JP2015191212A - 共振体及びそれを用いた風鈴並びに共振体の振動周波数の計算方法 - Google Patents

共振体及びそれを用いた風鈴並びに共振体の振動周波数の計算方法 Download PDF

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Koichi Suzuki
幸一 鈴木
田中 隆充
Takamitsu Tanaka
隆充 田中
仁史 永田
Hitoshi Nagata
仁史 永田
貞人 平塚
Sadato Hiratsuka
貞人 平塚
皓 堀江
Akira Horie
皓 堀江
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Abstract

【課題】共振体及びそれを用いた風鈴並びに共振体の振動周波数の計算方法を提供する。
【解決手段】共振体1は、底面部1aと上面部1bと側面部1cとからなる筒状体を、備え、底面部1aの外周部に節を有する振動を、基音周波数とし、上面部1bの外周部に節を有する振動を、基音周波数よりも周波数の高い第1上音周波数とする。底面部1aの振動は、好ましくは4−0モードであり、上面部1bの振動は、好ましくは4−0モードである。風鈴は、上記共振体1を含んで構成することができる。共振体1によれば、例えば、鈴虫の鳴き声と同じ音域を発生することができる簡単な構造と低コストの共振体1を提供することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、共振体及びそれを用いた風鈴並びに共振体の振動周波数の計算方法に関するものである。
心的外傷ストレス障害(Post-Traumatic Stress Disorder:PTSD)などの心因性疾患に対し、音響刺激として、特に鈴虫の鳴き声が高い治療効果を有することが岩手大学の研究により実証されている(非特許文献1参照)。
風鈴の音色を変化させる方法として、風鈴本体に接続される共鳴体を用いることが、特許文献1に開示されている。特許文献1には、共鳴体として水を入れた花器を用いることが開示されている。
心身への癒し効果のある癒し音を発生するための癒し音発生装置が、特許文献2に開示されている。特許文献2に記載の癒し音発生装置は、自然音等をステレオ収録した音源を処理してメロディー基音及びベーシック基音に区分し、これらの音色毎にグループ分けして記憶部に入力し、楽音編成制御部でメロディー楽音及びベーシック楽音としている。さらに、癒し音発生装置の補正制御部において、補正メロディー楽音及び補正ベーシック楽音に補正した後で、これらの楽音の相互を適宜にミキシングして所要の増幅をして、発音部から発音させる構成を有している。
特開2009−276408号公報 特開2007−293224号公報
鈴木幸一ほか、地域とQOL向上のための昆虫バイオテクノロジー、蚕糸・昆虫バイオテック、Vol.75、No.2、pp.97−102、2006
特許文献1に記載の風鈴は、風鈴本体とは別に風鈴本体に接続される共鳴体が必要であり、構成が複雑である。
特許文献2に記載の癒し音発生装置は、録音スタジオ等で使用する装置であり、構成が複雑でかつ高価である。
このように、従来の風鈴等に用いる共振体では、種々の音色を出すことが容易ではなく、かつ安価に実現できないという課題があった。
本発明は、上記課題に鑑み、例えば鈴虫(スズムシ科のHomoeogryllus japonicus又はコオロギ科のMeloimorpha japonica)などの鳴き声を発生することができる安価な共振体と、この共振体を用いた風鈴並びに共振体の振動周波数の計算方法を提供することを目的としている。
本発明者等は、共振体として、円錐台等の形状を有している筒状体の共振体において、底面部に起因する振動モードを基音とし、上面部に起因する振動モードを第1上音とすれば、例えば鈴虫の鳴き声を発生できるという知見を得て本発明に想到した。
上記の目的を達成するため、本発明の共振体は、底面部と上面部と側面部とからなる筒状体を、備え、底面部の外周部に節を有する振動を、基音周波数とし、上面部の外周部に節を有する振動を、基音周波数よりも周波数の高い第1上音周波数とする。
上記構成において、底面部の振動は、好ましくは、4−0モードである。上面部の振動は、好ましくは、4−0モードである。
本発明の風鈴は、上記何れかに記載の共振体を含む。
