本発明は,好適な利用法として特に国土安全保障の分野において,化学,生化学,医学及び/又は物理学の反応,結合及び/又は凝固の過程,及びほかの相互作用の検出のために,薄膜層における強度を測定することによって光学特性を決定する方法及び装置に関する。
光学薄膜層厚みを変化させることによって,少なくとも部分的には光学的に透明な材料でできた薄膜層における,反応,結合及び凝固の過程,並びにほかの形態の相互作用のような,物理学,化学,生化学又は生物学的な過程を測定できることが知られている。このため,少なくとも一つの特定の選択された波長の光が検査すべき標本に照射され,薄膜層に結合する。例えば,検査すべき物質が,適切な前処理を行った薄膜層と反応することによって生じる光学薄膜層厚みの変化を測定するために,干渉現象が用いられる。この測定は,蛍光標識のような適切な標識を利用して行うことができる。しかし近年は,標識なし,かつ時間的及び空間的に分解して測定を行うこともできる。
照射された光に関しては,単一波長又は複数の,スペクトラムが離れている,それぞれ別個の波長のいずれかが検査すべき薄膜層に照射され,測定される。
光学薄膜層厚みの変化は,干渉極値のスペクトル上の位置及びその相互の間隔によって計算される。目的は,干渉パターンの偏移を観測することである。光学薄膜層厚みはまた,1又は複数の波長における強度の変化によって測定できる。このため,先行技術においては,光の強度に最大の変化を生じさせるであろう最適な波長が選ばれた。
国際公開第2008/067528 A2 D1号は,干渉法の原理に基づく,分子レベルのいわゆる「撮像システム」を開示している。ここで,標本内の分析物は測定アセンブリを用いて測定され,測定アセンブリは,光源と,照射された光が良好な空間解像度で捕捉され,表示されるように多数の撮像素子を有する画素配列検出器PADの形態の,画像を捕捉するための検出器とを備える。バイオレイヤは,検査すべき標本がバイオレイヤと接触したとき,特定すべき分析物と反応する。バイオレイヤは位相変調を強度変調に変換できる基板に固定され,それによって強度変調が記録され,画素配列を介して直接表示できるようになる。さらに参照面が提供される。まずバイオレイヤが照射され,バイオレイヤから反射した光が画素配列に転送されて,標本の画像が生成される。鏡であってもよい,いわゆる画像切替ユニットを用いて最初に光がバイオレイヤに照射され,次に照射された光が参照面に案内される。これ伴って,鏡が移動する。参照面から反射した光もまた転送され,参照画像として撮像される。計算機評価ユニットを用いて,標本の画像と参照画像とが重畳される。鏡の代わりに高速回転ディスク又は偏光ビームスプリッタを用いて,バイオレイヤ及び参照層の交互照射を行うこともできる。
欧州特許出願公開第0598341 A1号は,気体成分及び液体成分の測定のための1又は複数の感知器を開示している。光学感知器はそれぞれ,測定すべき分子と反応する薄膜を有する。測定は,干渉によって増強された反射光を介して行われる。この測定の基礎は,薄膜の層厚みの変化及び/又は屈折率の変化である。反射された光の強度の変化が,測定のパラメータとして用いられる。複数のこのような感知器が用いられるときは,それらは種々の別個の化合物を記録するためのものである。
この既知の方法は,薄膜層に照射される光の強度変化に非常に敏感である。以前使用されたすべての方法の欠点は,システム技術の基礎が強度に非常に依存していることを特徴とする。既知の方法の測定結果は薄膜層の領域における強度測定に直接依存し,薄膜層の厚みの変化は少なくとも部分的には標本との相互作用によって生じる。ここで強度の非常に小さい変化だけを測定しなければならないため,強度の測定は光源の輝度に変化によってゆがめられることがある。したがって,入射光の領域における強度変動は,測定結果の品質に直接影響を与える。
均一な強度の分布が得られないことは,少なくとも,いわゆる多穴(マルチウェル)プレートを用いて実行される測定については,光源の輝度の参照測定値に不利な効果をもたらす。したがって,例えば96個のフロアを有する標準多穴プレートについては,多穴プレート,特に多穴プレートの96個のフロアを適切に照射するために、大きなレンズと組み合わせた大きな共通光源が用いられた。ここで,光の品質は,光源が発する光野の中央部分においてだけ十分であることが分かった。したがって,これらの測定方法の感度及び信頼性は依然として不適当であり,本方法を実際に用いることを複雑にしている。
基本的に,このような干渉測定を行うための測定の構成は,高圧キセノンランプ又はLED(発光ダイオード又はスーパルミネセントダイオード)のいずれかであってよい光源と,平面キャリアと,特別に活性化され前処理され,光学薄膜層厚みの変化が測定された一つの表面と,検出器と,評価装置と,からなる。
ほかの開示に加えて,国際公開第2006/131225A号から先行技術の技法を知ることができ,同文献には干渉測定を行うための平面キャリアの準備が詳細に記載されている。
標本上及び/又は標本内の物理学,化学及び/又は生化学の反応及び相互作用に関係して、先行技術において既知の別の技法に言及するが,その技法においては,標本がキャリアプレート上にキャリア層を有する基板プレート上に平面状に配置される。標本は,可変周波数光源からの種々の異なる波長の光で照射されるか,後に走査単色計が取り付けられた多色光源が使用される。このように,光の照射は常に,一度に一つの波長で順に行われる。
各標本の少なくとも一つの境界層表面から到来する反射ビームの一部,又は光の方向に前後に配列された境界層表面から反射し,互いに干渉するビーム又は干渉光の一部が,空間解像平面検出器配列又はビデオカメラ内の光学素子によって表示される。特に,国際公開第97/40366A号は,CCD素子の形態の複数の離散光電受光器であって,行列状パターンに配置されて空間解像平面検出器配列を提供する受光器を含む装置を開示している。
この先行技術は,標本によって影響される撮像された干渉効果の反射照射強度又は強度の選択的波長検出を常に伴う。すなわち,各標本に割り当てられた波長のスペクトラムの検出,及び調査すべき相互作用及び反応を特徴付けるパラメータの結果の導出が,波長ごとに別個かつ成功裏に実行される。このことは,評価に多大な作業を要し,それに伴って所望のパラメータを導出するために多くの時間を要する。
標本の関係する波長スペクトラムの検出と,調査すべき相互作用及び反応を特徴付けるパラメータの結果の導出とが波長ごとに別個かつ成功裏に行われるすべての測定の構成は,薄膜層の厚みの変化と,基になる濃度レベルとを計算するために,多くの計算作業を必要とする点で共通する。計算の複雑度は多くの計算時間と関係し,分析すべき多くの標本についての実時間の評価が同時に非常に要求が厳しいか,実際にはもはや技術的に可能ではないものにする。
