JP2015205020A - 口腔内データ取得方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】精度の高い3Dデータを容易に低コストで取得することができる口腔内データ取得方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る口腔内データ取得方法は、ハンディ移動式3Dスキャナ1をU字状の歯列又は顎2に沿って移動して歯列又は顎2の3Dデータを取得する工程と、歯列又は顎2に印象材5を押し付けることで歯列又は顎2の少なくとも3点の特定部分(a、b、c)の実際の位置データを取得する工程と、特定部分(a、b、c)の実際の位置データに基づいてハンディ移動式3Dスキャナ1で取得した歯列又は顎の3Dデータを修正する工程とを備えている。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る口腔内データ取得方法は、ハンディ移動式3Dスキャナ1をU字状の歯列又は顎2に沿って移動して歯列又は顎2の3Dデータを取得する工程と、歯列又は顎2に印象材5を押し付けることで歯列又は顎2の少なくとも3点の特定部分(a、b、c)の実際の位置データを取得する工程と、特定部分(a、b、c)の実際の位置データに基づいてハンディ移動式3Dスキャナ1で取得した歯列又は顎の3Dデータを修正する工程とを備えている。
【選択図】図1
Description
本発明は、義歯の製作や歯列矯正の経過検証などに用いられる口腔内の歯列又は顎の3Dデータ(3次元データ)を取得する口腔内データ取得方法に係り、特に、精度の高い3Dデータを容易に低コストで取得することができる口腔内データ取得方法に関する。
患者の欠損歯を人工的に復元する技術として、デンタルインプラント(以下インプラント)が知られている。インプラントは、患者の顎の歯槽骨にフィクスチャーを埋め込み、フィクスチャーにアバットメントを介して人工歯(義歯)を装着することで、欠損歯を復元する手法である。かかるインプラントにおいて、フィクスチャーにアバットメントを介して装着される義歯を製造するためには、フィクスチャーが埋め込まれた患者の顎又は歯列の形状に関する精度の高い3Dデータが必要である。
また、患者の歯並びを矯正する歯列矯正においては、矯正の効果を確認するために、矯正前、矯正中、矯正後の歯列の3Dデータが必要となる。特に、矯正中は、歯に装着された矯正具によって歯列を数ヶ月間に亘って僅かずつ矯正するため、理想的な歯列に矯正するためには、矯正による歯列のごく僅かな形状変化の経過を的確に把握する必要がある。このため、患者の歯列又は顎の形状について精度の高い3Dデータが必要となる。
このように義歯の製作や歯列矯正の経過検証などに用いられる口腔内の3Dデータを取得する手法として、従来より、歯列又は顎の形状に合わせて窪んだトレーに印象材を充填し、トレーを患者の口腔内に差し入れて印象材を歯列又は顎に押し付け、印象材の硬化後にトレーを口腔内から抜き出し、歯列又は顎の形状が転写された印象材の窪みに石膏を流し込んで石膏模型を製作するという手法が行われてきた。
しかし、このような石膏模型は、印象材が僅かに変形する可能性があるため、患者の歯列又は顎を正確に再現できない場合も考えられる。また、石膏模型に基づいて義歯を製作するためには、歯科医院において印象材を用いて患者の歯列又は顎を転写して石膏模型を製作した後、その石膏模型を義歯製作の専門家である歯科技工士に送付する必要があり、送付手続が煩雑である。一方、石膏模型を歯列矯正の経過検証に用いる場合には、矯正の段階に応じた複数の石膏模型をストックする必要があり、大きなストックスペースが必要となってしまう。
そこで、近年、ハンディ移動式3Dスキャナ(例えば3シェイプ社製、商品名:トリオス)を患者の口腔内に差し入れ、3Dスキャナのセンサ部をU字状の歯列又は顎に沿って移動し、患者の歯列又は顎の3Dデータを取得する手法が注目されている(特許文献1参照)。この手法によれば、患者の歯列又は顎の3Dデータを石膏模型のようなハードウエアではなくソフトウエア(数値データ)として取得・保存できるので、歯科医院において患者の歯列又は顎から取得した3Dデータ(数値データ)をインターネットを介して容易に歯科技工士に送ることができ、且つ、3Dデータの物理的なストックスペースも不要である。
