JP2015174829A - 血糖値低下効果を有する柿由来飲料組成物 - Google Patents

血糖値低下効果を有する柿由来飲料組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】
予防的に食前に手軽に飲用することで速効性と遅効性とのバランス良く機能し、血中への単糖類の移行を押さえかつインスリンの分泌を促進し血糖値を低下させる機能を併せて備えた柿由来飲料組成物を提供すること。
【解決手段】
柿葉の熱水抽出物及び柿果実より採取して成る高分子量柿タンニンを含む飲料組成物で柿葉由来の熱水抽出物に含まれる分子量10,000以下より成るポリフェノール抽出物と柿果実より採取して成る分子量10,000以上より成る柿タンニンを含有させた組成物を食前に飲用することで食後の血糖値上昇が抑制される効果と共に血糖値が上昇してピークに達した後も速やかな血糖値低下を遅効的にもたらす働きをもつことを見出して本発明を完成した。
【選択図】 なし

Description

本発明は、血糖値低下効果を有する柿由来飲料組成物に関するものである。詳細には、柿葉の熱水抽出物及び柿果実より採取して成る高分子量柿タンニンを含む飲料組成物で柿葉由来の分子量10,000以下より成るポリフェノール抽出物と柿果実より採取して成る分子量10,000以上より成るポリフェノールの重合体である柿タンニンを含有することを特徴とする飲料組成物に関する。
厚生労働省により平成24年11月に実施された「国民健康・栄養調査」の結果では、糖尿病が強く疑われる者(糖尿病有病者)は約950万人、糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)は約1,100万人と推計されています。糖尿病が強く疑われる者と糖尿病の可能性を否定できない者を合わせると約2,050万人と推計され、平成9年以降の5年ごとの調査でずっと増加していたが、前回の平成19年の約2,210万人から初めて減少に転じたと報告されています。糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)が最近の調査ではじめて減少に転じたとされています。しかしながら糖尿病が強く疑われる者は、増え続けています。
また減少に転じたとはいえ、糖尿病予備群の人が約2,000万人強であることは、非常に大きな数字で、更なる重大な問題は、糖尿病が疑われる人の約4割は、ほとんど治療を受けたことがないとされている点にあります。 糖尿病は、初期の段階では痛みなどの自覚症状がなく、血液検査で血糖値が高いため治療が必要と言われても放置している人が多いためと推測されます。
一般に糖尿病の発症メカニズムは、ランゲルハンス島のβ細胞(膵β細胞膜)が何らかの要因(一説には、本来自分の体を外敵から守る免疫系が、膵β細胞膜を異物とみなし攻撃)で破壊され、インスリンを正常に分泌出来なくなった状態に始まるとされています。
日本人の糖尿病の95%を占める2型糖尿病では、膵β細胞膜の状態は、1型糖尿病ほど破壊されてはいないと見られています。ただ2型糖尿病のうち6割は、非肥満とされ何らかのインスリン分泌障害をおこしているためと考えられています。
一方、2型糖尿病のうち4割を占める肥満を伴うものの原因として高脂肪食による肥満などの環境因子によって脂肪組織の肥大化に伴い遊離脂肪酸、TNFα、レジスチンなどが分泌されることとアディポネクチンの分泌が低下することによってインスリンが分泌されていてもインスリン受容体以降のシグナル伝達が阻害される等のメカニズムが提唱されております。いずれにしてもインスリンの分泌力、またはその血糖値の抑制効果が低下している点では、1型糖尿病と同じ状況にあります。
食物から摂取した炭水化物は、食後、消化管でアミラーゼにより分解されて二糖類あるいは三糖類となり、さらに二糖類等は、最終的に小腸上皮にある分解酵素のスクラーゼ、ガラクターゼ、マルターゼによりグルコースなどの単糖類に分解されます。その後吸収され血中に移行するため食後は、血糖値が上昇することになります。
