JP2015181789A - 眼科装置及びその制御方法、並びに、プログラム - Google Patents

眼科装置及びその制御方法、並びに、プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】装置の大型化を招くことなく、被検眼画像を取得可能な仕組みを提供する。【解決手段】被検眼Eに対して光を走査する走査手段130と、被検眼Eを撮像するために行われる複数の撮像スキャンの合間に被検眼Eの移動量を計測するための移動量計測スキャンを行うように、走査手段130を制御する制御部118を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、被検眼の画像を取得する眼科装置及びその制御方法、並びに、当該制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
近年、被検眼の画像、例えば被検眼の眼底画像を取得する眼科装置としては、眼底カメラ、光干渉断層撮像装置(Optical Coherence Tomography:OCT)、走査型レーザ検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope:SLO)等の装置が使用されている。そして、近年、これらの眼科装置に、被検眼の眼球の移動量を計測する機能を搭載した装置が注目されている。
OCTによる撮影は、高画質化するために、複数回の走査を行って、取得した複数の断層画像を重ね合わせることが行われている。そのためには、OCTの走査位置は、位置ズレが無く、正確であることが重要となる。
しかしながら、被検眼の眼球は、固定された点を注視していても、無意識に絶えず固視微動という微小な運動を行っている。そして、この固視微動によって、OCTの走査位置は、所望の位置から位置ズレを起こしてしまうことになり、画質に影響を与えてしまう。そのため、被検眼の眼球の動きを追尾(トラッキング)することにより、固視微動の影響を低減させることが、高画質な断層画像を得るためには重要なものとなっている。眼球の移動量を計測できれば、より高精細な眼底画像を取得することができ、精度の高い眼底検査が可能となる。
被検眼の眼球の移動量を計測する方法には、トラッキングビームを眼底の所定部位に照射して、反射光を分析することで、当該眼球の移動量を計測する方法がある。
そして、下記の特許文献1では、計測した眼球の移動量をOCTのスキャンへフィードバックすることが行われている。
また、下記の特許文献2では、SLOで撮像した眼底画像から画像処理を用いて眼球の移動量を計測し、計測した眼球の移動量をOCTのスキャンへフィードバックすることが行われている。
特表2005−517483号公報 特開2011−206519号公報
従来では、被検眼の眼球の移動量を計測するために、OCT撮影系以外に、被検眼の眼球の動きをトラッキングするための検出系を搭載していたため、装置の大型化を招き、また、コストがかかるという問題がある。
また、従来では、眼底画像を画像処理することによって被検眼の移動量を計測しているために、処理時間がかかり、その結果、固視微動の影響を低減できずに高画質な被検眼画像を得ることが困難であるという問題がある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、装置の大型化を招くことなく、被検眼画像を取得可能な仕組みを提供することを目的とする。さらに、本発明は、被検眼の移動量を計測する際に、その処理時間の短縮を実現する仕組みを提供することも目的とする。
本発明の眼科装置は、被検眼に対して光を走査する走査手段と、前記被検眼を撮像するために行われる複数の撮像スキャンの合間に、前記被検眼の移動量を計測するための移動量計測スキャンを行うように、前記走査手段を制御する制御手段と、を有する。
また、本発明の眼科装置における他の態様は、被検眼に対して光を走査する走査手段と、前記被検眼の移動量を計測するために行われる複数の移動量計測スキャンの合間に、前記被検眼を撮像するための撮像スキャンを行うように、前記走査手段を制御する制御手段と、を有する。
また、本発明は、上述した眼科装置の制御方法、及び、当該制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを含む。
本発明によれば、装置の大型化を招くことなく、被検眼画像を取得することが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係る眼科装置の概略構成の一例を示す模式図である。 図1に示す制御部の内部構成の一例を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態に係る眼科装置の制御方法において、断層画像の取得方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態を示し、被検眼の眼底の投影画像(眼底画像)や、撮像エリア、画像を取得する際の走査線、移動量を計測する際の走査線等を示す図である。 図3に示すステップS303及びS304の処理の一例を説明するための図である。 図3に示すステップS305〜S308の処理の一例を説明するための図である。 図3に示すステップS309の処理の一例を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態に係る眼科装置の制御方法において、計測用部位を自動で抽出する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図8に示すステップS801〜S803の処理の一例を説明するための図である。 図8に示すステップS805及びS806の処理の一例を説明するための図である。 図8に示すステップS804〜S806の処理の一例を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態を示し、移動量計測スキャンと撮像スキャンの2種類の走査の組合せ一例を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態を示し、移動量計測スキャンと撮像スキャンの2種類の走査における走査順と走査線との対応表を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る眼科装置の制御方法において、計測用部位の組合せの選択方法及び走査シーケンスの設定方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態を示し、図14に示すフローチャートで設定される各時間と、スキャン方向を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態に係る眼科装置の概略構成の一例を示す模式図である。 図16に示す制御部の内部構成の一例を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態に係る眼科装置の制御方法において、SLO画像の取得方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態を示し、被検眼の眼底のSLO画像(眼底画像)や、撮像エリア、画像を取得する際の走査線、移動量を計測する際の走査線等を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る眼科装置の制御方法において、SLO画像の取得方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施形態を示し、図3に示すステップS2001〜S2005の処理の一例を説明するための図である。 本発明の第5の実施形態を示し、被検眼の前眼部の撮像画像を示す図である。
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
<眼科装置の概略構成について>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る眼科装置100の概略構成の一例を示す模式図である。ここでは、本実施形態に係る眼科装置100として、OCT装置を用いる。
図1において、低コヒーレンス光源101は、制御部118の制御に基づいて、低コヒーレンス光を出力する光源である。本実施形態においては、低コヒーレンス光源101として、例えば広帯域光源を用いる。そして、この広帯域光源としては、例えば、SLD(Super Luminescent Diode)を用いることができる。低コヒーレンス光源101から出力される低コヒーレンス光は、近赤外領域の波長の光を含み、かつ、数十μm程度のコヒーレンス長を有する光であり、例えば約800nm〜900nmの範囲に含まれる波長を有する光である。
低コヒーレンス光源101から出力された低コヒーレンス光は、光ファイバ102を通じて光カプラ103に導かれる。光ファイバ102は、例えば通常シングルモードファイバで構成されている。光カプラ103は、低コヒーレンス光を参照光と計測光とに分割する。
光カプラ103により生成された参照光は、光ファイバ104により導光されてコリメータレンズ105により平行光束とされる。さらに、コリメータレンズ105を出た参照光は、当該参照光と計測光の分散の特性を合わせるための分散補償手段としてのガラスブロック106を経由して、参照ミラー107により反射される。
参照ミラー107で反射された参照光は、同じ光路を通って、光ファイバ104に入射される。なお、参照ミラー107は、参照光の進行方向に対して可動が可能となっている。このことにより、被検眼Eの眼軸長や対物レンズ112と被検眼Eとの距離等による、参照光と計測光の距離を合わせることが可能となっている。
一方、光カプラ103により生成された計測光は、光ファイバ108により導光されてコリメータレンズ109により平行ビームになり、OCT−Xスキャナ110、OCT−Yスキャナ111をそれぞれ通る。
OCT−Xスキャナ110及びOCT−Yスキャナ111としては、例えばガルバノスキャナを用いることができる。また、OCT−Xスキャナ110及びOCT−Yスキャナ111は、走査手段130を構成し、制御部118により制御可能に構成されている。
OCT−Xスキャナ110及びOCT−Yスキャナ111を通過した計測光は、その後、対物レンズ112を通り、被検眼Eに入射する。
被検眼Eに入射した計測光は、被検眼Eの眼底で反射或いは散乱され、同一光路をたどり、光ファイバ108に再入力される。そして、光ファイバ108を通り、光カプラ103に導入された計測光は、参照光と干渉され、光ファイバ113を通り、コリメータレンズ114により平行光となった後、回折格子115で分光され、レンズ116により1次元センサ117に結像される。
1次元センサ117としては、例えば、CCDセンサやCMOSセンサ等を用いることができる。この1次元センサ117からの信号は、制御部118へ送信され、制御部118において被検眼Eの断層画像として生成される。さらに、制御部118は、OCT−Xスキャナ110やOCT−Yスキャナ111を制御して、計測光を被検眼Eの眼底上にてラスタースキャンを行う。これにより、制御部118は、被検眼Eの眼底の2次元領域での断層画像を生成することができる。また、制御部118は、生成した眼底の断層画像を表示部119に表示することができる。
入力部120は、検者が眼科装置100を操作するための入力を行うためのものであり、制御部118に接続されている。
<制御部118の内部構成について>
次に、図2を用いて、制御部118の内部構成について説明する。
図2は、図1に示す制御部118の内部構成の一例を示す模式図である。
制御部118は、図2に示すように、CPU201、断層画像生成部202、投影画像生成部203、部位位置計測部204、移動量算出部205、及び、スキャナ制御部206を有して構成されている。
CPU201は、制御部118による動作を統括的に制御する。
1次元センサ117からの信号は、断層画像生成部202に入力される。
断層画像生成部202は、1次元センサ117からの信号を処理して断層画像(A−scan像、B−scan像及び3D−Map)を生成する。断層画像生成部202で生成された断層画像は、CPU201において画像処理された後に、表示部119に表示される。
投影画像生成部203は、断層画像生成部202により生成された断層画像を深度方向に積算した投影画像を生成する。また、投影画像生成部203は、投影画像を生成する他の方法として、1次元センサ117からの信号を入力して、1次元センサ117の全画素の輝度値を積算することにより投影画像を生成する機能も有する。後者の方法(即ち1次元センサ117からの信号に基づいて投影画像を生成する方法)の方が、処理時間が短いため、高速に投影画像を生成できるという利点がある。投影画像生成部203で生成された眼底の投影画像(眼底画像)は、CPU201において画像処理された後に、表示部119に表示される。
部位位置計測部204は、投影画像生成部203により生成された投影画像に基づいて、被検眼Eの移動量計測に用いる部位(計測用部位)の位置を計測する。また、部位位置計測部204は、計測用部位の位置を計測する他の方法として、断層画像生成部202により生成された断層画像に基づいて、計測用部位の位置を計測する機能も有する。
移動量算出部205は、部位位置計測部204により計測された計測用部位の位置に基づいて、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)を算出する。移動量算出部205で算出された被検眼Eの移動量は、CPU201へ送信される。CPU201では、移動量算出部205で算出された被検眼Eの移動量に基づいて、OCTスキャンの走査位置を補正し、補正した走査位置をスキャナ制御部206へ指示する。
スキャナ制御部206は、OCTスキャンの走査位置が、CPU201により指示されたOCTスキャンの走査位置となるように、OCT−Xスキャナ110及びOCT−Yスキャナ111からなるOCTの走査系である走査手段130を制御する。これにより、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)を加味した走査位置で、眼科装置100は被検眼Eのスキャンを行い、被検眼Eの眼底の断層画像を取得することができる。
また、CPU201は、移動量算出部205で算出された被検眼Eの移動量に基づいて、取得済のOCT画像(断層画像)の取得位置座標を補正して画像を再構成することもできる。
<計測用部位の位置を計測する方法について>
次に、部位位置計測部204において、被検眼Eの眼底の投影画像から被検眼Eの移動量計測に用いる部位である計測用部位の位置を計測する方法について説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態を示し、被検眼Eの眼底の投影画像(眼底画像)や、撮像エリア、画像を取得する際の走査線、移動量を計測する際の走査線等を示す図である。
図4(a)は、被検眼Eの眼底全体の投影画像を示している。この図4(a)に示す投影画像には、血管部402、血管部403、乳頭部404及び黄斑部405が示されている。ここでは、眼科装置100の走査手段130による主走査方向をY方向とし、走査手段130による副走査方向をX方向とする。なお、本実施形態に係る眼科装置100においては、走査手段130による主走査方向をX方向とし、走査手段130による副走査方向をY方向とすることも可能である。
また、図4(a)には、眼科装置100の主走査方向(Y方向)の1つの走査線401を図示している。眼科装置100では、この走査線401のように図4(a)の上から下へのY方向にスキャンを行うとともに、更に、図4(a)の右から左へのX方向に走査位置を少しずつ変更しながら、2次元領域全体をラスタースキャンするものである。眼科装置100は、このラスタースキャンを行うことにより、被検眼Eの眼底全体の断層画像を生成し、更には、投影画像を生成する。
図4(a)に示す投影画像は、積算値が大きいほど輝度値が明るく、積算値が小さいほど輝度値が暗くなるように示している。血管がある場所(血管部402及び403)では、当該血管よりも深部の位置における光の反射強度が弱くなるため、深度方向に積算した積算値は、血管が無い場所に比べて小さくなる。そのため、投影画像を作成することにより、血管部402及び403とそれ以外の部位とでコントラストのある画像を得ることができる。
