本明細書は、医療用体外除細動装置がBLSモードとALSモードの両方で対話を提供できる機構について説明する。ここで説明する技術は、比較的未熟な使用者も除細動装置を操作することができるように、便利なBLSモードでの動作を備えた技術である。例えば、ユーザが圧倒されたり困惑することがないよう、ALSモードで好適な機能をBLSモードでは隠すことができる。特定のこうした機能は、ユーザが除細動装置の動作に作用するように操作し得る物理的実体によって発現できるが、これらは物理的であるため、電子的に(例えば、画面上に表示しない)ではなく物理的に(例えば、上からカバーをかける)隠蔽する必要がある。
一つの実施例として、ペーシング調節ノブ又はダイヤルの形状を有する、人によって操作可能な物理的装置は、除細動器がBLSモードにある場合、通常はドアの背後に隠されており、そのため、基礎医療提供者は、それらの装置によって動転する必要はない。また、該除細動器は、該除細動器をALSモードに(または、より具体的には、ALSモードのうちのペーシングモードに)変更するための回転ノブの形状を有する、人によって動作可能な装置も備える。また、該除細動器は、該回転ノブが動かされた場合に、該ドアを、該ドアが磁力によって閉じたままにされる状態から、該ドアが、磁気的反発によって押し開かれる状態に変更するように協働する複数の磁石を備える。具体的には、ある磁石は、該ドアのヒンジから離れた該ドアの端部に取付けられ、別の磁石は、該除細動器のハウジング内に取付けられ、その結果、これら2つの磁石は、通常の状況では、該ドアを閉じたままにするように協働する。第3の磁石は、該ノブが回転されて該除細動器をALSモードに変えるときに、該回転ノブと協働して動いて該磁石が第2の磁石の近傍に移動するように配置されて、第2の磁石に打ち勝って該ドアを開けることができる。該ドアは、該除細動器がBLSモードに戻されるまで、このような状況では、継ぎ目(shut)をラッチしない。
図1Aは、基本の生命維持モードにあるデュアルモード型の除細動装置102の前部を示す。図1Bは、同じデュアルモード除細動装置102の前部を示すが、この場合、装置は高次生命維持モードにある。いずれの図面も、介護者が除細動装置102を操作する際に見ることができる多数の機能を備えた除細動装置102の前部表面を示している。ユーザは、除細動装置102が現在いずれの状態またはモードにあるかを、例えば図1Aのインジケータ122で見ることができる。同図では、インジケータは装置がオン状態にあり、自動式体外除細動装置(またはAED)をBLSモードで使用できることを示している。図1Bでは、ノブ116を反時計方向へ2目盛り回して「ペーサ(PACER)」に合わせることで、装置がペーサ付きALSモードに変更されて、さらに多くのインジケータおよび制御部が示されている。
次に、除細動装置102の両モードで見られるアイテムをより詳細に参照すると、除細動装置102のユーザにテキストとグラフィックによる情報をダイナミックな方式で提供することが好ましい電子ディスプレイ104を示している。この電子ディスプレイ104は、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)パネル、有機発光ダイオード(OLED)、または他の適切な電子ディスプレイ技術の形態であってもよい。BLSモードでは、例えば、ディスプレイ104をやや簡素にし、発症患者の生命維持を行う全工程にわたってユーザを案内するテキストを提供することができる。例えば、発症患者に胸部圧迫を施す場合には、ディスプレイ104は状況に応じ(例えば、組立品の内部に電極と共に設けられた、また、ハウジング内に格納され、ユーザによって発症患者の胸部に対し押圧される加速度計を介して検知した結果に従い)、患者に電極を取り付ける、CPR(心肺蘇生法)を施す、より強くまたはよりソフトに圧迫する、より速くまたはよりゆっくりと圧迫する、といった指示をテキストまたは簡単なグラフィックでユーザに対して提示することができる。ディスプレイ104上での、こうした指示に、除細動装置102に内蔵されたスピーカを通した口述指示を付け加えることも可能である。本ユニットは、起動時に自動的にBLSモードになり、その後、ユーザがALSモード(およびベーシングモード)に変更し得る。
ALSモードでは、ディスプレイ104は追加の、場合によっては非常に詳細な情報をユーザに提供できる。例えば、ディスプレイは、患者のECG、過去に設定された期間にわたるCPR胸部圧迫のグラフ、CPR施術の総経過時間、発症患者の脈拍、および患者に取り付けた電極パッドに関する情報を表示できる。
