JP2015173099A - 全固体リチウム二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】非晶質のLiTaO3を含む従来のLiTaO3固体電解質よりも高いリチウムイオン伝導度を有する固体電解質層を備え、かつより高い充放電特性を有する全固体リチウム二次電池を提供すること。
【解決手段】本発明は、正極、負極、および前記正極および負極の間に配置された固体電解質層を備えている全固体リチウム二次電池であって、前記固体電解質層は、三方晶イルメナイト型結晶構造を有するLi(1-x)TaO3結晶(ここで、0.12≦x≦0.46)から形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、全固体リチウム二次電池に関する。
全固体リチウム二次電池は、固体電解質から形成される電解質層を含むリチウム二次電池である。全固体リチウム二次電池は、可燃性の溶媒を含有する液体電解質を含むリチウム二次電池よりも高い安全性および高いエネルギー容量を有する。全固体リチウム二次電池は、正極、負極、および固体電解質層を具備している。固体電解質層は、正極および負極の間に配置されている。正極に含まれる正極活物質層が、固体電解質層に接している。正極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な正極活物質を含有する。同様に、負極に含まれる負極活物質層が、固体電解質層に接している。負極活物質層もまた、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な負極活物質を含有する。リチウムイオンは、固体電解質層を伝導する。言い換えれば、全固体リチウム二次電池では、正極および負極上での酸化還元反応に伴って、固体電解質層を介して正極活物質層および負極活物質層の間をリチウムイオンが移動する。この移動により、全固体リチウム二次電池が充電および放電する。
酸化物から形成される固体電解質は、大気に曝露されたとしても、高い安定性および安全性を維持する。非特許文献1は、非晶質のLiNbO3および非晶質のLiTaO3がほぼ同等のリチウムイオン伝導度を有することを開示している。特許文献1は、LiNbO3およびLiNb38を特定の混合比で含有する複合体から形成される結晶質の固体電解質材料を開示している。特許文献1は、さらに、結晶質のLiNbO3に比べて非晶質のLiNbO3は高いリチウムイオン伝導度を有することを開示している。
特開2010−251257号公報
A. M. Glass et al.,"Ionic conductivity of quenched alkali niobate and tantalite glasses", Journal of Applied Physics, 49(9), 1978, pp. 4808-4811
全固体リチウム二次電池の出力を向上させるためには、キャリアとして作用するイオンの移動に対する抵抗を減らすことが重要である。固体電解質層におけるリチウムイオン伝導度の向上が必要とされる。より高い充放電特性を有する全固体リチウム二次電池が必要とされている。
本発明の目的は、非晶質のLiTaO3を含む従来のLiTaO3固体電解質よりも高いリチウムイオン伝導度を有する固体電解質層を備え、かつより高い充放電特性を有する全固体リチウム二次電池を提供することである。
本発明による全固体リチウム二次電池は、正極、負極、および前記正極および負極の間に配置された固体電解質層を備え、
前記固体電解質層は、三方晶イルメナイト型結晶構造を有するLi(1-x)TaO3結晶(ここで、0.12≦x≦0.46)から形成されている。
本発明は、従来のLiTaO3固体電解質よりも高いリチウムイオン伝導度を有する固体電解質を備える全固体リチウム二次電池を提供する。この全固体リチウム二次電池は、高い充放電特性を有する。
図1は、実施形態による全固体リチウム二次電池の断面図を示す。 図2Aは、実施形態による全固体リチウム二次電池を製造する方法に含まれる1つの工程の断面図を示す。 図2Bは、図2Aに続き、実施形態による全固体リチウム二次電池を製造する方法に含まれる1つの工程の断面図を示す。 図2Cは、図2Bに続き、実施形態による全固体リチウム二次電池を製造する方法に含まれる1つの工程の断面図を示す。 図2Dは、図2Cに続き、実施形態による全固体リチウム二次電池を製造する方法に含まれる1つの工程の断面図を示す。 図3は、実施例1による固体電解質層の広角X線回折プロファイルを示す。 図4は、比較例2による固体電解質層の広角X線回折プロファイルを示す。
以下、本発明が図面を参照しながら詳細に説明される。
図1は、実施形態による全固体リチウム二次電池の断面図を示す。図1に示される全固体リチウム二次電池1は、正極2、負極3、および固体電解質層4を具備している。固体電解質層4は、正極2および負極3の間に挟まれている。正極2は、正極集電体21およびその上に形成された正極活物質層22を具備している。正極活物質層22は、正極集電体21と電気的に直列に接続されている。図1では、正極活物質層22は、正極集電体21に接している。負極3は、負極集電体31およびその上に形成された負極活物質層32を具備している。負極活物質層32は、負極集電体31と電気的に直列に接続されている。図1では、負極活物質層32は負極集電体31に接している。固体電解質層4は、リチウムイオンが正極活物質層22および負極活物質層32の間で伝導できるように配置されている。図1では、固体電解質層4の表側の面は、正極活物質層22に接している。固体電解質層4の裏側の面は、負極活物質層32に接している。
