JP2015187432A - 内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の気筒に設置された点火プラグにデポジットが付着し堆積することに起因した不具合を解消する。【解決手段】点火プラグ12の中心電極と接地電極との間に発生する火花放電と気筒の燃焼室内に臨むアンテナを介して燃焼室内に放射される電界とを相互作用させて燃焼室内にプラズマを生成し燃料に着火するアクティブ点火を実行可能な内燃機関であって、点火プラグ12にデポジットが堆積したことを感知した場合、アクセル開度が所定以上の高負荷領域においてアクティブ点火を実行する。【選択図】図2
Description
本発明は、車両等に搭載される内燃機関に関する。
一般的な火花点火式内燃機関に実装されている点火装置では、イグナイタが消弧した際に点火コイルに発生する高電圧を点火プラグの中心電極に印加することで、点火プラグの中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起し、点火する。
近時では、気筒の燃焼室内にある混合気に確実に着火させ、安定した火炎を得ることができるようにするために、高周波発振器が出力する高周波またはマグネトロンが出力するマイクロ波を燃焼室内に放射する「アクティブ点火(アクティブ着火)」法が試みられている(例えば、下記特許文献を参照)。アクティブ点火法によれば、中心電極と接地電極との間の空間に高周波電界またはマイクロ波電界が形成され、この電界中で発生したプラズマが成長して、火炎伝搬燃焼の始まりとなる大きな火炎核を生成することができる。
内燃機関の気筒に設置された点火プラグの電極やその電極間に介在する絶縁材(碍子)には、経年劣化としてカーボン等のデポジットが付着、堆積してゆく。その堆積量が多くなると、気筒においてノッキングやプレイグニッションといった不良燃焼が惹起される可能性や、点火プラグの電極間で適正な火花放電が発生せず混合気にうまく点火できなくなる可能性が高まる。
本発明は、点火プラグにデポジットが付着し堆積することに起因した不具合を解消することを所期の目的としている。
上述した課題を解決するべく、本発明では、点火プラグの中心電極と接地電極との間に発生する火花放電と気筒の燃焼室内に臨むアンテナを介して燃焼室内に放射される電界とを相互作用させて燃焼室内にプラズマを生成し燃料に着火するアクティブ点火を実行可能な内燃機関であって、点火プラグにデポジットが堆積したことを感知した場合、アクセル開度が所定以上の高負荷領域においてアクティブ点火を実行する内燃機関を構成した。
本発明によれば、内燃機関の気筒に設置された点火プラグにデポジットが付着し堆積することに起因した不具合を解消することができる。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態における車両用内燃機関の概要を示す。本実施形態における内燃機関は、筒内直接噴射式の4ストロークガソリンエンジンであり、複数の気筒1(図1には、そのうち一つを図示している)を具備している。各気筒1には、その燃焼室に臨む位置に、燃料を噴射するインジェクタ11を設置している。また、各気筒1の燃焼室の天井部に、点火プラグ12を取り付けてある。
図2に、点火系の電気回路を示している。点火プラグ12は、点火コイル14にて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。点火コイル14は、半導体スイッチング素子であるイグナイタ13とともに、コイルケースに一体的に内蔵される。内燃機関の制御装置たるECU(Electronic Control Unit)0からの点火信号iをイグナイタ13が受けると、まずイグナイタ13が点弧して点火コイル14の一次側に電流が流れ、その直後の点火タイミングでイグナイタ13が消弧してこの電流が遮断される。すると、自己誘導作用が起こり、一次側に高電圧が発生する。そして、一次側と二次側とは磁気回路及び磁束を共有するので、二次側にさらに高い誘導電圧が発生する。この高い誘導電圧が点火プラグ12の中心電極に印加され、中心電極と接地電極との間で火花放電が生じる。