ところで、上述したハンディ移動式3Dスキャナを用いた歯列又は顎の3Dデータ取得手法においては、3Dスキャナのセンサ部を患者の歯列又は顎に沿って動かしながら取得した複数の画像データを共通部分が一致するように重ね合わせ、共焦点イメージング技術(confocal imaging technique)や表面最適化アルゴリズム等を用いて歯列又は顎の3Dデータを取得している。
従って、3Dスキャナのセンサ部をU字状の歯列又は顎の一端からその歯列弓又は顎弓に沿って他端まで移動して歯列又は顎のフルケースの3Dデータを取得すると、センサ部の移動経路がU字状にカーブしていて長いため、取得した3Dデータに誤差が生じることが避けられない。このような3Dデータは、義歯の製作に用いる場合であっても、歯列矯正の経過検証に用いる場合であっても、噛み合わせ調節など高い精度が要求される口腔内データとしては実用にならない場合が多い。
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、U字状の歯列又は顎について精度の高い3Dデータを容易に低コストで取得することができる口腔内データ取得方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく創案された本発明によれば、ハンディ移動式3DスキャナをU字状の歯列又は顎に沿って移動して歯列又は顎の3Dデータを取得する工程と、歯列又は顎に押付部材を押し付けることで歯列又は顎の少なくとも3点の特定部分の実際の位置データを取得する工程と、特定部分の実際の位置データに基づいてハンディ移動式3Dスキャナで取得した歯列又は顎の3Dデータを修正する工程と、を備えたことを特徴とする口腔内データ取得方法が提供される。
上記口腔内データ取得方法において、特定部分は、U字状の歯列又は顎のU字状左側部から1点、U字状右側部から1点選択されてもよい。
上記口腔内データ取得方法において、歯列又は顎に押付部材を押し付けることで歯列又は顎の少なくとも3点の特定部分の実際の位置データを取得する工程は、表面が平らな平板に押付部材としての印象材を歯列又は顎の大きさに合わせて盛り付ける工程と、平板を口腔内に差し入れて印象材を歯列又は顎に押し付け、歯列又は顎の最も高い3点が印象材を貫通して平板の表面に接し、歯列又は顎の最も高い3点によって平板の姿勢を定めた状態で、印象材に歯列又は顎の形状を転写する工程と、印象材が硬化した後に平板を前記口腔内から引き出し、歯列又は顎の形状が転写された印象材を観察し、印象材を貫通した印象材が最も深く窪んだ3点を選択する工程と、選択された3点の相対的な位置関係を測定する工程とを有するものであってもよい。
上記口腔内データ取得方法において、印象材が硬化した後に平板を口腔内から引き出し、歯列又は顎の形状が転写された印象材を観察し、印象材を貫通した印象材が最も深く窪んだ3点を選択した後、歯列又は顎の形状が転写された印象材を、3点の部分が同時に写るように、上方から撮影して2次元画像を取得し、2次元画像に写った歯列又は顎の形状が転写された印象材の画像に、3点の位置を表示し、2次元画像に表示された3点の位置に基づき、ハンディ移動式3Dスキャナで取得した歯列又は顎の3Dデータを修正するようにしてもよい。
上記口腔内データ取得方法において、印象材が硬化した後に平板を口腔内から引き出し、歯列又は顎の形状が転写された印象材を観察し、印象材を貫通した印象材が最も深く窪んだ3点を選択した後、口腔内に小型フラットベッドスキャナを差し入れて歯列又は顎をスキャンすることで3点の部分を含む2次元画像を取得し、2次元画像に写った歯列又は顎の画像に、3点の位置を表示し、2次元画像に表示された3点の位置に基づき、ハンディ移動式3Dスキャナで取得した歯列又は顎の3Dデータを修正するようにしてもよい。
