JP2015173283A - 絶縁膜形成に用いられる組成物 - Google Patents

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野 祐 輔 高
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Tatsuro Nagahara
原 達 郎 長
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Shinde Ninad
シンデ ニナド
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田 孝 文 岩
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Abstract


【課題】均一で高い充填密度を有し、かつ欠陥が少ない絶縁膜を形成することができる絶縁膜の形成に用いられる二酸化ケイ素分散液の提供。
【解決手段】基板表面に、二酸化ケイ素微粒子と、ポリマーと、界面活性剤と、分散媒とを含む二酸化ケイ素分散液を塗布し、次いでポリシラザン組成物を塗布した後、加熱して絶縁膜を形成させる、絶縁膜の形成方法に用いられる二酸化ケイ素分散液。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子デバイスにおける絶縁膜形成用組成物に関するものである。さらに詳しくは、本発明は半導体素子などの電子デバイスの製造において、電子デバイスに用いられる絶縁膜の形成、例えば金属配線層間絶縁膜、プリメタル絶縁膜、およびシャロー・トレンチ・アイソレーション構造の形成に用いるための二酸化ケイ素膜を形成させるための組成物に関するものである。
一般に、半導体装置の様な電子デバイスにおいては、半導体素子、例えばトランジスタ、抵抗、およびその他、が基板上に配置されているが、これらは電気的に絶縁されている必要がある。したがって、これら素子の間には、素子を分離するための領域が必要であり、これをアイソレーション領域と呼ぶ。従来は、このアイソレーション領域を半導体基板の表面に選択的に絶縁膜を形成させることにより行うことが一般的であった。
一方、電子デバイスの分野においては、近年、高密度化、および高集積化が進んでいる。このような高密度および高集積度化が進むと、必要な集積度に見合った、微細なアイソレーション構造を形成させることが困難となり、そのようなニーズに合致した新たなアイソレーション構造が要求される。そのようなものとして、トレンチ・アイソレーション構造が挙げられる。この構造は、半導体基板の表面に微細な溝を形成させ、その溝の内部に絶縁物を充填して、溝の両側に形成される素子の間を電気的に分離する構造である。このような素子分離のための構造は、従来の方法に比べてアイソレーション領域を狭くできるため、昨今要求される高集積度を達成するために有効な素子分離構造である。
このようなトレンチ・アイソレーション構造を形成させるための方法のひとつとして、ポリシラザン組成物を塗布し、それを二酸化ケイ素に転化させる方法が検討されている(例えば、特許文献1および2)。このような方法では、ポリシラザン組成物を溝構造が形成された基板表面に塗布して溝内にポリシラザン組成物を充填し、次いでポリシラザン組成物を焼成などにより硬化させて二酸化ケイ素に転化させ、基板表面に形成された余剰の二酸化ケイ素を化学的機械的研磨方法(Chemical Mechanical Polishing:以下、CMPという)によって除去するのが一般的である。
しかしながら、昨今の半導体装置には非常に高い精度が要求されるのに対して、従来の方法により形成された絶縁膜では十分な機能を発揮しない場合があった。例えば、基板表面に形成された溝のアスペクト比が高い場合、溝の内部の酸化が不十分となることがあった。すなわち、溝内に充填されたポリシラザンが酸化するには酸素や水分が十分供給される必要があるが、溝の内部、特に表面からの距離が長い溝底部ではポリシラザンが十分に酸化されないことがあった。この結果、アイソレーション構造の高密度化が不十分となり、その後のウェットエッチング処理などにおいて期待通りの加工ができないなどの問題があった。
