JP2015200522A - 保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置 - Google Patents

保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置 Download PDF

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恭子 大鹿
Kyoko Oshika
恭子 大鹿
真由美 仲西
Mayumi Nakanishi
真由美 仲西
正明 西山
Masaaki Nishiyama
正明 西山
哲也 庄司
Tetsuya Shoji
哲也 庄司
紀次 佐久間
Noritsugu Sakuma
紀次 佐久間
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Abstract

【課題】多大な労力及び時間を要すること無く、非破壊検査により、保磁力分布磁石の保磁力性能を判定することができる保磁力性能判定装置を提供する。
【解決手段】保磁力性能を判定しようとする保磁力分布磁石PMを挟持する磁性体11a及び11bと、対向する2つの端面11a’と11b’の間に保持力分布磁石PMを挟持し、励磁コイル13にパルス電流を流してパルス励磁することにより常温において十分な強さの外部磁界を発生させることにより、保磁力分布磁石の雰囲気温度を上昇させること無く、保磁力分布磁石の保磁力性能を判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、保磁力分布磁石の所定の部位が必要とされる保磁力を有しているか否かを判定する保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置に関する。
例えば、IPMモータ等のロータ内に埋設される永久磁石は、ステータコア側から入射する外部磁界による減磁に抗し得る保磁力が必要とされる。そこで、焼結された永久磁石の表面から特定の金属粒子を粒界拡散させることにより、当該永久磁石の保磁力を高めることが知られている。このような目的のために使用される金属粒子としては、例えばジスプロシウム(Dy)及びテルビウム(Tb)等のレアメタルの粒子が使用される。従って、永久磁石の製造コスト低減の観点からは、所望の保磁力を担保しつつ上記金属粒子の使用量を可及的に低減することが望ましい。
ところで、上述したIPMモータ等のロータ内に埋設される永久磁石に作用する外部磁界の強さは永久磁石の部位によって異なる。具体的には、ロータ内に埋設される永久磁石に作用する外部磁界の強さは、永久磁石が埋設されたロータの回転軸に垂直な平面による当該永久磁石の断面において、永久磁石のステータコア側の角部が最も大きく、ロータコアの中央側(即ち、ロータの回転軸側)が小さくなるのが一般的である。従って、ロータ内に埋設される永久磁石が有するべき保磁力もまた永久磁石の部位によって異なる。
そこで、ロータ内に埋設される永久磁石の個々の部位において必要とされる保磁力に応じて上記金属粒子を分布させることにより、永久磁石全体としてのレアメタルの使用量を低減し、製造コストを低減することが知られている。このようにして製造される永久磁石は、その部位によって異なる保磁力を有する。換言すれば、このような永久磁石は保磁力分布を有する。このような保磁力分布を有する永久磁石(以降、かかる磁石は「保磁力分布磁石」と称される場合がある)によれば、所望の保磁力を担保しつつ上記金属粒子の使用量を可及的に低減することができる。
ところで、保磁力分布磁石を製造した場合、製造された保磁力分布磁石の各部位が必要とされる保磁力を具備しているか否かを確認することが望ましい。本明細書においては、保磁力分布磁石の各部位が必要とされる保磁力を具備する性能を「保磁力性能」と称する場合がある。製造された保磁力分布磁石の各部位が具備する保磁力は、例えば、当該磁石を各部位毎に分割(切断)し、分割された個々の部位の保磁力を個別に測定することにより、確認することができる。しかしながら、このような検査方法は所謂「破壊検査」であるため、所謂「抜取検査」として行わざるを得ず、製造される磁石自体の全てを検査する全数検査に適用することはできない。更に、分割された個々の部位の保磁力を個別に測定するためには多大な労力及び時間を要する。
そこで、励磁手段によって磁性体に磁気流れを生ずる略Cの字状の磁性体の対向する2つの端面の間に保磁力分布磁石を挟持し、当該保磁力分布磁石に逆磁界を作用させた後の残磁束量に基づいて当該保磁力分布磁石が必要とされる保磁力を具備しているか否か(当該保磁力分布磁石が所望の保磁力性能を有するか否か)を判定することが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。より具体的には、励磁手段によって磁性体に磁気の流れを生ずる略Cの字状の磁性体の対向する2つの端面の対応する位置に設けられた2つの突起の間に保磁力分布磁石を挟持する。次に、当該励磁手段によって生じた磁気が当該突起を流れた際に生成される外部磁界と上記保磁力分布磁石が有する反磁場の和からなる逆磁界を保磁力分布磁石に作用させる。この際、当該保磁力分布磁石の各部位に必要とされる保磁力に相当するように当該外部磁界が調整される。その後、当該保磁力分布磁石の各部位の残磁束量を磁束計によって測定する。これにより、当該保磁力分布磁石の各部位が必要とされる保磁力を具備しているか否かを判定する。
上記保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置によれば、多大な労力及び時間を要すること無く、非破壊検査により、当該保磁力分布磁石が所望の保磁力性能を有するか否かを判定することができる。
特許第5163813号公報
上述したように、励磁手段によって磁性体に磁気流れを生ずる磁性体の対向する2つの端面の間に挟持された保磁力分布磁石に逆磁界を作用させた後の残磁束量に基づいて当該保磁力分布磁石が必要とされる保磁力を具備しているか否かを、多大な労力及び時間を要すること無く、非破壊検査により、判定することができる。
