JP2015173242A - 色素増感太陽電池および色素増感太陽電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 比較的柔軟性の高い色素増感太陽電池を提供する。【解決手段】 色素増感太陽電池は、導電性繊維で構成された第1の電極シートと、前記電極シートに化学吸着された半導体層と、絶縁性繊維で構成された電解質層と、導電性繊維で構成された第2の電極シートとを有し、前記電解質層は、前記第1の電極シート及び前記半導体層と、前記第2の電極シートとの間に挟み込まれている。電解質層は、前記絶縁性繊維に、液体状の電解質を浸み込ませてなる。【選択図】図2

Description

本発明は、色素増感太陽電池および色素増感太陽電池の製造方法に関する。
太陽電池は、一般に柔軟性に乏しい材料で構成されることが多い。柔軟性の高い材料としては、合成繊維等が存在するが、高温に弱い傾向にある。例えば色素増感太陽電池等の製造工程では高温での処理が必要となるため、合成繊維等が太陽電池の材料として採用されにくい原因であると考えられる。
例えば、特許文献1には、金属メッシュを用いた色素増感太陽電池が開示されている。
また、特許文献2には、ガラス繊維を用いた色素増感太陽電池が開示されている。
特開2001−283945号公報 特開2012−094469号公報
比較的柔軟性の高い太陽電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る色素増感太陽電池は、繊維で構成された第1の電極シートと、前記電極シートに化学吸着された半導体層と、電解質層と、繊維で構成された第2の電極シートとを有し、前記電解質層は、前記第1の電極シート及び前記半導体層と、前記第2の電極シートとの間に挟み込まれている。
好適には、前記電解質層は、絶縁体の繊維で構成されたスペーサに、電解質を担持させてなる。
好適には、前記半導体層は、前記第1の電極シート上に金属酸化物ナノ粒子をアルコキシシラン化合物で化学吸着させてなり、前記半導体層に吸着された色素層をさらに有する。
好適には、前記第1の電極シート及び前記第2の電極シートは、導電性を有する合成繊維で構成され、前記スペーサは、絶縁体の合成繊維で構成される。
また、本発明に係る色素増感太陽電池の製造方法は、アルコキシシラン化合物と、金属酸化物ナノ粒子との混合溶液に導電性繊維を浸漬させる浸漬工程と、前記アルコキシシラン化合物が浸漬させた前記導電性繊維を乾燥させる乾燥工程とを有する。
好適には、乾燥させた第1の導電性繊維と、第2の導電性繊維との間に、絶縁性繊維を挟み込んだ状態で、これらの繊維を互いに貼り合せる貼り合せ工程と、貼り合せられた前記絶縁性繊維に、電解質を滴下して担持させる滴下工程とをさらに有する。
本発明によれば、比較的柔軟性の高い太陽電池を提供することができる。
実施形態にかかるカーテン1の外側面を例示する図である。 図1の太陽電池100をより詳細に説明するための図である。 太陽電池100の製造方法を説明するためのフローチャートである。 図3の製造工程における製造工程を模式的に例示する図である。 太陽電池100の発電特性を示すグラフである。 導電性繊維102の透過率を示すグラフである。 アルコキシシラン化合物の具体例を示す図である。 透明なシート状の合成樹脂の袋110を用いた太陽電池100を説明するための図である。 透明なシート状合成樹脂の袋110を用いた太陽電池100の写真である。 透明なシート状合成樹脂の袋110を用いた太陽電池100の発電特性を示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(カーテン)
図1は、実施形態にかかるカーテン1の外側面を例示する図である。
図1に例示するように、本例のカーテン1は、遮光シート10と、吊り下げ部材20とを有する。カーテン1は、本発明に係る遮光品の一例である。遮光品としては、光を遮るものであればよく、例えば、ロールスクリーン又はブラインド等であってもよい。また、本願における遮光は、光の全部又は一部を遮ることを意味し、一部の光を透過させる場合も含む概念である。
遮光シート10は、外光の一部又は全部を遮断するための繊維シートである。
吊り下げ部材20は、遮光シート10を窓枠に吊り下げた状態で固定する部材である。吊り下げ部材20は、例えば、カーテンレールに吊り下げるためのフック又はリングなどである。
遮光シート10の一部は、太陽電池100となっている。本例の太陽電池100は、遮光シート10と共に合成繊維の織物によって構成されている。なお、太陽電池100の配置は、図1の例に限定されるものではない。
(太陽電池)
図2は、図1の太陽電池100をより詳細に説明するための図である。
