JP2015190325A - 作業車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】本願発明は、オペレータに操作性が良好に感じさせることができる作業車両を提供することを目的とする。
【解決手段】エンジンコントローラ311は、アイソクロナス制御及びドループ制御のいずれかを選択してエンジン5を制御しており、アイソクロナス制御及びドループ制御を択一的に選択できる制御方式選択スイッチ350を設けている。制御方式選択スイッチ350を、メーターコントローラ312と電気的に接続するとともに、左右ブレーキ操作具251,251の操作状態がメーターコントローラ312に通知される。制御方式選択スイッチ350によりアイソクロナス制御が指定されている場合、エンジンコントローラ311は、左右ブレーキ操作具251,251の一方が非操作状態にあるとき、エンジン5をアイソクロナス制御により制御する一方、左右ブレーキ操作具251,251の両方が操作状態にあるとき、エンジン5をドループ制御により制御する。
【選択図】図17

Description

本願発明は、農作業用のトラクタ又は土木作業用のホイルローダといった作業車両に関するものである。
昨今、ディーゼルエンジン(以下単にエンジンという)に関する高次の排ガス規制が適用されるのに伴い、エンジンが搭載される農作業車両や建設土木機械に、排気ガス中の大気汚染物質を浄化処理する排気ガス浄化装置を搭載することが要請されている。排気ガス浄化装置としては、排気ガス中の粒子状物質等を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(排気ガス浄化装置)が知られている(特許文献1参照)。
エンジンを搭載した作業車両は、制御対象となる走行系システムやエンジンに対して、複数のコントローラに割り当てるとともに、相互通信可能に構成することで統合制御している(特許文献2参照)。また、作業車両においては、エンジンの制御方式として、エンジンの負荷変動に関わらず出力が一定となるようエンジン回転速度を制御するアイソクロナス制御と、負荷に応じてエンジン回転速度を変化させるドループ制御がある(特許文献3)。
特開2013−155706号公報 特開2013−126829号公報 特開2013−002284号公報
エンジンに排気ガス浄化装置を搭載させた場合、排気ガス浄化装置は、従来の排気マフラに比べて大きく重量もあることから、作業車両のエンジンルームへのエンジンの配置位置などが制限される。そのため、エンジンを制御するエンジンコントローラは、エンジン付近に付設することが望ましいが、エンジンの配置に従って設置するため、その設置位置に自由度がない。また、排気ガス浄化装置による排熱温度が高いことから、エンジンコントローラは、排気ガス浄化装置による排熱の影響を避ける必要がある。さらには、エンジンコントローラは、低周波振動により、その動作に影響を受けるため、エンジンなどからの振動による影響の少ない位置に配置することが望ましい。
また、作業車両において、アイソクロナス制御でエンジンを制御することで、作業負荷に関わらず、エンジン回転速度を一定とできるため、オペレータに違和感なく車両速度を調整できる。しかしながら、アイソクロナス制御では、ドループ制御に比べて、速度変化を微調整させるときなどにおいては、オペレータの期待する速度に調整することが困難である。特に、アイソクロナス制御におけるブレーキ操作による減速は、オペレータの操作に遅延して反応するため、オペレータに操作感覚と作業車両の動作にずれが生じ、オペレータに操作性が悪く感じさせることがある。
本願発明は、上記のような現状を検討して改善を施した作業車両を提供することを技術的課題としている。
請求項1の発明は、走行機体に搭載するエンジンと、前記エンジンの動力で回転する左右一対の走行部と、前記左右一対の走行部それぞれを制動操作するための左右一対のブレーキ操作具と、前記エンジンの駆動を制御するエンジンコントローラと、前記走行機体の運転操作状況を表示させるメーターコントローラを備え、前記各コントローラ間を電気的に相互に接続し、前記エンジンコントローラがアイソクロナス制御及びドループ制御のいずれかを選択して前記エンジンを制御する作業車両において、前記アイソクロナス制御及び前記ドループ制御を択一的に選択できる制御方式選択スイッチを、前記メーターコントローラと電気的に接続するとともに、前記ブレーキ操作具の操作状態が前記メーターコントローラに通知される構成を有しており、前記制御方式選択スイッチにより前記アイソクロナス制御が指定されている場合、前記左右ブレーキ操作具の一方が非操作状態にあるとき、前記エンジンが前記アイソクロナス制御で駆動する一方、前記左右ブレーキ操作具の両方が操作状態にあるとき、前記エンジンが前記ドループ制御で駆動するように構成したものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の作業車両において、前記エンジンコントローラは、前記アイソクロナス制御用のハイアイドル回転速度として第1回転速度を記憶しており、前記運転コントローラを介して該エンジン制御切換スイッチにより前記アイソクロナス制御が指定されると、前記エンジンのハイアイドル回転速度を前第1回転速度に設定するものである。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の作業車両において、前記メーターコントローラにより制御されて前記走行機体の運転操作状況を表示する運転操作表示装置を更に備えるとともに、前記運転操作表示装置の外側となる位置に、前記制御方式選択スイッチを設置するものである。
請求項4の発明は、請求項1又は2に記載の作業車両において、前記走行機体の進行方向を前進と後進とに切り換え操作するための前後進切換レバーと、該前後進切換レバーを下側から覆う誤操作防止体とを、更に備え、前記誤操作防止体上に、前記制御方式選択スイッチを設置するものである。
請求項1に係る発明によれば、走行機体に搭載するエンジンと、前記エンジンの動力で回転する左右一対の走行部と、前記左右一対の走行部それぞれを制動操作するための左右一対のブレーキ操作具と、前記エンジンの駆動を制御するエンジンコントローラと、前記走行機体の運転操作状況を表示させるメーターコントローラを備え、前記各コントローラ間を電気的に相互に接続し、前記エンジンコントローラがアイソクロナス制御及びドループ制御のいずれかを選択して前記エンジンを制御する作業車両において、前記アイソクロナス制御及び前記ドループ制御を択一的に選択できる制御方式選択スイッチを、前記メーターコントローラと電気的に接続するとともに、前記ブレーキ操作具の操作状態が前記メーターコントローラに通知される構成を有しており、前記制御方式選択スイッチにより前記アイソクロナス制御が指定されている場合、前記左右ブレーキ操作具の一方が非操作状態にあるとき、前記エンジンが前記アイソクロナス制御で駆動する一方、前記左右ブレーキ操作具の両方が操作状態にあるとき、前記エンジンが前記ドループ制御で駆動するように構成したものであるから、例えば、ローダ作業のなどにおいて、ブレーキ操作の有無に基づいて、走行状態か否かを検出し、エンジンの制御方式を切り換えることができる。従って、オペレータにとって操作性がよく、アイソクロナス制御であっても違和感なく運転することができる。また、走行時においてはアイソクロナス制御により定回転数でエンジンを駆動させる一方、作業時においてはドループ制御により負荷に応じてエンジンを駆動させることができる。
請求項2に係る発明によれば、前記エンジンコントローラは、前記アイソクロナス制御用のハイアイドル回転速度として第1回転速度を記憶しており、前記運転コントローラを介して該エンジン制御切換スイッチにより前記アイソクロナス制御が指定されると、前記エンジンのハイアイドル回転速度を前第1回転速度に設定するものであるから、アイソクロナス制御を指定しているときに、ブレーキ操作によりドループ制御を実行した場合であっても、ハイアイドル回転速度をアイソクロナス制御に併せた回転速度とすることで、エンジンストールの防止や燃費向上を図ることができる。
請求項3に係る発明によれば、前記メーターコントローラにより制御されて前記走行機体の運転操作状況を表示する運転操作表示装置を更に備えるとともに、前記運転操作表示装置の外側となる位置に、前記制御方式選択スイッチを設置するものであるから、前記運転操作表示部の近傍に、前記制御方式選択スイッチが配置されるため、オペレータは、前記制御方式選択スイッチ転操作表示部の表示を視認した状態で、前記制御方式選択スイッチの操作を行うことができる。従って、前記制御方式選択スイッチに対するオペレータの誤操作を防止できる。
請求項4に係る発明によれば、前記走行機体の進行方向を前進と後進とに切り換え操作するための前後進切換レバーと、該前後進切換レバーを下側から覆う誤操作防止体とを、更に備え、前記誤操作防止体上に、前記制御方式選択スイッチを設置するものであるから、前記前後進切換レバーの近傍に、前記制御方式選択スイッチが配置されるため、オペレータは、例えば、ローダ作業などのように前記前後進切換レバーの使用頻度が高い場合に、前記制御方式選択スイッチを操作しやすい。
トラクタの左側面図である。 トラクタの平面図である。 エンジン部の左側面図である。 エンジン部の右側面図である。 エンジン部の平面図である。 図4の拡大説明図である。 前方右側から視たエンジン部の斜視図である。 後方右側から視たエンジン部の斜視図である。 コントローラ支持体とエンジンフレームの関係を示す斜視図である。 操縦座席側から視たメーターパネルの正面図である。 前方右側から視たキャビンの一部拡大図である。 コントローラの機能ブロック図である。 エンジンの燃料系統説明図である。 燃料の噴射タイミングを説明する図である。 出力特性マップの説明図である。 アイソクロナス特性とドループ特性の関係を示す説明図である。 メーターコントローラの構成を示す回路ブロック図である。 非作業再生制御実行時の制御動作を示すタイミングチャートである。 アシスト再生制御及びリセット再生制御のフローチャートである。 非作業再生制御のフローチャートである。 非作業再生制御時におけるランプ表示動作を示すフローチャートである。 メーターコントローラの別構成を示す回路ブロック図である。
以下に、本発明を具体化した実施形態について、作業車両であるトラクタを例に挙げて、図面に基づいて説明する。
