JP2015195009A - スライディングモード制御方法及びスライディングモード制御装置 - Google Patents

スライディングモード制御方法及びスライディングモード制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】不確かさの影響を受け難く、ロバスト性の高いスライディングモード制御方法及びスライディングモード制御装置を提供する。
【解決手段】制御対象物の状態を示す状態量を相平面上で表される切換面に拘束された状態で、制御対象物の目標値に対応する相平面上の平衡点に、状態量を収束させることで、制御対象物を制御するスライディングモード制御による制御方法において、切換面を生成し、状態量及び目標値からスライディングモード制御の等価制御入力を演算するステップと、状態量及び目標値からスライディングモード制御の切換制御入力を演算するステップと、等価制御入力と切換制御入力とを加算した値を制御対象物への制御入力として演算するステップとを含み、相平面は、状態量及び状態量の1階微分値をそれぞれ軸とした平面であり、切換面は、状態量の初期状態を示す点P及び平衡点を示す原点を通り、かつ、点Pで接線をもった2次曲線の軌跡で表される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、スライディングモード制御方法及びスライディングモード制御装置に関するものである。
制御対象物の制御すべき複数の状態量を変数とする線形関数によりスライディングモード制御用の超平面を設定し、状態量を超平面上に収束させ、さらに、状態量を超平面上に拘束しつつ超平面上の平衡点に状態量を収束せしめることにより目標状態量に制御するスライディングモード制御方法において、制御対象の状態量をx、xとした場合に、これらの状態量を変数とする線形関数(σ=s+s)を、超平面上への収束状況を表す関数として用いて、σ=0により表される超平面Hを予め設計する。そして、状態量x、xがσ≠0となっている場合に、所謂到達則に従って、状態量をハイゲイン制御によって超平面H(σ=0)上に高速で収束させ(モード1)、さらに所謂等価制御入力によって、状態量x、xを超平面上に拘束しつつ超平面上の平衡点(収束点、x=x=0の点)に収束させる(モード2)ものが開示されている(特許文献1)。
特開平9−274504号公報
しかしながら、状態量x、xがσ≠0となっている状態から超平面H(σ=0)に収束するモード1は外乱やモデル化誤差等の影響を受けやすいため、モード1を含んだ上記のスライディングモード制御方法では、不確かさの影響によりロバスト性が低くなるという問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、不確かさの影響を受け難く、ロバスト性の高いスライディングモード制御方法及びスライディングモード制御装置を提供することである。
本発明は、制御対象物の状態を示す状態量を相平面上で表される切換面に拘束された状態で、制御対象物の目標値に対応する相平面上の平衡点に、状態量を収束させることで、制御対象物を制御するスライディングモード制御において、状態量及び状態量の1階微分値をそれぞれ軸とする平面を相平面とし、状態量の初期状態を示す点P及び平衡点を示す原点を通り、かつ、点Pで接線をもった2次曲線の軌跡により切換面を表すことによって上記課題を解決する。
本発明は、状態量の初期状態から平衡点で示される平衡状態に至るまでの過程で、切換面の軌跡上で状態量を拘束しつつ平衡点まで収束できるスライディングモードを確立しているため、外乱やモデル化誤差等の影響を受けにくくなり、その結果として、不確かさの影響を受け難く、ロバスト性の高いスライディングモード制御方法及びスライディングモード制御装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係るスライディングモード制御装置のブロック図である。 切換面の楕円軌道を示した相平面の座標である。 (a)状態量(位置)の時間的推移を示すグラフ、(b)状態量の1階微分の時間的推移を示すグラフ、(c)状態量の2階微分の時間的推移を示すグラフ、(d)状態量の3階微分の時間的な推移を示すグラフである。 楕円軌道を説明するための座標である。 第1切換面におけるスライディングモード制御と、第2切換面におけるスライディングモード制御を相平面上で示した概念図である。 図1のスライディングモード制御装置の制御フローを示すフローチャートである。 従来の制御手法において、状態量が平衡点に収束する際の状態を示した概念図である。 プラントの状態量に関するシミュレーション結果を示すグラフであって、(a)は状態量(x)の時間的推移を示し、(b)は状態量の1階微分(x_i)の時間的推移を示し、(c)は制御入力(u)の時間的推移を示している。 プラントの誤差状態量に関するシミュレーション結果を示すグラフであって、(a)は誤差状態量(e)の時間的推移を示し、(b)は誤差状態量の1階微分(e_i)の時間的推移を示し、(c)は制御入力(u)の時間的推移を示している。 誤差状態量が平衡点に収束するまでの誤差状態量の実際の軌跡を、相平面で表した座標である。 本発明に係る舵角制御システムのブロック図である。 舵角の目標指令値の時間的推移、本発明の舵角の時間的推移、比較例1の舵角の時間的推移、及び比較例2の舵角の時間的推移をそれぞれ示したグラフである。 本発明の他の実施形態に係るスライディングモード制御装置のブロック図である。 切換面のレムニスケート曲線を示した相平面の座標である。 トーラス体を示したグラフである。 レムニスケート、楕円、及び線形切換え面を用いたスライディングモード制御における、切替えゲインの特性を示すグラフである。 レムニスケート、楕円、及び線形切換え面を用いたスライディングモード制御における、エネルギー消費量の特性を示すグラフである。 レムニスケート曲線、楕円、線形と、減衰係数毎の状態量の軌跡を示した相平面の座標である。 減衰係数、特徴(切換えゲイン、エネルギー消費量、及び即応性)、及び切換面の対応関係を示すグラフである。 本発明の他の実施形態に係るスライディングモード制御装置の制御フローを示すフローチャートである。 本発明の他の実施形態において、第1切換面におけるスライディングモード制御と、第2切換面におけるスライディングモード制御を相平面上で示した概念図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るスライディングモード制御装置のブロック図である。本例のスライディングモード制御装置及び制御方法は、例えば車両の自動駐車における舵角制御等を行う際に適用される。
図1に示すように、スライディングモード制御装置は、プラントモデル11とプラントノミナルモデル12と、スライディングモードコントローラ(SMC)20とを備えている。
プラント11は、実際の制御対象物である。プラントモデル11は、SMC20の制御入力(u)に対して出力値(y)を出力する。プラントノミナルモデル12は、制御対象である物理モデルの理想型モデルである。プラントノミナルモデル12は、入力される目標値(r)に対して、制御対象物の理想出力値を出力する。
SMC20は、プラントモデル11で表されている制御対象物をスライディングモード制御により制御するためのコントローラである。スライディングモード制御は、制御対象物の状態を示す状態量が超平面上の切換面で拘束された状態(スライディングモード)において、状態量を制御対象物の目標値に収束させる制御モードであって、外乱、パラメータ変動、モデル化誤差などの不確かさの影響を受けにくく、ロバスト性が高い非線形制御手法である。スライディング制御モードは、等価制御入力と呼ばれる線形状態フィードバック項(u)を演算し、切換制御入力と呼ばれる非線形フィードバック項(UNL)を演算し、これらのフィードバック項(u、UNL)の加算値を制御対象物への制御入力として演算している。
SMC20は、CPU、RAM等を備えつつ、スライディングモード制御を実行するための機能ブロックとして、図1に示すように、減算器21と、誤差観測推定部22と、制御領域判定部23と、切換面生成部24と、等価制御入力演算部25と、切換制御入力演算部26と、加算器27とを有している。
減算器21は、プラントノミナルモデル12の理想出力値(目標値に相当する)からプラントモデル11の状態量(実出力値)を減算することで、誤差(e)を演算する。誤差(e)は、目標値と実際の出力値との誤差であり、誤差状態量とも称される。減算器21には、プラントモデル11の実際の出力値がフィードバックして入力される。
