するカバー12の何れかである。前記本体10か、カバー12のどちらが前記分離素子14を有するのかは重要ではない。それはなぜなら、前記本体10およびカバー12は、空所11の壁を形成し、前記分離素子14が配置される前記空所11を画定しているからである。好ましくは、前記分離素子14を支えていない部分の前記部品は、単に平坦な面であり、前記分離素子14を支えている前記部品の平坦な端と嵌合するものである。面の内側に前記空所11を有し、したがってこれら2つの部品を組み立てると、前記空所11は、前記平坦な面の嵌合によってシールされることになり、前記分離素子14はシールされた前記空所11の中に配置されるものである。本実施形態において、前記部品のうち1つは、前記空所11および、その内側に形成されるかまたは機械加工された前記分離素子14の両方を有するものであり、または、その代わりに、内側に形成されるか機械加工された前記空所11を有し、前記空所内に設置され、組立てられ、形成され、または接着された前記分離素子14を有するものである。
前記本体10およびカバー12の形状について、前記本体10および/またはカバー12の前記階段状通路を前記空所11内に画定する部分と、前記本体10およびカバー12の前記空所11をシールし嵌合する部分を除いては、これらの形状は重要ではない。前記本体10および/または前記カバー12の前記階段状通路を画定している部分に関する必要条件は、本明細書の前記階段状通路に関する部分で述べられている。前記本体10および前記カバー12のうち、前記空所11をシールし嵌合している部分について、当該装置が組立てられた際に、前記本体10および前記カバー12の両方によって境界が定められる開口部(例えば、入口ポートや出口ポート)が割り当てられていれば、前記空所11がシールされること以外に特定の形状や場所に関する必要条件は存在しない。シールは、前記本体10と前記カバー12の関係箇所の間をじかに接触させることによって達成される。もしくは、またはそれに加えて、接着剤、油脂、ガスケット材、ろうなどのシーリング材を前記本体10および前記カバー12の表面に適用してもよい。前記シールは、作業中に当該装置内で発生すると予想される内部圧力に耐えうるものでなければならない。例えば多くの実施形態では、内部流体圧力は25ポンド毎平方インチ(ゲージ)(psig)を超えることはまれであり、当該圧力において流体のリークを防ぐのに有効なシールであれば事足りる。当該装置を使用して生体細胞を分離する実施形態における、一層典型的な作業気圧は、>0〜15psigの範囲内であると予想される。いくつかの実施形態では、前記装置は、負圧(例えば真空)を出口領域へ適用することによって作業され、これらの実施形態では前記シールは当該装置の外側から前記空所内への空気や液体の通路を防ぐものであるべきである(もちろん、前記入口領域経由の他にである)。
前記本体10およびカバー12の残りの部分の大きさと形状は重要ではなく、例えば、当該装置の製造、取扱い、または動作を促進するように選択可能となっている。一例として、装置は実質的に平坦なカバー12(すなわち、顕微鏡のスライドガラスのようなカバースリップ)を有するので、前記本体10は、その中に形成または機械加工された前記空所11および分離素子14を有し、前記空所11の外側の前記本体10の部分は、前記本体10を枠の中やホルダーといった決まった形状に固定するよう調整が効くように形成または機械加工してもよい。したがって、例えば、前記本体10のその中やその上に、フランジ、取っ手、ねじ穴、滑らかな穴、クランプ保持用の凹みや刻み目、またはその他の機能を形成、適用、または機械加工してもよい。それらの機能は、当該装置を動作させるデバイスにおける前記本体10の再現性のある方向性を促進する。または、前記本体10内に前記空所11および前記分離素子14のうち1つまたはその両方を機械加工するデバイスにおける前記本体10の再現性のある方向性を促進する。
前記本体10、前記カバー12、またはその両方は、ポートを画定し、ポートを通って流体が前記空所11へと導入されそこから採取される。例えば、前記本体10は、入口ポート16を画定し、前記入口領域15と流体的にやり取りを行う。前記入口ポート16に導入された流体は、前記入口領域15へと流れ、そこに既に存在する流体を前記階段状通路へと移動させ(なぜなら前記空所はシールされているからである)、そこから前記第1の経路51および前記第2の経路52、そして前記出口領域17へと移動させる。これらの領域および通路のうちのの1つで流体に懸濁している粒子は、前記粒子がその地点およびその間に存在する通路を取って流れることができる場合は、下流の領域または通路へと運ばれる。同様に、前記本体10に形成された出口ポート18による前記出口領域17から流体の採取は、前記出口領域17との流体のやり取りにおける通路からと、そこでの流体のやり取りにおける通路および領域からの流体の流れを誘導する。
ポートは、前記カバーまたは本体に延出する単純な穴でよく、もしくはポートに関連する付属品(バリ(burrs)、リング、ハブ、またはその他の接続金具)を有し、これらはデバイスから前記ポートへの流体接続を促進する。前記本体10、カバー12、またはその両方は、前記空所11の前記入口領域15内に入口ポート16を画定し、前記空所11の前記出口領域17に出口ポート18を画定し、もしくは、入口ポート16および出口ポート18の両方を画定する。流体の前記入口領域15への連続的な導入し同時に前記出口領域17から流体の採取と放出をすることは、前記装置内を通じて連続的な流体の流れを生成することができる。同様に、前記出口領域17から流体を連続的な採取し同時に前記入口領域15へと流体を流入又は導入することは、連続的な流れを生成する。
空所
前記本体10および前記カバー12は、組立てられると、空所11を形成する。前記空所11は、入口領域15と、出口領域17と、および前記入口領域15と前記出口領域17の間に入る分離領域を有する。分離素子14は、前記分離領域内に配置され、前記本体10、前記カバー12、又はその両方と共に、階段状通路を画定する。前記階段状通路は、少なくとも第1の段51および第2の段52を有し、これらは連続して流体接続され、前記分離素子14の段によって画定されている。前記階段状通路は如何なる数の追加の段を含むことができ、そのそれぞれが前記空所内に追加された通路を画定する。
前記デバイスの動作中は、少なくとも前記入口領域15、前記出口領域17、および前記空所11の階段状通路は流体で満たされている。好ましくは、動作中、空所11全体が流体で満たされている。1実施形態では、前記入口領域15および前記出口領域17を接続する唯一の流体の経路は前記階段状通路である。前記入口領域15に存在する粒子は、大きさ(例えば狭寸法)、又は前記第1の経路51の形状によって除外されない限り、前記階段状通路の第1の経路51に入って通過する。前記第1の経路51内に存在する粒子は、大きさ(例えば狭寸法)又は前記第2の経路52の形状によって除外されるか、もしくは、前記第1の経路51内の移動が大きさ(例えば狭寸法)又は前記第1の経路51の形状によって抑制されない限り、前記階段状通路の第2の経路52に入る。前記第2の経路52内に存在する粒子は、前記第2の経路内の粒子の移動が大きさ(例えば狭寸法)または前記第2の経路52の形状によって阻害されない限り、前記出口領域17に入る。当該装置内の粒子の移動は、前記装置内の流体の流れ、または細胞に本来備わっている運動性、もしくはその2つの組み合わせによって誘導される。時間がたつと、前記第1の経路51に入ることができない粒子は、前記入口領域15で分離され、前記第1の経路に入ることはできるが、前記第2の経路52に入ることができない粒子(または前記第1の経路51内を自由に移動できない粒子)は、前記第1の経路51で分離され、前記第2の経路52には入ることができるが、その中を自由に移動できない粒子は、前記第2の経路52で分離され、そして、前記第1の経路51および前記第2の経路52の両方を移動できる粒子(もしくは、前記出口領域17から採取されるか放出される流体内の粒子)は、前記出口領域17にて分離される。
この方法によって分離された粒子は、それぞれの場所から(本明細書に記載される方法を含む、種々の公知の方法によって)回収することができる。一例として、当該装置の領域や通路(すなわち、前記入口領域15や、前記第1の経路51である)にカテーテルを挿入し、そして、そこに存在する粒子は前記カテーテルのうちの腔に吸引を引き起こすことによって採取することができる。更に、例ではあるが、バックフラッシュ(例えば、前記出口領域17から入口領域15の方向へと流体を流すこと)を使用して、前記入口領域15にて集められ、採取され、放出された流体の中から、前記入口領域15、前記第1の経路51、および前記第2の経路52のうちの1又はそれ以上に存在する粒子を集めることができる。更に、例ではあるが、前記入口領域15に存在する粒子は、(前記段差上通路によって前記入口領域15から前記出口領域17へと流れる流体の大半に対して)横方向で前記入口領域15を横切る流体の流れによって、前記入口領域15と流体のやり取りをする目的で提供されるポートを使用して集めることができる。
分離素子
本体10およびカバー12によって画定される空所11に位置し、空所11の入口領域15と出口領域17との間にある分離素子14は、階段状通路の一部を画定する表面を有する装置の一部である。本体10およびカバー12の一方または両方が、階段状通路の残りの境界を画定し、これは、入口領域15と出口領域17とを流体接続する。分離素子14は、少なくとも2つの段を含む形状を有し、段は、第1の経路51および第2の経路52の各々の境界の少なくとも一方を形成する。本体10およびカバー12の一方または両方は、第1の経路51および第2の経路52の残りの境界を画定する。
階段状通路は、装置の動作中に、粒子が移動するか、流体が流動するか、またはその両方、の場合に通るオリフィスである。分離素子14は、階段状構造物を有し、これは、階段状通路の少なくとも一方の側部の階段状形状を画定する。分離素子14は、少なくとも2つの段を有し、すなわち、第1の段61および第2の段62である。第1の段61は、階段状通路の第1の経路51の境界を画定する。第2の段62は、第2の経路52の境界を画定し、第2の経路52は、第1の経路51よりも小さい狭寸法を有する(たとえば、図2B参照)。第1および第2の経路は連続して流体接続され、第2の経路52は、装置の通常の動作中に、第1の通路51から下流にある。流体は、装置が組み立てられるときに入口領域15から出口領域17へ移動するために、階段状通路の第1および第2の経路の各々を通って流動しなければならない。
分離素子14は、本体10およびカバー12の少なくとも一方に連結される。分離素子14は、本体10またはカバー12の表面に接着することができる。分離素子14は、その代わりに、本体10およびカバー12が組み立てられるときに、分離素子14の階段状表面(単/複)が、階段状通路の境界を形成する本体10またはカバー12の表面(単/複)とは反対にもたらせられるように、本体10またはカバー12の一方と一体的であることもできる。あるいは、分離素子14は、カバー12または本体10とは別個の部品であってもよい。本体10、カバー12および分離素子14が別個の部品である場合には、装置が組み立てられるときに、分離素子14がカバー12と本体10との間に圧縮によって適所に保持されるように、部品が寸法づけられ形状づけられることが好ましい。
装置内(たとえば、第2の経路52内)の流圧が、流体によって接触されるすべての表面にかかり、そのような流圧は、変形しやすい材料が曲がるかまたは膨張することを誘発することができる。さらに、組み立てられた状態に固定するために装置の部品に加えられる外部圧力(たとえば、カバー12を本体10の部分に対して促す1若しくはそれ以上のクランプ)はまた、装置の1若しくはそれ以上の部品を形成する可撓性のある材料が屈曲するかまたは膨張することを誘発することもできる。分離素子14と、本体10およびカバー12の少なくとも一方と、それによって画定された第2の経路52は、動作中の装置によって粒子が分離される一次機構であるため、第2の経路52の狭寸法は、第2の段62の幅にわたって比較的一定に注意深く維持されることが好ましい。
例として、第2の経路52は、分離素子14の第2の段62によって、且つ、本体10およびカバー12の一方または両方によって、画定された境界を有する。本体10およびカバー12を一緒にクランプすることは、第2の経路52の境界を形成する部品に外部力をかける可能性があり、それによって、第2の経路52の部品の屈曲および狭寸法の狭窄を誘発する傾向がある。そのような屈曲および狭窄は、第2の経路52の内腔内に1若しくはそれ以上の支持部20を具備することによって、減少するか排除することができる。支持部20は、たとえば、第2の経路52の境界を画定する分離素子14の表面から本体10またはカバー12の反対表面の方向に延出するロッド形状の拡張部であってもよい。あるいは、矩形断面を有する拡張部が、第2の経路52の境界を画定する本体10またはカバー12の表面から離れて、分離素子14の反対表面の方向に延出してもよく、支持部20を形成することができる。2以上の支持部20を並列にまたは順次に配列して1若しくはそれ以上の一枚壁またはセグメント壁を形成することができ、そのような支持部は、空所内に複数の流動路を画定することができ、複数の流動路は、それらの端の一方または両方で合流する。第3の代替として、支持部20は、第2の経路52の内腔に配置された別々の部品でありえ、分離素子14の反対表面と本体10またはカバー12の反対表面との間の狭寸法に実質的にまたは完全に及ぶ。第2の経路52を画定する分離素子14の表面に、第2の経路52を画定する本体10またはカバー12の表面に、または両方の表面に、支持部20が衝突することは、表面の屈曲を制限するかまたは停止し、を支持部20の厚さに実質的に等しいかまたはそれよりも大きい値に狭寸法維持する(たとえば、カバー12が第2の段62の広面32を完全に押圧し、第2の経路52の狭寸法が所望の値よりも下に減少するのを防止する)。
支持部20は、装置の部品をその適切な構造に支え、装置の寸法安定性を上げる。寸法安定性を上げることによって、支持部20は、様々な動作状態下で(たとえば、変動するクランプ圧力で、または、変動する流圧で)装置の動作性を高めることができ、装置の寿命を延長することができる。支持部20は、本体10またはカバー12が、階段状通路の1若しくはそれ以上の第1および第2の経路の狭寸法を変形し変えるのを防止することによって、装置の粒子分離精度を高めることもできる。支持部20はまた、第1および第2の経路の外部の空所11に配置されることもでき、空所の高さに及ぶ。そのような支持部20は、第1および第2の経路の外部に空所11の開放性を維持することができる。支持部20が支持部20によって衝突される表面と一体的ではない場合には、支持部20は、表面に接着されなくてもよく、表面に付着されてもよく(たとえば、表面と支持部の一部との間に入れられた接着剤を使用して、その両方を結合して)、または、表面と融合されてもよい。