まず始めに、図1及び図2を参照しながら、トラクタの概要について説明する。トラクタ1の走行機体2は、左右一対の前車輪3と後車輪4とで支持されている。走行機体2の前部に搭載したディーゼルエンジン5(以下、単にエンジンという)にて後車輪4(前車輪3)を駆動することにより、トラクタ1は前後進走行するように構成されている。エンジン5はボンネット6にて覆われている。走行機体2の上面にはキャビン7が設置され、該キャビン7の内部には、操縦座席8と、前車輪3を操向操作する操縦ハンドル9とが配置されている。キャビン7の底部下側に、エンジン5に燃料を供給する燃料タンク11が設けられている。なお、図2では便宜上キャビンの図示を省略している。
走行機体2は、前バンパ12及び前車軸ケース13を設けるエンジンフレーム14と、エンジンフレーム14の後部に固定する左右の機体胴部フレーム16とにより構成されている。機体胴部フレーム16の後部には、エンジン5からの回転動力を適宜変速して後車輪4(前車輪3)に伝達するためのミッションケース17が搭載されている。後車輪4は、ミッションケース17の外側面から外向きに突出するように装着された後車軸ケース18を介して、ミッションケース17に取り付けられている。左右の後車輪4の上方は、機体胴部フレーム16に固定されたフェンダ19にて覆われている。
ミッションケース17の後部上面には、作業部としてのロータリ耕耘機15を昇降動させるための油圧式昇降機構20が着脱可能に取り付けられている。ロータリ耕耘機15は、ミッションケース17の後部に、一対の左右ロワーリンク21及びトップリンク22からなる3点リンク機構を介して連結されている。ミッションケース17の後側面には、ロータリ耕耘機15にPTO駆動力を伝達するためのPTO軸23が後ろ向きに突設されている。
次に、図3〜図8を参照しながら、実施形態におけるコモンレール式のディーゼルエンジン5の概略構造について説明する。なお、以下の説明では、冷却ファン56配置側を前側、フライホイル25配置側を後側、排気マニホールド54配置側を左側、吸気マニホールド53配置側を右側と称し、これらを便宜的に、エンジン5における四方及び上下の位置関係の基準としている。
図3〜図8に示すように、トラクタ1(作業車両)に搭載されるエンジン5は、連続再生式の排気ガス浄化装置50(DPF)を備えている。排気ガス浄化装置50によって、エンジン5から排出される排気ガス中の粒子状物質(PM)が除去されると共に、排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)が低減される。
エンジン5は、エンジン出力軸24(クランク軸)とピストン(図示省略)とを内蔵するシリンダブロック51を備える。シリンダブロック51上にシリンダヘッド52を搭載している。シリンダヘッド52の右側面に吸気マニホールド53を配置する。シリンダヘッド52の左側面に排気マニホールド54を配置する。すなわち、エンジン5においてエンジン出力軸24に沿う両側面に、吸気マニホールド53と排気マニホールド54とを振り分けて配置する。シリンダブロック51の前面に、冷却ファン56を設ける。エンジン出力軸24の前端側からVベルト72を介して、冷却ファン56に回転動力を伝達する。
シリンダブロック51の後面にフライホイルハウジング57を設ける。フライホイルハウジング57内にフライホイル25を配置する。出力軸24の後端側にフライホイル25を軸支する。エンジン出力軸24からフライホイル25を介してミッションケース17に向けてエンジン5の動力を取出すように構成している。また、シリンダブロック51の下面にはオイルパン59を配置すると共に、シリンダブロック51の右側面にオイルフィルタ60を配置している。
シリンダブロック51の右側面のうちオイルフィルタ60の上方(吸気マニホールド53の下方)には、燃料を供給するための燃料供給ポンプ327を取付ける。エンジン5の各気筒に配置した電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ付きのインジェクタ(図示省略)に、燃料供給ポンプ327及び円筒状のコモンレール341及び燃料フィルタ343を介して、燃料タンク11内の燃料を供給するように構成している。
燃料タンク11の燃料が燃料フィルタ343を介して燃料供給ポンプ327からコモンレール341に圧送され、高圧の燃料がコモンレール341に蓄えられる。エンジン5の各気筒に配置されたインジェクタ(燃料噴射バルブ)をそれぞれ開閉制御することによって、コモンレール341内の高圧の燃料がエンジン5の各気筒に噴射される。即ち、前記エンジン5の各インジェクタの燃料噴射バルブを電子制御することによって、燃料の噴射圧力、噴射時期、噴射期間(噴射量)を高精度にコントロールでき、ディーゼルエンジン1から排出される窒素酸化物(NOx)を低減できるように構成している。
一方、吸気マニホールド53にEGR装置76(排気ガス再循環装置)を配置し、吸気マニホールド53にEGR装置76を介してエアクリーナ145を接続する。シリンダヘッド52の右側方にEGR装置76を位置させると共に、エンジン5の前方にエアクリーナ145を位置させるものであり、ボンネット6の前面側からエアクリーナ145に吸い込まれた新気(外部空気)は、エアクリーナ145によって除塵された後、エアクリーナ145から吸気中継管146を介してEGR装置76に送られ、次いで、EGR装置76から吸気マニホールド53に送られ、エンジン5の各気筒に供給される。また、EGR装置76は、排気マニホールド54からの排気ガスの一部(EGRガス)と、エアクリーナ145からの新気とを混合させて、吸気マニホールド53に供給するように構成している。
上記の構成において、エアクリーナ145から吸気マニホールド53に新気が供給される一方、排気マニホールド54から吸気マニホールド53にEGRガスが供給され、エアクリーナ145からの新気と排気マニホールド54からのEGRガスとが吸気マニホールド53の吸気取込み側で混合される。即ち、エンジン5から排気マニホールド54に排出された排気ガスの一部を吸気マニホールド53からエンジン5に還流することによって、高負荷運転時の最高燃焼温度が低下し、エンジン5からのNOx(窒素酸化物)の排出量が低減する。
さらに、エンジン5の上面側のうち排気マニホールド54の上方、すなわちシリンダヘッド52の左側方で排気マニホールド54の上方には、排気ガス浄化装置50を配置している。排気ガス浄化装置50は、排気ガス中の粒子状物質(PM)等を捕集するためのものであり、エンジン5の出力軸24と平行な前後方向に長く延びた略円筒形状に、排気ガス浄化装置50の外形状を構成している。排気ガス浄化装置50の前後両側(排気ガス移動方向の上流側と下流側)には、排気ガス入口管86と排気ガス出口管93とが、エンジン5の前後に振分けて設けられている。排気ガス浄化装置50の排気ガス取入れ側である排気ガス入口管86は、排気マニホールド54の排気ガス出口に着脱可能にボルト締結されている。
排気ガス浄化装置50の構造について説明する。排気ガス浄化装置50は、円筒状の浄化ハウジング87を備えている。浄化ハウジング87の内部に、二酸化窒素(NO)を生成する白金等のディーゼル酸化触媒88と、捕集した粒子状物質(PM)を比較的低温で連続的に酸化除去するハニカム構造のスートフィルタ89とを、排気ガス移動方向に直列に並べている。なお、浄化ハウジング87の排気ガス出口管93にテールパイプ94を連結し、排気ガス出口管93からテールパイプ94を介して排気ガスを外部に排出する。
浄化ハウジング87は、支持体としてのブラケット脚体83を介して、シリンダヘッド52に着脱可能にボルト締結されている。また、排気マニホールド54の出口部に排気ガス入口管86の入口フランジ体を締結させることによって、排気マニホールド54に排気ガス入口管86を介して浄化ハウジング87を連通接続している。その結果、浄化ハウジング87は、ブラケット脚体83と排気ガス入口管86によって、エンジン5の高剛性部品である排気マニホールド54及びシリンダヘッド52に安定的に連結支持される。
上記の構成において、ディーゼル酸化触媒88の酸化作用によって生成された二酸化窒素(NO)がスートフィルタ89内に取込まれる。エンジン5の排気ガス中に含まれる粒子状物質はスートフィルタ89に捕集され、二酸化窒素(NO)によって連続的に酸化除去される。エンジン5の排気ガス中の粒状物質(PM)の除去に加え、エンジン5の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の含有量が低減される。
次に、ボンネット6にて形成するエンジンルーム10内部の構成について説明する。エンジンルーム10内部のうち、エンジンフレーム14の前部側にファンシュラウド141を立設させ、ファンシュラウド141にラジエータ109の背面側を取付け、エンジン5の前面側にラジエータ109を立設している。ファンシュラウド141は冷却ファン56の外周側を囲っていて、ボンネット6前側からラジエータ109前方の外気を冷却風として冷却ファン56がエンジンルーム10内部に取込むように構成している。なお、ラジエータ109の前面側にエアクリーナ145を配置すると共に、エンジンフレーム14の前部上面に電力供給用のバッテリー202を配置している。
また、エンジンルーム10内部のうち、キャビン7の前面側には、エンジンルーム10側とキャビン7内部(オペレータが搭乗する操縦空間)側とを区画する遮蔽板144を設けている。ボンネット6と、ファンシュラウド141と、遮蔽板144にて、エンジン5の前後左右及び上方を囲うエンジンルーム10を形成している。遮蔽板144の後面側には、表示パネルまたは操作スイッチなどを有する操作コラム244と、操縦ハンドル9などを有するステアリングコラム245と、ブレーキペダル(ブレーキ操作具)251またはクラッチペダル253などを配置している。
図6〜図9に示す如く、ファンシュラウド141の後面上部と遮蔽板144の前面上部との間には、前後長手の上支持フレーム147を掛け渡している。ファンシュラウド141の後面上部に上支持フレーム147前端の前部固定ブラケット148をボルト締結すると共に、遮蔽板144の前面上部に上支持フレーム147後端の後部固定ブラケット149をボルト締結し、ファンシュラウド141と遮蔽板144の各上部を上支持フレーム147にて高剛性に連結している。
一方、ボンネット6内面側のうち上支持フレーム147との対峙箇所に、前後長手のボンネットステー155を設ける。遮蔽板144の前面上部に支点ブラケット150を介してボンネット開閉支点軸156を配置する。ボンネット開閉支点軸156にボンネットステー155の後端を回動可能に連結させる。ボンネット開閉支点軸156を介して遮蔽板144にボンネットステー155を取付ける。ボンネット開閉支点軸156回りにボンネットステー155の前端側が昇降動して、ボンネット6が開閉するように構成している。