これに加え、ディスプレイ104の下方縁に、ディスプレイ104の下に1列に並んだ複数の選択キー114(ソフトキー)の列に対応したテキストまたはグラフィックによるラベルを提示してもよい。そのため、例えば、除細動装置102に関する追加の情報を見るか、あるいは除細動装置102を制御するパラメータを変更するために、この1列のラベルによりラベルに関連付けて整列しているキーをユーザが押すことで選択できるトピックのメニューが用意される。
選択キー114の隣には非侵襲性血圧(NIBP)ボタン112がある。このボタン部を選択すると、除細動装置102が発症患者の血圧を測定し、その結果がディスプレイ104上に表示される。
両モードにおいて、除細動装置102の頂部に沿って多数のさらなるインジケータが表示される。例えば、電池インジケータ106を、電池残量が低下した場合に点灯または点滅させることで、ユーザがこれに従って発症患者の処置を調整したり、除細動装置102用のAC電源を探せるようにしてもよい。携帯電話において広く用いられている技術で、電池が電池残量レベルに対応した度数にまで「充電」されている画像を示すことにより、電池レベルをアイコン上に表すこともできる。1つの実施において、定常点灯の黄色インジケータは電池が充電中であることを示し、定常点灯の緑色インジケータは充電完了を示し、黄色インジケータと緑色インジケータの交互の点灯は電池が設置されていないか、または充電不良の発生を示す。
上述と類似の方式で、除細動装置102をAC電源につないだ際にAC電源インジケータ108を点灯させることができる。除細動装置102を電源につないでいない時には、インジケータを表示しても、点灯しないようにすることで、ユーザは除細動装置102を電源につなぐことが可能である旨を知ることができる。
除細動装置102が動作の準備ができると、最新の自己診断運転に基づいて、コード準備度インジケータ110が点灯される。緑色のチェックマークは、本ユニットが治療への使用の準備ができたことを示し、赤い「×」は、除細動装置102の準備度が危うく、治療への使用の準備ができていない可能性のあることを示す。
除細動装置102のユーザは、モード選択ノブ116を掴んで回転させることで、除細動装置102の動作モードを選択できる。このノブは通常は「オフ」位置に合わせておいてもよい(ノブ116の背突起上の矢印インジケータが示すとおり)。図1Aでは、ユーザがノブを時計方向に回して矢印インジケータが「オン」位置を指すように合わせる。「オン」位置に合わせることで、除細動装置102が、AEDインジケータ122によって示されるように半自動AEDとして動作する。
図1Aに見られるように、このBLSモードでのユーザインターフェースは非常に厳密である。このようなモードでは、ユーザは、多くの訓練を積んでいて除細動装置102を精密に制御できるユーザとは期待されていない。そのため、ユーザへの十分な案内がディスプレイ104に表示され、恐らくはこれと組み合わせて音声による指示も提供される。また、この例では、除細動装置102を他モードに切り替えるオプションさえユーザに提示していない。
図1Bでは、ユーザはノブ116を反時計方向へ回し、「オフ」位置を超えて、これまでは隠されていた「ペーサ」位置に合わせている。「ペーサ」は除細動装置102の手動ALSモードの一部であってもよい。ALSモードの使用を望むこととなろう、そしてこのモードを使用できるであろうユーザは、高度な訓練を受けており、除細動装置102に非常に精通しているので、このモードが利用できることを知っていると推測される(しかし、このモードを除細動装置102上に表示しておくことも可能である)。
ユーザがモードをALSモードに切り替えると、それに対応して多数の変更が見られる。例えば、除細動装置102がBLSモードにある時には、ノブ116の上のディスプレイ領域は無表示になっている。しかし、次に除細動装置102をALSモードにすると、ディスプレイ領域に多数のラベルが現れるが、これはユーザがノブ116をALSモードに切り替えると、装置内のマイクロプロセッサおよび関連の回路構成が、高度の訓練を受けた救助員に関係あるが、そこまでの訓練を受けていない救助員には関係のない多数の機能を実行できるようにする。例えば、ディスプレイ領域(ユーザが選択できる領域を含む)には、除細動装置102の電極に印加された電力レベルに関するパラメータ、また、ECG関連の機能の読み出しおよび制御に関するパラメータについての情報を表示することができる。
また、除細動装置102の下方隅にある2つの隣接するノブ134、136を予めカバーしたぺーサーカバー124を下方かつ除細動装置102ハウジングの下に旋回して、ノブ134、136が露出される。ノブ134は、除細動装置102に取り付けた電極がペーシング出力を提供する際に、その電力出力を制御する。ペーシングを選択すると、ノブ136によりペースメーカの動作速度(パルス/分)が設定される。次いで、選択したペーシング速度設定がディスプレイ104上に表示される。
