JP2015212242A - 白血病治療剤、白血病細胞増殖阻害剤、造血幹細胞移植前処置剤及び効果判定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】白血病治療剤、白血病細胞増殖阻害剤、造血幹細胞移植前処置剤及び効果判定方法を提供すること。【解決手段】FASN阻害剤は、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病細胞の増殖を阻害する作用を有することから、白血病治療剤等として有用である。また、前記白血病治療剤等によって、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病の治療又は造血幹細胞移植に有用である。【選択図】図7
Description
本発明は、白血病治療剤、白血病細胞増殖阻害剤、造血幹細胞移植前処置剤及び効果判定方法に関する。
造血器腫瘍には、多くの疾患特異的な染色体異常が知られている。染色体異常は、染色体転座の結果融合遺伝子が形成され異常なキメラタンパク質が生成されるfusion型と、癌関連遺伝子そのものに変異が入ったnon-fusion型とに大別される。急性骨髄性白血病(AML)でもfusion型とnon-fusion型が存在し(非特許文献1)、fusion型であるNUP98融合遺伝子やCALM−AF10融合遺伝子を有する急性骨髄性白血病は、cytarabine、daunorubicin等の化学療法に対して抵抗性を有し、予後不良であるといわれている(非特許文献2)。
近年においては、骨髄性白血病治療剤として、イマチニブ(グリベック)(特許文献1)や全トランス型レチノイン酸(ベサノイド)(非特許文献3)が開発されている。
近年においては、骨髄性白血病治療剤として、イマチニブ(グリベック)(特許文献1)や全トランス型レチノイン酸(ベサノイド)(非特許文献3)が開発されている。
しかし、現在までに、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子又はAF10融合遺伝子を有する骨髄性白血病及びリンパ性白血病に対して、特異的な治療方法は存在しない。また、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子又はAF10融合遺伝子を有する骨髄性白血病、骨髄異形成症候群及びリンパ性白血病に対する治療標的も明らかではない。
The Cancer Genome Atlas Research Network. Genomic and epigenomic landscapes of adult de novo acute myeloid leukemia. N.Engl.J.Med. 368, 2059-2074 (2013)
Chou WC, et al. Acute myeloid leukemia bearing t(7;11)(p15;p15) is a distinct cytogenetic entity with poor outcome and a distinct mutation profile: comparative analysis of 493 adult patients. Leukemia 23, 1303-1310 (2009).
Kakizuka, A. et al. Chromosomal translocation t(15;17) in human acute promyelocytic leukemia fuses RARαwith a novel putative transcription factor, PML. Cell 66, 663-674 (1991).
本発明は、白血病治療剤、白血病細胞増殖阻害剤、造血幹細胞移植前処置剤及び効果判定方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、FASN(Fatty acid synthase、脂肪酸合成酵素)阻害剤がNUP98融合遺伝子又はCALM−AF10融合遺伝子を有する白血病細胞の増殖を阻害することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1] NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病の治療剤であって、FASN阻害剤を有効成分として含有する白血病治療剤;
[2]前記FASN阻害剤が、orlistat、C75(4-Methylene-2-octyl-5-oxotetrahydrofuran-3-carboxylic acid、以下同様。)、cerulenin又はshRNAであることを特徴とする前記[1]に記載の白血病治療剤;
[3]前記白血病が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群又は急性リンパ性白血病であることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の白血病治療剤;
[4]第2の白血病治療剤と併用されることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の白血病治療剤;
[5]前記第2の白血病治療剤が、cytarabine、dounorubicin、doxorubicin又はidarubicinであることを特徴とする前記[4]に記載の白血病治療剤;
[1] NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病の治療剤であって、FASN阻害剤を有効成分として含有する白血病治療剤;
[2]前記FASN阻害剤が、orlistat、C75(4-Methylene-2-octyl-5-oxotetrahydrofuran-3-carboxylic acid、以下同様。)、cerulenin又はshRNAであることを特徴とする前記[1]に記載の白血病治療剤;
[3]前記白血病が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群又は急性リンパ性白血病であることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の白血病治療剤;
[4]第2の白血病治療剤と併用されることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の白血病治療剤;
[5]前記第2の白血病治療剤が、cytarabine、dounorubicin、doxorubicin又はidarubicinであることを特徴とする前記[4]に記載の白血病治療剤;
[6]NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病細胞の増殖阻害剤であって、FASN阻害剤を有効成分として含有する白血病細胞増殖阻害剤;
[7]前記FASN阻害剤が、orlistat、C75、cerulenin又はshRNAであることを特徴とする前記[6]に記載の白血病細胞増殖阻害剤;
[8]前記白血病細胞が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群又は急性リンパ性白血病を罹患しているヒト又はヒト以外の動物の細胞であることを特徴とする前記[6]又は[7]に記載の白血病細胞増殖阻害剤;
[9]第2の白血病細胞増殖阻害剤又は第2の白血病治療剤と併用されることを特徴とする前記[6]〜[8]のいずれかに記載の白血病細胞増殖阻害剤;
[10]前記第2の白血病細胞増殖阻害剤が、cyclophosphamide、melphalan、cisplatin又はetoposideであることを特徴とする前記[9]に記載の白血病細胞増殖阻害剤;