(正極集電体21)
正極集電体21は、全固体リチウム二次電池1の所定の動作電圧の範囲内において正極活物質層22に含有されるイオン伝導体と化学変化を起こさない電子伝導体から形成される。正極集電体21の動作電圧の範囲の例は、リチウムの標準酸化還元電位に対して+3ボルト〜+4.2Vである。
正極集電体21は、断面視において層の形状を有する。正極集電体21の材料の例は、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、白金、金またはチタンである。正極集電体21の望ましい材料の例は、導電性、イオン伝導体に対する耐性、および当該材料の酸化還元電位の観点から、アルミニウム、アルミニウム合金、白金または金である。正極集電体21の材料の他の例は、(i)LaまたはNbのドープによって導電性が付与されたSrTiO3(以下、「STO」という)、または(ii)MgO基板またはSi基板のような基板上にエピタキシャル成長させたPtを含む金属である。後述される正極活物質層22が正極集電体21上にエピタキシャル成長される場合、正極集電体21は、STOから形成される基板またはPt層が表面にエピタキシャル成長された基板であることが望ましい。
(正極活物質層22)
正極活物質層22は、リチウムイオンを吸蔵および放出し得る正極活物質を含有する。正極活物質の例は、LiCo1-a-bNiaAlb2(0≦a≦1、0≦b≦1,かつa+b≦1)、LiMn24、またはLiFePO4である。正極活物質層22は、2種類以上の正極活物質を含有していてもよい。
正極活物質層22は、結晶質であることが望ましい。言い換えれば、正極活物質層22は、結晶から形成されることが望ましい。正極活物質層22は、正極集電体21または固体電解質層4上に成長された配向膜であってもよい。より具体的には、正極活物質層22は、正極集電体21または固体電解質層4上にエピタキシャル成長された膜であってもよい。これに代えて、以下のように正極活物質層22は形成され得る。まず、基板上に正極活物質層22がエピタキシャル成長される。次いで、正極活物質層22は、基板から剥離される。最後に、正極集電体21または固体電解質層4上に、正極活物質層22が配置される。
正極活物質層22は、導電助剤および/または結着剤を含有していても良い。
(固体電解質層4)
固体電解質層4は、三方晶イルメナイト型結晶構造を有するLi(1-x)TaO3結晶から形成される。以下の数式(I)が充足される
0.12≦x≦0.46 (I)
リチウムイオンが、固体電解質層4を伝導する。
0.12未満のxの値を有するLi(1-x)TaO3結晶は、低いリチウムイオン伝導度および低い充放電特性を有する。後述される比較例1(x=0)を参照せよ。
0.46を超えるxの値を有するLi(1-x)TaO3結晶を形成することは困難である。
LiTaO3結晶およびLiNbO3結晶は、いずれも、三方晶イルメナイト型結晶構造を有する。リチウムイオンは、室温において、従来の結晶性LiNbO3を伝導しない。具体的には、従来の結晶性LiNbO3におけるリチウムイオンのイオン伝導度は、10-8S/cm未満である。このように、従来の結晶性LiNbO3は、リチウム二次電池の電解質として使用できない。同様の理由のため、従来の結晶性LiTaO3もまた、リチウム二次電池の電解質として使用できない。
非特許文献1に開示されているように、非晶質のLiNbO3は、結晶質のLiNbO3よりも高いリチウムイオン伝導度を有する。そのため、非晶質のLiTaO3は、結晶質のLiTaO3よりも高いリチウムイオン伝導度を有することが期待される。しかし、本発明者らは、非晶質のLiTaO3は、低いリチウムイオン伝導度を有することを見いだした。後述される比較例4を参照せよ。
これに加えて、非晶質のLiTaO3から形成される固体電解質層を具備するリチウム二次電池は、低い充放電特性および低い出力特性を有する。これは、電池の内部抵抗が高いことが原因であると本発明者らは考えている。特に、非晶質のLiTaO3電解質層および結晶質の正極活物質層の間に形成される界面抵抗が高いことが原因であると本発明者らは考えている。一方、本発明では、固体電解質層4は三方晶イルメナイト型結晶構造を有するLi(1-x)TaO3結晶から形成される。三方晶イルメナイト型結晶構造を有するLi(1-x)TaO3結晶を有する固体電解質層4は、非晶質のLiTaO3を含む従来のLiTaO3固体電解質よりも高いリチウムイオン伝導度を有する。具体的には、固体電解質層4は、例えば、10-6S/cm以上のリチウムイオン伝導度を有する。実施形態による全固体リチウム二次電池は、三方晶イルメナイト型結晶構造を有するLi(1-x)TaO3結晶を有する固体電解質層4を具備するので、実施形態による全固体リチウム二次電池は、低い内部抵抗を有し、かつ高い充放電特性を有する。
