JP2015170651A - 有機半導体材料含有組成物、有機薄膜トランジスタおよび有機薄膜トランジスタの製造方法 - Google Patents

有機半導体材料含有組成物、有機薄膜トランジスタおよび有機薄膜トランジスタの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低分子系の有機半導体材料を用い、かつ、高分子材料を添加することなく、印刷性が良好な粘度およびチクソトロピー性を有し、良好な形状精度で有機半導体層を形成することが可能な有機半導体材料含有組成物、有機薄膜トランジスタおよび有機薄膜トランジスタの製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の有機半導体材料含有組成物は、溶媒と、長辺が5μm以下で、かつ、厚みが200nm以下の平板状粒子と、有機半導体材料と、を含むことを特徴とするものである。【選択図】なし

Description

本発明は、有機半導体材料含有組成物、有機薄膜トランジスタおよび有機薄膜トランジスタの製造方法に関する。
従来、液晶表示装置等の表示用のスイッチング素子として広く用いられている薄膜トランジスタ(TFT)は、アモルファスや多結晶シリコンを用いて作製されていたが、これらに代えて、製造コストが安価な、有機半導体を用いたTFT(有機TFT)が提案されている。
有機半導体薄膜そのものの特性からすると、低分子系の有機半導体材料を用いることが有利である。例えばスピンコート法やその他の塗布方法を適用して成膜された有機半導体薄膜では、高分子系の有機半導体材料を用いた場合には移動度が0.1cm/Vs程度にとどまる。これに対して、低分子系の有機半導体材料を用いた場合には移動度が1cm/Vsを超える報告が多数なされている。
ただし、低分子系の有機半導体材料を用いた場合には、基板温度等のパラメータを精密に制御しなければならず、また、コーヒーステイン現象等による膜形成の不安定性やそれに起因した特性バラツキ等が問題になると予想される。
そこで、低分子系の有機半導体材料を用いながらも、膜質の制御性良好に有機半導体薄膜をパターン印刷する手法が望まれている。
このようななか、半導体材料とともに高分子材料を用いて有機半導体薄膜を形成するポリマーブレンド法が提案されている。
例えば低分子系の有機半導体材料に絶縁性の高分子材料をポリマーブレンドしたインクを用いてパターン印刷を行い、膜厚方向に有機半導体材料と高分子材料とを相分離させ、さらに、下地の表面エネルギーを制御することによって相分離を促進させる手法が報告されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2005−243822号公報 特開2006−179905号公報
しかしながら、上述したスループットの高い印刷法に用いられるインクの粘度としては、例えばスクリーン印刷では10000mPa・s以上が必要であり、またグラビア印刷では500mPa・s程度が必要である。
このため、上記ポリマーブレンド法で調製されたインクを、スループットの高い印刷法に適した粘度に調整させるには、インクに含有する高分子材料の濃度を高くする必要がある。このように粘度調整すると、低分子系の有機半導体材料を用いる場合には、必然的に高分子材料の比率が増大する。
さらに、スクリーン印刷に用いる場合には、粘度調整だけではなくチクソトロピー性も加えたトータルのレオロジーコントロールが必須となり、もはやポリマーブレンド法のみでは所望の粘度のインクを調合することは不可能となる。
つまり、上記特許文献1,2に記載のポリマーブレンド法では、スクリーン印刷やグラビア印刷などのスループットの高い印刷法における印刷性と、印刷によって得られる膜の相分離状態とを両立することが極めて難しい。
そこで、本発明は、低分子系の有機半導体材料を用い、かつ、高分子材料を添加することなく、印刷性が良好な粘度およびチクソトロピー性を有し、良好な形状精度で有機半導体層を形成することが可能な有機半導体材料含有組成物、有機薄膜トランジスタおよび有機薄膜トランジスタの製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決すべく、本発明は、以下のような有機半導体材料含有組成物、有機薄膜トランジスタおよび有機薄膜トランジスタの製造方法を提供するものである。
本発明の有機半導体材料含有組成物は、溶媒と、長辺が5μm以下で、かつ、厚みが200nm以下の平板状粒子と、有機半導体材料と、を含むことを特徴とする。
本発明の有機半導体材料含有組成物においては、前記平板状粒子の濃度が前記有機半導体材料100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましい。
本発明の有機半導体材料含有組成物においては、前記平板状粒子は合成雲母、合成スメクタイトおよびベントナイトのうち少なくともいずれかであることが好ましい。
本発明の有機半導体材料含有組成物においては、前記有機半導体材料が、多環芳香族の誘導体、フタロシアニン誘導体、ペリレン誘導体、テトラチアフルバレン誘導体、含硫黄系複素環化合物、含酸素系複素環化合物、含窒素系複素環化合物、テトラシアノキノジメタン誘導体、フラーレン類およびカーボンナノチューブ類からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物であることが好ましい。
本発明の有機半導体材料含有組成物においては、前記有機半導体材料の濃度が、組成物全量に対して、0.05質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