本実施形態の内燃機関では、その点火系に気筒1の燃焼室内に電界を発生させる電界発生装置6を付設している。この電界発生装置6は、燃焼室内でプラズマを生成する目的のものである。電界発生装置6の具体例としては、高周波の交流電圧を出力する交流電圧発生回路や、高周波の脈流電圧を出力する脈流電圧発生回路等を挙げることができる。
図3及び図4に示すように、高周波を発生させる電界発生装置6は、車載バッテリを電源とし、低圧直流を高圧交流に変換する回路を含む。具体的には、バッテリが提供する約12Vの直流電圧を100V〜500Vに昇圧するDC−DCコンバータ61と、DC−DCコンバータ61が出力する直流を交流に変換する高周波発生回路たるHブリッジ回路62と、Hブリッジ回路62が出力する交流の高周波をさらに高い電圧に昇圧する昇圧トランス63とを構成要素とする。
DC−DCコンバータ61は、ECU0からの指令lを受けて、Hブリッジ回路62に印加する直流の駆動電圧の大きさを変化させることができ、ひいては、昇圧トランス63の下流における高周波電圧の振幅を変化させることができる。昇圧トランス63の下流における高周波電圧は、周波数が200kHz〜3000kHz程度、振幅が3kVp−p〜10kVp−p程度であることが好ましい。
電界発生装置6の出力端には、第一ダイオード64及び第二ダイオード65を介設する。第一ダイオード64は、カソードが昇圧トランス63の二次側巻線の信号ラインに接続し、アノードが点火コイル14との結節点であるミキサ7に接続している。第二ダイオード65は、アノードが昇圧トランス63の二次側巻線のグランドラインに接続し、カソードが接地している。これら第一ダイオード64及び第二ダイオード65は、昇圧トランス63の下流において交流の高周波を半波整流して脈流化するとともに、点火タイミングにおいて点火コイル14の二次側から流れ込む負の高圧パルス電流を遮る役割を担う。
因みに、電界発生装置6として脈流電圧発生回路を採用する場合、当該脈流電圧発生回路は周期的に電圧が変化する直流電圧を発生させるものであればよく、その波形も任意であってよい。ここに言う脈流電圧は、基準電圧(0Vであることがある)から一定周期で一定電圧まで変動するパルス電圧や、交流電圧に直流バイアスを加味した電圧等を含む。
電界発生装置6が発生させる高周波電圧は、点火プラグ12の中心電極に印加する。つまり、気筒1の燃焼室内に臨む点火プラグ12の中心電極を、電界を放射するアンテナとする。これにより、燃焼室内における、点火プラグ12の中心電極と接地電極との間の空間に、高周波電界が形成される。そして、高周波電界中で火花放電を行うことによりプラズマが発生し、このプラズマが火炎伝搬燃焼の始まりとなる大きなラジカルプラズマ火炎核を生成する。
上記は、火花放電による電子の流れ及び火花放電によって生じたイオンやラジカルが、電界の影響を受け振動、蛇行することで行路長が長くなり、周囲の水分子や窒素分子と衝突する回数が飛躍的に増加することによるものである。イオンやラジカルの衝突を受けた水分子や窒素分子は、OHラジカルやNラジカルになるとともに、イオンやラジカルの衝突を受けた周囲の気体も電離した状態、即ちプラズマ状態となることで、飛躍的に混合気への着火領域が大きくなり、火炎核も大きくなるのである。この結果、火花放電のみによる二次元的な着火から三次元的な着火に増幅され、燃焼が燃焼室内に急速に伝播、高い燃焼速度で拡大することとなる。
アクティブ点火を実行する場合の、点火プラグ12の中心電極に高周波を印加するタイミングは、通常、火花放電開始と略同時、火花放電開始直前、または火花放電開始直後である。
勿論、本実施形態の内燃機関は、アクティブ点火ではない従来型の火花点火、即ち点火プラグ12の中心電極からの高周波電界の放射を伴わない火花放電によって混合気に着火することもできる。安定的に着火して燃焼させることが容易な(燃焼不安定ないし失火に陥りにくい)状況下では、従来型の火花点火を実行することとして電力消費を抑制することが考えられる。
本実施形態において、ECU0は、混合気の燃焼の際に気筒1の燃焼室内に発生するイオン電流を検出し、当該イオン電流信号hを参照して燃焼状態の判定を行うことが可能である。
図2に示しているように、本実施形態では、点火系の電気回路に、イオン電流を検出するための回路を付加している。この検出回路は、イオン電流を効果的に検出するためのバイアス電源部15と、イオン電流の多寡に応じた検出電圧を増幅して出力する増幅部16とを備える。バイアス電源部15は、バイアス電圧を蓄えるキャパシタ151と、キャパシタ151の電圧を所定電圧まで高めるためのツェナーダイオード152と、電流阻止用のダイオード153、154と、イオン電流に応じた電圧を出力する負荷抵抗155とを含む。増幅部16は、オペアンプに代表される電圧増幅器161を含む。
