JP2015194416A - 原子力発電プラント - Google Patents

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Hideaki Hosoi
秀章 細井
和明 木藤
Kazuaki Kito
和明 木藤
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Abstract

【課題】全交流電源喪失事象時又は冷却材喪失事故時に発生する崩壊熱を外部及び非常用発電機からの電力供給無しに静的に除去でき、かつ、建設コストを低減できる原子力発電プラントを提供する。【解決手段】鋼製の原子炉格納容器1と、原子炉格納容器1内部に設置された原子炉圧力容器3と、原子炉格納容器1の下部に設置され、原子炉格納容器1内の圧力上昇を抑制するサプレッションプール4と、原子炉格納容器1の外周側に間隔を介して設置した生体遮蔽壁5と、原子炉格納容器1と生体遮蔽壁5との空間に冷却水を貯留する外周プール6と、原子炉圧力容器3から原子炉格納容器1の外側に引き出された蒸気供給配管21と、蒸気供給配管21の下流側に接続され、外周プール6中に設置した蒸気凝縮熱交換器22と、一端側が蒸気凝縮熱交換器22の下流側に接続され、他端側がサプレッションプール4に接続された凝縮水放出配管23とを備えた。【選択図】 図1

Description

本発明は、原子力発電プラントに係り、更に詳しくは、崩壊熱を除去するシステムを備える原子力発電プラントに関する。
原子力発電プラント、例えば沸騰水型軽水炉(BWR)は、原子炉停止後も原子炉圧力容器に内蔵された炉心で発生する崩壊熱を除去する必要がある。通常は、原子炉圧力容器や原子炉格納容器の下部に設置したサプレッションプールから一部の水を抜き取り、その水を海水と熱交換する熱交換器を通して冷却して原子炉圧力容器やサプレッションプールに戻すことで、崩壊熱を除去している。
このような崩壊熱を除去するシステムは、原子炉圧力容器等からの水の抜き取り及び冷却用の海水の汲み上げに電動ポンプを使用しているので、電源が必要である。そのため、外部から原子炉への送電が止まる異常事象発生時には、原子炉に設置した非常用発電機が起動して、このシステムを運転するようになっている。
これに対して、外部から原子炉への送電が止まり、更に非常用発電機の起動にも失敗して発電プラント内の全交流電源が喪失する事象(以下、全交流電源喪失事象という)を想定した場合に、ポンプ等の動的機器やこれを作動させる電源を必要としないで崩壊熱を除去するシステムとして、原子炉圧力容器とサプレッションプールとの圧力差を駆動力とすることで、原子炉圧力容器から蒸気を抜き取り、この蒸気を原子炉格納容器外側の蒸気凝縮プール中に設置した蒸気凝縮熱交換器に通して凝縮させサプレッションプールに放出するものが提案されている(特許文献1参照)。
また、原子炉圧力容器に接続された配管の破断等による冷却材喪失事故(LOCA)の発生を想定した場合に、動的機器や電源を必要としないで崩壊熱を除去するシステムとして、サプレッションプールに隣接するように原子炉格納容器の外周側に外周プールを設けることで、原子炉格納容器内に放出された崩壊熱を、サプレッションプールに一旦蓄えた後に鋼製の原子炉格納容器を介して外周プールに伝達させるものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2013−24672号公報 特開平2−297097号公報
上記した特許文献1に記載のシステムは、原子炉圧力容器内の崩壊熱を原子炉格納容器の外側に設置した蒸気凝縮プールで回収するため、このプールを原子炉格納容器の外側に新たに建設する必要があり、建設コストが増大する。
また、このシステムは、原子炉圧力容器から蒸気を抜き取り、その蒸気を原子炉格納容器外に設置した蒸気凝縮プールで凝縮させるものであるため、冷却材喪失事故時では、原子炉格納容器内に放出された崩壊熱を蒸気凝縮プールで回収できず、原子炉格納容器外へ静的に除去できない。
