JP2015206789A - 電流測定方法 - Google Patents

電流測定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015206789A
JP2015206789A JP2015080578A JP2015080578A JP2015206789A JP 2015206789 A JP2015206789 A JP 2015206789A JP 2015080578 A JP2015080578 A JP 2015080578A JP 2015080578 A JP2015080578 A JP 2015080578A JP 2015206789 A JP2015206789 A JP 2015206789A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transistor
potential
film
oxide semiconductor
oxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2015080578A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015206789A5 (ja
Inventor
加藤 清
Kiyoshi Kato
清 加藤
一馬 古谷
Kazuma Furuya
一馬 古谷
将志 津吹
Masashi Tsubuki
将志 津吹
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Original Assignee
Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd filed Critical Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Priority to JP2015080578A priority Critical patent/JP2015206789A/ja
Publication of JP2015206789A publication Critical patent/JP2015206789A/ja
Publication of JP2015206789A5 publication Critical patent/JP2015206789A5/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Testing Of Short-Circuits, Discontinuities, Leakage, Or Incorrect Line Connections (AREA)
  • Measurement Of Current Or Voltage (AREA)
  • Thin Film Transistor (AREA)

Abstract

【課題】微小な電流が測定可能な電流測定方法を提供する。
【解決手段】被試験用トランジスタのゲートに第1の電位を与え、被試験用トランジスタの第1の端子と、第1のトランジスタの第1の端子が電気的に接続されるノードに、第1のトランジスタを介して電荷を蓄積させ、第1のトランジスタを非導通にし、ノードと電気的に接続する読み出し回路の出力端子の第2の電位と、第1の電位を定期的に測定し、第2の電位から第1の電位を差し引いた値の時系列を作成し、時系列の傾きから、被試験用トランジスタの電流値を算出する。
【選択図】図1