LiTaO3の結晶構造は三方晶イルメナイト型結晶構造である。しかし、LiTaO3の三方晶イルメナイト型結晶構造は、イルメナイト鉱物(例えば、化学式FeTiO3により表されるチタン鉄鉱)の結晶構造とは厳密には同一ではない。具体的には、イルメナイト鉱物ABO3の結晶構造では、そのc軸方向に沿って、A層、B層、およびO層が、A層−A層−O層−B層−B層−O層の順に配列されている。一方、LiTaO3の三方晶イルメナイト型結晶構造では、そのc軸方向に沿って、Li層、Ta層、およびO層が、Li層−Ta層−O層−Li層−Ta層−O層の順に配列されている。三方晶イルメナイト型結晶構造を有するLi(1-x)TaO3結晶の組成は、例えば、誘導結合プラズマ発光分光分析のような組成分析手法により確認され得る。三方晶イルメナイト型結晶構造を有するLi(1-x)TaO3結晶の結晶構造は、広角X線回折測定法(以下、「WAXD」という)により確認され得る。具体的には、WAXDプロファイルにおいて、23.7°、32.8°、34.8°、39.2°、および62.4°から選ばれる少なくとも1つの回折角2θ付近に回折ピークが確認された場合には、その結晶は、三方晶イルメナイト型結晶構造を有するLi(1-x)TaO3結晶である。
Li(1-x)TaO3結晶におけるLi/Ta比(原子比)は、0.54以上0.88以下である。言い換えれば、(1−x)の値は、0.54以上0.88以下である。従って、xの値は0.12以上0.46以下である。Li(1-x)TaO3結晶に含まれる酸素の組成は、Li/Ta比に依存して、LiTaO3の化学量論的な組成から若干ずれる。具体的には、Li(1-x)TaO3結晶におけるO/Ta比(原子比)は、2.75以上2.95以下である。
固体電解質層4は、三方晶イルメナイト型結晶構造を有するLi(1-x)TaO3結晶から形成される。固体電解質層4は、Li(1-x)TaO3単結晶から形成される単結晶層であってもよいし、またはLi(1-x)TaO3多結晶から形成される多結晶層であってもよい。固体電解質層4は、Li(1-x)TaO3結晶以外の結晶構造をわずかに含んでいてもよい。Li(1-x)TaO3結晶以外の結晶構造は、厚い固体電解質層4が形成される場合に、生じることがある。固体電解質層4に含まれるLi(1-x)TaO3結晶以外の結晶構造の許容量は、固体電解質層4のWAXDプロファイルにおいて、Li(1-x)TaO3結晶以外の結晶構造に由来するピーク強度が、Li(1-x)TaO3結晶に由来するピーク強度の1/20以下となるような量である。
固体電解質層4を形成するLi(1-x)TaO3結晶は、3次元的にランダムな結晶方位を有していてもよい。しかし、望ましくは、Li(1-x)TaO3結晶は、少なくとも一方向に沿って配向している。例えば、Li(1-x)TaO3結晶は、固体電解質層4の法線方向に沿って配向している。この場合、Li(1-x)TaO3結晶の配向方向が、固体電解質層4を具備する全固体リチウム二次電池1の充放電時にリチウムイオンが固体電解質層4を伝導する方向(以下、充放電方向という)と同一となる。これにより、充放電方向に沿った固体電解質層4に含まれるリチウムイオンの伝導度が向上する。その結果、全固体リチウム二次電池1の出力特性および充放電特性が向上する。
Li(1-x)TaO3結晶は、一軸配向であっても二軸配向であってもよい。例えば、二軸配向しているLi(1-x)TaO3結晶は、固体電解質層4の法線方向(すなわち、充放電方向)および固体電解質層4の面内方向(すなわち、充放電方向に垂直な方向)に沿って配向している。
Li(1-x)TaO3結晶のc面、すなわち(001)面、が充放電方向に対して平行に配向していることが望ましい。この場合、固体電解質層4は、充放電方向に沿ってさらに高いリチウムイオン伝導度を有する。具体的には、固体電解質層4は、[110]方向に沿って配向しているLi(1-x)TaO3結晶、または[100]方向に沿って配向しているLi(1-x)TaO3結晶から形成され得る。または、固体電解質層4は、[−421]方向、[241]方向、または[2−21]方向に沿って配向しているLi(1-x)TaO3結晶から形成され得る。
一軸配向または二軸配向しているLi(1-x)TaO3結晶は、広角X線回折法または電子線回折法により確認され得る。例えば、一軸配向または二軸配向しているLi(1-x)TaO3結晶では、広角X線回折法のθ−2θ法において、特定の面方位の回折ピークおよびその整数倍の回折ピークのみが観測される。二軸配向しているLi(1-x)TaO3結晶の場合、さらに、X線回折のφ−スキャン法において、回折ピークが観測される。そのピーク間隔は、θ−2θ法で観測された面方位の回転対称性と一致する。一方、一軸配向しているLi(1-x)TaO3結晶の場合には、φ−スキャン法において、ピークが観測されない。電子線回折においては、透過型電子顕微鏡(TEM)が用いられ得る。
固体電解質層4の厚さは限定されない。しかし、固体電解質層4が薄すぎる場合、ピンホールが固体電解質層4に発生するために、電気的な短絡が形成され得る。一方、固体電解質層4が厚すぎると、リチウムイオンの伝導に対する抵抗が大きくなるために、全固体リチウム二次電池1の出力特性が低下する。固体電解質層4は、100ナノメートル以上20マイクロメートル以下程度の厚みを有することが望ましい。この範囲の厚みを有する固体電解質層4により、固体電解質層4の単位面積あたりの抵抗値(すなわち、リチウムイオンの伝導に対する抵抗値)を、概ね50Ω・cm2以下に低下させることができる。より望ましくは、固体電解質膜4は、200ナノメートル以上2マイクロメートル以下程度の厚みを有する。