また、上記した特許文献2に記載のシステムは、冷却材喪失事故時には、原子炉格納容器内に放出された崩壊熱をサプレッションプールから鋼製の原子炉格納容器を介して外周プールに伝達して静的に除去可能であるが、冷却材喪失事故ではなく全交流電源喪失事象では、原子炉圧力容器内の崩壊熱を何らかの手段でサプレッションプールに移動させ、原子炉格納容器を介して外周プールに伝達して静的に除去する必要がある。このシステムは原子炉格納容器を介して外周プールに崩壊熱を伝達するものなので、その総除熱量は原子炉格納容器と外周プールとの接触面積(伝熱面積)により制約を受ける。そのため、全交流電源喪失事象のように崩壊熱を長期間除去する必要性が生じた場合には、外周プールのプール水の水位低下により、崩壊熱の除去に必要な伝熱面積(熱交換量)を確保できない虞がある。
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、全交流電源喪失事象時又は冷却材喪失事故時に発生する崩壊熱を外部及び非常用発電機からの電力供給無しに静的に除去でき、かつ、建設コストを低減できる原子力発電プラントを提供するものである。
上記課題を解決するため、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、鋼製の原子炉格納容器と、前記原子炉格納容器内部に設置された原子炉圧力容器と、前記原子炉格納容器の下部に設置され、前記原子炉格納容器内の圧力上昇を抑制するサプレッションプールと、前記原子炉格納容器の外周側に間隔を介して設置された生体遮蔽壁と、前記原子炉格納容器と前記生体遮蔽壁との間の空間に冷却水を貯留する外周プールと、前記原子炉圧力容器から前記原子炉格納容器の外側に引き出され、前記原子炉圧力容器から蒸気を抜き取る蒸気供給配管と、前記蒸気供給配管の下流側に接続され、前記外周プールの冷却水中に設置された蒸気凝縮熱交換器と、一端側が前記蒸気凝縮熱交換器の下流側に接続されると共に他端側が前記サプレッションプールに接続され、前記蒸気凝縮熱交換器で凝縮した蒸気を前記サプレッションプールに放出する凝縮水放出配管とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、鋼製の原子炉格納容器とその外周側に設置した生体遮蔽壁との間の空間を利用して設けた外周プール中に蒸気凝縮熱交換器を設置することで、原子炉圧力容器内の崩壊熱を蒸気凝縮熱交換器を介して外周プールに移動させると共に、原子炉格納容器内に放出された崩壊熱をサプレッションプールから鋼製の原子炉格納容器を介して外周プールに移動させるので、全交流電源喪失事象時又は冷却材喪失事故時に発生する崩壊熱を外部及び非常用発電機からの電力供給無しに静的に除去でき、かつ、建設コストを低減できる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の原子力発電プラントの第1の実施の形態を示す概略構成図である。 本発明の原子力発電プラントの第2の実施の形態を示す概略構成図である。 本発明の原子力発電プラントの第3の実施の形態を示す概略構成図である。 図3に示す本発明の原子力発電プラントの第3の実施の形態をIV−IV矢視から見た概略構成図である。
以下、本発明の原子力発電プラントの実施の形態を図面を用いて説明する。
本実施の形態は、沸騰水型軽水炉(BWR)に適用した例を示したものであるが、原子炉圧力容器内で蒸気を発生させる原子炉全般に適用可能である。
[第1の実施の形態]
本発明の原子力発電プラントの第1の実施の形態を図1を用いて説明する。図1は本発明の原子力発電プラントの第1の実施の形態を示す概略構成図である。
図1において、原子力発電プラントは、熱伝導率がコンクリートより高い鋼製の原子炉格納容器1と、原子炉格納容器1の内部に設置され、炉心2を内蔵する原子炉圧力容器3と、原子炉格納容器1の下部に設置され、原子炉格納容器1内の圧力上昇を抑制するサプレッションプール4とを備えている。原子炉格納容器1の内部は、サプレッションプール4を内包するウェットウェル8と、原子炉圧力容器3を取り囲むドライウェル9とに区画されている。ウェットウェル8とドライウェル9は、ベント管10を介して連通している。ベント管10は、冷却材喪失事故等により原子炉圧力容器3からドライウェル9に流出した蒸気をサプレッションプール4へ導くものである。