Description

本発明の一態様は、半導体装置を流れる微小な電流の測定方法に関する。
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
なお、本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。トランジスタなどの半導体素子をはじめ、半導体回路、演算装置、記憶装置は、半導体装置の一態様である。撮像装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、電気光学装置、発電装置(薄膜太陽電池、有機薄膜太陽電池等を含む)、及び電子機器は、半導体装置を有している場合がある。
絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜を用いてトランジスタ(薄膜トランジスタ(TFT)ともいう)を構成する技術が注目されている。該トランジスタは集積回路(IC)や画像表示装置(表示装置)のような電子デバイスに広く応用されている。トランジスタに適用可能な半導体薄膜としてシリコンを代表とする半導体材料が広く知られているが、その他の材料として酸化物半導体が注目されている。
例えば、酸化亜鉛、またはIn−Ga−Zn酸化物半導体を用いてトランジスタを作製する技術が開示されている(特許文献1参照)。
ところで、液晶表示装置などの電荷保持型の半導体装置を作製する場合、トランジスタのオフ状態における特性(以下、オフ電流という)を知ることは極めて重要になる。トランジスタのオフ状態における特性にあわせて薄膜トランジスタのチャネル長やチャネル幅といったパラメータを決定することになるためである。
また、1×10−24A以下の電流値を測定することができる評価方法が特許文献2で開示されている。
特開2007−123861号公報 特開2011−237418号公報
トランジスタのオフ電流の測定において、ドレイン‐ゲート間、ドレイン‐ソース間、ドレイン‐基板間などに寄生容量が生じると、容量を介したリークが無視できなくなり、容量を介したノイズの侵入によって精度の良い測定ができなくなる。そのため、該寄生容量の影響をできるだけ低減し、本来のオフ電流(リーク電流ともいう)の値をより正確に知ることが求められている。
上述の問題に鑑み、本発明の一態様では、微小な電流が測定可能な電流測定方法の提供を課題の一とする。または、該電流測定方法を用いた半導体装置の検査方法の提供を課題の一とする。または、該電流測定方法を用いた半導体装置の提供を課題の一とする。または、検査方法を用いた半導体装置の提供を課題の一とする。または、特性評価用回路の提供を課題の一とする。または、新規な測定方法の提供を課題の一とする。または、本発明の一態様は、新規な半導体装置などを提供することを課題の一とする。なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はない。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
本発明の一態様は、被試験用トランジスタのゲートに第1の電位を与え、被試験用トランジスタの第1の端子と、第1のトランジスタの第1の端子が電気的に接続されるノードに、第1のトランジスタを介して電荷を蓄積させ、第1のトランジスタを非導通にし、ノードと電気的に接続する読み出し回路の出力端子の第2の電位と、第1の電位を定期的に測定し、第2の電位から第1の電位を差し引いた値の時系列を作成し、時系列の傾きから、被試験用トランジスタの電流値を算出することを特徴とする電流測定方法である。
本発明の一態様は、被試験用トランジスタのゲートに第1の電位を与え、被試験用トランジスタの第1の端子と、第1のトランジスタの第1の端子が電気的に接続されるノードに、第1のトランジスタを介して電荷を蓄積させ、第1のトランジスタを非導通にし、ノードと電気的に接続する読み出し回路の出力端子の第2の電位と、第1の電位を定期的に測定し、第2の電位から第1の電位の定数倍を差し引いた値の時系列を作成し、時系列を近似する回帰直線を作成し、回帰直線の傾きから、被試験用トランジスタの電流値を算出することを特徴とする電流測定方法である。
上記態様において、回帰直線の決定係数が最大になるように、第1の電位の定数倍を決定すればよい。
上記態様において、被試験用トランジスタのドレイン−基板間の容量は、ノードの全容量の13.4%未満が好ましい。
上記態様において、被試験用トランジスタは、第1のトランジスタよりチャネル幅が大きいことが好ましい。
上記態様において、読み出し回路は、第2のトランジスタ及び第3のトランジスタを含み、第2のトランジスタの第1の端子はノードと電気的に接続し、第3のトランジスタの第1の端子は、第2のトランジスタの第2の端子および出力端子と電気的に接続する。
上記態様において、測定環境は恒温状態にして測定することが好ましい。
本発明の一態様では、所定の期間における電位変動から電流値を算出する。これにより、微小な電流値を測定することが可能である。
また、上記電流測定方法を用いて、電気素子が所定の特性を有するか否かを検査することにより、作製した半導体装置の不良を的確に発見することが可能である。
また、上記電流測定方法を用いて得られた電流値の情報を元に、構成要素である電気素子のパラメータを決定して半導体装置を作製することにより、適した特性を備えた半導体装置を提供することが可能である。または、新規な測定方法を提供することが可能である。または、新規な半導体装置を提供することが可能である。
このように、本発明の一態様により、様々な技術的効果を得ることが可能である。
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
測定系の一例を示す回路図。 読み出し回路の一例を示す回路図。 ソースフォロワ回路の入出力特性を示す図。 ソースフォロワ回路の入出力特性を示す図。 電位Vと電位VOUTの時系列を説明する図。 ノイズを低減する解析方法を説明する図。 ノイズを低減する解析方法を説明する図。 測定系を説明する図。 トランジスタの構成の一例を説明する図。 トランジスタの構成の一例を説明する図。 トランジスタの構成の一例を説明する図。 トランジスタの構成の一例を説明する図。 トランジスタの構成の一例を説明する図。 トランジスタの構成の一例を説明する図。 電子機器の例を説明する図。 電位VOUTの時間変化を測定した図。 電位VOUT−α×Vの時間変化を測定した図。
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状または値などに限定されない。
また、本明細書にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
また、本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネル領域を有しており、ドレインとチャネル領域とソースとを介して電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインという用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
なお、本明細書において、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
本明細書において、チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば、立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の上面に形成されるチャネル領域の割合に対して、半導体の側面に形成されるチャネル領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが互いに重なる領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さである見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求める場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る電流測定方法およびこれに用いる測定系の一例について図1を参照して説明する。
<測定系>
はじめに、本発明の一態様に係る電流測定方法に用いられる測定系の一例について図1を参照して説明する。以下に示す測定系の構成は、特性評価用回路の構成として採用することが可能である。なお、以下に示す測定系は一例に過ぎない。
図1は、トランジスタ101のオフ電流を測定するための測定系を示している。図1に示す測定系は、トランジスタ100と、トランジスタ101と、トランジスタ102と、トランジスタ103と、ノードFNと、を有する。
トランジスタ100のゲート端子は、入力端子IN_1と電気的に接続され、トランジスタ100のソース端子またはドレイン端子の一方は、入力端子IN_2と電気的に接続され、トランジスタ100のソース端子またはドレイン端子の他方は、ノードFNと電気的に接続される。
トランジスタ101のゲート端子は、入力端子IN_3と電気的に接続され、トランジスタ101のソース端子またはドレイン端子の一方は、入力端子IN_4と電気的に接続され、トランジスタ101のソース端子またはドレイン端子の他方は、ノードFNと電気的に接続される。
トランジスタ102のゲート端子は、ノードFNと電気的に接続され、トランジスタ102のソース端子またはドレイン端子の一方は、入力端子IN_7と電気的に接続され、トランジスタ102のソース端子またはドレイン端子の他方は、出力端子OUTと電気的に接続される。
トランジスタ103のゲート端子は、入力端子IN_5と電気的に接続され、トランジスタ103のソース端子またはドレイン端子の一方は、出力端子OUTと電気的に接続され、トランジスタ103のソース端子またはドレイン端子の他方は、入力端子IN_6と電気的に接続される。
なお、被試験用トランジスタは、トランジスタ101である。
図1において、入力端子IN_1に与えられる電位を電位VGWとする。入力端子IN_2に与えられる電位を電位VINとする。入力端子IN_3に与えられる電位を電位Vとする。入力端子IN_4に与えられる電位を電位Vとする。入力端子IN_5に与えられる電位を電位VREFとする。入力端子IN_6に与えられる電位を電位VSSとする。入力端子IN_7に与えられる電位を電位VDDとする。ノードFNに与えられる電位を電位VFNとする。出力端子OUTに与えられる電位を電位VOUTとする。
トランジスタ101の微小なオフ電流を測定するためには、検知することが可能なレベルにまで、オフ電流を増加する必要がある。そこで、被試験用(DUT:Device Under Test)トランジスタであるトランジスタ101のチャネル幅を極端に大きくする必要がある。トランジスタ101のチャネル幅は、好ましくは1mm以上、1m以下、より好ましくは1cm以上、1m以下、さらに好ましくは10cm以上、1m以下にするとよい。
トランジスタ101のオフ電流は、ノードFNに書き込まれた電位の変化を長時間測定することで、算出することができる。ノードFNに電位を書き込む回路(書き込み回路ともいう)は、トランジスタ100を含んで構成され、ノードFNの電位を読み出す回路(読み出し回路ともいう)は、トランジスタ102及びトランジスタ103で構成されている。
書き込み回路を構成するトランジスタ100は、DUTであるトランジスタ101と同時に形成される。トランジスタ100のオフ電流は、測定に影響を与えない程度に小さいことが好ましい。そのため、トランジスタ100のチャネル幅は、トランジスタ101のチャネル幅と比べて小さいことが好ましい。例えば、トランジスタ100のチャネル幅は、好ましくは1μm以上、100μm以下、より好ましくは1μm以上、50μm以下、さらに好ましくは1μm以上、10μm以下にするとよい。
また、読み出し回路は、入力容量が小さく、ノードFNの電位が精度よく検知できる回路が好ましい。本実施の形態では、トランジスタ102及びトランジスタ103で構成されているソースフォロワ回路を用いた。トランジスタ102及びトランジスタ103は、DUTであるトランジスタ101と同時に形成される。
また、各端子間を電気的に接続する配線に寄生容量が生じる。このため、配線(端子)の幅を細くして寄生容量を削減する。配線(端子)の幅は、20nm以上0.5μm以下が好ましい。また、配線(端子)の幅を細くすることでドレイン−基板間の容量を低減することができ、ドレイン−基板間の容量は、ノードFNの全容量の13.4%未満が好ましく、13.0%未満がさらに好ましい。本実施の形態では、配線(端子)の細さを0.35μmとする。また、ノードFNの容量は、5×10−10Fとする。
<電流測定方法>
次に、図1の測定系を用いた電流測定方法の一例について説明する。なお、以下に示す電流測定方法は一例に過ぎない。
なお、本実施の形態では、端子、ノード、配線又は電極に、高電位と低電位の2値が与えられる場合、高電位をHレベルの電位、低電位をLレベルの電位と呼ぶ場合がある。
まず、入力端子IN_1の電位VGWにHレベルの電位が与えられて、トランジスタ100がオンになる。次に、入力端子IN_2の電位VINがノードFNに書き込まれる(入力端子IN_2からノードFNに電荷が注入される)。このとき、トランジスタ101がオフになるように、入力端子IN_3の電位Vと入力端子IN_4の電位Vが決定される。次に、トランジスタ100がオフにされ、ノードFNの電位VFNが保持される(ノードFNの電荷が保持される)。
次に、電位VOUTの測定が開始される。測定期間中、電位Vと電位Vは固定され、トランジスタ101はオフが維持される。一方で、測定期間中、ノードFNは電気的に浮遊状態になる。時間の経過とともに、ノードFNに保持された電荷が、トランジスタ101のオフ電流として漏れだし、電位VFNが変動する。これにより、出力端子OUTの電位VOUTも変動する。なお、電位VOUTの初期値の測定は、先述のノードFNへ電荷を書き込むタイミングで行ってもよい。
