JP2015192935A - 金属系微粒子担持触媒、その製造方法およびそれを用いた硝酸性窒素含有水の処理方法 - Google Patents

金属系微粒子担持触媒、その製造方法およびそれを用いた硝酸性窒素含有水の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】硝酸性窒素含有水中の硝酸性窒素の還元分解反応に対し、高い活性を有し、かつ繰り返し使用においてもその活性を維持する金属系微粒子担持触媒の提供。
【解決手段】少なくともPdおよびCuを含む金属系微粒子が無機系担体物質に担持された金属系微粒子担持触媒であって、前記無機系担体物質の平均一次粒子径が5〜200nmであり、Ti、Al、Si、Sn、およびZnからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の酸化物を主成分として含み、前記金属系微粒子の平均一次粒子径が1〜9nmである金属系微粒子担持触媒。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属系微粒子担持触媒、その製造方法およびそれを用いた硝酸性窒素含有水の処理方法に関する。
硝酸性窒素は、湖沼等の富栄養化や人体への健康被害をもたらすため、工業排水等からの除去が求められている。この硝酸性窒素を排水等から除去する方法として、微生物による生物学的処理方法、イオン交換法などの物理化学的処理方法および還元剤と触媒との存在下で還元分解を行う化学的処理方法が知られている。中でも、還元剤と触媒の存在下で還元分解を行う化学的処理は、硝酸性窒素含有水の大量処理に適しており、従来から様々な処理方法が提案されている。
例えば特許文献1では、硝酸性窒素含有水と水処理触媒とを還元ガスの存在下で接触させる硝酸性窒素含有水の処理方法において、前記水処理触媒が結晶性炭素粒子に金属微粒子が担持された平均一次粒子径が5nm〜1μmの範囲の微粒子からなり、触媒微粒子中の金属微粒子の担持量が金属として1〜50重量%の範囲にあることを特徴とする硝酸性窒素含有水の処理方法が記載されている。
また、特許文献2では、第4周期遷移金属元素、第5周期遷移金属元素金属元素、白金および金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属からなる金属粒子が無機系担体物質に担持されてなる金属粒子担持触媒であって、前記金属粒子の少なくとも一部が多面体状構造を有する多面体状金属粒子であることを特徴とする金属粒子担持触媒が記載されている。そして、このような金属粒子担持触媒を用いて、硝酸性窒素含有水を還元処理する実施例が記載されている。
また、特許文献3では、硝酸性窒素含有水と硝酸性窒素含有水処理用触媒とを超微細気泡還元ガスの存在下で接触させることを特徴とする硝酸性窒素含有水の処理方法が記載されている。
特開2007−21289号公報 特開2009−172574号公報 特開2007−7541号公報
上記のように特許文献1〜3には、硝酸性窒素含有水を触媒存在下にて還元処理することが記載されているが、このような触媒は、硝酸性窒素の還元分解反応を促進させる性能(以下、活性ともいう)が高く、また、繰り返し使用してもその活性を高く維持するものであることが好ましい。
本発明は、硝酸性窒素含有水における硝酸性窒素の還元分解反応に対し高い活性を有し、かつ繰り返し使用においてもその活性を高く維持する金属系微粒子担持触媒、その製造方法およびそれを用いた硝酸性窒素含有水の処理方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記のような課題を解決するために鋭意検討し、本発明を完成させた。
本発明は、以下の(1)〜(12)である。
(1)少なくともPdおよびCuを含む金属系微粒子が無機系担体物質に担持された金属系微粒子担持触媒であって、
前記無機系担体物質は平均一次粒子径が5〜200nmであり、Ti、Al、Si、Sn、およびZnからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の酸化物を主成分として含み、前記金属系微粒子は平均一次粒子径が1〜9nmである金属系微粒子担持触媒。
(2)前記無機系担体物質の平均細孔径が5〜100nm、平均細孔容積が0.1〜1.5ml/g、比表面積が10〜300m2/gである上記(1)に記載の金属系微粒子担持触媒。
(3)前記無機系担体物質の主成分がTiO2である上記(1)または(2)に記載の金属系微粒子担持触媒。
(4)前記無機系担体物質が球状またはペレット状である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の金属系微粒子担持触媒。
(5)前記金属系微粒子中におけるPd:Cuの質量比が30:70〜99:1である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の金属系微粒子担持触媒。
(6)前記金属系微粒子の含有率が0.1〜10質量%である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の金属系微粒子担持触媒。