この原子力発電プラントは、さらに、原子炉格納容器1の外周側に間隔を介して設置された放射線を遮蔽するコンクリート製の生体遮蔽壁5を備えている。原子炉格納容器1と生体遮蔽壁5との間の空間に冷却水を貯留して外周プール6を設けている。外周プール6の上部は、大気に開放する構造となっている。
原子炉圧力容器3の上部(気相領域)には、原子炉圧力容器3から蒸気を抜き取る蒸気供給配管21の一端側が接続されている。蒸気供給配管21は、原子炉格納容器1の壁面を貫通し、原子炉格納容器1と生体遮蔽壁5との間に引き出されている。蒸気供給配管21の下流側(他端側)には、蒸気凝縮熱交換器22が接続されている。蒸気凝縮熱交換器22は、原子炉格納容器1と生体遮蔽壁5の間から挿入されて外周プール6の冷却水中に縦置きに設置されている。蒸気凝縮熱交換器22の下流側には、凝縮水放出配管23の一端側(上流側)が接続されている。凝縮水放出配管23の他端側(下流側)は、原子炉格納容器1の壁面を貫通してサプレッションプール4に接続されている。
蒸気凝縮熱交換器22が設置された外周プール6は、通常運転時の水位が蒸気凝縮熱交換器22の上端よりも高くなるように設定されており、蒸気凝縮熱交換器22が外周プール6の水面から露出せずに作動可能となる有効水量Hを確保している。外周プール6には、内部の冷却水が減少した場合においても除熱性能を維持できるように、外部から冷却水を補給可能な系統(図示せず)を設置することも可能である。
蒸気凝縮熱交換器22より上流側に位置する蒸気供給配管21上には、蒸気凝縮熱交換器22を任意に起動可能とする起動弁28が設けられている。起動弁28は、その水没を防止するために、外周プール6の通常運転時の水面より上方に設置されている。このため、起動弁28のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
次に、原子炉で外部電源が喪失し、更に非常用発電機の起動にも失敗するような発生確率の非常に低いが厳しい事象(以下、全交流電源喪失事象という)を想定した場合における本発明の原子力発電プラントの第1の実施の形態の動作を図1を用いて説明する。
このような事象の発生時には、スクラム(原子炉緊急停止)により原子炉圧力容器3内の炉心2に制御棒(図示せず)が挿入され、原子炉の出力は急減する。しかし、原子炉圧力容器3内では継続して崩壊熱が発生し、崩壊熱により原子炉圧力容器3内の冷却水が沸騰して蒸気が発生する。
原子炉圧力容器3内の蒸気は、起動弁28を開放する(起動させる)ことで、発生蒸気により高圧力の原子炉圧力容器3とそれより低圧のサプレッションプール4との圧力差を駆動力として、その一部又は全量が蒸気供給配管21を通して抜き取られる。原子炉圧力容器3から抜き取られた蒸気は、蒸気供給配管21を通って蒸気凝縮熱交換器22へ送られる。この蒸気は蒸気凝縮熱交換器22内で凝縮し、蒸気の熱は外周プール6へ放出される。蒸気凝縮熱交換器22内で凝縮された蒸気は、凝縮水放出配管23を通ってサプレッションプール4に放出される。
蒸気の熱が放出された外周プール6の冷却水は、加熱されて沸騰し、蒸気となって外部に放出される。これにより、原子炉圧力容器3内の崩壊熱は系外へ除去される。
このように、原子炉圧力容器3から抜き取られた蒸気は凝縮して飽和水又はサブクール水となってサプレッションプール4に放出され、蒸気の熱はその大部分が外周プール6へ放出されることで大幅に小さくなる。このため、サプレッションプール4の加熱(温度上昇)が大幅に抑制され、サプレッションプール4への熱移動による原子炉格納容器1の過度の圧力上昇は生じない。ちなみに、大気圧下の飽和水エンタルピが417kJ/kgであるのに対し、飽和蒸気のエンタルピは2657kJ/kgと6倍以上である。