本発明の有機薄膜トランジスタは、少なくとも基板上に、ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、絶縁体層と、有機半導体層と、が設けられた有機薄膜トランジスタにおいて、前記有機半導体層が、長辺が5μm以下で、かつ、厚みが200nm以下の平板状粒子と、有機半導体材料とを含むことを特徴とする。
本発明の有機薄膜トランジスタにおいては、前記平板状粒子の濃度が前記有機半導体材料100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましい。
本発明の有機薄膜トランジスタにおいては、前記平板状粒子は合成雲母、合成スメクタイトおよびベントナイトのうち少なくともいずれかであることが好ましい。
本発明の有機薄膜トランジスタにおいては、前記有機半導体材料が、多環芳香族の誘導体、フタロシアニン誘導体、ペリレン誘導体、テトラチアフルバレン誘導体、含硫黄系複素環化合物、含酸素系複素環化合物、含窒素系複素環化合物、テトラシアノキノジメタン誘導体、フラーレン類およびカーボンナノチューブ類からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物であることが好ましい。
本発明の有機薄膜トランジスタにおいては、前記有機半導体材料の濃度が、組成物全量に対して、0.05質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法は、少なくとも基板上に、ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、絶縁体層と、有機半導体層と、が設けられた有機薄膜トランジスタの製造方法において、前記有機半導体層が、溶媒と、長辺が5μm以下で、かつ、厚みが200nm以下の平板状粒子と、有機半導体材料とを含む有機半導体材料含有組成物を用いて形成されたことを特徴とする。
本発明によれば、低分子系の有機半導体材料を用い、かつ、高分子材料を添加することなく、印刷性が良好な粘度およびチクソトロピー性を有し、良好な形状精度で有機半導体層を形成することが可能な有機半導体材料含有組成物、有機薄膜トランジスタおよび有機薄膜トランジスタの製造方法を提供できる。
本実施形態で得られる有機薄膜トランジスタを示す概略図である。 本実施形態で得られる他の有機薄膜トランジスタを示す概略図である。 実施例1で使用した合成スメクタイトの電子顕微鏡写真図である。 実施例1において、有機半導体材料含有組成物を電極付基板に塗布した後に、乾燥し固化した状態を示す電子顕微鏡写真図である。 比較例1において、有機半導体材料含有組成物を電極付基板に塗布した後に、乾燥し固化した状態を示す電子顕微鏡写真図である。
[有機半導体材料含有組成物]
先ず、本発明の有機半導体材料含有組成物について説明する。
本発明の有機半導体材料含有組成物(以下、「本組成物」ともいう。)は、以下説明する溶媒と、長辺が5μm以下で、かつ、厚みが200nm以下の平板状粒子と、有機半導体材料と、を含むものである。
本組成物では、上記長辺および厚みを有する平板状粒子を配合させている。この平板状粒子を配合させた本組成物を電極付基板上に滴下すると、ソース電極およびドレイン電極の間隙部に滴下された本組成物中の平板状粒子は、そのままこの間隙部上にとどまる。このため、絶縁膜が低い表面エネルギーだったとしても、低分子系の有機半導体材料は、間隙部上に存在する平板状粒子とともにこの間隙部上にとどまることになる。このように、本組成物では、印刷性が良好なチクソトロピー性を有している。また、本組成物では、高分子材料を添加することがないため、印刷性が良好な粘度範囲に容易に調整できる。結果として、良好な形状精度で有機半導体層を形成することが可能となり、ソース電極、ドレイン電極およびそれらの間隙を覆うように有機半導体層が形成され、連続したチャネルを形成することができる。
(溶媒)
本組成物に用いる溶媒としては、公知の溶媒が使用でき、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、グライム系溶媒、ハロゲン系溶媒などを用いることができる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの溶媒の組合せなどは、本組成物の塗布方法に応じて、適宜調整できる。
(平板状粒子)
本組成物に用いる平板状粒子としては、長辺が5μm以下で、かつ、厚みが200nm以下の平板状粒子を使用する。平板状粒子の長辺および厚みを上記範囲とすることで、印刷性が良好なチクソトロピー性が得られる。なお、上記範囲外ではインク流動が大きく起こり乾燥むらが生じたり、逆にチャネル領域の半導体形成を阻害する傾向になる。
平板状粒子としては、合成雲母、合成スメクタイトおよびベントナイトのうち少なくともいずれかが好ましい。このうち、有機溶媒に分散させることが可能な親油性スメクタイトが特に好ましい。
上記形状の平板状粒子は、例えば、平板状粒子を溶媒に分散させ、この分散液を例えば5μmのフィルターにてろ過することで長辺並びに厚みを調整できる。
本明細書において平板状粒子とは、以下のように定義される。平板状粒子を電子顕微鏡で観察し、平板状粒子の各寸法を求める。ここで、平板状粒子の形状を直方体と近似させ、この直方体の辺を一番短かい方からa、b、cとした(なお、c=bとなってもよい。)とき、次の式(1)によりxを求める。
x=c/a …(1)
そして、10個程度の粒子について式(1)に基づいてxを求め、その平均値x(平均)を算出する。このとき、x(平均)≧2の関係を満たすものを平板状粒子とする。好ましくは200≧x(平均)≧5、より好ましくは100≧x(平均)≧20である。
平板状粒子において、aはbとcを辺とする面を主平面とした平板状粒子の厚さ、bは平板状粒子の短辺、cは平板状粒子の長辺とみることができる。