(7)平均一次粒子径が5〜200nmであり、Ti、Al、Si、Sn、およびZnからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の酸化物を主成分として含む無機系担体物質を得る担体調整工程と、
少なくともPdおよびCuを含み、平均一次粒子径が1〜9nmである金属系微粒子の分散液を得る分散液調整工程と、
前記無機系担体物質を前記分散液に浸漬させて、金属系微粒子・担体混合体を得る浸漬工程と、
前記金属系微粒子・担体混合体を乾燥させて金属系微粒子担持触媒を得る乾燥工程と、を備える金属系微粒子担持触媒の製造方法。
(8)前記浸漬工程を、大気中または減圧雰囲気下で行う上記(7)に記載の金属系微粒子担持触媒の製造方法。
(9)前記乾燥工程における乾燥温度が100〜200℃である上記(7)または(8)に記載の金属系微粒子担持触媒の製造方法。
(10)前記乾燥工程を、大気中、真空中、不活性ガス雰囲気下、または還元ガス雰囲気下で行う上記(7)〜(9)のいずれかに記載の金属系微粒子担持触媒の製造方法。
(11)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の金属系微粒子担持触媒を硝酸性窒素含有水に接触させる硝酸性窒素含有水の処理方法。
(12)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の金属系微粒子担持触媒を充填した反応塔に硝酸性窒素含有水を通液させる上記(11)に記載の硝酸性窒素含有水の処理方法。
本発明によれば、硝酸性窒素含有水における硝酸性窒素の還元分解反応に対し高い活性を有し、かつ繰り返し使用においてもその活性を高く維持する金属系微粒子担持触媒、その製造方法およびそれを用いた硝酸性窒素含有水の処理方法を提供する。
バッチ式活性試験における反応器の概要図である。 実施例2の触媒のSEM画像である。 実施例2の触媒の活性特性を示すグラフである。
本発明について説明する。
本発明は、少なくともPdおよびCuを含む金属系微粒子が無機系担体物質に担持された金属系微粒子担持触媒であって、前記無機系担体物質の平均一次粒子径が5〜200nmであり、Ti、Al、Si、Sn、およびZnからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の酸化物を主成分として含み、前記金属系微粒子は平均一次粒子径が1〜9nmである金属系微粒子担持触媒である。
このような金属系微粒子担持触媒を、以下では「本発明の触媒」ともいう。
<無機系担体物質>
本発明の触媒における無機系担体物質について説明する。
無機系担体物質は、Ti、Al、Si、Sn、およびZnからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の酸化物を主成分として含む。これら酸化物として、SiO2、Al23、TiO2、SnO2、ZnOが挙げられる。また、SiO2−Al23、SiO2−TiO2等の複合酸化物であってもよいし、酸化物と複合酸化物の両方を含むものであってもよい。
本発明では、無機系担体物質の主成分としてTiO2を含むことが好ましい。硝酸性窒素含有水中の硝酸性窒素以外の不純物(有機物やFe等)が吸着し難いため、不純物の吸着による触媒活性の低下をより防ぐからである。ここで、主成分とは無機系担体物質全体において70質量%以上含むことであり、80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがより好ましく、100質量%含むこと、すなわち、無機系担体物質が実質的にTiO2からなることがさらに好ましい。ここで「実質的に」とは、原料や製造過程から不可避的に含まれる不純物は含まれ得るが、それ以外は含まないことを意味する。なお、特に断りがない限り、本発明の説明において「主成分」および「実質的に」は、このような意味で用いるものとする。
また、無機系担体物質の主成分中としてTiO2を含み、さらにその他に、Al、Si、Sn、およびZnからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の酸化物を含むことが好ましい。この場合、主成分中におけるAl、Si、Sn、およびZnからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の酸化物の含有率は、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
このような酸化物を用いると、有機物を含む硝酸性窒素含有水においても、酸化物と有機物との親和性の低さから、有機物の無機系担体物質への吸着をより抑制することができ、その結果、触媒の活性をより高く維持することができる。
無機系担体物質の平均一次粒子径は5〜200nmであり、10〜180nmであることが好ましく、20〜150nmであることがより好ましい。平均一次粒子径がこのような範囲であると、比表面積が高く、金属系微粒子を高分散の状態で担持することができるため、触媒の活性が向上する。