誤差観測推定部22は、カルマンフィルタなどを用いた演算処理により、誤差(e)から誤差の速度(1次微分値)及び誤差の加速度(2次微分値)を推定する。制御対象物の速度や加速度など、状態量の高次微分項が観測できない場合には、誤差観測推定部22が演算処理により高次微分項を推定することで、ロバスト性の高い制御を実現できる。また、誤差観測推定部22は、誤差(e)の初期値から誤差(e)の速度及び加速度を推定することで誤差(e)の初期状態を推定し、同様に、スライディングモード制御中の誤差(e)から制御中の制御対象物の状態を推定する。なお、誤差観測推定部22は、制御対象物の速度や加速度を観測できるときには、観測値から誤差(e)の状態(初期状態及び制御中の状態)を演算する。
制御領域判定部23は、誤差観測推定部22により推定された誤差(e)の状態から、誤差(e)が切換面を遷移させる領域内にあるか否かを判定する。後述するように、SMC20は、状態量(誤差e)が超平面上の切換面で拘束された状態で、超平面上における状態量の位置に応じて、切換面を遷移させている。切換面は、少なくとも2種類の切換面を含んでおり、2次曲線の軌跡で表される切換面(以下、第1切換面とも称す)と、1次関数で表される切換面(以下、第2切換面とも称す)を含んでいる。
第1切換面から第2切換面に切り替えるための領域は、誤差eと誤差の1階微分で表される。また領域は、制御対象物の制御の際に要求される要求精度に応じて設定さる。例えば、要求精度に対して3倍程度を許容する誤差として設定した場合には、許容誤差分の状態量と状態量の速度で規定される範囲が、切換面を切り替えるための領域である。そして、制御領域判定部23は、現在の誤差eおよび速度が領域外である場合には第1切換面でスライディングモード制御を行うと判定し、現在の誤差eおよび速度が領域内である場合には第2切換面でスライディングモード制御を行うと判定する。制御領域判定部23は判定結果と誤差観測推定部22の推定値を切換面生成部24に出力する。
切換面生成部24は、誤差eに基づき切換面を生成するための演算器であり、第1切換面生成部24aと第2切換面生成部24bを有している。第1切換面生成部24aは、超平面上で、誤差eの初期状態を示す点から遷移点まで、誤差を到達させる第1切換面を演算する。また、第2切換面生成部24bは、超平面上で、遷移点から平衡点まで誤差を収束させる第2切換面を演算する。遷移点は、第1切換面から第2切換面に遷移させる点である。
切換面生成部24は、制御領域判定部23による判定結果に応じて、第1切換面生成部24a又は第2切換面生成部24bのいずれか一方を選択しつつ、切換面を演算し、等価制御入力演算部25および切換制御入力演算部26に出力する。
等価制御入力演算部25は、入力される誤差eから、切換面生成部24により生成された切換面に基づき等価制御項(u)を演算し加算器27に出力する。等価制御入力演算部25は、入力される誤差eから、切換面生成部24により生成された切換面に基づき切換制御項(uNL)を演算し加算器27に出力する。
加算器27は、等価制御項(u)および切換制御項(uNL)を加算することで、プラントモデル11に入力される制御入力を演算する。
上記の機能ブロックの演算によって、プラントモデル11の出力がプラントノミナルモデル12の出力に追従するように制御される。
次に、第1切換面を用いたスライディングモード制御について説明する。まず、2次曲線の軌道である楕円軌道と、状態量の2階微分(加速度)が最小になる軌道について、説明する。
あるプラントの状態を初期状態Oから目標状態Lまで,決められた時間tで制御することを考える。このとき、制御量が最小化された滑らかな目標軌道を躍度最小化軌道と呼ぶ(非特許文献:lash, T., Hogan, N.: The coordination of arm movements: An experimentally F confirmed mathematical model, Journal of Neuroscience, 5, 1688-1703, 1985を参照)。
プラントの状態量を目標値に追従させる制御(以下、目標追従制御とも称す)において、状態量をx(t)とし、初期位置0、経過時間t、到達時間tf、目標値Lとすると、躍度最小化軌道は、以下の式(1)で表される。
Figure 2015195009
式(1)で表す軌道の相平面上における軌跡を、図2aに示し、状態量(位置)、状態量の1階微分、2階微分および3階微分の時間的な推移を、図2bの(a)、(b)、(c)および(d)に示す。
図2aに示す相平面は、横軸を誤差(追従誤差)とし、縦軸を誤差の1階微分としており、状態量が右半平面に存在する場合を示している。以下の説明でも、状態量は相平面の右半平面に存在したとする。なお、状態量が相平面の左半平面に存在する場合も以下と同様に説明できる。
一方、楕円軌道は以下の式(2)で表される。
Figure 2015195009
Figure 2015195009
そして、式(1)を式(2)で近似した場合に、係数a、bは以下の式(3)で表せる。
Figure 2015195009
(式2)で表される楕円が、誤差の任意の初期状態(点P(e、e0_i)と原点O(0、0)を通る条件は以下の式(4)で表される。なお、点P及び原点Oは、相平面上の座標である。
Figure 2015195009
ただし、eは初期状態の状態量(位置)であり、e0_iは初期状態の状態量(e)の1階微分であり、e0_iiは初期状態の状態量(e)の2階微分である。
ここで、式(2)及び式(4)で示される楕円の導出過程について、図3を参照しつつ説明する。図3は、相平面上における楕円を示した座標である。相平面は、状態量(x)を横軸とし、状態量(x)の1階微分を縦軸としている。
楕円は、長軸又は短軸も何れか一方の軸をx軸と共有し、原点0と任意の点P(x、x0_i)を通り、さらに,点Pにおいて接線lをもった楕円Eとする。接線lの傾き(x_ii/x_i)は、状態量の2階微分の値を、状態量の1階微分で除算した値である。楕円Eは式(5)で表される。そして、楕円Eが図3に示す楕円となる。
Figure 2015195009
楕円曲線上の任意の点における接線ベクトルは式(6)で表せる。
Figure 2015195009
また,点Pで楕円Eに接する接線lは式(7)で与えられる.
Figure 2015195009
式(6)及び式(7)から式(8)が得られる。
Figure 2015195009
ここで、楕円を表す式(5)に点Pの座標を代入して式を変形すると式(8)の関係から(9)が得られる。
Figure 2015195009
式(9)の左辺と右辺でb=asとおいて(sは媒介変数を示す)、bを消去すると(式10)が得られる
Figure 2015195009
また式(9)の中辺と右辺に式(10)を代入すると式(11)が得られる。
Figure 2015195009
なお、相平面における楕円軌跡の因果性を満たすためには、時計回りに発展する必要がある。そして、楕円上に初期状態(点P)を持つとき、x>aの場合には、最大値の速度から最小値の速度に向かうため、加速度(x0_ii)は常に負となり、x<aの場合には、最小値の速度から最大値の速度に向かうため、加速度(x0_ii)は常に正となる。
上記の式(5)から式(11)で示されるように、相平面の座標において、原点Oを通り、長軸又は短軸のいずれか一方をx軸と共有する楕円(式2又は式5に相当)に対して、任意の初期状態(点P)が与えられれば、第1切換面を表す楕円Eが一意的に与えられることになる(言い換えると、式(2)又は式(5)の変数(a、b)が、点Pの座標((e、e0_i、e0_ii)又は(x、x0_i、x0_ii))から導出できるため、楕円Eを表す式が一意的に規定される)。
上記のように導出された楕円について、躍度最小化軌道と同様に、楕円軌道を相平面状に示すと図2aのようになり、状態量(位置)、状態量の1階微分、2階微分および3階微分の時間的な推移は、図2bのようになる。
すなわち、上記の式で示した楕円軌道は、躍度最小化軌道に近い軌道をとるため、制御量をできるだけ小さく滑らかな目標軌道をとることができる。躍度最小化軌道は、制御量を最小化した滑らかな目標軌道であるが、式(1)に示すように高次の演算処理を要してしまう。そのため、本実施形態のスライディングモード制御では、躍度最小化軌道を近似させた楕円関数で、切換面(第1切換面)を表している。これにより、少ない制御量で素早く状態量を収束させることができる。
さらに、式(2)を、三角関数で表すと式(12)が得られる。
Figure 2015195009
式(12)第1式を時間tで微分すると,式(12)第2式との関係から式(13)が得られる。
Figure 2015195009
楕円の長軸と短軸の交点を中心とし,横軸正方向をθ=0とおくと,初期状態(点P)の角度は式(14)で表せる.
