JP2015174163A - ワイヤー工具 - Google Patents

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佳祐 細川
Keisuke Hosokawa
佳祐 細川
彰広 川原
Akihiro Kawahara
彰広 川原
政博 吉田
Masahiro Yoshida
政博 吉田
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Abstract

【課題】マルチワイヤーソー装置などに対する着脱作業が容易であり、着脱作業中の安全性にも優れたワイヤー工具を提供する。
【解決手段】ワイヤー工具10は芯線11の外周に砥粒12を合成樹脂13で固着した砥粒層14を有する切削工具であり、当該ワイヤー工具10の両方の端部10a,10bからそれぞれ所定長さの部分に研削液に濡れ難い有色被膜15,16が設けられている。ワイヤー工具10の全長10Lは約50kmであり、有色被膜15,16の長さ15L,16Lはそれぞれの端部10a,10bから約1kmとしている。有色被膜15,16はいずれも赤色であり、アクリルシリコン樹脂を含有する塗料を砥粒層14の外周面14aに塗装し、常温下で約30分間乾燥させることによって形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリコン、サファイア、SiC、GaNなどのインゴットをスライス加工する際に使用されるワイヤー工具に関する。
ワイヤー工具を使用してシリコン、サファイア、SiC、GaNなどのインゴットをスライス加工する技術については、ワイヤー工具の種類により、遊離砥粒方式と固定砥粒方式に大別される。遊離砥粒方式は、砥粒を含有する研削液をワイヤー工具に供給しながらインゴットの切断加工を行うものであり、走行するワイヤー工具によってインゴットに押し当てられた砥粒がインゴットを削り取るようにして切断が行われる。固定砥粒方式は、芯線の外周に砥粒が固着されたワイヤー工具を使用し、走行中のワイヤー工具にインゴットを押し当て、芯線の外周の砥粒でインゴットを切断するものである(例えば、特許文献1参照。)。
固定砥粒方式のワイヤー工具については、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂などの合成樹脂で砥粒を芯線の外周に固着したレジンワイヤー工具と、砥粒をメッキ(電着金属)によって芯線の外周に固着した電着ワイヤー工具と、に分けられる。
固定砥粒方式のワイヤー工具を使用してインゴットをスライス加工する場合、例えば、図4に示すようなマルチワイヤーソー装置100が用いられている。マルチワイヤーソー装置100においては、ワイヤー工具101をガイドするための複数のガイド溝102が外周に形成された複数のガイドローラー103が、それぞれの軸心103cが互いに平行をなすように配置され、繰り出しボビン(図示せず)から供給されるワイヤー工具101を各ガイド溝102に掛けて一定張力で平行に張り、複数のガイドローラー103の間で往復運動するワイヤー工具101に対し、被加工物であるインゴット104を押し当てることにより、インゴット104の切断加工(スライス加工)が行われている。
また、図4に示すマルチワイヤーソー装置100においては、図示していないが、繰り出しボビンから一方のガイドローラー103までの間、及び、他方のガイドローラー103から巻き取りボビンまでの間に、ワイヤー工具101を所定方向に誘導したり、一定姿勢に保持したりするための複数のプーリが配置されている。
一方、本発明と全く異なる技術分野であるが、例えば、医療器具の分野においては、カテーテルの先端を目的箇所に導く際に使用される医療用ガイドワイヤの視認性を向上させるために螺旋状の模様を付したもの、あるいは医療用ワイヤーロープの識別性を向上させるために螺旋状の着色部位を設けたものなどが提案されている(例えば、特許文献2,3参照。)。
特開2000−288902号公報 特開2002−17864号公報 特開2012−193475号公報
前述したように、固定砥粒方式のワイヤー工具を使用してインゴットをスライス加工する場合、図4に示すマルチワイヤーソー装置100が用いられているが、切断作業を開始する前に、ワイヤー工具101をマルチワイヤーソー装置100に装着する作業が極めて困難であるという問題がある。
即ち、マルチワイヤーソー装置100は、二つのガイドローラー103のガイド溝102や、その前後段階に配置された複数のプーリ(図示せず)など、ワイヤー工具101をセットすべき個所を多く備えているだけでなく、ワイヤー工具101は、外径が細く(数百μm程度)、目視確認が困難であるため、マルチワイヤーソー装置100にワイヤー工具101を装着したり、離脱させたりする作業は極めて困難である。また、ワイヤー工具101は細くて目視確認し難いのみならず、切削機能を有しているため、装着作業中、予期せぬときに誤って手指などがワイヤー工具101に触れると、皮膚を傷つける可能性もある。
このような問題に対処する手段として、ワイヤー工具101の視認性を高めることが考えられるが、ワイヤー工具に対し、特許文献2,3に記載されている技術を応用することは、ほぼ不可能である。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、マルチワイヤーソー装置などに対する着脱作業が容易であり、着脱作業中の安全性にも優れたワイヤー工具を提供することにある。
