JP2015212466A - 温度ひび割れ抑制システム、及び温度ひび割れ抑制方法 - Google Patents

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祐治 村上
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Abstract

【課題】本願発明の課題は、従来の問題を解決することであり、すなわち、供用後のコンクリート構造物に生ずる温度応力を低減することで温度ひび割れの発生を抑制することができる、温度ひび割れ抑制システム、及び温度ひび割れ抑制方法を提供することである。
【解決手段】本願発明の温度ひび割れ抑制システムは、緊張構造と、応力監視手段、緊張力算出手段を備えたシステムである。このうち緊張構造は、コンクリート構造物に設置されるもので、所定の緊張力を導入することができる。また応力監視手段は、コンクリート構造物の表層部の応力状態を監視するもので、緊張力算出手段は、応力監視手段で監視される応力状態に基づいて導入する緊張力を算出するものである。
【選択図】図2

Description

本願発明は、コンクリート構造物に生じる温度ひび割れの抑制に関するものであり、より具体的には、温度応力の発生環境に合わせて緊張力を導入することで温度ひび割れを抑制する技術に関するものである。
コンクリートは、ダム、トンネル、橋梁といった長大構造物を構成する重要な材料であり、これまで最も多用されてきた材料の一つである。このコンクリートは、セメントと水、骨材等からなり、練り混ぜ後、時間の経過とともに硬化し、強度を発現するのが特徴である。また、硬化する過程で水とセメントが反応し、その際、水和熱が発生することからコンクリートの内部温度は時間とともに上昇する。
コンクリートの硬化過程において、コンクリート内部と表面で顕著な温度差が生じると、これに伴い応力が発生することが知られている。これが、いわゆる「温度応力」であり、温度応力がコンクリートの許容引張応力を上回ったときに生ずるひび割れが「温度ひび割れ」である。この温度ひび割れは、内部拘束に起因して生ずるものと、外部拘束に起因して生ずるものに大別される。
硬化する際、コンクリートの内部温度は時間とともに上昇するが、外気温が低温であれば、熱伝達することによってコンクリート表面に近い部分(外周部)はそれほど大きく温度上昇することはない。また、既設コンクリートの上に新たにコンクリートを打ち継ぐ場合は、低温の既設コンクリートに熱伝導することによって、やはりコンクリート外周部はそれほど大きく温度上昇することはない。その結果、コンクリートの内部と外周部で顕著な温度差が生じ、体積膨張の相違から外周部に引張力が作用することで温度ひび割れが発生する。これが、内部拘束による温度ひび割れである。
一方、コンクリートの水和反応が収束すると、今度は温度降下に転ずる。温度降下に伴い、コンクリートは全体的に収縮しようとするが、既設コンクリートと接しているところでは拘束状態となっているため自由に収縮することができない。この結果、コンクリート内において体積変化に相違が生じ、内部に引張力が作用することで温度ひび割れが発生する。これが、外部拘束による温度ひび割れである。なお、外部拘束による温度ひび割れは、躯体を貫通するひび割れとなることも少なくない。
ところで、内部拘束による温度ひび割れも、外部拘束による温度ひび割れも、これまではコンクリート打設から養生までの問題として取り扱われることが多く、その対策もコンクリートの練り混ぜ温度を下げるプレクーリングや、打設後のコンクリート温度を低下させるパイプクーリングなどが主流であった。
特許文献1でもパイプクーリングに関する技術を開示しており、パイプクーリングの終了時期を見極めることのできる発明を提案している。具体的には、計算によって求められる許容温度差と、実際の温度差とを比較することによって、パイプクーリングを終了するタイミングを判断するものである。
特開2014−009530号公報
