JP2015210914A - 電源システム - Google Patents
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Abstract
【課題】商用電源に接続されていなくても使用可能で、二次電池の交換などのメンテナンスの頻度を大幅に低減し、かつ、特に寒冷な環境での運搬・設置を考慮した、長期に連続駆動が可能な電源システムを提供する。【解決手段】少なくとも、出力が3〜300Wの範囲である燃料電池と二次電池を含む電源システムであって、該燃料電池は該二次電池を充電可能であり、かつ該燃料電池及び該二次電池から外部への電力供給手段を有し、該電力供給手段は、直接、DC/DCコンバーター、及びDC/ACインバーターからなる群より選ばれる1種以上の手段であり、かつ該電源システムは、少なくとも複数の筐体に収納されてなる状態で運搬し、連結した後、動作させる電源システムであって、かつ、少なくとも、燃料電池を収容する筐体内部に発熱体を収容した状態で運搬する電源システム【選択図】なし
Description
本発明は、燃料電池と二次電池を組み合わせた独立電源システムに関するものであり、特に電源システムの寒冷な地域における運搬方法に係わるものである。
これまで、電源システム、特に屋外で独立電源として使用する電源システムの例として二次電池を用いたものが多数提案されている。例えば、可搬式のリチウムイオン電池は多数市販されているが、長期間連続的に使用するためには、二次電池の容量を増やすしかない。特に屋外で計測又は観測システムに使用する例としてCO2計測(特許文献1)、温度などの環境計測(特許文献2)、災害の検知(特許文献3)などが挙げられるが、二次電池は一度放電すると充電する必要があるという問題がある。また電池容量に比例して重くなるため、可搬性に乏しいという問題もあった。
また、二次電池に電気エネルギーを補給するために、風力発電装置や太陽光発電を組み合わせることも多数提案されているが、自然エネルギーを利用した発電システムであるため、安定的な電源確保が困難であった。
そのような問題を解決するために、長期間の電源供給を目的として、例えばリチウムイオン電池とダイレクトメタノール型燃料電池を組み合わせた電源(特許文献4、特許文献5)が紹介されているが、特に寒冷な地域での運搬・設置を考えた電源システムとしてまで検討されたものではなかった。
寒冷な環境での運搬・設置を考慮した、長期に連続駆動が可能な燃料電池と二次電池を組み合わせた電源システムを提供する。
上記課題を解決するために、本発明は、次に示す電源システムを提供する。
(1)少なくとも、出力が3〜300Wの範囲である燃料電池と二次電池を含む電源システムであって、該燃料電池は該二次電池を充電可能であり、かつ該燃料電池及び該二次電池から外部への電力供給手段を有し、該電力供給手段は、直接、DC/DCコンバーター、及びDC/ACインバーターからなる群より選ばれる1種以上の手段であり、かつ該電源システムは、少なくとも複数の筐体に収納されてなる状態で運搬可能であり、該複数の筐体を接続することで動作可能な電源システムであって、かつ、少なくとも、燃料電池を収容する筐体内部に発熱体を収容した状態で運搬可能な電源システムである。
(2)(1)の範囲の電源システムであって、前記発熱体は、電気式ヒーター、蓄熱式暖房・保温器具、又は化学反応を利用した暖房・保温器具から選ばれることを特徴とする電源システムである。
(3)前記燃料電池を収容する筐体は着脱式の保温体で覆われていることを特徴とする(1)又は(2)に記載の電源システムである。
(4)前記燃料電池は、ダイレクトメタノール型燃料電池、或いはメタノール改質型燃料電池のいずれかであることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の電源システムである。
(2)(1)の範囲の電源システムであって、前記発熱体は、電気式ヒーター、蓄熱式暖房・保温器具、又は化学反応を利用した暖房・保温器具から選ばれることを特徴とする電源システムである。
(3)前記燃料電池を収容する筐体は着脱式の保温体で覆われていることを特徴とする(1)又は(2)に記載の電源システムである。
(4)前記燃料電池は、ダイレクトメタノール型燃料電池、或いはメタノール改質型燃料電池のいずれかであることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の電源システムである。
本発明の電源システムは、寒冷な地域でも運搬・設置が容易となる独立電源システムである。