図2に例示するように、太陽電池100は、導電性繊維102(第1の電極シートの一例)と半導体層104と色素層106とからなる第1シート、電解質を含有する絶縁性繊維108、及び、導電性繊維102(第2の電極シートの一例)からなる第2シートを積層してなる。
第1シートは、導電性繊維102と、この導電性繊維102に金属酸化物を化学吸着させた半導体層104と、半導体層104に吸着させた色素層106とを含む。
導電性繊維102は、例えば、金属でメッキされた合成繊維をシート状に織り上げた織物シートである。本例の導電性繊維102は、ニッケルでメッキされたPET繊維を平織した織物シートである。
本例の半導体層104は、酸化チタンのナノ粒子を、アルコキシシラン化合物で導電性繊維102に化学吸着させた酸化チタン層である。
本例の色素層106は、半導体層104に吸着させたルテニウム化合物である。
絶縁性繊維108は、第1シートと第2シートとを互いに離間させるスペーサとしての機能と、電解質を担持する機能とを有する。絶縁性繊維108は、例えば、絶縁性及び吸水性を有する合成繊維からなるシートである。本例の絶縁性繊維108は、ナイロン又はレーヨンの織物シートである。
第2シートは、導電性繊維102であり、金属メッキされた合成繊維をシート状に織り上げた織物シートである。本例の第2シートは、ニッケルでメッキされたPET繊維を平織した織物シートである。
(製造方法)
図3は、太陽電池100の製造方法を説明するためのフローチャートである。
図4は、図3の製造工程における製造工程を模式的に例示する図である。
図3に示すように、ステップ500(S500)において、作業者は、酸化チタンのナノ粒子と、一般式 HS(CH2)nSi(OCH3)3 (nは整数)で示されるアルコキシシラン化合物とを混合して、酸化チタン混合溶液を調整し、調整された酸化チタン混合溶液に、シート状に織られた導電性繊維102を浸す。酸化チタンのナノ粒子は、例えば、粒径4nm以下である。アルコキシシラン化合物は、図7に例示する、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、又は、(3−メルカプトプロピル)トリエトキシシランである。
導電性繊維100は、常温(5℃〜35℃)で一定時間、酸化チタン混合液に浸される。浸漬する時間は、120分以下であり、好適には90分〜120分である。つまり、従来のように高額な蒸着装置は必要なく、高温処理も必要ではないためコストが軽減され、従来例(3時間以上)と比較して短時間の処理で実現される。
ステップ505(S505)において、作業者は、酸化チタン混合液から導電性繊維102を取り出して乾燥させ、アルコキシシラン化合物を介して酸化チタンを表面に吸着した導電性繊維102を得る。導電性繊維102の表面には、図4(A)に例示するように、酸化チタンの層(すなわち、半導体層104)が形成される。
ステップ510(S510)において、作業者は、半導体層104により被覆された導電性繊維102を、色素溶液に一定時間浸し、色素溶液から取り出した導電性繊維102(半導体層104で被覆されたもの)を取り出し乾燥させる。色素溶液は、ルテニウム化合物の溶液である。これにより、図4(B)に例示するように、半導体層104の表面に、ルテニウム化合物からなる色素層106が形成される。
ステップ515(S515)において、作業者は、半導体層104及び色素層106で被覆された導電性繊維102(第1シート)の一方の面に、シート状に織られた絶縁性繊維108を貼り付ける。
ステップ520(S520)において、作業者は、絶縁性繊維108のシートうち、第1シートとは反対側の面に、別の導電性繊維102(第2シート)を貼り付ける。これにより、絶縁性繊維108のシートが、図4(C)に例示するように、第1シートと、第2シートとに挟まれた状態となる。
ステップ525(S525)において、作業者は、図4(D)に例示するように、第2シートの方から絶縁性繊維108に向けて、電解質の溶液を滴下して、絶縁性繊維108に電解質溶液を浸み込ませる。電解質溶液は、例えば、メチルエチルケトン溶媒、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、及びヨウ化リチウムの混合溶液である。絶縁性繊維108に浸み込んだ電解質溶液は、溶媒の揮発によって固体電解質となる。
以上の製造方法によって、合成繊維で構成された太陽電池100が製造される。このように製造された太陽電池100が、遮光シート10に多数配置されて、カーテン1が製造される。
図5は、太陽電池100の発電特性を示すグラフである。
図5のグラフは、疑似太陽(1000W/m2)の下、ルテニウム錯体を色素とした太陽電池100の発電特性を示す。発電効率は、2.1%である。
この発電効率に基づいて試算すると、10cm角の太陽電池100は、約0.2W発電し、その製造コストは約7千円である。1ワット当たりの製造コストは、約3万5千円であり、ガラス基板で製造された色素増感太陽電池と同程度である。