図4(e)には、被検眼Eの眼底全体の投影画像と、被検眼Eの移動量を計測するために最適な部位(被検眼Eの移動量計測に用いる部位:計測用部位)である血管部402及び血管部403、並びに、当該部位の位置を計測するための走査線413が示してある。即ち、走査線413による走査が、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)を計測するためのスキャンである。ここでは、計測用部位の位置を計測するとは、血管部402及び血管部403と、走査線413との交点Y1及び交点Y2の位置を計測することを意味する。
図4(f)は、図4(e)に示す走査線413により走査したときに得られるY位置における輝度値の出力を示している。図4(f)において、横軸はY方向の位置を示し、縦軸は輝度値を示している。計測用部位の位置を求める一例としては、輝度値のレンジの中心を閾値THとして設定し、その閾値THと一致するY位置を求めるものである。図4(f)において、血管部402と走査線413との交点のエッジ位置(血管のエッジ)は、y11とy12であり、その中心位置を交点Y1として求める。即ち、交点Y1が、血管部402の中心位置である。同様に、血管部403と走査線413との交点のエッジ位置(血管のエッジ)は、y21とy22であり、その中心位置を交点Y2として求める。即ち、交点Y2が、血管部403の中心位置である。
<移動量を算出する方法及び断層画像(OCT画像)を取得する方法について>
次に、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)を計測しながら、被検眼Eの眼底のOCT画像を取得する方法について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る眼科装置100の制御方法において、断層画像の取得方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS301において、制御部118の投影画像生成部203は、被検眼Eの眼底の投影画像(眼底画像)を生成する。そして、制御部118のCPU201は、投影画像生成部203で生成された被検眼Eの眼底の投影画像を取得し、これを表示部119に表示する。ここでは、図4(a)に示すような投影画像が取得されたものとする。
続いて、ステップS302において、制御部118(例えば部位位置計測部204)は、ステップS301で取得された被検眼Eの眼底の投影画像内から移動量計測に用いる部位である計測用部位を2つ抽出する。ここでは、検者が、表示部119に表示された被検眼Eの眼底の投影画像を見ながら入力部120を介してその投影画像上において指定した部位を、CPU201が計測用部位として抽出するものとする。
本実施形態では、計測用部位のX方向の長さLx、及び、Y方向の長さLyは、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)と、当該計測用部位上を走査する走査手段130の走査方向に基づいて設定される。
また、本実施形態では、被検眼Eの移動量は、固視微動に伴う移動量を考慮して、X方向への移動量Mx及びY方向への移動量Myは、±1.0[mm]と設定する。即ち、以下の(1)式のように設定する。
Figure 2015181789
ここで、本実施形態では、計測用部位上を走査する走査手段130は、主走査方向(Y方向)を走査方向とするものとする。
図4(b)には、図4(a)に示す投影画像内からステップS302で抽出された計測用部位の範囲406及び407と、当該計測用部位の範囲406及び407上を走査(スキャン)する1つの走査線413が示されている。この走査線413による走査が、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)を計測するためのスキャンとなる。
被検眼Eの眼底が、移動量Mx及びMyの範囲で移動した場合においても、抽出した計測用部位の一部は、走査線413で走査される位置にあることが被検眼Eの眼底の移動量(被検眼Eの動き)を計測するためには必要となる。この際、本例では、走査線413での走査方向がY方向であるため、直交する計測用部位のX方向の長さLxは、以下の(2)式に示すように、移動量Mxの2倍以上である必要がある。
Figure 2015181789
また、計測用部位のY方向の長さLyは、本例では、走査線413での走査方向と方向が同じであるので、走査線413の走査範囲から移動量Myだけ内側の範囲409の中に存在する長さであればよい。即ち、範囲409は、走査線413の走査範囲の上下端からMyだけ内側の範囲である。
投影画像内で計測用部位を抽出する対象領域は、走査手段130の走査全範囲に対して、左右上下で眼底移動量であるMx,Myほど内側の領域となり、図4(b)の一点鎖線で示した領域410となる。例えば、制御部118(例えば部位位置計測部204)は、投影画像内で計測用部位を抽出する対象領域として領域410を設定する。これにより、眼底が所定量移動した場合でも、計測用部位は、走査手段130の走査範囲内に収まり、当該計測用部位の位置が計測できるようになっている。
図4(b)に示す計測用部位の範囲406及び407は、X方向の長さが、Lx(=2[mm])となっている。本例の場合、検者は、表示部119に表示された投影画像上において、入力部120であるポインタ408を用いて、範囲406及び407を、それぞれ、血管部402上及び血管部403上で移動させて計測用部位を指定する。本例では、範囲406及び407のX方向位置は共通で連動して移動し、Y方向位置は個別に移動できるものとする。即ち、ポインタ408を用いて、範囲406をX方向に移動させた場合には、範囲407も連動して同じくX方向に移動する。このようにして、検者がポインタ408を用いて範囲406及び407を指定すると、制御部118(例えばCPU201)は、これを検知し、範囲406及び407に基づく2つの計測用部位を投影画像内から抽出する。即ち、血管部402及び血管部403において、それぞれ、範囲406及び範囲407に囲まれた部分が、計測用部位として抽出される。
ここで、本実施形態では、指定した2つの計測用部位の範囲406及び407の間には、次のような条件が成立していることが必要である。
即ち、X位置における2つの計測用部位の範囲406及び407の間の距離(Y位置の差分)が、X方向の所定範囲内(ここでは、X方向の長さLxの範囲内)において、「一意である」、という条件である。
ここで、「一意である」とは、具体的に、計測用部位の範囲におけるX方向の長さLxの範囲内のXの値に対して、2つの計測用部位の範囲の間の距離であるY位置の差分が異なり1つに定まることを意味している。即ち、2つの計測用部位の範囲の間の距離(Y位置の差分)が分かればXの値が分かり、他方、Xの値が分かれば2つの計測用部位の範囲の間の距離(Y位置の差分)が分かることを意味している。この場合、2つの計測用部位の位置関係が1つに定まる座標系として表すことが可能である。
本実施形態では、検者は、上述した条件が成立するような計測用部位の範囲を指定する。容易な方法としては、X方向の所定範囲内において、1つの計測用部位の範囲は単純減少である部位の領域を指定し、もう1つの計測用部位の範囲は単純増加である部位の領域を指定すればよい。例えば、図4(a)に示す投影画像において、乳頭部404より上側の血管部402は、おおむね、X方向に対して単純減少を示し、乳頭部404より下側の血管部403は、X方向に対して単純増加を示す場合が多く、本条件を満たす計測用部位として適している。
ここで、図4(c)を用いて、上述した条件を説明する。
図4(c)に示す例では、計測用部位の範囲406と計測用部位の範囲407とは、X方向については同じ範囲内にあり、このX方向の範囲をX1からXnまでとする。また、計測用部位の範囲406における血管部402のY位置をy=f(x)という関数で表わし、計測用部位の範囲407における血管部403のY位置をy=g(x)という関数で表わす。このとき、X1からXnの範囲内におけるxの値に対して、(f(x)−g(x))の値が一意に(1つに)定まっていることが条件である。
図4(d)は、乳頭部404に対して、2つの計測用部位の範囲411及び412を指定した場合の一例を示す図である。
計測用部位の範囲411は乳頭部404の左上の部位の範囲であり、計測用部位の範囲412は乳頭部404の左下の部位の範囲である。この2つの計測用部位においても、上述した条件が成立している必要がある。乳頭部404の形状は、円形状となっているため、第1象限と第3象限はX方向に対して単調減少を示し、また、第2象限と第4象限はX方向に対して単調増加を示す場合が多い。このことから、計測用部位の範囲411及び412を指定することは、上述した条件を満たすものとして適している。
ここで、再び、図3の説明に戻る。
ステップS302の処理が終了すると、ステップS303に進む。
ステップS303に進むと、制御部118(例えば部位位置計測部204)は、ステップS302で抽出された2つの計測用部位の形状情報を取得する。この計測用部位の形状情報を取得する処理を行う制御部118は、「形状情報取得手段」を構成する。ここで、本実施形態では、計測用部位の形状情報は、上述した関数f(x)及びg(x)に関連する情報を意味する。この計測用部位の形状情報は、ステップS301で取得した投影画像に基づいて、走査手段130による走査の座標系における情報として求められる。
図5は、図3に示すステップS303及びS304の処理の一例を説明するための図である。
図5(a)は、図4(b)及び図4(c)に示す計測用部位の範囲406及び407に対応する部分の投影画像を走査手段130による走査の座標系上で示した図である。
形状情報501は、計測用部位の範囲406にある血管部402の位置情報である。形状情報502は、計測用部位の範囲407にある血管部403の位置情報である。ここで、血管部の位置情報としては、血管部の中心位置、或いは、血管部のエッジ位置を用いる。
X位置X(1)に対応する形状情報501のY位置はY1(1)であり、X位置X(1)に対応する形状情報502のY位置はY2(1)である。同様に、X位置X(n)に対応する形状情報501のY位置はY1(n)であり、X位置X(n)に対応する形状情報502のY位置はY2(n)である。ここで、各形状情報501及び502は、走査手段130によるX方向の走査ピッチ間隔で取得されているために離散的になっている。
形状情報501及び502は、X位置に対するY位置の対応表という形式で表すことができる。図5(c)は、この対応表の一例を示す図である。
図5(c)において、データ505は、X位置を示しており、X(1)からX(n)までn個の情報がある。
図5(c)において、データ506は、各X位置に対応する形状情報501のY位置の値(y=f(x))である。
図5(c)において、データ507は、各X位置に対応する形状情報502のY位置の値(y=g(x))である。
これらのデータは、X位置に対するY位置の対応表という形で、計測用部位の形状情報として制御部118内に記憶される。
また、一例として、形状情報501の関数f(x)或いは形状情報502の関数g(x)が直線と見なせる場合には、直線という関数の種類の情報、及び、直線の傾きの情報とy切片の情報(即ち、直線という関数における各係数の情報)を、形状情報として扱うことができる。
図5(b)は、形状情報501が直線503と見なせ、形状情報502が直線504と見なせる場合の例を示す図である。
この場合、直線503は以下の(3)式で表せ、直線504は以下の(4)式で表せる。
Figure 2015181789
(3)式及び(4)式で表せる場合には、直線の傾きa1及びa2、並びに、Y切片b1及びb2の情報が計測用部位の形状情報として制御部118内に記憶される。
このように、直線と見なせる場合には、形状情報のデータ量が少なく、かつ、移動量の算出(被検眼Eの動きの取得)も簡易な計算で行うことができるという利点がある。また、直線に限らず、近似できる関数が存在した場合には、その関数の種類と、その関数を表すための各係数とを計測用部位の形状情報としてもよい。
ここで、再び、図3の説明に戻る。
ステップS303の処理が終了すると、ステップS304に進む。
ステップS304に進むと、制御部118(例えば部位位置計測部204)は、ステップS303で取得した各計測用部位の形状情報に基づいて、あるX位置における2つの計測用部位の距離(Y位置の差分)を求める。
図5(c)において、データ508は、各X位置に対応する、形状情報501のY位置と形状情報502のY位置との距離(d(x)=f(x)−g(x))である。本ステップでは、図5(c)のデータ508を求めることになる。
続いて、ステップS305において、制御部118(例えば部位位置計測部204)は、移動量計測(被検眼Eの動きの計測)のための走査手段130によるスキャン位置を求める。ここで、本実施形態では、スキャン位置は、計測用部位のX方向の長さLxの中心の位置とする。このように、スキャン位置を計測用部位のX方向の長さLxの中心の位置とすることにより、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)を、左右それぞれに、Lx/2(=1[mm])の範囲で計測できることになる。
図6は、図3に示すステップS305〜S308の処理の一例を説明するための図である。
図6(a)に、ステップS305で求めたスキャン位置601のX位置Xmを示す。このスキャン位置601のX位置Xmは、以下の(5)式で計算される。
Figure 2015181789
続いて、ステップS306において、制御部118は、走査手段130を制御して、移動量計測(被検眼Eの動きの計測)のための移動量計測スキャンを行い、基準位置を求める。ここで、制御部118は、検者からの入力部120を介したOCT撮像の開始指示に基づいて、本ステップの移動量計測スキャンを行う。この際、制御部118は、走査手段130による移動量計測のための主走査の位置を、スキャン位置601のX位置Xmに設定する。
図6(b)に、走査手段130による移動量計測のための主走査の位置を走査線602にて示す。制御部118は、走査手段130を制御して、この走査線602の位置で移動量計測スキャンを行う。そして、制御部118は、この移動量計測スキャンにより、図6(a)に示す、2つの計測用部位の形状情報501及び502におけるY位置Y1m及びY2mと、距離(Y位置の差分)Dmとを含む位置関係情報を取得する。この位置関係情報を取得する処理を行う制御部118は、「位置関係情報取得手段」を構成する。
本実施形態では、移動量計測スキャンにより計測された位置を基準位置とし、以降、この基準位置からの移動量を被検眼Eの移動量として計測するものである。
続いて、ステップS307において、制御部118は、走査手段130を制御して、移動量計測(被検眼Eの動きの計測)のための移動量計測スキャンを行う。ここでは、ステップS306と同様に、走査線602の位置で移動量計測スキャンを行う。
続いて、ステップS308において、制御部118の移動量算出部205は、ステップS303で取得した2つの計測用部位の形状情報と、ステップS307で得られた2つの計測用部位の位置関係情報(2つの計測用部位の形状情報501及び502における基準位置のY位置Y1m及びY2mと、距離(Y位置の差分)Dmとを含む情報)に基づいて、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の基準位置からの移動量)を算出する。この移動量算出方法について、以下に説明する。
図6(c)は、被検眼Eの眼底が(Δx,Δy)だけ移動した状態を示している。より具体的に、図5(a)及び図6(a)に示す形状情報501が形状情報605に移動し、図5(a)及び図6(a)に示す形状情報502が形状情報606に移動したものである。被検眼Eの眼底が(Δx,Δy)だけ移動した状態において、移動量計測のための移動量計測スキャンをX位置Xmで行うと(S307)、2つの計測用部位の形状情報605及び606におけるY位置Y1k及びY2kと、距離(Y位置の差分)Dkとを含む位置関係情報が取得できる(S307)。
そして、制御部118の移動量算出部205は、図5(c)の対応表において、計測された距離(Y位置の差分)Dkに対応するX位置を求める。
具体的に、まず、制御部118の移動量算出部205は、図5(c)のデータ508の中から、距離(Y位置の差分)Dkの値に最も近い値を探す。この際、距離(Y位置の差分)D(n)の値は、Xの範囲において一意であるため、距離D(n)に対応するX位置は、必ず1つだけが求まるものである。ここでは、距離(Y位置の差分)DkがD(n−2)と同じ値であるものとする。このとき、D(n−2)に対応するX位置は、X(n−2)であるので、被検眼Eの眼底は、X(n−2)の位置に移動したことが分かる。この場合、基準位置Xmからの移動量Δxは、以下の(6)式により算出される。
Figure 2015181789