次に、電位VOUTの変動量から電位VFNの変動量を求める。そのためには、あらかじめ、図2に示す読み出し回路(ここではソースフォロワ回路)の入出力特性を評価しておく。なお、図2の読み出し回路において、入力端子VDDは図1の入力端子IN_7に対応し、入力端子INはノードFNに対応し、入力端子VREFは図1の入力端子IN_5に対応し、入力端子VSSは図1の入力端子IN_6に対応する。
図2において、入力端子VDDに与えられる電位を電位VDDとする。入力端子INに与えられる電位を電位VINとする。入力端子VREFに与えられる電位を電位VREFとする。入力端子VSSに与えられる電位を電位VSSとする。出力端子OUTに与えられる電位を電位VOUTとする。なお、電位VINは図1の電位VFNに対応する。
本実施の形態では、図2の読み出し回路において、入力端子INと出力端子OUTの入出力特性を評価する。図3に、図2の読み出し回路の入出力特性の一例を示す。図3は、横軸に入力端子INの電位VIN[V]を示し、縦軸に出力端子OUTの電位VOUT[V]を示している。電位VDDは3V、電位VSSは−2Vとし、電位VREFは0.5V刻みで−2.5V乃至0Vとする。
次に、図3に示す読み出し回路の入出力特性から電位VINと電位VOUTの線形近似の式を算出する(図4参照)。図4は、電位VREFを−1.0Vとした際の図3のデータを参照し、横軸に電位VOUT、縦軸に電位VINを割り当て、線形近似式を算出している。図4に示す線形近似式のxに電位VOUTの値を代入し、得られたyの値から電位VINを求めることができる。つまり、電位VOUTの変動量(ΔVOUT)から電位VFNの変動量(ΔVFN)を求めることができる。最後に、以下の数式(1)よりトランジスタ101のオフ電流を算出することができる。
上記数式において、Iはトランジスタ101のオフ電流、CはノードFNの容量、ΔVFNはノードFNの電位の変動量、Δtは測定時間を表している。
しかし、上記の測定方法によって測定されたオフ電流は、ノイズによる誤差を含み、精度が低い。以下に、上記の測定方法によって得られたデータから、ノイズの影響を低減する解析手法を説明する。
〈解析手法1〉
例えば、図1の入力端子IN_3の電位Vに含まれるノイズが、出力端子OUTの電位VOUTに影響する場合を考える。それぞれの電位は以下の式で表すことができる。
上記数式(2)及び数式(3)において、δで表した項は、それぞれの電位に含まれるノイズを表している。電位VG0は電位VからノイズδVを取り除いた電位を表している(図5(A)参照)。電位VOUT0は電位VOUTからノイズδVOUTを取り除いた電位を表している(図5(B)参照)。電位VG0は測定時間tに依存しない一定の値をとるが、電位VOUT0は、測定時間tが経過するにつれて低下する。
上記ノイズは、長時間の測定で、平均値が0になることが望ましい。また、上記ノイズは測定装置の電源に依存するものでもよい。また、上記ノイズは温度に依存するものでもよい。
ノードFNの電位VFNは、電位Vを含む関数gで表すことができ、電位VOUTは電位VFNを含む関数fで表すことができるとすると、以下の関係式が成り立つ。
このとき、電位VFNのノイズδVFNと、電位VOUTのノイズδVOUTは、以下の式で表すことができる。
数式(7)を数式(3)に代入すると、電位VOUTは以下のように表すことができる。
数式(8)において、δVの係数に含まれるδf/δVFNと、δg/δVについて説明する。本実施の形態に示すオフ電流の測定では、トランジスタ101のチャネル長を大きくすることで、ノードFNに付随する容量の大部分は、トランジスタ101のゲートとドレインの間の容量と考えることができる。その場合、δg/δVは概ね1とみなすことができる。また、図2に示す読み出し回路(ソースフォロア回路)を用いた場合、その電圧利得はδf/δVFNで表すことができ、その値は概ね1とみなすことができる。トランジスタ102及びトランジスタ103の飽和電流が一定であり、トランジスタ102及びトランジスタ103のチャネル長変調効果が小さければ、δf/δVFNは、より1に近い値をとる。なお、チャネル長変調効果とは、トランジスタのチャネル長が短い場合、飽和領域において、ドレイン電流がドレイン電圧に対して一定にならず、ドレイン電流がドレイン電圧に依存して増加する現象のことをいう。
電位VOUTと電位Vの差をとると、以下の式で表すことができる。
数式(9)において、ノイズδVの係数である(δf/δVFN×δg/δV−1)は、1よりも十分に小さい。つまり、電位VOUTと電位Vの差をとることで、ノイズδVが(δf/δVFN×δg/δV−1)倍に低減されることがわかる。
数式(9)において、ノイズδVの項が十分に小さく無視できる場合、両辺を測定時間tで微分すると、以下の数式(10)が得られる。なお、電位VG0は測定時間に依存しない一定の値であるから、数式(10)には表れない。
上式より、横軸に測定時間tを選び、縦軸に電位VOUT−Vを選んだグラフ(電位VOUT−Vの時系列)を作成すると、そのグラフの傾きは、ΔVOUT0/Δtを表すことがわかる(図6参照)。この値と、図3及び図4の入出力特性とを用いれば、ΔVFN/Δtを算出することができる。その結果、数式(1)よりトランジスタ101のオフ電流をより正確に算出することができる。なお、上述したグラフの傾きは、ある測定時間の最初と最後の測定点を繋ぐ直線から算出してもよい。また、上述したグラフの傾きは、ある測定時間において最小二乗法を適用し、そこから求めた直線から算出してもよい。
〈解析手法2〉
数式(9)において、ノイズδVの係数である(δf/δVFN×δg/δV−1)が、1よりも十分に小さくない場合がある。また、ノイズδVとは別のノイズが、ノイズδVOUTに影響する場合がある。こうした場合、上記解析手法1では、ノイズが十分に低減されない場合がある。
数式(9)において、(δf/δVFN×δg/δV−1)の値を少し変えることで、より効果的にノイズを低減できる場合がある。例えば、パラメータαを導入し、縦軸に電位VOUT−α×Vを割り当て、横軸に測定時間tを割り当てたグラフ(電位VOUT−α×Vの時系列)を作成する。この時系列に回帰分析(最小二乗法)を適用し、近似直線(回帰直線)を求める。このとき得られた決定係数が最大になるように(近似のフィティングが最も良くなるように)パラメータαの値を決定する(図7参照)。後は、解析手法1と同様に、オフ電流を計算すればよい。上記解析手法2により、解析手法1で除去できなかったノイズ除去し、より精度の高いオフ電流を測定することができる場合がある。
上記解析手法2において、ノイズδVOUTが、ノイズδVと相関が高い場合に、より高精度にオフ電流を測定することができる。また、上記解析手法2において、最小二乗法を適用する測定データが多いほど、より精度の高いオフ電流を測定することができる。
〈解析手法3〉
図1に示す読み出し回路(ソースフォロア回路)において、各端子を介して侵入するノイズが電位VOUTに及ぼす影響について説明する。
図1の読み出し回路に含まれるトランジスタ103及びトランジスタ102は、飽和領域で動作する。これら二つのトランジスタが同じ電流特性を有し、且つ飽和電流がドレインとソース間の電圧に対して一定とすると、以下の関係式が成り立つ。
電位VDDに含まれるノイズは、飽和領域で動作するトランジスタ102のドレイン電圧と、同じく飽和領域で動作するトランジスタ103のドレイン電圧を変動させるだけで、電位VOUTにほとんど影響を与えない。
トランジスタ100はトランジスタ101と比較して、チャネル幅のサイズが小さい。そのため、電位VGW及び電位VINに含まれるノイズは、電位Vに含まれるノイズと比べて十分に小さい。
また、トランジスタ101のソースとドレイン間の容量は、トランジスタ101のゲートとソース間の容量よりも十分に小さい。そのため、電位Vに含まれるノイズは、電位Vに含まれるノイズと比べて十分に小さい。
以上より、電位V、電位VSS及び電位VREFに含まるノイズについてのみ、考えることにする。
解析手法1では、電位Vに含まれるノイズは、電位VOUTから電位Vを差し引くことで低減できた。数式(11)から、電位VSSに含まれるノイズと、電位VREFに含まれるノイズは、電位VOUTから電位(VSS−VREF)を差し引くことで低減できる。そこで、縦軸に電位VOUT−V−(VSS−VREF)を割り当て、横軸に測定時間tを割り当てたグラフ(電位VOUT−V−(VSS−VREF)の時系列)を作成し、解析手法1と同様に、この時系列からオフ電流を算出することで、高精度なオフ電流の値を算出することができる。
〈解析手法4〉
解析手法3では、飽和領域における飽和電流は、ドレインとソース間の電圧に対して一定と仮定をしたが、実際には、チャネル長変調効果等により、ドレインとソース間の電圧に対して増加する。その場合、数式(11)は以下のように表すことができる。
数式(12)において、パラメータaの値は1に近い値で、通常は1以上である。パラメータaの値は、トランジスタ102のソースとドレイン間電圧(電位VDD−VOUT)と、トランジスタ103のソースとドレイン間電圧(電位VOUT−VSS)の変動により、僅かに変化する。そのため、解析手法3で示した方法では、電位VSSに含まれるノイズ及び電位VREFに含まれるノイズを、十分に低減できない場合がある。
上記の問題を解決するために、パラメータβを導入し、縦軸に電位VOUT−β×(V+(VSS−VREF))を割り当て、横軸に測定時間tを割り当てたグラフ(電位VOUT−β×(V+(VSS−VREF))の時系列)を作成する。この時系列に最小二乗法を適用し直線を求める。このとき得られた直線と時系列の差が最も小さくなるように(最小二乗のフィティングが最も良くなるように)パラメータβの値を決定する。上記解析手法4により、解析手法3で除去できなかったノイズ除去し、より精度の高いオフ電流を測定することができる場合がある。
測定装置の電源が発生するノイズについて説明を行う。電位V、電位VREF、電位VSS及び電位VDDは、電源装置や信号発生装置によって生成される。これらの電位(あるいは信号)を、同じ電源装置や信号発生装置によって生成することで、装置固有のノイズが、共通のノイズとして、上記電位に加えられる場合がある。そのような場合、ノイズδVOUTは、ノイズはδVと相関が高い。また、そのような場合、電位VSS−VREFは、共通のノイズがキャンセルされ、ノイズの小さい時系列データとなる。そのような場合、解析手法1を用いても、解析手法3と同程度のノイズ低減が可能である。
測定環境の温度変化によるノイズについて説明を行う。測定時間が長時間に及ぶ場合は、測定環境の温度変化は無視できない。その場合、電位V、電位VREF、電位VSS及び電位VDDは、温度変化によるノイズが含まれる。そのような場合、ノイズδVOUTはδVと相関が高い。また、そのような場合、電位VSSと電位VREFは、共通のノイズを含む場合が多く、電位VSS−VREFの時系列を作成すると、ノイズがキャンセルされる。そのような場合、解析手法1を用いても、解析手法3と同程度のノイズ低減が可能である。
測定環境の温度変化によるノイズは、その時々の天候(気温)に依存する特徴をもち、長時間の平均をとっても0になりにくい。そのような場合でも、本実施の形態に示す解析方法は、測定データからノイズを取り除くことができ、有効である。
〈測定環境〉
なお、図8に示すように特性評価用回路の構成を含む測定サンプルそのものの温度上昇はイナートオーブンを用いて恒温化し、測定サンプルそのものの温度変動を抑えたうえで、さらに測定系の周辺空気も恒温空気発生装置にて一定の温度になるようにすることで測定環境によるノイズ(温度変化により変動する出力電圧)の影響を低減することができる。
具体的には、例えば、測定サンプルをイナートオーブンに入れ、測定サンプルを恒温状態にする。このとき、イナートオーブンにドライエアを供給すると、イナートオーブン内の湿度を低減することができ、低湿度の環境で測定することができる。また、サンプルは中継部とフラットケーブルで接続されており、中継部は測定系の第1の測定機及び第2の測定機と同軸ケーブルで接続されている。第1の測定機は、サンプルの情報を含む信号を中継部に発信する。第2の測定機は、サンプルの情報を含む信号を中継部から得る。この第2の測定機が前述した出力端子OUTの電位VOUTを読み出す。なお、測定系は恒温状態であることが好ましい。たとえば、断熱材やプラスチックダンボールなどで覆われ、恒温空気発生装置及びダクトケーブルを用いて、恒温空気を供給し、測定系を恒温状態にすることができる。なお、測定系は、断熱材やプラスチックダンボールなどで完全に覆わず、少量の恒温空気が外部に流れるようにしておくと好ましい。
以上に示す方法により、測定から見積もられた電流値をチャネル幅1μmあたりに換算することで電気素子を流れる微小な電流を測定することができる。例えば、本実施の形態において示した方法により、1zA(ゼプトアンペア:1zAは10−21A)以下、さらに1yA(ヨクトアンペア:1yAは10−24A)以下の電流値を測定することも可能である。
なお、DUTは容量素子でも良い。容量素子の一方の端子はノードFNに接続され、他方の端子は電位Vが与えられる入力端子に接続される。上述した解析手法においては、電位Vを電位Vに置き換えて考えればよい。
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、図1に示すトランジスタ100乃至トランジスタ103に適用することが可能な、酸化物半導体を用いた半導体装置(トランジスタ)について、図9乃至図14を用いて説明する。
図9に、酸化物半導体膜にチャネル領域を有するトランジスタ60の構成を、一例として示す。図9(A)には、トランジスタ60の上面図を示す。なお、図9(A)では、トランジスタ60のレイアウトを明確にするために、各種の絶縁膜を省略している。また、図9(A)に示した上面図の、一点鎖線A1−A2における断面図を図9(B)に示し、一点鎖線A3−A4における断面図を図9(C)に示す。
