JP2015196234A - 研磨パッド - Google Patents

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奈々 佐藤
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誠司 福田
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良治 奥田
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Abstract

【課題】高い研磨レートを保ちながらマイクロスクラッチを抑制できる研磨パッドを提供する。
【解決手段】略円板状をなし、外周方向に延びる複数の溝201が形成され、該複数の溝により区画された研磨面200を有する研磨シート20aを含む研磨パッドであって、複数の溝のうちの少なくとも一部の溝の途中に設けられ、当該研磨パッドの中心側から外周側に向けて漸次深さが浅くなる浅底部202を有し、溝の最も深い位置から浅底部における深さが最も浅い位置までの第1の距離が、溝の最も深い位置から研磨面までの第2の距離以下であり、当該研磨パッドの中心から少なくとも一部の浅底部までの溝を介した距離が、第1の距離の20倍以上の距離となる平坦区間を有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、研磨パッドに関する。より詳しくは、半導体、誘電/金属複合体および集積回路等において平坦面を形成するために好ましく使用される研磨パッドに関する。
半導体デバイスが高密度化するにつれ、多層配線や、これに伴う層間絶縁膜形成、プラグ、ダマシンなどの電極形成等の技術が重要度を増している。これに伴い、これら層間絶縁膜や電極の金属膜の平坦化プロセスの重要度は増しており、この平坦化プロセスのための効率的な技術として、CMP(Chemical Mechanical Polishing)と呼ばれる研磨技術が普及している。
一般に、CMPを行うための装置は、被処理物である半導体ウェハーを保持する研磨ヘッドと、被処理物の研磨処理を行うための研磨パッドと、この研磨パッドを回転自在に保持する研磨定盤と、研磨パッド上にスラリーを供給する供給部と、パッド表面をドレッシングするドレッサーと、を有する。半導体ウェハーの研磨処理では、半導体ウェハーと研磨パッドとを相対運動させることで、半導体ウェハーと研磨パッドとの間に供給されるスラリーにより半導体ウェハー表面の層の突出した部分を除去し、ウェハー表面の層を平坦化する。また、パッド表面は、ドレッサーとして例えばダイヤモンドドレッサーなどを用いたドレッシングにより更新される。このドレッシングにより、目詰まりを防止するとともに、パッド表面(研磨面)の目立てが行われる。
CMPでは、ウェハーの局所平坦性およびグローバル平坦性の確保、欠陥(スクラッチ、パーティクル)の防止、高い研磨レートの確保等に代表されるような様々な要求特性がある。これらの要求特性を満たすために、研磨パッドには様々な工夫がなされている。その工夫の一つとして、研磨パッドの研磨層表面に溝を形成するものがある。
例えば、研磨パッドの中心から径方向に延びる溝が形成され、この溝の断面形状を略矩形とすることにより、ウェハーの平坦性や研磨レートの向上を図る技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、研磨パッド上に供給されたスラリーは、研磨パッドの回転により生じる遠心力によって内周側から外周側に移動する。この際、スラリーが有効に活用されずに研磨パッド外に排出されて、研磨レートのばらつきなどの上述した要求特性を満たさなくなる場合があった。このため、スラリー供給量を増加させて要求特性を安定化させる方法が挙げられるが、このスラリー供給量の増加がコストアップに繋がることがある。このコストアップを解消するため、スラリーの流れに対抗してスラリーの排出を抑制したり、スラリーを混合したりするための対抗手段を溝に設けることが記載されている(例えば、特許文献2,3参照)。特許文献2では、溝に対して、底面部と直交する抵抗体などを設けてスラリーの排出を抑制している。また、特許文献3では、溝の延伸方向に沿って溝深さを変化させることによって、溝を流れるスラリーの混合を行っている。
特開2002−144219号公報 特開平11−267961号公報 特開2005−150745号公報
しかしながら、上述した対抗手段では、溝を流れるスラリーの流量が極端に抑制され、研磨面へのスラリー供給が十分に行われずに研磨レートが低下してしまうとともに、スクラッチが発生しやすくなるという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高い研磨レートを保ちながらマイクロスクラッチを抑制できる研磨パッドを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための検討の結果、本発明者らは、研磨面に溝が設けられた研磨パッドで研磨するとき、一定深さの溝内を流れるときの研磨面へのスラリー供給不足がスクラッチを発生させていると考えた。そこで、本発明は、上記課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる研磨パッドは、略円板状をなし、外周方向に延びる複数の溝が形成され、該複数の溝により区画された研磨面を有する研磨パッドであって、前記複数の溝のうちの少なくとも一部の溝の途中に設けられ、当該研磨パッドの中心側から外周側に向けて漸次深さが浅くなる浅底部を有し、前記溝の最も深い位置から前記浅底部における深さが最も浅い位置までの第1の距離が、前記溝の最も深い位置から前記研磨面までの第2の距離以下であり、当該研磨パッドの中心から少なくとも一部の前記浅底部までの前記溝を介した距離が、前記第1の距離の20倍以上の距離となる平坦区間を有することを特徴とする。
また、本発明にかかる研磨パッドは、上記の発明において、前記浅底部は、当該研磨パッドの中心からの距離が、当該研磨パッドの半径の15.0%以上90.0%以下となる位置に設けられることを特徴とする。
また、本発明にかかる研磨パッドは、上記の発明において、前記第1の距離が、前記第2の距離の20%以上100%以下であることを特徴とする。
また、本発明にかかる研磨パッドは、上記の発明において、複数の前記浅底部は、前記研磨面上で閉じた経路上に位置することを特徴とする。
また、本発明にかかる研磨パッドは、上記の発明において、複数の前記浅底部は、前記研磨面上で直線状の経路上に位置することを特徴とする。
また、本発明にかかる研磨パッドは、上記の発明において、前記溝において、該溝の延伸方向と平行であって、前記研磨面と直交する平面を切断面とする断面が、Y字状をなすことを特徴とする。
また、本発明にかかる研磨パッドは、上記の発明において、前記複数の溝は、格子状をなすことを特徴とする。
本発明によれば、高い研磨レートを保ちながらマイクロスクラッチを抑制できる研磨パッドを提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態1にかかる研磨パッドを備えた研磨システムの概略構成を示す図である。 図2は、本発明の実施の形態1にかかる研磨システムの要部の構成を示す断面図である。 図3は、本発明の実施の形態1にかかる研磨パッドの概略構成を示す斜視図である。 図4は、本発明の実施の形態1にかかる研磨パッドの研磨シートの概略構成を示す模式図である。 図5は、図4に示す研磨シートの要部の構成を模式的に示す斜視図である。 図6は、図4に示す研磨シートの要部の構成を模式的に示す断面図である。 図7は、本発明の実施の形態1の変形例1にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。 図8は、本発明の実施の形態1の変形例2にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。 図9Aは、本発明の実施の形態1の変形例3にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。 図9Bは、本発明の実施の形態1の変形例4にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。 図9Cは、本発明の実施の形態1の変形例5にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。 図9Dは、本発明の実施の形態1の変形例6にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。 図9Eは、本発明の実施の形態1の変形例7にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。 図9Fは、本発明の実施の形態1の変形例8にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。 図9Gは、本発明の実施の形態1の変形例9にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。 