点火プラグ12の中心電極と接地電極との間のアーク放電時にはキャパシタ151が充電され、その後キャパシタ151に充電されたバイアス電圧により負荷抵抗155にイオン電流が流れる。イオン電流が流れることで生じる抵抗155の両端間の電圧は、増幅部16により増幅されてイオン電流信号hとしてECU0に受信される。
図5に、正常燃焼における、イオン電流(図中実線で示す)及び気筒1内の燃焼圧力(筒内圧。図中破線で示す)のそれぞれの推移を例示する。正常燃焼の場合のイオン電流は、火花点火の終了後、化学反応により、圧縮上死点の手前で減少した後、熱解離によって再び増加する。そして、筒内圧がピークを迎えるのとほぼ同時に、イオン電流も極大となる。
ECU0は、イオン電流信号hを参照して、気筒1の燃焼室内にて燃焼不安定ないし失火が発生していないかどうかを判定することができる。図5に示しているように、ECU0は、気筒1の燃焼室内に充填された混合気に点火した後に検出されるイオン電流信号hの大きさが閾値を上回っている期間Tの長さ(クランク角度(°CA)単位または秒単位)を計数する。そして、その計数した期間Tの長さが判定値以上であれば、当該気筒1の膨張行程において混合気が正常に燃焼したと判定する。翻って、期間Tの長さが判定値を下回ったならば、当該気筒1の膨張行程における混合気の燃焼が不安定、当該気筒1の膨張行程において失火が発生したと判定する。
但し、イオン電流は、点火のための放電中には検出することができない。また、図5に示しているものは、従来型の火花点火によって混合気を燃焼させた際のイオン電流信号hの波形である。点火プラグ12の中心電極から高周波電界を放射するアクティブ点火を実行する場合には、その高周波電界の放射中もイオン電流を検出することができない。
内燃機関の気筒1に吸気を供給するための吸気通路3は、外部から空気を取り入れて各気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、電子スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34を、上流からこの順序に配置している。
気筒1から排気を排出するための排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を各気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気通路4上には、排気マニホルド42及び排気浄化用の三元触媒41を配置している。
外部EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置2は、いわゆる高圧ループEGRを実現するものであり、排気通路4における触媒41の上流側と吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流側とを連通するEGR通路21と、EGR通路21上に設けたEGRクーラ22と、EGR通路21を開閉し当該EGR通路21を流れるEGRガスの流量を制御するEGRバルブ23とを要素とする。EGR通路21の入口は、排気通路4における排気マニホルド42またはその下流の所定箇所に接続している。EGR通路21の出口は、吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流の所定箇所、具体的にはサージタンク33に接続している。
内燃機関の運転制御を司るECU0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。