Figure 2015195009
相平面上の任意の初期状態(点P)から楕円軌道に沿って時計回りで平衡点О(原点0)へ至るまでの収束時間は式(15)で表せる。
Figure 2015195009
これにより、SMC20は、スライディングモード制御において、状態量の初期状態(点P)を平衡値(平衡点O)まで収束させるまでの収束時間を演算できる。
次に、スライディングモード制御における制御入力(図1において、プラントモデル11への制御入力)を導出する。ここで実プラントが式(16)に示す2次系で表されるとする。
Figure 2015195009
ただし、α、βは、実モデルを表す係数である。uは制御入力である。
また,ノミナルモデルを式(17)とする。
Figure 2015195009
ただし、α、βは、ノミナルモデルを表す係数である。
式(16)のシステムに与える目標値xとおくと,誤差eは式(18)で表せる。
Figure 2015195009
楕円軌道で表される切換面σを式(19)のように定義する。
Figure 2015195009
また、Lyapunov関数Vを式(20)のように定義する。
Figure 2015195009
そして、式(21)を満たせば状態量が切換面(スライディング面)に拘束される事が保証される。
Figure 2015195009
は式(22)により表すことができる。
Figure 2015195009
式(21)に、式(17)、式(19)、式(22)を代入すると、式(23)が得られる。
Figure 2015195009
式(23)の左辺左側の括弧内の式は楕円の方程式であり,誤差の状態量(e、e_i)が楕円内側に存在するときには、左辺左側の括弧内の式は負の値をとる。一方、誤差の状態量(e、e_i)が楕円外側に存在するときには、左辺左側の括弧内の式は正の値をとる。そのため、式(23)が成立するためには、左辺右側の括弧内の式が左辺左側の括弧内の式の符号と逆の符号をとる必要がある。ゆえに、式(24)を満たしつつ、式(24)uを導出することで、制御入力が得られる。
Figure 2015195009
ただし、Kはゲインであり、sgnは符号関数である。
ここで、式(24)の第1項の波括弧内の項が等価制御項(u)であり、第2項の波括弧内の項が切換制御項(uNL)である。そして、図1を参照し、等価制御入力演算部25は、線型のフィードバック項として式(24)で表される等価制御項(u)を演算し、切換制御入力演算部16は、所定のゲイン(K)をもった非線形フィードバック項として式(24)で表される切換制御項(uNL)を演算する。また、等価制御項(u)及び切換制御項(uNL)に対して、目標値(r)が加算されることで、プラントモデル11への制御入力が演算される。これにより、スライディングモード制御における制御入力が導出される。
状態量(点P)が第1切換面で拘束された状態で、状態量が遷移点に到達するまでは、SMC20は、上記の制御手法により、スライディングモード制御を行っている。そして、状態量が遷移点に到達した後には、SMC20は切換面を第1切換面から第2切換面に遷移しつつ、第2切換面を用いてスライディングモード制御を行っている。
図4を用いて、切換面の遷移と、第2切換面に切り替わった後のスライディングモード制御について説明する。図4は、第1切換面におけるスライディングモード制御と、第2切換面におけるスライディングモード制御を、相平面上で示した概念図である。Eは楕円軌跡を示し、点Pは状態量の誤差の初期状態を示し、点Qは遷移点を示し、L及びLは1次関数の線型軌跡を示す。またLは、平衡点に収束する際の誤差状態量の軌跡を表している。領域Sは、第1切換面を用いてスライディングモード制御を行う領域を表している。なお平衡点は原点である。
誤差状態量の初期状態(点P)から平衡点Qに到達するまでは、誤差状態量は楕円軌跡の切換面上で拘束されつつ、楕円E上を移動する。そして、誤差状態量が平衡点Qに到達し、誤差状態量が領域S内に入った場合には、SMC20は切換面を第1切換面から第2切換面に遷移する。
第2切換面は、誤差状態量を示す点と原点とを通る1次関数(線形関数)で表される。SMC20の第2切換面生成部24bは、領域S内で、誤差状態量が平衡点に近づくにつれて、1次関数の傾きが小さくなるように、第2切換面を生成している。1次関数の傾きには、有限時間で誤差状態量を収束させるために、切換面の傾きには上限値および下限値が設定されている。そして、誤差状態量が平衡点に近づき、1次関数の傾きが下限値に達した場合には、第2切換面生成部24bは、傾きを下限値で固定する。
切換面を遷移させず、スライディングモード制御が楕円軌道の切換面で実行した場合には、誤差状態量は図4の楕円E上を移動する。楕円Eの軌跡では、誤差状態量が平衡点(原点)に近づくと傾きが大きくなるため、また状態量の躍度も多くなるため、制御の安定性が下がる。
一方、切換面の切り替えた場合には、誤差状態量は図4の軌跡L上を移動する。そのため、誤差状態量が平衡点(原点)に近づくと、傾きが徐々に小さくなり制御の安定性が高まる。
上記のような、第2切換面生成部24bにより演算される第2切換面の演算制御について説明する。切換面生成部24は、第1切換面生成部24aにより、第1切換面の2次曲線(楕円)を演算すると、予め設定されている領域Sと、楕円の軌跡から、遷移点Qを演算する。遷移点Qは、領域Sの境界線上で、楕円軌跡Eの到達点となる。遷移点Qを点(e、e1_i)とする。
第1切換面に沿って誤差状態量が平衡点に収束する場合、誤差状態量は、第1切換面を示す1次関数の傾きを時定数とする1次遅れの動特性(e(t))となり、以下の式(25)で表される。
Figure 2015195009
切換面の傾きを時間に応じて変化させた場合に、誤差状態量の動特性(e(t))は式(26)で表せる。
Figure 2015195009
βは第2切換面の傾きの変化速度である。
上記のように、SMC20は、スライディングモード制御を行う際の切換面を複数もっており、状態量が遷移点Qに到達した場合に切換面を遷移させる。楕円軌道は閉曲線である。そして、楕円軌道の切換面のみでスライディングモード制御を行い、状態量が平衡点にとどまらなかった場合には、状態量は周回軌道を描く。また、楕円軌道は閉曲線なので平衡点への収束時に、躍度が大きくなり、振動が融蓮される可能性がある。本実施形態では、複数の異なる切換面を条件に応じて楕円軌道をもつ切換面から他の軌道をもつ切換面に遷移させることができるため、状態量が平衡点にとどまり、システム安定化を実現できる
また、SMC20は、状態量が平衡点に近づくにつれて、第2切換面を表す1次関数の傾きを調整している。これにより、平衡点近傍の領域において、状態量が平衡点に滑らかに収束するため、平衡点近傍における躍度が抑えられ、振動を抑制できる。
次に、図5を用いて、SMC20によるスライディングモード制御の制御フローを説明する。
ステップS1にて、SMC20の誤差観測推定部22は、誤差状態量の初期状態の観測又は推定を行う。ステップS2にて、切換面生成部24は、第1切換面生成部24aにより第1切換面を生成し、スライディングモード制御における切換面を第1切換面に設定する。ステップS3にて、SMC20は、第1切換面に沿ったスライディングモード制御を行うために、等価制御入力演算部25及び切換制御入力演算部26により等価制御項(u)及び切換制御項(uNL)を演算し、加算することで、プラントへの制御入力を演算しプラントに出力する。
ステップS4にて、誤差観測推定部22は現在の誤差状態量を観測及び推定を行い、制御領域判定部23は、現在の誤差状態量が領域S(切換面を遷移させるための領域)内にあるか否かを判定する。現在の誤差状態量が領域S外である場合には、ステップS3に戻る。
現在の誤差状態量が領域S内である場合には、ステップS5にて、切換面生成部24は、第2切換面生成部24bにより、現在の誤差状態量から第2切換面を生成し、スライディングモード制御における切換面を第2切換面に設定する。
