JP2015167891A - 晶析装置および晶析方法 - Google Patents

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Akihisa Makino
晃久 牧野
清隆 周善寺
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清隆 周善寺
森光 孝典
Takanori Morimitsu
孝典 森光
宏和 小野
Hirokazu Ono
宏和 小野
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Abstract

【課題】晶析操作において微細サイズの高品質の微細粒子を高効率かつ低コストで製造することができる晶析装置および晶析方法を提供することを目的とする。【解決手段】第1の溶媒18,第2の溶媒21に晶析対象の特定の晶析成分19を含有させた原料溶液4を対象として、成分が溶解状態で含まれる液相から晶析成分19を固体の形態で析出させて分離する晶析過程において、供給された原料溶液4を圧縮気体を用いた微粒化ノズル7によって微細液滴化して噴射容器10内に噴出させ、噴出された微細液滴4aが凝集して液化した処理済み溶液4*を回収し、微細液滴化における微細液滴4aの温度低下および溶媒の蒸散によって当該微細液滴内の液相における晶析成分19の濃度の過飽和度を上昇させて晶析成分19を固体の形態で析出させる。【選択図】図1

Description

本発明は、溶媒に特定の成分を溶解させた原料溶液から当該成分を所望の結晶形かつ微細な固体粒子の形態で析出させる晶析装置および晶析方法に関するものである。
化学肥料や医薬品原薬の製造、発酵母液からのアミノ酸分離、有機化合物の精製など、原料溶液から製品となる固体成分を分離することが求められる化学工業分野では、液相中に含まれる特定の溶質成分を所望の結晶形として析出させて固体として分離する晶析操作が多用される。晶析操作の基本は、過飽和状態の液相から析出される結晶が高純度かつ所望の結晶形に制御されることにあり、所望の結晶を得るためには、晶析の駆動力である過飽和度の制御、すなわち晶析装置内における溶質成分の濃度を精密に制御することが不可欠である。
従来より工業用の晶析装置では、過飽和状態の生成や過飽和度の制御の手段として、原料溶液を冷却・加圧する方法や、原料溶液中の溶媒を蒸発させて濃度を上昇させる方法などが用いられている。さらには溶質成分が溶解した良溶媒に貧溶媒を添加し、溶質の溶解度を制御することにより効率的に結晶を析出させる非溶媒添加晶析が用いられる場合が多い。
これらの方法は所望の結晶形を高純度で得ることを主眼においているため、粒径制御が求められる場合には、晶析で得られた粗大粒子を専用の粉砕装置によって微粒子化する処理を必要としていた。ところが粉砕装置による微粒子化には到達可能な微細サイズにおいて限界があり、実用上必要とされる高品質の微細粒子を得ることが困難であった。
微細粒子を晶析により得る方法としては超臨界流体を用いた方法がある(非特許文献1参照)。非特許文献1によれば、二酸化炭素とイブプロフェンを308K、15MPaまで加温、加圧して超臨界流体として噴射することにより、平均粒径0.3μmの粒子が得られている。
内田博久、松岡正邦「医薬品・食品の機能制御を目指した環境調和型分離技術 医薬品等有機物微結晶調製のための超臨界晶析法の考え方と操作」分離技術,Vol.33 No.6 Page.369-374 (2003)
しかしながら上述の非特許文献例を含め、従来技術は微細粒子を得るために二酸化炭素ガスを大量に使用する必要があることから、環境負荷の高いプロセスとなっている。さらには二酸化炭素ガスを超臨界状態にする必要があるために装置が大がかりとなり、コストのかかる製造方法となっている。このため、従来より高い環境負荷およびコストを要するプロセスを用いることなく、高品質の微細粒子を製造する技術が望まれていた。
そこで本発明は、晶析操作において微細サイズの高品質の微細粒子を低環境負荷かつ低コストで製造することができる晶析装置および晶析方法を提供することを目的とする。
本発明の晶析装置は、溶媒に特定の成分を含有させた原料溶液を対象として、溶媒に前記成分が溶解状態で含まれる液相から前記成分を固体粒子の形態で析出させる晶析装置であって、前記原料溶液を供給する溶液供給手段と、供給された前記原料溶液を微細液滴化して噴出させる微粒化ノズルと、前記噴出された微細液滴を収容する噴射容器と、前記微細液滴が凝集して液化した処理済み溶液を回収する回収部とを備え、前記微細液滴化の過程にて微細液滴の温度低下および溶媒の蒸散によって当該微細液滴内の前記液相における前記成分の濃度の過飽和度を上昇させて前記成分を固体の形態で析出させる晶析過程を用い、前記微粒化ノズルは、円形断面のスロート部の上流側および下流側に流れ方向に縮径するコンバージェント部および流れ方向に拡径するダイバージェント部がそれぞれ設けられたノズル本体部と、このノズル本体部に上流側から供給される圧縮気体の流れと同方向に前記原料溶液を吐出する液供給管とを有し、前記液供給管の吐出口が前記ノズル本体部の内側壁面から離れた前記スロート部の下流側に配置され、前記圧縮気体が前記スロート部で音速となる特性を有する。
