JP2015202067A - 農業用シート固定具、及びシート部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】強風が吹いてシート部材に捲れ上がるような力が作用しても、土壌面から容易に抜けることがなく、シート部材を固定することができ、しかもシート部材を開閉する際には、容易に抜き差しすることができる農業用シート固定具を提供する。
【解決手段】農業用シート固定具1は、シート部材の外側で土壌面に差し込まれる棒状の土壌差込部2と、土壌差込部2の頂部5から水平方向に延び、頂部5を中心として上下円弧方向に弾性変形可能な平板状のバネ板部3と、バネ板部3の延出方向先端側14から垂下され、土壌差込部2よりも上下方向の長さが短く、シート部材を貫通して土壌面に突き刺さる突起部4とを具備する。
【選択図】図2
【解決手段】農業用シート固定具1は、シート部材の外側で土壌面に差し込まれる棒状の土壌差込部2と、土壌差込部2の頂部5から水平方向に延び、頂部5を中心として上下円弧方向に弾性変形可能な平板状のバネ板部3と、バネ板部3の延出方向先端側14から垂下され、土壌差込部2よりも上下方向の長さが短く、シート部材を貫通して土壌面に突き刺さる突起部4とを具備する。
【選択図】図2
Description
本発明は、農業用のマルチシートやビニールトンネル等のシート部材を土壌面に固定する農業用シート固定具、及びその農業用シート固定具によって固定されるシート部材に関するものである。
作物の土壌面を被覆するマルチシートを土壌面に固定するためのシート固定具として、例えば特許文献1乃至特許文献3に記載されたマルチ押えが知られている。図6(a),(b)に示すように、これらのマルチ押え50は、樹脂で一体成形され、主に土壌面Dに差し込まれる棒状の土壌差込部51と、土壌差込部51の頂部51aから水平方向両側に延びマルチシート54を上側から押える平板状のシート押え部52とから構成されている。なお、土壌差込部51は、下端51bが尖形であるとともに、周面には複数の突起51cや窪み51dが形成されている。
一方、図7に示すように、畑では、霜の害や強風による風害から作物を守るため、ビニールトンネル60が用いられている。このビニールトンネル60のシート部材61は、畝Uに沿って所定の間隔で配置されたアーチ形(逆U字形)の支柱62に被せて張られ、縁部となる左右の裾部分61aが土壌面Dに重ねられた状態で固定される。そして、このシート部材61を固定する手段としても、上記のマルチ押え50が用いられている。具体的には、土壌差込部51を、左右の裾部分61aを貫通して土壌面Dに差込むことで、シート押え部52によって裾部分61aを固定する方法である。なお、図示しないが、シート部材61を固定するその他の方法として、左右の裾部分61aに土を載せて押える方法、大きめの石や水入りのペットボトル等を重石として裾部分61aに載せる方法、及び洗濯ばさみのような挟持具を用いてシート部材61を支柱62に止める方法等も一般的に行われている。
しかし、従来のマルチ押え50は、縦断面が略T字形であり、図6(b)に示すように水平方向に延びるシート押え部52がマルチシート54を上側から押える形態、すなわちシート押え部52の下面全体がマルチシート54の上面に接した状態で使用されるため、強風によってマルチシート54に捲れ上がる方向の力が作用すると、シート押え部52全体に上向きの力が作用し、土壌差込部51が土壌面Dから抜けてしまう可能性が高くなっていた。つまり、マルチ押え50には、土壌面Dへの差込み方向とは逆向きの力(すなわち抜き方向の力)が作用するため、たとえ土壌差込部51の周面に抜止め用の突起51cや窪み51dがあっても、差し込んだ際に形成された穴と同じ通路を通って抜けることで、抵抗が小さくなり、抜けてしまう可能性が高くなっていた。
特に、図7に示すように、ビニールトンネル60のシート部材61を固定するためにマルチ押え50を用いた場合には、ビニールトンネル60内に風が吹き込むと、シート部材61全体が持ち上がるように(すなわちシート部材61の両側の裾部分61aが土壌面Dから浮き上がるように)力を受けるため、マルチ押え50の土壌差込部51が簡単に抜けるという問題を有していた。