次いで、制御部118の移動量算出部205は、図5(c)のデータ506の中から、距離Dkに対応するY位置を求める。本例の場合、距離(Y位置の差分)DkがD(n−2)と同じ値であるため、このD(n−2)のY位置はY1(n−2)である。この場合、Y方向の移動量Δyは、以下の(7)式により算出される。
Figure 2015181789
このように、X方向の移動量Δxは、距離(Y位置の差分)D(n)の変化に現れ、Y方向の移動量Δyは、距離(Y位置の差分)D(n)の変化には現れず、Y方向の計測位置の変化にのみ現れるものである。
また、図5(c)のデータ508の中に距離(Y位置の差分)Dkと同値のデータが存在しない場合には、制御部118の移動量算出部205は、まず、図5(c)のデータ508の中から、距離(Y位置の差分)Dkに近い値の前後の値を探す。そして、制御部118の移動量算出部205は、探した前後の値の間を直線補間し、距離(Y位置の差分)Dkに対応するX位置及びY位置を求める。そして、この場合、上記(6)式及び上記(7)式を用いて、X方向の移動量Δx及びY方向の移動量Δyを算出する。
次に、図6(c)に示す形状情報501及び形状情報502が直線と見なせる場合の検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)を算出する方法について説明する。
図6(d)は、形状情報501が直線503と見なせ、形状情報502が直線504と見なせる場合の例を示す図である。この場合、被検眼Eの眼底が(Δx,Δy)だけ移動すると、形状情報501は形状情報605に移動し、形状情報502は形状情報606に移動することになるが、これは、直線503が直線607に移動し、直線504が直線608に移動すると見なせる。ここで、直線503及び直線504は、それぞれ、上述した(3)式及び(4)式で表されるものである。
スキャン位置601のX位置Xmにおける移動前の直線503及び直線504のY位置は、それぞれ、Y1m及びY2mであり、スキャン位置601のX位置Xmにおける移動後の直線607及び608のY位置は、それぞれ、Y1k及びY2kであるとする。このとき、Y位置Y1m、Y位置Y1k、Y位置Y2m及びY位置Y2kは、それぞれ、以下の(8)式〜(11)式のように表すことができる。
Figure 2015181789
上記(8)式〜(11)式を用いると、X方向の移動量Δx及びY方向の移動量Δyは、それぞれ、以下の(12)式及び(13)式から算出することができる。
Figure 2015181789
この場合、直線と見なせる形状情報とスキャン位置601のX位置XmにおけるY位置を計測することにより、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)を算出することができる。
ここで、再び、図3の説明に戻る。
ステップS308の処理が終了すると、ステップS309に進む。
ステップS309に進むと、制御部118(例えばCPU201)は、ステップS308で算出した被検眼Eの移動量(X方向の移動量Δx及びY方向の移動量Δy)に基づいて、撮像スキャン位置(OCTスキャン位置)を補正する制御を行う。
続いて、ステップS310において、制御部118(例えばスキャナ制御部206等)は、ステップS309で補正した撮像スキャン位置に基づいて、走査手段130を制御して、撮像スキャン(OCTスキャン)を行う。
ここで、ステップS309の撮像スキャン位置補正方法について、以下に説明する。
図7は、図3に示すステップS309の処理の一例を説明するための図である。
図7に示す例では、撮像スキャン(OCTスキャン)は、走査線701の走査開始位置705からスキャンを開始する。そして、撮像スキャンは、走査線701の走査を行った後、走査線702、・・・と走査を行うものとする。
例えば、走査線702を走査後に、移動量計測スキャンが行われて(S307)、被検眼Eの移動量(X方向の移動量Δx及びY方向の移動量Δy)が算出されたときは(S308)、次の走査線703の走査開始位置706(Xs,Ys)を走査開始位置707(Xs+Δx,Ys+Δy)に補正する。そして、この場合、制御部118(例えばスキャナ制御部206等)は、走査線703の位置を走査線704の位置に変更して撮像スキャンを行う。このように、制御部118は、撮像スキャンにおける1つの走査ごとに、走査直前に算出された最新の移動量Δx及びΔyに基づいて、撮像スキャン位置を補正する。そして、制御部118(例えばスキャナ制御部206等)は、走査手段130を制御して、補正した撮像スキャン位置に基づく撮像スキャンを行って、被検眼200の眼底における断層画像(OCT画像)を取得する。
図3に示すステップS307の移動量計測スキャンと、図3に示すステップS310の撮像スキャンとを交互に1回ずつ行った場合には、撮像スキャンにおける1つの走査ごとに、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)を反映させることが可能である。これにより、撮像スキャン位置を高頻度で補正することができるため、被検眼Eの眼底における固視微動の影響を低減させることができ、その結果、断層画像(OCT画像)の画質向上を図ることが可能となる。
また、図6(b)には、OCT撮像領域604、及び、撮像スキャンの1つの走査線603を示している。本実施形態では、この走査線603のように図6(b)の上から下へのY方向にスキャンを行うとともに、更に、図6(b)の右から左へのX方向に走査位置を少しずつ変更しながら、OCT撮像領域604をラスタースキャンするものである。なお、図6(b)に示す例では、移動量計測スキャンにおける走査線602は、撮像スキャンにおける走査線603と重複していないものとなっている。制御部118(例えばスキャナ制御部206等)は、走査手段130を制御して、OCT撮像領域604をラスタースキャンして、被検眼Eの眼底の断層画像(OCT画像)を取得する。なお、本例では、ステップS310における撮像スキャンは、OCT撮像領域604の中の1つの走査線をスキャンするものとする。
ここで、再び、図3の説明に戻る。
ステップS310の処理が終了すると、ステップS311に進む。
ステップS311に進むと、制御部118(例えばCPU201)は、被検眼Eの眼底の撮像が終了したか否かを判断する。ここで、本実施形態では、撮像の終了条件は、OCTの撮像回数、或いは、OCT撮像領域604の全てをスキャンしたか否かである。
ステップS311の判断の結果、撮像が終了していない場合には(S311/No)、ステップS307に戻る。その後、再度、移動量計測スキャンを行って、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)の算出を行った後、撮像スキャン位置を補正して、撮像スキャンを行って断層画像を取得する。
一方、ステップS311の判断の結果、撮像が終了した場合には(S311/Yes)、ステップS312に進む。
ステップS312に進むと、制御部118(例えばCPU201)は、取得した断層画像(OCT画像)を撮像画像として表示部119に表示する。
続いて、ステップS313において、制御部118(例えばスキャナ制御部206等)は、走査手段130によるOCTスキャンを停止する。
その後、図3に示すフローチャートの処理を終了する。
この図3に示すフローチャートの処理によれば、被検眼Eの眼底の移動量を計測し、当該移動量に基づいて撮像スキャンを行う際の撮像スキャン位置(撮像走査位置)を補正することにより、位置ズレの少ない被検眼Eの眼底の断層画像を取得することができる。
<計測用部位の抽出を自動で求める方法について>
上述した例では、被検眼Eの眼底の投影画像(眼底画像)内から移動量計測に用いる部位である計測用部位を2つ抽出する処理は、検者による入力部120を介した入力情報に基づいて行うものであったが、本実施形態はこの例に限定されるものではない。例えば、被検眼Eの眼底の投影画像(眼底画像)内から計測用部位を複数個抽出し、最適な計測用部位の組合せと移動量計測スキャン位置を自動で求める態様も適用可能である。また、上述した例では、2つの計測用部位を抽出するものであったが、本例では、3つ以上の複数の計測用部位を抽出し、これらの中から最適な計測用部位の組み合わせを考慮するものである。
図8は、本発明の第1の実施形態に係る眼科装置100の制御方法において、計測用部位を自動で抽出する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、この図8では、図3に示すフローチャートの各ステップ(各工程)のうち、ステップS302〜S305の処理に相当する部分についてのみ記載している。
まず、ステップS801において、制御部118(例えば部位位置計測部204)は、投影画像生成部203で生成された被検眼Eの眼底の投影画像(眼底画像)から血管部を抽出する。
図9は、図8に示すステップS801〜S803の処理の一例を説明するための図である。
図9(a)は、被検眼Eの眼底の投影画像から、血管部を抽出した画像を示す図である。図9(a)において、実線で示されたものが血管部902であり、点線の丸で示されたものが血管部902の分岐部903〜906である。
ここで、再び、図8の説明に戻る。
ステップS801の処理が終了すると、ステップS802に進む。
ステップS802に進むと、制御部118(例えば部位位置計測部204)は、ステップS801で抽出した血管部の中から、移動量計測(被検眼Eの動きの計測)に用いる部位である計測用部位を複数(本実施形態では3つ以上)抽出する。
ここで、計測用部位のX方向の長さLxは、上述した(2)式と同様である。また、制御部118(例えば部位位置計測部204)は、X方向の長さLxの範囲内において単調増加或いは単調減少である部位を計測用部位として、図9(a)の画像内から複数(本実施形態では3つ以上)抽出する。この際、制御部118(例えば部位位置計測部204)は、血管部902の分岐部903〜906は、計測用部位には含めないものとする。また、図9(a)に示す画像内で計測用部位を抽出する対象領域は、走査手段130による走査全範囲よりも眼底移動量である、Mx,Myほど内側となり、図9(a)の一点鎖線で示した領域901となる。この図9(a)に示す領域901は、図4(b)に示す領域410と同様である。
図9(b)は、ステップS802で抽出した計測用部位の範囲を示す図である。この図9(b)に示す例では、6つの計測用部位の範囲907〜912を抽出した例が示されている。
計測用部位の範囲907は、左端から分岐部903までの範囲の中で、単調増加となる部分である。
計測用部位の範囲908は、分岐部903から分岐部904までの範囲の中で、単調減少となる部分である。
計測用部位の範囲909は、分岐部904から領域901までの範囲の中で、単調増加となる部分である。
計測用部位の範囲910は、左端から分岐部905までの範囲の中で、単調増加となる部分である。
計測用部位の範囲911は、分岐部905から分岐部906までの範囲の中で、単調増加となる部分である。
計測用部位の範囲912は、分岐部906から領域901までの範囲の中で、単調減少となる部分である。
ここで、図9(a)に示す画像の解像度が低い場合には、当該画像上での隣接した画素の血管位置は、量子化の影響によりX位置或いはY位置が同値となる領域が存在しやすい。これにより、部位が単調増加或いは単調減少であるかの判定を正しく行えない場合が発生する。これを解決する方法としては、被検眼Eの眼底の投影画像(眼底画像)の取得時の解像度を高くする、つまり、細かいピッチでラスタースキャンを行い、更に、1つの走査線上におけるサンプリング数を多くすることである。しかしながら、この方法では、画像取得時間が長くなるために、画像取得中に発生する固視微動の影響を考慮する必要がある。
また、他の方法としては、図9(a)に示す画像の解像度が低い場合には、X位置或いはY位置が同値となる領域の大きさに許容値を設けて、その同値領域の部分を単調増加或いは単調減少の判定の対象外とした上で複数の計測用部位を抽出するものである。この際、許容値以下の大きさの部分は、抽出される計測用部位の範囲内に含める。例えば、許容値を3画素とした場合、同値領域の大きさが4画素以上である部分については、単調増加或いは単調減少では無いと判定されて、計測用部位として抽出されない。この方法を用いる場合には、計測用部位を抽出した後に、次のステップS803において、同値領域の部分を含めた部位の詳細な形状を改めて計測する必要がある。
また、他の方法としては、取得された部位の位置情報に対してスムージング(平滑化)処理を施し、スムージング(平滑化)処理された位置情報に基づいて単調増加或いは単調減少の判定を行ってもよい。
本例では、このような方法を用いて計測用部位の抽出を行うものである。
ここで、再び、図8の説明に戻る。
ステップS802の処理が終了すると、ステップS803に進む。
ステップS803に進むと、制御部118(例えば部位位置計測部204)は、ステップS802で抽出した各計測用部位の形状情報を取得する。この計測用部位の形状情報は、図3のステップS303と同様に、投影画像生成部203で生成された被検眼Eの眼底の投影画像(眼底画像)に基づいて取得することができる。
また、他の方法として、眼科装置100において、走査手段130を用いて、抽出された計測用部位の部分のみを再度走査することによって、計測用部位の形状情報を取得する方法がある。
図9(c)は、計測用部位の部分のみを走査する方法を示す図である。なお、図9(c)に示す例では、計測用部位の範囲908の部分を走査する場合について示している。
図9(c)において、走査線913は、被検眼Eの眼底の投影画像(眼底画像)を取得する際の走査手段130による走査における走査線に相当するものである。また、走査線913の走査間隔を、走査間隔915として示す。走査線914は、計測用部位の部分のみを走査する際の走査線に相当するものである。走査線914は、計測用部位の位置を計測できる最小限のY方向のストロークであればよいので、走査線913よりも短いストロークでよい。さらに、走査線914の走査間隔916は、走査線913の走査間隔915よりも狭くして、計測用部位の形状を細かく取得するようにしてもよい。他の計測用部位においても、同様の方法により形状情報を取得することができる。
なお、被検眼Eの眼底の投影画像(眼底画像)は固視微動の影響を受けるが、この方法によれば、計測用部位の形状情報を短時間に計測し取得することができるため、固視微動の影響を低減でき、計測用部位の形状情報を高精度に求めることが可能となる。また、計測用部位のエッジ位置或いは中心位置の形状情報に対してスムージング(平滑化)処理を施し、スムージング(平滑化)処理された情報を形状情報としてもよい。移動量の計測精度は、計測用部位の形状情報の精度に依存するため、より高精度に形状情報を計測し取得することは重要である。
ここで、再び、図8の説明に戻る。
ステップS803の処理が終了すると、ステップS804に進む。
ステップS804に進むと、制御部118(例えば部位位置計測部204)は、ステップS803で抽出した複数の計測用部位(図9(b)に示す例では6つの計測用部位)から、2個ずつの計測用部位の全ての組合せを求めて設定する。
図11は、図8に示すステップS804〜S806の処理の一例を説明するための図である。
図11に示す組合せ番号1101は、6つの計測用部位における組合せの通し番号を示す。本例では、6つの計測用部位が存在するため、組合せの数は15個である。各組合せにおいて、第1の計測用部位の番号を部位(1)番号1102に示し、第2の計測用部位の番号を部位(2)番号1103に示す。
ここで、再び、図8の説明に戻る。
ステップS804の処理が終了すると、ステップS805に進む。
ステップS805に進むと、制御部118(例えば部位位置計測部204)は、ステップS804で設定した組合せごとに、2つの計測用部位の距離(Y位置の差分)がX方向の所定範囲内において一意となるようなX方向の位置関係及び距離(Y位置の差分)を求めて検出を行う。ここで、X方向の所定範囲内とは、計測用部位のX方向の長さLxの範囲内である。
ここで、図11に示す組合せ番号1101が「8」の場合の例について説明をする。
組合せ番号「8」の計測用部位の組合せは、部位(1)番号1102が図9(b)に示す「908」であり、部位(2)番号1103が図9(b)に示す「911」である。
図10は、図8に示すステップS805及びS806の処理の一例を説明するための図である。
図10(a)は、組合せ番号「8」の場合であり、図9(b)に示す計測用部位の範囲908及び計測用部位の範囲911の拡大図である。
計測用部位の範囲908は、X位置XaからX位置Xbまでの範囲で、関数f(x)で表される。
計測用部位の範囲911は、X位置XcからX位置Xdまでの範囲で、関数g(x)で表される。
