JP2015173993A - 排ガス浄化装置 - Google Patents

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洋 阿野田
Hiroshi Anoda
洋 阿野田
田代 圭介
Keisuke Tashiro
圭介 田代
武久 藤田
Takehisa Fujita
武久 藤田
田辺 健
Takeshi Tanabe
健 田辺
正広 津田
Masahiro Tsuda
正広 津田
瑞喜 穴井
Mizuki Anai
瑞喜 穴井
佐藤 大祐
Daisuke Sato
大祐 佐藤
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Abstract

【課題】リンによる触媒の劣化を抑制しつつフィルタの再生処理を確実に行なう。【解決手段】触媒22は、担体24と、触媒層26とを備えている。担体24には、排ガスが流れるセル28が形成され、触媒層26の表面はセル28を仕切る壁面28Aを構成している。触媒層26は、貴金属30と、基材32とを含み、基材32は、壁面28Aを構成すると共に壁面28Aに開口する多数の細孔3202を有し細孔3202内で貴金属30を担持している。セル28の上流側における基材32の細孔の直径を上流側細孔径D1とし、セル28の下流側における基材32の細孔の直径を下流側細孔径D2としたとき、上流側細孔径D1<下流側細孔径D2とした。フィルタ36の再生処理時に触媒22に導入される未燃ガスに含まれる分子量の大きな炭化水素の分子2Aは、上流側の細孔3202には入り難く、下流側の細孔3202には入り易くなる。【選択図】図5

Description

本発明は内燃機関の排ガスガスを浄化する排ガス浄化装置に関する。
内燃機関、例えば、ディーゼルエンジンの排ガスを浄化する排ガス浄化装置として、内燃機関から排出される排ガスの排気路に介設され排ガスを浄化する触媒と、触媒の下流の排気路の箇所に介設され排ガス中の微粒子を捕集するフィルタとを備えるものが知られている(特許文献1参照)。
酸化触媒は、貴金属と、細孔が形成され細孔内に貴金属を担持する基材とを含む触媒層が担体に保持されて構成されたものである。
酸化触媒は、排ガスに含まれる炭化水素(HC)および一酸化炭素(CO)を酸化させて二酸化炭素(CO)および水(HO)に変化させることで排ガスを浄化する。
フィルタは、内燃機関から排出される排ガス中の微粒子(PM)を捕集するものである。
フィルタは、一定量以上の微粒子が捕集されるとフィルタが目詰りするため、捕集された微粒子を燃焼させて再生処理を行なう必要がある。
フィルタの再生処理は、フィルタの上流側に位置する酸化触媒に未燃ガスを供給することで酸化触媒の酸化反応を促進させて酸化触媒の温度を上昇させ、酸化触媒からフィルタに供給される排ガスの温度を微粒子が燃焼されるのに足る温度まで上昇させることでなされる。
特開2012−217938号公報
一方、酸化触媒は、オイルに含まれるリン(P)によって劣化する(被毒する)ことが知られている。
リンによる酸化触媒の劣化は、高温環境下においてリンが基材と化合物を構成しこの化合物が基材を覆うことにより基材の細孔構造が消失して排ガスと貴金属との接触が妨げられることによって生じる。
リンによる酸化触媒の劣化は、酸化触媒の温度が高くなるほど顕著となる。
したがって、酸化触媒の劣化を抑制するためには、フィルタの再生処理時において酸化触媒の温度上昇を抑制することが有効となる。
しかしながら、単に酸化触媒の温度上昇を抑制すると、酸化触媒からフィルタに供給される排ガスの温度をフィルタの再生処理に必要な温度まで上昇させることが困難となり、フィルタの再生処理を確実に行なう上で不利となる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、リンによる触媒の劣化を抑制しつつフィルタの再生処理を確実に行なう上で有利な排ガス浄化装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、内燃機関から排出される排ガスの排気路に介設され前記排ガスを浄化する触媒と、前記触媒の下流の前記排気路の箇所に介設され前記排ガス中の微粒子を捕集するフィルタとを備える排ガス浄化装置であって、前記触媒は、前記排ガスが流れるセルを仕切る壁面を構成する触媒層と、前記触媒層を保持する担体とを備え、前記触媒層は、貴金