平板状粒子の長辺並びに厚みは、上記電子顕微鏡観察で求められた各寸法のcを長辺、aを厚みとすることで得られる。
なお、平板状粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)などの電子顕微鏡により撮像し、得られた撮像面について、ある一定領域を設定し、設定した領域に存在する平板状粒子の長辺並びに厚みを測定してもよい。
平板状粒子の濃度は、後述する有機半導体材料100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.3質量部以上3質量部以下であることが特に好ましい。平板状粒子の配合量が前記下限未満では、インクの流動が大きく乾燥むらが生じ有機半導体が不均一な膜形成となり、他方、前記上限を超えると、ソース電極およびドレイン電極の間に連続したチャネルを形成することが難しくなる傾向になる。
(有機半導体材料)
本組成物に用いる有機半導体材料としては、有機溶媒への溶解性を有する低分子物質、具体的には、分子量が2000以下の有機半導体材料を使用することが好ましい。例えば、ペンタセンなどの多環芳香族の誘導体、フタロシアニン誘導体、ペリレン誘導体、テトラチアフルバレン誘導体、含硫黄系複素環化合物(例えばベンゾチエノベンゾチオフェン(BTBT)、ビス(トリエチルシリルエチニル)アントラジチオフェン(TES−ADT)など)、含酸素系複素環化合物、含窒素系複素環化合物(カルバゾールなど)、テトラシアノキノジメタン誘導体、フラーレン類、カーボンナノチューブ類などを用いることができる。
有機半導体材料の濃度は、本組成物全量に対して、0.05質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上8質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることが特に好ましい。有機半導体材料の配合量が前記下限未満では、半導体層形成が困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、半導体の結晶が大きくなりすぎ絶縁膜上から浮きTFT特性を示さない傾向にある。
本組成物には、溶媒、平板状粒子および有機半導体材料の他に、必要に応じて、消泡剤、界面活性剤などの添加剤を添加してもよい。これらの添加剤の配合量としては、本組成物全量に対して、5質量%以下であることが好ましい。
本組成物は、上記説明した溶媒、平板状粒子および有機半導体材料などを上記所定の割合で配合し、撹拌混合することで製造できる。
[有機半導体層の形成]
電極付基板上に、印刷法によって、本組成物を付着させ、乾燥させることで有機半導体層を形成する。
印刷法としては、スクリーン印刷法、反転オフセット印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法などが挙げられる。これらの印刷法によれば、本組成物を適正に塗布することができる。
本組成物の塗布量は、特に限定されないが、通常、4nL/mm以上200nL/mm以下の範囲である。
乾燥条件は特に限定されないが、乾燥温度は、通常、50℃以上120℃以下の範囲である。また、乾燥時間は、通常、30秒間以上1800秒間以下の範囲である。
[有機薄膜トランジスタ]
次に、本発明の有機薄膜トランジスタについて、図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態で得られる有機薄膜トランジスタを示す概略図である。また、図2は、本実施形態で得られる他の有機薄膜トランジスタを示す概略図である。
図1の有機薄膜トランジスタ1は、基板10上に、ゲート電極15および絶縁体層14をこの順に有し、絶縁体層14上に、所定の間隔をあけて形成された一対のソース電極11およびドレイン電極12を有し、これらの上に有機半導体層13が形成されている。有機半導体層13の一部の領域がチャネル部を成しており、ゲート電極15に印加される電圧でソース電極11とドレイン電極12の間に流れる電流が制御されることによってオン/オフ動作する。
ここで、チャネル部はチャネル長(ソース電極とドレイン電極の間隔)とチャネル幅(ソース電極とドレイン電極の幅)と有機半導体層の膜厚に囲まれる領域と定義する。
図2の有機薄膜トランジスタ1Aは、基板10上に、相互に所定の間隔をあけて対向するように形成されたソース電極11およびドレイン電極12を有している。そして、ソース電極11、ドレイン電極12およびそれらの間隙を覆うように有機半導体層13が形成され、さらに、絶縁体層14が積層されている。絶縁体層14の上部であって、かつソース電極11およびドレイン電極12の間隙上にゲート電極15が形成されている。
本実施形態の有機薄膜トランジスタ1,1Aでは、前記本発明の有機半導体材料含有組成物を使用して有機半導体層が形成される。本発明の有機半導体材料含有組成物は、上記長辺および厚みを有する平板状粒子を配合させている。この平板状粒子を配合させた本組成物を電極付基板上に滴下すると、ソース電極およびドレイン電極の間隙部に滴下された本組成物中の平板状粒子は、そのままこの間隙部上にとどまる。このため、絶縁膜が低い表面エネルギーだったとしても、低分子系の有機半導体材料は、間隙部上に存在する平板状粒子とともにこの間隙部上にとどまるため、表面エネルギーの高いソース電極側並びにドレイン電極側へと移動することがなくなる。したがって、良好な形状精度で有機半導体層を形成することが可能となり、ソース電極、ドレイン電極およびそれらの間隙を覆うように有機半導体層が形成され、連続したチャネルを形成することができる。