本発明の共振体の振動周波数の計算方法は、ステップST1において、共振体の厚さ、高さ、材料定数を入力し、ステップST2において、共振体の底面部の外径を入力し、ステップST3において、共振体の上面部の外径を入力し、ステップST4において、メッシュ形成を行い、ステップST5において、固有値解析により基音周波数を計算し、ステップST6において、基音周波数が、所望の周波数fになったか否かを判定し、所望の周波数fが得られない場合には、ステップST2に戻り、ステップST2では、共振体の底面部の外径を再入力して、ステップST4、ステップST5、ステップST6で再度、基音周波数と強度分布を再計算し、ステップST7において、基音周波数が、所望の周波数fに一致した場合には、ステップST8に進み、ステップST8において、固有値解析を行い第1上音周波数と強度分布を計算し、ステップST9において、第1上音周波数が、所望の周波数fになったか否かを判定し、所望の周波数fが得られない場合には、ステップST3に戻り、ステップST3では、共振体の上面部の外径を再入力して、ステップST4、ステップST5、ステップST6、ステップST7、ステップST8で再度、第1上音周波数と強度分布を再計算し、ステップST9において、第1上音周波数が、所望の周波数fに一致した場合には、共振体の厚さ、高さ、底面部の外径及び上面部の外径が求まることで、計算を終了する。基音と第1上音の制度が低い場合は、共振体の厚さ又は高さを適宜変更してもよい。
本発明の共振体によれば、例えば、鈴虫の鳴き声と同じ音域を発生することができる簡単な構造でかつ低コストの共振体を提供することができる。
本発明の風鈴によれば、例えば、鈴虫の鳴き声と同じ音域を発生することができるので、簡単な構造でかつ低コストの風鈴を提供することができる。この風鈴は、癒し音を発生できるので、医療用の音響刺激にも応用できる。
本発明の共振体の振動周波数の計算方法によれば、所望の音色を発生できる共振体の設計方法を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る共振体の構成を示す模式図である。 本発明の共振体の振動周波数を求める方法のフロー図である。 本発明の共振体を用いた第2の実施形態の風鈴の構成を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態の変形例1に係る風鈴の構成を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態の変形例2に係る風鈴の構成を示す模式図である。 実施例1の共振体の振動モードを示す図であり、(a)は基音の振動モードを、(b)は基音の振動モードを表す。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る共振体の構成を示す模式図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る共振体1は筒状体からなり、筒状体は、底面部1aと上面部1bと側面部1cとを備えている。共振体1は、円柱の中心部をくり抜いて開口部とした筒や円錐台形状とすることができる。図示の場合には、円錐体の頂部側を切り取り、底面部1aと上面部1bとが、それぞれ底面開口部1dと上面開口部1eを有している。側面部1cは、円錐体の錐部、つまり、底面部1aと上面部1bとの間の領域である。本発明の共振体1の厚さは側面部1cの厚さである。
共振体1は、打撃のような外力が加えられることにより振動音が発生する。外力は、自動又は人力、風力や水力などの自然の物理量で加えることができる。
共振体1は、金属、金属合金、ガラス等で形成することができる。金属としては、鉄等を用いることができる。鉄は、炭素(C)、シリコン(Si)等を含んだ鉄でもよい。鉄としては、鋳物用銑鉄、砂鉄等を使用することができる。金属合金としては、鉄系合金、青銅、真鍮等を用いることができる。
共振体1の振動音は、少なくとも一つ以上の周波数成分を含んで構成される。共振体1の周波数成分は、基音と、基音よりも周波数の高い第1上音と第2上音と第3上音等を含む。
第1上音は、基音の2倍又は2倍に近い周波数、例えば1.5倍や2.5倍とすることができる。第2上音は、基音の3倍又は3倍に近い周波数、例えば2.5倍や3.5倍とすることができる。なお、第1上音の周波数が基音の3倍付近になってもよい。
ここで、基音の2倍、3倍の周波数は、それぞれ2倍音、3倍音とも呼ばれる。
共振体1の振動音の内、基音成分は、最も振幅の大きな周波数成分であり、この基音成分により共振体1の音の高さが決まる。共振体1の振動音の内、基音成分よりも周波数の高い第1上音により共振体1の音色が決まる。第2上音や第3上音は一般に継続長が短く、周波数が高く、人の耳には聞こえ難いので音色への影響は小さい。