温度ひび割れがコンクリート打設から養生までの問題として取り扱われているのは既述のとおりであるが、実際には既に供用されているコンクリート構造物も、環境によっては温度応力を受けることがある。図6は、重力式コンクリートダム表面に生じる温度応力と外気温の年変動を表したグラフ図である。このグラフから分かるように、外気温が下がると、これに伴いコンクリート表面には温度応力として引張力が作用している。コンクリートダムのように長大コンクリート構造物は、その表面温度が外気温の低下に敏感に反応するのに対して、内部温度は外気温の影響を受けにくくほぼ一定温度を保つ。その結果、コンクリート内部温度と表面温度に較差が生じ、体積膨張の相違からコンクリート表面付近に温度応力が作用するわけである。そして、温度応力がコンクリートの許容引張応力を超えたとき、内部拘束による温度ひび割れが発生することとなる。
コンクリートダム表面に生じた温度ひび割れは、打継目などに通じることで漏水を引き起こすことがあり、これはダムの機能を考えると看過できない問題である。特に、RCD(Roller Compacted Dam−concrete)工法によって構築されたダムは、温度ひび割れが原因の漏水を引き起こしやすい傾向にある。しかしながら、先にも述べたように供用後の温度ひび割れが問題として取り上げられることは少なく、そのため供用後の温度ひびわれ対策も難しい。
本願発明の課題は、従来の問題を解決することであり、すなわち、供用後のコンクリート構造物に生ずる温度応力を低減することで温度ひび割れの発生を抑制することができる、温度ひび割れ抑制システム、及び温度ひび割れ抑制方法を提供することである。
本願発明は、温度応力の発生環境に応じて緊張力を導入することで温度ひび割れの発生を抑制する、というこれまでにない発想に基づいて行われたものである。
本願発明の温度ひび割れ抑制システムは、緊張構造と、応力監視手段、緊張力算出手段を備えたシステムである。このうち緊張構造は、コンクリート構造物に設置されるもので、所定の緊張力を導入することができる。また応力監視手段は、コンクリート構造物の表層部の応力状態を監視するもので、緊張力算出手段は、応力監視手段で監視される応力状態に基づいて導入する緊張力を算出するものである。なお、緊張構造は、緊張材、この緊張材の一端を固定する固定端部、及び緊張材に緊張力を導入する緊張手段を含んでおり、この緊張手段が、算出された緊張力で緊張材を緊張することによって、コンクリート構造物の表層部に生ずる温度応力を低減することができる。
本願発明の温度ひび割れ抑制システムは、コンクリート構造物周辺の外気温を計測することによって、コンクリート構造物の表層部の応力状態を監視するシステムとすることもできる。この場合、応力監視手段がコンクリート構造物の周辺の外気温を計測し、緊張力算出手段は、計測された外気温に基づいて温度応力を算出し、緊張すべき緊張力を算出する。
本願発明の温度ひび割れ抑制システムは、緊張材がコンクリート構造物の内部に埋設されたシステムとすることもできる。
本願発明の温度ひび割れ抑制システムは、緊張材がコンクリート構造物の外側表面に設置されたシステムとすることもできる。
本願発明の温度ひび割れ抑制システムは、固定端部がコンクリート構造物の下方にある地中部に設けられたシステムとすることもできる。
本願発明の温度ひび割れ抑制方法は、応力監視工程と、緊張力算出工程、緊張力導入工程を備えた方法である。このうち応力監視工程では、コンクリート構造物の表層部の応力状態を監視する。また緊張力算出工程では、応力監視工程で監視された応力状態に基づいて導入する緊張力を算出し、緊張力導入工程では、コンクリート構造物に設置された緊張構造に算出された緊張力を導入する。なお、緊張構造は、緊張材、この緊張材の一端を固定する固定端部、及び緊張材に緊張力を導入する緊張手段を含んでおり、この緊張材を算出された緊張力で緊張することによって、コンクリート構造物の表層部に生ずる温度応力を低減することができる。
本願発明の「温度ひび割れ抑制システム、及び温度ひび割れ抑制方法」には、次のような効果がある。
(1)コンクリート構造物の表面付近に緊張力を導入することで、温度応力を低減させることができ、温度ひび割れの発生を抑制することができる。この結果、例えばコンクリートダムの貯水性能を向上できる。