高血糖の状態で血糖コントロールをしないで放置した場合には、糖尿病発症時から10〜15年で糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症の3大合併症をはじめとした種々の慢性合併症が発症する恐れがあります。
血糖値が高いことが判明したら先ずは、医師に相談し、定期的に血糖値の検査を受ける
と共に食事や運動など、日常生活習慣の改善していくことが大切になります。
しかしながら食事、運動に関わる生活習慣はなかなか改善しにくいことから、食事の前に手軽に飲用できてかつ副作用が少なく血糖値の低下に予防的に用いることのできる有効な健康食品が求められています。 このような観点から副作用の少ない天然物の中から血糖値低下効果をもたらす副作用の少ない物質が探索されています。
柿葉、柿枝から抽出される成分のケンフェロールまたはその配糖体が膵β細胞膜を活性化するインスリン分泌促進剤として提案されています。(特開2009-215253号公報)
また柿タンニンから得られたエピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレートのカテキン類を主要構成成分として2〜数個重合した低分子化柿ポリフェノールが抗酸化活性、転写因子NF-κBの活性化阻害などの薬理活性を備える(特開2007-176845号公報)として提案されています。
さらに柿果実を乾燥し、一部又は全部の水可溶性成分を除去し、さらに粉末化する工程から得られた水不溶性縮合型タンニンを有効成分とする柿果実粉末組成物が血糖値低下効果を有する(特開2013-35803号公報)として提案されています。
これらの従来技術は、インスリンの分泌を促進し血糖値を低下させる、高血糖状態でのダメージを軽減するなど生理的な機能をブタ腎上皮細胞組織、ラット膵臓ベータ細胞由来のRIN-5Fを用いての研究で確認したりしているものになります。
そのため副作用の検証や人への継続的な摂取量の安全性が明確でなかったり、また腸管で糖質の吸収を阻害するため低血糖に陥ったり、未消化のまま大腸まで達する糖質の量が増えるため糖質が大腸に達すると腸内細菌によって分解されて、酢酸、酪酸、乳酸などの有機酸が生成し、また、水素ガスやメタンガスなどが発生するため、お腹が張ったり、おならが多くなったり、下痢、便秘、腹痛が増えるなどの副作用が現れるとの課題があります。従来の技術は、上記の課題に加えて、医薬品としての適用が意図されており予防的というよりは治療に用いられる適用となっております。
特に食事、運動に関わる生活習慣の改善を補助する観点から日常生活に取り込んで手軽に飲用でき、速効性と遅効性とのバランス良く機能し、血中へのブドウ糖の移行を押さえかつインスリンの分泌を促進し血糖値を低下させる機能を併せて備えたものでない。
特開2007-176845号公報 特開2013-35803号公報 特開2013-35803号公報
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、健常者から糖尿病の可能性を否定できない人々(糖尿病予備群)までを主対象としています。
予防的に食事、運動に関わる生活習慣の改善を補助する観点から日常生活に取り込んで手軽に飲用することで速効性と遅効性とのバランス良く機能し、血中へのブドウ糖などの移行を押さえかつインスリンの分泌を促進し血糖値を低下させる機能を併せて備えた柿由来飲料組成物を提供することを目的としています。
上記の目的から本発明では、柿葉の熱水抽出物及び柿果実より採取して成る高分子量柿タンニンを含む飲料組成物で柿葉由来の熱水抽出物に含まれる分子量10,000以下より成るポリフェノール抽出物と柿果実より採取して成る分子量10,000以上より成る柿タンニンを含有させた組成物を用いる。
