JP2015183322A - パラ型全芳香族ポリアミド繊維 - Google Patents

パラ型全芳香族ポリアミド繊維 Download PDF

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Abstract

【課題】高沈降性であり、長期間の使用によっても強度の低下を抑制でき、優れた耐久性を有するパラ型全芳香族ポリアミド繊維および該繊維を用いた魚網を提供する。【解決手段】平均粒径0.05μm〜1.0μmの酸化鉄(III)粒子を20〜50重量%含有したパラ型全芳香族ポリアミドであり、さらにコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニルテレフタルアミドからなる繊維であり、延伸配向されてなり、沈降性に勝るパラ型全芳香族ポリアミド繊維。【選択図】なし

Description

本発明は、パラ型全芳香族ポリアミド繊維に関し、さらに詳しくは、高比重と優れた耐光性を備える水産資材用途に好適なパラ型全芳香族ポリアミド繊維および該繊維を用いた魚網に関する。
従来、芳香族ジカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とを主成分としてなるパラ型全芳香族ポリアミド繊維は、高強度、高弾性率の特徴を有することから、産業資材用途や水産資材用途として幅広く用いられている。
中でも、魚網、釣り糸、ロープ、消波網などの水産資材用繊維には、水中での沈降性、保形性、耐久性、安全性が要求され、高比重繊維が要望されていた。特に、魚網においては、海中での形状が漁獲量に大きな影響を与えるため、繊維の比重が大きく沈降性が高いとともに、長期間の繰り返し使用に耐える高い耐久性が要求されてきた。
このような課題を解決するために、高比重の水産資材用繊維の開発が行われ、種々の繊維が提案されている。方法のひとつとしては、延伸処理により高強度を発現する樹脂と高比重粉末との組合せによる繊維が検討されており、例えば、高比重粒子を含有した熱可塑性樹脂を高倍率に延伸する方法(特許文献1参照)が提案されている。しかしながら、本方法による繊維は、樹脂表層に粒子が露出するため、延伸する際に設備を破損させる可能性や、析出した粒子によって延伸中に亀裂が生じ、強度低下を生じさせる可能性を有している。
また、別の方法として、高比重粒子を含有した熱可塑性樹脂を芯層とし、強度付与の樹脂を鞘層とする有芯型繊維(特許文献2参照)が提案されている。しかしながら、本方法によれば耐久性は得られるものの、製造工程が複雑な芯鞘複合構造が必要となるため、製造コストが増大するなどの問題がある。また近年、高比重の酸化鉄を含有した繊維(特許文献3参照)が提案されている。しかしながら、特許文献3の方法では、含有させる粒子混率が低いため、水産資材として用いるに十分な比重が得られない。
別の手法として、高比重の粒子および耐候性改善を目的とした着色剤を配合した繊維(特許文献4参照)が提案されている。しかしながら、この方法では繊維に含まれる粒子サイズが大きいため、延伸中に亀裂が生じて強度低下の原因や耐湿熱性の低下を招き、魚網として必要な耐久性を十分に確保することは困難である。さらに、複数の粒子を繊維に含有させる必要があるため、製造プロセスが煩雑となり、製造コストが増大するなどの問題がある。
特開昭61−000613号公報 特開昭58−004819号公報 特開2008−274481号公報 特開2010−252712号公報
本発明の目的は、高沈降性であり、長期間の使用によっても強度の低下を抑制でき、優れた耐候性を有するパラ型全芳香族ポリアミド繊維および該繊維を用いた魚網を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、特定範囲の粒径を有する酸化鉄(III)粒子を特定量配合したパラ型全芳香族ポリアミドを含む繊維とすれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、パラ型全芳香族ポリアミドを含む繊維であって、平均粒径0.05μm〜1.0μmの酸化鉄(III)を該パラ型全芳香族ポリアミドに対して20〜50重量%含有するパラ型全芳香族ポリアミド繊維および該繊維を用いた魚網である。
