JP2015172193A - 冷媒組成物および低温冷凍システムにおけるそれらの使用 - Google Patents
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Abstract
Description
オゾン層破壊冷媒であるクロロジフルオロメタン(HCFC−22またはR−22)の代
替品としての冷媒組成物に関する。また、本発明は、HCFC−22冷媒を含む低温冷凍
(冷却)システムに、冷凍(冷却)システムの構成要素又は潤滑剤の如何なる重要な修正
の必要性なしで、それでも尚、このような冷凍(冷却)システムでのR−22組成物の動
作特性の少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約95%を獲得することができる、
冷媒組成物を後から組み込むための方法に関する。本発明はまた、R−22冷媒組成物を
用いることができる他のシステム(例えば、新たに設計されたシステム)に、このような
R−22代替冷媒組成物を用いるための方法にも関する。
のような関連する熱伝達装置は、産業、商業および家庭での使用について当技術分野にお
いてよく知られている。クロロフルオロカーボン類(CFCs)は、1930年代に、こ
のようなシステムにための冷媒として開発された。しかしながら、1980年代以後ずっ
と、成層圏オゾン層へのCFCsの影響が大きな注目の的になった。1987年に、多数
の政府が、CFC製品を段階的に廃止する予定表を宣言する、地球環境を守るためのモン
トリオール議定書に署名した。CFC物質は、水素またはヒドロクロロフルオロカーボン
類(HCFCs)を含む、より環境に許容される物質に置き換えられた。その後のモント
リオール議定書の改訂は、これらのCFCsの段階的廃止を加速し、HCFCsの段階的
廃止の予定を決めた。こうして、これらのCFCsおよびHCFCsに取って代わる、不
燃性で無毒性の代替物が求められている。このような要求に応えて、産業界は、オゾン層
破壊係数がゼロである多数のヒドロフルオロカーボン類(HFCs)を開発してきた。
却)システムの重要性は、根本的なものである。このようなシステムは、消費者に届く食
品が新鮮であるとともに食べるのに適していることを保証するのに、極めて重要な役割を
果たす。このような低温冷凍システムにおいて、使用されているよく知られた冷媒は、ク
ロロジフルオロメタン(R−22またはHCFC−22)であるが、これは、オゾン層破
壊係数を有しており、段階的に完全に廃止されることになっている。
許は、これから組み立てられる、または設置されようとしている新しい冷凍(冷却)シス
テムにおいて、HCFC−22の代わりに使用できる冷媒または冷媒組成物を示唆してい
る。このような公開特許の中で、特に、米国特許第5,185,094号明細書(特許文
献1)、米国特許第5,370,811号明細書(特許文献2)、米国特許第5,438
,849号明細書(特許文献3)、米国特許第5,643,492号明細書(特許文献4
)、米国特許第5,709,092号明細書(特許文献5)、米国特許第5,722,2
56号明細書(特許文献6)、米国特許第6,018,952号明細書(特許文献7)、
米国特許第6,187,219B1号明細書(特許文献8)、米国特許第6,606,8
68B1号明細書(特許文献9)、米国特許第6,669,862B1号明細書(特許文
献10)、米国特許出願公開第2004/00691091A1号公報(特許文献11)
、ならびに欧州特許出願公開第0430169A1号公報(特許文献12)、欧州特許出
願公開第0509673A1号公報(特許文献13)、および欧州特許出願公開第081
1670A1号公報(特許文献14)を挙げることができる。挙げられた全ての米国特許
明細書および欧州特許出願公開公報は、冷凍(冷却)または空調システムに使用される、
ジフルオロメタン(HFC−32)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)およびテ
トラフルオロエタン(HFC−134a)の三成分混合物を開示するが、それらは、シス
テムの修正の必要なしに、特に低温冷凍(冷却)システムの膨張弁の調節または交換の必
要なしに、R−22の動作特性の少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約95%を
獲得しながら、既存のR−22冷凍(冷却)システムまたはR−22冷媒を用いて使用さ
れるのに適するシステムにおける、特に低温冷凍(冷却)システムにおける、HCFC−
22を置き換える能力を検討していない。本出願の本明細書で後に記載される比較例は、
先行技術に開示される範囲内の三成分組成物が、低温R−22冷凍(冷却)システムに使
用されるのに適さないことを示している。これらの先行技術の組成物では、このような組
成物を、低温R−22冷凍(冷却)システムにおいて、システムの修正の必要なしに、広
い範囲の低い冷凍(冷却)温度および周囲温度に渡って使用することを可能にするための
、R−22の動作特性の少なくとも約90%が得られない。
ンタン、ジメチルエーテルおよびこれらの混合物から選択される可溶化剤に溶ける冷媒組
成物を開示する。これらの冷媒組成物は、R−22の取替え組成物として有用であると記
載されている。しかしながら、この文献に開示されているR−22取替え組成物は、空調
システムのような、R−22取替え高温冷却システムにおいて適切であると開示されてい
るだけである(実施例2〜7を参照されたい)。この文献は、低温冷凍、すなわち、0℃
(32°F)より下の蒸発器温度を保つ冷凍で、R−22を後から取り替えることを、開
示も想定もしていない。
冷却におけるR−22の取替えとは全く異なり、かつ、全く異なる一連の条件および問題
を含む。高い蒸発温度システム(例えば、空調システム)で許容される性能特性を有する
冷媒組成物は、低い蒸発温度システムにおける適切なまたは許容される性能特性を必ずし
も有さない。冷凍(冷却)能力は低下し得るし、膨張弁は満足に作動しないということが
あり得る。通常、これは、冷凍システムの圧縮機の吸入点での、冷媒組成物蒸気のより低
い蒸気圧およびより低い密度に起因する。例えば、高蒸発温度システム(例えば、空調シ
ステム)において性能が許容される組成物は、冷凍能力におけるかなりの低下を有し得る
