JP2015205321A - 熱間鍛造金型の摩耗評価試験法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、金型と加工素材の間の摩擦係数と、金型と潤滑剤との間の熱伝達係数に基づいて、金型の摩耗量を予測する金型摩耗量予測装置が開示されている。
同文献には、このような装置を用いて、現実に近い潤滑剤の吹付け状態で金型の摩耗量を予測することが可能になる点が記載されている。
同文献には、このような装置を用いて、寿命検出を加工回数で把握できる点が記載されている。
さらに、特許文献3には、所定の成分を有する耐摩耗性に優れた金型用鋼、及び大越式摩耗試験を用いた金型用鋼の評価方法が開示されている。
(a)外径/内径比が2以上である円筒形の熱間鍛造金型を用意し、
(b)鍛造後に、厚さが1mm以上であり、かつ直径が前記熱間鍛造金型の外径以上であるバリを生成させることが可能な体積を持つワークを前記熱間鍛造金型に挿入し、
(c)厚さが1mm以上であり、かつ直径が前記熱間鍛造金型の外径以上である前記バリが生成するように、前記熱間鍛造金型を用いて前記ワークを熱間鍛造し、
(d)前記バリと前記熱間鍛造金型との接触面の摩耗量を評価する
ことを要旨とする。
[1. 熱間鍛造金型の摩耗評価試験法]
本発明に係る熱間鍛造金型の摩耗評価試験法は、
(a)外径/内径比が2以上である円筒形の熱間鍛造金型を用意し、
(b)鍛造後に、厚さが1mm以上であり、かつ直径が前記熱間鍛造金型の外径以上であるバリを生成させることが可能な体積を持つワークを前記熱間鍛造金型に挿入し、
(c)厚さが1mm以上であり、かつ直径が前記熱間鍛造金型の外径以上である前記バリが生成するように、前記熱間鍛造金型を用いて前記ワークを熱間鍛造し、
(d)前記バリと前記熱間鍛造金型との接触面の摩耗量を評価する
ことを要旨とする。
[1.1.1. 材料]
熱間鍛造金型の材料には、検査対象となる材料を用いる。材料の異なる熱間鍛造金型を用いて、同一のワーク(被鍛造材)を鍛造すると、そのワークに適した熱間鍛造金型の材料を探索することができる。
熱間鍛造金型は、円筒形の金型からなる。金型形状を円筒形とすることにより、解析が容易となる。また、これによって、鍛造温度の影響や、被鍛造材の影響などを系統的に評価することができる。
一方、外径/内径比を必要以上に大きくしても、実益がない。従って、外径/内径比は、4以下が好ましい。
図1に、本発明において用いられる熱間鍛造金型の一例を示す。図1(a)は、熱間鍛造金型の下型の平面図(上図)、及びそのA−A'線断面図(下図)である。図1(b)は、熱間鍛造金型の上型の底面図(上図)、及びそのB−B’線断面図である。
図1において、熱間鍛造金型10は、下型12と、上型14とを備えている。
上型14は、その下部(図1(b)においては、紙面の上部)に円柱状のキャビティ14aを備えている。キャビティ14aの内周面は、中心軸に対して完全に平行ではなく、鍛造品を取り出すことが可能な程度のテーパが付けられている。上型14の下端面は、中心軸に対してほぼ垂直な平面になっている。
[1.2.1. 材料]
ワークの材料には、検査対象となる材料を用いる。同一の熱間鍛造金型を用いて、材料の異なるワーク(被鍛造材)を鍛造すると、熱間鍛造金型の摩耗に及ぼす被鍛造材の影響を評価することができる。
本発明においては、熱間鍛造金型のキャビティの体積より大きな体積を持つワークを用いる。これは、熱間鍛造時に下型の上面と上型の下面との隙間にバリを発生させるためである。バリが径方向に拡大する際に伴い、熱間鍛造金型の表面(下型の上面及び上型の下面)と、バリとの間に摩擦が発生し、摩耗が進行する。
一方、金型の径方向に十分な大きさのバリが発生する場合であっても、バリの厚さが厚すぎると、金型/バリ間で大きな摩擦が発生することなく、バリの変形が進行する。
ここで、「表面積拡大比」とは、塑性加工における被加工材の元の表面積に対する加工後の表面積の比をいう。
但し、鍛造後のバリの厚さが厚くなりすぎると、金型/バリ間に発生する摩擦が過度に小さくなる。従って、鍛造後のバリの厚さは、4mm以下が好ましい。バリの厚さは、さらに好ましくは、3mm以下、さらに好ましくは、2mm以下である。
また、鍛造後のバリの直径を必要以上に大きくしても、効果に差が無く、実益がない。従って、鍛造後のバリの直径は、熱間鍛造金型の外径の1.2倍以下が好ましい。
所定の温度に加熱したワークを金型のキャビティ内に挿入し、熱間鍛造を行う。この時、熱間鍛造は、上型と下型の隙間に形成されるバリの中に、表面積拡大比が10以上となる領域が発生する条件下で行うのが好ましい。
具体的には、熱間鍛造は、厚さが1mm以上であり、かつ直径が前記熱間鍛造金型の外径以上である前記バリが生成する条件下で行うのが好ましい。
