JP2015196920A - 混繊不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、圧力損失が低いうえに捕集効率に優れる混繊不織布、特にフィルターに好適に用いることができる混繊不織布を提供する。
【解決手段】本発明の混繊不織布は、少なくとも、繊維径が0.01〜20μmの熱可塑性樹脂繊維と、前記繊維径が70〜120μmの熱可塑性樹脂繊維とを含み、前記繊維径が70〜120μmの熱可塑性樹脂繊維が、前記不織布の厚み方向の断面に断面長1mmあたり7.0本以上含まれており、少なくとも前記繊維径が0.01〜20μmの熱可塑性樹脂繊維および/または前記繊維径が70〜120μmの熱可塑性樹脂繊維が、帯電処理されており、面風速4.5m/minで0.3〜0.5μm粒子の捕集効率が少なくとも85%以上であり、厚みが0.3〜1.0mm、剛軟度が2.0mN以上であるメルトブロー法によって製造されている混繊不織布である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、主にフィルター用途として好適に用いられ、特に、プリーツフィルターに必要な剛軟度を有し、高い捕集効率および低い圧力損失を備える混繊不織布に関するものである。
近年、PM2.5等の大気汚染や感染症の流行が問題となる中で、よりきれいな空気環境で生活を送りたいというニーズから、空気清浄機や自動車用キャビンフィルター、マスク等の濾材の需要が高まっている。これらの用途に共通して用いられているのが、不織布等で構成される濾材によって、空気中の微細塵を除去する技術である。そして、これらの濾材には、高い捕集効率が求められる。
ここで、高い捕集効率を達成する方法としては、繊維径の極めて細い繊維からなる不織布を用いた濾材が開示されている(特許文献1参照。)。しかしながら、上記の濾材では、濾過の捕集効率の向上とともに、濾材の圧力損失が増大し、このように圧力損失が大きくなると、空気清浄や濾過に必要なエネルギーが増大するという課題があった。
そこで、上記の課題を解決するために、繊維径の極めて細い繊維および前記繊維径の極めて細い繊維より繊維径の大きい繊維を混合した不織布を用いた濾材が開示されている(特許文献2および特許文献3)。
また、濾材の剛軟度が低く、プリーツ加工を行っても濾材のプリーツ形状をその使用過程において保持できないとの課題を解決するため、濾材に剛軟度の高い支持層を貼り合わせたものも開示されている(特許文献4)。
特開2002−201560号公報 特表2010−511488号公報 特表2009−545682号公報 特開平06−198108号公報
上記のとおり、特許文献2および特許文献3に開示されている濾材は、繊維径が約0.1〜約10μmの極めて細い繊維と、前記極めて細い繊維よりも繊維径のより大きい繊維(繊維径:約10μm〜約70μm)を混合した不織布を用いたものであり、その圧力損失は極めて細い繊維のみからなる不織布を用いた濾材よりも低いものとなっている。しかしながら、上記の濾材は約10μm〜約70μmと繊維径の大きい繊維を有しているものの、上記の濾材を単層でプリーツ加工を行うには剛軟度が低く、プリーツ形状をその使用過程において保持できない、すなわちプリーツ加工性に劣るものとなるとの課題がある。ここで、プリーツ加工を考慮して濾材に所望の剛軟度を付与するためには、その目付を大きくする必要がある。一方で、濾材の厚みを変えずに目付けを大きくする場合には、濾材の密度が大きくなりその圧力損失が増大する。一方で、混繊不織布の厚みを大きくしてその目付けを大きくした場合にも、増大した混繊不織布の厚みによりプリーツ加工性が低下するとともに、必要となる材料が多量となり環境負荷が増大するなどという課題がある。また、プリーツフィルターに厚みの大きい混繊不織布を用いる場合、特定の空間体積に大きい面積の混繊維不織布を収納しようとすると、プリーツ加工後の混繊不織布のプリーツ間の隙間が十分に確保できず、結局、圧力損失の大きいプリーツフィルターとなってしまうとの課題もある。
また、上記の方法以外で、プリーツ加工を考慮した所望の剛軟度を濾材に付与する方法としては、特許文献4に開示されているとおり、剛軟度の高い支持層を貼り合わせる手段も挙げられるが、上記の支持層を貼り合わせるため得られる濾材全体の厚さは増大し、上記と同様の理由により、その圧力損失は高いものとなるとの課題がある。
そこで、本発明は、上記の課題に鑑み、高い捕集効率、低い圧力損失および優れたプリーツ加工性のすべてを高いレベルで備える混線不織布を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、鋭意研究の結果、適切な原料種および適切な繊維径などを選択することによって、前記の課題を解決し得る混繊不織布が得られることを見出した。
すなわち、本発明の混繊不織布は、以下のとおりの構成となる。
(1)少なくとも、繊維径が0.01〜20μmの繊維および繊維径が70〜120μmの繊維を含み、前記繊維径が0.01〜20μmの繊維を構成する成分の主成分が熱可塑性樹脂Aであり、前記繊維径が70〜120μmの繊維を構成する成分の主成分が熱可塑性樹脂Bであり、前記繊維径が0.01〜20μmの繊維および/または前記繊維径が70〜120μmの繊維が帯電繊維であり、面風速4.5m/minにおける粒子径が0.3〜0.5μmの粒子の捕集効率が85%以上であり、厚みが0.3〜1.0mm、剛軟度が2.0mN以上である混繊不織布、
(2)前記熱可塑性樹脂Aのメルトフローレートが300g/10min以上であり、かつ前記熱可塑性樹脂Bのメルトフローレートが150g/10min以下である(1)の混繊不織布、
(3)前記熱可塑性樹脂Aの融点が、前記熱可塑性樹脂Bの融点よりも5〜40℃低い(1)または(2)の混繊不織布、
(4)前記熱可塑性樹脂Aが、ポリオレフィンである(1)から(3)のいずれかの不織布、
(5)前記ポリオレフィンが、ポリプロピレンホモポリマーである(4)の混繊不織布、
(6)前記熱可塑性樹脂Bが、プロピレン−エチレン共重合体である(1)から(5)のいずれかの混繊不織布、
(7)(1)から(7)のいずれかの混繊不織布を含むプリーツフィルター、
(8)メルトブロー法による混繊不織布の製造方法であって、前記熱可塑性樹脂Aおよび前記熱可塑性樹脂Bをそれぞれ異なる吐出孔から同時に吐出する工程を有する(1)〜(7)のいずれかの混繊不織布の製造方法。
本発明によれば、高い捕集効率を示しながら、圧力損失を低く抑え、単層でプリーツ加工可能な優れたプリーツ加工性を有する混繊不織布が得られる。上記の混繊不織布は、高い捕集効率を示すため、フィルターとして用いたときに高い微粒子の除去性能を有する。さらに、本発明の混繊不織布によれば、圧力損失が低く抑えられているため、濾過装置をより小さいエネルギーで運転することができる。また、混繊不織布は単層で優れた剛軟度を有するため、混繊不織布を単層で用いた場合でも、フィルターの形状としてプリーツ形状をとることができ、またそのプリーツ形状は使用過程においても保持することができる。加えて、プリーツ形状をとるための剛軟度を付与するための支持層を必要とせず、また、支持材を積層する工程も必要としないため、フィルターの生産性を極めて良好なものとすることができる。