図10Aは、本発明の実施の形態1の変形例10にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。 図10Bは、本発明の実施の形態1の変形例11にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。 図10Cは、本発明の実施の形態1の変形例12にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。 図10Dは、本発明の実施の形態1の変形例13にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。 図10Eは、本発明の実施の形態1の変形例14にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。 図10Fは、本発明の実施の形態1の変形例15にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。 図10Gは、本発明の実施の形態1の変形例16にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。 図10Hは、本発明の実施の形態1の変形例17にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。 図11は、本発明の実施の形態1の変形例18にかかる研磨シートの概略構成を示す平面図である。 図12は、本発明の実施の形態1の変形例19にかかる研磨シートの概略構成を示す平面図である。 図13は、本発明の実施の形態1の変形例20にかかる研磨シートの概略構成を示す平面図である。 図14は、本発明の実施の形態1の変形例21にかかる研磨シートの概略構成を示す平面図である。 図15は、本発明の実施の形態1の変形例22にかかる研磨シートの概略構成を示す平面図である。 図16は、本発明の実施の形態1の変形例23にかかる研磨シートの概略構成を示す平面図である。 図17は、本発明の実施の形態1の変形例24にかかる研磨シートの概略構成を示す平面図である。 図18は、本発明の実施の形態2にかかる研磨シートの要部の構成を模式的に示す斜視図である。 図19は、本発明の実施の形態2にかかる研磨シートの要部の構成を模式的に示す断面図である。 図20は、本発明の実施の形態2にかかる研磨シートの要部の構成を模式的に示す斜視図である。 図21は、本発明の実施の形態2にかかる研磨シートの要部の構成を模式的に示す断面図である。 図22は、本発明の実施の形態3にかかる研磨シートの要部の構成を模式的に示す斜視図である。 図23は、本発明の実施の形態3にかかる研磨シートの要部の構成を模式的に示す斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる研磨パッドを備えた研磨システムの概略構成を示す図である。図2は、本実施の形態1にかかる研磨システムの要部の構成を示す断面図である。図1に示す研磨システム1は、研磨定盤10、研磨ヘッド11、供給部12、ドレッサー13および研磨パッド20を備える。研磨システム1では、被処理物である半導体ウェハーWと研磨パッド20とを相対運動させることで、半導体ウェハーWと研磨パッド20との間に供給されるスラリーPにより半導体ウェハーWの表面(ウェハー表面)の層の突出した部分を除去し、ウェハー表面の層を平坦化する。
研磨定盤10は、研磨パッド20を回転自在に保持する。研磨定盤10は、研磨パッド20を保持する保持面を有するパッド保持部10aと、回転自在に設けられ、パッド保持部10aを支持する支持部10bと、を有する。支持部10bは、円柱状をなし、中心軸を回転軸として自転可能である。研磨パッド20は、接着剤や両面テープなどにより、パッド保持部10aの保持面上に着脱自在に取り付けられる。
研磨ヘッド11は、半導体ウェハーWを保持する。研磨ヘッド11は、半導体ウェハーWを保持するウェハー保持部11aと、回転自在に設けられ、ウェハー保持部11aを支持する支持部11bと、を有する。ウェハー保持部11aは、略U字状をなし、先端部分には円環状のリテーナリング11cが設けられている。支持部11bは、円柱状をなし、中心軸を回転軸として自転可能である。また、ウェハー保持部11aおよびリテーナリング11cが形成する中空空間には、エアバッグ11dが設けられている。半導体ウェハーWは、ウェハー保持部11aおよびリテーナリング11cが形成する中空空間であって、研磨パッド20と対向するように配置される。この際、半導体ウェハーWは、エアバッグ11dにより研磨パッド20に対する押し付けの圧力が調整される。
供給部12は、ノズルなどにより構成され、研磨パッド20上にスラリーPを供給する。スラリーPは、砥粒が分散された研磨液であり、砥粒にはシリカ砥粒などが用いられる。
ドレッサー13は、例えばダイヤモンドドレッサーなどが用いられ、研磨パッド20の表面(パッド表面)をドレッシングする。パッド表面は、ドレッサー13を用いたドレッシングにより削られて更新される。このドレッシングにより、目詰まりを防止するとともに、パッド表面(研磨面)の目立てが行われる。
図3は、本実施の形態1にかかる研磨パッドを有する研磨部材の概略構成を示す斜視図である。研磨パッド20は、円板状をなし、自身の回転により被処理物の研磨処理を行う。研磨パッド20は、半導体ウェハーWと接触して半導体ウェハーWの表面を研磨する研磨面200が設けられた研磨シート20aと、研磨シート20aを保持するとともに、保持部10aの保持面上に取り付けられる基部20bと、研磨シート20aおよび基部20bの間に設けられ、研磨シート20aおよび基部20bを接着する接着層20cと、を有する。
研磨シート20aは、独立気泡を有する構造をとることが、半導体、誘電/金属複合体および集積回路などに対して平坦面を形成させる上で好ましい。また、研磨シート20aの硬度は、アスカーゴム硬度計D型(高分子計器株式会社製)により計測される硬度(以下、アスカーD硬度という)において、45度〜65度であることが好ましい。アスカーD硬度が45度未満の場合には、被研磨材のプラナリティが低下する。一方、アスカーD硬度が65度より大きい場合は、プラナリティは良好であるが、被研磨材の研磨レートのウェハー面内ユニフォーミティ(均一性)の低下に伴って、ウェハー面内でプラナリティのユニフォーミティ(均一性)が低下する傾向にある。
研磨シート20aは、特に限定されないが、形成する材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、“ネオプレン(登録商標)”ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムおよびこれらを主成分とした樹脂などが挙げられる。これらを二種以上用いてもよい。このような樹脂においても、独立気泡径が比較的容易にコントロールできる点でポリウレタンを主成分とする素材がより好ましい。
ポリウレタンとは、ポリイソシアネートの重付加反応または重合反応により合成される高分子である。ポリイソシアネートの対称として用いられる化合物は、含活性水素化合物、すなわち、二つ以上のポリヒドロキシ基、あるいはアミノ基含有化合物である。ポリイソシアネートとして、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどを挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらを二種以上用いてもよい。
ポリヒドロキシ基含有化合物としてはポリオールが代表的であり、ポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、エポキシ樹脂変性ポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、シリコーンポリオール等が挙げられる。これらを二種以上用いてもよい。硬度、気泡径および発泡倍率によって、ポリイソシアネートとポリオール、および触媒、発泡剤、整泡剤の組み合わせや最適量を決めることが好ましい。
研磨シート20aにおいてポリウレタンを主成分とする場合、ポリウレタン中への独立気泡の形成方法としては、ポリウレタン製造時における樹脂中への各種発泡剤の配合による化学発泡法が一般的であるが、機械的な撹拌により樹脂を発泡させたのち硬化させる方法も好ましく使用することができる。また、ポリウレタン製造時に内部に空隙を有する中空粒子ポリマーを混錬することもできる。
独立気泡の平均気泡径は、スクラッチを低減する観点から30μm以上が好ましい。一方、被研磨材の局所的凹凸の平坦性の観点から150μm以下が好ましく、140μm以下がより好ましく、130μm以下がより好ましい。なお、平均気泡径は、サンプル断面をVK−8500(株式会社キーエンス製)の超深度顕微鏡にて倍率400倍で観察したときに一視野内に観察される気泡のうち、視野端部に欠損した円状に観察される気泡を除く円状気泡を画像処理装置にて断面面積から円相当径を測定し、数平均値を算出することにより求められる。