本実施形態の有機薄膜トランジスタは、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)構造を有している。上述したとおり、電極の位置、層の積層順などによりいくつかの構成がある。有機薄膜トランジスタは、有機半導体層(有機化合物層)と、相互に所定の間隔をあけて対向するように形成されたソース電極およびドレイン電極と、ソース電極、ドレイン電極からそれぞれ所定の距離をあけて形成されたゲート電極とを有し、ゲート電極に電圧を印加することによってソース−ドレイン電極間に流れる電流を制御する。ここで、ソース電極とドレイン電極の間隔は本発明の有機薄膜トランジスタを用いる用途によって決定され、通常は0.1μm以上1mm以下、好ましくは1μm以上100μm以下、より好ましくは5μm以上100μm以下、更により好ましくは2μm以上60μm以下である。
有機薄膜トランジスタは、有機薄膜トランジスタ1,1Aの素子構成以外にも、有機薄膜トランジスタとして種々の構成が提案されている。ゲート電極に印加される電圧でソース電極とドレイン電極の間に流れる電流が制御されることによってオン/オフ動作や増幅などの効果が発現する仕組みであればこれらの素子構成に限定されるものではない。
例えば、産業技術総合研究所の吉田らにより第49回応用物理学関係連合講演会講演予稿集27a−M−3(2002年3月)において提案されたトップアンドボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタ(図示なし)や、千葉大学の工藤らにより電気学会論文誌118−A(1998)1440頁において提案された縦形の有機薄膜トランジスタ(図示なし)のような素子構成を有するものであってもよい。
本実施形態の有機薄膜トランジスタ1,1Aでは、有機半導体層、基板、電極、絶縁体層などの各構成部材については、公知のものを適用できる。
以下、有機薄膜トランジスタの構成部材の例について説明する。
(有機半導体層)
本発明の有機薄膜トランジスタにおける有機半導体層は、本発明の有機半導体材料含有組成物を用いて成膜してなる層である。有機半導体層の膜厚は、特に制限されることはないが、通常、0.5nm以上1μm以下であり、2nm以上250nm以下であると好ましい。
有機半導体層の結晶性を向上させると電界効果移動度が向上するため、成膜後にアニーリングを実施すると高性能デバイスが得られるため好ましい。アニーリングの温度は50℃以上200℃以下が好ましく、70℃以上200℃以下であるとさらに好ましく、時間は10分間以上12時間以下が好ましく、30分間以上10時間以下がより好ましく、1時間以上10時間以下であると更により好ましい。
有機半導体インクの塗布方法としては、グラビア印刷、オフセット印刷などの有版印刷法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法などの塗布法が採用できる。
(基板)
本発明の有機薄膜トランジスタにおける基板は、有機薄膜トランジスタの構造を支持する役目を担うものであり、材料としてはガラスの他、金属酸化物や窒化物などの無機化合物、プラスチックフィルム(PET,PES,PC)や金属基板またはこれら複合体や積層体なども用いることが可能である。また、基板以外の構成要素により有機薄膜トランジスタの構造を十分に支持し得る場合には、基板を使用しないことも可能である。また、基板の材料としてはシリコン(Si)ウエハが用いられることもある。この場合、Si自体をゲート電極兼基板として用いることができる。また、Siの表面を酸化し、SiOを形成して絶縁層として活用することも可能である。この場合、基板兼ゲート電極のSi基板にリード線接続用の電極として、Auなどの金属層を成膜することもある。
(電極)
本発明の有機薄膜トランジスタにおける、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極の材料は、導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物などを用いることができる。
電極の形成方法としては、例えば、蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、大気圧プラズマ法、イオンプレーティング、化学気相蒸着、電着、無電解メッキ、スピンコーティング、印刷またはインクジェットなどの手段が挙げられる。また、必要に応じてパターニングする方法としては、上記の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェットなどにより、レジストを形成しエッチングする方法などがある。
このようにして形成された電極の膜厚は電流の導通さえあれば特に制限はないが、好ましくは0.2nm以上10μm以下、さらに好ましくは4nm以上300nm以下の範囲である。この好ましい範囲内であれば、膜厚が薄すぎることにより抵抗が高くなり電圧降下を生じることがない。また、厚すぎないため膜形成に時間がかからず、保護層や有機半導体層など他の層を積層する場合に、段差が生じることが無く積層膜が円滑にできる。