ここで、全交流電源喪失事象の長期間継続を想定すると、崩壊熱の大部分が放出される外周プール6の水位は、その冷却水の蒸発により徐々に低下していく。外周プールの水位が低下すると、従来のような原子炉格納容器を介して外周プールに伝熱して崩壊熱を除去するシステム(例えば、特許文献2参照)では、原子炉格納容器と外周プールの冷却水との接触面積(伝熱面積)により除熱量が決定されるので、除熱量が不足する虞があった。それに対して、本実施の形態においては、外周プール6の冷却水中に蒸気凝縮熱交換器22を設置しているので、外周プール6の水位が低下しても、蒸気凝縮熱交換器22が外周プール6の水面から露出しない限り、必要な伝熱面積(除熱量)を確保することができる。したがって、全交流電源喪失事象時における崩壊熱の長期間除去が可能となる。
また、本実施の形態において、蒸気により温度上昇した外周プール6の熱は、鋼製の原子炉格納容器1を介して低温のサプレッションプール4に移動する。これにより、外周プール6の蒸発量が抑制されるので、外周プール6の蒸発量抑制の分、崩壊熱を更に長期間除去できる。逆に、崩壊熱の除去期間をある一定期間に設定した場合には、外周プール6の蒸発量抑制の分、外周プール6の通常運転時における水量を低減することができるので、外周プール6を小型化することもできる。すなわち、外周プール6の通常の保水量の自由度を拡張することができる。この崩壊熱の移動方向は、従来の外周プールを設けて崩壊熱を除去するシステム(例えば、特許文献2参照)の熱移動の方向(サプレッションプールから外周プールへの方向)とは逆方向になる。なお、大気開放された外周プール6の冷却水は最大100℃までしか上昇しないため、外周プール6からサプレッションプール4への熱移動による原子炉格納容器1の過度の圧力上昇は生じない。
さらに、本実施の形態における外周プール6は、原子炉格納容器1と生体遮蔽壁5間の空間を利用して冷却水を貯留するものなので、蒸気凝縮熱交換器22を設置するための冷却プールを原子炉格納容器1外に新たに設置する必要がない。このため、冷却プール用の物量を削減することができ、建設コストを低減できる。
次に、原子炉格納容器1内の大口径配管(図示せず)が破断して冷却材喪失事故(LOCA)が発生した事象を想定した場合における本発明の原子力発電プラントの第1の実施の形態の動作を図1を用いて説明する。
冷却材喪失事故の発生時には、スクラムにより炉心2に制御棒(図示せず)が挿入され、原子炉の出力は急減するが、原子炉圧力容器3内では継続して崩壊熱が発生する。崩壊熱により発生した蒸気は破断した配管(図示せず)から原子炉格納容器1のドライウェル9に流出し、ドライウェル9内の圧力が上昇する。
ドライウェル9に流出した蒸気は、ベント管10を介してサプレッションプール4に導入されて凝縮する。これにより、蒸気の熱がサプレッションプール4へ移動するので、原子炉格納容器1内の圧力上昇が抑制される。
このとき、サプレッションプール4のプール水は、蒸気から移動した熱により温度上昇する。温度上昇したプール水が沸騰して蒸発してしまうと、最終的に原子炉格納容器1内の圧力上昇がするので、サプレッションプール4の熱を除去する必要がある。
本実施の形態においては、サプレッションプール4の熱が鋼製の原子炉格納容器1を介して外周プール6へ移動することで、サプレッションプール4が冷却される。これにより、サプレッションプール4のプール水の蒸発による原子炉格納容器1の圧力上昇が抑制される。
このように、冷却材喪失事故時には、原子炉格納容器1内に流出した蒸気が凝縮することで高温となったサプレッションプール4から低温の外周プール6への自然放熱により、動的機器及び電源供給なしに崩壊熱を除去し、原子炉格納容器1の圧力上昇を抑制している。
また、大口径でなく小口径の配管破断による冷却材喪失事故時において、原子炉圧力容器3とサプレッションプール4とに一定以上の圧力差がある場合には、前述した全交流電源喪失事象時と同様に、起動弁28を開放することで、原子炉圧力容器3内の蒸気の一部を蒸気供給配管21を通して蒸気凝縮熱交換器22へ送ることができる。この場合、蒸気凝縮熱交換器22内で蒸気が凝縮し、蒸気の熱は外周プール6に放出される。