上記従来技術においては、磁性体の対向する2つの端面の対応する位置に設けられた2つの突起(磁性領域)の幅及び長さを調整すると共に、端面における突起の配設位置及び端面の全幅に対する突起の幅の比率等を調整する。これにより、磁性領域である突起の周囲に存在する空気からなる非磁性領域の幅や長さ、平面的に見た際の端面における非磁性領域の全幅に対する比率等も同時に調整される。このように磁性領域及び非磁性領域のそれぞれの長さ及び幅、配設位置及び比率等を変更することにより、生成される外部磁界の強さ、不均一性の態様及び程度が調整される。
しかしながら、例えばIPMモータ等のロータ内に埋設される永久磁石等、実際の用途において使用される保磁力分布磁石に入射する外部磁界の強さ、不均一性の態様及び程度は多種多様且つ複雑であるため、上記のように磁性体の対向する2つの端面の対応する位置に設けられた2つの突起によって実際の外部磁界を正確に再現することが困難な場合がある。外部磁界を正確に再現することができない場合、磁石の保磁力性能の判定を正確に行うことができない。
そこで、本発明者は、鋭意研究の結果、保磁力性能を判定しようとする磁石を挟持する磁性体(ヨーク)の対向する2つの端面の近傍において磁性材料と非磁性材料とを適切に配置することにより、実際の用途において使用される保磁力分布磁石に入射する外部磁界を正確に再現することができることを見出した。
かかる点に鑑み、本発明に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置は、
磁性体の対向する2つの端面と、
前記磁性体に磁気の流れを生じさせる励磁手段と、
保磁力分布磁石の残磁束量を測定する磁束計と、
を備え、
前記2つの端面の間に前記保磁力分布磁石が挟持されて、前記磁性体及び前記保磁力分布磁石を含む磁路が形成され、
前記励磁手段によって生じた磁気が前記磁性体を流れた際に生成される外部磁界を前記保磁力分布磁石に作用させた際の前記残磁束量を前記磁束計にて測定して、前記保磁力分布磁石の各部位が必要とされる保磁力を具備しているか否かを判定する、
保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置であって、
前記保磁力分布磁石の各部位において、前記外部磁界と前記保磁力分布磁石が有する反磁場との和からなる逆磁界の強さから、必要とされる保磁力に相当する磁界の強さを減算した差が予め定められた所定の範囲内に収まるように、前記磁性体の前記2つの端面の近傍領域における磁性材料及び非磁性材料の配置によって前記保磁力分布磁石に作用する前記外部磁界の強度分布が調整されている、
保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置である。
上記のように、本発明に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置においては、保磁力分布磁石を挟持する磁性体の2つの端面の近傍領域(以降、単に「近傍領域」と称される場合がある)において磁性材料と非磁性材料とが配置されている。これにより、保磁力分布磁石に作用する外部磁界の強度分布が適切に調整される。その結果、保磁力分布磁石の各部位において、上記逆磁界(以降、「再現磁界」と称される場合がある)の強さから、必要とされる保磁力に相当する磁界(以降、「要求磁界」と称される場合がある)の強さを減算した差が予め定められた所定の範囲内に収まる。即ち、本発明に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置においては、要求磁界が再現磁界によって正確に再現される。従って、本発明に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置によれば、多大な労力及び時間を要すること無く、非破壊検査により、保磁力分布磁石が所望の保磁力性能を有するか否かを判定することができる。
ところで、一般的な励磁手段は、励磁コイルに直流電流を流すことによって磁界を発生させる。このように励磁コイルに直流電流を流すことによって発生される磁界の強さには限界があり、実際の用途において使用される保磁力分布磁石に入射する外部磁界の強さを再現することが困難な場合がある。このような場合、保磁力分布磁石の雰囲気温度を上昇させることにより保磁力分布磁石の保磁力を低下させた状態において保磁力分布磁石に逆磁界を作用させることが知られている。これによれば、実際の用途において使用される保磁力分布磁石に入射する外部磁界と同等の強さの外部磁界を再現することができない場合においても当該保磁力分布磁石の保磁力性能を判定することができる。
しかしながら、このような高温雰囲気を達成するにはエネルギーが必要とされ、温度を制御する機構も必要とされる。従って、当該保磁力分布磁石の保磁力性能の判定に必要とされるエネルギー及びコストを低減するためには、常温において十分な強さの外部磁界を発生させることができる励磁手段を保磁力性能判定装置が備えることが望ましい。
そこで、本発明の他の態様において、前記励磁手段は、励磁コイルにパルス電流を流すことによって磁気を発生させる。これにより、一般的な直流電流を励磁コイルに流す場合と比較して、より強い磁界を発生させることができる。従って、上述したように保磁力分布磁石の雰囲気温度を上昇させること無く、保磁力分布磁石の保磁力性能を判定することができる。
ところで、上記のように外部磁界の強さを増大させると、励磁コイルの内側に位置する磁性体に大きい渦電流が流れ、熱損失の増大に繋がる虞がある。そこで、本発明の別の態様においては、前記磁性体の少なくとも前記励磁コイルによって生ずる磁界内に位置する領域に、前記励磁手段が発生させる磁気に起因する渦電流を妨げるように、絶縁体が埋設されている。これにより、渦電流の発生を抑制することができるので、渦電流に起因する熱損失を低減することができる。
加えて、励磁コイルの内側に位置する磁性体には、励磁コイルの軸方向における中央部に向かう力が作用する。この力の強さは、当該励磁手段によって発生する磁力の強さが大きいほど大きくなる。従って、本発明のもう1つの別の態様は、励磁コイルの内側に位置する磁性体に作用する上記のような力への対策として、励磁コイルの内側における所定の位置に磁性体を固定する手段(例えば、治具等)を備える。これにより、例えば励磁コイルの内側に位置する磁性体の移動、変形、破損等の問題の発生を抑制することができる。