図9に示すように、トランジスタ60は、基板97に形成された絶縁膜91上において順に積層された酸化物半導体膜92a及び酸化物半導体膜92bと、酸化物半導体膜92bに電気的に接続され、ソース電極またはドレイン電極としての機能を有する導電膜93及び導電膜94と、酸化物半導体膜92b、導電膜93及び導電膜94上の酸化物半導体膜92cと、ゲート絶縁膜としての機能を有し、なおかつ酸化物半導体膜92c上に位置する絶縁膜95と、ゲート電極としての機能を有し、なおかつ絶縁膜95上において酸化物半導体膜92a乃至酸化物半導体膜92cと互いに重なる導電膜96とを有する。なお、基板97は、ガラス基板や半導体基板などであってもよいし、ガラス基板や半導体基板上に半導体素子が形成された素子基板であってもよい。
また、トランジスタの、具体的な構成の別の一例を、図10に示す。図10(A)には、トランジスタ70の上面図を示す。なお、図10(A)では、トランジスタ70のレイアウトを明確にするために、各種の絶縁膜を省略している。また、図10(A)に示した上面図の、一点鎖線A1−A2における断面図を図10(B)に示し、一点鎖線A3−A4における断面図を図10(C)に示す。
図10に示すように、トランジスタ70は、基板97に形成された絶縁膜91上において順に積層された酸化物半導体膜92a乃至酸化物半導体膜92cと、酸化物半導体膜92cに電気的に接続され、ソース電極またはドレイン電極としての機能を有する導電膜93及び導電膜94と、ゲート絶縁膜としての機能を有し、なおかつ酸化物半導体膜92c、導電膜93及び導電膜94上に位置する絶縁膜95と、ゲート電極としての機能を有し、なおかつ絶縁膜95上において酸化物半導体膜92a乃至酸化物半導体膜92cと互いに重なる導電膜96とを有する。
また、トランジスタの、具体的な構成の別の一例を、図11に示す。図11(A)には、トランジスタ80の上面図を示す。なお、図11(A)では、トランジスタ80のレイアウトを明確にするために、各種の絶縁膜を省略している。また、図11(A)に示した上面図の、一点鎖線A1−A2における断面図を図11(B)に示し、一点鎖線A3−A4における断面図を図11(C)に示す。
図11に示すように、トランジスタ80は、図9に示すトランジスタ70上に絶縁膜98及び絶縁膜99が設けられている。絶縁膜99は、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキングできる機能を有する。絶縁膜99を設けることで、酸化物半導体膜92a、酸化物半導体膜92b及び酸化物半導体膜92c(以下、まとめて酸化物半導体膜92とよぶ)からの酸素の外部への拡散と、外部から酸化物半導体膜92への水素、水等の入り込みを防ぐことができる。絶縁膜99としては、例えば、窒化物絶縁膜を用いることができる。該窒化物絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等がある。なお、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキング効果を有する窒化物絶縁膜の代わりに、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜を設けてもよい。該酸化物絶縁膜としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。特に、酸化アルミニウム膜は、水素、水分などの不純物、および酸素の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高いので絶縁膜99に適用するのに好ましい。
絶縁膜98は、絶縁膜99を成膜する際、酸化物半導体膜92を保護する機能を有する。絶縁膜98は、絶縁膜95と同じ材料を用いて成膜してもよい。絶縁膜98は必要に応じて設ければよく、場合によっては、省略することもできる。
また、図12に示すようなボトムゲート型のトランジスタ90を用いることもできる。図12(A)には、トランジスタ90の上面図を示す。なお、図12(A)では、トランジスタ90のレイアウトを明確にするために、各種の絶縁膜を省略している。また、図12(A)に示した上面図の、一点鎖線A1−A2における断面図を図12(B)に示し、一点鎖線A3−A4における断面図を図12(C)に示す。
図12に示すように、トランジスタ90は、基板97に形成されたゲート電極としての機能を有する導電膜96と、ゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁膜95と、絶縁膜95上において順に積層された酸化物半導体膜92a及び酸化物半導体膜92bと、酸化物半導体膜92bに電気的に接続され、ソース電極またはドレイン電極としての機能を有する導電膜93及び導電膜94と、導電膜93及び導電膜94上に位置する絶縁膜87、絶縁膜88、絶縁膜89とを有する。
なお、図9乃至図11では、積層された酸化物半導体膜92a乃至酸化物半導体膜92cを用いるトランジスタの構成を例示している。トランジスタが有する酸化物半導体膜は、積層された複数の酸化物半導体膜で構成されているとは限らず、単膜の酸化物半導体膜で構成されていても良い。
酸化物半導体膜92a乃至酸化物半導体膜92cが順に積層されている半導体膜をトランジスタが有する場合、酸化物半導体膜92a及び酸化物半導体膜92cは、酸化物半導体膜92bを構成する金属元素の少なくとも1つを、その構成要素に含み、伝導帯下端のエネルギーが酸化物半導体膜92bよりも0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上または0.15eV以上、かつ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下または0.4eV以下、真空準位に近い酸化物膜である。さらに、酸化物半導体膜92bは、少なくともインジウムを含むと、キャリア移動度が高くなるため好ましい。
上記構成の半導体膜をトランジスタが有する場合、ゲート電極に電圧を印加することで、半導体膜に電界が加わると、半導体膜のうち、伝導帯下端のエネルギーが小さい酸化物半導体膜92bにチャネル領域が形成される。即ち、酸化物半導体膜92bと絶縁膜95との間に酸化物半導体膜92cが設けられていることによって、絶縁膜95と離隔している酸化物半導体膜92bに、チャネル領域を形成することができる。
また、酸化物半導体膜92cは、酸化物半導体膜92bを構成する金属元素の少なくとも1つをその構成要素に含むため、酸化物半導体膜92bと酸化物半導体膜92cの界面では、界面散乱が起こりにくい。従って、当該界面においてキャリアの動きが阻害されにくいため、トランジスタ90の電界効果移動度が高くなる。
また、酸化物半導体膜92bと酸化物半導体膜92aの界面に界面準位が形成されると、界面近傍の領域にもチャネル領域が形成されるために、トランジスタのしきい値電圧が変動してしまう。しかし、酸化物半導体膜92aは、酸化物半導体膜92bを構成する金属元素の少なくとも1つをその構成要素に含むため、酸化物半導体膜92bと酸化物半導体膜92aの界面には、界面準位が形成されにくい。よって、上記構成により、トランジスタのしきい値電圧等の電気的特性のばらつきを低減することができる。
また、酸化物半導体膜間に不純物が存在することによって、各膜の界面にキャリアの流れを阻害する界面準位が形成されることがないよう、複数の酸化物半導体膜を積層させることが望ましい。積層された酸化物半導体膜の膜間に不純物が存在していると、酸化物半導体膜間における伝導帯下端のエネルギーの連続性が失われ、界面近傍において、キャリアがトラップされるか、あるいは再結合により消滅してしまうからである。膜間における不純物を低減させることで、主成分である一の金属を少なくとも共に有する複数の酸化物半導体膜を、単に積層させるよりも、連続接合(ここでは特に伝導帯下端のエネルギーが各膜の間で連続的に変化するU字型の井戸構造を有している状態)が形成されやすくなる。
連続接合を形成するためには、ロードロック室を備えたマルチチャンバー方式の成膜装置(スパッタリング装置)を用いて各膜を大気に触れさせることなく連続して積層することが必要となる。スパッタリング装置における各チャンバーは、酸化物半導体にとって不純物となる水等を可能な限り除去すべくクライオポンプのような吸着式の真空排気ポンプを用いて高真空排気(1×10−7Pa乃至5×10−4Pa程度まで)することが好ましい。または、ターボ分子ポンプとコールドトラップを組み合わせて排気系からチャンバー内に気体が逆流しないようにしておくことが好ましい。
高純度の真性な酸化物半導体を得るためには、各チャンバー内を高真空排気するのみならず、スパッタリングに用いるガスの高純度化も重要である。上記ガスとして用いる酸素ガスやアルゴンガスの露点を、−40℃以下、好ましくは−80℃以下、より好ましくは−100℃以下とし、使用するガスの高純度化を図ることで、酸化物半導体膜に水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。具体的に、酸化物半導体膜92bがIn−M−Zn酸化物(Mは、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の場合、酸化物半導体膜92bを成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x:y:zとすると/yは、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であって、z/yは、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z/yを1以上6以下とすることで、酸化物半導体膜92bとして後述するCAAC−OS膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=2:1:3等がある。
具体的に、酸化物半導体膜92a、酸化物半導体膜92cがIn−M−Zn酸化物(Mは、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の場合、酸化物半導体膜92a、酸化物半導体膜92cを成膜するために用いるターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x:y:zとすると/y<x/yであって、z/yは、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z/yを1以上6以下とすることで、酸化物半導体膜92a、酸化物半導体膜92cとしてCAAC−OS膜が形成されやすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:3:2、In:M:Zn=1:3:4、In:M:Zn=1:3:6、In:M:Zn=1:3:8等がある。また、酸化物半導体膜92cが酸化ガリウム膜である場合、ゲート絶縁膜を流れてしまうリーク電流の要因となるインジウムの拡散を低減することができるため測定系のオフ電流をより低減することができる。
なお、酸化物半導体膜92a及び酸化物半導体膜92cの厚さは、3nm以上100nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下とする。また、酸化物半導体膜92bの厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下であり、さらに好ましくは3nm以上50nm以下である。
3層構造の半導体膜において、酸化物半導体膜92a乃至酸化物半導体膜92cは、非晶質または結晶質の両方の形態を取りうる。ただし、チャネル領域が形成される酸化物半導体膜92bが結晶質であることにより、トランジスタに安定した電気的特性を付与することができるため、酸化物半導体膜92bは結晶質であることが好ましい。
例えば、酸化物半導体膜92a及び酸化物半導体膜92cとして、スパッタリング法により形成したIn−Ga−Zn酸化物膜を用いる場合、酸化物半導体膜92a及び酸化物半導体膜92cの成膜には、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:3:2[原子数比])であるターゲットを用いることができる。成膜条件は、例えば、成膜ガスとしてアルゴンガスを30sccm、酸素ガスを15sccm用い、圧力0.4Paとし、基板温度を200℃とし、DC電力0.5kWとすればよい。
また、酸化物半導体膜92bをCAAC−OS膜とする場合、酸化物半導体膜92bの成膜には、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比])を含むターゲットを用いることが好ましい。成膜条件は、例えば、成膜ガスとしてアルゴンガスを30sccm、酸素ガスを15sccm用い、圧力を0.4Paとし、基板の温度300℃とし、DC電力0.5kWとすることができる。また、酸化物半導体膜92bをCAAC−OS膜とする場合、酸化物半導体膜92bの成膜には、In−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=2:1:3[原子数比])をターゲットに用いてもよい。このようなターゲットを用いて成膜されたCAAC−OS膜は、一定の範囲におけるCAAC−OSの回折パターンが観測される領域の割合(CAAC化率ともいう)を高くすることができるので、当該CAAC−OS膜にチャネル領域を有するトランジスタの周波数特性(f特)を高めることができる。
なお、酸化物半導体膜92a乃至92cは、スパッタリング法により形成することができる。
なお、水分または水素などの不純物が低減され、なおかつ酸素欠損が低減されることにより高純度化された酸化物半導体(purified Oxide Semiconductor)は、キャリア発生源が少ないため、i型(真性半導体)又はi型に限りなく近くすることができる。そのため、高純度化された酸化物半導体膜にチャネル領域を有するトランジスタは、オフ電流が著しく小さく、信頼性が高い。そして、当該酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、閾値電圧がプラスとなる電気的特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)になりやすい。