ここで無機系担体物質の平均一次粒子径は、以下のように求めた値を意味するものとする。透過型電子顕微鏡により撮影した無機系担体物質の粒子の画像を解析して投影面積円相当径を求める。そして、不作為に選んだ50個の粒子についての投影面積円相当径を単純平均し、得られた値を無機系担体物質の平均一次粒子径とする。
無機系担体物質の平均細孔径は5〜100nmであることが好ましく、10〜95nmであることがより好ましく、20〜85nmであることがより好ましく、20〜70nmであることがさらに好ましい。平均細孔径がこのような範囲であると、担持金属系微粒子が細孔内に分布し、均一に担持させることができることに加え、高い表面積を維持するため、より十分な触媒活性が得られる。平均細孔径が5nm未満の無機系担体物質は、合成上得難い。
無機系担体物質の平均細孔容積は0.1〜1.5ml/gであることが好ましく、0.15〜1.3ml/gであることがより好ましく、0.2〜1.0ml/gであることがさらに好ましい。
平均細孔容積がこのような範囲であると、担持金属系微粒子が凝集し難く、より十分な触媒活性を得ることができる。また、触媒の十分な強度を得ることができるため、触媒の粉化などの使用上の問題を防ぐことができる。
無機系担体物質の比表面積は10〜300m2/gであることが好ましく、10〜250m2/gであることがより好ましく、15〜150m2/gであることがより好ましく、20〜100m2/gであることがさらに好ましい。比表面積がこのような範囲であると、無機系担体物質への不純物の吸着が抑えられ、高い触媒活性を維持することができる。
無機系担体物質の比表面積は、窒素吸着法で得た吸着等温線から求めた値を意味するものとする。さらに、平均細孔径および平均細孔容積は、BJH(Barret−Joyner−Halenda)法における脱着等温線から求めた値を意味する。
ここで、窒素吸着法について説明する。
まず、測定対象物を乾燥させたものを試料として測定セルに入れ、窒素ガス気流中、250℃で40分間脱ガス処理を行い、その上で試料を窒素30体積%とヘリウム70体積%の混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に吸着させて窒素吸着等温線・脱着等温線を得る。この窒素吸着等温線を用いてBET理論により比表面積を求める。また、脱着等温線を用いてBJH(Barret−Joyner−Halenda)法により、試料の細孔径分布曲線を得て、その曲線に現れるメソ孔(粒子表面の細孔)側およびマクロ孔(粒子間細孔)側のピークのうち、メソ孔側のピークの細孔径を平均細孔径として求める。また、同じくBJH法により細孔分布曲線を得て、曲線に現れるピークを平均細孔容積として求める。この窒素吸着法は、例えば従来公知の細孔分布測定装置を用いて行うことができる。
無機系担体物質は球状かペレット状であることが好ましいが、円柱状、破砕片状、ハニカム状、粉末状等の種々の形態であってもよい。
<金属系微粒子>
本発明の触媒における金属系微粒子について説明する。
金属系微粒子は、少なくともPdおよびCuを含む。硝酸性窒素の還元分解反応に対する活性に優れているからである。また、PdおよびCu以外に、他の金属を含んでいてもよい。他の金属として、Pt、Au、Ag、Ru、Ni、W、V、Mo、Fe等が挙げられる。
さらに、金属系微粒子中におけるPd:Cuの質量比が30:70〜99:1であることが好ましい。また、金属系微粒子におけるPdおよびCuの合計含有率が90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることがより好ましく、実質的に100質量%であることがさらに好ましい。
金属系微粒子の平均一次粒子径は1〜9nmである。平均一次粒子径をこのような範囲とすることで、凝集しづらく、かつ触媒活性を高く維持することができる。なお、金属系微粒子の平均一次粒子径は、以下の方法により求めた値を意味するものとする。透過型電子顕微鏡により撮影した金属系微粒子の粒子の画像を解析して投影面積円相当径を求める。そして、不作為に選んだ50個の粒子についての投影面積円相当径を単純平均し、得られた値を金属系微粒子の平均一次粒子径とする。
<金属系微粒子担持触媒>
金属系微粒子担持触媒、すなわち本発明の触媒は、上記のような無機系担体物質に金属系微粒子を担持させたものである。
金属系微粒子担持触媒における金属系微粒子の含有率は、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.3〜7質量%であることがより好ましく、0.5〜3質量%であることがさらに好ましい。金属系微粒子の含有率がこのような範囲であると、高い触媒活性を得ることができる。
金属系微粒子の含有率がこのような範囲であると、金属系微粒子が凝集し難く、より十分な触媒活性を得ることができる。
金属系微粒子担持触媒の平均一次粒子径は5〜200nmであることが好ましい。なお、平均一次粒子径は無機系担体物質の場合と同じ方法で測定して得られる値を意味するものとする。
<金属系微粒子担持触媒の製造方法>