共振体1の形状の内、厚さと高さが与えられたとき、基音は、底面部1aの形状、つまり底面部1aの直径で決まる振動モードとすることができる。振動モードとしては、底面部1aの外周に節が4つできるタイプの振動(これを4−0モードと呼ぶ。)とすることができる。
共振体1の形状の内、厚さと高さが与えられたとき、第1上音は、上面部1bの形状、つまり上面部1bの直径で決まる振動モードとすることができる。振動モードとしては、上面部1bの外周に節が4つできるタイプの振動(これを4−0モードと呼ぶ。)とすることができる。
共振体1を鉄で形成する場合、鉄に混ぜる微量元素によって共振体1で発生する振動音において、主として余韻の長さを変えることができる。鉄に混ぜる微量元素としては、炭素(C)、シリコン(Si)等が挙げられる。このような鉄の組成として、例えば、Cが3.5質量%、Siが0.5質量%、残部は実質的に鉄(Fe)及び不可避的不純物であるものを挙げることができる。共振体1を鉄で形成する場合、鉄の硬さは、鉄に混ぜる炭素(C)の量で制御することができる。
共振体1の振動音は、楽器の音階や生物の鳴き声を模擬するような音にしてもよい。
共振体1の振動音として生物の鳴き声の一例として、鈴虫を模擬するような音にしてもよい。
鈴虫の鳴き声のスペクトル測定によれば、基音は4〜4.5kHz、第一上音は8〜9kHz、第2上音は12〜13.5kHzである。第2上音は12kHz以上であり、ツンと突くような音であるため音色への影響は限定的である。
なお、スペクトル測定は以下のように行った。測定用マイクロホンには、卓上据え置き型のエレクトレットコンデンサマイクロホン(オーディオテクニカ製、AT9820X)を用いた。鈴虫の鳴き声の録音は、パーソナルコンピュータ附属のオーディオカードを介して一般的な録音ソフトウェアで行った。また、録音データのサンプリング周波数は44100Hzとした。録音した音のスペクトル分析には一般に入手できるフリーソフト“snd”(https://ccrma.stanford.edu/software/snd)を用いた。
本発明の共振体1で鈴虫のような音、つまり、鈴虫を模擬するような音を発生するためには、共振体1の基音を4kHz近傍、例えば4000Hz〜4500Hzとし、第一上音を9kHz近傍、例えば8000Hz〜9000Hzとすればよい。
本発明の共振体1で鈴虫のような音を発生するためには、基音を底面部1aの形状、つまり底面部1aの直径で決まる振動モードとし、第1上音は、上面部1bの形状、つまり上面部1bの直径で決まる振動モードとすることができる。第1上音は、基音の2倍又は2倍に近い周波数とすることができる。
共振体1の寸法の一例は、厚さが2mm〜3mm、高さが35mm〜45mm、上面部1bの外径20〜25mm、底面部1aの外径40mm〜45mmである。
本発明の共振体1の表面には、発生する音に支障がない限り、模様が施されてもよい。
(共振体の振動周波数の設計方法)
次に、本発明の共振体1の振動周波数を計算する方法、つまり設計方法について説明する。
図2は、本発明の共振体1の振動周波数を求める方法のフロー図である。
ステップST1において、共振体1の厚さ、高さ、材料定数を入力する。
ステップST2において、共振体1の底面部1aの外径を入力する。
ステップST3において、共振体1の上面部1bの外径を入力する。
ステップST4において、メッシュ形成を行う。
ステップST5において、固有値解析により基音の周波数や強度分布を計算する。
ステップST6において、基音の周波数が、所望の基音周波数fになったか否かを判定し、所望の周波数fが得られない場合には、ステップST2に戻る。ステップST2では、共振体1の底面部1aの外径を再入力して、ステップST4、ステップST5、ステップST6で再度、基音の周波数や強度分布を再計算する。
ステップST7において、基音の周波数が、所望の周波数fに一致した場合には、ステップST8に進む。
ステップST8において、固有値解析を行い第1上音の周波数や強度分布を計算する。
ステップST9において、第1上音の周波数が、所望の周波数fになったか否かを判定し、所望の周波数fが得られない場合には、ステップST3に戻る。ステップST3では、共振体1の上面部1bの外径を再入力して、ステップST4、ステップST5、ステップST6、ステップST7、ステップST8で再度、第1上音の周波数や強度分布を再計算する。
ステップST9において、第1上音周波数が、所望の周波数fに一致した場合には、共振体1の厚さ、高さ、底面部1aの外径及び上面部1bの外径が求まるので、これにより計算を終了する。
ステップST4の形成するメッシュの形状は、四面体や六面体の多面体とすることができる。これは、四面体間の力の釣り合いを連立方程式で表して、これを解くことによって固有値解析や内部応力などを計算するからである。これにより、基音の周波数fや第1上音の周波数f等を計算することができる。