領域1001は、計測用部位の範囲908内のX位置αからX位置(α+Lx)までの範囲を示す。
領域1002は、計測用部位の範囲911内のX位置βからX位置(β+Lx)までの範囲を示す。
また、領域1001にある計測用部位と領域1002にある計測用部位と間の距離d(x)は、以下の(14)式で求められる。
Figure 2015181789
領域1001の左端のX位置(所定位置)を示す変数αと領域1002の左端のX位置(所定位置)を示す変数βは、それぞれ、上記の(16)式と(17)式の範囲の値を取る。ここで、2つの計測用部位のX方向の位置関係を求めることは、変数αと変数βを求めることを意味する。
また、制御部118(例えば部位位置計測部204)は、上記の(15)式のxの範囲に対して、(14)式の距離d(x)が一意となるような変数αと変数βの組合せを求める。本例では、制御部118(例えば部位位置計測部204)は、変数αと変数βの組合せの中で、変数αと変数βとの差が最小となる組合せを選択するものとする。このように、変数αと変数βとの差を最小にすることによって、移動量計測(被検眼200の動きの計測)のためのスキャンに要する時間を最小にすることができる。また、2つの計測用部位に対して、1回のスキャンで計測できれば、より高速に移動量を計測できるため、変数αと変数βとが等しい組合せを選択することが望ましい。
組合せ番号「8」の計測用部位の組合せにおいては、α=βとなる位置関係が存在するため、その位置関係を図10(b)に示す。この図10(b)に示す場合は、領域1001及び領域1002がX方向において同じ範囲となり、図4(b)に示す上述した例において検者が入力部120を介して計測用部位を指定する場合と同様の場合となる。また、変数αと変数βが等しい組合せが複数個ある場合には、その組合せの中で、スキャンストロークが最短となる、つまりスキャンに要する時間が最小となる組合せを選択するものとする。これにより、被検眼Eの眼底の移動量計測スキャンに要する時間を短くすることが可能となる。そして、求めた変数αと変数βは、図11に示す対応表の領域位置1105に、α08及びβ08として入力される。また、距離d(x)は、上述したように(14)式により算出される。
同様の方法により、制御部118(例えば部位位置計測部204)は、組合せ番号「1」から「15」の全てにおいて、変数αと変数β、及び距離(Y位置の差分)を求める。
図11に示す対応表の判定1104には、一意とならない組合せには0が入力し、一意となる場合には1を入力する。図11に示す例では、組合せ番号「9」と「10」は、一意とならない組合せであることを示している。ここで、組合せ番号「9」が一意とならないのは、図9(b)に示す計測用部位の範囲908と計測用部位の範囲912とがともにX方向に対して単純減少を示し、また、その傾きも略等しいためである。また、組合せ番号「10」が一意とならないのは、図9(b)に示す計測用部位の範囲909と計測用部位の範囲910とがともにX方向に対して単純増加を示し、また、その傾きも略等しいためである。
ここで、再び、図8の説明に戻る。
ステップS805の処理が終了すると、ステップS806に進む。
ステップS806に進むと、制御部118(例えば部位位置計測部204)は、2つの計測用部位における移動量計測(被検眼Eの動きの計測)のための走査手段130によるスキャン位置及びスキャンストロークを求める。ここで、本実施形態では、スキャン位置は、図3に示すステップS305と同様に、計測用部位のX方向の長さLxの中心の位置とし、図11に示す対応表のスキャン位置1106の列に入力する。
図10(b)に示す組合せ番号「8」の場合、計測用部位の範囲908及び計測用部位の範囲911のスキャン位置は、同じX位置の値となり、以下の(18)式で求まる。
Figure 2015181789
図10(b)の走査線1003は、上記のスキャン位置にて1回の移動量計測スキャンで2つの計測用部位の範囲908及び911をスキャンする様子を示す。
次に、制御部118(例えば部位位置計測部204)は、図10(c)に示す、走査線1003のスキャンストローク1007を求める。
図10(c)に示すスキャンストローク1007は、領域1001内及び領域1002内の計測用部位が、Y方向に±Myだけ移動した時においても計測用部位の位置を計測できる長さSTに設定される。また、図10(c)に示す長さ1004は、領域1001内の計測用部位908のY方向への移動範囲を示し、図10(c)に示す長さ1006は、領域1002内の計測用部位911のY方向への移動範囲を示す。
ここで、スキャンストローク1007の長さSTは、距離d(x)の最大値と、Myの2倍を加算した値となる。Myにマージンを加えた場合のスキャンストローク1007の長さSTの例を、以下の(19)式に示す。
Figure 2015181789
(19)式において、1.1は、10%のマージンとしての値である。また、走査線1003の走査開始位置及び終了位置も同時に求められる。
次に、組合せ番号「7」の場合について説明する。
図10(d)は、組合せ番号「7」の場合であり、図9(b)に示す計測用部位の範囲908及び計測用部位の範囲910の拡大図である。
図10(d)に示す組合せ番号「7」の場合、計測用部位の範囲908及び計測用部位の範囲910のスキャン位置は、異なるX位置の値となり、それぞれ、以下の(20)式に示すスキャン位置s107及び(21)式に示すスキャン位置s207となる。
Figure 2015181789
変数αと変数βとの値が異なる場合には、各計測用部位に対して異なるX位置(移動量計測スキャンの複数のスキャン位置)において、それぞれ1回の移動量計測スキャンを行うことになる。
図10(d)に、計測用部位の範囲908及び計測用部位の範囲910を移動量計測スキャンする方法を示す。走査線1008によるスキャンとして、計測用部位の範囲908をスキャン位置s107にてY方向にスキャンストローク1011でスキャンを行う。その後、軌跡1009を経由して、走査線1010に繋がる。続いて、走査線1010によるスキャンとして、計測用部位の範囲910をスキャン位置s207にてY方向にスキャンストローク1012でスキャンを行う。スキャンストローク1011及び1012の長さは、図10(d)に示すように、各計測用部位のY方向の長さにMyの2倍及びマージンを加算した値となる。走査線1008から走査線1010までの全体のスキャンストローク1013は、図10(c)に示す組合せ番号「8」の場合と同様に、上記(19)式で求められる。
また、移動量計測に用いる計測用部位の組合せは、図11に示す対応表の判定1104の値が1である組合せを用いればよい。
図8のステップS806の処理が終了すると、本例では、図3に示すステップS306〜S313の処理を経る。
以上、説明したように、本例では、被検眼Eの眼底の投影画像(眼底画像)内から移動量計測に用いる計測用部位を3つ以上の複数個抽出し、これらの中から最適な計測用部位の組合せとスキャン位置を自動で求めることができる。
なお、ここでは、移動量計測スキャンの主走査方向をY方向とし、副走査方向をX方向として説明してきたが、移動量計測スキャンの主走査方向をX方向とし、副走査方向をY方向とする逆のスキャン構成においても同様な考え方で実施することができる。また、ステップS802〜ステップS806までの処理に関しては、主走査方向がY方向の場合、及び、主走査方向がX方向の場合の両方において処理を行ってもよい。このように、両方の処理を行うことによって、一方の場合において、最適な計測用部位の組合せが存在しない場合には、もう一方の対応表から最適な組合せを求めることができる。
また、本例による方法を用いれば、図3に示すステップS301〜S305までを繰り返し実行することができる。この場合、被検眼Eの眼底の投影画像(眼底画像)を所定フレームレートで取得して、表示部119に表示更新しながら、計測用部位の抽出等を行うことができる。計測用部位の自動抽出は、フレームごとに行う必要も無く、所定フレーム数ごと或いは所定時間経過時などのように定期的に行うようにすればよい。また、固視灯の位置を変更した時や、被検者の被検眼Eの固視が安定しない場合などであって被検眼Eの眼底の投影画像(眼底画像)内の移動量計測に用いる計測用部位の位置が変化するような場合には、再度抽出する必要があるため、自動抽出を行うようにすればよい。
<移動量計測スキャンと撮像スキャンを順次行う場合の走査方法について>
移動量計測スキャンと撮像スキャンとを順次組み合わせて行いながら断層画像を取得する場合の走査方法について説明する。
図3に示すステップS307〜S310において、移動量計測スキャンを1回走査し(S307)、撮像スキャン位置を補正し(S308〜S309)、その後、撮像スキャンをk本走査する(S310)、というシーケンスを数回繰り返して撮像画像を取得する。
上述した例では、ステップS310においてk=1本とする場合を説明している。
本実施形態に係る眼科装置100の撮像条件には、シングルラインスキャンモード、クロスラインスキャンモード、3Dスキャンモードという各スキャンモードがある。以下に、各スキャンモードにおける走査シーケンスについて説明する。
図12は、本発明の第1の実施形態を示し、移動量計測スキャンと撮像スキャンの2種類の走査の組合せ一例を説明するための図である。
まず、シングルラインスキャンモードについて説明を行う。
図12(a)は、シングルラインスキャンモードを説明するための図である。
このシングルラインスキャンモードは、1本の走査線1202の断層画像を取得するためのスキャンモードである。走査線1202が、撮像スキャン用の走査線であり、高画質化のために、走査線1202を複数回(例えば50回)走査して(即ち撮像スキャンを複数回行って)、断層画像を重ね合わせる処理を行うものである。走査線1201が、移動量計測スキャン用の走査線であり、図9(b)に示す計測用部位の範囲907及び計測用部位の範囲908を走査して移動量を計測するためのものである。
このシングルラインスキャンモードにおいて、50回分の断層画像を取得する場合の走査シーケンスについて説明する。
図13は、本発明の第1の実施形態を示し、移動量計測スキャンと撮像スキャンの2種類の走査における走査順と走査線との対応表を示す図である。
図13(a)は、k=1本である場合のシングルラインスキャンモードの走査シーケンスAにおける対応表を示す図である。
図13(a)において、最初の走査である走査順「1」では、走査線1201で移動量計測スキャンを1回行う。次の走査順「2」では、走査線1202で撮像スキャンを1回行う。以降、走査順「1」〜「2」までの走査と同様の走査を繰り返し、50回分の断層画像を取得するために、合計で100回のスキャンを行うものである。即ち、この走査シーケンスAでは、移動量計測スキャンと撮像スキャンとを1回ずつ交互に行うものである。この走査シーケンスAにおいては、移動量計測の周期が最も短く(トラッキングレートが最も高い)、高画質な画像を取得することができるが、一方で、画像取得に要する時間は、最も長くなる。
また、図13(b)は、k=10本である場合のシングルラインスキャンモードの走査シーケンスBにおける対応表を示す図である。
図13(b)において、最初の走査である走査順「1」では、走査線1201で移動量計測スキャンを1回行う。次の走査順「2」〜「11」までは、走査線1202で撮像スキャンを連続して10回行う。以降、走査順「1」〜「11」までの走査と同様の走査を繰り返し、50回分の断層画像を取得するために、合計で55回のスキャンを行うものである。この走査シーケンスBにおいては、画像取得に要する時間は、走査シーケンスAに比べて短くなるが、移動量計測の周期が長くなるため、画質は固視微動の影響を受けやすくなる。
次に、クロスラインスキャンモードについて説明を行う。
図12(b)は、クロスラインスキャンモードを説明するための図である。
このクロスラインスキャンモードは、十字の形に走査して、水平方向と垂直方向の断層画像を取得するためのスキャンモードである。走査線1203は、X方向へスキャンして、X方向の断層画像を取得するためのものである。走査線1204は、Y方向へスキャンして、Y方向の断層画像を取得するためのものである。また、走査線1201は、移動量計測スキャン用の走査線である。
このクロスラインスキャンモードにおいて、10回分の断層画像を取得する場合の走査シーケンスについて説明する。
図13(c)は、k=1本である場合のクロスラインスキャンモードの走査シーケンスCにおける対応表を示す図である。
図13(c)において、最初の走査である走査順「1」では、走査線1201で移動量計測スキャンを1回行う。次の走査順「2」では、走査線1203で撮像スキャンを1回行う。次の走査順「3」では、走査線1201で移動量計測スキャンを1回行う。次の走査順「4」では、走査線1204で撮像スキャンを1回行う。以降、走査順「1」〜「4」までの走査と同様の走査を繰り返し、10回分の断層画像を取得するために、合計で40回のスキャンを行うものである。
また、図13(d)は、k=4本である場合のクロスラインスキャンモードの走査シーケンスDにおける対応表を示す図である。
図13(d)において、最初の走査である走査順「1」では、走査線1201で移動量計測スキャンを1回行う。次の走査順「2」〜「5」までは、走査線1203、1204、1203、1204の順で、撮像スキャンを4回行う。以降、走査順「1」〜「5」までの走査と同様の走査を繰り返し、10回分の断層画像を取得するために、合計で25回のスキャンを行うものである。
次に、3Dスキャンモードについて説明を行う。
図12(c)は、3Dスキャンモードを説明するための図である。
この3Dスキャンモードは、図12(c)に示す2次元の領域1205内の断層画像を取得するためのスキャンモードである。具体的に、領域1205内を所定ピッチで複数の走査を行い、領域全体の断層画像を取得することにより3次元(3D)の画像を構成できるものである。ここでは、図12(c)に示すように、領域1205の走査線の番号を、1〜Nまでとする。なお、図12(c)に示す例では、移動量計測スキャンにおける走査線1201は、撮像スキャンにおける走査線1〜Nと重複していないものとなっている。
図13(e)は、k=1本、N=100本である場合の3Dスキャンモードの走査シーケンスEにおける対応表を示す図である。
図13(e)において、最初の走査である走査順「1」では、走査線1201で移動量計測スキャンを1回行う。次の走査順「2」では、走査線1で撮像スキャンを1回行う。以降、走査順「1」〜「2」までの走査と同様の走査を繰り返し、N=100本分の断層画像を取得するために、合計で200回のスキャンを行うものである。
また、図13(f)は、k=10本、N=100本である場合の3Dスキャンモードの走査シーケンスFにおける対応表を示す図である。
図13(f)において、最初の走査である走査順「1」では、走査線1201で移動量計測スキャンを1回行う。次の走査順「2」〜「11」までは、走査線1〜走査線10まで撮像スキャンを10回行う。以降、走査順「1」〜「11」までの走査と同様の走査を繰り返し、N=100本の断層画像を取得するために、合計で110回のスキャンを行うものである。図13(e)に示す走査シーケンスEは、図13(f)に示す走査シーケンスFにおける本数k=1の場合である。
次いで、3Dスキャンモードの場合において、撮像スキャンの走査線1〜Nのいずれかと移動量計測スキャンの走査線とのY位置が同じであり、1つの走査が、画像取得と移動量計測の両方を兼用することができる場合について説明する。
図12(d)は、3Dスキャンモードであって、1つの走査が画像取得と移動量計測の両方を兼用することができる場合を説明するための図である。
この図12(d)に示す3Dスキャンモードの場合、領域1206内に移動量計測スキャンの走査線1201が存在する場合がある。図12(d)に示す例では、移動量計測スキャンの走査線(1201)は、撮像スキャンの走査順「3」の走査線とY位置が同じであって重複しており、この重複した走査線を走査線1207として図示している。この走査線1207は、画像取得のための撮像スキャンと移動量計測スキャンの両方を兼用する。兼用した際の信号処理は、画像取得の処理及び移動量計測の処理の両方を実行するように制御する。また、走査線1207の長さは、2つの走査線を重ね合わせた長さとなる。
図13(g)は、k=10本、N=10本の場合である場合であって、10回分の断層画像を取得する場合の3Dスキャンモードの走査シーケンスGにおける対応表を示す図である。