また、トレンチ・アイソレーション構造以外のアイソレーション構造についてもより精密なものが望まれている。しかし、従来の方法による絶縁膜等はまだ改良の余地があった。すなわち、ポリシラザンを含む組成物を基板表面に塗布して硬化させて金属層間絶縁膜やプリメタル絶縁膜を形成させた場合には、硬化時の体積収縮が比較的大きいため、絶縁膜にクラックが生じたり、界面における結晶欠陥が引き起こされたりすることがあった。
特許第3178412号公報(段落0005〜0016) 特開2001−308090号公報
本発明は、このような従来技術をさらに改良し、より均一で高い充填密度を有し、かつクラックなどの欠陥が少ない絶縁膜を形成するための組成物を提供しようとするものである。
本発明による組成物を用いた絶縁膜の形成方法は、
(1)二酸化ケイ素微粒子と、ポリマーと、界面活性剤と、分散媒とを含む二酸化ケイ素分散液を基板表面に塗布する二酸化ケイ素微粒子塗布工程、
(2)二酸化ケイ素分散液を塗布した基板表面に、さらにポリシラザン組成物を塗布するポリシラザン塗布工程、および
(3)ポリシラザン組成物を塗布した基板を加熱してポリシラザンを二酸化ケイ素に転化させ、前記二酸化ケイ素微粒子と、ポリシラザンに由来する二酸化ケイ素とからなる絶縁膜を形成させる加熱工程、
を含むことを特徴とするものである。
本発明による組成物は、上述の絶縁膜の形成方法に用いられる二酸化ケイ素分散液であって、
前記二酸化ケイ素分散液は、二酸化ケイ素微粒子と、ポリマーと、界面活性剤と、分散媒とからなり、
前記二酸化ケイ素分散液の総重量を基準として、前記二酸化ケイ素粒子の含有量が2〜30%であり、前記ポリマーの含有量が0.05〜3%であり、前記界面活性剤の含有量が0.01〜5%であり、
前記ポリマーが、アクリル酸ポリマー、メタクリル酸ポリマー、ポリビニルピロリドン、およびそれらの誘導体からなる群から選択され、かつ、前記分散媒が水を含んでなることを特徴とするものである。
本発明によれば、アスペクト比の高い溝を充填する場合であっても、溝内の底部にまで均一かつ高密度な充填密度を達成することができ、高いエッチング耐性を実現することができる。さらには絶縁膜のクラックや界面における結晶欠陥を低減させることもできる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
絶縁膜の形成方法
本発明による絶縁膜は、3つの工程を必須とするものである。各工程を説明すると以下の通りである。
(1)二酸化ケイ素微粒子塗布工程
まず、絶縁膜を形成させる基板を用意する。基板の材質は特に限定されず、従来知られている任意の基板、たとえばシリコン基板を用いることができる。金属配線層間絶縁膜を形成させようとする場合には、基板上に各種の半導体素子が配置されていてもよい。また、シャロー・トレンチ・アイソレーションを形成させようとする場合には基板表面に溝や孔などの凹凸構造が形成されていてもよい。基板表面に凹凸構造を形成するには、任意の方法を用いることができ、例えば特許文献1または2にも記載されている。具体的な方法は、以下に示すとおりである。
まず、シリコン基板表面に、例えば熱酸化法により、二酸化ケイ素膜を形成させる。ここで形成させる二酸化ケイ素膜の厚さは一般に5〜30nmである。
必要に応じて、形成された二酸化ケイ素膜上に、例えば減圧CVD法により、窒化シリコン膜を形成させる。この窒化シリコン膜は、後のエッチング工程におけるマスク、あるいは後述する研磨工程におけるストップ層として機能させることのできるものである。窒化シリコン膜は、形成させる場合には、一般に100〜400nmの厚さで形成させる。
このように形成させた二酸化ケイ素膜または窒化シリコン膜の上に、フォトレジストを塗布する。必要に応じてフォトレジスト膜を乾燥または硬化させた後、所望のパターンで露光および現像してパターンを形成させる。露光の方法はマスク露光、走査露光など、任意の方法で行うことができる。また、フォトレジストも解像度などの観点から任意のものを選択して用いることができる。