実施例1の孔aのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラム。 実施例1の孔bのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラム。 実施例2の孔aのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラム。 実施例2の孔bのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラム。 実施例3の孔aのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラム。 実施例3の孔bのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラム。 比較例1の孔aのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラム。 比較例1の孔bのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラム。 比較例2の孔aのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラム。 比較例2の孔bのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラム。 比較例3の孔aのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラム。 比較例3の孔bのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラム。
次に、本発明の混繊不織布の実施の形態について説明する。
本発明の混繊不織布は、少なくとも、繊維径が0.01〜20μmの繊維および繊維径が70〜120μmの繊維を含み、前記繊維径が0.01〜20μmの繊維を構成する成分の主成分が熱可塑性樹脂Aであり、前記繊維径が70〜120μmの繊維を構成する成分の主成分が熱可塑性樹脂Bであり、前記繊維径が0.01〜20μmの繊維および/または前記繊維径が70〜120μmの繊維が帯電繊維であり、面風速4.5m/minにおける粒子径が0.3〜0.5μmの粒子の捕集効率が85%以上であり、厚みが0.3〜1.0mm、剛軟度が2.0mN以上である。詳細は後述するが、本発明の混繊不織布は、0.01〜20μmの細い繊維を有することおよび繊維径が0.01〜20μmの繊維と繊維径が70〜120μmの繊維が混繊不織布中において十分に分散し混合されていることなどによって、上記のとおり高い捕集効率を得ることができ、さらに、70〜120μmの極めて太い繊維を有することおよび熱可塑性樹脂Bの融点などによって、捕集効率が高く、厚みが小さいにも関わらず優れた剛軟度を得ることができる。また、上記の混繊不織布は、その優れた剛軟度により、支持層を積層することなく単層であっても優れたプリーツ加工性を発揮することができる。
本発明の混繊不織布の形態としては、特に限定はされないがメルトブロー不織布、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、エアレイド不織布などが挙げられる。中でも、繊維径を小さくすることができ、不織布を構成する繊維の表面に油剤が存在しないといった観点からメルトブロー不織布であることが好ましい。
本発明の混繊不織布に用いられる繊維径が0.02〜20μmの繊維を構成する成分の主成分は熱可塑性樹脂Aである。ここで、主成分とは、熱可塑性樹脂Aの含有量が、繊維径が0.01〜20μmの繊維を構成する成分の全体の50質量%を超えていることをいい、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、とくに好ましくは99質量%以上であることをいう。
また、本発明の混繊不織布に用いられる熱可塑性樹脂Aとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド等が挙げられる。熱可塑性樹脂Aを用いて繊維径が0.01〜20μmの繊維を紡糸する際の溶融温度を抑制することができ、紡糸に要するエネルギーを抑制でき生産性をより優れたものとすることができるとの観点から、熱可塑性樹脂Aは、融点が230℃以下の熱可塑性樹脂であることが好ましい。さらに、本発明の混繊不織布に用いる繊維径が0.01〜20μmの繊維のように繊維径が細い繊維を容易に得ることができるとの観点から、ポリオレフィン又はポリエステルが好ましく、特にポリオレフィンがより好ましい。また、繊維の帯電処理を行う場合には、体積抵抗率が高く、また吸湿性が低いため、繊維化したときの帯電の持続性が高いポリオレフィンがさらに好ましく、中でもポリプロピレンが特に好ましい。また、より帯電保持性に優れ、入手が容易である等の観点から、ポリプロピレンホモポリマーであることが特に好ましい。
本発明の混繊不織布に用いられる熱可塑性樹脂Aは、繊維径が0.01〜20μmという細い繊維を紡糸し易いように、そのメルトフローレート(以下、MFRとする)は一定以上であることが好ましい。具体的には、MFRが300g/10min以上のものを用いることが好ましく、より好ましくは500g/10min以上である。MFRが300g/10min以上の熱可塑性樹脂Aを使用することによって、繊維の繊維径をより細化することが容易となり、目的とする繊維径範囲の繊維を得ることができる。また、MFRの上限値としては、2000g/10min以下であることが好ましい。MFRを2000g/10min以下の熱可塑性樹脂Aを用いることで、紡糸時の溶融粘度が過度に低下するのを抑制することができ、ショットと呼ばれるポリマー塊状欠点が多発しやすくなる等の紡糸性についての問題の発生を抑制することができる。なお、上記のMFRは、JIS −K −7210 に基づき測定したものであり、測定条件は附属書Bに準じ、記載のない樹脂については、附属書Aに準じて融点より20℃以上高い条件を選択し、測定したものである。
熱可塑性樹脂AのMFRは、一般にポリマーの分子量によって変化する。分子量が大きければMFRが小さく、分子量が小さければMFRが大きくなる。所望のMFRの熱可塑性樹脂Aを得るための方法としては、分子量の小さいポリマーを直接重合してもよく、事前に分子量の大きいポリマーを重合し、その後の工程にて減性剤を反応させることによって分子量を低下させ、所望の範囲のものを得てもよい。また、高分子量のポリマーチップに未反応の減性剤を添加し、溶融紡糸時に反応させ、分子量を低下させるプロセスであってもよい。
次に、本発明の混繊不織布に用いられる繊維径が70〜120μmの繊維を構成する成分の主成分は熱可塑性樹脂Bである。ここで、主成分とは、熱可塑性樹脂Bの含有量が、繊維径が70〜120μmの繊維を構成する成分の全体の50質量%を超えていることをいい、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、とくに好ましくは99質量%以上であることをいう。
また、本発明の混繊不織布に用いられる熱可塑性樹脂Bとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、メチルペンテン等のホモポリマーや、これらのポリマーに異なるオレフィン成分を共重合したコポリマーを使用することができる。特に、2種類以上のオレフィン成分を共重合したコポリマーを使用することが好ましい。コポリマーは、共重合成分の配合比や配列の制御によって、様々な融点のポリマーを得ることができる。結果として、本発明の目的とする低圧力損失・高捕集効率の達成がより容易になる。