[11]前記第2の白血病治療剤が、cytarabine、dounorubicin、doxorubicin又はidarubicinであることを特徴とする前記[9] 又は[10]に記載の白血病細胞増殖阻害剤;
[7]前記FASN阻害剤が、orlistat、C75、cerulenin又はshRNAであることを特徴とする前記[6]に記載の白血病細胞増殖阻害剤;
[8]前記白血病細胞が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群又は急性リンパ性白血病を罹患しているヒト又はヒト以外の動物の細胞であることを特徴とする前記[6]又は[7]に記載の白血病細胞増殖阻害剤;
[9]第2の白血病細胞増殖阻害剤又は第2の白血病治療剤と併用されることを特徴とする前記[6]〜[8]のいずれかに記載の白血病細胞増殖阻害剤;
[10]前記第2の白血病細胞増殖阻害剤が、cyclophosphamide、melphalan、cisplatin又はetoposideであることを特徴とする前記[9]に記載の白血病細胞増殖阻害剤;
[11]前記第2の白血病治療剤が、cytarabine、dounorubicin、doxorubicin又はidarubicinであることを特徴とする前記[9] 又は[10]に記載の白血病細胞増殖阻害剤;
[12]NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病の造血幹細胞移植前処置剤であって、FASN阻害剤を有効成分として含有する造血幹細胞移植前処置剤;
[13]前記FASN阻害剤が、orlistat、C75、cerulenin又はshRNAであることを特徴とする前記[12]に記載の造血幹細胞移植前処置剤;
[14]前記白血病が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群又は急性リンパ性白血病であることを特徴とする前記[12]又は[13]に記載の造血幹細胞移植前処置剤;
[15]第2の造血幹細胞移植前処置剤と併用されることを特徴とする前記[12]〜[14]のいずれかに記載の造血幹細胞移植前処置剤;
[16]前記第2の造血幹細胞移植前処置剤が、cyclophosphamide、busulfan、cytarabine又はVP16であることを特徴とする前記[15]に記載の造血幹細胞移植前処置剤;
[13]前記FASN阻害剤が、orlistat、C75、cerulenin又はshRNAであることを特徴とする前記[12]に記載の造血幹細胞移植前処置剤;
[14]前記白血病が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群又は急性リンパ性白血病であることを特徴とする前記[12]又は[13]に記載の造血幹細胞移植前処置剤;
[15]第2の造血幹細胞移植前処置剤と併用されることを特徴とする前記[12]〜[14]のいずれかに記載の造血幹細胞移植前処置剤;
[16]前記第2の造血幹細胞移植前処置剤が、cyclophosphamide、busulfan、cytarabine又はVP16であることを特徴とする前記[15]に記載の造血幹細胞移植前処置剤;
[17]白血病治療剤、白血病細胞増殖阻害剤又は造血幹細胞移植前処置剤の効果又は有効性を判定する方法であって、ヒト又はヒト以外の動物の白血病細胞におけるFASNの酵素活性を測定する第1の工程と、FASN阻害剤と前記白血病細胞とを接触させる第2の工程と、第2の工程後の白血病細胞におけるFASNの酵素活性を測定する第3の工程と、を含むことを特徴とする効果判定方法;
[18]前記FASN阻害剤が、orlistat、C75、cerulenin又はshRNAであることを特徴とする前記[17]に記載の効果判定方法;
[19]前記白血病が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群又は急性リンパ性白血病であることを特徴とする前記[17]又は[18]に記載の効果判定方法;
[18]前記FASN阻害剤が、orlistat、C75、cerulenin又はshRNAであることを特徴とする前記[17]に記載の効果判定方法;
[19]前記白血病が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群又は急性リンパ性白血病であることを特徴とする前記[17]又は[18]に記載の効果判定方法;
[20]白血病治療剤を製造するためのFASN阻害剤の使用;
[21]白血病細胞増殖阻害剤を製造するためのFASN阻害剤の使用;
[22] 造血幹細胞移植前処置剤を製造するためのFASN阻害剤の使用等である。
[21]白血病細胞増殖阻害剤を製造するためのFASN阻害剤の使用;
[22] 造血幹細胞移植前処置剤を製造するためのFASN阻害剤の使用等である。
なお、本発明において「阻害」とは、FASN阻害剤を、ヒト若しくはヒト以外の動物又は白血病細胞に投与又は添加等することにより、白血病細胞の増殖を抑制すること、白血病細胞の増殖を停止させること、又は白血病細胞を死滅させることをいい、前記白血病細胞は、以下「発明を実施するための形態」の「薬理作用」の項に記載する細胞のことをいう。
本発明によれば、白血病治療剤、白血病細胞増殖阻害剤、造血幹細胞移植前処置剤及び効果判定方法を提供することができる。
以下、前記知見に基づき完成した本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。実施例において特に説明がない場合には、市販の試薬キットや測定装置はそれらに添付のプロトコールを用いる。
なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例等は、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図及び範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変及び修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
==薬理作用==
(1)白血病治療剤及び白血病細胞増殖阻害剤
FASNは、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子から翻訳されたタンパク質と結合する。また、FASN阻害剤は、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病細胞の増殖を阻害する作用を有する。
一方、FASN阻害剤は、本明細書の実施例に記載の通り、正常な造血細胞や、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子又はAF10融合遺伝子以外の融合遺伝子を有する白血病細胞の増殖を阻害しない。
(1)白血病治療剤及び白血病細胞増殖阻害剤
FASNは、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子から翻訳されたタンパク質と結合する。また、FASN阻害剤は、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病細胞の増殖を阻害する作用を有する。
一方、FASN阻害剤は、本明細書の実施例に記載の通り、正常な造血細胞や、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子又はAF10融合遺伝子以外の融合遺伝子を有する白血病細胞の増殖を阻害しない。