自動化された測定を可能にし,定型的な測定に適した測定手続における光学特性のより正確な測定を組み合わせたより高速な評価を達成するために,PCT出願公開第PCT/EP2010/002752号は修正した方法及び対応する測定装置を提案している。この方法においては,各標本と関係する波長スペクトラムの測定と,調査すべき相互作用及び反応を特徴付けるパラメータの結果の導出とが,波長ごとに別個かつ成功裏には行われない。その代わりに,狭帯域スペクトラムの光が標本に照射され,また全体としてそれなりに評価される。標本によって影響を受けた反射照射強度又は撮像された干渉パターンの強度の検出は,したがって波長の帯域を用いて行われる。これはまた,各標本と関係する波長スペクトラムの直接の検出が,唯一つの波長によっては行われないことも意味する。その代わり,ある波長における光学的振舞についての情報を呼び出すことができるように,少なくとも一つの参照テーブルと組み合わせることによってすべてのデータが利用可能であり,評価は実際には照射された狭帯域スペクトラムに基づいて行うことができる。このようにして上記PCT出願において開示された方法は,薄膜層における光学特性を迅速かつ正確に測定することができ,自動化された測定を可能にし,したがって定型的利用にも適している。しかし,PCT出願公開第PCT/EP2010/002752号によれば,これは特別な測定構成を用いてだけ達成され,当該構成は薄膜層を含むキャリア上に照射される光の種類に依存する。したがって,PCT出願公開第PCT/EP2010/002752号によれば,光は直接キャリアに照射しなければならない。この直接照射のため,参照として用いるために照射光のいくらかを曲げるためにビームスプリッタを用いることができない。
したがって,本発明はこの先行技術から出発して,PCT出願公開第PCT/EP2010/002752号に呈示された方法及び装置を更に発展させ,迅速かつ自動化された測定,したがって定型的な利用を可能にし,光照射の設計が,必要とされる制約的な手段でキャリアプレートに直接照射される光に依存しないことを保証することを基本的な目的とする。
この目的は,薄膜層における強度を測定することによって光学特性を決定する方法によって達成される。この方法においては,1を超える波長を含む光が,結合素子を介して同時に薄膜層に照射され,薄膜層は少なくとも部分的に透明なキャリアに前もって塗布されている。ここで,光は狭波長範囲の形態で照射してもよいし,広波長範囲の光を照射し,フィルタを配置することによって所望の狭波長範囲に狭めてもよい。このようにして狭波長範囲に狭められた光は,まずビームスプリッタを通過し,ビームスプリッタが光の一部を薄膜層に向け,光の更なる部分を高解像度参照検出器に向け,高解像度参照検出器は所与の瞬間ごとに入射光の強度を測定する。少なくとも一つの薄膜層における干渉効果は,高解像度検出器によって狭波長範囲全体にわたって同時に記録され,検出器及び参照検出器によって記録された信号は評価ユニットに転送され,評価ユニットは,照射光の強度によらず,薄膜層上の画像点ごとの反射及び/又は透過を測定する。評価ユニットは,狭波長範囲の波長ごとに検出器及び参照検出器から受信した信号のすべての指数を同時に生成し,一方,評価ユニットに記憶された少なくとも一つのデータベースを用いて比較することによって,光学特性の質的及び/又は量的測定のために各測定画像点における光学層の厚みとこれらの指数との相関を取ることによって,上記の測定を行う。上記のデータベースは,各測定結果を量的結果と対応付けるために,すべてのデータ,特に較正テーブルの形態のデータを含み,それによって階調値分析及び階調値変更として少なくとも一つのデータベースに記憶された変換係数によって光学層の厚みが得られる。
したがって,本発明のこの方法において,相対強度と,したがって画像点,すなわち高解像度で撮像された薄膜層の画素ごとの反射係数とが,高解像度検出器及び類似の高解像度参照検出器によって取得される。ここで,薄膜層における強度を測定することによって光学特性を決定して初めて,光学薄膜層厚みの変化が,階調値分析によって正確かつ迅速に検出される。
ここで言う階調値分析は,広義の表面試験手続を意味するものとし,(画素当たりの)画像の階調値が測定され,所望の値と比較される。この所望の値は参照測定値から導出されるか,及び/又はデータベースに記憶されている。
この分析分野における階調値分の利用は,CCDカメラの各画素が薄膜層上の領域,すなわち,対応する試験に使用される場所に相関があるという原理に基づいている。
それぞれの特定の光学薄膜層厚みから,分析物の濃度を測定し,必要であれば,参照領域の補正値を用いて修正することができる。これは,速いばかりでなく非常に正確な測定方法となる。
別の好適な実施形態によって,測定された濃度値を更に参照濃度領域と比較したとき,これによって診断結果を導き出すことができる。
決定された測定値に加えて,すべての残りの必要なデータが,データベース,参照テーブル又は較正テーブルに記憶される。
ここで,反射係数は入射光波の振幅と反射光波の振幅との比として測定され,参照検出器は単に現在の照明強度を測定するに過ぎず,したがって,照射光の強度の変動を平均することができ,このようにして薄膜層の厚みを測定するときに得られた値は入射光強度とは独立になる。
反射光又は透過光の振幅と入射光波の振幅との比は,マックスウェルの方程式から導出されるフレネルの公式を用いて対応する反射係数又は透過係数から決定することができる。反射係数Rは反射エネルギと入射エネルギとの比に基づいており,透過係数Tは透過エネルギと入射エネルギとの比に基づいている。これらの原理は周知であるが,光学薄膜層厚みを測定するためにこれを応用することは知られていない。
このようにして,1,2又はそれを超える重畳波の強度を測定することができる。
評価ユニットは比較器と,少なくとも一つの参照テーブルの形態である関連データベースとを備えてもよく,階調値分析のための変換係数は参照テーブルに記憶される。決定された測定値に加えて,階調値分析と,適切であれば参照濃度領域との比較とを実行するために必要な残りのデータ及びほかのパラメータはすべて,参照テーブルに記憶することができる。
このようにして,測定された濃度は,例えば参照領域の補正値と照合して,補正することができる。
デジタル信号を処理する比較器は一般に知られているが,極めて異なる応用に関してである。
例えば,発光ダイオードからの既に狭帯域の光を照射してもよいし,広波長範囲の光を照射して,フィルタ装置によって所望の狭帯域波長範囲に狭めてもよい。
狭帯域波長範囲は,測定値に関して想定される強度の最大値及び最小値双方を有する波長を含むように選んでもよい。
測定値から決定される所望のパラメータは,検出された光強度の変化から導出される。この目的で,例えば狭帯域波長範囲の少なくとも二つの波長において測定を行うときは,本発明によって,想定される強度の最大値及び強度の最小値双方を含む波長を選択してもよい。これは,従来知られている反射干渉分光法の原理とは対照的に,実際には何も生じない波長においても測定を行うことができることを意味する。決定すべきパラメータは,強度の最大値を生じるか,又は少なくとも生じると想定される波長との相対比較によって得ることができる。
本発明において,狭帯域波長範囲という用語は,狭帯域発光ダイオードに固有の波長範囲を指すものとする。先行技術において,発光ダイオード(LED)は設計されたとおりの狭い限定された波長帯で常に発光することは周知の事項である。発光ダイオードに関しては,スペクトラム半値幅は通常20〜35nmの間である。この半値幅は本発明のための許容範囲としても用いられる。
さらに,キャリア上の薄膜層は全面に塗布してもよいし,いくつかの部分領域,すなわち多スポット(マルチスポット)に塗布してもよいし,又は,光学特性を決定する本発明の原理から逸脱し,又は著しく変更することなく,プレートの各穴に薄膜層を有する多穴プレートを用いてもよい。
少なくとも部分的に透明なキャリア上に配置された細分化された薄膜層(多スポット)において強度を測定することによって光学特性を決定するために,狭波長範囲の光が薄膜層領域の少なくとも一部に照射される。この薄膜層領域,すなわちスポットはそれぞれ,少なくとも二つの境界面を有し,境界面において波動場が重複して重畳場を形成し,それによってこれらの薄膜層領域それぞれにおいて干渉を測定し,検出器に転送することができる。
