JP2015184548A - 照射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
光の照射方向の光散乱体による視認性の低下を抑制できる照射装置において、小型化及び部品点数の削減を実現する。
【解決手段】
照射装置1は、波長選択性ミラー42を経由して光偏向器40に入射する可視光Rvを出射する可視光光源21と、前記可視光よりもビーム幅が広い不可視光Riを出射し、前記可視光の光偏向器40への入射光路と同一の光路で光偏向器40に入射させる不可視光光源31と、照射対象領域Aを複数の走査線RS1〜3及びLS1〜3に従って可視光Riで走査するように、光偏向器40の偏向角の変化と可視光光源21の動作とを制御する制御部7とを備える。
制御部7は、散乱光受光部6が散乱光Scatの受光したことを示す信号を受信した場合に可視光Riの出射を停止させるように構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、光を照射する照射装置に関する。
従来、複数の発光素子からなる光源と、光源が出射した光を車両前方に反射するミラーと、ミラーを往復回動しミラーの反射光により車両前方の照明領域をスキャンする走査用アクチュエータとを備える車両用前照灯が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許5221174号公報
しかしながら、特許文献1に記載の車両用前照灯では、前照灯の照射方向に雨滴等のような光を散乱する光散乱体が存在する場合、光散乱体によって光源からの光が散乱される。そして、この散乱光により光幕が発生するため、特に前照灯で照射している方向に対する視認性が低下してしまう。このような視認性が低下するという課題は、特許文献1に記載された車両用前照灯に限らず、照射装置全般に関わる課題である。
光の照射方向に光散乱体が存在する場合における視認性の低下を防止するための次のような照射装置が考えられる。
すなわち、当該照射装置は、偏向角が可変な光偏向器と、当該光偏向器へ向けて可視光を出射する可視光光源と、当該光偏向器へ向けて不可視光を出射する不可視光光源と、前記不可視光の反射光が光散乱体によって散乱されて生じた散乱光を受光する散乱光受光部と、前記散乱光受光部の受光状況を取得し、かつ、前記光偏向器の偏向角の変化と前記可視光光源との動作を制御する制御部と、前記可視光光源及び前記不可視光光源の少なくとも一方を移動させる駆動機構とを備える。
そして、当該照射装置の前記制御部が、前記光偏向器の偏向角を変化させている間に前記不可視光及び前記可視光を出射させるように前記不可視光光源と前記可視光光源との動作を制御し、かつ、前記散乱光受光部が前記散乱光を受光したとき可視光の出射を停止させるように前記可視光光源の動作を制御し、かつ、前記光偏向器の偏向角の変化方向に前記不可視光由来の光が前記可視光由来の光に対して先行するように前記可視光光源及び前記不可視光光源の少なくとも一方を移動させるように駆動機構の動作を制御するように構成される。
この照射装置によれば、照射対象領域を走査する可視光は、当該照射対象領域を走査する不可視光に追随するように走査している。すなわち、可視光の出射に対して時間的に先行して、不可視光が出射されている。
このため、光散乱体による散乱光が多くなりそうな状況においては、時間的に先行している不可視光が光散乱体によって散乱される。このとき、散乱光は不可視光であるので、当該散乱光によって光幕が生じたとしても、当該光幕が視認性を低下させる要因とはならない。そして、上記散乱光により散乱光受光部の不可視光の受光量が所定量以上となり、制御部は、このときの不可視光出射部の出射方向に、可視光を出射するのを止める(すなわち、可視光が出射されなくなる)。このため、可視光が光散乱体によって散乱されることを回避でき、視認性の低下を抑制できる。
しかし、この構成の照射装置では、光偏向器の偏向角の変化に応じて前記可視光光源及び前記不可視光光源の少なくとも一方を移動させる駆動機構が必要であるため、小型化及び部品点数の削減が困難であった。
そこで、本発明は、光の照射方向の光散乱体による視認性の低下を抑制できる照射装置において小型化及び部品点数の削減を実現することを目的とする。
本発明の照射装置は、
入射光を偏向する角度が可変な光偏向器と、
可視光及び不可視光の一方を通過させ、他方を反射する波長選択性ミラーと、
前記波長選択性ミラーを経由して当該光偏向器に入光する可視光を出射する可視光光源と、
前記波長選択性ミラーを経由して当該可視光の前記光偏向器への入射光路と同一の光路で前記光偏向器に入射し、かつ、前記可視光よりもビーム幅が広い不可視光を出射する不可視光光源と、
前記不可視光の反射光が光散乱体によって散乱されて生じた散乱光の受光に応じて、信号を出力する散乱光受光部と、
照射対象領域を複数の走査線に従って前記可視光で走査するように、前記光偏向器の偏向角の変化と前記可視光光源の動作とを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記散乱光受光部が前記散乱光の受光したことを示す信号を受信した場合に前記可視光の出射を停止させるように構成されている。
本発明の照射装置によれば、可視光の入射光路と同一の入射光路で光偏向器に入射し、可視光よりもビーム幅が広い不可視光により、走査線において不可視光の一部が可視光に時間的に先行することになる。すなわち、光偏向器と照射対象との間に光散乱体が存在する場合、不可視光が可視光に先行して当該光散乱体に入射する。この不可視光の入射に応じて、不可視光の散乱光が生じる。当該散乱光を散乱光受光部が受光したときの信号に基づき、可視光の出射を停止することにより、可視光の光散乱体への入射が防止される。この結果、可視光の散乱に起因する視認性の低下が抑制される。