固体電解質層4を形成する方法は限定されない。固体電解質層4は、パルスレーザーアブレーション(PLD)法、真空蒸着法、スパッタ法、化学気相堆積(CVD)法、またはゾルゲル法のような公知の薄膜形成手法を用いて形成され得る。正極活物質層22または負極活物質層32の上に、固体電解質層4がエピタキシャル成長されてもよい。固体電解質層4は、Li原子が大きく欠損した三方晶イルメナイト型結晶構造を有するLiTaO3結晶から形成される。このため、焼結法により作製したLiTaO3結晶層を熱処理することによってLi原子を欠損させる方法が採用され得る。
(負極活物質層32)
負極活物質層32は、リチウムイオンを吸蔵および放出し得る負極活物質を含有し得る。負極活物質は、正極活物質に比べて低い電位でリチウムイオンを吸蔵および放出し得る。負極活物質の例は、リチウム合金、合金、金属間化合物、炭素、有機化合物、無機化合物、金属錯体、または有機高分子化合物である。負極活物質層32は、2種類以上のこれらの物質を含有していてもよい。負極活物質層32は、導電助剤および/または結着剤を含んでいてもよい。
負極活物質層32は、結晶質であることが望ましい。言い換えれば、負極活物質層32は、結晶から構成されることが望ましい。負極活物質層32は、負極集電体31または固体電解質層4上に成長された配向膜であってもよい。より具体的には、負極活物質層32は、負極集電体31または固体電解質層4上にエピタキシャル成長された膜であってもよい。これに代えて、以下のように負極活物質層32は形成される。まず、基板上に負極活物質層32がエピタキシャル成長される。次いで、基板は、負極活物質層32から除去される。最後に、負極集電体31または固体電解質層4上に、負極活物質層32が配置される。
(負極集電体31)
負極集電体31は、リチウム二次電池1の設計された動作電圧の範囲内において負極活物質層32中のイオン伝導体と化学反応を起こさない電子伝導体により形成される。負極集電体31の動作電圧の範囲の例は、リチウムの標準酸化還元電位に対して0〜+1.6Vである。
負極集電体31は、断面視において層の形状を有する。負極集電体31の材料の例は、ステンレス鋼、ニッケル、銅、チタン、アルミニウム、アルミニウム合金、白金および金である。負極集電体31の材料は、導電性、イオン伝導体に対する耐性、および当該材料の酸化還元電位の観点から、アルミニウム、アルミニウム合金、白金または金が望ましい。
負極集電体31の上に負極活物質層32が配置される。負極活物質層32が負極集電体31上にエピタキシャル成長される場合、負極集電体31は、LaまたはNbがドープされた導電性STO基板であることが望ましい。
(製造方法)
以下、実施形態による全固体リチウム二次電池の製造方法が、図2A〜図2Dを参照しながら説明される。
最初に、図2Aに示されるように、正極集電体21上に正極活物質層22が、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法、PLD法、またはゾルゲル法により形成される。このようにして、正極2が形成される。
次に、図2Bに示されるように、正極活物質層22上に固体電解質層4が形成される。上述のように、固体電解質層4は、特定の方位に配向した結晶構造を有することが望ましい。このような固体電解質層4を形成するための条件、特に結晶方位を制御するための条件は、固体電解質層4の具体的な形成方法に応じて適切に設定される。
次に、図2Cに示されるように、固体電解質層4上に負極活物質層32が、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法、PLD法、またはゾルゲル法により形成される。
最後に、図2Dに示されるように、負極活物質層32上に負極集電体31が、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法、PLD、またはゾルゲル法により形成され、負極3を形成する。これに代えて、負極活物質層32上に、負極集電体31として金属箔が配置され得る。このようにして、実施形態による全固体リチウム二次電池1が得られる。
全固体リチウム二次電池1の製造方法は、図2A〜図2Dに示される例に限定されない。例えば、負極集電体31上に、負極活物質層32、固体電解質層4、正極活物質層22、および正極集電体21を順に形成することによって、全固体リチウム二次電池1が得られる。
(実施例)
以下、実施例を参照しながら、本発明がさらに詳細に説明される。
(実施例1)
[電池の作製]
図2A〜図2Dに示される方法に従って全固体リチウム二次電池1が作製された。具体的には、以下のように、全固体リチウム二次電池1が作製された。
正極集電体21として、LaをドープしたSTO単結晶基板を準備した。STO基板は、10ミリメートル×10ミリメートルの大きさを有する主面を有していた。STO基板は、500マイクロメートルの厚みを有していた。STO基板の主面は(110)面であった。
次に、図2Aに示されるように、化学式LiCoO2により表されるコバルト酸リチウムから形成される正極活物質層22が、正極集電体21の主面にPLD法により形成された。正極活物質層22は、250ナノメートルの厚みを有していた。正極活物質層22を形成するためのPLD法の条件が、以下、記述される。
ターゲット:LiおよびCoを含む酸化物焼結体(Li:Co=1.3:1(原子比))
レーザーパルスのエネルギー:50mJ
パルス周波数:2.5Hz
酸素分圧:3Pa
基板温度:摂氏500度