ステップS6にて、誤差観測推定部22は現在の誤差状態量を観測及び推定を行い、制御領域判定部23は、現在の誤差状態量が領域S内にあるか否かを判定する。現在の誤差状態量が領域S外である場合には、ステップS3に戻る。すなわち、大きな外乱等が加わり、誤差状態量が領域S外となった場合には、再度、第1切換面の生成を行い、2次曲線を切換面としたスライディングモード制御が実行される。
一方、現在の誤差状態量が領域S内にある場合には、SMC20は、第2切換面を表す1次関数の傾きを調整しつつ、第2切換面に沿ったスライディングモード制御を行う(ステップS7)。ステップS8にて、SMC20は、現在の誤差状態量が平衡点に収束したか否かを判定する。現在の誤差状態量が平衡点に収束していない場合にはステップS6に戻り、現在の誤差状態量が平衡点に収束した場合には、SMC20によるスライディングモード制御の制御フローが終了する。
上記のように、本実施形態に係る制御装置は、相平面において、状態量の初期状態を示す点P及び平衡値を示す原点を通り、かつ、点Pで接線をもった2次曲線の軌跡で、相平面上に表される切換面を演算し、当該切換面に沿ったスライディングモード制御を実行する。これにより、外乱やモデル化誤差等の不確かさの影響を受けにくくなり、ロバスト性の高い制御方法及び制御装置を実現できる。
ところで、特許文献1に示したような従来の制御手法では、以下に掲げる問題があった。以下、図6を用いて、従来の制御手法による問題を説明する。図6は、従来の制御手法において、状態量が平衡点に収束する際の状態を示した概念図であって、相平面の座標で表している。
従来の制御手法は、到達モードとスライディングモードとの二つのモードで制御を行っている。到達モードは、切換面から離れた位置にある初期値e(0)を切換面に拘束させる制御モードである。初期値e(0)は誤差状態量の初期状態を示す値である。スライディングモードは、誤差状態量が平衡点を通る一次関数(e_i=−ae)の切換面で拘束された状態で、誤差状態量を平衡点に収束させる制御モードである。ただし、aは傾きであって、a>0とする。
まず到達モードは、外乱等の不確かさの影響を受けやすい制御モードであるため、ロバスト性が低くなる。また、相平面において、初期値は制御対象物の状態により様々な位置にあるため、初期値と切換面との間の距離は制御対象物の状態に応じて変化し、不確かさの影響も受けるため、初期状態が切換面に拘束されるまでの時間をコントローラ側で把握することができない。そのため、コントローラは制御対象物の制御タイミングを把握できない。
さらに到達モードは、システムのダイナミクスに関係なく状態量を強制的に線形関数の切換面上に拘束するように,過大な制御量を必要とする。そして、このような制御系における切換制御入力は、非常にハイゲインな非線形特性を持つフィードバック項になる。そして、スライディングモードは、非線型特性のハイゲインと、システムが持つ遅れ要素の影響を受けるため、チャタリングと呼ばれる高周波振動現象が生じてしまう。
本実施形態では、上記のように、状態量の初期状態から平衡点までの全過程で、スライディングモード制御を確立させているため、到達モードが発生しない。そのため、外乱やモデル化誤差の影響を受けにくい制御則が実現でき、ロバスト性が高まる。また、マッチング条件と呼ばれる、不確かさが制御入力チャネルで表せる条件を満たす場合には,不確かさの影響を無効化できる。
また本実施形態では、相平面において、状態量は初期状態から平衡点に収束するまで、切換面上に沿って移動するため、平衡点に収束するまでの収束時間も演算できる(式15を参照)。幾何的解析により初期状態から平衡状態に至るまでの収束時間の解析解が得られるので、容易に制御性能を見積もることもできる。
さらに、本実施形態では、スライディングモード制御中に、到達モードのようなハイゲインの影響や、システムの遅れ要素の影響も抑制されるため、チャタリングも抑制できる。
上記従来の制御手法を比較例とし、本発明及び比較例のシミュレーション結果を説明する。シミュレーションでは、正弦波上の目標指令値(目標値)に対して、本発明のスライディングモード制御を行ったときのプラントの状態量及び誤差状態量の状態と、比較例の制御を行ったときのプラントの状態量及び誤差状態量の状態量を測定した。
それぞれのシミュレーション結果を図7〜9に示す。図7は、プラントの状態量に関するシミュレーション結果であって、(a)は状態量(x)の時間的推移を示し、(b)は状態量の1階微分(x_i)の時間的推移を示し、(c)は制御入力(u)の時間的推移を示している。また、図8は、プラントの誤差状態量に関するシミュレーション結果であって、(a)は誤差状態量(e)の時間的推移を示し、(b)は誤差状態量の1階微分(e_i)の時間的推移を示し、(c)は制御入力(u)の時間的推移を示している。なお、図8の理想値は、プラントの理想モデルで動作したときの特性である。図9は、誤差状態量が平衡点に収束するまでの誤差状態量の実際の軌跡を、相平面で表した座標である。
図7(a)、(b)及び図8(a)、(b)に示すように、比較例は、時間(0.25秒)になるまで、状態量及び誤差状態量が、目標指令値と一致せずに推移した。一方、本発明では、時間(約0.07秒)の時点で、状態量及び誤差状態量が目標指令値と一致した。すなわち、本発明の収束時間は、比較例と比べて1/3以下に減少した。
また、図7(c)、図8(c)及び図9に示すように、比較例では大きな振動であるチャタリングが発生した。一方、本発明では、比較例のようなチャタリングが発生していない。
これにより、本発明は、切換面を、滑らかな最適軌道である躍度最小化軌道に準じた軌道としているため、比較例の制御手法と比べて、少ない制御量で素早く状態量を収束させることができる。さらに、本発明はチャタリングも抑制できる。
次に、本実施形態に係る制御システム又は制御方法を、自動運転の舵角制御に適用した場合を例にとって説明する。自動運転の舵角制御は、例えば、電気自動車の非接触充電において、所定の駐車スペースに車両を駐車させる際に行われる。非接触充電では、地上側給電コイルと車両側受電コイルとの間の位置ずれは、地上から車両へのエネルギー伝達効率に大きく影響する。そのため、非接触充電では、車両の正確な位置決めが求められる。
図10に、舵角制御システムのブロック図を示す。舵角制御システムは、目標軌道算出部101と、SMC(スライドモード制御)制御部102と、アクチュエータ駆動部103と、アクチュエータ104と、車両105と、状態観測部106と、車両位置推定部107とを備えている。なお、図10では、車両105と、他のシステムブロックとを分けて図示しているが、目標軌道算出部101等は車両に設けられている。
目標軌道算出部101は、車両105の現地値から目標となる駐車位置までの目標軌道を算出する。SMC制御部102は、目標軌道算出部101で算出された目標軌道と、車両位置推定部107で推定される車両105の位置(実際の車両位置)から、車両位置を目標軌道に追随するように、スライディングモード制御を行い、制御信号を生成する。
アクチュエータ駆動部103は、SMC制御部102で生成された制御信号を受けて、アクチュエータ104を駆動させる。アクチュエータ104はステアリング機構に対して動力を与える装置である。アクチュエータ104が駆動すると、車両105の舵角が制御される。
状態観測部106は、舵角センサ及び車輪速パルスを用いて、車両の状態を観測する。車両位置推定部107は、状態観測部106の観測値を用いて、車両の現在の位置を推定する。そして、車両位置推定部107で推定された車両位置はSMC制御部102にフィードバックされて、SMC制御部102は、目標軌道に対応する目標値と現在の車両位置との差を誤差状態量として演算し、当該誤差状態量に基づいてスライディングモード制御を行う。