本発明は平均一次粒子径が5〜200nmであり、Ti、Al、Si、Sn、およびZnからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の酸化物を主成分として含む無機系担体物質を得る担体調整工程と、少なくともPdおよびCuを含み、平均一次粒子径が1〜9nmである金属系微粒子の分散液を得る分散液調整工程と、前記無機系担体物質を前記分散液に浸漬させて、金属系微粒子・担体混合体を得る浸漬工程と、前記金属系微粒子・担体混合体を乾燥させて金属系微粒子担持触媒を得る乾燥工程と、を備える金属系微粒子担持触媒の製造方法である。
このような金属系微粒子担持触媒の製造方法を、以下では「本発明の製造方法」ともいう。本発明の触媒は、本発明の製造方法によって製造することができる。
担体調整工程について説明する。
担体調整工程では、平均一次粒子径が5〜200nmであり、Ti、Al、Si、Sn、およびZnからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の酸化物を主成分として含む無機系担体物質を調整する。この工程は目的の無機系担体物質が得られれば特に制限はなく、例えば従来公知の方法(固相混合法、液相混合法、共沈法、含浸法など)によって得た酸化物の混合物を、必要に応じて乾燥させ、その後、焼成して得ることができる。
担体調整工程では、Ti、Al、Si、Sn、およびZnからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の酸化物を湿式粉砕してスラリー状とした後、必要に応じて乾燥させ、その後、焼成することで無機系担体物質を得ることが好ましい。湿式粉砕とは、前記原料を水や有機溶媒に浸した状態で分散、粉砕、解砕または混合する方法であり、例えば前記原
料と水とをボールミルに入れて粉砕等する方法である。
また、前記スラリー状の原料を乾燥させることが好ましい。乾燥は、例えば従来公知の静置式乾燥機、噴霧式乾燥機、減圧式乾燥機、真空乾燥機を用いて乾燥することができる。さらに、温度100〜200℃、2〜10時間乾燥させることが好ましい。
次に乾燥させた原料を焼成することが好ましい。焼成する方法は特に限定されず、例えば従来公知の方法で行うことができる。例えば従来公知の焼成炉(トンネル炉、マッフル炉、ロータリーキルン等)を用いて500〜1000℃程度の温度の雰囲気内において2〜10時間程度、焼成して、無機系担体物質を得ることができる。
上記の工程で得られる無機系担体物質は通常粉末状である。無機系担体物質は球状かペレット状に成形することが好ましい。
分散液調整工程について説明する。
分散液調整工程では、上記の特定の金属成分を含み、かつ上記の特定の平均一次粒子径範囲である金属系微粒子の分散液を調整する。この工程は目的の金属系微粒子の分散液が得られれば特に制限はなく、例えば従来公知の方法を用いることができる。
例えば、所定量のPd金属塩およびCu金属塩を含む金属塩を水に溶解させ、金属塩水溶液を得る。これら金属塩は、Pd:Cuの質量比が30:70〜99:1であることが好ましい。Pd金属塩として、例えば硝酸パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、テトラアンミンパラジウムを用いることができる。また、Cu金属塩として硝酸銅、塩化銅等を用いることができる。さらに、PdおよびCu以外に他の金属塩、例えば塩化白金、硝酸銀、硝酸ニッケルを加えることができる。この際、PdおよびCuを含めた全体の金属元素において、他の金属塩の含有率が5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。
また、上記の金属塩水溶液に安定化剤と還元剤を加えることが好ましい。安定化剤は従来公知のものを用いることができるが、クエン酸三ナトリウムを用いることが好ましい。還元剤は従来公知のものを用いることができるが、硫酸第一鉄を用いることが好ましい。なお、還元剤の添加量は金属塩の合計モル数の1〜3倍量が好ましい。その後、N2等の不活性ガス雰囲気下で1〜30時間攪拌することが好ましい。このようにして金属系微粒子の分散液が得られる。
浸漬工程について説明する。
浸漬工程では、金属系微粒子の分散液に無機系担体物質を浸漬させて、金属系微粒子・担体混合体を得る。
浸漬させる前に金属系微粒子の分散液中の不純物を除去することが好ましい。不純物の除去方法として、遠心分離器により金属系微粒子を沈殿させた後、上澄みを除去することが好ましい。金属系微粒子の沈殿物には、新たに水を加え、1〜10質量%の金属系微粒子の分散液とすることが好ましい。
次に、金属系微粒子の分散液に無機系担体物質を浸漬させる。この浸漬は、大気中または減圧雰囲気下で行うことが好ましい。また、浸漬は0.1〜2時間行うことが好ましい。これにより、金属系微粒子・担体混合体が得られる。この金属系微粒子・担体混合体の態様は、液体または固体である。
乾燥工程について説明する。
乾燥工程では、金属系微粒子・担体混合体を乾燥することで、金属系微粒子担持触媒を得る。