また、望ましい融点が得やすいという観点から、コポリマーの中でも、ポリプロピレン系のコポリマーであることが好ましく、プロピレン成分とエチレン成分を共重合した、プロピレンーエチレン共重合体であることがさらに好ましい態様である。共重合成分には、本発明の効果を失わない範囲において、他のオレフィン成分やオレフィン以外の成分が含まれていても構わない。また、共重合形態としては、ランダム共重合、ブロック共重合等が挙げられるが、ランダム共重合体であることが、より好ましい態様である。また、熱可塑性樹脂Bを用いて繊維径が70〜120μmの繊維を紡糸する際の溶融温度を抑制することができ、紡糸に要するエネルギーを抑制でき生産性をより優れたものとすることができるとの観点から、熱可塑性樹脂Bは、融点が230℃以下の熱可塑性樹脂であることが好ましい。
また、本発明で用いられる熱可塑性樹脂Bは、エラストマーでないことが好ましい。本発明の混繊不織布において、エラストマーを用いた場合、混繊不織布全体が伸縮性の高いものとなる。伸縮性の高い混繊不織布は、工程張力によって引き伸ばされたときに嵩が減少し、圧力損失が増大する場合がある。
次に、本発明の混繊不織布に用いる熱可塑性樹脂Bのメルトフローレート(MFR)は、熱可塑性樹脂AのMFRよりも小さいMFRの熱可塑性樹脂Bを使用することが好ましい。特に繊維径が0.01〜20μmの繊維を構成する成分の主成分である熱可塑性樹脂Aと同一の口金から紡糸する場合には、熱可塑性樹脂AのMFRよりも小さいMFRの熱可塑性樹脂Bを使用することが好ましい。具体的には、熱可塑性樹脂BのMFRは150g/10min以下であることが好ましい。特に、繊維径が0.01〜20μmの繊維を構成する成分の主成分である熱可塑性樹脂Aと同一の口金から紡糸する場合には、熱可塑性樹脂AのMFRよりもより小さいMFRの熱可塑性樹脂Bを使用することが好ましく、具体的には、100g/10min以下であることがより好ましい。熱可塑性樹脂BのMFRを150g/10min以下とすることで、少なくとも繊維径が0.01〜20μmの繊維と繊維径が70〜120μmの繊維を有する混繊不織布において、繊維径が0.01〜20μmの繊維と繊維径が70〜120μmの繊維とが、より十分に混合された状態を達成することができる。一方で、熱可塑性樹脂BのMFRの下限については特に限定はされないが、紡糸時に口金背圧が高くなり過ぎるのを抑制し、樹脂可塑性樹脂B漏れや口金の変形等をより抑制することができるとの観点から、熱可塑性樹脂BのMFRの下限は、3g/10min以上であることが好ましく、5g/10min以上であることがより好ましく、10g/10min以上であることがさらに好ましい。なお、上記のMFRは、JIS −K −7210 に基づき測定したものであり、測定条件は附属書Bに準じ、記載のない樹脂については、附属書Aに準じて融点より20℃以上高い条件を選択し、測定したものである。
また、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂BのMFRを対比すると、熱可塑性樹脂AのMFRは、熱可塑性樹脂BのMFRの5倍以上とすることが好ましい。5倍以上とすることで、熱可塑性樹脂AのMFRと熱可塑性樹脂BのMFRの差が十分に大きく、後述するメルトブロー紡糸装置を用いて本発明の混繊不織布を製造する際に、上記のメルトブロー紡糸装置の有する2つの紡糸用口金からそれぞれ熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bを同時に紡糸する場合に、繊維径がより大きく異なる2種類の繊維を同時に得ることが可能となる。また、上記の倍率の上限については、特に限定はされないが、生産安定性の観点から100倍以下であることが好ましい。上記の観点から、上記の倍率は、10〜25倍であることがより好ましい。
次に、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの融点を対比すると、熱可塑性樹脂Bの融点は、熱可塑性樹脂Aの融点よりも5〜40℃低いことが好ましい。上記の融点差を有する熱可塑性樹脂を主成分とする繊維を混繊することで、得られる混繊不織布の捕集効率はより優れたものとなり、さらにその剛軟度もより優れたものとなる。そのメカニズムについては、定かではないが、次のように推測される。本発明の混繊不織布を、例えば、メルトブロー法によって製造する場合、高融点であり、固化が早い熱可塑性樹脂Aを含有する単繊維繊度が細い(繊維径が0.01〜20μm)の熱可塑性樹脂繊維を、低融点であり、固化が遅く半溶融状態の熱可塑性樹脂Bを含有する単繊維繊度が太い(繊維径が70〜120μm)の熱可塑性樹脂繊維が、絡め取りながらシート化されるため、フライの発生が抑制され、結果として単繊維繊度の細い繊維を多く含む、捕集効率の高い混繊不織布が得られる。フライとは、メルトブロー法を用いて極細繊維を含む不織布を得ようとする場合に発生する空中に浮遊する繊維塊をいい、フライの発生は、品位の低下、効率の低下の原因となる。また、固化が早い熱可塑性樹脂Aを含有する単繊維繊度が細い繊維を固化が遅く半溶融状態の熱可塑性樹脂Bを含有する単繊維繊度が太い繊維が絡め取ることにより、繊維径が0.01〜20μmの繊維と繊維径が70〜120μmの熱可塑性樹脂繊維との接点が増え、混繊不織布の剛軟度が向上すると推測される。
また、熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bの融点は共に、混繊不織布全体の耐熱性を優れたものとすることができるとの観点から100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、130℃以上であることがさらに好ましい。一方で、上限については特に限定はされないが、熱可塑性樹脂AおよびBを溶融させるのに必要となるエネルギーを抑制することができる観点から230℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましく、180℃以下であることがさらに好ましい。
本発明の混繊不織布における繊維径が0.01〜20μmの繊維と繊維径が70〜120μmの繊維の重量比(繊維径が0.01〜20μmの繊維:繊維径が70〜120μmの繊維)は、10:90〜40:60であることが好ましく、より好ましくは15:85〜40:60であり、さらに好ましくは20:80〜30:70である。本発明で用いられる繊維径が0.01〜20μmの繊維の重量を10:90以上とすることで、メルトブロー混繊不織布中の繊維表面積を大きいものとすることができ、高い捕集効率の混繊不織布を得ることができる。また、一方で、本発明で用いられる繊維径が70μm〜120μmの繊維の重量を40:60以上と多くすることで、剛性に優れる混繊不織布を得ることができる。上記の観点から、繊維径が0.01〜20μmの繊維と繊維径が70〜120μmの繊維の重量比は、20:80〜30:70であることがより好ましい。
本発明の混繊不織布における繊維径が0.01〜20μmの繊維と繊維径が70〜120μmの繊維の合計含有本数率は、混繊不織布全体に対して90%以上であることが好ましい。上記の合計含有本数率を90%以上、かつ上記の繊維径が0.01〜20μmの繊維と繊維径が70〜120μmの繊維の重量比(繊維径が0.01〜20μmの繊維:繊維径が70〜120μmの繊維)を特定の範囲内とすることで、捕集効率と剛軟度を高いレベルで備える混繊不織布を得ることができる。上記の観点から、上記の合計含有本数率は、95%以上であることがより好ましい。
また、本発明の混繊不織布には、本発明の効果を損なわない範囲で、難燃繊維や難燃剤が含まれていても構わない。