本発明の第1の実施形態(以降、「第1形態」と称される場合がある)に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置の構成の一例を示す模式図である。 (a)保磁力性能を判定しようとする保磁力分布磁石の断面及び(b)保磁力性能の判定に使用するヨークの全体構成の一例を示す模式図である。 要求磁界を正確に再現する再現磁界を発生させる磁性材料及び非磁性材料の配置パターンを特定する手順の一例を示すフローチャートである。 保磁力分布磁石を挟持する磁性体(ヨーク)の対向する2つの端面近傍の構成の一例を示す模式図である。 励磁コイルの内側に位置する磁性体に作用する励磁コイルからの磁界によって発生する渦電流に起因する熱損失及び励磁コイルの内部に位置する磁性体に作用する力への対策を説明する模式図である。 本発明の実施例1に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置における保磁力分布磁石を挟持する磁性体(ヨーク)の対向する2つの端面近傍の構成の一例を示す模式図である。 本発明の実施例2に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置における保磁力分布磁石を挟持する磁性体(ヨーク)の対向する2つの端面近傍の構成の一例を示す模式図である。
前述したように、本発明に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置によれば、保磁力性能を判定しようとする磁石を挟持する磁性体(ヨーク)の対向する2つの端面の近傍において磁性材料と非磁性材料とを適切に配置することにより、実際の用途において使用される保磁力分布磁石に入射する外部磁界を正確に再現される。従って、本発明に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置によれば、多大な労力及び時間を要すること無く、非破壊検査により、保磁力分布磁石が所望の保磁力性能を有するか否かを判定することができる。本発明を実施するための幾つかの形態につき、以下に詳しく説明する。
先ず、本発明の第1の実施形態(以降、「第1形態」と称される場合がある)に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置は、
磁性体の対向する2つの端面と、
前記磁性体に磁気の流れを生じさせる励磁手段と、
保磁力分布磁石の残磁束量を測定する磁束計と、
を備え、
前記2つの端面の間に前記保磁力分布磁石が挟持されて、前記磁性体及び前記保磁力分布磁石を含む磁路が形成され、
前記励磁手段によって生じた磁気が前記磁性体を流れた際に生成される外部磁界を前記保磁力分布磁石に作用させた際の前記残磁束量を前記磁束計にて測定して、前記保磁力分布磁石の各部位が必要とされる保磁力を具備しているか否かを判定する、
保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置であって、
前記外部磁界と前記保磁力分布磁石が有する反磁場との和からなる逆磁界の強さから、必要とされる保磁力に相当する磁界の強さを減算した差が予め定められた所定の範囲内に収まるように、前記磁性体の前記2つの端面の近傍領域における磁性材料及び非磁性材料の配置によって前記保磁力分布磁石に作用する前記外部磁界の強度分布が調整されている、
保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置である。
上記のように、第1形態に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置は、磁性体の対向する2つの端面と、前記磁性体に磁気の流れを生じさせる励磁手段と、保磁力分布磁石の残磁束量を測定する磁束計と、を備える。更に、上記2つの端面の間に保磁力分布磁石が挟持されて、上記磁性体及び上記保磁力分布磁石を含む磁路が形成される。上記磁性体の対向する2つの端面の両方が1つの磁性体の一部であってもよく、或いはそれぞれの端面が別個の磁性体の一部であってもよい。
前者の場合、上記磁性体(ヨーク)は、例えば略Cの字状の形状を呈する磁性体であってもよい。ここで、「略Cの字状」とは、例えば、平面視が矩形枠状の一部が切り欠かれている形状及び平面視が円形(リング)や楕円形の一部が切り欠かれている形状等を意味する。このようなヨーク形状は「C型」と総称される。一方、後者の場合、上記磁性体(ヨーク)は、例えば、それぞれの端面を有する「棒状」の形状を呈する磁性体であってもよい。ここで、「棒状」とは、例えば、直方体(立方体を含む)、角柱、円柱、楕円柱、角錐、円錐及び楕円錐等の形状を意味する。このようなヨーク形状は「I型」と総称される。
上記磁性体の形状は、「C型」又は「I型」の何れの形状であってもよい。更に、上記磁性体は、対向する2つの端面を備え且つそれら対向する2つの端面の間に保磁力分布磁石を挟持して磁性体及び保磁力分布磁石を含む磁路を形成することができる限り、如何なる形状を呈する磁性体であってもよい。
ここで、第1形態に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置の構成につき、添付図面を参照しながら更に詳しく説明する。図1は、第1形態に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置の構成の一例を示す模式図である。図1に示されている保磁力性能判定装置10は、上述した「I型」の形状を有する磁性体11a及び11bからなるヨーク11を備える。磁性体11aの端面11a′と磁性体11bの端面11b′との間には、保磁力分布磁石PMが挿入され、これらの端面11a′及び11b′によって挟持されるための隙間が画成されている。尚、図1に示されているヨーク11は「I型」の形状を有するが、上述したように、ヨーク11の形状は「C型」であっても、或いはそれ以外の形状であってもよい。
