JP2015213680A - 磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング方法 - Google Patents

磁気共鳴イメージング装置及び磁気共鳴イメージング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 速度強調プリパルスを用いた撮像において、B0不均一及びB1不均一の影響を低減するとともに、信号強度に応じた流速のばらつきを低減する。
【解決手段】 複数のRFパルスと複数の傾斜磁場パルスとから成る速度強調プリパルスと、信号計測シーケンスと、を組み合わせた撮像シーケンスに基づいて、被検体からのエコーデータの計測し、該エコーデータを用いて被検体の画像を再構成する。その際、速度強調プリパルスを構成する少なくとも一つのRFパルスの照射位相を変更して、該少なくとも一つのRFパルスの照射位相が変更された速度強調プリパルス毎に信号計測シーケンスでそれぞれエコーデータを計測し、少なくとも一つのRFパルスの照射位相が変更された速度強調プリパルス毎のエコーデータを用いて画像を再構成することを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、核磁気共鳴現象を利用した磁気共鳴イメージング装置(以下「MRI装置」という)に係わり、特に、血流からの信号を抑制する撮像に関する。
MRI装置は、被検体、特に人体の組織を構成する原子核スピンが発生するNMR信号を計測し、その頭部、腹部、四肢等の形態や機能を2次元的に或いは3次元的に画像化する装置である。撮影においては、NMR信号には、傾斜磁場によって異なる位相エンコードが付与されるとともに周波数エンコードされて、時系列データとして計測される。計測されたNMR信号は、2次元又は3次元フーリエ変換されることにより画像に再構成される。
MRI装置を用いた撮像において、血流信号を抑制する方法としては、ブラックブラッド法と速度強調プリパルスを用いた方法が用いられている。
速度強調プリパルスを用いた方法(例えば、非特許文献1)は、血液スピンの位相分散を誘発する傾斜磁場パルスを印加する方法であり、傾斜磁場の印加タイミングにより、信号計測シーケンス中に印加するパターンと、信号計測シーケンスの前に印加するプリパルスとして用いるパターンに二つに大別される。
プリパルスとして用いるパターン(以下、速度強調プリパルス)は、信号計測シーケンスの撮像条件の変更が不要であり、かつ、様々な撮像方法と組み合わせることが可能であるため、近年使用頻度が高くなってきている。
Wang. J., et al. Proc. ISMRM 2007, 442
一方、速度強調プリパルスは、静磁場不均一(以下、B0不均一)や照射磁場不均一(以下、B1不均一)、および、渦電流の影響を受け易い。また、動脈からの信号を抑制対象とする場合には、エコーデータを収集する心時相により流速が異なるが、速度強調プリパルスでは、流速に応じた信号抑制の変化が大きい。
そこで本発明は、速度強調プリパルスを用いた撮像において、B0不均一及びB1不均一の影響を低減するとともに、信号強度に応じた流速のばらつきを低減することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、複数のRFパルスと複数の傾斜磁場パルスとから成る速度強調プリパルスと、信号計測シーケンスと、を組み合わせた撮像シーケンスに基づいて、被検体からのエコーデータの計測し、該エコーデータを用いて被検体の画像を再構成する。その際、速度強調プリパルスを構成する少なくとも一つのRFパルスの照射位相を変更して、該少なくとも一つのRFパルスの照射位相が変更された速度強調プリパルス毎に信号計測シーケンスでそれぞれエコーデータを計測し、少なくとも一つのRFパルスの照射位相が変更された速度強調プリパルス毎のエコーデータを用いて画像を再構成することを特徴とする。
本発明のMRI装置及び磁気共鳴イメージング方法によれば、速度強調プリパルスを用いた撮像において、B0不均一及びB1不均一の影響を低減できるとともに、信号強度に応じた流速のばらつきを低減することが可能となる。
本発明に係るMRI装置の一実施例の全体構成を示すブロック図 実施例1における第1の速度強調プリパルスのシーケンス図 第1の速度強調プリパルス照射直後の縦磁化の大きさを濃淡で示した図 第2の速度強調プリパルス照射直後の縦磁化の大きさを濃淡で示した図 図3に示した第1の速度強調プリパルスの照射直後の縦磁化と、図4に示した第2の速度強調プリパルスの照射直後の縦磁化と、を加算平均した図 実施例1における演算処理部114の機能ブロック図 実施例1の処理フローを示すフローチャート 撮像条件の入力を受け付けるためのGUIの一例を示す図 実施例2における第3の速度強調プリパルスのシーケンス図。 第3の速度強調プリパルス照射後の縦磁化の大きさを濃淡で示した図 第4の速度強調プリパルス照射後の縦磁化の大きさを濃淡で示した図 図10に示した第3の速度強調プリパルスの照射直後の縦磁化と、図11に示した第4の速度強調プリパルスの照射直後の縦磁化と、を加算平均した図 実施例3における間引き計測されたk空間の一例を示す図 実施例4における交互計測されたk空間の様子を示す図 実施例5における速度強調プリパルス照射後の縦磁化の大きさを濃淡で示した図
以下、添付図面に従って本発明のMRI装置の好ましい実施例について詳説する。なお、発明の実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
最初に、本発明に係るMRI装置を図1に基づいて説明する。図1は、本発明に係るMRI装置の一実施例の全体構成を示すブロック図である。
このMRI装置は、NMR現象を利用して被検体101の断層画像を得るもので、図1に示すように、静磁場発生磁石102と、傾斜磁場コイル103及び傾斜磁場電源109と、RF送信コイル104及びRF送信部110と、RF受信コイル105及び信号処理部107と、計測制御部111と、全体制御部112と、表示・操作部118と、被検体101を搭載する天板を静磁場発生磁石102の内部に出し入れするベッド106と、を備えて構成される。
静磁場発生磁石102は、垂直磁場方式であれば被検体101の体軸と直交する方向に、水平磁場方式であれば体軸方向に、それぞれ均一な静磁場を発生させるもので、被検体101の周りに永久磁石方式、常電導方式あるいは超電導方式の静磁場発生源が配置されている。