(2)施工時はもちろん、供用後のコンクリート構造物にも採用できるので、無数の既存コンクリート構造物の温度ひび割れを抑制することができ、供用寿命をより長くすることができる。
(3)緊張材を緊張するだけで温度ひび割れの発生を抑制することができるので、極めて容易に運用することができる。
本願発明の主な構成を示すブロック図。 本願発明の主な工程の流れを示すフロー図。 コンクリートダムの表面付近に埋設した緊張構造を示す断面図。 コンクリートダムの下方地盤に設けられた固定端部を示す断面図。 コンクリートダムの外側表面に配置した緊張構造を示す断面図。 重力式コンクリートダム表面に生じる温度応力と外気温の年変動を表したグラフ図。
本願発明の温度ひび割れ抑制システム、及び温度ひび割れ抑制方法の一例を、図に基づいて説明する。
1.全体概要
はじめに、図1及び図2を参考に本願発明の全体概要について説明する。図1は、本願発明の主な構成を示すブロック図であり、図2は、本願発明の主な工程の流れを示すフロー図である。図1に示すように、本願発明の温度ひび割れ抑制システムは、少なくとも応力監視手段100、緊張力算出手段200、緊張構造300を備えている。このうち応力監視手段100は、コンクリート構造物表面の応力状態、特に引張応力の発生を監視するものである。
緊張力算出手段200は、応力監視手段100による監視結果に基づいて、コンクリート構造物に導入すべき緊張力を算出するものである。具体的には、応力監視手段100で監視された結果、コンクリート表面にひび割れが生じる程度の引張力が発生している、あるいは発生するおそれがあると判断された場合、ひび割れを発生させないためコンクリート構造物にどの程度の緊張力を導入すればよいか演算する。この緊張力算出手段200としてはコンピュータを利用することができ、プログラムを実行することで導入すべき緊張力を得る。また、緊張力算出手段200が、応力監視手段100による監視結果を基に緊張力の導入判断を行うこともできる。この場合、監視結果を受信する受信手段を有することとし、あらかじめ定めた閾値や監視結果などを条件値としてプログラムを実行し、緊張力を導入すべきかそうでないかの判断を出力する。
緊張構造300は、図1に示すように緊張手段301、緊張材302、固定端部303を含み、実際にコンクリート構造物に緊張力を導入するものである。したがって、緊張構造300はコンクリート構造物に設置され、特に温度ひび割れが発生しやすい表面付近に配置される。緊張手段301は、ジャッキなどで構成され、緊張材302を所定の力で緊張するものである。緊張材302は、鋼より線や鋼棒、あるいはガラス繊維・炭素繊維・アラミド繊維といったファイバーからなる線などで構成される。また、固定端部303は、緊張材302の一端に設けられ、コンクリート構造物に緊張材302を固定するものである。張材302のうち固定端部303が不動点となり、緊張材302の他端(固定端部303の反対側)を緊張手段301で緊張することにより、緊張材302に緊張力が導入される。
上記の温度ひび割れ抑制システムをコンクリート構造物周辺に設置することで、コンクリートの温度ひび割れを抑制することができる。温度ひび割れ抑制システムの設置手順は、図2に示すとおりであり、まずコンクリート構造物に緊張構造300を設置し(Step10)、応力監視手段100と緊張力算出手段200を設置する(Step20、Step30)。なお、緊張構造300の設置は、緊張材302の一端を固定する固定端部303を形成する(Step11)とともに緊張材302を所定位置に配置し(Step12)、さらに緊張手段301を設置して(Step13)緊張材302の一端を緊張手段301に連結することで行われる。
温度ひび割れ抑制システムが設置できると、本システムを実際に運用しいく。まず、定期的もしくは連続的に、応力監視手段100でコンクリート表面の応力状態を監視する(Step40)。そして、この監視結果を基に緊張力導入の要否を判断し(Step50)、「緊張不要」と判断された場合は緊張力を導入することなく引き続き応力状態を監視するが、「要緊張」と判断された場合、必要な緊張力を算出し(Step60)実際に緊張力を導入する(Step70)。緊張力導入後も引き続き応力状態の監視を継続し、その後「緊張不要」と判断されると緊張力を解除する(Step80)。