本発明に係る口腔内データ取得方法によれば、ハンディ移動式3DスキャナをU字状の歯列又は顎に沿って移動して歯列又は顎の3Dデータを取得すると、スキャナの移動経路がU字状にカーブしていて長いため、取得した3Dデータに一定の誤差が生じるものの、歯列又は顎に押付部材を押し付けることで歯列又は顎の少なくとも3点の特定部分の実際の位置データを取得し、特定部分の実際の位置データに基づいてハンディ移動式3Dスキャナで取得した歯列又は顎の3Dデータを修正することで、精度の高い3Dデータを容易に低コストで取得できる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。係る実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(口腔内データ取得方法の概要)
本発明の一実施形態に係る口腔内データ取得方法を図1〜図3を用いて説明する。本実施形態に係る口腔内データ取得方法は、先ず、図1(a)に示すように、データを取得する患者の口腔内にハンディ移動式3Dスキャナ(以下3Dスキャナとも言う)1のセンサ部1aを差し入れ、センサ部1aをU字状の歯列又は顎(以下歯列等とも言う)2に沿って移動し、歯列等2の3Dデータを取得する工程を行う。
本発明の一実施形態に係る口腔内データ取得方法を図1〜図3を用いて説明する。本実施形態に係る口腔内データ取得方法は、先ず、図1(a)に示すように、データを取得する患者の口腔内にハンディ移動式3Dスキャナ(以下3Dスキャナとも言う)1のセンサ部1aを差し入れ、センサ部1aをU字状の歯列又は顎(以下歯列等とも言う)2に沿って移動し、歯列等2の3Dデータを取得する工程を行う。
この工程においては、3Dスキャナ1のセンサ部1aを患者の歯列等2の唇側・舌側に移動させつつ歯列等2に沿って動かしながら歯列等2の一部についての画像データを複数(例えば数百枚)取得し、取得した複数の画像データを共通部分が一致するように重ね合わせ、共焦点イメージング技術(confocal imaging technique)や表面最適化アルゴリズム等を用い、歯列等2の3Dデータを取得する。かかるハンディ移動式3Dスキャナ1には、例えば、「3シェイプ社」製の商品名「トリオス」等が用いられる。
かかるハンディ移動式3Dスキャナ1のセンサ部1aをU字状の歯列等2の一端2aからその歯列弓又は顎弓に沿って他端2bまで移動することで、歯列等2のフルケースの3Dデータを取得できる。図1(b)に、その3Dデータに基づいて、コンピュータによって描かれた歯列等2の3D画像(3次元画像)3を示す。この3D画像3は、見る角度(視点)を自在に動かせるコンピュータグラフィックスであり、義歯の製作や歯列矯正の経過検証に利用することが考えられる。
しかし、フルスケールの3D画像3を得るためには、ハンディ移動式3Dスキャナ1のセンサ部1aをU字状の歯列等2の一端2aから他端2bまで移動する必要があり、センサ部1aの移動経路がU字状にカーブしていて長いため、画像データを重ね合わせたときの誤差が累積することが避けられない。このため、この種のハンディ移動式3Dスキャナ1は、従来、誤差の累積が少ない歯列等2の一部分(連なった3歯程度)の3Dデータ(3D画像)の取得に利用されてはいるものの、歯列等2の全体(フルケース)の3Dデータ(3D画像)の取得には利用されていない。
すなわち、ハンディ移動式3Dスキャナ1を歯列等2の一端2aから他端2bまでU字状に移動することで得られた3Dデータに基づいて描かれる3D画像3は、図1(b)に示すように、口腔内のX方向(前後方向)、Y方向(左右方向)、Z方向(上下方向)の少なくとも1方向において、実際の歯列等2に対して一定の誤差が生じる可能性があり、このような3Dデータの3D画像3は、義歯の製作に用いる場合であっても、歯列矯正の経過検証に用いる場合であっても、噛み合わせ調節など高い精度が要求される口腔内データとしては実用にならない場合が多い。
そこで、本実施形態に係る口腔内データ取得方法においては、患者の歯列等2に押付部材を押し付けることで歯列等の少なくとも3点の特定部分の実際の位置データを取得する工程と、こうして取得した特定部分の実際の位置データに基づいてハンディ移動式3Dスキャナ1で取得した歯列等の3Dデータを修正する工程とを行うことで、口腔内の歯列等2について、精度の高い3Dデータを取得するようにしている。以下、これらの工程について詳述する。
(口腔内データ取得方法の詳細)