表面積拡大比、並びに、バリの厚さ及び直径については、上述した通りであるので、説明を省略する。
鍛造後、前記バリと前記熱間鍛造金型との接触面との摩耗量を評価する
評価方法としては、例えば、
(1)レーザー顕微鏡を用いた試験後の金型プロファイルの測定、
(2)鍛造試験条件を考慮した摩耗量のシミュレーション結果と、鍛造試験結果との照らし合わせ、
などがある。
図2に、図1に示す熱間鍛造金型を用いてワークを鍛造した時の模式図を示す。熱間鍛造金型10の下型12及び上型14をそれぞれ金型ケース16、16で固定し、上型14をラム(図示せず)に固定する。下型12のキャビティ12aに所定の体積を有するワーク18を挿入し、上型14でプレスする。この時、上型14の下降に伴い、下型12と上型14との隙間にバリ18aが発生し、径方向に拡大する。その結果、熱間鍛造金型10/バリ18a界面において摩擦が発生し、熱間鍛造金型10の摩耗が進行する。
[1. 試験方法]
図1に示す熱間鍛造金型10を用いて、熱間鍛造試験を行った。熱間鍛造条件は、以下の通りである。
金型の材料: JIS−SKD61(熱間工具鋼)
被鍛造材: 0.4%C−0.2%Si鋼(炭素鋼)
加熱温度: 1200℃、1100℃、又は1000℃
鍛造数: 1000ショット
サイクルタイム: 5.5〜5.7秒
潤滑剤: 白色系、日華化学F−500(希釈10倍)、プレー噴霧
型予熱: 150〜200℃
図3に、熱間鍛造(1000ショット)後の金型摩耗写真(ショットブラスト後)を示す。図4に、レーザー顕微鏡を用いて測定した熱間鍛造(1000ショット)後の金型プロファイルを示す。金型プロファイルは、金型の外周から内周方向に向かって計測した。図3及び図4より、以下のことがわかる。
(2)熱間鍛造金型10の摩耗領域は、鍛造温度が高くなるほど、外周方向に拡大した。
(3)鍛造温度が1100℃以上になると、キャビティの内周面近傍に盛り上がりが発生した。これは、内周面近傍が熱ダレ(軟化)効果により、塑性流動を起こしたためと考えられる。
[1. 試験方法]
図1に示す熱間鍛造金型でワークの鍛造を行った時の表面積拡大履歴をシミュレーションにより求めた。シミュレーション条件は、以下の通りである。
解析ソフトウェア: DEFORM−2D
計算モデル: 2次元軸対称、応力−熱連性、弾塑性解析
材料データ: [ワーク]0.4C−0.2Si鋼、[金型]JIS−SKD61
図5〜図7に、熱間鍛造時におけるワーク表面の表面積拡大履歴を示す。なお、図5〜図7中、黒丸は、表面積拡大比の算出に用いた基準点である。図5〜図7より、以下のことがわかる。
(1)鍛造初期(図5(a)〜図5(d))において、上型14と下型12との隙間にバリが張り出すが、この時点では、表面積拡大比は小さい。
(2)鍛造中期(図6(a)〜図6(c))〜鍛造終期(図7(a)〜図7(b))において、バリ18aは、厚さを減少させながら径方向に拡大する。その際、基準点間距離の拡大(すなわち、表面積拡大比の増大)は、バリ18a全体で一様ではなく、金型10のキャビティの内周面側において著しいことが分かった。この結果は、実施例1の結果、及び実機の熱間鍛造時のフラッシュランド部において発生する摩耗現象と良く一致した。
Claims (3)
- (a)外径/内径比が2以上である円筒形の熱間鍛造金型を用意し、
(b)鍛造後に、厚さが1mm以上であり、かつ直径が前記熱間鍛造金型の外径以上であるバリを生成させることが可能な体積を持つワークを前記熱間鍛造金型に挿入し、
(c)厚さが1mm以上であり、かつ直径が前記熱間鍛造金型の外径以上である前記バリが生成するように、前記熱間鍛造型を用いて前記ワークを熱間鍛造し、
(d)前記バリと前記熱間鍛造金型との接触面の摩耗量を評価する
熱間鍛造金型の摩耗評価試験法。 - 前記ワークは、前記鍛造後に、前記熱間鍛造金型の上型と下型の隙間に形成される前記バリの中に、表面積拡大比が10以上となる領域を発生させることが可能な体積を持ち、
前記上型と前記下型の隙間に形成される前記バリの中に、前記表面積拡大比が10以上となる領域が発生するように、前記熱間鍛造金型を用いて前記ワークを熱間鍛造する
請求項1に記載の熱間鍛造金型の摩耗評価試験法。 - 前記ワークは、前記鍛造後に、厚さが1mm以上4mm以下であり、かつ直径が前記熱間鍛造金型の外径以上であるバリを生成させることが可能な体積を持ち、
厚さが1mm以上4mm以下であり、かつ直径が前記熱間鍛造金型の外径以上である前記バリが生成するように、前記熱間鍛造型を用いて前記ワークを熱間鍛造する
請求項1又は2に記載の熱間鍛造金型の摩耗評価試験法。
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