この結果、本発明の照射装置によれば、光の照射方向の光散乱体による視認性の低下を抑制しながら、可視光光源又は不可視光光源の一方を移動させる駆動機構が不要となるので、小型化及び部品点数の削減が可能となる。
本発明の照射装置において、
前記不可視光光源と前記波長選択性ミラーとの間に、前記不可視光光源から出射された不可視光のうち前記走査線において前記可視光に先行する部分を選択的に通過させるスリット手段が設けられていることが好ましい。
この照射装置によれば、前記不可視光光源から出射された不可視光のうち前記走査線において前記可視光に先行する部分がスリット手段により抽出されることにより、前記可視光に先行する部分のみを選択的に出射させることができる。この結果、可視光に先行しない部分による光散乱体の誤検知の蓋然性を低下させることができるので、光の照射方向の光散乱体による視認性の低下をさらに抑制できる。
本発明の実施形態の照射装置の全体図で、(a)は通常走査時の説明図、(b)は不可視光が光散乱体に照射された時の説明図。 スリットの構成について説明する図で、(a)は第1状態のスリット部を説明する図、(b)は図1(a)IIb−IIb断面図、(c)は、図1(a)IIc−IIc断面図、(d)は図1(a)IId−IId断面図、(e)は図1(a)IIe−IIe断面図、(f)は第2状態のスリット部を説明する図、(g)は図1(b)IIg−IIg断面図、(h)は、図1(b)IIh−IIh断面図、(i)は図1(b)IIi−IIi断面図。 光散乱体Scatと可視光Rvと不可視光Riとの関係を示す図であり、(a)は、不可視光Riが光散乱体Scatに入射しない場合の図、(b)は、不可視光Riが光散乱体Scatに入射して散乱された場合の図、(c)は、(b)で不可視光Riが光散乱体Scatに入射したことで、可視光Rvの出射がされなくなった場合の図。 光散乱体Scatが移動する場合の、光散乱体Scatと不可視光Riとの関係を示す図であり、(a)は、不可視光Riが光散乱体Scatに入射して散乱された場合の図。(b)は、本実施形態について示す、走査方向と移動方向が異なる場合の図。(c)は、参考例として示す、走査方向と移動方向が同一の場合の図。 制御装置によって実行される可視光制御処理の処理手順を示したフローチャート。 他の実施形態を示す図で、(a)は他の走査線を示す図、(b)は図6(a)VIb−VIb断面図、(c)は(b)の合成光を切り出すためのスリット部の構成を示す図、(d)は他の実施形態のスリット部の構成を示す図。
(照射装置の構成)
本発明の実施形態の照射装置1の概要について、図1(a)及び図1(b)を参照して説明する。照射装置1は、予め規定された照射対象の領域(以下、「照射対象領域」という)Aに対して、可視光を用いて、比較的高周波数(例えば、60[Hz]以上)で走査することで、当該照射対象領域A全体を照射する照射装置である。
以降、照射対象領域A全体に対する1回の走査を「1フレーム」という。すなわち、照射対象領域A全体を60[Hz]で走査しているということは、1秒間のフレーム数は、60フレームということである。なお、走査の周波数は、30[Hz]程度では目に可視光がちらついて見えるため好ましくないので、60[Hz]以上が好ましい。
ここで、照射対象領域Aは、照射装置1の光軸の軸方向(又は当該軸方向に近い方向)を法線方向とする面(当該面は、実面及び仮想的な面のいずれでもよい)上に規定される領域である。例えば、照射装置1が車両の前照灯として用いられる場合においては、車両の正面に対向する鉛直面上に照射対象領域Aが規定される。なお、照射対象領域Aは、照射装置1が可視光を照射する範囲に応じて、様々な形状を取り得る領域である。
本実施形態においては、可視光Rv及び不可視光Riにより6つの走査線RS1〜RS3及びLS1〜LS3に従って走査することにより、照射対象領域Aが規定される。
照射装置1は、図1(a)及び図1(b)に示されるように、可視光光源21と、不可視光光源31と、回動可能なミラー41を備える光偏向器40と、可視光光源21及び不可視光光源31と光偏向器40との間に設けられた波長選択性ミラー42と、不可視光光源31と波長選択性ミラー42との間に設けられたスリット部32と、切替回路5と、散乱光受光部6と、制御部7とを備える。
(光源の構成)
可視光光源21は、図1(a)及び図1(b)に示されるように、たとえば、平行光の可視光を出射する固体半導体光源等によって構成されている。可視光光源21は、可視の平行光(以下、単に「可視光」という)Rv(図1(a)におけるRv_1、及び図1(b)におけるRv_2)を波長選択性ミラー42を介して光偏向器40のミラー41上の焦点Pに向けて出射する。
また、不可視光光源31は、図1(a)及び図1(b)に示されるように、たとえば、平行光の不可視光を出射する固体半導体光源等によって構成されている。不可視光光源31は、スリット部32及び波長選択性ミラー42を介して焦点Pに向けて不可視の平行光(以下、単に「不可視光」という)Ri(図1(a)におけるRi_1、及び図1(b)におけるRi_2)を出射する。
