JP2015172499A - 超薄切片回収治具 - Google Patents
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Abstract
【課題】ナイフボートの水面上で、超薄切片が大きくばらばらに移動しないように回収することを可能とする治具を提供する。【解決手段】ダイヤモンドナイフのナイフボード水面に浮いている超薄切片の回収治具である。金属材質で構成されており、水面に浮いている超薄切片lを治具の半円形部で囲み、風による移動を防ぐ。また、ダイヤモンドナイフ本体に引っ掛けるための鉤状部を有し、取り付け・取り外しが容易である。【選択図】図6
Description
本発明は透過電子顕微鏡観察用の試料作製技術、特にウルトラミクロトーム(切削加工装置)のナイフボード水面に切り出された試料の回収技術に関するものである。
透過電子顕微鏡の断面観察において、試料の断面作製に切削加工装置であるウルトラミクロトームを用いるミクロトーム法がある。ウルトラミクロトームとは試料を切削し、極薄い切片(超薄切片)を作製する装置である。
超薄切片を作製するための切断用具としてダイヤモンドナイフを用いる。試料作製時、ダイヤモンドナイフのボートに水を張り、切削した超薄切片を水面に浮かせて、観察用のグリッドに回収する。グリッドとは透過観察するための載せ台であり、直径3mmの薄い金属円盤で中が細かな網状になっているものである。グリッド表面にプラスチックやカーボン等の支持膜を貼ったものが一般的に用いられる。
ミクロトーム法は生物試料、高分子試料、複合材料等の試料作製に使われる方法であり、ダイヤモンドナイフを用いて、試料を数10nm〜100nm程度の厚さに連続的に切ることができる。
ミクロトーム法の試料作製の手順は(1)材料の前処理、樹脂包埋、(2)トリミング、(3)超薄切片の切り出し、(4)超薄切片の回収である。
超薄切片の回収には、一般的に引き上げ法、押し付け法、ループ法がある。
引き上げ法は予め親水処理したグリッドをピンセットでつまみ、水面に浮いている超薄切片の近くに、少しグリッドが出る程度に沈め、垂直にしてプローブ(まつ毛またはファイバーブラシを先端に付けた棒)を用いてグリッド面に超薄切片の端を付着させて垂直に引き上げ、超薄切片とグリッドを密着させ、回収する方法である。
押付け法はグリッドをピンセットでつまみ、水面に浮いている超薄切片にグリッド面を押付け、超薄切片とグリッドを密着させ、回収する方法である。
ループ法は外径3mm、内径2mmに作られたリング状の薄板に柄を付けた用具を用いる。水面に浮いている超薄切片をリングの内径に収めて着水させて引き上げる。リングの水滴の下部をグリッドに接触させ、グリッドの端面を吸取紙に押付つけて水滴を吸収させ、超薄切片とグリッドを密着させ、回収する方法である。
上述のいずれの回収方法でも水面に浮いている超薄切片を数枚から十数枚をグリッドの直径である3mmφの範囲に集める必要がある。
切削している室内が無風の環境であればナイフボートの水面に浮いている超薄切片は静止しているが、空調等の風がある環境では微風でも、超薄切片は水面を移動し、連続切片がばらばらになり顕微鏡下から外れてしまう。切削箇所から大きくばらばらに移動した超薄切片をプローブで寄せ集めるのは困難であり、労力と時間がかかる。
そこで本発明はナイフボートの水面上で、超薄切片が大きくばらばらに移動しないようにすることを課題とする。
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、請求項1に記載の発明は、ダイヤモンドナイフのナイフボード水面に浮いている超薄切片の回収治具であって、該回収治具は金属材質で構成されており、ナイフボードの水面に浮いている超薄切片を囲む半円形型部、ダイヤモンドナイフ本体に引っ掛けるための鉤状部を少なくとも有していることを特徴とする超薄切片回収治具である。
請求項2に記載の発明は、前記半円形型部の少なくとも一箇所にナイフボード水面下に沈む凹部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の超薄切片回収治具である。