研磨シート20aは、特性改良を目的として、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、安定剤、染料等の各種添加剤を含有してもよい。
本発明において、研磨シート20aの密度は、局所的な平坦性不良やグローバル平坦性の観点から、0.3g/cm以上が好ましく、0.6g/cm以上がより好ましく、0.65g/cm以上がより好ましい。一方、スクラッチを低減する観点から、研磨シート20aの密度は1.1g/cm以下が好ましく、0.9g/cm以下がより好ましく、0.85g/cm以下がより好ましい。なお、本発明における研磨シート20aの密度は、ハーバード型ピクノメーター(JIS R−3503基準)を用い、水を媒体に測定した値である。
基部20bは、形成材料として、天然ゴム、ニトリルゴム、“ネオプレン(登録商標)”ゴム、ポリブタジエンゴム、熱硬化ポリウレタンゴム、熱可塑性ポリウレタンゴム、シリコーンゴムなどの無発泡のエラストマー、“トーレペフ(登録商標、東レ(株)製ペフ)”などのポリオレフィン発砲体、ポリエステル樹脂を挙げることができるが、これらに限定されるわけではない。
接着層20cは、接着剤や両面テープなどにより実現される。
図4は、本実施の形態1にかかる研磨パッドの研磨シートの概略構成を示す模式図である。図4に示す研磨シート20aには、一方の表面側に設けられた格子状をなす複数の溝201と、溝201の形成面であって、溝201に設けられ、少なくとも外周側に向けて段階的に溝深さを縮小させることによって、スラリーPの流れを制御する複数の浅底部202を有する流動制御部21と、が形成されている。研磨面200は、複数の溝201により区画されている。本実施の形態において、複数の浅底部202は、研磨シート20aの研磨面200上で閉じた経路上に位置している。該閉じた経路は正方形をなし、この正方形の対角線の交点(中心)が研磨シート20aの中心と一致している。
図5は、図4に示す研磨シートの要部の構成を模式的に示す斜視図である。図6は、図4に示す研磨シートの要部の構成を模式的に示す断面図であって、溝201を通過し、かつ研磨面200と直交する平面を切断面とする断面図である。溝201は、研磨面200と直交する方向に延びる二つの側面部201aと、二つの側面部201aと連結し、溝201の底面をなす底面部201bとを有し、研磨シート20aの表面(研磨面200)および溝201の延伸方向と直交する平面を切断面とする断面が略U字状をなす。底面部201bは、研磨面200と略平行な平面状をなしている。以下、二つの側面部201aの間の距離Wに対応する長さを「溝幅」、研磨面200から底面部201aまでの距離Dに対応する長さを「溝深さ」という。
浅底部202は、複数の溝201のうちの一部の溝201の途中に設けられている。本実施の形態1では、浅底部202は、溝201の途中であって、直交関係にある二つの溝201の間に設けられる(例えば、図4のX方向に延びる溝201の途中であって、Y方向に延びる二つの溝201の間に浅底部202を設ける)。浅底部202は、X方向に延びる溝201とY方向に延びる溝201の交差部に設けられていてもよい。
浅底部202は、研磨シート20aの中心側から外周側に向けて漸次深さが浅くなるように傾斜して延びる第1斜面部202aと、第1斜面部202aに連なり、溝201に沿って研磨面200と平行に延びる頭頂部202bと、一端で頭頂部202bの第1斜面部202aに連なる側と異なる側に連なるとともに、他端で溝201における外周側の底面部201bに連なる第2斜面部202cと、を有する。
第1斜面部202aおよび第2斜面部202cは、底面部201bから平面状に延びている。すなわち、図6にも示すように、研磨面200と直交する平面を切断面とする断面において、第1斜面部202aおよび第2斜面部202cは直線状をなしている。
また、本実施の形態1において、頭頂部202bは、研磨面200が通過する平面上に位置している。すなわち、頭頂部202bは、溝201の最も深い位置(底面部201b)からの高さ(第1の距離)が、底面部201bから研磨面200までの溝深さ(距離D、第2の距離)と同等(100%)であって、研磨面200に連続する平面をなしている。なお、本発明において、頭頂部から底面部201bまでの高さ(第1の距離)、および溝の底面部201bから研磨面までの溝深さ(第2の距離)は、研磨面に対して直交する方向に沿った距離のことをいう。
研磨システム1では、研磨ヘッド11が半導体ウェハーWを保持した状態で、図示しない制御部の制御のもと、供給部12によりスラリーPを供給しながら研磨定盤10、研磨ヘッド11およびドレッサー13を回転させることによって、半導体ウェハーWに研磨処理を施す。この際、スラリーPは、研磨パッド20の中心近傍に供給され、研磨パッド20の回転に伴う遠心力により、研磨面200や溝201において研磨パッド20の外周側に向けて流れる。
また、スラリーPは、溝201を流れる途中で浅底部202に導入される。浅底部202に導入されたスラリーPは、まず第1斜面部202aに進入し、流速を低下させつつ頭頂部202bに向けて遡上する。スラリーPは、第1斜面部202aを遡上して頭頂部202bで研磨面200と同じ高さに位置して研磨処理に用いられた後、第2斜面部202cを下降し、再び溝201に流れ込む。
スラリーPが頭頂部202bに到達したとき、スラリーPがウェハーWの下面に当たるように構成されていると、ウェハーWをより効果的に研磨でき、高い研磨レートを保ちながら、マイクロスクラッチを抑制することができることから好ましい。すなわち、浅底部202は、使用する研磨システムに応じて、頭頂部202bが研磨ヘッド11の下部に位置するように形成することが好ましい。
また、浅底部202は、研磨シート20aの中心を囲繞するように形成されている。このため、研磨シート20aの中心近傍に供給されたスラリーPは、遠心力によって研磨シート20aの外周側に流れた場合、必ず浅底部202を通過する。これにより、スラリーPが流れる方向に関わらず、スラリーPの流量を制御することができる。
溝201を流れるスラリーPは、第1斜面部202aを遡上するため、ある程度の助走距離をもって浅底部202に進入することが好ましい。したがって、研磨パッド20は、研磨パッド20の中心から浅底部202までの間に、頭頂部201bの底面部201bからの高さ(第1の距離)の20倍以上の平坦区間(底面部201bによる平坦な流路)を有している。換言すれば、研磨シート20aの中心から溝201を介して浅底部202に到達するまでの距離は、最短でも第1の距離の20倍である。このような平坦区間は第1の距離の40倍以上であることが好ましく、80倍以上であることがさらに好ましい。また、浅底部202の形成位置は、研磨シート20aの中心からの最短距離が、研磨シート20aの半径に対して15.0%以上あることが好ましい。なお、平坦区間における研磨パッド20(研磨シート20a)の中心とは、該中心を通過する溝201の底面部201b、または該中心に最も近い溝201の底面部201bをさす。また、該平坦区間は、一部の浅底部202において設けられていれば、スラリーPの流量を制御できるため、すべての浅底部202が上述した平坦区間を有するように形成されることが好ましいが、少なくとも一部の浅底部202が該平坦区間を有するように形成されていればよい。
浅底部202の形成方法としては、例えば、研磨シートにカッターを入れて溝201を形成する際、浅底部202の形成位置において、順次溝深さを浅くして第1斜面部202aを形成後、頭頂部201bの間はカッターを入れず、頭頂部201b通過後に再びカッターを入れて順次溝深さを深くしていき、第2傾斜部202cを形成する。換言すれば、第1斜面部202aおよび第2傾斜部202cの溝深さに合わせてカッターを入れることにより、浅底部202を形成することができる。
上述した実施の形態1によれば、研磨シート上に、複数の溝201と、溝201の途中に設けられ、少なくとも外周側に向けて段階的に溝深さを縮小させることによって、スラリーPの流れを制御する浅底部202と、を形成するようにしたので、高い研磨レートを保ちながらマイクロスクラッチを抑制することができる。
(実施の形態1の変形例1)
図7は、本実施の形態1の変形例1にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。図7に示す浅底部203は、溝201の途中に設けられ、研磨シート20aの中心側から外周側に向けて漸次深さが浅くなるように傾斜して延びる斜面部203aと、斜面部203aに連なり、溝201に沿って研磨面200と平行に延びる頭頂部203bと、頭頂部203bから底面部201bと同じ溝深さで研磨面200と直交する方向に延びる側壁部203cと、側壁部203cおよび底面部201bを連結する連結部203dと、を有する。
上述した実施の形態1にかかる浅底部202は外周側にも斜面が形成されるものとして説明したが、図7に示す浅底部203のように、少なくともスラリーPの移動方向(図7の矢印R)に対し、スラリーPの進入側に斜面が設けられてスラリーPが遡上するものであれば適用可能である。
(実施の形態1の変形例2)