図1においては、保磁力分布磁石PMが当該隙間に既に設置され、ヨーク11(磁性体11a及び11b)及び前記保磁力分布磁石を含む磁路が形成されている。磁性体11aの上記隙間より上部には励磁手段を構成する励磁コイル13が形成されており、このコイル13には図示しない電源2から電力が供給される。励磁コイル13によって外部磁界を生じさせて保磁力分布磁石PMに逆磁界(再現磁界)を付与した際の保磁力分布磁石PMの残磁束量又は減磁の有無を測定する磁束計(図示せず)もまた第1形態に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置の構成要素の1つである。
保磁力分布磁石PMは、例えばIPMモータを構成するロータ内に埋設される永久磁石である。このような保磁力分布磁石は、例えば、焼結永久磁石の表面からジスプロシウム(Dy)及びテルビウム(Tb)等を粒界拡散させることによって、所望の保磁力分布を有するように形成される。永久磁石の具体例としては、例えば、ネオジム(Nd)に鉄(Fe)と硼素(B)とを加えた3成分系のネオジム磁石、サマリウム(Sm)とコバルト(Co)との2成分系の合金からなるサマリウムコバルト磁石、鉄酸化物粉末を主原料とするフェライト磁石、及びアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)等を原料とするアルニコ磁石等を挙げることができる。
第1形態に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置においては、励磁コイル13(励磁手段)によって生じた磁気が磁性体11a及び11bを流れた際に生成される外部磁界EFを保磁力分布磁石PMに作用させた際の残磁束量を磁束計にて測定して、保磁力分布磁石PMの各部位が必要とされる保磁力を具備しているか否かを判定する。この際、前述したように、実際の用途において使用される保磁力分布磁石PMに入射する外部磁界を外部磁界EFによって正確に再現することができないと、保磁力分布磁石PMの保磁力性能の判定を正確に行うことができない。
そこで、第1形態に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置においては、前記保磁力分布磁石の各部位において、前記外部磁界と前記保磁力分布磁石が有する反磁場との和からなる逆磁界の強さから、必要とされる保磁力に相当する磁界の強さを減算した差が予め定められた所定の範囲内に収まるように、前記磁性体の前記2つの端面の近傍領域における磁性材料及び非磁性材料の配置によって前記保磁力分布磁石に作用する前記外部磁界の強度分布が調整されている。
具体的には、図1に示されているように、磁性体11a及び11bの2つの端面11a′及び11b′のそれぞれの近傍領域12a及び12bにおいて、磁性材料(灰色部分)及び非磁性材料(白色部分)を適切に配置する。これにより、保磁力分布磁石PMに作用する外部磁界EF(黒塗りの矢印)の強度分布を調整する。結果として、保磁力分布磁石PMの各部位において、外部磁界EF(黒塗りの矢印)と保磁力分布磁石PMが有する反磁場DF(斜線が付された矢印)との和からなる逆磁界RF(再現磁界)(=EF+DF)の強さから、必要とされる保磁力に相当する磁界(要求磁界)の強さを減算した差が予め定められた所定の範囲内に収まる。即ち、第1形態に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置においては、要求磁界が再現磁界(逆磁界RF)によって正確に再現される。
上記磁性材料(灰色部分)は、磁性材料として一般的に使用されている種々の物質の何れであってもよい。典型的には、相対的に高い磁化率を呈する鉄(Fe)等が磁性材料として使用される。一方、上記非磁性材料(白色部分)は、非磁性材料として一般的に使用されている種々の物質の何れであってもよい。典型的には、相対的に低い磁化率を呈する空気及び樹脂(具体的には、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)等)等が非磁性材料として使用される。
第1形態に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置においては、上記のように要求磁界を正確に再現する再現磁界(逆磁界RF)を保磁力分布磁石PMに作用させた後に、保磁力分布磁石PMが減磁しているか否かを磁束計によって確認する。保磁力分布磁石PMによる磁界MF(白抜きの矢印)の強さが減少している場合(即ち、保磁力分布磁石PMが減磁している場合)、保磁力分布磁石PMは再現磁界(逆磁界RF)に耐えることができなかったと判定される。即ち、保磁力分布磁石PMは要求磁界に抗し得る保磁力を有していないと判定される。一方、保磁力分布磁石PMが減磁していない場合、保磁力分布磁石PMは再現磁界(逆磁界RF)に耐えることができたと判定される。即ち、保磁力分布磁石PMは要求磁界に抗し得る保磁力を有していると判定される。このように、第1形態に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置によれば、多大な労力及び時間を要すること無く、非破壊検査により、保磁力分布磁石が所望の保磁力性能を有するか否かを判定することができる。
ところで、磁性体11a及び11bの2つの端面11a′及び11b′のそれぞれの近傍領域12a及び12bにおける磁性材料(灰色部分)及び非磁性材料(白色部分)の配置は多種多様なパターンが想定される。第1形態に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置において保磁力分布磁石が所望の保磁力性能を有するか否かを正確に判定するためには、これらの多種多様な配置パターンの中から、要求磁界を正確に再現する再現磁界(逆磁界RF)を発生させる磁性材料及び非磁性材料の配置パターンを特定する必要がある。このような配置パターンを特定するための具体的な手順については、以下に詳細に説明する。