本発明の晶析方法は、溶媒に特定の成分を含有させた原料溶液を対象として、溶媒に前記成分が溶解状態で含まれる液相から前記成分を固体粒子の形態で析出させる晶析方法であって、前記原料溶液を供給する溶液供給工程と、供給された前記原料溶液を圧縮気体を用いた微粒化ノズルによって微細液滴化して噴出させる液滴噴出工程と、前記噴出された微細液滴が凝集して液化した処理済み溶液を回収する回収工程とを含み、前記液滴噴出工程にて微細液滴の温度低下および溶媒の蒸散によって当該微細液滴内の前記液相における前記成分の濃度の過飽和度を上昇させて前記成分を固体の形態で析出させる晶析過程を実行する。
本発明によれば、溶媒に特定の成分を含有させた原料溶液を対象として、溶媒に成分が溶解状態で含まれる液相から成分を固体粒子の形態で析出させる晶析過程において、供給された原料溶液を圧縮気体を用いた微粒化ノズルによって微細液滴化して噴出させ、噴出された微細液滴が凝集して液化した処理済み溶液を回収し、微細液滴化における微細液滴の温度低下および溶媒の蒸散によって当該微細液滴内の液相における成分の濃度の過飽和度を上昇させて成分を固体の形態で析出させることにより、晶析操作において微細サイズの高品質の微細粒子を高効率かつ低コストで製造することができる。
本発明の一実施の形態の晶析装置の構成を示すブロック図 本発明の一実施の形態の晶析装置の構成を示すブロック図 本発明の一実施の形態の晶析装置に用いられる微粒化ノズルの構造および機能を示す断面図 本発明の一実施の形態の晶析装置に用いられる微粒化ノズルの特性の説明図 本発明の一実施の形態の晶析方法における溶媒中の分離対象成分の溶解度および微粒化ノズルによる過飽和状態生成の説明図 本発明の一実施の形態の晶析方法の工程説明図 本発明の一実施の形態の晶析装置による晶析例を示す画像図 本発明の一実施の形態の晶析方法における晶析粒子の電子顕微鏡写真を示す画像図 本発明の一実施の形態の晶析方法における晶析粒子の粒径分布を示すグラフ 本発明の一実施の形態の晶析方法における界面活性剤の添加量と結晶粒子の平均粒径との関係を示すグラフ 本発明の一実施の形態の晶析方法における晶析粒子の電子顕微鏡写真を示す画像図 本発明の一実施の形態の晶析方法における晶析粒子の電子顕微鏡写真を示す画像図 本発明の一実施の形態の晶析方法における晶析粒子の電子顕微鏡写真を示す画像図 本発明の一実施の形態の晶析方法における晶析粒子の電子顕微鏡写真を示す画像図
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、晶析装置1の構成を説明する。晶析装置1は、溶媒に特定の晶析対象の成分を含有させた原料溶液を対象として、溶媒に晶析対象の成分が溶解状態で含まれる液相からこの成分を固体の形態で析出させて分離する機能を有するものである。
図1(a)において晶析装置1は、原料溶液供給部2、微粒化ノズル7、噴射容器10、および回収容器12より構成される。原料溶液供給部2(溶液供給手段)は貯液タンク3を備えており、貯液タンク3は晶析操作における分離の対象となる成分を含有した原料溶液4を貯留する。原料溶液4は制御部16によって制御されるポンプ6によって液吸引管5aを介して吸引され、原料溶液液供給管5bを介して所定の供給圧力で、噴射容器10の頂部10bに装着された微粒化ノズル7に供給される。
貯液タンク3は温調部15を備えており、制御部16によって温調部15を制御することにより、微粒化ノズル7に供給される原料溶液4を予め所定の温度に調整することができる。温調部15および制御部16は原料溶液4の温度を調整する液温度調整手段を構成し、本実施の形態においては溶液供給手段は微粒化ノズル7に供給される原料溶液4の温度を調整する液温度調整手段を備えた形態となっている。
ここで、晶析操作の対象となる原料溶液4および原料溶液供給部2における供給方法について、図1(b)を参照して説明する。まず本実施の形態において晶析による分離の対象となる晶析成分19は、第1の容器17に収容された第1の溶媒18に溶解した溶液の形態で供給される。第1の溶媒18は晶析成分19の良溶媒であり、所望の濃度で第1の容器17を溶解する特性を有している。ここでは、貯液タンク3に供給するに際して、第1の溶媒18に加えて晶析成分19を予め規定された所定の溶解度を超えて溶解しない特性を有する貧溶媒が添加される。すなわち貧溶媒としての第2の溶媒21を容れた第2の容器20が準備され、これらを混合した混合溶媒の形で貯液タンク3内に原料溶液4として供給される。原料溶液4内では、第1の溶媒18に晶析成分19が溶解した液相が、第2の溶媒21内に分散した状態で存在する。
晶析成分と貧溶媒である第2の溶媒21を混合した貯液タンク3で晶析してしまう場合には、図1Aに示す構成の晶析装置1Aを用いる。すなわち、晶析成分19が良溶媒である第1の溶媒18に溶解した溶液を第1の容器17に収容し、この溶液を原料溶液供給部2より供給する。そして貧溶媒である第2の溶媒21を第2の容器20に収容し、原料溶液供給部2とは別途に供給する。すなわち、第2の溶媒21は制御部16によって制御されるポンプ6bによって液吸引管5cを介して吸引され、第2の溶媒供給管5dを介して所定の供給圧力で、噴射容器10の頂部10bに装着された微粒化ノズル7に供給される。