また、熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bのどちらか一方に、もしくは両方に、帯電性、耐候性、熱安定性、機械的特性、着色、表面特性、またはその他の特性を強化・改良するために添加剤を加えても良い。特に、混繊不織布に帯電処理を行う場合には、帯電性を強化する目的で、エレクトレット添加剤を含むことが好ましい態様である。
特に、エレクトレット添加剤として、ヒンダードアミン系化合物およびトリアジン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種が含まれていることが好ましい。
ヒンダードアミン系化合物としては、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)](BASF・ジャパン社製、“キマソーブ”(登録商標)944LD)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物(BASF・ジャパン社製、“チヌビン”(登録商標)622LD)、および2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)(BASF・ジャパン社製、および“チヌビン”(登録商標)144)などが挙げられる。
また、トリアジン系化合物としては、前述のポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)](BASF・ジャパン社製、“キマソーブ”(登録商標)944LD)、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−((ヘキシル)オキシ)−フェノール(BASF・ジャパン社製、および“チヌビン”(登録商標)1577FF)などを挙げることができる。
これらのエレクトレット添加剤の中でも、特にヒンダードアミン系化合物が好ましく用いられる。
ヒンダードアミン系化合物および/またはトリアジン系化合物の含有量は、混繊不織布全重量に対して0.1〜5.0重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3重量%の範囲であり、さらに好ましくは0.8〜2.0重量%の範囲である。また、これらのヒンダードアミン系化合物やトリアジン系化合物を、不織布もしくは繊維表面に付着させるなどの場合は、不織布全重量に対して0.1〜5.0重量%の範囲で付着させることが好ましい。
また、本発明の混繊不織布には、上記の化合物の他に、熱安定剤、耐候剤および重合禁止剤等の一般にエレクトレット加工品の不織布に使用されている通常の添加剤を添加してもよい。
本発明の混繊不織布の製造方法としては、スパンボンド法、メルトブロー法、エアレイド法、エレクトロスピニング法またはメルトブロー不織布への短繊維の吹き込み法などが挙げられるが、中でも、生産性の観点から、メルトブロー法を用いることが好ましい。メルトブロー法を用いることで、複雑な工程を必要とせず、繊維径の大きく異なる繊維群を同時に紡糸製造することができる。繊維径が0.01〜20μmの繊維をエレクトロスピニング法によって紡糸しながら、繊維径が70〜120μmの繊維をメルトブロー法によって紡糸する方法や、繊維径が0.01〜20μmの繊維をメルトブロー法によって紡糸する中に、繊維径が70〜120μmの繊維として別個に製造された短繊維を吹き込むことによって混合する方法などが考えられるが、繊維径が0.01〜20μmの繊維および、繊維径が70〜120μmの繊維の両方をメルトブロー法で製造する方が、工程の簡略化が可能であり、かつ得られる混繊不織布も細い繊維と繊維径の太い繊維が十分に混合してなるものであるとの観点から好ましい。また、メルトブロー法では、別個に製造した短繊維は繊維同士が絡まりあわないように各繊維の表面を油剤等でコーティングする必要がないため、メルトブロー法で得られる繊維は、帯電処理による帯電性がより良好なものとなる。
メルトブロー法における紡糸条件としては、ポリマー単孔吐出量、ノズル温度、加圧空気圧力および加圧空気温度等があるが、これら紡糸条件の最適化を行うことにより、所望の繊維径の繊維からなり所望の目付を有する混繊不織布を得ることができる。
具体的に好適には、(1)熱可塑性樹脂AとしてMFRの大きな原料すなわち溶融粘度の小さい原料を使用し、熱可塑性樹脂BとしてMFRの小さな原料すなわち溶融粘度の大きい原料を使用すること、(2)繊維径が0.01〜20μmの繊維の吐出孔からのポリマー単孔吐出量を小さくし、繊維径が70〜120μmの繊維の吐出孔からのポリマー単孔吐出量を大きく設定すること、(3)各繊維の製造工程がメルトブロー法である場合には、その製造工程における各熱可塑性樹脂の溶融温度または熱風の風速を調整すること、および(4)繊維径が0.01〜20μmの繊維の吐出孔の数を繊維径が70〜120μmの繊維の吐出孔の数に比べて多くすること、を適宜組み合わせることにより、所望の繊維径(繊維径分布)および所望の繊維径が0.01〜20μmの繊維と繊維径が70〜120μmの繊維の重量比などを有する混繊不織布を得ることができる。
本発明の混繊不織布を製造する設備としては、メルトブロー法を採用する場合には、例えば、米国特許第3981650号明細書に記載のものを用いることができる。具体的には、1つの紡糸口金に異種の樹脂が流れ出す紡糸孔が一列で並んだ構造の紡糸口金を使用することができる。上記の製造設備を用いて得られる混繊不織布は、2種の繊維がより均一に混合されてなるものである。
また、例えば、特開平8−13309号公報に記載されているような、繊維径が0.01〜20μmの繊維と繊維径が70〜120μmの繊維を異なる紡糸口金によって紡糸し、混合させる方法を使用することもできる。また、別個に製造した繊維径が0.01〜20μmの繊維からなる不織布と繊維径が70〜120μmの繊維からなる不織布を積層し、その後ニードルパンチ等の交絡処理を施しても良い。単一の工程によって2種類の繊維がより均一に混合された混繊不織布が得られることから、1つの紡糸口金に異種の樹脂が流れ出す紡糸孔が一列で並んだ構造の紡糸口金を使用することが好ましい態様である。
本発明の混繊不織布は、少なくとも2種類の異なる繊維径を持つ繊維が十分に混合されてなることによって、高い捕集性能および低い圧力損失を達成する。このメカニズムは明らかではないが、次のように推定される。
2種類の繊維のうち、繊維径の小さい0.01〜20μmの繊維は、本発明の混繊不織布において、捕集効率を向上させる機能を担う。また、繊維径の大きい70〜120μmの繊維は、本発明の混繊不織布に高い剛軟度を付与し、その混繊不織布を用いたフィルターの圧力損失を低減させる機能および混繊不織布を単層でプリーツ加工した場合のプリーツ加工性を優れたものとする機能を付与する。
すなわち、繊維径の小さい0.01〜20μmの繊維は、比表面積が大きいため粒子を繊維表面に効率よく捕集することができる。この繊維径が0.01〜20μmの繊維のネットワーク中に、繊維径の大きい70〜120μmの繊維が分散し混合されていることによって、混繊不織布の剛軟度が向上するとともに、繊維径が0.01〜20μmの繊維の間に大きい空隙が生成され、この繊維間空隙の存在によって、不織布の通気性が向上することで圧力損失が小さくなる。この効果をより効率よく発揮するためには、繊維径の異なる2種類の繊維が、不織布の厚み方向にわたってより均一に分散し混合された状態であることがより好ましい。