従って、FASN阻害剤は、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病又は白血病細胞に対する白血病治療剤又は白血病細胞増殖阻害剤等として有用である。また、FASN阻害剤を有効成分として含有する白血病治療剤及び白血病細胞増殖阻害剤は、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病の治療又は白血病細胞の増殖阻害に有用である。
ここで、NUP98融合遺伝子を有する白血病を罹患しているヒトは、急性骨髄性白血病を罹患しているヒトのうち、1〜2%であることが知られている(Sheryl M, et al., NUP98 gene fusions and hematopoietic malignancies: common themes and new biologic insights, 2011 118;:6247-6257)。また、CALM−AF10融合遺伝子を有する白血病を罹患しているヒトは、T細胞急性リンパ性白血病を罹患しているヒトのうち、10%であることが知られている(Vahid Asnafi, et al., CALM-AF10 is a common fusion transcript in T-ALL and is specific to the TCR gamma delta lineage, 2003 102: 1000-1006)。
従って、FASN阻害剤を有効成分として含有する白血病治療剤及び白血病細胞増殖阻害剤は、数%から10%しか存在しないNUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子有する白血病の治療においても有用である。
従って、FASN阻害剤を有効成分として含有する白血病治療剤及び白血病細胞増殖阻害剤は、数%から10%しか存在しないNUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子有する白血病の治療においても有用である。
また、NUP98融合遺伝子又はCALM−AF10融合遺伝子を有する急性骨髄性白血病は、cytarabine、daunorubicin等の化学療法に対して抵抗性を有し、予後不良であるといわれている(Chou WC, et al. Acute myeloid leukemia bearing t(7;11)(p15;p15) is a distinct cytogenetic entity with poor outcome and a distinct mutation profile: comparative analysis of 493 adult patients. Leukemia 23, 1303-1310 (2009))。
従って、FASN阻害剤を有効成分として含有する白血病治療剤及び白血病細胞増殖阻害剤は、cytarabine、daunorubicin等の化学療法に対して抵抗性を有し、一般に予後不良といわれていた患者に対して、生存率を上昇させることができる。
従って、FASN阻害剤を有効成分として含有する白血病治療剤及び白血病細胞増殖阻害剤は、cytarabine、daunorubicin等の化学療法に対して抵抗性を有し、一般に予後不良といわれていた患者に対して、生存率を上昇させることができる。
(2)造血幹細胞移植前処置剤
前記の通り、FASN阻害剤は、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病細胞の増殖を阻害する作用を有する。
一方、FASN阻害剤は、本明細書の実施例に記載の通り、正常な造血細胞や、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子又はAF10融合遺伝子以外の融合遺伝子を有する白血病細胞の増殖を阻害しない。
前記の通り、FASN阻害剤は、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病細胞の増殖を阻害する作用を有する。
一方、FASN阻害剤は、本明細書の実施例に記載の通り、正常な造血細胞や、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子又はAF10融合遺伝子以外の融合遺伝子を有する白血病細胞の増殖を阻害しない。
従って、FASN阻害剤は、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病又は白血病細胞に対する造血幹細胞移植前処置剤等としても有用である。また、FASN阻害剤を有効成分として含有する造血幹細胞前処置剤は、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病に対する造血幹細胞移植の前処置に有用である。
また、NUP98融合遺伝子やCALM−AF10融合遺伝子を有する急性骨髄性白血病は、cytarabine、daunorubicin等の化学療法に対して抵抗性を有し、予後不良であるといわれている(Chou WC, et al. Acute myeloid leukemia bearing t(7;11)(p15;p15) is a distinct cytogenetic entity with poor outcome and a distinct mutation profile: comparative analysis of 493 adult patients. Leukemia 23, 1303-1310 (2009))。
従って、FASN阻害剤を有効成分として含有する造血幹細胞移植前処置剤は、cytarabine、daunorubicin等の化学療法に対して抵抗性を有し、一般に予後不良といわれていた患者に対して、造血幹細胞移植前の処置を徹底して行うことができ、造血幹細胞移植の成功率を上昇させることができる。
従って、FASN阻害剤を有効成分として含有する造血幹細胞移植前処置剤は、cytarabine、daunorubicin等の化学療法に対して抵抗性を有し、一般に予後不良といわれていた患者に対して、造血幹細胞移植前の処置を徹底して行うことができ、造血幹細胞移植の成功率を上昇させることができる。
なお、本発明における「白血病」とは、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群又は急性リンパ性白血病等のことをいい、本発明における「白血病細胞」とは、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群若しくは急性リンパ性白血病に罹患している個体内の白血病細胞、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群若しくは急性リンパ性白血病に罹患している個体から採取した細胞、又は急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群若しくは急性リンパ性白血病由来の培養細胞等のことをいう。
==FASN阻害剤==
本発明の白血病治療剤、白血病細胞増殖阻害剤及び造血幹細胞移植前処置剤に含まれるFASN阻害剤は、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病細胞の増殖を阻害する目的、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病を治療する目的、又は、造血幹細胞移植の前に行われる移植前処置を行う目的であれば、どのようなものでもよい。
FASN阻害剤の具体例としては、例えば、orlistat、C75、cerulenin、FASN特異的なshRNA等が挙げられる。