し、また、R−22よりも、蒸気圧対温度のより急な勾配を有する冷媒組成物のために、
膨張弁は、許容されないほどに、液体が圧縮機を通過することを許容し得る。
込むためには、代替冷媒の動作特性、例えば、蒸発器過熱、冷却能力、冷媒の質量流量、
効率、圧力およびエネルギー消費が、置き換えられるHCFC−22冷媒のそれと実質的
に同じであることが必要である。このようなHCFC−22の特性に対する代替冷媒の特
性のほとんどの合致性は、装備の交換または修正、例えば、低温冷凍システムの膨張弁の
交換または修正を必要とせずに、このような既存の低温冷凍(冷却)システムまたはR−
22冷媒を用いるように設計されたシステムにおいてそれら代替冷媒を使用するためには
不可欠である。R−22の代替に対して産業界によって示唆された解決策、例えばR−4
07AおよびR−407C冷媒は、R−22動作特性と合致させようとする試みにおいて
、システムの修正を必要とするので、この問題を解決しない。
全てを克服する組成物が求められている。
40重量%のペンタフルオロエタン(HFC−125);および(c)35〜45重量%
のテトラフルオロエタンを含む組成物が提供される。
これらの組成物は、HCFC−22冷媒を用いる既存の低温冷凍(冷却)システムに後
から組み込むのに特に有用であることが見出された。
のジフルオロメタン(HFC−32);(b)28〜32重量%のペンタフルオロエタン
(HFC−125);および(c)38〜42重量%のテトラフルオロエタンを含む。
2冷媒を用いた低温冷凍(冷却)システムに後から組み込むのに、直接の代替として使用
できることが見出された。
フルオロメタン(HFC−32);(b)25〜35重量%のペンタフルオロエタン(H
FC−125);および(c)40重量%のテトラフルオロエタン(HFC−134a)
を含む。
HFC−125)、およびテトラフルオロエタン(HFC−134a)以外の、例えば、
冷媒、潤滑剤、相溶化剤、界面活性剤または可溶化剤のような1つまたは複数の追加の成
分を任意選択で含む。追加の成分は、過熱および他の動作特性のような性能特性が落ちな
いような少量で存在する。
本発明による組成物のさらなる実施形態において、成分(a)、(b)および(c)は
、組成物の全重量の少なくとも97重量%を占める。好ましくは、成分(a)、(b)お
よび(c)は、実質的に全組成を占める。すなわち、成分(a)、(b)および(c)は
、組成物の全重量の実質的に100重量%を構成する。
のジフルオロメタン(HFC−32);(b)約30重量%のペンタフルオロエタン(H
FC−125);および(c)約40重量%のテトラフルオロエタンを含む。
は、HCFC−22冷媒の動作特性と同等な動作特性を示す。この組成物は、従来からの
HCFC−22冷媒を用いた低温冷凍(冷却)システムに後から組み込むのに、直接の代
替として使用できる。
却)システムのような、R−22冷媒を用いて使用されるのに適する、またはR−22冷
媒を用いて使用できるシステムに使用することができる。本発明の三成分冷媒組成物は、
HCFC−22冷媒の動作特性(特に、所望の蒸発器過熱、冷却能力、質量流および効率
、すなわち、COP(成績係数(coefficient of performanc
e):必要とされるエネルギーに対する冷凍(冷却)効果の割合)と、実質的に合致する
ので、これにより、本発明の三成分組成物は、如何なるシステムの重要な修正(例えば、
R−22システムの膨張弁の調節、交換または再設計)の必要なしに、既存の低温冷凍(
冷却)システムにおける、またはR−22冷媒を用いて使用されるのに適する冷凍(冷却
)システムにおけるHCFC−22を置き換えることを可能にする。通常、本発明の三成
分組成物の動作特性の値は、三成分組成物がHCFC−22冷媒に取って代わろうとする
低温冷凍(冷却)システムにおけるHCFC−22の動作特性の対応する値の少なくとも
90%以上、好ましくは少なくとも95%以上となる。また、本発明において用いられる
組成物は、ASHRAE(米国暖房冷凍空調学会)規格34の追補P(第3回公開レビュ
ー、1998年1月)に記載の条件でASTM E681−2001に従って試験したと
き、本質的に不燃性である。
おいても、R−22冷媒組成物を置き換えるための許容される冷媒組成物である。本発明
の組成物が中温および低温のいずれの冷凍(冷却)システムに対しても許容される理由は
、それらが、中温乃至低温冷凍(冷却)の全範囲に渡って、許容される過熱レベルおよび
許容される冷凍(冷却)能力を保つことができるためである。広い冷凍範囲に渡って機能
する単一の冷媒組成物が非常に求められていた。例えば、スーパーマーケットは、食品が
0℃(32°F)から−23.3℃(−10°F)以下の温度に置いておかれる1つの店
の必要に応えるために、2種以上の冷媒組成物の必要性があることを欲しない。R−22
の代替としてこれまでに提案された先行技術の組成物は、それらが、許容される過熱レベ
ルおよび冷凍(冷却)能力をもたらすことができないので、中温および低温冷凍(冷却)
の両方で許容される冷凍(冷却)を提供する能力を有さない。
ルオロエタンおよびテトラフルオロエタン)は、冷凍の間にもたらされる過熱に関して、
冷媒組成物の動作特性が許容される過熱レベルにあり、また、冷却能力、質量流特性およ
び効率(COP)に関する動作特性が、それぞれ、低温冷凍システムにおける冷媒として
用いられたとき、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)がこのような低温冷凍シス
テムにおける冷媒として用いられたとした場合の、HCFC−22の動作特性の少なくと
も90%、好ましくは少なくとも95%であるような量で存在する。
F)未満、約−10℃(約14°F)以下、約−15℃(約5°F)以下、または約−3
0℃(約−22°F)以下である冷凍システム)において用いられるとき、本発明による
組成物は、少なくとも1.1℃(2°F)の、冷凍の間の過熱に関する動作特性を有する
。好ましくは、本発明による組成物は、約−9.4℃(約15°F)から約−1.1℃(
約30°F)の蒸発器温度範囲では約4.4℃から約8.9℃(約8°Fから約16°F
)、約−26.1℃(約−15°F)の蒸発器温度では約4.4℃から約6.7℃(約8
°Fから約12°F)、または約−34.4℃(約−30°F)の蒸発器温度では約2.