支持部20は、そうでなければ一体である流体流動路を、空所11内の2若しくはそれ以上の流体流動路に分離することができる(たとえば、図2Aの支持部20参照)。図2に示された実施形態において、装置は、平坦なカバー12と、カバー12に噛み合う平坦な表面を有し入口領域15および出口領域17を有する空所11を画定する本体10と、第1の段61および第2の段62を具備し4つの支持部20と一体的である分離素子14と、から成る。分離素子14が、空所11に、入口領域15と出口領域17との間に配置されるときには、支持部20の高さは空所11の深さに等しく、支持部20の上面が本体10の平坦な表面と実質的に同一平面上にあるようにする(図2Bおよび2Cに示されるように)。カバー12が本体10の平坦な表面に対して組み立てられるときには、支持部20の頂面が空所11を画定するカバー12の表面に接触し、それによって、クランプ圧力(カバー12に加えられて、これを本体10の平坦な表面に対して同一平面上に保持する)がカバー12を変形するのを防止する。支持部20によってカバー12に提供されるブレーシングは、そうでなければカバー12を空所へ向けて内向きに撓ませるであろうクランプ圧力がカバー12に加えられるときでさえ、第2の経路52の狭寸法および第1の経路51の狭寸法を維持するように働く。カバー12が1若しくはそれ以上の支持部20と融合されるかそれに付着される場合には、図2に示された装置は、そうでなければ、装置内の流圧によって誘発されるカバー12の外向きの(すなわち、空所11から離れた)屈曲から生じたかもしれない第1の経路51および第2の経路52の狭寸法の膨張に抵抗することもできる。
支持部20の形状、輪郭、サイズ、および配向は、重要ではない。支持部20は、たとえば、矩形、偏菱形、円形、楕円形、または翼形状の断面を有することができる。流体の流動を方向づける壁(図2に示された支持部20と同様に)を形成するのに加えて、支持部20は、流体流動路に乱流を誘発することができ、そのような支持部からすぐ下流に粒子の混合および/または変位を誘発することができる。例として、丸みを帯びた断面を有し第2の経路52の前(すなわち、もっとも上流の)縁近傍に配置された支持部は、第2の経路52の前縁に乱流を誘発することができ、そうでなければ第2の経路52を塞ぐかもしれない粒子を押しのけ、それによって、第2の経路52を通る流体の流動を高める。
分離素子14は、本明細書に検討された階段状通路以外の流体流動路を画定することができる。そのような流体流動路は、たとえば、入口領域15と階段状通路との間または階段状通路と出口領域17との間に延出することができる。さらに、例として、分離素子14の第1の段61によって画定された第1の経路51は、分離素子によって画定された流体流動路によって、分離素子14の第2の段62によって画定された第2の経路52に接続されることができる(すなわち、第1の経路51が第2の経路52に直接連通するのではない)。
いくつかの用途において、入口領域15に存在する粒子のサンプルが実質的に同時に複数の階段状通路の各々に入ることが重要である。図2に示されたような装置が使用される場合には、入口ポート16によって入口領域15に提供される粒子は、入口ポート16にもっとも近い階段状通路(図2Aの中心の経路)に到達するときよりも遅くに、もっとも外側の階段状通路(図2Aのもっとも左側およびもっとも右側の経路)に到達することが明らかである。図2に示された装置を参照して、分離素子14は、入口ポート16に端を発し様々な路によって個別の階段状通路の各々に延出する壁または水路を画定することができ、各流動路に沿った直線流動距離が等しいようにする。このようにして、入口ポート16と中心流動路との間に延出する流動路は、入口ポート16ともっとも外側の流動路との間に延出する流動路に対して、湾曲するか、角を成すか、または、曲がりくねる。最終結果は、直線流動路は長さが等しいため、流動路の各々の入口ポート端に提供された粒子は、実質的に同時に流動路の階段状通路端に到達するということである。
分離素子14は、少なくとも2つの段を具備し、第2の段62よりも入口領域15に近い(階段状通路端に沿って)第1の段61を具備する。流体に懸濁した粒子は、第1の経路51と第1の経路51よりも小さい狭寸法を有する第2の経路52とを具備する階段状通路を通って流動する。流体内の大半の粒子またはすべての粒子が第1の経路51内に流れ込むことが可能であるが、第2の経路52内に流れ込むことが可能である粒子は一部のみである。正味結果は、流体内の幾分の粒子が階段状通路全体を通って流動することができ、一方、他の粒子は装置内に、たとえば第1の経路51内に、保持される。粒子の分離は、このようにして達成される。
分離素子14の段は、様々な形状のいずれを有することができる。1つの実施形態において(たとえば、図1に示された装置において)、第1の段61および第2の段62は、従来の「階段」状の段構成、すなわち、直角で交差する2つの平面を有する。すなわち、第1の段61の昇降面41および第1の段61の広面31は直角で交わり、第2の段62の昇降面42および第2の段62の広面32も同様である。あるいは、段の昇降面および広面は、たとえば、図3に示されるように、90度から180度の間の角度で交わることができる。段の昇降面および広面はまた、0度から90度の間の角度で交わることができ、張出しを形成する。
張出しを形成する段および90度に近い角度で交わる面を有する段は、段の面が交わる縁近傍で乱流を誘発することができる。そのような乱流は、そうでなければ、段の広面と本体10またはカバー12の反対面との間の経路を塞ぐかもしれない粒子を除去することができ、この乱流は、それによって、経路の詰まりを抑制することができ、装置を通る流体流動を高める(流圧低下を減少する)が、これは有益な効果である。さらに、段が張出しを形成し、そうでなければ経路を詰まらせるかもしれない粒子が、張出しによって形成された窪み内にあることができるように段の高さが充分に高いときには、そのような段は、経路の詰まりを減少して装置の性能を改良することもできる。サンプル内の比較的大きな望ましくない粒子の適切なサイズを予測することができる範囲まで、階段状通路を通って流体が流動するのを著しく抑制しない場所および量で望ましくない粒子を捕らえるために、そのような粒子を捕らえるかまたは排除するように設計された1若しくはそれ以上の段を装置内に組み込むことができる。
90度から180度の間の角度で交わる昇降面および広面を有する段は、様々なサイズを有する粒子(すなわち、段の広面によって画定される通路の狭寸法と段から上流の空間の狭寸法との間の中間のサイズを有するもの)が進むのを妨げることができる。段の昇降面における異なる位置でわずかに異なるサイズを有する粒子が通過するのを停止することによって、90度から180度の間の角度で交わる昇降面および広面を有する段は、90度未満の角度で交わる昇降面および広面を有する段よりも、かなりの程度で、段の広面によって画定される経路が詰まるのを防止することができる。
段の広面によって画定される経路を塞ぐ粒子によって段を過ぎる流体流動の詰まりはまた、段の幅を広げることによって減少するか回避することもできる。各粒子が流体流動を妨げるのは粒子によって隠される流動区域のみであるため、より広い段が詰まるのは、必然的により多くの数の閉塞粒子によってである。段の幅は、2つのやり方のいずれかまたは両方で、広くすることができる。第1に、段の幅は、単に段の直線幅を増加することによって(図4に示されるように)広くすることができる。第2に、段の幅は、段の直線性(すなわち、真直度)を減少することによって段の広面および昇降面が交わる縁の長さを増やすことによって、広くすることができる。
例として、矩形断面を有する流体水路において、水路を直接横切って(すなわち、側部に対して直角で)延出する段は、もっとも上流の縁が、単に水路の幅に等しい長さの縁を備える。段の形状が半円形であり、半円の中心が半円のもっとも上流の縁から下流にあるように半円の弧が延出する場合には、段の縁の長さは、半円の長さに等しく、これは、πに水路の幅をかけて2で割った数である(すなわち、おおよそ、1.57×水路の幅である)。同様に、円または楕円の弧のような、山形のような(すなわち、V字型のような)、ジグザグのような、曲がりくねった線のような、または、不規則な線のような形状の縁を有する段は、矩形断面を有する流体水路を垂直に横切って延出する段の縁の長さよりも大きい縁の長さを有する。そのような形状を備えた縁を有する段は、本明細書に記載される装置に使用することができる。
第1の段61および第2の段62の寸法は重要ではないが、第2の段62が第2の経路52の境界を画定し、それが、本明細書に記載されるように、粒子を分離するように働くことを除く。その理由のため、第2の段62の寸法、および分離素子14および本体10またはカバー12の反対面(単/複)の第2の段62によって画定された対応する第2の経路52の寸法は、注意深く選択されなければならない。これらの寸法を選択することに関する基準は、第2の経路52を通過する能力によって分離されるべき粒子の寸法を含む。
例として、比較的大きな細胞を、混合されたサイズの細胞の集団から分離すべき場合には、比較的大きな細胞が第2の経路52に実質的に入ることができないように且つ集団の他の細胞は第2の経路52に入り通過することができるように、第2の経路52の狭寸法は選択されなければならない。この場合、比較的大きな細胞による第2の経路52の詰まりを減少するか、遅延するか、または回避することができるように、第2の段62の形状および幅は、サンプル内に存在すると予想される比較的大きな細胞の数に基づいて選択されなければならない。
同様に、限定された流動度の粒子(すなわち、比較的変形しやすくない粒子)が、より大きな流動度の類似したサイズの粒子(すなわち、比較的変形しやすい粒子)から分離されるべき場合には、第2の経路52の狭寸法は、2つのタイプの粒子のサイズに密接に整合するように選択されなければならず、両方のタイプの粒子が第2の経路52に入ることができるが、比較的変形しやすい粒子が、平均して、限定された流動度の粒子よりも短い時間で、第2の経路52を通過することができると理解される。この例において、複数の第2の経路52を具備し、各々が、著しく詰まらずに、予想される数の粒子を収納するのに充分な幅および形状を有することが有利でありうる。この例では、各第2の経路52が、限定された流動度の粒子よりも短い時間で第2の経路52を通過する、比較的変形しやすい粒子による詰まりを最小限にするように、比較的短い長さを有することも有利でありうる。
第1の段61および第2の段62の各々の幅(すなわち、本明細書に規定され図4に示されるように)は、装置を使用して処理されると予想されるサンプルを考慮して、段に粒子が蓄積する予想に基づいて、選択することができる。第2の経路52の狭寸法に基づいて、第2の経路52に入ることができない粒子の割合および数を概算することができる。この情報を第2の経路52に入ることができない粒子の平均サイズと組み合わせて、第2の経路に入ることができない粒子によって塞がれがちである段の合計長さを概算することができ、この概算を使用して、適切な段の幅を選択することができる。各段の幅は、段を過ぎて流動するのをすべて妨げるのを防止するように選択されることが好ましい。段の幅(および段によって画定される対応する経路)は、経路の狭寸法よりも遙かに(たとえば、10倍、1000倍、または100000倍)大きく選択することができる。例として、母体の血液から胎児様細胞を分離するためには、対応する経路の狭寸法のおよそ少なくとも1000(一千)倍、好ましくは10000(一万)倍の段幅が望ましいと見なされる。比較的広い段は、経路が詰まるのを制限しながら経路内に粒子が蓄積するのを可能にする。
いくつかの例において、第2の経路52に入ることができない粒子が1粒子深さ(すなわち、第1の経路51の狭寸法の方向に)を超えない層を形成するように、第1の経路51の狭寸法を選択することが望ましい。第1の段61の幅および長さは、そのような細胞の予想数を収容するように選択することができる。
分離素子14の第1および第2の段の長さ(すなわち、本明細書に規定され図4に示されるように)は、一般に重要ではなく、本明細書に記載された装置の分離機能を提供する第1および第2の経路(それぞれ、第1および第2の段によって境界を定められる)の狭寸法も同様である。段上に粒子を蓄積するか観察することが望ましい状況では、段の長さは、段上の粒子の予想されたか概算された数およびサイズを収容するように選択することができる。異なるタイプの粒子が第1の経路51および第2の経路52の一方または両方を通過することができる相対速度の差に装置の分離能力が依存する場合には、段の長さは、達成される分離の程度に影響を与える可能性があり、より長い段は、異なる速度の通過によって行われる分離を高める。段の長さは、単一の段の長さを大きくすることによって、選択された長さの段の数を増やすことによって(各段は同一の狭寸法を有する経路を画定する)、またはこれらの組み合わせによって、大きくすることができる。
いくつかの実施形態において、平面的な段領域は、カバーの一部、本体の一部、またはその両方に実質的に平行であって、かつそれが境界を定める経路の狭寸法の倍数(たとえば、2、4、10、または1000)と同等の長さ(バルク流体流動の方向において)が好ましく、平面的な領域の幅(バルク流体流動に垂直な方向において)は、それが境界を定める経路の狭寸法の倍数(たとえば、10000の10、1000)と同等なものが好ましい。本明細書に記載された装置の実施形態のいくつかの例において、平面的な領域の幅(バルク流体流動に垂直な流動の方向において)の比率は、3つの別個のカセット設計の各々では、もっとも開いた端で1,318からもっとも狭い(出口)端で805、もっとも開いた端で659からもっとも狭い(出口)端で967、もっとも開いた端で537からもっとも狭い(出口)端で725の範囲である。チップの各々におけるグラデーションは、カセットの入口から出口側部へ、段の幅の高さに対する比率を66.7上げる。この幅の高さに対する比率は、カセット内で捕らえることが望ましい粒子の数の、カセットを通って進むことが望ましいものに対する比率に依存して変動する。本明細書の実施例4に記載されるように、胎児細胞の、本明細書に記載されたタイプの装置によって捕らえられる(白血球+赤血球)に対する比率は、非常に高くなりえ、適切な段の高さおよび長さを選択することは、母体血液サンプル中のすべての有核血球の99.99%を超える通過を可能にすることができる。