図11を用いて、本実施形態に係る上記の舵角制御システムに適用した場合の舵角の時間的推移を、従来の制御手法と比較しつつ説明する。図11は、舵角の目標指令値の時間的推移、本発明の舵角の時間的推移、比較例1の舵角の時間的推移、及び比較例2の舵角の時間的推移をそれぞれ示したグラフである。図11の横軸は時間(t)であり、縦軸は舵角(θ)である。比較例1は切換面を線形関数としたスライディングモード制御(特許文献1を参照)を、舵角制御システムに適用している。比較例2では、例えばPID制御などの線形状態のフィードバック制御を、舵角制御システムに適用している。
そして、図11に示すように、舵角の目標指令値に対して、ある時刻(t)に路面段差のような外乱が与えられたとする。比較例2では、外乱の影響が長い時間続いている。比較例1では、外乱によって生じた誤差の収束の特性が、到達モード後の切換面(線形関数)の傾きに応じた1次遅れとなり、誤差の収束に時間がかっている。一方、本発明は、誤差の収束時間が比較例1、2よりも大幅に短縮されている。さらに、本発明は、誤差収束応答波形および誤差収束時間を算出できるので、誤差応答に応じた補正を行うこともできる。
なお本発明において、切換面を遷移させる領域は、図4の領域Sに示したように楕円を用いてもよく、円を用いてもよい。また第2切換面は必ずしも1次関数である必要はなく、例えば、原点を通る縦軸に対して線対称な楕円を用いてもよく,線形切換面を用いてもよい。また、第1切換面を表す1次関数の傾きは、誤差状態量と平衡点との間の距離に応じて調整してもよい。
なお本実施形態では、相平面上における状態量の位置に応じて、第1切換面と第2切換面との間で、切換面を切り替えたが、第1切換面を用いたスライディング制御を、状態量が平衡点に収束するまで行ってもよい。
上記の切換面生成部24が本発明の「生成器」に相当し、等価制御入力演算部25、切換制御入力演算部26、及び加算器27が本発明の「演算器」に相当する。
《第2実施形態》
本発明の他の実施形態に係るスライディングモード制御装置及び制御方法を説明する。本実施形態では、上述した第1実施形態に対して、レムニスケートの軌跡で表される切換面、楕円の軌跡で表される切換面、及び1次関数の軌跡で表される切換面が選択可能であって、選択された切換面に基づきスライディング制御を行う点が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであり、その記載を援用する。
図12は、他の実施形態に係るスライディング制御装置のブロック図である。切換面生成部24は、第3切換面生成部24c、第4切換面生成部24d、第5切換面生成部24eを有している。なお、SMC20に含まれる他の構成は、第1実施形態と同様であり、プラント11及びプラントノミナルモデル12も、第1実施形態と同様である。
第3切換面生成部24cは、相平面上で、誤差eの初期状態を示す点から遷移点まで、誤差を到達させる第3切換面を演算する。第3切換面は、レムニスケート曲線の軌跡で表される切換面である。第3切換面の軌跡であるレムニスケート曲線は、躍度最小化軌道を近似させた4次関数であり、以下の導出式によって導出できる。
第3切換面の軌跡を表すレムニスケート曲線は、相平面上で、状態量の初期状態を示す点P及び平衡点を示す原点を通り、点Pで傾き(x_ii/x_i)の接線をもつ4次曲線である。なお、レムニスケート曲線は、以下で表される4次曲線の平方根をとることで、状態量の初期状態を示す点P及び平衡点を示す原点を通り、かつ、点Pで接線をもった2次曲線ともいえる。
図13は、レムニスケート曲線を示す相平面の座標系である。相平面は、横軸(x軸)を状態量とし、縦軸(y軸)を状態量の1階微分としており、状態量が右半平面に存在する場合を示している。以下の説明でも、状態量は相平面の右半平面に存在したとする。レムニスケート曲線の直線lは、レムニスケート曲線の点Pにおける接線である。なお、状態量が相平面の左半平面に存在する場合も以下と同様に説明できる。
レムニスケート曲線は、極座標形式の方程式である下記式(27)で表され、図13に示すドーナツ状のトーラス体を輪切りにすることで得られる曲線である。図13は、トーラス体を示した座標系である。なお、図13に示すトーラス体は、下記(27)において、a=1とした場合のグラフである。
Figure 2015195009
式(27)で示す曲線を、直交座標系で表すと下記式(28)で表される。
Figure 2015195009
直交座標系で表されるレムニスケート曲線を、x軸にa倍し、y軸にb倍することで拡大させると、下記式(29)が得られる。なお、式(28)と式(29)との関係は、円の方程式と、円の方程式を縦軸と横軸にそれぞれ倍することで得られる楕円の方程式の関係と同様である。
Figure 2015195009
ここで式(29)の両辺をxで微分すると、下記式(30)が得られる。
Figure 2015195009
図13に示す相平面は、位置(x)を横軸とし、速度(x_i)を縦軸とすると、質点系の運動を表す平面となる。以下、当該平面上において、レムニスケート曲線の軌跡(トラジェクトリー)を考える。
曲線上の任意の点における接線の傾きは式(31)で表される。
Figure 2015195009
x>0、x_i>0、x_ii<0の場合を仮定して第1象限について考える。なお、レムニスケート曲線は、x軸及びy軸に対して線対称な図形であるため、第2象限、第3象限及び第4象限についても、同様に証明できる。
図13に示すように、第1象限内の点P(x、x_i)を通るレムニスケート曲線は下記式(32)で表される。
Figure 2015195009
点Pにおける曲線の接線lの傾きは、式(30)及び式(31)より、式(33)で表される。なお、下記式以降、点Pは初期状態として(x、x0_i)としている。
Figure 2015195009
式(32)を変形することで式(34)が得られる。
Figure 2015195009
式(34)を式(33)に代入することで、式(35)が得られる。
Figure 2015195009
ここで、b=asと置き、式(35)を変形すると、式(36)が得られる。
Figure 2015195009
また、s=Tと置き、2次方程式の解の公式を適用することで、式(37)が得られる。
Figure 2015195009
さらに、レムニスケート曲線は、原点における接線の傾きが±1となる。そのため、x軸及びy軸にそれぞれa倍及びb倍したレムニスケート曲線において、原点を通る接線の傾き(s)は、s=b/aで表される。なお、原点近傍の傾きは、プラントモデル11の減衰係数(ζ)と角周波数(ω)を用いて、s=−(2ζ/ω)と表すこともできる。そして、式(37)と接線の傾きの関係から下記式(38)及び式(39)が得られる。
Figure 2015195009
Figure 2015195009
上記のような関係式によって、状態量の初期状態を示す点P及び平衡点を示す原点を通り、点Pで傾き(x_ii/x_i)の接線をもつ4次曲線の軌跡として、レムニスケート曲線の軌跡が導出できる。
第4切換面生成部24dは、相平面上で、誤差eの初期状態を示す点から遷移点まで、誤差を到達させる第4切換面を演算する。第4切換面は、楕円曲線の軌跡で表される切換面である。第4切換面生成部24dにおける切換面の生成方法は、第1実施形態と同様である。
第5切換面生成部24eは、線形の軌跡で表される第5切換面を生成する。第5切換面は、相平面上で、平衡点を通る1次関数で表される切換面である。
切換面生成部24は、ノミナルプラントの動特性に応じて、第3切換面、第4切換面及び第5切換面の中から、スライディングモード制御に用いる切換面を選択する。切換面の選択方法は、後述する。
等価制御入力演算部25及び切換制御入力演算部26は、選択された切換面に応じて、等価制御入力(u)及び切換制御入力(uNL)を演算する。第4切換面が選択された場合の、等価制御入力演算部25及び切換制御入力演算部26の演算方法は、第1実施形態と同様である。
第3切換面が選択された場合には、等価制御入力演算部25及び切換制御入力演算部26は、以下に説明する導出式に基づいて、等価制御入力(u)及び切換制御入力(uNL)を演算している。