請求項3に記載の発明は、前記半円形型部の内径は4mm〜10mmであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の超薄切片回収治具である。
請求項4に記載の発明は、前記金属は親水化処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載の超薄切片回収治具である。
本発明の回収治具を用いることにより、超薄切片が風等により大きくばらばらに移動しにくくなり、超薄切片の回収を効率良く行うことが可能となる。
本発明の実施の形態を図1〜図4に基づいて詳細に説明する。
本発明の超薄切片回収治具は、半円形型部aを有しており、この半円形型部でナイフボードの水面に浮いている超薄切片を囲む状態とするものである。
ここで、本発明における半円形とは、半円の他に半楕円形状、放物線形状を含むものである。
ここで、本発明における半円形とは、半円の他に半楕円形状、放物線形状を含むものである。
ダイヤモンドナイフ本体に本発明の治具を装着することにより、水面に浮いている超薄切片を治具の半円形型部によって囲むため、回収しやすいように数枚から十数枚をまとめて水面に存在できる状態にすることが可能となる。治具に囲まれた超薄切片は風により移動しにくい状態となる。
本発明の超薄切片回収治具は、両端に鉤状部dを有している。この鉤状部をダイヤモンドナイフ本体に引っ掛けることにより、本発明の治具をダイヤモンドナイフに装着する。この鉤状部により、本発明の治具の取り付け、取り外しや移動を容易に行うことができる。
また、本発明の超薄切片回収治具は、半円形型部の少なくとも一箇所に、凹部bが設けられている。この凹部は、ダイヤモンドナイフ本体に本発明の治具を装着したときに、ナイフボード水面下に沈む構造となっている。ナイフボード水面下に前記凹部が沈むことにより、超薄切片をプローブで移動したときに、水の抵抗による超薄切片の移動しにくさを緩和することができる。
本発明の超薄切片回収治具の半円形型部aの内径は4mm〜10mmである。内径を4mm〜10mmとすることにより、半円形型部内にグリットやループを入れることができるため、超薄切片の回収方法である引き上げ法、押し付け法、ループ法に対応可能となる。
また、超薄切片は約3mmφ以下の範囲内に集める必要があるが、本発明の治具を使用することにより、本発明の治具の半円形型部の内径から3mmφの範囲を推定し易いという効果も奏する。
また、超薄切片は約3mmφ以下の範囲内に集める必要があるが、本発明の治具を使用することにより、本発明の治具の半円形型部の内径から3mmφの範囲を推定し易いという効果も奏する。
本発明の超薄切片回収治具の材質は金属であり、さらに好ましくは親水化処理された金属であることが望ましい。材質が金属であることにより、本発明の治具の一部を水中に入れても浮き上がることなく使用することができる。また、親水化処理を施すことにより、本発明の治具近くの水の表面張力を下げることができる。そのため、治具近くの超薄切片をプローブで移動させたときの移動しにくさを緩和することが可能となる。
前記金属としては、ステンレス鋼、アルミニウムまたはその合金、銅またはその合金等が挙げられる、金属表面にメッキ等を施してもよく、錆びにくい材質が望ましい。
また、本発明の超薄切片回収治具の鉤状部のダイヤモンドナイフに接する箇所に樹脂を取り付けることができる。樹脂を設けることにより、ダイヤモンドナイフ本体の傾きを緩和し、治具を水平に保ち、治具とナイフとがずれ難くなる。樹脂としては、シリコーン樹脂等、適宜選択することができる。
以下に、本発明の超薄切片回収治具の使用例について実施例を挙げて説明するが、本発明の技術的範囲は実施例に限られるものではない。
<実施例>
包埋用樹脂で包埋した試料をウルトラミクロトームの試料ホルダに取り付け、ガラスナイフでトリミングを行った。ダイヤモンドナイフに取り替え、ナイフボードに水を張り(図5−i)、本発明の超薄切片回収治具を取り付けた。超薄切片の切削を行い、連続切片(図6−j)または個々の切片(図6−k)が治具の半円形型部に入るようにプローブ(図6−m)で導いた。十枚程度半円形型部に入れたところで、半円形型部の内径を参考に2mm程度の大きさ(図6−l)の中に超薄切片をプローブで集めた。ループを用い、先端のリング(図7−n)を着水させ、水面に浮いている超薄切片十枚程度を引き上げた。リングの水滴の下部を観察用のグリッド(図示せず)に接触させた。グリッドの端面を吸取紙に押付けて水滴を吸収させ、ループからグリッドを外した。グリッドに十枚程度の超薄切片が密着し、迅速かつ良好に透過電子顕微鏡の試料作製を行うことができた。