装置は、第1の段61および第2の段62を参照して本明細書に記載されているが、追加の段(たとえば、3、4、10または100段)が装置内に具備されてもよく、各段は、特徴的な狭寸法を有する階段状通路内に経路を画定する。
装置は、単一の分離素子14または複数の分離素子14を具備することができる。例として、装置は、第1の段61を画定する第1の分離素子と、第2の段62を画定する第2の別個の分離素子と、を具備することができる。本体10と一体的である場合には、第1および第2の分離素子14は、両方の分離素子14が空所11内にあり、空所11の入口領域15と出口領域17との間に入り、同一の階段状通路に段を画定する限り、本体10上の異なる位置に配置されることができる。あるいは、両方の分離素子が空所11内にあり、空所11の入口領域15と出口領域17との間に入り、同一の階段状通路に段を画定する限り、第1の段61を画定する第1の分離素子は本体10と一体的でありえ(または、これに接着され)、第2の段62を画定する第2の分離素子は、カバー12と一体的でありえる(または、これに接着される)。同様に、2つの分離素子は、同一の条件が満足されるならば、別々の片でありえる。
分離素子14は、材料の一体片から作ることができ(本体10およびカバー12の一方と一体的でありえ)、または材料の複数の片から作ることができる。例として、図1に示されたもののような装置の分離素子14は、材料の2つの矩形の棒(3対の平行な面を有する中実形態であり、各対は他の2つの対に対して直角に配向される)から形成されることができ、1つの棒は空所11の本体10の平坦な部分の上にあり第1の段61を画定し、第2の棒は第1の棒の上にあり第2の段62を形成する。
経路形状
各段の形状は、少なくともいくつかの粒子がその段によって画定された経路を通って進むことができるように、且つ、少なくともいくつかの他の粒子はその段によって画定された経路を通って進むことができないように、選択されなければならない。経路を通って進むことができる固い粒子の能力は、粒子の特徴的な寸法に依存する。固い粒子は、粒子の短寸法よりも低い高さを有する経路を通って進むことができない。固い粒子は、粒子の長寸法よりも高い高さを有する経路を通って進むことは実質的に抑制されない。固い粒子は、短寸法よりも高いが長寸法よりも低い高さを有する経路を通って進むことはできるが、その経路は、粒子が進むのを少なくとも幾分は抑制する。
経路を通過する変形しやすい粒子(たとえば、生体細胞、気泡、または穀物)の能力は、固い粒子の能力同様、その特徴的な寸法に依存する。加えて、変形しやすい粒子は、粒子が経路を通って「圧搾する」ように変形することができる範囲まで、粒子の短寸法よりも小さな狭寸法を有する経路を通過することができる。この能力は、粒子の固さ、経路のサイズ、および粒子に対して加えられる流圧に依存する。これらの量は知られていないか予測可能ではないため、実験によって得られたデータを集めて、そのような粒子が所与のサイズの経理を通過する能力を決定するか概算することができ、そのような実験によって得られたデータを使用して、本明細書に記載された装置の第1および第2の経路に適切な寸法を選択することができる。
本開示の数箇所において、例として、矩形断面を有する流体経路が参照される(そのような断面は、バルク流体流動の方向に垂直に取られる)。本明細書に記載された装置の流体経路は、そのような矩形水路に限定されない。流体経路の壁は、互いに対して且つ本体10、カバー12、および分離素子14の1若しくはそれ以上に対して、垂直でありうる。壁はまた、他の配列を有することができる。1つの実施形態において、流体経路は丸みを帯びており、たとえば、丸みを帯びた先端を有する回転ビットによって材料を除去することによって形成された経路等である。同様に、流体経路は、一方の側部(たとえば、本体10内に形成された)が丸みを帯びてもよく、他方の側部(たとえば、平坦なカバー12によって境界を定められた)が平らであってもよい。
剪断応力の減少
流体剪断応力は、生体細胞等の変形しやすい粒子または壊れやすい粒子を害する可能性がある。したがって、そのような粒子を処理するために装置が使用されるべきときには、装置内の流体剪断応力を減少することが望ましい。著しい流体剪断応力は、直線流動速度が急激に変化する流体水路の位置で、たとえば、流体水路の形状が変化する場所で、発生する可能がある。流体水路の形状は、装置内の直線流動速度を、増加するか、減少するか、または一定に維持するように選択することができる。直線流動速度を増減することが、流体剪断応力を創出する。流体剪断応力のレベルは、ある種類の粒子を、他の種類の粒子よりも、破裂させるか、変形するか、または破壊するように選択することができる。たとえば、耐久性のある粒子は、壊れやすい粒子を破裂させる流体剪断応力を誘発することによって、同一サイズの壊れやすい粒子から分離することができる。耐久性のある粒子は通路に保持され、一方、壊れやすい粒子の破片は第2の段62を進み、出口領域17内に流れ込む。同様に、実質的に一定な直線流動速度は、適切な粒子水路寸法を選択することによって、装置全体にわたって(または、少なくともその階段状通路全体にわたって)維持することができる。
本体10、カバー12、および分離素子14は、階段状通路の断面積が流体が流動する方向に対して増加するか、減少するか、または一定に維持するように形成することができる。階段状通路の断面積が、装置内の流体の圧力および流量に影響を与える。分離素子が一定の幅を有する場合には、第1の経路51の高さおよび幅によって画定される断面積は、入口領域15の断面積よりも小さくなる。第2の経路52の断面積(たとえば、断面が矩形であるならば、第2の経路の高さおよび幅によって画定される)は、第1の経路51のものよりも小さくなる。経路の断面積が減少するにつれて、その断面を通って流動する流体の流圧および流量が増加する。流体水路の形状は、流圧および流量のこれらの変化に対抗するように選択することができる。たとえば、矩形断面を有する経路の幅は、経路の断面積が一定であるように、経路の高さが減少するのに比例して、増加することができる。傾斜した昇降面によって各段が分離される分離素子14では、昇降面によって画定された経路の幅は、一定の率で増加することができ、経路の高さが減少する率に等しい。そのような分離素子によって画定された通路を通る流圧および流量は、一定のままである。そのような通路の例は、図3に示される。
言い換えると、本体10、カバー12、および分離素子14は、流体フラックスが、装置の狭い通路全体にわたってすべての場所で等しいように、形成されることができる。たとえば、図3に示されるように、入口領域15、表面41、31、42、および32によって画定された経路、および出口領域17全体にわたる流体フラックスは、一定でありうる。あるいは、本体10、カバー12、および分離素子14は、流体フラックスがバルク流体流動の方向に増加するかまたは減少するように、形成されることができる。たとえば、空所11の幅を画定する本体10またはカバー12の表面は、入口領域15または出口領域17の方向にテーパすることができる。
流体剪断応力は、当然ながら、装置が階段状通路の流体なしで動作するときには、懸案事項ではない。ガス状の流体の粘度は液状の流体の粘度よりも実質的に低いため、流体剪断応力は、粒子が液状の流体よりもガス状の流体(たとえば、空気)に浮遊するときには、あまり問題ではない。同様に、流体剪断応力は、流体粘度で公知のやり方で変動するため、異なる粘度の流体を収容するのに適切な本明細書に記載された装置の修正は、当業者には明らかである。
本体、カバーまたは両方が、段から流体を除去するために(その段の上の流体に浮遊するすべての細胞を含む)、分離素子の段の表面に流体接続する1若しくはそれ以上の流体水路を有することができる。さらに、段が、段に領域または別々の溝に有するときには、段のその溝または領域の近傍にある流体を除去するために、流体水路が、段の別々の溝または領域にもっとも近くで流体連通するように、カバーまたは本体を機械加工することができる。そのような局所水路は、粒子がそれによって捕らえられるときには、水路のすぐ近傍にある比較的少量の流体のみを捕らえることによって、浄化を改良することができる。同様に、本体、カバー、分離素子、またはこれらのいくつかの組み合わせは、その中にまたはその上に作られた光学的、電気的、または光学電気的装置を(たとえば、エッチング、膜蒸着、または他の公知の技術によって)、選択された段にまたは段の選択された溝または領域に対応する位置で有することができる。そのような装置を使用して、細胞を検出することができるか(たとえば、デテクタを使用して、段の表面とカバーまたは本体との間の流体を横切って伝えられた光または他の放射線の減少を検出する)、または細胞を操作することができる(たとえば、活性化可能な発熱体を使用して、発熱体の近傍を進むか近傍にある細胞を取り除く)。カバー、本体、または段に作られた装置は、その装置に電子アドレスを割り当てることによって、個別に活性化可能にすることができる。このようにして、細胞は、装置の別々の区域で検出されることができ、選択された区域の細胞は、他の位置の細胞を操作することなく、操作することができる。
選択された段(または、複数の選択された段)から細胞を採取することは、単にその段または段の一部から流体を採取することによって、行うことができる。いくつかの例では、たとえば、細胞とそれがある段との間に付着が発生するときには、細胞を除去するために装置へエネルギを加えるかまたは他のやり方で除去を容易にすることが有利でありうる。エネルギは、多くの形態で加えることができ、好適な形態は、細胞のタイプまたは移動されるべき物体、および段から細胞または物体を除去するのを抑制する力または現象の固有性に依存する。例として、段の一部分から流体を採取することは、同一の段の別の部分に流体を加えることと同時に行うことができる。細胞を採取するためにエネルギを装置へ加えることができる形態の他の例は、装置を揺すること、軽くたたくこと、または振動させること、または超音波、熱、赤外線または他の放射線、気泡、圧縮空気等の形態のエネルギを加えることを含む。
分離素子の1若しくはそれ以上の段に保持される細胞を回収する代わりに、細胞を代わりに検出するか操作することができる。1つの実施形態において、1若しくはそれ以上の細胞が、電気エネルギ、機械エネルギまたは熱エネルギを細胞に加えることによって溶解され、それによって、細胞の内容物を装置の空所に解放する。細胞の内容物は、装置内に分析されるか操作されることができるか、または装置から回収されて装置の外部で分析されるか操作されることができる。例として、段の特定の場所に保持される細胞は、その特定の場所に位置するか集中した装置を使用して溶解されることができ、それによって、細胞のDNAを空所内に解放する。DNAは、PCR試薬を空所へ提供することによって空所内で増幅されることができ、または収集されて(たとえば、空所の選択された部分から得られた流体が収集される容器内で、あるいは、空所を通って流体を進ませ出口流体のDNAを収集することによって)、装置の外部で増幅されることができる。このようにして、装置を使用して、個別の細胞または細胞の群の内容物を分析することができる。
本明細書に記載された装置を使用して、装置内で細胞を採取するかまたは操作するための広く様々な方法のいずれかを利用することができる。例として、公知の「光ピンセット」装置、レーザマイクロダイセクション装置、および粒子結合膜および薄膜を利用する方法を、利用することができる。薄膜または膜を利用する実施形態において、薄膜または膜は、オリフィスまたは流体水路の上にあることができ、空所の残りからオリフィスまたは流体水路を封止する。当該の粒子が薄膜または膜に付着するかその上にあることを観察する際に、粒子(または粒子を取り囲む区域)に接触する薄膜または膜の部分を取り外すか刺すことができ、薄膜または膜によって先に分離されたオリフィスまたは流体水路に粒子を流体連通させる。薄膜または膜が、それが識別することができる光学、磁気特性を有する場合には、薄膜または膜の検出された部分(たとえば、それに接着された当該の粒子を有する)は、粒子の特徴のため、または薄膜または膜の特徴(たとえば、分光測光特性または磁気特性)のためのいずれかで、スクリーニングすることによって単離することができる。さらに、薄膜が選択された方向に移動するように促されることができる特性(たとえば、磁性)を薄膜または膜が有する場合には、薄膜を使用して、これに接着した粒子を機械的に操作することができる。たとえば、接着された細胞を有する磁気的な薄膜または膜の離れた部分は、膜が浮遊する流体へ方向性磁場を加えることによって、または磁気プローブを動かして、接着した細胞を備えた磁気的な薄膜または膜の離れた部分を、水路、チャンバまたは容器等の所望の場所へガイドすることによって、その細胞用の輸送媒体として使用することができる。
構造物の材料および方法
本体10およびカバー12を作るのに使用される材料(単/複)の固有性は重要ではないが、本明細書に記載されたような装置の動作中に、部品がその形状を維持し、実質的に変形したり壊れたりしないように充分に固くなければならないことを除く。変形しやすい材料が使用される場合には、動作の状況下で予想される変形を、部品のサイズおよび形状を設計する際に考慮に入れなければならない。適切な材料の例として、ガラス、固体ポリマー、たとえばポリテトラフルオロエチレンおよびエポキシ樹脂等、および結晶性鉱物、たとえばシリコン等が挙げられる。本体10、カバー12、分離素子14、および本明細書に記載された他の構成要素は、各々が、所望により、異なる材料から形成されることができる。たとえば、部品の膨張および収縮に対する温度の効果がすべての部品で類似しているように、すべての部品が同一の材料から形成されることが好ましい。
装置内の粒子の移動、状態または振る舞いを観察することが有益でありうる。そのような場合には、本体10およびカバー12の少なくとも一方は、組み立てられた装置における粒子の観察を容易にする材料から作られなければならない。例として、多くのガラスが、ヒトの目に見える光学スペクトルの領域における光の波長に透明である。そのようなガラスから装置の1若しくはそれ以上の部品を作ることは、装置の動作中に、空所内の粒子(たとえば、第1の経路51における粒子の蓄積)を操作者が目視検査するのを可能にする。
