JP2015168645A - 口腔内崩壊錠の製造方法及び口腔内崩壊錠 - Google Patents

口腔内崩壊錠の製造方法及び口腔内崩壊錠 Download PDF

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Abstract

【課題】クロピドグレル硫酸塩の苦みがマスキングされ、口腔内崩壊錠製造時及び製造後の原薬安定性を向上させうる口腔内崩壊錠の製造方法、及び口腔内崩壊錠を提供する。【解決手段】平均粒子径5μm〜20μmのクロピドグレル硫酸塩を含む原薬粉末と賦形剤とを撹拌造粒機に投入する工程と、撹拌造粒機内の水分量を制御して、撹拌造粒によって得られる造粒物の含水率を1質量%以上12質量%未満とする工程と、を含む、クロピドグレル硫酸塩と賦形剤とを含有し、平均粒子径50μm〜600μmの造粒物を作製する造粒物作製工程、及び、得られた造粒物を、撹拌造粒又は流動層造粒によって、胃で溶解する高分子化合物を用いて被覆し、造粒物上に胃溶層を作製する胃溶層形成工程、を含む口腔内崩壊錠の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、口腔内崩壊錠の製造方法及び口腔内崩壊錠に関する。
経口製剤においては、原薬の溶出タイミングの制御、原薬に由来する苦味のマスキング、及び原薬の安定性向上等のために、原薬もしくは原薬を含む医薬組成物にフィルムやポリマー等をコーティングした製剤が一般的になっている。
近年、高齢の患者、嚥下困難な患者、水分制限されている患者のコンプライアンス向上のため、より服用しやすい製剤として、水なしでも服用可能な口腔内崩壊錠のニーズが高まっている。
口腔内崩壊錠は服用後速やかに、口腔内で溶解又は崩壊する経口製剤であるため、通常の経口製剤に比べて原薬の分解抑制、苦味マスキング及び溶出調整等の製剤技術がより重要になる。
特許文献1には、苦みを有する原薬であるドカルパミンと崩壊剤とを撹拌造粒後、流動層造粒機にて腸溶性ポリマーで被覆する技術が開示され、さらに胃溶性ポリマーにて被覆しうる旨の記載がなされている。
特許文献2には、タムスロシン塩酸塩と微結晶セルロースとを撹拌造粒機で造粒して原薬粒子を得た後、流動層造粒機を用いて徐放層や腸溶層を形成し口腔内崩壊錠を得る方法が記載されている。
特開平6−183964号公報 特開2010−51890号公報
現在、口腔内崩壊錠は、原薬を含有する細粒(以下、単に「細粒」ともいう。)と、細粒外の賦形剤とを含む構造が一般的である。また、一般的に、口腔内崩壊錠に含まれる細粒は、原薬を含む造粒物上に、例えば、中間層、胃溶層等の一層、又は、複数の層を備える。
原薬であるクロピドグレル硫酸塩は、苦みを有しており、原薬が濡れると原薬自身に付着性が生じ、経時により加水分解物が生成したり、変性物が生成したりすることがある。従来、クロピドグレル硫酸塩の苦みをマスキングし、且つ、製造時及び製造後のクロピドグレル硫酸塩の保存安定性を向上させ得る口腔内崩壊錠の製造方法は知られていない。
本発明は、原薬としてクロピドグレル硫酸塩を含み、クロピドグレル硫酸塩の苦みがマスキングされ、口腔内崩壊錠製造時及び製造後の原薬安定性を向上させうる口腔内崩壊錠の製造方法、及び口腔内崩壊錠を提供することを課題とする。
課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> 平均粒子径1μm〜20μmのクロピドグレル硫酸塩を含む原薬粉末と賦形剤とを撹拌造粒機に投入する原薬投入工程と、撹拌造粒機内の水分量を制御して、撹拌造粒によって得られる造粒物の含水率を1質量%以上12質量%未満とする水分量制御工程と、を含む、クロピドグレル硫酸塩と賦形剤とを含有し、平均粒子径50μm〜600μmの造粒物を作製する造粒物作製工程、及び、造粒物作製工程で得られた造粒物を、撹拌造粒又は流動層造粒によって、胃で溶解する高分子化合物を用いて被覆し、造粒物上に胃溶層を形成する胃溶層形成工程、を含む口腔内崩壊錠の製造方法。
<2> 胃溶層形成工程の前に、造粒物作製工程で得られた造粒物上に中間層を形成する中間層形成工程を含む<1>に記載の口腔内崩壊錠の製造方法。
<3> 中間層が、セルロース誘導体、及び、ポリビニルアルコールからなる群より選択される少なくとも1つを含む<2>に記載の口腔内崩壊錠の製造方法。
<4> 胃で溶解する高分子化合物が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーを含有する<1>〜<3>のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠の製造方法。
<5> 原薬投入工程が、撹拌造粒機に投入した賦形剤に水分を付与し、賦形剤を予め濡らす工程と、予め濡らした賦形剤が配置された撹拌造粒機にクロピドグレル硫酸塩を含む原薬粉末を投入する工程とを含む<1>〜<4>のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠の製造方法。
<6> 造粒物作製工程において得られる造粒物の含水率が1質量%以上10質量%以下である<1>〜<5>のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠の製造方法。
<7> 水分量制御工程が、撹拌造粒機への水分の供給、及び、撹拌造粒機への乾燥気体の供給、の少なくとも1つを含む<1>〜<6>のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠の製造方法。
<8> <1>〜<7>のいずれか1項に記載の製造方法により得られる口腔内崩壊錠。
本発明によれば、原薬としてクロピドグレル硫酸塩を含み、クロピドグレル硫酸塩の苦みがマスキングされ、製造時及び製造後の原薬安定性を向上させうる口腔内崩壊錠の製造方法及び口腔内崩壊錠を提供することができる。
以下、本発明の口腔内崩壊錠の製造方法及び口腔内崩壊錠について詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中の各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において「平均粒子径」とは、体積平均粒子径を意味する。平均粒子径の測定方法としては、レーザー回折式粒度分布測定法が挙げられ、具体例としてはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置(製品名:LS 13 320、ベックマンコールター社製)を用いる方法が挙げられる。
一般的に、粒子の造粒方法は、結合液等の液体を投入することにより粒子を形成する湿式造粒、液体を使用しない乾式造粒に大別される。
湿式造粒には流動層造粒や撹拌造粒、スプレードライ等が挙げられる。
乾式造粒には、圧縮造粒や粉砕造粒等が挙げられる。
流動層造粒には転動流動層造粒、噴流流動層造粒等が挙げられる。
≪口腔内崩壊錠の製造方法≫
本発明の口腔内崩壊錠の製造方法は、平均粒子径1μm〜20μmのクロピドグレル硫酸塩を含む原薬粉末と賦形剤とを撹拌造粒機に投入する原薬投入工程と、撹拌造粒機内の水分量を制御して、撹拌造粒によって得られる造粒物の含水率を1質量%以上12質量%未満とする水分量制御工程と、を含む、クロピドグレル硫酸塩と賦形剤とを含有し、平均粒子径50μm〜600μmの造粒物を作製する造粒物作製工程、及び、造粒物作製工程で得られた造粒物を、撹拌造粒又は流動層造粒によって、胃で溶解する高分子化合物を用いて被覆し、造粒物上に胃溶層を形成する胃溶層形成工程、を含む。
本発明の製造方法においては、造粒物作製工程が水分量制御工程を含むことで、造粒物作製工程で得られる造粒物の含水率が所定の範囲に制御されることで、クロピドグレル硫酸塩の保存安定性を向上させることができる。