微粒化ノズル7は、エア供給源8から送気管9を介して送給される圧縮空気によって、原料溶液供給部2から供給された原料溶液4を微細液滴化する機能を有している。制御部16によってエア供給源8を制御することにより、微粒化ノズル7に供給される圧縮空気の圧力を調整することができる。これにより、微粒化ノズル7によって噴射される微細液滴4aの少なくとも粒径(液滴サイズ)を含む噴霧条件を調整することが可能となっている。したがってエア供給源8および制御部16は、微粒化ノズル7による噴霧条件を調整する噴霧条件調整手段として機能する。
微粒化ノズル7によって噴射されて微粒化された原料溶液4は、ミクロンオーダーの粒径の微細液滴4aとなって噴射容器10の噴射空間10a内に収容される。したがって噴射容器10は、噴出された微細液滴4aを収容する収容容器として機能する。本実施の形態においては、この微細液滴化の過程は晶析対象の晶析成分19を固体の形態で析出させる晶析過程となっている。すなわち微細液滴化の過程にて微細液滴4aの温度低下および溶媒の蒸散によって、当該微細液滴4a内の液相における成分濃度の過飽和度が上昇し、晶析対象の成分を固体の形態で析出させる。
噴射された微細液滴4aは噴射容器10内に配設された液滴衝突板11に衝突した後、凝集して液化した処理済み溶液4*となる。そして処理済み溶液4*は噴射容器10の下部に設けられた回収孔10cを介して回収容器12内に回収される。回収孔10cおよび回収容器12は、微細液滴4aが凝集して液化した処理済み溶液4*を回収する回収部となっている。なお、回収容器12内に回収された処理済み溶液4*に対して超音波を作用させる超音波照射部を備えるようにしてもよい。これにより、処理済み溶液4*内で析出した固体粒子の粒径を均一化する効果を得ることができる。
回収された処理済み溶液4*は、制御部16によって制御される濃度調整部14に、戻り配管13aを介して送られる。濃度調整部14は処理済み溶液4*を対象として所定の濃度調整を行い、濃度調整後の処理済み溶液4*はさらに戻り配管13bを介して再度原料溶液供給部2の貯液タンク3に戻される。すなわち戻り配管13a、13b、濃度調整部14および制御部16は、濃度調整が行われた処理済み溶液4*を溶液供給手段に戻す液戻し手段となっており、同一の原料溶液4に対して晶析過程を複数回反復して実行するようになっている。
次に図2を参照して、微粒化ノズル7の構造および機能を説明する。図2に示すように、微粒化ノズル7は円筒形状のノズル本体部7aを主体としており、ノズル本体部7aには長手方向に貫通して内部流路孔22が形成されている。内部流路孔22の上流側は、送気管9が接続されて圧縮空気(矢印a)が導入される導入部22aとなっている。導入部22aの下流側には、内部流路孔22の流路径が流れ方向に沿って絞られたコンバージェント部22b、流路径が最も小さく絞られたスロート部22c、流路径が拡大するダイバージェント部22dおよび流路径が漸増する加速部22eが圧縮空気の流れ方向に順次設けられている。加速部22eがノズル本体部7aの端部に到達した開口は、微細液滴4aを含む噴流を噴射する噴射口7bとなっている。
上述構成の微粒化ノズル7は、コンバージェント部22b、スロート部22cおよびダイバージェント部22dを有するラバールノズルを形成している。このラバールノズルは、公知技術である特性曲線法を用いて、圧縮気体を適切に断熱膨張させ原料溶液4を微粒化して低温に冷却可能な形状に設計(解析)される。ノズル本体部7aはPTFE樹脂などの樹脂や金属で形成されており、一体成形あるいは適宜分割して成形されたものを一体化して製作される。スロート部22cの直径は例えば3〜10mmの範囲から適宜設定され、スロート部22cから噴射口7bまでの距離は、例えば100〜300mmの範囲で圧縮空気を加速するのに十分な距離に設定される。
すなわち圧縮空気は、スロート部22cで音速程度の流速となるように圧力が調整された後、亜音速(例えば50m/sec程度)でコンバージェント部22bに供給され、コンバージェント部22bで加速されてスロート部22cで音速(330m/sec程度)となり、ダイバージェント部22dでさらに加速されて、例えば400〜500m/sec程度の超音速まで加速される。スロート部22cの上流側には、原料溶液4を圧縮空気の流れと同方向に吐出する液供給管23が設けられている。原料溶液供給部2において温調部15によって加熱されて所定温度に消温された原料溶液4は、予め設定された規定量で原料溶液供給管5bを介して供給される。供給された原料溶液4は、液供給管23の先端部の吐出口23aから吐出されて微小な微細液滴4aとなり、圧縮空気とともに下流側へ高速で流動する。
液供給管23の吐出口23aは、スロート部22cの近傍且つ内部流路孔22の内側壁面から離れた位置、例えばスロート部22cの中心から上流方向および下流方向にそれぞれスロート部22cの内径の5倍の長さの範囲以内である吐出口配置範囲内に配置される。このように、液供給管23の吐出口をノズル本体部7aの内側壁面から離れたスロート部22cの近傍に配置することにより、吐出された原料溶液4が微粒化した微細液滴4aがノズル本体部7aの内側壁面に形成される境界層領域の影響を受けにくくなり、これにより微細液滴4aの速度低下を抑えて十分に加速することができる。