分離素子14を作るのに使用される材料の固有性もまた重要ではないが、本明細書に記載されたような装置の動作中に、分離素子14がその形状を維持し、実質的に変形したり壊れたりしないように充分に固くなければならないことを除く。
装置およびその部品を作るのに使用される材料の選択は、その中で分離されるべき粒子の性質によって影響される可能性がある。粒子の性質もまた、装置内で遭遇するかもしれない表面と粒子の相互作用を調節するために、もしあれば、どの表面処理が適切であるかに関する決定に影響を与える可能性がある。たとえば、粒子が、装置に実質的に結合したり付着したりすることなく装置内で分離されるべきであるならば、材料および/または表面処理は、粒子が表面に結合する可能性を減少するか排除するように選択されなければならない。あるいは、装置の1若しくはそれ以上の表面(たとえば、第1の段61の広面31)は、粒子(または、粒子の混合した集団内の特定のタイプの粒子)が表面(単/複)に付着するか結合するように、処理されることができる。例として、生体細胞は、その表面に様々なタンパク質を発現すると知られており、選択されたタイプのタンパク質に特異的に結合する抗体は、公知の方法によって生成されることができる。特定のタイプの細胞の表面に発現されたタンパク質に特異的に結合する抗体が階段状通路の表面に固定される場合には、特定のタイプの細胞に抗体を結合することは、細胞が装置の表面を過ぎて進むのを抑制するか停止すると予期することができ、これらの細胞を、その表面にタンパク質を発現しない(且つ抗体が結合することができない)細胞から、分離するのを高める。
装置を作る方法を選択することは、中で分離すべき粒子のサイズによって影響される可能性がある。装置およびその部品を作るのに利用される特定の方法は重要ではない。マイクロメートルおよびナノメートルのスケールで精密である形状および構造を有する部品を形成する様々な方法が公知である。たとえば、様々な公知のマイクロマシニング方法のいずれを使用することができる。そのようなマイクロマシニング方法の例として、膜蒸着プロセス、たとえば、スピンコーティングおよび化学気相蒸着等、レーザ二次加工、およびフォトリソグラフィ技術、たとえば、UVまたはX線プロセス、精密機械加工方法、または湿式化学プロセスまたはプラズマプロセスのいずれかによって行われてもよいエッチング方法が挙げられる。(たとえば、Manz et al.、1991、Trends in Analytical Chemistry10:144〜149を参照のこと)。あるいは、部品は、機械加工されるのではなく、様々な公知の成形方法のいずれを使用して、成形されることができる。肉眼で見えるスケールで使用されるための部品を形成し機械加工する広く様々な方法が公知であり、たとえば、切断、彫刻、成形、型彫り、溶接、および注型等である。
本体10、カバー12、および分離素子14は、別個に作られ組み立てられて装置を形成することができ、そのような組み立ては、装置の製造業者またはユーザが行うことができる。あるいは、分離素子14は、カバー12または本体10の一方の一体化部品として作ることができる。1つの実施形態において、様々な本体10のいずれと形成された空所11を封止することができる単一のカバー12が作られる(たとえば、各々が本体10の空所11に分離素子14を有し、様々な分離素子14は、異なる特性、たとえば異なる段高さを有する)。
分離可能な粒子
装置は、本明細書に記載された装置の第1および第2の経路を様々な粒子が通過することができる能力に基づいて粒子を分離する。装置を使用して分離することができる粒子は、生きた粒子、たとえば、動物または植物の細胞、バクテリア、または原虫、または生きていない粒子を含む。本明細書に記載された装置を使用して、より大きな粒子(たとえば、穀物、齧歯類の糞、気泡、およびボウリングボール)と、より小さな粒子(たとえば、細胞内小器官、ウイルス、および沈殿した鉱物粒子)と、を分離することができる。
本明細書に記載された装置の第1および第2の経路を通過することができる能力に影響を与える粒子の属性は、粒子のサイズ、形状、表面特性、および変形能を含む。
流体内を無作為に動き回る粒子は、粒子のもっとも長い寸法に等しい直径を有する球の容量に等しい排除容量を一掃する。このようにして、1マイクロメートルの直径を有する固い球、1マイクロメートルの直径および0.2マイクロメートルの厚さを有する無作為に動き回るディスク形状の固い粒子、および1マイクロメートルの長さおよび0.1マイクロメートルの直径を有する無作為に動き回るロッド形状の固い粒子は、各々が、等しい排除容量を一掃する。表面特性の効果を無視して、これらの粒子の各々は、1マイクロメートルよりも大きい狭寸法を有する経路を通過することができる。ディスク形状およびロッド形状の粒子は、1マイクロメートルよりも小さく0.2マイクロメートルよりも大きい狭直径を有する経路を通過することができる。ロッド形状の粒子は、0.2マイクロメートルよりも小さく0.1マイクロメートルよりも大きい狭直径を有する経路を通過することができる。これらの粒子の固くない(すなわち、変形しやすい)類似体がこれらの経路の1つを通過する能力(およびそのような通過が発生することができる速度)は、粒子の変形能の程度および範囲、および経路内に適合するために粒子が変形する必要がある範囲に依存する。さらに、粒子の表面特性および経路を画定する表面は、粒子が経路を通過する速度に影響を与える可能性があり、そのような移動が発生するのを防止することができる(たとえば、粒子が経路の表面に強く結合する場合、または経路および粒子の表面が互いに反発し合う場合)。
重要な実施形態において、分離される粒子は、細胞の混合した集団に存在する生体細胞である(すなわち、複数のタイプの細胞を含む細胞の懸濁液)。本明細書に記載された装置の第1および第2の経路用に適切な狭寸法を選択することは、生体細胞を、そのサイズ、形状、表面特性、変形能、またはこれらの特性の組み合わせに基づいて、分離することを可能にする。本明細書に記載された装置を使用して分離することができる生体細胞の例として、母体血液内を循環する胎児細胞、胚幹細胞(母体血液内または個人の自己の胚幹細胞内)、成体幹細胞、腫瘍細胞、バクテリアおよび他の病原体、および免疫システムの細胞(たとえば、様々な白血球、たとえば、T細胞、B細胞、好中球、マクロファージ、および単球)が挙げられる。方法を使用して、これらのタイプの細胞の混合物を分離することができる。本明細書に記載された方法を使用して、細胞内小器官(たとえば、原子核、葉緑体、およびミトコンドリア)も同様に分離することができる。
別の重要な実施形態において、装置を使用して、感染病の原因物質(たとえば、バクテリアまたはウイルス)、または他の病原体(たとえば、原虫または寄生虫)を、サンプルから単離する。これらの実施形態において、装置は、診断目的のために使用することができ、たとえば、被検者が感染の原因物質に感染しているか否かを決定するために被検者から得られた生体サンプルを分析する。これらの実施形態の別の例において、水のサンプルまたは食品または原料等のサンプルは、本明細書に記載された装置を使用することによって査定することができ、被検者によって摂取された場合、被検者が疾病または他の状態を発現する可能性に寄与する病原体の存在に関して、サンプルを直接査定するか、またはサンプルが接触する流体を査定する。
たとえば、幹細胞は、母体血液または胎盤血液に存在する他の細胞から分離することができる。そのような血液は、幹細胞、赤血球および血小板を含む様々な細胞を含む。ヒト幹細胞は、約12マイクロメートルの直径を有する球に等しい排除容量を呈する傾向がある。ヒト赤血球は、約5.5マイクロメートルの直径を有する球に等しい排除容量を呈する傾向がある。ヒト血小板は、約1マイクロメートルの直径を有する球に等しい排除容量を呈する傾向がある。変形能および表面特性の効果を無視して、赤血球または血小板ではなく、幹細胞が、およそ4から8マイクロメートルの狭寸法を有する経路から排除される。4から8マイクロメートルの狭寸法を有する第2の経路52を備えた本明細書に記載された装置の入口領域15に提供された幹細胞は、一般に、装置の出口領域17へ進まないが、赤血球および血小板は進む。第1の経路51の狭寸法が約12マイクロメートルよりも大きい場合には(たとえば、第1の経路51の狭寸法が18マイクロメートルである場合)、幹細胞、赤血球および血小板は、すべて第1の経路51を通過する。母体血液または胎盤血液が、18マイクロメートルの狭寸法を有する第1の経路51を備え且つ<8マイクロメートルの狭寸法を有する第2の経路52を備えた本明細書に記載された装置の入口領域15に提供され、且つ、血液が装置の階段状通路を通って進む場合には、赤血球および血小板が装置を通って(すなわち、第1および第2の経路を通って出口領域17へ)進み、一方、幹細胞は、第2の経路52から上流に保持される。図1に示されたもののように構成された装置が使用される(すなわち、第1および第2の経路の間に介在する経路またはチャンバがない)場合には、幹細胞は、第1の経路51に蓄積する。血液が進むのに続いて装置を通ってさらに無細胞の流体が進むことは、幹細胞から分離される赤血球および血小板の割合を上げる傾向がある。装置のバックフラッシュ(すなわち、出口領域17から、階段状通路を通って、入口領域15へ向かう方向に発生する流体流動で)が、幹細胞を装置から入口領域15内に流し出すことができ、それによって、回収されることができる。
階段状通路内の粒子は、剪断力、圧縮力、および通路を通って流動するいずれの流体によって作用する他の力を受ける。変形、圧縮、破裂、溶解、または破損(すなわち、第1および第2の経路の一方または両方を通過する粒子の速度または能力を変えるいずれの特徴)に対して異なる抵抗を呈する粒子(たとえば、生体細胞)が存在する場合には、流体流動に対する粒子の応答の違いを使用して、階段状通路を通って粒子が進むこと(または進まないこと)に異なる影響を与えることができる。例として、流体剪断下で容易に溶解する細胞および流体剪断下で実質的に溶解しない実質的に同一サイズの細胞を含む細胞タイプの混合物内で、これらの2つのタイプの細胞は、比較的低い流体流動(すなわち、溶解する細胞があまりないかほとんど無いほど充分に低い流動)の状態下で他の粒子から分離することができる。そのような分離の後に、階段状通路内の少なくとも一部分内に、第2のタイプの細胞ではなく第1のタイプの細胞が溶解し、出口領域からの流出液に第1の細胞タイプの溶解生成物を産し第2のタイプの細胞を装置内に保持するほどの充分な流体剪断を生成するために、流体流量を上げることができる。
流体置換装置
本明細書に記載される装置は、粒子を装置の空所11の入口領域15に供給し、かつ入口領域15、階段状通路、および出口領域内に存在する流体を通って粒子を移動させることを可能にすることにより動作させられることができ、そのような移動は細胞の固有の移動度、または重力の影響下での非移動性粒子の受動性の沈殿に起因する。後者の場合、重力が、流体よりも濃度の高い粒子を入口領域15から、階段状通路を通り、出口領域17の方へ「落下」させる傾向があるように、または流体よりも濃度の低い粒子については、入口領域15から、階段状通路を通り、出口領域17の方へ粒子を「上昇」させる傾向があるように装置が向けられる必要がある。
より一般的には、本明細書に記載される装置は、流体(たとえば、粒子を含む懸濁液、または粒子のない流体)を含む容器を、または入口領域15に向けたポンプなどの別の流体置換装置を流体接続することにより動作させられる。装置を通る流体の流動は、流体を装置の入口領域15に導入することにより、装置の出口領域17から流体を連続的に採取することにより、または両方により達成される。入口領域15で導入された流体が、空所11内部に既に存在する流体を置換し、空所11内部から出口領域17の中への流体の放出、または出口領域17と流体でやり取りを行う出口ポート18を通る流体の放出を誘発する。粒子が装置の階段状通路を通過するとき、粒子は階段状通路から出口領域17の中に出現する。そのような粒子は、出口領域17、または出口領域17と流体でやり取りを行う容器内部に蓄積する流体から、あるいは出口領域17と流体でやり取りを行う出口ポート18から採取される流体から回収されることができる。装置を通る流体の流動中に、装置の第1の経路51または第2の経路52のいずれかを通過することができない粒子は、装置内部に保持され、そこから回収されることができる。
流体の流動を入口領域15に供給するために使用される流体置換装置が同一であることは重要でない。流体置換装置は、容器と、入口領域と流体でやり取りを行う入口ポート16との間の流体接続によって、重力の影響下で装置を通って徐々に排出することができるようにされる流体を含む単なる容器とすることができる。機械的ポンプが、ポンプ出口と入口ポート16との間の密閉された流体接続によって、流体を入口ポート16に引き渡すことができる。ポンプにより引き渡される流体が、装置の入口領域15内に存在する流体を階段状通路の中に、そしてそれにより出口領域17の方に置換し、置換された流体は出口領域17から採取される、集められる、または放出されることができる。あるいは、機械的ポンプが、密閉された流体接続によって、装置の出口領域17と流体でやり取りを行う出口ポート18から流体を採取することができる。出口領域17からの流体の採取が出口領域17での流体圧力を下げ、装置の隣接する階段状通路から出口領域17の中への粒子の置換、および入口領域15から階段状通路の中への粒子の置換を誘発する。
装置の空所11内の流体の好ましい方向の置換(たとえば、流体を入口領域15の中にポンプで押し出すことにより誘発される)が、空所内部の流体圧力を増大させる。増大した流体圧力は、装置の寸法を変える(たとえば、装置の部品の屈曲または変位を誘発することによる)、装置内部の粒子の寸法を変える(たとえば、変形可能なガス入りの粒子が、周囲の流体圧力が増大するにつれ、サイズが減少する傾向がある)、または両方を変える可能性がある。さらに、脈動するまたは別の方法で変動する流体圧力が、装置内部の流体の流動を局在化させる一時的変化を誘発する可能性がある。
一時的な局在化した流動変動は有益となる可能性がある。たとえば、階段状通路の第1の経路または第2の経路に入ることができない粒子が、経路の上流の範囲と反対方向に追い立てられることができ、粒子によりふさがれた経路の部分を通る流体の流動を阻止する。あるいは、粒子により経路をふさぐ点での流体の流動の一時的変動が、経路の開口部と反対方向に粒子を追い立て、粒子を開口部から離れて追い立てることができ、それにより一時的に閉鎖を軽減し、経路の以前にふさがれた部分を通る流体の流動を可能にする。