傾斜磁場コイル103は、MRI装置の実空間座標系(静止座標系)であるX、Y、Zの3軸方向に巻かれたコイルであり、それぞれの傾斜磁場コイルは、それを駆動する傾斜磁場電源109に接続され電流が供給される。具体的には、各傾斜磁場コイルの傾斜磁場電源109は、それぞれ後述の計測制御部111からの命令に従って駆動されて、それぞれの傾斜磁場コイルに電流を供給する。これにより、X、Y、Zの3軸方向に傾斜磁場Gx、Gy、Gzが発生する。
2次元スライス面の撮像時には、スライス面(撮像断面)に直交する方向にスライス傾斜磁場パルス(Gs)が印加されて被検体101に対するスライス面が設定され、そのスライス面に直交して且つ互いに直交する残りの二つの方向に位相エンコード傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード(リードアウト)傾斜磁場パルス(Gf)が印加されて、NMR信号(エコー信号)にそれぞれの方向の位置情報がエンコードされる。
RF送信コイル104は、被検体101に照射RF磁場パルス(以下、RFパルスと略記する)を照射するコイルであり、RF送信部110に接続され高周波パルス電流が供給される。これにより、被検体101の生体組織を構成する原子のスピンにNMR現象が誘起される。具体的には、RF送信部110が、後述の計測制御部111からの命令に従って駆動されて、高周波パルスを振幅変調し、増幅した後に被検体101に近接して配置されたRF送信コイル104に供給することにより、RFパルスが被検体101に照射される。
RF受信コイル105は、被検体101の生体組織を構成するスピンのNMR現象により放出されるエコー信号を受信するコイルであり、信号処理部107に接続されて受信したエコー信号が信号処理部107に送られる。
信号処理部107は、RF受信コイル105で受信されたエコー信号の検出処理を行う。具体的には、後述の計測制御部111からの命令に従って、信号処理部107が、受信されたエコー信号を増幅し、直交位相検波により直交する二系統の信号に分割し、それぞれを所定数(例えば128、256、512等)サンプリングし、各サンプリング信号をA/D変換してディジタル量に変換する。 従って、エコー信号は所定数のサンプリングデータからなる時系列のデジタルデータ(以下、エコーデータという)として得られる。そして、信号処理部107は、エコーデータに対して各種処理を行い、処理したエコーデータを計測制御部111に送る。
計測制御部111は、被検体101の断層画像の再構成に必要なエコーデータ収集のための種々の命令を、主に、傾斜磁場電源109と、RF送信部110と、信号処理部107に送信してこれらを制御する制御部である。具体的には、計測制御部111は、後述する全体制御部112の制御で動作し、ある所定のシーケンスの制御データに基づいて、傾斜磁場電源109、RF送信部110及び信号処理部107を制御して、被検体101へのRFパルスの照射及び傾斜磁場パルスの印加と、被検体101からのエコー信号の検出と、を繰り返し実行し、被検体101の撮像領域についての画像の再構成に必要なエコーデータの収集を制御する。繰り返しの際には、2次元撮像の場合には位相エンコード傾斜磁場の印加量を、3次元撮像の場合には更にスライスエンコード傾斜磁場の印加量も、変えて行なう。位相エンコードの数は通常1枚の画像あたり128、256、512等の値が選ばれ、スライスエンコードの数は、通常16、32、64等の値が選ばれる。これらの制御により信号処理部107からのエコーデータを全体制御部112に出力する。
全体制御部112は、計測制御部111の制御、及び、各種データ処理と処理結果の表示及び保存等の制御を行うものであって、演算処理部(CPU)114と、メモリ113と、磁気ディスク等の内部記憶部115と、外部ネットワークとのインターフェースを行うネットワークIF116と、を有して成る。また、全体制御部112には、光ディスク等の外部記憶部117が接続されていても良い。具体的には、計測制御部111を制御してエコーデータの収集を実行させ、計測制御部111からのエコーデータが入力されると、演算処理部114がそのエコーデータに印加されたエンコード情報に基づいて、メモリ113内のk空間に相当する領域に記憶させる。
以下、エコーデータをk空間に配置する旨の記載は、エコーデータをメモリ113内のk空間に相当する領域に記憶させることを意味する。また、メモリ113内のk空間に相当する領域に記憶されたエコーデータ群をk空間データともいう。そして演算処理部114は、このk空間データに対して信号処理やフーリエ変換による画像再構成等の処理を実行し、その結果である被検体101の画像を、後述の表示・操作部118に表示させ、内部記憶部115や外部記憶部117に記録させたり、ネットワークIF116を介して外部装置に転送したりする。
表示・操作部118は、再構成された被検体101の画像を表示する表示部と、MRI装置の各種制御情報や上記全体制御部112で行う処理の制御情報を入力するトラックボール又はマウスとキーボード等から成る操作部と、から成る。この操作部は表示部に近接して配置され、操作者が表示部を見ながら操作部を介してインタラクティブにMRI装置の各種処理を制御する。
現在MRI装置の撮像対象核種は、臨床で普及しているものとしては、被検体の主たる構成物質である水素原子核(プロトン)である。プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和時間の空間分布に関する情報を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または、機能を2次元もしくは3次元的に撮像する。
(本発明の構成の概要)
本発明は、複数のRFパルスと複数の傾斜磁場パルスとから成る速度強調プリパルスと、信号計測シーケンスと、を組み合わせた撮像シーケンスを用いて血流信号が抑制された画像を取得する。その際に、速度強調プリパルスを構成する少なくとも一つのRFパルスの照射位相を変更して、該少なくとも一つのRFパルスの照射位相が変更された速度強調プリパルス毎に同じ信号計測シーケンスでそれぞれエコーデータを計測する。そして、計測された各エコーデータを用いて画像を再構成する。このように取得された画像は、B0不均一及びB1不均一の影響と信号強度に応じた流速のばらつきとが共に低減されたものとなる。