実プラント、ノミナルモデル及び誤差eが、第1実施形態で示した式(16)〜式(18)でそれぞれ表すことができ、レムニスケート曲線の軌跡で表される第3切換面σを、下記式(40)で定義する。
Figure 2015195009
そして、切換面σの1階微分値(σ_i)は下記式(41)で表される。
Figure 2015195009
そして、第1実施形態で示した式(21)の条件を満たす場合に、状態量が切換面(スライディング面)に拘束される事が保証される。式(21)に、式(40)及び式(41)を代入すると、式(42)が得られる。
Figure 2015195009
式(42)の左辺左側の括弧内の式はレムニスケート曲線の方程式であり,誤差の状態量(e、e_i)がレムニスケートの閉曲線の内側に存在するときには、左辺左側の括弧内の式は負の値をとる。一方、誤差の状態量(e、e_i)がレムニスケートの閉曲線の外側に存在するときには、左辺左側の括弧内の式は正の値をとる。そのため、式(42)が成立するためには、左辺右側の括弧内の式が左辺左側の括弧内の式の符号と逆の符号をとる必要がある。ゆえに、Lyapunov関数で示される条件を満たしつつ、式(42)からuを導出することで、制御入力が得られる。
Figure 2015195009
ただし、Kはゲインであり、sgnは符号関数である。
ここで、式(43)の符号関数を含む項の波括弧内の項が切換制御項(uNL)であり、その他の項が等価制御項(u)である。そして、等価制御入力演算部25は、線型のフィードバック項として式(43)で表される等価制御項(u)を演算し、切換制御入力演算部26は、所定のゲイン(K)をもった非線形フィードバック項として式(43)で表される切換制御項(uNL)を演算する。
次に、切換面生成部24における切換面の選択方法について、説明する。切換面生成部24は、切換面を選択する際に指標となるノミナルプラントの動特性として、制御対象モデルの減衰係数を用いている。また、切換ゲイン(K)、エネルギー消費量は、プラントモデル11の減衰係数に対する依存性をもっている。そのため、切換面生成部24は、減衰係数に対する切換ゲイン、又は、減衰係数に対するエネルギー消費量を抑制できるように、減衰係数に応じて切換面を選択している。
図15及び図16に、プラント11の減衰係数に対する切換ゲイン(K)の特性、及び、エネルギー消費量の特性を示す。図15は切換ゲイン(K)の特性を示すグラフであり、図16はエネルギー消費量の特性を示すグラフである。図15及び図16において、「レムニスケート」は、切換面の軌跡をレムニスケート曲線とし、当該切換面に基づき制御を行った場合の特性を示す。「楕円」は、切換面の軌跡を楕円曲線とし、当該切換面に基づき制御を行った場合の特性を示す。「線形」は、切換面の軌跡を一次関数とし、当該切換面に基づき制御を行った場合の特性を示す。
図15に示すように、減衰係数が2以下である場合には、「線形」のときのゲイン(K)が最も高く、「レムニスケート」及び「楕円」のゲインは低い。そのため、減衰係数が2以下である場合であって、ゲイン(K)を抑えたい場合には、切換面生成部24は第3切換面又は第4切換面のいずれか一方を、スライディング制御の切換面として選択する。また、モデルの伝達系がアンダーダンピング特性(例えば減衰係数が1以下の場合)をもつ場合には、「線形」のときのゲイン(K)が、「レムニスケート」及び「楕円」比べて、顕著に高くなっている。そのため、プラントモデル11がアンダーダンピング特性をもつ場合には、切換面生成部24は、第5切換面を選択しないようにする。
減衰係数が2より大きく4未満である場合には、「レムニスケート」のゲインが最も高い。また、「線形」のゲインは、減衰係数の2から4までの範囲内のうち、大半の範囲(減衰係数が約2.5以上の範囲)で、「レムニスケート」及び「楕円」より低くなっている。そのため、減衰係数が2より大きく4未満である場合であって、ゲイン(K)を抑えることを最優先する場合には、切換面生成部24は、第5切換面を選択する。なお、「レムニスケート」及び「楕円」のゲインも、極端には高くなっていないため、切換面生成部24は、第3切換面又は第4切換面を選択してもよい。
減衰係数が4以上である場合には、「レムニスケート」及び「楕円」のゲインが、「線形」のゲインよりも高い。そのため、減衰係数が2より大きく4未満である場合であって、ゲイン(K)を抑えることを最優先する場合には、切換面生成部24は、第5切換面を選択する。
図16に示すように、減衰係数が2以下である場合には、「線形」のエネルギー消費量が最も高く、「レムニスケート」及び「楕円」のエネルギー消費量は低い。そのため、減衰係数が2以下である場合であって、エネルギー消費量を抑えたい場合には、切換面生成部24は第3切換面又は第4切換面のいずれか一方を、スライディング制御の切換面として選択する。また、モデルの伝達系がアンダーダンピング特性をもつ場合には、「線形」のときのゲイン(K)が、「レムニスケート」及び「楕円」比べて、顕著に高くなっている。そのため、プラントモデル11がアンダーダンピング特性をもつ場合には、切換面生成部24は、第5切換面を選択しないようにする。
減衰係数が2より大きく4未満である場合には、「レムニスケート」のエネルギー消費量が、減衰係数の2から4までの範囲内のうち、大半の範囲(減衰係数が約3.3未満の範囲)で、「楕円」及び「線形」より低くなっている。そのため、減衰係数が2より大きく4未満である場合であって、エネルギー消費量を抑えることを最優先する場合には、切換面生成部24は、第3切換面を選択する。
減衰係数が4以上である場合には、「線形」のエネルギー消費量が最も低く、「レムニスケート」及び「楕円」のエネルギー消費量は高い。そのため、減衰係数が4以上である場合であって、エネルギー消費量を抑えたい場合には、切換面生成部24は第5切換面を、スライディング制御の切換面として選択する。また、「レムニスケート」及び「楕円」のエネルギー消費量は、減衰係数が4を超えると、さらに大きくなるため、切換面生成部24は、第3切換面及び第4切換面を選択しないようにする。
また、切換面生成部24は、以下に説明するように、即応性を高めるように、減衰係数に応じて切換面を選択してもよい。即応性は、状態量が平衡点に収束するまでの時間に相当し、収束するまでの時間が短いほど、即応性が高いことになる。
図17を参照しつつ、状態量が平衡点に収束する際の、状態量の速度(e_i又はx_i)について説明する。図17は、レムニスケート曲線、楕円及び線形をそれぞれ示した相平面の座標系である。相平面は、横軸(x軸)を誤差状態量とし、縦軸(y軸)を誤差状態量の1階微分とする。点Pは初期状態の誤差状態量を示す。グラフ「レムニスケート曲線」は、切換面をレムニスケート曲線とした場合に、初期状態から平衡点まで収束するまでの軌跡を表している。また、グラフ「楕円」は、切換面を楕円とした場合の軌跡を示し、「線形」は、切換面を直線とした場合の軌跡を示す。また、減衰係数(ζ)を0.4、0.6、1.0、及び2.0としつつ、レムニスケート曲線の切換面に基づきスライディング制御を行った場合であって、初期状態から平衡点に収束するまでの軌跡を示す。
図17に示すように、減衰係数が小さい場合(例えばζが1.0未満の場合)、すなわち、モデルがアンダーダンピング特性をもつ2次遅れ系である場合には、状態量は、楕円又はレムニスケート曲線の軌跡に近い軌道で、平衡点に収束する。一方、減衰係数が大きい場合(例えばζが1.0以上の場合)、すなわち、モデルがオーバーダンピング特性をもつ2次遅れ系である場合には、相平面上の原点近傍において、状態量は1次遅れ系の挙動に近づく。
図17において、状態量の速度は、平衡点の収束する際の速度と対応している。「レムニスケート」、「楕円」、及び「線形」のうち、状態量の速度が最も大きい切換面は、「楕円」である。そのため、切換面生成部24は、即応性を最優先する場合には、第4切換面を選択する。なお、即応性については、切換面の軌跡が「レムニスケート」又は「線形」であっても、十分な即応性を期待できるため、切換面生成部24は、第4切換面に限らず、第3切換面又は第5切換面を選択してもよい。