2℃から約4.4℃(約4°Fから約8°F)の範囲の、冷凍の間の過熱に関する動作特
性を有する。
当該方法は:
(a)本発明による組成物を凝縮させる工程;および
(b)前記組成物を、冷却される物体の近傍において蒸発させる工程;を含み、前記冷
凍システムの蒸発器温度が0℃(32°F)未満である方法である。
2°F)の、冷凍の間の過熱に関する動作特性を有する。好ましくは、組成物は、約−9
.4℃(約15°F)から約−1.1℃(約30°F)の蒸発器温度範囲では約4.4℃
から約8.9℃(約8°Fから約16°F)、約−26.1℃(約−15°F)の蒸発器
温度では約4.4℃から約6.7℃(約8°Fから約12°F)、または約−34.4℃
(約−30°F)の蒸発器温度では約2.2℃から約4.4℃(約4°Fから約8°F)
の範囲の、冷凍の間の過熱に関する動作特性を有する。
れ、冷凍システムの冷媒として用いられたとき、クロロジフルオロメタン(HCFC−2
2)が同じ冷凍条件で前記冷凍システムに冷媒として用いられたとした場合の動作特性の
、少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約95%である。
のに適し、本発明による組成物は、システムの如何なる調節の必要もなく、このシステム
でHCFC−22の代わりに使用できる。特に、低温冷凍システムにおけるHCFC−2
2膨張弁の調節(再設計を含めて)または交換は、所望の動作特性を達成するのに全く必
要とされない。「クロロジフルオロメタン(HCFC−22)を用いて使用されるのに適
する」という表現は、低温冷凍を得るためにシステムにクロロジフルオロメタン(HCF
C−22)冷媒を用いて、システムが使用されているまたは使用されるようになっている
ことを意味する。
、該方法は、冷凍システムのクロロジフルオロメタン(HCFC−22)冷媒を、本発明
による組成物に、少なくとも部分的に、好ましくは本質的に完全に置き換える工程をさら
に含む。「本質的に完全に置き換える」とは、ある僅かな量、通常、約5%未満、好まし
くは約3%未満、より好ましくは約1%未満のHCFC−22(クロロジフルオロメタン
)が、その置換えに際してシステムに、故意にではなく残り得ることを意味する。
冷媒組成物を含む低温冷凍システムもまた提供し、ここで、冷凍システムの蒸発器温度は
0℃(32°F)未満である。
2°F)の、冷凍の間の過熱に関する動作特性を有する。好ましくは、組成物は、約−9
.4℃(約15°F)から約−1.1℃(約30°F)の蒸発器温度範囲では約4.4℃
から約8.9℃(約8°Fから約16°F)、約−26.1℃(約−15°F)の蒸発器
温度では約4.4℃から約6.7℃(約8°Fから約12°F)、または約−34.4℃
(約−30°F)の蒸発器温度では約2.2℃から約4.4℃(約4°Fから約8°F)
の範囲の、冷凍の間の過熱に関する動作特性を有する。
れ、本発明による冷凍システムの冷媒として用いられたとき、クロロジフルオロメタン(
HCFC−22)が同じ冷凍条件で前記冷凍システムに冷媒として用いられたとした場合
の動作特性の少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約95%である。
用されるのに適しており、本発明による組成物は、システムの如何なる調節の必要もなく
、このシステムでHCFC−22の代わりに使用できる。特に、低温冷凍システムのHC
FC−22膨張弁の調節(再設計を含めて)または交換は、所望の動作特性を達成するの
に全く必要とされない。「クロロジフルオロメタン(HCFC−22)を用いて使用され
るのに適する」という表現は、低温冷凍を得るためにシステムにクロロジフルオロメタン
(HCFC−22)冷媒を用いて、システムが使用されている、または使用されるように
なっていることを意味する。
適する既存の低温冷凍システムおよび他の低温冷凍システムにおけるHCFC−22冷媒
を置き換えるのに役立つように配合されているが、こうした本発明の冷媒組成物の使用は
、このような使用に限定されず、例えば非低温冷凍システムにおけるような、別の冷媒用
途をも有することが理解されるであろう。本発明による組成物は、中温および低温冷凍(
冷却)の両方の用途およびシステムにおいてR−22冷媒組成物を置き換えるために許容
される冷媒組成物である。本発明の組成物が中温および低温冷凍(冷却)システムのいず
れに対しても許容される理由は、それらが、中乃至低温度冷凍(冷却)の全範囲に渡って
、許容される過熱レベルおよび許容される冷凍(冷却)能力を保つことができるためであ
る。
凍システムにおいて低温冷凍を生成する方法に使用され得ることが見出され、このシステ
ムは、0℃(32°F)未満、または約−10℃(約14°F)以下、または約−15℃
(約5°F)以下、また約−30℃(約−22°F)以下でさえもある蒸発器温度を達成
し維持する。本発明による組成物は、(a)25〜35重量%のジフルオロメタン(HF
C−32);(b)20〜40重量%のペンタフルオロエタン(HFC−125);およ
び(c)35〜45重量%のテトラフルオロエタンを含む。(a)28〜32重量%のジ
フルオロメタン(HFC−32);(b)28〜32重量%のペンタフルオロエタン(H
FC−125);および(c)38〜42重量%のテトラフルオロエタンを含む組成物は
、特に良好であることが見出された。本発明による組成物の一実施形態において、成分(
a)、(b)および(c)は、組成物の全重量の少なくとも97重量%を占める。好まし
い実施形態において、成分(a)、(b)および(c)は、実質的に全組成を構成する。
本発明による好ましい組成物は、(a)約30重量%のジフルオロメタン(HFC−32
);(b)約30重量%のペンタフルオロエタン(HFC−125);および(c)約4
0重量%のテトラフルオロエタンを含む。
る工程、およびその後の、冷却される物体の近傍において蒸発器で冷媒を蒸発させる工程
を含み、ここで、冷凍システムの蒸発器温度は0℃(32°F)未満、または約−10℃
(約14°F)以下、または約−15℃(約5°F)以下であり、また約−30℃(約−
22°F)以下でさえもある。本発明による組成物は、少なくとも1.1℃(2°F)の
、冷凍の間の過熱の動作特性を有する。好ましい実施形態において、本発明による組成物