ここで、本発明に係る速度強調プリパルスは、照射位相が互いに180°異なる二つ(一対)の90°パルスと、該一対の90°パルスの間に一つ以上の180°パルスと、各180°パルスの前後に一対の傾斜磁場パルスと、を含んで成る。好ましくは、更に最後の90°パルスの後にスポイラー傾斜磁場パルスを含む。そして、一つ以上の180°パルスの内の少なくとも一つの180°パルスの照射位相が互いに異なる複数種の速度強調プリパルスを用いる。
二つ(一対)の90°パルスについては、例えば(90°x)パルスと(90°−x)パルスとすることができる。ここで、(α°β)パルスのαはフリップ角を、βは照射方向(照射位相)を意味する。
なお、信号計測シーケンスは、グラディエントエコー系のシーケンスやスピンエコーエコー系のシーケンスのいずれでも良い。
以下、速度強調プリパルスに含まれる180°パルスの構成や、画像の再構成法が異なる本発明に係る各実施例を説明する。
(実施例1)
本発明のMRI装置及び磁気共鳴イメージング方法の実施例1について説明する。本実施例1の速度強調プリパルスは、照射位相が互いに180°異なる二つ(一対)の90°パルスの間に一つの180°パルスを含んで成る。本実施例1は、この180°パルスの照射位相が互いに180°異なる二つの速度強調プリパルスを用いる。つまり、各速度強調プリパルスを照射して信号計測シーケンスによりそれぞれエコーデータ(k空間データ)を計測する。そして、得られた二つのエコーデータ(k空間データ)を用いて画像を再構成する。
以下、添付図面を用いて本実施例1を詳細に説明する。
最初に、図2、3を用いて、実施例1の速度強調プリパルスの構成、および、B0不均一とB1不均一が速度強調プリパルスの効果に与える影響について説明する。
図2は、実施例1における第1の速度強調プリパルスについてのシーケンス図である。この第1の速度強調プリパルスの構成は以下のとおりである。即ち、
1-1a) (90°x)‐(180°y)‐(90°−x)の順に、同じインターバル時間(τ)を空けて空間非選択で、各RFパルスを照射する。
1-2) (180°y)パルスを間に挟んで、つまり(180°y)パルスの前後に、印加量(時間軸と印加波形とで囲む面積)が同じ一対の傾斜磁場パルス201-1、201-2を印加する。
1-3) (90°‐x)パルス照射後に残留横磁化を除去するためのスポイラー傾斜磁場パルス202を印加する。
図3は、横軸をB0不均一、縦軸をB1不均一とし、第1の速度強調プリパルス照射直後の縦磁化の大きさを濃淡で示した図であり、B0不均一及びB1不均一が第1の速度強調プリパルス照射直後の縦磁化に及ぼす影響を算出した結果である。速度強調プリパルス照射直後の縦磁化の大きさが次の信号計測シーケンスで計測されるエコーデータの信号強度に反映されるので、このように速度強調プリパルス照射直後の縦磁化を算出することで、B0不均一及びB1不均一が速度強調プリパルスの効果に及ぼす影響を知ることができる。
ここで、B0不均一は、励起周波数に対するオフセット周波数として算出し、−500〜500Hzの範囲とした。また、B1不均一は、フリップ角に対する比率として算出し、0から2の範囲とした。速度強調プリパルスで抑制するターゲットの流速は10cm/sとし、流速が0cm/s、5cm/s、10cm/sの3つの流速について、B0不均一及びB1不均一に対する縦磁化の大きさの変化から、これら二つが第1の速度強調プリパルス照射直後の縦磁化に及ぼす影響を算出した。数値計算に用いたパラメータは、τ=5ms、T1=1200ms、T2=250msである。なお、RFパルス照射中のB0不均一の影響は無視している。
図3によれば、τの間で2π回転するスピンは同様の振る舞いをするため、B0不均一が縦磁化に及ぼす影響については1/τの周期性があり、今回のパラメータでは200Hzの周期であることが分かる。また、501のような局所的に縦磁化が反転してしまう低信号領域が存在することが分かる。この領域の中心値は、B0不均一が(-1/4τ+1/τ×n)Hz(nは任意の整数)、B1不均一が1.5倍の点である。
以下、第1の速度強調プリパルスと信号計測シーケンスとから成る撮像シーケンスを第1の撮像シーケンスという。
次に、実施例1における第2の速度強調プリパルスの構成について説明する。この第2の速度強調プリパルスは、上記第1の速度強調プリパルスにおける特徴1-1a)において、(180°y)パルスの照射位相を180°反転したものであり、
1-1b) (90°x)‐(180°-y)‐(90°−x)の順に、同じインターバル時間(τ)を空けて空間非選択で、各RFパルスを照射する。
とし、180°パルス以外のRFパルスと傾斜磁場については、図2に示した上記第1の速度強調プリパルスにおける特徴1-2)及び1-3)と同じとしたものである。
図4は、B0不均一及びB1不均一が第2の速度強調プリパルス照射直後の縦磁化に及ぼす影響を算出した結果である。図4より、0cm/s、5cm/sでの低信号領域は、図3に示した第1の速度強調プリパルスの場合と比較して、B0不均一の軸方向に半周期だけ平行移動した位置に存在していることが分かる。
以下、第2の速度強調プリパルスと信号計測シーケンスとから成る撮像シーケンスを第2の撮像シーケンスという。
図5は、図3に示した第1の速度強調プリパルスの照射直後の縦磁化と、図4に示した第2の速度強調プリパルスの照射直後の縦磁化と、を加算平均した図である。両者は互いにB0不均一の軸方向に半周期ずれているため、加算平均することで、局所的な信号低下を抑制することができる。実際、図3および図4での低信号領域における中心部の信号強度の最大値と最小値の差は2であるが、図5では1となり、半分に抑制されている。
上記により、第1の速度強調プリパルスを照射して計測した第1のエコーデータ(第1のk空間データ)と、第2の速度強調プリパルスを照射して計測した第2のエコーデータ(第2のk空間データ)とを用いることにより、速度強調プリパルスを用いた撮像において、B0不均一及びB1不均一からの影響を低減した状態で血流信号が抑制された画像を取得できることになる。例えば、第1のエコーデータ(第1のk空間データ)と第2のエコーデータ(第2のk空間データ)とを複素加算してもよいし、或いは、第1のエコーデータ(第1のk空間データ)にフーリエ変換を施して得た画像と、第2のエコーデータ(第2のk空間データ)にフーリエ変換を施して得た画像と、の複素加算でも良い。
次に、上記実施例1の速度強調プリパルスを信号計測シーケンスの前に照射する撮像シーケンスを用いた撮像を行うための演算処理部114の各機能を図6に、これらの各機能が連携して行う実施例1の処理フローを図7にそれぞれ示す。本実施例1の演算処理部114は、撮像条件設定部601と、撮像シーケンス生成部602と、速度強調演算処理部603とを有してなる。これらの各機能部が行う処理の詳細は、以下に説明する本実施例1の処理フローの説明で明らかにする。なお、本処理フローは、プログラムとして内部記憶部115に予め記憶されており、演算処理部114がそのプログラムを内部記憶部115から読み込んで実行することにより実施される。