形成されたフォトレジスト膜をマスクとして、窒化シリコン膜およびその下にある二酸化ケイ素膜を順次エッチングする。この操作によって、窒化シリコン膜および二酸化ケイ素膜に所望のパターンが形成される。
パターンが形成された窒化シリコン膜および二酸化ケイ素膜をマスクとして、シリコン基板をドライエッチングして、トレンチ・アイソレーション溝を形成させる。
形成されるトレンチ・アイソレーション溝の幅は、フォトレジスト膜を露光するパターンにより決定される。半導体素子におけるトレンチ・アイソレーション溝の幅は、目的とする半導体素子により適切に設定されるが、本発明においてはよりアスペクト比の高い溝であっても均一かつ高密度に充填することができる。特に本願発明においては、溝の幅が5〜50nmであることが好ましく、5〜40nmであることが好ましい。また、溝の幅に対する溝の深さの比、すなわちアスペクト比が3〜100であることが好ましく、10〜50であることがより好ましい。
このように準備された基板上に、二酸化ケイ素微粒子を塗布する。二酸化ケイ素微粒子は、二酸化ケイ素微粒子と、ポリマーと、界面活性剤と、分散媒とを含む分散液の形態で塗布される。
二酸化ケイ素微粒子は、二酸化ケイ素には、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、およびその他の、製造法や性状の異なるものが多種存在するが、そのいずれであってもよい。一般的には入手容易性などの観点からコロイダルシリカが選択される。また、微粒子の大きさは、塗布しようとしている基板に形成されている凹凸構造や、分散液の塗布方法などに応じて任意に選択されるが、一般に平均粒子径が4〜50nmのものが選択され、4〜20nmのものが好ましい。なお、溝や孔を有する基板に絶縁膜を形成させようとする場合には、それらの溝や孔の内側に絶縁膜を均一に形成させるために、それらの溝幅や孔径よりも小さい二酸化ケイ素微粒子を用いることが好ましい。二酸化ケイ素微粒子は、通常粒子径に分布があるため、溝幅や孔径よりも平均粒子径が大きい二酸化ケイ素を利用した場合でも、微小な粒子が含まれているために、溝内や孔内も充填されるが、本発明の効果をより顕著に発揮させるためには、溝幅または孔径よりも平均粒子径の小さい二酸化ケイ素微粒子を用いるべきである。ここで本発明において平均粒子径はBET法によって測定される比表面積から計算されるものであるとする。
二酸化ケイ素分散液中に含まれる二酸化ケイ素微粒子の含有量は、特に限定されず、塗布しようとする基板の種類や形成されている凹凸構造のサイズ、塗布方法などに応じて任意に調整することができるが、二酸化ケイ素分散液の総重量を基準として好ましくは2〜30%、より好ましくは5〜20%である。
ポリマーは、二酸化ケイ素微粒子の分散状態を安定化させる作用と、分散液が塗布された後にバインダーとして機能すると考えられている。このようなバインダーとしては、後述する分散媒に均一に溶解し、また、二酸化ケイ素微粒子や基板表面と親和性の高いものが好ましい。例えば分散媒が水である場合には、アクリル酸ポリマー、メタクリル酸ポリマー、ポリビニルピロリドン、およびそれらの誘導体からなる群から選択されるポリマーが好ましい。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリα−トリフルオロメチルアクリル酸、ポリ(ビニルメチルエーテル−co−無水マレイン酸)、ポリ(エチレングリコール−co−プロピレングリコール)、ポリ(N−ビニルピロリドン−co−酢酸ビニル)、ポリ(N−ビニルピロリドン−co−ビニルアルコール)、ポリ(N−ビニリピロリドン−co−アクリル酸)、ポリ(N−ビニリピロリドン−co−アクリル酸メチル)、ポリ(N−ビニリピロリドン−co−メタクリル酸)、ポリ(N−ビニリピロリドン−co−メタクリル酸メチル)、ポリ(N−ビニリピロリドン−co−マレイン酸)、ポリ(N−ビニリピロリドン−co−マレイン酸)、ポリ(N−ビニリピロリドン−co−マレイン酸ジメチル)、ポリ(N−ビニリピロリドン−co−無水マレイン酸)、ポリ(N−ビニリピロリドン−co−イタコン酸)、ポリ(N−ビニリピロリドン−co−イタコン酸メチル)、ポリ(N−ビニリピロリドン−co−無水イタコン酸)、フッ素化ポリエーテルなどが挙げられる。
