JP2015207734A - オスミウム錯体集積体、この集積体の製造方法、及びこの集積体を用いた電気二重層キャパシタ - Google Patents
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Abstract
【課題】2,2´−ビイミダゾレートモノアニオンを配位子として有するオスミウム錯体から構成されたオスミウム錯体集積体を提供する。
【解決手段】本発明のオスミウム錯体集積体は、オスミウム(III)イオンに3個の2,2´−ビイミダゾレートモノアニオンが2座キレートとして配位している錯体分子から構成されており、この錯体分子どうしが隣接する2,2´−ビイミダゾレートモノアニオン間に形成された2つの水素結合を介して連結した構造を有している。ヘキサクロロオスミウム(IV)酸塩と2,2´−ビイミダゾールとを含む溶液にマイクロ波を照射して加熱還流した後、得られた液にアンモニアを添加すると、本発明の錯体集積体が沈殿する。この錯体集積体は、電気二重層キャパシタの電極のために好適に使用することができる。
【選択図】図3
【解決手段】本発明のオスミウム錯体集積体は、オスミウム(III)イオンに3個の2,2´−ビイミダゾレートモノアニオンが2座キレートとして配位している錯体分子から構成されており、この錯体分子どうしが隣接する2,2´−ビイミダゾレートモノアニオン間に形成された2つの水素結合を介して連結した構造を有している。ヘキサクロロオスミウム(IV)酸塩と2,2´−ビイミダゾールとを含む溶液にマイクロ波を照射して加熱還流した後、得られた液にアンモニアを添加すると、本発明の錯体集積体が沈殿する。この錯体集積体は、電気二重層キャパシタの電極のために好適に使用することができる。
【選択図】図3
Description
本発明は、2,2´−ビイミダゾレートオスミウム錯体から構成された集積体及びその製造方法に関する。本発明はまた、上記集積体を用いた電気二重層キャパシタに関する。
近年、「クリスタルエンジニアリング」といわれる、分子間相互作用の大きさや方向を合成化学的にデザインすることによって分子自身の集積構造を自在に制御しようとする試みが行われている(例えば、非特許文献1(日本結晶学会誌45(4),240−248(2003)参照)。
特に、2,2´−ビイミダゾレートモノアニオンは、中心金属イオンに二座キレートとして安定に配位結合しうる部位と、2,2´−ビイミダゾレートモノアニオンどうしが相補的な2つのNH−N水素結合を形成しうる部位とを有し、水素結合と配位結合とを同時に利用できるため、クリスタルエンジニアリングの分野で盛んに利用されてきた。そして、2個或いは3個の2,2´−ビイミダゾレートモノアニオンが二座キレートとしてニッケル(II)イオン、コバルト(III)イオン、クロム(III)イオン、ルテニウム(III)イオン、ロジウム(III)イオンなどに配位した錯体分子から構成され、この錯体分子どうしが隣接する2,2´−ビイミダゾレートモノアニオン間に形成された2つの水素結合を介して連結している錯体集積体がこれまでに知られている(上記非特許文献1参照)。
これらの錯体集積体は、上記錯体の原料となる遷移金属化合物と2,2´−ビイミダゾールとを含む溶液にオイルバス等により外部から熱を加えて加熱還流する工程を介して合成されている。これらの錯体集積体の電気化学的性質については、非特許文献2(Angew.Chem.Int.Ed.2007,46,5938−5942)に、二量体である{[ReCl2(PnBu3)2(Hbim)]}(PnBu3;トリn−ブチルホスフィン、Hbim;2,2´−ビイミダゾレートモノアニオン)の酸化還元反応に関する報告がなされているものの、これまでにほとんど調べられていない。
日本結晶学会誌45(4),240−248(2003)
Angew.Chem.Int.Ed.2007,46,5938−5942
一般に、2,2´−ビイミダゾレート遷移金属錯体から構成された集積体は、中心金属が重金属になるほど合成が困難である。オスミウムはルテニウムと同じ元素周期表の8族に属する金属であり、2,2´−ビイミダゾレートルテニウム錯体と同様の8面体構造を有する錯体から構成された集積体が得られるものと期待されるが、現実には、オスミウム化合物と2,2´−ビイミダゾールとを含む溶液にオイルバス等により外部から熱を加えて加熱還流した液からは、オキソ錯体が生成し、2,2´−ビイミダゾレートオスミウム錯体から構成された集積体が得られない。
そこで、本発明の目的は、2,2´−ビイミダゾレートオスミウム錯体から構成された新規な錯体集積体及びその製造方法を提供することである。本発明の別の目的は、この新規な錯体集積体の電気化学的性質を利用した電気二重層キャパシタを提供することである。