流体脈動または別の急速な流動変化が、流体中および流体内に懸濁した粒子上に剪断応力を誘発することができ、粒子がそのような剪断応力により損傷を与えられる可能性がある。粒子の損傷(たとえば、生体細胞の溶解)は、流体内部の剪断応力、および剪断応力の原因を低減することにより低減されることができる。本開示の他の所で議論される装置の流体チャネルの幾何形状の修正は別として、装置と接続される流体置換装置のタイプおよび特性の変更が、流体内部の剪断応力を増大させるまたは低減させることができる。例として、比較的一定な容積流量で(すなわち、より脈動する容積流量ではなく、多くの蠕動ポンプと同様に)流体を引き渡すポンプが、装置内部の流体圧力の周期的な急上昇により誘発される流体剪断応力を低減することができる。さらに、例として、比較的一定な圧力で(すなわち、ポンプの出力流れ内部の流体圧力を監視し、それに従って容積流量を調節して、一定な圧力を維持する)流体を引き渡すポンプが、容積流量が適宜に調節されなければ、階段状通路の第1の経路および/または第2の経路の部分が粒子または破片でふさがれるようになるとき、他の方法では高まる流体剪断応力を低減することができる。装置を通って流体を移動させるのに適したポンプの一例が、低パルス・シリンジポンプ(low pulse syringe pump)である。そのようなポンプは攪拌機構を具備することができ、攪拌機構は装置の動作中に粒子が沈殿するのを妨げるのに有用であることがある。
空所11内部からの流体の反対向きの置換(たとえば、出口領域17からの流体の採取により誘発される)が、空所11内部の流体圧力を低減し、装置の部品の変形および変位、ならびに一時的な流動変動を含む同様の困難を誘発する可能性がある。空所11からの流体の反対向きの置換はまた、装置内の流体内部の気泡形成を誘発する可能性があり、気泡は装置の動作を混乱させる可能性がある(たとえば、経路の一部を通る流体の流動をふさぐことによる、または装置内の粒子に表面張力に関係する影響を誘発することによる)。したがって、気泡形成は避けられるべきである。この理由のために、装置の空所11内部での流体の好ましい方向の流体置換が好まれる。
一変形形態では、流体は、装置の入口領域15と流体でやり取りを行う流体を含む容器に遠心「力」を適用することにより装置を介して置換される。遠心「力」は軸の周りに容器を回転することにより発生され、流体の角運動量の保存が粒子を回転軸から離れるように追い立てる。この「力」は、装置の入口領域15と容器出口を流体接続することにより、装置の空所11から流体を置換するために使用されることができる。例として、遠心力により動作可能な装置が、回転軸の基部の位置から回転軸の遠心の位置に向けて直線的配列で、流体容器、空所11の入口領域15、階段状通路、および空所11の出口領域17を具備することができる。容器からの流体が、遠心「力」により入口領域15の中に、したがって、階段状通路を通り(第1の経路51は、第2の経路52に対して回転軸の基部に配置される)、そこから出口領域17に追い出され、出口領域17は装置を通過した流体を集めるための第2の容器を具備することができる。流体容器内の流体の一部またはすべてが装置を通過した後、第2の経路を通過することができない粒子が空所11内部に残る。
装置の組み立ての確認
多くの応用では、本明細書に記載される装置の流体チャネルのかなりの寸法が比較的限られた公差を有する。すなわち、装置の適切な動作が、比較的狭い範囲以内の寸法(すなわち、数μmから数10nmまでのオーダ)を維持する流体チャネルに依存する可能性がある。装置は、少なくともカバー12、および動作可能な装置を生成するために組み立てられる本体10を具備するので、および動作では、カバー12および本体10を分離する傾向がある正の内部流体圧力が装置内部に加えられるので、本体10およびカバー12を組み立てられた位置に固定する、または別の方法で保持する何らかの手段が通常使われる。カバー12および本体10をそれらが組み立てられた位置に固定するまたは別の方法で保持することにより誘発される圧力が、カバー12または本体10の部分の変形を誘発する可能性があり、潜在的にその部分のかなりの寸法を変える可能性がある。そのような変形が起きたとき、その変形を検出することが重要である。
本開示は、本明細書に記載される装置の適切な組み立てを確認する方法を含む。この方法は、空所11、および空所11を覆い、かつ空所11を覆う面と反対側の平坦な表面を有するカバー12を画定する本体10を具備する装置について例示される。しかし、変形が検出されるべき部分の面上に平坦な表面を具備することにより、別の構成に対する部分の変形を検出するために、実質的に同じ方法が使用されることができる。装置の適切な組み立てを確認するために、すべてのクランプ、ホルダ、または本体10またはカバー12の任意の部分に圧力を加える別の装置を具備して、本体10およびカバー12が組み立てられる。任意選択で、粒子のない流体が、使用される動作圧で装置を通り流される。カバー12の平坦な表面が放射により照らされる。カバー12の平坦な表面により反射または屈折された放射の干渉パターンが調べられる。干渉パターンはカバー内の屈曲の位置および範囲を示し、たとえば空所11を画定するカバー12の面と、本体10により画定される空所11の壁との間の距離の変動が適切な公差以内にあるかどうかについて確認することができるようにする。
装置は、装置の適切な組み立てを確認する様々な可視指標を具備することができる。可視指標は、装置が適切に組み立てられたときに1つの外観を有し、かつ装置が適切に組み立てられていないときに異なる外観を有する本体またはカバーの特徴である。実質的に任意の可視の観察可能な現象が可視指標の役割を果たすことができる。上記で示されたように、装置の一部の変形を示す干渉パターンが使用されることができる。噛み合う部分の上に引かれる線、塗られる線、または彫られる線の配列が、適切な組み立ての可視指標の役割を果たすことができる。
装置の使用
装置は、生体細胞など、流体試料中に懸濁した粒子を分離するために使用されることができる。流体試料は、空所11の入口領域15で導入される。試料中の粒子は入口領域15から、分離素子14、ならびに本体10およびカバー12の少なくとも1つにより画定される階段状通路の中に移動する。装置内部の粒子の移動は、(たとえば、運動性生体細胞については)粒子の固有移動度によって、装置内部の流体を通る粒子の濃度に仲介された沈殿または上昇により、あるいは装置内部に誘発される流体の巨視的な流動に応答して起こる。階段状通路は、分離素子14の第1の段61により境界を定められる第1の経路51を具備する。第1の経路51は狭寸法(すなわち、第1の段61の表面と、本体10および/またはカバー12の向かい合った面との間の距離)を有し、一部の粒子が(粒子の変形性を考慮した)粒子サイズのために第1の経路51に入ることができないことがある。第1の経路51を通過することができる粒子は、分離素子14の第2の段62により境界を定められる第2の経路52まで階段状通路に沿って続けて移動する。第2の経路52は、第1の経路51の狭寸法よりも狭い狭寸法(すなわち、第2の段62の表面と、本体10および/またはカバー12の向かい合った面との間の距離)を有し、一部の粒子が(粒子の変形性を考慮した)粒子サイズのために第2の経路52に入ることができないことがある。第1の経路51も第2の経路52も通過することができる粒子は、空所11の出口領域17まで階段状通路に沿って続けて移動する。したがって、装置は、第1の経路51に入ることができない粒子、第1の経路51を通過することができるが第2の経路52に入ることができない粒子、および第1の経路51も第2の経路52も通過することができる粒子を分離する。粒子のこれらの集団は、入ることができるが、(動作期間中に)第1の経路および第2の経路のうちの1つを通過できない粒子として、別個に回収されることができる。あるいは、またはさらに、装置の出口領域から回収される流出液が回収されることができる。一実施形態では、第1の経路および第2の経路の1つまたは両方を通過できない粒子は、排出液を回収する前に溶解させられる、または別の方法で分解されることができる(すなわち、溶解生成物または分解生成物が装置を通過することができるようにする)。
多数の装置が、それぞれの装置の入口領域15に適用される同じ流体試料を使って一度に(すなわち同時に)動作されることができる。多数の装置は、共通の入口領域15、または入口領域15のそれぞれと流体でやり取りを行う共通の上流容器を有することができる。多数の並列装置が同じ本体10、同じカバー12、または両方を共有するかどうかは問題でない。当然、複数の別個の装置が独立して動作されることができる。一実施形態では、集合体の一方の末端で入口領域15(または入口領域15と流体でやり取りを行う流体チャネル)を有する集合体(たとえば、それぞれのウェーハが、ウェーハの一方の側面上で、装置のための本体10の役割を果たし、ウェーハの反対側の側面上で、隣接する装置のためのカバー12の役割を果たす一組のウェーハ)を形成するために、複数の装置がグループ化される、結合される、または押しつけられ一緒にされる。粒子を含む流体試料が、集合体の末端に適用されることができ、それにより、流体試料は集合体のそれぞれの装置の入口領域15に供給されることができる。(たとえば、ポンプを使用して)圧力の下で集合体の同じ末端に流体を供給することにより、集合体の装置のすべてを通る流体の流動が誘発されることができる。この構成は、装置の構成要素のリエンジニアリングまたは再設計なしに、本明細書に記載される装置および方法のスケールアップを可能にする。代わりに、粒子の予想される数を収容できるように、ウェーハの数が単に増やされることができる。
本明細書に記載される装置および方法を使用して得られる粒子および細胞は、多種多様な別の目的のいずれかのために使用されることができる。さらに、これらの目的の多くについては、分離目的のための装置の動作後に、装置内部に残っていることがある粒子を分離する必要はない。例として、多くの場合、無傷の生体細胞または生体細胞の成分と試薬(たとえば、抗体、酵素基質、潜在的相補核酸、および栄養分)との相互作用が、それらの相互作用が、装置から回収される細胞について観察されることができるように、装置内部に残る細胞についても同様に観察されることができる。さらに、装置内部に存在する流体チャネルは、そのような試薬を装置内部に残っている細胞に引き渡すのを容易にすることができる。したがって、装置は細胞を分離するためにも、その後、細胞と様々な試薬との相互作用を観察するための反応容器としても使用されることができる。
装置が生体細胞を含む流体を収容するように使用されるとき、好ましくは生体細胞の完全性を十分維持する浸透圧モル濃度(osmolarity)を有するように流体が選択されるべきである。細胞の有効性または別の生物学的機能が重要であると考えられる場合、流体はまた所望の1若しくはそれ以上の生物学的機能を維持するように選択されるべきである。
装置内部に残っている粒子を有する装置はまた、粒子と共に試薬を貯蔵するため、保持するため、または試薬を粒子と接触させるための容器として使用されることができる。例として、装置は試料(たとえば、鶏卵などの食糧が洗浄される流体試料)中に発生する細菌を装置内部で分離するために使用されることができる。装置内部で細菌を分離した後、細菌の生存および増殖を促進するために、装置の空所11に増殖培養液が供給されることができる。指標(たとえば、特定の細菌抗原、または有害な細菌によってのみ代謝可能な試薬と特異的に結合する抗体)が空所に供給されることができ、その中で細胞と指標との相互作用が観察されることができる。そのような例は病原菌による食糧の汚染の分析に役に立つ。
血液試料の寿命
本明細書に記載される装置を使用している間に、装置内の血液および血液細胞の流動特性が時間をかけてかなり変えられることが発見された。血液試料が取られた後すぐに、血液細胞の変性が始まり、かつ変性の影響が、数時間後に本明細書に記載される装置により影響される分離の有効性を弱め始めると信じられている。このことは、少なくとも一部には、酸素の欠乏、栄養分、装置の表面に付着することがある白血球の断片への曝露、または溶解した白血球により解放される酵素への曝露によることがある。血液細胞は不安定になる傾向があり、血液試料が取られたおよそ6〜8時間後に装置を通過するときに、より溶解する傾向がある。試料が取られてからおよそ10〜12時間後に血液試料内の細胞を効果的に分離することがより困難になる。好ましくは、血液試料は、取られてから6時間以内に使用され、その後、約12時間以内に使用されるべきである。
8時間よりも古い血液試料をさらに扱う際、血液試料内で観察される変化は、本明細書に記載される装置および方法に特有のものではなかったのであり、むしろ血液試料を使用して行われる多種多様の分析に関係する可能性がある、より一般的な現象であることが明らかになった。比較的狭い経路(たとえば、100μm以下)を通る血液または血液細胞の通過を伴うどんな分析でも、分析前の20時間未満に、および好ましくは分析前の10時間未満、または8時間未満、または7時間未満に被験者から得られる血液試料を使用して分析を行うことが有益であることは明らかである。本明細書に記載される装置は、比較的少ない専門知識を有する操作者により便利に動作されることができるので、装置は、病院または静脈切開検査室内などで、被験者から血液が得られる時間に非常に近い時間に血液試料を分析するために使用されることができる。
ここで、本開示の主題が以下の実施例を参照して記載される。これらの実施例は、例示のためだけに供給され、主題はこれらの実施例に限定されるのではなく、むしろ本明細書で供給される教示の結果として明らかになるすべての変形形態を包含する。
(実施例1)
母性血からの胎児細胞の分離
本明細書に記載されるタイプの装置が、胎児様大型有核細胞を母性血の1ml試料中の別の細胞から分離するために使用された。
ポリカーボネート装置が公知のエポキシ樹脂鋳造工程を使用して組み立てられ、本体10により画定される8つのチャネルのそれぞれに一体化した分離素子14を有する本体10を具備していた。この応用に適用可能な別の物質には、環状オレフィン共重合体、およびポリプロピレン環状オレフィン重合体が含まれる。