具体的に、高純度化された酸化物半導体膜にチャネル領域を有するトランジスタのオフ電流が小さいことは、先の評価方法により証明できる。
なお、半導体膜として酸化物半導体膜を用いる場合、酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。また、該酸化物半導体膜を用いたトランジスタの電気的特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてジルコニウム(Zr)を含むことが好ましい。
酸化物半導体の中でもIn−Ga−Zn酸化物、In−Sn−Zn酸化物などは、炭化シリコン、窒化ガリウム、または酸化ガリウムとは異なり、スパッタリング法や湿式法により電気的特性の優れたトランジスタを作製することが可能であり、量産性に優れるといった利点がある。また、炭化シリコン、窒化ガリウム、または酸化ガリウムとは異なり、上記In−Ga−Zn酸化物は、ガラス基板上に、電気的特性の優れたトランジスタを作製することが可能である。また、基板の大型化にも対応が可能である。
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種または複数種を含んでいてもよい。
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化スズ、酸化亜鉛、In−Zn酸化物、Sn−Zn酸化物、Al−Zn酸化物、Zn−Mg酸化物、Sn−Mg酸化物、In−Mg酸化物、In−Ga酸化物、In−Ga−Zn酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn酸化物、In−Sn−Zn酸化物、Sn−Ga−Zn酸化物、Al−Ga−Zn酸化物、Sn−Al−Zn酸化物、In−Hf−Zn酸化物、In−La−Zn酸化物、In−Pr−Zn酸化物、In−Nd−Zn酸化物、In−Ce−Zn酸化物、In−Sm−Zn酸化物、In−Eu−Zn酸化物、In−Gd−Zn酸化物、In−Tb−Zn酸化物、In−Dy−Zn酸化物、In−Ho−Zn酸化物、In−Er−Zn酸化物、In−Tm−Zn酸化物、In−Yb−Zn酸化物、In−Lu−Zn酸化物、In−Sn−Ga−Zn酸化物、In−Hf−Ga−Zn酸化物、In−Al−Ga−Zn酸化物、In−Sn−Al−Zn酸化物、In−Sn−Hf−Zn酸化物、In−Hf−Al−Zn酸化物を用いることができる。
なお、例えば、In−Ga−Zn酸化物とは、InとGaとZnを含む酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素を含んでいてもよい。In−Ga−Zn酸化物は、無電界時の抵抗が十分に高くオフ電流を十分に小さくすることが可能であり、また、移動度も高い。
例えば、In−Sn−Zn酸化物では比較的容易に高い移動度が得られる。しかしながら、In−Ga−Zn酸化物でも、バルク内欠陥密度を低減することにより移動度を上げることができる。
また、図9乃至図12のトランジスタにおいて、ソース電極及びドレイン電極に用いられる導電性材料によっては、ソース電極及びドレイン電極中の金属が、酸化物半導体膜から酸素を引き抜くことがある。この場合、酸化物半導体膜のうち、ソース電極及びドレイン電極に接する領域が、酸素欠損の形成によりn型化される。n型化された領域は、ソース領域またはドレイン領域として機能するため、酸化物半導体膜とソース電極及びドレイン電極との間におけるコンタクト抵抗を下げることができる。よって、n型化された領域が形成されることで、トランジスタの移動度及びオン電流を高めることができ、半導体装置の高速動作を実現することができる。
なお、ソース電極及びドレイン電極中の金属による酸素の引き抜きは、ソース電極及びドレイン電極をスパッタリング法などにより形成する際に起こりうるし、ソース電極及びドレイン電極を形成した後に行われる加熱処理によっても起こりうる。また、n型化される領域は、酸素と結合し易い導電性材料をソース電極及びドレイン電極に用いることで、より形成されやすくなる。上記導電性材料としては、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wなどが挙げられる。
図9乃至図11のトランジスタにおいて、絶縁膜91は、加熱により上記酸素の一部を酸化物半導体膜92a乃至酸化物半導体膜92cに供給する機能を有する絶縁膜であることが望ましい。また、絶縁膜91は、欠陥が少ないことが好ましく、代表的には、ESR(Electron Sping Resonance)測定により得られる、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001を持つスピンの密度が1×1018spins/cm以下であることが好ましい。
絶縁膜91は、加熱により上記酸素の一部を酸化物半導体膜92a乃至酸化物半導体膜92cに供給する機能を有するため、酸化物であることが望ましく、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルなどを用いることができる。絶縁膜91は、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法またはスパッタリング法等により、形成することができる。
ゲート絶縁膜として機能する絶縁膜95には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁膜を用いることができる。また、絶縁膜95は上記材料の積層であってもよい。なお、絶縁膜95に、ランタン(La)、窒素、ジルコニウム(Zr)などを、不純物として含んでいてもよい。
絶縁膜95は、例えば、酸化ハフニウム、および酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを含むと好ましい。酸化ハフニウムは、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比誘電率が高い。したがって、酸化シリコンを用いた場合と比べて、絶縁膜95の膜厚を大きくできるため、トンネル電流によるリーク電流を小さくすることができる。即ち、オフ電流の小さいトランジスタを実現することができる。
なお、本明細書中において、酸化窒化物は、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化物は、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を指す。
なお、図9乃至図11に示すトランジスタは、チャネル領域が形成される酸化物半導体膜92bの端部のうち、導電膜93及び導電膜94と重ならない部分と、導電膜96とが、重なる領域を有する。酸化物半導体膜92bの端部は、当該端部を形成するためのエッチングでプラズマに曝されるときに、エッチングガスから生じた塩素ラジカル、フッ素ラジカル等が、酸化物半導体を構成する金属元素と結合しやすい。よって、酸化物半導体膜の端部では、当該金属元素と結合していた酸素が脱離しやすい状態にあるため、酸素欠損が形成され、n型化しやすいやすい。しかし、図9乃至図11に示すトランジスタでは、導電膜93及び導電膜94と重ならない酸化物半導体膜92bの端部と、導電膜96が、重なるため、導電膜96の電位を制御することにより、酸化物半導体膜92bの端部にかかる電界を制御することができる。よって、酸化物半導体膜92bの端部を介して導電膜93と導電膜94の間に流れる電流を、導電膜96に与える電位によって制御することができる。このようなトランジスタの構造を、surrounded channel(s−channel)構造とよぶ。
具体的に、s−channel構造の場合、トランジスタがオフとなるような電位を導電膜96に与えたときは、当該端部を介して導電膜93と導電膜94の間に流れるオフ電流を小さく抑えることができる。そのため、トランジスタでは、大きなオン電流を得るためにチャネル長を短くし、その結果、酸化物半導体膜92bの端部における導電膜93と導電膜94の間の長さが短くなっても、トランジスタのオフ電流を小さく抑えることができる。よって、トランジスタは、チャネル長を短くすることで、オンのときには大きいオン電流を得ることができ、オフのときにはオフ電流を小さく抑えることができる。
また、具体的に、s−channel構造の場合、トランジスタがオンとなるような電位を導電膜96に与えたときは、当該端部を介して導電膜93と導電膜94の間に流れる電流を大きくすることができる。当該電流は、トランジスタの電界効果移動度とオン電流の増大に寄与する。そして、酸化物半導体膜92bの端部と、導電膜96とが重なることで、酸化物半導体膜92bにおいてキャリアの流れる領域が、絶縁膜95に近い酸化物半導体膜92bの界面近傍のみでなく、酸化物半導体膜92bの広い範囲においてキャリアが流れるため、トランジスタにおけるキャリアの移動量が増加する。この結果、トランジスタのオン電流が大きくなる共に、電界効果移動度が高くなり、代表的には電界効果移動度が10cm/V・s以上、さらには20cm/V・s以上となる。なお、ここでの電界効果移動度は、酸化物半導体膜の物性値としての移動度の近似値ではなく、トランジスタの飽和領域における電流駆動力の指標であり、見かけ上の電界効果移動度である。
図9に示すトランジスタ60は、第2のゲート電極を有していていもよい。第2のゲート電極を有するトランジスタ61の構成を、一例として図13に示す。図13(A)には、トランジスタ61の上面図を示す。なお、図13(A)では、トランジスタ61のレイアウトを明確にするために、絶縁膜を省略している。また、図13(A)に示した上面図の、一点鎖線A1−A2における断面図を図13(B)に示し、一点鎖線A3−A4における断面図を図13(C)に示す。
図13に示すトランジスタ61は、第2のゲート電極として機能する導電膜86を基板97上に有している。それ以外の構成は図9に示すトランジスタ60と同一である。導電膜86は、一定の電位が供給されていてもよいし、第1のゲート電極として機能する導電膜96と同じ電位や同じ信号が与えられてもよい。トランジスタ61は、導電膜86と基板97の間に絶縁膜を有してもよい。なお、図10のトランジスタ70及び図11のトランジスタ80も、図13のトランジスタ61と同様に、第2のゲート電極を有してもよい。
図12に示すトランジスタ90は、第2のゲート電極を有していていもよい。第2のゲート電極を有するトランジスタ84の構成を、一例として図14に示す。図14(A)には、トランジスタ84の上面図を示す。なお、図14(A)では、トランジスタ84のレイアウトを明確にするために、絶縁膜を省略している。また、図14(A)に示した上面図の、一点鎖線A1−A2における断面図を図14(B)に示し、一点鎖線A3−A4における断面図を図14(C)に示す。
図14に示すトランジスタ84は、第2のゲート電極として機能する導電膜85を絶縁膜89上に有している。それ以外の構成は図12に示すトランジスタ90と同一である。導電膜85は、一定の電位が供給されていてもよいし、第1のゲート電極として機能する導電膜96と同じ電位や同じ信号が与えられていてもよい。導電膜85は絶縁膜89と絶縁膜88の間に設けてもよい。
以下では、酸化物半導体膜の構造について説明する。
なお、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が−30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
酸化物半導体膜は、非単結晶酸化物半導体膜と単結晶酸化物半導体膜とに分けられる。または、酸化物半導体は、例えば、結晶性酸化物半導体と非晶質酸化物半導体とに分けられる。
なお、非単結晶酸化物半導体としては、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体などがある。また、結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体などがある。
まずは、CAAC−OS膜について説明する。
CAAC−OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OS膜の明視野像および回折パターンの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察することで複数の結晶部を確認することができる。一方、高分解能TEM像によっても明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
試料面と略平行な方向から、CAAC−OS膜の断面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
一方、試料面と略垂直な方向から、CAAC−OS膜の平面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnOの結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnOの結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。
なお、InGaZnOの結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
また、CAAC−OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。したがって、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
また、CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
次に、微結晶酸化物半導体膜について説明する。