電源として商用電源が幅広く利用されているが、場所によっては商用電源の使用が困難という問題がある。そのような商用電源への接続が困難である場合に、電力供給手段として独立電源が使用されるが、例えば二次電池によるものは、特に可搬タイプの場合、持ち運べる重量には限界があるため、供給できる電力は僅かである。一方、太陽電池や風力発電などの自然エネルギーを利用した電源と二次電池を組み合わせた電源システムも提案されているが、太陽電池や風力発電は、積雪や降雨などの天候不順、及び周囲環境によって日照時間が減少、或いは風の強弱などにより、発電量もそれに応じて変動してしまう問題があり、両者を組み合わせた電源システムは安定性に問題があった。また持ち運びが可能なサイズの太陽電池は最大出力が数十Wまでであり可搬性にも問題がある。風力発電も同様である。
その他の独立電源として、例えば燃料電池と蓄電池を組み合わせた電源も検討されているが、要素技術を検討したものであり、特に寒冷地への運搬・設置を考えて検討されている例はほとんどない。
そこで本発明における電源システムは、特に、寒冷地への運搬・設置を考慮した、燃料電池と二次電池を組み合わせた可搬型の電源システムに関するものである。
本発明は、少なくとも、出力が3〜300Wの範囲である燃料電池と二次電池を含む電源システムであって、該燃料電池は該二次電池を充電可能であり、かつ該燃料電池及び該二次電池から外部への電力供給手段を有し、該電力供給手段は、直接、DC/DCコンバーター、及びDC/ACインバーターからなる群より選ばれる1種以上の手段であり、かつ該電源システムは、少なくとも複数の筐体に収納されてなる状態で運搬可能であり、該複数の筐体を接続することで動作可能な電源システムであって、かつ、少なくとも、燃料電池を収容する筐体内部に発熱体を収容した状態で運搬可能な電源システムである。
燃料電池に関する検討は、多数行われており、例えば、電気化学便覧第6版p616〜637に記載されている。中でも高分子電解質膜を利用する燃料電池は、電解質としてプロトン伝導性のイオン交換膜を用い、その表面に触媒電極微粒子とガス拡散電極が直接接合されており、このイオン交換膜−電極接合体のアノード側に水分を含む水素ガスやメタノール水溶液など化石燃料を供給し、カソード側に酸素を含むガス、例えば酸素や空気を供給することで、触媒作用により電気と熱を取り出せる化学反応を使った発電システムである。化学反応による発電のため、内燃機関と異なり、カルノーサイクルに支配されない、高効率発電が可能である。内燃機関による発電の場合、騒音がうるさく、また排ガスに一酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物、SPMなどの有害物質が多量に混入する可能性があるので、クリーンな電源システムとは言えない。一方で、燃料電池は反応やイオン交換膜のプロトン伝導度を高く保つために水分が必要という側面も持ち、燃料電池内部に水が存在するため、寒冷地では凍結する可能性があった。
燃料電池の一般的な概念図を図1に示し、これを元に説明すると、少なくとも燃料電池は、前述のイオン交換膜−電極接合体と、アノードに接する面に燃料を供給するための燃料流路と、カソードに接する面に酸化剤を供給するための酸化剤流路とを形成したセパレータと、を有する単セル、或いは複数の単セルを積層したスタック(1)と、単セル或いはスタックの燃料入り口に燃料を供給する燃料供給機構及び必要に応じて燃料を循環する機構(2)と、単セル或いはスタックの酸化剤入り口に主に空気からなる酸化剤を供給する酸化剤供給機構及び必要に応じて循環する機構(3)と、単セル或いはスタックから排出される排ガスを直接或いは間接的に外部に排出する機構(4)、さらに単セル或いはスタックから生じる直流電流(5)を、制御機構(6)を介し、外部に供給(7)する機構と、これらを収納する収納機構(8)とからなり、また、温度も含めてこれら機構を制御する機構を有するものである。具体例としては多数あるが、例えば、電気化学便覧第6版、P636やP620に、(1)、(2)、(3)、(4)や(8)の部分が示されていたり、特開2013−77429、EP2239808などに内部の構造が記載されているが、限定されるものではなく、燃料電池を表現する際、前記単セルやスタックを燃料電池として示すことも多いが、本発明における燃料電池とは、図1の概念図に示される燃料電池への燃料や酸化剤の供給や制御を含む機構や温度制御が含まれた燃料電池システムを示す。ここで燃料供給機構には、燃料タンクからの燃料供給を含み、燃料タンク自体は、前記収容機構内部にあっても外部にあっても好ましいものである。
本発明においては、前記燃料電池は二次電池と電気的に接続され、燃料電池で発電した電力を二次電池に充電できることを特徴とする。