分離素子には、階段状通路内に直列的に配列された経路を画定する6つの段があり、経路はそれぞれ10マイクロメートル、7マイクロメートル、5マイクロメートル、4マイクロメートル、3マイクロメートル、および2マイクロメートルの狭寸法を有していた。それぞれの段(および経路)は1mmの長さを有していた。本体10に固定された標準的顕微鏡スライドガラスがカバー12として使用された。別個の階段状通路間の本体10の部分が支持物20の役割を果たした。カバー12はシリコンゴム接着剤を使用して本体10に結合された。
母性血をシミュレートするために、男の胎児からの血液の試料が得られ、女性から得られた血液と混合された。この混合物は標準的手順を使用してヘパリン処置され、一晩冷蔵された。カリウムEDTAなどの別の抗凝固物質もこの応用に適している。試料は室温に至らされ、シリンジを使用して複数のチャネルの入口領域15に導入された。試料が装置を通過した後、装置は顕微鏡下で観察された。胎児起源のように見えた大型細胞(すなわち、正常な血液細胞よりも大きな細胞)が、階段状通路内部のいくつかの位置として捉えられていたのが観察された。
大型細胞は、組み立てられた装置にしばらくの間遠心力を作用させることによりガラスカバーに付着された。遠心力に引き続いて、カバー12が本体10から除去され、カバー12に付着した細胞がメタノール:酢酸の3:1混合物を使用してカルノア固定(Carnoy fixation)により固定された。次に、細胞は市販のキットを使用して染色体Xおよび染色体Yの検出のために、標準的な蛍光イン・サイツ・ハイブリダイゼーション(fluorescence in−situ hybridization、FISH)プロトコルを使って処置された。
X染色体およびY染色体上の部位特有配列に対するFISHプローブのハイブリダイゼーションを表す蛍光信号がスライド上で観察され、装置を使用して血液試料から男の(すなわち、Y染色体を含む)胎児細胞が分離されたことを示した。大型細胞の少なくとも一部が多核であることが観察され、栄養膜起源であることを示唆した。
胎児の栄養膜細胞は、母性血中で発生することがある胎児細胞の別のタイプ(たとえば、原始的体性幹細胞)と異なり、妊娠の休止の後に比較的急速に母性血から除去されると信じられている。以前の妊娠からの栄養膜細胞が女性の血液中に永続する可能性は低いので、胎児の栄養芽細胞の分離は、別のタイプの胎児細胞(女性に既知のまたは未知の以前の妊娠から永続した可能性がある細胞を含む)の分離よりは、女性の現在の胎児の状態に関して多くの情報を供給することができる。
(実施例2)
本明細書に記載される装置の組み立て評価が、照明下の装置から反射される光、屈折される光、または反射される光と屈折される光の両方を観察することにより達成されることができる。図5は適切に組み立てられた装置上で観察される光のパターンを描くカラー画像である。
図5に図示される装置は、本体と一体化した分離素子を有し、かつ本体に適用される平坦なガラスカバーを有するプラスチックの本体から形成される。階段状通路が、階段状通路の(ここの)上面上のカバーにより、および階段状通路の(ここの)下面上の分離素子により画定される。9つの支持物が、実質的に入口領域から(図5で図示される矢印の方向に)出口領域まで分離素子の全長に延出し、階段状通路を10の分離された流動チャネルに分割する。分離素子には カバーに事実上平行な8の平坦な部分があり、平坦な部分(段)は、階段状通路を画定するカバーの表面から4.0μm、4.2μm、4.4μm、4.6μm、4.8μm、5.0μm、5.2μm、および5.4μmの距離を画定する。
蛍光がカバーにおよそ垂直な照明の角度で、かつカバーの真上にある光源から放出された。図5はカバーに対しておよそ30〜45度の視線に位置する観察者により観察された画像を図示する。図5に図示されるように、光のチェッカーボードに似たパターンが観測されることが理解されることができる。動作のどんな特定の理論によっても束縛されることなく、カバーの上(すなわち、階段状通路の外側)の表面から反射された光が、カバーの底の表面により反射された光、分離素子の平坦な部分により反射された光、またはこれらの何らかの組み合わせと結合して、図5に見られるカラーを生み出すと信じられている。光の変動の起源または説明にかかわらず、装置が適切に組み立てられたとき、分離素子および支持物のパターンに対応する光のパターンが観察される。たとえば、カバーまたは本体の変形が、分離素子の平坦な部分に対応する長方形が非対称に見えるように、または曲がって見えるように、チェッカーボードパターンをゆがめる。
(実施例3)
ヒト絨毛膜絨毛試料からの胎児細胞の分離
この実施例に記載される実験では、この応用で記載されるタイプの装置が、男の胎児を身ごもっていることが知られている妊娠女性から得られる絨毛膜絨毛(chorionic villus、CV)試料中に存在した成人細胞と胎児細胞の混合物から胎児細胞を分離するために使用された。
この実施例で記載される実験で使用される装置は、微量注入成形工程を使用してポリカーボネートから製造される本体、およびガラスカバーを有する2つの部分からなるカセットであり、本体は、図6に図示されるように、分離素子とカバーとの間に多数の段を画定する、本体上の分離を有した。カセットの本体およびカバーは、入口領域および出口領域を有する空所を画定した。入口領域および出口領域は、分離領域によって互いに流体でやり取りしていた。分離領域は平坦部分(すなわち、比較的広い経路)を含み、本体とカバーとの間の最小距離は4.0μmであり、本体とカバーとの間の最大距離は5.4μmであった。8つの段に対するカバー部から段差までの距離は、図6に図示されるように(流体の流動の方向に)5.4μm、5.2μm、5.0μm、4.8μm、4.6μm、4.4μm、4.2μm、および4.0μmであった。流体の流動の方向での分離領域は長さ(すなわち、図6に図示される8段構成の左から右までの距離)20mmであり、分離領域内部の8つの段のそれぞれは流体の流動の方向に2.5mmの長さを有した。分離領域の幅(すなわち、図6に図示される8段構成が、図6に図示される平面図に垂直な次元に延出した距離)は、24mmであった。組み立てられた装置の空所の総内容積は約12.2μlであり、空所の分離領域の容積(すなわち、カバーと階段状経路エレメントとの間の部分)は約2.2μlであり、入口領域および出口領域を結合した容積は約10μlであった。カセットのこのモデルは、D3v2と呼ばれた。
別の実施形態では、同様の装置が使用されることができ、装置は、8つの段に対するカバー部から段差までの距離が(流体の流動の方向に)4.4μm、4.2μm、4.0μm、3.8μm、3.6μm、3.4μm、3.2μm、および3.0μmである点だけが事実上異なる。カセットのこのモデルはD2V3と呼ばれる。
流体の流動動作の間、カセットは、カセットを固定するのに役立ち、かつカセットからのどんな流体の漏れも防ぐやり方で、ガラスカバーがカセット本体と噛み合うことを保証する、目的に合うように設計されたホルダ内部に収容された。ホルダの正確な構成は重要でなかったが、十分にカセットの部分を一緒に保持し、かつ大気圧に対してカセット内部の好ましい方向の流体圧力または反対向きの流体圧力のいずれかによる漏れを防ぐために、カセットの部分に圧力を均等に加えるのに役立った。この実施例に記載された実験では、ホルダは、金属部分およびカセット部分が、それらの間で一緒に保持される力を調節するための付属品を有する2つの金属部分から構成された。金属部分の一方が、本体とカバーとの間の空所領域におよそ対応する「窓」(図5を参照のこと)を画定し、窓を通して空所内部の細胞の可視観察が行われることができた。もう一方の金属部分は、カセット内部の空所に流体を供給するため、およびカセット内部の空所から流体を採取するための接続を収容するための入口ポートおよび出口ポートと整列する穴を具備することを除いて、実質的に隙間がなかった。
カセットを通る流体の流動は、1.25mlシリンジを装備するハミルトン(Hamilton)PSD3シリンジポンプを使用して達成された。ポンプはMatLab(商標)社のInstrument Control Toolbox上で実行されるアプリケーションを使用してソフトウェア制御された。システムはまた、カセット内部の流体圧力を絶えず監視されることができるようにする圧力センサを具備する。システムの構成要素が接続される流体導管および付属物が、予想される圧力に対応するように選択されたが、それらと同一であることは重要ではなかった。実質的にどんな流体導管および付属物でも使用されることができる。
この研究で使用された分子プローブは、Abbott Molecular社から得られ、CEP(登録商標)X Spectrum Orange(商標)プローブ(試薬で処置された細胞中でX染色体から赤い蛍光信号を供給する)、およびCEP(登録商標)Y Spectrum Green(商標)(試薬で処置された細胞中で発生する、Y染色体からの緑の蛍光信号を供給する)からなっていた。すべての別の試薬が、非特異的ハイブリダイゼーションを妨げるのに十分な品質であった。
組織試料からの細胞が懸濁されたおよそ5mlのダルベッコ(Dulbecco)変性リン酸塩緩衝食塩水(DMPBS;0.90ミリモルのCaCl;0.49ミリモルのMgCl、2.7ミリモルのKCl、1.47ミリモルのKHPO、138ミリモルのNaCl、および8.06ミリモルのNaHPOでpH7.2)中に組織片を含むCVが、15mlねじ蓋プラスチックチューブで受け取られた。細胞懸濁液が吸引され、チューブの底に固形組織片が残った(チューブ内に残っている物質の容積が0.25ml未満だった)。吸引液は15mlねじ蓋プラスチックチューブ内に配置され、5分間3,000rpm(約1,500倍のg)で遠心力を作用させられた。遠心力の作用、および上澄みの除去後、およそ0.1ミリリトルの堅く圧縮された細胞がチューブ内に残った。およそ2mlのDMPBSがチューブに追加され、小球形にされた細胞を十分に再懸濁するために渦式ミキサを使用して成分が混合された。この再懸濁された細胞試料はおよそ1時間、4℃で貯蔵された。
再懸濁された細胞試料の試料が、標準的顕微鏡スライドガラス上に広げられ、ライト−ギムザ染色(Wright−Giemsa stain)で染色され、白色光を使った照明下で400倍の倍率で調べられた。染色された標本は、試料中に(胎児の)栄養膜細胞の存在を示した。試料中に観察された別の細胞は、好中球(有殻白血球)および赤血球であると信じられた。この方法による試料中の胎児の栄養膜細胞及び別の細胞の観察により、栄養膜細胞が試料中の大部分の別の細胞よりかなり大きいことが明らかとなった。
懸濁した細胞からの1.25ml分取が、上記に記載されたシリンジポンプ装置を使用して、入口領域に適用することによりD3v2カセットを通過させられた。試料を適用する前に、カセットは以前に若干量のDMPBSの通過により予備刺激されていた。この試料は、カセットを流体の流動速度0.025ml/分で通過させられた。試料通過中、流体系の圧力が4.6〜6.8psigの範囲以内で変化するように監視され、観察された。
試料がカセットを通過させられた後、固定液からの3つの0.1ml分取(メタノール:酢酸が3:1の比)がカセットを通過させられた。固定液の通過の間に10分の期間が経過する余地があった。カセットおよびホルダは、この分節に記載された処置中に装置に水氷の適用により冷やされた。前のステップは室温(およそ20℃)で行われた。
固定に引き続いて、カセットは出口領域に真空を適用することにより乾燥させられ、このことがカセット内の空所からすべての流体を除去することを達成した。カセットは一晩4℃で貯蔵された。貯蔵に引き続いて、カセットは100倍の倍率で顕微鏡により観察された。約20μmよりも大きい直径を有するいくつかの有核細胞が分離領域内に観察され、入口領域内部で観察されるものがあり、カセットの分離領域内の最初の分離段で観察されるものもあった。カセットの分離領域内の最初の分離段から下流には、約20μmよりも大きい直径を有する細胞は観察されなかった。
カセットは分解され、カラスカバーは除去され、標準的なFISHプロトコルを使用して処置された。カバーは、自動化された検出アルゴリズムと結合したコンピュータ制御された段階を装備した蛍光顕微鏡を使用して調べられた。カバーはまた、無傷の核の可視化を可能にするために(すなわち、細胞の捕獲を確認するために)、DAPIを使って染色された。Abbott Molecular社(シカゴ、イリノイ州)から得られる市販のキットで供給されるFISH染色法およびDAPI染色法が行われた。
DAPIおよびFISHで染色されたカバーの調査が、ガラスカバー上の多量の有核細胞を示した。細胞の大部分が、カバー部から段差までの距離4.2μmおよび4.4μmを有する段に対応するカセットの部分の比較的狭い区域内で観察された。これらの細胞は伸ばされた、または別の方法で変形させられたように見えた。男の細胞(すなわち、X染色体とY染色体の両方の存在に対応する蛍光信号を生成する細胞)が存在した。これらの細胞は妊娠した女性の男の胎児に由来すると結論づけられた。女の細胞(すなわち、X染色体の存在に対応する蛍光信号を生成するが、Y染色体の存在に対応するどんな蛍光信号もない細胞)も検出された。これらの細胞は妊娠した女性の男の胎児に由来するのではなく、妊娠した女性に由来すると結論づけられた。検出された細胞の中では、どれもマルチローブの核を示さなかった。そのことから、捕獲された細胞は白血球ではないと結論づけられた。
(実施例4)
母性血試料からの胎児細胞の分離
この実施例で記載される実験では、この応用で記載されるタイプの装置が、男の胎児を身ごもっていることが知られている妊娠した女性の血行から得られる血液試料から胎児細胞を分離するために使用された。
この実施例で記載される実験で使用された装置は、実施例3で記載されたD3v2カセットであり、その実施例で記載されたように動作された。使用された分子プローブおよび染色手順は、実施例3に記載されたものと同じだった。
男の胎児を身ごもっていることが知られている(超音波画像診断による)22名の妊娠した女性それぞれから静脈穿刺によりおよそ5ml分取の対で血液が集められた。胎児の妊娠期間は、17週と6日から29週と6日までの範囲内であり、平均妊娠期間は21週と5日であり、年齢の中央値は20週と2日であった。それぞれの血液試料が5mlチューブで集められ、カセットに適用するために準備されるまで、氷浴中に貯蔵された。試料収集と試料準備との間に経過した時間は、1時間未満であった。
一部の例では、同じ試料が2つのカセットを通過させられ、そのうちの一方がその後FISH試薬を使用して染色され、そのうちのもう一方がライト−ギムザ試薬を使用して染色された。これにより、組織学(ライト−ギムザ染色された細胞)の結果と、FISH手順により得られた結果の比較を可能にした。別の例では、結果の再現性を確認するために、1人の患者からの対の血液試料が別個のカセットを通過させられた。