微結晶酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。微結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体膜を、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。また、nc−OS膜は、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。
nc−OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD装置を用いて構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OS膜に対し、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。そのため、nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OS膜は、CAAC−OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
次に、非晶質酸化物半導体膜について説明する。
非晶質酸化物半導体膜は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶部を有さない酸化物半導体膜である。石英のような無定形状態を有する酸化物半導体膜が一例である。
非晶質酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において結晶部を確認することができない。
非晶質酸化物半導体膜に対し、XRD装置を用いた構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、非晶質酸化物半導体膜に対し、電子回折を行うと、ハローパターンが観測される。また、非晶質酸化物半導体膜に対し、ナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測されず、ハローパターンが観測される。
なお、酸化物半導体膜は、nc−OS膜と非晶質酸化物半導体膜との間の物性を示す構造を有する場合がある。そのような構造を有する酸化物半導体膜を、特に非晶質ライク酸化物半導体(a−like OS:amorphous−like Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。
a−like OS膜は、高分解能TEM像において鬆(ボイドともいう。)が観察される場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。a−like OS膜は、TEMによる観察程度の微量な電子照射によって、結晶化が起こり、結晶部の成長が見られる場合がある。一方、良質なnc−OS膜であれば、TEMによる観察程度の微量な電子照射による結晶化はほとんど見られない。
なお、a−like OS膜およびnc−OS膜の結晶部の大きさの計測は、高分解能TEM像を用いて行うことができる。例えば、InGaZnOの結晶は層状構造を有し、In−O層の間に、Ga−Zn−O層を2層有する。InGaZnOの結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有する。よって、これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。そのため、高分解能TEM像における格子縞に着目し、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所においては、それぞれの格子縞がInGaZnOの結晶のa−b面に対応する。
また、酸化物半導体膜は、構造ごとに密度が異なる場合がある。例えば、ある酸化物半導体膜の組成がわかれば、該組成と同じ組成における単結晶の密度と比較することにより、その酸化物半導体膜の構造を推定することができる。例えば、単結晶の密度に対し、a−like OS膜の密度は78.6%以上92.3%未満となる。また、例えば、単結晶の密度に対し、nc−OS膜の密度およびCAAC−OS膜の密度は92.3%以上100%未満となる。なお、単結晶の密度に対し密度が78%未満となる酸化物半導体膜は、成膜すること自体が困難である。
上記について、具体例を用いて説明する。例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体膜において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnOの密度は6.357g/cmとなる。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体膜において、a−like OS膜の密度は5.0g/cm以上5.9g/cm未満となる。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体膜において、nc−OS膜の密度およびCAAC−OS膜の密度は5.9g/cm以上6.3g/cm未満となる。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成の単結晶に相当する密度を算出することができる。所望の組成の単結晶の密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて算出すればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて算出することが好ましい。
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、a−like OS膜、微結晶酸化物半導体膜、CAAC−OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
実施の形態2に示す半導体装置(トランジスタ)は、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯情報端末、電子書籍端末、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機、医療機器などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図15に示す。
図15(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体5001、筐体5002、表示部5003、表示部5004、マイクロホン5005、スピーカー5006、操作キー5007、スタイラス5008等を有する。実施の形態2に示す半導体装置は、携帯型ゲーム機の各種集積回路に用いることができる。なお、図15(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部5003と表示部5004とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
図15(B)は携帯電話であり、筐体5901に、表示部5902、マイク5907、スピーカー5904、カメラ5903、外部接続部5906、操作用のボタン5905が設けられている。表示部5902に、実施の形態2に示す半導体装置を用いることできる。また、実施の形態2に示す半導体装置を、可撓性を有する基板に形成した場合、図15(B)に示すような曲面を有する表示部5902に当該半導体装置を適用することが可能である。また、表示部5902の少なくとも一方に、位置入力装置としての機能が付加された表示装置を用いるようにしても良い。なお、位置入力装置としての機能は、表示装置にタッチパネルを設けることで付加することができる。或いは、位置入力装置としての機能は、フォトセンサとも呼ばれる光電変換素子を表示装置の画素部に設けることでも、付加することができる。
図15(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体5401、表示部5402、キーボード5403、ポインティングデバイス5404等を有する。実施の形態2に示す半導体装置は、ノート型パーソナルコンピュータの各種集積回路に用いることができる。
図15(D)は電気冷凍冷蔵庫であり、筐体5301、冷蔵室用扉5302、冷凍室用扉5303等を有する。実施の形態2に示す半導体装置は、電気冷凍冷蔵庫の各種集積回路に用いることができる。
図15(E)はビデオカメラであり、第1筐体5801、第2筐体5802、表示部5803、操作キー5804、レンズ5805、接続部5806等を有する。実施の形態2に示す半導体装置は、ビデオカメラの各種集積回路に用いることができる。操作キー5804及びレンズ5805は第1筐体5801に設けられており、表示部5803は第2筐体5802に設けられている。そして、第1筐体5801と第2筐体5802とは、接続部5806により接続されており、第1筐体5801と第2筐体5802の間の角度は、接続部5806により変更が可能である。表示部5803における映像を、接続部5806における第1筐体5801と第2筐体5802との間の角度に従って切り替える構成としても良い。
図15(F)は普通自動車であり、車体5101、車輪5102、ダッシュボード5103、ライト5104等を有する。実施の形態2に示す半導体装置は、普通自動車の各種集積回路に用いることができる。
以上、本実施の形態で示す構成、方法は、他の実施の形態で示す構成、方法と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、図1に示した測定系を用いてトランジスタ101のオフ電流測定を行った。トランジスタ100のチャネル長Lは10μm、チャネル幅Wは10μmである。トランジスタ101のチャネル長Lは0.8μm、チャネル幅Wは10cmである。トランジスタ102及びトランジスタ103のチャネル長Lは3μm、チャネル幅は12μmである。なお、トランジスタ100及びトランジスタ101には、図9に示すトランジスタ60を採用した。トランジスタ100及びトランジスタ101のゲート絶縁膜には、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)で成膜した厚さ20nmの酸化窒化シリコン膜を採用した。また、トランジスタ102及びトランジスタ103には、チャネルに単結晶シリコンを用いたnチャネル型トランジスタを採用した。トランジスタ102及びトランジスタ103のゲート絶縁膜には、膜厚10nmの酸化シリコン膜を採用した。
トランジスタ101のオフを維持するために、電位Vは−3Vに固定し,電位Vは0Vに固定した。
ノードFNへの電荷の書き込みと、電位VOUTの読み出しを同時に行う際、電位VGWに5Vの電位が与えられ,電位VINに2Vの電位が与えられ,電位VDDに3Vの電位が与えられ,電位VREFに−1Vの電位が与えられ,電位VSSに−2Vの電位が与えられた。
電位VOUTの読み出しのみを行う際、電位VGWに−3Vの電位が与えられ,電位VINに0Vの電位が与えられ,電位VDDに3Vの電位が与えられ,電位VREFに−1Vの電位が与えられ,電位VSSに−2Vの電位が与えられた。
なお、本実施例に示すオフ電流測定は、温度が60℃に保たれた環境で行われた。
図16に電位VOUTの時系列を示す。図16の縦軸は電位VOUTを表し、横軸は測定時間を表している。電位VOUTの時系列は、理想的には直線的に減少するが、図16に示すように、実際の測定ではおよそ24時間周期でノイズが現れる。これは測定装置の電源が置かれた環境の温度(気温)が、およそ24時間周期で変動するためである。
図17は、電位VOUT−α×Vの時系列を表したものである。縦軸は電位VOUT−α×Vを表し、横軸は測定時間を表している。図17(A)はパラメータαの値を1.0とした場合を表している。図17(B)はパラメータαの値を1.1とした場合を表している。図17(C)はパラメータαの値を1.2とした場合を表している。また、それぞれの図には、回帰分析(最小二乗法)で得られた回帰直線(近似直線)を挿入し、その回帰直線を表す式と決定係数Rを示した。決定係数Rの値が大きい(1に近い)ほど、回帰直線と時系列のフィッティングが良いことを表している。
図17(A)乃至(C)より、パラメータαの値を1.1としたときに、決定係数Rが最も1に近づくことがわかる。つまり、図17(B)の時系列グラフにおいて、図16で確認されたノイズが、最も効率よく除去されていることがわかる。この図17(B)から得られた直線の傾きから、トランジスタ101のオフ電流を計算すると、1.02×10−24A/μmの値が得られた。トランジスタ101のオフ電流は極めて低いことが確認できた。
以上、本発明の一態様に係る測定方法を用いることで、ノイズの影響を取り除き、トランジスタのオフ電流を正確に測定することができる。
60 トランジスタ
61 トランジスタ
70 トランジスタ
80 トランジスタ
84 トランジスタ
85 導電膜
86 導電膜
87 絶縁膜
88 絶縁膜
89 絶縁膜
90 トランジスタ
91 絶縁膜
92 酸化物半導体膜
92a 酸化物半導体膜
92b 酸化物半導体膜
92c 酸化物半導体膜
93 導電膜
94 導電膜
95 絶縁膜
96 導電膜
97 基板
98 絶縁膜
99 絶縁膜
100 トランジスタ
101 トランジスタ
102 トランジスタ
103 トランジスタ
5001 筐体
5002 筐体
5003 表示部
5004 表示部
5005 マイクロホン
5006 スピーカー
5007 操作キー
5008 スタイラス
5101 車体
5102 車輪
5103 ダッシュボード
5104 ライト
5301 筐体
5302 冷蔵室用扉
5303 冷凍室用扉
5401 筐体
5402 表示部
5403 キーボード
5404 ポインティングデバイス
5801 筐体
5802 筐体
5803 表示部
5804 操作キー
5805 レンズ
5806 接続部
5901 筐体
5902 表示部
5903 カメラ
5904 スピーカー
5905 ボタン
5906 外部接続部
5907 マイク