本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維は、高沈降性であり、長期間の使用によっても強度の低下を抑制でき、優れた耐久性を有する。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<パラ型全芳香族ポリアミド>
本発明におけるパラ型全芳香族ポリアミドは、1種または2種以上の2価の芳香族基が、アミド結合により直接連結されたポリマーである。芳香族基には、2個の芳香環が酸素、硫黄、または、アルキレン基を介して結合されたもの、あるいは、2個以上の芳香環が直接結合したものも含む。さらに、これらの2価の芳香族基には、メチル基やエチル基等の低級アルキル基、メトキシ基、クロル基等のハロゲン基等が含まれていてもよい。なお、2価の芳香族基を直接連結するアミド結合の位置は、パラ型である。
<パラ型全芳香族ポリアミドの製造方法>
本発明におけるパラ型全芳香族ポリアミドは、従来公知の方法にしたがって製造することができる。例えば、アミド系極性溶媒中で、芳香族ジカルボン酸ジクロライド成分と芳香族ジアミン成分とを低温溶液重合、または界面重合などにより反応せしめることにより得ることができる。
[パラ型全芳香族ポリアミドの原料]
(芳香族ジカルボン酸ジクロライド成分)
パラ型全芳香族ポリアミドの製造において使用される芳香族ジカルボン酸クロライド成分としては、特に限定されるものではなく、一般的に公知なものを用いることができる。例えば、テレフタル酸クロライド、2−クロルテレフタル酸クロライド、2,5−ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6−ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライドなどが挙げられる。
これらの芳香族ジカルボン酸ジクロライドは、1種類のみならず2種類以上を用いることができ、その組成比は特に限定されるものではない。これらのなかでは、汎用性や得られる繊維の機械的物性等の観点から、テレフタル酸ジクロライドが好ましい。なお、本発明においては、イソフタル酸クロライド等、パラ位以外の結合を形成する少量の成分を用いてもよい。
(芳香族ジアミン成分)
パラ型全芳香族ポリアミドの製造において使用される芳香族ジアミン成分としては、特に限定されるものではなく、一般的に公知なものを用いることができる。例えば、p−フェニレンジアミン、2−クロル−p−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジクロル−p−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォンなどを挙げることができる。
これらは、1種類のみならず2種類以上を用いることができ、その組成比は特に限定されるものではない。なお、本発明においては、m−フェニレンジアミン等、パラ位以外の結合を形成する少量の成分を用いてもよい。
これらのなかでは、高温熱延伸における安定性の観点から、p−フェニレンジアミンを単独で使用、あるいは併用することが好ましく、p−フェニレンジアミンと3,4’−ジアミノジフェニルエーテルとの組み合わせが最も好ましい。
パラフェニレンジアミンと3,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを組み合わせて用いる場合には、その組成比は特に限定されるものではないが、全芳香族ジアミン量に対して、それぞれ30〜70モル%、70〜30モル%とすることが好ましく、さらに好ましくは、それぞれ40〜60モル%、60〜40モル%、最も好ましくは、それぞれ45〜55モル%、55〜45モル%とする。
[原料組成比]
芳香族ジカルボン酸クロライド成分と芳香族ジアミン成分との比は、芳香族ジアミン成分に対する芳香族ジカルボン酸クロライド成分のモル比として、0.90〜1.10の範囲とすることが好ましく、0.95〜1.05の範囲とすることがより好ましい。芳香族ジカルボン酸クロライド成分のモル比が0.90未満または1.10を超える場合には、芳香族ジアミン成分との反応が十分に進まず、高い重合度が得られないため好ましくない。
[反応条件]
芳香族ジカルボン酸クロライド成分と芳香族ジアミン成分との反応条件は、特に限定されるものではない。酸クロライドとジアミンとの反応は一般に急速であり、反応温度としては、例えば、−25℃〜100℃の範囲とすることが好ましく、−10℃〜80℃の範囲とすることがさらに好ましい。