本発明の白血病治療剤、白血病細胞増殖阻害剤及び造血幹細胞移植前処置剤に含まれるFASN阻害剤は、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病細胞の増殖を阻害する目的、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病を治療する目的、又は、造血幹細胞移植の前に行われる移植前処置を行う目的であれば、どのようなものでもよい。
FASN阻害剤の具体例としては、例えば、orlistat、C75、cerulenin、FASN特異的なshRNA等が挙げられる。
==本発明の白血病治療剤、白血病細胞増殖阻害剤及び造血幹細胞移植前処置剤の利用==
FASN阻害剤を有効成分として含有する本発明の白血病治療剤、白血病細胞増殖阻害剤及び造血幹細胞移植前処置剤は、ヒト又はヒト以外の動物における医薬や、実験用の試薬等、どのようなものに用いてもよい。
FASN阻害剤を有効成分として含有する本発明の白血病治療剤、白血病細胞増殖阻害剤及び造血幹細胞移植前処置剤は、ヒト又はヒト以外の動物における医薬や、実験用の試薬等、どのようなものに用いてもよい。
本発明の白血病治療剤、白血病細胞増殖阻害剤及び造血幹細胞移植前処置剤の剤形としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、注射剤、坐剤、液剤、散布剤、スプレー剤、塗布剤、貼付剤、噴霧剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの薬剤は、固形、液状、ゲル状、粉末状、ゼリー状、油状、ペースト状、泡状、クリーム状等の形状にしてもよい。
例えば、本発明の白血病治療剤、白血病細胞増殖阻害剤又は造血幹細胞移植前処置剤を医薬として用いる場合、その製剤化は、従来使用されている添加物を用いて、既存の方法で行うことができる。なお、前記添加物としては、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、矯味矯臭剤、溶剤、安定剤、基剤、湿潤剤、保存剤等の既存の添加物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の白血病治療剤、白血病細胞増殖阻害剤及び造血幹細胞移植前処置剤を医薬として用いる場合は、それらの投与方法としては、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病に罹患したヒト又はヒト以外の動物に、経口投与、腹腔内又は静脈内へ注射又は点滴により非経口投与する方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明の白血病治療剤及び白血病細胞増殖阻害剤は、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病に罹患したヒト又はヒト以外の動物から白血病細胞を採取し、前記白血病細胞に直接的又は間接的に投与又は添加してもよい。なお、本発明の白血病治療剤又は白血病細胞増殖阻害剤を投与又は添加した後の白血病細胞は、白血病細胞を採取した動物に戻してもよい。
本発明の造血幹細胞移植前処置剤は、造血幹細胞移植の前に行われる移植前処置として使用してもよい。例えば、造血幹細胞移植を必要とする、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病に罹患したヒト又はヒト以外の動物に、本発明の造血幹細胞移植前処置剤を単独で又は以下に記載する第2の造血幹細胞前処置剤と併用して投与してもよい。
本発明の白血病治療剤、白血病細胞増殖阻害剤及び造血幹細胞移植前処置剤を実験用の試薬として用いる場合は、それらの投与方法としては、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病に罹患したヒト以外の動物に、経口投与、腹腔内又は静脈内へ注射又は点滴により非経口投与する方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明の白血病治療剤及び白血病細胞増殖阻害剤は、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病に罹患したヒト以外の動物から白血病細胞を採取し、前記白血病細胞に直接的又は間接的に投与又は添加してもよい。なお、本発明の白血病治療剤又は白血病細胞増殖阻害剤を投与又は添加した後の白血病細胞は、白血病細胞を採取したヒト以外の動物に戻してもよい。
前記ヒト以外の動物としては、例えば、サル、チンパンジー、イヌ、ウサギ、モルモット、マウス等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
さらに、本発明の白血病治療剤、白血病細胞増殖阻害剤及び造血幹細胞移植前処置剤は、第2の白血病治療剤、第2の白血病細胞増殖阻害剤又は第2の造血幹細胞移植前処置剤と併用してもよい。第2の白血病治療剤の具体例としては、cytarabine、dounorubicin、doxorubicin又はidarubicin等が、第2の白血病細胞増殖阻害剤の具体例としては、cyclophosphamide、melphalan、cisplatin又はetoposide等が、また、第2の造血幹細胞移植前処置剤の具体例としては、cyclophosphamide、busulfan、cytarabine又はVP16等が挙げられる。特に、本発明の白血病治療剤、白血病増殖阻害剤及び造血幹細胞前処置剤は、cytarabine及びdounorubicinの少なくとも一方の白血病治療剤と併用することが望ましい。
なお、本発明の白血病治療剤、白血病細胞増殖剤又は造血幹細胞前処置剤と、第2の白血病治療剤、第2の白血病細胞増殖阻害剤又は第2の造血幹細胞前処置剤との併用方法は、特に限定されない。
なお、本発明の白血病治療剤、白血病細胞増殖剤又は造血幹細胞前処置剤と、第2の白血病治療剤、第2の白血病細胞増殖阻害剤又は第2の造血幹細胞前処置剤との併用方法は、特に限定されない。
==白血病治療剤、白血病増殖阻害剤又は造血幹細胞移植前処置剤の効果又は有効性を判定する方法==
白血病治療剤、白血病増殖阻害剤又は造血幹細胞移植前処置剤の効果又は有効性を判定する方法には、ヒト又はヒト以外の動物の白血病細胞におけるFASNのmRNA、タンパク質又は酵素活性を測定する第1の工程と、FASN阻害剤と前記白血病細胞とを接触させる第2の工程と、第2の工程後の白血病細胞におけるFASNのmRNA、タンパク質又は酵素活性を測定する第3の工程とを含む。
FASN阻害剤の具体例としては、例えば、orlistat、C75、cerulenin、FASN特異的なshRNA等が挙げられる。
白血病治療剤、白血病増殖阻害剤又は造血幹細胞移植前処置剤の効果又は有効性を判定する方法には、ヒト又はヒト以外の動物の白血病細胞におけるFASNのmRNA、タンパク質又は酵素活性を測定する第1の工程と、FASN阻害剤と前記白血病細胞とを接触させる第2の工程と、第2の工程後の白血病細胞におけるFASNのmRNA、タンパク質又は酵素活性を測定する第3の工程とを含む。
FASN阻害剤の具体例としては、例えば、orlistat、C75、cerulenin、FASN特異的なshRNA等が挙げられる。
例えば、ヒト又はヒト以外の動物の白血病細胞におけるFASNのmRNA、タンパク質又は酵素活性を測定し、FASN阻害剤と前記白血病細胞とを接触させ、前記白血病細胞におけるFASNのmRNA、タンパク質又は酵素活性が減少した場合、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病の治療効果はある、白血病細胞の増殖阻害に効果がある、又は造血幹細胞移植の前処置は有効であると判定することができ、一方、前記白血病細胞におけるFASNのmRNA、タンパク質又は酵素活性が同一又は増加した場合、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病の治療効果はない、白血病細胞の増殖阻害に効果はない、又は造血幹細胞移植の前処置は有効でないと判定することができる。