ステップST9において、第1上音の周波数が、所望の周波数fになったか否かを判定し、所望の周波数fが得られない場合には、ステップST3に戻る。ステップST3では、共振体1の上面部2bの外径を再入力して、ステップST4、ステップST5、ステップST6、ステップST7、ステップST8で再度、第1上音の周波数や強度分布を再計算する。
底面部1aの外径で変化する基音の固有振動周波数が目的の周波数fになるように、共振体1の形を少しずつ変えながら、計算を繰り返し行う。
次に、上面部2bの外径で変化する第1上音の固有振動周波数が目的の周波数fになるように、共振体1の形を少しずつ変えながら、計算を繰り返し行う。
底面部1aの直径と上面部1bの直径とは、それぞれが基音の周波数と第一上音の周波数の両方に影響を与えるので、これらの周波数を目的値の周波数であるf及びfに合わせるためには、多数回の繰り返し計算を行い、最適な共振体1の形状を決めればよい。
本発明の共振体1の振動周波数を求める上記各ステップは、有限要素法により計算することができる。有限要素法の計算は、パーソナルコンピュータ(PC)と有限要素法のソフトウェアを用いて行うことができる。基音の周波数及び第1上音の周波数は、有限要素法における固有モード解析の機能を用いて計算することができる。
ステップST1で入力する材料定数としては、使用する材料のヤング率(縦弾性係数)、ポアソン比、密度等を入力する。
上記のフロー図では、ステップST1で、共振体1の厚さ、高さ、材料定数を最初に入力して、底面部1aの外径、上面部1bの外径のいずれかを変えることにより、所望の基音の周波数f及び第1上音の周波数fを計算する手順を説明した。所望の基音の周波数fと第1上音の周波数fを計算する手順としては、上記の方法の他に、共振体1の厚さ、高さ、底面径、上面径のいずれかの値を与えて、それに応じて他のパラメータの値を調整することによっても計算することができる。
(共振体の製造方法)
共振体1は、以下に示す鋳造法等により製造することができる。
工程1:共振体1が得られる鋳型を作製する。鋳型は砂等を用いて作製する。
工程2:溶解した鉄を、鋳型に注ぎ込む。この工程は、鋳込みとも呼ばれている。
工程3:鋳型を外し、共振体1を取り出す。この工程は、型出しとも呼ばれている。
工程3の後、共振体1の熱処理や着色等を行ってもよい。
工程1で作製する鋳型は、複数の共振体1が得られる形状とすることにより、共振体1を大量生産することができる。
本発明の共振体1によれば、簡単な形状により所望の基音と第1上音を有している共振体1を容易に得ることができる。本発明の共振体1は、構造が簡単であるので、低コストで製造することができる。
従来の南部風鈴は、開口部が底面にあり、3000Hz以上の帯域に主要な周波数成分を有していた。本発明の風鈴では、共振体1を筒状体2や円錐台形状とし、底面部1aの外径で決まる振動モードを基音周波数とし、上面部1bの外径で決まる振動モードを第1上音周波数とすることにより、例えば鈴虫の鳴き声の音域である4000Hz〜4500Hzの周波数を確実に鳴らすことができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態として、本発明の共振体1を用いた風鈴について説明する。
図3は、本発明の共振体1を用いた風鈴10の構成を示す模式図である。図3に示すように、本発明の風鈴10は、共振体1と、共振体1の内部に配設される錘12と、錘12に紐14を介して接続される短冊16等を含んで構成されている。
共振体1は、第1の実施形態の共振体1と同様の構成である。共振体1の基音と第1上音の周波数は、所望の音になる寸法を有している。共振体1には、風鈴10を軒先等に紐等で接続するための接続部1gを設けている。
錘上部12aは、共振体1の上部に設けた接続部1hと紐18を介して接続され、可動できるようになっている。錘12は、舌とも呼ばれる。錘12は金属等の材料からなる。紐14、18は、布、プラスチック、紙、針金等からなる。
短冊16は、錘の下部12bに紐14を介して接続され、可動できるようになっている。短冊16が風等の気流で揺れたときに、短冊16に接続されている錘12も揺れるようになっている。短冊16は、紙やプラスチック等の材料からなる。
風鈴10は、軒先等の風通しのよい所に吊るされて使用される。風鈴10は、短冊16が風により揺れたときに、短冊16に接続された錘12も同時に揺れて、錘12が共振体1を打撃することにより、共振体1が音を出す。この音は、共振体1の基音と第1上音の周波数が主成分である。