CCDカメラのような高解像度検出器が使用されるため,測定はそれぞれ一般に空間時間分解して実行される。
この多スポット法を用いたとき,領域はデータベースに入力してもよいし,特定スポットと参照範囲とを対応付けることができる参照テーブルに入力してもよい。
ここで,上記の階調値の変化は分析物の濃度に対応し,追加の記憶された較正と組み合わせることができる。そして領域は,あるスポットと参照範囲との対応付けを可能にするデータベース又は参照テーブルに入力し,指定することができる。そしてこれは,濃度を非常に正確に計算し,参照濃度と比較することによって信頼できる診断文を作成できるようにする。
薄膜層は反応的要素を有してもよい。反応的要素は例えば,抗体のような種々の生体分子であってよく,例えば抗原であってよい試験すべき標本内の対応する種と反応する。マイクロタイタプレート,又はスライドのような多スポット法を用いて反応的要素を取り付けた平面キャリアを用いたときは,いくつかの異なる反応的要素を提供できる。光学薄膜層厚みは,それぞれの反応的要素と対応する,試験すべき標本の種が堆積したとき,変化する。
基本的に,反応的要素を含む薄膜層を有する上述のキャリアのうち一つに光が照射されたとき,入射光野は,本願の測定原理が本質的に基づいている干渉効果を生じる重畳場を発生させる。ここで,境界面は,薄膜層又は薄膜層の領域に沿って,平面キャリア上又はマイクロタイタプレートの穴のいずれかに,キャリアに向かう方向かつキャリアから離れる方向を向いた境界に形成される。そして,重複する波動場は重畳場を生じさせ,重畳場は検出器に転送される。キャリア自体はここでは重要ではなく,少なくとも部分的に透明であれば,所望のとおり選択してもよい。
得られる反射光野及び透過光野双方の強度は,薄膜層の厚みに依存する。ほかにも,例えば薄膜層の屈折率など,結果を生じることにかかわる追加の要因がある。
本発明における反応性要素はまた,任意の種類のナノ粒子であってもよく,この新規な測定法は一般に境界面に適用される測定法である。関心量は境界面間の距離に減じられる。
この利用の拡張は,光強度に対する測定結果の依存性が指数を形成することによって除去されるため可能になる。
光が少なくとも部分的に透明なキャリアに照射されるとき,特定の光強度の光源が必要になる。この光強度を測定することが重要であり,測定は参照検出器を用いて行われる。また,キャリア上の薄膜層からの少なくとも一つの反射又は透過重畳波の強度を測定することも重要である。ここで,指数が評価ユニットにおいて比較器を用いてこれら二つの値から形成されたとき,反射係数又は透過係数が上記において一般的方法で簡略に説明したとおりに得られ,したがって実際に処理される測定信号が得られる。ここでこの測定信号が評価ユニットに記憶された少なくとも一つのデータベースと相関がとられ,測定結果のこの割当又はすべての測定結果が所望の量的結果につながる。このためにデータベースは評価に必須のすべてのデータを,特に較正テーブルの形態で含む。
反射係数又は透過係数の測定に基づく本発明の測定法は,測定結果の評価を速くすることができる。ここで,補償のために必要なデータは,普通,参照テーブルとも呼ばれる較正テーブルに記憶してもよい。
本発明の参照テーブルは,計算機媒体を用いて用意され,記憶されるデータ構造体又はデータベースを指す。これは,反射又は透過のテーブルの形態で前もって用意された指数決定を用いて,測定値を迅速に決定し,照合することができるようにする。さらに,評価に必要又は有用なほかのデータが参照テーブルの形態で記憶される。これはまた,使用されるランプの特定の波長の既知の強度分布も含む。最後に,標本と,薄膜層と,キャリアと,使用される波長それぞれの照射光とに関する評価用のすべての情報が参照テーブル又はデータベースに記憶され,取得の準備ができる。このような参照テーブルが提供する一つの利点は迅速な照会であり,これは特に定型の試験に必要である。
実にこれはまた,平面キャリア上又は例えば指定されたパターンを有する多穴プレートのフロア上の反応性要素の種々の配置又は複数の配置に関して,反射係数又は透過係数が反応性要素の個別領域ごとに指定でき,それによって反射係数又は透過係数が反応性要素の各領域と関係付けられることを保証する点で特に好ましい。入射光の強度,したがって入射光野の強度の変動の効果が,重畳波の反射性又は透過性の重要な変化だけを選んで除去されるため,従来は測定品質に不利な影響を与えていた光源の強度変動によって生じる雑音が避けられる。今や,先行技術において従来可能であったより何段階もよい解像度を得ることが可能になった。
先行技術においては単一波長又はいくつかの個別の波長の光を評価することが必要であり,単一波長ごとに評価を個別に行う必要があったが,本発明を用いることによって,狭帯域波長スペクトラムの光をキャリア上に照射し,同時に評価できるようになった。
本発明の方法は標識なしで実行される。すなわち,蛍光標識のような標識を必要としない。
本発明の方法の特定の実施形態によれば,光学特性は,少なくとも部分的に透明なキャリア上に配置されたいくつかの部分領域に分割された薄膜層上の強度を測定することによって測定される。このような部分領域は多スポットとして知られている。ここで少なくとも一つの狭波長領域の光が部分薄膜層領域の少なくとも一部に照射される。これらの部分薄膜層領域はそれぞれ,少なくとも二つの境界面を有し,境界面では波動場が重畳して重畳場を生成している。このようにして,薄膜層領域のそれぞれにおいて,干渉効果が少なくとも一つの対応する重畳波の相対強度として測定され,それぞれ少なくとも一つの検出器に伝達される。さらに,空間的入射光の強度もまた,これらの被覆された部分領域又は多スポットの少なくとも一部で,この部分領域と特に関係する強度感知器によって最初に測定される。
本発明はまた,1を超える波長の光を発光する少なくとも一つの光源と,少なくとも一つのの光学結合素子と,少なくとも部分的に透明なキャリアであって,該キャリアの全面又は一部を覆う光学特性を決定するための薄膜層を有するキャリアと,光源から薄膜層へ光を照射し,光の一部をそのまま高解像度検出器に向け,また必要であれば検査すべき標本によって変更できる多重反射によって薄膜層から反射された光を向ける少なくとも一つの光学媒体と,検出器及び参照検出器の後にあり,対応する変換係数と相関を取ることによって所望の光学特性を決定するために,測定された値を従来既知のデータと比較するためのデータベースと階調値分析を適用するための分布関数とを含む評価ユニットとを用いて,薄膜層における強度を測定することによって光学特性を決定する装置にも関する。
このような階調値分析は基本的に既に知られているが,分光学的手続の際又は薄膜層における強度を測定することによって光学特性を決定する際に階調値分析を用いることは従来不可能であった。本発明によって今やこれが可能になったため,測定及び評価は著しく速くなり,薄膜層において強度を測定することによって光学特性を決定するための信頼できる実用的な応用が初めて提供される。
このため,標準化された階調値相関として,階調値相関分析が絶対品質標準を決定するために利用できる。
階調値相関は階調値相関による画像分析として画素及び格子評価を可能にし,したがって無接触の平面決定を可能にする。
ここで,ビットマップを用いた比較に言及する。これは,記録された画像が前に撮影され,一種のデータベースに記録されている参照画像と総合され,そして,例えばベクトル比較を用い,また,明暗遷移(コントラストレベル)を用いて,値を指定することができるものである。