ステップ701で、撮像条件設定部601は、操作者による撮像条件の設定を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示・操作部118の表示部に表示し、操作部を介して、操作者からの撮像条件の入力を受け付け、撮像条件として設定する。撮像条件としては、血流速度、インターバル時間(τ)を含む。或いは、撮像部位毎に血流速度とインターバル時間(τ)とを含む撮像条件を予め内部記憶部115に記憶しておき、操作者により設定入力された撮像部位に応じて、撮像条件設定部601が内部記憶部115に記憶された血流速度とインターバル時間(τ)とを含む撮像条件を読み込んで設定してもよい。図8(a)に血流速度、インターバル時間(τ)及び撮像部位を含む撮像条件の入力を受け付けるためのGUIの一例を示す。
ステップ702で、撮像シーケンス生成部602は、ステップ701で設定された撮像条件に基づいて、第1の速度強調プリパルスと信号計測シーケンスとから成る第1の撮像シーケンスと、第2の速度強調プリパルスと信号計測シーケンスとから成る第2の撮像シーケンスの制御データを生成し、生成した制御データを計測制御部111に通知する。
ステップ703で、計測制御部111は、ステップ702で通知された二つの撮像シーケンスの制御データに基づいて、それぞれ撮像を行い、エコーデータを計測する。具体的には、第1の撮像シーケンスを実行して第1のk空間データを計測し、第2の撮像シーケンスを実行して第2のk空間データを計測する。
ステップ704で、速度強調演算処理部603は、ステップ703で計測された第1のk空間データと第2のk空間データとを複素加算し、複素加算後のk空間データに対してフーリエ変換を施して画像データに変換する。或いは、第1のk空間データと第2のk空間データとに対してそれぞれフーリエ変換を施して画像データに変換した後に該二つの画像データを複素加算してもよい。そして、表示・操作部118の表示部に画像データを画像として表示する。このようにして得られた画像においては、血流信号が抑制されたものとなる。
以上までが本実施例1の処理フローである。
以上説明したように、本実施例1のMRI装置及び磁気共鳴イメージング方法は、一つの180°パルスを含み、該一つの180°パルスの照射位相が互いに180°異なる二つの速度強調プリパルスを用いてそれぞれエコーデータ(k空間データ)を計測する。そして、得られた二つのエコーデータ(k空間データ)を複素加算して画像を再構成する。これにより、速度強調プリパルスを用いた撮像において、B0不均一及びB1不均一の影響と信号強度に応じた流速のばらつきとが共に低減された状態で、血流信号が抑制された画像を取得できる。
(実施例2)
次に、本発明のMRI装置及び磁気共鳴イメージング方法の実施例2について説明する。本実施例2の速度強調プリパルスは、照射位相が互いに180°異なる二つ(一対)の90°パルスの間に二つの180°パルスを含んで成る。本実施例2は、この二つの180°パルスの照射位相が互いに異なる二つの速度強調プリパルスを用いる。つまり、各速度強調プリパルスを照射して信号計測シーケンスによりそれぞれエコーデータ(k空間データ)を計測する。そして、得られた二つのエコーデータ(k空間データ)を複素加算して画像を再構成する。
以下、添付図面を用いて本実施例2を詳細に説明する。
最初に、図9〜12を用いて、実施例2の速度強調プリパルスを説明する。実施例2では、照射位相が互いに180°異なる二つ(一対)の90°パルスの間に二つの180°パルスを照射する速度強調プリパルスを用いる。例えば、(90°x)‐(180°y)‐(180°-y)‐(90°−x)の順でRFパルスを照射する第3の速度強調プリパルスと、(90°x)‐(180°x)‐(180°x)‐(90°−x)の順でRFパルスを照射する第4の速度強調プリパルスとを用いることができる。
図9は、実施例2における第3の速度強調プリパルスについてのシーケンス図である。この第3の速度強調プリパルスの構成は以下のとおりである。即ち、
2-1a) (90°x)‐(180°y)‐(180°-y)‐(90°−x)の順に、同じインターバル時間(τ)を空けて空間非選択で、各RFパルスを照射する。
2-2) 各180°パルスを間に挟んで、つまり各180°パルスの前後に、印加量の絶対値が同じで極性が異なる一対の傾斜磁場パルス{(901-1と901-2)及び(902-1と902-2)}を印加する。さらに、二つの180°パルスの間では、極性の異なる二つの傾斜磁場パルスが連続するバイポーラパルスとする。
2-3) (90°‐x)パルス照射後に残留横磁化を除去するためのスポイラー傾斜磁場パルス(903)を印加する。
つまり、第3の速度強調プリパルスは、前述の第1の速度強調プリパルスに、(180°-y)パルスとその両側に傾斜磁場パルスとを追加したものである。
図10は、横軸にB0不均一、縦軸にB1不均一とし、第3の速度強調プリパルス照射後の縦磁化の大きさを濃淡で示した図であり、B0不均一及びB1不均一が第3の速度強調プリパルス照射直後の縦磁化に及ぼす影響を算出した結果である。B0不均一とB1不均一の各表示範囲と3つの流速についても図3と同じである。また、数値計算に用いたパラメータの値は、図2で示した第1の速度強調プリパルスの場合と同様である。
以下、第3の速度強調プリパルスと信号計測シーケンスとから成る撮像シーケンスを第3の撮像シーケンスという。
次に、実施例2における第4の速度強調プリパルスについて説明する。この第4の速度強調プリパルスは、上記第3の速度強調プリパルスにおける特徴2-1a)において、180°パルスの照射位相をxとして、
2-2a) (90°x)‐(180°x)‐(180°x)‐(90°−x)の順に、同じインターバル時間(τ)を空けて空間非選択で、各RFパルスを照射する。
なお、180°パルス以外のRFパルスと傾斜磁場については、上記第3の速度強調プリパルスにおける特徴2-2)及び2-3)と同じである。
図11は、B0不均一及びB1不均一が第4の速度強調プリパルス照射直後の縦磁化に及ぼす影響を算出した結果である。図11より、0cm/s、5cm/sでの低信号領域は、図10と比較して、B0不均一方向に半周期だけ平行移動した位置に存在していることが分かる。