本発明の混繊不織布は、繊維径が0.01〜20μmの繊維を含むことが重要である。混繊不織布が、繊維径が0.01〜20μmの繊維を含むことで、混繊不織布の捕集効率を優れたものとすることができる。また、繊維径が0.01〜20μmの繊維の平均繊維径は、0.3μm〜7.0μmであることが好ましく、0.5μm〜4.0μmであることがより好ましい。繊維径が0.01〜20μmの繊維の平均繊維径を7.0μm以下とすることで、繊維の比表面積を大きくするころが可能となり、混繊不織布の捕集能力をより優れたものとすることができる。一方で、繊維径が0.01〜20μmの繊維の平均繊維径を0.3μm以上とすることでより低圧力損失とすることができる。
本発明の混繊不織布は、繊維径が70〜120μmの繊維を含むことが重要である。混繊不織布が、繊維径が70〜120μmの繊維を含むことで、混繊不織布の剛軟度を優れたものとすることができる。また、繊維径が70〜120μmの繊維の平均繊維径は、80μm〜120μmであることが好ましく、85μm〜110μmであることがより好ましい。繊維径が70〜120μmの繊維の平均繊維径を80μm以上とすることで、混繊不織布の剛軟度を優れたものとすることができる。一方、繊維径が70〜120μmの繊維の平均繊維径を120μm以下とすることで、使用する材料を少量にすることができ環境負荷を低減することができる。
また、繊維径が70〜120μmの繊維の平均繊維径は、繊維径が0.01〜20μmの繊維の平均繊維径よりも10倍以上大きいことが好ましい。これは、繊維径が0.01〜20μmの繊維と繊維径が70〜120μmの繊維の繊維径分布が明確に異なることによって、2種類の繊維群が、それぞれの機能を明確に分担し、混繊不織布の捕集効率の向上と、混繊不織布への優れた剛軟度の付与による圧力損失の低減が両立できるからである。また、上記の比は、20倍以上大きいことがより好ましい。一方、上記の比の上限は、150倍以下であることが好ましく、100倍以下であることがより好ましい態様である。ただし、本発明の混繊不織布は、本発明の効果を損なわない範囲において、繊維径が0.01〜20μmの繊維や繊維径が70〜120μmの繊維以外の繊維を含んでいてもよい。
本発明の混繊不織布は、上記の混繊不織布の厚さ方向に垂直な方向の1mm間の混繊不織布の断面の中に、繊維径が70〜120μmの繊維を7本以上含むことが好ましい。この繊維径が70〜120μmの繊維の本数は、より好ましくは10本以上であり、さらに好ましくは15本以上である。この繊維径が70〜120μmの繊維の本数を7本以上とすることで、混繊不織布中に繊維径が70〜120μmの繊維が高い密度かつ十分に分散して存在しているため混繊不織布の剛軟度をより優れたものとすることができる。一方で、上限については特に限定されないが、500本以下であることが好ましく、200本以下であることがさらに好ましい。500本以下とすることで、混繊不織布全体の目付を小さくすることができ、生産性により優れたものとすることができる。
この混繊不織布の断面に含まれる繊維本数の測定評価方法は、実施例のところに記載する。
本発明の混繊不織布において、繊維径が70〜120μmの繊維は、繊維の形態を保持していることが好ましい。ここで、「繊維の形態を保持している」とは、製布後の熱処理などによって、繊維が融解していないことを指す。例えば、特開平7−82649号公報には、低融点繊維を融点以上の温度で熱処理することによって融解させ、バインダー繊維として使用し、不織布の強度を向上させる方法が開示されている。しかしながら、このように、低融点繊維を融解させた場合、繊維表面積が減少し、捕集効率が低下するだけではなく、繊維間空隙が減少し、圧力損失が増大するという問題が発生する。本発明の混繊不織布では、繊維径が0.01〜20μmの繊維の融点よりも低融点である繊維径が70〜120μmの繊維が、繊維の形態を保持した状態で存在することによって、低圧力損失と高捕集の効果を発揮することができる。
本発明の混繊不織布において、繊維径が0.01〜20μmの繊維の本数Xと繊維径が70〜120μmの繊維の本数Yに対して、その比X/Yが10〜100倍多いことが好ましい。
上記のX/Yの値からもわかるように、本発明の混繊不織布は、繊維径の小さい0.01〜20μmの繊維が、繊維径の大きい70〜120μmの繊維よりも圧倒的に多い構成であるので、本発明の混繊不織布は、繊維径が70〜120μmという太い繊維を含みながら、混繊維不織布の比表面積を大きくすることができる。この効果によって、本発明の混繊不織布をフィルターとして用いたとき、高い捕集効率を達成することができる。また、繊維径が0.01〜20μmの繊維の本数が、繊維径が70〜120μmの繊維の本数に比べて多く、繊維径が0.01〜20μmの細い繊維と、繊維径が70〜120μmの太い繊維と大きく異なる繊維径を持つ繊維が混在しているという、特徴的な繊維構成によって、混繊不織布の表面積の大部分を繊維径が0.01〜20μmの熱可塑性樹脂繊維が占める状態とできる。このため、混繊不織布に帯電処理を施す場合、繊維径が70〜120μmの繊維が電荷保持性の低い成分を含んでいる場合であっても、不織布全体としては高い帯電性・電荷保持性を有することができる。
本発明の混繊不織布の含有する繊維径が0.01〜20μmの繊維と繊維径が70〜120μmの繊維の繊維径、平均繊維径および合計含有本数率を決定する方法としては、種々の方法を使用することができる。例えば、光学顕微鏡・走査型電子顕微鏡などの各種顕微鏡を用いて繊維径を測定する方法などを挙げることができる。また、繊維径が0.01〜20μmの繊維と繊維径が70〜120μmの繊維の融点差や、薬液への耐性差を利用し、一方の繊維だけを消失させ、残留した繊維について、繊維径を測定してもよい。また、顕微ラマン分光法、顕微赤外分光法、電子線マイクロアナライザ、あるいは飛行時間型二次イオン質量分析法などの、各種微小領域の物質分布が分析可能な手法を用いて、繊維の成分を判別しながら計測する方法を用いてもよい。例えば、本発明の混繊不織布において、繊維径が70〜120μmの繊維と繊維径が0.01〜20μmの繊維の樹脂において、融点差がある場合には、繊維径分布の差異を確かめるには、混繊不織布を2つの成分の融点の間の温度で熱処理し、一方の繊維を融解させたときの不織布全体の平均繊維径を、熱処理前の平均繊維径と比較する方法を取ることもできる。
本発明の混繊不織布の目付は、混繊不織布の剛軟度をより優れたものとする観点から60g/m以上であることが好ましく、より好ましくは80g/m以上であり、プリーツ加工を施すフィルター用の濾材として用いる場合には、より高い剛性が要求されるため100g/m以上であることがさらに好ましい態様である。また、混繊不織布の目付は、混繊不織布の生産性をより優れたものとする観点から、1000g/m以下であることが好ましく、より好ましくは500g/m以下であり、エアフィルター用の濾材として用いる場合には、130g/m以下であることがさらに好ましい態様である。
本発明の混繊不織布の長さ方向伸度は、工程張力によって伸び潰されるのを抑制し、フィルターとして用いた場合にその圧力損失をより低いものとする観点から、30%未満であることが好ましく、より好ましくは20%未満である。