発明者らは、鋭意検討した結果、加熱還流する際の加熱手段としてマイクロ波を利用することにより、オキソ錯体の生成が抑制され、2,2´−ビイミダゾレートオスミウム錯体から構成された集積体が得られることを発見した。
したがって、本発明はまず、オスミウム(III)イオンに3個の2,2´−ビイミダゾレートモノアニオンが2座キレートとして配位している錯体分子から構成され、上記錯体分子どうしが隣接する2,2´−ビイミダゾレートモノアニオン間に形成された2つの水素結合を介して連結していることを特徴とする、新規なオスミウム錯体集積体に関する。
図1に、2個の2,2´−ビイミダゾレートオスミウム錯体の分子を示す。それぞれの錯体分子は、中心のオスミウム(III)イオンに3個の2,2´−ビイミダゾレートモノアニオンが2座キレートとして配位した、6配位8面体構造を有している。そして、図1において双方向矢印で示した隣接する2,2´−ビイミダゾレートモノアニオンどうしが、図2に示した、相補的な2つのNH−N水素結合を介して連結している。水素結合が2点で形成されることにより、強い結合力が生み出される。また、分子間の連結方向を相補的なNH−N水素結合の共平面が保たれるものに限定することができる。その結果、特異な連結構造を取るように自己組織化した錯体集積体が形成される。
自己組織化した錯体集積体の連結構造について説明する。2,2´−ビイミダゾレートオスミウム錯体には、光学異性体であるΔ体とΛ体とが存在する。Δ体とΛ体の双方の光学異性体を含む錯体集積体は、Δ体とΛ体とが交互に水素結合することにより、図3に示す、二次元のハニカムシート型連結構造を取るように自己組織化する。この連結構造では、オスミウム(III)イオンに配位している全ての2,2´−ビイミダゾレートモノアニオンがそれぞれ隣接する2,2´−ビイミダゾレートモノアニオンとの間に2つの水素結合を形成している。また、Δ体とΛ体を光学分割し、光学異性体を別々に水素結合させると、三次元の螺旋鎖型連結構造を取るように自己組織化する。図4には、Λ体のみから構成された錯体集積体の右巻き螺旋鎖型連結構造が示されている。Δ体のみを含む錯体集積体は、左巻き螺旋鎖を形成するように自己組織化する。これらの連結構造では、オスミウム(III)イオンに配位している2つの2,2´−ビイミダゾレートモノアニオンがそれぞれ隣接する2,2´−ビイミダゾレートモノアニオンとの間に2つの水素結合を形成しており、残りの一つの2,2´−ビイミダゾレートモノアニオンは一般に結晶化溶媒と相互作用している。
本発明はまた、上述した本発明のオスミウム錯体集積体の製造方法に関する。本発明のオスミウム錯体集積体は、ヘキサクロロオスミウム(IV)酸塩と2,2´−ビイミダゾールとを含む溶液にマイクロ波を照射して加熱還流する工程、及び、加熱還流後の液にアンモニアを添加して上記オスミウム錯体集積体を沈殿させる工程を含む方法により合成することができる。マイクロ波加熱により、オキソ錯体の生成が抑制され、本発明の錯体集積体を結晶化させることができる。
本発明はまた、本発明のオスミウム錯体集積体を含む電極を備えた電気二重層キャパシタに関する。電気二重層キャパシタにおいて酸化還元反応による容量を利用する技術自体は知られているが、上述したように、2,2´−ビイミダゾレート遷移金属錯体集積体の電気化学的性質に関する検討はほとんど行われておらず、したがって電気二重層キャパシタの電極に求められる性能を有しているか否かも不明であった。本発明の錯体集積体を利用した電気二重層キャパシタは、比較的大きな容量を示し、出力特性に優れている。
マイクロ波加熱を採用することにより、従来合成されていなかった2,2´−ビイミダゾレートオスミウム錯体から構成された錯体集積体を合成することができた。また、得られた錯体集積体を含む電極を備えた電気二重層キャパシタは、比較的大きな容量を有し、出力特性に優れている。
(A)オスミウム錯体集積体の合成
本発明のオスミウム錯体集積体は、オスミウム(III)イオンに3個の2,2´−ビイミダゾレートモノアニオンが2座キレートとして配位している錯体分子から構成されており、この錯体分子どうしが、隣接する2,2´−ビイミダゾレートモノアニオン間に形成された2つのNH−N水素結合を介して連結した構造を有している。このオスミウム錯体集積体は、ヘキサクロロオスミウム(IV)酸塩と2,2´−ビイミダゾールとを含む溶液にマイクロ波を照射して加熱還流する工程、及び、加熱還流後の液にアンモニアを添加して上記オスミウム錯体集積体を沈殿させる工程を含む方法により合成することができる。