ターゲットおよび基板の間の距離:55ミリメートル
次に、図2Bに示されるように、固体電解質層4が正極活物質層22の表面にPLD法により形成された。固体電解質層4は、200ナノメートルの厚みを有していた。固体電解質層4を形成するためのPLD法の条件が、以下、記述される。
ターゲット:LiおよびTaを含む酸化物焼結体(Li:Ta=1.3:1(原子比))
レーザーパルスのエネルギー:100mJ
パルス周波数:5Hz
酸素分圧:10Pa
基板温度:500℃
ターゲットおよび基板の間の距離:40ミリメートル
正極活物質層22および固体電解質層4の結晶構造が、X線回折装置(Philips社製、商品名:X’Pert MRD)を用いて広角X線回折測定法により解析された。図3は、回折プロファイルを示す。図3に示されるように、LiCoO2結晶の(110)面に由来する回折ピークが観測された。この回折ピークは、正極活物質層22に対応していた。三方晶イルメナイト型結晶構造を有するLiTaO3結晶の(300)面に由来する回折ピークも観測された。この回折ピークは、固体電解質層4に対応していた。これら2つの回折ピーク以外の回折ピークは、極めて小さい強度を有していた。例えば、(006)面に由来するピークは、(300)面に由来するピークの1/20未満の強度を有していた。固体電解質層4の面内方向の結晶配向性を観察するために、(012)面のφ−scanが行われた。その結果、二回対称が観察された。単斜晶LiTa38の回折ピークは観察されなかった。
次に、図2Cに示されるように、リチウムから形成される負極活物質層32が、固体電解質層4の表面にスパッタリングにより形成された。負極活物質層32は、200ナノメートルの厚みを有していた。
最後に、図2Dに示されるように、白金から形成される負極集電体31が負極活物質層32の表面にスパッタリングにより形成された。負極集電体31は、100ナノメートルの厚みを有していた。このようにして、図1に示されるように、実施例1による全固体リチウム二次電池が得られた。
[容量比の測定]
実施例1による全固体リチウム二次電池1の容量比が以下のように測定された。まず、アルゴン雰囲気下で、正極集電体21および負極集電体31にポテンショスタットが接続された。次に、実施例1による全固体リチウム二次電池1は、ポテンショスタットから出力される60マイクロアンペアの定電流を用いて4.2Vまで充電した。次に、実施例1による全固体リチウム二次電池1は、60マイクロアンペアで3.0Vまで放電された。60マイクロアンペアでの放電容量は「1C」と定義された。
再度、ポテンショスタットが接続され、60マイクロアンペアの定電流を用いて全固体リチウム二次電池1は4.2Vまで充電された。次に、実施例1による全固体リチウム二次電池1は、120マイクロアンペアで3.0Vまで放電された。120マイクロアンペアでの放電容量は「2C」と定義された。容量比は、2C/1Cにより表される。実施例1による全固体リチウム二次電池1は、0.61の容量比(2C/1C)を有していた。容量比(2C/1C)は、充放電速度を変化させたときの電池の容量の変化量を意味する。容量比(2C/1C)の増大に伴い、電池は、より低い内部抵抗を有し、かつ優れた充放電特性および出力特性を有する。
[リチウムイオン伝導度の測定]
評価用サンプルが以下のように用意された。まず、ノンドープの絶縁性STO基板が用意された。この絶縁性STO基板は、(110)面の主面を有し、かつ10ミリメートル×10ミリメートル×500マイクロメートルの大きさを有していた。次に、図2Bに示されるように、全固体リチウム二次電池1の作製時と同様に固体電解質層4が絶縁性STO基板上に形成された。このようにして、評価用サンプルが調製された。評価用サンプルは、正極活物質層22および負極3を有していなかった。
次に、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(日立ハイテクサイエンス製、商品名:SPS1700VR、以下、「ICP分析装置」という)を用いて、評価用サンプルに含まれる固体電解質層4の組成が特定された。その結果、固体電解質層4においては、Li:Taの比は0.88:1(原子比)に等しかった。言い換えれば、xの値は0.12に等しかった。
評価用サンプルに含まれる固体電解質層4の表面に、2つの銀電極が形成された。一方の銀電極は、正極として機能した。他方の銀電極は、負極として機能した。次に、これらの2つの銀電極にポテンショスタット(Princeton Applied Research製、商品名:「VersaSTAT4」)の正極および負極が接続された。固体電解質層4に対するACインピーダンスが測定された。測定範囲は、1Hz〜1MHzであった。このようにして、固体電解質層4の面内方向に沿ったリチウムイオン伝導に対する抵抗値が測定された。測定された抵抗値が、リチウムイオン伝導度に換算された。実施例1による固体電解質層4のリチウムイオン伝導度(面内方向)は2.1×10-6S/cmであった。
(実施例2)
固体電解質層4を形成するためのPLD法の条件が以下の通りであったこと以外は実施例1と同様にして、全固体リチウム二次電池1が作製された。
ターゲット:LiおよびTaを含む酸化物焼結体(Li:Ta=1.3:1(原子比))
レーザーパルスのエネルギー:100mJ
パルス周波数:2Hz
酸素分圧:10Pa
基板温度:摂氏700度
ターゲットおよび基板の間の距離:40ミリメートル