本発明の口腔内崩壊錠の製造方法は、必要に応じて更に他の工程を含んでもよい。
造粒物作製工程と、胃溶層形成工程とを経て得られた平均粒子径50μm〜600μmのクロピドグレル硫酸塩を含有する細粒を含む口腔内崩壊錠を製造する際には、クロピドグレル硫酸塩を含む細粒と、外部賦形剤などの所望の添加剤とを用いて、細粒と添加剤とを混合し、得られた混合物を打錠する口腔内崩壊錠成形工程を含むことが好ましい。
<造粒物作製工程>
(原薬投入工程)
造粒物作製工程は、平均粒子径1μm〜20μmのクロピドグレル硫酸塩を含む原薬粉末と賦形剤とを撹拌造粒機に投入する原薬投入工程を含む。
原薬投入工程では、原薬粉末と賦形剤に加えて、必要に応じて、水、又は水を含む結合液を撹拌造粒機内に投入することができる。
本発明において用いるクロピドグレル硫酸塩原薬粉末は、平均粒子径1μm〜20μmである限りにおいて、特に制限はなく、公知の方法で製造した原薬粉末を、適宜選択して使用することができる。
本発明における原薬粉末は、有効成分としてのクロピドグレル硫酸塩を含む。原薬粉末は、クロピドグレル硫酸塩を粉砕した粉末を用いてもよく、核粒子等の他の成分をさらに含んで形成された造粒物を用いてもよい。原薬粉末が他の成分を含む場合には、核粒子などの他の成分の少なくとも1種(以下、「他の成分等」ともいう。)と、が混合されたものであってもよいし、他の成分等を含む核粒子の表面がクロピドグレル硫酸塩を含む層(以下、「原薬層」という。)で被覆されたものであってもよいし、クロピドグレル硫酸塩を含む核粒子の表面が他の成分等を含む層で被覆されたものであってもよい。
原薬層は、クロピドグレル硫酸塩のみを含んでいてもよいし、有効成分と他の成分等とを含んでいてもよい。
原薬粉末に所望により含まれる核粒子は、原薬含有核の基材となるものである。核粒子は、クロピドグレル硫酸塩(以下、単に有効成分と称することがある)及び他の成分等からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいればよい。例えば、核粒子は、有効成分のみを含んでいてもよいし、有効成分と他の成分等とを含んでいてもよいし、他の成分等のみ含んでいてもよい。核粒子には、有効成分や他の成分等の原末そのものを用いてもよいし、造粒物を用いてもよい。また、市販の基材を核粒子として用いてもよい。
市販の核粒子としては、例えば、ノンパレル(フロイント産業(株)製)、セルフィア(旭化成ケミカルズ(株)製)等が挙げられる。これらの中でも、市販の核粒子としては、ノンパレル(フロイント産業(株)製)、及びセルフィア(旭化成ケミカルズ(株)製)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
原薬粉末中に含有されるクロピドグレル硫酸塩の含有比率は、造粒物を構成する成分の全質量に対して、70質量%以上100質量%以下であることが好ましい。含有比率を上記範囲にすることにより、口腔内崩壊錠の大きさを、より小さくすることができる。
原薬粉末中に含有されるクロピドグレル硫酸塩の含有比率は、造粒物を構成する成分の全質量に対して、80質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、90質量%以上100質量%以下であることが更に好ましい。
造粒物中に含有される原薬粉末の平均粒子径は1μm〜20μmであることが好ましい。粒子径は、1μm〜15μmであることがより好ましく、5μm〜10μmであることが更に好ましい。
原薬粉末の平均粒子径を上記範囲に調整することにより、原薬を含有する造粒物の表面が平滑となり、口腔内崩壊錠の形成に必要なコーティング膜厚を薄くでき、それにより錠剤質量をより小さくすることができるため好ましい。
撹拌造粒機に原薬粉末と賦形剤とを投入する方法には、特に制限はなく、撹拌造粒機に原薬粉末と賦形剤とを同時に投入してもよく、逐次投入してもよい。逐次投入する場合の原薬粉末と賦形剤との投入順は任意である。また、原薬粉末、及び、賦形剤の投入は、それぞれ断続的又は連続的に行なってもよい。
クロピドグレル硫酸塩を含む原薬粉末は濡れると付着性が生じるため、粒子径が均一で、シャープな粒度分布を有する造粒物を形成するという観点から、まず、撹拌造粒機に賦形剤を投入し、水を付与して賦形剤を予め濡らした後、原薬粉末を撹拌造粒機に投入する方法をとることができる。
より具体的な方法としては、まず、撹拌造粒機内に、賦形剤を投入し、撹拌ブレードを回転させ、撹拌しながら水を賦形剤にスプレーし、所望により、さらに乾燥気体(以下、パージエアーと称することがある)を供給し、水の供給量、必要に応じてパージエアーの供給量を調節しながら、好ましくは造粒物の水分値が3質量%〜10質量%程度、より好ましくは4質量%〜6質量%程度となるように賦形剤をあらかじめ濡らしておく。その後、予め濡らした賦形剤が配置された撹拌造粒機内に原薬粉末を投入し、撹拌ブレードの回転数を、原薬粉末の投入前よりも上げて撹拌造粒を開始する方法が挙げられる。
賦形剤を予め水で濡らした後、原薬粉末を投入することで、投入された原薬粉末同士の凝集の発生が抑制され、水の供給量が少なくても、投入された原薬粉末が撹拌造粒機内に存在する賦形剤と均一に混合しつつ造粒される。このため、含有する成分比率がより均一で、粒度分布がシャープな形状を示す原薬を含有する造粒物を得ることができる。
賦形剤を予め濡らす場合に付与する水は、必要に応じて結合材、界面活性剤などの他の成分を含有することができる。
(賦形剤)
本発明に用いられる賦形剤は、造粒物の成形性向上に寄与する化合物である。
賦形剤としては、賦形剤として機能し得る成分であり、かつ、薬理学的に許容し得る成分であれば、特に制限されず、公知のものを用いることができる。例えば、賦形剤としては、糖、糖アルコール、結晶セルロース、デンプン、無水リン酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。
糖としては、例えば、乳糖、白糖、マルトース、トレハロース、デキストリン等が挙げられる。糖アルコールとしては、例えば、D−マンニトール、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール等が挙げられる。
デンプンとしては、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、コムギデンプン等が挙げられる。
撹拌造粒機内に投入される原薬粉末であるクロピドグレル硫酸塩と賦形剤の量は、特に限定されず、原薬換算での一日当たりの投与量、口腔内崩壊錠の平均粒子径等を考慮して、適宜設定することができるが、原薬粉末が、造粒物の全質量に対して、50質量%であることが好ましい。また、クロピドグレル硫酸塩の含有量の上限値は、特に限定されず、細粒の成形性等を考慮して、適宜設定することができる。
一般に、口腔内崩壊錠は、嚥下困難な患者に投薬されることが多いことから、服薬コンプライアンスの観点から、錠剤の大きさを極力小さくすることが望ましい。そのため、通常は、服薬の効果を考慮し、原薬粉末の割合を多くし、賦形剤の割合を少なくすることで、錠剤の大きさを小さくする。
撹拌造粒機内の原薬粉末の比率は、篩を用いた篩過を行なって得た固形物を、レーザー回折式粒度分布測定法等を用いることにより測定することができる。
具体的には、撹拌造粒機内の固形物を一部抜き取り、原薬粉末の最大粒子径程度の目開きである篩を用いて、抜き取った固形分の全量(以下、全抜き取り量と称することがある)に対する、篩を通過した粒子の質量%を測定し、その値を撹拌造粒機内の原薬粉末の比率とする。