図8は、本実施の形態1の変形例2にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。図8に示す浅底部204は、溝201の途中に設けられ、研磨シート20aの中心側から外周側に向けて漸次深さが浅くなるように傾斜して延びる斜面部204aと、斜面部204aと底面部201bとを連結し、研磨面200と直交する方向に延びる側壁部204bと、を有する。
図8に示す浅底部204のように、スラリーPの移動方向(図8の矢印R)に対し、スラリーPの進入側から研磨面200に向けて延びる斜面のみにより構成されるものであっても適用可能である。
次に、上述した浅底部202(第1傾斜部202a)の変形例について、図9A〜図9Gを参照して説明する。以下の変形例3〜9では、浅底部における研磨シート20aの中心側の構成を説明する。浅底部の外周側の構成については、実施の形態1の第2斜面部202cや、変形例1の側壁部203cおよび連結部203dのいずれの構成であってもよいし、外周側の形状が内周側の形状と対称な構成であってもよい。
(実施の形態1の変形例3)
図9Aは、本実施の形態1の変形例3にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。図9Aに示す浅底部205は、研磨シート20aの中心側から外周側に向けて漸次深さが浅くなるように傾斜して延びる斜面部205aと、斜面部205aに連なり、溝201に沿って研磨面200と平行に延びる頭頂部205bと、を有する。
上述した実施の形態1では、第1斜面部202aの研磨面200の高さまで延びるものとして説明したが、図9Aに示す浅底部205のように、底面部201bから頭頂部205bまでの高さd1(第1の距離)は、研磨面200から底面部201bまでの溝深さd2(第2の距離)よりも小さい。
浅底部が形成されていても、頭頂部の高さが低すぎると研磨面へのスラリー供給不足によりマイクロスクラッチが発生することから、頭頂部の高さd1は、マイクロスクラッチを抑制するという点で、溝深さd2に対して20.0%以上100%以下の範囲であることが好ましい。頭頂部の高さがこの範囲であることで、研磨面へスラリーが誘導されてマイクロスクラッチを大幅に低減する、あるいは、スラリー流量を減らしてもマイクロスクラッチを抑制することができるため、コスト削減につながる。研磨面へのスラリーの誘導性の観点から、頭頂部の高さd1の範囲は、35%以上100%以下が好ましく、50%以上100%以下がさらに好ましい。
(実施の形態1の変形例4)
図9Bは、本実施の形態1の変形例4にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。図9Bに示す浅底部206は、研磨シート20aの中心側から外周側に向けて漸次深さが浅くなるように弧状をなして延びる曲面部206aと、曲面部206aに連なり、溝201に沿って研磨面200と平行に延びる頭頂部206bと、を有する。曲面部206aは、底面部201bに向けて凸となる形状をなしている。
(実施の形態1の変形例5)
図9Cは、本実施の形態1の変形例5にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。図9Cに示す浅底部207は、研磨シート20aの中心側から外周側に向けて漸次深さが浅くなるように弧状をなして延びる曲面部207aと、曲面部207aに連なり、溝201に沿って研磨面200と平行に延びる頭頂部207bと、を有する。曲面部207aは、研磨面200に向けて凸となる形状をなしている。
図9Bおよび図9Cに示す浅底部206,207のように、スラリーPが遡上する面が湾曲した形状をなしていても、研磨レートを保ちながら、スラリーPの流れを制御することができる。
(実施の形態1の変形例6)
図9Dは、本実施の形態1の変形例6にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。図9Dに示す浅底部208は、研磨シート20aの中心側から外周側に向けて漸次深さが浅くなるように傾斜して延びる第1斜面部208aと、第1斜面部208aに連なり、溝201に沿って研磨面200と平行に延びる第1平面部208bと、第1平面部208bの第1斜面部208aに連なる側と異なる側から外周側に向けて漸次深さが浅くなるように傾斜して延びる第2斜面部208cと、第2斜面部208cに連なり、溝201に沿って研磨面200と平行に延びる第2平面部208dと、第2平面部208dの第2斜面部208cに連なる側と異なる側から外周側に向けて漸次深さが浅くなるように傾斜して延びる第3斜面部208eと、第3斜面部208eに連なり、溝201に沿って研磨面200と平行に延びる頭頂部208fと、を有する。
図9Dに示す浅底部208のように、底面部201bから頭頂部208fにかけて複数の段部が形成され、スラリーPが段階的に遡上するように構成した場合であっても、研磨レートを保ちながら、スラリーPの流れを制御することができる。
(実施の形態1の変形例7)
図9Eは、本実施の形態1の変形例7にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。図9Eに示す浅底部209は、研磨シート20aの中心側の端部であって、該端部における底面部201bから研磨面200と直交する方向に延びる側壁部209aと、側壁部209aの端部から外周側に向けて漸次深さが浅くなるように傾斜して延びる斜面部209bと、斜面部209bに連なり、溝201に沿って研磨面200と平行に延びる頭頂部209cと、を有する。
(実施の形態1の変形例8)
図9Fは、本実施の形態1の変形例8にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。図9Fに示す浅底部210は、研磨シート20aの中心側の端部であって、該端部における底面部201bから研磨面200と直交する方向に延びる側壁部210aと、側壁部210aの端部から外周側に向けて漸次深さが浅くなるように弧状をなして延びる曲面部210bと、曲面部210bに連なり、溝201に沿って研磨面200と平行に延びる頭頂部210cと、を有する。曲面部210bは、底面部201bに向けて凸となる形状をなしている。
(実施の形態1の変形例9)
図9Gは、本実施の形態1の変形例9にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。図9Gに示す浅底部211は、研磨シート20aの中心側の端部であって、該端部における底面部201bから研磨面200と直交する方向に延びる側壁部211aと、側壁部211aの端部から外周側に向けて漸次深さが浅くなるように弧状をなして延びる曲面部211bと、曲面部211bに連なり、溝201に沿って研磨面200と平行に延びる頭頂部211cと、を有する。曲面部211bは、研磨面200に向けて凸となる形状をなしている。
ここで、側壁部209a,210a,211aは、底面部201bからの高さが、上述した溝深さd1に対して、20.0%未満となるように設定されている。
図9E〜9Gに示す浅底部209,210,211のように、底面部201bと、スラリーPが遡上する斜面部209b、曲面部210b,211bとの間に側壁部209a,210a,211aにより段部が形成されている場合であっても、側壁部209a,210a,211aの高さを上述した条件を満たすように設定することによって、研磨レートを保ちながら、スラリーPの流れを制御することができる。
(実施の形態1の変形例10)
続いて、上述した浅底部202(頭頂部202b)の変形例について、図10A〜図10Iを参照して説明する。図10Aは、本実施の形態1の変形例10にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。図10Aに示す浅底部212の頭頂部212aのように、研磨面200に対して傾斜した平面状をなすものであってもよい。頭頂部212aは、例えば研磨シート20aの中心からみて左肩上がり(紙面左上がり)に傾斜している。
(実施の形態1の変形例11)
図10Bは、本実施の形態1の変形例11にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。図10Bに示す浅底部213の頭頂部213aのように、研磨面200に対して傾斜した平面状をなすものであってもよい。頭頂部213aは、例えば研磨シート20aの中心からみて右肩上がり(紙面右上がり)に傾斜している。
上述した変形例10,11のように、スラリーPが流れる方向と直交する方向に傾斜を設けるようにしてもよい。また、頭頂部212aおよび頭頂部213aを組み合わせてもよい。例えば、隣接する溝201に対して交互に頭頂部212aおよび頭頂部213aを設けてもよいし、溝201の延伸方向に応じて頭頂部212aおよび頭頂部213aを設けるようにしてもよい。
(実施の形態1の変形例12)
図10Cは、本実施の形態1の変形例12にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。図10Cに示す浅底部214の頭頂部214aのように、弧状に湾曲した凹状をなすものであってもよい。
(実施の形態1の変形例13)