入力インタフェースには、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、クランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するエンジン回転センサから出力されるクランク角信号b、アクセルペダルの踏込量またはスロットルバルブ32の開度をアクセル開度(いわば、要求負荷)として検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、気筒1を内包するシリンダブロックの振動の大きさを検出するノックセンサから出力されるノック信号d、吸気通路3(特に、サージタンク33)内の吸気温及び吸気圧を検出する温度・圧力センサから出力される吸気温・吸気圧信号e、内燃機関の冷却水温を検出する水温センサから出力される冷却水温信号f、吸気カムシャフトまたは排気カムシャフトの複数のカム角にてカム角センサから出力されるカム角信号g、燃焼室内での混合気の燃焼に伴って生じるイオン電流を検出する回路から出力されるイオン電流信号h等が入力される。
出力インタフェースからは、点火プラグ12のイグナイタ13に対して点火信号i、インジェクタ11に対して燃料噴射信号j、スロットルバルブ32に対して開度操作信号k、DC−DCコンバータ61に対して当該DC−DCコンバータ61が出力する駆動電圧の大きさを指令する電圧指令信号l、EGRバルブ23に対して開度操作信号m等を出力する。
ECU0のプロセッサは、予めメモリに格納されているプログラムを解釈、実行し、運転パラメータを演算して内燃機関の運転を制御する。ECU0は、内燃機関の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、hを入力インタフェースを介して取得し、エンジン回転数を知得するとともに気筒1に充填される吸気量を推算する。そして、それらエンジン回転数及び吸気量等に基づき、要求される燃料噴射量、燃料噴射タイミング(一度の燃焼に対する燃料噴射の回数を含む)、燃料噴射圧、点火タイミング、燃焼室内に高周波電界を印加するか否かやその電界の強度、要求EGR率(または、EGR量)等といった各種運転パラメータを決定する。ECU0は、運転パラメータに対応した各種制御信号i、j、k、l、mを出力インタフェースを介して印加する。
特に、ECU0は、ノックセンサを介して取得されるノック信号dを参照して、各気筒1の膨張行程におけるノッキングやプレイグニッションの有無を、各気筒1毎に個別に判定する。ノッキング等の有無の判定にあたり、ECU0は予め、統計処理によりノック判定値を算定しておく。具体的には、ノッキングが起こっていないと思しき状況下で、気筒1の膨張行程中のシリンダブロックの振動をノックセンサを介してサンプリングし、ノック信号dを得る。そして、このノック信号dのサンプリング値のある期間内の時系列から、平均値及び標準偏差、ひいてはノック判定値を算出する。平均値をX、標準偏差をσとおくと、ノック判定値Jは、
J=X+Uσ
として求められる。上式における係数Uは、そのときの運転領域、即ちエンジン回転数及びアクセル開度(または、サージタンク33内吸気圧(新気の分圧であることがある)、気筒1に充填される吸気量(新気量であることがある)、燃料噴射量)に応じて設定する。係数Uを、空燃比の高低や要求EGR率等に応じて変えるようにしてもよい。また、ノック判定値は、各気筒1毎に個別に求めてもよいし、全気筒1で共通のものとしてもよい。
J=X+Uσ
として求められる。上式における係数Uは、そのときの運転領域、即ちエンジン回転数及びアクセル開度(または、サージタンク33内吸気圧(新気の分圧であることがある)、気筒1に充填される吸気量(新気量であることがある)、燃料噴射量)に応じて設定する。係数Uを、空燃比の高低や要求EGR率等に応じて変えるようにしてもよい。また、ノック判定値は、各気筒1毎に個別に求めてもよいし、全気筒1で共通のものとしてもよい。
ECU0は、ノックセンサが出力するノック信号dの現在のサンプリング値(現在の振動の強度)を、ノック判定値と比較する。気筒1の膨張行程中にノックセンサを介して検出されたノック信号dのサンプリング値がノック判定値を上回ったならば、当該気筒1にてノッキング等の異常燃焼が起こったと判定する。逆に、ノック信号dのサンプリング値がノック判定値以下であるならば、当該気筒1にて異常燃焼は起こっていないと判定する。