同時に、原子炉圧力容器3から原子炉格納容器1内に流出した崩壊熱は、大口径の配管破断による冷却材喪失事故時の場合と同様に、サプレッションプール4から鋼製の原子炉格納容器1を介して外周プール6に放出される。
このように、崩壊熱の一部をサプレッションプール4を介さず蒸気凝縮熱交換器22を介して外周プール6に放出する。このため、崩壊熱のほとんどをサプレッションプール4から外周プール6に移動させる場合よりも、崩壊熱を早期に除去できる。
上述したように、本発明の原子力発電プラントの第1の実施の形態によれば、鋼製の原子炉格納容器1とその外周側に設置した生体遮蔽壁5との間の空間を利用して設けた外周プール6に蒸気凝縮熱交換器22を設置することで、原子炉圧力容器3内の崩壊熱を蒸気凝縮熱交換器22を介して外周プール6に移動させると共に、原子炉格納容器1内に放出された崩壊熱をサプレッションプール4から鋼製の原子炉格納容器1を介して外周プール6に移動させるので、全交流電源喪失事象時又は冷却材喪失事故時に発生する崩壊熱を外部及び非常用発電機からの電力供給無しに静的に除去でき、かつ、建設コストを低減できる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の原子力発電プラントの第2の実施の形態を図2を用いて説明する。図2は本発明の原子力発電プラントの第2の実施の形態を示す概略構成図である。なお、図2において、図1に示す符号と同符号のものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
図2に示す本発明の原子力発電プラントの第2の実施の形態は、第1の実施の形態を構成する蒸気供給配管21が原子炉格納容器1の壁面を貫通して原子炉格納容器1と生体遮蔽壁5との間に引き出されるようにしたものであるのに対して、蒸気供給配管31が、原子炉格納容器1の壁面及び生体遮蔽壁5を貫通して生体遮蔽壁5の外側に引き出されるようにしたものである。
原子炉圧力容器3から生体遮蔽壁5の外側に引き出された蒸気供給配管31は、生体遮蔽壁5を再度貫通して生体遮蔽壁5と原子炉格納容器1の間に引き戻され、外周プール6に設置されている蒸気凝縮熱交換器22に接続されている。蒸気供給配管31における生体遮蔽壁5の外側の位置する部分には、起動弁28が設置されている。
上述した本発明の原子力発電プラントの第2の実施の形態によれば、前述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態によれば、生体遮蔽壁5の外側に位置する蒸気供給配管31上に起動弁28を設置したので、前述した第1の実施の形態のように原子炉格納容器1と生体遮蔽壁5との間に起動弁28を設置した場合と比較して、メンテナンス作業の作業空間を十分に確保でき、起動弁28のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の原子力発電プラントの第3の実施の形態を図3及び図4を用いて説明する。図3及び図4は本発明の原子力発電プラントの第3の実施の形態を示すもので、図3は本発明の原子力発電プラントの第3の実施の形態を示す概略構成図、図4は図3に示す本発明の原子力発電プラントの第3の実施の形態をIV−IV矢視から見た概略構成図である。なお、図3及び図4において、図1及び図2に示す符号と同符号のものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
図3及び図4に示す本発明の原子力発電プラントの第3の実施の形態は、第2の実施の形態を構成する蒸気凝縮熱交換器22が原子炉格納容器1と生体遮蔽壁5との間から外周プール6に挿入されて縦置きで設置されるものであるのに対して、蒸気凝縮熱交換器22を生体遮蔽壁5の外側から外周プール6に挿入して横置きで設置するものである。