そして、土壌差込部51が土壌面Dから抜けた場合には、シート部材61を土壌面Dに固定することができなくなり、その結果、風によってシート部材61が煽られたり吹き飛ばされたりし、作物に与える被害を助長させていた。つまり、霜の害や直接的な風害だけでなく、シート部材61自体が作物にぶつかることで、被害が大きくなっていた。
なお、シート部材61の裾部分61aに土を載せて押える方法では、シート部材61の長手方向(すなわち畝Uの方向)に沿って連続して土を盛ることで、裾部分61aと土壌面Dとの間の気密性を高めビニールトンネル60の内部に風が吹き込むことを抑制できる。しかしながら、これによれば、作物の成長に合わせた各作業(例えば、水やり、換気、温度調整、間引き、追肥、及び収穫)の際に必要な、裾部分61aの開閉操作が、極めて多くの手間を要するものとなり、ひいては作業者の負担を軽減することが望まれていた。
また、大きめの石や水入りペットボトルを重石として裾部分61aに載せる方法では、シート部材61の開閉にかかる手間を幾分小さくできるものの、シート部材61の裾部分61aに大きな風力が加わると、重石が転がり、シート部材61の裾部分61aが捲れ上がってしまうおそれがあった。また、数多くの重石が必要となることから、重石を使用しない場合の収納場所の確保が困難になっていた。
一方、挟持具を用いてシート部材61を支柱62に止める方法では、挟持具の数を増やしたり、挟持具の保持力を高めたりすることにより、支柱62に対するシート部材61の固定状態を高めることができるが、これによれば、強風の際、支柱62に大きな力が加わり、支柱62が倒れたり支柱62が土壌面Dから抜けたりするおそれがあった。また、保持力の強い挟持具を用いるとシート部材61の開閉にかかる手間が大きくなるという不具合も有していた。
そこで、本発明は、上記の実状に鑑み、強風が吹いてシート部材(マルチシートを含む)に捲れ上がるような力が作用しても、土壌面から容易に抜けることがなく、シート部材を固定することができ、しかもシート部材の縁部を開閉する際には、容易に抜き差しすることができる農業用シート固定具、及びその農業用シート固定具に好適なシート部材を提供することを課題とするものである。
本発明の農業用シート固定具は、
「シート部材の外側で土壌面に差し込まれる棒状の土壌差込部と、
該土壌差込部の頂部から水平方向に延び、前記頂部を中心として上下円弧方向に弾性変形可能な板状のバネ板部と、
該バネ板部の延出方向先端側から垂下され、前記土壌差込部よりも上下方向の長さが短く、前記シート部材を貫通して土壌面に突き刺さる突起部と
を具備する」ことを特徴とするものである。
「シート部材の外側で土壌面に差し込まれる棒状の土壌差込部と、
該土壌差込部の頂部から水平方向に延び、前記頂部を中心として上下円弧方向に弾性変形可能な板状のバネ板部と、
該バネ板部の延出方向先端側から垂下され、前記土壌差込部よりも上下方向の長さが短く、前記シート部材を貫通して土壌面に突き刺さる突起部と
を具備する」ことを特徴とするものである。
ここで、「シート部材」とは、土壌面を被覆する農業用被覆資材であり、マルチシート、ビニールトンネルのシート部材、寒冷紗、及び防虫ネット等を含むことができる。つまり、マルチシートのようにシート部材全体が土壌面に接するものでもよく、ビニールトンネルのように縁部のみが土壌面に接するトンネルタイプのものでもよく、あるいは支柱を用いずに作物の上にべた掛けするものでもよい。また、「シート部材」は、ビニールトンネルのように通気性のないものでもよく、寒冷紗や防虫ネットのように通気性を有するネット状のものでもよく、マルチシートのように作物用の開口を有するものでもよい。また、「シート部材」は、農業用シート固定具の突起部が貫通する透孔を備えるものでもよく、該透孔を備えないもの、すなわち突起部の下端を突き刺すことで貫通させるものでもよい。
「農業用シート固定具」の材質は特に限定されるものではないが、ポリプロピレンやポリエチレン等の樹脂で成形することが可能である。また、「農業用シート固定具」は、全体を一体成型してもよく、突起部を別部材で形成しバネ板部に組付けてもよい。