そして、ECU0は、混合気を燃焼させる際の点火(アクティブ点火であることもあれば、従来型の火花点火であることもある)のタイミングを、対象の気筒1におけるノッキングの有無の判定結果に基づいて補正する。具体的には、現在の内燃機関の運転領域に応じて定まるベース点火タイミングに遅角補正量を加味して点火タイミングを決定することとし、その遅角補正量を、気筒1においてノッキングが起こらなくなるまで(例えば、混合気の着火燃焼の機会が訪れる毎に所定量づつ)逓増させるとともに、ノッキングが起こらない限りにおいて(混合気の着火燃焼の機会が訪れる毎に所定量づつ)逓減させてゆく。なお、ECU0は、内燃機関の運転領域[エンジン回転数,アクセル開度(または、吸気圧、吸気量、燃料噴射量)]とベース点火タイミングとの関係を規定したマップデータを予めメモリに記憶保持している。ECUは、現在の運転領域をキーとして当該マップを検索し、ベース点火タイミングを知得する。
しかして、本実施形態のECU0は、気筒1に設置している点火プラグ12にある程度以上のデポジットが堆積したことを感知した場合において、アクセル開度が所定以上の高負荷領域においてアクティブ点火を実行し、点火プラグ12の電極や絶縁材(碍子)または点火プラグ12の周辺に堆積したデポジットを酸化ないし燃焼させて除去することとしている。
本実施形態では、気筒1の膨張行程の際の点火タイミングを決定する遅角補正量が所定以上となったときに、当該気筒1の点火プラグ12またはその周辺にデポジットが堆積したと判断する。遅角補正量が所定以上に増加したことは、当該気筒1においてノッキングやプレイグニッションといった不良燃焼が高頻度で発生していることを意味する。不良燃焼の頻発は、気筒1の燃焼室内にカーボン等のデポジットが堆積したことに起因している蓋然性が高い。そこで、ECU0は、点火タイミングの遅角補正量の多寡を基に、対象の気筒1(の点火プラグ12)にデポジットが堆積したことを感知する。
デポジットが堆積したことを感知したECU0は、対象の気筒1において、電界発生装置6が出力する高周波電圧をアンテナたる点火プラグ12の中心電極に印加してアクティブ点火を実行し、以て点火プラグ12の電極や絶縁材、または点火プラグ12の周辺に付着しているデポジットの除去を図る。点火プラグ12の中心電極からの高周波電界の放射を伴うアクティブ点火では、従来型の火花点火と比較して、点火プラグ12の中心電極と接地電極との間に生じるアーク放電が安定化し、またそのアーク放電がより長い時間維持されるため、点火プラグ12に付着し堆積したデポジットが好適に除去される。なお、このときに点火プラグ12の中心電極に印加する高周波電圧の大きさ(当該気筒1の燃焼室内に放射する高周波電界の強度)、及び/または、点火プラグ12の中心電極に高周波電界を印加する時間の長さ(燃焼室内に高周波電界を放射する時間の長さ)は、デポジットの堆積を感知していない平常時のアクティブ点火におけるそれと同等としてもよいし、平常時のアクティブ点火におけるそれより大きくしてもよい。
従来型の火花点火とアクティブ点火とでは、混合気の着火燃焼の様相が異なり、気筒1にて発生するエンジントルクの大きさにも差を生じる蓋然性が高い。デポジットの除去を目的としたアクティブ点火において、燃焼室内に放射する高周波電界及び/またはその放射時間を平常時のアクティブ点火よりも大きくする場合には、発生するエンジントルクの大きさがさらに変化する可能性がある。デポジットの除去を目的としたアクティブ点火を高負荷運転領域にて実行するのは、高負荷運転領域であればエンジントルクの増大が車両の挙動に悪影響を及ぼしにくく、また、そもそも混合気の燃焼に伴う発生熱量が多いためにデポジットを焼き切りやすいからである。
本実施形態では、点火プラグ12の中心電極と接地電極との間に発生する火花放電と気筒1の燃焼室内に臨むアンテナ(点火プラグ12の中心電極)を介して燃焼室内に放射される電界とを相互作用させて燃焼室内にプラズマを生成し燃料に着火するアクティブ点火を実行可能な内燃機関であって、点火プラグ12にデポジットが堆積したことを感知した場合、アクセル開度が所定以上の高負荷領域においてアクティブ点火を実行する内燃機関を構成した。
本実施形態によれば、ノッキングやプレイグニッションの原因となり点火プラグ12における火花放電の妨げともなるデポジットを適時に除去できるようになり、ノッキング及びプレイグニッションの防止に奏効し、点火プラグ12による混合気への点火の確実性を高めることにもつながる。とりわけ、高EGR率運転を行う際の混合気の着火燃焼を安定させることが可能となるため、EGR率の上限を引き上げることが許容され、EGR率の上昇によるNOxの排出削減、ポンピングロスの低下及び燃費性能の向上に寄与し得る。