ここで、FASNのmRNAの測定は、PCR、ノーザンブロッティング等の既存の方法により行うことができ、FASNのタンパク質の測定は、ELISA法、ウェスタンブロッティング等の既存の方法により行うことができ、また、FASNの酵素活性の測定は、脂肪酸合成量又はNADPH消費量を測定する等の既存の方法により行うことができる。特に、本発明の、白血病治療剤、白血病増殖阻害剤及び造血幹細胞移植前処置剤の効果又は有効性を判定する方法は、FASNの酵素活性を測定することが好ましい。
本発明の、白血病治療剤、白血病増殖阻害剤又は造血幹細胞移植前処置剤の効果又は有効性を判定する方法は、本発明の白血病治療剤、本発明の白血病増殖阻害剤又は本発明の造血幹細胞移植前処置剤の効果又は有効性を判定してもよいし、本発明以外の白血病治療剤、本発明以外の白血病増殖阻害剤又は本発明以外の造血幹細胞移植前処置剤の効果又は有効性を判定してもよい。
本発明の、白血病治療剤、白血病増殖阻害剤又は造血幹細胞移植前処置剤の効果又は有効性を判定する方法を用いれば、白血病の治療効果、白血病細胞の増殖阻害効果、又は造血幹細胞移植の前処置の有効性を効率よく判定することができ、無駄な治療を排除したり、後の治療方針を早急に決定したりすることができる。
以下、本発明を実施例及び図を用いてより具体的に説明する。
<実施例1>
NUP98−HOXA9のFG2ドメインが再播種能に重要であることを調べた。
まず、NUP98−HOXA9野生型(配列番号1)、NUP98−HOXA9FG1ドメイン欠損体(1-149アミノ酸欠損体)(配列番号2)及びNUP98−HOXA9FG1ドメイン欠損体(226-469アミノ酸欠損体)(配列番号3)(以下、本実施例において、配列番号2及び配列番号3の欠損体を「NUP98−HOXA9変異体」ともいう。)のcDNAをレトロウイルスベクター(Clontech、634401)に制限酵素を用いて組み込み、各々のレトロウイルスベクターをレトロウイルスパッケージング細胞に当業者において公知のリポフェクション法を用いてトランスフェクションした。その後、37℃、 5% CO2条件下で24時間培養し、DMEM high glucose (Gibco)に10% FCSを加えた培養液で培地交換し、32℃、5% CO2条件下で培養し、トランスフェクションから48時間後の培養液の上清をウイルス液とした。
<実施例1>
NUP98−HOXA9のFG2ドメインが再播種能に重要であることを調べた。
まず、NUP98−HOXA9野生型(配列番号1)、NUP98−HOXA9FG1ドメイン欠損体(1-149アミノ酸欠損体)(配列番号2)及びNUP98−HOXA9FG1ドメイン欠損体(226-469アミノ酸欠損体)(配列番号3)(以下、本実施例において、配列番号2及び配列番号3の欠損体を「NUP98−HOXA9変異体」ともいう。)のcDNAをレトロウイルスベクター(Clontech、634401)に制限酵素を用いて組み込み、各々のレトロウイルスベクターをレトロウイルスパッケージング細胞に当業者において公知のリポフェクション法を用いてトランスフェクションした。その後、37℃、 5% CO2条件下で24時間培養し、DMEM high glucose (Gibco)に10% FCSを加えた培養液で培地交換し、32℃、5% CO2条件下で培養し、トランスフェクションから48時間後の培養液の上清をウイルス液とした。
次に、C57BL/6Jマウスからシリンジ(25G)を用いて骨髄細胞を採取し、前記骨髄細胞から密度遠心分離法で単核球分画を分離し、前記単核球とCD117 microbeads (Miltenyi Biotec)とを4℃で30分間反応させ、MACS Separation Columns (Miletnyi Biotec)を用いて未分化な骨髄細胞を精製した。
その後、この骨髄細胞と前記ウイルス液とを混ぜ、37℃、5% CO2条件下で24時間ウイルス感染させて、NUP98−HOXA9野生型及び変異体を未分化な骨髄細胞に発現させた。この骨髄細胞をメチルセルロース培地 (Methocult(M3234; Stem Cell Technologies)、10ng/ml IL-3 (Peprotech)、10ng/ml SCF (Peprotech)、10ng/ml GM-CSF (Peprotech))に蒔き、37℃、5% CO2条件下でコロニーを形成させ、播種を繰り返し行い、再播種能を評価した。
その結果を図1に示す。
図1に示すように、NUP98−HOXA9のFG2ドメインを欠損させると、NUP98−HOXA9の再播種能が失われた。
この結果から、NUP98−HOXA9のFG2ドメインがNUP98−HOXA9の再播種能に必須であることが明らかとなった。
図1に示すように、NUP98−HOXA9のFG2ドメインを欠損させると、NUP98−HOXA9の再播種能が失われた。
この結果から、NUP98−HOXA9のFG2ドメインがNUP98−HOXA9の再播種能に必須であることが明らかとなった。
<実施例2>
NUP98融合遺伝子の一部は、図2に記載の通りである。そのうち、本実施例では、NUP98−HOXA9融合遺伝子を用いた。
NUP98融合遺伝子の一部は、図2に記載の通りである。そのうち、本実施例では、NUP98−HOXA9融合遺伝子を用いた。
本実施例で使用するNUP98−HOXA9野生型複合体及びNUP98−HOXA9変異型複合体を精製し、それぞれに含まれるタンパク質について調べた。
具体的には、DMEM (Gibco)に10% FCSを加えた培養液で培養(37℃、5% CO2条件下)した293FT細胞(Invitrogen、以下、本実施例において同様。)にFLAG-tag(配列番号4、以下、本実施例において同様。)のついたNUP98−HOXA9野生型及びNUP98−HOXA9変異体のcDNAを挿入したベクター(配列番号5)を当業者において公知のリポフェクション法でトランスフェクションした。これらの細胞をlysis buffer (20mM sodium phosphate、pH7.0、250mM NaCl、30mM sodium pyrophosphate、0.1% NP-40、5mM EDTA、10mM NaF、5mM DTT、1mM PMSF)にComplete (Roche)を溶かしたもので可溶化した。その可溶画分からNUP98−HOXA9野生型及びNUP98−HOXA9変異体を可溶画分の1/200量のanti-FLAG monoclonal antibody (M2)-conjugated beads (Sigma)で精製し、精製物をgradient gel (Wako)を用いたSDS-PAGEで分離後、それぞれのタンパク質複合体に含まれるタンパク質についてマススペクトロメトリー(LTQ Orbitrap (Thermo Scientific))を用いて調べた。
具体的には、DMEM (Gibco)に10% FCSを加えた培養液で培養(37℃、5% CO2条件下)した293FT細胞(Invitrogen、以下、本実施例において同様。)にFLAG-tag(配列番号4、以下、本実施例において同様。)のついたNUP98−HOXA9野生型及びNUP98−HOXA9変異体のcDNAを挿入したベクター(配列番号5)を当業者において公知のリポフェクション法でトランスフェクションした。これらの細胞をlysis buffer (20mM sodium phosphate、pH7.0、250mM NaCl、30mM sodium pyrophosphate、0.1% NP-40、5mM EDTA、10mM NaF、5mM DTT、1mM PMSF)にComplete (Roche)を溶かしたもので可溶化した。その可溶画分からNUP98−HOXA9野生型及びNUP98−HOXA9変異体を可溶画分の1/200量のanti-FLAG monoclonal antibody (M2)-conjugated beads (Sigma)で精製し、精製物をgradient gel (Wako)を用いたSDS-PAGEで分離後、それぞれのタンパク質複合体に含まれるタンパク質についてマススペクトロメトリー(LTQ Orbitrap (Thermo Scientific))を用いて調べた。