図6は、導電性繊維102の透過率を示すグラフである。
図6のグラフは、ニッケルめっきPET短繊維平織物(30番)の光透過率と、ITO塗布PETの光透過率とを示す。本例の導電性繊維102(ニッケルめっきPET短繊維平織物)は、透明電極として採用されるITO塗布PETと比較して、波長200nm〜1000nmの光を波長に寄らず満遍なく遮光し、かつ、透過させる。つまり、上記導電性繊維を用いることにより、所望の透光性又は遮光性を有する太陽電池を製造することができる。
なお、ニッケルめっきPET短繊維平織物のシート抵抗は、0.23Ω/□であり、十分な導電性を有する。
以上説明したように、本実施形態のカーテン1は、合成繊維で構成された太陽電池100を有し、遮光すると共に、太陽光によって発電することができる。太陽電池100の部分も合成繊維で構成されており、繊維の着色が可能であると共に、柔軟で曲げに強いため、カーテンの風合いが保たれる。また、製造工程において高温処理が不要であり、製造コストも抑えられる。
(変形例)
電解質は、上記の他、ヨウ化リチウム、ヨウ素及びPEGの混合物、ヨウ化銅、あるいは、スピローなどの高分子電解質であってもよい。
また、上記実施形態では、電解質溶液を、絶縁性繊維108に浸み込ませ、その後、溶媒の揮発により、電解質溶液が固体電解質となった状態で太陽電池100を構成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、液体電解質を透明なシート状合成樹脂の袋110に封入し、太陽電池100を構成してもよい。
具体的には、図8(A)に例示するように、従来の太陽電池は、内部に電解質溶液を注入し、封止を行っているが、本発明では、図8(B)に例示するように、半導体層104、色素層106、及び絶縁性繊維108を透明なシート状合成樹脂の袋110に入れた後に、透明なシート状合成樹脂の袋110に電解質溶液を注入し、シーラーにより封止し、太陽電池100を構成する。透明なシート状合成樹脂の袋110を構成するシート状合成樹脂の例としては、ポリエチレン、塩化ビニル、及びウレタン等が挙げられる。
図9は、透明なシート状合成樹脂の袋110を用いた太陽電池100の写真である。
図10は、透明なシート状合成樹脂の袋110を用いた太陽電池100の発電特性を示すグラフであり、図10に示すように、この変形例における太陽電池100の電流―電圧測定を行った結果、電流が確認できた。
以上より、透明なシート状合成樹脂の袋110を用いることにより、基材が繊維状でメッシュである太陽電池100を用いても、液体電解質を内部に保持することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態及び変形例について説明したが、本発明はかかる実施形態又は変形例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1…カーテン
10…遮光シート
20…吊り下げ部材
100…太陽電池
102…導電性繊維
104…半導体層
106…色素層
108…絶縁性繊維
110…透明なシート状合成樹脂の袋

Claims (6)

  1. 繊維で構成された第1の電極シートと、
    前記電極シートに化学吸着された半導体層と、
    電解質層と、
    繊維で構成された第2の電極シートと
    を有し、
    前記電解質層は、前記第1の電極シート及び前記半導体層と、前記第2の電極シートとの間に挟み込まれている
    色素増感太陽電池。
  2. 前記電解質層は、絶縁体の繊維で構成されたスペーサに、電解質を担持させてなる
    請求項1に記載の色素増感太陽電池。
  3. 前記半導体層は、前記第1の電極シート上に金属酸化物ナノ粒子をアルコキシシラン化合物で化学吸着させてなり、
    前記半導体層に吸着された色素層
    をさらに有する
    請求項2に記載の色素増感太陽電池。
  4. 前記第1の電極シート及び前記第2の電極シートは、導電性を有する合成繊維で構成され、
    前記スペーサは、絶縁体の合成繊維で構成される
    請求項3に記載の色素増感太陽電池。
  5. アルコキシシラン化合物と、金属酸化物ナノ粒子との混合溶液に導電性繊維を浸漬させる浸漬工程と、
    前記アルコキシシラン化合物が浸漬させた前記導電性繊維を乾燥させる乾燥工程と
    を有する色素増感太陽電池の製造方法。
  6. 乾燥させた第1の導電性繊維と、第2の導電性繊維との間に、絶縁性繊維を挟み込んだ状態で、これらの繊維を互いに貼り合せる貼り合せ工程と、
    貼り合せられた前記絶縁性繊維に、電解質を滴下して担持させる滴下工程と
    をさらに有する請求項5に記載の製造方法。
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