以下、本願発明を構成する主要な要素ごとに詳述する。
2.応力監視手段
応力監視手段100は、コンクリートの応力状態を把握することのできるものであれば様々なものを利用することができ、直接的にコンクリート応力を取得する計測手段をはじめ、間接的にコンクリート応力を把握する手段としてひずみゲージや温度計等を利用することもできる。ひずみゲージの場合、コンクリートに生じるひずみを計測し、得られたひずみからコンクリート応力を算出する。また、温度計の場合、コンクリート表面付近の外気温を計り、その温度からコンクリート表面の温度を推定し、さらにコンクリート内部の温度とコンクリート表面温度の温度較差を求め、コンクリートに生じている温度応力を推定する。
温度応力の推定に当たっては、FEM解析により温度分布を求め、この温度分布に基づいて推定するのが一般的であるが、その他、2次曲線の推定式によって推定することもできる。以下、この手法について説明する。外気温からコンクリート表面温度を推定するため、実績等によって外気温とコンクリート表面温度の関係を把握しておく。一方、コンクリート内部の温度は、温度解析などの手法を用い計算により求める。もちろん、コンクリート内部に温度計などが埋設されている場合は、計測された内部温度をそのまま用いることができる。コンクリートの表層部温度Teと内部温度Tcが得られれば、温度較差Tgは下記のとおり求められる。
温度較差Tg=内部温度Tc−表層部温度Te ・・・(式1)
コンクリートの応力は、ひずみεcと弾性係数Eeの積で表される。そして、ひずみεcはコンクリートの熱膨張係数αcを用いて算出することができる。熱膨張係数αcは、温度に伴う膨張や収縮の度合いを表す指標であり、単位は℃の逆数である。つまり、熱膨張係数αcに温度を乗じることでひずみを求めることができ、この温度を温度較差Tgとすればコンクリートの最大ひずみεcを求めることができる。例えば、最大ひずみεcを求めるには、次式を例示することができる。
εc=C×αc×Tg ・・・(式2)
式2で示すCは、所定の定数であり、コンクリート内部の温度分布を推定する際に用いる推定式に応じて定められる値である。例えば、この推定式として2次曲線を選定した場合、Cは次式によって求めることができる。
C=m/(1−ν) ・・・(式3)
ここで、νはコンクリートのポアソン比であり、mはコンクリート内の最大温度を示す位置によって定められる係数である。例えば、コンクリート躯体の中心軸からHe離れた位置で最大温度を示し、このHeが躯体厚の1/6である場合、係数mとして3/8が与えられる。また、コンクリート躯体の中心軸で最大温度を示す場合(つまりHe=0の場合)、係数mとして2/3が与えられる。
最大ひずみεcとコンクリートの弾性係数Eeが得られると、次式によりコンクリートの最大主引張応力度σmaxが求められる。
σmax=εc×Ee=C×αc×Tg×Ee ・・・(式4)
このコンクリートの最大主引張応力度σmaxが、コンクリートの許容引張応力度σi以上となれば、温度ひび割れが生じることとなる。
σi≦σmax=C×αc×Tg×Ee ・・・(式5)
つまり、温度ひび割れが生じる温度較差Tgは、下記の式で表すことができる。
Tg≧σi/[C×αc×Ee] ・・・(式6)
以上説明したように、応力監視手段100として外気温を計る温度計を用いた場合、温度較差Tgを指標として監視し、緊張導入の要否を判断することができる。なお、緊張導入の判断に用いる閾値として、上式6で求めた温度較差Tgをそのまま採用することもできるし、安全を考慮して上式6で求めた温度較差Tgよりも小さい値を採用することもできる。
3.緊張力算出手段
応力監視手段100でコンクリートの応力状態を監視した結果、温度応力に抵抗するため緊張力を導入する必要があると判断された場合、実際に導入すべき緊張力を算出する。基本的には、温度応力、つまりのコンクリートの最大主引張応力度σmaxとコンクリートの許容引張応力度σiの差に基づいて、導入すべき緊張力は算出される。