除細動装置102は、こうした前部を示す図では見られない更なるコンポーネントを設けていてもよい。例えば、パッケージ電極および関連するフィードバック機構(例えば加速度計ベースの変位測定システム)を除細動装置102の側部に物理的に取り付けたり、予め除細動装置102に電気的に取り付けておくことで、緊突然の状況で除細動装置102をより迅速に展開できるようになる。さらに、除細動装置102のハウジング内に記録紙レコーダを格納することもでき、これは例えばUSBポートやWiFi無線インターフェースなどの電子記録機構および電子データ伝送コンポーネントのようなものであってもよい。
図2は、体外除細動器のドアラッチングおよびアンラッチング機構の部分断面図を示す。該機構は、除細動器上に、例えば、図1Aおよび図1Bにおける除細動器102の前面の下方右側角部のドア124内に設けられている。通常、当該除細動器が、ALSの一部であるペーシングモード、または、経験豊富な医療提供者(例えば、コードチームやEMT)による使用のために設計された除細動器の手動モードにある場合に、ドアが開いてドアが開いたままになるように、該ドアおよびその付随するハードウェアは構成されている。
図面の上方には、モード選択ノブ202が図示されている。ノブ202は、該除細動器のハウジング内で回転可能に取付けられている。ノブ202は、ノブ202の正面端部にわたって、該除細動器のユーザがつかむことができ、およびノブ202が現在指し示している方向をユーザに示すための矢印または他のインジケータが印刷またはエンボス加工されている突起部を有している。ノブ202は、該ノブが、該除細動器のハウジングの前面に印刷されたいくつかのモードに対応する特定の位置に合って、該モードを越える領域に移動できないように、通常の方法で停止部およびブロック部を備えることができる。また、該ノブは、複数のアクティブ接触領域(active contact area)を有するスイッチの一部であってもよく、この場合、各接触領域は、ノブ202の位置に対応する該除細動器の動作の特定のモードに対応する。該接触領域は、回路を非活性化することができ、または、該除細動器の動作との協働を課されている中央マイクロプロセッサへの信号伝達を他の方法で実行できる。例えば、該マイクロプロセッサは、該除細動器がALSモードにある場合に、上述したように、いくつかの光源を活性化させて、ユーザは、それまでユーザには見えなかった新たな機能を目にすることができる。また、該マイクロプロセッサは、該除細動器で行われる処置を変更することもでき、および該除細動器の電子表示装置に示されている情報を変更することができる。
該除細動器上のドア210は、該除細動器の底部に配設されているヒンジ212で旋回する。ドア210が、ドア210の全開位置まで旋回されると、該ドアは、該除細動器のハウジングの前面の領域をカバーする。該除細動器のハウジングの前面の領域には、調節ノブまたは他のユーザによって操作可能なアイテムが配置されている。このようなアイテムは、該装置が、手動またはALSモード等の第2のモードにある場合にのみ適用可能とすることができ、そのため、該除細動器が自動またはBLSモードにある場合には、それらのアイテムを経験の少ないユーザから隠すことが最適である。他の実施形態においては、ドア210は、横方向に向かって移動して、該除細動器のユーザのためにコンパートメントを開けるスライドドアとすることができる。また、該ドアは、円弧状に旋回してもよく、その結果、該ドアが開く際、回転軸を下方および後方に向かって滑動させながら、該ドア全体が該除細動器の下部に滑動する。4棒機構および6棒機構等の様々な公知の機構を、ドア210の適切な移動経路を形成するのに利用することができる。
円盤状磁石の形状を有する磁石208は、ヒンジ212が配設されている端部の反対側である該ドアの端部に設けられている。したがって、磁石208は、該ヒンジ周りにモーメントを生成して、ドア210を開くかまたは閉じる、あるいは、一旦、該ドアが閉じられたら、閉じたままにするのに用いられる。磁石208は、ドア210を形成しているプラスチックにはめ込むか、またはドア210内の凹部に付着する。また、磁石208は、様々な他の適当な方法で、ドア210に取付けるか、または該ドア内に取付けることができる。