加えて、上支持フレーム154とボンネットステー155との間にはガススプリング157を装架している。ガススプリング157のロッド側の端部は、上支持フレーム147の前部側に左右横向きのピン軸158によって回動可能に枢着している。ガススプリング157のシリンダ側の端部は、ボンネットステー155の前後中途部に左右横向きのピン軸159によって回動可能に枢着している。図示しないボンネットロック機構のロックを
解除して、ボンネット6の前部を上方に持上げる操作によって、ボンネット開閉支点軸156回りにボンネット6前側が上向き回動して、エンジン5の前側及び上面側が開放される。そして、ガススプリング157の突っ張り作用によって、ボンネット6が開放位置に保持される。
次に、図6〜図9を参照しながら、エンジンコントローラ311の支持構造について説明する。ディーゼルエンジン5の各部を作動制御するエンジンコントローラ311と、エンジンコントローラ311を取付けるためのコントローラ支持体160を備える。右側のエンジンフレーム14の機外側面に締結ブラケット161aを介して下部支持体161の下端側を着脱可能にボルト締結すると共に、下部支持体161の上端側に防振ゴム体165を介してコントローラ取付け板体164の下端側を連結させる。また、上支持フレーム147に上部支持体162を着脱可能にボルト締結すると共に、上部支持体162の架橋ステー部162aに防振ゴム体166を介してコントローラ取付け板体164の上端側を連結させる。
即ち、締結ブラケット161aを有する下部支持体161と、架橋ステー部162aを有する上部支持体162と、コントローラ取付け板体164にて、コントローラ支持体160を形成すると共に、略垂直に立設させた下部支持体161の上端側に延長状にコントローラ取付け板体164を支持する一方、エンジン5の左右方向に略水平に架橋ステー部162aを延設させ、コントローラ取付け板体164の上端側にL形状に架橋ステー部162aを連結させるものであり、エンジン5の右側に立設しているコントローラ支持体160にエンジンコントローラ311を取付け、エンジン5における吸気マニホールド53側の高位置にエンジンコントローラ311を配置させている。高剛性のエンジンフレーム14と上支持フレーム147にエンジンコントローラ311を固定でき、エンジンコントローラ311の支持剛性などを簡単に向上でき、エンジンコントローラ311の組付け作業性なども容易に向上できる。
エンジンコントローラ311は、コントローラ支持体160によって、エンジンフレーム14の機外側であって、エンジンルーム10内部に配置されている。これにより、エンジン5前方の冷却ファン56によりエンジンルーム10内に導入される冷却風が、ボンネット6から機外側に排出される冷却風路に、エンジンコントローラ311が配置されることとなる。よって、エンジン5の排熱空間となるエンジン5右側の高位置にエンジンコントローラ311を配置でき、エンジンコントローラ311の熱暴走などの異常動作を防止できると共に、エンジンコントローラ311は、エンジン5における吸気マニホールド53側の一側に配置されているため、排気マニホールド52上の排気浄化装置50などの熱源に対して離間した位置のエンジンルーム10内部に配置できる。さらに、ボンネット6内側に配置されるエンジンコントローラ311は、泥水や雨水などが直接かかることがない。
さらに、排気浄化装置50のスートフィルタ40の上流側と下流側間の排気ガスの圧力差を測定する電気配線コネクタ付の差圧センサ325を備える。上部支持体162のセンサブラケット部162bに差圧センサ325を配置する。上支持フレーム147に付設される上部支持体162のセンサブラケット部162は、排気ガス浄化装置50の上側に配置される。また、センサブラケット部162を排気ガス浄化装置50から離れた位置に配置でき、センサブラケット部162に支持される電子部品(差圧センサ325)に対して、排気ガス浄化装置50からの排熱による影響を低減できる。なお、上部支持体162のセンサブラケット部162bには、差圧センサ325とともに、排気浄化装置50の排気ガス温度を検出するための温度センサの電気配線コネクタも支持できる。
上記の構成により、コントローラ支持体160は、上端側が上支持フレーム147に固
着される一方で、下端側がエンジンフレーム14で固着されており、エンジンコントローラ311が防振ゴム165を介してコントローラ支持体160に固定される。したがって、エンジンコントローラ311の支持剛性を高めることができると共に、エンジン5の振動(低周波振動)による影響を低減させることができ、エンジンコントローラ311の故障を未然に防止できる。更に、エンジン5の高位置に差圧センサ325などを取付ける構造とすることで、差圧センサ325などとエンジンコントローラ311間のハーネス長さを短縮でき、エンジンコントローラ311などの組付け作業性を向上できる。
図5〜図9に示す如く、ディーゼルエンジン5と、エンジン5を連結させる機体フレーム14と、エンジン5の上面側を覆うボンネット6を備えると共に、エンジン5を制御するエンジンコントローラ311を設ける作業車両において、機体フレーム14に取付けるコントローラ支持体160を備え、エンジン5の一側に前記コントローラ支持体160を立設し、コントローラ支持体160の上端側にエンジンコントローラ311を取付け、該エンジンコントローラ311をエンジン5の一側に配置させている。したがって、高剛性の機体フレーム14にエンジンコントローラ311を設置でき、エンジンコントローラ311の支持剛性などを簡単に向上でき、エンジンコントローラ311の組付け作業性なども容易に向上できる。また、エンジン5の側方のうち高位置にエンジンコントローラ311を支持できるため、エンジン5とエンジンコントローラ311間のハーネス支持構造を簡略化できる。さらに、エンジンルーム10内空間が制限される場合であっても、エンジン5の排熱空間となるエンジン5側方の高位置にエンジンコントローラ311を配置できるため、エンジンコントローラ311の熱暴走などの異常動作を防止できる。
図5〜図9に示す如く、コントローラ支持体160は、エンジンコントローラ311を固着させるコントローラ取付け板体164と、ボンネット6内部の上支持フレーム147にコントローラ取付け板体164を連結させる上部支持体162と、エンジンフレーム14(機体フレーム)にコントローラ取付け板体164を連結させる下部支持体161を有している。したがって、エンジンコントローラ311の支持剛性を高めることができるものでありながら、防振体(防振ゴム体165,166)を介してコントローラ支持体160にエンジンコントローラ311を設置でき、エンジン5の振動による影響を低減させることができ、エンジンコントローラ311の故障を未然に防止できる。
図5〜図9に示す如く、ボンネット6内部の上支持フレーム147にコントローラ支持体160の上端側を連結させると共に、エンジン5の排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置50を備える構造であって、上支持フレーム147を挟んで、エンジン5の一側にエンジンコントローラ311を配置すると共に、エンジン5の他側に排気ガス浄化装置50を配置している。したがって、従来の排気マフラに比べて大きく重量もある排気ガス浄化装置50の配置位置などの制限を低減できるものでありながら、エンジン5付近にエンジンコントローラ311をコンパクトに付設できると共に、排気ガス浄化装置50またはエンジンコントローラ311の組付け作業性またはメンテナンス作業性などを向上できる。
図5〜図9に示す如く、エンジン5の排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置50と、排気ガス浄化装置50の排気ガスを検出するセンサ325を備える構造であって、ボンネット6内部の上支持フレーム147に上部支持体162を介してコントローラ支持体160の上端側を連結させ、上部支持体162に前記センサ325を配置している。したがって、エンジン5が配置されるエンジンルーム10の高位置にセンサ325を取付ける構造とすることで、センサ325とエンジンコントローラ311間のハーネス長さを短縮でき、センサ325に接続させるハーネスの劣化などを低減できると共に、エンジンコントローラ311(ハーネス)などの組付け作業性またはメンテナンス作業性などを向上できる。
図1、図2、図10、及び図11を参照しながら、操縦座席8とその周辺の構造につい
て説明する。キャビン7内における操縦座席8の前方には、操縦ハンドル9が配置されている。ステアリングコラム245は、エンジン5の後部側を囲う操作コラム244の背面側に埋設するようにして立設している。平面視略丸型の操縦ハンドル9が、ステアリングコラム245の上面から突出させたハンドル軸の上端に取り付けられている。従って、操縦ハンドル9は、水平に対して後方斜め下向きに傾斜した姿勢になっている。
ステアリングコラム245の右側には、エンジン5の出力回転数を設定保持するスロットルレバー250と、走行機体2を制動操作するための左右一対のブレーキペダル251とが配置されている。ステアリングコラム245の左側には、走行機体2の進行方向を前進と後進とに切り換え操作するための前後進切換レバー(リバーサレバー)252と、動力継断用のメインクラッチを切り作動させるためのクラッチペダル253とが配置されている。ステアリングコラム245の背面側には、左右ブレーキペダル251を踏み込み位置に保持するための駐車ブレーキレバー254が配置されている。
そして、ステアリングコラム245の左側で前後進切換レバー252の下方には、前後進切換レバー252を下側から覆う誤操作防止体(リバーサガード)261がステアリングコラム245から突設される。接触防止具である誤操作防止体261が前後進切換レバー252下方に配置されることで、作業車両に乗降時におけるオペレータによる前後進切換レバー252への接触が防がれる。
キャビン7内の床板248のうちステアリングコラム245の右側には、スロットルレバー250にて設定されたエンジン回転数を最低回転数として、これ以上の範囲にてエンジン回転数を加減速させるためのアクセルペダル255が配置されている。操縦座席8の下方には、PTO軸の駆動速度を切り換え操作するためのPTO変速レバー256と、左右の後車輪4を等速で回転駆動させる操作を実行するためのデフロックペダル257とが配置されている。操縦座席8の左側には、走行副変速ギヤ機構の出力範囲を低速と高速とに切り換えるための副変速レバー258が配置される。