属と、前記壁面を構成すると共に前記壁面に開口する多数の細孔を有し前記細孔内で前記貴金属を担持する基材とを含み、前記セルの排ガス流れ方向上流側における前記基材の前記細孔の直径を上流側細孔径とし、前記セルの排ガス流れ方向下流側における前記基材の前記細孔の直径を下流側細孔径としたとき、前記上流側細孔径は前記下流側細孔径よりも小さいことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記上流側細孔径は、前記内燃機関の通常運転時に前記触媒の前記セルに流入される前記排ガスに含まれる炭化水素分子寸法以上、かつ、前記フィルタの再生時に前記触媒の前記セルに流入される未燃ガスに含まれる炭化水素分子寸法未満であり、前記下流側細孔径は、前記未燃ガスに含まれる炭化水素分子寸法以上であることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記触媒層は、前記貴金属、前記基材に加えて炭化水素を吸着する吸着剤を含み、前記流路の排ガス流れ方向上流側における前記吸着剤の含有量は、前記流路の排ガス流れ方向下流側における前記吸着剤の含有量よりも多いことを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、触媒の基材における上流側細孔径を下流側細孔径よりも小さいものとしたので、フィルタの再生処理時に触媒に導入される未燃ガスに含まれる分子量の大きな炭化水素の分子は、セルの上流側の細孔には入り難く、セルの下流側の細孔には入り易くなる。
そのため、触媒の上流側における分子量の大きな炭化水素の分子の酸化反応が抑制されるため、触媒の上流側の温度上昇が抑制されることにより、リンによる触媒の劣化の抑制を図る上で有利となる。また、触媒の下流側における分子量の大きな炭化水素の分子の酸化反応が抑制されることなく行なわれるため、触媒からフィルタに導入される排ガスの温度をフィルタの再生処理に必要な温度まで上昇させることができ、フィルタの再生処理を確実に行なう上で有利となる。
請求項2記載の発明によれば、リンによる触媒の劣化の抑制を図りつつ、フィルタの再生処理を確実に行なう上でより有利となる。
請求項3記載の発明によれば、フィルタの再生処理時において、吸着剤の作用によって触媒の上流側の温度上昇が抑制されることにより、リンによる触媒の劣化の抑制を図る上でより有利となる。
第1の実施の形態に係る排ガス浄化装置の構成を示す説明である。 図1のA矢視図であり、酸化触媒の正面図である。 第1の実施の形態における触媒層の構成を示す模式図である。 内燃機関の通常運転時における炭化水素と基材の細孔との関係を示す模式図であり、(A)は排ガスの流れの上流側における炭化水素と基材の細孔との関係を示す図、(B)は炭化水素と排ガスの流れの下流側における炭化水素と基材の細孔との関係を示す図である。 フィルタの再生処理時における炭化水素と基材の細孔との関係を示す模式図であり、(A)は排ガスの流れの上流側における炭化水素と基材の細孔との関係を示す図、(B)は炭化水素と排ガスの流れの下流側における炭化水素と基材の細孔との関係を示す図である。 フィルタの再生処理時における触媒の流路に沿った酸化触媒の温度分布を示す図である。 第2の実施の形態における触媒層の構成を示す模式図である。 フィルタの再生処理時における酸化触媒の各部の温度変化を示す図であり、触媒層に含まれる吸着剤の含有量が多い場合と少ない場合とを比較した図である。
(第1の実施の形態)
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、内燃機関10の排気路12上に排ガス浄化装置14が介設されている。
なお、本実施の形態では、内燃機関10が軽油を燃料とするディーゼルエンジンである場合について説明するが、内燃機関10がガソリンを燃料とするガソリンエンジンであっても本発明は無論適用可能である。
内燃機関10は、各気筒の燃焼室(不図示)に吸気路11を介して吸気が導入され、燃焼後の排ガスを排気路12を介して外部に排出する。
排ガス浄化装置14は、触媒装置16とフィルタ装置18とを含んで構成されている。
フィルタ装置18は、触媒装置16の下流の排気路12の箇所に配置されている。
触媒装置16は、ケーシング20と、ケーシング20内に保持された触媒22とを含んで構成されている。