その結果を図3に示す。
その結果、FASNは、再播種能があったNUP98−HOXA9野生型及びNUP98−HOXA9のFG1ドメイン欠損体の複合体には含まれるタンパク質として同定されたが、再播種能がないNUP98−HOXA9のFG2ドメイン欠損体の複合体には含まれないタンパク質として同定された。
この結果から、FASNはNUP98−HOXA9の再播種能に必須なFG2ドメインを介してNUP98−HOXA9と複合体を形成することが示唆された。
その結果、FASNは、再播種能があったNUP98−HOXA9野生型及びNUP98−HOXA9のFG1ドメイン欠損体の複合体には含まれるタンパク質として同定されたが、再播種能がないNUP98−HOXA9のFG2ドメイン欠損体の複合体には含まれないタンパク質として同定された。
この結果から、FASNはNUP98−HOXA9の再播種能に必須なFG2ドメインを介してNUP98−HOXA9と複合体を形成することが示唆された。
<実施例3>
次に、NUP98−HOXA9とFASNとが結合するかどうかを調べた。
DMEM (Gibco)に10% FCSを加えた培養液で培養(37℃、5% CO2条件下)した293FT細胞にFLAG-tagのついたNUP98−HOXA9野生型及びNUP98−HOXA9変異体とHA-tag(配列番号6、以下、本実施例において同様。)のついたFASN cDNA(NM_004104.4)をベクター(配列番号5)に組み込み、それらを当業者において公知のリポフェクション法を用いて共トランスフェクションさせた。これら細胞を実施例2に記載の方法で可溶化した。その可溶画分からNUP98−HOXA9野生型及びNUP98−HOXA9変異体を可溶画分の1/200量のanti-FLAG monoclonal antibody (M2)-conjugated beads(Sigma)を用いて免疫沈降した。免疫沈降物を当業者において公知のウェスタンブロッティング法で解析した。また、抗HA抗体(3F10、Roche)を用いて、NUP98−HOXA9野生型及びNUP98−HOXA9変異体に結合するFASNを検出した。
次に、NUP98−HOXA9とFASNとが結合するかどうかを調べた。
DMEM (Gibco)に10% FCSを加えた培養液で培養(37℃、5% CO2条件下)した293FT細胞にFLAG-tagのついたNUP98−HOXA9野生型及びNUP98−HOXA9変異体とHA-tag(配列番号6、以下、本実施例において同様。)のついたFASN cDNA(NM_004104.4)をベクター(配列番号5)に組み込み、それらを当業者において公知のリポフェクション法を用いて共トランスフェクションさせた。これら細胞を実施例2に記載の方法で可溶化した。その可溶画分からNUP98−HOXA9野生型及びNUP98−HOXA9変異体を可溶画分の1/200量のanti-FLAG monoclonal antibody (M2)-conjugated beads(Sigma)を用いて免疫沈降した。免疫沈降物を当業者において公知のウェスタンブロッティング法で解析した。また、抗HA抗体(3F10、Roche)を用いて、NUP98−HOXA9野生型及びNUP98−HOXA9変異体に結合するFASNを検出した。
その結果を図4に示す。
その結果、FASNは、NUP98−HOXA9野生型及びNUP98−HOXA9のFG1ドメイン欠損体には強く結合し、NUP98−HOXA9のFG2ドメイン欠損体にはほとんど結合しないことが明らかとなった。
この結果から、NUP98−HOXA9はFG2ドメインを介してFASNと結合することで、FASNの機能に影響を及ぼすことが示唆された。
その結果、FASNは、NUP98−HOXA9野生型及びNUP98−HOXA9のFG1ドメイン欠損体には強く結合し、NUP98−HOXA9のFG2ドメイン欠損体にはほとんど結合しないことが明らかとなった。
この結果から、NUP98−HOXA9はFG2ドメインを介してFASNと結合することで、FASNの機能に影響を及ぼすことが示唆された。
<実施例4>
FASNの発現をノックダウンするとNUP98−HOXA9を発現している細胞のコロニー形成が抑制されるかどうかを調べた。
まず、FASN特異的なshRNAをpLKO.1ベクターに組み込んだもの (TRCN0000075703, TRCN00000075706; Thermo Scientific)を既存の方法 (Dull T, et al., A third-generation lentivirus vector with a conditional packaging system, 1998 72:8463-8471) にならい、DMEM (Gibco)に10% FCSを加えた培養液で培養(37℃、5% CO2条件下)した293FT細胞にトランスフェクションし、24時間後、DMEM (Gibco)に30% FCSを加えた培養液で培地交換し、トランスフェクションした後48時間後の上清をレンチウイルス液とした。
FASNの発現をノックダウンするとNUP98−HOXA9を発現している細胞のコロニー形成が抑制されるかどうかを調べた。
まず、FASN特異的なshRNAをpLKO.1ベクターに組み込んだもの (TRCN0000075703, TRCN00000075706; Thermo Scientific)を既存の方法 (Dull T, et al., A third-generation lentivirus vector with a conditional packaging system, 1998 72:8463-8471) にならい、DMEM (Gibco)に10% FCSを加えた培養液で培養(37℃、5% CO2条件下)した293FT細胞にトランスフェクションし、24時間後、DMEM (Gibco)に30% FCSを加えた培養液で培地交換し、トランスフェクションした後48時間後の上清をレンチウイルス液とした。
実施例1に記載の方法と同様の手法を用いて、NUP98−HOXA9を発現させ不死化した骨髄細胞と調製したレンチウイルス液とを混ぜ、8μg/ml polybreneを加えて、32 ℃下1,200xgで2時間遠心し、細胞にレンチウイルスを感染させた。その細胞をStemPro-34 SFM (GIBCO) に2.5% nutrient supplement (Gibco)、2mM L-glutatamine (Sigma)、10ng/ml IL-3 (Peprotech)、50ng/ml SCF (Peprotech)、10 ng/ml OSM (R&D systems)、1% penicillin-streptomycin(Sigma)及び0.1% tylosin (Sigma)を添加した培地で、一晩、37 ℃、5% CO2条件下で培養し、次の日8μg/ml puromycin存在下で実施例1に記載のメチルセルロース培地を用いてウイルス感染させた細胞を3日間培養した。その後、できたコロニーをPBSを用いてはがしてメチルセルロース培地に再播種し、37℃、5% CO2条件下で培養することでコロニー形成能を評価した。