操縦座席8の右側には、操縦座席8に着座したオペレータの腕や肘を載せるためのアームレスト259が設けられている。アームレスト259は、操縦座席8とは別体に構成されるとともに、走行系操作手段である主変速レバー290と、作業系操作手段である作業部ポジションダイヤル(昇降ダイヤル)300とを具備する。主変速レバー290は、主変速操作体としての前後傾動操作可能に設けられている。そして、本実施形態においては、主変速レバー290を前傾操作したとき、走行機体2の車速が増加する一方、主変速レバー290を後傾操作したとき、走行機体2の車速が低下する。作業部ポジションダイヤル300は、ロータリ耕耘機15の高さ位置を手動にて変更調節するためのダイヤル式のものである。
図1、図2、図10、及び図11に示すように、メーターパネル246は、操縦ハンドル9の前方下側となる位置で、操縦座席8に着座したオペレータに対面するように、そのパネル表面を後方からやや上方に傾けた状態で配置されている。又、メーターパネル246の外縁は、内側から外側に向けて隆起させたメーターカバー262で覆われている。そして、メーターカバー262で覆われたメーターパネル246は、ステアリングコラム245の前方上部のダッシュボード263の後方面(背面)に配置される。ダッシュボード263は、ステアリングコラム245とともに、操縦コラムを構成している。
メーターパネル246は、運転操作表示装置として、図10に示すように、その中央表示領域に、エンジン5の回転数を指針で示すエンジン回転計265を有し、エンジン回転計265の左右外側(中央表示領域の外側)の表示領域にLED等による表示ランプ266a〜266d,267a〜267dを有する。上記構成のメーターパネル246は、表
示ランプ266a〜266d,267a〜267dとは、トラクタ1の各部の異常を示す警告灯、又は、トラクタ1の走行状態又はロータリ耕耘機15の作動状態等を示す表示灯として作用する。
図10の構成例では、メーターパネル246の右側表示領域において、表示ランプ267a〜267dそれぞれを、駐車ブレーキレバー254のロック状態を報知する駐車ブレーキランプ346(図12参照)、PTOクラッチスイッチ225の入り状態を報知するPTOランプ348(図12参照)、再生制御要求警報を報知するための再生ランプ332(図12参照)、エンジン5の異常を放置するエンジン異常ランプ347(図12参照)として作用させる。また、メーターパネル246は、エンジン回転計265の下側に後述の液晶パネル330を有する。
また、メーターパネル246の中央表示領域には、エンジン回転計265の上側の表示領域にLED等による表示ランプ273を有する。この表示ランプ273は、メーターパネル246に「N」の字を象ることにで、前後進切換レバー252の中立状態を報知するリバーサ中立ランプ349(図12参照)として作用する。
メーターカバー262の後方背面のうち左側表面にスイッチ271が設置される一方、右側表面に再生スイッチ329が設置される。また、ステアリングコラム245の左側面から突出させた誤操作防止体261の上面に、オペレータからの操作を受け付けるスイッチ272が配置される。なお、スイッチ271,272のうちの一つが、エンジン5の制御方式としてドループ制御及びアイソクロナス制御のいずれかを指定する制御方式選択スイッチ350に割り当てられる。
メーターカバー262の後方背面の右側表面に、再生スイッチ329が設置される。再生スイッチ329はモーメンタリ動作タイプのものである。すなわち、再生スイッチ329は、一回の押下で一つのONパルス信号を発するノンロックタイプのプッシュスイッチである。オペレータによる再生スイッチ329の押下時間は、リセット再生制御以降の各再生制御の実行可否を判別する基準の一つに採用している。実施形態の再生スイッチ329は、再生スイッチランプ345を内蔵したランプ付きスイッチで構成している。表示ランプ267aにより後述の再生要求警報を表示させるメーターパネル246近傍に、再生スイッチ329が配置されるため、オペレータは、メーターパネル246の表示を視認した状態で、再生スイッチ329の操作を行うことができる。
また、実施形態では、再生スイッチ329は、再生ランプ332(図12参照)として作用するメーターパネル246の表示ランプ267aの近傍に配置されている。即ち、運転操作表示部となるメーターパネル246における、再生制御要求警報の表示領域の近傍に、再生スイッチ329が配置されることとなる。従って、オペレータは、表示ランプ267aの表示により再生要求警報が報知されたとき、再生スイッチ329の操作位置を認識しやすくなる。
操作コラム244は、図11に示すように、その上面の前方一部でフロントガラス後方を覆い、ワイパー駆動機構を内装している。ワイパー駆動機構は、ワイパー42への回転動力を生成する駆動モータ276と、駆動モータ276の回転動力をワイパー42に伝達するギヤ機構を有するギヤボックス277とで構成される。駆動モータ276が回転することで、ギヤボックス277を介して駆動モータ276の回転がワイパー42のワイパー回転軸278に伝達し、ワイパー42がフロントガラス表面に沿って回動する。駆動モータ276とギヤボックス277によるワイパー駆動機構は、その後方がワイパー駆動機構カバー275により覆われるとともに、その前方がワイパー駆動機構支持ステー279により覆われる。
操作コラム244は、図10に示すように、その後面のメーターカバー262内側にメーターパネル246を嵌合させて固定している。操作コラム244は、図11に示すように、その内側に嵌め込まれたメーターパネル246の前面にメーターコントローラ312を連結し、上記ワイパー駆動機構(駆動モータ276及びギヤボックス277)の下側にメーターコントローラ312を配置する。操作コラム244内のメーターコントローラ312は、駆動モータ276と電気的に接続される。
左右のブレーキペダル251,251及びクラッチペダル253は、それぞれの基端側を操作コラム244内で固定配置されている支持棒240に枢着している。操作コラム244内において、左右のブレーキペダル251,251のアーム部分に対して当接可能な位置に、左右のブレーキペダルスイッチ220,220を固定配置している。左右のブレーキペダル251,251の一方の裏面に連結部材241の一端を枢着しており、他方のブレーキペダル251の裏面に、連結部材241の他端と係止する係止部材242を設ける。連結部材241の他端を係止部材242に係止させることにより、左右のブレーキペダル251,251を連結し、左右のブレーキペダル251,251の同時操作を可能とする。連結部材241の他端を係止部材242から外すことにより、左右のブレーキペダル251,251を独立して操作できる。
次に、図12を参照しながら、トラクタ1の各種制御(変速制御、自動水平制御、及び耕耘深さ自動制御等)を実行するための構成について説明する。図12に示す如く、トラクタ1は、エンジン5の駆動を制御するエンジンコントローラ311と、操縦コラム244搭載のメーターパネル246の表示動作を制御するメーターコントローラ(運転操作表示コントローラ)312と、走行機体2の速度制御等を行う本機コントローラ313とを備えている。
上記コントローラ311〜313はそれぞれ、各種演算処理や制御を実行するCPUの他、制御プログラムやデータを記憶させるためのROM、制御プログラムやデータを一時的に記憶させるためのRAM、時間計測用のタイマ、及び入出力インターフェイス等を備えており、CAN通信バス315を介して相互に通信可能に接続されている。エンジンコントローラ311及びメーターコントローラ312は、電源印加用キースイッチ201を介してバッテリー202に接続されている。キースイッチ201は、鍵穴に差し込んだ所定の鍵にて回転操作可能なロータリ式スイッチであり、図10に示すように、操作コラム244のステアリングコラム245の右側位置に取り付けられている。
メーターコントローラ312の入力側には、操縦ハンドル9の回動量(操舵角度)を検出する操舵ポテンショ210、及び、排気ガス浄化装置50再生動作を許可する入力部材としての再生スイッチ329を接続している。また、メーターコントローラ312の出力側には、メーターパネル246における液晶パネル330、排気ガス浄化装置50再生動作等に関連して鳴動する警報ブザー331、排気ガス浄化装置50の再生動作に関連して明滅する警報ランプとしての再生ランプ332、再生スイッチ329に内蔵されるとともに排気ガス浄化装置50の再生動作に応じて明滅する再生スイッチランプ345、駐車ブレーキレバー254がロック状態である場合に点灯する駐車ブレーキランプ346、エンジン5に異常がある場合に点灯するエンジン異常ランプ347、PTOクラッチスイッチ225が入り状態の場合に点灯するPTOランプ348、及び、前後進切換レバー252が中立状態にある場合に点灯するリバーサ中立ランプ349を接続している。
本機コントローラ313の入力側には、前後進切換レバー252の操作位置を検出する前後進ポテンショ211、主変速出力軸36の出力回転数を検出する主変速出力軸回転センサ212、前後車輪3,4の回転速度(走行速度)を検出する車速センサ213、ブレ
ーキペダル251の踏み込みの有無を検出するブレーキペダルスイッチ220、オートブレーキ電磁弁67a,67bを切換操作するオートブレーキスイッチ221、主変速レバー290の操作位置を検出する主変速ポテンショ222、ロータリ耕耘機15の高さ位置を手動にて変更調節する作業部ポジションダイヤル300の操作位置を検出するポジションダイヤルセンサ223、駐車ブレーキレバー254で左右ブレーキペダル251を踏み込み位置を保持した状態(駐車ブレーキレバー254によるロック状態)でオンとなる駐車ブレーキスイッチ236、及び、不図示のPTOクラッチを動力接続状態でオンとなるPTOクラッチスイッチ225を接続している。
本機コントローラ313の出力側には、前進用クラッチシリンダ(図示せず)を作動させる前進用クラッチ電磁弁46、後進用クラッチシリンダ(図示せず)を作動させる後進用クラッチ電磁弁48、不図示のPTOクラッチを作動するPTOクラッチ油圧電磁弁104、油圧式昇降機構20の単動式油圧シリンダ(図示せず)に作動油を供給するための制御電磁弁121、主変速レバー290の傾動操作量に比例して主変速油圧シリンダ(図示せず)を作動させる比例制御弁123、副変速油圧シリンダ(図示せず)を作動させる高速クラッチ電磁弁136、及び、左右のブレーキ作動機構65a,65bそれぞれを作動させるオートブレーキ電磁弁67a,67bを接続している。