図13(g)において、最初の走査である走査順「1」では、走査線1201で移動量計測スキャンを1回行う。次の走査順「2」〜「3」までは、走査線1〜走査線2まで撮像スキャンを行う。次の走査順「4」では、走査線1207において、走査線3に相当する撮像スキャン及び走査線1201に相当する移動量計測スキャンを兼用したスキャンを1回行う。次の走査順「5」〜「11」までは、走査線4〜走査線10まで、撮像スキャンを行う。以降、走査順「2」〜「11」までの走査と同様の走査を繰り返し、領域1206の10回分の断層画像を取得するために、合計で101回のスキャンを行うものである。
次いで、3Dスキャンモードの場合において、複数の移動量計測の走査線を使用する場合について説明する。
図12(e)は、3Dスキャンモードであって、複数の移動量計測スキャン用の走査線を使用する場合を説明するための図である。
この図12(e)に示す3Dスキャンモードの場合、移動量計測スキャンの走査線として、走査線1201と走査線1208の2つを使用できるものとする。走査線1208は、図9(b)に示す計測用部位の範囲911と計測用部位の範囲912を走査して移動量を計測するものである。
図13(h)は、上述した走査シーケンスEと同様に、k=1本、N=100本である場合の3Dスキャンモードの走査シーケンスHにおける対応表を示す図である。
図13(h)において、最初の走査である走査順「1」では、走査線1208で移動量計測スキャンを1回行う。次の走査順「2」では、走査線1201で移動量計測スキャンを1回行う。このように、移動量計測スキャンの走査線が複数である場合には、それぞれの基準位置を合わせる必要があるため、撮像スキャンの前に、走査線1208と走査線1201とを連続してスキャンを行うことにより、基準位置を合わせる。次の走査順「3」では、走査線1で撮像スキャンを1回行う。以降、走査順「2」〜「3」までの走査と同様の走査を繰り返し、走査線(m−1)まで走査を行う。次の走査順「2m」では、移動量計測スキャンを走査線1201から走査線1208に切り替えて、走査線1208で移動量計測スキャンを1回行う。次の走査順「(2m+1)」では、走査線mで撮像スキャンを1回行う。以降、走査順「2m」〜「(2m+1)」までの走査と同様の走査を繰り返し、N=100本分の断層画像を取得するために、合計で201回のスキャンを行うものである。
図12(e)において、領域1205の概ね上半分の画像を取得する場合には、走査線1201による移動量計測スキャンを使用し、領域1205の概ね下半分の画像を取得する場合には、走査線1208による移動量計測スキャンを使用する。移動量計測スキャンに、走査線1201と走査線1208のどちらを使用するかの判断方法の例としては、後述する時間Tmc或いは時間Tcmが短い方の走査線を選択する方法がある。
以上、図13を用いて説明したように、制御部118は、画像を取得するために行われる複数の撮像スキャンの合間に、移動量計測スキャンを行うように、走査手段130を制御するようにしている。同様に、制御部118は、複数の移動量計測スキャンの合間に、撮像スキャンを行うように、走査手段130を制御するようにしている。
<計測用部位の組合せの選択方法及び走査シーケンスの設定方法について>
所定の撮像条件で画像を取得する際に、図11に示すような複数の計測用部位の組合せの中から、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)を計測するために最適な計測用部位の組合せを選択する方法及び走査シーケンスの設定方法について説明する。
図14は、本発明の第1の実施形態に係る眼科装置100の制御方法において、計測用部位の組合せの選択方法及び走査シーケンスの設定方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS1401において、制御部118は、設定された撮像条件に基づいて、撮像スキャンの走査条件と撮像スキャンに要するスキャン時間Tcを算出する。ここでは、撮像条件として、図12(c)に示す3Dスキャンモードを例に説明する。
図12(c)の撮像エリアの領域1205の大きさが、5[mm]×5[mm]、解像度が、X方向128、Y方向100であるものとする。また、1次元センサ117からの信号の取得レート、つまり、A−scanの取得レートは、70[kHz]であるものとする。
ここで、撮像スキャンの走査条件について説明する。
撮像スキャンの走査条件とは、スキャンストローク、サンプリングピッチ、スキャン速度、スキャン方向、スキャン位置等である。
撮像スキャンのスキャンストロークは、撮像エリアの5[mm]となる。撮像スキャンのサンプリングピッチPcは、5[mm]÷128の計算により、約39[μm]となる。撮像スキャンのスキャン速度は、5[mm]÷128×70[kHz]の計算により、約2734[mm/sec]となる。また、撮像スキャンに要するスキャン時間Tcは、128÷70kの計算により、約1.9[msec]となる。撮像スキャンのスキャン方向は、図12(c)に示すように、X方向であり、プラス方向(左から右)へスキャンする。撮像スキャンのスキャン位置は、指定された撮像エリアの位置及びY方向の解像度に基づいて算出される。
ここで、再び、図14の説明に戻る。
ステップS1401の処理が終了すると、ステップS1402に進む。
ステップS1402に進むと、制御部118は、移動量計測スキャンの走査条件の設定及び移動量計測スキャンに要するスキャン時間Tmを全ての計測用部位の組合せにおいて算出する。
ここで、移動量計測スキャンの走査条件について説明する。
移動量計測スキャンのスキャンストローク及びスキャン位置は、上述したように計測用部位の組合せとスキャン位置を自動で求める際に算出されている。ある計測用部位の組合せにおける移動量計測スキャンは、図12(c)に示す走査線1201に基づくものであるとする。
ここで、走査線1201のスキャンストロークは、7[mm]とする。
移動量計測スキャンのサンプリングピッチPmは、移動量の計測精度、つまり血管位置の計測精度により決定される。必要な血管位置の計測精度を満たすために、サンプリングピッチPmを20[μm]以下とした場合、7[mm]÷20[μm]の計算により、サンプリング数は、350以上と求まる。移動量計測スキャンのスキャン速度は、20[μm]×70[kHz]の計算により、1400[mm/sec]となる。また、1回の移動量計測スキャンに要するスキャン時間Tmは、7[mm]÷1400[mm/sec]の計算により、約5.0[msec]となる。同様の計算により、全ての計測用部位の組合せにおいてスキャン時間Tmを算出する。
続いて、ステップS1403において、制御部118は、移動量計測スキャンの走査終了から撮像スキャンの走査開始までに要する時間Tmcと、撮像スキャンの走査終了から移動量計測スキャンの走査開始までに要する時間Tcmを全ての計測用部位の組合せにおいて算出し、更に、スキャン方向を設定する。
図15は、本発明の第1の実施形態を示し、図14に示すフローチャートで設定される各時間と、スキャン方向を説明するための図である。
時間Tmcと時間Tcmについて、図15(a)及び図15(b)を用いて説明する。
図15(a)及び図15(b)には、3Dスキャンモードの撮像エリアの領域1205、移動量計測スキャンの走査線1201、及び、軌跡1501〜1504が示されている。図15(a)は、走査線1201のスキャン方向がX方向のプラス方向(左から右)である場合を示している。図15(b)は、走査線1201'のスキャン方向がX方向のマイナス方向(右から左)であり、図15(a)に示す走査線1201と逆方向である場合を示している。なお、図15(a)及び図15(b)に示す例では、移動量計測スキャンにおける走査線1201及び1201'は、撮像スキャンにおける走査線1〜Nと重複していないものとなっている。
軌跡1501及び1503は、移動量計測スキャンの走査終了位置から走査線n番の撮像スキャンの走査開始位置まで走査を移動させる軌跡を示す。軌跡1502及び1504は、走査線n番の撮像スキャンの走査終了位置から移動量計測スキャンの走査開始位置まで走査を移動させる軌跡を示す。
時間Tmcは、軌跡1501或いは軌跡1503を走査するのに要する時間であり、各軌跡の距離に基づいて算出される。走査線nごとに時間Tmc(n)は算出され、全ての走査線の中での最大値を代表値とする。
時間Tcmは、軌跡1502或いは軌跡1504を走査するのに要する時間であり、各軌跡の距離に基づいて算出される。走査線nごとに時間Tcm(n)は算出され、全ての走査線の中での最大値を代表値とする。
移動量計測スキャン後に、計測した移動量に基づいて、次の撮像スキャンの走査位置を補正する場合においては、時間Tmcが最も短く(最短に)なるように移動量計測スキャンのスキャン方向(更に必要に応じて撮像スキャンのスキャン方向)を設定する。これは、移動量計測スキャン後から撮像スキャンまでの間に発生する被検眼Eの動きによる位置ズレを最小にするためである。軌跡1501と軌跡1503の走査時間を比較すると、軌跡1503の方が軌跡1501よりも距離が短いため、時間Tmcは短くなる。よって、この場合、移動量計測スキャンのスキャン方向は、走査線1201'のスキャン方向、即ちX方向のマイナス方向(右から左)に設定される。
一方、撮像スキャン後に移動量計測スキャンを行い、計測した移動量に基づいて、以前の撮像スキャンにより取得した画像の座標位置を補正する場合においては、時間Tcmが最も短く(最短に)なるように移動量計測スキャンのスキャン方向を設定する。これは、撮像スキャン後から移動量計測スキャンまでの間に発生する被検眼Eの動きによる位置ズレを最小にするためである。軌跡1502と軌跡1504の走査時間を比較すると、軌跡1504の方が軌跡1502よりも距離が短いため、時間Tcmは短くなる。よって、この場合、移動量計測スキャンのスキャン方向は、走査線1201'のスキャン方向、即ちX方向のマイナス方向(右から左)に設定される。
撮像スキャンのスキャン方向を逆に、X方向でマイナス方向(右から左)とした場合に関しても考えてもよい。この場合には、撮像スキャンと移動量計測スキャンのスキャン方向の組合せは、4通りあり、その中で時間Tmc或いは時間Tcmが最短となる方向に設定すればよい。同様の方法により、全ての計測用部位の組合せにおいて、スキャン方向と時間Tmc及び時間Tcmを算出する。
以上、説明したように、撮像スキャンの走査条件と移動量計測スキャンの走査条件は、個別に算出されて設定される。この際、制御部118は、1つの走査手段130の走査条件を切り換えながら制御を行うものである。
ここで、再び、図14の説明に戻る。
ステップS1403の処理が終了すると、ステップS1404に進む。
ステップS1404に進むと、制御部118は、計測用部位の組合せを選択するための指標としての時間Tpを設定する。
始めに、算出した移動量に基づいて撮像スキャンの走査位置を補正する場合における、時間Tpの設定例について説明する。
この補正の場合は、時間Tmcが短い方が、その間に発生する被検眼Eの動きによる位置ズレ量を最小限にできるため、望ましい。この補正の場合の時間Tpの一例を以下の(22)式に示す。
Figure 2015181789
この(22)式に示した以外の時間Tpの例としては、時間Tmcのみであってもよい。また、(22)式に移動量計測スキャンのスキャン時間Tmを加算したものであってもよく、この場合には、移動量計測スキャン中に発生する被検眼Eの動きの影響を加味したものとなる。移動量計測スキャンのスキャン時間Tmを加算した場合、時間Tmがより短い時間となる計測用部位の組合せが選択されることになる。つまり、2つの計測用部位の位置計測の時間差が少なく、移動量計測スキャンのスキャンストロークが、より短い計測用部位の組合せが選択されることになる。
次いで、算出した移動量に基づいて画像の取得位置を補正する場合における、時間Tpの設定例について説明する。
この補正の場合は、時間Tcmが短い方が、その間に発生する被検眼Eの動きによる位置ズレ量を最小限にできるため、望ましい。この補正の場合の時間Tpの一例を以下の(23)式に示す。
Figure 2015181789
この(23)式に示した以外の時間Tpの例としては、時間Tcmのみであってもよい。また、前述した場合と同様に、(23)式に移動量計測スキャンのスキャン時間Tmを加算したものであってもよい。
次いで、算出した移動量に基づいて撮像スキャンの走査位置を補正して、かつ、算出した移動量に基づいて画像の取得位置を補正する場合における、時間Tpの設定例について説明する。
この補正の場合の一例としては、正しい走査位置で画像を取得する方を優先すると考えて、算出した移動量に基づいて撮像スキャンの走査位置を補正する場合と同様の方法により、時間Tpの設定を行うものである。また、他の例としては、(22)式に時間Tcmと移動量計測スキャンのスキャン時間Tmを加算したものであってもよい。
続いて、ステップS1405において、制御部118は、ステップS1404で設定した時間Tpに基づいて、複数の計測用部位の組合せの中から最適な計測用部位の組合せを選択する。ここでは、全ての計測用部位の組合せの中から、時間Tpが最小である計測用部位の組合せを選択するものとする。
続いて、ステップS1406において、制御部118は、ステップS1405で選択した計測用部位の組合せに係る時間Tpが、許容値Ta以下であるか否かを判断する。ここで、許容値Taとは、時間Tp間に発生する被検眼Eの動きによる位置ズレ量の許容値に基づいて決定される時間である。例えば、位置ズレ量の許容値を30[μm]、被検眼Eの移動速度Vを3.0[mm/s]とした場合、許容値Taは、30[μm]÷3.0[mm/s]の計算により、10[msec]と求まる。この許容値Taは、時間Tpの設定によって異なる値となるものである。
ステップS1406の判断の結果、ステップS1405で選択した計測用部位の組合せに係る時間Tpが、許容値Ta以下である場合には(S1406/Yes)、ステップS1407へ進む。
ステップS1407に進むと、制御部118は、撮像スキャンの本数を算出する。
本例の3Dスキャンモードにおける走査シーケンスは、走査シーケンスFである。本ステップでは、ステップS1405で選択された計測用部位の組合せにおいて、走査シーケンスFの撮像スキャンの本数kを算出するものである。
(22)式は、撮像スキャンの本数kが1本である場合の時間Tpを求めるものである。そして、撮像スキャンの本数kが複数本であった場合の時間Tpは、以下の(24)式となる。なお、以下の(24)式において、走査線n番の撮像スキャンの走査終了位置から走査線(n+1)番の撮像スキャンの走査開始位置までに走査位置を移動させるのに要する時間Tsとする。
Figure 2015181789
本ステップでは、(24)式に示す時間Tpが許容値Ta以下である本数kの最大値を算出するものである。
例えば、時間Tmcを0.3[msec]、時間Tcを1.9[msec]、時間Tsを0.5[msec]とした場合、k=2では、時間Tpは4.6[msec]となる。また、k=3では、時間Tpは7.0[msec]となる。また、k=4では、時間Tpは9.4[msec]となる。そして、許容値Taが10[msec]である場合には、本数kの最大値は4と求まる。
続いて、ステップS1408において、制御部118は、走査シーケンスを設定する。制御部118は、例えば、画質を優先するモードの場合には、撮像位置のズレ量が最も少なくなる、つまり時間Tpが最小となる走査シーケンスを設定する。この場合、制御部118は、例えば、本数kが1本の走査シーケンスF、つまり走査シーケンスEを設定する。また、制御部118は、例えば、画像取得時間を優先するモードの場合には、本数kが最大となる走査シーケンスを設定すればよく、本例においては、本数kが4本の走査シーケンスFを設定する。また、複数の計測用部位の組合せを用いる場合には、走査シーケンスHに示したような走査シーケンスを設定する。
ステップS1408の処理が終了すると、図14に示すフローチャートの処理を終了する。
また、ステップS1406の判断の結果、ステップS1405で選択した計測用部位の組合せに係る時間Tpが、許容値Ta以下でない場合には(S1406/No)、ステップS1409へ進む。この場合は、ステップS1405において使用する計測用部位の組合せが1つという条件のもとで選択を行ったが、その組合せに係る時間Tpが許容値Ta以下とならなかった場合である。
ステップS1409に進むと、制御部118は、計測用部位の組合せを1つから複数(ここでは2つ)に増やし、2つの計測用部位の組合せを使用したときの時間Tpが許容値Ta以下となるような2つの計測用部位の組合せを選択する。
計測用部位の組合せiと計測用部位の組合せjの2つの計測用部位の組合せ(i,j)を使用した場合は、図12(e)に示す場合であり、走査シーケンスは、2つの移動量計測スキャンの走査線を使用する走査シーケンスHとなる。走査線nにおける時間Tp(n)は、計測用部位の組合せiの時間Tpi(n)、計測用部位の組合せjの時間Tpj(n)のいずれか小さい方の値となり、以下の(25)式に示すようになる。なお、以下の(25)式において、時間Tpi(n)及び時間Tpj(n)は、ステップS1404において既に求められているものである。