本発明の有機薄膜トランジスタにおいて、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極は、上記の導電性材料を含む、溶液、ペースト、インク、分散液などの流動性電極材料を用いて形成することができる。特に、導電性ポリマー、または白金、金、銀、銅を含有する金属微粒子を含む流動性電極材料が好ましい。また、溶媒や分散媒体としては、有機半導体へのダメージを抑制するため、水を60質量%以上、好ましくは90質量%以上含有する溶媒または分散媒体であることが好ましい。金属微粒子を含有する分散物としては、例えば、公知の導電性ペーストなどを用いてもよいが、通常粒子径が0.5nm以上50nm以下、1nm以上10nm以下の金属微粒子を含有する分散物であると好ましい。この金属微粒子の材料としては、例えば、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン、鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛などを用いることができる。これらの金属微粒子を、主に有機材料からなる分散安定剤を用いて、水や任意の有機溶剤である分散媒中に分散した分散物を用いて電極を形成するのが好ましい。このような金属微粒子の分散物の製造方法としては、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法などの物理的生成法や、コロイド法、共沈法などの、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられ、好ましくは、特開平11−76800号公報、同11−80647号公報、同11−319538号公報、特開2000−239853号公報などに示されたコロイド法、特開2001−254185号公報、同2001−53028号公報、同2001−35255号公報、同2000−124157号公報、同2000−123634号公報などに記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子の分散物である。
これらの金属微粒子分散物を用いて直接インクジェット法によりパターニングしてもよく、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。また凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。前記電極を成形し、溶媒を乾燥させた後、必要に応じて100℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上200℃以下の範囲で形状様に加熱することにより、金属微粒子を熱融着させ、目的の形状を有する電極パターンを形成できる。
さらに、別のゲート電極、ソース電極およびドレイン電極の材料として、ドーピングなどで導電率を向上させた公知の導電性ポリマーを用いることも好ましく、例えば、導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸の錯体など)なども好適に用いられる。これらの材料によりソース電極とドレイン電極の有機半導体層との接触抵抗を低減することができる。これらの形成方法もインクジェット法によりパターニングしてもよく、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。また凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
本発明の有機薄膜トランジスタでは、例えば、注入効率を向上させる目的で、有機半導体層とソース電極およびドレイン電極との間に、バッファ層を設けてもよい。バッファ層としてはn型有機薄膜トランジスタに対しては有機ELの陰極に用いられるLiF、LiO、CsF、NaCO、KCl、MgF、CaCOなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属イオン結合を持つ化合物が望ましい。また、Alqなど、有機EL素子で電子注入層、電子輸送層として用いられる化合物を挿入してもよい。
p型有機薄膜トランジスタに対してはFeCl、TCNQ、F4−TCNQ、HATなどのシアノ化合物、CFxやGeO、SiO、MoO、V、VO、V、MnO、Mn、ZrO、WO、TiO、In、ZnO、NiO、HfO、Ta、ReO、PbOなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属以外の金属酸化物、ZnS、ZnSeなどの無機化合物が望ましい。これらの酸化物は多くの場合、酸素欠損を起こし、これが正孔注入に好適である。さらにはTPDやNPDなどのアミン系化合物やCuPcなど有機EL素子において正孔注入層、正孔輸送層として用いられる化合物でもよい。また、上記の化合物二種類以上からなるものが望ましい。
バッファ層は電極と有機半導体層との間に薄く存在すればよく、その厚みは0.1nm以上30nm以下、好ましくは0.3nm以上20nm以下である。
(絶縁体層)
本発明の有機薄膜トランジスタにおける絶縁体層の材料としては、電気絶縁性を有し薄膜として形成できるものであるのなら特に限定されず、金属酸化物(珪素の酸化物を含む)、金属窒化物(珪素の窒化物を含む)、高分子、有機低分子など室温での電気抵抗率が10Ωcm以上の材料を用いることができ、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。
無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、ランタン酸化物、フッ素酸化物、マグネシウム酸化物、ビスマス酸化物、チタン酸ビスマス、ニオブ酸化物,チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、五酸化タンタル、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムおよびこれらを組合せたものなどが挙げられ、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンが好ましい。
また、窒化ケイ素(Si、SixNy(x、y>0))、窒化アルミニウムなどの無機窒化物も好適に用いることができる。
さらに、絶縁体層は、アルコキシド金属を含む前駆物質で形成されていてもよく、この前駆物質の溶液を、例えば基板に被覆し、これを熱処理を含む化学溶液処理をすることにより絶縁体層が形成される。