また、図13に示すように、エンジンコントローラ311の入力側には少なくとも、コモンレール341内の燃料圧力を検出するレール圧センサ321、燃料供給ポンプ327を回転又は停止させる電磁クラッチ342、エンジン5の回転速度(エンジン出力軸24のカムシャフト位置)を検出するエンジン回転センサ322、インジェクタ340の燃料噴射回数(一行程の燃料噴射期間中の回数)を検出及び設定する噴射設定器333、アクセル操作具の操作位置を検出するスロットル位置センサ334、吸気経路中の吸気温度を検出する吸気温度センサ335、排気経路中の排気ガス温度を検出する排気温度センサ336、エンジン5の冷却水温度を検出する冷却水温センサ323、コモンレール341内の燃料温度を検出する燃料温度センサ324、EGRガスの温度を検出するEGR温度センサ337、排気フィルタ50内におけるスートフィルタ89前後(上下流)の排気ガスの差圧を検出する差圧センサ325、並びに、排気フィルタ50内の排気ガス温度を検出するDPF温度センサ326を接続している。
エンジンコントローラ311の出力側には少なくとも、各燃料噴射バルブ328の電磁ソレノイドがそれぞれ接続されている。すなわち、コモンレール341に蓄えた高圧燃料が燃料噴射圧力、噴射時期及び噴射期間等を制御しながら、一行程中に複数回に分けて燃料噴射バルブ328から噴射されることによって、窒素酸化物(NOx)の発生を抑えると共に、スートや二酸化炭素(CO2)等の発生も低減した完全燃焼を実行し、燃費を向上させるように構成されている。また、エンジンコントローラ311の出力側には、エンジン5の吸気圧(吸気量)を調節する吸気スロットル部材78、及び、吸気マニホールド53へのEGRガスの供給量を調節するEGRバルブ部材81等も接続している。
エンジンコントローラ311は基本的に、エンジン回転センサ322で検出した回転速度とスロットル位置センサ334で検出したスロットル位置とからエンジン5のトルクを求め、トルクと出力特性とを用いて目標燃料噴射量を演算し、当該演算結果に基づきコモンレール341を作動させる燃料噴射制御を実行する。なお、コモンレール341の燃料噴射量は主に、各燃料噴射バルブ328の開弁期間を調節して、各インジェクタ340への噴射期間を変更することによって調節される。
図14に示すように、インジェクタ340と接続するコモンレール341を備えたコモンレール装置320は、上死点(TDC)を挟む付近でメイン噴射Aを実行するように構成されている。また、コモンレール装置320は、メイン噴射A以外に、上死点より約6
0°以前のクランク角度θ1の時期に、NOx及び騒音の低減を目的として少量のパイロット噴射Bを実行したり、上死点直前のクランク角度θ2の時期に、騒音低減を目的としてプレ噴射Cを実行したり、上死点後のクランク角度θ3及びθ4の時期に、粒子状物質(以下、PMという)の低減や排気ガスの浄化促進を目的としてアフタ噴射D及びポスト噴射Eを実行したりするように構成されている。
パイロット噴射Bは、メイン噴射Aに対して大きく進角した時期に噴射することによって、燃料と空気との混合を促進させるものである。プレ噴射Cは、メイン噴射Aに先立って噴射することによって、メイン噴射Aでの着火時期の遅れを短縮するものである。アフタ噴射Dは、メイン噴射Aに対してやや遅角させて噴射することによって、拡散燃焼を活性化させ、エンジン5からの排気ガス温度を上昇させる(PMを再燃焼させる)ものである。ポスト噴射Eは、メイン噴射Aに対して大きく遅角した時期に噴射することによって、実際の燃焼過程に寄与せずに未燃焼の燃料として排気ガス浄化装置50に供給するものである。排気ガス浄化装置50に供給された未燃焼の燃料は、ディーゼル酸化触媒243上で反応し、その反応熱によって排気ガス浄化装置50内の排気ガス温度が上昇することになる。ここで、図14におけるグラフの山の高低は、大まかに言って、各噴射段階A〜Eでの燃料噴射量の差異を表現している。
ECU311のEEPROMには、エンジン5の回転速度NとトルクT(負荷)との関係を示す出力特性マップM(図15参照)を予め記憶させている。また、詳細は省略するが、ECU311のEEPROMには、エンジン5の回転速度Nと燃料噴射量との関係から排気ガス流量を換算する排気ガス流量マップや、同じくエンジン5の回転速度Nと燃料噴射量との関係からエンジン5のPM排出量を換算するPM排出量マップも予め記憶させている。出力特性マップM等の各マップは実験等にて求められる。図15に示す出力特性マップMでは、回転速度Nを横軸に、トルクTを縦軸に採っている。出力特性マップMは、上向き凸に描かれた実線Tmxで囲まれた領域である。実線Tmxは、各回転速度Nに対する最大トルクを表した最大トルク線である。この場合、エンジン5の型式が同じであれば、ECU311に記憶される出力特性マップMはいずれも同一(共通)のものになる。図15に示すように、出力特性マップMは、所定の排気ガス温度における回転速度NとトルクTとの関係を表した境界線BL1,BL2によって上下三つに分断される。
第1境界線BL1よりも上側の領域は、エンジン5の通常運転だけでスートフィルタ89に堆積したPMを酸化除去できる(ディーゼル酸化触媒88の酸化作用が働く)自己再生領域である。第1境界線BL1と第2境界線BL2との間の領域は、エンジン5の通常運転だけではPMが酸化除去されずにスートフィルタ89に堆積するものの、後述するアシスト再生制御やリセット再生制御の実行によって排気ガス浄化装置50が再生する再生可能領域である。第2境界線BL2よりも下側の領域は、アシスト再生制御やリセット再生制御を実行しても排気ガス浄化装置50が再生しない再生不可領域である。再生不可領域でのエンジン5の排気ガス温度は低過ぎるため、この状態からアシスト再生制御やリセット再生制御を実行しても、排気ガス温度が再生境界温度まで上昇しない。つまり、エンジン5の回転速度NとトルクTとの関係が再生不可能領域にあれば、アシスト再生制御やリセット再生制御では排気ガス浄化装置50が再生しない(スートフィルタ89の粒子状物質捕集能力が回復しない)。なお、第1境界線BL1上の排気ガス温度は、自己再生可能な再生境界温度(約300℃程度)である。
エンジンコントローラ311は、図16に示すように、回転速度NとトルクTとの関係において、エンジン5の負荷(トルクT)が増大するに従って回転速度Nが減少するように燃料噴射量を調節するドループ制御と、エンジン5の負荷の変動に拘らず回転速度Nを一定に維持するように燃料噴射量を調節するアイソクロナス制御とを実行可能になっている。オペレータにより制御方式選択スイッチ271が操作されることで、ドループ制御及
びアイソクロナス制御のいずかに択一的に切り替えられる。すなわち、エンジンコントローラ311は、メーターコントローラ312及びCAN通信バス315を通じて、制御方式選択スイッチ271で指定された制御方式がドループ制御及びアイソクロナス制御のいずれかを認識する。
ドループ制御は、例えば路上走行時等に実行される。ドループ特性(ドループ制御時における回転速度N及びトルクTの関係)は、出力特性マップMにおいて右下りに傾斜する一定勾配の直線(図16中の一点鎖線L1)で表される特性である。ドループ制御が選択されている場合、エンジンコントローラ311は、アクセルペダル255の操作量に基づいて目標燃料噴射量を算出し、コモンレール装置320の燃料噴射制御を実行する。
アイソクロナス制御は、例えば耕起・耕耘作業といった各種作業時に実行される。アイソクロナス特性(アイソクロナス制御時における回転速度N及びトルクTの関係)は、出力特性マップMにおいて勾配がゼロとなる垂直な直線で表される特性(図16中の破線L2)である。アイソクロナス制御が選択されている場合、エンジンコントローラ311は、主変速レバー290で指定される目標回転速度Ntで維持されるように、エンジン回転センサ322で検出された回転速度Nと目標回転速度Ntとの差分に基づいて目標燃料噴射量を算出し、コモンレール装置320の燃料噴射制御を実行する。
メーターコントローラ312は、図17に示すように、ドループ切換端子(制御方式切換端子)Tm1及びハイアイドル切換端子Tm2を備える。また、エンジンコントローラ311は、メモリM1にハイアイドル制限回転速度Nh1,Nh2を記憶している。なお、エンジンコントローラ311は、ハイアイドル制限回転速度Nh1を、アイソクロナス制御時における制限回転速度として記憶するとともに、ハイアイドル制限回転速度Nh2を、ドループ制御時における制限回転速度として記憶する。
メーターコントローラ312のドループ切換端子Tm1が、逆流防止用のダイオードDm1のカソードと接続しており、ダイオードDm1のアノードには、制御方式選択スイッチ350を介して接地されている。左右のブレーキペダルスイッチ220,220が直列に接続されている。また、ブレーキペダルスイッチ220,220による直列回路は、ダイオードDm1及び制御方式選択スイッチ350による直列回路に対して並列に接続されている。ダイオードD1のアノードと制御方式選択スイッチ350との接続ノードが、メーターコントローラ312のハイアイドル切換端子Tm2に接続される。
メーターコントローラ312は、ドループ切換端子Tm1に入力される信号がロー(接地電位)となるとき、ドループ制御方式によりエンジン5を駆動制御するよう、CAN通信バス315を介してエンジンコントローラ311に通知する。一方、メーターコントローラ312は、ドループ切換端子Tm1に入力される信号がハイ(電源電位)となるとき、アイソクロナス制御方式によりエンジン5を駆動制御するよう、CAN通信バス315を介してエンジンコントローラ311に通知する。
メーターコントローラ312は、ハイアイドル切換端子Tm2に入力される信号がローとなるとき、エンジン5の回転速度を、メモリM1に記憶しているハイアイドル制限回転速度Nh1で制限するよう、CAN通信バス315を介してエンジンコントローラ311に通知する。一方、メーターコントローラ312は、ハイアイドル切換端子Tm2に入力される信号がハイとなるとき、メモリM1に記憶しているハイアイドル制限回転速度Nh2で制限するよう、CAN通信バス315を介してエンジンコントローラ311に通知する。
制御方式選択スイッチ350がONとされるとき、メーターコントローラ312のドル
ープ切換端子Tm1に、ローとなる信号が入力される。メーターコントローラ312は、ドループ制御方式が指定されていることを認識し、エンジンコントローラ311に通知する。このとき、メーターコントローラ312のハイアイドル切換端子Tm2に対しても、ローとなる信号が入力される。メーターコントローラ312は、ハイアイドル制限回転速度Nh2による制限が指定されていることを認識し、エンジンコントローラ311に通知する。従って、エンジンコントローラ311は、エンジン5をドループ制御方式で制御するとともに、ハイアイドル制限速度Nh2によりハイアイドル制限を実行する。