先ず、ヨークの全体構成を設計する。図2の(a)は、保磁力性能を判定しようとする保磁力分布磁石の磁界方向に平行な平面による断面を示す模式図である。図2の(a)に示されているように、この例においては、実際の用途において保磁力分布磁石に作用する磁界の強さが、角部(A)>周縁部(B)>中央部(C)となる場合について説明する。この場合、保磁力分布磁石において必要とされる保磁力(要求磁界)の強さもまた、角部(A)>周縁部(B)>中央部(C)となる。尚、図2の(a)に示されている矢印は、当該磁石の磁化容易方向を示す。
これまでに発明者が得た知見によれば、上記のように角部(A)において強い再現磁界を作用させる必要がある場合には、磁石の上面がヨークに接しており且つ角部(A)の端面(側面)がヨークの端面(側面)と揃っていることが望ましい。更に、励磁コイルは磁石と接する側のヨークのみに配設することが望ましく、磁石を挟持する両方のヨークに励磁コイルを配設する場合は、磁石と接する側のヨークに配設された励磁コイルに流す電流を、反対側のヨークに配設された励磁コイルに流す電流よりも大きくすることが望ましい。加えて、励磁コイルの外側(即ち、ヨークとは反対側)に発生する磁界が磁石に作用して、保磁力性能の判定に影響を及ぼすことを防止する観点からは、磁石が挟持される部位から励磁コイルが離れていることが望ましい。
上記に加えて、磁石を挟持するヨークのギャップ(隙間)は狭い方が望ましいこと、磁石と接する側のヨークの幅を反対側のヨークの幅よりも小さくすることが望ましいこと、及び磁石と接する側のヨークの長さを反対側のヨークの長さよりも大きくすることが望ましいこと等が、これまでに発明者が得た知見から判明している。
上記のような種々の影響因子による磁界の再現性への影響を例えば事前実験等によって把握し、このようにして把握された傾向に基づいて、ヨークの全体構成を設計することができる。図2の(b)には、このようにして設計されたヨークの全体構成の一例が示されている。
次に、第1形態に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置において保磁力分布磁石が所望の保磁力性能を有するか否かを正確に判定するためには、上述したように、保磁力性能を判定しようとする保磁力分布磁石を挟持する磁性体(ヨーク)の2つの端面の近傍領域における磁性材料及び非磁性材料の多種多様な配置パターンの中から、要求磁界を正確に再現する再現磁界(逆磁界RF)を発生させる磁性材料及び非磁性材料の配置パターンを特定する必要がある。
保磁力分布磁石PMの各部位において、外部磁界EFと反磁場DFとの和からなる逆磁界RFの強さから必要とされる保磁力に相当する磁界の強さを減算した差が予め定められた所定の範囲内に収まる磁性材料及び非磁性材料の配置パターンは、例えば最適化手法を用いて特定することができる。要求磁界を正確に再現する再現磁界(逆磁界RF)を発生させる磁性材料及び非磁性材料の配置パターンを特定する手順の一例につき、図3のフローチャートを参照しながら以下に説明する。
先ず、ステップS31において、ヨーク端面の近傍領域における磁性材料及び非磁性材料の配置パターンの初期モデルを設定する。具体的には、例えば、図1に示されているように、磁性体11a及び11bの2つの端面11a′及び11b′のそれぞれの近傍領域12a及び12bを複数の区画に分割されていると仮定する。これら複数の区画のそれぞれに磁性材料又は非磁性材料を配置する。図3に示される例においては、磁性材料及び非磁性材料をランダムに配置したモデルを初期モデルとして採用しているが、過去の知見に基づいて要求磁界を正確に再現することが期待される配置パターンを初期モデルとして採用してもよい。
次に、ステップS32において、直前のステップにおいて設定されたモデルに基づき、磁石に作用する磁界を計算する。このような磁界の計算は、例えば、コンピュータ用アプリケーションとして市販されている電磁界解析ソフトウェア等を利用して実行することができる。次に、ステップS33において、ステップS32において計算された磁界(再現磁界)の強さから要求磁界の強さを減算した差を計算する。次に、ステップS34において、ステップS32において計算された差が予め定められた所定の範囲内に収まるか否か(即ち、差が許容可能か否か)を判定する。
上記ステップS34において、ステップS32において計算された差が予め定められた所定の範囲内に収まると判定された場合(ステップS34:Yes)は、当該フローチャートよって表されるルーチンを終了し、この時点でのモデルにおけるヨーク端面の近傍領域における磁性材料及び非磁性材料の配置パターンを解として得る。一方、上記ステップS34において、ステップS32において計算された差が予め定められた所定の範囲内に収まらないと判定された場合(ステップS34:No)は、次のステップS35においてヨーク端面の近傍領域における磁性材料及び非磁性材料の配置パターンを変更(再配置)し、ステップS32からステップS34までの処理を繰り返す。
尚、上記のようなルーチンは、再現磁界の強さと要求磁界の強さとの差を目的関数とする最適化問題を解くアルゴリズムに該当する。このようなアルゴリズムは、例えば、多目的遺伝的アルゴリズム(MOGA)を使用するコンピュータ用アプリケーションとして市販されている多目的ロバスト設計最適化支援ツール等を利用して実行することができる。
第1形態に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置においては、上記のようにして得られた配置パターンに基づいて、磁性体11a及び11bの2つの端面11a′及び11b′のそれぞれの近傍領域12a及び12bの複数の区画のそれぞれに磁性材料又は非磁性材料を配置する。このように配置された磁性材料又は非磁性材料からなる近傍領域12a及び12bを有するヨーク11(磁性体11a及び11b)に励磁コイル13によって磁気の流れを生じさせると、保磁力分布磁石PMに外部磁界EFが作用する。この外部磁界EFと保磁力分布磁石PMの反磁場DFとの和からなる逆磁界RF(再現磁界)は、要求磁界を正確に再現する。
従って、上記のように外部磁界EFを保磁力分布磁石PMに作用させた後に保磁力分布磁石PMが減磁しているか否かを磁束計によって確認することにより、保磁力分布磁石PMが要求磁界に抗し得る保磁力を有しているか否かを判定することができる。このように、第1形態に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置によれば、多大な労力及び時間を要すること無く、非破壊検査により、保磁力分布磁石が所望の保磁力性能を有するか否かを判定することができる。