図10Dは、本実施の形態1の変形例13にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。図10Dに示す浅底部215の頭頂部215aのように、弧状に湾曲した凸状をなすものであってもよい。
(実施の形態1の変形例14)
図10Eは、本実施の形態1の変形例14にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。図10Eに示す浅底部216の頭頂部216aのように、弧状に湾曲した凹凸を繰り返す形状をなすものであってもよい。
(実施の形態1の変形例15)
図10Fは、本実施の形態1の変形例15にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。図10Fに示す浅底部217の頭頂部217aのように、V字状をなすものであってもよい。
(実施の形態1の変形例16)
図10Gは、本実施の形態1の変形例16にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。図10Gに示す浅底部218の頭頂部218aのように、先鋭端を有する凸状をなすものであってもよい。
(実施の形態1の変形例17)
図10Hは、本実施の形態1の変形例17にかかる浅底部の概略構成を示す断面図である。図10Hに示す浅底部219の頭頂部219aのように、V字状と先鋭端を有する凸状とを繰り返す形状をなすものであってもよい。
(実施の形態1の変形例18)
続いて、研磨シートにおける浅底部の形成領域の変形例について、図11〜図17を参照して説明する。図11は、本実施の形態1の変形例18にかかる研磨シートの概略構成を示す平面図である。図11に示す研磨シート20dのように、研磨面200上で異なる径の閉じた経路上に浅底部202が設けられている二つの流動制御部(第1流動制御部22aおよび第2流動制御部22b)を有するものであってもよい。この場合、研磨シート20dの中心から径方向に移動するスラリーPは、浅底部による流れの制御を二回受けることとなる。
また、変形例18の場合、スラリーPが内側の第1流動制御部22aの第1斜面部(第1斜面部202a)を遡上するための助走距離を確保するため、第1流動制御部22aの形成位置は、研磨シート20aの中心から溝201を介して第1流動制御部22aに到達するまでの最短距離が、第1流動制御部22aの頭頂部(頭頂部201b)の高さ(第1の距離)の20倍以上であることが好ましく、40倍以上であることがより好ましく、80倍以上であることがさらに好ましい。また、スラリーPが外側の第2流動制御部22bの第1斜面部を遡上するための助走距離を確保するため、第1流動制御部22aと第2流動制御部22bとは、それぞれの頭頂部の中心間の距離が、第2流動制御部22bの頭頂部の高さ(第3の距離)に対して20倍以上となるよう形成されることが好ましく、40倍以上となるよう形成されることがより好ましく、80倍以上となるよう形成されることがさらに好ましい。
(実施の形態1の変形例19)
図12は、本実施の形態1の変形例19にかかる研磨シートの概略構成を示す平面図である。図12に示す研磨シート20eのように、研磨面200上で八角形状をなす経路上に浅底部202が設けられている流動制御部23を有するものであってもよい。この場合、四角形をなす経路と比して、研磨シート20eの中心からの最短距離と最小距離との差を小さくすることができる。
(実施の形態1の変形例20)
図13は、本実施の形態1の変形例20にかかる研磨シートの概略構成を示す平面図である。図13に示す研磨シート20fのように、研磨面200上で直線状をなす経路上に浅底部202が設けられた第1流動制御部24aおよび第2流動制御部24bからなる流動制御部24を有するものであってもよい。変形例20では、直線状をなす経路が、研磨シートの径方向と直交する直線をなしている。
(実施の形態1の変形例21)
図14は、本実施の形態1の変形例21にかかる研磨シートの概略構成を示す平面図である。図14に示す研磨シート20gのように、研磨面200上の閉じた経路上であって、所定の溝間隔で浅底部202が設けられた流動制御部25を有するものであってもよい。流動制御部25には、隣接する溝201に対して一つおきに上述した浅底部202が形成されている。
(実施の形態1の変形例22)
図15は、本実施の形態1の変形例22にかかる研磨シートの概略構成を示す平面図である。図15に示す研磨シート20hのように、外周側に設けられた流動制御部26を有するものであってもよい。流動制御部26には、隣接する溝201に対して一つおきに浅底部220が形成されている。浅底部220は、上述した第1斜面部202aと、第1斜面部202aの端部から研磨シート20hの外縁まで研磨面200と平行に平面状をなして延びる頭頂部と、を有する。
(実施の形態1の変形例23)
図16は、本実施の形態1の変形例23にかかる研磨シートの概略構成を示す平面図である。これまでの研磨シートには、格子状の溝が形成されているものとして説明したが、図16に示す研磨シート20iのように、中心から外縁に向けて弧状をなして延びる複数の溝221が形成されたものであっても、研磨シート20iと同心の円をなす経路上に浅底部202が設けられた流動制御部27を形成することによって上述した効果を得ることができる。溝221は、例えば、上述した溝201と同様の断面形状を有する。
(実施の形態1の変形例24)
図17は、本実施の形態1の変形例24にかかる研磨シートの概略構成を示す平面図である。図17に示す研磨シート20jには、中心から外縁に向けて直線状に延びる複数の溝222と、研磨シート20jと同心の円をなす経路上に浅底部202が設けられた流動制御部28とが形成されている。溝222は、例えば、上述した溝201と同様の断面形状を有する。
なお、研磨に寄与したスラリー中には、研磨屑や凝集物などの不純物が含まれ、マイクロスクラッチを発生させるおそれがある。研磨パッドを回転させてスラリーを供給した場合、スラリーは、回転とは反対の方向および遠心力方向、さらに半導体ウェハーの回転方向に流れ、研磨パッドの外周から排出される。このことから、研磨層表面から見て、流動制御部(浅底部)は、少なくとも研磨パッド中心から流動制御部までの距離が、研磨パッドの半径の90%以内の範囲の溝内に形成されることが好ましい。新鮮なスラリーが研磨面に誘導されるために、浅底部はスラリーの供給位置より研磨パッド外周側にあることが重要である。浅底部は、研磨パッド中心から流動制御部までの距離が、研磨パッドの半径の85%以下の溝内に設けられることが好ましく、80%以下の溝内に設けられることがさらに好ましい。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について、図面を参照して説明する。図18は、本発明の実施の形態2にかかる研磨シートの要部の構成を模式的に示す斜視図である。図19は、本実施の形態2にかかる研磨シートの要部の構成を模式的に示す断面図であって、研磨面300および溝301の延伸方向と直交する平面を切断面とする断面図である。上述した実施の形態1では、例えば溝201の断面形状が略U字(カップ)状をなすものとして説明したが、本実施の形態2にかかる研磨シートには、研磨面300に対して、断面がY字状をなす溝301が形成されている。溝の断面がY字状をなすことにより、高い研磨レートを保ちながら研磨レートの変動を抑制できる。また、ウェハーと研磨パッドの間で吸引力が働き、またスラリー流れが改善し、スラリーが効率的にタイル上に運ばれることから、研磨レートが上昇する。吸引力が働くことでウェハー面内に均一に研磨パッドが接触する効果も伴い、ウェハーの研磨レートに高い面内均一性を与える。
溝301は、図19に示すように、研磨面300から傾斜して延びる二つの斜面部301aと、溝301の底部をなし、研磨面300と平行な平面状の底面部301bと、研磨面300と直交する平面をなし、斜面部301aの端部と底面部301bの端部とをそれぞれ連結する二つの側壁部301cと、を有する。複数の溝301は、例えば、上述した実施の形態1のように、格子状をなす。
図20は、本実施の形態2にかかる研磨シートの要部の構成を模式的に示す斜視図である。図21は、本実施の形態2にかかる研磨シートの要部の構成を模式的に示す断面図であって、研磨面300に直交し、浅底部302が設けられる溝301の延伸方向と平行な平面を切断面とする断面図である。
溝301には、少なくとも外周側に向けて段階的に溝深さを縮小させることによって、スラリーPの流れを制御する複数の浅底部302が設けられた流動制御部が形成されている。この流動制御部は、例えば、上述した実施の形態1のように、複数の浅底部302は、研磨シート20aの研磨面200上で閉じた経路上に位置している。
浅底部302は、図21に示すように、研磨シートの中心側から外周側に向けて漸次深さが浅くなるように傾斜して延びる第1斜面部302aと、第1斜面部302aの基端であって、研磨面300と同等の高さに位置する頭頂部302bと、頭頂部302bから、研磨面300に対して傾斜して延び、直交して延びる溝301の側壁部301cに連なる第2斜面部302cと、を有する。