触媒22は、排ガスに接触し、排ガスに含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)を酸化することで排ガスを浄化するもので、例えば、酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)で構成されている。
フィルタ装置18は、ケーシング34と、ケーシング34内に保持されたフィルタ36とを含んで構成されている。
フィルタ36は、排ガス中の微粒子を捕集するものである。
フィルタ36は、微粒子によって目詰りを生じないように、フィルタ36に堆積した微粒子を燃焼して除去する再生処理を行なう必要がある。
フィルタ36の再生処理は、触媒22に未燃ガスを供給することで触媒22の酸化反応を促進させて触媒22の温度を上昇させ、触媒22からフィルタ36に供給される排ガスの温度を微粒子が燃焼されるに足る温度まで上昇させ、これにより、フィルタ36の微粒子を燃焼させることによって行なわれる。
また、フィルタ36の再生処理時に触媒22に供給される未燃ガスに含まれる炭化水素の濃度は、内燃機関10の通常運転時に排ガスに含まれる炭化水素の濃度よりも高いため、触媒22の温度は、内燃機関10の通常運転時における温度よりも高温となる。
なお、未燃ガスの供給は、内燃機関10のポスト噴射や排気路12への配管噴射などによって行なわれる。
次に、触媒装置18について詳細に説明する。
触媒装置18のケーシング20は、円筒部2002と、円筒部2002の軸方向の両端の端面部2004とを備え、各端面部2004の中央に開口が設けられている。
内燃機関10に近い側の端面部2004の開口は、排気路12を流れる排ガスがケーシング20内に流入される入口部2010となっており、内燃機関10から遠い側の端面部2004の開口は、触媒22で浄化された排ガスがケーシング20外に排出される出口部2012となっている。
触媒22は、図3に示すように、担体24と、触媒層26とを備えている。
担体24は、図1、図2に示すように、円柱状を呈し、その中心軸を円筒部2002の中心軸と合致させて円筒部2002に収容されている。
図2に示すように、担体24には、担体24の軸方向に貫通する複数の孔2402が形成され、孔2402以外の担体24の箇所はセル壁2404となっている。
担体24として、コージェライトなどのセラミック、金属あるいは多孔金属など従来公知の様々な材料が使用可能である。
図3に示すように、複数の孔2402の内周面は触媒層26で覆われ、触媒層26は孔2402の内周面で保持されている。
各孔2402の内周面を覆う触媒層26の表面で排ガスが流れるセル28が形成され、触媒層26の表面はセル28を仕切る壁面28Aを構成している。
触媒層26は、貴金属30と、基材32とを含む。
貴金属30は、排ガスに含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)を酸化することにより、二酸化炭素(CO)、水(HO)に変えて排ガスを浄化するものである。
貴金属30として、Pt(白金)やPd(パラジウム)など従来公知の様々な貴金属30が使用可能である。
基材32は、図3、図4(A)に示すように、壁面28Aを構成すると共に、壁面28Aに開口する多数の細孔3202を有し細孔3202内で貴金属30を担持している。
基材32として、アルミナなどの従来公知の様々な材料が使用可能である。
したがって、排気路12から入口部2010を経てケーシング20内に流入した排ガスは、複数のセル28内を入口部2010から出口部2012に向かって流れ、あるいは、セル壁2404の内部の空隙を通り抜けて隣接するセル28に移動しつつセル28内を出口部2012に向かって流れる。その際に、排ガスが、基材32の細孔3202内に担持された貴金属30と接触することで排ガスが浄化される。
具体的には、図4(A)に示すように、炭化水素の分子2や一酸化炭素の分子が基材32の細孔3202内に入り、細孔3202内の貴金属30と酸化反応することで排ガスの浄化がなされる。
本実施の形態では、図1に示すように、各セル28の上流側の端部2802および下流側の端部2804は開放されているが、一方の端部が開放され他方の端部が閉塞されているセル28など従来公知の様々な構造のセル28が採用可能である。
ここで、炭化水素について説明する。
本発明者らが車両の排ガス浄化装置の触媒に付着した炭化水素成分を分析したところ、排ガスに含まれる炭化水素としては、炭素数がC3からC7の分子量の小さなものが主成分であることがわかった。