Figure 2015181789
本ステップでは、複数の計測用部位の組合せの中から、2つの計測用部位の組合せ(i,j)の全ての組合せにおいて、時間Tp(n)を求める。そして、ステップS1405と同様に、各走査線nの時間Tp(n)の中での最大値が、2つの計測用部位の組合せ(i,j)の中で最小となる2つの計測用部位の組合せを最適なものとして選択する。さらに、計測用部位の組合せの数を3つ或いは4つというように増やして、全ての組合せの中で最小となる計測用部位の組合せを選択してもよい。
続いて、ステップS1410において、制御部118は、ステップS1409で選択した計測用部位の組合せに係る時間Tpが、許容値Ta以下であるか否かを判断する。
ステップS1410の判断の結果、ステップS1409で選択した計測用部位の組合せに係る時間Tpが、許容値Ta以下である場合には(S1410/Yes)、ステップS1407へ進み、ステップS1407以降の処理を行う。
一方、ステップS1410の判断の結果、ステップS1409で選択した計測用部位の組合せに係る時間Tpが、許容値Ta以下でない場合には(S1410/No)、ステップS1411へ進む。
ステップS1411に進むと、制御部118は、ステップS1409で選択した計測用部位の組合せに係る時間Tpが、許容値Ta以下でない場合の処理を行う。時間Tpが許容値Ta以下とならないことにより、撮像位置のズレ量が許容値を超える可能性が高い。そのため、制御部118は、ユーザに対して、被検眼Eの動きが大きい場合には画質が低下する可能性がある旨の警告を表示部119に表示する。この場合、ユーザは、撮像条件を変更する、或いは、計測用部位の抽出からやり直してもよい。その後、制御部118は、例えば、許容値Ta以下ではないが時間Tpが最小となる計測用部位の組合せを選択して、ステップS1408へ進み、ステップS1408の処理を行う。
以上、説明したように、他のスキャンモードや他の走査シーケンスにおいても、同様な考え方により最適な計測用部位の組合せを選択して、走査シーケンスを設定することができる。
<画像取得と移動量計測の両方を兼用する場合の走査条件の設定方法について>
走査手段130による1つの走査が、画像取得と移動量計測の両方を兼用する場合の走査条件の設定方法について、図12(d)に示す3Dスキャンモードを例に説明する。
図12(d)の撮像条件は、図12(c)と同様であり、撮像エリアである領域1206の大きさが、5[mm]×5[mm]、解像度が、X方向128、Y方向100であるものとする。図12(d)に示す領域1206は、図12(c)に示す領域1205をY方向にシフトした位置となっている。
図12(d)に示す走査線1207は、画像取得と移動量計測の両方を兼用する走査線である。走査線1207のスキャンストロークは、図12(c)に示す移動量計測スキャンの走査線1201のスキャンストロークである7[mm]と、撮像スキャンの走査線「3」との2つの走査線を重ね合わせた長さを求めればよく、本例においては、8[mm]とする。
次いで、走査線1207のサンプリングピッチについて説明する。
撮像スキャンのサンプリングピッチPcは、上述した場合と同じく、約39[μm]とする。移動量計測スキャンのサンプリングピッチPmは、上述した場合と同じく、20[μm]とする。
制御部118は、走査線1207のサンプリングピッチPとして、Pc≧Pmの場合(即ち撮像スキャンのサンプリングピッチが移動量計測スキャンのサンプリングピッチ以上である場合)には、撮像スキャンのサンプリングピッチPcを整数で除した値で、移動量計測スキャンのサンプリングピッチ以下(Pm以下)の最大値を設定し、Pc<Pmの場合(即ち撮像スキャンのサンプリングピッチが移動量計測スキャンのサンプリングピッチ未満である場合)には、撮像スキャンのサンプリングピッチPcの値を設定する。本例においては、39[μm]を2で除した値、19.5[μm]を走査線1207のサンプリングピッチPとして設定する。
走査線1207のサンプリングピッチPの19.5[μm]は、移動量計測スキャンのサンプリングピッチPmよりも小さい値であり、血管位置の計測精度は達成される。
また、撮像データは2倍のサンプリング数で取得されるが、間引いたデータを画像データとして扱うものとする。
走査線1207のスキャン速度は、19.5[μm]×70[kHz]の計算により、1365[mm/sec]となる。また、走査線1207のスキャンに要する時間は、8[mm]÷1365[mm/sec]の計算により、約5.9[msec]となる。この場合、撮像スキャンの走査線「3」と移動量計測スキャンの走査線1201を順次スキャンした場合に要する時間と比較し、時間を短縮することができる。本例において、走査線「3」以外の撮像スキャンの走査条件は、図12(c)に示す例で上述した条件と同じである。また、撮像スキャンの走査線「3」と兼用しない移動量計測スキャンの走査線1201の走査条件は、ステップS1402で説明した条件と同じである。
<移動量計測スキャンの高速化について>
2つの計測用部位をスキャンする移動量計測スキャン中においても、被検眼Eの動きは発生する。そして、その被検眼Eの動きが計測誤差を引き起こすことになる。そのため、計測誤差を少なくするには、2つの計測用部位の位置計測の時間差を少なくすること、つまり高速化が重要になる。
ここでは、図10(c)に示す走査線1003を高速化する方法について説明する。
走査線1003のスキャンストローク1007が8[mm]であり、スキャン速度が一定速度である1400[mm/sec]でスキャンする場合、移動量計測に要する時間は、8[mm]÷1400[mm/sec]で約5.7[msec]となる。移動量計測スキャンにおいては、計測用部位の位置を計測できればよいため、計測用部位の周辺部においてのみサンプリングすれば十分である。
計測用部位の周辺部以外においては、サンプリングが不要であるため、より高速度でスキャンすることができる。サンプリング不要な長さを、より高速度でスキャンすることにより、2つの計測用部位の位置計測の時間差を少なくすることができる。計測用部位908のサンプリングする長さは、ストローク1004の長さであり、計測用部位911のサンプリングする長さは、ストローク1006の長さであり、サンプリング不要な長さは、ストローク1005の長さである。
ストローク1004の長さを2[mm]、ストローク1005及び1006の長さを3[mm]とし、ストローク1005の長さを例えば2倍のスキャン速度2800[mm/sec]でスキャンした場合の移動量計測時間を概算する。5[mm]÷1400[mm/sec]+3[mm]÷2800[mm/sec]の計算により、約4.7[msec]となり、約1[msec]の短縮となる。本例において、サンプリングする長さを計測用部位の長さにMyを加算した長さとしたが、計測用部位の位置は周期的に計測されているため、毎回のスキャンにおいてMyを加算した長さでのサンプリングは必要としない。この場合、計測用部位が、移動量計測周期の間に発生する被検眼Eの移動によって動く量のみを加算した長さを設定すればよい。
ある時点での計測用部位908の形状は、基準位置より移動したものであってF(x)であるとし、移動量計測周期の間に動く量を(Δx,Δy)とした場合に、図10(c)に示すストローク1004の長さST1は、以下の(26)式のようになる。
Figure 2015181789
このように、計測用部位の位置を計測する範囲を少なく設定することにより、高速化することができる。
第1の実施形態に係る眼科装置100によれば、画像を取得するために行われる複数の撮像スキャンの合間に移動量計測スキャンを行うようにしたので、装置の大型化を招くことなく、被検眼画像を取得することが可能となる。
さらに、第1の実施形態に係る眼科装置100によれば、各計測用部位の形状情報と各計測用部位の一部の位置関係を示す位置関係情報とに基づいて被検眼の移動量を算出するようにしたので、被検眼の移動量を計測する際の処理時間を短縮することができる。
なお、本実施形態では、撮像スキャンとして、OCT画像(断層画像)を記録するためにOCT装置による本撮影をするためのスキャンを適用した例について説明を行ったが、本発明における撮像スキャンはこれに限定されるものではなく、当該スキャン以外にも、例えば、コヒーレンスゲート調整等のためにOCT装置による断層動画像をプレビュー表示するためのスキャンを含むものである。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
<眼科装置の概略構成について>
図16は、本発明の第2の実施形態に係る眼科装置1600の概略構成の一例を示す模式図である。ここでは、本実施形態に係る眼科装置1600として、SLO装置を用いる。
図16において、レーザ光源1601は、制御部1609の制御に基づいて、レーザ光を出力する光源である。本実施形態においては、レーザ光源1601として、例えば、半導体レーザやSLD光源(Super Luminescent Diode)が好適に用いられる。レーザ光源1601から出力されるレーザ光は、被検眼Eの眼底観察として被検者の眩しさの軽減と分解能維持のために、その波長が700nm〜1000nmの近赤外の波長域が好適に用いられる。本実施形態においては、波長780nmの半導体レーザを用い、また、制御電圧により光量を変化させることもできる。
レーザ光源1601から出力されたレーザ光は、コリメータレンズ1602により平行ビームになり、中央に穴の開いた穴あきミラー1603の穴を通った後、SLO−Xスキャナ1604、SLO−Yスキャナ1605をそれぞれ通る。
SLO−Xスキャナ1604及びSLO−Yスキャナ1605としては、例えばガルバノスキャナを用いることができる。また、SLO−Xスキャナ1604及びSLO−Yスキャナ1605は、走査手段1620を構成し、制御部1609により制御可能に構成されている。
SLO−Xスキャナ1604及びSLO−Yスキャナ1605を通過したレーザ光は、その後、対物レンズ1606を通り、被検眼Eに入射する。以後、本実施形態における座標系は、眼軸方向をZ方向とし、被検眼Eの眼底に対し水平方向をX方向、垂直方向をY方向とする。
被検眼Eに入射したレーザ光は、フライングスポットと呼ばれるスポット状の形状を持つ照明光となって、被検眼Eの眼底に照射される。このレーザ光は、被検眼Eの眼底で反射或いは散乱され、同一光路をたどり、穴あきミラー1603まで戻る。そして、被検眼Eの眼底で反射或いは散乱されたレーザ光は、穴あきミラー1603によって反射され、レンズ1607を経由し、アバランシェ・フォトダイオード(以下、「APD」と称する)1608で受光される。
APD1608では、被検眼Eの眼底の点の反射散乱強度に比例した信号が得られ、このAPD1608で得られた信号は、制御部1609に送信される。さらに、制御部1609は、SLO−Xスキャナ1604やSLO−Yスキャナ1605を制御して、レーザ光を被検眼Eの眼底上にてラスタースキャンを行う。これにより、制御部1609は、被検眼Eの眼底の2次元画像(SLO画像:眼底画像)を生成することができる。また、制御部1609は、生成した眼底画像を表示部1610に表示することができる。
入力部1611は、検者が眼科装置1600を操作するための入力を行うためのものであり、制御部1609に接続されている。
<制御部1609の内部構成について>
次に、図17を用いて、制御部1609の内部構成について説明する。
図17は、図16に示す制御部1609の内部構成の一例を示す模式図である。
制御部1609は、図17に示すように、CPU201、部位位置計測部204、移動量算出部205、スキャナ制御部206、及び、SLO画像生成部1701を有して構成されている。図17において、図2に示す制御部118の内部構成と同様の機能の構成については、同じ符号を付している。
CPU201は、制御部1609による動作を統括的に制御する。
APD1608からの信号は、SLO画像生成部1701に入力される。
SLO画像生成部1701は、APD1608からの信号を処理してSLO画像(眼底画像)を生成する。SLO画像生成部1701で生成されたSLO画像は、CPU201において、表示部119に表示される。
部位位置計測部204は、SLO画像生成部1701により生成されたSLO画像に基づいて、被検眼Eの移動量計測に用いる部位(計測用部位)の位置を計測する。
移動量算出部205は、部位位置計測部204により計測された計測用部位の位置に基づいて、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)を算出する。移動量算出部205で算出された被検眼Eの移動量は、CPU201へ送信される。CPU201では、移動量算出部205で算出された被検眼Eの移動量に基づいて、SLOスキャンの走査位置を補正し、補正した走査位置をスキャナ制御部206へ指示する。
スキャナ制御部206は、SLOスキャンの走査位置が、CPU201により指示されたSLOスキャンの走査位置となるように、SLO−Xスキャナ1604及びSLO−Yスキャナ1605からなるSLOの走査系である走査手段1620を制御する。これにより、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)を加味した走査位置で、眼科装置1600はスキャンを行い、被検眼Eの眼底のSLO画像を取得することができる。
また、CPU201は、移動量算出部205で算出された被検眼Eの移動量に基づいて、撮像された画像の表示位置を補正することにより、位置ズレの少ない画像表示を行うことができる。
<計測用部位の位置を計測する方法について>
次に、部位位置計測部204において、被検眼Eの眼底のSLO画像から被検眼Eの移動量計測に用いる部位である計測用部位の位置を計測する方法について説明する。
ここで、眼底のSLO画像(眼底画像)は、第1の実施形態において説明した図4(a)に示す画像と同様の画像であるものとする。
図4(a)には、眼科装置1600の主走査方向(Y方向)の1つの走査線401が図示されているものとする。眼科装置1600では、この走査線401のように図4(a)の上から下へのY方向にスキャンを行うとともに、更に、図4(a)の右から左へのX方向に走査位置を少しずつ変更しながら、2次元領域全体をラスタースキャンするものである。眼科装置1600は、このラスタースキャンを行うことにより、被検眼Eの眼底全体のSLO画像を生成する。
また、図4(e)には、被検眼Eの眼底全体のSLO画像と、被検眼Eの移動量を計測するために最適な部位(被検眼Eの移動量計測に用いる部位:計測用部位)である血管部402及び血管部403、並びに、当該部位の位置を計測するための走査線413が示されているものとする。即ち、走査線413による走査が、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)を計測するためのスキャンである。本実施形態では、計測用部位の位置の計測は、第1の実施形態と同様の方法で求められる。
<移動量を算出する方法及びSLO画像を取得する方法について>
次に、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)を計測しながら、被検眼Eの眼底のSLO画像を取得する方法について説明する。
図19は、本発明の第2の実施形態を示し、被検眼Eの眼底のSLO画像(眼底画像)や、撮像エリア、画像を取得する際の走査線、移動量を計測する際の走査線等を示す図である。
図19(a)は、SLO画像の撮像エリア1901と、走査線1902及び走査線1903を示している。ここで、図19(a)に示す撮像エリア1901は、10[mm]×10[mm]とする。走査線1902は、撮像スキャンに用いられる走査線を示しており、走査線「1」から走査線「N」まで順に走査することにより、撮像エリア1901のSLO画像を取得することができる。走査線1903は、移動量計測スキャンに用いられる走査線を示しており、撮像スキャンの走査順「m」の走査線と走査順「m+1」の走査線との間に位置しているものとする。
図18は、本発明の第2の実施形態に係る眼科装置1600の制御方法において、SLO画像の取得方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS1801において、制御部1609のSLO画像生成部1701は、被検眼Eの眼底の撮像を開始して、眼底画像(SLO画像)を生成する。そして、制御部1609のCPU201は、SLO画像生成部1701で生成された被検眼Eの眼底画像を取得し、これを表示部1610に表示する。ここでは、上述したように、図4(a)に示す画像と同様の画像が取得されたものとする。