これらのポリマーは、分子量の異なるものも各種存在するが、分散状態改良や塗布性の観点からは分子量が大きいことが好ましい。具体的には、重量平均分子量が
1,000以上であることが好ましく、2,000以上であることがより好ましい。一方、分散液の粘度を適当に保って塗布を容易にするためには分子量が一定以下であることが好ましい。具体的には、重量平均分子量が100,000以下であることが好ましく、30,000以下であることがより好ましい。
二酸化ケイ素分散液中に含まれるポリマーの含有量は、特に限定されず、ポリマーの種類、塗布しようとする基板の種類や形成されている凹凸構造のサイズ、塗布方法などに応じて任意に調整することができるが、二酸化ケイ素分散液の総重量を基準として好ましくは0.05〜3%、より好ましくは0.1〜1%である。
界面活性剤は、主に二酸化ケイ素分散液の塗布性を改良し、均一な塗布を可能とするために用いられる。このような界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤など任意のものから選択することができる。これらのうち、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が好ましい。非イオン系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル)、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸モノエステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、アセレングリコールおよびその誘導体(例えばアルキレンオキサイド付加物)が挙げられる。またアニオン系界面活性剤の具体例としては、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、およびアルキルスルホン酸、ならびにこれらのアンモニウム塩または有機アミン塩が挙げられる。また両面活性剤の具体例としては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリル酸アミドプロピルヒドロキシスルホンベタインなどが挙げられる。
このような界面活性剤のうちアルキルスルホン酸塩、エチレンオキサイド型活性剤からなる群から選択される界面活性剤が好ましい。より具体的にはアルキルスルホン酸塩界面活性剤を用いることが好ましい。
二酸化ケイ素分散液中に含まれる界面活性剤の含有量は、特に限定されず、塗布しようとする基板の種類や形成されている凹凸構造のサイズ、塗布方法などに応じて任意に調整することができるが、二酸化ケイ素分散液の総重量を基準として好ましくは0.01〜5%、より好ましくは0.01〜1%である。
また、本発明による二酸化ケイ素分散液は、分散媒を含む。この分散媒は前記の成分を溶解または分散させることができるものである。このような分散媒としては、取り扱い性やコストの観点から水を用いることが好ましい。特に、蒸留水、脱イオン水などの不純物成分を取り除いた純水を用いることが好ましい。また、必要に応じて、水以外の有機溶媒、例えばアルコールやエステルなどを用いることもできる。
分散媒には、必要に応じて複数種類のものを用いることができる。例えば、主たる分散媒として水を用い、ポリマーや界面活性剤の溶解性を改良するためにアルコールなどの有機溶媒を組み合わせることもできる。
本発明による二酸化ケイ素分散液は、必要に応じてその他の成分を含むこともできる。このような成分としてはpH調整のための酸化合物または塩基性化合物、粘度調整のための増粘剤などが挙げられる。