実施例2による全固体リチウム二次電池1は、0.60の容量比(2C/1C)を有していた。固体電解質層4の形成後、正極活物質層22および固体電解質層4の結晶構造が、実施例1の場合と同様に広角X線回折法により分析された。その結果、LiCoO2結晶の(110)面由来の回折ピークが観察された。この回折ピークは、正極活物質層22に対応していた。三方晶イルメナイト型結晶構造を有するLiTaO3の(110)面由来の回折ピークも観察された。この回折ピークは、固体電解質層4に対応していた。これらの2つの回折ピーク以外の回折ピークの強度は非常に小さかった。例えば、(006)面由来のピークの強度は、(110)面由来のピークよりも20分の1未満であった。実施例2における固体電解質層4の膜面方向の結晶配向性を確認するために、(104)面のφ−scanを行ったところ、二回対称が確認された。単斜晶LiTa38の回折ピークは観測されなかった。
実施例1の場合と同様に、実施例2における固体電解質層4の膜面方向の組成およびリチウムイオン伝導度が測定された。その結果、実施例2における固体電解質層4においては、Li:Taの比は0.75:1(原子比)に等しかった。言い換えれば、xの値は0.25に等しかった。リチウムイオン伝導度は、1.2×10-5S/cmであった。
(実施例3)
固体電解質層4を形成するためのPLD法の条件が以下の通りであったこと以外は実施例1と同様にして、全固体リチウム二次電池1が作製された。
ターゲット:LiおよびTaを含む酸化物焼結体(Li:Ta=1.3:1(原子比))
レーザーパルスのエネルギー:100mJ
パルス周波数:2Hz
酸素分圧:10Pa
基板温度:摂氏600度
ターゲットおよび基板の間の距離:50ミリメートル
実施例3による全固体リチウム二次電池1は、0.63の容量比(2C/1C)を有していた。固体電解質層4の形成後、正極活物質層22および固体電解質層4の結晶構造が、実施例1の場合と同様に広角X線回折法により分析された。その結果、LiCoO2結晶の(110)面由来の回折ピークが観察された。この回折ピークは、正極活物質層22に対応していた。三方晶イルメナイト型結晶構造を有するLiTaO3の(300)面由来の回折ピークも観察された。この回折ピークは、固体電解質層4に対応していた。これらの2つの回折ピーク以外の回折ピークの強度は非常に小さかった。例えば、(006)面由来のピークの強度は、(300)面由来のピークよりも20分の1未満であった。実施例3における固体電解質層4の膜面方向の結晶配向性を確認するために、(012)面のφ−scanを行ったところ、二回対称が確認された。単斜晶LiTa38の回折ピークは観測されなかった。
実施例1の場合と同様に、実施例3における固体電解質層4の膜面方向の組成およびリチウムイオン伝導度が測定された。その結果、実施例3における固体電解質層4においては、Li:Taの比は0.54:1(原子比)に等しかった。言い換えれば、xの値は0.46に等しかった。リチウムイオン伝導度は、4.5×10-5S/cmであった。
(実施例4)
STO基板の面方位が(111)面であったこと、および固体電解質層4を形成するためのPLD法の条件が以下の通りであったこと以外は実施例1と同様にして、全固体リチウム二次電池1が作製された。
ターゲット:LiおよびTaを含む酸化物焼結体(Li:Ta=1.0:1(原子比))
レーザーパルスのエネルギー:100mJ
パルス周波数:2Hz
酸素分圧:10Pa
基板温度:摂氏600度
ターゲットおよび基板の間の距離:40ミリメートル
実施例4による全固体リチウム二次電池1は、0.63の容量比(2C/1C)を有していた。固体電解質層4の形成後、正極活物質層22および固体電解質層4の結晶構造が、実施例1の場合と同様に広角X線回折法により分析された。その結果、LiCoO2結晶の(003)面由来の回折ピークが観察された。この回折ピークは、正極活物質層22に対応していた。三方晶イルメナイト型結晶構造を有するLiTaO3の(006)面由来の回折ピークも観察された。この回折ピークは、固体電解質層4に対応していた。これらの2つの回折ピーク以外の回折ピークの強度は非常に小さかった。例えば、(300)面由来のピークの強度は、(006)面由来のピークよりも20分の1未満であった。実施例4における固体電解質層4の膜面方向の結晶配向性を確認するために、(104)面のφ−scanを行ったところ、六回対称が確認された。単斜晶LiTa38の回折ピークは観測されなかった。
実施例1の場合と同様に、実施例4における固体電解質層4の膜面方向の組成およびリチウムイオン伝導度が測定された。その結果、実施例4における固体電解質層4においては、Li:Taの比は0.62:1(原子比)に等しかった。言い換えれば、xの値は0.38に等しかった。リチウムイオン伝導度は、5.7×10-5S/cmであった。
(実施例5)
固体電解質層4が、2200ナノメートルの厚みを有していたこと以外は、実施例4と同様に全固体リチウム二次電池1が作製された。