前記アルコキシド金属における金属としては、例えば、遷移金属、ランタノイド、または主族元素から選択され、具体的には、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)、ビスマス(Bi)、タンタル(Ta)、ジルコン(Zr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉛(Pb)、ランタン(La)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、スカンジウム(Sc)およびイットリウム(Y)などが挙げられる。また、前記アルコキシド金属におけるアルコキシドとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールなどを含むアルコール類、メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブトキシエタノール、ペントキシエタノール、ヘプトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、プロポキシプロパノール、ブトキシプロパノール、ペントキシプロパノール、ヘプトキシプロパノールを含むアルコキシアルコール類などから誘導されるものが挙げられる。
本発明において、絶縁体層を上記したような材料で構成すると、絶縁体層中に分極が発生しやすくなり、トランジスタ動作のしきい電圧を低減することができる。また、上記材料の中でも、特に、Si、SixNy、SiONx(x、y>0)などの窒化ケイ素で絶縁体層を形成すると、空乏層がいっそう発生しやすくなり、トランジスタ動作のしきい電圧をさらに低減させることができる。
有機化合物を用いた絶縁体層としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、アクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリシロキサン、ポリウレタン、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、およびシアノエチルプルラン、などを用いることもできる。特に、光硬化性アクリレートが好ましい。
その他、ワックス、ポリエチレン、ポリクロロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリビニルクロライド、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリサルホン、ポリカーボネート、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリル酸)、レゾール樹脂、ポリキシリレン、エポキシ樹脂に加え、プルランなどの高い誘電率を持つ高分子材料を使用することも可能である。
また有機材料は、サイトップ(登録商標)のようなフッ素樹脂であってもよい。
また、図2に示すようなトップゲート構造を用いるときに、ポリパラキシリレン誘導体やフッ素樹脂のような有機化合物を絶縁体層の材料として用いると、有機半導体層に与えるダメージを小さくして成膜することができるため有効な方法である。
前記絶縁体層は、前述したような無機または有機化合物材料を複数用いた混合層であってもよく、これらの積層構造体であってもよい。この場合、必要に応じて誘電率の高い材料と撥水性を有する材料を混合したり、積層することによりデバイスの性能を制御することもできる。
また、前記絶縁体層は、陽極酸化膜、または該陽極酸化膜を構成として含んでもよい。陽極酸化膜は封孔処理されることが好ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウムまたはタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行なうことにより、酸化被膜が形成される。陽極酸化処理に用いられる電解液としては、多孔質酸化皮膜を形成することができるものならばいかなるものでも使用でき、一般には、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸などあるいはこれらを2種類以上組み合わせた混酸またはそれらの塩が用いられる。陽極酸化の処理条件は使用する電解液により種々変化するので一概に特定し得ないが、一般的には、電解液の濃度が1質量%以上80質量%以下、電解液の温度5℃以上70℃以下、電流密度0.5A/cm以上60A/cm以下、電圧1ボルト以上100ボルト以下、電解時間10秒間以上5分間以下の範囲が適当である。好ましい陽極酸化処理は、電解液として硫酸、リン酸またはホウ酸の水溶液を用い、直流電流で処理する方法であるが、交流電流を用いることもできる。これらの酸の濃度は5質量%以上45質量%以下であることが好ましく、電解液の温度20℃以上50℃以下、電流密度0.5A/cm以上20A/cm以下で20秒間以上250秒間以下の範囲で電解処理するのが好ましい。
絶縁体層の厚さとしては、層の厚さが薄いと有機半導体に印加される実効電圧が大きくなるので、デバイス自体の駆動電圧、閾電圧を下げることができるが、逆にソース−ゲート間のリーク電流が大きくなるので、適切な膜厚を選ぶ必要があり、通常10nm以上5μm以下、好ましくは50nm以上2μm以下、さらに好ましくは100nm以上1μm以下である。