本発明のワイヤー工具は、芯線の外周に砥粒を電着金属若しくは合成樹脂で固着したワイヤー工具において、当該ワイヤー工具の少なくとも一部に、研削液に濡れ難い有色被膜を設けたことを特徴とする。ここで、有色とは、当該ワイヤー工具の他の部分と色相、明度、彩度のいずれか1以上が異なることをいう。
このような構成とすれば、ワイヤー工具の有色被膜は、他の部分より目立つ状態となって目視確認し易くなり、所謂、視認性が向上するので、マルチワイヤーソー装置などに対する着脱作業が容易となる。また、視認性が向上することにより、予測しない状況で手指がワイヤー工具に接触することを回避することができるので、安全性にも優れている。また、有色被膜を設けたことにより、砥粒が被膜で被覆された状態となるので、マルチワイヤーソー装置などへの装着作業中、予期せぬ時に誤って手指などがワイヤー工具に触れても、皮膚を傷つけ難くなる。さらに、本発明における有色被膜は研削液に濡れ難いので、研削液がワイヤー工具に付着しても有色被膜の表面で弾かれ、優れた視認性を維持することができる。
また、前記ワイヤー工具の少なくとも一方の端部から所定長さの部分に前記有色被膜を設けることが望ましい。
ワイヤー工具をマルチワイヤーソー装置など対して取り付けたり、取り外したりする場合、着脱作業に関与するのはワイヤー工具の端部寄りの部分であるため、前記構成とすれば、有色被膜を必要最小限に抑制しつつ、視認性を確保することができる。
さらに、前記有色被膜は赤色であることが望ましい。このような構成とすれば、赤色は、可視光の中で長波長領域に属し、長波長の光は短波長の光より散乱され難いので、特に優れた視認性を発揮する。
一方、前記有色被膜は、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂の中の少なくとも一つを含む塗料で形成することができる。
また、前記塗料が顔料若しくは蛍光物質の少なくとも一方を含むものであることが望ましい。
前記塗料のマンセル値の色相は5R〜6Rであることが望ましい。
前記塗料のマンセル値の明度は5〜6であることが望ましい。
前記塗料のマンセル値の彩度は16〜19であることが望ましい。
さらに、本発明のワイヤー工具においては、当該ワイヤー工具の端部から1kmの長さの部分を前記有色被膜とすることが望ましい。
また、前記有色被膜の表面に蒸留水を塗布したときの接触角が73度〜91度であることが望ましい。
本発明により、マルチワイヤーソー装置などに対する着脱作業が容易であり、着脱作業中の安全性にも優れたワイヤー工具を提供することができる。
本発明の実施形態であるワイヤー工具を示す一部省略図である。 図1に示すワイヤー工具の矢線Aで示す領域の拡大図である。 ボビンに巻回された状態にある図1のワイヤー工具を示す一部省略斜視図である。 従来のマルチワイヤーソー装置を示す一部省略斜視図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。図1,図2に示すように、本実施形態のワイヤー工具10は芯線11の外周に砥粒12を合成樹脂13で固着した砥粒層14を有する切削工具であり、当該ワイヤー工具10の両方の端部10a,10bからそれぞれ所定長さの部分に研削液に濡れ難い有色被膜15,16が設けられている。ワイヤー工具10の全長10Lは約50kmであり、有色被膜15,16の長さ15L,16Lはそれぞれの端部10a,10bから約1kmとしているが、これに限定するものではない。
有色被膜15,16はいずれも赤色であり、アクリルシリコン樹脂を含有する塗料(例えば、株式会社カンペハピオの製品「油性トップガード」マンセル値:色相6.0R明度5.0/彩度18.3)を砥粒層14の外周面14aに塗装し、常温下で約30分間乾燥させることによって形成されている。塗装方法は、スプレー法、ディップ法あるいは電着塗装法などを用いることができる。
このような構成とすれば、ワイヤー工具10の有色被膜15,16は、他の部分より目立つ状態となって目視確認し易くなり、所謂、視認性が向上するので、例えば、図4に示すマルチワイヤーソー装置100などに対する着脱作業が容易となる。また、有色被膜15,16の視認性が向上することにより、着脱作業中などに、予期せぬときに手指がワイヤー工具100に接触することを回避することができるので、安全性に優れている。
また、有色被膜15,16を設けたことにより、砥粒12が有色被膜15,16で被覆された状態となるので、マルチワイヤーソー装置100(図4参照)などへのワイヤー工具10の装着作業中、予期せぬ時に誤って手指などがワイヤー工具10に触れても、皮膚を傷つけ難くなる。さらに、有色被膜15,16は水に濡れ難いので、研削液(例えば、株式会社ノリタケカンパニーリミテドの製品「ノリタケクール S−1K」など)が有色被膜15,16に付着したときに表面で弾かれ、研削液で覆われてしまうことがなく、優れた視認性を維持することができる。