また、以下の文献1、文献2による軽油の分析結果によれば、軽油に含まれる炭化水素としては、炭素数がC9からC20の分子量の大きなものが主成分であることが示されている。
文献1:社団法人日本機械工業連合会 社団法人日本ファインセラミックス協会「平成15年度排ガス浄化システムに係る技術開発動向に関する調査報告書」P89 図10
文献2:豊田中央研究所 小川忠男 「豊田中央研究所R&DレビューVol.32 No.2(1997.6)」P82 Fig.8
本実施の形態では、上述した炭化水素の炭素数の大きさ、言い換えると、分子量の大きさに着目し、図4(A)に示すように、セル28の上流側における基材32の細孔の直径を上流側細孔径D1とし、図4(B)に示すように、セル28の下流側における基材32の細孔の直径を下流側細孔径D2としたとき、上流側細孔径D1を下流側細孔径D2よりも小さいものとした。
したがって、フィルタ36の再生処理時に触媒22に導入される未燃ガスに含まれる分子量の大きな炭化水素の分子2Aは、図5(A)に示すように、上流側の細孔3202には入り難く、図5(B)に示すように、下流側の細孔3202には入り易くなる。
さらに、本実施の形態では、上流側細孔径D1は、内燃機関10の通常運転時に触媒22に導入される排ガスの炭化水素の分子寸法以上、かつ、フィルタ36の再生時に触媒22に導入される未燃ガスの炭化水素の分子寸法未満とした。また、下流側細孔径D2は、未燃ガスの炭化水素の分子寸法以上とした。
そのため、図4(A)、(B)に示すように、通常運転時の内燃機関10から排出される排ガスに含まれる分子量の小さな炭化水素の分子2は、セル28の上流側から下流側の全域にわたった基材32の細孔3202に入ることができる。
一方、図5(A)、(B)に示すように、フィルタ36の再生処理時に触媒22に導入される未燃ガスに含まれる分子量の大きな炭化水素の分子2Aは、セル28の上流側の基材32の細孔3202には入り難く、かつ、セル28の下流側の基材32の細孔3202には入り易くなる。
なお、排ガスに含まれる一酸化炭素の分子は、排ガスに含まれる炭化水素の分子2に比較して小さいため、上流側細孔径D1、下流側細孔孔径D2に拘わらず、上流側の細孔3202および下流側の細孔3202に入って貴金属30と酸化反応する。
次に、フィルタ装置18について詳細に説明する。
図1に示すように、フィルタ装置18のケーシング34はフィルタ36を収容するもので、触媒装置18のケーシング34の場合と同様に、円筒部3402と、円筒部3402の軸方向の両端の端面部3404とを備え、各端面部3404の中央に開口が設けられている。
触媒装置16に近い側の端面部3404の開口は、触媒22で浄化された排ガスがケーシング34内に流入される入口部3410となっており、触媒装置16から遠い側の端面部3404の開口は、フィルタ36で浄化された排ガスがケーシング34外に排出される出口部3412となっている。
フィルタ36は、触媒22の担体24と同様に、円柱状を呈し、その中心軸を円筒部3402の中心軸と合致させて円筒部3402に収容されている。
フィルタ36は、フィルタ36の軸方向に貫通する複数のセル3602が形成され、セル3602はセル壁3604によって仕切られている。
フィルタ36は、各セル3602の上流側の端部3602Aおよび下流側の端部3602Bの何れか一方の端部が開放され、他方の端部が目詰め部材37により閉塞されている。
触媒装置16から入口部3410を経てケーシング34内に流入した排ガスは、各セル3602のセル壁3604内部を少なくとも一回は通過してから、下流側の端部3602Bへと流出する。このように、排ガスがセル壁3604内部を通過する際に、排ガス中に含まれる微粒子がセル壁3604内やセル壁3604表面に捕集され、排ガスが浄化(濾過)される。
フィルタ36として、炭化ケイ素やコージェライトなどのセラミックフィルタ36など従来公知の様々な材料が使用可能である。
次に、排ガス浄化装置14の動作について説明する。
まず、内燃機関10の通常運転時について説明する。
上流側細孔径D1は、内燃機関10の通常運転時に触媒22に導入される排ガスの炭化水素の分子寸法以上、下流側細孔径D2は、未燃ガスの炭化水素の分子寸法以上である。