本実施形態において、可視光光源21及び不可視光光源31は平行光状に集光された光を出射することが好ましい。たとえば、固体半導体光源、HID等の放電灯、フィラメント電球等の様々な種類の光源が可視光光源21及び不可視光光源31として採用されうる。特に、平行光に近いレーザ光を簡単に得るため、可視光光源21及び不可視光光源31として固体半導体光源であるLD光源を採用することが好ましい。
なお、不可視光Riとして、紫外光(若しくは、波長が紫外光に近い光(近紫外線の光))、又は赤外光(若しくは、波長が赤外光に近い光(近赤外線の光))等を用いることができる。
ここで、可視光が照射される焦点Pと不可視光が照射される焦点Pとは、厳密に同じ位置ではなくてもよく、多少ずれた位置であってもよい。なお、図1(a)及び図1(b)においては、可視光が照射される焦点Pと不可視光が照射される焦点Pとが同一の場合を例示している。
可視光光源21から出射された可視光Rvの断面と、不可視光光源31から出射された不可視光Riの断面とを中心点が同一になるように重ね合わせると、可視光Rvの断面は、不可視光Riの断面に包含される。
(光偏向器の構成)
光偏向器40は、たとえばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)加工技術を用いて作成された光偏向器であり、ミラー41を、第1軸と第1軸に直交する第2軸との2軸周りに揺動可能な光偏向器である。ミラー41は、可視光光源21、不可視光光源31からの光を反射する。
光偏向器40のミラー41は、第1軸回りの回動により、可視光光源21が出射した可視光Rv及び不可視光光源31が出射した不可視光Riの反射光の出射方向を水平方向へ変化させる。また、光偏向器40のミラー41は第2軸回りの回動により可視光光源21の可視光Rv及び不可視光光源31の出射した不可視光Riの反射光の出射方向を垂直方向へ変化させる。これらの2軸の回動により、光偏向器40のミラー41における反射光による照射対象領域Aの所定領域の走査が行われる。
また、光偏向器40は、圧電駆動によりミラー41を第1軸回りに揺動させる第1圧電アクチュエータ(不図示)と、圧電駆動によりミラー41を第2軸回りに揺動させる第2圧電アクチュエータ(不図示)とを備える。
第1圧電アクチュエータ及び第2圧電アクチュエータは、例えば、シリコン基板等の上に、電圧を印加可能に成膜されたチタン酸ジルコン酸鉛等による圧電膜が成膜されて構成されている。これにより、圧電膜に電圧が印加されることで、圧電膜がシリコン基板と共に屈曲変形する。このときの屈曲変形の大きさは、印加された電圧に応じて変化する。
なお、本実施形態において用いられる光偏向器には、少なくとも2軸回りに揺動するものであれば、例えば、特開2008−40240号公報、又は特開2013−8480号公報等に記載されているような様々な種類の光偏向器を適用することができる。
ミラー41に入射した可視光Rv及び不可視光Riは、第1圧電アクチュエータ及び第2圧電アクチュエータによる第1軸回り及び第2軸回りのミラー41の揺動に応じた方向に反射される。そこで、制御部7は、第1圧電アクチュエータ及び第2圧電アクチュエータに印加する電圧を調整することで、ミラー41の揺動を調整し、ひいては、このときの各光Rv,Riの反射光の出射方向を調整して、照射対象領域Aを走査している。詳細は後述する。
(波長選択性ミラーの構成)
波長選択性ミラー42は、可視光又は不可視光の一方を通過させ、他方を反射するように構成されている。図1(a)及び図1(b)に示されている波長選択性ミラー42は、不可視光を通過させ、可視光を反射する工学フィルターにより構成されている。
(スリット部の構成)
スリット部32は、図2(a)に示されるように、スリット33a〜33fが等間隔で設けられた円盤状の板34と、板34を点Cを中心に回転駆動させるアクチュエータ35とを備える。各スリット33a〜33fは、等しい大きさの台形状に構成され、不可視光Riが照射される位置に来た時、スリット33a〜33fそれぞれの下底の中心点が不可視光の中心点と重なりながら、それぞれの台形の向きが異なるように配置されている。なお、図2では、わかりやすくするため実際よりも大きなずれで示している。
各スリット33a〜33fは、それぞれ、各走査線RS1〜RS3、LS1〜LS3に対応している。スリット33a〜33fの向きのずれの大きさは、それぞれ、光偏向器40で偏向された不可視光が各走査線RS1〜RS3、LS1〜LS3において可視光に先行するように、光偏向器40への入射角度及び光偏向器40における光の偏向角の角度に応じて定まる。
上記構成により、スリット部32(図2(a)(f)参照)に照射された不可視光Riが、各スリット33a〜33fによって所定の向きの台形状に切り出される(図2(b)(g)参照)。当該切り出された不可視光が波長選択性ミラー42において可視光(図2(c)参照と合成される(図2(d)(h)参照)。そして、合成された光が光偏向器40に入射する。光偏向器40で偏向された合成光が照射対象領域Aに照射される時点において、不可視光Riは、各走査線RS1〜RS3及びLS1〜LS3において可視光に時間的に先行する(図2(e)(i)参照)。
以下、図2(b)に示されるように、スリット33aが図2(b)の右側にある場合を第1状態、反時計回りの6分の1の回転ごとに第2状態〜第6状態と呼ぶ。
第1状態において、当該スリット33aを囲む円が、不可視光光源31から出射された不可視光Riを示している。不可視光Riは、各スリットにより、各走査線RS1〜RS3及びLS1〜LS3に応じた所定形状に切り出された上で波長選択性ミラー42へ向けて出射される。