混合気の燃焼の安定性が低下する高EGR率運転時や低温時等を除いた平常時は火花放電のみによる点火を行うようにし、点火プラグ12へのデポジットの堆積を感知したときに限り(現在高負荷運転領域にあることを前提として)アクティブ点火による点火プラグ12のクリーニングを実行する態様をとることもできる。この場合、燃焼室内への高周波電界の放射による電力消費を抑制することができる。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、気筒1の燃焼室内に電界を印加するための電界発生装置6は、高周波の交流電圧を印加する交流電圧発生回路や、高周波の脈流電圧を印加する脈流電圧発生回路に限定されない。電界発生装置6としてマイクロ波を出力するマグネトロン等を採用し、気筒1の燃焼室内にマイクロ波電界を印加してアクティブ点火を実行するものとしてもよい。
上記実施形態では、点火プラグ12の中心電極を電界放射用のアンテナとしていたが、点火プラグ12とは別体のアンテナを気筒1に設け、これを介して気筒1の燃焼室内に高周波電界またはマイクロ波電界を放射してもよい。
点火プラグ12にデポジットが堆積したことを感知する手法は、上記実施形態のようなノックコントロールシステムによる点火タイミングの遅角補正量を参照するものには限定されない。点火プラグ12の電極や絶縁材にカーボン等の導電性のデポジットが付着して堆積すると、点火プラグ12の中心電極と接地電極との間の絶縁抵抗が低下する。点火プラグ12の中心電極と接地電極との間の絶縁抵抗の大きさを検出し、これが所定以下となったときに、対象の気筒1(の点火プラグ12)にデポジットが堆積したものとして、アクティブ点火による点火プラグ12のクリーニングを実行するようにしてもよい。中心電極と接地電極との間の絶縁抵抗は、イオン電流信号hを参照して推定することが可能である。例えば、図5に示すように、混合気の燃焼が概ね完了していると思われる膨張行程の終期におけるイオン電流の大きさLを計測し、この残留電流(または、漏れ電流)Lが所定以上に大きいことを以て、中心電極と接地電極との間の絶縁抵抗が所定以下となった、即ち点火プラグ12にデポジットが堆積したと判断する。
本発明の適用対象となる内燃機関は、いわゆるガソリン直噴エンジンには限定されない。HCCI(Homogeneous−Charge Compression Ignition)エンジン等に、本発明を適用することも当然に考えられる。
さらには、本発明を、吸気ポートに対して燃料を噴射するポート噴射式の内燃機関に適用することも可能である。
その他各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明は、車両等に搭載される内燃機関として利用することができる。
0…制御装置(ECU)
1…気筒
11…インジェクタ
12…点火プラグ、アンテナ
13…イグナイタ
14…点火コイル
6…電界発生装置
7…ミキサ
1…気筒
11…インジェクタ
12…点火プラグ、アンテナ
13…イグナイタ
14…点火コイル
6…電界発生装置
7…ミキサ
Claims (1)
- 点火プラグの中心電極と接地電極との間に発生する火花放電と気筒の燃焼室内に臨むアンテナを介して燃焼室内に放射される電界とを相互作用させて燃焼室内にプラズマを生成し燃料に着火するアクティブ点火を実行可能な内燃機関であって、
点火プラグにデポジットが堆積したことを感知した場合、アクセル開度が所定以上の高負荷領域においてアクティブ点火を実行する内燃機関。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014065318A JP2015187432A (ja) | 2014-03-27 | 2014-03-27 | 内燃機関 |
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---|---|---|---|
JP2014065318A Pending JP2015187432A (ja) | 2014-03-27 | 2014-03-27 | 内燃機関 |
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