また、前記絶縁体層と有機半導体層の間に、任意の配向処理を施してもよい。その好ましい例としては、絶縁体層表面に撥水化処理などを施し絶縁体層と有機半導体層との相互作用を低減させ有機半導体層の結晶性を向上させる方法であり、具体的には、シランカップリング剤、例えば、ヘキサメチルジシラザン、オクタデシルトリクロロシラン、トリクロロメチルシラザンや、アルカン燐酸、アルカンスルホン酸、アルカンカルボン酸などの自己組織化配向膜材料を、液相または気相状態で、絶縁膜表面に接触させ自己組織化膜を形成後、適度に乾燥処理を施す方法が挙げられる。また、液晶の配向に用いられるように、絶縁膜表面にポリイミドなどで構成された膜を設置し、その表面をラビング処理する方法も好ましい。
前記絶縁体層の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、特開平11−61406号公報、同11−133205号公報、特開2000−121804号公報、同2000−147209号公報、同2000−185362号公報に記載の大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤または水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えば、アルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
本発明の有機薄膜トランジスタの形成方法としては、特に限定されず公知の方法によればよい。好ましくは有機半導体層成膜以後の工程は大気に全く触れさせない工程とする。また、p型TFT材料の中には一旦大気にふれさせ、酸素などを吸着させることにより性能が向上するものもあるので、材料によっては適宜大気にふれさせる。
さらに、例えば、大気中に含まれる酸素、水などの有機半導体層に対する影響を考慮し、有機トランジスタ素子の外周面の全面または一部に、ガスバリア層を形成してもよい。ガスバリア層を形成する材料としては、この分野で常用されるものを使用でき、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフロロエチレンなどが挙げられる。さらに、前記絶縁体層で例示した、絶縁性を有する無機物も使用できる。
本発明の有機薄膜トランジスタを用いた装置としては、例えば、回路、パーソナルコンピュータ、ディスプレイ、携帯電話、薄膜ディスプレイに用いる電子デバイスなどの表示用電子機器、プラスチックICカードや情報タグなどのウエアラブル電子機器、バイオセンサなどの医療機器や測定装置などが挙げられる。
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
〔実施例1〕
ガラス基板(大きさ:40mm×40mm)上にマスク蒸着法を用いてゲート金電極を形成した後、カネカ社製絶縁膜材料ILLUMIKA Type−ANL1をスピンコーターにて塗布、硬化させ絶縁膜を形成した(以下ANL1絶縁膜と称する)。
この絶縁膜上にソース電極(材質:銀)およびドレイン電極(材質:銀)を反転印刷法を用いて形成した。チャネル長に相当するソース電極およびドレイン電極の間の距離は20μm、チャネル幅は100μmである。
次に、有機半導体材料含有組成物として、メシチレンと、C8−BTBT(2,7−ジオクチル[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン)と、をそれぞれ98:2の質量比で混合し、さらに合成スメクタイトを、C8−BTBT100質量部に対して0.3質量部の割合となるように添加したものを調製した。
なお、上記使用した合成スメクタイトは、コープケミカル社製の親油性スメクタイトであるルーセンタイトSANをメシチレンに分散させ、この分散液を3μmフィルターにてろ過することで、合成スメクタイトの長辺および厚さを調整したものである。このように調整された合成スメクタイトを電子顕微鏡観察により測定したところ、長辺は5μm以下、厚みは200nm以下であった。図4に、長辺および厚さが調整された合成スメクタイトの電子顕微鏡写真図を示す。
次に、ソース電極およびドレイン電極を形成した基板の上に、上記調製した有機半導体材料含有組成物を、インクジェット装置を用いて合計量が80pLとなるように滴下した。その後、大気下100℃で30分間乾燥させることで、有機半導体層を形成し、有機薄膜トランジスタを作製した。
図3に、有機半導体材料含有組成物を電極付基板に塗布した後に、乾燥し固化した状態を示す偏光顕微鏡写真図を示す。
図3から明らかなように、ソース電極、ドレイン電極、およびそれらの間隙部上に有機半導体層が形成されていることが確認できる。
また、得られた有機薄膜トランジスタのゲート電極に0〜−30Vのゲート電圧を印加し、ソース電極−ドレイン電極間に−30Vの電圧を印加して電流を流し、電界効果移動度μを評価した。各電圧の印加およびソース電極−ドレイン電極間の電流の測定は、半導体特性評価システム(ケースレーインスツルメンツ社製4200SCS)を用いて行った。
正孔が有機半導体層のチャネル領域(ソース−ドレイン間)に誘起され、p型トランジスタとして動作した。電界効果移動度μを下記式(A)を用いて算出したところ、1cm/Vsであった。
ID=(W/2L)・Cμ・(VG−VT)2 …(A)
(式(A)中、IDはソース−ドレイン間電流、Wはチャネル幅、Lはチャネル長、Cはゲート絶縁体層の単位面積あたりの電気容量、VTはゲート閾値電圧、VGはゲート電圧である。)
〔比較例1〕
実施例1と同様にしてガラス基板上に、ゲート電極、ANL1絶縁膜、ソース電極およびドレイン電極を形成した。チャネル長に相当するソース電極およびドレイン電極の間の距離は20μm、チャネル幅は100μmである。
次に、有機半導体材料含有組成物として、メシチレンと、C8−BTBTとを、それぞれ98:2の質量比で混合したものを調製した。