なお、液供給管23の吐出口23aの位置については、スロート部22cの下流側に設けることが望ましい。スロート部22cの上流側に吐出口23aを設けると、吐出口23aから吐出された原料溶液4の微細液滴4aがスロート部22cの内壁面に付着しやすく、微粒化ノズル7を連続して稼働させる過程において付着物が堆積して圧縮空気や微細液滴4aの流動を妨げ微粒化効率を低下させる一因となるからである。
微粒化ノズル7内における噴流の加速過程について説明する。導入部22aに駆動エアとして設定圧(例えば0.5MPa)で供給された圧縮空気の流れは、まずコンバージェント部22bによって加速され(矢印b)、音速程度の流速でスロート部22cを通過する。そしてスロート部22cからダイバージェント部22d内に移動することにより圧力が低下してさらに加速され(矢印c)る。そして液供給管23の吐出口23aから吐出され圧縮空気の流れによって微粒化した微細液滴4aは、徐々に拡径する加速部22e内で加速されながら下流側へ高速で流動し(矢印d)、微粒化ノズル7の噴射口7bから外部へ噴射される(矢印e)。加速部22eにおける拡径度合いは、内部流路孔22の内側壁面付近に形成される境界層領域の厚みを考慮して決定される。
一般に流体の円管内流れにおいては、管内壁面付近で流れの状態が変化する境界層が形成され、この境界層領域では流速が低下する。そして管内径が一定の円管内流れの場合には、管出口付近で境界層領域が拡がり、この結果流れの中心付近での流速の低下が生じる。これに対し、この境界層領域を考慮して流れ方向に徐々に拡径した加速部22eを設けることにより、境界層領域における流速低下の影響を抑えることができ、噴射口7b付近でも高速の流れを広い範囲で確保できるようになっている。
次に図3を参照して、晶析装置1に用いられる微粒化ノズル7の特性について説明する。図3(a)に示すように、微粒化ノズル7において液供給管23の吐出口23aから吐出された微細液滴4aは、圧縮空気によって内部流路孔22内をノズル軸方向に流下する。図3(b)、図3(c)、図3(d)は、平均的な微細液滴4aの流速V、粒径D、液滴温度Tのノズル軸方向の変化の状態を示している。ここでは吐出口23aの位置をL=0とする距離Lに沿う変化を示している。ここで位置Aは,スロート部22cからダイバージェント部22dに遷移する位置であり、位置Bは加速部22eによって超音速域に加速されて略最大速度に達する位置を示している。
図3(b)に示すように、流速Vは位置Aにおいて音速を超える速度V1となっており、距離Lに沿って加速されて噴射口7bの手前の位置Bにおいて、最大速度に近い速度V2となる。そして噴射口7bから外部へ噴射された後は、圧縮空気の流速は周囲空気を巻き込むことにより低下する。
このような流速Vの変化に伴って、微細液滴4aの粒径Dは、図3(c)に示すように変化する。すなわち、微細液滴4aは、吐出口23aから吐出された後、内部流路孔22内を流下する過程で加速されるとともに、流動する圧縮空気と微細液滴4aとの速度差によって生じる駆動力によって微粒化されるとともに、原料溶液4中の溶媒成分の蒸発が促進される。
これにより、微細液滴4aの流速Vが漸増するダイバージェント部22d、加速部22eの範囲では、微細液滴4aには微粒化作用および溶媒量の減少作用が継続して働き、粒径Dは位置Aにおける粒径D1から徐々に減少し、位置Bにおいて粒径D2となる。さらに、圧縮空気が噴射口7bから外部へ噴射されると周囲の空気を巻き込むことによって圧縮空気の流速は急激に減速するため、この減速による微細液滴4aと周囲空気との速度差によって微細液滴4aには微粒化作用が働き、粒径Dはさらに小さくなる。
このように微細液滴4aが加速され微粒化される過程において、微細液滴4aの液滴温度Tは、微粒化ノズル7の流路形状の特性による断熱膨張によって変化する。すなわち図3(d)に示すように、位置Aにおける温度T1から徐々に低下し、位置Bにおいて温度T2まで冷却される。本実施の形態においては、上述のような微粒化ノズル7の特性を利用して、原料溶液4から晶析成分19を効率よく晶析により分離するようにしている。
図4は、微粒化ノズル7を利用した晶析過程での、原料溶液4内における晶析成分19の濃度C(横軸で示す)と液滴温度T(縦軸で示す)との関連を、溶解度曲線と関連づけて示したグラフである。このグラフには、晶析成分19が原料溶液4内に未飽和状態で溶解している〔未飽和領域〕R1と、晶析成分19が原料溶液4内に過飽和状態で溶解している〔過飽和領域〕R2が存在する。これらの領域の境界は原料溶液4における晶析成分19の溶解度曲線であり、原料溶液4の状態が〔未飽和領域〕R1から溶解度曲線を超えて〔過飽和領域〕R2に遷移すると、原料溶液4内の晶析成分19が液相から固体として析出を開始する晶析現象が発生する。