血液試料は、カセットを通ってポンプで押し出す準備として、ハミルトンシリンジの中に患者の血液試料を吸引することによりカセットを通過させられた。1.25mlの血液試料が、流量0.025ml/分で個々のカセットを通ってポンプで押し出された。流体系内の圧力が血液試料の通過中に監視され、7〜9psigの範囲内で変化することが観察された。
カセットを通る血液試料の通過に引き続いて、カセット内に保持されている細胞以外のどんな残留物質も試料から除去するために、1.25mlのダルベッコ変性リン酸塩緩衝食塩水が、試料流動と同じ方向および同じ流量でカセットを通過させられた。この洗浄手順後、固定液からの3つの0.1ml分取が0.025ml/分でカセットを通過させられた。10分の期間が固定液通過の間に経過する余地があった。カセットおよびホルダは、固定液分取の通過およびその間の期間中に装置に水氷を適用することにより冷やされた。
固定液通過に引き続いて、カセットは2つの方法のうちの1つで処置された。通過後即座に固定液が除去され(カセットが、固定液の液滴がなくなるまで、カセットにフィルタ処置した空気を通過させることによる)、一晩4℃で貯蔵され、一晩FISH染色されたカセットがあった。4つ以上のカセットが集められるまで、カセット内部に固定液が保持されたまま4℃で貯蔵されたカセットもあり、4つ以上のカセットが集められたとき、固定液は除去され、カセットは一晩4℃で貯蔵され、カセットは一晩の貯蔵に引き続いてFISH処置された。FISH処置は、実施例3に記載されるように、カバーの除去、およびCEP(登録商標)X Spectrum Orange(商標)およびCEP(登録商標)Y Spectrum Green(商標)を使用する処理を必然的に伴う。DAPIは逆染色として、無傷の核の存在を実証するために使用された。
染色後、染色された細胞をガラスカバーに付着されたガラスカバーが、手動で、または自動化された検出アルゴリズムと結合したコンピュータ制御された段階を使用して、蛍光顕微鏡を使用して調べられた。
一部のカセットについては、カセット内部に捕獲された細胞のタイプおよび分布を調べるために、カバー上に固定された細胞が、ライト−ギムザ染色だけを使って染色された。
この実施例の実験から得られた結果は現在議論されている。
22名の妊娠した女性から得られた母性血の試料は、38のカセットを通過させられた。26のカセットが本明細書に記載されるFISH/DAPI手順を使用して処理され、12のカセットがライト−ギムザだけを使って染色された。FISHのために使用された26のカセットのうち、12が分析に適していることがわかり、14が正しくハイブリッド形成できなかった、または逆染色を拾い上げることができず、14は不適切に固定されたことを示していた。
分析に適した12のカセットのうち、総カバー範囲のおよそ12.5%が自動化された顕微鏡およびアルゴリズムを使用してスキャンされたとき、3つが男性陽性信号を供給した。自動化されたシステムの厳密さに関する懸念のために、一部のカセットが手動で再スキャンされた。カセットの再スキャンにより、12のカセットのそれぞれで男性陽性信号細胞の出現が明らかになり、個々のプレート上で1から11までの雄性細胞が検出された(12のプレートのそれぞれで検出された雄性細胞の数は、1、2、2、2、2、3、3、3、3、4、8、および11であった)。これらの雄性細胞のうち、大部分(64%)が、カバー部から段差までの距離4.0μm、4.2μm、および4.4μmを有する段に対応するカセットカバーの部分の上で検出された。雄性細胞のおよそ36%が、カバー部から段差までの距離4.6μm、4.8μm、5.0μm、5.2μm、および5.4μmを有する段に対応するカセットカバーの部分の上で検出された。
図7は、男の胎児細胞に対する陽性信号を供給する識別された細胞のそれぞれの位置の相対「地図」を供給する。識別された細胞の大部分が、カセットの出口または出口部分にあり、入口区域内の細胞は少しある。このことは、カセットが胎児細胞を捕獲することができ、かつ胎児細胞の通過を許さないことを示す。
1つのカセットからの結果が、約300の成人雌性細胞(主に白血球であると信じられている)よりも少ない11の胎児細胞(すなわち、胎児細胞核内にX染色体もY染色体も存在することを示す蛍光信号を示す細胞)が捕獲されたことを示した。
12のカセットが、捕獲された細胞の形態を調べるためにホワイト−ギムザ染色で染色された。これらのカセットは、FISH分析のために使用されず、光学顕微鏡だけによって観察された。これのカセットのうちの2つが、カセットに適用された試料の性質に関して知らされていない有核白血球の専門家(移植免疫学者)に供給された。この専門家は、捕獲された細胞が、顆粒球を有する「類上皮細胞」、および捕獲された細胞と混ぜられた単核細胞が優勢な不規則なバンドを含むという見解を述べた。これらの細胞の細胞学的形態は、専門家により上皮様と説明されたが、胎児の栄養膜が、観察された細胞の中にある可能性があること期待すると免疫学者が告げられなかったという事実を考えると、これらの細胞は栄養膜または別の大型細胞であると信じられた。胎児の栄養膜は、胎盤内の母胎の血管に侵入する類上皮細胞であることが知られている。
胎児の栄養膜様細胞が、カバー部から段差までの距離4.0μm、4.2μm、および4.4μmを有する段に対応するカセットカバーの部分で観察され、そこでは、X染色体とY染色体の両方に対する信号を供給した細胞の大多数が見つけられた。これらの栄養膜様細胞の推定頻度が、循環するがん細胞に対して、または正常血液中の同様の形態の別の細胞に対して期待されるよりもはるかに高かった。この観察は、カセットが、ヒトの血行中で通常観察されない(または、非常に少ない数しか観察されない)細胞を捕獲することを示す。
この実施例に記載される実験のために使用されたカセットの調査が、カセットが、母性血の1.25ml試料それぞれから典型的には約200〜4、000の細胞まで捕獲したことを示す。捕獲された細胞の観察から、捕獲された細胞の少なくとも一部が、胎児に由来する細胞であったことは明らかである。しかし、同様に、カセットが、血液試料から様々な血液によって運ばれる別の細胞を捕獲することができることも明らかである。これらの別の細胞は白血球を含む。これらの実験で使用されたカセット中で細胞が捕獲された位置の分析により、細胞が主に3つの別個の領域で捕獲されたことが明らかになった。細胞のおよそ30〜35%が、カバー部から段差までの距離5.2μmおよび5.4μmを有する段が出現するカセットの部分で捕獲された。細胞のおよそ25%が、カバー部から段差までの距離4.0μm、4.2μm、および4.4μmを有する段が出現するカセットの部分で捕獲された。捕獲された細胞の残りは、その間の段に対応するカセットの部分(すなわち、カバー部から段差までの距離5.0μm、4.8μm、および4.6μmを有するカセットの部分)で捕獲された。
この実験で使用された条件下では、捕獲された好中球(一般に細胞直径約9μm〜10μmを有する)が、単球(一般に細胞直径約10〜30マイクロメートルを有する)よりも流体の流動の方向にカセットの分離室に沿ってさらに移動することができることが観察された。単球は分離室の上流側のより近くでより頻繁に保持された。これらの観察は、この応用で記載された装置が、母性血細胞から胎児細胞を分離するためにも、母性血細胞の異なるタイプを分離するためにも使用されることができることを示す。(比較的大きな)単球が(比較的小さな)好中球さよりも分離室の上流部分のより近くでより頻繁に捕獲される傾向があるという観察は、分離室を通過する細胞の能力がサイズに反比例して依存するという主張を支持する。したがって、これらの観察は、結果が血液によって運ばれる細胞以外に外挿されて、細胞が、血液細胞であろうがなかろうが、(および細胞以外の粒子が)本明細書に記載される装置などの装置を使用して、サイズで分離されることができることを予想することができることを示す。
この実施例に記載された実験で行われた別の興味深い観察が、好中球および単球の血液中の相対的出現頻度に関して、好中球に対する単球のカセット内部での優先的保持に関係する。正常な血液試料中の好中球および単球の集団は、一般にそれぞれ50〜70%および2〜8%の範囲内にある。すなわち、正常な血液中では、好中球は1桁以上だけ単球に数で勝る傾向がある。しかし、この実施例に記載された実験では、好中球:単球の比は、(55〜65):(35〜45)により近かった。本明細書に記載された装置を使用して得られる試料中の好中球:単球の比は、正常な血液中で出現する比(およそ50:1)よりもはるかに高い(分離室の上流側で1.03:1、および下流側で1.67:1)。これらの結果は、この応用で記載された装置が、少なくともこの実施例で記載されたように構成されたとき、好中球を捕獲するよりも効果的に単球を捕獲することを示す。
1mlの母性血内部に400万から1、000万までの白血球細胞があると仮定すると、この実施例で記載された実験は、本明細書に記載されるカセットの使用が、胎児細胞を含む潜在的に興味のあるいくつかの細胞の明らかに分離可能なプールを保持しながら、母性血の1.25ml試料から、実質的にすべての赤血球細胞、血小板、および血漿を、ならびに99%を超えるすべての有核白血球細胞を除去したことを実証する。血液の1.25ml試料中に約2.5〜6.25×1016の細胞があると仮定する場合、この実施例で議論された結果は、本明細書に記載される装置の動作により、依然として興味のある細胞を残しながら、カセットが553±316(平均±6からなるNに対する平均の標準誤差)しか捕捉しないので、事実上細胞のすべてがカセットを通過することになることを実証する。特定の細胞分離のこの度合いは注目に値し、分離領域内部での粒子の分離を無視しても、およそ1014倍の精製である。
この実施例に記載された実験の結果は、この実施例に記載されたカセットが、マイクロメートル単位で1次元で画定される狭空間を通って血液の通過を受け入れることができることを実証する。この実施例に記載された装置では、流体圧力、ならびに細胞の完全性を乱し、かつ細胞の「充填」による狭通路を潜在的に詰まらせる可能性がある別の特徴が、使用された血液試料にこれらの効果を引き起こさなかった。血液の凝固も観察されなかった。動作のどんな特定の理論によっても束縛されることなく、この実施例に記載されたカセットが、粒子のサイズまたは直径に依存する分離選択工程を供給しながら、すべての赤血球細胞、血小板、および大部分の白血球細胞の通過を可能にするのに十分な空間を維持するために、カセット内部に適切な距離を置くことを供給すると信じられている。
この実施例に記載された研究は、1.25mlの血液を細胞に最小限の損傷で、凝固することなくカセットを通過させるのに十分な流動条件を画定した。さらに、単一の分離ユニットだけを使用して、1時間未満で血液試料の通過が達成された。この細胞分離時間は、別の細胞分離法を使用して達成可能な時間よりもかなり短く、臨床的および商業的に適切な期間以内に血液細胞の画定された部分集団を引き渡すのに十分である。これらの迅速な方法、および方法を実行するために使用される装置が、出生前胎児診断または別の診断、すなわち治療または研究の応用のために、診断上興味がある細胞集団の収集を可能にする。胎児細胞全体を捕獲する能力は、さらにカセットを通って大多数の別の細胞を通過させることができるようにすると同時に、たとえば遺伝的異常の分析および検出のために完全な胎児の遺伝子試料を供給することができる。これらのデータはまた、装置により捕獲された物質が、分子診断プロトコルで使用するのに適していることを実証する。
この実施例に記載されたカセットおよび方法は、治療法、診断法、および細胞または粒子の試料を分析のために濃縮すること、あるいは分析のための純粋集団を得ることが重要である一般的研究応用のために、細胞および生物学的に興味がある別の粒子の選択のための価値のあるツールを供給する。遺伝学、表現型分析、後成的分析での応用は、そのような分離工程によって利益を得ることができる分野である。
本明細書で引用されたあらゆる特許、特許出願、および刊行物は、これらの開示によりその全体が本明細書に組み込まれるものである。
特定の実施形態を参照して本明細書で発明の要旨を開示してきたが、当業者によりこの発明の他の実施形態および変更が本発明の精神および範囲を逸脱することなくできることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、すべてのそのような実施形態および均等な変更形態を含む。

Claims (66)

  1. 母体血液サンプルから胎児様細胞(fetal−like cells)を分離する方法であって、
    流体に懸濁する母体血液細胞を本体と、カバーと、分離素子とを有する装置の入口領域に導入する工程であって、
    前記本体およびカバーは前記分離素子を含む空所を画定し、当該空所は入口領域と出口領域とを有し、
    前記分離素子は第1の段と第2の段とを有し、かつ流体によって前記入口領域と前記出口領域を接続する階段状通路を画定し、
    前記階段状通路は、前記第1の段と前記本体および前記カバーのうちの少なくとも1つとによって境界が定められた第1の経路と、さらに前記第2の段と前記本体部および前記カバーのうちの少なくとも1つとによって境界が定められた第2の経路とを含み、
    前記第1の経路は、狭寸法を有し、前記第2の経路と前記入口領域を流体接続し、
    前記第2の経路は、前記第1の経路の狭寸法よりさらに狭い狭寸法を有し、前記第2の経路の狭寸法は8〜15マイクロメートルである、前記導入する工程と、
    前記階段状通路において前記入口領域から前記出口領域に向かう流体の流れを誘導する工程とを有し、
    これにより、母体血液細胞は前記第1および第2の経路を超え前記出口領域へと通過しながら、胎児様細胞は前記第2の経路に入ることができないものである
    ことを特徴とする方法。
  2. 請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
    前記胎児様細胞を前記装置から収集する工程を有するものである。
  3. 請求項2記載の方法において、前記胎児様細胞は、前記階段状通路において前記出口領域から前記入口領域の方向へと流体流動を誘導することによって回収され、これによって前記胎児様細胞は前記入口領域へ入ることができるものである。
  4. 請求項2記載の方法において、前記胎児様細胞は、前記胎児様細胞を分離した後に前記第1の経路から流体を収集することによって収集されるものである。