スリット33aは、第1状態において、図2(b)において、上底の中心点V2が下底の中心点V1よりも円盤の内側にあり、かつ、下底の中心点V1と上底の中心点V2とを結んだ線(図2(b)一点鎖線参照)と、水平線(図2(b)破線参照)とのなす角が所定角度θ1となるように形成されている。このスリット33aを通過した不可視光Riは、図2(b)に示されるように、スリット33aの形状に対応した光(下底の中心点u1と上底の中心点u2とを結んだ線と水平線とのなす角が所定角度θ1となるような台形の断面形状を有する光)として切り出されたうえで、波長選択性ミラー42へ向けて出射される。また、不可視光Riの出射と同時に可視光光源21が可視光Rvを波長選択性ミラー42に向けて出射する。当該可視光Rvの断面形状は、図2(c)に示されるように、円形になっている。なお、光の断面形状とは、光の進行方向に直交する面における光束により形成される形状をいう。
波長選択性ミラー42において、当該不可視光Riが透過され、可視光光源21から出射された可視光Rvが反射されることにより、不可視光Riと可視光Rvは、図2(d)に示されるように、不可視光Riの断面の下辺がと可視光Rvの直径と重なるような光として合成される。この時点において、不可視光Riにおける下底の中心点u1と上辺の中心点u2とを結んだ線(図2(d)一点鎖線参照)と、水平線(図2(d)破線参照)とがなす角はθ1である。
この光が光偏向器40に入光し、ミラー41により反射されることにより、図2(e)に示されるように、不可視光Riが可視光Rvに対して走査線RS1の走査方向に存在し、下底の中心点u1と上辺の中心点u2とを結んだ線(図2(e)一点鎖線参照)と、水平線(図2(e)破線参照)とが一致する(下底の中心点u1と上辺の中心点u2とを結んだ線と走査線RS1とが一致する)ような断面形状の光が出射される。この光で走査線RS1上を走査することにより、不可視光Riが可視光Rvに時間的に先行することとなる。当該ミラー41の回動角度(光の偏向角度)は、制御部7からの指令により、第1及び第2圧電アクチュエータの動作により制御される。
スリット33bは、第2状態において、図2(f)において上底の中心点V4が下底の中心点V3よりも円盤の外側にあり、かつ、下底の中心点V3と上底の中心点V4とを結んだ線(図2(f)一点鎖線参照)と、水平線(図2(f)破線参照)とのなす角が所定角度θ2となるように形成されている。このスリット33bを通過した不可視光Riは、図2(g)に示されるように、スリット33bの形状に対応した光(下底の中心点u3と上底の中心点u4とを結んだ線(図2(g)一点鎖線参照)と水平線(図2(g)破線参照)とのなす角が所定角度θ2となるような台形の断面を有する光)として切り出されたうえで、波長選択性ミラー42へ向けて出射される。また、不可視光Riの出射と同時に可視光光源21が可視光Rvを波長選択性ミラー42に向けて出射する。当該可視光Rvの断面形状は、図2(c)に示されるように、円形になっている。
波長選択性ミラー42において、当該不可視光Riが透過され、可視光光源21から出射された可視光Rvが反射されることにより、不可視光Riと可視光Rvは、図2(h)に示されるように、不可視光Riの断面の下底が可視光Rvの断面の直径と重なるような光として合成される。この時点において、不可視光Riにおける下底の中心点u3と上辺の中心点u4とを結んだ線(図2(h)一点鎖線参照)と、水平線(図2(h)破線参照)とがなす角はθ2である。
この光が光偏向器40に入光し、ミラー41により反射されることにより、図2(i)に示されるように、不可視光Riが可視光Rvに対して走査線LS1の走査方向に存在し、下底の中心点u3と上辺の中心点u4とを結んだ線(図2(i)一点鎖線参照)と、水平線(図2(i)破線参照)とが一致する(下底の中心点u3と上辺の中心点u4とを結んだ線と走査線LS1とが一致する)ような断面形状の光が出射される。この光で走査線LS1上を走査することにより、不可視光Riが可視光Rvに時間的に先行することとなる。当該ミラー41の回動角度(光の偏向角度)は、制御部7からの指令により、第1及び第2圧電アクチュエータの動作により制御される。
なお円盤状の板34に対するスリットの配置は上記に説明した各走査線に対応したスリットの向きと角度ずれを反映した形状が所定の位置(他のスリットによる光切り出しに影響を及ぼさない位置)に設けられていれば良く、スリットを等間隔で設けたり、順次交互に配置される必要は無い。
(切替回路の構成)
切替回路5は、各光源の出射及び不出射を切り替えるための回路で構成され、制御部7からの信号によりその動作を制御される。
(散乱光受光部の構成)
散乱光受光部6は、たとえばフォトダイオードで構成され、不可視光光源31から出射された不可視光Riの散乱光Rsを受光する。また、散乱光受光部6は、当該散乱光Rsの受光に応じた信号として、散乱光Rsの受光量Iを示す信号を出力する。
このような散乱光Rsは、たとえば図1(b)に示されるように、不可視光光源31からの不可視光Riの出射方向において、当該不可視光光源31と照射対象領域Aとの間に光散乱体Scatが位置していることにより、不可視光Riが光散乱体Scatを照射することによって生じる。
なお、散乱光受光部6は、不可視光光源31が出射する不可視光Riの波長の光のみを受光するように構成されている。詳細には、散乱光受光部6の受光部分には、不可視光光源31が出射する不可視光Riの波長の光のみを通過させるための光学フィルタ(図示省略)が設けられている。なお、散乱光受光部6は、不可視光光源31が出射する波長の光を受光できるのであれば、光学フィルタを備えなくともよい。また、散乱光受光部6が、受光できる波長の範囲であれば、不可視光光源31が出射する不可視光Riの波長は、異なっていてもよい。