全抜き取り量及び篩を通過した粒子の質量は、それぞれ水分を除外した乾燥時の質量を用いることが好ましいが、撹拌造粒機内の固形物を抜き取ってすぐに測定を行い、予め定めた換算式を用いて乾燥時の質量%に換算してもよい。
本明細書において「撹拌造粒機内の原薬粉末の比率」とは、撹拌造粒機内に存在する原薬粉末の、撹拌造粒機内に存在する成分の全固形物に対する比率を意味する。
(水分量制御工程)
水分量制御工程では、撹拌造粒機内の水分量を制御して、撹拌造粒によって得られる造粒物の含水率を1質量%以上12質量%未満とする。
即ち、撹拌造粒機において原薬粉末と賦形剤とを含有し、平均粒子径50μm〜600μmの造粒物を作製するに際して、撹拌造粒機内の湿度、及び温度の少なくとも1つを調整することで、得られる造粒物の含水率が1質量%以上12質量%未満とする。
撹拌造粒機内の水分量調整方法は、公知の方法を適用することができる。
撹拌造粒機内の水分量調整方法としては、例えば、撹拌造粒機への水分の供給、撹拌造粒機への乾燥気体(パージエアー)の供給、撹拌造粒機からの脱気、撹拌造粒機内の温度の制御等が挙げられ、これらの方法を適宜組み合わせて行なってもよい。なかでも、制御の容易性の簡単からは、撹拌造粒機への水分の供給、及び、撹拌造粒機への乾燥気体の供給の少なくとも1つを行なうことが好ましい。
造粒物作製工程は、バッチ式で行なわれるため、得られる造粒物の含水率を測定する試験的な製造を行なって、水分の供給量、及び乾燥気体の供給量等の条件を予め決定することにより、造粒物作製工程における水分量制御工程の詳細を決定することができる。
本発明に係る造粒物作製工程では、製造される造粒物の含水率が適切な範囲とされることを目的として行なわれる水分量制御工程により、撹拌造粒機内における水分量が適切な範囲に維持されることから、造粒物作製工程中に溶解した原薬が分解することを抑制することができ、原薬の安定性が向上する。
また、本発明の製造方法で得られる口腔内崩壊錠中の原薬の保存安定性を向上させ得る。
本発明の製造方法で得られる口腔内崩壊錠中の原薬の保存安定性が向上する機構としては、原薬粉末を含有する造粒物の含水率が適切な範囲に維持され、さらに造粒物が胃溶層により被覆されるために、原薬と、水、酸素、賦形剤などとの接触が減少するためと考えられるが、本発明の範囲は、この機構に限定されない。
水の撹拌造粒機内への供給方法は、特に制限されるものではなく、噴霧、滴下等公知の方法に従えばよいが、水は噴霧により供給することが好ましい。
水の投入量は、撹拌造粒機に投入するクロピドグレル硫酸塩の量に応じて調整すればよい。例えば原薬粉末として、クロピドグレル硫酸塩を用いる場合には、水の投入量は、撹拌造粒機に投入する原薬粉末の全質量に対して300質量%〜30質量%であることが好ましく、250質量%〜40質量%であることがより好ましく、150質量%〜50質量%であることが更に好ましい。
パージエアーとしては、温度5℃〜40℃、湿度1%〜50%の気体、好ましくは空気を、流量をエアー圧0.01MPa〜0.03MPaで供給することができる。パージエアーの温度を上げること、湿度を下げること、流量を上げることから選ばれる少なくとも1つを行なうことで、撹拌造粒機内の湿度が低下し、造粒物の含水率を低くすることができる。
造粒物作製工程で得られる造粒物の含水率を規定の範囲に制御するための水の供給量、パージエアーの供給量等は実験的に定めらことができる。また、実験を行なって得たデータ、及び、予め原薬粉末と賦形剤に付与した水分量を考慮して、撹拌造粒機内の湿度を調整することも、水分量の制御として好ましい方法である。撹拌造粒機内の湿度は、5%〜40%が好ましく、10%〜30%がより好ましい。この湿度を維持するため、水及びパージエアーの少なくともいずれかの供給量を制御することもできる。
(造粒物の作製)
撹拌造粒は、室温(25℃)で行なうことができる。また、撹拌造粒機内の温度を、室温である25℃を超え、80℃以下とすることが好ましい。撹拌造粒機内の温度を室温である25℃を超える温度にすることにより造粒物に含まれる原薬が水分を持つことによる分解を低減できるため好ましく、80℃以下にすることにより造粒物に含まれる原薬の熱よる分解を低減できるため好ましい。また、撹拌造粒機内の温度は、30℃〜60℃であることがより好ましく、30℃〜40℃であることが更に好ましい。
造粒物中の水分は、加熱乾燥式水分計(株式会社エー・アンド・デイ)やカールフィッシャー法水分計((株)三菱化学アナリテック)等により測定することができる。クロピドグレル硫酸塩の場合、造粒物作製工程で得られ、撹拌造粒機内より取り出された造粒物が含む水分は、加熱乾燥式水分計で測定した時に、造粒を進行させるために、造粒物の全固形分に対して造粒物の含水率として、1質量%以上であり、分解を抑制するために、12質量%未満に維持される。
撹拌造粒機としては、公知の装置を使用することができる。撹拌造粒機の撹拌機構、撹拌用のブレードの形状は、目的に応じて任意に選択することができる。
本発明に用いうる撹拌造粒機としては、パウレック製、バーチカルグラニュレーター(商品名)、深江パウテック(株)製、ハイスピードミキサー(商品名)等が挙げられる。
なかでも、バーチカルグラニュレーター FM−VG−01型(商品名)が好適に用いられる。バーチカルグラニュレーター FM−VG−01型は、撹拌用のブレードとして、3枚羽根1対構造のSUS304製のZブレードを有し、ブレード角度は35度である。例えば、撹拌造粒機として、バーチカルグラニュレーター FM−VG−01型を用いた場合、標準的な撹拌ブレードの回転数は、100回/min(rpm)〜1000回/min(rpm)であり、本発明に規定する水分量の制御を行なう限り、撹拌造粒機の標準的な撹拌ブレードの回転速度条件下で撹拌造粒を行なうことができる。
撹拌造粒機の撹拌ブレードの回転条件は、既述の範囲に制限されず、粗大粒子が発生しない程度に適宜調節すればよい。特に、原薬粉末と賦形剤との混合物中に水が均一に浸透されるまでの間は粗大粒が発生しやすいため、全工程における撹拌ブレードの回転速度の平均よりも回転数を高速に設定し、水が混合物中に均一に浸透した後は、比較的低速に設定することが好ましい。
本発明の製造方法においては、さらに、撹拌造粒機が備える撹拌ブレードの回転数を制御することで、原薬の安定性をより高め、より均一な造粒物を得ることができる。
なかでも、造粒物作製工程の前半、即ち、原薬粉末と賦形剤とを撹拌造粒機に投入後、造粒に要する総時間の約半分まで、具体的には、5〜10分の間は、原薬粉末及び賦形剤などの原料と水とを十分に接触させるため、ブレートの回転速度を200rpm〜300rpmとし、その後、原料と水とが均一に接触した後、造粒物作製が完了するまでは、ブレートの回転速度を100rpm〜150rpmとして撹拌造粒を行なうことがさらに好ましい。
撹拌造粒機内における造粒時間は、供給される原薬粉末と賦形剤との量、撹拌造粒機の特性に応じて適宜設定される。
本発明においては、水分量制御工程で撹拌造粒機内の水分量が所定の範囲に維持されるため、造粒物作製工程を経て得られた造粒物は、含水率が1質量%以上12質量%未満であり、クロピドグレル硫酸塩と賦形剤とを含有する平均粒子径50μm〜600μmの造粒物となる。
造粒物の平均粒子径が50μm〜600μmであることで、原薬を含有する造粒物を含む口腔内崩壊錠を調製した場合には、口腔内で口腔内崩壊錠が崩壊した際、口腔内でのざらつきを低減することができる。造粒物の平均粒子径は、100μm〜350μmであることが好ましく、150μm〜250μmであることがより好ましい。