第1斜面部302aは、研磨面300に連なる二つの斜面部3021と、第1斜面部302aの底部をなし、頭頂部302bに連なる平面状の底面部3022と、研磨面300と直交する平面をなし、斜面部3021の端部と底面部3022の端部とをそれぞれ連結する二つの側壁部3023と、を有する。
第2斜面部302cは、研磨面300に連なる二つの斜面部3024と、第2斜面部302cの底部をなし、頭頂部302bに連なる平面状の底面部3025と、研磨面300と直交する平面をなし、斜面部3024の端部と底面部3025の端部とをそれぞれ連結する二つの側壁部3026と、を有する。
上述した実施の形態2によれば、研磨シート上に、複数の溝301と、溝301の途中に設けられ、少なくとも外周側に向けて段階的に溝深さを縮小させることによって、スラリーPの流れを制御する浅底部302と、を形成するようにしたので、高い研磨レートを保ちながらマイクロスクラッチを抑制することができる。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について、図面を参照して説明する。図22は、本発明の実施の形態3にかかる研磨シートの要部の構成を模式的に示す斜視図である。上述した実施の形態1では、例えば溝201の断面形状が略U字(カップ)状をなすものとして説明したが、本実施の形態3にかかる研磨シートには、研磨面400に対して、断面がV字状をなす溝401が形成されている。
溝401は、研磨面400から傾斜して延びる二つの斜面部401aを有する。二つの斜面部401aは、研磨面400に連なる側と異なる側の端部同士で当接することによって、研磨面400と直交する平面を切断面とする断面がV字状をなす。複数の溝401は、例えば、上述した実施の形態1のように、格子状をなす。
図23は、本実施の形態3にかかる研磨シートの要部の構成を模式的に示す斜視図である。溝401には、少なくとも外周側に向けて段階的に溝深さを縮小させることによって、スラリーPの流れを制御する複数の浅底部402を有する流動制御部が形成されている。この流動制御部は、例えば、上述した実施の形態1のように、複数の浅底部402を繋いだ軌跡が正方形状をなす。
浅底部402は、図23に示すように、研磨シートの中心側から外周側に向けて漸次深さが浅くなるように傾斜して延びる第1斜面部402aと、第1斜面部402aの基端であって、研磨面400と同等の高さに位置する頭頂部402bと、頭頂部402bから外周側に向けて漸次深さが深くなるように傾斜して延びる第2斜面部402cと、を有する。第1斜面部402aおよび第2斜面部402cは、溝の延伸方向と直交する平面を切断面とする断面が、V字状をなしている。
上述した実施の形態3によれば、研磨シート上に、複数の溝401と、溝401の途中に設けられ、少なくとも外周側に向けて段階的に溝深さを縮小させることによって、スラリーPの流れを制御する浅底部402と、を形成するようにしたので、高い研磨レートを保ちながらマイクロスクラッチを抑制することができる。
なお、上述した実施の形態1〜3において、浅底部は、研磨シートの中心側から外周側に向けて(研磨シートの径方向と非直交となる方向に)漸次深さが浅くなるように浅底部が設けられていれば、上述した効果を得ることが可能である。
また、上述した実施の形態1〜3および変形例に記載した浅底部の構成(形状)を組み合わせて研磨シートを構成してもよい。具体的には、例えば、実施の形態2にかかる溝301が形成された研磨シートに対して、変形例1〜17に示す断面を有する浅底部を設けてもよいし、変形例18〜24にかかる研磨シートの溝形状を、溝301に代えてもよい。
本発明の研磨パッドにおいては、スラリーが浅底部の第1斜面部を遡上するための助走区間を設ける必要があることから、少なくとも一部の浅底部において、研磨パッドの中心から溝を介して当該浅底部に到達するまでの距離が、当該浅底部の頭頂部の高さ(第1の距離)の20倍以上、好ましくは40倍以上、さらに好ましくは80倍以上の距離となる平坦区間が形成されている。また、研磨パッドの径方向でみて最も内側(中心側)の流動制御部(浅底部)は、研磨パッド中心から溝を介して当該流動制御部に到達するまでの距離が、当該流動制御部(浅底部)の頭頂部の高さ(第1の距離)の20倍以上であることが好ましく、40倍以上であることがより好ましく、80倍以上であることがさらに好ましい。一方、研磨パッド中心から径方向に延びる1筋の溝の中に複数の浅底部を形成する場合には、径方向で隣り合う2つの浅底部の頭頂部の中心間が、当該2つの浅底部のうち外周側に存在する浅底部の頭頂部の高さ(第3の距離)に対して20倍以上の距離となるよう形成されることが好ましく、40倍以上の距離となるよう形成されることがより好ましく、80倍以上の距離となるよう形成されることがさらに好ましい。すなわち、流動制御部を複数列設ける場合には、隣り合う2列の流動制御部の最短距離が、当該2列の流動制御部のうち外周側に存在する流動制御部の頭頂部の高さ(第3の距離)に対して20倍以上となるよう形成されることが好ましく、40倍以上となるよう形成されることがより好ましく、80倍以上となるよう形成されることがさらに好ましい。
本発明において研磨される被研磨材としては、例えば半導体ウェハーWの上に形成された絶縁層または金属配線の表面が挙げられる。絶縁層としては、金属配線の層間絶縁膜や金属配線の下層絶縁膜や素子分離に使用されるシャロートレンチアイソレーションを挙げることができる。金属配線としては、アルミニウム、タングステン、銅、およびそれらの合金などを挙げることができ、構造的にはダマシン、デュアルダマシン、プラグなどがある。銅を金属配線とした場合には、窒化珪素等のバリアメタルも研磨対象となる。絶縁膜は、現在酸化シリコンが主流であるが、低誘電率絶縁膜も用いられる。本発明の研磨システム1では、半導体ウェハーWのほか、磁気ヘッド、ハードディスク、サファイヤ、SiC、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などを研磨対象とすることもできる。
本発明の研磨パッドは、ガラス、半導体、誘電/金属複合体および集積回路等に平坦面を形成するために好適に使用される。
以下、実施例によって、さらに本発明の詳細を説明する。しかし、本実施例により本発明が限定して解釈される訳ではない。なお、測定は以下のとおりに行った。
(硬度測定)
硬度測定は、JIS K6253−1997に準拠して行った。作製した発泡ポリウレタンシートを2cm×2cm(厚みは任意)の大きさに切り出して測定用試料とし、温度23℃±2℃、湿度50%±5%の環境で16時間静置した。測定時の硬度測定用試料は、試料を重ね合わせるなどして厚みを6mm以上とした。この硬度測定用試料に対し、アスカーゴム硬度計D型(高分子計器株式会社製)を用いて硬度を測定した。
(気泡径測定)
平均気泡径は、サンプル断面を超深度顕微鏡(VK−8500、株式会社キーエンス製)にて倍率400倍で観察したときに一視野内に観察される気泡のうち、視野端部に欠損した円状に観察される気泡を除く円状気泡を画像処理装置にて断面面積から円相当径を測定し、算出した数平均値を平均気泡径とした。
(研磨処理)
アプライドマテリアルズ製のウェハー用研磨装置(Mirra 3400)を用いて、所定の研磨条件で8インチの半導体ウェハーの研磨を行った。半導体ウェハー一枚あたりの研磨時間は、1分とした。スラリーは、キャボット社製のSS−25を使用し、スラリーおよび純水を1:1(vol%)で希釈したものを用いた。この希釈したスラリーを75mL/分の流量で流し、ドレッサー(Saesol Diamond製)で荷重17.6N(4lbf)、研磨開始から36秒間インサイチュードレッシングをして150枚を研磨した。次いで、別の研磨パッドに貼り替えた後、希釈したスラリーの流量を50ml/分に変更し、それ以外は前記と同様に150枚を研磨した。研磨処理にかかる条件は、以下のとおりである。
リテーナリング圧力 :41kPa(6psi)
インナーチューブ圧力:28kPa(4psi)
メンブレン圧力 :28kPa(4psi)
プラテン回転数 :76rpm
研磨ヘッド回転数 :75rpm
(平均研磨レート)
150枚目に研磨した8インチの半導体ウェハーを用いて、この半導体ウェハーの中心から外周1mmまでを径方向に所定の間隔で研磨量(厚さ)を測定した。半導体ウェハー中心部を0mm地点として、0mm地点から90mm地点以内の面内を5mm毎に37点、0mm地点から91mm地点以上の面内を1mm毎に18点を測定して平均研磨レート(nm/分)を算出した。
(マイクロスクラッチ数)
研磨した半導体ウェハーを0.5重量%のふっ酸で洗浄し、水洗後、0.28重量%のアンモニア溶液と0.35重量%の過酸化水素水との混合溶液にて洗浄し、水洗乾燥した。水洗乾燥後の半導体ウェハーについて、ケーエルエー・テンコール株式会社製のSP−1を用いて、0.155μm以上のマイクロスクラッチ数を計数した。マイクロスクラッチ数は、200個以下であることが好ましい。
<参考例1>
研磨パッドにおける溝の形状は、以下のとおりである。
A−1:溝の延伸方向に直交する方向の断面が、U字状をなす(図5,6参照)