本発明のオスミウム錯体集積体は、オスミウム(III)イオンに3個の2,2´−ビイミダゾレートモノアニオンが2座キレートとして配位している錯体分子から構成されており、この錯体分子どうしが、隣接する2,2´−ビイミダゾレートモノアニオン間に形成された2つのNH−N水素結合を介して連結した構造を有している。このオスミウム錯体集積体は、ヘキサクロロオスミウム(IV)酸塩と2,2´−ビイミダゾールとを含む溶液にマイクロ波を照射して加熱還流する工程、及び、加熱還流後の液にアンモニアを添加して上記オスミウム錯体集積体を沈殿させる工程を含む方法により合成することができる。
反応のための原料としては、2,2´−ビイミダゾールに加えて、ヘキサクロロオスミウム(IV)酸ナトリウム、ヘキサクロロオスミウム(IV)酸カリウム、ヘキサクロロオスミウム(IV)酸アンモニウム等のヘキサクロロオスミウム(IV)酸塩が使用される。これらは、単独で用いても良く、二種以上を混合して用いてもよい。
ヘキサクロロオスミウム(IV)酸塩及び2,2´−ビイミダゾールを溶解させる溶媒としては、これらを溶解させることができ、反応に悪影響を与えない溶媒であれば、特に限定なく使用することができるが、エチレングリコールを使用するのが好ましい。ヘキサクロロオスミウム(IV)酸塩と2,2´−ビイミダゾールとの割合は、モル比で、一般に1:3〜1:4の範囲である。
ヘキサクロロオスミウム(IV)酸塩及び2,2´−ビイミダゾールを溶解させた溶液にマイクロ波を照射して加熱還流し、ヘキサクロロオスミウム(IV)酸塩と2,2´−ビイミダゾールとの反応を促進させる。マイクロ波加熱のためには、市販のマイクロ波加熱装置を特に限定無く使用することができる。加熱還流の時間には厳密な制限がないが、一般には3〜15分の範囲である。
加熱還流後の液を必要に応じて濃縮した後に冷却し、次いで必要に応じて液に水を添加して過剰量の2,2´−ビイミダゾールを濾別した後、空気下で液にアンモニアを添加すると、オスミウム(III)イオンに3個の2,2´−ビイミダゾレートモノアニオンが2座キレートとして配位した錯体分子から構成され、この錯体分子どうしが隣接する2,2´−ビイミダゾレートモノアニオン間に形成される2つのNH−N水素結合を介して連結している錯体集積体が沈殿する。沈殿した錯体集積体は、光学異性体であるΔ体とΛ体の両方の錯体分子を含み、Δ体とΛ体とが交互に水素結合することにより二次元のハニカムシート型連結構造を取るように自己組織化した集積体である(図3参照)。
Δ体とΛ体の両方の錯体分子を含む溶液を光学分割カラムに通して光学分割し、Δ体とΛ体とに分離した後、結晶化させることにより、Δ体のみ或いはΛ体のみを含む錯体集積体を得ることができる。この錯体集積体は、3次元の螺旋鎖型連結構造を取るように自己組織化した集積体である(図4参照)。
(B)電気二重層キャパシタへの応用
本発明のオスミウム錯体集積体は、一対の電極とこれらの間に配置された非水系電解液を保持したセパレータとを備えた電気二重層キャパシタのために好適に使用することができる。
本発明のオスミウム錯体集積体は、一対の電極とこれらの間に配置された非水系電解液を保持したセパレータとを備えた電気二重層キャパシタのために好適に使用することができる。
活物質として本発明のオスミウム錯体集積体を含有する活物質層を集電体上に設けて、電気二重層キャパシタにおける一対の電極の一方を形成することができる。
集電体としては、白金、金、ニッケル、アルミニウム、チタン、鋼、カーボン等の導電材料を使用することができる。集電体の形状は、膜状、箔状、板状、網状、エキスパンドメタル状、円筒状等の任意の形状を採用することができる。
活物質層は、上述のオスミウム錯体集積体にバインダ及び導電材を混合した混合材料を用いて形成することができる。
バインダとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニル、カルボキシメチルセルロース等の公知のバインダを使用することができる。バインダの含有量は、活物質層の総量に対して1〜20質量%であるのが好ましい。1質量%以下であると活物質層の強度が十分でなく、20質量%以上であると容量などの電気化学的特性が不十分になる。
導電材としては、カーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛等の炭素材料、ニッケル及び鉄等の金属粉、ITO等の導電性酸化物、などの公知の導電材を含むことができる。これらの導電材の含有量は、活物質層の総量に対して1〜20質量%であるのが好ましい。1質量%以下であると活物質層の導電性が十分でなく、20質量%以上であると容量などの電気化学的特性が不十分になる。
上記混合材料を用いた電極は、バインダを溶解したクロロホルム、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、イソプロピルアルコール等の溶媒に本発明のオスミウム錯体集積体及び導電材を分散させ、得られた分散液をドクターブレード法などによって集電体上に塗工し、乾燥することにより作成することができる。また、得られた混合材料を網状の集電体で挟み、電極としても良い。