尚、上記のようにして得られた配置パターンにおいて、磁性材料が配置される1つ以上の区画の周囲に隣接する全ての区画に非磁性材料が配置される場合がある。この場合、非磁性材料が十分な機械的強度を有する材料(例えば、樹脂等)であれば、当該非磁性材料が配置された区画によって磁性材料が配置された区画を担持することができる。しかしながら、非磁性材料が十分な機械的強度を有しない材料(例えば、空気等)である場合は、当該非磁性材料が配置された区画によって磁性材料が配置された区画を担持することができない。このような状況においては、再現磁界と要求磁界との差が許容不能な程度にまで増大しないことを条件として、非磁性材料が配置された区画によって囲まれて「浮島」又は「飛び地」のような状態となっている磁性材料が配置された区画を除去したり、磁性材料が配置された他の区画に隣接する区画に移動させたりしてもよい。
以上説明してきたようにして定められるヨークの全体構成と近傍領域における磁性材料及び非磁性材料の配置パターンとに基づいて、第1形態に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置が構成される。図4に示されているように、保磁力分布磁石PMを挟持する磁性体11a及び11bのそれぞれの端面の近傍領域においては、上述したようにして特定された磁性材料及び非磁性材料の配置パターンに基づいて磁性材料及び非磁性材料が配置され、それぞれの端面の近傍領域は複雑な形状を呈している。このような構成により、要求磁界を正確に再現する再現磁界を保磁力分布磁石PMに作用させて、保磁力分布磁石PMの保磁力性能を正確に判定することができる。
尚、図4の右側に描かれている保磁力分布磁石PM周辺の拡大図に記載されている数値は、保磁力分布磁石PMの厚み(図4に向かって上下方向における保磁力分布磁石PMの大きさ)を1.0とした場合における、それぞれの箇所の大きさを表している。これらの数値は、あくまでも一例であり、本発明に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置の各箇所の大きさが、これらの数値に限定されると解釈されるべきではない。
ところで、再現磁界の強さから要求磁界の強さを減算した差の許容範囲である上記「予め定められた所定の範囲」は、例えば、実際の用途において使用される保磁力分布磁石に入射する外部磁界の強さの変動幅等に基づいて適宜設定することができる。例えば、実際の用途において保磁力分布磁石に入射する外部磁界の強さの変動幅が大きくても保磁力分布磁石の減磁を確実に防止しようとする場合は、再現磁界の強さから要求磁界の強さを減算した差がより大きくなるように「予め定められた所定の範囲」の上限及び/又は下限を引き上げてもよい。但し、「予め定められた所定の範囲」の上限及び/又は下限を過度に引き上げると、再現磁界が過度に強くなり、保磁力分布磁石の保磁力性能の判定基準が過度に厳しくなる虞があるので望ましくない。
更に、上記「予め定められた所定の範囲」は、保磁力分布磁石PMの全体に亘って同じであっても、部位によって異なっていてもよい。例えば、実際の用途において保磁力分布磁石の減磁が起こると大きな問題に繋がる部位については、再現磁界が要求磁界をより正確に再現する必要がある。一方、実際の用途において保磁力分布磁石の減磁が起こっても大きな問題に繋がらない部位については、再現磁界による要求磁界の再現精度がある程度低くても大きな問題には繋がらない。従って、特定の部位については「予め定められた所定の範囲」を相対的に狭く設定し、その他の部位については「予め定められた所定の範囲」を相対的に広く設定してもよい。
そこで、本発明の第2の実施形態(以降、「第2形態」と称される場合がある)においては、前記予め定められた所定の範囲が、特定の部位については相対的に狭く、その他の部位については相対的に広く設定される。これにより、第2形態においては、特定の部位(例えば、高い保磁力が必要とされる部位等)には、より正確に要求磁界を再現した再現磁界が作用する。従って、この特定の部位については、保磁力分布磁石の保磁力性能がより正確に判定される。
一方、上記特定の部位以外の部位(例えば、高い保磁力が必要とされない部位等)には、再現磁界が要求磁界をあまり正確に再現していない場合も起こり得る。しかしながら、このような場合も許容することにより、近傍領域全体に同一の予め定められた所定の範囲が適用される場合と比較して、上記特定の部位における再現磁界による要求磁化の再現精度を向上させることができる。更に、近傍領域全体に同一の予め定められた所定の範囲が適用される場合と比較して、近傍領域における磁性材料及び非磁性材料の最適な配置パターンの特定に要する労力(演算負荷)を低減することもできる。
ところで、一般的な励磁手段は、励磁コイルに直流電流を流すことによって磁界を発生させる。このように励磁コイルに直流電流を流すことによって発生される磁界の強さには限界があり、実際の用途において使用される保磁力分布磁石に入射する外部磁界の強さを再現することが困難な場合がある。このような場合、保磁力分布磁石の雰囲気温度を上昇させることにより保磁力分布磁石の保磁力を低下させた状態において保磁力分布磁石に逆磁界を作用させることが知られている。これによれば、実際の用途において使用される保磁力分布磁石に入射する外部磁界と同等の強さの外部磁界を再現することができない場合においても当該保磁力分布磁石の保磁力性能を判定することができる。
しかしながら、このような高温雰囲気を達成するにはエネルギーが必要とされ、温度を制御する機構も必要とされる。従って、当該保磁力分布磁石の保磁力性能の判定に必要とされるエネルギー及びコストを低減するためには、常温において十分な強さの外部磁界を発生させることができる励磁手段を保磁力性能判定装置が備えることが望ましい。
そこで、本発明の第3の実施形態(以降、「第3形態」と称される場合がある)においては、前記励磁手段が、励磁コイルにパルス電流を流すことによって磁気を発生させる。これにより、一般的な直流電流を励磁コイルに流す場合と比較して、より強い磁界を発生させることができる。従って、上述したように保磁力分布磁石の雰囲気温度を上昇させること無く、保磁力分布磁石の保磁力性能を判定することができる。