本発明の柿葉の熱水抽出物及び柿果実より採取して成る高分子量柿タンニンを含む飲料組成物で柿葉由来の熱水抽出物に含まれる分子量10,000以下より成るポリフェノール抽出物と柿果実より採取して成る分子量10,000以上より成る柿タンニンを含有させた組成物を食前に飲用することで食後の血糖値上昇は抑制されるとの効果と共に血糖値が上昇してピークに達した後も速やかな血糖値低下を遅効的にもたらす働きをもつことを確認した。
健常者についての麦芽糖飲用後の血糖値測定結果(N=6の平均値)を示す図である。 糖尿病予備群の被験者についての麦芽糖飲用後の血糖値測定結果(N=4の平均値)を示す図である。 腸管での糖分の吸収に関する概念図である。
次に本発明を実施するための形態について以下にして説明する。
柿は、東アジア原産で我が国でも先史時代から存在したと見られています。野生種の山ガキと栽培ガキとに分けられ雌雄同株になります。現存する品種は、1,000種以上にも及ぶが大きく渋ガキと甘ガキに分けられる。
本発明に用いる柿葉、柿果実の品種としては、富有、平核無、刀根早生、甲州百目(蜂屋・富士)、松本早生富有、早生系次郎、市田柿、次郎、堂上蜂屋(蜂屋)、西条、西村早生、愛宕、太秋、会津身不知、葉隠、中谷早生、三社、大和百目、早生西条、筆柿、伊豆、最勝、上西早生、四ツ溝(溝柿)、早秋、祇園坊、小枝柿、勝平、横野、紋平、大和、石橋早生、やおき、蓮台寺、妙丹、南飛騨富士柿、川底、甘百目、紅柿、花御所、長良、陽豊、水島、大核無、禅寺丸、立石、武田、高瀬、鶴の子、阪口早生、稲佐、大養、碁盤、愛秋豊、伊自良大実、おべん、美濃、すなみ、サエフジ、エボー、稲山、いさはや、つる、西浦、川登早生、紅稲佐、貴秋、川端、東京紅、太天、甲州丸、投烏帽子、こざこ、紅、法蓮坊、天王、南部、仙台、最勝、川底、伊自良大実の群から選定したいずれの品種を用いても良い。
ただし柿葉については、無農薬栽培のものに限る。
柿果実より採取する柿タンニンの成分は、プロアントシアニジン(より正確には、プロデルフィニジン)のポリマーで、エピカテキン、カテキン-3-ガレート、エピガロカテキン、ガロカテキン-3-ガレートが1:1:2:2の割合で結合した高分子化合物である。
柿タンニンは、成熟した渋柿には、1〜2%含まれる。甘柿でも不溶化した状態で1%程度含有している。柿果肉中にはタンニン細胞が特徴的に含まれており、渋みはタンニン細胞中に含まれている可溶性タンニンに起因する。
タンニン細胞の大小、形状、密度は、品種によって著しく異なる。柿タンニンの特性を品質的に安定させる観点からは、柿の品種、採取時期、製造工程を一定に管理することが必要である。
従来製法による柿渋は、果実採取、果実粉砕、発酵、搾液、熟成といった工程で3年以上の時間をかけて製造される。この方法に使用できる果実は、天王柿、法蓮坊柿、山柿など専用品種の8月中下旬の採取によるなど限定されている。 これらの従来製法で製造された柿タンニンは、「柿渋」として市販されている。
しかし、本発明に用いる柿タンニンは、従来型製法の柿渋からさらに柿タンニンの純度を上げて精製したものを用いる。従来型製法による柿渋の臭気のもととなっている低分子の有機酸、アミノ酸、エステル系物質等を分離し、除去して精製したものを用いる。
また奈良県農業総合センター・果実振興センターから柿タンニンの高速抽出法が提案されている。この方法は、果実採取、脱渋、果実粉砕、タンニン細胞分離、熱水抽出といった工程より成るもので果実採取から抽出までが2週間以内と短期間で柿タンニンが得られるとの特徴がある。この方法から得られる柿タンニンについてもさらに可溶性ペクチンなどを分離して精製したものを用いることが望ましい。
柿タンニンの純度をあげるため低分子の有機酸やペクチン等を分離する精製方法としては、遠心分離機や濾過装置を用いて分離・精製する。本発明においては、柿タンニン水溶液から限外濾過法で精製したものを用いた。