制御方式選択スイッチ350がOFFとされるとき、左右ブレーキペダル251,251のいずれか一方が非操作状態の場合、左右ブレーキペダルスイッチ220,220の一方がOFFとなるため、メーターコントローラ312のドループ切換端子Tm1に、ハイとなる信号が入力される。メーターコントローラ312は、アイソクロナス制御方式が指定されていることを認識し、エンジンコントローラ311に通知する。このとき、メーターコントローラ312のハイアイドル切換端子Tm2に対しても、ハイとなる信号が入力される。メーターコントローラ312は、ハイアイドル制限回転速度Nh1による制限が指定されていることを認識し、エンジンコントローラ311に通知する。従って、エンジンコントローラ311は、エンジン5をアイソクロナス制御方式で制御するとともに、ハイアイドル制限速度Nh1によりハイアイドル制限を実行する。
制御方式選択スイッチ350がOFFとされるとき、左右ブレーキペダル251,251の両方が操作された場合、左右ブレーキペダルスイッチ220,220の両方がONとなるため、メーターコントローラ312のドループ切換端子Tm1に、ローとなる信号が入力される。メーターコントローラ312は、ドループ制御方式が指定されていることを認識し、エンジンコントローラ311に通知する。一方、メーターコントローラ312のハイアイドル切換端子Tm2には、ハイとなる信号が入力される。メーターコントローラ312は、ハイアイドル制限回転速度Nh1による制限が指定されていることを認識し、エンジンコントローラ311に通知する。従って、エンジンコントローラ311は、エンジン5をドループ制御方式で制御するとともに、ハイアイドル制限速度Nh1によりハイアイドル制限を実行する。なお、連結部材241が係止部材242に連結したことを通知する連結確認センサが設けられ、エンジンコントローラ311に、連結部材241が係止部材242に連結していることを認識させたときに、左右ブレーキペダルスイッチ220,220が同時ONとなることを許可させるものとしても構わない。
エンジンコントローラ311は、アイソクロナス制御及びドループ制御のいずれかを選択してエンジン5を制御しており、アイソクロナス制御及びドループ制御を択一的に選択できる制御方式選択スイッチ350を設けている。制御方式選択スイッチ350を、メーターコントローラ312と電気的に接続するとともに、左右ブレーキ操作具251,251の操作状態がメーターコントローラ312に通知される。制御方式選択スイッチ350によりアイソクロナス制御が指定されている場合、エンジンコントローラ311は、左右ブレーキ操作具251,251の一方が非操作状態にあるとき、エンジン5をアイソクロナス制御により制御する一方、左右ブレーキ操作具251,251の両方が操作状態にあるとき、エンジン5をドループ制御により制御する。ローダ作業のときにおいて、ブレーキ操作の有無に基づいて、走行状態か否かを検出し、エンジンの制御方式を切り換えることができる。また、走行時においてはアイソクロナス制御により定回転速度でエンジンを駆動させる一方、作業時においてはドループ制御により負荷に応じてエンジンを駆動させることができる。
エンジンコントローラ311は、アイソクロナス制御時のハイアイドル回転速度として所定回転速度Nh1を記憶している。制御方式選択スイッチ350によりアイソクロナス制御が指定されるとともに左右ブレーキ操作具251,251の両方が操作状態にあると
き、エンジンコントローラ311は所定回転速度Nh1をハイアイドル回転速度に設定する。アイソクロナス制御が指定されているときに、ブレーキ操作によりドループ制御を実行した場合であっても、ハイアイドル回転速度をアイソクロナス制御に併せた回転速度とすることで、エンジンストールの防止や燃費向上を図ることができる。
エンジン5の制御方式(再生制御方式)としては、エンジン5の通常運転だけで排気ガス浄化装置50が自発的に再生する通常運転制御(自己再生制御)と、排気ガス浄化装置50の詰り状態が規定水準以上になるとエンジン5の負荷増大を利用して排気ガス温度を自動的に上昇させるアシスト再生制御と、ポスト噴射を用いて排気ガス温度を上昇させるリセット再生制御と、ポスト噴射Eを用いて排気ガス温度を上昇させるリセット再生制御と、ポスト噴射Eとエンジン5の所定高速回転速度N1とを組み合わせて排気ガス温度を上昇させる非作業再生制御(駐車再生制御、又は、緊急再生制御といってもよい)とがある。
通常運転制御は、路上走行時や農作業時の制御形式である。通常運転制御では、エンジン5における回転速度NとトルクTとの関係が出力特性マップの自己再生領域にあり、排気ガス浄化装置50内でのPM酸化量がPM捕集量を上回る程度に、エンジン5の排気ガスが高温になっている。
アシスト再生制御では、吸気スロットル部材78の開度調節とアフタ噴射とによって、排気フィルタ50を再生させる。すなわち、アシスト再生制御では、EGRバルブ部材81を閉弁すると共に、吸気スロットル部材78を所定開度まで閉弁させる(絞る)ことによって、エンジン5への吸気量を制限する。そうすると、エンジン5の負荷が増大するから、設定回転速度維持のためにコモンレール341の燃料噴射量が増加し、エンジン5の排気ガス温度を上昇させる。これに合わせて、メイン噴射Aに対してやや遅角させて噴射するアフタ噴射Dによって拡散燃焼を活性化させ、エンジン5の排気ガス温度を上昇させる。その結果、排気ガス浄化装置50内のPMが燃焼除去される。なお、以降に説明する再生制御のいずれにおいても、EGRバルブ部材81は閉弁される。
リセット再生制御は、アシスト再生制御が失敗した場合(排気ガス浄化装置50の詰り状態が改善せずPMが残留した場合)や、エンジン5の累積駆動時間TIが設定時間TI1(例えば100時間程度)以上になった場合に行われる。リセット再生制御では、アシスト再生制御の態様に加え、ポスト噴射Eをすることによって、排気ガス浄化装置50を再生させる。すなわち、リセット再生制御では、吸気スロットル部材78の開度調節とアフタ噴射とに加えて、ポスト噴射Eで排気ガス浄化装置50内に未燃燃料を直接供給し、未燃燃料をディーゼル酸化触媒88で燃焼させることによって、排気ガス浄化装置50内の排気ガス温度を上昇させる(約560℃程度)。その結果、排気ガス浄化装置50内のPMが強制的に燃焼除去される。
非作業再生制御は、リセット再生制御が失敗した場合(排気ガス浄化装置50の詰り状態が改善せずPMが残留した場合)等に行われる。非作業再生制御では、リセット再生制御の態様に加えて、エンジン5の回転速度Nを所定高速回転速度N1に維持することによって、エンジン5の排気ガス温度を上昇させた上で、排気フィルタ50内でもポスト噴射Eによって排気ガス温度を上昇させる(約600℃程度)。その結果、リセット再生制御よりも更に好条件下で、排気ガス浄化装置50内のPMが強制的に燃焼除去される。なお、非作業再生制御での吸気スロットル部材78は絞るのではなく、完全に閉弁させる。非作業再生制御でのアフタ噴射Dは、アシスト再生制御やリセット再生制御よりもリタード(遅角)させて行われる。
非作業再生制御では、エンジン5の出力を最大出力よりも低い駐車時最大出力(例えば
最大出力の80%程度)に制限している。この場合、エンジン5の回転速度Nを所定高速回転速度N1に維持するので、トルクTを抑制して駐車時最大出力となるように、コモンレール341の燃料噴射量を調節する。
通常運転制御はもちろんであるが、アシスト再生制御及びリセット再生制御では、エンジン5の動力を例えば作業機の作動部に伝達して各種作業を実行することが可能である(エンジン5を通常運転で駆動できる)。このとき、エンジンコントローラ311は、制御方式選択スイッチ271により指定される制御方式(ドループ制御、又は、アイソクロナス制御)に基づいて、エンジン5の駆動を制御する。非作業再生制御では、専らPMの燃焼除去のためにエンジン5を高回転速度で駆動させるため、エンジン5の動力によって例えば作業機の作動部を駆動させない。このとき、エンジンコントローラ311は、図18に示すように、制御方式選択スイッチ271により指定される制御方式に関わらず、強制的に、アイソクロナス制御によりエンジン5の駆動を制御するとともに、エンジン5を所定高速回転速度N1で駆動させる。
次に、図19及び図20のフローチャートを参照しながら、エンジンコントローラ311による排気ガス浄化装置50再生制御の一例について説明する。すなわち、図19及び図20のフローチャートにて示すアルゴリズム(プログラム)は、エンジンコントローラ311のROMに記憶されていて、当該アルゴリズムをRAMに呼び出してからCPUで処理して、前述の各再生制御が実行される。
図19に示すように、排気ガス浄化装置50再生制御では、まず、キースイッチ201がオンであれば(S101:YES)、エンジン回転センサ322、冷却水温センサ323、差圧センサ325及びDPF温度センサ326の検出値と、吸気スロットル部材78並びにEGRバルブ部材81の開度と、コモンレール341による燃料噴射量とを読み込む(S102)。すなわち、エンジンコントローラ311が、エンジン回転センサ322、冷却水温センサ323、差圧センサ325及びDPF温度センサ326の検出値と、吸気スロットル部材78並びにEGRバルブ部材81の開度と、コモンレール341による燃料噴射量とを読み込む。
次いで、過去にリセット再生制御又は非作業再生制御を実行してからの累積駆動時間TIが設定時間TI1(例えば50時間)未満であれば(S103:NO)、排気ガス浄化装置50内のPM堆積量を推定する(S104)。PM堆積量推定は、差圧センサ325の検出値と排気ガス流量マップとに基づくP法と、エンジン回転センサ322の検出値と燃料噴射量とPM排出量マップと排気ガス流量マップとに基づくC法とを用いて行う。PM堆積量が規定量Ma(例えば8g/l)以上であれば(S105:YES)、アシスト再生制御を実行する(S106)。
アシスト再生制御を行っている際、エンジン回転センサ322の検出値と燃料噴射量とPM排出量マップと排気ガス流量マップとに基づき、排気ガス浄化装置50内のPM堆積量を推定する(S107)。PM堆積量が規定量Ma(例えば6g/l)未満であれば(S108:YES)、アシスト再生制御を終了して通常運転制御に戻る。PM堆積量が規定量Ma以上の場合(S108:NO)、この状態で所定時間TI4(例えば10分)を経過した場合は(S109:YES)、リセット再生制御の前のリセット待機モードであるステップS201へ移行する。
ステップS103に戻り、累積駆動時間TIが設定時間TI1以上の場合(S103:YES)、リセット待機モードであるステップS201へ移行し、リセット再生要求を実行させる。この段階では、再生ランプ332及び再生スイッチランプ345が低速点滅すると共に(例えば0.5Hz)、警報ブザー331が断続的に低速鳴動する(例えば0.