ところで、上記のように外部磁界の強さを増大させると、図5の(a)に示されているように励磁コイルの内側に位置する磁性体に大きい渦電流が流れ、熱損失の増大に繋がる虞がある。このような渦電流に起因する熱損失を低減するためには、渦電流の発生を抑制することが望ましい。
そこで、本発明の第4の実施形態(以降、「第4形態」と称される場合がある)においては、前記磁性体の少なくとも前記励磁コイルによって生ずる磁界内に位置する領域に、前記励磁手段が発生させる磁気に起因する渦電流を妨げるように、絶縁体が埋設されている。これにより、渦電流の発生を抑制することができるので、渦電流に起因する熱損失を低減することができる。
上記絶縁体の材質は特に限定されず、例えば樹脂等の絶縁材料であってもよい。励磁手段が発生させる磁気に起因する渦電流は、励磁手段が発生させる磁気が流れる方向に垂直な方向に流れる。従って、渦電流を妨げるためには、このような渦電流の方向と交わるように、上記絶縁体が配置(埋設)される必要がある。例えば、上記絶縁体がフィルム等の平面状の形状を有する場合、上記絶縁体は、励磁手段が発生させる磁気が流れる方向と上記絶縁体の主面とが直交しないように配置(埋設)される必要がある。
典型的には、少なくとも励磁コイルによって生ずる磁界内に位置する磁性体(ヨーク)は、図5の(b)に示されているように、例えば所謂「積層鋼板」等の絶縁被膜付き磁性材料集合体によって構成される。この場合、積層鋼板を構成する鋼板及び絶縁被膜の主面は励磁手段が発生させる磁気が流れる方向と直行しない。典型的には、積層鋼板を構成する鋼板及び絶縁被膜の主面は励磁手段が発生させる磁気が流れる方向に平行である。渦電流は励磁手段が発生させる磁気が流れる方向に直交する方向に流れる。従って、絶縁被膜は渦電流が流れる方向と直交し、渦電流を妨げることができる。このように、第4形態に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置においては、磁性体に埋設された絶縁体により渦電流が妨げられるので、渦電流に起因する熱損失を低減することができる。
加えて、図5に示されているように、励磁コイルの内側に位置する磁性体(11a及び11b)には、励磁コイルの軸方向における中央部に向かう力(黒い矢印)が作用する。この力の強さは、当該励磁手段によって発生する磁力(白抜きの矢印)の強さが大きいほど大きくなる。そこで、本発明の第5形態に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置においては、励磁コイルの内側に位置する磁性体に作用する上記のような力への対策として、励磁コイルの内側における所定の位置に磁性体を固定する手段を備える。例えば、上記のような力によって磁性体が移動しないように、図5の(c)に示されているように、例えば治具等によって磁性体を固定してもよい。これにより、例えば励磁コイルの内側に位置する磁性体の移動、変形、破損等の問題の発生を抑制することができる。
以下、本発明の幾つかの実施形態に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置につき、必要に応じて添付図面を参照しながら、更に詳しく説明する。但し、以下に述べる説明はあくまでも例示を目的とするものであり、本発明の範囲が以下の説明に限定されると解釈されるべきではない。
以上説明してきたようにして定められるヨークの全体構成と近傍領域における磁性材料及び非磁性材料の配置パターンとに基づいて、図6に示されている保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置を構成した。図6に示されているように、保磁力分布磁石PMを挟持する磁性体11a及び11bのそれぞれの端面の近傍領域においては、上述したようにして特定された磁性材料及び非磁性材料の配置パターンに基づいて磁性材料及び非磁性材料が配置され、それぞれの端面の近傍領域は複雑な形状を呈している。尚、図6の右側に描かれている保磁力分布磁石PM周辺の拡大図に記載されている数値は、保磁力分布磁石PMの厚み(図6に向かって上下方向における保磁力分布磁石PMの大きさ)を1.0とした場合における、それぞれの箇所の大きさを表している。
以下の表1は、図6に示されている保磁力分布磁石PMの一部に含まれる各部位における、必要とされる保磁力に相当する磁界(要求磁界)と、本実施例に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置によって保磁力分布磁石PMに作用させる再現磁界と、再現磁界から要求磁界を減算した差(磁界差)とを、それぞれ示している。尚、それぞれの表において、(A)、(B)及び(C)の表示があるセルには、図2の(a)を参照しながら説明した保磁力分布磁石PMの角部(A)、周縁部(B)及び中央部(C)における磁界が記載されている。即ち、表1に含まれるそれぞれの表の各セルは、保磁力分布磁石PMの各部位に対応している。また、それぞれの表に記載されている磁界の強さは、角部(A)における要求磁界の強さに対する比率を百分率で表した相対値である。
Figure 2015200522
表1からも明らかであるように、本実施例に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置により、要求磁界を正確に再現する再現磁界を得ることができた。従って、本実施例に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置によれば、多大な労力及び時間を要すること無く、非破壊検査により、保磁力分布磁石PMの保磁力性能を正確に判定することができる。
以上説明してきたようにして定められるヨークの全体構成と近傍領域における磁性材料及び非磁性材料の配置パターンとに基づいて、図7に示されている保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置を構成した。図7に示されているように、保磁力分布磁石PMを挟持する磁性体11a及び11bのそれぞれの端面の近傍領域においては、上述したようにして特定された磁性材料及び非磁性材料の配置パターンに基づいて磁性材料及び非磁性材料が配置され、それぞれの端面の近傍領域は複雑な形状を呈している。