上記のように、切換面生成部24は、切換ゲインが低くなるように、エネルギー消費量が低くなるように、又は、即応性が高くなるように、第3切換面、第4切換面及び第5切換面の中から、スライディング制御の切換面を選択している。
図18に、減衰係数、特徴、及び切換面の関係を示す。特徴は、エネルギー消費量、切換えゲイン、及び、即応性である。図18において、「◎」、「○」及び「△」は選択可能な切換面であり、「◎」が最も選択に適しており、「○」、「△」の順で選択に適していることを示す。「×」は選択不可である。なお、本実施形態の説明では、「×」を選択不可としているが、実際のモデルに応じて、「×」に対応する選択面が選択されてもよい。
切換面生成部24は、切換ゲインが最も小さくなるように切換面を選択する際には、次のように選択する。減衰係数が2以下である場合には、切換面生成部24は、第3切換面又は第4切換面のいずれか一方を選択する。減衰係数が2より大きく4未満である場合には、切換面生成部24は、第5切換面を選択する。減衰係数が4以上である場合には、切換面生成部24は、第5切換面を選択する。
切換面生成部24は、エネルギー消費量が最も小さくなるように切換面を選択する際には、次のように選択する。減衰係数が2以下である場合には、切換面生成部24は、第3切換面又は第4切換面のいずれか一方を選択する。減衰係数が2より大きく4未満である場合には、切換面生成部24は、第3切換面を選択する。減衰係数が4以上である場合には、切換面生成部24は、第5切換面を選択する。
切換面生成部24は、即応性が最も大きくなるように切換面を選択する際には、切換面生成部24は、第4切換面を選択する。
次に、図19を用いて、SMC20によるスライディングモード制御の制御フローを説明する。
ステップS21にて、SMC20の誤差観測推定部22は、誤差状態量の初期状態の観測又は推定を行う。ステップS22にて、切換面生成部24は、第3切換面生成部24c、第4切換面生成部24d、第5切換面生成部24eにより第3切換面、第4切換面及び第5切換面を生成する。
ステップS23にて、切換面生成部24は、プラントモデル11の減衰係数に応じて、第3切換面、第4切換面及び第5切換面の中から、スライディングモード制御に用いる切換面を選択する。例えば、切換面生成部24は、エネルギー消費量が最も小さくなるように、切換面を選択する。
ステップS24にて、SMC20は、選択された切換面に沿ったスライディングモード制御を行う。ステップS25にて、SMC20は、現在の誤差状態量が平衡点に収束したか否かを判定する。現在の誤差状態量が平衡点に収束していない場合にはステップS24に戻り、現在の誤差状態量が平衡点に収束した場合には、SMC20によるスライディングモード制御の制御フローが終了する。
上記のように、本実施形態では、第3切換面、第4切換面、及び第5切換面の中から、スライディング制御に用いる切換面を選択する。これにより、スライディング制御を行う際に、モデルの特性に応じた最適な切換面を選択することができる。
また本実施形態では、スライディングモード制御により制御対象物を制御する際に消費されるエネルギーが最も小さくなるように、ノミナルプラントの動特性に応じて、第3切換面、第4切換面及び第5切換面の中から選択し、スライディング制御に用いる切換面を選択する。これにより、エネルギー消費量を低減できる。
また本実施形態では、切換制御ゲインが最も小さくなるように、ノミナルプラントの動特性に応じて、第3切換面、第4切換面及び第5切換面の中から選択し、スライディング制御に用いる切換面を選択する。これにより、ゲインを抑制できる。
また本実施形態では、状態量が平衡点に収束するまでの時間が最も短くなるように。ノミナルプラントの動特性に応じて、第3切換面、第4切換面及び第5切換面の中から選択し、スライディング制御に用いる切換面を選択する。これにより、即応性を高めることができる。
なお、本実施形態の変形例として、切換面生成部24は、エネルギー消費量、スライディングモード制御における切換制御ゲイン、及び即応性が最適化するように、ノミナルプラントの動特性に応じて、第3切換面、第4切換面及び第5切換面の中から選択し、スライディング制御に用いる切換面を選択してもよい。
図16又は図17に示すように、例えば、減衰係数が2より大きく4未満である場合に、「楕円」又は「線形」を選択すると、エネルギー消費量が高くなってしまう。一方、「レムニスケート曲線」を選択すると、切換ゲインは「線形」よりも高くなっているが、「線形」と比較した場合に、切換ゲインの増加幅は小さい。また「レムニスケート曲線」を選択すると、即応性は「楕円」より少し悪くなる程度である。そして、「レムニスケート曲線」を選択すると、エネルギー消費量が、「楕円」及び「線形」と比較して、大きく減少できる。そのため、変形例では、減衰係数が2より大きく4未満である場合には、「レムニスケート」を選択する。
また、減衰係数が2以下である場合には、楕円を選択すると、切換ゲイン、エネルギー消費量、及び即応性で最適な結果を得ることができる。そのため、減衰係数が2以下である場合には、「楕円」を選択する。
また、減衰係数が4以上である場合には、「レムニスケート」又は「楕円」を選択すると、エネルギー消費量が「線形」と比較して顕著に高くなり、また切換ゲインも高くなる。そのため、減衰係数が4以上である場合には、「線形」を選択する。これにより、エネルギー消費量を抑え、低い切換ゲインでスライディング制御を行うことができ、即応性も確保できる。
《第3実施形態》
本発明の他の実施形態に係るスライディングモード制御装置及び制御方法を説明する。本実施形態では、上述した第1実施形態に対して、第2切換面を表す軌跡を、レムニスケート曲線とした点が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであり、第1実施形態の記載又は第2実施形態の記載を適宜、援用する。
SMC20は、状態量(点P)が所定の領域外である場合には、第1切換面に基づいて、スライディング制御を行い、状態量(点P)が所定の領域内である場合には、第2切換面に基づいて、スライディング制御を行う。第1切換面は、2次曲線であるレムニスケート曲線の軌跡によって表される切換面である。第1切換面を用いたスライディング制御は、第2実施形態において、第3切換面を用いたスライディング制御と同様である。レムニスケート曲線の軌跡の導出方法、及び、スライディング制御を行う際の制御入力の演算方法等については、第2実施形態と同様である。
図20を用いて、切換面の遷移と、第2切換面に切り替わった後のスライディングモード制御について説明する。図20は、第1切換面におけるスライディングモード制御と、第2切換面におけるスライディングモード制御を、相平面上で示した概念図である。縦軸を状態量の誤差(e)とし、縦軸を誤差の1階微分値(e_i)とする。Eはレムニスケート曲線の軌跡を示し、点Pは状態量の誤差の初期状態を示し、点Qは遷移点を示し、Lは1次関数の線型軌跡を示す。領域Sは、第2切換面を用いてスライディングモード制御を行う領域を表しており、上記の所定の領域に相当する。なお平衡点は原点である。
領域Sは、平衡点を中心点とした楕円で表される。また領域Sは、下記式(44)で表される。
Figure 2015195009
qは所定の係数である。遷移点Qは、レムニスケート曲線Eと領域Sを示す楕円との交点である。
誤差状態量の初期状態(点P)から遷移点Qに到達するまでは、誤差状態量はレムニスケート曲線の軌跡で表される切換面上で拘束されつつ、レムニスケート曲線E上を移動する。そして、誤差状態量が平衡点に到達し、誤差状態量が領域S内に入った場合には、SMC20は切換面を第1切換面から第2切換面に遷移する。
第2切換面は、誤差状態量を示す点と原点を通る1次関数(線形関数)で表される。また第2切換面を示す1次関数の傾きは、s=b/aで表される。すなわち、第2切換面の傾きは、レムニスケート曲線の原点を通る接線の傾きとなる。そして、領域S内で、直線Lで表される切換面上で拘束されつつ、直線L上を移動する。