別の磁石204が、該除細動器の正面フレーム206に取付けられている。磁石204は、該ドアが閉じられているときには、磁石208に近接しており、その結果、2つの磁石間の磁力は、該ドアを閉じたままにするように作用する。磁石204、208は、該医療装置に供給される電力がない場合でも、ドア210を閉じたままにすることができるように永久磁石であるが、これらの磁石は、適切な状況では、電磁石として実装することも可能である。磁石204は、この実施例においては、球状磁石として図示されており、および正面フレーム206と、該除細動器の別のフレームとの間に緩く保持されている。このようにして、磁石204は、所定の位置に保持されているため、必要に応じて回転することができる。
また、磁石204および208は共に、該除細動器の周りのほこりや他の物質が、これらの磁石の周りや背後に詰まらないように密封することができる。このようにして、本願明細書に記載されているドアの開閉機構は、緊急医療環境周辺にある通常のごみが該機構に侵入することを、該除細動器のユーザが気にする必要がないという点でより便宜的に実施することができる。
図3Aは、ドアラッチング機構の拡大断面図を示す。該機構は、図2に示す機構と同一であり、および機構の中に円盤状磁石306が取付けられているドア308を含んで図示されている。また、球状磁石302が、除細動器の正面フレーム304と、該除細動器の別の対向するフレームとの間に取付けられている。ここでは、各磁石のN極およびS極が図示されており、磁石306のS極と、磁石302のN極との間の相対的磁力が図を見て分かる。この位置におけるこれらの磁石間の吸引力が、該除細動器の典型的な動作時に、ドア308を保持するのに十分であるように、これらの磁石は選択され、且つ磁石のサイズが設定される。
いくつかの実施形態において、ドア308は、例えば、ドア308を開いたままにするように作動することのできるばねヒンジを備えることができる。該ヒンジが、該ドアの底部にある場合には、重力も該ドアを開いたままにするように作用することが可能である。
このような状況において、該除細動器が第1のモードにある場合は、磁石302、306の通常の磁力が、該ドアを開くように作用する力の合計(例えば、ばねと重力)よりも大きくなるように、磁石302、306が選択され、且つ位置決めされ、磁石302、306のサイズが設定される。
図3Bは、該ラッチングシステムに対応する除細動器を第2の動作モードにセットするようにノブが回転している状態の図3Aのドアラッチング機構の断面図を示す。この実施例において、該図は、図3Aに示す図からいくらか拡大されており、そのため、回転ノブ310の底部が、該図の上部に図示されている。ノブ310は、ユーザによってつかむことのできる、該除細動器の前面の比較的大きな対象物として、該除細動器をオンオフし、且つ該除細動器の動作モードを設定することができる。また、ノブは、該除細動器の前面で最大の選択可能な対象物として、該除細動器の使用のための基本モードを設定する際にノブの重要性を強調することができる。
該図に示すように、磁石312が、例えば、ノブ310の周縁部の一部の周りに円弧状に、ノブ310に取付けられている。ノブ310が回転されて、該除細動器がBLSモードにセットされると、磁石312は、該磁石312を磁石302の通常の領域(general area)外に配置する該ノブの側部に当接している。しかし、該除細動器をALSモードに、およびより具体的には、ALSモードのペーサーモードにセットする際、その中に磁石312が取付けられているノブ310の側部が移動して、ノブ310が磁石302に近接するように回転されて、2つの磁石302および312の磁界は互いに干渉する。磁石302をひっくり返す磁石312の磁界の結果として、球状磁石302の極性を逆にするこのような干渉を図3Bに示す。このような変化は、磁石302が磁石306を引き付けることをもはやなくし、および実際には、磁石306を反発させ、このことは、ドア308が開かれて、該ドアの自由縁部において、該除細動器のハウジングから離したように図示されている。
図4は、図3Bに示す動作の結果であり、そのドアが部分的に開いた状態の該除細動器の部分断面図を示す。この実施例において、回転可能なモード選択ノブ402は、ノブ402がユーザによって回転されて該除細動器のモードを変更する際に、磁石404が円弧状に横切るように、磁石404が該ノブの周縁部近傍に設けられた状態で図示されている。ノブ402が他の位置ではなく、いくつかの位置にある場合に、球状磁石406が磁石404に近接するように、球状磁石406は、該ハウジング内に設けられている。図示の実施例において、ノブ402は反時計回りに回転されて、磁石404がノブ402の底部にあり、および球状磁石406に対して可能な限り近接した位置にある。