Claims (7)

  1. 被試験用トランジスタのゲートに第1の電位を与え、
    前記被試験用トランジスタの第1の端子と、第1のトランジスタの第1の端子が電気的に接続されるノードに、前記第1のトランジスタを介して電荷を蓄積させ、
    前記第1のトランジスタを非導通にし、
    前記ノードと電気的に接続する読み出し回路の出力端子の第2の電位と、前記第1の電位を定期的に測定し、
    前記第2の電位から前記第1の電位を差し引いた値の時系列を作成し、
    前記時系列の傾きから、前記被試験用トランジスタの電流値を算出することを特徴とする電流測定方法。
  2. 被試験用トランジスタのゲートに第1の電位を与え、
    前記被試験用トランジスタの第1の端子と、第1のトランジスタの第1の端子が電気的に接続されるノードに、前記第1のトランジスタを介して電荷を蓄積させ、
    前記第1のトランジスタを非導通にし、
    前記ノードと電気的に接続する読み出し回路の出力端子の第2の電位と、前記第1の電位を定期的に測定し、
    前記第2の電位から前記第1の電位の定数倍を差し引いた値の時系列を作成し、
    前記時系列を近似する回帰直線を作成し、
    前記回帰直線の傾きから、前記被試験用トランジスタの電流値を算出することを特徴とする電流測定方法。
  3. 請求項2において、
    前記回帰直線の決定係数が最大になるように、前記第1の電位の定数倍を決定することを特徴とする電流測定方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
    前記被試験用トランジスタのドレイン−基板間の容量は、前記ノードの全容量の13.4%未満であることを特徴とする電流測定方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
    前記被試験用トランジスタは、前記第1のトランジスタよりチャネル幅が大きいことを特徴とする電流測定方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
    前記読み出し回路は、第2のトランジスタ及び第3のトランジスタを含み、
    前記第2のトランジスタの第1の端子は前記ノードと電気的に接続し、
    前記第3のトランジスタの第1の端子は、前記第2のトランジスタの第2の端子および前記出力端子と電気的に接続することを特徴とする電流測定方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
    測定環境を恒温状態にして測定する電流測定方法。
JP2015080578A 2014-04-11 2015-04-10 電流測定方法 Withdrawn JP2015206789A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015080578A JP2015206789A (ja) 2014-04-11 2015-04-10 電流測定方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014082224 2014-04-11
JP2014082224 2014-04-11
JP2015080578A JP2015206789A (ja) 2014-04-11 2015-04-10 電流測定方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019216174A Division JP2020056794A (ja) 2014-04-11 2019-11-29 電流測定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015206789A true JP2015206789A (ja) 2015-11-19
JP2015206789A5 JP2015206789A5 (ja) 2018-05-17