また、「土壌差込部」の形状は特に限定されるものではないが、下端を尖形とし、周面に複数の突起や窪みを形成することが好ましい。「バネ板部」は、土壌差込部の頂部から少なくとも一方の水平方向(すなわち使用状態ではシート部材側に向かう方向)に延びていればよく、土壌差込部との組合せでT字形になるように左右両側に延びていてもよい。また、「バネ板部」は、例えば樹脂や金属等で薄板状に形成することにより、頂部を中心として上下円弧方向に弾性変形させること(すなわち弓なりに曲げること)が可能となる。
また、「突起部」の長さは、シート部材の縁部が風によって捲れ上がろうとしたとき、縁部に係止可能な長さであればよい。
本発明の農業用シート固定具は、棒状の土壌差込部と、板状のバネ板部と、突起部とを備えて構成されており、土壌差込部をシート部材の外側(シート部材がないところ)で土壌面に差し込みつつ、突起部を、シート部材を貫通して土壌面に突き刺すことで、土壌面に対してシート部材を固定することが可能になる。
詳しく説明すると、土壌差込部と突起部とは、土壌差込部の頂部から水平方向に延びた板状のバネ板部を介して連結され、突起部がバネ板部の延出方向先端側から垂下されているため、バネ板部がシート部材の縁を横切るようにシート部材の上側から土壌面に向かって農業用シート固定具を押し当てると、土壌差込部をシート部材の外側で土壌面に差し込みつつ、突起部を、シート部材を貫通して土壌面に突き刺すことが可能になる。これにより、土壌差込部が土壌面に固定されるとともに、突起部がシート部材に係止され、ひいてはシート部材の水平方向への動きが規制される。
一方、強風等によりシート部材が捲れ上がる方向(すなわちシート部材の縁部が上側に移動する方向)の力を受けると、シート部材に係止された突起部に上向きの力が加わる。ここで、突起部は、土壌差込部よりも上下方向の長さが短いため、土壌面から比較的容易に抜ける可能性がある。しかし、土壌差込部にはバネ板部を介して力が伝わり、しかもバネ板部は、土壌差込部の頂部を中心として上下円弧方向に弾性変形する(弓なりに曲がる)ことから、土壌差込部への上向きの力が緩和されるとともに、土壌差込部にはバネ板部の復元力によって頂部を中心とした回転方向の力が作用する。すなわち土壌差込部は挿脱方向(上下方向)とは異なる方向に力を受けるため、たとえ土壌差込部の差し込みによって形成された穴により、抜き方向(上方向)への抵抗が小さくなっていても、回転方向の力によって土壌差込部の側面が土壌に圧接し、土壌面から抜けないようになる。
なお、作物に対して各作業を行う際に、シート部材を開閉するときは、例えば土壌差込部の上のバネ板部を掴み、真直ぐ上に引っ張ればよい。これによれば、土壌差込部の差し込みによって形成された穴と同じ通路を通って、土壌差込部を引き抜くことができ、極めて容易に抜き差しすることが可能となる。
また、本発明のシート部材は、
「上記記載の農業用シート固定具によって固定されるシート部材であって、
シート本体と、
該シート本体よりも厚みがあり、前記シート本体の縁部に沿って前記シート本体の上面または下面に貼着されたフィルム状の補強部材と、
前記シート本体の縁部に沿って所定の間隔で配設するとともに、前記シート本体及び前記補強部材にかしめられ、前記突起部が挿通される円環状の鳩目金具と
を具備する」ことを特徴とするものである。
「上記記載の農業用シート固定具によって固定されるシート部材であって、
シート本体と、
該シート本体よりも厚みがあり、前記シート本体の縁部に沿って前記シート本体の上面または下面に貼着されたフィルム状の補強部材と、
前記シート本体の縁部に沿って所定の間隔で配設するとともに、前記シート本体及び前記補強部材にかしめられ、前記突起部が挿通される円環状の鳩目金具と
を具備する」ことを特徴とするものである。
ここで、「シート本体」の厚みは特に限定されるものではないが、農業用シート固定具の突起部が挿通した状態(係止された状態)で、強風等によりシート本体に力が加わったとき、突起部によって透孔の大きさが広がったり、透孔を始点として線状に破れたりする可能性がある薄めのものを用いることができる。