燃料電池の出力としては、3Wから300Wの範囲が好ましく、さらに好ましくは10W〜250Wの範囲であり、さらに好ましくは25W〜200Wの範囲である。出力が3Wに満たない場合、電力供給量が不足する可能性がある。一方300Wを越える場合は、消費燃料が多く、かつ重量も増加するので、屋外で使用する独立式の電源システムには向かない傾向にある。
本発明においては、燃料電池の起動には電力を使用するため、電気的に接続した二次電池から、燃料電池の起動時に二次電池に蓄えられた電力を使用できる構成が好ましい。また燃料電池起動後は、燃料電池から二次電池に電力供給して充電することが可能となる構成が好ましい。その場合、燃料電池は二次電池の状態を常にモニタリングすることで、二次電池の充電状態を監視し、二次電池の充電状態が常に任意に設定した範囲内となるよう、燃料電池の起動停止を行うことが好ましい構成である。
燃料電池と二次電池を組み合わせ、さらには燃料電池及び二次電池から外部への電力供給手段を有すると独立電源システムとしての使用が可能となる。二次電池のみからなる可搬型電源システムでは、電力を消費し二次電池の容量がなくなると全く使えなくなる問題があったが、燃料電池と接続することで、二次電池への充電が可能となり、一定の範囲の充電状態に二次電池を管理できるため、燃料が続く限りの長期間電力を供給することができ、可搬型電源システムの動作時間を長くすることができ、ひいてはより安定性の高いシステムを提供することができる。
燃料電池と連結する二次電池としては、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、バナジウム電池、などが好適な例として挙げられる。特に好ましくは、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池あるいはリチウムイオン電池である。鉛蓄電池やニッケルカドミウム電池は信頼性の高い電池であり、本発明の屋外用の電源システムにおいて信頼性の高いものを提供することに有効である。リチウムイオン電池は小型化が可能なため、持ち運びに優れるといったメリットを提供することができる。また、二次電池としては、繰返し充放電に耐久性があるものが好ましく、温度特性も考慮すると、鉛蓄電池やニッケルカドミウム電池が好ましく、特に本発明に好ましい二次電池は鉛蓄電池、中でもディープサイクルタイプの鉛蓄電池である。
前記二次電池の容量としては、用途に応じて適宜選択可能であるが、20時間率容量として5Ah〜250Ahのものを使用することが好ましい傾向にある。特に好ましくは、10Ah〜150Ahである。5Ah以下であると、電池の容量が不足する傾向にあり、250Ahを越えると重くなりすぎる傾向にある。一例として、45Wの場合10Ah〜100Ah、110Wの場合50Ah〜200Ah、が一つの目安である。燃料電池の出力に対して二次電池の容量が小さすぎると直ぐに充電が完了し、燃料電池の起動停止の頻度が高くなるため好ましくなく、大きすぎると満充電に至らず必要以上に燃料を消費する傾向にある。
従って燃料電池を二次電池と組合せ、二次電池を電力バッファとして用い、二次電池の充電状態の変化や稼動条件の変化をモニタリングしながら、燃料電池を運転することは本発明の電源システムとして好ましい様態である。例えば二次電池の電圧が降下して下限設定値A以下になった場合に前記燃料電池による発電によって二次電池への充電を行い、また前記二次電池の電圧が上昇して上限設定値B以上になった場合に前記燃料電池による発電を停止し二次電池への充電を停止する機構を有することで、二次電池を常に設定範囲の充電状態を保つことが可能となり、かつ、不必要に燃料電池を動かす必要がなくなるため、必要最小限の燃料消費で運転することが可能となる。そのため燃料を有効に使うことが可能となり、長時間電気を供給することができる。よって常時安定的に、信頼性の高い電源として動作させることが可能である。
また前記下限設定値A及び上限設定値Bがいずれも変更可能であることで、二次電池の状態に適した運転が可能となる。鉛蓄電池における目安としては、−20℃の場合、下限設定値Aは10.5〜13.0V、上限設置値Bは13.5〜14.7Vの範囲である。また20℃の場合、下限設定値Aは、10.5〜12.3V、上限設定値Bは、13.0V〜14.3Vの範囲である。電流も同時に制御することも好ましい方法である。