造粒物を含む口腔内崩壊錠を調製した場合には、造粒物中の原薬含有部分(原薬層中)の原薬含有率を70質量%〜100質量%にし、且つ原薬含有核の平均粒子径を50μm〜600μmにすることにより、口腔内崩壊錠に十分な原薬を含有させることができる。 本発明の製造方法では、造粒物作製工程で得られた造粒物は、含水率が適性に維持されることから、造粒物に含まれるクロピドグレル硫酸塩の安定性に優れ、従って、口腔内崩壊錠としたときも、期待される薬理効果を長期間に亘り維持することができる。
クロピドグレル硫酸塩を含有する造粒物は、既述のように、クロピドグレル硫酸塩を含有しない賦形剤と、クロピドグレル硫酸塩の原薬粉末とを用いて、水分量を制御しながら撹拌造粒を行うことによって得ることができる。
なお、造粒物中にクロピドグレル硫酸塩の原薬粉末が含有されていることは、光学顕微鏡による観察により確認できる。原薬粉末が含有されている造粒物を用いて製造された細粒又は口腔内崩壊錠中に原薬粉末が含有されていることは明らかである。
細粒又は口腔内崩壊錠中に原薬粉末が含有されていることは、これらの切断面をSEM観察で粒子状構造を確認することにより、又はX線CTによる構造解析により確認することもできる。
<胃溶層形成工程>
胃溶層形成工程は、造粒物作製工程で得られた造粒物を、撹拌造粒又は流動層造粒によって、胃で溶解する高分子化合物を用いて被覆し、造粒物上に胃溶層を形成する工程である。
本発明における造粒物上に胃溶層を形成することで、胃に到達するまで原薬が放出されない時限放出性を付与することができる。
胃溶層としては、接触する液体のpHに応じて溶解性が変化することにより目的とする部位で薬物を放出する材料を含んで形成され、1つ以上の層から形成されていればよく、2層以上の多層で形成されていてもよい。
胃溶層を形成する成分としては、胃で溶解する高分子化合物であれば、特に限定されず、口腔内崩壊錠において公知の成分を使用することができる。
胃溶層は、酸性水溶液中では溶解し、塩基性水溶液中では溶解しない成分としての胃で溶解する高分子化合物であれば特に限定されない。胃で溶解する高分子化合物としては、例えば、胃溶性ポリビニル誘導体、胃溶性アクリル酸共重合体等を含有する。
胃溶性ポリビニル誘導体としては、例えば、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート等が挙げられ、胃溶性アクリル酸共重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸ブチル/(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、メタクリル酸メチル/メタクリル酸ジエチルアミノエチル共重合体等が挙げられる。
胃溶性ポリビニル誘導体及び胃溶性アクリル酸共重合体としては、市販品を用いることもできる。胃溶性ポリビニル誘導体の市販品としては、例えば、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート(商品名:AEA、三菱化学フード(株)製)等が挙げられる。胃溶性アクリル酸共重合体の市販品としては、例えば、メタクリル酸メチル/メタクリル酸ブチル/メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体(商品名:オイドラギットE100、エボニック社)、アミノアルキルメタクリレートコポリマー(商品名:オイドラギットEPO、エボニック社)、(メタクリル酸メチル/メタクリル酸ジエチルアミノエチル共重合体(商品名:Kollicoat Smartseal 30D、BASF社製)等が挙げられる。なかでも、胃溶層形成工程に用いられる胃で溶解する高分子化合物としては、効果の観点から、アミノアルキルメタクリレートコポリマーが好ましい。
胃溶層は、その目的に応じて、いずれかの成分を1種単独で使用してもよく、性質が同様の2種以上又は性質の異なる2種以上の成分を組み合わせて使用してもよい。また、2種以上の成分を組み合わせて用いる場合には、例えば、多層構造の形になるように使用することもできる。
胃溶層を構成する成分の含有量は、造粒物作製工程で得られた造粒物の全質量に対して、例えば、5質量%〜70質量%が好ましく、10質量%〜60質量%がより好ましく、15質量%〜50質量%にすることがさらに好ましい。
造粒物作製工程で得た造粒物に胃溶層を被覆する方法としては、流動層造粒法、及び撹拌造粒法から選ばれる方法が適用される。流動層造粒法、及び撹拌造粒法であれば特に制限はなく、それぞれ公知の方法を適用することができる。
流動層造粒法に使用しうる造粒機としては、例えば、流動層造粒機(製品名:FD−MP−01、パウレック(株)製)、フローコーター(製品名:FL−1、フロイント産業(株)製)等が挙げられる。
撹拌造粒法に用いる造粒機としては、造粒物作製工程において挙げた装置を、胃溶層形成工程において同様に挙げることができる。
胃溶層が原薬を含有する造粒物を被覆した形態とは、造粒物の表面の少なくとも一部に胃溶層が存在している状態であればよい。胃溶層が、造粒物の表面の1/4以上を被覆していることが好ましく、1/2以上を被覆していることがより好ましい。また、胃溶層が造粒物の表面の全体を被覆していることが最も好ましい。
<中間層形成工程>
胃溶層に含まれる成分、特にアミノアルキルメタクリレートコポリマー等の胃で溶解する高分子化合物とクロピドグレル硫酸塩とが直接接触すると、両者の反応により類縁物質が生成され、経時的に薬理効果が低減する懸念がある。このため、胃溶層を形成する前に、造粒物作製工程で得られた造粒物表面に中間層を設ける中間層形成工程を含むことが好ましい。
中間層が含有する成分としては、原薬を含む造粒物と胃溶層との間に位置して、原薬と胃溶性分との直接の接触を抑制しうるものであれば特に制限はなく、例えば、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー等が挙げられる。この他の成分としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動化剤等が挙げられる。
(水溶性高分子)
中間層には、水溶性高分子が含まれることが好ましい。
水溶性高分子としては、具体的には、水溶性セルロース誘導体、水溶性ビニルポリマー誘導体、水溶性アクリル酸重合体、多価アルコールポリマー、又はこれらのポリマーを含む共重合体、グアーガム等の多糖類、ゼラチン等のタンパク質等が挙げられる。好ましくは、水溶性セルロース誘導体及び水溶性ビニルポリマー誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられ、より好ましくはセルロース誘導体、ポリビニルアルコールが挙げられる。
なお、本明細書において、ポリビニルアルコールは、ビニルアルコール繰り返し単位を含む単独重合体、及び共重合体を包含する意味で用いられる。
より具体的には、セルロース誘導体としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。
水溶性ポリビニルアルコールとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールアクリル酸メタクリル酸メチルコポリマー(商品名:POVA)等が挙げられる。
水溶性アクリル酸共重合体としては、ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル酸ポリマー、アクリル酸エステルポリマー、メタクリル酸エステルポリマー等が挙げられる。多価アルコールポリマーとしては、マクロゴール、ポリグリセリン等が挙げられる。
これらのポリマーの共重合体としては、ポリビニルアルコール/アクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体、ポリエチレングリコールポリビニルアルコールグラフト共重合体、ビニルピロリドン/ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。