本発明の混繊不織布は、帯電処理(エレクトレット処理)されており、繊維径が0.01〜20μmの繊維および/または繊維径が70〜120μmの繊維は帯電繊維である。このように、混繊不織布をエレクトレット化不織布シートにすれば、静電気吸着効果により更に低圧力損失と高捕集効率を得ることができる。エレクトレット化の方法としては、高性能を有する不織布を得る上で、水を不織布に付与した後に乾燥させることによりエレクトレット化する方法が好ましく用いられる。水を混繊不織布に付与する方法としては、水の噴流もしくは水滴流を不織布内部まで水が浸透するのに十分な圧力にて噴霧する方法や、水を付与した後もしくは付与しながら混繊不織布の片側から吸引して不織布内に水を浸透させる方法や、イソプロピルアルコール、エチルアルコールおよびアセトンなどの水溶性有機溶剤と水との混合溶液に混繊不織布を浸漬させて水を不織布内部まで浸透させる方法等がある。
本発明の混繊不織布は、フィルターの濾材として用いる目的に適した、高い捕集効率を示す。帯電処理後の捕集効率の値としては、風速4.5m/minにおける粒子径が0.3〜0.5μmの粒子の捕集効率が、85%以上であることを特徴とする。より好ましくは、90%以上、さらに好ましくは95%以上である。特に、95%以上の捕集効率を示す混繊不織布は、高集塵エアフィルターの濾材として好適に用いることができる。このような高い捕集効率は、上記のとおり、異なる繊維径の2種以上の繊維の混繊維不織布中における分散および混合の程度および用いる繊維径の小さい方の繊維の平均繊維径などを適宜調整することで達成することができる。
本発明の混繊不織布は、高い捕集効率を低い圧力損失で達成できるという特徴を持つ。本発明の混繊不織布は、次の式で定義されるQF値が、0.10Pa−1以上であることが好ましく、0.15Pa−1以上であることがより好ましく、0.18Pa−1以上であることがさらに好ましい態様である。QF値の値が大きいほど、同じ捕集効率を低い圧力損失で達成することができる。
QF値(Pa−1)=−In(1−[捕集効率(%)]/100)/圧力損失(Pa)。
さらに、本発明の混繊不織布は、後工程で機能付与をおこなっても良い。例えば、機能付与としては、抗菌性、抗アレルゲン性、防カビ性、難燃性等を発現する粒子をスプレー等で散布する方法が挙げられる。
本発明の混繊不織布は、2mN以上の剛軟度を有することが重要である。2mN以上の剛軟度を有する混繊不織布は、単層でプリーツ加工を施すことができる。プリーツ加工を施されたフィルターは、一定風量に対し、その濾材面積が大きくなり、それに伴い濾材を貫通する風速が遅くなるため、高い捕集効率、低い圧力損失を備えるフィルターを得ることができる。プリーツ加工を施す設備としては、レシプロ式プリーツ加工機や、ロータリー式プリーツ加工機等が挙げられる。プリーツ形状は、頂点部分が潰れていたり、山の頂点部と谷の頂点部の間で濾材が著しく湾曲したりすると、圧力損失が高くなる。よって、シャープなプリーツ形状を施すためにも、2mN以上の剛軟度が必要である。さらに、混繊不織布は、2mN以上の剛軟度を有することで、そのプリーツ形状は使用過程においても十分に保持することが可能となる。また、混繊不織布の剛軟度は、混繊不織布の厚み、繊維径が70〜120μの繊維の平均繊維径、繊維径が0.01〜20μmの繊維と繊維径が70〜120μmの繊維の重量比(繊維径が0.01〜20μmの繊維:繊維径が70〜120μmの繊維)および熱可塑性樹脂Bの融点などを適宜変更することで、調整することができる。
また、本発明の混繊不織布は厚みが0.3〜1.0mmであることを特徴とする。従来、風速4.5m/minにおける粒子径が0.3〜0.5μmの粒子の捕集効率が85%以上でかつ2mN以上の剛軟度を有するためには、85%以上の捕集効率を有する不織布と2mN以上の剛軟度を有する強度のある不織布を貼り合わせる必要があり、積層構造をとるため、厚みを1.0mm以下にすることは困難であった。しかし、本発明においては、上記のとおり、異なる繊維径の2種以上の繊維の混繊維不織布中における分散および混合の程度、用いる繊維径の小さい方の繊維の繊維径、用いる繊維径の大きい方の繊維の繊維径および熱可塑性樹脂Bの融点などを適宜調整することで、風速4.5m/minにおける粒子径が0.3〜0.5μmの粒子の捕集効率が85%以上、厚みが0.3〜1.0mm、かつ2mN以上の剛軟度の混繊維不織布を得ることができるものである。
本発明により、圧力損失が低く、高い捕集効率を有する混繊不織布が得られ、この混繊不織布は濾材として、プリーツフィルターに好適に用いることができる。
この濾材は、エアフィルター全般、なかでも空調用フィルター、空気清浄機用フィルター、および自動車キャビンフィルターの高性能用途に好適であるが、その応用範囲はこれらに限られるものではない。
次に、実施例を挙げて本発明の混繊不織布についてより具体的に説明する。実施例において使用する特性値は、次の測定法により測定したものである。
(1)混繊不織布の目付
JIS −L −1096の6.4.2 A法(標準状態における単位面積あたりの質量)に基づき、混繊維不織布の異なる箇所から15cm角のサイズの試験片を採取し、それぞれの重量(g)を測定、1m当たりの重量(g/m)に換算した。前記の測定をn=3で実施し、その平均値を不織布の目付(g/m)とした。
(2)繊維径および平均繊維径
後述する実施例1の吐出孔aから得られた繊維からなる不織布の任意の場所から、タテ×ヨコ=3mm×3mmの測定サンプルを20個採取し、走査型電子顕微鏡(倍率:1000倍)により不織布の表面写真を各1枚ずつ、計12枚を撮影した。写真の中の繊維直径がはっきり確認できる繊維について、すべて繊維径を測定した。各繊維径は、有効数字0.1μmの測定精度にて行った。また、各繊維の繊維径の値を合計し、測定した繊維本数で割った値を平均繊維径とした。平均繊維径は、1.0μm以上は有効数字2桁とし、1.0μm未満は有効数字1桁として算出した。次に、後述する実施例1の吐出孔bから得られた繊維からなる不織布の任意の場所から、タテ×ヨコ=3mm×3mmの測定サンプルを10個採取し、走査型電子顕微鏡(倍率:100倍)により不織布の表面写真を各1枚ずつ、計10枚を撮影した。写真の中の繊維直径がはっきり確認できる繊維について、すべて繊維径を測定した。各繊維径は、有効数字0.1μmの測定精度にて行った。また、各繊維の繊維径の値を合計し、測定した繊維本数で割った値を平均繊維径とした。平均繊維径は、1.0μm以上は有効数字2桁とし、1.0μm未満は有効数字1桁として算出した。
(3)混繊不織布の断面中に含まれる繊維本数
混繊不織布の任意の場所から、縦×横=20mm×5mmの混繊不織布片12個を採取し、片にエポキシ樹脂を含浸し固化させた。この混繊不織布を片刃カミソリによって切断し、縦×横=1mm×5mmの断片を得た。この断片の切断面について、走査型電子顕微鏡によって撮影し、計12枚の混繊不織布断面写真を得た。倍率は200倍〜1000倍とし、写真の中の繊維断面形状がはっきり確認できるものについては、すべて計数した。
(4)QF値
濾過性能の指標となるQF値は、前記の捕集効率および圧力損失を用いて、次の式により計算される。低圧力損失かつ高捕集効率であるほどQF値は高くなり、濾過性能が良好であることを示す。
QF値(Pa−1)=−In(1−[捕集効率(%)]/100)/圧力損失(Pa)。
(5)剛軟度
剛軟度の測定は、JIS L 1913(2010年)の6.7.4ガーレ法に基づき、株式会社東洋精機製作所製ガーレ・柔軟度試験機にて実施した。ガーレ試験機での剛軟度は以下の方法により求めた。試験片は、不織布長さ方向を試験片の長さ方向として5点採取した。下記式を用いて、表裏各1回、試験片5点の合計10回の平均値を求め、有効数字一桁となるよう四捨五入して試料の剛軟度(mN)を算出した。なお、不織布の表裏については、任意に片面を表面、その反対面を裏面と設定した。
S=R×(D+D+D)×(L−12.7)/b×3.375×10−5