5Hz)。従って、オペレータは、警報ブザー331、再生ランプ332、及び再生スイッチランプ345それぞれの駆動に基づく再生制御要求警報により、手動操作が促されている再生スイッチ329の位置を即座に確認できる。
その後、再生スイッチ329が所定時間(例えば3秒)オン操作された場合、(S202:YES)、リセット再生制御を実行する(S203)。この段階では、エンジンコントローラ311は、再生ランプ332及び再生スイッチランプ345を点灯させる一方、警報ブザー331を鳴動停止させる。このため、オペレータは、再生スイッチ329(再生スイッチランプ345の点灯)の状態を確認することで、リセット再生制御の実行中である旨を簡単に視認でき、オペレータの注意を喚起できる。
リセット再生制御の実行中に、排気ガス浄化装置50内のPM堆積量を推定し(S204)、PM堆積量が規定量Mr(例えば10g/l)未満の状態の場合は(S205:NO)、リセット再生制御開始から所定時間TI8(例えば30分)を経過すれば(S206:YES)、リセット再生制御を終了して通常運転制御に戻る。このとき、リセット再生制御を終了するため、再生ランプ332及び再生スイッチランプ345を消灯させる。一方、PM堆積量が規定量Mr以上であれば(S205:YES)、リセット再生制御失敗とみなし、PM過堆積の可能性が懸念されるので、非作業再生制御の前の駐車待機モードであるステップS301へ移行する。
図20に示すように、駐車待機モードでは始めに、排気ガス浄化装置50内のPM堆積量を推定する(S301)。そして、PM堆積量が規定量Mb(例えば12g/l)未満で(S302:NO)且つ所定時間TI9(例えば10時間)内であれば(S303:NO)、第一非作業再生要求を実行させる(S304)。この段階では、再生スイッチランプ345は消灯したままであるが、再生ランプ332及びエンジン異常ランプ347が高速点滅し(例えば1.0Hz)、警報ブザー331が断続的に高速鳴動する(例えば1.0Hz)。従って、オペレータは、警報ブザー331、再生ランプ332、及びエンジン異常ランプ347それぞれの駆動に基づく再生制御要求警報により、非作業再生制御の実行のために非作業再生移行条件(インターロック解除条件)の成立を要求されていることを認識できる。
一方、PM堆積量が規定量Mb以上か(S302:YES)、駐車待機モードのままで所定時間TI9(例えば10時間)を経過した場合は(S303:YES)、PM過堆積の可能性が懸念されるので、排気ガス浄化装置50の異常を報知する(STEP401)。このとき、エンジン異常ランプ347が高速点滅し(例えば1.0Hz)、警報ブザー331が高速鳴動する(例えば1.0Hz)。一方、再生ランプ332及び再生スイッチランプ345は消灯したままとなる。
上述のステップS304で第一非作業再生要求を実行した後は、予め設定した非作業再生移行条件(インターロック解除条件)が成立するまで待機する(S305)。ステップS305に示す非作業再生移行条件は、前後進ポテンショ211が中立位置(前後進切換レバー252の中立状態)、駐車ブレーキスイッチ236がオン(駐車ブレーキレバー254によるロック状態)、PTOクラッチスイッチ225がオフ状態、エンジン5がローアイドル回転速度(無負荷時の最低限度の回転速度)N0、並びに、冷却水温センサ323の検出値が所定値(例えば65℃)以上(エンジン5の暖気運転完了)という条件からなっている。
ステップS305において、上記非作業再生移行条件(インターロック解除条件)が成立すると(YES)、第二非作業再生要求を実行させる(S306)。この段階では、再生ランプ332及び再生スイッチランプ345が低速点滅し(例えば0.5Hz)、エン
ジン異常ランプ347が高速点滅し(例えば1.0Hz)、警報ブザー331が断続的な低速鳴動に切り換わる(例えば0.5Hz)。従って、オペレータは、警報ブザー331、再生ランプ332、及び再生スイッチランプ345それぞれの駆動に基づく再生制御要求警報により、非作業再生移行条件(インターロック解除条件)の成立を認識すると同時に、手動操作が促されている再生スイッチ329の位置を即座に確認できる。また、再生ランプ332の点滅周期及び警報ブザー331の鳴動周期それぞれが高速から低速に遷移することで、非作業再生移行条件(インターロック解除条件)が成立したことをオペレータに確実に認識させることができる。
そして、再生スイッチ329が所定時間オンになれば(S307:YES)、非作業再生制御を実行する(S308)。すなわち、エンジンコントローラ311が、オペレータからの再生スイッチ329へのオン操作を受け付けたことを確認し、非作業再生制御を実行する。この段階では、再生ランプ332、再生スイッチランプ345、及びエンジン異常ランプ347を点灯させる一方、警報ブザー331を鳴動停止させる。これにより、オペレータは、非作業再生制御が実行されていることを認識するため、非作業再生制御の実行時におけるオペレータの誤操作を未然に阻止できる。
エンジンコントローラ311は、非作業再生制御を実行する直前に、専ら前記粒子状物質の燃焼除去のためにエンジン5を駆動させるべく、エンジン5の負荷の変動に拘らずエンジン5の回転速度を一定に維持させるアイソクロナス制御を強制的に実行する。すなわち、図18に示すように、制御方式選択スイッチ271によりドループ制御が指定されていた場合であっても、エンジンコントローラ311は、非作業再生制御を実行する際に、アイソクロナス制御に切り替えて、エンジン5を駆動制御する。従って、非作業再生制御実行時において、エンジン5は、最大出力よりも低い駐車時最大出力(例えば最大出力の80%程度)とする所定高速回転速度N1を維持して回転するため、排気ガス温度を上昇させることができ、好条件下で、排気ガス浄化装置50内のPMが強制的に燃焼除去し、排気ガス浄化装置50の浄化能力を再生できる。
また、非作業再生制御を実行する場合、図18に示すように、所定高速回転速度N1でエンジン5を回転させる。従って、非作業再生制御実行時において、エンジン5は、最大出力よりも低い駐車時最大出力(例えば最大出力の80%程度)とする所定高速回転速度N1で回転して、排気ガス温度を上昇させることができ、好条件下で、排気ガス浄化装置50内のPMが強制的に燃焼除去し、排気ガス浄化装置50の浄化能力を再生できる。
非作業再生制御の実行中は、排気フィルタ202内のPM堆積量を推定する(S309)。PM堆積量が規定量Ms(例えば8g/l)未満であり(S310:YES)、且つ、非作業再生制御開始から所定時間TI11(例えば30分)を経過すれば(S311:YES)、非作業再生制御を終了して通常運転制御に戻る。PM堆積量が規定量Ms以上の場合(S310:NO)、この状態で所定時間TI12(例えば30分)を経過すれば(S312:YES)、非作業再生制御失敗とみなし、PM過堆積の可能性が懸念されるので、排気ガス浄化装置50の異常を報知するステップS401へ移行する。
非作業再生制御の実行中に、駐車ブレーキレバー254によるロック状態の解除等により、非作業再生移行条件(インターロック解除条件)が非成立の状態になると(S313:YES)、非作業再生制御が中断した後に(S314)、ステップS304に移行して、第一非作業再生要求を実行させる。なお、S312において、非作業再生移行条件(インターロック解除条件)が非成立の状態により、非作業再生制御の中断の可否が判定されるものとしたが、非作業再生制御の実行中に再生スイッチ329が押下された場合に、非作業再生制御を中断するものとしても構わない。これにより、ディーゼルエンジン1を停止させて、排気ガス浄化装置50の非作業再生制御を中断させる操作などの面倒な操作を
行うことなく、排気ガス浄化装置50の非作業再生制御を中断させることができる
上記したように、本実施形態では、オペレータの手動操作による排気ガス浄化装置50の再生制御の開始指示が、再生スイッチ329に対する長押し操作(所定時間(例えば3秒)のオン操作)である。すなわち、再生スイッチ329に対する動作が、オペレータの手動操作か、または誤操作かを判断可能な操作時間以上に、再生スイッチ329を連続動作させたときに排気ガス浄化装置50の再生制御が開始されるように構成している。従って、オペレータが想定していない再生制御動作を未然に阻止できる。
更に、排気ガス浄化装置50の再生制御中、オペレータがキースイッチ切操作してディーゼルエンジン1を停止させ、次いでディーゼルエンジン1を再始動させたときに、排気ガス浄化装置50の再生制御がリセットされるように構成することで、オペレータが想定していない再生制御動作を未然に阻止できる。
上述のようにして再生制御を行っているとき、メーターコントローラ312は、メーターパネル246の表示ランプ267a〜267d及び273による、駐車ブレーキランプ346、PTOランプ348、再生ランプ332、エンジン異常ランプ347、及びリバーサ中立ランプ349それぞれの明滅動作を制御する。特に、非作業再生制御を実行させる際においては、非作業再生移行条件の成立をオペレータに認識させるべく、メーターコントローラ312は、成立していない条件に合わせて、駐車ブレーキランプ346、PTOランプ348、及びリバーサ中立ランプ349それぞれを点滅させる。
図21のフローチャートに従って、非作業再生制御を実行させる際におけるメーターパネル246の表示動作について、以下に説明する。メーターコントローラ312は、上記ステップS304でエンジンコントローラ311からの第一非作業再生要求を受けると(S451:YES)、再生ランプ332及びエンジン異常ランプ347を高速点滅させる(S452)。そして、メーターコントローラ312は、本機コントローラ313と通信して、前後進ポテンショ211からの信号に基づいて、前後進切換レバー252が中立状態であるか否かを確認する(S453)。
