JP2015167733A - 被検体情報取得装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被検体を保持する部材から発生する超音波の多重反射を抑制しながら、超音波探触子の取得信号のS/N比を向上させる保持部材の構成に関する技術を提供する。
【解決手段】開口部を有するベース部材20と、シート部材11と、被検体を保持する網状部材12とを有する保持部材10と、被検体から伝播する音響波を保持部材10を介して受信して電気信号に変換する探触子31と、探触子31を、保持部材10において音響波を受信する撮像領域において走査する走査手段32と、電気信号に基づき被検体の特性情報を取得する処理手段50と、少なくとも探触子31と保持部材10の間に配置された音響整合手段40を備え、保持部材10は、撮像領域外において開口部に固定される被検体情報取得装置を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、被検体情報取得装置に関する。
超音波探触子により生体内に超音波を照射し、生体組織で発生するエコー信号を超音波探触子により受信し、断層画像を再構成する超音波診断装置がある(例えば特許文献1)。超音波を用いた生体組織の診断には、数MHz〜10数MHzの周波数帯が用いられる。生体内部では、超音波が伝播する過程において超音波が減衰する。超音波の減衰は高周波ほど大きく発生する。大きな減衰が起きると、生体の深いところを診断できない。
超音波診断装置において、シート状の膜により生体を保持し、その膜を介して超音波を取得する場合がある。しかしこの場合、超音波探触子の素子面と生体に接する保持膜、あるいは生体表面との間で超音波の多重反射が起こり、取得する信号のS/N比が低下してしまう問題がある。
特開2007−216003号公報
特許文献1は、液体中に配置される超音波探触子と、液体と被検体との接触を防止する超音波透過性の第1の膜と、第1の膜と一体化された網状構造を有する第2の膜からなる構成を開示している。この網状構造の第2の膜が超音波を散乱させるので、超音波の多重反射を防止できる。
しかし特許文献1では、第1の膜と第2の膜が接着剤や真空圧着で固着され一体化し、第1膜と第2膜の間に固着層が存在している。すると固着層により、被検体から伝播する超音波のエコー信号が減衰または反射してしまい、取得する信号のS/N比が低減する課題がある。
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、シート状の部材と網状部材を積層させた保持部材で被検体を保持して音響波を取得する装置において、音響波の多重反射を抑制しながら取得信号のS/N比を向上させるための技術を提供することにある。
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
開口部を有するベース部材と、
シート部材と、被検体を保持する網状部材とを有する保持部材と、
前記被検体から伝播する音響波を前記保持部材を介して受信して電気信号に変換する探触子と、
前記探触子を、前記保持部材において前記音響波を受信する撮像領域において走査する走査手段と、
前記電気信号に基づき前記被検体の特性情報を取得する処理手段と、
少なくとも前記探触子と前記保持部材の間に配置された音響整合手段と、
を備え、
前記保持部材は、前記撮像領域外において前記開口部に固定される
被検体情報取得装置である。
本発明によれば、シート状の部材と網状部材を積層させた保持部材で被検体を保持して音響波を取得する装置において、音響波の多重反射を抑制しながら取得信号のS/N比を向上させることができる。
超音波診断装置の構成の一例を示した模式図。 保持部材の固定関係の一例を示す図。 超音波探触子を別の素子配列としたときの装置構成の模式図。 実施例1に係る保持部材の構成と音響整合手段の一例を示す図。 実施例1に係る保持部材の構成と音響整合手段の別の一例を示す図。 実施例2に係る保持部材の構成と音響整合手段の一例を示す図。 実施例2に係る保持部材の構成と音響整合手段の別の一例を示す図。
以下に図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状およびそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
本発明は、被検体から伝播する音響波を検出し、被検体内部の特性情報を生成し、取得する技術に関する。よって本発明は、音響波測定装置またはその制御方法、あるいは音響波測定方法として捉えられるし、被検体情報取得装置またはその制御方法、あるいは被検体情報取得方法としても捉えられる。本発明はまた、これらの方法をCPU等のハードウェア資源を備える情報処理装置に実行させるプログラムや、そのプログラムを格納した記憶媒体としても捉えられる。