具体的には、蒸気凝縮熱交換器22は、蒸気供給配管41に接続されて蒸気が流入する入口側の第1ヘッダ24と、凝縮水放出配管23に接続されて蒸気の凝縮水を排出する出口側の第2ヘッダ25と、第1ヘッダと第2ヘッダとに接続され、流入した蒸気を熱交換させることで凝縮させる複数の伝熱管26とで構成されている。蒸気凝縮熱交換器22は、生体遮蔽壁5の下部に設けられた挿入孔(図示せず)に挿入され、外周プール6に横置きに設置されている。挿入孔には、蒸気凝縮熱交換器22と生体遮蔽壁5との間隙を封止するシール部材(図示せず)が設けられている。蒸気凝縮熱交換器22は、メンテナンス時には、第1ヘッダ24側から生体遮蔽壁5の外側に引き抜かれる。
原子炉圧力容器3から生体遮蔽壁5の外側に引き出された蒸気供給配管41は、蒸気凝縮熱交換器22の第1ヘッダ24に接続されている。蒸気供給配管41は、水平方向に延びる部分が下流側に向かって下り勾配になるように設けられている。蒸気供給配管41における生体遮蔽壁5の外側の部分には、起動弁28が設置されている。
上述した本発明の原子力発電プラントの第3の実施の形態によれば、上述した第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態によれば、蒸気凝縮熱交換器22を生体遮蔽壁5の外側から外周プール6に挿入可能としたので、メンテナンス時に蒸気凝縮熱交換器22を生体遮蔽壁5の外側に容易に引き出すことができる。このため、蒸気凝縮熱交換器22のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
さらに、本実施の形態によれば、蒸気凝縮熱交換器22を横置きに設置したので、縦置きの場合と比較すると、蒸気凝縮熱交換器22が外周プール6の水面から露出せず作動可能となる有効水量Hが多くなる。その結果、崩壊熱の更なる長期の除去が可能となる。また、横置きの場合、メンテナンス時に蒸気凝縮熱交換器22を挿入孔から生体遮蔽壁5の外側に引き出すことが容易になり、蒸気凝縮熱交換器22のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
また、本実施の形態によれば、下流側に向かって下り勾配になるように蒸気供給配管41を設けたので、蒸気供給配管41内で凝縮した蒸気の凝縮水の滞留を抑制できる。
[その他]
なお、上述した第1及び第2の実施の形態においては、蒸気凝縮熱交換器22、蒸気供給配管21、31、蒸気放出配管23及び起動弁28を各1つ、系統数を1つとした例(図1及び図2参照)を示したが、これに限定されず、これらを複数とすることが可能である。
また、上述した第3の実施の形態においては、蒸気凝縮熱交換器22を2系統とした例(図4参照)を示したが、少なくとも1系統を備えていればよい。なお、3系統以上の複数系統も可能である。また、蒸気供給配管41、蒸気放出配管23及び起動弁28を各1つとした例を示したが、これらを複数設置することも可能である。
なお、上述した第3の実施の形態において、蒸気供給配管41を下流側に向かって下り勾配になるように設けた例を示したが、第1及び第2の実施の形態においても同様な蒸気供給配管を設けることが可能である。この場合も、第3の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
また、上述した第3の実施の形態において、蒸気凝縮熱交換器22を横置きに設置した例を示したが、第1及び第2の実施の形態においても同様に、蒸気凝縮熱交換器22を横置きに設置可能である。この場合も、第3の実施の形態と同様に、有効水量Hが多くなる。
なお、上述した第3の実施の形態において、蒸気凝縮熱交換器22が入口側の第1ヘッダ24と出口側の第2ヘッダ25と複数の伝熱管26とで構成された例を示したが、第1及び第2の実施の形態においても、同様な構成の蒸気凝縮熱交換器22とすることが可能である。伝熱管26は、直管やU字などの曲がり管に限定されない。
また、本発明は上述した第1乃至第3の実施の形態に限られるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