A−2:溝の延伸方向に直交する方向の断面が、Y字状をなす(図20,21参照)
<参考例2>
研磨パッドにおける流動制御部(浅底部)の形成パターンは、以下のとおりである。
B−1:浅底部が設けられる経路が、略正方形状をなす(図4参照)
B−2:浅底部が設けられる経路が、略正方形状をなすとともに、浅底部が溝一つおきに形成されている(図14参照)
B−3:浅底部が設けられる経路が、略正方形状をなす二つの流動制御部を有する(図11参照)
<実施例1>
まず、30重量部のポリプロピレングリコールと、40重量部のジフェニルメタンジイソシアネートと、0.5重量部の水と、0.3重量部のトリエチルアミンと、1.7重量部のシリコーン整泡剤と、0.09重量部のオクチル酸スズと、をRIM(Reaction Injection Molding)成型機で混合して、金型に吐出して加圧成型を行い、独立気泡の発泡ポリウレタンシートを作製した。
作製した発泡ポリウレタンシートを、アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部を添加したメチルメタクリレートに60分間浸漬した。次に、浸漬後の発泡ポリウレタンシートを、15重量部のポリビニルアルコール“CP”(重合度:約500、ナカライテスク株式会社製)、35重量部のエチルアルコール(試薬特級、片山化学工業株式会社製)および50重量部の水からなる溶液中に浸漬後乾燥することにより、発泡ポリウレタンシート表層をポリビニルアルコールで被覆した。
次に、ポリビニルアルコールで被覆した発泡ポリウレタンシートを、塩化ビニル製ガスケットを介して2枚のガラス板間に挟み込んで、65℃で6時間保持後、120℃で3時間加熱することにより重合硬化させた。ガラス板間から離型し水洗した後、50℃で真空乾燥を行った。このようにして得られた硬質発泡シートを厚み約2mmにスライス加工することにより測定用の加工シートを作製した。加工シート中のメチルメタクリレート含有率は66重量%であった。加工シートのD硬度は54度、密度は0.81g/cm、独立気泡の平均気泡径は45μmであった。また、得られた硬質発泡シートを両面研削して、厚みが2.2mmの研磨用シートを作製した。
上記方法により得られた研磨用シートに、クッション層として熱可塑性ポリウレタン(クッション層の厚み:0.3mm、日本マタイ株式会社製)を、MA−6203(三井化学ポリウレタン株式会社製)を接着層としてロールコーターを用いて積層し、さらに、クッション層の裏面に裏面テープとして両面テープ(5604TDM、積水化学工業株式会社製)を貼り合わせた。この積層体を508mmの直径の円に打ち抜いて、研磨用シートの表面に溝ピッチ11.5mm、溝幅2.0mm、溝深さ1.7mmの断面がU字状をなす溝を格子状に形成することによって、研磨パッドを作製した。
流動制御部は、研磨パッド中心を通過する溝、または最も近い溝からの垂直距離(パッド中心から流動制御部までの最短距離)が研磨パッド半径の54.3%(研磨パッド中心から138.0mm)となる位置に形成するとともに、浅底部を通過する軌跡が正方形をなすように他の浅底部を形成した。このとき、正方形の対角線の交点は、研磨パッドの中心と一致している。
浅底部の頭頂部の高さ(例えば、図9Aのd1)は、1.7mm(溝深さの100.0%)とした。したがって、浅底部の頭頂部における溝幅は、0.0mm(溝の最大溝幅に対する頭頂部の溝幅の割合:0.0%)である。また、浅底部(頭頂部)の高さに対する最短距離の割合は、81.2倍となった。
得られた研磨パッドを用いて、上述した研磨処理(スラリー流量:75mL/分)により150枚の半導体ウェハーを研磨した。次いで、研磨パッドを貼り替えて、スラリーの流量を50ml/分に変更し、それ以外は前記と同様に150枚の半導体ウェハーを研磨した。
実施例1では、スラリー流量が75mL/分のときの150枚目の酸化膜(ウェハー)の平均研磨レートは179.7nm/分であった。マイクロスクラッチ数は、62個(スラリー流量:75mL/分)および35個(スラリー流量:50mL/分)であり、良好な結果であった。得られた形状および特性について、表1に示す。
Figure 2015196234
<比較例1−1>
流動制御部を有さない研磨パッドに変更したこと以外は実施例1と同様にして研磨した。比較例1−2では、スラリー流量が75mL/分のときの150枚目の酸化膜の平均研磨レートは182.5nm/分であった。マイクロスクラッチ数は47個(スラリー流量:75mL/分)および396個(スラリー流量:50mL/分)であり、スラリー流量が75mL/分の場合に良好な結果が得られた一方、スラリー流量が50mL/分の場合は好ましい個数である200個より多かった。
<比較例1−2>
溝幅を3.4mmとし、流動制御部を有さない研磨パッドに変更したこと以外は実施例1と同様にして研磨した。比較例1−2では、スラリー流量が75mL/分のときの150枚目の酸化膜の平均研磨レートは205.9nm/分であった。マイクロスクラッチ数は16個(スラリー流量:75mL/分)および1385個(スラリー流量:50mL/分)であり、スラリー流量が75mL/分の場合に良好な結果が得られた一方、スラリー流量が50mL/分の場合は好ましい個数である200個より多かった。
<実施例2−1>
実施例1と同様にして、厚みが2.2mmの研磨用シートを作製してクッション層を貼り合わせた。この積層体を508mmの直径の円に打ち抜いて、研磨用シートの表面に溝ピッチ11.5mm、溝幅3.4mm(最大幅)、溝深さ1.7mmの断面がY字状をなす溝を格子状に形成することによって、研磨パッドを作製した。
流動制御部は、研磨パッド中心を通過する溝、または最も近い溝からの垂直距離(パッド中心から流動制御部までの最短距離)が研磨パッド半径の54.3%(研磨パッド中心から138.0mm)となる位置に形成するとともに、浅底部を通過する軌跡が正方形をなすように他の浅底部を形成した。このとき、正方形の対角線の交点は、研磨パッドの中心と一致している。
浅底部の頭頂部の高さは、1.0mm(溝深さの58.8%)とした。浅底部の頭頂部における溝幅は、1.4mm(溝の最大溝幅に対する頭頂部の溝幅の割合:41.2%)となった。また、浅底部(頭頂部)の高さに対する最短距離の割合は、138.0倍となった。
得られた研磨パッドを用いて、上述した研磨処理(スラリー流量:75mL/分)により150枚の半導体ウェハーを研磨した。次いで、研磨パッドを貼り替えて、スラリーの流量を50ml/分に変更し、それ以外は前記と同様に150枚の半導体ウェハーを研磨した。
実施例2−1では、スラリー流量が75mL/分のときの150枚目の酸化膜(ウェハー)の平均研磨レートは208.3nm/分であった。マイクロスクラッチ数は、40個(スラリー流量:75mL/分)および56個(スラリー流量:50mL/分)であり、良好な結果であった。得られた形状および特性について、表2に示す。
Figure 2015196234
<実施例2−2>
実施例2−1の溝形状において、溝深さを1.5mmに変更した以外は実施例2−1と同様にして研磨した。なお、浅底部の頭頂部の高さを1.0mmとし、頭頂部における溝幅が1.0mm(溝の最大溝幅に対する頭頂部の溝幅の割合:33.3%)であり、溝深さに対する頭頂部の高さの割合は66.7%となっている。実施例2−2では、スラリー流量が75mL/分のときの150枚目の酸化膜の平均研磨レートは205.0nm/分であった。マイクロスクラッチ数は、61個(スラリー流量:75mL/分)および89個(スラリー流量:50mL/分)であり、良好な結果であった。
<実施例2−3>
浅底部の頭頂部の高さを0.4mm(溝深さの23.5%)に変更したこと以外は実施例2−1と同様にして研磨した。なお、浅底部の頭頂部における溝幅は2.6mm(溝の最大溝幅に対する頭頂部の溝幅の割合:76.5%)であり、溝深さに対する頭頂部の高さの割合は23.5%となっている。実施例2−3では、スラリー流量が75mL/分のときの150枚目の酸化膜の平均研磨レートは208.6nm/分であった。マイクロスクラッチ数は、172個(スラリー流量:75mL/分)および191個(スラリー流量:50mL/分)であり、良好な結果であった。
<実施例2−4>
浅底部の頭頂部の高さを1.7mm(溝深さと同等)に変更したこと以外は実施例2−1と同様にして研磨した。したがって、浅底部の頭頂部における溝幅は0.0mm(溝の最大溝幅に対する頭頂部の溝幅の割合:0.0%)であり、溝深さに対する頭頂部の高さの割合は100.0%である。実施例2−4では、スラリー流量が75mL/分のときの150枚目の酸化膜の平均研磨レートは208.3nm/分であった。マイクロスクラッチ数は、63個(スラリー流量:75mL/分)および163個(スラリー流量:50mL/分)であり、良好な結果であった。
<実施例2−5>
浅底部の頭頂部の高さを0.6mm(溝深さの35.3%)に変更したこと以外は実施例2−1と同様にして研磨した。なお、浅底部の頭頂部における溝幅は2.2mm(溝の最大溝幅に対する頭頂部の溝幅の割合:64.7%)であり、溝深さに対する頭頂部の高さの割合は35.3%となっている。実施例2−5では、スラリー流量が75mL/分のときの150枚目の酸化膜の平均研磨レートは208.4nm/分であった。マイクロスクラッチ数は、138個(スラリー流量:75mL/分)および154個(スラリー流量:50mL/分)であり、良好な結果であった。