Family

ID=54603657

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015080578A Withdrawn JP2015206789A (ja) 2014-04-11 2015-04-10 電流測定方法
JP2019216174A Withdrawn JP2020056794A (ja) 2014-04-11 2019-11-29 電流測定方法

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019216174A Withdrawn JP2020056794A (ja) 2014-04-11 2019-11-29 電流測定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP2015206789A (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001249147A (ja) * 2000-03-03 2001-09-14 Nec Corp 電流検出回路および電流検出方法
US20070025030A1 (en) * 2005-07-08 2007-02-01 Samsung Electronics Co., Ltd. Leakage current detection circuit and leakage current comparison circuit
JP2011145290A (ja) * 2009-12-18 2011-07-28 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 電流測定方法、半導体装置の検査方法、半導体装置、および特性評価用素子
JP2011237418A (ja) * 2010-04-16 2011-11-24 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 電流測定方法、半導体装置の検査方法、半導体装置、および特性評価用回路
JP2012039058A (ja) * 2009-12-28 2012-02-23 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 半導体装置
JP2015195353A (ja) * 2014-02-21 2015-11-05 株式会社半導体エネルギー研究所 電流測定方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001249147A (ja) * 2000-03-03 2001-09-14 Nec Corp 電流検出回路および電流検出方法
US20070025030A1 (en) * 2005-07-08 2007-02-01 Samsung Electronics Co., Ltd. Leakage current detection circuit and leakage current comparison circuit
JP2011145290A (ja) * 2009-12-18 2011-07-28 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 電流測定方法、半導体装置の検査方法、半導体装置、および特性評価用素子
JP2012039058A (ja) * 2009-12-28 2012-02-23 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 半導体装置
JP2011237418A (ja) * 2010-04-16 2011-11-24 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 電流測定方法、半導体装置の検査方法、半導体装置、および特性評価用回路
JP2015195353A (ja) * 2014-02-21 2015-11-05 株式会社半導体エネルギー研究所 電流測定方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
古谷一馬,戸松浩之,塩野入豊,加藤清,小山潤,山崎舜平: "16a-F2-13「結晶性IGZOトランジスタのyAオーダーの極小オフ電流測定」", 第59回応用物理学関係連合講演会講演予稿集, JPN6019005160, 18 March 2012 (2012-03-18), pages 06 - 225, ISSN: 0003978906 *

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020056794A (ja) 2020-04-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6898495B2 (ja) 半導体装置
JP7464671B2 (ja) 半導体装置
JP6697049B2 (ja) 半導体装置
JP6952145B2 (ja) 記憶装置
JP6650014B2 (ja) 半導体装置
JP6393590B2 (ja) 半導体装置
JP6411820B2 (ja) 半導体装置および半導体装置の作製方法
US9590594B2 (en) Level shifter circuit
JP6885986B2 (ja) 半導体装置
JP2020047936A (ja) 半導体装置
JP6506566B2 (ja) 電流測定方法
JP2020064699A (ja) 半導体装置
JP2020056794A (ja) 電流測定方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180322

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180322

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190219

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190418

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20190903

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20191202