乾燥は、例えば凍結乾燥、噴霧乾燥、静置乾燥等の従来公知の方法を用いることができる。金属系微粒子・担体混合体が固体である場合は静置乾燥、液体である場合は噴霧乾燥または凍結乾燥を用いることができる。また、乾燥温度は100〜200℃が好ましい。また、乾燥時間は1〜20時間行うことが好ましい。さらに、乾燥工程は大気中、真空中、不活性ガス雰囲気下、または還元ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
上記の乾燥後、例えば粉末状の金属系微粒子担持触媒が得られる。
<硝酸性窒素含有水の処理方法>
本発明は、本発明の触媒を硝酸性窒素含有水に接触させる硝酸性窒素含有水の処理方法である。
このような硝酸性窒素含有水の処理方法を、以下では「本発明の処理方法」ともいう。
本発明の処理方法を説明する。
本発明の処理方法では、本発明の触媒を用いて、硝酸性窒素含有水における硝酸性窒素について還元分解処理を行う。
硝酸性窒素含有水とは、硝酸性窒素を含む水溶液を指し、例えば生活排水や工業排水等が挙げられる。また、硝酸性窒素とは、NO3、NO2等であり、水溶液中では通常、イオンとして存在するものである。硝酸性窒素含有水における硝酸性窒素の濃度はNとして、100〜100,000ppmが好ましく、300〜60,000ppmであることがより好ましい。硝酸性窒素の濃度は例えば従来公知の方法(UV法、イオンクロマトグラフ法)により測定することができる。
また、上記硝酸性窒素含有水には、硝酸性窒素以外の物質を含んでもよい。例えば、NH3、ClO3、ClO2、ClO、Na、Cl、Fe、Ni等の無機物質や、クエン酸、シュウ酸、EDTAやEDDS等の有機物などが挙げられる。
また、触媒を添加する前に、硝酸性窒素含有水のpHを好ましくは6〜12、より好ましくは7〜11の範囲とする。pHをこのような範囲とすることで、触媒の金属系微粒子の溶出や触媒活性の低下、副生物のNH3量の増加を防止することができる。
本発明の触媒の添加量は、硝酸性窒素含有水において、触媒中の金属系微粒子が0.00001〜0.5質量%となるように添加することが好ましく、0.0001〜0.1質量%となるように添加することがより好ましい。
添加量がこのような範囲であると、より十分な触媒活性を得ることができ、かつ経済的にも好ましい。
本発明の触媒と硝酸性窒素含有水との接触時間は、硝酸性窒素含有水の量、処理前の硝酸性窒素の濃度、処理後の目標とする硝酸性窒素の濃度、硝酸性窒素含有水中の不純物(有機物や金属)の濃度、触媒中の金属系微粒子の含有量、無機系担体触媒の粒子径等によって異なるが、概ね20時間以下、通常3〜15時間の範囲であることが好ましい。
また、接触中の温度は、好ましくは20℃〜100℃、より好ましくは40℃〜80℃の範囲とする。接触時の温度がこのような範囲であると、より十分な触媒活性を得るとともに、触媒の劣化の進行をより遅らせることができる。
硝酸性窒素含有水と本発明の触媒との接触は、還元剤の存在下で行うことが好ましい。還元剤として、ヒドラジン、水素化硼素ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、キノン、ヒドロキノン、水素ガス等を用いることができる。還元剤の添加量は、硝酸性窒素含有水における硝酸性窒素のN量に対し1〜3mol倍量とすることが好ましく、1〜2mol倍量とすることがより好ましい。
本発明の処理方法では、本発明の触媒を硝酸性窒素含有水に接触することができれば、特に制限されず、例えば従来の処理設備を用いることができる。例えば、完全混合槽型、流通型、多段型、バッチ型等の処理設備が挙げられる。
本発明の触媒と硝酸性窒素含有水との接触は、硝酸性窒素含有水を金属系微粒子担持触媒に通液させる流通型の方式が好ましい。処理設備において連続運転が可能となり、硝酸性窒素含有水を効率的に処理することができ、さらには触媒と硝酸性窒素含有水の分離が不要となり、触媒の交換が容易になるからである。
具体的には、金属系微粒子担持触媒を充填した反応塔の一方から、硝酸性窒素含有水を流入させ、反応塔内部に保持された触媒と接触させる。この際、硝酸性窒素含有水に還元剤を混合してから反応塔に流入させることが好ましい。これにより、硝酸性窒素が還元分解され、硝酸性窒素含有水は処理液となり、反応塔のもう一方から流出する。
また、反応答に通液させる際の通液速度(SV値)は5〜30L/hが好ましく、10〜25L/hがより好ましい。
さらに、流通型における還元剤は、硝酸性窒素含有水と予め混合してから反応塔に流入させてもよいし、硝酸性窒素含有水を反応塔に流入させると同時に、還元剤を反応塔に流入させてもよい。
流通型以外の方式においては、処理水から触媒を分離して触媒を繰り返し使用することができるが、必要に応じて再生して用いることもできる。この分離手段は特に制限はされないが、例えば限外濾過膜やセラミックフィルター等を用いることができる。
本発明の実施例について説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
<担体の調整>
担体として、日揮触媒化成(株)社製のTiO2粉末(TMB−AA1514)を用いた。用いたTiO2粉末の細孔径は34nmであり、細孔容積は0.27nmであり、比表面積は30m2/gであった。