そのため、通常運転時の排ガスに含まれる分子量が小さい炭化水素の分子2は、図4(A)に示すように、セル28の上流側においても基材32の細孔3202に入ることができ、図4(B)に示すように、セル28の下流側においても基材32の細孔3202に入ることができる。
したがって、セル28の上流側から下流側にわたる触媒22の全域において、炭化水素の分子2が貴金属30と反応して酸化されることで排ガスが浄化される。
次に、フィルタ36の再生処理時について説明する。
上流側細孔径D1は、内燃機関10の通常運転時に触媒22に導入される排ガスの炭化水素の分子寸法以上、かつ、フィルタ36の再生時に触媒22に導入される未燃ガスの炭化水素の分子寸法以下であり、下流側細孔径D2は、未燃ガスの炭化水素の分子寸法以上である。
そのため、フィルタ36の再生処理時に触媒22に導入される未燃ガスに含まれる分子量の大きな炭化水素の分子2Aは、図5(A)に示すように、セル28の上流側においては、基材32の細孔3202に入り難く、図5(B)に示すように、セル28の下流側において基材32の細孔3202に入り易い。
したがって、セル28の上流側の触媒22の部分においては、分子量の大きな炭化水素の分子2Aと貴金属30との酸化反応が抑制されるため、発生する酸化熱は低いものとなる。
一方、セル28の下流側の触媒22の部分においては、分子量の大きな炭化水素の分子2Aと貴金属30との酸化反応が抑制されないため、発生する酸化熱は高いものとなる。
そのため、触媒22からフィルタ36に導入される排ガスの温度は、フィルタ36の再生処理を行なうに足る温度が確保される。
図6は、フィルタ36の再生処理時におけるセル28に沿った触媒22の温度分布を示している。
図6において、横軸は、セル28に沿った位置を示しており、符号P1が触媒22の上流側の端部、符号P2が触媒22の下流側の端部を示し、縦軸は温度を示している。
図中、実線は従来の触媒の温度分布を示し、破線は本実施の形態が適用された触媒22の温度分布を示す。
図6からわかるように、従来の触媒では、セル28の上流側から中間部に至るにつれて温度が急激に上昇し、中間部から下流側にわたる広い領域がリンの化合物が生成される温度Tpに近い温度となっており、リンによる劣化領域Aが大きいものとなっている。
一方、本実施の形態の触媒22では、上流側から中間部にわたる温度上昇が抑制されているため、上記温度Tpに近い温度となる部分は、触媒22の下流端近傍に限定されており、リンによる劣化領域Bが小さいものとなっており、従来の触媒22に比較してリンによる劣化を抑制する上で有利となっていることがわかる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、触媒22の基材32における上流側細孔径D1を下流側細孔径D2よりも小さいものとしたので、フィルタ36の再生処理時に触媒22に導入される未燃ガスに含まれる分子量の大きな炭化水素の分子2Aは、セル28の上流側の細孔3202には入り難く、セル28の下流側の細孔3202には入り易くなる。
そのため、触媒22の上流側における分子量の大きな炭化水素の分子2Aの酸化反応が抑制されるため、触媒22の上流側の温度上昇が抑制されることにより、リンによる触媒22の劣化の抑制を図る上で有利となる。
また、触媒22の下流側における分子量の大きな炭化水素の分子2Aの酸化反応が抑制されることなく行なわれるため、触媒22からフィルタ36に導入される排ガスの温度をフィルタ36の再生処理に必要な温度まで上昇させることができ、フィルタ36の再生処理を確実に行なう上で有利となる。
また、本実施の形態では、触媒22の基材32における上流側細孔径D1を、内燃機関10の通常運転時に触媒22に導入される排ガスの炭化水素の分子寸法以上、かつ、フィルタ36の再生時に触媒22に導入される未燃ガスの炭化水素の分子寸法以下とし、下流側細孔径D2を、未燃ガスの炭化水素の分子寸法以上とした。
したがって、触媒22の上流側における分子量の大きな炭化水素の分子2Aの酸化反応を確実に抑制しつつ、触媒22の下流側における分子量の大きな炭化水素の分子2Aの酸化反応を確実に行わせる上で有利となるため、リンによる触媒22の劣化の抑制を図りつつ、フィルタ36の再生処理を確実に行なう上でより有利となる。
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分については同一の符号を付してその説明を省略し、相違する部分について重点的に説明する。