図12は、図10に示した第3の速度強調プリパルスの照射直後の縦磁化と、図11に示した第4の速度強調プリパルスの照射直後の縦磁化と、を加算平均した図である。両者は互いにB0不均一の軸方向に半周期ずれているため、加算平均することで、局所的な信号低下を抑制することができる。実際、図10及び図11での低信号領域における中心部の信号強度の最大値と最小値の差は2であるが、図11では1となり、半分に抑制されている。
以下、第4の速度強調プリパルスと信号計測シーケンスとから成る撮像シーケンスを第4の撮像シーケンスという。
上記により、第3の速度強調プリパルスを照射して計測した第3のエコーデータ(第3のk空間データ)と、第4の速度強調プリパルスを照射して計測した第4のエコーデータ(第4のk空間データ)とを用いても、速度強調プリパルスを用いた撮像において、B0不均一及びB1不均一からの影響を低減した状態で血流信号が抑制された画像を取得できることになる。
例えば、第3のエコーデータ(第3のk空間データ)と第4のエコーデータ(第4のk空間データ)とを複素加算してもよいし、或いは、第3のエコーデータ(第3のk空間データ)にフーリエ変換を施して得た画像と、第4のエコーデータ(第4のk空間データ)にフーリエ変換を施して得た画像と、の複素加算でも良い。
なお、上記実施例2の速度強調プリパルスを信号計測シーケンスの前に照射する撮像シーケンスを用いた撮像を行うための演算処理部114の各機能と、これらの各機能が連携して行う実施例2の処理フローは、それぞれ前述の実施例1の説明で示した図6と図7と同様であり、速度強調プリパルスの構成のみが異なるので、詳細な説明は省略する。
以上説明したように、本実施例2のMRI装置及び磁気共鳴イメージング方法は、二つの180°パルスを含み、該二つの180°パルスの照射位相が互いに異なる二つの速度強調プリパルスを用いてそれぞれエコーデータ(k空間データ)を計測する。そして、得られた二つのエコーデータ(k空間データ)を複素加算して画像を再構成する。このような構成でも、これらの速度強調プリパルスを用いた撮像において、B0不均一及びB1不均一の影響と信号強度に応じた流速のばらつきとが共に低減された状態で、血流信号が抑制された画像を取得できる。
(実施例3)
次に、本発明のMRI装置及び磁気共鳴イメージング方法の実施例3について説明する。前述の実施例1及び実施例2では、180°パルスの照射位相を変更して2回撮像する必要があるため、撮像時間が2倍に延長することになる。そこで、本実施例3は、前述の実施例1又は実施例2のエコーデータの計測においてマルチプルコイルを用いたパラレルイメージング法(SENSE法、SMASH法、又はこれらの派生方法)を適用することにより、SNRを保ったまま撮像時間を延長することなく、B0不均一及びB1不均一の影響を低減する。以下、添付図面を用いて本実施例3を詳細に説明する。
最初に、図13を用いて、実施例3のパラレルイメージング法を適用した処理を説明する。図13は、実施例3における間引き計測されたk空間の一例を示す。実施例3の処理は、以下のとおりである。即ち、
3-1) 第1の速度強調プリパルス(又は第3の速度強調プリパルス)を用いて、図13(a)に示すように、位相エンコード方向(以下、ky方向)に間引いてk空間の略半分のエコーデータを計測する。
3-2) 第2の速度強調プリパルス(又は第4の速度強調プリパルス)を用いて、図13(b)に示すように、3-1)と同じ間引き方でky方向に間引いたk空間のエコーデータを計測する。
3-3) 3-1)で計測した間引きk空間データと3-2)で計測した同じ間引き方の間引きk空間データとを複素加算し、パラレルイメージング法に基づいて複素加算した間引きk空間データから画像を再構成する。
各速度強調プリパルスで計測するエコーデータは、パラレルイメージング2倍速に対応するので、再構成画像のSNRは、1/2にエコーデータの計測を間引くことによる1/√2の低減と、複素加算することにより√2倍の増加とが相殺することになる。その結果、再構成画像のSNRについては、間引き計測の無い通常計測と同等になる。また、撮像時間については、パラレルイメージング法による1/2の低減と、2回計測することによる2倍の増加とが相殺し、合計の撮像時間は通常計測と同等になる。
上記実施例3の速度強調プリパルスを信号計測シーケンスの前に照射する撮像シーケンスを用いてパラレルイメージング法を適用した撮像を行うための演算処理部114の各機能と、これらの各機能が連携して行う実施例3の処理フローは、それぞれ前述の実施例1の説明で示した図6と図7と同様であるが、各機能の処理及び各ステップの処理内容が異なる。詳細は以下のとおりである。ここで、”-3”の表示は実施例3の処理内容であることを表す。
ステップ701-3で、撮像条件設定部601は、操作者による撮像条件の設定を受け付けるためのGUIを表示・操作部118の表示部に表示し、操作者による撮像条件の入力を受け付け、撮像条件として設定する。ここで、撮像条件としては、血流速度、インターバル時間(τ)の他に撮像法としてパラレルイメージング法の適用の選択を含み、図8(b)にこれらの撮像条件の入力を受け付けるためのGUIの一例を示す。ここでは、パラレルイメージング法の適用が選択されたものとする。
ステップ702-3で、撮像シーケンス生成部602は、ステップ701-3で設定された撮像条件に基づいて、第1の撮像シーケンス(又は第3の撮像シーケンス)と、第2の撮像シーケンス(又は第4の撮像シーケンス)と、でそれぞれパラレルイメージング法を適用する撮像の制御データを生成し、生成した制御データを計測制御部111に通知する。
ステップ703-3で、計測制御部111は、ステップ702-3で通知された撮像の制御データに基づいて撮像を行い、それぞれky方向に間引かれたk空間データを計測する。具体的には、第1の撮像シーケンス(又は第3の撮像シーケンス)を実行してky方向に間引かれた第1のk空間データ(又はky方向に間引かれた第3のk空間データ)を計測し、第2の撮像シーケンス(又は第4の撮像シーケンス)を実行してky方向に間引かれた第2のk空間データ(又はky方向に間引かれた第4のk空間データ)を計測する。