ここで〔未飽和領域〕R1、〔過飽和領域〕R2にそれぞれ存在するデータ点(A),データ点(B)は、図3(a)における位置A、位置Bにおける原料溶液4の状態に相当する。すなわちデータ点(A),データ点(B)では、それぞれ原料溶液4は粒径D1,D2の微細液滴4aが温度T1,T2、速度V1,V2で流動している状態にあり、微細液滴4a内における晶析成分19はそれぞれ濃度C1,C2の状態で原料溶液4に溶解している。
本実施の形態に示す微粒化ノズル7を用いた晶析過程においては、微細液滴4aとなった微細液滴4aは、〔未飽和領域〕R1に属するデータ点(A)の状態から,〔過飽和領域〕R2に属するデータ点(B)の状態に移行する(矢印f)。この微細液滴4aの状態の変化において、微細液滴4aは温度T1よりもΔT低い温度T2まで冷却される。ここで、温度T2における晶析成分19の原料溶液4に対する飽和濃度は、溶解度曲線によって規定される濃度C3であるが、実際には微細液滴4aはデータ点(B)の状態にあり、濃度C3の晶析成分19が含有されている。すなわち、データ点(B)の状態では、微細液滴4aは飽和濃度を超えた過飽和の状態にあり、過飽和の度合いを示す過飽和度(ここでは実際の濃度を飽和濃度で除した値で定義)は、C2/C3となる。
晶析操作では、固体を結晶として効率よく析出させるためには、晶析の駆動力である過飽和度を極力高めることが求められる。本実施の形態においては、微粒化ノズル7によって原料溶液4を噴射することによって微細液滴4aの粒径Dを微細化するとともに温度Tを低下させるプロセスを用いていることから、従来技術による過飽和状態の生成と比較して、高い過飽和度を実現している。
すなわち単に原料溶液4を冷却する従来技術で、データ点(A)の状態から原料溶液4を温度T2まで冷却(矢印g参照)した場合の濃度C1と比較して、本実施の形態における濃度C2は大幅に高く、高い過飽和度が得られる。さらに本実施の形態においては、原料溶液4が吐出して生成される微細液滴4aは、データ点(B)の状態になる過程において粒径Dが微細化していることから、微細液滴4a内での晶析によって取得される固体粒子は、サイズのばらつきが少ない微細粒子の形で生成される。
以下、晶析装置1を用いて前述構成の原料溶液4を対象として、溶媒に分離対象の成分が溶解状態で含まれる液相からこの成分を固体の形態で析出させて分離する晶析方法について、各図を参照して説明する。
この晶析方法においては、まず原料溶液供給部2の貯液タンク3に収容された原料溶液4を微粒化ノズル7に供給する(溶液供給工程)。ここでは、溶媒として分離対象の晶析成分19を溶解する第1の溶媒18(良溶媒)とこの晶析成分19を予め規定された溶解度を超えて溶解しない第2の溶媒21(貧溶媒)とを混合した混合溶媒を用いる例を示している。
本実施の形態では、分離対象の晶析成分19がフェニトインであり、晶析成分19を溶解する良溶媒である第1の溶媒18としてエタノールを用い、さらにエタノールにフェニトインを溶解した溶液に晶析成分19の貧溶媒である水を加えて、エタノールと水の混合物である混合溶媒に晶析成分19を溶解させた組成の原料溶液4を用いるようにしている。そしてこの溶液供給工程においては、微粒化ノズル7に供給される原料溶液4の温度を、所定温度(ここでは70℃)に調整するようにしている。
本実施の形態においては、エタノールにフェニトインを溶解した溶液に界面活性剤、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(商品名TWEEN80)、以下単に「TWEEN80」と記述する。)を加えて安定させた後に貧溶媒である水と混合し、原料溶液4の微粒化操作前に晶析成分19が板状晶析体として析出沈殿することを防止するようにしている。なお、分離対象の晶析成分19および第1の溶媒18の組み合わせによっては、単に晶析成分19を第1の溶媒18に溶解させた溶液を原料溶液4として供給することも可能である。
次いで、供給された原料溶液4を圧縮気体を用いた微粒化ノズル7によって微細液滴化して噴出させる(液滴噴出工程)。この液滴噴出工程においては、微粒化ノズル7に供給される圧縮気体の圧力を制御することにより、少なくとも微細液滴4aの液滴サイズを含む噴霧条件を調整するようにしている。図5(a)は、この液滴噴出工程において噴出され、図3(a)に示す位置Aに存在する微細液滴4aを示している。すなわちこの微細液滴4aは図4に示す〔未飽和領域〕R1に属するデータ点(A)における状態に対応して、粒径D1、温度T1となっている。
そしてこの微細液滴4aは速度V1から加速されながら下流へ流動し、位置Aから位置Bへ流動する過程においてさらに微細化される。図5(b)は微細液滴4aが、図4に示す〔過飽和領域〕R2に属するデータ点(B)に移動した状態に対応しており、微細液滴4aはD1よりも小さい粒径D2に変化し、温度T2に冷却された状態となっている。この粒径サイズの縮小は、微細液滴4aの流動過程における液滴の分散や液滴内の溶媒の蒸発によって生じ、温度低下は微粒化ノズル7内における断熱膨張によって生じる。
上述の微細液滴4aの状態変化によって、微細液滴4a内における晶析成分19の濃度が上昇するとともに、微細液滴4aが温度T1から温度T2に冷却されることにより、晶析成分19の過飽和度が上昇する。これにより、第1の溶媒18内に液相状態で溶解していた晶析成分19は、第1の溶媒18と第2の溶媒21の界面に固体粒子として析出を開始する。すなわち液滴噴出工程にて、微細液滴4aの温度低下および溶媒の蒸散によって当該微細液滴4a内の第1の溶媒18の液相における晶析成分19の濃度の過飽和度を上昇させて、晶析成分19を固体の形態で析出させる(晶析過程)。