[重合溶媒]
パラ型全芳香族ポリアミドを重合する際の溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタムなどの有機極性アミド系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの水溶性エーテル化合物、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどの水溶性アルコール系化合物、アセトン、メチルエチルケトンなどの水溶性ケトン系化合物、アセトニトリル、プロピオニトリルなどの水溶性ニトリル化合物などが挙げられる。
これらの溶媒は、1種単独であっても、また、2種以上の混合溶媒として使用することも可能である。なお、上用いられる溶媒は、脱水されていることが望ましい。
本発明に用いられるパラ型全芳香族ポリアミドの製造においては、汎用性、有害性、取り扱い性、パラ型全芳香族ポリアミドに対する溶解性等の観点から、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いることが最も好ましい。
[その他重合条件等]
生成するパラ型全芳香族ポリアミドの溶解性を挙げるために、重合前、途中、終了時のいずれかに、一般に公知の無機塩を適当量添加しても差し支えない。このような無機塩としては、例えば、塩化リチウム、塩化カルシウム等が挙げられる。
また、パラ型全芳香族ポリアミドの末端は、封止することもできる。末端封止剤を用いて末端を封止する場合には、例えば、フタル酸クロライドおよびその置換体、アニリンおよびその置換体等を末端封止剤として用いることができる。
また、生成する塩化水素のごとき酸を捕捉するために、脂肪族や芳香族のアミン、第4級アンモニウム塩等を併用することもできる。
反応の終了後は、必要に応じて、塩基性の無機化合物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等を添加し、中和反応を実施してもよい。
[重合後処理等]
上記のようにして得られるパラ型全芳香族ポリアミドは、アルコール、水等の非溶媒に投入して沈殿せしめ、パルプ状にして取り出すことができる。取り出されたパラ型全芳香族ポリアミドを再度他の溶媒に溶解し、その後に繊維の成形に供することもできるが、重合反応によって得たポリマー溶液をそのまま紡糸用溶液(ドープ)に調整して用いることも可能である。一度取り出してから再度溶解させる際に用いる溶媒としては、パラ型全芳香族ポリアミドを溶解するものであれば特に限定されるものではないが、上記パラ型全芳香族ポリアミドの重合に用いられる溶媒とすることが好ましい。
<パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法>
本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維を製造するにあたっては、湿式紡糸法または半乾半湿式紡糸法を採用し、先ず、パラ型全芳香族ポリアミド、酸化鉄(III)、および溶媒を含む均一な紡糸用溶液(ポリマードープ)を調整し、紡糸口金から吐出する。
[紡糸用溶液(ポリマードープ)の調整]
パラ型全芳香族ポリアミド、酸化鉄(III)、および溶媒を含む均一な紡糸用溶液(ポリマードープ)を調整する方法としては、特に限定されるものではない。例えば、パラ型全芳香族ポリアミド溶液と、酸化鉄(III)分散液とを混合する方法が挙げられる。ここで、パラ型全芳香族ポリアミド溶液と酸化鉄(III)の分散液に用いられる溶媒としては、上記したパラ型全芳香族ポリアミドの重合に用いられる溶媒を使用することができる。また、用いられる溶媒は、1種単独であっても2種以上を併用してもよい。パラ型全芳香族ポリアミドの製造によって得られたポリマー溶液から当該ポリマーを単離することなく、そのまま用いることも可能である。なお、紡糸上、パラ型全芳香族ポリアミド溶液と酸化鉄(III)の分散に用いられる溶媒は、同一であることが好ましい。
本発明の繊維を得るための紡糸用溶液(ポリマードープ)の調整にあたっては、添加する酸化鉄(III)の凝集を抑制する必要がある。酸化鉄(III)の凝集を抑制する方法としては特に限定されるものではないが、酸化鉄(III)分散液を一定の圧力で注入し、ダイナミックミキシングおよび/またはスタティックミキシングする方法が好ましい。