ヒストグラム分析が関心点であり,ヒストグラム分析では画像又は画像範囲の階調値ヒストグラムが計算され,階調値分布が決定され,診断文のような所望のパラメータが参照測定による(記憶された)事前情報との比較によって決定される。
このようにして,例えば,画像及び画像範囲の種々のヒストグラムが計算され,正確に事前決定され,記憶されたパラメータによって規定される以前の情報を参照して評価される。
例えば,反射干渉分光法(RIfS)の分野における測定アセンブリを含む,光学特性を決定するための従来の測定構成とは異なり,本発明の装置は妨害反射を防止するために,先行技術において使用されていた種類の結合プリズム又は光学結合液体を必要としない。また,本発明の測定原理は単色計に使用も必要としない。その代り,測定及び評価の基礎として1を超える波長を用いることが特に重要である。これは,平行ビームを発生するためのコリメータと,少なくとも一つの狭波長範囲の光を薄膜層に向ける役割をする,測定ビームの経路にあるほかの光学結合素子とを排除しない。
この点について,実施可能な実施形態として,例えば国際公開第97/40366A号に開示されているくさび状キャリアプレート,又は光のプリズム結合器を使用する必要がないことに言及しておく。
本発明の装置は,狭波長範囲内の相対強度を測定し,この相対強度に基づいて薄膜層の相対層厚みを推測することを可能にし,薄膜層の厚みは試験すべき標本の種と相互作用させることによって変えてもよい。ここで,上記の相互作用のために特に用意された薄膜層はまた,試験すべき標本の全面で反応するのではなく,選択された部分領域においてだけで反応するように用意してもよいことに留意されたい。さらに,薄膜層の特定の部分領域は別の標本準備をしてもよく,それによって標本内の種々の種の分析が可能になる。
一般に,反射干渉分光法の分野において用いられるようなキャリアの準備は,特許及び技術文献に広く記載されており,したがって,専門家には既知である。ここでそれらの特許及び技術文献の全体を参照する。
一つの実施例においては,好ましくは高出力発光ダイオード又はレーザダイオードである大表面積光源を用いてもよく,この光源は狭帯域波長範囲を選択するために少なくとも一つの波長フィルタと対を成す。これによって空間的に記録された強度の迅速な測定が可能になる。
上記の少なくとも一つの光源は,薄膜層を有するキャリアと直接接続されないことが好ましい。これによってキャリアと共に光源を廃棄する必要がなくなる。検出器配列についても同様である。
使用した光源によって生じた反射は,強度として検出され記録される。ここで,「記録」の用語は最も広い意味に理解されたい。本発明によれば,このような記録に用いられる感知器は,1次元CCDセンサ又は2次元CCDセンサとして構成してもよい。
このようなCCDセンサの光感度は既知である。CCDセンサによって発生される信号は,入射光に直接比例する。いわゆるラインセンサとして動作する1次元CCDセンサを用いたときは,本発明においては普通に用いられる技術名称に従って,これをCCDアレイと呼ぶこととする。
2次元CCDセンサを用いたときは,普通に用いられる技術名称に従って,これをCCDイメージセンサと呼ぶこととする。本発明によれば,光感応フォトダイオード又は画素の配列として構成された2次元CCDセンサが用いられる。ここで,画素範囲全体にわたって,光に対する感度とセンサのダイナミックレンジとの間の均衡のとれた関係と,光に対する感度に逆比例することが知られている画像解像度とが保証されるCCDイメージセンサを用いることが特に好ましい。さらに,光源と光感知器との間の適切な結合が,ブルーミング効果,すなわち,過剰露光による電荷のにじみが現れないことを保証する。これはいわゆる「抗ブルーミングゲート」を用いる必要がないことを意味し,入射光と検出された光との間の非直線性と,関係する信号が選択された露出時間及び試験すべき標本に依存して指定されることとにつながる。
類似の考察は,CCDアレイにも同様になりたつ。
CCDイメージセンサを用いたときは,好適な実施例によれば,CCDイメージセンサは平面カメラ系の形態で用いられ,例えばスポットとして配置された,薄膜層上に配置されたか,又は薄膜層と結合した化合物の光学撮像が可能になる。このカメラ系は,好適には上述のデジタル形態で構成され,基本的に,範囲全体に配置されているか,スポットかによらず,画素を介して薄膜層における化合物の完全な画像を提供する。
薄膜層を有するキャリアに複数の個別光源によって照射された光を,薄膜層上の個々に照射されたスポットに対応付けられるようにした反射光線の構造化され,空間分離された検出が行われるときは,CCDアレイの使用が好ましい。薄膜層上に配置され,又は薄膜層に結合した種々の異なる化合物があるとき,特に有利である。これは,分析すべき標本内の種々の成分の選択的検出を可能にする。
このようにして,光源によって照明された,薄膜層上の個々のスポットから発生されたいくつかの信号が記録される。そして実際にはパターン認識は必要なく,データ量は著しく減少し,それによって信号品質が改善される。
キャリア自体は任意に選択してよい。キャリアが分析,すなわち強度レベルを測定すること,に用いられる少なくとも部分的に透明な範囲を有する限り,これは材料及び形状に当てはまる。例えば,キャリアは平たんな2次元キャリアであってもよいし,マイクロタイタプレート形態のキャリアであってもよい。そして,薄膜層はマイクロタイタプレートの穴それぞれに形成される。適切なキャリア及びキャリア材料は,例えば反射干渉分光法の分野の専門家にはよく知られている。
排他的ではないが,特にキャリアがマイクロタイタプレートであるとき,強度を測定することによって光学特性を決定する装置は,いくつかの部分領域,いわゆる多スポットに分割されている薄膜層上の測定のための特定の実施形態で構成することができる。このため,本発明の装置は,少なくとも一つの狭波長範囲の光を発する少なくとも一つの光源を備え,この光源は上記の薄膜層領域を有する少なくとも部分的に透明はキャリアに直接適合している。上記の少なくとも一つの光源は薄膜層のそれぞれの部分領域を照射する。少なくとも一つの検出器が提供され,少なくとも一つの参照検出器と共に動作する。薄膜層の部分領域はそれぞれ,少なくとも二つ境界面を有し,境界面において重畳された波動場が重畳場を生成し,それが少なくとも一つの検出器に伝達される。被覆された部分領域の少なくとも一つの部分は,当該部分領域に空間的に入射する光の強度を測定する少なくとも一つの強度感知器と関係している。
さらに,本発明は,上述の,薄膜層上の強度を測定することによって光学特性を決定する装置と,同様に,化学,生化学,医学及び/又は物理の反応,結合及び/又は凝固の過程,及びほかの相互作用の検出のための方法の使用にも関する。好適には,本願は国土安全保障に関する。
以降,本発明を例示実施形態,その変形及び添付の図面を用いてより詳細に説明する。
唯一の図である図1において,参照符号1はLED灯である光源を示し,該光源によって試験すべき標本3が垂直に照射される。この前に,LED灯から発せられた光は,光を均等に分布させる,フィルタである拡散器4と,直線偏光した光を生成する偏光器5を通過する。このようにして,LED灯によって規定される狭波長範囲の光が直接,また偏光ビームスプリッタ7を通過して標本3に向けられる。ビームスプリッタ7は光を測定ビーム9と,参照ビーム11とに分割する。この試験装置はまた,古典的な広帯域光源を使用し,後続の波長フィルタを用いて所望の狭波長範囲を生成できるようにもする。このような光学波長フィルタが説明のために図1に供されており,参照符号14で示されている。