このような成分を含む二酸化ケイ素分散液を基板表面に塗布する。塗布方法は、従来知られている任意の塗布方法から選択することができる。具体的には、スピンコート、カーテンコート、ディップコート、およびその他が挙げられる。これらのうち、塗膜面の均一性などの観点からスピンコートが特に好ましい。塗布される塗膜の厚さ、すなわち基板表面の溝のない部分における塗膜の厚さは、300nm以下であることが好ましく、100〜200nmであることがより好ましい。必要に応じて、溝内にのみ二酸化ケイ素分散液を充填することもできる。
(2)ポリシラザン塗布工程
次いで、このように二酸化ケイ素分散液が塗布されたシリコン基板上にポリシラザン組成物を塗布して塗膜を形成させる。このポリシラザン組成物は、従来知られている任意のポリシラザン化合物を溶媒に溶解させたものを用いることができる。
本発明に用いられるポリシラザン化合物は特に限定されず、本発明の効果を損なわない限り任意に選択することができる。これらは、無機化合物あるいは有機化合物のいずれのものであってもよい。これらポリシラザンのうち、好ましいものとして下記一般式(Ia)〜(Ic)で表される単位の組み合わせからなるものが挙げられる:
Figure 2015173283
(式中、m1〜m3は重合度を表す数である)
このうち、特に好ましいものとしてスチレン換算重量平均分子量が700〜30,000であるものが好ましい。
また、他のポリシラザンの例として、例えば、主として一般式(II):
Figure 2015173283
(式中、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、もしくはこれらの基以外でフルオロアルキル基等のケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。但し、R、RおよびRの少なくとも1つは水素原子であり、nは重合度を表す数である)で表される構造単位からなる骨格を有する数平均分子量が約100〜50,000のポリシラザンまたはその変性物が挙げられる。これらのポリシラザン化合物は2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明に用いられるポリシラザン組成物は、前記のポリシラザン化合物を溶解し得る溶媒を含んでなる。ここで用いられる溶媒は、前記の浸漬用溶液に用いられる溶媒とは別のものである。このような溶媒としては、前記の各成分を溶解し得るものであれば特に限定されるものではないが、好ましい溶媒の具体例としては、次のものが挙げられる:
(a)芳香族化合物、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼン等、(b)飽和炭化水素化合物、例えばn−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−ノナン、i−ノナン、n−デカン、i−デカン等、(c)脂環式炭化水素化合物、例えばエチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、p−メンタン、デカヒドロナフタレン、ジペンテン、リモネン等、(d)エーテル類、例えばジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル(以下、MTBEという)、アニソール等、および(e)ケトン類、例えばメチルイソブチルケトン(以下、MIBKという)等。これらのうち、(b)飽和炭化水素化合物、(c)脂環式炭化水素化合物(d)エーテル類、および(e)ケトン類がより好ましい。
これらの溶媒は、溶剤の蒸発速度の調整のため、人体への有害性を低くするため、または各成分の溶解性の調製のために、適宜2種以上混合したものも使用できる。
本発明に用いられるポリシラザン組成物は、必要に応じてその他の添加剤成分を含有することもできる。そのような成分として、例えばポリシラザンの架橋反応を促進する架橋促進剤等、二酸化ケイ素に転化させる反応の触媒、組成物の粘度を調製するための粘度調整剤などが挙げられる。また、半導体装置に用いられたときにナトリウムのゲッタリング効果などを目的に、リン化合物、例えばトリス(トリメチルシリル)フォスフェート等、を含有することもできる。