<実施例2−6>
流動制御部の形成領域において、溝一つおきに浅底部が形成された非連続な非閉鎖系の流動制御部に変更したこと以外は実施例2−1と同様にして研磨した。実施例2−6では、スラリー流量が75mL/分のときの150枚目の酸化膜の平均研磨レートは207.7nm/分であった。マイクロスクラッチ数は、62個(スラリー流量:75mL/分)および85個(スラリー流量:50mL/分)であり、良好な結果であった。
<実施例2−7>
実施例2−1の研磨パッドにおいて、外周側(研磨パッド中心から241.5mmの位置)に流動制御部を追加したこと以外は実施例2−1と同様にして研磨した。流動制御部間の最短距離は103.5mm(外周側の浅底部(頭頂部)の高さに対する割合:103.5倍)とした。実施例2−8では、スラリー流量が75mL/分のときの150枚目の酸化膜の平均研磨レートは208.8nm/分であった。マイクロスクラッチ数は、93個(スラリー流量:75mL/分)および116個(スラリー流量:50mL/分)であり、良好な結果であった。
<実施例2−8>
流動制御部の形成位置を、研磨パッド中心からの最短距離で92.0mm(研磨パッド半径の36.2%)の位置に変更したこと以外は実施例2−1と同様にして研磨した。実施例2−9では、スラリー流量が75mL/分のときの150枚目の酸化膜の平均研磨レートは208.1nm/分であった。マイクロスクラッチ数は、77個(スラリー流量:75mL/分)および92個(スラリー流量:50mL/分)であり、良好な結果であった。
<実施例2−9>
流動制御部の形成位置を、研磨パッド中心からの最短距離で207.0mm(研磨パッド半径の81.5%)の位置に変更したこと以外は実施例2−1と同様にして研磨した。実施例2−10では、スラリー流量が75mL/分のときの150枚目の酸化膜の平均研磨レートは202.8nm/分であった。マイクロスクラッチ数は、168個(スラリー流量:75mL/分)および177個(スラリー流量:50mL/分)であり、良好な結果であった。
<実施例2−10>
流動制御部の形成位置を、研磨パッド中心からの最短距離で218.5mm(研磨パッド半径の86.0%)の位置に変更したこと以外は実施例2−1と同様にして研磨した。実施例2−11では、スラリー流量が75mL/分のときの150枚目の酸化膜の平均研磨レートは202.2nm/分であった。マイクロスクラッチ数は、183個(スラリー流量:75mL/分)および193個(スラリー流量:50mL/分)であり、良好な結果であった。
<実施例2−11>
流動制御部の形成位置を、研磨パッド中心からの最短距離で38.0mm(研磨パッド半径の15.0%)の位置に変更したこと以外は実施例2−4と同様にして研磨した。実施例2−12では、スラリー流量が75mL/分のときの150枚目の酸化膜の平均研磨レートは200.3nm/分であった。マイクロスクラッチ数は、92個(スラリー流量:75mL/分)および121個(スラリー流量:50mL/分)であり、良好な結果であった。
<実施例2−12>
流動制御部の頭頂部における溝幅を2.8mm(溝の最大溝幅に対する頭頂部の溝幅の割合:82.4%)の位置に変更したこと以外は実施例2−3と同様にして研磨した。実施例2−13では、スラリー流量が75mL/分のときの150枚目の酸化膜の平均研磨レートは204.2nm/分であった。マイクロスクラッチ数は、177個(スラリー流量:75mL/分)および192個(スラリー流量:50mL/分)であり、良好な結果であった。
<比較例2−1>
流動制御部を有さない研磨パッドに変更したこと以外は実施例2−1と同様にして研磨した。比較例2−1では、スラリー流量が75mL/分のときの150枚目の酸化膜の平均研磨レートは199.2nm/分であった。マイクロスクラッチ数は、1153個(スラリー流量:75mL/分)および3500個(スラリー流量:50mL/分)であり、いずれの流量においても、好ましい個数である200個より多かった。
<比較例2−2>
流動制御部を有さない研磨パッドに変更したこと以外は実施例2−2と同様にして研磨した。比較例2−2では、スラリー流量が75mL/分のときの150枚目の酸化膜の平均研磨レートは200.9nm/分であった。マイクロスクラッチ数は、241個(スラリー流量:75mL/分)および643個(スラリー流量:50mL/分)であり、いずれの流量においても、好ましい個数である200個より多かった。
<比較例2−3>
浅底部の第1および第2斜面部を底面部と垂直な壁面(垂直壁)としたこと以外は実施例2−1と同様にして研磨した。比較例2−3では、スラリー流量が75mL/分のときの150枚目の酸化膜の平均研磨レートは206.9nm/分であった。マイクロスクラッチ数は、260個(スラリー流量:75mL/分)および488個(スラリー流量:50mL/分)であり、いずれの流量においても、好ましい個数である200個より多かった。
<比較例2−4>
流動制御部間のピッチを4.0mmとして複数の流動制御部を形成したこと以外は実施例2−1と同様にして研磨した。比較例2−5では、スラリー流量が75mL/分のときの150枚目の酸化膜の平均研磨レートは208.8nm/分であった。マイクロスクラッチ数は、2925個(スラリー流量:75mL/分)および7313個(スラリー流量:50mL/分)であり、いずれの流量においても、好ましい個数である200個より多かった。
以上のように、本発明にかかる研磨パッドは、高い研磨レートを保ちながらマイクロスクラッチを抑制するのに有用である。
1 研磨システム
10 研磨定盤
11 研磨ヘッド
12 供給部
13 ドレッサー
10a パッド保持部
10b,11b 支持部
11a ウェハー保持部
11c リテーナリング
11d エアバッグ
20 研磨パッド
20a,20d〜20j 研磨シート
20b 基部
20c 接着層
21,23〜28 流動制御部
24a,22a 第1流動制御部
24b,22b 第2流動制御部
200,300,400 研磨面
201,221,222,301,401 溝
201a 側面部
201b,301b 底面部
202〜220,302,402 浅底部
202a,208a,302a,402a 第1斜面部
202b,203b,205b,206b,207b,208f,209c,210c,211c,212a,213a,214a,215a,216a,217a,218a,219a,302b,402b 頭頂部
202c,208c,302c,402c 第2斜面部
203a,204a,205a,209b,301a,401a 斜面部
203c,204b,209a,210a,211a,301c 側壁部
203d 連結部
206a,207a,210b,211b 曲面部
208b 第1平面部
208d 第2平面部
208e 第3斜面部

Claims (7)

  1. 略円板状をなし、外周方向に延びる複数の溝が形成され、該複数の溝により区画された研磨面を有する研磨パッドであって、
    前記複数の溝のうちの少なくとも一部の溝の途中に設けられ、当該研磨パッドの中心側から外周側に向けて漸次深さが浅くなる浅底部を有し、
    前記溝の最も深い位置から前記浅底部における深さが最も浅い位置までの第1の距離が、前記溝の最も深い位置から前記研磨面までの第2の距離以下であり、
    当該研磨パッドの中心から少なくとも一部の前記浅底部までの前記溝を介した距離が、前記第1の距離の20倍以上の距離となる平坦区間を有することを特徴とする研磨パッド。
  2. 前記浅底部は、当該研磨パッドの中心からの距離が、当該研磨パッドの半径の15.0%以上90.0%以下となる位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の研磨パッド。
  3. 前記第1の距離が、前記第2の距離の20%以上100%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の研磨パッド。
  4. 複数の前記浅底部は、前記研磨面上で閉じた経路上に位置することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の研磨パッド。
  5. 複数の前記浅底部は、前記研磨面上で直線状の経路上に位置することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の研磨パッド。
  6. 前記溝において、該溝の延伸方向と平行であって、前記研磨面と直交する平面を切断面とする断面が、Y字状をなすことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の研磨パッド。
  7. 前記複数の溝は、格子状をなすことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の研磨パッド。
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