「フィルム状の補強部材」の材質は特に限定されるものではないが、紙、布、フィルム(セロハン等)を挙げることができる。たとえば、セロハンテープ、またはクラフト粘着テープ(いわゆるガムテープ)等を用いることができる。また、補強部材は、シート本体の縁部に沿って連続して設けるようにしてもよいが、所定の間隔で配設する鳩目金具のかしめ位置に合わせて所定の間隔で設けるようにしてもよい。
「鳩目金具」の材質は特に限定されるものではないが、金属、プラスチック、またはゴムを挙げることができる。「鳩目金具」の孔の大きさは、突起部が挿通可能な大きさであればよいが、突起部の挿入のし易さと、係止状態での安定性とを考慮した適切な大きさが好ましい。
本発明のシート部材によれば、シート本体と、補強部材と、鳩目金具とを備えており、農業用シート固定具の突起部を鳩目金具の孔に挿通させると、強風が吹いた場合でも、突起部によってシート本体が破れたりすることを防止できる。
詳しく説明すると、シート部材には、シート本体の縁部に沿って所定の間隔で鳩目金具が設けられているため、鳩目金具の孔に突起部を挿通させることで、突起部からシート本体への力(反作用の力)が直接伝わらず、シート本体を保護することができる。しかも、シート本体には、シート本体の縁部に沿って、シート本体よりも厚みのあるフィルム状の補強部材が貼着されるとともに、互いに重ねられたシート本体及び補強部材の両方に鳩目金具がかしめられているため、鳩目金具からシート本体に及ぼす力も抑制され、シート本体の破損を一層確実に防止することができる。このため、使用するシート本体を、作物の種類や用途に応じた厚みとするにもかかわらず、何度も繰り返し使用することが可能となる。また、シート部材には鳩目金具によって孔が形成されるため、突起部を貫通させる際の利便性がよくなり、作業者の負担を軽減することが可能となる。
このように、本発明の農業用シート固定具によれば、強風が吹いてシート部材に捲れ上がるような力が作用しても、土壌面から抜けることを防止でき、ひいてはシート部材を土壌面にしっかりと固定することができる。しかもシート部材の縁部分を開閉する際には、容易に抜き差しすることができ、作業の利便性を高めることができる。一方、本発明のシート部材によれば、シート本体の破損を防止でき、何度も繰り返し使用することが可能となる。
以下、本発明の実施形態である農業用シート固定具の構成について、図1及び図2に基づき説明する。農業用シート固定具1は、主に、棒状の土壌差込部2と、平板状のバネ板部3と、突起部4とを備えて構成されており、ポリプロピレンやポリエチレン等の樹脂で一体成型されている。
土壌差込部2は、シート部材21(図3参照)の外側で土壌面Dに差し込まれるものであり、略四角柱状で、下端6側が尖形に形成されている。なお、土壌差込部2の横断面は、バネ板部3の延び方向(長手方向)に直交する側面7,8の幅が、平行となる側面10の幅よりも大きくなっている。また、側面7,8には、下端6側を除いて、複数の窪み9が上下方向に並んで形成されている。一方、一対の側面10には、同じく下端6側を除いて、複数の突起11が外側斜め上方に突出している。土壌差込部2の長さは特に限定されるものではないが、本実施形態では、約120mmである。
バネ板部3は、土壌差込部2の頂部5から水平方向に延び、頂部5を中心として上下円弧方向に弾性変形可能(図5参照)な厚み(本実施形態では約1.5mm)に形成されている。つまり、バネ板部3の先端側14を弾性力に抗して上方に持ち上げることにより、バネ板部3が弓なりに曲がるようになっている。バネ板部3の延び方向の長さは、土壌差込部2の長さよりも短く、本実施形態では約80mmである。
突起部4は、バネ板部3における先端側14の下面から垂下されており、シート部材21を貫通して土壌面Dに突き刺すことが可能になっている。突起部4は、略円柱形状であり、土壌差込部2と比べ、上下方向の長さ及び径方向の長さが極めて小さくなっている。具体的には、突起部4の上下方向の長さは、土壌差込部2の約1/4となる30mmであり、直径は土壌差込部2における側面10の幅の約1/2となる約7mmである。また、突起部4の下端は尖形であるが、土壌差込部2のような突起及び窪みは形成されておらず、凹凸のない単調な円柱形状となっている。