は、約−9.4℃(約15°F)から約−1.1℃(約30°F)の蒸発器温度範囲では
約4.4℃から約8.9℃(約8°Fから約16°F)の範囲、約−26.1℃(約−1
5°F)の蒸発器温度では約4.4℃から約6.7℃(約8°Fから約12°F)の範囲
、または約−34.4℃(約−30°F)の蒸発器温度では約2.2℃から約4.4℃(
約4°Fから約8°F)の範囲の、冷凍の間の過熱に関する動作特性を有する。冷却能力
、効率(COP)、および質量流に関する、冷媒組成物の動作特性が、それぞれ、冷凍シ
ステムにおける冷媒として用いられたときに、クロロジフルオロメタン(HCFC−22
)が同じ冷凍条件で前記低温冷凍システムにおける冷媒として用いられた場合のこれらの
動作特性の、少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約95%である。
約14°F)以下、より好ましくは約−15℃(約5°F)以下、特に約−30℃(約−
22°F)以下の温度の蒸発器温度を達成し維持する冷凍システムを意味する。
)を超える、蒸発器の出口での冷媒の温度上昇を意味する。この特徴および冷凍システム
におけるその重要性は、典型的な冷凍システムの運転の概略を手短に述べることによって
最もよく理解される。
は、凝縮器(コンデンサー)に高温ガスを送る。凝縮した液体は、膨張弁を通過し、蒸発
器(エバポレーター)に入り、そこで、液体は蒸発し、冷却される領域から熱を捕集する
。次いで、ガス状冷媒は圧縮機に入り、そこで、圧縮過程が圧力および温度を上昇させる
。圧縮機から、冷媒は凝縮器に戻され、このサイクルが繰り返される。熱は、より高温の
部分からより低温の部分に流れるという原理に基づいて、冷凍サイクルは7つの段階から
なる:(i)高温ガスの圧縮;(ii)冷却;(iii)凝縮;(iv)過冷却(sub
cooling);(v)膨張;(vi)蒸発;および(vii)過熱である。基本的な
蒸気圧縮冷凍システムは、4つの主な構成要素を備える:計量装置(例えば、毛細管、固
定オリフィス/ピストン、またはサーモスタット膨張弁)、蒸発器、圧縮機、および凝縮
器(図1を参照されたい)。
言い方をすれば、圧縮機は、凝縮器を横切って移動する空気(または水)が冷媒を液体に
凝縮させるのに十分なだけ低い温度となるまで、冷媒の沸点を上昇させる。凝縮器コイル
におけるさらなる経路は、液体冷媒を、その沸点より下の温度に冷却し、蒸発器へのその
道程において圧力の低下を経るにつれ、それが液体のままであることを保証する。沸点よ
り下の温度でのこの冷却は、過冷却(subcooling)として知られている。蒸発
器入口の計量装置は、流れを制限し、冷媒の圧力を新たなより低い沸点まで下げるための
「ダム」として働く。この新しい沸点は、蒸発器媒体(空気または水)の温度より低いの
で、その結果、蒸発器を横切る空気または水は、冷媒の沸騰を引き起こす。蒸発器内の冷
媒の全てが沸騰して蒸気になった後、蒸気は、蒸発器内の残りの経路を通してさらなる熱
を取り込む。蒸気温度の沸騰温度を超える増加量は、過熱として知られている。圧縮機は
ガスを高圧に戻し、同時にガスの温度を上昇させる。次いで、高温ガスは、凝縮器に送ら
れ、そこで、それは冷却され、熱が散逸され、ガスは徐々に変換され液体状態に戻される
。高圧下の液体が計量装置に達すると、このサイクルが再び始まる。
飽和温度と呼ばれる)で熱を加えることを含む。冷媒の全てが沸騰して蒸気になった後、
沸点を超えるさらなる温度増加は過熱として知られている。冷凍システムのこの温度およ
び圧力が、システムの性能を評価するために測定される。冷凍システムの過熱は、いくつ
ものやり方で求めることができる。このような方法の1つは、過熱温度/圧力法であり、
その名称が示唆するように、吸引圧力、および1つの温度−すなわち、吸引ラインの蒸発
器出口での冷媒の温度−の測定を含む。沸点(沸騰温度)は、圧力−温度(PT)チャー
トを用いることによって求められる。テトラフルオロエタン(R−134a)のような単
一成分冷媒では、沸騰温度は、蒸発器内で圧力が同じままであるとすれば、飽和または沸
騰相の間、一定のままである。冷媒のブレンドでは、沸騰または飽和相の間に、温度が変
化する。これはグライド(glide;勾配ともいう)と呼ばれる。温度グライド(温度
勾配)を有する冷媒は、露点(DP)温度を用いる。これは、液体の最後のものが沸騰し
て蒸気になったときの冷媒の温度である。露点温度を超える蒸気温度の増加は、過熱と呼
ばれる(図2を参照されたい)。
する。圧力は吸引ラインのサービスバルブで測定される。蒸発器沸騰温度は、吸引ライン
圧力を用いて、温度−圧力チャートから求められる。蒸発器沸騰温度が、デジタル温度計
によって測定される吸引ライン温度から差し引かれる。その差が過熱である。圧力−温度
チャートは、冷凍技術者にとっては非常に一般的なツールであり、本発明による組成物に
ついて作り出すことができるし、作り出されている。
および圧力が安定化するのに十分なだけ長く運転されていなければならない。クランプま
たは他の取付けの手段を用い、吸引ライン温度は、温度計プローブを、蒸発器の出口でパ
イプの裸の部分の周りに取り付けることによって測定される。最良の結果は、パイプに酸
化物または他の異質の物質がないときに得られる。次に、圧力ゲージ(通常、マニホール
ドゲージセットの一部)が、吸引ラインのサービスバルブに取り付けられ、パイプの温度
および圧力が記録される。この圧力の測定値は、吸引ライン内に異常な制限が存在しなけ
れば、蒸発器内部の沸騰している冷媒の圧力である。この圧力の値を用いると、蒸発器沸
騰温度(または露点)が、使用されている冷媒のタイプについてのPTチャートから求め
られる。沸騰/露点の温度は、吸引ラインの温度から差し引かれて、過熱が求められる。
吸引ラインの温度はまた、吸引ラインにビーズ型(bead)熱電対を取り付けることに
よっても測定され得る。熱電対を断熱し、周辺空気への熱損失に帰因する誤差を最小限に
するために熱伝導性化合物を用いるように注意が払われなければならない。
、圧縮機に入る冷媒は、圧縮機が蒸気だけを吸い込み液体の冷媒は全く吸い込まないこと
を保証するために、蒸発器沸騰温度より高く十分に過熱されていなければならない。低い
かまたはゼロの過熱の測定値は、冷媒が、蒸気へと完全に沸騰するのに十分な熱を蒸発器