水溶性高分子としては、なかでも、造粒物のコーティングに適した粘度、結着性の観点から、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。水溶性高分子は、市販品を用いてもよい。市販品の例としては、ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:タイプSSL、日本曹達(株)製)等が挙げられる。
また、ポリビニルアルコールは、水溶性であれば特に制限はなく、けん化度は水溶性を有する限り特に制限はない。また、ポリビニルアルコールは、その少なくとも一部が変性された変性ポリビニルアルコールであってもよい。
本発明のポリビニルアルコールに包含される共重合体としては、例えば、ポリビニルアルコール/アクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体、ポリエチレングリコール/ポリビニルアルコールグラフト共重合体、ビニルピロリドン/ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。市販品の例としては、ポリビニルアルコール/アクリル酸/メタクリル酸メチル共重合体(商品名:POVACOAT、大同化成製工業(株)製)、ポリエチレングリコール/ポリビニルアルコールグラフト共重合体(商品名:Kollicoat IR、BASF社製)、ビニルピロリドン/ビニルアルコール共重合体(商品名:Kollicoat VA64、BASF社製)等が挙げられる。
(水不溶性高分子)
中間層に含まれる水不溶性高分子としては、接触する水溶液のpH値に依存することなく、酸性、中性及びアルカリ性のいずれの水溶液にも溶解しない成分であれば特に制限されず、公知のものを用いることができる。
また、水不溶性高分子としては、中間層を被覆する胃溶層が胃で溶解した後に、被覆した有効成分を徐放する等、有効成分の溶出を制御する高分子化合物であることが好ましい。
本明細書において水不溶性高分子とは、20℃の水への溶解度が、10g/L未満である高分子化合物を意味する。
水不溶性高分子としては、水不溶性セルロースエーテル、水不溶性アクリル酸共重合体等が挙げられる。水不溶性セルロースエーテルとしては、エチルセルロース等が挙げられる。水不溶性アクリル酸共重合体としては、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体分散液等が挙げられる。
水不溶性高分子としては、市販品を用いることもできる。水不溶性セルロースエーテルの市販品としては、エチルセルロース水分散液(商品名:Aquacoat ECD、FMC社製)等が挙げられる。水不溶性アクリル酸共重合体の市販品としては、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体(商品名:オイドラギットRS、エボニック社製)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体分散液(商品名:Eudragit NE30D、エボニック社製)等が挙げられる。
水不溶性高分子は、いずれかの水不溶性高分子を1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
中間層に含まれる水不溶性高分子の含有量は、クロピドグレル硫酸塩の含有量、1日投与量、粒子径等を考慮して、適宜決定することができる。例えば、水不溶性高分子の含有量は、中間層を構成する成分の全質量に対して、0質量%〜100質量%、15質量%〜80質量%、30質量%〜60質量%にすることができる。
中間層は、水溶性高分子、水不溶性高分子等の皮膜形成性に優れた成分の他、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動化剤等を含んでいてもよく、1つの成分が2つ以上の機能を担うものであってもよい。
原薬を含有する造粒物を中間層で被覆する際の中間層の被覆量は、造粒物が中間層で被覆された形態になる量であれば特に制限されない。例えば、造粒物の被覆に用いる中間層の質量は、造粒物の全質量に対して、0.01倍量〜50倍量、0.1倍量〜5倍量、又は0.3倍量〜1倍量であることが挙げられる。
また、中間層の形成に際しては、造粒物の全質量に対して、質量基準で、0.01倍量〜50倍量、0.1倍量〜5倍量、又は0.3倍量〜1倍量の質量の中間層を構成する成分を、薬理学的に許容される溶媒に溶解又は懸濁して、造粒物に噴霧すればよい。
2層以上の中間層を設ける際には、組成等を変えた複数の中間層コーティング液を、それぞれの中間層コーティング液ごとに複数回に分けて、原薬を含有する造粒物に噴霧すればよい。
中間層は、いずれかの成分を1種単独で使用してもよく、性質が同様の2種以上又は性質の異なる2種以上の成分を組み合わせて使用してもよい。また、2種以上の成分を組み合わせて用いる場合には、例えば、多層構造の形になるように使用することもできる。
中間層における水溶性高分子の含有量は、造粒物の全質量に対して、例えば、5質量%〜70質量%、好ましくは10質量%〜60質量%、より好ましくは15質量%〜50質量%にすることができる。
中間層が原薬を含有する造粒物を被覆した形態とは、造粒物の表面の少なくとも一部に中間層が存在している状態であればよい。中間層が、造粒物の表面の1/4以上を被覆していることが好ましく、1/2以上を被覆していることがより好ましい。また、中間層が造粒物の表面の全体を被覆していることが最も好ましい。
中間層を設けた後、胃溶層を形成することで、本発明の製造方法により得られる造粒物は、類縁物質の生成が抑制されることから、造粒物に含まれる有効成分であるクロピドグレル硫酸塩の安定性がより向上する。
造粒物上に胃溶層、所望により、中間層をさらに設けることで、口腔内崩壊錠に配合しうる、有効成分であるクロピドグレル硫酸塩を含有する細粒が得られる。
造粒物上には、さらに他の任意の層、例えば、マンニトール層など付着性のない低分子の水溶性成分を含む層を目的に応じて設けることができる。
造粒物上に2層以上の層、例えば、中間層、胃溶層、及び他の任意の層から選ばれる2層以上を設ける場合には、複数の層形成用コーティング液を、それぞれの層形成用コーティング液ごとに複数回に分けて、造粒物に付与すればよい。
本明細書では、口腔内崩壊錠に使用され、原薬粉末を含む造粒物に胃溶層を設けたもの、さらに中間層、他の任意の層を設けたものを「細粒」と称することがある。
有効成分を含有する細粒には、原薬であるクロピドグレル硫酸塩、賦形剤、胃溶層、及び所望により設けられる中間層に含まれる成分に加え、目的に応じて、その他の成分を含有することができる。
その他の成分としては、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、流動化剤等が挙げられる。
細粒において崩壊剤は、細粒の崩壊性の促進に寄与するものである。
崩壊剤としては、崩壊剤として機能し得る成分であり、かつ、薬理学的に許容し得る成分であれば、特に制限されず、公知のものを用いることができる。例えば、崩壊剤としては、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン等のデンプン、部分アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルスターチなどが挙げられる。
細粒において滑沢剤は、細粒の製造性の向上に寄与するものである。