他方の電極には、公知の電気二重層容量を有する電極が使用される。この電極は、比表面積の大きな活性炭、カーボンナノチューブ等の炭素材料と、カーボンブラックなどの導電材と、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニル、カルボキシメチルセルロース等のバインダとから構成される。そして、バインダを溶解したクロロホルム、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、イソプロピルアルコール等の溶媒に上記炭素材料及び導電材を分散させ、得られた分散液をドクターブレード法などによって集電体上に塗工し、乾燥することにより作成することができる。
電気二重層キャパシタに使用されるセパレータとしては、例えばセルロース繊維布、ポリオレフィン繊維不織布、ガラス繊維不織布等が好適に使用される。電解液としては、非水系電解液と水系電解液とがあり、用途に応じて適宜選択される。
非水系電解液の溶媒としては、電気化学的に安定なエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、スルホラン、3−メチルスルホラン、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル及びジメトキシエタン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド又はこれらの混合物を好適に使用することができる。
非水系電解液の溶質としては、第4級アンモニウムカチオン又は第4級ホスホニウムカチオンを有する第4級アンモニウム塩又は第4級ホスホニウム塩を使用することができる。例えば、R1R2R3R4N+又はR1R2R3R4P+で表されるカチオン(ただし、R1、R2、R3、R4は炭素数1〜6個のアルキル基を表す)と、PF6 −、BF4 −、ClO4 −、N(CF3SO3)2 −、CF3SO3 −、C(SO2CF3)3 −、N(SO2C2F5)2 −、AsF6 −又はSbF6 −からなるアニオンとからなる塩、又はこれらの混合物を好適に使用することができる。特に、アニオンとしてPF6 −、BF4 −、ClO4 −、N(CF3SO3)2 −を使用した塩が溶質として好ましい。
本発明の錯体集積体を活物質として含む電極は、比較的高い容量を示す上に、優れた出力特性を示す。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明は以下の実施例に限定されない。
(A)オスミウム錯体集積体の合成
実施例1
0.3g(0.68mmol)の(NH4)2OsIVCl6を20cm3の水に溶解させた液に、マイクロ波を照射して、5分間加熱還流を行った。得られた液をエバポレーターで濃縮乾固させた後、0.36g(2.68mmol)の2,2−ビイミダゾールと30cm3のエチレングリコールとを添加し、再びマイクロ波を照射して、5分間加熱還流を行った。得られた液をマイクロ波照射により約10cm3まで濃縮した後、50cm3の水を加えて過剰の2,2−ビイミダゾールを濾別した。回収した濾液に空気下で0.2cm3のアンモニア水を加えたところ、青色の沈殿が析出した。析出した沈殿を濾過して回収し、水で十分に洗浄した後、乾燥させた。収率:0.40g(98.8%)。生成した沈殿は、{[OsIII(Hbim)3]}n(Hbim:2,2−ビイミダゾレートモノアニオン)で表されるハニカムシート型連結構造を有する錯体集積体であった。以下に高速原子衝撃質量分析(FAB−Mass)の分析結果と赤外線分光分析(IR)の分析結果を示す。FAB−Mass:M/z=590([Os(III)(Hbim)3]H+)、IR(KBr)(cm−1):3095,2524(br),1900,1608,1394,1333,1132,1105,752,690。また、図5に、X線結晶構造解析におけるORTEP図を示す。
実施例1
0.3g(0.68mmol)の(NH4)2OsIVCl6を20cm3の水に溶解させた液に、マイクロ波を照射して、5分間加熱還流を行った。得られた液をエバポレーターで濃縮乾固させた後、0.36g(2.68mmol)の2,2−ビイミダゾールと30cm3のエチレングリコールとを添加し、再びマイクロ波を照射して、5分間加熱還流を行った。得られた液をマイクロ波照射により約10cm3まで濃縮した後、50cm3の水を加えて過剰の2,2−ビイミダゾールを濾別した。回収した濾液に空気下で0.2cm3のアンモニア水を加えたところ、青色の沈殿が析出した。析出した沈殿を濾過して回収し、水で十分に洗浄した後、乾燥させた。収率:0.40g(98.8%)。生成した沈殿は、{[OsIII(Hbim)3]}n(Hbim:2,2−ビイミダゾレートモノアニオン)で表されるハニカムシート型連結構造を有する錯体集積体であった。以下に高速原子衝撃質量分析(FAB−Mass)の分析結果と赤外線分光分析(IR)の分析結果を示す。FAB−Mass:M/z=590([Os(III)(Hbim)3]H+)、IR(KBr)(cm−1):3095,2524(br),1900,1608,1394,1333,1132,1105,752,690。また、図5に、X線結晶構造解析におけるORTEP図を示す。