共振体1の基音の周波数を4000Hz〜4500Hzとし、第一上音を9000Hz〜11250Hzとすれば、風鈴10の音色は鈴虫の鳴き声となる。
(第2の実施形態の変形例1)
図4は、本発明の第2の実施形態の変形例1に係る風鈴20の構成を示す模式図である。図4に示すように、第2の実施形態の変形例1に係る風鈴20が、図3の風鈴10と異なるのは、さらに釣22を備えて構成されている点である。釣22は、略V字状の形状を有しており、共振体1と接続される釣22の両端が接続部22a、22bとなっている。釣り22は、金属等の材料からなる。
共振体は、釣22の接続部22a、22bを介して共振体1に設けられた二つの穴部1jに可動となるように吊り下げられる。穴部1jは、共振体1の底部1aと上部1bとの間の所定の位置であり、共振体1の外側から内側に形成される穴状又は凹状の部位に係合して接続される。錘上部12aに接続される紐26の下部26aは、釣22が可動となるように緩く結びつけられ、紐26の上部26bが軒先等に固定される。
本発明の風鈴20によれば、共振体1が釣22により2点等の点で接続されるので、風鈴10のように共振体1と軒先と接続する紐による影響が著しく減少し、共振体1による風鈴20の音色が変化し難くなる。これにより、本発明の風鈴20によれば、短冊16に接続された錘12が揺れて、錘12が釣22に点接触で接続される共振体1を打撃することにより、共振体1がより鈴虫の鳴き声に近い音色になる。
(第2の実施形態の変形例2)
図5は、本発明の第2の実施形態の変形例2に係る風鈴30の構成を示す模式図である。図5に示すように、第2の実施形態の変形例2に係る風鈴30が、図4の風鈴20と異なるのは、共振体1の底部が上側となるように配設される点と、釣32が共振体1の内部に設けられた穴部1kに接続される点である。釣32は、略Ω字状であり、共振体1と接続される両端が接続部32a、32bとなっている。他の構成は、図4の風鈴20と同様であるので、説明は省略する。
共振体1は、釣32の接続部32a、32bを介して共振体1に設けられた二つの穴部1kに可動となるように吊り下げられる。穴部1kは、共振体1の底部1aと上部1bとの間の所定の位置であり、共振体1の内側から外側に形成される穴状又は凹状の部位に係合して接続される。錘上部12aに接続される紐26の下部26aは、釣32が可動となるように緩く結びつけられ、紐26の上部26bが軒先等に固定される。
本発明の風鈴30によれば、共振体1が、釣32により2点等の点接触で接続されるので、風鈴10のように共振体1と軒先と接続する紐による影響が著しく減少し、共振体1による風鈴20の音色が変化し難くなる。これにより、本発明の風鈴30によれば、短冊16に接続された錘12が揺れて、錘12が釣り22に点で接続される共振体1を打撃することにより、共振体1がより鈴虫の鳴き声に近い音色になる。
(風鈴の製造方法)
接続部1g,1hを形成した共振体1と錘12と短冊16と紐14,18とを用意する。錘上部12aを紐18で共振体1に接続し、錘下部12bを紐14で短冊16に接続して、風鈴10を製造することができる。
風鈴20,30の場合には、接続部1g,1hの代わりに、穴部1j,1kを設けた共振体1とし、錘12と、短冊16と、紐14,26、釣22,32とを用意すれば、風鈴10と同様に製造することができる。
本発明の風鈴10,20,30によれば、所望の基音と第1上音を容易に得られる共振体1を用いるので、構造が簡単で、かつ低コストで製造することができる。
本発明の風鈴10,20,30によれば、従来の風鈴と比較してより容易に癒し音を発生できるので、医療用の音響刺激にも応用できる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。
(共振体の振動周波数の計算例)
共振体1の振動周波数の計算を、有限要素法のソフトウェアを用いて行った。使用したソフトウェアは、COMSOL Multiphysics(http://www.kesco.co.jp/comsol/)である。共振体1の形状は、ソフトウェアの形状入力機能を使って入力した。形状入力後のメッシュ生成(図のステップST4)では、四面体に分割してメッシュを生成した。
共振体1は、図1に示した形状を有しており、共振体1の材料は、鉄とした。
材料定数としては、以下の値を使用した。
ヤング率:180GPa
ポアソン比:0.28
密度:7.85g/cm
(実施例1)
共振体1の厚さを2mm、高さを40mm、上面部1bの外径を24mm、底面部1a外径を41mmとした。
図6は、実施例1の共振体1の振動モードであり、(a)は基音の振動モード、(b)は基音の振動モードを示す図である。