さらには、添加する酸化鉄(III)分散液に、あらかじめパラ型全芳香族ポリアミド溶液を少量添加しておくことが効果的である。具体的には、酸化鉄(III)100質量部に対して、好ましくはパラ型全芳香族ポリアミドを1.0〜5.0質量部含有する酸化鉄(III)分散液を作成し、この酸化鉄(III)分散液とパラ型全芳香族ポリアミド溶液とを混合する。
パラ型全芳香族ポリアミドが、酸化鉄(III)100質量部に対して1.0質量部未満の場合には、酸化鉄(III)の凝集を抑制することが困難となる。一方で、パラ型全芳香族ポリアミドが、酸化鉄(III)100質量部に対して5.0質量部を超える場合には、酸化鉄(III)分散液の粘度が高くなるため、配管輸送を必要とするプロセスで取り扱いが困難となる。
紡糸用溶液(ポリマードープ)の固形分濃度(パラ型全芳香族ポリアミドおよび酸化鉄(III)の合計濃度)は、1〜20質量%とすることが好ましく、3〜15質量%程度とすることがさらに好ましい。固形分濃度が1質量%未満の場合には、ポリマーの絡み合いが少なく、紡糸に必要な粘度が得られない。一方で、固形分濃度が20質量%を超える場合には、ノズルから吐出する際に流動が不安定になりやすく、安定的に紡糸することが困難となる。
なお、本発明においては、繊維に機能性等を付与する目的で、物性を損なわない範囲で、酸化鉄(III)以外に、添加剤等、その他の任意成分を配合してもよい。添加剤等を配合する場合には、ドープの調整において導入することができる。導入の方法は特に限定されるものではなく、例えば、ドープに対して、ルーダーやミキサ等を使用して導入する方法が挙げられる。
〔酸化鉄(III)粒子〕
(平均粒径)
本発明に用いられる酸化鉄(III)粒子は、動的光散乱法で測定した平均粒径が、0.05〜1.00μmの範囲であり、0.05〜0.80μmの範囲であることが好ましい。ここで、本発明における「平均粒径」とは、酸化鉄(III)粒子が分散媒中に20質量%濃度で分散された状態で、動的光散乱法により測定した値である。
酸化鉄(III)粒子の平均粒径を上記の範囲内にするには、本発明に用いられる酸化鉄(III)粒子の粒径を上記範囲内とし、さらに、酸化鉄(III)粒子をビーズミルなどで微粉砕または分散して、ポリマーに配合する。
酸化鉄(III)粒子の平均粒径を上記範囲内にすると、酸化鉄(III)粒子自体が非常に細かいため、繊維中での粒子に起因する亀裂の発生を抑える事ができる。その結果、繊維への高い配合量を確保する事ができ、高比重の繊維とすることができる。
なお、分散媒中における酸化鉄(III)粒子は、必ずしも一次粒子の状態で分散されているとは限らず、凝集状態にあるものも存在する。凝集状態にある酸化鉄(III)粒子の平均粒径は、凝集塊の大きさを当該酸化鉄(III)粒子の粒径として求める。つまり、本発明において、「平均粒径」とは、分散媒中における酸化鉄(III)粒子の一次粒子または凝集塊の大きさの平均値を意味する。
(酸化鉄(III)粒子)
本発明においては、市販の酸化鉄(III)粒子を用いることも可能である。酸化鉄(III)粒子としては、種々ものが市販されており、本発明においては、それらの市販品を好ましく用いることができる。
(配合量)
本発明の繊維における酸化鉄(III)の含有量は、パラ型全芳香族ポリアミドに対して20〜50質量%であり、好ましくは30〜40質量%の範囲である。20質量%未満の場合には、得られる繊維の比重が十分ではない。一方で、50質量%を超える場合には、繊維成形性が乏しくなり好ましくない。
[紡糸・凝固]
本発明の繊維の製造においては、上述の如く調整された紡糸用溶液(ドープ)を用いて、湿式紡糸法またはエアギャップを設けた半乾半湿式紡糸法によって繊維を成形する。すなわち、先ず、上記で得られた紡糸用溶液(ドープ)をノズルから吐出し、続いて、凝固浴中の凝固液に接触させて凝固糸を形成する。
凝固浴としては、パラ型全芳香族ポリアミドの貧溶媒が用いられるが、紡糸用溶液(ポリマードープ)の溶媒が急速に抜け出して、得られる全芳香族ポリアミド凝固糸に欠陥ができないように、通常は良溶媒を添加して凝固速度を調節する。貧溶媒としては水、良溶媒としてはパラ型全芳香族ポリアミドドープ用の溶媒を用いることが好ましい。良溶媒/貧溶媒の質量比は、パラ型全芳香族ポリアミドの溶解性や凝固性にもよるが、15/85〜40/60の範囲とすることが好ましい。