(B)キャパシタ性能の評価
実施例2
活物質としての実施例1で得られたオスミウム錯体集積体と、導電材としてのアセチレンブラックと、バインダとしてのポリフッ化ビニリデンとを質量比で45:45:10の割合で混合し、適量のN−メチルピロリドンを加えて混練することにより、スラリーを調製した。得られたスラリーを面積1cm2のアルミニウム箔上に塗布し、乾燥させて電極を得た。得られた電極を作用極とし、対極に活性炭シート、参照極に銀−銀イオン電極を用いて、三極式セルにてサイクリックボルタモグラムを測定した。電解液には1Mテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを溶解したプロピレンカーボネートを用いた。電位走査速度は10mVs−1とした。
実施例2
活物質としての実施例1で得られたオスミウム錯体集積体と、導電材としてのアセチレンブラックと、バインダとしてのポリフッ化ビニリデンとを質量比で45:45:10の割合で混合し、適量のN−メチルピロリドンを加えて混練することにより、スラリーを調製した。得られたスラリーを面積1cm2のアルミニウム箔上に塗布し、乾燥させて電極を得た。得られた電極を作用極とし、対極に活性炭シート、参照極に銀−銀イオン電極を用いて、三極式セルにてサイクリックボルタモグラムを測定した。電解液には1Mテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを溶解したプロピレンカーボネートを用いた。電位走査速度は10mVs−1とした。
比較例
実施例1で得られたオスミウム錯体集積体を用いた電極の代わりに活性炭シートを作用極として用いた点を除いて、実施例2の手順を繰り返した。
実施例1で得られたオスミウム錯体集積体を用いた電極の代わりに活性炭シートを作用極として用いた点を除いて、実施例2の手順を繰り返した。
表1から明らかなように、実施例2のオスミウム錯体集積体を含む電極は、比較例の活性炭シート電極と比較して、積分容量は約85%に留まったものの、約170%の微分容量を示した。
電極の出力特性を調査するために、サイクリックボルタモグラム測定の際の走査速度を変更し、積分容量の変化を調査した。図7にその結果を示す。図7では、走査速度5mVs−1における積分容量を100%として表した。図7から把握されるように、実施例2のオスミウム錯体集積体を含む電極は、比較例の活性炭シート電極に比較して、走査速度が増加しても積分容量の低下が小さく、優れた出力特性を示した。
本発明の2,2´−ビイミダゾレートオスミウム錯体が集積化した錯体集積体は、比較的高い容量と優れた出力特性を有するため、電気二重層キャパシタの電極のために使用することができる。
Claims (3)
- オスミウム(III)イオンに3個の2,2´−ビイミダゾレートモノアニオンが2座キレートとして配位している錯体分子から構成され、
前記錯体分子どうしが、隣接する2,2´−ビイミダゾレートモノアニオン間に形成された2つの水素結合を介して連結している
ことを特徴とするオスミウム錯体集積体。 - 請求項1に記載のオスミウム錯体集積体の製造方法であって、
ヘキサクロロオスミウム(IV)酸塩と2,2´−ビイミダゾールとを含む溶液にマイクロ波を照射して加熱還流する工程、及び、
加熱還流後の液にアンモニアを添加して前記錯体集積体を沈殿させる工程
を含むことを特徴とするオスミウム錯体集積体の製造方法。 - 請求項1に記載のオスミウム錯体集積体を含む電極を備えた電気二重層キャパシタ。
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JP2019085645A (ja) * | 2017-11-08 | 2019-06-06 | ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシーRohm and Haas Electronic Materials LLC | 銅電気めっき組成物及び基板上に銅を電気めっきする方法 |
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