そして、前後進切換レバー252が前進側又は後進側にある場合(S453:NO)、前後進切換レバー252を中立状態とすることをオペレータに促すべく、再生ランプ332及びエンジン異常ランプ347と共に、リバーサ中立ランプ349を点滅させる(S454)。このとき、リバーサ中立ランプ349の点滅周期については、再生ランプ332及びエンジン異常ランプ347の点滅周期と同一周期としても構わない。一方、前後進切換レバー252が中立位置にある場合(S453:YES)、リバーサ中立ランプ349を点灯させる(S455)。
次に、メーターコントローラ312は、作業機コントローラ314と通信して、PTOクラッチスイッチ225からの信号に基づいて、PTOクラッチスイッチ225がオフ状態であるか否かを確認する(S456)。PTOクラッチスイッチ225がオン状態である場合(S456:NO)、再生ランプ332及びエンジン異常ランプ347と共に、PTOランプ348を点滅させる(S457)。このとき、PTOランプ348の点滅周期については、再生ランプ332及びエンジン異常ランプ347の点滅周期と同一周期としても構わない。一方、PTOクラッチスイッチ225がオフ状態である場合(S456:YES)、PTOランプ348を消灯させる(S458)。
次に、メーターコントローラ312は、本機コントローラ314と通信して、駐車ブレーキスイッチ236からの信号に基づいて、駐車ブレーキレバー254によるロック状態であるか否かを確認する(S459)。駐車ブレーキスイッチ236がオフ状態である場合(S459:NO)、再生ランプ332及びエンジン異常ランプ347と共に、駐車ブ
レーキレバー254によるロック状態とすることをオペレータに促すべく、駐車ブレーキランプ346を点滅させる(S460)。このとき、駐車ブレーキランプ346の点滅周期については、再生ランプ332及びエンジン異常ランプ347の点滅周期と同一周期としても構わない。一方、駐車ブレーキスイッチ236がオン状態である場合(S459:YES)、駐車ブレーキランプ346を点灯させる(S461)。
その後、メーターコントローラ312は、上記ステップS306におけるエンジンコントローラ311からの第二非作業再生要求を受けると(S462:YES)、再生ランプ332及び再生スイッチランプ345を低速点滅させると同時に、エンジン異常ランプ347を高速点滅させる(S463)。そして、上記ステップS307と同様、再生スイッチ329への長押し操作がなされたか否かが判断される(S464)。このとき、再生スイッチ329が所定時間オンになれば(S464:YES)、再生ランプ332、再生スイッチランプ345、及びエンジン異常ランプ347を点灯させる(S465)。
本実施形態において、メーターコントローラ312は、図22に示すように、ドループ切換端子(制御方式切換端子)Tm1及びハイアイドル制限端子Tm3を備えるものであってもよい。また、エンジンコントローラ311は、メモリM1にハイアイドル制限回転速度Nh1のみを記憶している。更に、制御方式選択スイッチ350は、1極双投型スイッチであり、共通端子B1を接地するとともに、選択端子A1をダイオードDm1のカソードに接続する一方、選択端子A2をメーターコントローラ312のハイアイドル制限端子Tm3に接続する。ダイオードDm1のアノードがメーターコントローラ312のドループ切換端子Tm1に接続しており、ドループ切換端子Tm1と接地電位の間で、左右のブレーキペダルスイッチ220,220が直列に接続されている。
メーターコントローラ312は、ハイアイドル制限端子Tm3に入力される信号がローとなるとき、エンジン5の回転速度を、メモリM1に記憶しているハイアイドル制限回転速度Nh1による制限(ハイアイドル制限)を有効にするよう、CAN通信バス315を介してエンジンコントローラ311に通知する。一方、メーターコントローラ312は、ハイアイドル切換端子Tm2に入力される信号がハイとなるとき、メモリM1に記憶しているハイアイドル制限回転速度Nh1による制限(ハイアイドル制限)を無効にするよう、CAN通信バス315を介してエンジンコントローラ311に通知する。
制御方式選択スイッチ350が選択端子A1に接続されてONとされるとき、メーターコントローラ312のドループ切換端子Tm1に、ローとなる信号が入力される。メーターコントローラ312は、ドループ制御方式が指定されていることを認識し、エンジンコントローラ311に通知する。このとき、メーターコントローラ312のハイアイドル制限端子Tm2に対しては、ハイとなる信号が入力される。メーターコントローラ312は、ハイアイドル制限の無効が指定されていることを認識し、エンジンコントローラ311に通知する。従って、エンジンコントローラ311は、エンジン5をドループ制御方式で制御するとともに、ハイアイドル制限速度Nh1によるハイアイドル制限を無効とする。
制御方式選択スイッチ350が選択端子A2に接続されてOFFとされるとき、左右ブレーキペダル251,251のいずれか一方が非操作状態の場合、左右ブレーキペダルスイッチ220,220の一方がOFFとなるため、メーターコントローラ312のドループ切換端子Tm1に、ハイとなる信号が入力される。メーターコントローラ312は、アイソクロナス制御方式が指定されていることを認識し、エンジンコントローラ311に通知する。このとき、メーターコントローラ312のハイアイドル制限端子Tm3に対しては、ローとなる信号が入力される。メーターコントローラ312は、ハイアイドル制限の有効が指定されていることを認識し、エンジンコントローラ311に通知する。従って、エンジンコントローラ311は、エンジン5をアイソクロナス制御方式で制御するととも
に、ハイアイドル制限速度Nh1によるハイアイドル制限を有効とする。
制御方式選択スイッチ350が選択端子A2に接続されてOFFとされるとき、左右ブレーキペダル251,251の両方が操作された場合、左右ブレーキペダルスイッチ220,220の両方がONとなるため、メーターコントローラ312のドループ切換端子Tm1に、ローとなる信号が入力される。メーターコントローラ312は、ドループ制御方式が指定されていることを認識し、エンジンコントローラ311に通知する。一方、メーターコントローラ312のハイアイドル制限端子Tm3に対しても、ローとなる信号が入力される。メーターコントローラ312は、ハイアイドル制限の有効が指定されていることを認識し、エンジンコントローラ311に通知する。従って、エンジンコントローラ311は、エンジン5をドループ制御方式で制御するとともに、ハイアイドル制限速度Nh1によるハイアイドル制限を有効とする。
なお、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
5 エンジン
6 ボンネット
14 エンジンフレーム(機体フレーム)
50 排気フィルタ
147 上支持フレーム
160 コントローラ支持体
161 下部支持体
162 上部支持体
164 コントローラ取付け板体
220 ブレーキペダルスイッチ
241 連結部材
242 係止部材
251 ブレーキペダル
311 エンジンコントローラ
325 差圧センサ
350 制御方式選択スイッチ
Dm1 ダイオード
Tm1 ドループ切換端子
Tm2 ハイアイドル切換端子
Tm3 ハイアイドル制限端子

Claims (4)

  1. 走行機体に搭載するエンジンと、前記エンジンの動力で回転する左右一対の走行部と、前記左右一対の走行部それぞれを制動操作するための左右一対のブレーキ操作具と、前記エンジンの駆動を制御するエンジンコントローラと、前記走行機体の運転操作状況を表示させるメーターコントローラを備え、前記各コントローラ間を電気的に相互に接続し、前記エンジンコントローラがアイソクロナス制御及びドループ制御のいずれかを選択して前記エンジンを制御する作業車両において、
    前記アイソクロナス制御及び前記ドループ制御を択一的に選択できる制御方式選択スイッチを、前記メーターコントローラと電気的に接続するとともに、前記ブレーキ操作具の操作状態が前記メーターコントローラに通知される構成を有しており、
    前記制御方式選択スイッチにより前記アイソクロナス制御が指定されている場合、前記左右ブレーキ操作具の一方が非操作状態にあるとき、前記エンジンが前記アイソクロナス制御で駆動する一方、前記左右ブレーキ操作具の両方が操作状態にあるとき、前記エンジンが前記ドループ制御で駆動するように構成したことを特徴とする作業車両。
  2. 前記エンジンコントローラは、前記アイソクロナス制御用のハイアイドル回転速度として第1回転速度を記憶しており、前記運転コントローラを介して該エンジン制御切換スイッチにより前記アイソクロナス制御が指定されると、前記エンジンのハイアイドル回転速度を前第1回転速度に設定することを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
  3. 前記メーターコントローラにより制御されて前記走行機体の運転操作状況を表示する運転操作表示装置を更に備えるとともに、
    前記運転操作表示装置の外側となる位置に、前記制御方式選択スイッチを設置することを特徴とする請求項1又は2に記載の作業車両。
  4. 前記走行機体の進行方向を前進と後進とに切り換え操作するための前後進切換レバーと、該前後進切換レバーを下側から覆う誤操作防止体とを、更に備え、
    前記誤操作防止体上に、前記制御方式選択スイッチを設置することを特徴とする請求項1又は2に記載の作業車両。
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