で取り込めなかったことを示す。圧縮機に引き込まれた液体冷媒は、通常、スラッギング
(slugging)を引き起こし、これは、圧縮機バルブおよび/または内部機械部品
を損傷し得る。さらに、圧縮機における液体の冷媒は、オイルと混ざったときに、潤滑性
を低下させ、摩損を増し、早すぎる故障を引き起こす。
る)場合、これは、冷媒が余りにも多くの熱を取り込みすぎていることを示し、すなわち
、冷凍システムの冷却能力および効率が損なわれ、高い圧縮機排出温度に起因する信頼性
の問題に至ることを示す。したがって、約3℃から約8℃(約5°Fから約15°F)の
範囲の過熱を有する冷媒組成物を用いることが望ましい。
いう用語は、エネルギー効率の尺度であり、冷凍システムのエネルギー要求量(すなわち
、圧縮機を運転するためのエネルギー)に対する冷凍または冷却能力の割合を意味する。
COPは冷凍システムの有用な出力(アウトプット)であり、この場合、冷凍能力または
どれだけ冷却が得られたかが与えられ、この出力を得るために要した冷凍システムの電力
(出力又はパワー)で割られることになる。本質的に、それは、システムの効率の尺度で
ある。
量(キログラム又はポンド)である。質量流量は、既存の中温または低温冷凍システムに
本発明による組成物を後から組み込むときに重要である。代替冷媒組成物の質量流量は、
元の冷媒、今の場合、クロロジフルオロメタン(R−22)のそれに近くなければならな
い。
る冷却量を、Btu/時間(BTU/hr)で表す。これは、冷媒が蒸発器を通過すると
きの冷媒のエンタルピー変化(BTU/lb)に冷媒の質量流量を乗じることによって、
実験的に求められる。エンタルピーは、冷媒の圧力および温度の測定から求めることがで
きる。冷凍システムの能力は、冷却される領域を特定の温度に保つ能力(例えば、食品を
、様々な健康および安全規制によって要求される指定温度に保つ能力)に関係する。低温
冷凍システムが低い能力を有する場合、陳列ケース内の食品(生鮮および冷凍のどちらも
)は温度が上がり、指定された限界を超えるであろう。
低温冷凍システムにおけるHCFC−22の動作特性の対応値の少なくとも90%、好ま
しくは少なくとも95%であるそれらの動作特性の値(例えば、能力、COPおよび質量
流量)を有していない冷媒組成物は、そのような低温冷凍システムにおけるHCFC−2
2冷媒の置き換えに使用するのに適さない。なぜなら、このような組成物の使用は通常、
HCFC−22冷凍システムの構成要素(例えば、HCFC−22冷凍システムで用いら
れる膨張弁)の修正または交換あるいは再設計を必要とし、このため、システムのための
望ましくない支出および休止時間を招くからである。対照的に、本発明の三成分冷媒組成
物は、蒸発器過熱の複数の必要条件と実質的に合致する(同等な)能力を実際に有し、広
い範囲の冷凍条件(例えば、蒸発器および周囲温度)に渡り、低温冷凍システムにおける
HCFC−22の動作特性(例えば、冷却能力、効率および質量流)の値の少なくとも9
0%、好ましくは少なくとも95%を、またはこれを超えて達成することができる。
るHCFC−22の動作特性と実質的に合致する、本発明の三成分冷媒組成物の驚くべき
能力、ならびに、こうしたシステムにおけるHCFC−22のこのような動作特性と実質
的に合致することができない、先行技術の範囲内の組成物およびその他の比較組成物が、
以下の非限定的実施例に例示される。
FC−125およびHFC−134aの混合物を製造することによって調製した。組成物
は、低温冷凍システムにおけるHCFC−22(R−22)の動作特性と合致するそれら
の能力を確認するために、熱力学的分析を行った。この分析は、米国標準技術局(Nat
ional Institute of Science and Technolog
y;NIST)の基準流体の熱力学および輸送特性データベース(Reference
Fluid Thermodynamic and Transport Proper
ties Database)(Refprop 7.0、NIST Std. Dat
abase、2002)による特性を用いて実施した。分析を実施するのに用いた仮定は
次の通りである。全ての計算は、−31.7℃(−25°F)の平均蒸発温度、および有
用な(蒸発器における)5.5℃(10°F)を含む、13.9℃(25°F)の全過熱
を仮定して実施した。平均凝縮温度は、周囲温度+8.3℃(15°F)である。能力は
、0.028m3/分(1立方フィート/分)の圧縮機排気量に基づいている。COPは
65%の等エントロピー圧縮機効率を仮定している。
表1に記載する。
な合致(同等性)は、このような三成分組成物が、冷凍システムの構成要素に対する重要
な如何なる修正もなしに、既存の低温HCFC−22冷媒含有冷凍システムに後から組み
込むために使用され得ることをはっきりと示している。この合致(同等性)はまた、本発
明の組成物が、HCFC−22を用いて使用されるのに適する任意の低温冷凍システムに
使用され得ることもはっきりと示している。
れる量で含む、本発明による三成分組成物、さらには先行技術の欧州特許出願公開第05
09673A1号公報(特許文献13)における開示による2つの比較組成物について、
−31.7℃(−25°F)の蒸発温度および43.3℃(110°F)の凝縮温度で運
転される低温冷凍システムにおけるHCFC−22の動作特性と、実質的に合致する(同
等な)能力があるかどうかを確認するために、熱力学的分析を行った。この分析は、米国
標準技術局(NIST)の基準流体の熱力学および輸送特性データベース(Refpro
p 7.0、NIST Std. Database、2002)による特性を用いて実
施された。分析を実施するのに用いられた仮定は次の通りである。全ての計算は、−31
.7℃(−25°F)の平均蒸発温度、および蒸発器において有用な5.5℃(10°F
)を含む、13.9℃(25°F)の圧縮機での全過熱を仮定して実施された。平均凝縮
温度は、周囲温度+8.3℃(15°F)である。能力は、0.028m3/分(1立方
フィート/分)の圧縮機排出量に基づいている。COPは65%の等エントロピー圧縮機
効率を仮定している。
および質量流において、HCFC−22の動作特性と、実質的に同一ではなく、そのため
、既存の低温冷凍システムにおけるHCFC−22冷媒を、冷凍システムの他の構成要素