以降の実施例および比較例においても同様のTiO2粉末を用いた。
<金属系微粒子の調整>
純水100gに、金属系微粒子を構成するPdとCuの質量比が80/20となるように、硝酸パラジウム二水和塩3gおよび硝酸銅三水和塩1.15gを溶解した金属塩水溶液を調整した。この金属塩水溶液に、安定化剤として30質量%のクエン酸三ナトリウム水溶液20gと、還元剤として25質量%の硫酸第一鉄水溶液15gを加え、窒素雰囲気下で10時間撹拌し、金属系微粒子の分散液(A)を得た。この分散液(A)中の金属系微粒子の平均一次粒子径は4nmであった。
<触媒の調整>
上記の分散液(A)を遠心分離器により上澄み液と沈殿物とに分離し、上澄みを取り除くことで不純物を除去した後、さらに沈殿物に純水を加え、2質量%の金属系微粒子の分散液(B)を得た。この分散液(B)に前記担体を25℃で1時間浸漬させ、Pd−Cuコロイド/担体粉末混合体を得た。次に、Pd−Cuコロイド/担体粉末混合体を、真空乾燥機で150℃、12時間乾燥し、金属系微粒子担持触媒(以下、触媒)を調整した。この触媒中の金属担持量は1.0質量%であった。
〔比較例1〕
TiO2粉末の代わりに、活性炭を担体として用いた。それ以外は、実施例1と同様の方法で触媒を調整した。
〔比較例2〕
TiO2粉末の代わりに、Al23粉末を担体として用いた。それ以外は、実施例1と同様の方法で触媒を調整した。
上記の方法で調整した実施例1、比較例1および2の触媒を模擬廃液(A)に反応させ、各触媒における硝酸性窒素の還元分解反応に対する活性について調べた。模擬廃液(A)は、NO3を990ppm、NO2を460ppm、Feを83ppm、Naを0.46質量%、Clを0.57質量%およびCODを750ppm含有する水溶液である。
各触媒の硝酸性窒素の還元分解反応に対する活性は下記の方法により調べた。
<バッチ式活性試験>
図1は触媒活性およびその持続性を調べる反応器1である。恒温槽7にはった湯により80℃に保たれたセパラブルフラスコ9内において、触媒を添加した模擬廃液(A)3に、窒素ガス(純度99.9%、200ml/min)をパージしながら、マグネティックスターラー6で加温撹拌した。この際、触媒の添加量は9.1g、模擬廃液(A)は200ml、撹拌速度は200rpmであった。そこへ、2.5質量%ヒドラジン水溶液15を、ローラーポンプ17により16.5ml/hの滴下速度で2時間供給し、供給が終わった後さらに1時間加温撹拌を行って、触媒を模擬廃液(A)に反応させた。反応中は、副生物のNH3が冷却管19から排気される。次に、この触媒を反応させた模擬廃液(A)を冷却し、濾過して触媒を分離し、処理液を得た。さらに、処理液から分離した触媒を用いて、上記の試験を3または4回繰り返した。
この試験方法をバッチ式活性試験と呼ぶ。
上記の試験において、3〜4回繰り返した際の各処理液の硝酸性窒素(NO3+NO2)のN量を測定した。硝酸性窒素のN量の測定はHPLC(日本ダイオネクス(株)製、ICS−90)を用いた。結果を第1表に示す。
第1表より、繰り返し使用においても実施例1の触媒では、硝酸性窒素の還元分解反応に対する活性が高いことが認められた。
次に、模擬廃液(A)に、実施例1、比較例1または2の触媒に用いた担体のみを加え、バッチ式活性試験と同じ方法で反応させた。その後、得られた処理液について、第2表に示す各組成成分を測定した。NO3量、NO2量およびCl量の測定はHPLC(日本ダイオネクス(株)製、ICS−90)を用いた。Na量は原子吸光分析により、Fe量はICP発光分光分析により測定した。また、COD量は、過マンガン酸カリウムとシュウ酸を用いた酸化還元滴定により測定した。
ここでは繰り返し試験を行わず、模擬廃液(A)と担体との反応は1回のみ行った。
第2表より、実施例1で用いたTiO2担体では、模擬廃液(A)中のFeや有機物の吸着量が低いことが示された。
次に、実施例1、比較例1および2の触媒に用いた各種担体の平均細孔径、平均細孔容積および比表面積を調べた。なお、担体の平均細孔径、平均細孔容積および比表面積は、細孔分布測定装置(日本ベル社製、BELSORP−mini(II))を用いて、前述の窒素吸着法により測定した。測定結果を第3表に示す。
次に、種々の物性特性を持つTiO2担体を用いた触媒について、その触媒活性について調べた。
〔実施例2〕
<担体の調整>
TiO2粉末50gを純水100gに添加して懸濁した。その後、減圧下で80℃に加熱して水分を除去することで乾燥させ、この乾燥品を担体とした。
<金属系微粒子の調整>
純水100gに、金属系微粒子を構成するPdとCuの質量比が70/30となるように、硝酸パラジウム二水和塩7.4gおよび硝酸銅三水和塩4.9gを溶解した金属塩水溶液を調整した。この金属塩水溶液に、安定化剤として30質量%のクエン酸三ナトリウム水溶液265gと、還元剤として25質量%の硫酸第一鉄水溶液129g(硝酸パラジウムと硝酸銅の合計モル数の2倍量のモル数に相当)を加え、窒素雰囲気下で20時間撹拌し、金属系微粒子の分散液(A)を得た。この分散液(A)中の金属系微粒子の平均一次粒子径は4nmであった。
<触媒の調整>