上記のように、SMC20は、レムニスケート曲線の軌跡で表される切換面を用いて、スライディング制御を行う。これにより、制御対象のモデルがオーバーダンピング特性をもつ場合には、レムニスケート曲線の軌跡で表される切換面によりスライディング制御を行うことで、エネルギー消費量を抑制しつつ、ロバスト性の高い制御を実現できる。
11…プラント
12…プラントノミナルモデル
20…スライディングモードコントローラ(SMC)
21…減算器
22…誤差観測推定部
23…制御領域判定部
24…切換面生成部
25…等価制御入力演算部
26…切換制御入力演算部
27…加算器

Claims (12)

  1. 制御対象物の状態を示す状態量を相平面上で表される切換面に拘束された状態で、前記制御対象物の目標値に対応する前記相平面上の平衡点に、前記状態量を収束させることで、前記制御対象物を制御するスライディングモード制御による制御方法において、
    前記切換面を生成するステップと、
    前記状態量及び前記目標値から前記スライディングモード制御の等価制御入力を演算するステップと、
    前記状態量及び前記目標値から前記スライディングモード制御の切換制御入力を演算するステップと、
    前記等価制御入力と前記切換制御入力とを加算した値を前記制御対象物への制御入力として演算するステップとを含み、
    前記相平面は、前記状態量及び前記状態量の1階微分値をそれぞれ軸とした平面であり、
    前記切換面は、前記状態量の初期状態を示す点P及び前記平衡点を示す原点を通り、かつ、前記点Pで接線をもった2次曲線の軌跡で表される
    ことを特徴とするスライディングモード制御方法。
    ただし、前記点Pは前記状態量と前記状態量の1階微分値で表され、前記接線の傾きは前記状態量の2階微分値を前記状態量の1階微分値で除算した値とする。
  2. 請求項1記載のスライディングモード制御方法において、
    前記2次曲線は、躍度最小化軌道を近似させた楕円関数で表される
    ことを特徴とするスライディングモード制御方法。
  3. 請求項1又は2記載のスライディングモード制御方法において、
    前記状態量が前記平衡点を含む所定の領域内にあるか否かを判定し、その判定結果に基づいて、第1切換面と第2切換面のいずれか一方に切り換えるステップを含み、
    前記切換面は前記第1切換面及び前記第2切換面を含み、
    前記第1切換面は、前記2次曲線で表され、
    前記第2切換面は、前記平衡点を通り前記第1切換面とは異なる関数で表され、かつ、前記所定の領域内で前記状態量を前記平衡点に収束させる切換面である
    ことを特徴とするスライディングモード制御方法。
  4. 請求項3に記載のスライディングモード制御方法において、
    前記第2切換面は前記平衡点を通る1次関数で表され、
    前記1次関数の傾きは、前記状態量と前記平衡点との距離、又は、前記状態量が前記平衡点に収束する収束時間に応じて調整される
    ことを特徴とするスライディングモード制御方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のスライディング制御方法において、
    前記1階微分値及び前記2階微分値は、前記状態量から推定された高次微分項の推定値である
    ことを特徴とするスライディングモード制御手法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のスライディングモード制御方法において、
    前記2次曲線は、レムニスケート及び楕円のうちいずれか一方の曲線である
    ことを特徴とするスライディングモード制御方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のスライディングモード制御方法において、
    前記切換面に含まれる第3切換面、第4切換面及び第5切換面の中から、前記スライディングモード制御に用いる切換面を選択するステップを含み、
    前記第3切換面は、前記2次曲線を楕円の曲線とした軌跡で表され、
    前記第4切換面は、前記2次曲線をレムニスケートとした軌跡で表され、
    前記第5切換面は、前記平衡点を通る1次関数で表される
    ことを特徴とするスライディングモード制御方法。
  8. 請求項7記載のスライディングモード制御方法において、
    前記切換面を選択するステップは、
    前記スライディングモード制御により制御対象物を制御する際に消費されるエネルギーが最も小さくなるように、ノミナルプラントの動特性に応じて、前記第3切換面、前記第4切換面及び前記第5切換面の中から選択し、
    前記ノミナルプラントは、前記制御対象物の物理モデルの代表モデルである
    ことを特徴とするスライディングモード制御方法。
  9. 請求項7記載のスライディングモード制御方法において、
    前記切換面を選択するステップは、
    前記スライディングモード制御における切換制御ゲインが最も小さくなるように、ノミナルプラントの動特性に応じて、前記第3切換面、前記第4切換面及び前記第5切換面の中から選択し、
    前記ノミナルプラントは、前記制御対象物の物理モデルの代表モデルである
    ことを特徴とするスライディングモード制御方法。
  10. 請求項7記載のスライディングモード制御方法において、
    前記切換面を選択するステップは、
    前記状態量が前記平衡点に収束するまでの時間が最も短くなるように、ノミナルプラントの動特性に応じて、前記第3切換面、前記第4切換面及び前記第5切換面の中から選択し、
    前記ノミナルプラントは、前記制御対象物の物理モデルの代表モデルである
    ことを特徴とするスライディングモード制御方法。
  11. 請求項7記載のスライディングモード制御方法において、
    前記切換面を選択するステップは、
    エネルギー消費量、前記スライディングモード制御における切換制御ゲイン、及び前記収束時間が最適化するように、ノミナルプラントの動特性に応じて、前記第3切換面、前記第4切換面及び前記第5切換面の中から選択し、
    前記エネルギー消費量は、前記スライディングモード制御により制御対象物を制御する際に消費されるエネルギー量であり、
    前記切換制御ゲインは
    前記収束時間は前記状態量が前記平衡点に収束するまでの時間であり、
    前記ノミナルプラントは、前記制御対象物の物理モデルの代表モデルである
    ことを特徴とするスライディングモード制御方法。
  12. 制御対象物の状態を示す状態量を相平面上で表される切換面に拘束された状態で、前記制御対象物の目標値に対応する前記相平面上の平衡点に、前記状態量を収束させることで、前記制御対象物を制御するスライディングモード制御の制御装置において、
    前記切換面を生成する生成器と、
    前記状態量及び前記目標値から前記スライディングモード制御の等価制御入力を演算する演算器と、
    前記状態量及び前記目標値から前記スライディングモード制御の切換制御入力を演算する演算器と、
    前記等価制御入力と前記切換制御入力とを加算した値を前記制御対象物への制御入力として演算する演算器とを有し、
    前記相平面は、前記状態量及び前記状態量の1階微分値それぞれ軸とした平面で表され、
    前記切換面は、前記状態量の初期状態示す点P及び前記平衡点を示す原点を通り、かつ、前記点Pで接線をもった2次曲線の軌跡で表される
    ことを特徴とするスライディングモード制御装置。
    ただし、前記点Pは前記状態量と前記状態量の1階微分値で表され、前記接線の傾きは前記状態量の2階微分値を前記状態量の1階微分値で除算した値とする。
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