緊張力P=(最大主引張応力度σmax−許容引張応力度σi)×有効断面積A ・・・(式7)
しかしながら、式7で求める緊張力Pはあくまで理論上の値であり、現実には種々の誤差要因が想定されることから、所定の安全率を乗じた値を緊張力Pとすることもできる。
緊張力P=安全率γ×(最大主引張応力度σmax−許容引張応力度σi)×有効断面積A ・・・(式8)
式8中の安全率γは、1以上の値であり、実績や現地状況など種々の要素に基づいて定められる定数である。
既述したように、緊張力算出手段200自身で緊張力導入の要否を判断することもできる。この場合、例えば応力監視手段100から送信された外気温データを緊張力算出手段200が受信し、さらに緊張力算出手段200が式6などの計算プログラムを実行して緊張力導入の要否を判断するとともに、式8などの計算プログラムを実行して導入すべき緊張力を出力する。このような緊張力算出手段200は、専用のものとして製造することもできるが、汎用的なコンピュータ装置を用いることもできる。このコンピュータ装置は、パーソナルコンピュータ(PC)や、iPad(登録商標)といったタブレットPC、あるいはPDA(Personal Data Assistance)などによって構成することができる。
4.緊張構造
図3は、コンクリートダム400の表面付近に埋設した緊張構造300を示す断面図である。この図に示すように、緊張構造300は温度ひび割れが生じやすいコンクリート表面付近に設置され、しかも表面側と背面側の両方に設置することができる。ただし、表面側と背面側で、緊張構造300の配置間隔(特に図3の奥行方向間隔)や、緊張構造300の規模(緊張手段301の規格や、緊張材302の径)は異なるものとすることができる。例えば、コンクリートダム400の場合、上流側の方が下流側より温度変化が小さく、すなわち生ずる温度応力も上流側の方が小さいため、緊張構造300は下流側よりも疎の配置とすることができる。
緊張材302の不動点である固定端部303は、図3に示すように支圧プレートなどを利用してコンクリート構造物内部に設置することができる。あるいは、コンクリートダム400の下方地盤中に固定端部303を設けることもできる。図4は、コンクリートダム400の下方地盤に設けられた固定端部303を示す断面図である。この場合、グラウンドアンカーの定着部と同様に、ボーリングマシンで地盤を必要長だけ削孔し、この孔に鋼より線などの緊張材302を挿入した状態で定着剤を投入して固化させる。通常、グラウンドアンカーの定着層は岩盤層に求められるが、コンクリートダム400が支持される地盤は岩盤層であることが多いので、固定端部303を設置するには理想定な地盤といえる。
ところで、図3と図4はいずれもコンクリートダム400内に緊張構造300を埋設している。既述のとおり本願発明は、新設のコンクリート構造物、既設のコンクリート構造物の両方に適用できるが、既設のコンクリート構造物に緊張構造300を埋設するにはやや手間がかかる。例えば、緊張材302を挿入するためには既設コンクリートの表面付近を削孔する必要があり、緊張手段301の配置空間を設けるためには既設コンクリートの一部を斫る必要がある。そこで、緊張手段301はコンクリート構造物の外側に配置することとし、コンクリートの斫り作業を回避することもできる。あるいは、緊張構造300全体をコンクリート構造物の外側に配置することもできる。図5は、コンクリートダム400の外側表面に配置した緊張構造300を示す断面図である。
図5に示すコンクリートダム400は、上流側では内部に緊張構造300を埋設しているが、下流側ではコンクリートダム400外側の表面に緊張構造300を設置している。緊張材301をコンクリート表面に固定し、外側からコンクリートダム400に緊張力を導入するわけである。この場合の固定端部303は、例えば山形鋼などをコンクリートダム400の表面に固定し、この山形鋼に緊張材302を固定する構造とすることができる。また、センターホールジャッキ等からなる緊張手段301は、コンクリートダム400の表面に固定した架台に設置することができる。緊張手段301を設置する架台は、例えば山形鋼を組み合わせるなどして作成し、アンカーボルトなどでコンクリートダム400表面に固定する。そして、この架台に設置した緊張手段301に緊張材302を連結し、緊張手段301を作動することによって緊張材302に緊張力を導入できるよう準備する。