一般には、限外濾過法で用いられる膜には分画分子量が5,000から50,000までの膜が有用であるが、好ましくは、分画分子量が10,000から100,000までの膜が良好な結果が得られる。また膜の材質としては、ポリエーテルスルフォンや再生セルロースが挙げられるが、ポリエーテルスルフォンが好ましい。また濾過方法としてはポンプや遠心機を用いた加圧式、吸引式濾過方法等があるがいかなる方法を用いても良い。
これらの方法から得られる柿タンニンは、通常、分子量が2,000から1,000,000程度になるが、本発明に用いる柿タンニンとして分子量が10,000以上のものが望ましい。
本発明では、市販品、柿タンニンの純度を上げるため前記の2種類のいずれの製法のものでも純度を柿タンニン含量で50重量%としたものを用いるのが望ましい。
純度の残部は、水和水、ペクチン、細胞断片繊維などで一部は柿タンニンに吸着、反応している場合も考えられるが本発明に用いることができる。
本発明では、柿タンニンの純度を上げるため10,000分画の限外濾過により低分子分を除いたものであり、分子量は、大部分が30,000を超える高分子となるがほとんどが水に溶解する。高分子であるにも関わらず水に溶解するのは、柿タンニンのフェノール性水酸基が水と水素結合で高い親和状態になるためと推測される。
このような方法で柿果実から採取される柿タンニンは、その多数のフェノール性水酸基に由来して抗酸化性、抗変異原性(細胞が突然変異をするのを防ぐ性質)、抗菌作用、抗ウイルス作用、抗腫瘍作用、抗アレルギー作用、血圧降下作用、消臭作用、香味改良効果、悪酔い防止作用など多くの機能性持つことが知られています。
他方、乾燥させた柿の葉をお茶のように煎じて飲む柿の葉茶は、古来よりノンカフェインの健康茶の一種として血圧安定、高血圧予防、アルコールの分解などの目的で広く用いられてきました。
柿の葉茶の成分として、アストラガリン、ウルソール酸、グルコサイド、ケンフェロール、ケルセチン、ビタミンC、オレアノール酸、ベツリン酸、ウバオール、ヒドロキシウ
ルソール酸、ルチン、カテキン類、カキタンニンなどを含むことが知られています。
本発明では、無農薬栽培の刀根早生の柿の葉を4月から6月に採取し水洗後、直ちに加熱処理することで酸化酵素を失活させ、乾燥して、調整したものを用いていることによりポリフェノールは、変換されずその組成と含有量は、生葉とほぼ同じ組成と見込まれるものを用いて評価している。
酸化酵素のポリフェノールオキシダーゼの失活が有効に出来ているか否かによりポリフェノール類の成分の酸化の進み方が異なることになる。同じ処理でビタミンCのアスコルビン酸に関してもアスコルビン酸オキシターゼも失活させ含有率を高く維持することができる。すなわち製造工程によって柿の葉茶のポリフェノール部分の構成成分が変化する。
とくに柿の葉の熱水抽出物(以降「柿葉茶」と略記)に含まれる柿タンニンは、低分子のポリフェノールでプロデルフィニジンのポリマーで、エピカテキン、カテキン-3-ガレート、エピガロカテキン、ガロカテキン-3-ガレートが2分子から10分子程度結合したポリフェノールオリゴマーの状態のものになる。
特開2007-176845号公報の方法は、高分子量の柿タンニンの水溶液を酸性条件下においてカテキンで分解してポリフェノールオリゴマーを製造するものであるが柿葉茶には、もともと同様のポリフェノールオリゴマーが含まれている。試験に用いた柿の葉茶は、乾燥柿葉2.0グラムを採取し、350mlの蒸留水を用いて90℃で10分煮出したものを用いた。
フォーリン・チオカルト法によるカテキン換算のポリフェノール分としては、乾燥柿葉の約1重量%でまた低分子のポリフェノールオリゴマーは、約0.3重量%であった。
本発明者らは、このような方法で調整した柿葉茶に柿果実より採取して成る分子量10,000以上より成る柿タンニン(以降「高分子柿タンニン」と略記)を共存させた組成物を食前摂取することで糖分の食後の血糖値の上昇を即効的に抑制すると共に血糖値が上昇してピークに達した後も速やかな血糖値低下を遅効的にもたらす働きを示すことを見出したものである。