ソース電極およびドレイン電極を形成した基板の上に、調製した有機半導体材料含有組成物をインクジェット装置を用いて合計量が80pLとなるように滴下したところ、ANL1絶縁膜の表面エネルギーの低さから、有機半導体材料含有組成物の液滴はソース電極側並びにドレイン電極側にそれぞれ移動してしまい、ソース電極およびドレイン電極の間隙部上には有機半導体層を形成することができなかった。
図5に、有機半導体材料含有組成物を電極付基板に塗布した後に、乾燥し固化した状態を示す偏光顕微鏡写真図を示す。
図5から明らかなように、有機半導体材料含有組成物は滴下直後にソース電極上およびドレイン電極上にそれぞれ移動してしまったため、ソース電極およびドレイン電極の間隙部上には有機半導体材料含有組成物が存在せず、チャネルが形成されていないことが確認できる。
このため、有機薄膜トランジスタを動作させることができなかった。
10…基板
11…ソース電極
12…ドレイン電極
13…有機半導体層
14…絶縁体層
15…ゲート電極。

Claims (11)

  1. 溶媒と、
    長辺が5μm以下で、かつ、厚みが200nm以下の平板状粒子と、
    有機半導体材料と、
    を含むことを特徴とする有機半導体材料含有組成物。
  2. 請求項1に記載の有機半導体材料含有組成物において、
    前記平板状粒子の濃度が前記有機半導体材料100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下である
    ことを特徴とする有機半導体材料含有組成物。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の有機半導体材料含有組成物において、
    前記平板状粒子は合成雲母、合成スメクタイトおよびベントナイトのうち少なくともいずれかである
    ことを特徴とする有機半導体材料含有組成物。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の有機半導体材料含有組成物において、
    前記有機半導体材料が、多環芳香族の誘導体、フタロシアニン誘導体、ペリレン誘導体、テトラチアフルバレン誘導体、含硫黄系複素環化合物、含酸素系複素環化合物、含窒素系複素環化合物、テトラシアノキノジメタン誘導体、フラーレン類およびカーボンナノチューブ類からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である
    ことを特徴とする有機半導体材料含有組成物。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の有機半導体材料含有組成物において、
    前記有機半導体材料の濃度が、組成物全量に対して、0.05質量%以上10質量%以下である
    ことを特徴とする有機半導体材料含有組成物。
  6. 少なくとも基板上に、ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、絶縁体層と、有機半導体層と、が設けられた有機薄膜トランジスタにおいて、
    前記有機半導体層が、
    長辺が5μm以下で、かつ、厚みが200nm以下の平板状粒子と、
    有機半導体材料と
    を含む
    ことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
  7. 請求項6に記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
    前記平板状粒子の濃度が前記有機半導体材料100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下である
    ことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
    前記平板状粒子は合成雲母、合成スメクタイトおよびベントナイトのうち少なくともいずれかである
    ことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
  9. 請求項6から請求項8までのいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
    前記有機半導体材料が、多環芳香族の誘導体、フタロシアニン誘導体、ペリレン誘導体、テトラチアフルバレン誘導体、含硫黄系複素環化合物、含酸素系複素環化合物、含窒素系複素環化合物、テトラシアノキノジメタン誘導体、フラーレン類およびカーボンナノチューブ類からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である
    ことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
  10. 請求項6から請求項9までのいずれか1項に記載の有機薄膜トランジスタにおいて、
    前記有機半導体材料の濃度が、組成物全量に対して、0.05質量%以上10質量%以下である
    ことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
  11. 少なくとも基板上に、ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極と、絶縁体層と、有機半導体層と、が設けられた有機薄膜トランジスタの製造方法において、
    前記有機半導体層が、
    溶媒と、
    長辺が5μm以下で、かつ、厚みが200nm以下の平板状粒子と、
    有機半導体材料と
    を含む有機半導体材料含有組成物を用いて形成された
    ことを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
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