  5. 請求項4記載の方法において、前記胎児様細胞は、前記装置を分解して前記第1の経路から前記胎児様細胞を回収することによって収集されるものである。
  6. 請求項4記載の方法において、前記胎児様細胞は、前記第1の経路内にカテーテルを挿入し、前記カテーテルの内腔から前記胎児様細胞を収集することによって収集されるものである。
  7. 請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
    前記第1の経路内で前記胎児様細胞を溶解し溶解生成物を生成する工程と、前記溶解生成物を含む流体を収集する工程とを有するものである。
  8. 請求項1記載の方法において、前記本体部およびカバーのうちの少なくとも1つが、前記入口領域と流体連通する流体入口ポートを画定し、これによって前記装置の外側と前記入口領域との間の流体流動を促進するものである。
  9. 請求項1記載の方法において、前記本体部およびカバーのうちの少なくとも1つが、前記出口領域と流体連通する流体出口ポートを画定し、これによって前記装置の外側と前記出口領域との間の流体の流れを促進するものである。
  10. 請求項1記載の方法において、前記分離素子は、前記本体および前記カバーのうちの少なくとも1つと一体になっているものである
  11. 請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
    前記第1の経路の狭寸法を保持する支持体を有し、この支持体は前記第1の経路に位置し、前記第1の経路の狭寸法の方向に延出しているものである。
  12. 請求項1記載の方法において、前記支持体は、前記分離素子と一体になっており前記分離素子から延出しているものである。
  13. 請求項1記載の方法において、前記支持体は、前記本体部およびカバーのうちの1つと一体になっておりそこから延出するものである。
  14. 請求項1記載の方法において、この方法は、さらに、
    前記第2の経路の狭寸法を保持する支持体を有し、この支持体は前記第2の経路に位置し、前記第2の経路の狭寸法の方向に延出しているものである。
  15. 請求項1記載の方法において、前記分離素子は、複数の階段状通路を画定し、かつこのうちのそれぞれが、i)前記入口領域と前記出口領域を流体接続させ、ii)前記第1の段によって境界が定められる第1の経路と、第2の段によって境界が定められる第2の経路とを含むものである。
  16. 請求項15記載の方法において、前記階段状通路のうちの1つの第1の経路の狭寸法は、その他の階段状通路のうちの少なくとも1つの前記第1の経路の狭寸法と異なるものである。
  17. 請求項1記載の方法において、前記第1および第2の経路の幾何学的寸法は、前記階段等通路内を流れている流体の直線流速度(linear flow velocities)が、第1および第2の経路において略等しくなるように選択されるものである。
  18. 請求項17記載の方法において、前記階段状通路の全ての部分の幾何学的寸法は、前記階段状通路を流れている直線流速度が、当該階段状通路の全体に亘って略等しくなるように選択されるものである。
  19. 請求項1記載の方法において、前記第1の段および前記第2の段のそれぞれは、直角で交わる前記分離素子の一対の平面によって画定されるものである。
  20. 請求項1記載の方法において、前記第1の段および第2の段の少なくとも1つは、90〜180度の間の角度で交わる前記分離素子の一対の平面によって画定されるものである。
  21. 粒子を分離する装置であって、この装置は本体と、カバーと、分離素子とを有し、
    前記本体およびカバーは、前記分離素子を含む空所を画定し、当該空所は入口領域と出口領域とを有し、
    前記分離素子は、第1の段と第2の段とを有し、かつ前記入口領域と出口領域を流体接続する階段状通路を画定し、
    前記階段状通路は、前記第1の段と、前記本体および前記カバーのうちの少なくとも1つとによって境界が定められた第1の経路と、さらに前記第2の段と、前記本体部および前記カバーのうちの少なくとも1つとによって境界が定められた第2の経路とを含み、
    前記第1の経路は、狭寸法を有し、前記第2の経路と前記入口領域を流体接続し、
    前記第2の経路は、前記第1の経路の狭寸法よりさらに狭い狭寸法を有するものであり、
    これによって、前記入口領域から前記出口領域へ流れる粒子は、前記第1の経路および前記第2の経路のいずれかまたはそれらの両方を通過するこれら粒子の不能性により分離されるものである
    ことを特徴とする装置。
  22. 請求項21記載の装置において、前記第1および第2の経路の狭寸法は、前記入口領域から前記出口領域へ流れる流体が、前記第1の経路を通過するこれら粒子の能力および前記第2の経路を通過するこれら粒子の不能性により分離されるように選択されるものである。
  23. 請求項21記載の装置において、前記本体およびカバーのうちの少なくとも1つが、前記入口領域と流体連通する流体入口ポートを画定し、これによって前記装置の外側と前記入口領域との間の流体の流れを促進するものである。
  24. 請求項21記載の装置において、前記本体およびカバーのうちの少なくとも1つが、前記出口領域と流体連通する流体出口ポートを画定し、これによって前記装置の外側と前記出口領域との間の流体の流れを促進するものである
  25. 請求項1記載の装置において、前記分離素子は、前記本体および前記カバーのうちの少なくとも1つと一体になっているものである。
  26. 請求項21記載の装置において、この方法は、さらに、
    前記第1の経路の狭寸法を保持する支持体を有し、この支持体は前記第1の経路に位置し、前記第1の経路の狭寸法の方向に延出しているものである。
  27. 請求項26記載の装置において、前記支持体は、前記分離素子と一体になっており前記分離素子から延出するものである。
  28. 請求項26記載の装置において、前記支持体は、前記本体部およびカバーのうちの1つと一体になっておりそこから延出するものである。
  29. 請求項21記載の装置において、この方法は、さらに、
    前記第2の経路の狭寸法を保持する支持体を有し、この支持体は前記第2の経路に位置し、前記第2の経路の狭寸法の方向に延出するものである。
  30. 請求項21記載の装置において、前記分離素子は、複数の階段状通路を画定し、かつそこうちのそれぞれが、i)前記入口領域と前記出口領域を流体接続させ、ii)前記第1の段によって境界が定められる第1の経路と、第2の段によって境界が定められる第2の経路とを含むものである。
  31. 請求項30記載の装置において、前記複数の階段状通路のそれぞれの流体経路の長さは略等しいものである。
  32. 請求項30記載の装置において、前記階段状通路のうちの1つの第1の経路の狭寸法は、その他の前記階段状通路のうちの少なくとも1つの第1の経路の狭寸法と異なるものである。
  33. 請求項30記載の装置において、前記階段状通路のうちの1つの第2の経路の狭寸法は、その他の前記階段状通路のうちの少なくとも1つの第2の経路の狭寸法と異なるものである。
  34. 請求項30記載の装置において、前記階段状通路のそれぞれは、前記入口領域と前記第1の経路との間に延長された入口経路を含み、前記入口経路のそれぞれの流体経路の長さは略等しいものである。
  35. 請求項21記載の装置において、前記第1および第2の経路の幾何学的寸法は、前記階段状通路内を流れている流体の直線流速度が、第1および第2の経路において略等しくなるように選択されるものであるものである。
  36. 請求項35記載の装置において、前記第1および第2の経路に通行路が流体接続され、この通行路の幾何学的寸法は、前記階段状通路内を流れている流体の直線流速度が、前記第1の経路および前記通行路において略等しくなるように選択されるものである。
  37. 請求項36記載の装置において、前記通行経路は、略矩形状の経路であって、当該通行経路の幅と高さの積は、前記第1の経路から第2の経路への前記通行経路の全長に亘って略一定である。
  38. 請求項35記載の装置において、前記階段状通路の全ての部分の幾何学的寸法は、前記階段状通路内を流れている流体の直線流速度(linear flow velocities)が、前記階段状通路の全体に亘って略等しくなるよう選択されるものである。
  39. 請求項21記載の装置において、前記第1および第2の経路の幾何学的寸法は、前記第1の経路の流動領域と前記第2の経路の流動領域との割合が、0.5〜2の間になるよう選択されるものである。
  40. 請求項21記載の装置において、前記第1の段および前記第2の段のそれぞれは、直角で交わる前記分離素子の一対の平面によって画定されるものである。
  41. 請求項21記載の装置において、前記第1の段および第2の段は、90〜180度の間の角度で交わる前記分離素子の一対の平面によって画定されるものである。
  42. 請求項21記載の装置において、前記第1の段は、前記分離素子の平面によって画定されるものであり、前記平面の全体にわたって、前記カバーおよび前記本体のうちの1つから前記第1の経路の狭寸法と同等の距離の分だけ離れているものである。
  43. 請求項21記載の装置において、前記第1および第2の経路のそれぞれの流動領域は矩形状である。
  44. 請求項21記載の装置において、前記第1および第2の経路のそれぞれの流動領域は半楕円形(semi−oval)である。
  45. 請求項21記載の装置において、前記分離素子は、前記階段状通路において前記入口領域から前記出口領域へ向かって順に徐々に幅が狭くなる少なくとも3つの階段を画定するものである。
  46. 請求項21記載の装置において、前記第1の経路は、前記本体および前記カバーのうちの1つの平面と略平行な前記分離素子の表面によって境界が定められているものである。
  47. 請求項46記載の装置において、前記分離素子の平面の全長(バルク流体の流れ方向)は、前記第1の経路の狭寸法の少なくとも4倍である。
  48. 請求項46記載の装置において、前記平面の幅(バルク流体の流れに対して垂直方向)は、前記第1の経路の狭寸法の少なくとも1000倍である。
  49. 粒子を分離する方法であって、本体と、カバーと、分離素子とを有する装置の入口領域に流体に懸濁された粒子を導入する工程を有するものであり、
    前記本体およびカバーは前記分離素子を含む空所を画定し、当該空所は入口領域と出口領域とを有し、
    前記分離素子は第1の段と第2の段とを有し、かつ流体によって前記入口領域と前記出口領域を接続する階段状通路を画定し、
    前記階段状通路は、前記第1の段と前記本体部および前記カバーのうちの少なくとも1つとによって境界が定められた第1の経路と、さらに前記第2の段と前記本体部および前記カバーのうちの少なくとも1つとによって境界が定められた第2の経路とを含み、
    前記第1の経路は、狭寸法を有し、前記第2の経路と前記入口領域を流体接続し、
    前記第2の経路は、前記第1の経路の狭寸法よりさらに狭い狭寸法を有するものである、前記導入する工程と、
    前記出口領域において粒子を収集する工程とを有し、
    これにより、前記出口領域の粒子は、前記第2の経路を通過することができなかったその他の粒子から分離されるものである
    ことを特徴とする方法。
  50. 請求項49記載の方法において、前記粒子が前記入口領域に誘導された後、前記入口領域から前記出口領域の方向へ、前記階段状通路において流体の流れが誘導されるものである。
  51. 請求項50記載の方法において、流体の流れは重力によって誘導されるものである。
  52. 請求項49記載の方法において、前記流体は気体である。
  53. 請求項50記載の方法において、流体の流れは、前記入口領域と流体連通する容器中の静水圧によって誘導されるものである。
  54. 請求項50記載の方法において、流体の流れは、前記入口領域および前記出口領域の少なくとも1つと流体連通するポンプによって誘導されるものである。
  55. 請求項54記載の方法において、前記ポンプによって誘導される容積流量(volumetric rate of fluid flow)は、前記入口領域と出口領域の間でポンプ動作中は略一定の圧力降下を維持するよう制御されるものである。
  56. 請求項49記載の方法において、前記粒子は細胞である。
  57. 請求項56記載の方法において、前記細胞が懸濁する前記流体は血液である。
  58. 請求項57記載の方法において、前記血液は母体血液である。
  59. 請求項57記載の方法において、前記血液は、細胞が前記装置内へ導入される前の8時間以内に提供者から入手されたものである。
  60. 請求項56記載の方法において、前記細胞は運動性細胞である。
  61. 狭経路の中を流動する血液サンプルを分析する工程を含む方法であって、この方法は、前記狭経路の中を前記血液サンプルが流動する前の6時間以内に前記血液サンプルが対応する被検者から収集する工程を有するものである。
  62. 請求項61記載の方法において、前記狭経路は、約100マイクロメートル以下である狭寸法を有するものである。
  63. 請求項61記載の方法において、前記狭経路は、約25マイクロメートル以下である狭寸法を有するものである。
  64. 請求項61記載の方法において、前記狭経路は、約10センチメートル以下である狭寸法を有するものである。
  65. 請求項61記載の方法において、前記血液サンプルが、前記狭経路の中を流動する前の2時間以内に対応する前記被検者から前記血液サンプルを収集する工程を有するものである。
  66. 空所と当該空所を覆うカバーとを画定する本体を有する装置の適切な組立てを確立する方法であって、前記装置は、前記本体によって画定された前記カバーと前記空所の壁部の間の距離の変化に対する許容性が低いものであり、前記方法は、
    前記空所を画定する面に対向する平面を有するカバーを組み立てる工程と、
    その後に、前記カバーの平面を放射線で照射する工程と、
    前記カバーによって反射または屈折した放射線の干渉パターンを検査する工程と
    を有し、
    前記干渉パターンは前記カバーにの位置および曲がり具合を示し、かつ前記空所を画定する前記カバーの面と、前記本体よって画定される前記空所の前記壁部との間の距離の変化が適切な許容範囲内であるかどうかの確認を可能にするものである
    ことを特徴とする方法。
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