(制御部の構成)
制御部7は、図示しないCPU,メモリ等を有する電子制御ユニットにより構成されている。制御部7は、光偏向器40のミラー41の回動及び切替回路5の動作を制御することにより、徐々に鉛直方向Dvに沿って下から上に向かうように、左水平方向LDhの走査線LS及び右水平方向RDhの走査線RSに沿った走査不可視光Ri及び可視光Rvによる走査を繰り返すことにより、照射対象領域A全体の走査を行う。
(照射対象領域の走査制御)
制御部7は、切替回路5の動作を制御することにより、不可視光光源31から不可視光Ri及び可視光光源21から可視光Rvをそれぞれ出射させる。そして、制御部7は、スリット部32のアクチュエータ35の動作を制御して、板34を回転させ、右走査線RS1に対応するスリット33aにより不可視光Riを切り出させるようにする。そして、光偏向器40のミラー41を第1軸回りの第1方向に回動させることにより、照射対象領域Aの左下の点P1から右走査線RS1に沿って不可視光Ri及び可視光Rvによる走査を開始させる。
制御部7は、光偏向器40のミラー41の第1軸回りの回動を続行することにより、不可視光Riと可視光Rvとにより照射対象領域Aの右下の点P2まで走査する。
制御部7は、光偏向器40のミラー41を第2軸回りに所定の角度だけ回動させる。当該所定の角度は、光偏向器40のミラー41と照射対象領域Aとの距離、及び走査線間の間隔lengthから定まる角度である。なお、間隔lengthは、照射対象領域A内の走査線の密度に応じて適宜設定される。
制御部7は、スリット部32のアクチュエータ35の動作を制御して、板34を回転させ、左走査線LS1に対応するスリット33bにより不可視光Riを切り出させるようにする。そして、光偏向器40のミラー41を第1軸回りの第2方向(第1方向と逆方向)に回動させることにより、照射対象領域Aの右下の点P3から左走査線LS1に沿った不可視光Ri及び可視光Rvによる走査を開始させる。
制御部7は、上記と同様の光偏向器40のミラー41の回動と切替回路5の動作との制御を繰り返すことにより、可視光Rvと不可視光Riとにより照射対象領域Aの各走査線RS1〜RS3,LS1〜LS3上を走査する。
(可視光制御・概略)
可視光及び不可視光を散乱させる光散乱体Scatが、可視光Rv又は不可視光Riの出射方向において、光偏向器40と照射対象領域Aとの間に位置しているときには、たとえば図1(b)に示されるように、まず、時間的に先行している不可視光Riが光散乱体Scatに入射して散乱光Rsになる。このときの散乱光Rsは、不可視光Riであるので、当該散乱光Rsによって光幕が生じたとしても、当該光幕が視認性を低下させる要因とはならない。
制御部7は、散乱光受光部6の散乱光Rsの受光量Iに応じて、可視光光源21から可視光Rvを出射するか否かを制御する(以下、制御部7によって実行される当該制御を「可視光制御」という)。
当該可視光制御の概略は、以下の通りである。制御部7は、散乱光受光部6の散乱光Rsの受光量Iが散乱閾値Ith未満のときの不可視光光源31の不可視光Riの出射方向(図1においては、不可視光Ri_1の出射方向)に、可視光光源21から可視光Rvを出射させる。また、制御部7は、散乱光受光部6の散乱光Rsの受光量Iが散乱閾値Ith以上のときの不可視光光源31の不可視光Riの出射方向(図1においては、不可視光Ri_2の出射方向)に、可視光光源21から可視光Rvの出射を止める。
ここで、散乱閾値Ithは、光散乱体Scatによって不可視光Riが散乱されているか否かを充分な精度で区別できるような値に設定される。
上記散乱光Rsにより散乱光受光部6の不可視光の受光量Iが散乱閾値Ith以上となると、制御部7によって、このときの不可視光光源31の出射方向に、可視光Rvの出射がされなくなる。このため、可視光Rvが光散乱体Scatによって散乱されることを回避でき、視認性の低下を抑制できる。
(可視光制御・不可視光、可視光、光散乱体及び散乱光受光部の関係)
ここで、図3を参照して、制御部7によって実行される、不可視光Ri、可視光Rv、光散乱体Scat及び散乱光受光部6の関係に応じた可視光制御について説明する。
図3(a)〜(c)の各々は、可視光Rv及び不可視光Riの各々によって、右から左に向かって走査しているときを表しており、図3(a)が時点t1、図3(b)が時点t1から単位時間Δtだけ経過した時点t2、図3(c)が時点t2から単位時間Δtだけ経過した時点t3を示している。
ここで、単位時間Δtは、不可視光Riによる走査が、可視光Rvによる走査に対してどの程度先行しているのかを表す時間である。すなわち、時点t2(図3(b))における可視光光源21が出射する可視光Rvの出射方向は、時点t1(図3(a))における不可視光光源31が出射する不可視光Riの出射方向に一致する。また、時点t3(図3(c))において可視光光源21が出射するはずであった可視光Rvの出射方向は、時点t2(図3(b))における不可視光光源31が出射する不可視光Riの出射方向に一致する。なお、単位時間Δtは、光偏向器40のミラー41が第1軸回りの第1方向又は第2方向への角度θだけ回動するのに必要な時間に等しい。