歯列等2に押付部材を押し付けることで歯列等の少なくとも3点の特定部分の実際の位置データを取得する工程においては、先ず、図2(a)に示すように、表面が平らな平板4に押付部材としての印象材5を歯列等2の大きさに合わせて盛り付ける工程を行う。印象材5には、アルジネート印象材、寒天印象材、シリコン印象材などが用いられる。なお、平板4の形状は上方から見て湾曲部4aを有さない矩形でもよく、平板4に取り付けられた取手部4bは省略してもよい。
歯列等2に押付部材を押し付けることで歯列等の少なくとも3点の特定部分の実際の位置データを取得する工程においては、先ず、図2(a)に示すように、表面が平らな平板4に押付部材としての印象材5を歯列等2の大きさに合わせて盛り付ける工程を行う。印象材5には、アルジネート印象材、寒天印象材、シリコン印象材などが用いられる。なお、平板4の形状は上方から見て湾曲部4aを有さない矩形でもよく、平板4に取り付けられた取手部4bは省略してもよい。
次に、平板4を患者の口腔内に差し入れて印象材5を歯列等2に押し付け、歯列等2の最も高い3点(何れかの咬頭頂)が印象材5を貫通して平板4の表面に接し、歯列等2の最も高い3点によって平板4の姿勢を定めた状態で、印象材5に歯列等2の形状を転写する工程を行う。平板4は、表面が平らなので、その表面に歯列等2の最も高い3点が押し付けられることで、ガタ付くことなく姿勢が安定する。すなわち、平板4は、歯列等2に対する接触点が2点では姿勢が定まらず、4点ではガタ付くことがあるが、3点であれば姿勢が一意に定められる。
次に、印象材5が硬化した後に平板4を口腔内から引き出す。図2(b)に、口腔内から引き出され歯列等2が転写された印象材5の平面図を示す。そして、歯列等2の形状が転写された印象材5を上方から見て、平板4の表面が透けて見える印象材5が最も深く窪んだ3点(a、b、c)を選択して印を付ける工程を行う。この工程は、平板4に印象材5が載せられた状態で行ってもよいが、印象材5を平板4から剥がして貫通孔を探すことで行ってもよい。また、平板4から剥がした印象材5の裏面(平板4との接触面)から行ってもよい。すなわち、歯列等2の形状が転写された印象材5を観察し、印象材5を貫通した印象材5が最も深く窪んだ3点(a、b、c)を選択する。
次に、選択された3点(a、b、c)の相対的な位置関係を測定する工程を行う。具体的には、3点(a、b、c)の各点間の距離(L1、L2、L3)を計測する。この工程も、平板4に印象材5が載せられた状態で行ってもよいが、印象材5を平板4から剥がして行ってもよく、平板4から剥がした印象材5の裏面から行ってもよい。このように印象材の3点(a、b、c)の相対的な位置関係を測定することで、患者の歯列等2の実際の最も高い3点(a、b、c:同一平面上の3点)の相対的な位置関係を把握できる。なお、3点(a、b、c)を結ぶ三角形の3辺の長さに代えて、2辺挟角、1辺両端角を計測してもよい(三角形の合同条件)。
次に、上述したように3点(a、b、c)3点を選択した後、歯列等2の形状が転写された印象材5を、図3(a)に示すように、3点(a、b、c)の部分が同時に写るように、平板4の垂直上方から撮影して2次元画像6を取得する。この撮影も、平板4に印象材5が載せられた状態で行ってもよいが、印象材5を平板4から剥がして行ってもよい。そして、2次元画像6に写った歯列等2の形状が転写された印象材5の画像に、3点(a、b、c)の位置を印を付けて表示する。これにより、3点(a、b、c)の位置が、歯列等2のどの部分にあるのか把握できる。
以上の工程により、図2(b)に示す印象材5に基づき、患者の歯列等2の実際の最も高い3点(a、b、c:同一平面上の3点)の相対的な位置関係の数値データ(L1、L2、L3)を取得でき、図3(a)に示す2次元画像6に基づき、患者の歯列等2の実際の最も高い3点(a、b、c)の位置が歯列等2のどの部分にあるのか把握できる。よって、上記3点(a、b、c)の相対的な位置を表す数値データ(L1、L2、L3)と、上記3点(a、b、c)の歯列等2における位置が印つけられた2次元画像6の画像データとに基づき、ハンディ移動式3Dスキャナ1で取得した歯列等2の3Dデータを修正できる。