本発明の被検体情報取得装置は、被検体に光(電磁波)を照射し、光音響効果に従って被検体内または被検体表面の特定位置で発生して伝播した音響波を受信(検出)する、光音響トモグラフィー技術を利用した装置を含む。このような被検体情報取得装置は、光音響測定に基づき被検体内部の特性情報を画像データ等の等の形式で得ることから、光音響装置とも呼べる。
光音響装置における特性情報とは、光照射によって生じた音響波の発生源分布、被検体内の初期音圧分布、あるいは初期音圧分布から導かれる光エネルギー吸収密度分布や吸収係数分布、組織を構成する物質の濃度分布を示す。組織を構成する物質とは、例えば、酸素飽和度分布や酸化・還元ヘモグロビン濃度分布などの血液成分、あるいは脂肪、コラーゲン、水分などである。
本発明の被検体情報取得装置にはまた、被検体に音響波を送信し、被検体内部の特定位置で反射した反射波(エコー波)を受信して、特性情報を画像データ等の形式で得る超音波装置を含む。超音波装置における特性情報とは、被検体内部の組織の音響インピーダンスの違う箇所での反射波に基づく、形態情報を反映した情報である。
本発明でいう音響波とは、典型的には超音波であり、音波、音響波と呼ばれる弾性波を含む。光音響効果により発生した音響波のことを、光音響波または光超音波と呼ぶ。探触子により音響波から変換された電気信号を音響信号とも呼ぶ。
以下の記載では、被検体情報取得装置の代表的な例として、受信した超音波を用いて被
検体の診断を行う超音波診断装置について説明する。しかしこのことは、使用する超音波(音響波)の波長、探触子が受信および/または送信可能な波長範囲、装置の使用目的などを限定する趣旨ではない。
<実施例1>
図1は、本発明の実施形態における超音波診断装置の構成の一例を示した模式図である。保持部材10は、音響マッチング液を密封するためのシート部材11と被検体60を保持するための網状部材12によって構成される。保持部材10と筺体20は、保持部材10を筺体20に固定することにより水密構造となっている。
超音波走査ユニット30は、超音波探触子31と走査機構32によって構成される。走査機構32により超音波探触子31を走査させることで、所望の撮像領域から超音波を取得できる。超音波探触子31は、保持部材10を介して被検体60に超音波パルスを入力(送信)し、被検体60で反射し伝播した超音波を受信して電気信号に変換し、演算処理ユニット50に出力する。なお、別途、超音波送信専用の探触子を配置してもよい。
所望の撮像領域は、装置のサイズや構成から必然的に定まる範囲としてあらかじめ設定しても良いし、ユーザインタフェースを介して入力を受け付けても良い。あるいは、走査機構を設けず、所定の範囲を撮影する構成や、体動や装置移動により広範囲を撮影する構成でもよい。探触子の素子が配置された受信面が平面形状の場合、探触子の可動範囲から保持部材への正射影の内部と、素子の感度により規定される範囲内に、撮像領域が設定される。一方、後述するように、素子の感度の高い方向が保持部材に対して角度を持って配置されている場合、撮像領域の最大範囲はその角度と素子感度によって規定される。
なお、音響整合手段40は、保持部材10と超音波探触子31の音響インピーダンスを整合させるために用いられる。
演算処理ユニット50は、超音波探触子31から出力される信号処理や、走査機構32の駆動など装置内の各部位の制御を行う処理装置である。演算処理ユニット50は、入力された電気信号を用いて被検体60内の特性情報を生成し、特性情報に基づいて画像データを生成し、表示部(不図示)にその画像を表示させる。
以下、各構成要素の好適な実施の形態について詳細に説明する。ただし部品の種類や形態は以下の記載に限定されず、発明の目的を達成できるものであれば良い。
保持部材10は、被検体60を圧迫保持するための部材である。保持部材10は、音響マッチング液を密封するためのシート部材11と、被検体60を保持するための網状部材12を積層して構成される。
図2は本実施形態に係る保持部材の固定関係の一例であり、シート部材11と網状部材12を固定する位置関係を示している。シート部材11と網状部材12は、接着剤による固定、溶着、あるいは部材によりクランプする方法など、シート部材と網状部材の固定領域70において水密が保てるのであればどんな方法でも良い。
シート部材11と網状部材12を接着、溶着、部材などにより固定すると、固定界面や固定部材が原因となり、超音波の減衰や反射が生じる可能性がある。その結果、画像が劣化するおそれがある。そのため、シート部材11と網状部材12の全領域を固定するのは好ましくない。