時点t1(図3(a))において、不可視光Riが光散乱体Scatに入射していない。これにより、散乱光受光部6が受光する散乱光Rsの受光量Iは、散乱閾値Ith未満となる。このため、制御部7は、時点t1から単位時間Δt経過した時点t2(図3(b))では、可視光光源21から可視光Rvを出射させた場合に、当該可視光Rvが光散乱体Scatによって散乱される可能性が低いので、可視光光源21から可視光Rvを出射させる。
また、時点t2では、不可視光Riが光散乱体Scatに入射して生じた散乱光Rsが、光散乱体Scatの周囲に向かって散乱している。このときの散乱光Rsの一部が散乱光受光部6に入射する。これにより、散乱光受光部6が受光する散乱光Rsの受光量Iは、散乱閾値Ith以上となる。
このため、制御部7は、時点t2から単位時間Δt経過した時点t3(図3(c))では、可視光光源21から可視光Rvを出射させた場合に、当該可視光Rvが光散乱体Scatによって散乱される可能性が高いので、可視光光源21から可視光Rvを出射することが止められる(すなわち、可視光Rvを出射しない)。
これにより、可視光Rvが光散乱体Scatによって散乱されることを防止でき、可視光Rvの散乱による視認性の低下を抑制できる。
また、上述したように、本実施形態において、可視光Rv及び不可視光Riによる照射対象領域Aの走査は、水平方向の走査線RS、LSに沿って行われる。
走査線RS、LSが水平方向に規定されているのは、光散乱体Scatが落下することを想定している(例えば、光散乱体として雨滴を想定している)ためである。このような想定において、光散乱体Scatの移動方向(落下方向)は、通常、鉛直方向又は鉛直方向に近い方向に沿って上から下に向かう方向となる。このため、不可視光Ri及び可視光Rvの走査方向(すなわち、右水平方向RDh及び左水平方向LDh)が、光散乱体Scatの移動方向(鉛直方向Dv又は該鉛直方向Dvに近い方向に沿って上から下に向かう方向)とは異なるように構成している。
これにより、ある時点において不可視光Riが光散乱体Scatに散乱された場合であっても、その後において、不可視光Riの走査方向と光散乱体Scatの移動方向とが異なることにより、不可視光Riが同一の光散乱体Scatによって再び散乱されることを抑制できる。このように、不可視光Riが同一の光散乱体Scatによって散乱される機会が減るため、可視光Rvの出射がされなくなる頻度を抑制できる。
詳細には、例えば、図4に示されるように、ある時点(図4(a)参照)において、不可視光Riが光散乱体Scatに散乱されたとする。これにより、制御部7は、当該時点から単位時間Δt経過後に、不可視光Riの出射方向と同一方向に対して可視光Rvを出射することを止める。
そして、本実施形態のように、走査方向が、光散乱体Scatの移動方向とは異なるように設定されている場合、図4(a)の時点から所定時間経過した時点(図4(b)参照)においては、移動した光散乱体Scatに対して不可視光Riが散乱される可能性が低くなる。
一方、本実施形態とは異なり、走査方向(主走査及び副走査の各々の走査方向)が、光散乱体Scatの移動方向と一致するように設定されている場合を仮定すると、図4(a)の時点から所定時間経過した時点(図4(c)参照)においては、移動した光散乱体Scatによって不可視光Riが再び散乱される可能性が高くなる。
ここで、図4(b)及び図4(c)において、破線で示されている不可視光Ri及び光散乱体Scatは、図4(a)の時点における不可視光Ri及び光散乱体Scatを示している。
なお、光散乱体Scatが落下しているのではなく、他の方向(例えば、水平方向又は下から上に向かう方向)に移動している場合においては、不可視光Ri及び可視光Rvの走査方向が光散乱体Scatの移動方向と異なるように制御するように制御部7を構成すればよい。この場合であっても、不可視光Riが同一の光散乱体Scatによって散乱される機会が減るため、可視光Rvの出射がされなくなる頻度を抑制できるという効果が得られる。
(可視光制御処理)
次に、図5を参照して、可視光制御の詳細について説明する。制御部7は、単位時間Δt経過する毎に、図5に示されたフローチャートによる可視光制御処理を実行している。すなわち、1フレームの時間を「n・Δt」秒で表す場合、制御部7は、図5に示されたフローチャートを1フレームにおいてn回実行している。
なお、図5(a)と図5(b)は、ステップST1、2、4、5が同じであり、図5(a)のステップST3Aと、図5(b)のステップST3Bとが異なっている。以下の説明では、主に図5(a)を参照して説明するが、必要な場合には図5(b)も参照する。
制御部7は、まず最初のステップST1で、前回の制御周期(単位時間Δtだけ前の時点)における散乱光受光部6の散乱光Rsの受光量Iを検知する。制御部7は、続くステップST2で、ステップST1で検知した受光量Iが散乱閾値Ith未満か否かを判定している。
制御部7は、ステップST2で、受光量Iが散乱閾値Ith以上であると判定した場合には、ステップST3A(又は、図5(b)のステップST3B)に進み、現在の1フレーム(以下、「現フレーム」という)において、照射対象領域Aの各位置における可視光Rvの光度(以下、「位置可視光光度」という)の合計(以下、「可視光光度総和」という)Lrvが所定光度Lrv_th以上になると予測されるか否かを判定する。ここで、所定光度Lrv_thは、例えば、照射装置1として最低限出力すべき光度(もしくは、それよりも高い光度)に設定される。なお、可視光Rvの出射方向が決定されると、当該可視光Rvが照射される照射対象領域Aの位置は、当該出射方向に応じて決定される。