このようにして第1の溶媒18の界面に晶析成分19が析出した状態の微細液滴4aは、微粒化ノズル7の噴射口7bから噴射空間10a内に噴射され、図5(c)に示すように、液滴衝突板11に向かって衝突する(矢印h)。これにより、固体粒子状態の晶析成分19が液滴衝突板11との衝突時の物理的な衝撃によって、より小さい微細粒子に破砕される。
そしてこれらの破砕された晶析成分19を含む微細液滴4aは噴射空間10a内で凝集して液化し、処理済み溶液4*となって下方の回収孔10cを介して回収容器12内に回収される(回収工程)。すなわち上述の実施例では、噴出された微細液滴4aが凝集して液化した処理済み溶液4*を回収する回収工程において、微粒化ノズル7から噴出された微細液滴4aを液滴衝突板11に衝突させた後に回収するようにしている。
この後、回収容器12内の処理済み溶液4*に対して超音波を作用させて、内部で微細気泡を発生させることにより、晶析成分19の固体粒子を均一化する。さらに濃度調整部14によって濃度調整を実行した後の処理済み溶液4*は、再度原料溶液供給部2に戻されて貯液タンク3内に戻し入れされる。そして戻された処理済み溶液4*は微粒化ノズル7によって再度噴射され、前述の晶析過程が複数回反復して実行される。
図6は、フェニトインを晶析成分19として上述の晶析過程を用いた処理を複数回(ここでは処理回数3回)実行した結果をFESEM観察した画像である。この試験例では、分取した観察対象の処理液をポリビニルピロリドンK-30の30wt%水溶液(PVP水溶液)に投入した後に観察対象とした。図6(a)は、未処理の原料溶液4を冷却などの方法によって過飽和にした状態を示している。この例では、原料溶液4からは巨大な針状のフェニトインが析出しており、このままでは所望の粒度の製品として使用できないことが判る。
図6(b)は、前述組成の原料溶液4を対象として微粒化ノズル7を用いた晶析過程を1回実行した結果を示している。この観察例では、フェニトインはPVP水溶液の部分からは析出しておらず、フェニトインが飽和したエタノール溶液が界面活性剤によって囲まれた領域に対応すると考えられる円形形状内部のみで析出している。このため、析出したフェニトインの粒子サイズは上述の円形形状のサイズに対応した小サイズとなっている。
さらに図6(c)は、同一の処理済み溶液4*を対象として上述の晶析過程を3回反復して実行した結果を示している。この観察例では、フェニトインが析出した円形形状のサイズが図6(b)に示す例よりも小さくなり、析出したフェニトインの粒子サイズはさらに微少化している。本実施の形態による例では、上述処理を3回反復することにより、300nm程度の粒子サイズのフェニトイン粒子が得られている。
以下、上述のようにフェニトインを晶析対象とした実施例の詳細について説明する。ここでは、界面活性剤の添加量、エア圧力、溶質濃度、エア温度などの種々の条件を変化させた複数の実施例および晶析結果について説明する。
(実施例1)
ここで述べる実施例1は、本発明における最良の形態と位置づけられるものであり、以下の条件にて実行された晶析処理を示す。すなわち、フェニトインの良溶媒であるエタノール700gに、1.3gのTWEEN80を添加し、70℃に加熱した。このエタノール−TWEEN80溶液にフェニトイン(平均粒径20μm)13gを添加し、フェニトインが溶解したことを確認して再び70℃で一晩保持した。
この後、一晩保持したエタノール−TWEEN80−フェニトイン溶液500mLを分取し、予め70℃に加温した貧溶媒である水500mLを添加したものを原料溶液4とした。そしてこの原料溶液4をロータリーシェイカーで30秒程撹拌し、再び70℃で1時間保持してから晶析操作を行った。晶析条件は、エア圧力を1.4MPa、エア温度を10℃とし、原料溶液温度を70℃、原料供給量を100mL/min.とした。晶析処理後の原料溶液4の温度は2〜3℃であった。
図7は晶析した粒子の電子顕微鏡写真、図8は晶析した粒子の粒径分布である。晶析した粒子は平均粒径が0.31μmのシリンダー状の粒子であり、90体積%以上の粒子がサブミクロンサイズの粒子であった。
(実施例2)
ここでは、TWEEN80の添加量が晶析結果に及ぼす影響を評価した。すなわち、実施例1におけるTWEEN80の添加量をフェニトインの重量に対して1%、3.3%、10%、33%、100%、330%、1000%となるように添加したエタノール−TWEEN80溶液を作製し、その他は実施例1と同じ条件で晶析操作を行った。
図9は横軸をTWEEN80添加量、縦軸を晶析粒子の平均粒径としたグラフである。晶析操作によって得られる晶析粒子の平均粒径には、フェニトインに対するTWEEN80の添加量への依存性があり、より微少な平均粒径を得る上での最適値が存在した。
(実施例3)