また、FASNのmRNA発現量については、コロニー形成細胞からRNAをRNeasy Mini Kit (Qiagen)で精製し、SuperScript III First-Strand (Invitrogen)でcDNAに逆転写して、TaqMan probe sets: Fasn(Mn00662319_m1)とTbp (Mm00446973_m1)を用いてreal-time quantitative PCRで評価した。Tbpの発現量をコントロールとした。タンパク質発現量については、コロニー形成細胞を可溶化し、抗FASN抗体 (C20G5、Cell Signaling)、抗tubulin抗体 (H235、Santa Cruz)を用いて、当業者において公知のウェスタンブロッティング法で解析した。
その結果を図5に示す。
図5に示すようにFASNの発現をノックダウンすると(図5右)、NUP98−HOXA9を発現させたマウス骨髄細胞のコロニー形成能が阻害される(図5左)ことが明らかとなった。
この結果から、FASNを抑制することはNUP98融合遺伝子を有する白血病細胞の増殖阻害につながることが示唆された。
図5に示すようにFASNの発現をノックダウンすると(図5右)、NUP98−HOXA9を発現させたマウス骨髄細胞のコロニー形成能が阻害される(図5左)ことが明らかとなった。
この結果から、FASNを抑制することはNUP98融合遺伝子を有する白血病細胞の増殖阻害につながることが示唆された。
<実施例5>
次に、NUP98−HOXA9がFASNの酵素活性を阻害するかどうかを調べた。
293FT細胞にFLAG-tagのついたNUP98−HOXA9とFLAG-tagのついたFASNをそれぞれ実施例2に記載の方法と同様の手法を用いて発現させ、その細胞の可溶化物からそれぞれのタンパク質を精製した。in vitroで100μl反応液 (0.2M potassium phosphate buffer、pH 6.6、1mM DTT及び1mM EDTA)に精製した30μg FLAG-FASN、15マイクロg FLAG-NUP98-HOXA9、6 nmol Acetyl-CoA(Sigma)、48nmol NADPH (Sigma)、30 nmol Malonyl-CoA (Sigma)を混ぜた。37℃下でNADPHの消費量を340nmの吸光度を測定する (Nanodrop 2000c、Thermo Scientific)ことにより、FASNの酵素活性に与えるNUP98−HOXA9の影響を調べた。
次に、NUP98−HOXA9がFASNの酵素活性を阻害するかどうかを調べた。
293FT細胞にFLAG-tagのついたNUP98−HOXA9とFLAG-tagのついたFASNをそれぞれ実施例2に記載の方法と同様の手法を用いて発現させ、その細胞の可溶化物からそれぞれのタンパク質を精製した。in vitroで100μl反応液 (0.2M potassium phosphate buffer、pH 6.6、1mM DTT及び1mM EDTA)に精製した30μg FLAG-FASN、15マイクロg FLAG-NUP98-HOXA9、6 nmol Acetyl-CoA(Sigma)、48nmol NADPH (Sigma)、30 nmol Malonyl-CoA (Sigma)を混ぜた。37℃下でNADPHの消費量を340nmの吸光度を測定する (Nanodrop 2000c、Thermo Scientific)ことにより、FASNの酵素活性に与えるNUP98−HOXA9の影響を調べた。
その結果を図6に示す。
その結果、NUP98−HOXA9を加えるとNADPH消費量が減る、すなわちFASNの酵素活性が抑制されることが明らかとなった。
この結果からNUP98融合遺伝子を有する白血病細胞ではFASNの酵素活性が抑制されていることが予想された。
その結果、NUP98−HOXA9を加えるとNADPH消費量が減る、すなわちFASNの酵素活性が抑制されることが明らかとなった。
この結果からNUP98融合遺伝子を有する白血病細胞ではFASNの酵素活性が抑制されていることが予想された。
<実施例6>
NUP98−HOXA9、NUP98−DDX10、及びCALM−AF10を発現した細胞においてOrlistat、C75、ceruleninが前記細胞のコロニー形成を阻害するかどうかを調べた。
図7及び図8に示す各種融合遺伝子(NUP98−HOXA9、NUP98−DDX10、CALM−AF10、AML1−TMG8、MLL−ENL、MOZ−TIF2)を実施例1に記載の方法と同様の手法を用いてマウス骨髄細胞に導入し、メチルセルロース培地に再播種が可能な白血病細胞化した細胞と、未分化な正常マウス骨髄細胞をメチルセルロース培地に蒔き、0μM〜30μM Orlistat (Sigma)、0μM〜30μM C75 (Sigma)、及び0μM〜30μM cerulenin (Sigma)存在下でのコロニー形成能を調べた。
NUP98−HOXA9、NUP98−DDX10、及びCALM−AF10を発現した細胞においてOrlistat、C75、ceruleninが前記細胞のコロニー形成を阻害するかどうかを調べた。
図7及び図8に示す各種融合遺伝子(NUP98−HOXA9、NUP98−DDX10、CALM−AF10、AML1−TMG8、MLL−ENL、MOZ−TIF2)を実施例1に記載の方法と同様の手法を用いてマウス骨髄細胞に導入し、メチルセルロース培地に再播種が可能な白血病細胞化した細胞と、未分化な正常マウス骨髄細胞をメチルセルロース培地に蒔き、0μM〜30μM Orlistat (Sigma)、0μM〜30μM C75 (Sigma)、及び0μM〜30μM cerulenin (Sigma)存在下でのコロニー形成能を調べた。
その結果を図7及び図8に示す。
その結果、orlistatは、NUP98−HOXA9、NUP98−DDX10、及びCALM−AF10を発現した細胞において、そのコロニー形成能を強く阻害した。一方、orlistatは、その他の融合遺伝子(AML1−TMG8、MLL−ENL、MOZ−TIF2)によるコロニー形成能及び正常な造血細胞(c-kit陽性細胞)において、そのコロニー形成能をあまり阻害しなかった(図7左)。
また、実施例3に記載の方法と同様の手法を用いてFLAG-tagのついたCALM-AF10を293FT細胞に発現させて、CALM-AF10とFASNの結合を免疫沈降法で調べた。
その結果、CALM−AF10もFASNと結合することが明らかとなった(図7右)。
さらにorlistatと同様にFASN阻害剤として知られるC75やceruleninも、NUP98−HOXA9、NUP98−DDX10、及びCALM−AF10によるコロニー形成能を抑制した(図8)。
その結果、orlistatは、NUP98−HOXA9、NUP98−DDX10、及びCALM−AF10を発現した細胞において、そのコロニー形成能を強く阻害した。一方、orlistatは、その他の融合遺伝子(AML1−TMG8、MLL−ENL、MOZ−TIF2)によるコロニー形成能及び正常な造血細胞(c-kit陽性細胞)において、そのコロニー形成能をあまり阻害しなかった(図7左)。
また、実施例3に記載の方法と同様の手法を用いてFLAG-tagのついたCALM-AF10を293FT細胞に発現させて、CALM-AF10とFASNの結合を免疫沈降法で調べた。
その結果、CALM−AF10もFASNと結合することが明らかとなった(図7右)。
さらにorlistatと同様にFASN阻害剤として知られるC75やceruleninも、NUP98−HOXA9、NUP98−DDX10、及びCALM−AF10によるコロニー形成能を抑制した(図8)。