本発明者は、α-グルコース2分子がα1-4グリコシド結合した還元性二糖である麦芽糖(マルトース)を飲用して血糖値上昇の負荷試験を実施した結果、柿葉茶、高分子柿タンニンをそれぞれ単独で服用した場合にも血糖値の上昇の抑制効果は認められるが、併用して用いた場合に著しい血糖値の上昇の抑制効果と上昇した血糖値の低減効果が得られることを見いだした。
柿葉茶を350ml摂取するとすれば、含まれるポリフェノール分は、約3.5グラム相当になる。これに対する高分子柿タンニンの添加量は、1/20柿葉茶重量部から有効で2/1柿葉茶重量部が上限になる。すなわち7グラムを超えると渋みが強くなる。配合比は、およそ1/10柿葉茶重量部が望ましい。いずれも乾燥重量比を示す。
以下に実施例に基づいて説明する。なお試験では、被験者は、20代から60代の健常者6名、また血糖値がやや高めの境界域にある一般に予備軍と呼ばれる領域にある人4名について試験の目的を説明し事前に同意を得られた人を被験者とした。被験者には、前日の9時以降は絶食として頂き、試験当日の朝8時30分に血糖値を測定して延べ3日間にわたり、以下の要領で試験を実施した。1.水350ml、2.柿葉茶350ml、3.0.3グラムの高分子柿タンニンを溶解させた水350ml、4.柿葉茶350mlに0.3グラムの高分子柿タンニンを溶解させたもの350mlを飲用した後に麦芽糖40グラムを摂取して15分、30分、45分、60分、90分、120分後の血糖値を「テルモメディセーフミニ血糖値自己測定キット」(商品名
)を用いて測定した。
図1に健常者6名での血糖値の測定結果を示す。
水だけの摂取のブランクの場合、食後30分で空腹時血糖値プラス70mg/ml程度まで上昇し、約1時間で空腹時血糖値プラス10mg/mlのレベルに落ち着く。柿葉茶、柿タンニン、単独でも優れた血糖値上昇抑制が認められるが両者を混合した場合には、とくに1時間経過後でも著しい血糖値の低下が認められた。
図2に空腹時血糖値が境界域にある予備軍の被験者4名での血糖値の測定結果を示す。
水だけの摂取のブランクの場合、食後30分で空腹時血糖値プラス100mg/ml程度まで上昇する。しかし図1の健常者の場合と異なり2時間経過しても血糖値は、空腹時血糖値プラス40mg/mlのレベルにある。柿葉茶、柿タンニンとも血糖値の上昇を抑制する効果が認められるが特に柿葉茶に柿タンニンを添加した飲料の場合、1時間から2時間にかけての血糖値の降下が顕著に認められた。
この背景について以下のように考えている。図3に腸管での糖分(麦芽糖)の消化・吸収についての概念図を示す。
図3において1は、小腸管の管腔で、胃から送り出された食物が消化酵素や重炭酸イオンを含んだ膵液と胆汁ともに送られ消化・吸収される。2は、腸管の絨毛上皮細胞で、3が毛細血管になる。
腸管内で4の二糖類(麦芽糖)は、腸管の絨毛上皮細胞2に固定されているマルターゼ6により単糖類(ブドウ糖)のグルコース5に分解される。小腸管の管腔内1でのグルコース5の濃度が高い場合には、グルコース5は拡散で腸管の絨毛上皮細胞2へと取り込まれる。
グルコースの濃度が低い場合でも7のナトリウム/グルコーストランスポーター(SGLT1)を介して腸管の絨毛上皮細胞2へと取り込まれる。小腸管の管腔1のナトリウムイオン10濃度が腸管の絨毛上皮細胞2のナトリウム10濃度よりも高いのでナトリウムイオン10が取り込まれるがナトリウムイオン10と一緒にグルコース5も腸管の絨毛上皮細胞2へと取り込まれる。この際に腸管の絨毛上皮細胞2の浸透圧が高くなるため水も取り込まれる。