ここで、現フレームにおける可視光光度総和Lrvが所定光度Lrv_th以上になると予測されるか否かの判定方法としては、例えば、「現フレームにおける現時点までの可視光光度総和Lrvに基づいて判定する方法(図5(a)のステップST3A参照)」、又は「前回の1フレーム(以下、「前フレーム」という)における可視光光度総和Lrvに基づいて判定する方法(図5(b)のステップST3B参照)」を用いることができる。
ここで、照射対象領域Aの各位置において、位置可視光光度は一定ではない。本実施例では、例えば、照射対象領域Aの位置が中央部に近付くほど位置可視光光度を大きくしている。このため、制御部7は、「可視光光源21から出射された可視光Rvの出射方向」と、「位置可視光光度」とに応じたマップ(当該マップは、メモリ(図示省略)等に記憶保持されている)を参照することで、可視光Rvを出射した方向における位置可視光光度を得ている。
なお、照射対象領域Aの各位置に対する位置可視光光度は、本実施例のように設定されずに、例えば、照射対象領域Aの位置によらず位置可視光光度が同一に設定されていてもよいし、照射対象領域Aの中央部以外の所定の位置に近付くほど位置可視光光度が大きく設定されていてもよい。
ここで、現フレームにおける現時点までの位置可視光光度の合計を、「第1可視光光度総和」と定義する。また、現制御周期(本発明における現時点に相当する)において可視光Rvが照射される照射対象領域Aの位置(以下、「現可視光位置」という)に対して可視光Rvを出射しないと仮定し、現フレームにおいて、照射対象領域Aの位置のうちこれから走査する全ての位置(当該位置には、現可視光位置は含まれない)において、可視光Rvが出射された場合を仮定したときの、位置可視光光度の合計を、「第2可視光光度総和」と定義する。
制御部7は、「現フレームにおける現時点までの可視光光度総和Lrvに基づいて判定する方法」では、第1可視光光度総和と第2可視光光度総和との和が、所定光度Lrv_th未満になるときには、現可視光位置に可視光Rvを出射しないと、「現フレームにおける可視光光度総和Lrvが所定光度Lrv_th以上にならないと予測される」と判定する(すなわち、第1可視光光度総和と第2可視光光度総和との和が、「可視光光度総和Lrv」を表す)。
また、制御部7は、「前フレームにおける可視光光度総和Lrvに基づいて判定する方法」では、前フレームの可視光光度総和Lrvが所定光度Lrv_th未満になった場合には、現フレームにおいても可視光光度総和Lrvが所定光度Lrv_th未満になりそうだと推定し、「現フレームにおける可視光光度総和Lrvが所定光度Lrv_th以上にならないと予測される」と判定する。
制御部7は、ステップST2で、受光量Iが散乱閾値Ith未満であると判定した場合、又はステップST3A(又は、図5(b)のステップST3B)で、現フレームにおける可視光光度総和Lrvが所定光度Lrv_th未満になると予測されると判定した場合には、ステップST4に進む。制御部7は、ステップST4で、可視光光源21から可視光Rvを出射する。
制御部7は、ステップST3A(又は、図5(b)のステップST3B)で、現フレームにおける可視光光度総和Lrvが所定光度Lrv_th以上になると予測されると判定した場合には、ステップST5に進む。制御部7は、ステップST5で、可視光光源21から可視光Rvを出射することを止める。
特に、制御部7によって、ステップST3A(又は、図5(b)のステップST3B)の判定がなされることにより、照射対象領域Aの現フレームにおける可視光光度総和Lrvが所定光度Lrv_th未満になると予測されるときには、散乱光受光部6の受光量Iが散乱閾値Ith以上のとき(ステップST2の判定結果がNOのとき)であっても、可視光光源21から可視光Rvを出射している。
ここで、このようなステップST3A(又は、図5(b)のステップST3B)の判定を行わない場合を仮定すると、不可視光Riが光散乱体Scatによって散乱される頻度が多い場合(例えば、豪雨等のように雨滴(光散乱体)が大量に存在しているような場合)において、1フレームの多くのタイミングで、不可視光Riが光散乱体Scatに入射して散乱することになり、可視光Rvが出射される頻度が少なくなってしまう。これにより、照射装置1が出力する光度が低下する。
照射装置1が、例えば、車両の前照灯のような用途に用いられるような場合においては、最低限出力すべき光度以上を維持できるように可視光Rvを出力する必要がある。このように、照射装置1が最低限出力すべき光度として所定光度Lrv_thが規定されているような場合には、ステップST3A(又は、図5(b)のステップST3B)の判定を行うことで、照射装置1は、フレーム毎又は殆どのフレームにおいて、所定光度Lrv_th以上の光度を出力することができる。
また、図5(a)のステップST3Aのように判定することで、第1可視光光度総和と第2可視光光度総和との和によって可視光光度総和Lrvを表すことにより、照射装置1から所定光度Lrv_th以上の光を照射するために、現制御周期において可視光Rvを照射すべきか否かを判定できる。
また、図5(b)のステップST3Bのように判定することで、前フレームにおける可視光光度総和Lrvを用いて現フレームにおける可視光光度総和Lrvを予測することで、照射装置1から所定光度Lrv_th以上の光を照射できる。
図5(a)のステップST3A(又は、図5(b)のステップST3B)の判定により、光散乱体Scatが大量に存在しているような場合(光散乱体Scatが雨滴である場合、たとえば豪雨時)であっても、最低限出力すべき所定光度Lrv_th以上の可視光Rvを確実に出力することができる。