このようにして得られた担体(乾燥品)および金属系微粒子を用いて、実施例1と同様の方法により触媒を調整した。
〔実施例3〕
Pd−Cuコロイド/担体粉末混合体を、静置式乾燥機(Yamato社製、型番DS400)を用いて150℃、12時間、大気乾燥した以外は、実施例2と同様の方法で触媒を調整した。
〔実施例4〕
Pd−Cuコロイド/担体粉末混合体を、高温乾燥機(Yamato社製、型番DN410I)を用いて、窒素ガス(純度99.9%、5L/min)の雰囲気下で150℃、12時間、乾燥した以外は、実施例2と同様の方法で触媒を調整した。
〔実施例5〕
担体の調整において、純水1000gに、TiO2粉末190gと、さらにAl23粉末10gを懸濁した以外は、実施例2と同様の方法で触媒を調整した。
〔実施例6〕
担体の調整において、純水1000gに、TiO2粉末190gと、さらにシリカゾル(日揮触媒化成(株)社製、型番:1SI−30)33gを懸濁した以外は、実施例2と同様の方法で触媒を調整した。
〔実施例7〕
担体の調整において、粉末状の担体をペレット状に成形した。それ以外は実施例5と同様の方法で触媒を調整した。
〔実施例8〕
担体の調整において、粉末状の担体をペレット状に成形した。それ以外は実施例6と同様の方法で触媒を調整した。
〔実施例9〕
担体の調整において、純水1000gに、TiO2粉末190gと、さらに硝酸スズ(II)20水和物20gを懸濁した以外は、実施例2と同様の方法で触媒を調整した。
〔実施例10〕
担体の調整において、純水1000gに、TiO2粉末190gと、さらに硝酸亜鉛6水和物20gを懸濁した以外は、実施例2と同様の方法で触媒を調整した。
<触媒粒子のSEM観察>
実施例2の触媒の粒子を、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した。SEM画像(倍率、300,000倍)を図2に示す。
〔比較例3〕
担体の調整において、実施例2と同様の方法で得られた乾燥品をさらに1200℃で焼成したものを担体とした。それ以外は、実施例2と同様の方法で触媒を調整した。
〔比較例4〕
金属系微粒子の調整において、パラジウムと銅の濃度を3倍量とした以外は、実施例2と同様の方法で触媒を調整した。
〔比較例5〕
担体の調整において、TiO2粉末の代わりに活性炭を用いた以外は実施例2と同様の方法で触媒を調整した。
〔比較例6〕
真空乾燥機で400℃、12時間乾燥して金属系微粒子担持触媒を調整したこと以外は、実施例2と同様の方法で触媒を調整した。
次に、上記の実施例2〜10および比較例3〜6の各物性特性について調べた。
担体および金属系微粒子の平均一次粒子径を、前述の方法により測定した。透過型電子顕微鏡は(株)日立製作所製、H−800を用いた。
また、担体の平均細孔径、平均細孔容積および比表面積を、細孔分布測定装置(日本ベル社製、BELSORP−mini(II))を用いて、前述の窒素吸着法により測定した。
さらに、実施例2〜10および比較例3〜6の硝酸性窒素の還元分解反応に対する活性を以下の方法により調べた。
硝酸性窒素の含有量がNとして400ppmとなるように、硝酸ナトリウム(関東化学株式会社製、特級)および亜硝酸ナトリウム(関東化学株式会社製、特級)を純水に溶解して、硝酸性窒素含有水25kgを調整した。
次に、前述のバッチ式活性試験にて、硝酸性窒素含有水に各実施例および比較例の触媒を反応させた。得られた各処理液中に含まれる硝酸性窒素濃度(NO3およびNO2)をHPLC(日本ダイオネクス(株)製、ICS−90)により測定し、〔1−測定した硝酸性窒素濃度(ppm)/硝酸含有水中の硝酸性窒素含有量(400ppm)〕×100の値を、窒素分解率(%)として求めた。さらに、処理後の触媒を回収し、上記の測定を5回繰り返した。
また、実施例2で得られた触媒の窒素分解率を測定するに当たり、バッチ式活性試験における反応器1の加熱温度を40℃(実施例2−1)、60℃(実施例2−2)、80℃(実施例2−3)とした試験も行った。
第4表に、実施例2〜10および比較例3〜6の各物性特性、並びに窒素分解率を示す。第4表に示す窒素分解率は上記の測定によって得られた5回分の測定結果の平均値である。
第4表より、全ての実施例において、80%以上の高い窒素分解率が認められた。
次に、本発明の触媒処理を連続的に行った場合の硝酸性窒素の還元分解反応に対する活性を調べるため、下記に示すような試験を行った。
<カラム式活性試験>
カラム型反応塔を用いて、本発明の触媒における触媒活性を調べた。この反応塔は、その内部に触媒を保持したまま、反応塔内に液体を通液させることができる構造となっている。これにより、反応塔内を通過した液体は、内部で触媒と接触するため、還元分解された処理液となって反応塔から流出する。