を交換する必要なしに、置き換えるのに適切であるとは見なされない。これらとは対照的
に、本発明の組成物のデータは、HCFC−22冷媒の動作特性と実質的に同一であり、
このため、既存の低温冷凍システムにおけるHCFC−22冷媒を、冷凍システムの構成
要素を交換する必要なしに、置き換えるのに適している。この同等性(合致)はまた、本
発明の組成物が、HCFC−22を用いて使用されるのに適する任意の低温冷凍システム
に使用され得ることもはっきりと示している。
。HCFC−22(R−22)組成物に関連させた比較試験では、3つの本発明の三成分
組成物(組成物LT、LT1およびLT2と呼ばれる)と、本発明の成分比率の範囲外の
三成分の比率を有する、密接に関連する先行技術の2つの三成分組成物(R−407Aお
よびR−407Cと呼ばれる)を比較して試験している。これらの組成物は、表3におい
てさらに特定されている。
組成物は、後の試験の基準として役立つように、HCFC−22用に設計されたシステ
ムで試験した。3つの本発明組成物の全ての性能は、基準のHCFC−22(R−22)
の性能とほとんど同一であった。膨張弁を調節する必要はなく、いわんや、それを交換す
る必要は全くなかった。冷媒の質量流量、冷却能力、および効率(COP)は、予想され
る測定誤差範囲内で、HCFC−22のものと同等であった。他の冷媒であるR−407
AおよびR−407Cは、適切に性能を発揮しなかった。これらの比較冷媒を用いると、
膨張弁および、ことによると蒸発器のようなシステムの構成要素の交換(変更)を必要と
するであろう。
/クーラー用の市販の凝縮ユニットおよび蒸発器であった。以下は装置の詳細な説明であ
る。
Keeprite Refrigeration(Brantford、オンタリオ州
)によって製造されたユニット
Model K350L2、屋外用、空冷、低温、R−22凝縮ユニットは以下を装備
している:
460ボルト/60Hz/三相電源、2DF−0300 Copeland圧縮機、低
温状態に対するデマンド冷却、ならびに
より高い温度状態の吸引アキュムレータ用KAKA−020 Copeland圧縮機
、ソレノイドを有するオイルセパレータ、受液器(receiver)、2バルブ満液式
(flooded)ヘッド圧力制御システム、および標準的運転制御
Keeprite Refrigerationによって製造されたユニット
Model KUCB204DED、電気霜取り、薄型(low profile)D
X供給蒸発器は以下を有する:
230ボルト/60Hz/単相電源、電気霜取りヒーター、5,100W(17,34
0BTUH)(−28.9℃(−20°F)でのSST、10度のTD、5,440m3
/h(3,200CFM)の空気流)、ならびにSporlanのディストリビュータお
よびTXV(thermostatic(thermal) expansion va
lve;膨張弁)
内に設置した。凝縮器ユニットは、温度制御のための別のチャンバ内に設置した。冷媒質
量流量、各構成要素の前後の冷媒の圧力および温度、蒸発器および凝縮器の空気温度とそ
れらへの流入/流出、ならびに凝縮ユニットおよび蒸発器への出力(電力又はパワー)を
測定するために、機器をこのシステムに付け加えた。試験は、2つの典型的なフリーザー
温度(−17.8℃(0°F)および−26.1℃(−15°F))、2つの典型的なウ
ォークインクーラー温度(1.7℃(35°F)および10℃(50°F))、および1
2.8℃(55°F)から35℃(95°F)の周囲温度範囲で行った。冷媒温度は通常
、チャンバの温度より8.3℃から11.1℃(15°Fから20°F)低かったことに
留意されたい。
であって膨張弁の前に設置した。この流量計は、測定される流れの0.1%の正確度を有
するMicromotion CMF025型である。
に応じて用い、測定した(0〜300psia(0〜2.07MPa)、0〜500ps
ia(0〜3.44MPa))。正確度はフルスケールの±0.1%である。冷媒組成物
の露点は、蒸発器出口で直接測定した圧力を用いて、Refprop 7.0−NIST
により求めた。
型熱電対の動作範囲は、−40℃(−40°F)から125℃(257°F)であり、±
0.2℃の推定正確度を有する。次に、冷媒の過熱は次の式を用いて計算した:
る。吸引ラインサービスバルブで圧力を測定するのに適する他の装置には、Ritchi
e Engineeringによって製造される、TITAN(登録商標)2−Valv
eおよび4−Valve、ならびに、BRUTE II(登録商標)4−Valve T
estおよびCharging Manifoldが含まれる。吸引ライン温度を測る適
切な装置には、Ritchie Engineeringによって製造される69200
機種のデジタル温度計が含まれる。
mitronicsパワートランスデューサーを用いて測定した。可変レンジのため、G
W5−002X5(0〜1000W)型を凝縮器ファンに用い、GW5−002X5−Y
21(0〜500W)型を蒸発器ファンに用い、また、GW5−023X5(0〜800
0W)型を圧縮機に用いた。これらのトランスデューサーの正確度は、フルスケールの0
.2%である。電力消費(出力又はパワー消費)は、次の式を用いて計算した。
全出力 = 蒸発器のファン出力 + 凝縮器のファン出力 + 圧縮機出力
能力=質量流 ×(蒸発器出口でのエンタルピー − 蒸発器入口でのエンタルピー)
式中、質量流は、上で示したように直接測定され、蒸発器入口でのエンタルピーは、膨
張弁の入口温度での飽和液体エンタルピー(Refprop 7.0−NISTにより得
られる値)であり、蒸発器の出口でのエンタルピーは、蒸発器出口での温度および圧力の
直接測定値を用いて、Refprop 7.0−NISTから得られる。推定正確度は報
告した値の±3%である。
07B、R−407DおよびR−407Eで実施した。これらの試験の結果を表9および
10に示す。
表4は、蒸発器の出口での過熱を列挙する。システムが信頼性をもって効率的に作動す
るように、過熱は、中程度の温度(例えば、1.7℃(35°F)および10℃(50°
F)のクーラー温度)では4.4℃から8.9℃(8°Fから16°F)の範囲、そこそ
こ低い温度(例えば、−17.8℃(0°F)のフリーザー温度)では4.4℃から6.