標本3は少なくとも部分的に透明なキャリア13を含み,このキャリアは,この例示実施形態においてはガラススライドの形態をしたガラスでできており,その上に薄膜層15が塗布される。この薄膜層15を塗布するために,キャリア13の指定された面が,ガラス面にOH基を生成することによって最初に活性化される。
ここで,ガラス面はエポキシ基でシリル化する表面処理の準備がされ,この場合,シリル化は3−(グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン(GOPTS)であるエポキシシランで行われ,これはここで例として与えた,シリル化のための多くの選択可能な化合物の一つに過ぎない。シリル化に続いて,適切な鎖長のポリエチレングリコール(PEG)のような生体高分子との反応が行われる。それぞれ異なる鎖長を有する少なくとも二つの異なるPEGを使うことも可能である。そして,生体高分子で固定された特定の捕捉分子だけが選択され,調査すべき標本内の所望の種を検出するための薄膜層の準備が完了する。
この薄膜層15の形成及び準備は,本発明のために短く要約したものに過ぎない。何となれば,専門家であれば先行技術に,より正確な詳細を見出すであろうからであり,ここでそれら技術をすべて参照する。本発明の説明は薄膜層15の形成には関係しないが,光照射と,検出と,得られた信号の処理とからなる分析に関係する。
薄膜層15は試験すべき標本3によって影響を受ける。何となれば,薄膜層15上の捕捉分子と標本内に対応する種との相互作用が相互作用の領域において薄膜層の厚みに変化をもたらすからである。この薄膜層の厚みの変化は次に,測定ビーム9を介してキャリア13に向けられ,薄膜層15の表面で反射する光に影響を与え,そして光はビームスプリッタ7によって曲げられ,検出器配列19上の撮像システム17を介して撮像される。ここで,検出器配列19はCCDカメラからなる。
測定過程それ自体に関しては,光がキャリア13に結合することなく薄膜層15に照射されることが重要である。それによって薄膜層の境界面に生じた多重反射が測定され,評価される。エバネセント場は必要ではない。このため,所望であれば反射の代わりに透過を測定することもできる。したがって,図1は,透過した放射光を測定する選択肢を除外することなく,例として反射した放射光の測定を示す。
参照ビーム11の光は標本によって影響されず,例示実施形態においては,これもまたCCDカメラの形態である,基準として使用される検出器配列19’上の別個の撮像システム17’を介して撮像される。参照検出器19’は,現在の照明強度,すなわち,使用されている光源1の強度を測定するために使用される。このようにして,光源1として使用されるランプの強度の変動によって生じる空間不均質性が記録され,分析に含められる。
検出器配列19,19’双方は評価ユニットに接続される。この評価ユニットは,制御,データ取得及び評価のための計算機システムを含む。この評価ユニットは中でも,反射と,キャリア13又は薄膜層15の種々の位置との対応付けを可能にする。これは,「多スポット法」によって準備されたキャリア13を用いた分析に重要である。この場合,薄膜層15が特別に準備された領域,すなわちスポットを有し,スポット内に捕捉分子,及び任意選択でいくつかの異なる捕捉分子が塗布される。そして,個々のスポットにおいて,試験すべき標本内の種に対する一連のまったく異なる反応及び相互作用を調査することができる。一般に,この方法は生体分子相互作用のすべての試験に適している。さらに,この試験は一連の非常に異なる方法で実行できる。
選択された捕捉分子の種類から,試験すべき標本内に存在する種が薄膜層15と選択的若しくは非選択的に相互作用するか,又は,薄膜層の部分領域(スポット)とだけ相互作用して少なくとも部分的に薄膜層の厚みに変化を生じさせるかが判定できる。
キャリア13の表面に分散しているスポットは,行列パターンに配置してもよい。この方法によって,各標本内の関心のある種,例えばホルモン又は抗体との空間的に分離された相互作用を開始し,検出し,したがって分析することができる。
キャリア13の表面の特定の領域だけが捕捉分子を有するとき,キャリア13の表面のこれらの領域と,未処理領域とにおける検出を比較することによって,特定拘束力及び非特定拘束力,よって相互作用を区別することができる。このため,高解像度CCDカメラである検出器配列19が本質的に重要である。高解像度CCDカメラを用いて,各画像点において測定を行い,スポットが分布しているキャリア13の全観測可能領域,又は塗布が前面にわたって行われている場合は単一の大きなスポットを分離することができる。ここで,画像点,すなわち画素ごとに反射係数が測定される。既に上述したとおり,ランプの変動を記録し,画像点ごとの評価に含めることができるように,参照検出器19’を含む参照ビーム11を用いて,現在の照明強度,すなわち使用されている光源1の強度が測定される。
得られるデータ材料の品質及びその評価は,多くの異なる方法で可能なこのような調査の情報価値として非常に重要である。評価の品質に関しては,良好な信号対雑音比を有することばかりでなく,このような調査を定量的に意味のある方法で利用できることが等しく重要である。
基本的に,光源1からの光は薄膜層に照射され,薄膜層の全体又は特定の領域,すなわちスポットのいずれかで,生体高分子及び捕捉分子で的を絞った被覆を行うことによって標本の種と相互作用し,それによって薄膜層の厚みの変化を生じさせ,そして入射光の重畳点波動がそれぞれ,透過する重畳場及び反射する重畳場を生成する。本発明のためには,一般に反射重畳場を観測することが好ましい。しかし,透過重畳場を観察することも同様に可能である。
このため,言及され,図1に示されたすべての種類のフィルタを用いる必要はない。例えば,狭帯域光源を用いるときは,波長フィルタ14を用いる必要がないことがある。ここで,測定は狭帯域波長範囲全体で行われ,評価のために全体として利用可能であることの重要性を強調しておく。このことは,測定が一度に選択的に一つの波長でだけ行われる,既知の先行技術における方法と区別されるべきである。このことは,多重波長の評価は同時ではなく順に行われ,非常に時間が掛かることを意味する。
フィルタについては,薄膜層15自体がフィルタ効果を有しており,本発明の測定法によれば,薄膜層に光を照射することによって利用することができる。このようにして,薄膜層自体が干渉フィルタに相当する。
広帯域光源が用いられたときは,得られる波長図は広帯域である。したがってこの場合は,少なくとも一つの狭帯域波長フィルタ14及び/又はスポットフィルタ21が用いられる。これによって,事前に光源1自体に,例えば発光ダイオードのように狭帯域なものを選択する必要なく,所定の狭波長範囲の反射を選択的かつ波長依存で測定することができるようになる。したがって,検出器フィルタ23,23’もまた,狭帯域のものが選択される。対応する波長範囲は,スポットフィルタ21の範囲に対して全体としてわずかにずれる。
これらのフィルタ構成によって,使用されたすべてのフィルタが透過的である重複領域が生じる。本発明によれば,この重複領域は,検査すべき特定のシステムに応じて,測定の品質を正確に制御するために用いることができる。重複領域が広く,大きいほど,検出器又は検出器配列9に照射される光の強度も強くなる。例えば,スポットフィルタ21の通過域曲線が変化したとき,ほかのフィルタが同一であっても,検出器配列9において検出される光強度も変化する。