次に、本実施形態の農業用シート固定具1によって固定される、ビニールトンネル20のシート部材21について、図3及び図4に基づき説明する。このシート部材21は、畝Uに沿って所定の間隔で配置されたアーチ形の支柱22に被せられ、縁部となる左右の裾部分24が土壌面Dに重ねられた状態で固定されるようになっている。
特に、本実施形態のシート部材21は、光透過性を有するビニールからなるシート本体23と、シート本体23の裾部分24に沿って所定の間隔(例えば1mおき)でシート本体23の上面に貼着された補強部材25と、農業用シート固定具1の突起部4が挿通される円環状の鳩目金具26とを備えている。
補強部材25は、フィルム状であり、シート本体23よりも厚く形成されている。本例では、補強部材25として、クラフト粘着テープ(いわゆるガムテープ)が用いられている。
鳩目金具26は、金属製であり、互いに重ねられて一体化されたシート本体23の裾部分24及び補強部材25の両方にかしめられている。つまり、図4の一部拡大図に示すように、鳩目金具26の上片26aが補強部材25の上面に圧接し、鳩目金具26の下片26bがシート本体23の裾部分24の下面に圧接している。この鳩目金具26は、市販のハトメパンチ(図示しない)等の工具を用いてかしめられるが、この際、シート本体23及び補強部材25には鳩目金具26が貫通する透孔が穿設される。鳩目金具26の孔27の内径は、突起部4の直径よりも大きく、突起部4を容易に孔27に貫通させることが可能になっている。
次に、本実施形態の農業用シート固定具1の使用方法について、図3及び図4に基づき説明する。ビニールトンネル20のシート部材21を固定するには、土壌差込部2をシート部材21の外側(シート部材21がないところ)で土壌面Dに差し込みつつ、突起部4を、鳩目金具26を貫通して土壌面Dに突き刺す。つまり、土壌差込部2と突起部4とは、土壌差込部2の頂部5から水平方向に延びた平板状のバネ板部3を介して連結されているため、バネ板部3がシート部材21の縁を横切り、且つ突起部4が鳩目金具26の孔27に合致するように、シート部材21の裾部分24の上側から土壌面Dに向かって農業用シート固定具1を押し当てると、土壌差込部2がシート部材21の外側で土壌面Dに差し込まれ、突起部4が鳩目金具26の孔27を貫通して土壌面Dに突き刺さる。これにより、土壌差込部2が土壌面Dに固定されるとともに、突起部4がシート部材21の鳩目金具26に係止され、ひいてはシート部材21の水平方向への動きが規制される。
一方、図5に示すように、強風等によりシート部材21が捲れ上がる方向(図中A方向)の力を受けると、シート部材21の鳩目金具26に係止された突起部4に上向きの力が加わる。ここで、突起部4は、土壌差込部2よりも上下方向の長さが短い円柱形状からなるため、土壌面Dから比較的容易に抜ける可能性がある。しかし、土壌差込部2にはバネ板部3を介して力が伝わり、しかもバネ板部3は、土壌差込部2の頂部5を中心として上下円弧方向に弾性変形する(弓なりに曲がる)ことから、土壌差込部2への上向きの力が緩和されるとともに、土壌差込部2にはバネ板部3の復元力によって頂部5を中心とした回転方向(図中B方向)の力が作用する。すなわち土壌差込部2は挿脱方向(上下方向)とは異なる方向に力を受けるため、たとえ土壌差込部2の差し込みによって形成された穴により抜き方向(上方向)への抵抗が小さくなっていても、回転方向(図中B方向)の力によって土壌差込部2の側面7が土壌に圧接し、土壌面Dから抜けてしまうことが防止される。特に、突起部4に対向する土壌差込部2の側面7は、それに直角な側面10(図1参照)よりも面積が大きく、しかも側面7には複数の窪み9が形成されているため、回転方向(図中B方向)への抵抗が一層大きくなり、土壌差込部2の移動(回転)が阻止される。
なお、作物に対して各作業を行う際に、シート部材21を開閉するときは、土壌差込部2の上のバネ板部3を掴み、真直ぐ上に引っ張ればよい。これによれば、土壌差込部2の差し込みによって形成された穴と同じ通路を通って、土壌差込部2を引き抜くことができ、極めて容易に抜き差しすることが可能となる。
このように、本実施形態の農業用シート固定具1によれば、強風が吹いてシート部材21に捲れ上がるような力が作用しても、土壌面Dから抜けることを防止でき、ひいてはシート部材21を土壌面Dにしっかりと固定することができる。しかもシート部材21の裾部分24を開閉する際には、容易に抜き差しすることができ、作業の利便性を高めることができる。