続いて、ステップS1802において、制御部1609(例えば部位位置計測部204)は、ステップS1801で取得された被検眼Eの眼底の眼底画像内から移動量計測に用いる部位である計測用部位を2つ抽出する。ここでは、第1の実施形態において説明した図3のステップS302或いは図8のステップS802と同様の方法によって計測用部位を抽出する。
続いて、ステップS1803において、制御部1609(例えば部位位置計測部204)は、ステップS1802で抽出された2つの計測用部位の形状情報を取得する。ここでは、第1の実施形態において説明した図3のステップS303或いは図8のステップS803と同様の方法によって形状情報を取得する。
続いて、ステップS1804において、制御部1609(例えば部位位置計測部204)は、ステップS1803で取得した各計測用部位の形状情報に基づいて、あるX位置における2つの計測用部位の距離(Y位置の差分)を求める。ここでは、第1の実施形態において説明した図3のステップS304或いは図8のステップS805と同様の方法によって計測用部位の距離を求める。
続いて、ステップS1805において、制御部1609(例えば部位位置計測部204)は、移動量計測(被検眼Eの動きの計測)のための走査手段1620によるスキャン位置を求める。ここでは、第1の実施形態において説明した図3のステップS305或いは図8のステップS806と同様の方法によってスキャン位置を求める。この際、移動量計測スキャンのスキャン位置を近傍の撮像スキャンのいずれかの走査線と同じ位置となるように、スキャン位置の調整可能範囲内で設定してもよい。
続いて、ステップS1806において、制御部1609は、走査手段1620を制御して、移動量計測(被検眼Eの動きの計測)のための移動量計測スキャンを行う。ここでは、図19(a)に示す走査線1903で移動量計測スキャンを1回行う。この時の計測位置が基準位置となり、以降、この基準位置からの移動量を被検眼Eの移動量として計測する。
続いて、ステップS1807において、制御部1609は、走査手段1620を制御して、撮像スキャンと移動量計測スキャンを行って、1フレームの眼底画像(SLO画像)を取得する。以下に、1フレームの眼底画像(SLO画像)を取得する走査シーケンスについて説明する。
まず、ステップS1807では、撮像スキャンの走査線「1」から走査線「m」までを走査する。次いで、走査線1903で移動量計測スキャンを1回行う。次いで、撮像スキャンの走査線「m+1」から走査線「N」までを走査する。これにより、1フレームの眼底画像(SLO画像)を取得することができる。
他の走査シーケンスとしては、撮像スキャンの走査線「1」から走査線「N」までを走査し、最後に、走査線1903で移動量計測スキャンを1回行うものであってもよい。
また、走査線1903と走査線「m」のスキャン位置が同じであった場合には、走査線1903のスキャンストロークを撮像スキャンと同じ長さとし、画像取得と移動量計測の両方を兼用するスキャンを行うことが可能である。兼用した際の信号処理は、画像取得の処理及び移動量計測の処理の両方を実行するように制御する。
また、走査線1903と走査線「m」のスキャン位置が同じ位置となるように互いの位置を調整してもよい。これにより、走査回数を減らし、画像取得時間を短縮することができる。
続いて、ステップS1808において、制御部1609の移動量算出部205は、ステップS1803で取得した2つの計測用部位の形状情報と、ステップS1807で得られた2つの計測用部位の位置関係情報(図19(a)の走査線1903での移動量計測スキャンで得られた情報等)に基づいて、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の基準位置からの移動量)を算出する。ここでは、第1の実施形態において説明した図3のステップS308と同様の方法によって被検眼Eの移動量を算出する。
続いて、ステップS1809において、制御部118(例えばCPU201)は、ステップS1808で算出した被検眼Eの移動量に基づいて、ステップS1807で取得した1フレームの眼底画像(SLO画像)の表示位置を補正する制御を行う。ここでは、ステップS1808で算出した被検眼Eの移動量であるX方向の移動量Δx及びY方向の移動量Δyに基づいて、ステップS1807で取得した1フレームの眼底画像(SLO画像)の表示位置を補正する。
図19(b)は、撮像エリア1901と表示エリア1904との位置関係を示しており、撮像エリア1901内の表示エリア1904に対応する部分の画像が表示部1610に表示される。本ステップでは、被検眼Eの移動量が(Δx,Δy)であった場合、ステップS1807で取得した1フレーム分の全ての画像データの座標(X,Y)を、座標(X−Δx,Y−Δy)へ変換することにより表示位置を補正する。
続いて、ステップS1810において、制御部118(例えばCPU201)は、図19(b)に示す表示エリア1904に対応する部分の眼底画像(SLO画像)を撮像画像として表示部1610に表示する。具体的に、本ステップでは、ステップS1809において補正された眼底画像(SLO画像)を撮像画像として表示部1610に表示する。
続いて、ステップS1811において、制御部118(例えばCPU201)は、被検眼Eの眼底の撮像が終了したか否かを判断する。ここで、本実施形態では、撮像の終了条件は、撮像回数が所定回数に達したか否か、或いは、検者から撮像の終了の入力があったか否かである。
ステップS1811の判断の結果、撮像が終了していない場合には(S1811/No)、ステップS1807に戻る。その後、再度、ステップS1807以降の処理が行われる。
一方、ステップS1811の判断の結果、撮像が終了した場合には(S1811/Yes)、ステップS1812に進む。
ステップS1812に進むと、制御部118(例えばスキャナ制御部206等)は、走査手段1620によるSLOスキャン停止する。
その後、図18に示すフローチャートの処理を終了する。
この図18に示すフローチャートの処理によれば、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)を計測し、当該移動量に基づいて撮像された画像の表示位置を補正することにより、位置ズレの少ない画像表示を行うことができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)を計測する他の方法として、2本の走査線を用いて計測用部位である血管部の位置を計測し、その計測した位置に基づいて被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)を計測する方法について説明する。
本実施形態では、第2の実施形態に係る眼科装置1600であるSLO装置を用いた場合について説明する。本実施形態に係る眼科装置は、図16に示す第2の実施形態に係る眼科装置1600と同様の構成からなり、また、本実施形態に係る眼科装置の制御部は、図17に示す第2の実施形態に係る眼科装置1600の制御部1609の内部構成と同様の内部構成を有する。
<移動量を算出する方法及びSLO画像を取得する方法について>
以下に、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)を計測しながら、被検眼Eの眼底のSLO画像を取得する方法について説明する。
本実施形態では、第2の実施形態と同様に、図19に示す撮像エリア1901の画像を取得するものとする。
図20は、本発明の第3の実施形態に係る眼科装置1600の制御方法において、SLO画像の取得方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS2001において、制御部1609のSLO画像生成部1701は、被検眼Eの眼底の撮像を開始して、眼底画像(SLO画像)を生成する。そして、制御部1609のCPU201は、SLO画像生成部1701で生成された被検眼Eの眼底画像を取得し、これを表示部1610に表示する。ここでは、図4(a)に示す画像と同様の画像が取得されたものとする。
続いて、ステップS2002において、制御部1609(例えば部位位置計測部204)は、ステップS2001で取得された被検眼Eの眼底の眼底画像内から移動量計測に用いる部位である計測用部位上に2つのスキャン位置を設定する。本ステップでは、例えば、検者が、表示部1610に表示された眼底画像を見ながら、その眼底画像上において計測用部位を抽出し、入力部1611を介して2つのスキャン位置を指定したことに基づき、当該2つのスキャン位置を設定するものである。
図21は、本発明の第3の実施形態を示し、図20に示すステップS2001〜S2005の処理の一例を説明するための図である。
図21(a)には、ステップS2001において表示部1610に表示された眼底画像2100が示されている。また、図21(a)の眼底画像2100上には、Y方向に平行な2本のライン2101及び2102が表示される。この2本のライン2101及び2102は、血管部402及び403の位置を計測するための走査線を示しており、それぞれ、L1及びL2とする。ここで、ラインL1(2101)の位置を「第1スキャン位置」とし、ラインL2(2102)の位置を「第2スキャン位置」とする。検者は、図21(a)のように表示された眼底画像2100を見ながら、ポインタ408を用いて、ラインL1(2101)とラインL2(2102)をX方向に移動させて、ラインL1(2101)とラインL2(2102)が2本の血管部402及び403と交差し、かつ、2本の血管部402及び403が平行となっていない位置をスキャン位置として指定する。この際、ラインL1(2101)とラインL2(2102)との間隔は、固定でよく、走査ビームの径がおよそ20[μm]であるので、一例として100[μm]程度に設定する。ここでは、検者がポインタ408を用いて2本のラインL1(2101)及びラインL2(2102)を移動する際には、ラインL1(2101)とラインL2(2102)との間隔を一定に保ちながら連動して移動するものとする。
続いて、ステップS2003において、制御部1609は、走査手段1620を制御して、移動量計測(被検眼Eの動きの計測)のための移動量計測スキャンを行い、基準位置を求める。この具体例を以下に示す。
検者が入力部1611を介して2つのスキャン位置を指定したのを受けて、制御部1609は、移動量計測(被検眼Eの動きの計測)を開始する。
まず、始めに、制御部1609は、走査手段1620を制御して、図21(a)に示すラインL1(2101)において、Y方向にスキャンを行う。ここで、ラインL1(2101)のX座標をX1とする。また、ラインL1(2101)と、2本の血管部402及び403の中心との交点を、それぞれ、A11及びA12とし、交点A11の座標(X1,Y11)、交点A12の座標(X1,Y12)が計測される。
引き続き、制御部1609は、走査手段1620を制御して、図21(a)に示すラインL2(2102)において、Y方向にスキャンを行う。ここで、ラインL2(2102)のX座標をX2とする。また、ラインL2(2102)と、2本の血管部402及び403の中心との交点を、それぞれ、A13及びA14とし、交点A13の座標(X2,Y13)、交点A14の座標(X2,Y14)が計測される。また、2本のラインL1(2101)及びラインL2(2102)と、2本の血管部402及び403の中心との交点である4つの交点A11〜A14の位置である(X1,Y11)、(X1,Y12)、(X2,Y13)及び(X2,Y14)を、「第1の血管位置」と呼ぶ。上述した第1スキャン位置及び第2スキャン位置、並びに、第1の血管位置は、トラッキングの基準位置となり、制御部1609に記憶される。
ここで、再び、図20の説明に戻る。
ステップS2003の処理が終了すると、ステップS2004に進む。
ステップS2004に進むと、制御部1609は、走査手段1620を制御して、移動量計測(被検眼Eの動きの計測)のための移動量計測スキャンを行う。
ここでは、まず、ステップS2003と同様に、ラインL1(2101)の位置、即ちX座標X1の位置において、Y方向にスキャンを行う。ステップS2003の処理を行った時からの時間経過の間に被検眼Eは移動しているため、血管部402及び403との交点位置は異なる。ここでは、ラインL1(2101)と、2本の血管部402及び403の中心との交点を、それぞれ、A21及びA22とし、交点A21の座標(X1,Y21)、交点A22の座標(X1,Y22)が計測される。
引き続き、ステップS2003と同様に、ラインL2(2102)の位置、即ちX座標X2の位置において、Y方向にスキャンを行う。ここでは、ラインL2(2102)と、2本の血管部402及び403の中心との交点を、それぞれ、A23及びA24とし、交点A23の座標(X2,Y23)、交点A24の座標(X2,Y24)が計測される。
また、2本のラインL1(2101)及びラインL2(2102)と、2本の血管部402及び403の中心との交点である4つの交点A21〜A24の位置である(X1,Y21)、(X1,Y22)、(X2,Y23)及び(X2,Y24)を、「第2の血管位置」と呼ぶ。
図21(b)は、第1の血管位置及び第2の血管位置の位置関係を示す図である。図21(b)に示す点線は、ステップS2003の時点での血管部402及び403の位置を示し、また、実線は、ステップS2004の時点での血管部402及び403の位置を示している。また、図21(b)において、線分A11A13の延長線と線分A12A14の延長線との交点をA15(X15,Y15)とし、線分A21A23の延長線と線分A22A24の延長線との交点をA25(X25,Y25)とする。即ち、図21(b)では、被検眼Eの動きによって、交点A15が交点A25へ移動したことを示している。
続いて、ステップS2005において、制御部1609の移動量算出部205は、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の基準位置からの移動量)を算出する。ここでは、ステップS2003において計測された第1の血管位置、及び、ステップS2004において計測された第2の血管位置に基づいて、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の基準位置からの移動量)を算出する。この移動量の算出方法について、以下に説明する。
走査手段1620によるスキャンレートを1[kHz]とした場合、ラインL1(2101)のスキャンを開始してからラインL2(2102)をスキャンし、そして、撮像スキャンを1回行うまでの時間は、3回の往復走査分になるので、6[msec]である。
即ち、トラッキングレートは、166[Hz]となる。
一方、被検眼Eの移動速度を3[mm/s]とした場合、トラッキングレート1周期中に、被検眼Eは、18[μm]程度動くことになる。本実施形態においては、ラインL1(2101)とラインL2(2102)との間隔が100[μm]と微少であることと、トラッキングレート間の被検眼Eの動き量が十分に小さいことから、血管部を直線と見なして、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)を算出する。
制御部1609の移動量算出部205は、図21(b)に示す交点A15の位置(X15,Y15)を、交点A11,A12,A13及びA14の座標を用いて、以下の(27)式、(28)式を用いて算出する。同様に、制御部1609の移動量算出部205は、図21(b)に示す交点A25の位置(X25,Y25)を、交点A21,A22,A23及びA24の座標を用いて、以下の(29)式、(30)式で算出する。
Figure 2015181789
そして、交点A15及び交点A25の座標により、X方向の移動量Δx及びY方向の移動量Δyは、それぞれ、以下の(31)式、及び、(32)式のように算出される。
Figure 2015181789
ステップS2006において、制御部118(例えばCPU201)は、ステップS2005で算出した被検眼Eの移動量(X方向の移動量Δx及びY方向の移動量Δy)に基づいて、撮像スキャン位置(SLOスキャン位置)を補正する制御を行う。図3のステップS309と同様に、X方向の移動量Δx及びY方向の移動量Δyが算出されたときは、制御部118(例えばCPU201)は、SLOスキャンの走査開始位置(Xs,Ys)を、走査開始位置(Xs+Δx,Ys+Δy)に補正する。