ステップ704-3で、速度強調演算処理部603は、ステップ703-3で計測された、ky方向に間引かれた第1のk空間データ(又はky方向に間引かれた第3のk空間データ)とky方向に間引かれた第2のk空間データ(又はky方向に間引かれた第4のk空間データ)とを複素加算し、複素加算後のk空間データに対してパラレルイメージング法を適用して画像データに変換する。或いは、ky方向に間引かれた第1のk空間データ(又はky方向に間引かれた第3のk空間データ)と、ky方向に間引かれた第2のk空間データ(又はky方向に間引かれた第4のk空間データ)とに対してそれぞれパラレルイメージング法を適用して画像データに変換した後に該二つの画像データを複素加算してもよい。そして、表示・操作部118の表示部に画像データを画像として表示する。このようにして得られた画像においては、血流信号が抑制されたものとなる。
以上までが本実施例3の処理フローである。
以上説明したように、本実施例3のMRI装置及び磁気共鳴イメージング方法は、前述の実施例1又は実施例2の撮像においてパラレルイメージング法を適用する。これにより、SNRを保ったまま撮像時間を延長することなく、B0不均一及びB1不均一の影響と信号強度に応じた流速のばらつきとが共に低減された状態で、血流信号が抑制された画像を取得できる。
(実施例4)
次に、本発明のMRI装置及び磁気共鳴イメージング方法の実施例4について説明する。本実施例4は、少なくとも一つの180°パルスの照射位相が互いに異なる複数種の速度強調プリパルスを用いたエコーデータの計測を、エンコード量(位相エンコード及び/又はスライスエンコード)を変えて交互に行う(以下、交互計測法という)。換言すれば、本実施例4は、エンコード順や、速度強調パルスから本撮像までの時間が空いてしまうなどの理由で、本撮像時に速度強調パルスによる抑制効果が低下している場合において、交互に取得するデータの差異が小さくなることを利用して、SNRを保ったまま撮像時間が延長することなく、B0不均一及びB1不均一の影響を低減する。
以下、前述の実施例1,2で説明した各速度強調プリパルスを用いる場合の本実施例4を詳細に説明する。
最初に、図14を用いて、実施例4における速度強調プリパルスの照射順序と位相エンコードとの関係を説明する。図14は、実施例4における交互計測されたk空間の様子を示す。実施例4では、
4-1a) 第1の速度強調プリパルス(又は第3の速度強調プリパルス)を照射して、奇数位相エンコードのエコーデータを計測し、該奇数位相エンコードに対応するk空間のky方向の奇数行目に計測したエコーデータを充填する。
4-2a) 第2の速度強調プリパルス(又は第4の速度強調プリパルス)を照射して、偶数位相エンコードのエコーデータを計測し、該偶数位相エンコードに対応するk空間のky方向の偶数行目に計測したエコーデータを充填する。
そして、上記4-1a)と4-2a)とを交互に繰り返して全位相エンコードのエコーデータを計測する。或いは、4-1a)を全ての奇数位相エンコードで繰り返した後に、4-2a)を全ての偶数位相エンコードで繰り返しても良い。なお、4-1a)と4-2a)とはどちらが先でも良い。
4-3) 4-1a)で計測したエコーデータと4-2a)で計測したエコーデータとからなるk空間データにフーリエ変換を施して画像を再構成する。
或いは、
4-1b) 第1の速度強調プリパルス(又は第3の速度強調プリパルス)を照射して、偶数位相エンコードのエコーデータを計測し、該偶数数位相エンコードに対応するk空間のky方向の偶数行目に計測したエコーデータを充填する。
4-2b) 第2の速度強調プリパルス(又は第4の速度強調プリパルス)を照射して、奇数位相エンコードのエコーデータを計測し、該奇数位相エンコードに対応するk空間のky方向の奇数行目に計測したエコーデータを充填する。
そして、上記4-1b)と4-2b)とを交互に繰り返して全位相エンコードのエコーデータを計測する。或いは、4-1b)を全ての偶数位相エンコードで繰り返した後に、4-2b)を全ての奇数位相エンコードで繰り返しても良い。なお、4-1b)と4-2b)とはどちらが先でも良い。
4-3) そして、4-1b)で計測したエコーデータと4-2b)で計測したエコーデータとからなるk空間データにフーリエ変換を施して画像を再構成する。
としても良い。
以上の様にして、実施例4では、第1の速度強調プリパルス(又は第3の速度強調プリパルス)を照射して行うエコーデータの計測と、第2の速度強調プリパルス(又は第4の速度強調プリパルス)を照射して行うエコーデータの計測と、とを交互に行う。なお、3次元計測の場合には、スライスエンコード方向(kz方向)についても、上記位相エンコード方向(ky方向)と同様に行うことができる。
上記実施例4の速度強調プリパルスを信号計測シーケンスの前に照射する撮像シーケンスを用いて撮像を行うための演算処理部114の各機能と、これらの各機能が連携して行う実施例3の処理フローは、それぞれ前述の実施例1の説明で示した図6と図7と同様であるが、各機能の処理及び各ステップの処理内容が異なる。4-1a)と4-2a)とを実行する場合の詳細は以下のとおりである。4-1b)と4-2b)とを実行する場合も同様である。ここで、”-4”の表示は実施例3の処理内容であることを表す。
ステップ701-4で、撮像条件設定部601は、操作者による撮像条件の設定を受け付けるためのGUIを表示・操作部118の表示部に表示し、操作者による撮像条件の入力を受け付け、撮像条件として設定する。ここで、撮像条件としては、血流速度、インターバル時間(τ)の他に撮像法として実施例4の交互計測法の適用の選択を含み、図8(c)にこれらの撮像条件の入力を受け付けるためのGUIの一例を示す。ここでは、交互計測法の適用が選択されたものとする。
ステップ702-4で、撮像シーケンス生成部602は、ステップ701-4で設定された撮像条件に基づいて、第1の撮像シーケンス(又は第3の撮像シーケンス)と、第2の撮像シーケンス(又は第4の撮像シーケンス)と、を交互に実行する撮像の制御データを生成し、生成した制御データを計測制御部111に通知する。
ステップ703-4で、計測制御部111は、ステップ702-4で通知された撮像シーケンスの制御データに基づいて撮像を行う。具体的には、第1の撮像シーケンス(又は第3の撮像シーケンス)を実行して奇数位相エンコードのエコーデータを計測し、第2の撮像シーケンス(又は第4の撮像シーケンス)を実行して偶数位相エンコードのエコーデータを計測する。
ステップ704-4で、速度強調演算処理部603は、ステップ703-4で計測された奇数位相エンコードのエコーデータと、偶数位相エンコードのエコーデータとから成るk空間データに対してフーリエ変換を適用して画像データに変換する。そして、表示・操作部118の表示部に画像データを画像として表示する。このようにして得られた画像においては、血流信号が抑制されたものとなる。