(本実施形態の作用・効果)
本発明の照射装置によれば、可視光Rvの入射光路と同一の入射光路で光偏向器40に入射し、可視光Rvよりもビーム幅が広い不可視光Riにより、走査線RS,LSにおいて不可視光Riの一部が可視光Riに時間的に先行することになる。すなわち、光偏向器40と照射対象領域Aとの間に光散乱体Scatが存在する場合、不可視光Riが可視光Rvに先行して当該光散乱体Scatに入射する。この不可視光Riの入射に応じて、不可視光Riの散乱光Rsが生じる。当該散乱光Rsを散乱光受光部6が受信したときの信号に基づき、可視光Rvの出射を停止することにより、可視光Rvの光散乱体Scatへの入射が防止される。この結果、可視光Rvの散乱に起因する視認性の低下が抑制される。
この結果、本発明の照射装置によれば、光の照射方向の光散乱体Scatによる視認性の低下を抑制しながら、可視光光源21又は不可視光光源31の一方を移動させる駆動機構が不要となるので、小型化及び部品点数の削減が可能となる。
この照射装置1によれば、前記不可視光光源31から出射された不可視光Riのうち前記走査線RS,LSにおいて前記可視光Rvに先行する部分がスリット部32(スリット手段)により抽出されることにより、前記可視光Riに先行しない部分が出射されなくなる。この結果、可視光Riに先行しない部分による光散乱体Scatの誤検知の蓋然性を低下させることができるので、光の照射方向の光散乱体Scatによる視認性の低下をさらに抑制できる。
(他の実施形態)
図6(a)〜図6(e)を参照しながら、他の実施形態を説明する。
本実施形態では、図1(a)及び図1(b)に示されるように、右水平方向RDh及び左水平方向LDhに沿った走査線によって照射対象領域Aを走査したが、これに代えて、図6(a)に示されるように、照射対象領域Aの右下の点P4から左水平方向LDhの左走査線LS4に沿って照射対象領域Aの左下の点P5まで走査した後、点P5からたとえば右斜め方向RDdの走査線RS4等に沿って点P4のやや上方の点P6まで照射対象領域Aを走査するように照射装置1を構成してもよい。
光偏向器40のミラー41の回転方式を変更することにより右斜め上方向RDdの走査線RS4等を形成する反射光を出射できる。
また、図6(b)に示されるように、光偏向器40における反射光の断面形状が、上底の中心点が下底の中心点よりも高い位置に存在する形状となっていることが好ましい。反射光の断面形状を変化させるためには、光偏向器40の配置角度(ミラー41の配置角度)を変更するか、図6(c)に示されるように、スリット部32のスリット33g〜33lの形状を変更するかすればよい。
また、本実施形態において、スリット部32には、スリット33a〜33fが走査線と同じ数だけ設けられたが、これに限られない。たとえば、板36がどのような回転をしても不可視光Riの照射範囲に入るような1つのスリット33mを設け、この板36をアクチュエータ37により回転させることにより、切り出される不可視光の形状を変化させてもよい。
また、本実施形態では切替回路5により光源の出射、及び停止を切り替えたが、これに代えて、一部に穴があけられたスリットの回転又はシャッターの開閉による光源の光の通過及び遮断で光源の出射及び停止を切り替えてもよい。このようにすることで、光源のON、OFFを繰り返す必要がなくなるため、光源のON、OFFに伴うタイムロスを軽減することができる。
また、スリット部32が省略されてもよい。
1…照射装置、A…照射対象領域、Rv…可視光、Ri…不可視光、Rs…散乱光、Scat…散乱体、21…可視光光源、31…不可視光光源、32…スリット部、40…光偏向器、41…ミラー、42…波長選択性ミラー、5…切替回路、6…散乱光受光部、7…制御装置、I…受光量、Ith…散乱閾値(所定量)、Lrv…可視光光度総和、Lrv_th…所定光度、Dh…水平方向、Dv…鉛直方向、P…焦点。

Claims (2)

  1. 入射光を偏向する角度が可変な光偏向器と、
    可視光及び不可視光の一方を通過させ、他方を反射する波長選択性ミラーと、
    前記波長選択性ミラーを経由して当該光偏向器に入光する可視光を出射する可視光光源と、
    前記波長選択性ミラーを経由して当該可視光の前記光偏向器への入射光路と同一の光路で前記光偏向器に入射し、かつ、前記可視光よりもビーム幅が広い不可視光を出射する不可視光光源と、
    前記不可視光の反射光が光散乱体によって散乱されて生じた散乱光の受光に応じて、信号を出力する散乱光受光部と、
    照射対象領域を複数の走査線に従って前記可視光で走査するように、前記光偏向器の偏向角の変化と前記可視光光源の動作とを制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記散乱光受光部が前記散乱光の受光したことを示す信号を受信した場合に前記可視光の出射を停止させるように構成されていることを特徴とする照射装置。
  2. 請求項1記載の照射装置において、
    前記不可視光光源と前記波長選択性ミラーとの間に、前記不可視光光源から出射された不可視光のうち前記走査線において前記可視光に先行する部分を選択的に通過させるスリット手段が設けられていることを特徴とする照射装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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