評価自体に関しては,示した測定構成を用いていくつかの別個の空間,時間分離されたデータが得られる。このようにして,測定ビーム9の検出器配列19及び参照検出器19’として用いられる検出器配列を用いて,選択された狭帯域波長範囲の照射光を記録することによって,最初に照射光から情報が得られる。例えばこれは,規定された波長におけるランプの強度変動についての詳細を提供する。次に,上述のとおり,相互作用の領域において生じた薄膜層の厚みの変化がある,試験すべき標本3によって影響を受けた薄膜層15の領域と,相互作用が起こらなかったほかの領域とから標本のデータが得られる。
全体として,すなわち,波長ごとかつ順に手間のかかる方法で測定データを評価する必要なく,狭帯域波長範囲の測定を可能にするため,上記の二つの種類のデータについてのある波長における振舞,すなわち,一つの波長で照射された光の振舞についての情報と,自由領域における薄膜層の振舞の情報とが評価ユニット内にデータベースの形態で既に記憶されており,問合せに利用できることが重要である。これについては後でより詳細に扱う。
ここで,図1に示したフィルタ装置はすべて本質的に任意選択であることに注意されたい。ここで特定した測定原理は,専門家には明白なほかの方法,すなわち,上述のフィルタのうちいくつかがほかの手段に置き換えられた方法で実現することができる。
以降,キャリア被覆設計の変形についてより詳細に述べる。その設計では,キャリア13の全面には薄膜層15が塗布されておらず,部分領域に試験すべき標本の対応する種と相互作用する適切な生体高分子及び高分子に付着した捕捉分子が多スポット処理によって塗布されている。基本的に,この部分領域は少なくとも二つの境界面を有し,境界面において重畳場を生成する重畳波動場が生じ,重畳場は検出器又は検出器配列19に向かって反射される。
光源1は,ここでは薄膜層15の部分領域を照明する役割をするが,薄膜層15が全面に塗布される場合については,このような制約は上述した照明の選択肢には適用されない。そして,適切なフィルタによって所望の狭帯域範囲に狭められる広帯域光源を用いてもよいし,所望の狭帯域範囲を有するLED灯を選択してもよい。
参照検出器19’は,現在の照明強度,すなわち使用されている光源1の強度を測定するために用いられる。
別の変形においては,平面被覆又は多スポットの形態の塗布を有する前に用いたキャリア13の代わりに,多穴プレート又はマイクロタイタプレートが用いられる。ここで,多穴プレート又はマイクロタイタプレートが図1に示すキャリア13を置き換え,残りの測定構成は同一であるため,別途示すことはしない。
マイクロタイタプレートをキャリア13として用いるときは,薄膜層15はプレートのフロア,すなわち穴に塗布される。この薄膜層15を塗布するために,キャリア表面に関して上述したのと同じ方法,すなわち,穴のフロア上にOH基を生成することによって穴のフロアが最初に活性化される。
次に表面がエポキシ基でシリル化することによって処理される。これもまた,3−(グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン(GOPTS)の形態のエポキシシランによって行われる。シリル化に続いて,適切な鎖長のポリエチレングリコール(PEG)のような生体高分子との反応が行われる。ここでもまた,異なる鎖長の少なくとも二つの異なるPEGを用いてもよい。その後始めて,生体高分子で固定された特定の捕捉分子が選択され,それによって,試験すべき標本内の所望の種を検出するための穴のフロアが準備される。
この簡単に説明した,普通に知られている穴のフロアの準備は,これまでのところ,ほかのキャリア13の表面の準備と著しく異なるものではないが,一つの変形として,穴のフロアの活性化及び引き続く処理は全体には行われず,その代わり穴のフロアの特定の領域だけが上述の方法で処理された。これらの既定された領域は,所定の明確なパターンを形成するように作成された。したがって,引き続く測定は,薄膜層と標本内の試験すべき種との相互作用による薄膜層の厚みの変化を測定するためだけでなく,同時に前に薄膜層に塗布されたパターンを認識するためにも用いられた。これは,著しく高い要求を生じるものである。
ここで,パターンは次の領域において,穴のフロアの表面に転写され,検出される。
・穴のフロアを活性化したときのパターン,及び/又は
・シリル化によって表面を処理するときのパターン,及び/又は
・生体高分子と反応する際のパターン,及び/又は
・選択された特定の捕捉分子を固定するときのパターン。
このパターンは規定された部分領域を活性化又はシリル化すること,生体高分子との反応,規定された部分領域内の捕捉分子を固定すること,又は前の段階で形成されたパターン構造を次の反応段階に移すこと,のいずれかによって塗布される。
例えば,穴のフロアの表面の規定された部分領域だけが初めに活性化されたときは,これらの活性化された領域だけがシリル化できる。そしてパターンは維持される。パターンの形成は,シリル化の変換段階において,マスクを塗布すること,多スポットの特定の塗布,などによっても同様に行うことができる。捕捉分子の固定化に至るまでの各変換段階に同じことが当てはまる。
ここで簡単に説明したパターン形成は,例えば偽の製品を純正製品と区別し,品質保証を行うために,キャリア13としての対応するマイクロタイタプレートを符号化すること,又は同様に,「多スポット」変形物を含む,対応する平面キャリア13を符号化するために用いられる。このパターン形成及び符号化自体は本発明の一部ではない。本発明は,形成されたパターン及び対応する観測された相互作用によって生じた薄膜層の厚みの変化を,高品質水準,かつ好ましくは自動的に捕捉し,評価することに関する。
パターン形成及び符号化についての更なる詳細は,国際出願PCT/EP2010/002728号に記載されており,ここに全体を参照する。
平面キャリア13,また「多スポット」塗布を用いたときの符号化及びマイクロタイタプレートの符号化は双方とも,いくつかの試験において成功裏に実行された。次に,薄膜層における光学特性を決定するために,この方法で準備されたキャリア13又はマイクロタイタプレートが,図1に示され,詳細に上述した測定構成と共に用いられた。これによって,物理,化学,生物学及び/又は生化学の反応及び相互作用の非常に高速,かつ非常に正確な検出が可能になる。したがって,以降より詳細に説明する方法で,自動化された測定への道が開かれる。
標本3は,例えば生物学及び/又は生化学の反応及び相互作用の検出のためには液体であることが望ましく,本発明の実験では,主に,しかし排他的ではなく,水溶性標本として調査された。そしてこの標本は,例えば貫流セルを介してキャリア13に接続される。
図1に示された波長フィルタ14は,発光ダイオードの形態の狭帯域光源1と同様に,広帯域光源1を用いたときも有用である。
この波長フィルタは,広帯域光源と共に二つの方法で用いることができる。波長フィルタは,標本3に照射される波長を選択するために用いられ,光源1の広帯域スペクトラムを所望の狭帯域範囲に制限し,同時に光の方向を制限することができる。
本発明が基礎を置いている評価技法に関しては,標本3が究極的に狭帯域スペクトラムの光で照明されることが特に重要である。これは,入射光が唯一つの波長を有したり,光が一度に一つの波長だけで順に照射されたりすることは好ましくないことを意味する。これが,専門家が,選択された広帯域光源1又は狭帯域光源1に基づいて,方向及び/又は波長を制限するために波長フィルタ14を使うべきか否かを決定する際に考慮する原理である。