ここで、S:剛軟度(ガーレ−こわさ)(mN)
R:目盛板の読み
、D、D:振子支点からおもり取付位置までの拒理[25.4mm(1in.)、50.8mm(2in.)及び101.6(4in)]
、W、W:D、DおよびDの孔に取り付けたおもりの質量(g)
L:試験片の長さ(mm)
b:試験片の幅(mm)。
(6)圧力損失
混繊不織布の任意の5箇所から、直径25cmの測定用サンプルを5枚採取し、上記のサンプルを有効間口サイズcm2のホルダーにセットし、風速4.5m/分で空気を通過させて、上記のサンプルの上下流の差圧をデジタルマノメーター(MODUS社製 MA2−04P)にて測定した。5枚の上記のサンプルの平均値を圧力損失とした。
(7)捕集効率
上述(6)の測定時に、ポリスチレン0.309U10%溶液(メーカー:ナカライテスク社)を蒸留水で200倍まで希釈し、測定用粒子として用いた。風速4.5m/minでかつ上記のポリスチレン粒子の粒子濃度が1万〜4万個/2.83×10−4mの範囲で安定させ、測定用サンプルの上流および下流の粒子径が0.3〜0.5μmのポリスチレン粒子数をパーティクルカウンター(RION社製 KC−01D)で測定した。得られた測定値と下記式を用い捕集効率を算出した。また、5枚の測定サンプルの平均値を捕集効率とした。
捕集効率(η)=(1−(下流粒子数/上流粒子数))×100
なお、高捕集効率の混繊不織布ほど、下流のダスト個数が少なくなるため、捕集効率の値は高くなる。
(8)プリーツ加工性
レシプロ折式のプリーツ加工機にてプリーツ折高さ30mm、スリット巾150mm、折速度30山/分にてプリーツ加工を実施した。山高さが安定し、山および谷の頂点が鋭角に折れている状態をプリーツ加工性が良好な場合とし○、プリーツ加工は出来るが山高さが安定しなかったり、50山以上連続でプリーツできなかった場合を△、山谷の折り目がつかず、所定の山高さにならない状態をプリーツ加工が出来なかった場合として、×判定し、評価した。
(9)混繊不織布の厚さ
JIS −L −1096の8.4 A法(JIS法)に基づき、混繊不織布の任意の場所3点について厚さを測定し、その測定値の平均値を混繊維不織布の厚さとした。
(10)重量比(繊維径が0.01〜20μmの繊維:繊維径が70〜120μmの繊維)
後述する実施例1のメルトブロー不織布の製造条件と同様の条件で繊維径が0.01〜20μmの繊維からなる不織布(以下、不織布Iとする)および繊維径が70〜120μmの繊維からなる不織布(以下、不織布IIとする)を得て、それぞれについて、上記の(1)の目付けの測定方法により目付けを測定した。不織布Iと不織布IIの目付けの比(不織布Iの目付け:不織布IIの目付け)を重量比(繊維径が0.01〜20μmの繊維:繊維径が70〜120μmの繊維)とした。
[実施例1]
熱可塑性樹脂Aとして、温度230℃で21.18N負荷時におけるMFRが860g/10min、融点163℃のポリプロピレン(PP)樹脂に、“キマソーブ”(登録商標)944(BASF・ジャパン(株)製)を1重量%添加したものを使用し、熱可塑性樹脂Bとして、温度230℃で21.18N負荷時におけるMFRが60g/10min、融点155℃のプロピレン−エチレン共重合体を使用し、2機の押出機、ギヤポンプならびに2種類の吐出孔a(以下、孔aとする)および吐出孔b(以下、孔bとする)を備えた混繊紡糸用メルトブロー口金(a孔径:0.25mm、b孔径:0.6mm、a孔深度:2.5mm、b孔深度:3.5mm、a孔数:285ホール、b孔数:60ホール、口金幅450mm、a-a孔ピッチ:1mm、a-b孔ピッチ:2mm、孔配列:b孔の間に5つのa孔を挿入して一列に配列)、圧縮空気発生装置および空気加熱機、捕集コンベア、および巻取機からなる装置を用いて、メルトブロー不織布の製造を行った。
それぞれの押出機に、上記の繊維径が0.01〜20μmの繊維を構成する熱可塑性樹脂Aのペレットと上記の繊維径が70〜120μの繊維を構成する熱可塑性樹脂Bのペレットをそれぞれ投入し、熱可塑性樹脂Aを260℃の温度で、熱可塑性樹脂Bを210℃の温度で加熱溶融させ、ギヤポンプを上記の繊維径が0.01〜20μmの繊維を構成する熱可塑性樹脂A:繊維径が70〜120μの繊維を構成する熱可塑性樹脂Bの重量比を1:3となるように設定し、上記の0.01〜20μmの繊維を構成する熱可塑性樹脂および70〜120μの繊維を構成する熱可塑性樹脂を、それぞれ混繊紡糸用メルトブロー口金のa孔およびb孔に導き吐出した。この吐出ポリマーを、風速4m/secの高温の加圧空気で細化し、口金吐出孔から捕集コンベアに吹き付けることによりシート化した。捕集コンベア速度を調整し、目付が96g/mの混繊不織布を得た。
次に、実施例1の条件において、孔aのみ、孔bのみから吐出した各繊維からなる不織布のサンプルをそれぞれ採取し、走査型電子顕微鏡での観察を行い、平均繊維径を測定した。ここで、図1は、実施例1の孔aのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラムを示し、図2は、実施例1の孔bのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラムを示す。孔aからの吐出繊維群の繊維径は0.01〜20μmであり、孔bからの吐出繊維群の大半の繊維径は70〜120μmであり、明確に異なる繊維径分布を有することを確認した。それぞれの目付けから、繊維径が0.01〜20μmの繊維と繊維径が70〜120μmの繊維の見かけの重量比を算出した。この結果を表1に示した。
実施例1で得られた不織布の断面について、走査型電子顕微鏡での観察を行い、繊維径0.01〜20μmの繊維群と、繊維径70μm〜120μmの繊維群が混在していることを確認した。繊維径70μm〜120μmの繊維について、単位断面長あたりの繊維本数を計測した。
次に、実施例1で得られた混繊不織布を、純水とイソプロピルアルコールの成分重量比が70:30である混合水溶液に含浸させ、次いで自然乾燥することにより、エレクトレット化メルトブロー混繊不織布を得た。このエレクトレット化メルトブロー混繊不織布の特性値を測定し、表1に示した。
[実施例2]
熱可塑性樹脂Bとして、温度230℃で21.18N負荷時におけるMFRが60g/10min、融点163℃のポリプロピレン(PP)樹脂を使用し、熱可塑性樹脂Aの押出機で加熱溶融する温度を実施例1の温度と比較し20℃高くし、加圧空気の風速を3.0m/secとしたこと以外は、実施例1と同様の方法によって不織布を製造した。実施例2で得られた混繊不織布について、実施例1と同じ方法で各種特性値を計測し、表1に示した。
ここで、図3は、実施例2の孔aのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラムを示し、図4は、実施例2の孔bのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラムを示す。孔aからの吐出繊維群の繊維径は0.01〜20μmであり、孔bからの吐出繊維群の大半の繊維径は70〜120μmであり、明確に異なる繊維径分布を有することを確認した。
[実施例3]
熱可塑性樹脂Aの押出機で加熱溶融する温度を実施例1の温度と比較し8℃高くし、熱可塑性樹脂Bの押出機で加熱溶融する温度を実施例1の温度と比較し5℃低くし、加圧空気の風速を3.8m/secとしたこと以外は、実施例1と同様の方法によって不織布を製造した。実施例3で得られた混繊不織布について、実施例1と同じ方法で各種特性値を計測し、表1に示した。