ここで、有色被膜15,16を形成する塗料(「油性トップガード」)の親水性を評価するために、異なる塗料を塗布された複数のサンプルの塗装表面の濡れ性を測定したところ、表1に示すような結果が得られた。なお、サンプルは、真鍮板の表面にそれぞれの塗料を、アプリケーターを用いて10μmの厚さで塗布し、30分間、常温常圧下で乾燥させて形成した。また、サンプルの1つであるニッケルは真鍮板に1Aで10分間ニッケルめっきを施して作製した。接触角については、サンプルの表面に、マイクロシリンジを用いて蒸留水を3μl滴下し、滴下から60秒経過時に接触角計(DSA100:KRUSS社製)を用いて画像を撮影し、その画像から接触角を算出した。
表1を見ると、ニッケル、油性トップガード、蛍光色スプレー、油性ウレタンガード、ルミノサイン、の順に接触角が大であり、ニッケルに比べると、いずれの塗料も濡れ難いことが分かる。
また、図3に示すように、ボビン17に巻回された状態にあるワイヤー工具10をマルチワイヤーソー装置100(図4参照)など対して取り付けたり、あるいはマルチワイヤーソー装置100から取り外したりする場合、着脱作業に関与するのはワイヤー工具10のそれぞれの端部10a,10b(図1参照)寄りの部分であるため、有色被膜15,16の長さ15L,16Lをそれぞれの端部10a,10bから約1km程度とすれば、有色被膜15,16の長さ15L,16Lを必要最小限に抑制しつつ、視認性を確保することができる。
さらに、赤色は、可視光の中で長波長領域に属し、長波長の光は短波長の光より散乱され難いので、有色被膜15,16を赤色としたことにより優れた視認性を発揮する。なお、有色被膜15,16の色は赤色に限定しないので、他の色(例えば、橙色、蛍光赤色)とすることもできる。
ここで、異なる色に着色したワイヤー工具を目視で確認し、視認性を評価したところ、表2に示すような結果が得られた。評価方法は、塗料を塗布していないワイヤー工具と比べ、視認性が向上したものは「○」とし、視認性が低下若しくは変化ないものは「×」としている。
表2を見ると、赤色若しくは蛍光赤色の視認性が高いのに対し、その他の色(灰色、白色、茶色、黒色、青色)の視認性は低いことが分かる。
なお、有色被膜15,16を形成するための塗料については、前述したものに限定しないので、アクリル樹脂を含有する塗料(例えば、株式会社カンペパピオの製品「蛍光色スプレー」マンセル値:5.4R5.7/16.8)、ウレタン樹脂を含有する塗料(例えば、株式会社カンペパピオの製品「油性ウレタンガード」マンセル値:6.0R5.0/18.3)あるいは蛍光物質及びアルキド樹脂を含有する塗料(例えば、シンロイヒ株式会社の製品「ルミノサイン」マンセル値:6.2R5.2/17.7)などを使用することもできる。
図2に示すように、ワイヤー工具10の砥粒層14は合成樹脂13で砥粒12を固着することによって形成されているが、これに限定しないので、芯線の外周に電着金属で砥粒を固着して形成された砥粒層の外周面に有色塗料を塗装して有色被膜を設けることもできる。
なお、図1〜図3に基づいて説明したワイヤー工具10は本発明の一例を示すものであり、本発明のワイヤー工具は前述したワイヤー工具10に限定されない。
本発明のワイヤー工具は、シリコン、サファイア、SiC、GaNなどのインゴットのスライス加工を行う産業分野において広く利用することができる。
10 ワイヤー工具
10a,10b 端部
10L 全長
11 芯線
12 砥粒
13 合成樹脂
14 砥粒層
14a 外周面
15,16 有色被膜
15L,16L 有色被膜の長さ
17 ボビン

Claims (10)

  1. 芯線の外周に砥粒を電着金属若しくは合成樹脂で固着したワイヤー工具において、当該ワイヤー工具の少なくとも一部に研削液に濡れ難い有色被膜を設けたことを特徴とするワイヤー工具。
  2. 前記ワイヤー工具の少なくとも一方の端部から所定長さの部分に前記有色被膜を設けた請求項1に記載のワイヤー工具。
  3. 前記有色被膜が赤色である請求項1または2に記載のワイヤー工具。
  4. 前記有色被膜を、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂の中の少なくとも一つを含む塗料で形成した請求項1〜3のいずれかに記載のワイヤー工具。
  5. 前記塗料が顔料若しくは蛍光物質の少なくとも一方を含むものである請求項4に記載のワイヤー工具。
  6. 前記塗料のマンセル値の色相が5R〜7Rである請求項4または5に記載のワイヤー工具。
  7. 前記塗料のマンセル値の明度が5〜6である請求項4〜6のいずれかに記載のワイヤー工具。
  8. 前記塗料のマンセル値の彩度が16〜19である請求項4〜7のいずれかに記載のワイヤー工具。
  9. 前記ワイヤー工具の端部から1kmの長さの部分を前記有色被膜とした請求項1〜8のいずれかに記載のワイヤー工具。
  10. 前記有色被膜の表面に蒸留水を塗布したときの接触角が73度〜91度である請求項1〜8のいずれかに記載のワイヤー工具。
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JP2018538149A (ja) * 2015-09-30 2018-12-27 コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ 研磨粒子を含有する発光性基材及びその製造方法
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