図3(b)に、2次元画像6の画像データと、3点(a、b、c)の相対位置の数値データとに基づいて、ハンディ移動式3Dスキャナ1で得られた3Dデータを修正して描かれた歯列等2の3D画像(誤差修正後)7を示す。この3D画像7は、図1(b)に示す誤差修正前の歯列等2の3D画像3において、図3(a)の2次元画像6に基づき上記3点(a、b、c)の位置をクリックする等して特定し、これら3点(a、b、c)同士の距離が夫々L1、L2、L3となるように3D画像3の全体を変形(コンピュータ内で3Dデータを変形)することで得られる。
(作用・効果)
以上述べたように、本実施形態に係る口腔内データ取得方法によれば、ハンディ移動式3Dスキャナ1をU字状の歯列又は顎2に沿って移動して歯列等2の3Dデータを取得すると、スキャナ1の移動経路がU字状にカーブしていて長いため、取得した3Dデータに一定の誤差が生じるものの、平板4に盛り付けた印象材5を歯列等2に押し付けることで歯列等2の最も高い3点(a、b、c)の実際の位置データを取得し、これら3点(a、b、c)の実際の位置データに基づいてハンディ移動式3Dスキャナ1で取得した歯列等2の3Dデータを修正することで、精度の高い3Dデータを容易に低コストで取得できる。
以上述べたように、本実施形態に係る口腔内データ取得方法によれば、ハンディ移動式3Dスキャナ1をU字状の歯列又は顎2に沿って移動して歯列等2の3Dデータを取得すると、スキャナ1の移動経路がU字状にカーブしていて長いため、取得した3Dデータに一定の誤差が生じるものの、平板4に盛り付けた印象材5を歯列等2に押し付けることで歯列等2の最も高い3点(a、b、c)の実際の位置データを取得し、これら3点(a、b、c)の実際の位置データに基づいてハンディ移動式3Dスキャナ1で取得した歯列等2の3Dデータを修正することで、精度の高い3Dデータを容易に低コストで取得できる。
この3Dデータによって義歯を製作する手順を説明する。先ず、歯科医院において、ハンディ移動式3Dスキャナ1によって患者の歯列等の3Dデータ(誤差有り):Xを取得し、平板4に盛り付けた印象材5を患者の歯列等2に押し付けることで歯列等2の最も高い3点(a、b、c)の実際の位置データ(3点の相対的な位置を表す数値データ(L1、L2、L3):Y、3点の歯列等2における位置が印つけられた2次元画像データ:Z)を取得する。
そして、これらの3Dデータ(誤差有り)X、3点の数値データY及び2次元画像データZを、歯科医院から歯科技工士にインターネットを介して送信する。従来の石膏模型のようにハードウエアを郵送・配送する手続は不要である。データX、Y、Zを受信した歯科技工士は、既述のように、3Dデータ(誤差有り)Xを3点の数値データYと画像データZとに基づいて修正することで、精度の高い3Dデータを容易に得ることができる。
よって、歯科技工士は、この修正後の3Dデータに基づいて義歯を製作することで、精度の高い義歯を製作できる。従来必要であった石膏模型の製作費用、配送費用が不要となるので、低コストで義歯を製作できる。この3Dデータは、石膏模型のようなハードウエアではなくソフトウエア(数値データ)として保存できるので、石膏模型では必要となるストックスペースも不要である。
上記3点(a、b、c)は、図2(b)に示すように、U字状の歯列等2のU字状左側部2Lから1点、U字状右側部2Rから1点選択されることが好ましい(図1(a)参照)。ハンディ移動式3Dスキャナ1によって得られた患者の歯列等2の3Dデータ(誤差有り)を、U字状の全体に亘ってバランスよく修正できるからである。本明細書において、歯列等2のU字状右側部2Rとは、右側の犬歯2xよりも後方の第1臼歯から後方の部分、U字状左側部2rとは、左側の犬歯2yよりも後方の第1臼歯から後方の部分をいう。
平板4に印象材5を盛り付け、印象材5を歯列等2に押し付け、歯列等2の最も高い3点(a、b、c)が印象材5を貫通して平板4に接し、歯列等2の最も高い3点(a、b、c)によって平板4の姿勢を定めた状態で、印象材5に歯列等2の形状を転写しているので、安定して転写することができ、転写精度が高まる。また、歯列等2の形状が転写された印象材5を観察し、印象材5を貫通した印象材5が最も深く窪んだ3点(a、b、c)を選択するようにしているので、印象材5から歯列等2の最も高い3点(a、b、c)を的確に選択でき、精度が高まる。