また、燃料電池及び二次電池から外部への電力供給手段としては、直接或いはDC/DCインバーター或いはDC/ACインバーターの少なくとも一つ以上の手段を介して外部に電気を供給する仕組みであることが必要である。DC/DCインバーター或いはDC/ACインバーターの種類は任意のものを選ぶことができる。好ましいDC/DCインバーター或いはDC/ACインバーターは、出力10W〜350Wの範囲のDC/DCインバーター或いはDC/ACインバーターである。出力が10W未満であると電源として出力が足りない傾向にあり、350Wを越えるようなDC/DCインバーター或いはDC/ACインバーターは、一般的に待機電力が大きいため、無駄な燃料消費が発生し好ましくない。なおDC/ACインバーターのAC出力としては正弦波のでるものが特に好ましい傾向にあるが、制限されるものではない。例えば図2に構成の模式図を示すが、燃料電池(9)のプラス極およびマイナス極は、それぞれ二次電池(10)のプラス極とマイナス極に電線を通じて接続されており、また外部への電力供給手段(11)に接続されており、加えて、外部の機器(12)に接続されている構成は好ましい形態である。
本発明において電源システムは複数の筐体に収納されてなる状態で運搬し、組み立てる。電源システムを屋外で使う場合には、風雨や雪等の環境にさらされるため、燃料電池および二次電池は筐体内に設置することで、外部環境から保護されることが必要であり、かつ可搬性能を上げ、設置場所による制限を減らすために、運搬時の重量を減らす目的で、複数の筐体に収納し、運搬後に、各筐体を繋げて動作可能な状態にすることを特徴とする。山間部などへの可搬性を考慮すると各30kg以下であることが好ましい。重量が30kgを越える場合、電源システムとして持ち運びが困難となる傾向にある。より好ましくは25kg以下であり、さらに好ましくは20kg以下である。
本発明では、このように可搬性に優れた分割型の燃料電池を対象とするものであるが、分割するが故に、運搬時は燃料電池の温度調節機能が動作しないため、低温環境となった場合でも凍結が起こらないようにする温度調節機能が動作しないという問題がある。そのため、前述のように燃料電池を動作させる前に、気温が0℃以下であると、水が燃料電池内部で凍結し、燃料や空気などの流路を塞ぐなど停止や故障に繋がる場合がある。
そこで本発明の電源システムは、少なくとも、燃料電池を収容する筐体内部に発熱体を収容した状態で運搬可能であることを特徴としている。それにより、運搬時の燃料電池内部での凍結を防止することが可能である。
発熱体は、電気式ヒーター、蓄熱式暖房・保温器具、化学反応を利用した暖房・保温器具から選ぶことが可能である。電気式ヒーターの場合は、電源システムに使用する二次電池から電気を供給することの他、別途準備した電池とヒーターを接続して使用することができる。蓄熱式暖房・保温器具としては、熱容量の高い媒体に予め蓄熱しておき、それを筐体内部に入れておくことができる。また化学反応を利用した暖房・保温器具としては、酸素と反応することで発熱する特徴を持つ発熱体は有効に使用することができる。この中で特に好ましいのは、化学反応を利用した暖房・保温器具であり、二次電池の電力消費が不要であり、また蓄熱式暖房・保温器具よりも、長時間凍結を防止できる効果がある。
化学反応を利用した暖房・保温器具としては、例えば、白金などの触媒を介在し、燃料を燃焼することで発熱するものが好ましい。また鉄の酸素による酸化反応で生じる発熱を利用するものも好ましい例である。発熱量としては、単位時間当たり3kcal〜100kcalであることが好ましい。発熱量が3kcal以下であると、凍結しやすい傾向にあり、100kcalを超えると、発熱が多すぎて扱いにくい傾向がある。
また、筐体を形成する素材としては特に限定されるものではなく複数の素材を組み合わせて使用することが可能であるが、素材としては、例えばジュラルミンなどのアルミニウム合金、ステンレス、ポリカーボネートなどのプレスチック、木材などがある。寒冷地での使用に際しては、発生する熱を筐体内温度の保温に利用する方が好ましいため、例えば、筐体の一部に保温素材を用いることも可能であり、例えば、保温素材としては、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、フェノールフォームは好ましい例である。
また特に運搬・設置する際、燃料電池を収容する筐体は着脱式の保温体で覆われていることが好ましい。運搬時の燃料電池の温度低下を抑える効果がある。保温体の素材としては、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、フェノールフォームは好ましい例である。保温素材の厚みとしては、0.3cm〜20cmの範囲にあることが好ましい。厚みが0.3cm未満であると、筐体内部の温度が低下しやすい傾向にあり、一方20cmよりも厚いと電源システムとしての大きくなるため、可搬性が低下する傾向にある。より好ましくは0.5cm〜10cmである。