なお、実際の原子炉発電プラントでは、原子炉格納容器1を貫通する蒸気供給配管21、31、41の原子炉格納容器貫通部の前後には隔離弁が設置され、各配管21、31、41、23上には必要に応じて逆止弁や閉止弁が設置されるが、上述した第1の実施の形態乃至第3の実施の形態では、これらを図示していない。
1 原子炉格納容器
3 原子炉圧力容器
4 サプレッションプール
5 生体遮蔽壁
6 外周プール
21、31、41 蒸気供給配管
22 蒸気凝縮熱交換器
23 凝縮水放出管
28 起動弁

Claims (8)

  1. 鋼製の原子炉格納容器と、
    前記原子炉格納容器内部に設置された原子炉圧力容器と、
    前記原子炉格納容器の下部に設置され、前記原子炉格納容器内の圧力上昇を抑制するサプレッションプールと、
    前記原子炉格納容器の外周側に間隔を介して設置された生体遮蔽壁と、
    前記原子炉格納容器と前記生体遮蔽壁との間の空間に冷却水を貯留する外周プールと、
    前記原子炉圧力容器から前記原子炉格納容器の外側に引き出され、前記原子炉圧力容器から蒸気を抜き取る蒸気供給配管と、
    前記蒸気供給配管の下流側に接続され、前記外周プールの冷却水中に設置された蒸気凝縮熱交換器と、
    一端側が前記蒸気凝縮熱交換器の下流側に接続されると共に他端側が前記サプレッションプールに接続され、前記蒸気凝縮熱交換器で凝縮した蒸気を前記サプレッションプールに放出する凝縮水放出配管とを備える
    ことを特徴とする原子力発電プラント。
  2. 請求項1に記載の原子力発電プラントにおいて、
    前記蒸気供給配管は、前記原子炉格納容器と前記生体遮蔽壁との間に引き出されて前記蒸気凝縮熱交換器に接続される
    ことを特徴とする原子力発電プラント。
  3. 請求項2に記載の原子力発電プラントにおいて、
    前記外周プールの水面より上方に位置する前記蒸気供給配管上に、前記蒸気凝縮熱交換器を起動させる起動弁を設置する
    ことを特徴とする原子力発電プラント。
  4. 請求項1に記載の原子力発電プラントにおいて、
    前記蒸気供給配管は、前記原子炉格納容器から前記生体遮蔽壁の外側に引き出され、さらに前記生体遮蔽壁と前記原子炉格納容器の間に引き戻されて前記蒸気凝縮熱交換器に接続され、
    前記生体遮蔽壁の外側に位置する前記蒸気供給配管上に、前記蒸気凝縮熱交換器を起動させる起動弁を設置する
    ことを特徴とする原子力発電プラント。
  5. 請求項1に記載の原子力発電プラントにおいて、
    前記蒸気供給配管は、前記原子炉格納容器から前記生体遮蔽壁の外側に引き出されて前記蒸気凝縮熱交換器に接続され、
    前記蒸気凝縮熱交換器は、前記生体遮蔽壁の外側から前記外周プールに挿入可能である
    ことを特徴とする原子力発電プラント。
  6. 請求項5に記載の原子力発電プラントにおいて、
    前記生体遮蔽壁の外側に位置する前記蒸気供給配管上に、前記蒸気凝縮熱交換器を起動させる起動弁を設置する
    ことを特徴とする原子力発電プラント。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の原子力発電プラントにおいて、
    前記蒸気凝縮熱交換器は、横置きで設置される
    ことを特徴とした原子力発電プラント。
  8. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の原子力発電プラントにおいて、
    前記蒸気供給配管は、下流側に向かって下り勾配となる
    ことを特徴とする原子力発電プラント。
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CN116246804A (zh) * 2023-05-11 2023-06-09 中国电力工程顾问集团有限公司 一种抑压水池及水上浮动核电站的安全系统

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