印象材5が最も深く窪んだ3点(a、b、c)を選択した後、歯列等2の形状が転写された印象材5を3点(a、b、c)の部分が同時に写るように上方から撮影して2次元画像6を取得し、2次元画像6に写った印象材5の画像に3点(a、b、c)の位置を表示したので、2次元画像6に表示された3点(a、b、c)の位置に基づいて、ハンディ移動式3Dスキャナ1で取得した3Dデータを修正することができる。すなわち、歯列等2の形状が転写された印象材(現物)5を用いることなく修正できるので、印象材5を歯科医院から歯科技工士に郵送・配送する必要はない。また、印象材5を廃棄でき、印象材5のストックスペースも不要となる。
(第1変形実施形態)
本発明の変形実施形態に係る口腔内データ取得方法を図4を用いて説明する。変形実施形態に係る口腔内データ取得方法は、上述した前実施形態に係る口腔内データ取得方法と基本的には同様であり、図3(a)に示すように歯列又は顎2の形状が転写された印象材5を写真撮影する代わりに、図4(a)に示す小型フラットベッドスキャナ8を口腔内に差し入れて歯列等2をスキャンするようにしたものである。
本発明の変形実施形態に係る口腔内データ取得方法を図4を用いて説明する。変形実施形態に係る口腔内データ取得方法は、上述した前実施形態に係る口腔内データ取得方法と基本的には同様であり、図3(a)に示すように歯列又は顎2の形状が転写された印象材5を写真撮影する代わりに、図4(a)に示す小型フラットベッドスキャナ8を口腔内に差し入れて歯列等2をスキャンするようにしたものである。
図4(a)はこの口腔内データ取得方法に用いられる小型フラットベッドスキャナ8の斜視図、図4(b)は図4(a)のb−b線断面図である。小型フラットベッドスキャナ8は、口腔内に差し入れられる扁平な矩形の筐体9と、筐体9の頂面に取り付けられた透明な頂板(強化ガラス等)10と、頂板10の下方にて筐体9の長手方向に沿って移動する直線状の走査部11とを備えている。また、筐体9内には、短辺に沿ってLED等の光源12が収容され、光源12の光が鏡等の反射面13で反射されて頂板10の縁から頂板10の板厚内に入射されるようになっている。これにより、頂板10が全体的に発光し、口腔内の歯列等2を照らすことができる。なお、光源12、反射面13は省略してもよい。
変形実施形態に係る口腔内データ取得方法においては、前実施形態と同様に印象材5が最も深く窪んだ3点(a、b、c)を選択した後、口腔内に小型フラットベッドスキャナ8を差し入れて歯列等2をスキャンすることで3点(a、b、c)の部分を含む2次元画像を取得し、2次元画像に写った歯列等2に3点(a、b、c)の位置を表示し、2次元画像に表示された3点(a、b、c)の位置に基づき、ハンディ移動式3Dスキャナ1で取得した歯列等2の3Dデータを修正する。すなわち、歯列等2が転写された印象材5を写真撮影する必要はない。
小型フラットベッドスキャナ8の平らな頂板10を歯列等2に押し付けて歯列等2の最も高い3点に当接させることで、スキャナ8の姿勢を安定させることができ、安定した等倍の2次元画像を得ることができる。このようにしてスキャナ8で得られた2次元画像を、図3(a)に示す写真撮影で得られた2次元画像6の代わりに用いることで、この変形実施形態に係る口腔内データ取得方法においても前実施形態と同様の作用効果を得られる。なお、スキャナ8で得られた2次元画像のデータは、歯科医院から歯科技工士へインターネットで送信できる。
(第2変形実施形態)
小型フラットベッドスキャナ8の頂板10の表面に感圧機能を備えた感圧層を付加すると共に、感圧層に圧力を感じた点同士の距離を測定する測距機能を付加してもよい。こうすれば、スキャナ8を患者の口腔内に差し入れた後、頂板10を歯列又は顎2に押し付けることで、歯列等2の最も高い3点(a、b、c)が押し付けられた感圧点を把握し、3点(a、b、c)同士の距離(3点の相対的な位置関係)を測定できる。
小型フラットベッドスキャナ8の頂板10の表面に感圧機能を備えた感圧層を付加すると共に、感圧層に圧力を感じた点同士の距離を測定する測距機能を付加してもよい。こうすれば、スキャナ8を患者の口腔内に差し入れた後、頂板10を歯列又は顎2に押し付けることで、歯列等2の最も高い3点(a、b、c)が押し付けられた感圧点を把握し、3点(a、b、c)同士の距離(3点の相対的な位置関係)を測定できる。