また、前記の各成分の含有量は、塗布条件や加熱条件などによって変化する。ただし、ポリシラザン化合物の含有率がポリシラザン組成物の総重量を基準として1〜30重量%であることが好ましく、2〜20重量%とすることがより好ましい。ただし、ポリシラザン組成物に含まれるポリシラザンの濃度はこれに限定されるものではなく、絶縁膜を形成できるのであれば、任意濃度のポリシラザン組成物を用いることができる。また、ポリシラザン以外の各種添加剤の含有量は、添加剤の種類などによって変化するが、ポリシラザン化合物に対する添加量が0.001〜40重量%であることが好ましく、0.005〜30重量%であることがより好ましく、0.01〜20重量%であることがさらに好ましい。
前記のポリシラザン組成物は、任意の方法で基板上に塗布することができる。具体的には、スピンコート、カーテンコート、ディップコート、およびその他が挙げられる。これらのうち、塗膜面の均一性などの観点からスピンコートが特に好ましい。塗布される塗膜の厚さ、すなわち基板表面の溝のない部分における塗膜の厚さは、20〜150nmであることが好ましく、30〜100nmであることがより好ましい。この塗膜の厚さが過度に高いと、凹凸構造がある場合には凹部内まで均一な絶縁膜が形成されないことがあり、一方で膜厚が薄すぎると、二酸化ケイ素微粒子の間隙に充填されるポリシラザン組成物が不足し、均一な絶縁膜が形成できないことがあるので注意が必要である。
(3)加熱工程
ポリシラザン塗布工程に引き続き、ポリシラザン塗膜を加熱して、塗膜全体を二酸化ケイ素膜に転化させる。この加熱によって、ポリシラザンが二酸化ケイ素に転化され、ポリシラザン組成物の塗布前に塗布されていた二酸化ケイ素微粒子と一体化した絶縁膜に転化される、焼成は、硬化炉やホットプレートを用いて、水蒸気を含んだ、不活性ガスまたは酸素雰囲気下で行うことが好ましい。
水蒸気は、ケイ素含有化合物またはケイ素含有重合体、ならびに存在する場合にはポリシラザン化合物を二酸化ケイ素に十分に転化させるのに重要であり、好ましくは1%以上、より好ましくは10%以上、最も好ましくは20%以上とする。特に水蒸気濃度が20%以上であると、シラザン化合物の二酸化ケイ素膜への転化が進行しやすくなり、ボイドなどの欠陥に発生が少なくなり、二酸化ケイ素膜の特性が改良されるので好ましい。雰囲気ガスとして不活性ガスを用いる場合には、窒素、アルゴン、またはヘリウムなどを用いる。
硬化させるための温度条件は、用いるポリシラザン組成物の種類や、工程の組み合わせ方によって変化する。しかしながら、温度が高いほうがポリシラザン化合物が二酸化ケイ素膜に転化される速度が速くなる傾向にあり、また、温度が低いほうがシリコン基板の酸化または結晶構造の変化によるデバイス特性への悪影響が小さくなる傾向がある。このような観点から、本発明による方法では、通常1000℃以下、好ましくは400〜900℃で加熱を行う。ここで、目標温度までの昇温時間は一般に1〜100℃/分であり、目標温度に到達してからの硬化時間は一般に1分〜10時間、好ましくは15分〜3時間、である。必要に応じて硬化温度または硬化雰囲気の組成を段階的に変化させることもできる。
本発明による絶縁膜の形成方法は、前記した(1)〜(3)の工程を必須とするが、必要に応じて、下記の補助工程を組み合わせることもできる。
(a)予備加熱工程
二酸化ケイ素微粒子塗布工程とポリシラザン塗布工程との間に、二酸化ケイ素分散液に含まれていた溶媒の少なくとも一部を除去するために、基板を加熱することができる。この工程では、二酸化ケイ素分散液中に含まれる分散媒の少なくとも一部を除去することを目的とする。
通常、予備加熱工程では、実質的に一定温度で加熱する方法がとられる。この工程の目的は、過剰な分散媒を除去して、その後のポリシラザン組成物の塗布性を改良することにある。したがって、予備加熱工程の温度は、分散媒が蒸発しえる温度とすべきであり、分散媒の種類によって適切に決定される。例えば分散媒が水である場合には、一般に90〜120℃、好ましくは100〜110℃の範囲内である。予備加熱工程の所要時間は一般に3分以下、好ましくは0.5〜1.5分、である。