本発明における燃料電池としては、特に燃料にはメタノールを用いることが好ましい。積雪時の寒冷な環境でも凍結せず、取扱性に優れることに加え、高エネルギー密度のため、長期間駆動に適した燃料といえる。従って燃料電池としては、ダイレクトメタノール型燃料電池、或いはメタノール改質型燃料電池が好ましい。ここでいうダイレクトメタノール型燃料電池は、メタノール或いは希釈したメタノールを燃料電池に供給することで動作する燃料電池であり、メタノール改質型燃料電池は、メタノールを一旦改質器を経由させることで少なくともメタノールを改質器内部の触媒と反応させることで、少なくとも水素を取り出し、その水素を燃料電池に供給することで動作する燃料電池のことである。
発電可能な電力は、いずれも燃料量に比例するため、運転したい期間に併せて燃料タンクの大きさを変えることができる。燃料としてメタノールを用いる場合、燃料タンク内の燃料は40〜99.5%の範囲の濃度のメタノール水溶液であることが好ましい。例えば濃度50%である場合、備蓄量などに規制がないため取り扱いに優れるという長所がある。一方で高濃度になるほど長時間使用可能となる長所がある。より好ましくは90%〜99.5%の範囲である。
特にダイレクトメタノール型燃料電池としては、前記高濃度燃料を取り込んだ後、燃料電池本体にて、希釈後、燃料電池スタックに希釈メタノールが供給される構成が好ましい。高濃度のメタノールが燃料電池スタックに流れ込むと、出力低下に繋がる可能性があるため、希釈メタノールの濃度は、0.3%〜10%の範囲であることが特に好ましい。
また燃料量としては、1回の燃料交換にて、0.6kWh〜90kWhの電力量を供給可能であることが好ましい。電源システムの効率によるが、メタノールとして1L〜80Lが目安である。1回の燃料交換にて供給可能な電力量が0.6kWhよりも小さいと、燃料交換頻度が高く、メンテナンスが煩雑となる傾向にあり、90kWhよりも大きいと燃料が重く交換が難しくなる傾向にある。
また、前記二次電池に対し、自然エネルギーによる充電機構も有することは好ましい構成である。太陽光発電装置、風力発電装置、水力発電装置との組み合わせにより、さらにメンテナンス頻度を低減することができ、さらに長期間の連続駆動が可能になる。特に好ましい組合せは小型の太陽光発電装置である。
また本発明の電源システムから供給された電力を用いて計測又は観測システムを作動することができる。該計測又は観測システムを構成する機器としては、任意に選ぶことが可能であるが、例えば、雨量計、地震計、温湿度計、地すべりセンサー、濃度計、監視カメラ、赤外線センサー、気圧計、風速計、水位センサー、圧力センサー、変位センサー、風速センサー、地下探査、放射性物質濃度センサー、放射線量センサー、照明、位置センサー、コンピューター、無線通信機器、などがある。また、画像・音声・データの記録装置など、その他機器と併せて使用することは有用であり、データを、無線通信機器によって送信し、別の場所で遠隔モニタリングすることができる。
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。
燃料電池として、SFC Energy社製EFOY Pro800(出力45W、ダイレクトメタノール型燃料電池)を用い、別途、SFC Energy社製の燃料カートリッジであるM5と接続し、厚み3mmのジュラルミン製筐体(52cm×65cm×25cm)に収納した。該筐体には、燃料電池に空気を供給するための吸気口を設けた。重量は18kgであった。別途、12V−26Ahディープサイクル鉛蓄電池から10W−DC/DCコンバーターに接続したものを同様に同じタイプのジュラルミン製筐体(52cm×65cm×25cm)に収納した。重量は、15kgであった。二つの筐体に分けて収納する構成とすることで、各筐体ともに一人でも運搬できる可搬性に優れるものであった。燃料電池並びに燃料カートリッジを収納した筐体に発熱体として、発熱量13kcal/時間のオイル式カイロ2個を入れ、さらに厚み2cmのウレタン性保温体で覆った状態で、鉛蓄電池並びにコンバーターを収納した筐体と共にマイナス20℃で3時間放置した。筐体内部に発熱体をいれ、かつ保温体で保温した燃料電池および燃料カートリッジを収納した筐体内部は、3時間放置後も0℃を下回らなかったが、鉛蓄電池及びコンバーターを入れた筐体内部の温度は、マイナス5℃であった。その後、組み立てて、発熱体及び保温体を取り外し、起動したところ良好に動作した。従って本発明の電源システムは、寒冷な環境下における運搬・設置に適した電源システムであるといえる。