従って、このスキャナ8で得られる2次元画像によって上記3点(a、b、c)の歯列等2における位置が把握でき、同時に、測距機能を備えた感圧層により上記3点(a、b、c)の相対的な位置関係も把握できるので、既述の実施形態における印象材5を用いた工程が不要となる。すなわち、スキャナ8の頂板10に設けられた測距機能を備えた感圧層が、押付部材となり、印象材5の機能を兼用することになる。
よって、この第2変形実施形態によれば、ハンディ移動式3Dスキャナ1で歯列等2の3Dデータ(誤差あり)を取得する工程と、小型フラットベッドスキャナ(感圧機能及び測距機能つき)8で歯列等2の2Dデータを取得する工程とを行い、2Dデータによって3Dデータを修正することで、精度の高い口腔内データを容易に得ることができる。3Dデータ、2Dデータは、歯科医院からインターネットを介して歯科技工士へ送信できる。
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した各実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例又は修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。例えば、本発明の口腔内データ取得方法は、上述したようにインプラントにおける義歯の製作ではなく、歯列矯正における矯正結果の経過検証に用いてもよい。
また、本発明は、歯列又は顎2の全体(フルケース)の3Dデータ(3D画像)の取得のみならず、U字状の歯列又は顎2の一部(U字状右側部2Rの何れかの部分からU字状手前側部を介してU字状左側部2Lの何れかの部分に架けての部分)の3Dデータ(3D画像)の取得に用いてもよい。この部分においてもハンディ移動式3Dスキャナ1で歯列又は顎2の3Dデータを取得すると、スキャナ1の移動経路がU字状となるため誤差が問題となるところ、本発明によれば精度の高い3Dデータが得られる。
本発明は、義歯の製作や歯列矯正の経過検証などに用いられる口腔内の歯列又は顎の3Dデータ(3次元データ)を取得する口腔内データ取得方法に利用できる。
1 ハンディ移動式3Dスキャナ
2 歯列又は顎(歯列等)
2L U字状左側部
2R U字状右側部
3 歯列等の3D画像(誤差修正前)
4 平板
5 印象材(押付部材)
6 歯列又は顎が転写された印象材5を撮影した2次元画像
7 歯列等の3D画像(誤差修正後)
8 小型フラットベッドスキャナ
a、b、c 3点(特定部分)
2 歯列又は顎(歯列等)
2L U字状左側部
2R U字状右側部
3 歯列等の3D画像(誤差修正前)
4 平板
5 印象材(押付部材)
6 歯列又は顎が転写された印象材5を撮影した2次元画像
7 歯列等の3D画像(誤差修正後)
8 小型フラットベッドスキャナ
a、b、c 3点(特定部分)
Claims (5)
- ハンディ移動式3DスキャナをU字状の歯列又は顎に沿って移動して前記歯列又は顎の3Dデータを取得する工程と、
前記歯列又は顎に押付部材を押し付けることで前記歯列又は顎の少なくとも3点の特定部分の実際の位置データを取得する工程と、
前記特定部分の実際の位置データに基づいて前記ハンディ移動式3Dスキャナで取得した前記歯列又は顎の3Dデータを修正する工程と、を備えたことを特徴とする口腔内データ取得方法。 - 請求項1に記載された口腔内データ取得方法において、
前記特定部分は、前記U字状の歯列又は顎のU字状左側部から1点、U字状右側部から1点選択される、ことを特徴とする口腔内データ取得方法。 - 請求項1又は2に記載された口腔内データ取得方法において、
前記歯列又は顎に押付部材を押し付けることで前記歯列又は顎の少なくとも3点の特定部分の実際の位置データを取得する工程は、
表面が平らな平板に前記押付部材としての印象材を前記歯列又は顎の大きさに合わせて盛り付ける工程と、
前記平板を前記口腔内に差し入れて前記印象材を前記歯列又は顎に押し付け、前記歯列又は顎の最も高い3点が前記印象材を貫通して前記平板の表面に接し、前記歯列又は顎の最も高い3点によって前記平板の姿勢を定めた状態で、前記印象材に前記歯列又は顎の形状を転写する工程と、