尚、実施例1において参照した図6と同様に、図7の右側に描かれている保磁力分布磁石PM周辺の拡大図に記載されている数値は、保磁力分布磁石PMの厚み(図7に向かって上下方向における保磁力分布磁石PMの大きさ)を1.0とした場合における、それぞれの箇所の大きさを表している。しかしながら、図7における各箇所の寸法は、図6に示されている寸法とは若干異なる。また、近傍領域における磁性材料及び非磁性材料の配置パターンも図6とは若干異なる。
以下の表2は、図7に示されている保磁力分布磁石PMの一部に含まれる各部位における、必要とされる保磁力に相当する磁界(要求磁界)と、本実施例に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置によって保磁力分布磁石PMに作用させる再現磁界と、再現磁界から要求磁界を減算した差(磁界差)とを、それぞれ示している。尚、実施例1において参照した表1と同様に、それぞれの表において、(A)、(B)及び(C)の表示があるセルには、図2の(a)を参照しながら説明した保磁力分布磁石PMの角部(A)、周縁部(B)及び中央部(C)における磁界が記載されている。即ち、表2に含まれるそれぞれの表の各セルもまた、保磁力分布磁石PMの各部位に対応している。また、表1と同様に、それぞれの表に記載されている磁界の強さは、角部(A)における要求磁界の強さに対する比率を百分率で表した相対値である。
Figure 2015200522
表3からも明らかであるように、本実施例に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置により、要求磁界を正確に再現する再現磁界を得ることができた。従って、本実施例に係る保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置によれば、多大な労力及び時間を要すること無く、非破壊検査により、保磁力分布磁石PMの保磁力性能を正確に判定することができる。
尚、本実施例においては、磁性材料及び非磁性材料の配置パターンを最適化する際に、実施例1と比較して、再現磁界による要求磁界の再現精度を低く設定した(再現磁界と要求磁界との差の許容範囲を大きくした)。そのため、本実施例においては、実施例1と比較して、再現磁界から要求磁界を減算した差(磁界差)が若干大きい。このように、必要とされる再現磁界による要求磁界の再現精度に応じて磁性材料及び非磁性材料の配置パターンを最適化する際の条件を設定することにより、所望の再現精度を達成し得る磁性材料及び非磁性材料の配置パターンを特定することができる。
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施形態及び実施例につき、時に添付図面を参照しながら説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施形態及び実施例に限定されると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることが可能であることは言うまでも無い。
10…保磁力性能判定装置、11…ヨーク、11a及び11b磁性体、11a′及び11b′…端面、12a及び12b…近傍領域、13…励磁コイル、PM…保磁力分布磁石(永久磁石)、MF…保磁力分布磁石PMによる磁界、DF…反磁場、EF…外部磁界、及びRF…逆磁界、

Claims (4)

  1. 磁性体の対向する2つの端面と、
    前記磁性体に磁気の流れを生じさせる励磁手段と、
    保磁力分布磁石の残磁束量を測定する磁束計と、
    を備え、
    前記2つの端面の間に前記保磁力分布磁石が挟持されて、前記磁性体及び前記保磁力分布磁石を含む磁路が形成され、
    前記励磁手段によって生じた磁気が前記磁性体を流れた際に生成される外部磁界を前記保磁力分布磁石に作用させた際の前記残磁束量を前記磁束計にて測定して、前記保磁力分布磁石の各部位が必要とされる保磁力を具備しているか否かを判定する、
    保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置であって、
    前記保磁力分布磁石の各部位において、前記外部磁界と前記保磁力分布磁石が有する反磁場との和からなる逆磁界の強さから、必要とされる保磁力に相当する磁界の強さを減算した差が予め定められた所定の範囲内に収まるように、前記磁性体の前記2つの端面の近傍領域における磁性材料及び非磁性材料の配置によって前記保磁力分布磁石に作用する前記外部磁界の強度分布が調整されている、
    保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置。
  2. 請求項1に記載のであって、
    前記予め定められた所定の範囲が、特定の部位については相対的に狭く、その他の部位については相対的に広く設定される、
    保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置。
  3. 請求項1又は2に記載の保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置であって、
    前記励磁手段が、励磁コイルにパルス電流を流すことによって磁気を発生させる、
    保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置。
  4. 請求項3に記載の保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置であって、
    前記磁性体の少なくとも前記励磁コイルによって生ずる磁界内に位置する領域に、前記励磁手段が発生させる磁気に起因する渦電流を妨げるように、絶縁体が埋設されている、
    保磁力分布磁石の保磁力性能判定装置。
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