さらに,薄膜層15は統合フィルタとして理解すべきである。すなわち,薄膜層の反射率は波長に依存するため,フィルタ特性を有するように選択される。
このようにして選択的に反射された光が検出器19に向かって透過されたとき,光はまず第1及び第2の検出器フィルタ23,23’を通過する。これらの検出器フィルタ23,23’はまた,測定結果を改善するために方向制限機能も有することができる。本発明の測定構成によって,信号は検出器又は検出器配列19において測定することができ,信号は薄膜層15から反射された照射に対応し,非常に好ましい信号対雑音比を有する。薄膜層の相対反射率は,全表面にわたってか,又は多スポット法を用いて塗布された部分領域及びマイクロタイタプレートの穴においてかによらず,非常に正確に測定できる。
図1に示す実験装置を用いて得られたデータの更なる処理について,ここで詳細に説明する。
検出器19及び参照検出器19’から得られたすべてのデータは,ランプの強度の変動によって生じた不均質性を記録するために用いられ,参照テーブル27に結合された比較器に転送される。この参照テーブルはデータベースであって,強度分布関数を含む特定の波長における振舞についてのすべての必要なデータを含み,計算機支援評価の際に利用できる。
このようにして,強度分布関数は,評価ユニット内に記憶されたデータベース又は参照テーブル27の形態の,入射光強度の既知の特定の分布テーブルに対応する。この参照テーブルは,得られた空間及び時間分離された測定結果を定量的所見に指定するために必要なすべてのデータ及び較正テーブルを含む。
検出器19及び参照検出器19’が受信した信号を比較器25に転送したとき,反射係数が,検出器19,19’として使用された高解像度CCDカメラの測定された画像点,すなわち画素ごとに形成される。反射係数は光源1からの入射光の強度とは独立である。例示実施形態の検出器19は,反射された3−(グリシジルオキシプロピル)トリメトオキシプロピル(GOPTS)の信号を入力信号として捕捉する。透過した重畳波の入力信号もまた捕捉される。
例示実施形態で用いられた比較器及び一般の比較器は,動作中,高速かつ省エネルギである。デジタル信号を比較するため,デジタル技術及びアナログ回路双方で入手可能である。ここでは双方の種類の比較器を用いることができる。各場合に特定の利用は,基礎となる測定構成に依存する。
参照テーブルを用いて,前に受信した信号を,更なる計算なしに出力信号に直接変換することができる。計算機内に記憶された対応する参照テーブルの形態の対応する処理ユニットは,別個に設計してもよいし,一緒に結合して設計してもよい。
信号処理の際に,空間依存性もまた考慮に入れてよい。これもまた較正テーブル又は参照テーブルを介して行われ,同様に評価ユニットの計算機に記憶される。
データ処理は,階調値分析を用いて行われる。このため,階調値の変化に対応する光学薄膜層厚みのnm単位の値を得るための変換係数がデータベース又は参照テーブルに記憶される。また,CCDカメラの画素と,検査すべき薄膜層,すなわち配列上の位置との相関を見付けるためにデータベースを用いることも必要である。例えば,多スポット法を適用するとき,領域はこのようにしてデータベース又は参照テーブルとして記憶してもよく,これによって特定のスポットと参照領域との正確な対応付けが可能になる。
このようなデータベースを用いることによって,スポット,薄膜層又は薄膜層の部分領域に診断パラメータを割り当てることができる。このようにして,階調値の変化がある分析物の濃度に対応することになる。ここで,この階調値の変化は別の記憶された較正値と組み合わされ,また,データベースに記憶された領域と相関が取られ,スポット,薄膜層又は薄膜層の部分領域に対応付けることができるようになる。これらの相関から,濃度を迅速かつ非常に正確に計算することができる。さらに,いくつかの測定においては,検出された濃度の補正もまた,参照領域の補正値を用いて行われた。さらに,特別の選択された試験においては,検出された濃度値がそれぞれ,参照濃度領域と比較され,これによって診断所見を得ることができた。
特に,階調値分析及び階調値相関分析が適切な手続であることが証明された。
本発明の信号処理においては,光源1からの照射光の測定強度が時間的に変化する過程が参照検出器19’を用いて測定され,検出器19によって反射波における重畳場が測定される。この測定は透過光において行ってもよい。
ここで,反射光は一般に透過光よりも弱い。両者の曲線は強度だけを測定しても,相対反射率について真の説明を行うことはできないことを意味する。同じことは透過光についても言える。
したがって,ここでは信号は,検出器19及び参照検出器19’から受信されたそれぞれの信号、すなわち,標本3上の反射された照射及び入射光照射から、指数を形成することによって,入力値から比較器によって生成される。このようにして,実質的に一定である相対信号が得られる。
次の信号処理段階は,薄膜層又は薄膜層15の部分領域,例えばスポットの厚みの値を形成することを伴い,この厚みは,試験すべき標本の種との相互作用によって変化する。上述のとおり,このために,計算機内に少なくとも一つのデータベースとして記憶された較正テーブル又は参照テーブルがある。
別の信号処理段階として,ここで本試験較正において用いられた液体及び液体が含む分析すべき種によって生じる効果を考慮してもよい。このため,ここでも評価ユニットを含む計算機に記憶された較正テーブル又は参照テーブルが用いられる。このようにして,最終の処理された測定結果が得られる。
この測定結果は,入射光強度から得られる反射係数が一定である限り,広範な入射光高度にわたって一定である。したがって,(例えば)薄膜層15の部分領域における反射又は透過の測定から測定値が得られ,強度又は強度変動によって影響されない反射係数及び/又は透過係数が形成される。
次に,いくつかの一般的な詳細,すなわち,本発明の測定構成に基本的に適用される詳細について説明する。
上述の例示実施形態において,キャリア13上に配置された薄膜層15又はこの薄膜層15の部分領域から反射された光が,種々の,任意選択である場合もあるフィルタ及びフィルタ機能を有する適切な撮像光学系を介して,どのように検出器又は検出器配列15によって記録され,それぞれ,測定された強度及び参照強度を効果的に更に処理することによって,後続の評価ユニットによって処理されるかを示す。これによって評価が容易になり,品質が著しく改善する。
測定された強度及び参照強度を用いて評価ソフトウェアによって特定の限定された狭波長範囲に形成された反射係数又は透過係数から,薄膜層の厚み又は薄膜層の部分領域又はスポットの厚みに関する結論を引き出すことができ,この同一の測定によって,薄膜層の厚みの変化が観測され,検出される。
本発明によれば,より速い定量分析によって,評価を改善し,簡略化できるようにするため,検出された強度が,例えば,LED又は少なくとも一つの対応するフィルタを用いた広帯域光源の使用された狭波長範囲に依存する反射係数を介する対応付け機能を用いて,検出された強度が対応する光学薄膜層厚みと相関が取られる。そして,計算機内に記憶された参照テーブルから強度を得ることができる。これは,測定及び結果の評価のための作業量を著しく減少させ,一方,評価ユニット内の記憶容量要求条件を著しく増加させるが,これは実践的な課題を呈しない。