ここでは、エア圧力が晶析結果に及ぼす影響を評価した。すなわち、実施例1におけるエア圧力を0.3MPa(噴射速度が亜音速となるエア圧力)とし、その他は実施例1と同じ条件で晶析操作を行った。晶析後の原料溶液4の温度は2〜3℃であった。図10は晶析粒子の電子顕微鏡写真である。エア圧力を1.4MPa(噴射速度が超音速となる領域)とした実施例1に比べて大きな粒子が晶析していた。
(実施例4)
ここでは、良溶媒/貧溶媒比が晶析結果に及ぼす影響を評価した。すなわち、実施例1におけるエタノール−TWEEN80−フェニトイン溶液(良溶媒)と水(貧溶媒)との比(良溶媒/貧溶媒)を、体積比で50/50、70/30、90/10、100/0とし、その他は実施例1と同じ条件で晶析操作を行った。
図11は晶析粒子の電子顕微鏡写真であり、図11(a)、(b)、(c)は、良溶媒/貧溶媒比がそれぞれ50/50、70/30、90/10の場合を示している。原料溶液4中の貧溶媒である水の比が高くなるほど微細な粒子が晶析した。比を100/0とした場合の晶析粒子は巨大な針状粒子であった。
(実施例5)
ここでは、溶質濃度が晶析結果に及ぼす影響を評価した。すなわち、実施例1のエタノール−TWEEN80−フェニトイン溶液におけるフェニトインの濃度を、0.5%、1.5%、6%、TWEEN80の添加量をフェニトインの重量に対して10%とし、エタノール−TWEEN80−フェニトイン溶液と水の比を体積で70/30とし、その他は実施例1と同じ条件で晶析操作を行った。
図12は晶析粒子の電子顕微鏡写真であり、図12(a)、(b)、(c)は、フェニトインの濃度がそれぞれ、0.5%、1.5%、6%の場合を示している。粒子濃度が高くなるにつれて微細な粒子が晶析していた。
(実施例6)
ここでは、エア温度が晶析結果に及ぼす影響を評価した。すなわち、実施例1におけるエア温度を30℃とし、その他は実施例1と同じ条件で晶析操作を行った。晶析後の原料溶液の温度は15℃であった。このときの粒子の平均粒径は0.5μmであった。
(実施例7)
この実施例7は、良溶媒、貧溶媒を別投入することが晶析結果に及ぼす影響を評価するために行われた。すなわち、実施例1においてエタノール−TWEEN80−フェニトイン溶液のみを液供給管より供給し、貧溶媒である水をノズル上流部に別途供給管を設けてエタノール−TWEEN80−フェニトイン溶液と水の比が50/50になるように供給した。この場合の晶析粒子の平均粒径は0.35μmであった。
(比較例1)
さらに比較例として、回分晶析による晶析操作を試行した。ここでは実施例1の原料溶液4を2℃の恒温槽に48時間静置した後に晶析操作を行った。図13は晶析粒子の電子顕微鏡写真である。幅10μm、長さ60μmの板状粒子が晶析していた。
なお本発明において界面活性剤は微細粒子を晶析する上で必要不可欠であるが、実施例2にて示したように、過剰量の界面活性剤は微細化を阻害した。さらに必要に応じて、結晶成長阻害剤を添加してもよい。
本発明では如何なる量の原料溶液4を用意しても、噴射によって必ず平均10μm程度の液滴形状、すなわちマイクロ空間が形成され、すべての液滴を瞬時に低温にすることができる。従って回分式晶析などにみられるスケールアップに伴う冷却速度の低下や温度不均一は発生せず、常に均一な過飽和状態を実現できる。また、エアの供給温度を制御することにより晶析処理後の原料溶液の温度を容易に制御でき、精緻な晶析温度プロファイルを実現できる。
本発明では、貧溶媒を添加することにより微細な粒子を晶析させることができる。またその添加方法は原料溶液として予め混合されていてもよく、各々別系統から噴射しても同等の微細な粒子が得られる。
以上詳述したように、本実施の形態に示す晶析装置および晶析方法では、溶媒に晶析対象となる特定の成分を含有させた原料溶液4を対象として、溶媒に成分が溶解状態で含まれる液相から成分を固体の形態で析出させて分離する晶析過程において、供給された原料溶液4を圧縮気体を用いた微粒化ノズル7によって微細液滴化して噴出させ、噴出された微細液滴4aが凝集して液化した処理済み溶液4*を回収し、微細液滴化における微細液滴4aの温度低下および溶媒の蒸散によって当該微細液滴内の液相における成分の濃度の過飽和度を上昇させて成分を固体の形態で析出させるようにしている。これにより、晶析操作において、微粒化ノズル7によって原料溶液4を噴射して微細液滴化するという単純な操作によって、サブミクロンの有機結晶を低環境負荷かつ低コストで得ることができる。
なお上述実施例では、分離対象の晶析成分19がフェニトインであり、晶析成分19を溶解する良溶媒である第1の溶媒18としてエタノールを用い、さらにエタノールにフェニトインを溶解した溶液に晶析成分19の貧溶媒である水を加えた組成の原料溶液4を対象としているが、本発明は上述組成に限定されるものではなく、過飽和度を駆動力とする晶析操作であれば、分離対象の晶析成分と溶媒との組み合わせは適宜選定することができる。
本発明の晶析装置および晶析方法は、晶析操作において微細サイズの高品質の微細粒子を低環境負荷かつ低コストで製造することができるという効果を有し、溶媒に特定の成分を含有させた原料溶液から分離対象の成分を固体の形態で析出させて分離する分野において有用である。
1 晶析装置
2 原料溶液供給部
3 貯液タンク
4 原料溶液
4a 微細液滴
4* 処理済み溶液
7 微粒化ノズル
7a ノズル本体部