滑沢剤としては、滑沢剤として機能し得る成分であり、かつ、薬理学的に許容し得る成分であれば、特に制限されず、公知のものを用いることができる。例えば、滑沢剤としては、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
細粒において結合剤は、細粒の成形性の向上に寄与するものである。
結合剤としては、結合剤として機能し得る成分であり、かつ、薬理学的に許容し得る成分であれば、特に制限されず、公知のものを用いることができる。例えば、結合剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
細粒において流動化剤は、細粒の製造性の向上に寄与するものである。
流動化剤としては、流動化剤として機能し得る成分であり、かつ、薬理学的に許容し得る成分であれば、特に制限されず、公知のものを用いることができる。例えば、流動化剤としては、タルク、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。
本発明における細粒は、他の成分を含有する場合、他の成分を1種含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
<口腔内崩壊錠成形工程>
造粒物作製工程及び胃溶層形成工程を経て得られた、原薬粉末を含有する細粒を用いて、口腔内崩壊錠を調製することができる。
クロピドグレル硫酸塩の原薬粉末を含有する細粒を用いて口腔内崩壊錠を作製する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
例えば、口腔内崩壊錠を製造するには、造粒物作製工程と、胃溶層形成工程とを経て得られた、平均粒子径50μm〜600μmのクロピドグレル硫酸塩を含有する造粒物上に胃溶層が形成された細粒と、所望の添加剤、例えば、外部賦形剤などを混合し、得られた混合物を打錠する口腔内崩壊錠成形工程を含むことが好ましい。
細粒と外部賦形剤とを混合する方法は、特に限定されず、例えば、V型混合器(筒井理化学器械(株)製)、流動層造粒機(パウレック(株)製)等の公知の混合器を用いて混合することができる。
また、得られた混合物を打錠する方法も、特に限定されるものではなく、例えば、ロータリー打錠機(製品名HT−P18A、(株)畑鉄工所製)等の公知の打錠機を用いて打錠することができる。
混合物を打錠する工程の前に、さらに、得られた混合物を予め造粒する造粒工程、混合物を整粒する整粒工程などを有していてもよい。
<細粒の含有比率>
本発明の口腔内崩壊錠中の、本発明の製造方法により得られた細粒の含有比率は、口腔内崩壊錠の全質量に対して、1質量%〜70質量%であることが好ましく、20質量%〜60質量%であることがより好ましく、20質量%〜40質量%であることがさらに好ましい。
口腔内崩壊錠中の細粒の含有比率が、口腔内崩壊錠の全質量に対して、1質量%以上であることで、錠剤に十分な硬度を与え、硬度と崩壊性とが両立する。また、口腔内崩壊錠中の細粒の含有比率が、口腔内崩壊錠の全質量に対して、70質量%以下であることで、錠剤の崩壊性は高いレベルに維持され、硬度の低下による破損が生じがたい。
(賦形剤)
本発明の製造方法により得られる口腔内崩壊錠は、賦形剤を含有する。
賦形剤としては、口腔内崩壊錠の賦形剤として機能し得る成分であり、かつ、薬理学的に許容し得る成分であれば、特に限定されず、公知のものを用いることができる。
賦形剤としては、糖、糖アルコール、結晶セルロース、無水リン酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。
糖としては、例えば、乳糖、白糖、マルトース、トレハロース、デキストリン等が挙げられる。糖アルコールとしては、例えば、D−マンニトール、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール等が挙げられる。
これらの中でも、賦形剤としては、口腔内崩壊錠の溶解性の観点から、D−マンニトール及びエリスリトールからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、D−マンニトールがより好ましい。
本発明の口腔内崩壊錠は、外部賦形剤を1種含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
本発明の口腔内崩壊錠における賦形剤の含有量は、クロピドグレル硫酸塩の含有量、1日の投与量、細粒の平均粒子径等を考慮して、適宜設定することができる。
また、賦形剤は、薬理学的に許容し得る他の製剤用添加物(以下、「他の製剤用添加剤」という。)として、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、流動化剤、苦味抑制剤等を、本発明の効果を阻害しない範囲において、含んでいてもよい。
崩壊剤としては、崩壊剤として機能し得る成分であれば、特に制限されず、公知のものを用いることができる。例えば、崩壊剤としては、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン等のデンプン、部分アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルスターチなどが挙げられる。これらの中でも、崩壊剤としては、口腔内崩壊錠の崩壊性の観点から、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、クロスポビドンがより好ましい。
滑沢剤としては、滑沢剤として機能し得る成分であれば、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、滑沢剤としては、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。これらの中でも、滑沢剤としては、口腔内崩壊錠の製造性の観点から、フマル酸ステアリルナトリウムが好ましい。
結合剤としては、結合剤として機能し得る成分であれば、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
流動化剤としては、流動化剤として機能し得る成分であれば、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、流動化剤としては、タルク、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。
苦味抑制剤としては、ケイ酸カルシウム及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のカルシウム塩(以下、「ケイ酸カルシウム等」ともいう。)が挙げられ、好ましくは、ケイ酸カルシウムである。
本発明の口腔内崩壊錠は、苦味を呈する有効成分であるクロピドグレル硫酸塩を含有するが、さらに、ケイ酸カルシウム等を含んでいると、口腔内崩壊錠の溶解又は崩壊から一定時間経過後に生じ得る有効成分の苦味が軽減される。
本発明の口腔内崩壊錠においては、ケイ酸カルシウム等は、細粒内に含まれていてもよいが、細粒外に含まれていることが好ましい。ケイ酸カルシウム等が細粒外に含まれていると、苦味を呈する有効成分が細粒から放出される前に、ケイ酸カルシウム等が口腔に作用するため、ケイ酸カルシウム等の利用効率が高く、少ない添加量で苦味を抑制することができる。
ケイ酸カルシウムとしては、市販品を用いることができる。ケイ酸カルシウムの市販品としては、フローライトRE(エーザイフード ケミカル(株)製)、ケイ酸カルシウム(和光純薬工業(株)製)等が挙げられる。
炭酸カルシウムとしては、市販品を用いることができる。炭酸カルシウムの市販品としては、炭酸カルシウム(和光純薬工業(株)製)、炭酸カルシウム(沈降性)(和光純薬工業(株)製)等が挙げられる。