7℃(8°Fから12°F)の範囲、また非常に低い温度(例えば、−26.1℃(−1
5°F)のフリーザー温度)では2.2℃から4.4℃(4°Fから8°F)の範囲にあ
るべきである(参考:Sporlan Valve Company、膨張弁紀要(Ex
pansion Valve Bulletin))。過熱が小さすぎるまたはマイナス
である場合、冷媒は二相領域(液体および蒸気)にあり、液体の冷媒が、蒸発器から出て
行っている可能性があり、圧縮機に損傷を引き起こす可能性がある。過熱が大きすぎる場
合、システムの能力および効率が損われ、高い圧縮機排出温度のせいで、信頼性の問題も
また引き起こし得る。
張弁が調節されるかまたは交換されるいずれかの必要があることが明らかである。R−4
07AおよびR−407Cでは、低温で液体が蒸発器から出て行くことを許容してしまう
(これはマイナスの過熱の値によって示される)。R−404Aでは、過熱は大きすぎ、
このために、冷却性能の低下を招く。
して示す。LT、LT1、およびLT2は、R−22で運転されるように設計されたシス
テムの冷媒であるR−22のものと同等の性能を、一貫して示している。これは、−17
.8℃(0°F)および−26.1℃(−15°F)の両方のフリーザー温度について最
も高い周囲温度のときに、特にLTブレンドについて当てはまり、このような温度では、
質量流および能力についてのR−22との同等性(合致)が最も重要である(システムの
設計要点の観点から)。LT1およびLT2もまた、膨張弁の調節または交換が全く必要
とされないことを考慮すると、許容される性能を示している。
R−22用膨張弁は、運転範囲に渡って満足できるように作動しないので、冷凍システム
の修正なしには必要とされる過熱(温度上昇)は得られない。これは、過熱を大きくする
ために、少なくとも、この膨張弁部品の調節を余儀なくする。「膨張弁(TXV)調節(
Adj TXV)」の欄および表8は、このような調節の性能への影響を示す。能力およ
びCOPは影響を受け、結果的にR−22およびLTブレンドよりもかなり劣る性能とな
る。R−407Cの能力は、重要な設計要点であるが、R−22の能力のわずか88%に
まで低下する。同様に、R−407Aはかなり低い能力を有する。R−404Aの元々の
性能は、大きすぎる過熱を示していたので、過熱を小さくするために膨張弁を調節した。
性能は向上したが、依然として、R−22およびLTブレンドの性能よりかなり劣ったま
まであった。−17.8℃(0°F)/35℃(95°F)でのR−407Aの、膨張弁
(TVX)を調節したもののデータは、より小さい過熱(2.9℃から3.7℃(5.2
°Fから6.6°F))での実際の試験データから外挿したものであることに留意された
い。
07Eについて、過熱、冷却能力、COPおよび質量流量の動作特性を測定したものであ
り、ここで、ボックスの温度は−26.1℃(−15°F)であり、蒸発器温度は−34
.4℃(−30°F)であり、また戸外温度は35℃(95°F)である。R−407B
は、R−22に比べてかなり劣る性能を示す(能力およびCOPのパラメータを参照され
たい)。R−407DおよびR−407Eではどちらも、液体が低い温度で蒸発器から出
て行くことを許容してしまう(これは過熱のマイナスの値によって示される)。表10は
、同じ特性の測定を示すが、この場合には、ボックスの温度が−17.8℃(0°F)で
あり、蒸発器温度が−26.1℃(−15°F)である。やはり、R−407BはR−2
2に比べてかなり劣る性能を示す。R−407DおよびR−407Eでは、液体が低い温
度で蒸発器から出て行くことを許す(マイナスの過熱の値)。R−407Eの過熱の値は
、この場合には正であるが、そこそこ低い温度(例えば、−17.8℃(0°F)のボッ
クスまたはフリーザー温度)では、約2.2℃から約4.4℃(4°F)から約−15.
3℃(8°F)の範囲にあるべきである。表9および10のデータは、これらの先行技術
の組成物が、中温乃至低温冷凍の全範囲に渡って、許容される過熱のレベルおよび許容さ
れる冷凍能力を維持することができないことを示している。
ており、この範囲が、R−407AおよびR−407Cとして小さい丸い点によって示さ
れている、この範囲外の組成物を凌ぐ注目すべき利点を有する理由を説明する。本発明の
ダイヤ形部分からグラフを上に動くと、その結果、R−32の濃度が大きすぎ、高い圧力
、高い(大きな)過熱、および可燃性の問題を生じ得る。グラフにおいて本発明のダイヤ
形部分の下方および左側に動くと、その結果、低い圧力、低い能力、およびR−22用に
設計された膨張弁を用いたときの過熱の熱の不足を生じる。グラフにおいて本発明のダイ
ヤ形部分の右に動くと、その結果、より大きな質量流およびより高い圧力を生じ、これら
の条件に合わせて設計された新しいものに膨張弁を交換する必要が生じる。グラフはまた
、本発明の組成物が生じる、R−22の動作特性とほぼ同一の、必要とされる同等性を生
み出さない、先行技術の組成物(R−407AおよびR−407C)が、すぐ近くに位置
することも示す。
−22冷媒組成物を置き換えるための、許容される冷媒組成物である。これらの組成物は
、中温乃至低温冷凍の全範囲に渡って、許容される過熱レベルおよび許容される冷凍(冷
却)能力を維持することができる。対照的に、先行技術の組成物は、R−404A、R−
407AおよびR−407C組成物を含めて、許容される過熱レベルおよび冷凍(冷却)
能力を提供できないので、中温および低温冷凍の両方で、許容される冷凍(冷却)をもた
らす能力を有さない。
および変形が、本明細書に開示の本発明の概念の精神および範囲から逸脱することなくな
され得ることが理解されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲の精神および範
囲内にある、このような全ての変更、修正および変形が包含されるものとする。
(実施形態1)
0℃(32°F)未満、約−10℃(約14°F)以下、約−15℃(約5°F)以下
、または約−30℃(約−22°F)以下の蒸発器温度を達成し維持する、クロロジフル
オロメタン(HCFC−22)冷媒を用いて使用されるのに適する低温冷凍システムにお
いて低温冷凍を生成するための方法である。この方法は、冷媒を凝縮させること、および
その後で、冷却される物体の近傍で冷媒を蒸発させることを含み、ここで、この冷媒組成
物は、約25から約35質量%のジフルオロメタン(HFC−32)、約20から約40