また、本実施形態のシート部材21によれば、シート本体23の裾部分24に沿って所定の間隔で鳩目金具26が設けられているため、鳩目金具26の孔27に突起部4を挿通させることで、突起部4からシート本体23への力が直接伝わらず、シート本体23を保護することができる。しかも、シート本体23には、フィルム状の補強部材25が貼着されるとともに、シート本体23及び補強部材25の両方に鳩目金具26がかしめられているため、鳩目金具26からシート本体23に及ぼす力も抑制され、シート本体23の破損を一層確実に防止することができる。このため、使用するシート本体23を、作物の種類や用途に応じた厚みとするにもかかわらず、何度も繰り返し使用することが可能となる。また、シート部材21には鳩目金具26によって透孔が形成されるため、突起部4を貫通させる際の利便性がよくなり、作業者の負担を軽減することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、上記実施形態では、突起部4の下端を尖形にしたものを示したが、上記のようにシート部材21に予め孔が設けられている場合には、下端の尖っていない形状としてもよい。
また、上記実施形態では、農業用シート固定具1を樹脂で一体成形するものを示したが、農業用シート固定具の全体または一部を金属製としてもよい。
また、上記実施形態では、土壌差込部2の側面7,8,10に、窪み9や突起11を設けたものを示したが、窪み9及び突起11の双方またはいずれか一方を省いてもよい。
さらに、上記実施形態では、農業用シート固定具1によって、ビニールトンネル20のシート部材21を固定するものを示したが、マルチシート、寒冷紗、または防虫ネットに対しても農業用シート固定具1を用いることができる。
1 農業用シート固定具
2 土壌差込部
3 バネ板部
4 突起部
5 頂部
14 先端側
21 シート部材
24 裾部分(縁部)
25 補強部材
26 鳩目金具
D 土壌面
2 土壌差込部
3 バネ板部
4 突起部
5 頂部
14 先端側
21 シート部材
24 裾部分(縁部)
25 補強部材
26 鳩目金具
D 土壌面
Claims (2)
- シート部材の外側で土壌面に差し込まれる棒状の土壌差込部と、
該土壌差込部の頂部から水平方向に延び、前記頂部を中心として上下円弧方向に弾性変形可能な板状のバネ板部と、
該バネ板部の延出方向先端側から垂下され、前記土壌差込部よりも上下方向の長さが短く、前記シート部材を貫通して土壌面に突き刺さる突起部と
を具備することを特徴とする農業用シート固定具。 - 請求項1に記載の農業用シート固定具によって固定されるシート部材であって、
シート本体と、
該シート本体よりも厚みがあり、前記シート本体の縁部に沿って前記シート本体の上面または下面に貼着されたフィルム状の補強部材と、
前記シート本体の縁部に沿って所定の間隔で配設するとともに、前記シート本体及び前記補強部材にかしめられ、前記突起部が挿通される円環状の鳩目金具と
を具備することを特徴とするシート部材。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2014082345A JP2015202067A (ja) | 2014-04-11 | 2014-04-11 | 農業用シート固定具、及びシート部材 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101862940B1 (ko) | 2016-12-02 | 2018-07-04 | 권기환 | 멀칭 비닐 설치부재 |
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2014
- 2014-04-11 JP JP2014082345A patent/JP2015202067A/ja active Pending
Cited By (1)
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