[その他の工程]
凝固液から凝固糸条を引き上げた後は、公知の方法によって、最終的なパラ型全芳香族ポリアミド繊維を得ることができる。例えば、水洗工程を実施して形成された未延伸糸から溶媒を除去し、必要に応じて延伸を実施し、乾燥工程等を経た後に必要に応じて延伸することにより配向させ、最終的な繊維を得ることができる。
[延伸工程]
本発明の繊維は、延伸配向されていることが好ましい。延伸の方法としては特に限定されるものではなく、凝固糸状態での水洗延伸、沸水延伸のみならず、乾燥糸状態での加熱延伸等、いずれでもよい。また、延伸倍率については特に制限はないが、5倍以上であることが好ましく、8倍以上であることがさらに好ましい。延伸倍率を制御することにより、得られる芳香族ポリアミド繊維の伸度および強度を制御することができる。
本発明の繊維は、広角X線回折により求めた結晶配向度が89%以上、結晶化度が74%以上と、高度に配向および結晶化していることが好ましい。結晶配向度および結晶化度のどちらか一方または両方が低い場合には、得られる繊維の機械的物性が不充分となりやすい。
熱延伸を実施する場合には、その温度は、全芳香族ポリアミドのポリマー骨格にもよるが、好ましくは300〜600℃、さらに好ましくは350〜550℃とし、また、延伸倍率は、好ましくは10倍以上、さらに好ましくは10〜15倍とする。
<芳香族ポリアミド繊維の物性>
(引張強度)
本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維の引張強度は、高い程好ましいが、酸化鉄(III)の濃度を上げるにつれて強度は低下する傾向があり、8cN/dtex未満では高強度繊維としての特長が不足する。このため、本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維の引張強度としては、8cN/dtex以上とすることが好ましく、さらに好ましくは、10cN/dtex以上である。
(伸度)
本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維の伸度は、3.0%以上であることが好ましい。3.0%未満の場合には、撚糸して使用する場合に撚り歪が大きくなり、撚糸時の強力利用率が低下する。このため、例えば耐久性が特に要求される用途に用いた場合に、耐久性が不足する場合がある。伸度は、好ましくは3.2〜5.0%の範囲である。
(単糸繊度)
本発明のパラ型全芳香族ポリアミド繊維の単糸繊度は、好ましくは0.5〜50dtexの範囲、さらに好ましくは1.0〜10dtexの範囲である。0.5dtex未満の場合には、添加された酸化鉄(III)が糸欠陥として作用し、製糸性が不安定となる場合がある。また、繊維の比表面積が大きくなるため、耐光劣化を受け易い。一方で、50dtexを超える場合には、繊維の比表面積は小さくなり、耐光劣化を受けにくい反面、比表面積が小さいために製糸工程において凝固が不完全になりやすく、その結果、紡糸や延伸工程での工程調子が乱れやすく、物性も低下しやすくなる。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳しく具体的に説明する。ただし、これらの実施例および比較例は本発明の理解を助けるためのものであって、本発明の範囲が限定されるものではない。
<測定・評価方法>
実施例および比較例においては、以下の項目について、以下の方法で測定・評価を実施した。
[酸化鉄(III)の平均粒径]
酸化鉄(III)20質量%を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散した状態で、NMP分散径として測定した。NMP分散径は、「マイクロトラックMT3300EX」(日機装(株)製)を用いて、レーザー回折法により求めた。
[繊維の比重]
柴田科学(株)社製の精密密度勾配管用恒温槽を用い、密度勾配管法に準じて測定した。
[繊度]
JIS−L−1015に準じて測定した。
[繊維の引張強度]
引張試験機(INSTRON社製、商品名:INSTRON、型式:5565型)を用いて、ASTM D885の手順に基づき、以下の条件で測定を実施した。
(測定条件)
温度 :室温
測定試料長 :500mm
チャック引張速度 :250mm/分
初荷重 :0.2cN/dtex
[強度保持率(耐光性)]