続いて、ステップS2007において、制御部118(例えばスキャナ制御部206等)は、ステップS2006で補正した撮像スキャン位置に基づいて、走査手段1620を制御して、撮像スキャン(SLOスキャン)を行う。ここでは、ステップS2006で補正された走査開始位置(Xs+Δx,Ys+Δy)から、撮像スキャン(SLOスキャン)を1回行い、画像を取得する。
続いて、ステップS2008において、制御部1609は、ステップS2005で算出された被検眼Eの移動量に基づいて、現在設定されている第1スキャン位置及び第2スキャン位置を変更する。この変更により、次回の移動量計測スキャンの第1スキャン位置及び第2スキャン位置が設定されることになる。ここでは、現在の移動量計測時のラインL1(2101)の第1スキャン位置及びラインL2(2102)の第2スキャン位置を、ステップS2005で算出された被検眼Eの移動量に基づいて、以下の(33)式、及び、(34)式に示すように変更する。
Figure 2015181789
つまり、本ステップでは、被検眼EのX方向に移動した移動量Δxだけ、第1スキャン位置及び第2スキャン位置を変更して、被検眼Eの動きに追従するようにするものである。ここでは、本ステップで変更されたラインL1(2101)のスキャン位置を「第3スキャン位置」とし、本ステップで変更されたラインL2(2102)のスキャン位置を「第4スキャン位置」とする。
続いて、ステップS2009において、制御部118(例えばCPU201)は、被検眼Eの眼底の撮像が終了したか否かを判断する。ここで、本実施形態では、撮像の終了条件は、撮像領域の全てをスキャンしたか否かである。
ステップS2009の判断の結果、撮像が終了していない場合には(S2009/No)、ステップS2004に戻る。ここで、ステップS2004に戻った場合の処理について説明する。
ステップS2004に戻ると、制御部1609は、走査手段1620を制御して、移動量計測(被検眼Eの動きの計測)のための移動量計測スキャンを再度行う。このときは、ステップS2008において新たに設定された第3スキャン位置及び第4スキャン位置において、Y方向にスキャンを行う。そして、前回のステップS2004と同様に、ラインL1(2101)及びラインL2(2102)と、血管部402及び403との4つの交点位置を計測する。そして、ここで計測した4つの交点位置を、「第3の血管位置」とする。
続いて、ステップS2005において、制御部1609の移動量算出部205は、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)を算出する。前回の移動量算出では、第1の血管位置及び第2の血管位置に基づいて算出したが、今回は、第1の血管位置及び第3の血管位置に基づいて算出する。この場合、(29)式〜(32)式において、第2の血管位置の交点座標を第3の血管位置の交点座標に置き換えて計算することにより、被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)を算出することができる。
以降、同様に、ステップS2006〜S2008の処理を実行する。また、ステップS2004〜S2008までの処理は、撮像が終了まで繰り返し行われるものである。
一方、ステップS2009の判断の結果、撮像が終了した場合には(S2009/Yes)、ステップS2010に進む。
ステップS2010に進むと、制御部118(例えばCPU201)は、取得した眼底画像(SLO画像)を撮像画像として表示部1610に表示する。
続いて、ステップS2011において、制御部118(例えばスキャナ制御部206等)は、走査手段1620によるSLOスキャンを停止する。
その後、図20に示すフローチャートの処理を終了する。
以上、説明したように、本実施形態では、移動量計測スキャンを行って被検眼Eの眼底の移動量を計測し、次いで、当該移動量に基づいて撮像スキャンのスキャン位置を補正し、次いで、補正したスキャン位置で撮像スキャンを行うということを繰り返して行う。これにより、位置ズレの少ない眼底画像を取得することができる。なお、本実施形態においては、ラインL1(2101)とラインL2(2102)の走査方向をY方向としているが、X方向とする構成においても同様な考えで実施できるものである。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
第4の実施形態は、第2の実施形態に係る眼科装置1600において被検眼Eの移動量(被検眼Eの眼底の移動量)を計測するための走査を行う走査手段1620の他の形態である。
第2の実施形態においては、走査手段1620によりフライングスポットと呼ばれるスポット状の照明光を走査するものであった。本実施形態では、例えば、走査手段1620として、ライン状の照明光を走査するL−SLOを適用するものである。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
第5の実施形態は、本発明に係る眼科装置として、前眼部撮像装置に適用する形態である。
図22は、本発明の第5の実施形態を示し、被検眼Eの前眼部の撮像画像を示す図である。
被検眼Eの前眼部における特徴的な部位(被検眼Eの移動量計測に用いる部位:計測用部位)としては、血管部、或いは、角膜輪部が適している。本実施形態において計測用部位として用いる角膜輪部2201は、その形状が、乳頭部と同様に円形状となっている。このため、第1象限と第3象限は単調減少となり、第2象限と第4象限は単調増加を示す場合が多く、角膜輪部2201は、被検眼Eの移動量を計測するための部位である計測用部位として適している。
また、図22には、角膜輪部2201上に、領域2202と領域2203を設定した様子を示している。本実施形態では、領域2202と領域2203にある角膜輪部2201の一部分を計測用部位として使用するものである。
図22において、走査線2204は、被検眼Eの移動量を計測するための移動量計測スキャンの走査線を示し、走査線2205は、画像取得のための撮像スキャンの走査線を示す。本実施形態では、例えば、第1の実施形態において説明したシングルラインスキャンモードと同様の走査シーケンスにより、被検眼Eの移動量を計測し、当該移動量に基づいて撮像スキャンのスキャン位置を補正し、補正したスキャン位置で撮像スキャンを行う。これにより、位置ズレの少ない被検眼Eの前眼部の撮像画像を取得することができる。
なお、上述した本発明の各実施形態において被検眼Eの移動量を計測する方法としては、1つの走査手段を用いた計測方法であればよく、上述した本発明の各実施形態で説明した内容に限定されるものではない。
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。
即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
このプログラム及び当該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、本発明に含まれる。
なお、上述した本発明の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
100 眼科装置、101 低コヒーレンス光源、102,104,108,113 光ファイバ、103 光カプラ、105,109,114 コリメータレンズ、106 ガラスブロック、107 参照ミラー、110 OCT−Xスキャナ、111 OCT−Yスキャナ、112 対物レンズ、115 回折格子、116 レンズ、117 1次元センサ、118 制御部、119 表示部、120 入力部、130 走査手段、E 被検眼

Claims (29)

  1. 被検眼に対して光を走査する走査手段と、
    前記被検眼を撮像するために行われる複数の撮像スキャンの合間に、前記被検眼の移動量を計測するための移動量計測スキャンを行うように、前記走査手段を制御する制御手段と、
    を有することを特徴とする眼科装置。
  2. 被検眼に対して光を走査する走査手段と、
    前記被検眼の移動量を計測するために行われる複数の移動量計測スキャンの合間に、前記被検眼を撮像するための撮像スキャンを行うように、前記走査手段を制御する制御手段と、
    を有することを特徴とする眼科装置。
  3. 前記移動量計測スキャンにおける走査線は、前記撮像スキャンにおける走査線と重複していないことを特徴とする請求項1または2に記載の眼科装置。
  4. 前記移動量計測スキャンにおける走査線は、前記撮像スキャンにおける走査線と重複していることを特徴とする請求項1または2に記載の眼科装置。
  5. 前記制御手段は、前記移動量計測スキャンを1回行うのに対して、前記撮像スキャンをある1つのスキャン位置において1回または複数回行うように、前記走査手段を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の眼科装置。
  6. 前記制御手段は、前記移動量計測スキャンを1回行うのに対して、前記撮像スキャンを異なる複数のスキャン位置において1回または複数回行うように、前記走査手段を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の眼科装置。
  7. 前記移動量計測スキャンによって得られた前記被検眼の移動量に基づいて、前記撮像スキャンのスキャン位置を補正する補正手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の眼科装置。
  8. 前記移動量計測スキャンによって得られた前記被検眼の移動量に基づいて、取得された画像の位置座標を補正して、画像を再構成する補正手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の眼科装置。
  9. 前記移動量計測スキャンによって得られた前記被検眼の移動量に基づいて、取得された画像を表示部に表示する際の表示位置を補正する補正手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の眼科装置。
  10. 前記移動量計測スキャンのスキャン位置が複数あることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の眼科装置。
  11. 前記複数のスキャン位置を続けてスキャンすることを特徴とする請求項10に記載の眼科装置。
  12. 前記被検眼を撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段による撮像により得られた画像の画像内から、前記被検眼の移動量の計測に用いる複数の計測用部位を抽出し、当該複数の計測用部位の位置を計測する計測手段と、
    前記計測手段により計測された複数の計測用部位の位置を前記移動量計測スキャンを行って、前記被検眼の移動量を算出する算出手段と、
    を更に有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の眼科装置。
  13. 前記計測手段は、前記移動量計測スキャンに要する時間、前記撮像スキャンに要する時間、前記移動量計測スキャンの終了から前記撮像スキャンの開始までに要する時間、前記撮像スキャンの終了から前記移動量計測スキャンの開始までに要する時間のうちの少なくとも1つに基づいて、前記複数の計測用部位を抽出することを特徴とする請求項12に記載の眼科装置。
  14. 前記制御手段は、前記移動量計測スキャンの終了から前記撮像スキャンの開始までに要する時間が最短となるように、前記撮像スキャンおよび前記移動量計測スキャンのスキャン方向を設定することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の眼科装置。
  15. 前記制御手段は、前記撮像スキャンの終了から前記移動量計測スキャンの開始までに要する時間が最短となるように、前記撮像スキャンおよび前記移動量計測スキャンのスキャン方向を設定することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の眼科装置。
  16. 前記制御手段は、前記移動量計測スキャンと前記撮像スキャンとを1回ずつ交互に行うように、前記走査手段を制御することを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の眼科装置。
  17. 前記制御手段は、前記移動量計測スキャンと複数の前記撮像スキャンとを交互に行うように、前記走査手段を制御することを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の眼科装置。
  18. 前記制御手段は、前記移動量計測スキャンにおける走査線が前記撮像スキャンにおける走査線と重複している場合、当該走査線のサンプリングピッチとして、前記撮像スキャンのサンプリングピッチが前記移動量計測スキャンのサンプリングピッチ以上である場合には、前記撮像スキャンのサンプリングピッチを整数で除した値で、前記移動量計測スキャンのサンプリングピッチ以下の最大値を設定し、また、前記撮像スキャンのサンプリングピッチが前記移動量計測スキャンのサンプリングピッチ未満である場合には、前記撮像スキャンのサンプリングピッチの値を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の眼科装置。
  19. 前記制御手段は、前記撮像スキャンおよび前記移動量計測スキャンの走査条件として、それぞれのスキャンのスキャンストローク、サンプリングピッチ、スキャン速度、スキャン方向およびスキャン位置のうちの少なくとも1つを個別に設定することを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の眼科装置。
  20. 前記移動量計測スキャンにおいて、前記計測用部位の周辺部のみをサンプリングすることを特徴とする請求項12または13に記載の眼科装置。
  21. 前記移動量計測スキャンにおいて、前記計測用部位の周辺部と前記計測用部位の周辺部以外とでスキャン速度を変えることを特徴とする請求項12または13に記載の眼科装置。
  22. 前記走査手段は、OCTの走査系であることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか1項に記載の眼科装置。
  23. 前記走査手段は、SLOの走査系であることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか1項に記載の眼科装置。
  24. 前記被検眼の画像は、前記被検眼の前眼部に係る画像であることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか1項に記載の眼科装置。
  25. 前記複数の計測用部位における各計測用部位の形状情報を取得する形状情報取得手段と、
    前記走査手段により、前記複数の計測用部位を少なくとも1回、前記移動量計測スキャンして、前記各計測用部位の一部の位置関係を示す位置関係情報を取得する位置関係情報取得手段と、
    を更に有し、
    前記算出手段は、前記形状情報取得手段で取得された形状情報と前記位置関係情報取得手段で取得された位置関係情報とに基づいて、前記被検眼の移動量を算出することを特徴とする請求項12に記載の眼科装置。
  26. 前記計測手段は、前記計測用部位として前記被検眼の血管部を抽出するものであり、
    前記算出手段は、前記走査手段により、複数の前記血管部を2つのスキャン位置で前記移動量計測スキャンして得られた第1の血管位置と、前記第1の血管位置を得た時間と異なる時間において前記複数の血管部を前記2つのスキャン位置で前記移動量計測スキャンして得られた第2の血管位置とに基づいて、前記被検眼の移動量を算出することを特徴とする請求項12に記載の眼科装置。
  27. 被検眼に対して光を走査する走査手段を備える眼科装置の制御方法であって、
    前記被検眼を撮像するために行われる複数の撮像スキャンの合間に、前記被検眼の移動量を計測するための移動量計測スキャンを行うように、前記走査手段を制御する制御ステップを有することを特徴とする眼科装置の制御方法。
  28. 被検眼に対して光を走査する走査手段を備える眼科装置の制御方法であって、
    前記被検眼の移動量を計測するために行われる複数の移動量計測スキャンの合間に、前記被検眼を撮像するための撮像スキャンを行うように、前記走査手段を制御する制御ステップを有することを特徴とする眼科装置の制御方法。
  29. 請求項27または28に記載の眼科装置の制御方法のステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
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