包埋用樹脂で包埋した試料をウルトラミクロトームの試料ホルダに取り付け、ガラスナイフでトリミングを行った。ダイヤモンドナイフに取り替え、ナイフボードに水を張り(図5−i)、本発明の超薄切片回収治具を取り付けた。超薄切片の切削を行い、連続切片(図6−j)または個々の切片(図6−k)が治具の半円形型部に入るようにプローブ(図6−m)で導いた。十枚程度半円形型部に入れたところで、半円形型部の内径を参考に2mm程度の大きさ(図6−l)の中に超薄切片をプローブで集めた。ループを用い、先端のリング(図7−n)を着水させ、水面に浮いている超薄切片十枚程度を引き上げた。リングの水滴の下部を観察用のグリッド(図示せず)に接触させた。グリッドの端面を吸取紙に押付けて水滴を吸収させ、ループからグリッドを外した。グリッドに十枚程度の超薄切片が密着し、迅速かつ良好に透過電子顕微鏡の試料作製を行うことができた。
a ・・・半円形型部
b ・・・凹部c ・・・曲部
d ・・・鉤状部
e ・・・樹脂
f ・・・ダイヤモンドナイフ本体
g ・・・ナイフボード
h ・・・ダイヤモンド刃先
i ・・・水
j ・・・連続切片
k ・・・個々の切片
l ・・・治具内に導いた切片
m ・・・プローブ
n ・・・ループのリング部
b ・・・凹部c ・・・曲部
d ・・・鉤状部
e ・・・樹脂
f ・・・ダイヤモンドナイフ本体
g ・・・ナイフボード
h ・・・ダイヤモンド刃先
i ・・・水
j ・・・連続切片
k ・・・個々の切片
l ・・・治具内に導いた切片
m ・・・プローブ
n ・・・ループのリング部
Claims (4)
- ダイヤモンドナイフのナイフボード水面に浮いている超薄切片を回収治具であって、該回収治具は金属材質で構成されており、ナイフボードの水面に浮いている超薄切片を囲む半円形型部、ダイヤモンドナイフ本体に引っ掛けるための鉤状部を少なくとも有していることを特徴とする超薄切片回収治具。
- 前記半円形型部の少なくとも一箇所にナイフボード水面下に沈む凹部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の超薄切片回収治具。
- 前記半円形型部の内径は4mm〜10mmであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の超薄切片回収治具。
- 前記金属は親水化処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載の超薄切片回収治具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014047906A JP2015172499A (ja) | 2014-03-11 | 2014-03-11 | 超薄切片回収治具 |
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JP2014047906A JP2015172499A (ja) | 2014-03-11 | 2014-03-11 | 超薄切片回収治具 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2022020238A (ja) * | 2020-07-20 | 2022-02-01 | 日本電子株式会社 | 試料支持具、支持機器、および試料作製方法 |
JP7397421B1 (ja) | 2022-09-20 | 2023-12-13 | 重夫 北 | リボン状連続超薄切片を基板上に回収する用具 |
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2014
- 2014-03-11 JP JP2014047906A patent/JP2015172499A/ja active Pending
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