以上までが本実施例4の処理フローである。
以上説明したように、本実施例4のMRI装置及び磁気共鳴イメージング方法は、第1の速度強調プリパルス(又は第3の速度強調プリパルス)を照射して行うエコーデータの計測と、第2の速度強調プリパルス(又は第4の速度強調プリパルス)を照射して行うエコーデータの計測と、とを交互に行う。これにより、SNRを保ったまま撮像時間を延長することなく、B0不均一及びB1不均一の影響と信号強度に応じた流速のばらつきとが共に低減された状態で、血流信号が抑制された画像を取得できる。
(実施例5)
次に、本発明のMRI装置及び磁気共鳴イメージング方法の実施例5について説明する。本実施例5は、少なくとも一つの180°パルスの照射位相が互いに異なる複数種の速度強調プリパルスを用いて取得された各画像の同じ画素の画素値の大きい方の値を、最終画像における同じ画素の画素値とする(以下、最大信号法という)。以下、前述の実施例1,2で説明した各速度強調プリパルスを用いて取得される2つの画像の場合の本実施例5を詳細に説明する。
前述の実施例1,2では、第1の速度強調プリパルス(又は第3の速度強調プリパルス)を照射して得たエコーデータと、第2の速度強調プリパルス(又は第4の速度強調プリパルス)を照射して得たエコーデータと、の加算処理により、B0不均一及びB1不均一が速度強調プリパルス照射直後の縦磁化に及ぼす変動を抑制することができたが、変動を完全に抑制できてはいない。そこで、実施例5では、第1の速度強調プリパルス(又は第3の速度強調プリパルス)を照射して取得した第1の画像と、第2の速度強調プリパルス(又は第4の速度強調プリパルス)を照射して取得した第2の画像と、に基づいて、二つの画像の同じ画素の画素値の大きい方の値を、最終画像における同じ画素の画素値とする。これにより、B0不均一及びB1不均一が速度強調プリパルス照射直後の縦磁化に及ぼす変動を更に抑制する。
最初に、実施例5の構成を説明する。実施例5の構成は以下のとおりである。即ち、
5-1) 第1の速度強調プリパルス(又は第3の速度強調プリパルス)を照射してエコーデータを計測し、該エコーデータを用いて第1の画像を取得する。
5-2) 第2の速度強調プリパルス(又は第4の速度強調プリパルス)を照射してエコーデータを計測し、該エコーデータを用いて第2の画像を取得する。
5-3) 第1の画像と第2の画像とで、同じ画素の画素値の大きい方の値を、最終画像における同じ画素の画素値とする。つまり、画素(x,y)における第1の画像と第2の画像の画素値をそれぞれX1(x,y)、X2(x,y)とすると、X1(x,y)とX2(x,y)の大きい方の値を最終画像における画素(x,y)の画素値とする。
図15は、横軸にB0不均一、縦軸にB1不均一とし、第1の速度強調プリパルス(又は第3の速度強調プリパルス)照射後の縦磁化の大きさと、第2の速度強調プリパルス(又は第4の速度強調プリパルス)照射後の縦磁化の大きさとで、大きい方の値を濃淡で示した図であり、0、5cm/s、10cm/sの3つの流速について示した図である。B0不均一とB1不均一の範囲は図3の場合と同じである。図15では、前述の実施例1の結果を示す図5や前述の実施例2の結果を示す図12と比較して、B0不均一及びB1不均一が速度強調プリパルス照射直後の縦磁化に及ぼす変動が更に抑制されており、B0不均一及びB1不均一に対する速度強調プリパルス照射直後の縦磁化の均一性が向上していることがわかる。
上記実施例5の速度強調プリパルスを信号計測シーケンスの前に照射する撮像シーケンスを用いて撮像を行うための演算処理部114の各機能と、これらの各機能が連携して行う実施例3の処理フローは、それぞれ前述の実施例1の説明で示した図6と図7と同様であるが、各機能の処理及び各ステップの処理内容が異なる。以下、各ステップの処理の詳細を説明する。ここで、”-5”の表示は実施例5の処理内容であることを表す。
ステップ701-5で、撮像条件設定部601は、操作者による撮像条件の設定を受け付けるためのGUIを表示・操作部118の表示部に表示し、操作者による撮像条件の入力を受け付け、撮像条件として設定する。ここで、撮像条件としては、血流速度、インターバル時間(τ)の他に撮像法として実施例5の最大信号法の適用の選択を含み、図8(d)にこれらの撮像条件の入力を受け付けるためのGUIの一例を示す。ここで、最大信号法の適用が選択されたものとする。
ステップ702-5で、撮像シーケンス生成部602は、ステップ701-5で設定された撮像条件に基づいて、第1の撮像シーケンス(又は第3の撮像シーケンス)と、第2の撮像シーケンス(又は第4の撮像シーケンス)との制御データをそれぞれ生成し、生成した制御データを計測制御部111に通知する。
ステップ703-5で、計測制御部111は、ステップ702-5で通知された各撮像シーケンスの制御データに基づいて撮像を行う。具体的には、第1の速度強調プリパルス(又は第3の速度強調プリパルス)を照射して第1のエコーデータを計測し、第2の速度強調プリパルス(又は第4の速度強調プリパルス)を照射して第2のエコーデータを計測する。
ステップ704-5で、速度強調演算処理部603は、ステップ703-5で計測された第1のエコーデータを用いて第1の画像を再構成し、第2のエコーデータを用いて第2の画像を再構成する。そして、第1の画像と第2の画像とで、同じ画素の画素値の大きい方の値を、最終画像における同じ画素の画素値とする。最後に、表示・操作部118の表示部に最終画像を表示する。このようにして得られた画像においては、血流信号が抑制されたものとなる。
以上までが本実施例5の処理フローである。
以上説明したように、本実施例5のMRI装置及び磁気共鳴イメージング方法は、第1の速度強調プリパルス(又は第3の速度強調プリパルス)を照射して取得した第1の画像と、第2の速度強調プリパルス(又は第4の速度強調プリパルス)を照射して取得した第2の画像と、を用いて、二つの画像の同じ画素の画素値の大きい方の値を、最終画像における同じ画素の画素値とする。これにより、B0不均一及びB1不均一が速度強調プリパルス照射直後の縦磁化に及ぼす変動を更に抑制した画像を取得することができる。その結果、B0不均一及びB1不均一の影響と信号強度に応じた流速のばらつきとが共に低減された状態で、血流信号が抑制された画像を取得できる。