そこで本実施例では、図2に示すように、シート部材11と保持部材12の撮像領域71外の固定領域70を固定する。これにより、撮像領域71における超音波の減衰や反射を低減することができる。
シート部材11は筺体20内の音響マッチング液を水密できるように構成される。超音波がシート部材11を透過する際の減衰を低減するために、シート部材11の厚みは薄いことが好ましく、使用する超音波の波長より短い厚さであることがより好ましい。例えば厚さを0.01mm〜1mmの範囲とすることが好ましい。
また、シート部材11は、被検体60と密着しやすくするために自在に変形することが好ましく、伸縮性のある弾性材料であることが好ましい。さらに被検体60とシート部材11間における超音波の反射を低減するために、被検体60の音響インピーダンスに近い材料であることが好ましい。例えば、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、シリコーンゴムなどが好適である。
網状部材12は被検体60を保持するために構成される。網状部材12は繊維を編みこんだものである。超音波の減衰を低減するために、繊維の径を超音波の波長より短くすることが好ましく、例えばΦ0.01mm〜0.5mmである。網状部材12の開口に対する繊維が占める割合はできるだけ少ないことが好ましく、好適は60%以下であることが好ましい。
網状部材12は、被検体60の保持と音響マッチング液の重さを支持するために引張強度が強い材料であることが好ましく、また、弾性変形率が小さい材料が好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエステルなどが好適である。網状部材12として引張強さが強い材料を用いれば、被検体60を保持した時に被検体60を扁平に近い形状にできる。その結果、被検体の深部まで超音波が到達し、かつ深部からの超音波が受信できるので、良好な診断が可能になる。
網状部材12は、格子状など、繊維間で開口(すき間)を有する離散的な形状に編まれる。そのため、開口のない平面の部材と比べて超音波の垂直な反射成分が少ないので、超音波の多重反射が低減される。網状部材12の編み方は、格子状に限定するものではなく、6角形や8角形など繊維間の開口を有すればどんな編み方をしても良い。
筺体20には、保持部材10を固定するための開口部が設けられる。筺体20の開口部に保持部材10を固定することにより、音響マッチング液を水密にできる水密構造となっている。筐体20は、音響マッチング液を水密したときの音響マッチング液の重量と被検体60を保持した時の荷重に耐える耐荷重があればどんな材料でも良い。例えば、アルミニウムやポリカーボネート等が好適である。筐体20は音響整合手段(音響マッチング液)を密封するとともに、保持部材のベース部材として被検体を支持する。
超音波走査ユニット30は超音波探触子31と走査機構32によって構成される。超音波探触子31は、超音波を送受信して電気信号に変換する素子を1つ以上有する。圧電効果を用いたトランスデューサー、光の共振を用いたトランスデューサー、容量の変化を用いたトランスデューサーなど、超音波を受信して電気信号に変換できれば、どのような素子でも良い。
超音波探触子31に、超音波を送受信する素子を1次元または2次元に複数配列することにより、同時に複数の場所で超音波を受信することができ、受信時間を短縮できる。また必要に応じて、素子から出力されたアナログの電気信号をデジタル化するコンバータや、電気信号を増幅するアンプなどを配置する。
また、図3は超音波探触子31を別の素子配列としたときの装置構成の模式図である。図3の例では、素子を同一平面上ではなく、お椀型のような曲面上に配置している。この場合、超音波探触子31の素子が曲率を有して配置される。これにより、被検体60から発生する超音波の信号が超音波探触子31の素子に対して垂直成分に入射する割合が多く
なるため、素子の角度依存性を低減できる。
走査機構32は、所望する撮像領域の範囲において、超音波探触子31を走査させる機構であれば何を用いても良い。直動の場合はボールねじ、リニアガイド、チェーン、タイミングベルトなどの直動機構で構成される。回動の場合はスラストベアリングやRガイドやクロスローラベアリングの様な回動機構で構成される。装置として所望する動きに応じて直動、回動組み合わせて選択すればよい。動力伝達部は電動でも手動でもどちらでもよい。電動の場合はDCモータやブラシレスモータなどを用いる。手動の場合はハンドルやグリップなど、手の動きを動力に変換するような機構と合わせて使用する。
音響整合手段40は、保持部材10と超音波探触子31の音響整合をとるために充填される。音響整合手段40としては、生体との音響インピーダンスが整合した液体やジェルなどが好適である。保持部材10と超音波探触子31の間の音響整合をとれればどんな手段を用いても良い。例えば、水密容器内に音響マッチング液を充填すればよい。音響マッチング液は、例えば水や油などが好ましい。