実施例5による全固体リチウム二次電池1は、0.60の容量比(2C/1C)を有していた。固体電解質層4の形成後、正極活物質層22および固体電解質層4の結晶構造が、実施例1の場合と同様に広角X線回折法により分析された。その結果、LiCoO2結晶の(003)面由来の回折ピークが観察された。この回折ピークは、正極活物質層22に対応していた。三方晶イルメナイト型結晶構造を有するLiTaO3の(006)面由来の回折ピークも観察された。この回折ピークは、固体電解質層4に対応していた。これらの2つの回折ピーク以外の回折ピークの強度は非常に小さかった。例えば、(300)面由来のピークの強度は、(006)面由来のピークよりも20分の1未満であった。実施例5における固体電解質層4の膜面方向の結晶配向性を確認するために、(104)面のφ−scanを行ったところ、六回対称が確認された。単斜晶LiTa38の回折ピークは観測されなかった。
実施例1の場合と同様に、実施例5における固体電解質層4の膜面方向の組成およびリチウムイオン伝導度が測定された。その結果、実施例5における固体電解質層4においては、Li:Taの比は0.62:1(原子比)に等しかった。言い換えれば、xの値は0.38に等しかった。リチウムイオン伝導度は、3.2×10-5S/cmであった。
(比較例1)
固体電解質層4を形成するためのPLD法の条件が以下の通りであったこと以外は実施例1と同様にして、全固体リチウム二次電池1が作製された。
ターゲット:LiおよびTaを含む酸化物焼結体(Li:Ta=1.5:1(原子比))
レーザーパルスのエネルギー:100mJ
パルス周波数:5Hz
酸素分圧:10Pa
基板温度:摂氏450度
ターゲットおよび基板の間の距離:40ミリメートル
比較例1による全固体リチウム二次電池1は、0.42の容量比(2C/1C)を有していた。固体電解質層4の形成後、正極活物質層22および固体電解質層4の結晶構造が、実施例1の場合と同様に広角X線回折法により分析された。その結果、LiCoO2結晶の(110)面由来の回折ピークが観察された。この回折ピークは、正極活物質層22に対応していた。三方晶イルメナイト型結晶構造を有するLiTaO3の(300)面由来の回折ピークも観察された。この回折ピークは、固体電解質層4に対応していた。これらの2つの回折ピーク以外の回折ピークの強度は非常に小さかった。例えば、(006)面由来のピークの強度は、(300)面由来のピークよりも20分の1未満であった。比較例1における固体電解質層4の膜面方向の結晶配向性を確認するために、(104)面のφ−scanを行ったところ、二回対称が確認された。単斜晶LiTa38の回折ピークは観測されなかった。
実施例1の場合と同様に、比較例1における固体電解質層4の膜面方向の組成およびリチウムイオン伝導度が測定された。その結果、比較例1における固体電解質層4においては、Li:Taの比は1.00:1(原子比)に等しかった。言い換えれば、xの値は0.00に等しかった。リチウムイオン伝導度は、2.0×10-7S/cmであった。
(比較例2)
固体電解質層4を形成するためのPLD法の条件が以下の通りであったこと以外は実施例1と同様にして、全固体リチウム二次電池1が作製された。
ターゲット:LiおよびTaを含む酸化物焼結体(Li:Ta=1:1(原子比))
レーザーパルスのエネルギー:100mJ
パルス周波数:2Hz
酸素分圧:10Pa
基板温度:摂氏250度
ターゲットおよび基板の間の距離:40ミリメートル
比較例2による全固体リチウム二次電池1は、0.32の容量比(2C/1C)を有していた。固体電解質層4の形成後、正極活物質層22および固体電解質層4の結晶構造が、実施例1の場合と同様に解析された。図4は、回折プロファイルを示す。図4から明らかなように、LiCoO2結晶の(110)面に由来する回折ピークが観察された。これは、正極活物質層22に対応する。さらに、三方晶イルメナイト型結晶構造を有するLiTaO3結晶の(012)面に由来する回折ピークも観察された。これは、固体電解質層4に対応する。さらに、LiTaO3結晶の(006)面に対応する回折ピークおよびLiTaO3結晶の(300)面に対応する回折ピークを含め、様々な回折ピークが観察された。言い換えれば、固体電解質層4は、多結晶であった。単斜晶LiTa38の回折ピークも観察された。
実施例1の場合と同様に、比較例2における固体電解質層4の膜面方向の組成およびリチウムイオン伝導度が測定された。その結果、比較例2における固体電解質層4においては、Li:Taの比は、0.85:1(原子比)に等しかった。言い換えれば、xの値は0.15に等しかった。リチウムイオン伝導度は、1.0×10-8S/cm未満であった。
(比較例3)
固体電解質層4を形成するためのPLD法の条件が以下の通りであったこと以外は実施例1と同様にして、全固体リチウム二次電池1が作製された。
ターゲット:LiおよびTaを含む酸化物焼結体(Li:Ta=1.3:1(原子比))
レーザーパルスのエネルギー:100mJ
パルス周波数:2Hz
酸素分圧:10Pa
基板温度:摂氏250度
ターゲットおよび基板の間の距離:40ミリメートル
比較例3による全固体リチウム二次電池1は、0.37の容量比(2C/1C)を有していた。固体電解質層4の形成後、正極活物質層22および固体電解質層4の結晶構造が、実施例1の場合と同様に解析された。比較例2と同様、LiCoO2結晶の(110)面に由来する回折ピークが観察された。これは、正極活物質層22に対応する。さらに、三方晶イルメナイト型結晶構造を有するLiTaO3結晶の(012)面に由来する回折ピークも観察された。これは、固体電解質層4に対応する。さらに、LiTaO3結晶の(006)面に対応する回折ピークおよびLiTaO3結晶の(300)面に対応する回折ピークを含め、様々な回折ピークが観察された。言い換えれば、固体電解質層4は、多結晶であった。単斜晶LiTa38の回折ピークも観察された。