製剤用添加剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
製剤用添加剤の種類及び含有量は、口腔内崩壊錠中の細粒の含有比率、細粒の平均粒子径等を考慮して、適宜設定することができる。また、製剤用添加剤として苦味抑制剤を含有する場合には、有効成分の種類及び含有量を考慮して、適宜設定するとよい。
≪口腔内崩壊錠≫
本発明の口腔内崩壊錠は、本発明の製造方法により得られる。本発明の口腔内崩壊錠は、原薬粉末と賦形剤とを含有し、含水率が1質量%以上12質量%未満であり、平均粒子径50μm〜600μmの造粒物上に、胃溶層が形成された細粒を含有する。
口腔内崩壊錠は必要に応じてその他の成分、又は他の層を含んでいてもよい。
[口腔内崩壊錠の形状及び大きさ]
本発明の口腔内崩壊錠の形状は、医薬上許容されるものであれば、特に制限されない。本発明の口腔内崩壊錠の形状は、例えば、円形錠であっても、変形錠であってもよく、服薬コンプライアンスを考慮して、適宜設定するとよい。
本発明の口腔内崩壊錠の大きさは、医薬上許容されるものであれば、特に制限されないが、一般に口腔内崩壊錠が嚥下困難な患者に用いられることが多いことを鑑みると、薬効を考慮した上で、極力小さいことが好ましい。
このような観点から、本発明の口腔内崩壊錠は、円形状の場合には、直径7mm〜12mm、厚さ3.0mm〜7.0mmが好ましく、直径8mm〜11mm、厚さ3.5mm〜6.5mmであることがより好ましい。
[口腔内崩壊錠の口腔内崩壊時間]
本発明の口腔内崩壊錠は、服薬コンプライアンスの観点から、口腔内崩壊時間が60秒以下であることが好ましく、30秒以下であることがより好ましい。
なお、本明細書における「口腔内崩壊時間」は、口腔内崩壊錠測定装置(製品名:トリコープテスタ、岡田精工(株)製)を用い、口腔内崩壊錠に対して、37℃の精製水を6ml/分にて滴下したときに測定される錠剤崩壊時間をいう。
[口腔内崩壊錠の錠剤硬度]
本発明の口腔内崩壊錠は、一包化適性、輸送安全性、自動分包機の利用性等の観点から、錠剤硬度が、錠剤硬度計による測定で、20N/m以上100N/m以下であることが好ましく、30N/m以上70N/m以下であることがより好ましい。
なお、口腔内崩壊錠剤の硬度はSchleuniger社製の錠剤硬度計Model 8Mを用いて測定する。
なお、本明細書における「錠剤硬度」は、ロードセル式錠剤硬度計(製品名:ポータブルチェッカーPC−30、岡田精工(株)製)を用いて測定される値である。
口腔内崩壊錠1錠に対するクロピドグレル硫酸塩の含有量は、一日投与量の下限値と上限値とを考慮して適宜決定することができる。口腔内崩壊錠1錠に対して、クロピドグレル硫酸塩を32.6mg〜97.9mgの範囲で含有することが好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
〔比較例1〕
(造粒物の作製)
流動層造粒機(パウレック製、FD−MP−01)にて、賦形剤であるマンニトール(商品名:ノンパレル108)に、約36質量%のクロピドグレル原薬(I型結晶、平均粒子径1〜20μm)と、ヒドロキシプロピルセルロース(タイプL)(日本曹達社製)0.7質量%を溶解し、さらにタルク(クラウンタルク(松村産業社製))を加えた原薬コーティング液を、6g/minの速度で噴霧し、液滴コーティングし、原薬を含む造粒物を得た。
得られた造粒物の含水率は2.8質量%であった。
造粒物中の水分は、加熱乾燥式水分計(株式会社エー・アンド・デイ)やカールフィッシャー法水分計((株)三菱化学アナリテック)により測定した。
得られた造粒物の平均粒子径は、約250μmであった。
平均粒子径は。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(製品名:LS 13 320、ベックマンコールター社製)を用いて測定した。
(中間層、胃溶層の形成)
得られた原薬を含む造粒物500gに、ヒドロキシプロピルセルロースを5質量%、乳糖、タルク(松村産業社製)、及び精製水を含有する中間層形成用コーティング液を3g/minの速度で噴霧し、液滴コーティングして、造粒物上に中間層を形成した。
さらに、アミノアルキルメタクリレートコポリマー(オイドラギットEPO:商品名、Evonik Rohm Gmbh社製)、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク(松村産業社製)、ステアリン酸モノグリセリド、及びポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、及び精製水を含有する胃溶層コーティング液を3g/minの速度で噴霧し、液滴コーティングし、中間層上に胃溶層を形成した。
その後、マンニトールと精製水とを含有するマンニトール液を3g/minの速度で噴霧し、原薬を含み、中間層と胃溶層を有する細粒を得た。
得られた細粒の組成は、下記表1に示すとおりである。

(口腔内崩壊錠の作製)
得られた細粒1980gと、外部賦形剤であるマンニトール、及び結晶セルロースを含む複合粒子(F−melt(商品名)、富士化学社製)410gと、エチルセルロース35gと、クロスポビドン50gと、フマル酸ステアリルナトリウム5gと、を室温にてV型混合機(筒井理化学器械(株)製)により混合して打錠末(混合末)を得た。
一錠あたりクロピドグレル硫酸塩が32.63mg含まれるよう、この打錠末(混合末)を打錠機(RIVA S.A.製;PICCOLA NOVA B−10:商品名)を用いて、10.5mmφ、2段R面の杵で打錠して口腔内崩壊錠を得た。打錠は予圧厚み、本圧厚みを一定として行った。
〔実施例1〕
撹拌造粒機(パウレック製、バーチカルグラニュレーター FM−VG−01型(商品名)、以下、単に「撹拌造粒機」と称する)に、賦形剤である乳糖を投入し、ブレード回転数150rpmで撹拌しながら水をスプレーし、パージエアーを調節し、水分値が5質量%近くになるまで予め濡らした。その後、撹拌造粒機内に原薬である平均粒子径1μm〜20μmのクロピドグレル硫酸塩を投入し、ブレード回転数300rpm、クロススクリュー1500rpmで15分間撹拌しながらパージエアーを調節し、スプレーノズルから水を噴霧した。
水を噴霧した後、ブレード回転数150rpm、クロススクリュー1500rpmで水分値が12質量%以下となるように、スプレーノズルから水を噴霧しながら15分間撹拌し、造粒物を得た。水の噴霧量は20gであった。
得られた造粒物の水分値を、比較例1と同様に測定したところ、含水率は11.4質量%であった。造粒物の平均粒子径は、480μmであった。
(胃溶層の形成)
得られた造粒物のうち、粒子径が150μm〜350μmの造粒物を回収し、流動層造粒機である微少量流動装置(ダルトン製)に30g投入して、給気温度を室温(25℃)にし、アミノアルキルメタクリレートコポリマー(オイドラギットEPO:商品名、Evonik Rohm Gmbh社製)、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク(松村産業社製)、ステアリン酸モノグリセリド、及びポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、及び精製水を含有する胃溶層コーティング液を0.3g/minの速度で微少流動装置内に供給して、液滴コーティングし、胃溶層を形成した。
その後、マンニトールと精製水とを含有するマンニトール液を0.3g/minの速度で微少流動装置内に供給して、原薬を含む造粒物上に胃溶層を有する細粒を得た。