JIS L0842−71に準拠し、紫外線カーボンアーク灯式耐候性試験機にて100時間で180,000kJ/m照射前後における引張強度の測定を実施した。光照射前後の引張強度の値を用いて、以下の式により強度保持率を求めた。
強度保持率(%)=(光照射後の引張強度)/(光照射前の引張強度)×100
<実施例1>
[紡糸用溶液(ポリマードープ)の調整]
酸化鉄(III)微粒子(戸田工業(株)製、製品名:Toda Color 130ED、平均粒子径=0.2μm、比重=5.1)を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に濃度20質量%となるように、ビーズミル(淺田鉄工(株)製、Nano Grain Mill)を用いて分散させた。このとき、メディアとして、0.3mmのジルコニアビーズを使用した。
得られた分散液を、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド(98%濃度の濃硫酸中、ポリマー濃度0.5g/dlの溶液について30℃で測定した固有粘度(IV):3.4)の濃度6質量%のNMP溶液中に添加し、攪拌機(栗本鐵工所製、KRCニーダーS1)を用いて、60℃で2時間、攪拌機の周速度が0.81m/sの条件で撹拌混合し、紡糸用溶液(ポリマードープ)を得た。このとき、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドに対する酸化鉄(III)の配合量は、30質量%となるようにした。
[紡糸・凝固]
得られた紡糸用溶液(ポリマードープ)を用い、孔数25ホールの紡糸口金から吐出し、エアギャップ約10mmを介してNMP濃度30質量%の水溶液中に紡出して凝固させた後(半乾半湿式紡糸法)、水洗、乾燥し、次いで、温度530℃下で10倍に延伸した後巻き取ることにより、酸化鉄(III)が良好に分散したパラ型全芳香族ポリアミド繊維を得た。得られた繊維の物性等を表1に示す。
<実施例2>
酸化鉄(III)粒子の含有量を20質量%とした以外は、実施例1と同様の方法で、酸化鉄(III)が分散したパラ型全芳香族ポリアミド繊維を得た。得られた繊維の物性等を表1に示す。
<実施例3>
酸化鉄(III)粒子の含有量を50質量%とした以外は、実施例1と同様の方法で、酸化鉄(III)が分散したパラ型全芳香族ポリアミド繊維を得た。得られた繊維の物性等を表1に示す。
<比較例1>
酸化鉄(III)粒子を含有量しない以外は、実施例1と同様の方法で、酸化鉄(III)が分散したパラ型全芳香族ポリアミド繊維を得た。得られた繊維の物性等を表1に示す。
<比較例2>
酸化鉄(III)粒子の含有量を60質量%とした以外は、実施例1と同様の方法で、酸化鉄(III)が分散したパラ型全芳香族ポリアミド繊維を得た。得られた繊維の物性等を表1に示す。
<比較例3>
酸化鉄(III)粒子の含有量を10質量%とした以外は、実施例1と同様の方法で、酸化鉄(III)が分散したパラ型全芳香族ポリアミド繊維を得た。得られた繊維の物性等を表1に示す。
<比較例4>
実施例1において酸化鉄(III)微粒子(戸田工業(株)製、製品名:Toda Color 130ED、平均粒子径=0.2μm、比重=5.1)を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に濃度20質量%となるように分散する際に、ビーズミルを用いなかった以外は、実施例1と同様の方法で、酸化鉄(III)が分散したパラ型全芳香族ポリアミド繊維を得た。得られた繊維の物性等を表1に示す。
Figure 2015183322

Claims (4)

  1. パラ型全芳香族ポリアミドを含む繊維であって、
    平均粒径0.05μm〜1.0μmの酸化鉄(III)を、該パラ型全芳香族ポリアミドに対して20〜50重量%含有するパラ型全芳香族ポリアミド繊維。
  2. 前記パラ型全芳香族ポリアミドが、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドである請求項1に記載のパラ型全芳香族ポリアミド繊維。
  3. 延伸配向されてなる、請求項1、2いずれか記載のパラ型全芳香族ポリアミド繊維。
  4. 請求項1〜3いずれか記載のパラ型全芳香族ポリアミド繊維を用いた魚網。
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