図6(a)に示すように、基音の振動モードは、底面部1aの外周に4つの節を有している4−0モードであることが分かる。基音の周波数は、4334Hzであった。
図6(b)に示すように、第1上音の振動モードは、上面部1bの外周に4つの節を有している4−0モードであることが分かる。第1上音の周波数は、8579Hzであった。
通常の鐘や風鈴の場合には、下部の開口の周りの節が4本できるタイプの振動(4−0モード)が基音であり、開口周りに節が6本できる振動(6−0モード)が第1上音である。6−0モードによるによる振動周波数は鐘型の振動体では基音の2.5〜3倍になることが多く、2倍にすることは難しい。
通常の鐘や風鈴に対して、本発明の共振体1では、底面部1aと上面部1bに異なった周波数の4−0モードの振動が生じるため、底面部1a及び上面部の外径を調整することによって、底面部の大きい外径の4−0モード周波数が基音となり、基音の約2倍の周波数で上面部の小さい外径の4−0モードを振動させることができる。
(実施例2)
共振体1の厚さを2mm、高さを24.6mm、上面部1bの外径を25mm、底面部1aの外径を41mmとした。
実施例2の共振体1の基音の周波数は、3965Hzであり、第1上音の周波数は、8104Hzであった。
(実施例3)
共振体1の厚さを2mm、高さを20mm、上面部1bの外径を22.2mm、底面部1aの外径を34mmとした。
実施例3の共振体1の基音の周波数は、4234Hzであり、第1上音の周波数は、8315Hzであった。
上記実施例1〜3では、共振体1の厚さを2mmとして、他のパラメータである高さ、上面部1bの外径及び底面部1aの外径を変えた例である。共振体1の寸法を変えることにより基音と第1上音の周波数が変化することが分かる。
本発明は、上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。
1:共振体
1a:底面部
1b:上面部
1c:側面部
1d:底面開口部
1e:上面開口部
1g、1h:接続部
1j、1k:穴部
10、20、30:風鈴
12:錘
12a:錘上部
12b:錘下部
14、18:紐
16:短冊
22、32:釣
22a、22b、32a、32b:接続部
26:紐
26a:紐上部
26b:紐下部

Claims (5)

  1. 底面部と上面部と側面部とからなる筒状体を、備え、
    上記底面部の外周部に節を有する振動を、基音周波数とし、
    上記上面部の外周部に節を有する振動を、上記基音周波数よりも周波数の高い第1上音周波数とする、共振体。
  2. 前記底面部の振動は、4−0モードである、請求項1に記載の共振体。
  3. 前記上面部の振動は、4−0モードである、請求項1又は2に記載の共振体。
  4. 請求項1〜3に記載の共振体を含む、風鈴。
  5. 請求項1〜3に記載の共振体の振動周波数の計算方法であって、
    ステップST1において、前記共振体の厚さ、高さ、材料定数を入力し、
    ステップST2において、前記共振体の前記底面部の外径を入力し、
    ステップST3において、前記共振体の上面部の外径を入力し、
    ステップST4において、メッシュ形成を行い、
    ステップST5において、固有値解析により前記基音周波数を計算し、
    ステップST6において、前記基音周波数が、所望の周波数fになったか否かを判定し、該所望の周波数fが得られない場合には、ステップST2に戻り、ステップST2では、前記共振体の前記底面部の外径を再入力して、ステップST4、ステップST5、ステップST6で再度、前記基音周波数と強度分布を再計算し、
    ステップST7において、前記基音周波数が、所望の周波数fに一致した場合には、ステップST8に進み、
    ステップST8において、固有値解析を行い前記第1上音周波数と強度分布を計算し、
    ステップST9において、前記第1上音周波数が、所望の周波数fになったか否かを判定し、該所望の周波数fが得られない場合には、ステップST3に戻り、ステップST3では、前記共振体の前記上面部の外径を再入力して、ステップST4、ステップST5、ステップST6、ステップST7、ステップST8で再度、前記第1上音周波数fと強度分布を再計算し、
    ステップST9において、前記第1上音周波数が、所望の周波数fに一致した場合には、前記共振体の厚さ、高さ、前記底面部の外径及び前記上面部の外径が求まり、これにより計算を終了する、共振体の振動周波数の計算方法。
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