ここで、図5は、実施例3の孔aのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラムを示し、図6は、実施例3の孔bのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラムを示す。孔aからの吐出繊維群の繊維径は0.01〜20μmであり、孔bからの吐出繊維群の大半の繊維径は70〜120μmであり、明確に異なる繊維径分布を有することを確認した。
[比較例1]
熱可塑性樹脂Bとして、温度230℃、21.18N荷重条件におけるMFRが30g/10min、融点163℃のポリプロピレン(PP)樹脂を使用し、熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bの押出機で加熱溶融する温度を実施例1の温度と比較し20℃高くし、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの重量比を43:57とし、加圧空気の風速を6.0m/minとしたこと以外は、実施例1と同様の方法によって混繊不織布を製造した。
比較例1で得られた混繊不織布を、実施例1と同様の方法でエレクトレット処理した後、特性値を測定し、表1に示した。なお、比較例1で得られた混繊不織布の剛軟度は、非常に低いもので測定することができなかった。
ここで、図7は、比較例1の孔aのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラムを示し、図8は、比較例1の孔bのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラムを示す。孔aからの吐出繊維群の繊維径は0.01〜20μmであったが、孔bからの吐出繊維群の繊維径は70μmを大きく下回る細いもののみであった。
[比較例2]
熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの重量比を54:46とし、加圧空気の風速を5.0m/minとしたこと以外は、比較例1と同様の方法によって混繊不織布を製造した。
比較例2で得られた混繊不織布を、実施例1と同様の方法でエレクトレット処理した後、特性値を測定し、表1に示した。なお、比較例2で得られた混繊不織布の剛軟度は、非常に低いもので測定することができなかった。
ここで、図9は、比較例2の孔aのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラムを示し、図10は、比較例2の孔bのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラムを示す。孔aからの吐出繊維群の繊維径は0.01〜20μmであったが、孔bからの吐出繊維群の繊維径は70μmを大きく下回る細いもののみであった。
[比較例3]
熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの重量比を15:85としたこと以外は、比較例1と同様の方法によって混繊不織布を製造した。
比較例3で得られた混繊不織布を、実施例1と同様の方法でエレクトレット処理した後、特性値を測定し、表1に示した。
ここで、図11は、比較例3の孔aのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラムを示し、図12は、比較例3の孔bのみから吐出した繊維の繊維径の分布を示すヒストグラムを示す。孔aからの吐出繊維群の繊維径は0.01〜20μmであったが、孔bからの吐出繊維群の繊維径は70μmを大きく下回る細いもののみであった。
[比較例4]
比較例1の混繊不織布に、支持層として、剛軟度3.7mN、厚み1.480mmの湿式抄紙不織布をポリプロピレン熱融着パウダー(5g/m)を用いて積層した。特性値を測定し、表1に示した。
表1から明らかなように、実施例1において、混繊メルトブロー紡糸設備を用いて、2種類の原料種、吐出量、加圧空気の風速、および押し出し機温度等を調整することにより得られた混繊不織布は、繊維径が0.01〜20μmの繊維と繊維径が70〜120μmの繊維から構成され、混繊不織布の剛軟度は2.1mNとプリーツ加工を施すのに必要な剛性を上記の混繊不織布は有していた。また、この混繊不織布は、70〜120μmの繊維を構成する熱可塑性樹脂の融点が0.01〜20μmの繊維を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも低いため、0.01〜20μmのフライを抑制することができ、さらに帯電処理を施すことによって、低い圧力損失でありながら95%を超える高い捕集効率を示した。
さらに、実施例2においては、吐出量、加圧空気の風速を変更することで、目付を増やし、繊維径を太くし、剛性を向上させた。これらの剛性を有する混繊不織布は、プリーツ加工を施すフィルター用濾材として、好適に用いることができる。
一方、比較例1〜3に示された不織布は、繊維径が70〜120μmの熱可塑性樹脂繊維を必要な量含んでいないため、JIS L 1913(2010年版)の6.7.4ガーレ法に基づく試験法では測定ができないほど、柔らかかった。そのため、混繊不織布単体ではプリーツ加工を施すことができなかった。
以上のように、繊維径分布の異なる2種の繊維が混繊された混繊不織布において、細繊維と太繊維の繊維径およびそれぞれの繊維の成分を特定のものとすることにより、圧力損失が低いうえに捕集効率に優れ、フィルター形状としてプリーツ形状を有することができる混繊不織布を得ることができ、濾材およびフィルターの製造コストを小さくすることができた。

Claims (8)

  1. 少なくとも、繊維径が0.01〜20μmの繊維および繊維径が70〜120μmの繊維を含み、
    前記繊維径が0.01〜20μmの繊維を構成する成分の主成分が熱可塑性樹脂Aであり、
    前記繊維径が70〜120μmの繊維を構成する成分の主成分が熱可塑性樹脂Bであり、
    前記繊維径が0.01〜20μmの繊維および/または前記繊維径が70〜120μmの繊維が帯電繊維であり、
    面風速4.5m/minにおける粒子径が0.3〜0.5μmの粒子の捕集効率が85%以上であり、厚みが0.3〜1.0mm、剛軟度が2.0mN以上である混繊不織布。
  2. 前記熱可塑性樹脂Aのメルトフローレートが300g/10min以上であり、かつ前記熱可塑性樹脂Bのメルトフローレートが150g/10min以下である請求項1に記載の混繊不織布。
  3. 前記熱可塑性樹脂Aの融点が、前記熱可塑性樹脂Bの融点よりも5〜40℃低い請求項1または請求項2に記載の混繊不織布。
  4. 前記熱可塑性樹脂Aが、ポリオレフィンである請求項1から3のいずれかに記載の混繊不織布。
  5. 前記ポリオレフィンが、ポリプロピレンホモポリマーである4に記載の混繊不織布。
  6. 前記熱可塑性樹脂Bが、プロピレン−エチレン共重合体である請求項1から5のいずれかに記載の混繊不織布。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の不織布を含むプリーツフィルター。
  8. メルトブロー法による混繊不織布の製造方法であって、前記熱可塑性樹脂Aおよび前記熱可塑性樹脂Bをそれぞれ異なる吐出孔から同時に吐出する工程を有する請求項1〜7のいずれかに記載の混繊不織布の製造方法。
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