ドア414内の磁石412が、球状磁石406からの磁力で押しのけられているため、ヒンジ416を介して該除細動器のハウジングに取付けられたドア414は、ヒンジの回転軸周りに下方へ動かされた状態で図示されている。したがって、調節ノブ410が、該ハウジングの前面に露出され、該ノブおよび球状磁石は、該ハウジングの正面フレーム408によって包囲される。その結果、ノブ402を反時計回りに回転させることにより、該除細動器のユーザは、該除細動器の1つのモードから、ノブ410に関連付けられている(および該ノブによって制御することができる)別のモードへの切替えと共に、ドア414を自動的に開けることができる。したがって、ユーザは、該除細動器の展開が必要な緊急対応時に生じるであろう多くの他の重要な作業から注意をそらされる心配はない。
この構造を用いると、該ドアは、該除細動器のノブ402が図示の位置にある間に、間違って閉じることがない。これは、磁石404および406が、そこから磁石412を移動させる(expel)位置に留まって位置しているためである。したがって、ユーザが、オフ位置等の異なる位置へノブ402を動かして戻すまで、該ドアを手動で閉じる試みは、該ドアが再び自動的に開かれることによって阻まれる。
別の実施形態においては、ドア414は、回転ドアではなく、1つ以上の磁石が取付けられているスライドドアとして設けることができる。この場合、ノブ402は、該ノブが回転された場合に、第2の磁石を該ドアの上で横方向に滑動させるラックアンドピニオン型の機構に取付けることができる。その結果、第2の磁石は、該ドア内の1つ以上の磁石と相互に作用して、ノブ402の位置に基づいて、該ドアを一つの方向または別の方向に向かって離間させることができる。具体的には、ノブ402は、外周に形成されたギア歯を有し、またノブ402の下の水平方向に、プラスチック製のストリップを設け、該ストリップが、その上面に形成された歯を有し、およびノブ402の周辺の最底部において、それらの歯がノブ402の歯とかみ合うように、該ストリップを配置することができる。したがって、ノブ402の回転は、該ストリップを横方向に往復移動させることができる。同様に、ドア414は、該プラスチック製のストリップの下で横方向に円滑に移動できるように、スロット内に保持され、各端部に磁石を有することができる。その結果、ノブ402が回されるときの該ストリップの相対運動は、該ストリップに取付けられた磁石を横方向に向かって滑動させ、およびそれに伴って移動させて、該ドア内の磁石と磁気的に接触させ、または接触を外すことができる。このような磁気的接触は、ドア414内に横方向の力を生成することができ、ドア414は、右側または左側に向かって滑動して、いくつかのアイテムを必要に応じて露出または隠す。
図5は、医療装置に対してモードが移行された場合、該装置のドアをアンラッチングするためのプロセスのフローチャートである。一般に、該プロセスは、除細動器等の医療装置のユーザが、該装置を第1の動作モードから第2の動作モードに切替える際に起きる電子的作用を生じる可能性のある機械的動作を伴う。
該プロセスは、ボックス502で始まり、医療装置が、該装置上のモード変更機構に関するユーザによる動作を受取る。該動作は、該機構における実質的な動作を生じさせるように、回転ノブまたはスライダ等の該装置上の機構を作動させる。ボックス504において、該機構に関連付けられている電気的接点が、モード変更機構によって移動される。例えば、回転スイッチの軸上、または回転スイッチのベースの接点は、互いに相対的に移動させることができ、該スイッチは、ユーザからの動作を感知して記録する。そして、接点の関係の変更は、マイクロプロセッサ、または該装置上で動作する他の適当な機構へ報告することができ、該装置は、例えば、それまでに該装置によって受け入れられていない新たな入力を受け入れて、それまでに該装置によって実行されていない表示および機能を実行することにより、モードを電子的に変更し始める。
ボックス506において、ラッチング機構は、モード変更機構と共に動かされる。上述した実施例において、このような動作は、ノブまたは他の同様のモード変更装置に合わせて動くように取付けられている磁石を動かすことを伴う。該磁石の動きは、該磁石が、1つ以上の他の磁石の磁気的範囲内に侵入して、モード変更機構が、その元の位置にあったときに、それまでに保持したカバーまたはドアを定位置に保持した磁力に勝るように構成されている。該力に打ち勝つことは、該ドアを開けて、ユーザが、第1のモードではなく、第2のモードにあるはずだと考える該装置の追加的な機能を明示することができる。該磁石の位置は、モード変更機構(例えば、ノブ)が再び動かない限り、同じ状態にすることができ、その結果、該磁石は、そのような期間中、該ドアが閉じるのを避けることができる。