実施例1の場合と同様に、比較例3における固体電解質層4の膜面方向の組成およびリチウムイオン伝導度が測定された。その結果、比較例3における固体電解質層4においては、Li:Taの値は0.72:1(原子比)に等しかった。言い換えれば、xの値は0.28に等しかった。リチウムイオン伝導度は、4.1×10-8S/cmであった。
(比較例4)
PLD法に代えて固体電解質層4がスパッタ法により形成されたこと以外は、実施例1と同様にして、全固体リチウム二次電池1が作製された。
スパッタ法の条件は以下の通りである。
ターゲット:LiおよびTaを含む酸化物焼結体(Li:Ta=1:1(原子比))
RFパワー:80W
スパッタガス圧:1Pa (Ar:O2=80:20(体積比))
基板温度:室温
比較例4による全固体リチウム二次電池1は、0.38の容量比(2C/1C)を有していた。固体電解質層4の形成後、正極活物質層22および固体電解質層4の結晶構造が、実施例1の場合と同様に解析された。その結果、LiCoO2結晶の(110)面に由来する回折ピークが観測された。これは、正極活物質層22に対応した。しかし、固体電解質層4に由来する回折ピークが観測されなかった。言い換えれば、比較例4では、固体電解質層4は非晶質であった。
実施例1の場合と同様に、比較例4における固体電解質層4の膜面方向の組成およびリチウムイオン伝導度が測定された。その結果、比較例4における固体電解質層4においては、Li:Taの比は0.85:1(原子比)に等しかった。言い換えれば、xの値は0.15に等しかった。リチウムイオン伝導度は、6.0×10-7S/cmであった。
以下の表1および表2は、実施例1〜実施例5および比較例1〜比較例4の結果を示す。
Figure 2015173099
Figure 2015173099
表1および表2に示されるように、実施例1〜実施例5による固体電解質層4は、比較例1による固体電解質層4(Li/Ta比が1)よりも高いリチウムイオン伝導度を有する。言い換えれば、0.54以上0.88以下のLi/Taの値(すなわち、xが0.12以上0.46以下)を有する固体電解質層4を具備する全固体リチウム二次電池1は、Li/Taの値が1である(すなわち、xが0に等しい)固体電解質層4を具備する全固体リチウム二次電池1よりも、高いリチウムイオン伝導度を有する。
実施例1〜実施例5による全固体リチウム二次電池は、大きな容量比2C/1Cを有する。従って、実施例1〜実施例5による全固体リチウム二次電池は、低い内部抵抗、高い充放電特性、および高い出力特性を有する。実施例5における固体電解質層4の厚みは、実施例1〜実施例4によるそれらよりも10倍以上であるが、実施例5による全固体リチウム二次電池1は、実施例1〜実施例4による全固体リチウム二次電池1と同様の特性を有する。
比較例2および比較例3では、固体電解質層4におけるLi/Ta比が0.88以下であり(すなわち、xは0.12以上であり)、かつ固体電解質層4が結晶質であるにもかかわらず、固体電解質層4は、LiTa38相を含有していた。そのため、比較例2および比較例3では、固体電解質層4のリチウムイオン伝導度は非常に低かった。
比較例4では、固体電解質層4が非晶質であった。固体電解質層4が結晶質である比較例1〜3に比べて、比較例4ではリチウムイオン伝導度が高くなった。しかし、比較例4におけるリチウムイオン伝導度は、実施例1〜実施例5におけるリチウムイオン伝導度よりも低かった。比較例4における固体電解質層4は、比較例1〜比較例3よりも高いリチウムイオン伝導度を有するが、比較例1〜比較例3と同じような容量比2C/1Cを有していた。これは、比較例4による全固体リチウム電池1が、比較例1〜比較例3による全固体リチウム電池よりも高い内部抵抗を有することを意味する。
本発明による全固体リチウム二次電池は、例えば、モバイル機器、電動工具、または輸送機器の電源のために使用できる。輸送機器の例は、電気自動車である。
1 全固体リチウム二次電池
2 正極
21 正極集電体
22 正極活物質層
3 負極
31 負極集電体
32 負極活物質層
4 固体電解質層

Claims (5)

  1. 正極、
    負極、および
    前記正極および負極の間に配置された固体電解質層
    を備え、
    前記固体電解質層は、三方晶イルメナイト型結晶構造を有するLi(1-x)TaO3結晶(ここで、0.12≦x≦0.46)から形成されている、全固体リチウム二次電池。
  2. 請求項1に記載の全固体リチウム二次電池であって、
    前記固体電解質層が、100ナノメートル以上20マイクロメートル以下の厚みを有する。
  3. 請求項1に記載の全固体リチウム二次電池であって、
    前記Li(1-x)TaO3結晶が、前記固体電解質層の法線方向に沿って配向している。
  4. 請求項1に記載の全固体リチウム二次電池であって、
    前記Li(1-x)TaO3結晶が、前記固体電解質層の法線方向および前記固体電解質層の面内方向に沿って二軸配向している。
  5. 請求項1に記載の全固体リチウム二次電池であって、
    前記Li(1-x)TaO3結晶は、[110]方向または[100]方向に沿って配向している。
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