(b)前加熱工程
塗布工程後、焼成工程に先立って、ポリシラザン組成物が塗布された基板を前加熱処理することができる。この工程では、塗膜中に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去することを目的とする。
通常、前加熱工程では、実質的に一定温度で加熱する方法がとられる。このとき、実質的にポリシラザンの酸化または重合反応が起こらない条件で溶媒除去を行うべきである。
したがって、前加熱工程における温度は通常50〜250℃、好ましくは80〜200℃、の範囲内である。前加熱工程の所要時間は一般に0.5〜10分、好ましくは1〜5分、である。
(c)研磨工程
ポリシラザン塗膜を硬化させた後、硬化した二酸化ケイ素膜の不要な部分は除去することが好ましい。特にシャロー・トレンチ・アイソレーション構造を形成させる場合には、まず研磨工程により、基板上の溝部内側に形成された二酸化ケイ素膜を残し、基板表面の平坦部上に形成された二酸化ケイ素膜を研磨により除去する。この工程が研磨工程である。この研磨工程は、硬化処理の後に行うほか、前加熱工程を組み合わせる場合には、前加熱工程直後に行うこともできる。
研磨は、一般的にCMPにより行う。このCMPによる研磨は、一般的な研磨剤および研磨装置により行うことができる。具体的には、研磨剤としてはシリカ、アルミナ、またはセリアなどの研磨材と、必要に応じてその他の添加剤とを分散させた水溶液などを用いることができる、研磨装置としては、市販の一般的なCMP装置を用いることができる。
(d)エッチング工程
前記の研磨工程において、基板表面の平坦部上に形成されたポリシラザン組成物に由来する二酸化ケイ素膜はほとんど除去されるが、基板表面の平坦部に残存している二酸化ケイ素膜を除去するために、さらにエッチング処理を行うことができる。エッチング処理はエッチング液を用いるのが一般的であり、エッチング液としては、二酸化ケイ素膜を除去できるものであれば特に限定されないが、通常はフッ化アンモニウムを含有するフッ酸水溶液を用いる。この水溶液のフッ化アンモニウム濃度は5%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。
本発明を諸例を用いて説明すると以下の通りである。
実施例101
まず、表面に溝構造を有するシリコン基板を準備した。その溝の幅は50nmであり、深さは570nm(アスペクト比約11)であった。
次に、平均粒子径12nmのコロイダルシリカ(PL−1(商品名)、扶桑化学工業株式会社製)を準備した。これに分散媒としての純水と、ポリマーとしてのポリアクリル酸(アロン(登録商標)A−210(商品名)、東亞合成株式会社製、重量平均分子量約3,000)、界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸を混合し、撹拌によりコロイダルシリカを分散させて二酸化ケイ素分散液を調製した。配合量は表1に示す通りとした、ここで各成分の濃度は、分散液の総重量を基準とした重量百分率である。
得られた二酸化ケイ素分散液を前記したシリコン基板にスピン塗布により塗布した。塗布条件は500rpmで5秒間、ついで1000rpmで30秒間とした。引き続き、二酸化ケイ素分散液を塗布した基板を150℃で3分間予備加熱して、溶媒を除去した。
次に、この基板の表面にポリシラザン組成物を塗布した。ポリシラザン組成物は、ペルヒドロポリシラザン(重量平均分子量3,810)をジブチルエーテルに溶解することにより調製した。ペルヒドロポリシラザンの含有率は、ポリシラザン組成物の総重量を基準として10重量%とした。塗布条件は500rpmで5秒間、ついで1000rpmで30秒間とした。
ポリシラザン組成物塗布後の基板を、まず大気中150℃3分間、前加熱し、ついで水蒸気含有率80%の大気中350℃で60分間加熱してポリシラザンを酸化させ、さらに窒素雰囲気下850℃で60分間追加加熱した。このような処理により、実施例1の絶縁膜を得た。
比較例100