本願発明の温度ひび割れ抑制システム、及び温度ひび割れ抑制方法は、ダムや橋梁下部工等の土木構造物、オフィスビル等の建築構造物、その他種々のコンクリート構造物に利用することができる。本願発明が、供用中の構造物に発生する温度ひび割れを抑制し、その機能を適切に持続させることを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
100 応力監視手段
200 緊張力算出手段
300 緊張構造
301 (緊張構造の)緊張手段
302 (緊張構造の)緊張材
303 (緊張構造の)固定端部
400 コンクリートダム

Claims (6)

  1. コンクリート構造物の表層部に生じる温度ひび割れを抑制するシステムにおいて、
    前記コンクリート構造物に設置され、所定の緊張力を導入する緊張構造と、
    前記コンクリート構造物の表層部の応力状態を監視する応力監視手段と、
    前記応力監視手段で監視される前記応力状態に基づいて、導入する緊張力を算出する緊張力算出手段と、を備え、
    前記緊張構造は、緊張材、該緊張材の一端を固定する固定端部、及び該緊張材に緊張力を導入する緊張手段を含み、
    前記緊張手段が、前記緊張力算出手段よって算出された緊張力で、前記緊張材を緊張する、ことを特徴とするコンクリート構造物の温度ひび割れ抑制システム。
  2. 前記応力監視手段は、前記コンクリート構造物周辺の外気温を計測するものであり、
    前記緊張力算出手段は、前記応力監視手段で計測された外気温に基づいて、前記コンクリート表層部に生ずる温度応力を算出するとともに、前記緊張手段が緊張すべき緊張力を算出する、ことを特徴とする請求項1記載のコンクリート構造物の温度ひび割れ抑制システム。
  3. 前記緊張構造のうち前記緊張材が、前記コンクリート構造物の外側表面に設置された、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコンクリート構造物の温度ひび割れ抑制システム。
  4. 前記緊張構造のうち前記緊張材が、前記コンクリート構造物の内部に埋設された、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコンクリート構造物の温度ひび割れ抑制システム。
  5. 前記緊張構造のうち前記固定端部が、前記コンクリート構造物の下方にある地中部に設けられた、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のコンクリート構造物の温度ひび割れ抑制システム。
  6. コンクリート構造物の表層部に生じる温度ひび割れを抑制する方法において、
    前記コンクリート構造物の表層部の応力状態を監視する応力監視工程と、
    前記応力監視工程で監視された前記応力状態に基づいて、導入する緊張力を算出する緊張力算出工程と、
    前記コンクリート構造物に設置された緊張構造に、前記緊張力算出工程で算出された緊張力を導入する緊張力導入工程と、を備え、
    前記緊張構造は、緊張材、該緊張材の一端を固定する固定端部、及び該緊張材に緊張力を導入する緊張手段を含み、
    前記緊張力導入工程では、前記緊張材を前記算出された緊張力で緊張する、ことを特徴とするコンクリート構造物の温度ひび割れ抑制方法。
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JP7438166B2 (ja) 2021-05-26 2024-02-26 日特建設株式会社 補強方法

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