第2の実施の形態は、図7に示すように、触媒層26は、貴金属30、基材32に加えて、炭化水素の分子2を吸着する吸着剤40を含んでいる。また、基材32の細孔の直径は、第1の実施形態と同様に上流側細孔径D1を下流側細孔径D2よりも小さいものとした。
吸着剤40は、貴金属30を担持した基材32と共に、セル28の壁面28Aを構成している。
吸着剤40について説明する。
触媒22は、温度が上がらないと浄化性能を発揮することができない。
したがって、内燃機関10の始動直後で触媒22が低温状態の場合、浄化できない炭化水素の分子2が触媒22から排出されてしまうことを抑制するために、炭化水素の分子2を一時的にトラップする吸着剤40を触媒層26に含ませることが行なわれる。
吸着剤40として、ゼオライトなどの従来公知の材料が使用可能である。
図8は、フィルタ36の再生処理時における触媒22の各部の温度変化を示す図であり、触媒層26に含まれる吸着剤40の含有量が多い場合と少ない場合とを比較した図である。なお、図8の触媒22では、触媒22の上流側と下流側とで基材32の細孔の直径は同一となっている。
温度を測定した箇所は、ケーシング34の入口部3410の箇所PAと、セル28の上流側に対応する触媒22の箇所PBと、セル28の下流側に対応する触媒22の箇所PCとの3箇所である。
また、図中、実線は、吸着剤40の含有量が少ない場合を示し、破線は、吸着剤40の含有量が多い場合を示している。
図8からわかるように、吸着剤40の含有量が多いほど触媒22の温度上昇が抑制されていることがわかる。
第2の実施の形態では、上述のような吸着剤40の作用に着目して、触媒22において、セル28の上流側の触媒層26における吸着剤40の含有量を、セル28の下流側の触媒層26における吸着剤40の含有量よりも多くしたものである。
したがって、触媒22の上流側では、触媒層26における吸着剤40の含有量が多いため、フィルタ36の再生処理時において、吸着剤40の作用によって触媒22の上流側の温度上昇が抑制されることにより、リンによる触媒22の劣化の抑制を図る上でより有利となる。
また、触媒22の下流側では、触媒層26における吸着剤40の含有量が少ないため、吸着剤40の作用によって触媒22の下流側の温度上昇はほとんど抑制されないことにより、触媒22からフィルタ36に導入される排ガスの温度をフィルタ36の再生処理に必要な温度に上昇させることができ、フィルタ36の再生処理を確実に行なう上で有利となる。
10 内燃機関
12 排気路
14 排ガス浄化装置
16 触媒装置
18 フィルタ装置
22 触媒
24 担体
26 触媒層
28 セル
28A 壁面
30 貴金属
32 基材
3202 細孔
36 フィルタ
40 吸着剤

Claims (3)

  1. 内燃機関から排出される排ガスの排気路に介設され前記排ガスを浄化する触媒と、前記触媒の下流の前記排気路の箇所に介設され前記排ガス中の微粒子を捕集するフィルタとを備える排ガス浄化装置であって、
    前記触媒は、前記排ガスが流れるセルを仕切る壁面を構成する触媒層と、前記触媒層を保持する担体とを備え、
    前記触媒層は、貴金属と、前記壁面を構成すると共に前記壁面に開口する多数の細孔を有し前記細孔内で前記貴金属を担持する基材とを含み、
    前記セルの排ガス流れ方向上流側における前記基材の前記細孔の直径を上流側細孔径とし、前記セルの排ガス流れ方向下流側における前記基材の前記細孔の直径を下流側細孔径としたとき、前記上流側細孔径は前記下流側細孔径よりも小さい、
    ことを特徴とする排ガス浄化装置。
  2. 前記上流側細孔径は、前記内燃機関の通常運転時に前記触媒の前記セルに流入される前記排ガスに含まれる炭化水素分子寸法以上、かつ、前記フィルタの再生時に前記触媒の前記セルに流入される未燃ガスに含まれる炭化水素分子寸法未満であり、
    前記下流側細孔径は、前記未燃ガスに含まれる炭化水素分子寸法以上である、
    ことを特徴とする請求項1記載の排ガス浄化装置。
  3. 前記触媒層は、前記貴金属、前記基材に加えて炭化水素を吸着する吸着剤を含み、
    前記流路の排ガス流れ方向上流側における前記吸着剤の含有量は、前記流路の排ガス流れ方向下流側における前記吸着剤の含有量よりも多い、
    ことを特徴とする請求項1または2記載の排ガス浄化装置。
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