本発明によると、寒冷な環境でも、運搬・設置が容易な燃料電池を用いた発電システムを提供できる。
(1)単セル、或いは複数の単セルを積層したスタック
(2)単セル或いはスタックの燃料入り口に燃料を供給する燃料供給機構及び必要に応じて燃料を循環する機構
(3)単セル或いはスタックの酸化剤入り口に主に空気からなる酸化剤を供給する酸化剤供給機構及び必要に応じて循環する機構
(4)単セル或いはスタックから排出される排ガスを直接或いは間接的に外部に排出する機構
(5)単セル或いはスタックから生じる直流電流
(6)単セル或いはスタックから生じる直流電流の制御機構
(7)制御機構を通して制御した単セル或いはスタックから生じる直流電流を外部に供給する機構
(8)収納機構
(9)燃料電池
(10)二次電池
(11)外部への電力供給手段
(12)外部の機器
(2)単セル或いはスタックの燃料入り口に燃料を供給する燃料供給機構及び必要に応じて燃料を循環する機構
(3)単セル或いはスタックの酸化剤入り口に主に空気からなる酸化剤を供給する酸化剤供給機構及び必要に応じて循環する機構
(4)単セル或いはスタックから排出される排ガスを直接或いは間接的に外部に排出する機構
(5)単セル或いはスタックから生じる直流電流
(6)単セル或いはスタックから生じる直流電流の制御機構
(7)制御機構を通して制御した単セル或いはスタックから生じる直流電流を外部に供給する機構
(8)収納機構
(9)燃料電池
(10)二次電池
(11)外部への電力供給手段
(12)外部の機器
Claims (4)
- 少なくとも、出力が3〜300Wの範囲である燃料電池と二次電池を含む電源システムであって、該燃料電池は該二次電池を充電可能であり、かつ該燃料電池及び該二次電池から外部への電力供給手段を有し、該電力供給手段は、直接、DC/DCコンバーター、及びDC/ACインバーターからなる群より選ばれる1種以上の手段であり、かつ該電源システムは、少なくとも複数の筐体に収納されてなる状態で運搬可能であり、該複数の筐体を接続することで動作可能な電源システムであって、かつ、少なくとも、燃料電池を収容する筐体内部に発熱体を収容した状態で運搬可能な電源システム。
- 請求項1の範囲の電源システムであって、前記発熱体は、電気式ヒーター、蓄熱式暖房・保温器具、又は化学反応を利用した暖房・保温器具から選ばれることを特徴とする電源システム。
- 前記燃料電池を収容する筐体は着脱式の保温体で覆われていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電源システム。
- 前記燃料電池は、ダイレクトメタノール型燃料電池、或いはメタノール改質型燃料電池のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電源システム。
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JP2014091053A JP2015210914A (ja) | 2014-04-25 | 2014-04-25 | 電源システム |
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Cited By (1)
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JP2020137351A (ja) * | 2019-02-25 | 2020-08-31 | 株式会社新エネルギー総合研究所 | 風況観測システム、連続給電システム、及び連続給電方法 |
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- 2014-04-25 JP JP2014091053A patent/JP2015210914A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020137351A (ja) * | 2019-02-25 | 2020-08-31 | 株式会社新エネルギー総合研究所 | 風況観測システム、連続給電システム、及び連続給電方法 |
JP7244062B2 (ja) | 2019-02-25 | 2023-03-22 | 株式会社新エネルギー総合研究所 | 風況観測システム、連続給電システム、及び連続給電方法 |
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