101 被検体、102 静磁場発生磁石、103 傾斜磁場コイル、104 送信RFコイル、105 RF受信コイル、106 寝台、107 信号処理部、108 全体制御部、109 傾斜磁場電源、110 RF送信部、111 計測制御部、113 メモリ、114 演算処理部(CPU)、115 内部記憶部、116 ネットワークIF、117 外部記憶部、118 表示・操作部

Claims (10)

  1. 複数のRFパルスと複数の傾斜磁場パルスとから成る速度強調プリパルスと、信号計測シーケンスと、を組み合わせた撮像シーケンスに基づいて、被検体からのエコーデータの計測を制御する計測制御部と、
    前記エコーデータを用いて、前記被検体の画像を再構成する演算処理部と、
    を備え、
    前記計測制御部は、前記速度強調プリパルスを構成する少なくとも一つのRFパルスの照射位相を変更して、該少なくとも一つのRFパルスの照射位相が変更された速度強調プリパルス毎に前記信号計測シーケンスでそれぞれエコーデータの計測を制御し、
    前記演算処理部は、前記少なくとも一つのRFパルスの照射位相が変更された速度強調プリパルス毎のエコーデータを用いて画像を再構成する
    ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  2. 請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記速度強調プリパルスは、照射位相が互いに180°異なる二つ(一対)の90°パルスの間に一つ以上の180°パルスと、各180°パルスの前後に一対の傾斜磁場パルスと、を含んで成り、
    前記照射位相が変更されるRFパルスは、前記一つ以上の180°パルスの内の少なくとも一つの180°パルスであることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  3. 請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記計測制御部は、一つの180°パルスと、該180°パルスの前後で印加量が同じ傾斜磁場パルスと、を含み、該180°パルスの照射位相が互いに180°異なる第1の速度強調プリパルスと第2の速度強調プリパルスとを用いて、それぞれエコーデータの計測を制御し、
    前記演算処理部は、前記各エコーデータ又は前記各エコーデータから得られる各画像を複素加算することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  4. 請求項3記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記第1の速度強調プリパルスは、(90°x)‐(180°y)‐(90°−x)の順に各RFパルスを印加するものであり、
    前記第2の速度強調プリパルスは、(90°x)‐(180°−y)‐(90°−x)の順に各RFパルスを印加するものであることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  5. 請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記計測制御部は、二つの180°パルスと、各180°パルスの前後に印加量の絶対値が同じで極性が異なる一対の傾斜磁場パルスと、を含み、該180°パルスの照射位相が互いに180°異なる第3の速度強調プリパルスと第4の速度強調プリパルスとを用いて、それぞれエコーデータの計測を制御し、
    前記演算処理部は、前記各エコーデータ又は前記各エコーデータから得られる各画像を複素加算することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  6. 請求項5記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記第3の速度強調プリパルスは、(90°x)‐(180°y)‐(180°−y)‐(90°−x)の順に各RFパルスを印加するものであり、
    前記第4の速度強調プリパルスは、(90°x)‐(180°x)‐(180°x)‐(90°−x)の順に各RFパルスを印加するものであることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  7. 請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記計測制御部は、k空間の位相エンコード方向(ky方向)に間引いて、前記エコーデータの計測を制御し、
    前記演算処理部は、パラレルイメージング法に基づいて前記速度強調プリパルス毎のエコーデータを用いて画像を再構成することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  8. 請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記計測制御部は、前記少なくとも一つの180°パルスの照射位相が互いに異なる複数種の速度強調プリパルスを用いたエコーデータの計測を、エンコード量を変えて交互に行うことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  9. 請求項2記載の磁気共鳴イメージング装置において、
    前記演算処理部は、少なくとも一つの180°パルスの照射位相が互いに異なる複数種の速度強調プリパルスを用いて取得された各画像の同じ画素の画素値の大きい方の値を、最終画像における同じ画素の画素値とすることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
  10. 複数のRFパルスと複数の傾斜磁場パルスとから成る速度強調プリパルスと、信号計測シーケンスと、を組み合わせた撮像シーケンスに基づいて、被検体からのエコーデータの計測し、該エコーデータを用いて前記被検体の画像を再構成する磁気共鳴イメージング装置における磁気共鳴イメージング方法であって、
    前記速度強調プリパルスを構成する少なくとも一つのRFパルスの照射位相を変更して、該少なくとも一つのRFパルスの照射位相が変更された速度強調プリパルス毎に前記信号計測シーケンスでそれぞれエコーデータを計測するステップと、
    前記少なくとも一つのRFパルスの照射位相が変更された速度強調プリパルス毎のエコーデータを用いて画像を再構成するステップと、
    を有して成ることを特徴とする磁気共鳴イメージング方法。
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