ここで説明した実験構成においては,光はキャリア13上に配置された薄膜層15,又は,多スポット配列若しくはマイクロタイタプレートの場合は薄膜層13の部分領域,におよそ垂直に照射される。代替として,別のわずかに斜めの入射光を用いてもよい。
測定は概略,これまで文献に繰り返し説明されてきた反射干渉分光法の基本原理に従って行われた。ここで光はキャリアとは結合せずに薄膜層15に照射され,エバネセント場ではなく多重反射が測定される。反射干渉分光法はこれまで実践的な応用には適合させることができず,ここに提案した方法によって利用可能になった。
基本的には,例えばビデオカメラの形態の光電受光器,好ましくはCCD素子が反射光の検出器として用いられる。
スライドの形態のキャリア13の代わりにマイクロタイタプレートが用いられたとき,CCD素子の利用は,例示実施形態においてはCCDラインセンサの1次元配列の形態のCCDセンサとして,マイクロタイタプレートの穴ごとに空間的に分解された検出及びデータ取得のために,いくつかの感知器を提供できるという利点を基本的に有している。
これら穴ごとのCCDセンサは,薄膜層の厚みの変化に応じた,分析すべき種と相互作用する捕捉分子によって反射される光照射と,国際出願PCT/EP2010/002728号による所定の符号化がなされた,それぞれの穴の下にあるパターンとの双方を捕捉することが特に重要である。
この種の検出は,薄膜層の厚みの変化について非常に高品質な時間解像度をもたらす。
本発明によって,薄膜層の厚み又はスポットの形態をした薄膜層の部分領域の厚みの変化の改善された分析を実践的に実現するためには,用いられた準備されたキャリアを純正なオリジナル製品として迅速かつ明確に認識できることもまた非常に重要である。
国際出願PCT/EP2010/002728号に詳細に説明されているパターン認識と組み合わせて,ここで開示した本発明による薄膜層厚み分析を用いることによってだけ,純正なオリジナル製品と偽物とを見分けることが正に可能になる。これは,生体医学応用及び/又は国土安全保障の分野の応用における基本的要求条件である。
したがって,以降,本発明による薄膜層厚み分析と組み合わせた,これもまた参照テーブルにある対応するパターンに基づくパターン認識を簡単に説明する。
パターン認識と組み合わせた薄膜層厚みの変化の検出は,次の変形において実行された。
ここで,変形の説明は例示にすぎず,例として,くぼみ,空洞又は穴のあるマイクロタイタプレートの使用に関するものである。穴のフロアは,薄膜層又は薄膜層の部分領域を有するだけでなく,更なるパターン認識のために準備され,試験すべき標本の種と相互作用し,薄膜層の厚みに変化をもたらす捕捉分子を含む。この二重の準備,すなわちパターン認識及び標本試験は,穴のフロアを走査した際に測定された強度に変化を生じないか,わずかな変化だけを生じる,制限された領域が穴のフロア内にあることを必要とする。
次の領域において,穴のフロアの表面に,したがって,スライドのような平面2次元キャリアにもパターンを塗布し,検出することができる。
・穴のフロアを活性化させるときのパターン,及び/又は
・シリル化によって表面を処理したときのパターン,及び/又は
・生体高分子と反応中のパターン,及び/又は
・選択された,特定の捕捉分子を固定するときのパターン。
このように,引き続く測定は,標本内の試験すべき種と薄膜層との相互作用による,薄膜層厚みの変化を測定するだけでなく,薄膜層上に前に塗布されたパターンを識別するためにも用いられ,これはずっと厳しい要求条件を意味する。
上述のパターンは,制限された部分領域が活性化され,シリル化され,若しくは生体高分子と反応するように,又は捕捉分子が制限された部分領域に固定されるように塗布されるか,又は前の段階で既に行われたパターン形成によって,パターン構造が次の変形段階に転写されるように塗布される。
例えば,初めに穴のフロアの表面の制限された部分領域だけが既に活性化されているときは,これらの活性化された領域だけをシリル化してもよい,したがって,パターンは残る。パターン形成は,シリル化の変換段階において,マスクを適用することによって,特定の多スポットを適用することによって,又はその他によって均等に行うことができる。同じことが,捕捉分子の固定に至る変換段階それぞれに当てはまる。
この簡略に説明したパターン形成は,例えば偽の製品と純正な製品とを区別し,それによって品質保証を行うために,対応するマイクロタイタプレートを符号化し,又は同様に対応する平面キャリアを符号化するために用いられる。このパターン形成及び符号化自体は本発明の一部ではないことに再度注意されたい。本発明は,対応する観察された相互作用によって生じた薄膜層厚みの変化と共に,このようにして形成されたパターンを好ましくは自動的に,高品質水準で記録し,評価することを目的とする。
穴のフロアに向けられ,穴のフロア上の多スポットとして分布する薄膜層の表面から反射した光は,非常に異なる影響を受ける。試験すべき標本と,穴のフロアに多スポットとして分布する薄膜層の領域の一部をなす捕捉分子との相互作用によって,照射された光は例えば,パターン認識及び品質保証のために用いられるために捕捉分子がない領域とは異なって影響される。このように変化する強度で反射する光,及び任意選択で参照ビーム経路の光もまた,少なくとも一つの光ダイオードを有する検出器配列によって検出される。検出器配列は,上述の例示実施形態を用いて説明したとおり,評価ユニットと接続される。
このため,反射光は穴から穴へ走査することによって検出される。
CCD技術を用いることによって,対応する評価ユニットにおいて個々の穴とデータ取得とを関係付けることができる。走査及びデータ捕捉動作の回数は穴の数に正確に対応する。ここで,測定された個々の穴の値は,時間と共に連続して取ることができろ。
反射干渉分光法によって前に知られている従来のデータ評価に比べて,高強度の領域と,何も起こらない,又はほとんど何も起こらない領域,すなわち,強度がまったく検出されないか,又は非常に低い強度だけが検出できる。
マイクロタイタプレートの一つの穴で実施されるだけでなくすべての穴に拡張される検出方法は,ダイオードスキャナライン又はマイクロタイタプレートの穴の各行を用意することによって単純化することができる。パターン認識用の領域に加えて,分析用に捕捉分子を自由に指定できるため,捕捉分子は例えばマイクロタイタプレートの穴の一つの行又はある特定の行に限定することができる。これによって走査及び評価に必要な作業が相当に減少し,同様に評価ユニット内の必要な記憶容量も減少する。走査の間,対応する走査CCDセンサを通る信号の流れは安定しており,これは評価ユニットにおいて処理することが容易である。
この簡略化された方法は,捕捉分子と試験すべき標本の種との相互作用が速い運動過程に従うときは,相互作用に限界がある。ここで操作は穴のすべての行の走査を伴うため,各走査CCDセンサは頻繁かつ速く前後に移動しなければならず,これはセンサの寿命を短くすることがある。
専門家であれば,説明したすべての実施形態は,スライド及びマイクロタイタプレートのような平面キャリア上の薄膜層にも均等によく適用できることは明白である。
評価過程の信頼性を増すため,光源及びフィルタのような,種々の実施形態において説明した必須又は任意選択の部品もまた,特定の符号化を施してもよい。この手段は,必要な作業を著しく増加させることなく,例えば参照テーブルと照合することによって,測定システム全体を較正できるようにする。これによって,初期に測定した強度が正しく対応付けられることが保証される。このようにして,例えば不正確な振幅値を効果的に避けることができる。