前記印象材が硬化した後に前記平板を前記口腔内から引き出し、前記歯列又は顎の形状が転写された前記印象材を観察し、前記印象材を貫通した前記印象材が最も深く窪んだ3点を選択する工程と、
選択された3点の相対的な位置関係を測定する工程とを有する、ことを特徴とする口腔内データ取得方法。 - 請求項3に記載された口腔内データ取得方法において、
前記印象材が硬化した後に前記平板を前記口腔内から引き出し、前記歯列又は顎の形状が転写された前記印象材を観察し、前記印象材を貫通した前記印象材が最も深く窪んだ3点を選択した後、
前記歯列又は顎の形状が転写された前記印象材を、前記3点の部分が同時に写るように、上方から撮影して2次元画像を取得し、
該2次元画像に写った前記歯列又は顎の形状が転写された前記印象材の画像に、前記3点の位置を表示し、
前記2次元画像に表示された前記3点の位置に基づき、前記ハンディ移動式3Dスキャナで取得した前記歯列又は顎の3Dデータを修正する、ことを特徴とする口腔内データ取得方法。 - 請求項3に記載された口腔内データ取得方法において、
前記印象材が硬化した後に前記平板を前記口腔内から引き出し、前記歯列又は顎の形状が転写された前記印象材を観察し、前記印象材を貫通した前記印象材が最も深く窪んだ3点を選択した後、
前記口腔内に小型フラットベッドスキャナを差し入れて前記歯列又は顎をスキャンすることで前記3点の部分を含む2次元画像を取得し、
該2次元画像に写った前記歯列又は顎の画像に、前記3点の位置を表示し、
前記2次元画像に表示された前記3点の位置に基づき、前記ハンディ移動式3Dスキャナで取得した前記歯列又は顎の3Dデータを修正する、ことを特徴とする口腔内データ取得方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014087214A JP2015205020A (ja) | 2014-04-21 | 2014-04-21 | 口腔内データ取得方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014087214A JP2015205020A (ja) | 2014-04-21 | 2014-04-21 | 口腔内データ取得方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015205020A true JP2015205020A (ja) | 2015-11-19 |
Family
ID=54602417
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014087214A Pending JP2015205020A (ja) | 2014-04-21 | 2014-04-21 | 口腔内データ取得方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015205020A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109238197A (zh) * | 2018-08-28 | 2019-01-18 | 北京大学口腔医学院 | 一种口腔三维扫描仪的精度评价方法 |
CN109341575A (zh) * | 2018-09-30 | 2019-02-15 | 先临三维科技股份有限公司 | 三维扫描装置及其指甲扫描方法 |
-
2014
- 2014-04-21 JP JP2014087214A patent/JP2015205020A/ja active Pending
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CN109238197A (zh) * | 2018-08-28 | 2019-01-18 | 北京大学口腔医学院 | 一种口腔三维扫描仪的精度评价方法 |
CN109341575A (zh) * | 2018-09-30 | 2019-02-15 | 先临三维科技股份有限公司 | 三维扫描装置及其指甲扫描方法 |
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