実施例1において得られた細粒の組成を下記表2に示す。
(口腔内崩壊錠の作製)
得られた細粒35gと、外部賦形剤であるF−melt(商品名)、富士化学(株)社製 28.7gと、エチルセルロース2.5gと、クロスポビドン3.5gと、フマル酸ステアリルナトリウム0.35gと、を、室温にてV型混合機(筒井理化学器械(株)製)により混合して打錠末(混合末)を得た。
一錠あたりクロピドグレル硫酸塩が32.63mg含まれるよう、この打錠末(混合末)を打錠機(RIVA S.A.製;PICCOLA NOVA B−10:商品名)を用いて、10.5mmφ、2段R面の杵で打錠して口腔内崩壊錠を得た。打錠は予圧厚み、本圧厚みを一定として行った。
〔実施例2〕
(造粒物の作製)
実施例1と同様にして、造粒物を作製する際に、ブレード回転数300rpm、クロススクリュー1500rpmで15分間撹拌しながらパージエアーを調節し、スプレーノズルから水を15g噴霧した。
水を噴霧した後、ブレード回転数150rpm、クロススクリュー1500rpmで水分値が10質量%以下となるように、スプレーノズルから水を噴霧しながら15分間撹拌し、造粒物を得た。水の噴霧量は15gであった。
水の噴霧量を上記の範囲とした以外は、実施例1と同様にして、造粒物を得た。
得られた造粒物の水分値を、比較例1と同様に測定したところ、含水率は9.4質量%であった。造粒物の平均粒子径は、450μmであった。
得られた造粒物を、粒子径が250μm〜600μmの造粒物を回収し、微少量流動装置(ダルトン製)に30g投入して、まず、比較例1で用いたものと同じ中間層コーティング液を3g/minの速度で噴霧し、液滴コーティングして、造粒物上に中間層を形成した。
その後、実施例1と同様にして、胃溶層コーティング液及びマンニトール液を付与して、造粒物上に、中間層と胃溶層をと有する細粒を得た。
実施例2において得られた細粒の組成を下記表3に示す。
(口腔内崩壊錠の作製)
得られた細粒40gを用いて、実施例1と同様にして口腔内崩壊錠を得た。
〔実施例3〕
実施例1及び実施例2において造粒物の作製に用いた賦形剤である乳糖を、等質量のマンニトールに変更した以外は、実施例2と同様にして、造粒物を得た。
得られた造粒物の水分値を、比較例1と同様に測定したところ、含水率は7.1質量%であった。造粒物の平均粒子径は、460μmであった。
得られた造粒物を用いて、実施例1と同様にして口腔内崩壊錠を得た。
〔実施例4〕
実施例1及び実施例2において造粒物の作製に用いた賦形剤である乳糖を、等質量の結晶セルロース(セオラスPH301、旭化成ケミカルズ社製)に変更した以外は、実施例2と同様にして、造粒物を得た。
得られた造粒物の水分値を、比較例1と同様に測定したところ、含水率は10.5質量%であった。造粒物の平均粒子径は、520μmであった。
得られた造粒物を用いて、実施例1と同様にして口腔内崩壊錠を得た。
〔実施例5〕
実施例1において造粒物を作製する際に、撹拌造粒機内に、平均粒子径1〜20μmのクロピドグレル原薬(I型結晶)150gと、賦形剤である乳糖150gと、ヒドロキシプロピルセルロース(タイプSSL)(日本曹達社製)15gとを投入した以外は、実施例2と同様にして造粒物を得た。
得られた造粒物の水分値を、比較例1と同様に測定したところ、含水率は9.9質量%であった。造粒物の平均粒子径は、505μmであった。
得られた造粒物を用いて、実施例1と同様にして口腔内崩壊錠を得た。
実施例1〜実施例5、比較例1で得られた口腔内崩壊錠1錠の質量は、いずれも130mg〜180mgの範囲であり、クロピドグレルの含有量は32.36mgであった。比較例1で得られた口腔内崩壊錠1条の質量は227mgであり、クロピドグレルの含有量は32.36mgであった。
口腔内崩壊錠の錠剤径は7〜9mmφであり、良好な錠剤サイズの口腔内崩壊錠を得た。
口腔内崩壊錠の評価
(苦みマスキング評価)
実施例1〜実施例5で得た口腔内崩壊錠を、5人のモニターにより、実際に口に含み、味及び服用感を評価したところ、薬物のもつ極めて強い苦味が30秒以上マスキングされること、及び30秒経過時には口中で錠剤が崩壊しているとの評価を4人より得た。
(安定性の評価)
実施例1〜実施例5、比較例1で得られた口腔内崩壊錠を遮光ガラス瓶に投入後、乾燥剤を入れ、密閉した。口腔内崩壊錠を投入し遮光ガラス瓶を、60℃の恒温層中に配置し、14日間配置した。
経時後、X線結晶構造解析にてクロピドグレル硫酸塩の結晶系を測定した。結果を下記表4に示す。
製造後の分解物をHPLC(ULTRON 信和化工製カラム)にてカラム温度25℃にて測定し、クロピドグレル硫酸塩の保持時間が6分となるように調整した。
加水分解物、光学異性体のピークは、全ピーク面積を100%としたときの面積比より算出した。結果を下記表4に示す。
撹拌造粒機により、水分量を制御して得た所定の含水率の造粒物を用いた実施例1〜実施例5の口腔内崩壊錠では、熱経時後もクロピドグレル硫酸塩のI型結晶型が維持され、加水分解物の生成量、光学異性体の生成量も比較例におけるよりも低いことがわかる。
一方、流動層造粒を用い、造粒物の水分量を制御しなかった比較例1では、クロピドグレル硫酸塩のI型結晶型が維持されず、非結晶化が見られ、加水分解物生成量、光学異性体生成量が実施例と比較して多いことがわかる。

Claims (8)

  1. 平均粒子径1μm〜20μmのクロピドグレル硫酸塩を含有する原薬粉末と賦形剤とを撹拌造粒機に投入する原薬投入工程と、撹拌造粒機内の水分量を制御して、撹拌造粒によって得られる造粒物の含水率を1質量%以上12質量%未満とする水分量制御工程と、を含む、クロピドグレル硫酸塩と賦形剤とを含有し、平均粒子径50μm〜600μmの造粒物を作製する造粒物作製工程、及び、
    造粒物作製工程で得られた造粒物を、撹拌造粒又は流動層造粒によって、胃で溶解する高分子化合物を用いて被覆し、造粒物上に胃溶層を作製する胃溶層形成工程、
    を含む口腔内崩壊錠の製造方法。
  2. 胃溶層形成工程の前に、造粒物作製工程で得られた造粒物上に中間層を形成する中間層形成工程を含む請求項1に記載の口腔内崩壊錠の製造方法。
  3. 中間層が、セルロース誘導体、及び、ポリビニルアルコールからなる群より選択される少なくとも1つを含む請求項2に記載の口腔内崩壊錠の製造方法。
  4. 胃で溶解する高分子化合物が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーを含有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠の製造方法。
  5. 原薬投入工程が、撹拌造粒機に投入した賦形剤に水分を付与し、賦形剤を予め濡らす工程と、予め濡らした賦形剤が配置された撹拌造粒機にクロピドグレル硫酸塩を含む原薬粉末を投入する工程とを含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠の製造方法。
  6. 造粒物作製工程で得られた造粒物の含水率が1質量%以上10質量%以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠の製造方法。
  7. 水分量制御工程が、撹拌造粒機への水分の供給、及び、撹拌造粒機への乾燥気体の供給、の少なくとも1つを含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の口腔内崩壊錠の製造方法。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の製造方法により得られる口腔内崩壊錠。
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