円筒状のカラム型反応塔(外径12mm、内径10mm、長さ100mm)内に、実施例2で得られた触媒7gを充填した後、カラム型反応塔の長手方向が鉛直方向となるように設置した。反応塔内および硝酸性窒素含有水を40℃(実施例2−4)、60℃(実施例2−5)、80℃(実施例2−6)に保持しながら、反応塔の上側から反応塔内へ硝酸性窒素含有水とヒドラジンとの混合溶液を注入し、12.9L/h(SV値)の通液速度で反応塔内を通過させた。なお、硝酸性窒素含有水は硝酸性窒素の含有量がNとして400ppmとなるように調整したものを用いた。前記混合溶液は、硝酸性窒素含有水における硝酸性窒素中の硝酸に対し1.2mol倍相当量のヒドラジンを、硝酸性窒素含有水に2時間かけて添加したものであり、これを140ml用いた。この反応塔内を通過し、反応塔の下側から流出した混合溶液を処理液とした。
この処理液の硝酸性窒素濃度(NO3およびNO2)をHPLC(日本ダイオネクス(株)製、ICS−90)により測定し、窒素分解率(%)を求めた。
結果を第5表に示す。
次に、本発明の触媒を模擬廃液(B)に反応させる試験を繰り返し行い、触媒活性の持続性について調べた。模擬廃液(B)は、NO3を1000ppm、NO2を500ppm、NaClを10g/L、Feを100mg/LおよびEDTAを1000mg/L含有する水溶液である。また、模擬廃液(B)に反応させる触媒は実施例2と同じものを用いた。この触媒の金属担持量は1.2質量%であった。
触媒活性の持続性については、バッチ式活性試験およびカラム式活性試験の2通りの試験を行った。
バッチ式活性試験では、実施例2の触媒9.1gを模擬廃液(B)200mlに添加して反応させた。得られた処理液から触媒を回収し、同じ試験を10回繰り返した。
カラム式活性試験では、実施例2の触媒9.1gを充填したカラム型反応塔に、模擬廃液(B)200mlを通液させ、処理液を得た。
その後、同じカラム型反応塔に新たに模擬廃液を200ml通液させ、さらに処理液を得る試験を10回繰り返した。
バッチ式およびカラム式活性試験方法における各繰り返し試験回数の処理液について、硝酸性窒素(NO3+NO2)のN量を測定した。硝酸性窒素のN量の測定はHPLC(日本ダイオネクス(株)製、ICS−90)を用いた。各繰り返し回数における硝酸性窒素のN量の変化を図3に示す。
図3より、上記の試験を10回繰り返しても、処理液中の硝酸性窒素のN量は低い値を示すことから、実施例2の触媒活性は高い持続性があることが認められた。
1 反応器
3 触媒を添加した模擬廃液(A)
5 スターラーバー
6 マグネティックスターラー
7 恒温槽
9 セパラブルフラスコ
11 温度コントローラ
17 ローラーポンプ
19 冷却管
21 窒素ガスボンベ

Claims (12)

  1. 少なくともPdおよびCuを含む金属系微粒子が無機系担体物質に担持された金属系微粒子担持触媒であって、
    前記無機系担体物質は平均一次粒子径が5〜200nmであり、Ti、Al、Si、Sn、およびZnからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の酸化物を主成分として含み、前記金属系微粒子は平均一次粒子径が1〜9nmである金属系微粒子担持触媒。
  2. 前記無機系担体物質の平均細孔径が5〜100nm、平均細孔容積が0.1〜1.5ml/g、比表面積が10〜300m2/gである請求項1に記載の金属系微粒子担持触媒。
  3. 前記無機系担体物質の主成分がTiO2である請求項1または2に記載の金属系微粒子担持触媒。
  4. 前記無機系担体物質が球状またはペレット状である請求項1〜3のいずれかに記載の金属系微粒子担持触媒。
  5. 前記金属系微粒子中におけるPd:Cuの質量比が30:70〜99:1である請求項1〜4のいずれかに記載の金属系微粒子担持触媒。
  6. 前記金属系微粒子の含有率が0.1〜10質量%である請求項1〜5のいずれかに記載の金属系微粒子担持触媒。
  7. 平均一次粒子径が5〜200nmであり、Ti、Al、Si、Sn、およびZnからなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の酸化物を主成分として含む無機系担体物質を得る担体調整工程と、
    少なくともPdおよびCuを含み、平均一次粒子径が1〜9nmである金属系微粒子の分散液を得る分散液調整工程と、
    前記無機系担体物質を前記分散液に浸漬させて、金属系微粒子・担体混合体を得る浸漬工程と、
    前記金属系微粒子・担体混合体を乾燥させて金属系微粒子担持触媒を得る乾燥工程と、を備える金属系微粒子担持触媒の製造方法。
  8. 前記浸漬工程を、大気中または減圧雰囲気下で行う請求項7に記載の金属系微粒子担持触媒の製造方法。
  9. 前記乾燥工程における乾燥温度が100〜200℃である請求項7または8に記載の金属系微粒子担持触媒の製造方法。
  10. 前記乾燥工程を、大気中、真空中、不活性ガス雰囲気下、または還元ガス雰囲気下で行う請求項7〜9のいずれかに記載の金属系微粒子担持触媒の製造方法。
  11. 請求項1〜6のいずれかに記載の金属系微粒子担持触媒を硝酸性窒素含有水に接触させる硝酸性窒素含有水の処理方法。
  12. 請求項1〜6のいずれかに記載の金属系微粒子担持触媒を充填した反応塔に硝酸性窒素含有水を通液させる請求項11に記載の硝酸性窒素含有水の処理方法。
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