腸管の絨毛上皮細胞2に取り込まれたグルコース5は、8のグルコーストランスポーター2(GLUT2)を通して毛細血管3に取り込まれる。またナトリウムイオン10濃度が腸管の絨毛上皮細胞2で高くならないようにナトリウム・カリウムイオンポンプ(NaK ATPase)9によりカリウムイオン11が腸管の絨毛上皮細胞2に毛細血管3より入ってくる代わりにナトリウムイオン10は、毛細血管3に排出され、ナトリウムイオン10濃度が腸管の絨毛上皮細胞2内で維持される。
低分子ポリフェノールの成分Aの13、低分子ポリフェノールの成分Bの14、分子ポリフェノールの成分Cの15は、それぞれ柿葉茶に含まれるアストラガリン、ウルソール酸、グルコサイド、ケンフェロール、ケルセチン、ビタミンC、オレアノール酸、ベツリン酸、ウバオール、ヒドロキシウルソール酸、ルチン、カテキン類、カキタンニンなどの代表成分に相当するものとして示した。
図1、図2の結果から検証は、これからになるが高分子柿タンニン柿葉茶をそれぞれ単独で摂取した場合に、小腸管の管腔内でマルターゼやナトリウム/グルコーストランスポーターなどの機能を阻害することで血糖値の上昇を抑制しているものと考えられる。
柿葉茶、高分子柿タンニンがインスリンの分泌やさらに酸化活性、転写因子NF-κBの活性化阻害などの機能を有効に発揮できるためには、有効成分が血液中に取り込まれ一定時間安定に有効濃度で留まることが必要と考えられる。
しかしながら腸管では有害な物質を取り込まない生体の防御機構の抱合作用がある。60種類くらいの抱合タンパク質16が生体に必要がない異物と見なした場合、異物を補足して生体内には取り込まれることを妨害し大腸を経て排出しようとする働きである。
特に柿葉茶を単独で摂取した場合には、抱合タンパク質16により低分子ポリフェノールの有効な成分が抱合を受け吸収されることなく排出される可能性が高いのに対して高分子柿タンニン12が抱合タンパク質16を補足し、機能させなくする作用が働き、複数の有効成分が腸内吸収され、一定時間血液中に存在してインスリンの分泌やさらに酸化活性、転写因子NF-κBの活性化阻害などの機能を発揮することができるようになるため柿葉茶と高分子柿タンニンの同時摂取が顕著な血糖値低下効果を示したものではないかと判断している。
本発明によれば、健常者から糖尿病の可能性を否定できない人々(糖尿病予備群)までを主対象として、予防的に食前に手軽に飲用することで速効性と遅効性とのバランス良く機能し、血中への単糖類の移行を押さえかつインスリンの分泌を促進し血糖値を低下させる機能を併せて備えた柿由来飲料組成物を提供することができる。
1は、小腸管の管腔
2は、腸管の絨毛上皮細胞
3は、毛細血管
4は、二糖類(麦芽糖)
5は、単糖類(ブドウ糖:グルコース)
6は、マルターゼ
7は、ナトリウム/グルコーストランスポーター(SGLT1)
8は、グルコーストランスポーター2(GLUT2)
9は、ナトリウム・カリウムイオンポンプ(NaK ATPase)
10は、ナトリウムイオン
11は、カリウムイオン
12は、高分子柿タンニン
13は、低分子ポリフェノールの成分A
14は、低分子ポリフェノールの成分B
15は、低分子ポリフェノールの成分C
16は、抱合タンパク質
17は、抱合され排出される低分子ポリフェノールの成分A

Claims (4)

  1. 柿葉の熱水抽出物及び柿果実より採取して成る高分子量柿タンニンを含むことを特徴とする血糖値低下効果を有する飲料組成物。
  2. 柿葉の熱水抽出物は、分子量10,000以下より成るポリフェノールを含有していることを特徴とする請求項1記載の血糖値低下効果を有する飲料組成物。
  3. 高分子量柿タンニンは、分子量10,000以上であることを特徴とする請求項1記載の血糖値低下効果を有する飲料組成物。
  4. 柿葉の熱水抽出物に対する高分子カキタンニンの比が乾燥重量比で1/20〜2/1の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の血糖値低下効果を有する飲料組成物。
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