質量%のペンタフルオロエタン(HFC−125)、および約35から約45質量%のテ
トラフルオロエタン(HFC−134a)を含む。それによって、これらの3つの成分は
、冷凍の間にもたらさせる過熱に関するその動作特性が、約−9℃(約15°F)から約
−1℃(約30°F)の蒸発温度範囲では約4.4℃から約8.9℃(約8°Fから約1
6°F)の範囲に、約−26℃(約−15°F)の蒸発温度では約4.4℃から約6.7
℃(約8°Fから約12°F)の範囲に、または、約−34℃(約−30°F)の蒸発温
度では約2.2℃から約4.4℃(約4°Fから約8°F)の範囲にあり、また、冷却能
力、効率(COP)および質量流に関する冷媒組成物の動作特性が、それぞれ、冷凍シス
テムの冷媒として用いられたとき、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)が前記冷
凍システムに同一の冷凍条件で冷媒として用いられた場合のこれら動作特性の、少なくと
も約90%、好ましくは少なくとも約95%であるように、冷媒組成物中に存在する。
クロロジフルオロメタン(HCFC−22)冷媒を用いて使用されるのに適する低温冷
凍システム(装置)であって、この低温冷凍システムは、0℃(32°F)未満、約−1
0℃(約14°F)以下、約−15℃(約5°F)以下、または約−30℃(約−22°
F)以下の蒸発器温度を達成し維持する低温冷凍を生成できる。このシステムは、凝縮器
(コンデンサー)、蒸発器(エバポレーター)および冷媒組成物を含み、ここで、冷媒組
成物は、約25から約35質量%のジフルオロメタン(HFC−32)、約20から約4
0質量%のペンタフルオロエタン(HFC−125)、および約35から約45質量%の
テトラフルオロエタン(HFC−134a)を含む。それによって、これらの3つの成分
は、冷凍の間にもたらさせる過熱に関する動作特性が、約−9(約15°F)から約−1
℃(約30°F)の蒸発温度範囲では約4.4から約8.9℃(約8°Fから約16°F
)の範囲に、約−26℃(約−15°F)の蒸発温度では約4.4℃から約6.7℃(約
8°Fから約12°F)の範囲に、または、約−34℃(約−30°F)の蒸発温度では
約2.2℃から約4.4℃(約4°Fから約8°F)の範囲にあり、また、冷却能力、効
率(COP)および質量流に関する冷媒組成物の動作特性が、それぞれ、冷凍システムの
冷媒として用いられたとき、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)が前記冷凍シス
テムに同一の冷凍条件で冷媒として用いられた場合のこれら動作特性の、少なくとも約9
0%、好ましくは少なくとも約95%であるように、冷媒組成物中に存在する。
Claims (14)
- (a)28〜32重量%のジフルオロメタン(HFC−32);
(b)28〜32重量%のペンタフルオロエタン(HFC−125);および
(c)38〜42重量%のテトラフルオロエタン(HFC−134a);
を含む組成物。 - 前記成分(a)、(b)および(c)が実質的に全組成を構成する、請求項1に記載の
組成物。 - (a)約30重量%のジフルオロメタン(HFC−32);
(b)約30重量%のペンタフルオロエタン(HFC−125);および
(c)約40重量%のテトラフルオロエタン(HFC−134a);
を含む、請求項1または2に記載の組成物。 - 冷媒としての、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物の使用。
- 低温冷凍システムにおいて低温冷凍を生成する方法であって、
(a)請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物を凝縮させる工程;および
(b)冷却される物体の近傍で前記組成物を蒸発させる工程;
を含み、前記冷凍システムの蒸発器温度が0℃(32°F)未満である、前記方法。 - 前記冷凍システムの蒸発器温度が約−10℃(約14°F)以下、約−15℃(約5°
F)以下、または約−30℃(約−22°F)以下である、請求項5に記載の方法。 - 前記組成物が、少なくとも1.1℃(2°F)の、冷凍の間の過熱に関する動作特性を
有する、請求項5または6に記載の方法。 - 前記組成物が、
(a)約−9℃(約15°F)から約−1℃(約30°F)の蒸発器温度範囲では約4
.4℃から約8.9℃(約8°Fから約16°F);
(b)約15°Fの蒸発器温度では約4.4℃から約6.7℃(約8°Fから約12°
F);および
(c)約−34℃(約−30°F)の蒸発器温度では約2.2℃から約4.4℃(約4
°Fから約8°F);
の範囲の、冷凍の間の過熱に関する動作特性を有する、請求項9に記載の方法。 - 前記冷凍システムが、クロロジフルオロメタン(HFC−22)を用いて使用されるの
に適しており、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物が前記システムのHFC−
22と置き換わる、請求項5から8のいずれか一項に記載の方法。 - 凝縮器、蒸発器、および請求項1から3のいずれか一項に記載の冷媒組成物を含む低温
冷凍システムであって、前記冷凍システムの蒸発器温度が0℃未満である前記システム。 - 前記冷凍システムの蒸発器温度が、約−10℃(約14°F)以下、約−15℃(約5
°F)以下、または約−30℃(約−22°F)以下である、請求項10に記載のシステ
ム。 - 前記組成物が、少なくとも1.1℃(2°F)の、冷凍の間の過熱に関する動作特性を
有する、請求項10または11に記載のシステム。 - 前記組成物が、
(a)約−9℃(約15°F)から約−1℃(約30°F)の蒸発器温度範囲では約4
.4℃から約8.9℃(約8°Fから約16°F);
(b)約15°Fの蒸発器温度では約4.4℃から約6.7℃(約8°Fから約12°
F);および
(c)約−34℃(約−30°F)の蒸発器温度では約2.2℃から約4.4℃(約4
°Fから約8°F);
の範囲の、冷凍の間の過熱の動作特性を有する、請求項12に記載のシステム。 - 冷凍システムが、クロロジフルオロメタン(HFC−22)を用いて使用されるのに適
しており、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物が前記システムのHFC−22
と置き換わる、請求項10から13のいずれか一項に記載のシステム。
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