実施例101に対して、二酸化ケイ素分散液を塗布せず、ポリシラザン組成物のみを塗布して絶縁膜を形成させた。なお、ポリシラザン組成物におけるペルヒドロポリシラザンの含有率はポリシラザン組成物の総重量を基準として20重量%とした。
実施例102〜108および比較例101〜106
実施例101に対して、二酸化ケイ素分散液の組成を表1に示し通りに変更したほかは実施例101と同様にして絶縁膜の形成を試みた。
評価
得られた絶縁膜を、溝方向に対して垂直方向に切断し、0.5%HF水溶液に30秒間浸漬した後、断面を走査型伝資源日今日により観察することによって、トレンチ内の膜質を評価した。得られた結果は表1に示すとおりであった。なお、評価基準は以下の通りである。
A: トレンチ内の膜質が均一に充填されている
B: トレンチ内の膜質が実用可能なレベルでほぼ均一に充填されている
C: トレンチ内の膜質が不均一であり、実用不能
D: トレンチ内に絶縁膜がほとんど形成されていない
実施例201〜208および比較例200〜208
二酸化ケイ素微粒子として、平均粒子径6nmのコロイダルシリカ(PL−06(商品名)、扶桑化学工業株式会社製)を用いて、表2に示される通りの二酸化ケイ素分散液を調製し、実施例101と同様に評価した。なお、得られた結果は表2に示すとおりであった。
Figure 2015173283
Figure 2015173283
表中:
DBS: ドデシルベンゼンスルホン酸
SF−485: アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(サーフィノール485(商品名)、日信化学工業株式会社製)
A−210: ポリアクリル酸(アロン(登録商標)A−210(商品名)、東亞合成株式会社製、重量平均分子量約3,000)
A−10SL: ポリアクリル酸(アロン(登録商標)A−10SL(商品名)、東亞合成株式会社製、重量平均分子量約6,000)
12pF: ポリビニルピロリドン(Kollidon 12pF(商品名)、BASF社製、重量平均分子量約2,000)
ウェットエッチング耐性の評価
比較例100および実施例203の試料を用いて、エッチング耐性の評価を行った。ポリシラザン塗膜を形成させた後の試料を、23℃の0.25%HF水溶液に浸漬し、浸漬時間に対する二酸化ケイ素膜の膜厚減少を測定して、ウェットエッチング速度を算出した。
比較例100および実施例203に対するウェットエッチング耐性は、それぞれ95Å/分および65Å/分であった。本発明により形成された二酸化ケイ素膜は、従来の方法により形成された二酸化ケイ素膜に対してウェットエッチング耐性に優れていること、すなわち膜の充填密度が高いことがわかった。

Claims (2)

  1. (1)二酸化ケイ素微粒子と、ポリマーと、界面活性剤と、分散媒とを含む二酸化ケイ素分散液を基板表面に塗布する二酸化ケイ素微粒子塗布工程、
    (2)二酸化ケイ素分散液を塗布した基板表面に、さらにポリシラザン組成物を塗布するポリシラザン塗布工程、および
    (3)ポリシラザン組成物を塗布した基板を加熱してポリシラザンを二酸化ケイ素に転化させ、前記二酸化ケイ素微粒子と、ポリシラザンに由来する二酸化ケイ素とからなる絶縁膜を形成させる加熱工程、
    を含んでなる絶縁膜の形成方法に用いられる二酸化ケイ素分散液であって、
    前記二酸化ケイ素分散液は、二酸化ケイ素微粒子と、ポリマーと、界面活性剤と、分散媒とからなり、
    前記二酸化ケイ素分散液の総重量を基準として、前記二酸化ケイ素粒子の含有量が2〜30%であり、前記ポリマーの含有量が0.05〜3%であり、前記界面活性剤の含有量が0.01〜5%であり、
    前記ポリマーが、アクリル酸ポリマー、メタクリル酸ポリマー、ポリビニルピロリドン、およびそれらの誘導体からなる群から選択され、かつ、前記分散媒が水を含んでなることを特徴とする二酸化ケイ素分散液。
  2. 前記界面活性剤が、アルキルスルホン酸、エチレンオキサイド型活性剤からなる群から選択される、請求項1に記載の二酸化ケイ素分散液。
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