ボックス508において、該装置のモードは、上述したように、該装置内のマイクロプロセッサを用いることにより変更される。例えば、該マイクロプロセッサは、第2のモードで実行される機能に関連する記憶装置から命令をロードして、そのような命令の実行を始める。該命令は、例えば、該装置が、それ以降、開かれている該ドアの背後にそれまで隠されていた構造からの入力を受け入れ始めることを実行できるようにする。該装置の電子的モードのこのような変更と協働して、該ドアは、ボックス510において、該装置からイジェクトして(eject)、ボックス508で生じた動作の固有の結果とすることができる。一般に、該電子的モードの変更と、該ドアまたはカバーのイジェクトは同時に生じるが、そのタイミングは、例えば、該ノブ内で該磁石を動かすことにより、または、該マイクロプロセッサによって実行されるソフトウェアに遅延を設けることにより、ある程度変えることができる。この文書の文脈において、対応する動作の同時性は、追加的なアイテムに対する入力に応動する該装置の機能がユーザに与えられている場合に、それらのアイテムが提示される際のユーザの知覚に照らして判断することができる(すなわち、その結果、完全な同時性は必要ない)。いずれにしても、モード変更が、追加アイテムの明示と同時ではなくても、2つの動作は、該装置のユーザに対して自動的に調整される。
図6はコンピュータシステム600の概略図である。システム600は、例えば医療装置の電子モードを変更したり、電子装置のディスプレイ画面上に情報を表示する1つの実施に従い、先述のコンピュータに実装された方法のいずれかに関連して説明した動作に使用できる。システム600は図示にあるように様々な一般的形態であってもよいが、しかし、ここでの好適な形態は携帯型医療装置としてのものである。さらに、本システムに、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)フラッシュドライブ等の携帯型記憶媒体を設けることができる。例えば、USBフラッシュドライブは、オペレーティングシステムおよびその他のアプリケーションを記憶できる。USBフラッシュドライブは、別の計算装置のUSBポートに挿入できる入出力コンポーネント、例えば無線送信機やUSBコネクタを含む。
システム600は、プロセッサ610、メモリ620、記憶装置630、入出力装置640を含む。コンポーネント610、620、630、640の各々は、システムバス650を用いて相互に接続している。プロセッサ610は、システム600内で実行される命令を処理することができる。プロセッサは、多数のアーキテクチャのいずれをも使用できるようにも設計できる。例えば、プロセッサ610はCISC(複合命令セットコンピュータ)プロセッサ、RISC(縮小命令セットコンピュータ)プロセッサ、またはMISC(最小命令セットコンピュータ)プロセッサであってもよい。
1つの実施において、プロセッサ610はシングルスレッドタイプのプロセッサである。別の実施においては、プロセッサ610はマルチスレッドタイプのプロセッサである。プロセッサ610は、ユーザインターフェースのためのグラフィック情報を入出力装置640に表示するために、メモリ620または記憶装置630に記憶された命令を処理することができる。
メモリ620は、システム600内に情報を記憶する。1つの実施において、メモリ620はコンピュータ可読媒体である。1つの実施において、メモリ620は揮発性メモリユニットである。別の実施において、メモリ620は不揮発性メモリユニットである。
記憶装置630は、システム600に大容量記憶装置を提供し得る。1つの実施において、記憶装置630はコンピュータ可読媒体である。様々な異なる実施において、記憶装置630はフロッピーディスク(登録商標)装置、ハードディスク装置、光ディスク装置、またはテープ装置であってもよい。入出力装置640は、システムの入出力動作を提供する。1つの実施において、入出力装置640はキーボードおよびポインティング装置のうちの少なくとも一つを含む。別の実施において、入出力装置640は、グラフィカル・ユーザ・インターフェースを表示するためのディスプレイユニットを設けている。