これらの結果は、FASN阻害剤がすべての白血病細胞の増殖を阻害するのではなく、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子又はAF10融合遺伝子を有する白血病細胞においてのみその増殖を阻害する作用を有し、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子又はAF10融合遺伝子を有しない白血病細胞や正常な造血細胞においてはその増殖を阻害する作用を有しないことを示した。
これより、FASN阻害剤は、NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病又は白血病細胞に対する白血病治療剤、白血病細胞増殖阻害剤又は造血幹細胞移植前処置剤等として有用であることが示唆された。
<実施例7>
NUP98を有する白血病細胞におけるFASNのタンパク質の発現レベルは増加していないことを調べた。
実施例1に記載の方法と同様の手法を用いて、NUP98−HOXA9、NUP98−DDX10、MOZ-TIF2で不死化したマウス骨髄細胞及び正常な未分化な骨髄細胞が形成したコロニーを回収し、細胞を可溶化し、実施例4に記載の方法と同様の手法を用いてFASNのタンパク質の発現レベルをウェスタンブロッティング法で調べた。
NUP98を有する白血病細胞におけるFASNのタンパク質の発現レベルは増加していないことを調べた。
実施例1に記載の方法と同様の手法を用いて、NUP98−HOXA9、NUP98−DDX10、MOZ-TIF2で不死化したマウス骨髄細胞及び正常な未分化な骨髄細胞が形成したコロニーを回収し、細胞を可溶化し、実施例4に記載の方法と同様の手法を用いてFASNのタンパク質の発現レベルをウェスタンブロッティング法で調べた。
その結果を図9に示す。
FASN阻害剤は、NUP98融合遺伝子をもつ白血病細胞に有効であったが、図9に示すように、これらの細胞でFASNのタンパク質が過剰発現していることはなかった。
この結果から、NUP98融合遺伝子をもつ白血病細胞にFASN阻害剤が有効であったのは、FASNのタンパク質が過剰発現しているからではないことが明らかとなった。実施例5に記載の結果と併せて考えると、低く抑えられているNUP98融合遺伝子をもつ白血病細胞のFASNの活性をさらにFASN阻害剤で阻害することは、治療に効果的であることが示唆された。
FASN阻害剤は、NUP98融合遺伝子をもつ白血病細胞に有効であったが、図9に示すように、これらの細胞でFASNのタンパク質が過剰発現していることはなかった。
この結果から、NUP98融合遺伝子をもつ白血病細胞にFASN阻害剤が有効であったのは、FASNのタンパク質が過剰発現しているからではないことが明らかとなった。実施例5に記載の結果と併せて考えると、低く抑えられているNUP98融合遺伝子をもつ白血病細胞のFASNの活性をさらにFASN阻害剤で阻害することは、治療に効果的であることが示唆された。
Claims (19)
- NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病の治療剤であって、
FASN阻害剤を有効成分として含有する白血病治療剤。 - 前記FASN阻害剤が、orlistat、C75、cerulenin又はshRNAであることを特徴とする請求項1に記載の白血病治療剤。
- 前記白血病が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群又は急性リンパ性白血病であることを特徴とする請求項1又は2に記載の白血病治療剤。
- 第2の白血病治療剤と併用されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の白血病治療剤。
- 前記第2の白血病治療剤が、cytarabine、dounorubicin、doxorubicin又はidarubicinであることを特徴とする請求項4に記載の白血病治療剤。
- NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病細胞の増殖阻害剤であって、
FASN阻害剤を有効成分として含有する白血病細胞増殖阻害剤。 - 前記FASN阻害剤が、orlistat、C75、cerulenin又はshRNAであることを特徴とする請求項6に記載の白血病細胞増殖阻害剤。
- 前記白血病細胞が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群又は急性リンパ性白血病を罹患しているヒト又はヒト以外の動物の細胞であることを特徴とする請求項6又は7に記載の白血病細胞増殖阻害剤。
- 第2の白血病細胞増殖阻害剤又は第2の白血病治療剤と併用されることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の白血病細胞増殖阻害剤。
- 前記第2の白血病細胞増殖阻害剤が、cyclophosphamide、melphalan、cisplatin又はetoposideであることを特徴とする請求項9に記載の白血病細胞増殖阻害剤。
- 前記第2の白血病治療剤が、cytarabine、dounorubicin、doxorubicin又はidarubicinであることを特徴とする請求項9又は10に記載の白血病細胞増殖阻害剤。
- NUP98融合遺伝子、CALM融合遺伝子及びAF10融合遺伝子の少なくとも一方の融合遺伝子を有する白血病の造血幹細胞移植前処置剤であって、FASN阻害剤を有効成分として含有する造血幹細胞移植前処置剤。
- 前記FASN阻害剤が、orlistat、C75、cerulenin又はshRNAであることを特徴とする請求項12に記載の造血幹細胞移植前処置剤。
- 前記白血病が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群又は急性リンパ性白血病であることを特徴とする請求項12又は13に記載の造血幹細胞移植前処置剤。
- 第2の造血幹細胞移植前処置剤と併用されることを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の造血幹細胞移植前処置剤。
- 前記第2の造血幹細胞移植前処置剤が、cyclophosphamide、busulfan、cytarabine又はVP16であることを特徴とする請求項15に記載の造血幹細胞移植前処置剤。
- 白血病治療剤、白血病細胞増殖阻害剤又は造血幹細胞移植前処置剤の効果又は有効性を判定する方法であって、
ヒト又はヒト以外の動物の白血病細胞におけるFASNの酵素活性を測定する第1の工程と、
FASN阻害剤と前記白血病細胞とを接触させる第2の工程と、
第2の工程後の白血病細胞におけるFASNの酵素活性を測定する第3の工程と、
を含むことを特徴とする効果判定方法。 - 前記FASN阻害剤が、orlistat、C75、cerulenin又はshRNAであることを特徴とする請求項17に記載の効果判定方法。
- 前記白血病が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群又は急性リンパ性白血病であることを特徴とする請求項17又は18に記載の効果判定方法。
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WO2023127879A1 (ja) * | 2021-12-28 | 2023-07-06 | Jcrファーマ株式会社 | 安全な遺伝子治療のための抗トランスフェリン受容体抗体と生理活性を有する蛋白質との融合蛋白質 |
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2014
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