8 エア供給源
10 噴射容器
11 液滴衝突板
12 回収容器
18 第1の溶媒
19 晶析成分
21 第2の溶媒
22a 導入部
22b コンバージェント部
22c スロート部
22d ダイバージェント部
23 液供給管

Claims (14)

  1. 溶媒に特定の成分を含有させた原料溶液を対象として、溶媒に前記成分が溶解状態で含まれる液相から前記成分を固体粒子の形態で析出させる晶析装置であって、
    前記原料溶液を供給する溶液供給手段と、供給された前記原料溶液を微細液滴化して噴出させる微粒化ノズルと、前記噴出された微細液滴を収容する噴射容器と、前記微細液滴が凝集して液化した処理済み溶液を回収する回収部とを備え、
    前記微細液滴化の過程にて微細液滴の温度低下および溶媒の蒸散によって当該微細液滴内の前記液相における前記成分の濃度の過飽和度を上昇させて前記成分を固体の形態で析出させる晶析過程を用い、
    前記微粒化ノズルは、円形断面のスロート部の上流側および下流側に流れ方向に縮径するコンバージェント部および流れ方向に拡径するダイバージェント部がそれぞれ設けられたノズル本体部と、このノズル本体部に上流側から供給される圧縮気体の流れと同方向に前記原料溶液を吐出する液供給管とを有し、前記液供給管の吐出口が前記ノズル本体部の内側壁面から離れた前記スロート部の下流側に配置され、前記圧縮気体が前記スロート部で音速となる特性を有することを特徴とする晶析装置。
  2. 前記供給される圧縮気体の圧力を制御することにより、少なくとも前記微細液滴の液滴サイズを含む噴霧条件を調整する噴霧条件調整手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の晶析装置。
  3. 前記溶液供給手段は、前記微粒化ノズルに供給される原料溶液の温度を調整する液温度調整手段を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の晶析装置。
  4. 前記噴射容器内において前記微粒化ノズルから噴出された微細液滴が衝突する液滴衝突板を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の晶析装置。
  5. 前記回収部内に回収された処理済み溶液に対して超音波を作用させる超音波照射部を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の晶析装置。
  6. 前記回収部内に回収された後に所定の濃度調整が行われた前記処理済み溶液を前記溶液供給手段に戻す液戻し手段を備え、前記晶析過程を複数回反復して実行することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の晶析装置。
  7. 前記溶媒として、前記成分を溶解する良溶媒と前記成分を予め規定された溶解度を超えて溶解しない貧溶媒とを混合した混合溶媒を用いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の晶析装置。
  8. 溶媒に特定の成分を含有させた原料溶液を対象として、溶媒に前記成分が溶解状態で含まれる液相から前記成分を固体粒子の形態で析出させる晶析方法であって、
    前記原料溶液を供給する溶液供給工程と、供給された前記原料溶液を圧縮気体を用いた微粒化ノズルによって微細液滴化して噴出させる液滴噴出工程と、前記噴出された微細液滴が凝集して液化した処理済み溶液を回収する回収工程とを含み、
    前記液滴噴出工程にて微細液滴の温度低下および溶媒の蒸散によって当該微細液滴内の前記液相における前記成分の濃度の過飽和度を上昇させて前記成分を固体の形態で析出させる晶析過程を実行することを特徴とする晶析方法。
  9. 前記液滴噴出工程において前記微粒化ノズルに供給される圧縮気体の圧力を制御することにより、少なくとも前記微細液滴の液滴サイズを含む噴霧条件を調整することを特徴とする請求項8記載の晶析方法。
  10. 前記溶液供給工程において、前記微粒化ノズルに供給される原料溶液の温度を調整することを特徴とする請求項8または9記載の晶析方法。
  11. 前記回収工程において前記微粒化ノズルから噴出された微細液滴を液滴衝突板に衝突させた後に回収することを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の晶析方法。
  12. 前記回収された処理済み溶液に対して超音波を作用させることを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載の晶析方法。
  13. 前記回収された後に所定の濃度調整が行われた前記処理済み溶液に対して、前記晶析過程を複数回反復して実行することを特徴とする請求項8乃至12のいずれかに記載の晶析方法。
  14. 前記溶媒として、前記成分を溶解する良溶媒と前記成分を予め規定された溶解度を超えて溶解しない貧溶媒とを混合した混合溶媒を用いることを特徴とする請求項8乃至13のいずれかに記載の晶析方法。
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