ここで挙げた機能は、デジタル電子回路構成、またはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、あるいはこれらの組み合わせにおいて実施できる。本装置は、情報担体、例えばプログラム可能なプロセッサによって実行されるマシン可読記憶装置等の情報担体において、具体的に実施されるコンピュータプログラム製品であってもよく、また方法ステップは、プログラム可能なプロセッサが、入力データ上で動作し出力を生成することによって、既述の実施形態の機能を実行するべく命令のプログラムを実行することで実行される。既述の機能は、プログラム可能なシステム上で実行できる1つ以上のコンピュータプログラムにおいて有利に実施でき、ここでプログラム可能なシステムは、データ記憶システムと、少なくとも1つの入力装置と、少なくとも1つの出力装置との間でデータおよび命令を送受信するように接続された少なくとも1つのプログラム可能プロセッサを備える。コンピュータプログラムは、特定のアクティビティを実行するため、または特定の結果をもたらすために、コンピュータにおいて直接または間接的に使用できる命令のセットである。コンピュータプログラムは、コンパイル型言語またはインタプリタ型言語を含む任意の形式のプログラミング言語で記述することができ、また、スタンドアロンのプログラムとして、あるいはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、または計算関係での使用に適したその他のユニットとしての形式を含む任意の形式にて展開することができる。
命令のプログラムを実行するのに適したプロセッサには、単なる例として、汎用・専用両方のマイクロプロセッサ、あらゆるタイプのコンピュータの単独プロセッサまたは複数のプロセッサが含まれる。一般に、プロセッサは、読み出し専用メモリまたはランダム・アクセス・メモリ、あるいはこれらの両方から命令およびデータを受信する。コンピュータの基本的な構成部分は、命令を実行するプロセッサと、命令およびデータを記憶する1つ以上のメモリである。一般に、コンピュータは、データファイルを記憶するための1つ以上の大容量記憶装置を備えるか、またはこれら装置と通信するべくこれら装置に動作可能に接続しており、このような大容量記憶装置には、内蔵型ハードディスクやリムーバブルディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスクを含む。コンピュータプログラム命令およびデータを具体的に実施するのに適した記憶装置には、単なる例として、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ装置等の半導体メモリ装置と、内蔵型ハードディスクやリムーバブルディスク等の磁気ディスクと、光磁気ディスクと、CD−ROMおよびDVD−ROMとを含む全ての形態の不揮発性メモリが含まれる。プロセッサおよびメモリは、ASIC(特定用途向け集積回路)で補助するか、またはASICに組み込むことができる。
ユーザにする情報を表示するためのCRT(ブラウン管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタ等のディスプレイ装置と、ユーザがコンピュータに入力を行うための、キーボードや、マウスおよびトラックボール等のポインティング装置とを設けたコンピュータ上で機能を実施することで、ユーザとの対話を提供することができる。
機能は、データサーバ等のバックエンドコンポーネントを含む、または、アプリケーションサーバやインターネットサーバ等のミドルウェアコンポーネントを含む、あるいは、グラフィカル・ユーザ・インターフェースやインターネットブラウザを実装したクライアントコンピュータ等のフロントエンドコンポーネントを含む、もしくはこれらのあらゆる組み合わせを含むコンピュータシステムにおいて実施される。こうしたシステムのコンポーネントは、任意の形式または媒体のデジタルデータ通信、例えば通信ネットワークによって接続することができる。通信ネットワークの例には、ローカル・エリア・ネットワーク(「LAN」)、ワイド・エリア・ネットワーク(「WAN」)、ピア・ツー・ピア・ネットワーク(アドホックまたは静的メンバを有する)、グリッド計算インフラストラクチャ、インターネットが含まれる。
計算システムにはクライアントとサーバが含まれる。一般にクライアントとサーバは互いに遠く離れており、通常は上で挙げたもののようなネットワークを介して対話する。対応するコンピュータ上において実行中で、相互に対してクライアント/サーバ関係を持ったコンピュータプログラムのために、クライアントとサーバの関係が発生する。
多くの実施形態について説明してきた。それでもなお、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更を実行できることは理解されるであろう。例えば、この文書の大部分は、マルチ磁石ラッチング機構に関して記載されているが、上述したような同じ機能を用いる他の機構を用いることもできる。また、スライドドアおよび必要に応じて他のそのような構造等の旋回ドア以外の機構も、同様の方法で固定および解除することができる。したがって、他の実施形態も、以下の請求項の範囲内にある。