演算処理ユニット50には、典型的にはワークステーションなどの処理装置が用いられ、超音波診断装置を動作させるための処理全般を行うために構成される。例えば、所望の撮像領域を超音波探触子31が走査するための走査機構32の制御がある。超音波探触子31が受信し変換した電気信号に対してノイズ低減処理や、画像再構成処理がある。電気信号から特性情報を取得する画像再構成処理には、整相加算など既知の手法を利用できる。
図4は、保持部材の構成と音響整合手段の一例である。図4Aは被検体60を保持していない状態を、図4Bは被検体60を保持した状態を示している。
図4では、被検体60と対面する部材をシート部材11とし、超音波探触子31側に対面する部材を網状部材12としている。保持部材10と筺体20により構成される水密容器には、音響マッチング液41が封入され水密されている。これにより、音響マッチング液41が網目間の開口を通ってシート部材11と網状部材12の間に入り込むので、各部材間が音響整合する。
また、図4Bのように、被検体60がシート部材11を変形させ密着させることにより、両者が音響整合する。より良好な音響整合のために、被検体60あるいはシート部材11に、超音波ジェルや水などの音響整合剤(不図示)を塗布しておくことが好ましい。
なお、シート部材11と網状部材12の構成の順番は図4の構成に限定されない。図5は、保持部材10の構成と音響整合手段の別の一例である。ここでは被検体60と対面する部材を網状部材12とし、超音波探触子31側に対面する部材をシート部材11としている。図4同様に、図5Aは被検体60を保持していない状態を、図5Bは被検体60を保持した状態を示している。
図5の構成の場合、超音波探触子31とシート部材11の音響整合は、水密容器に充填された音響マッチング液41により実現する。また、シート部材11と網状部材12および被検体60の音響整合は、網状部材12と被検体60の間に音響整合剤42を配置することにより行う。音響整合剤42は、網状部材の網目に入り込めるような液体や柔らかいゴムなどが好ましい。例えば、生体に近い音響インピーダンスを有する超音波ジェルやウレタンゴムなどである。
水密容器内への音響マッチング液41の供給および排出は、ポンプ(不図示)を利用し、供給管(不図示)と排出管(不図示)を経路とすることにより行われる。ポンプ(不図
示)により音響マッチング液41の液量を調整し制御することにより、水密容器内を音響マッチング液で充填する。
超音波測定の際には、保持部材10と筺体20が水密となり音響マッチング液41が充填されているかを確認することが好ましい。確認方法として例えば、筺体20内の水圧を筺体に設置した圧力センサ(不図示)により監視する方法がある。また、音響マッチング液41によりシート部材11に作用する荷重を、シート部材11の撮像領域71と固定領域70の間に設置したひずみゲージなどの荷重センサ(不図示)により監視する方法がある。音響マッチング液41が水密容器内に満たされれば、水量による水圧の上昇やシート部材への荷重が発生するため、これらの水密確認方法が有効である。
また、例えば水密容器内の音響マッチング液41が充填を確認した後、さらに音響マッチング液41を供給すると、さらに大きな水圧や荷重が発生する。この状態で被検体60を保持部材10で保持すると、音響マッチング液41の水圧による反力により、保持部材の変形を小さくできる。また、保持部材10により被検体60を保持すると、水密容器内の水圧やシート部材11が受ける荷重が上昇する。このとき、水密容器内の水圧が小さくなるように音響マッチング液41を調整すると、水圧による反力が小さくなるため、保持部材10の変形量を大きくできる。
以上のように、音響マッチング液41の液量を水密容器内の水圧やシート部材11の荷重により調整することで、保持部材10の変形を制御できる。それにより保持部材10と被検体60の密着性が向上するので、被検体60の撮像死角領域を低減できる。
本実施例では上述したように、保持部材10のシート部材11と網状部材12を、超音波探触子31の撮像領域外で固定し、音響整合手段により保持部材10と超音波探触子31を音響的に整合させている。これにより、筐体を水密に保ち、被検体を測定に適した形状で安定的に保持しつつ、超音波探触子31の撮像領域の超音波の減衰や反射を低減できる。
<実施例2>
実施例1では、保持部材10と筺体20からなる水密容器に音響マッチング液41を充填することにより、保持部材11と超音波探触子31の音響整合をとった。本実施例では、超音波探触子31の素子面外に配置されたシール部材で囲まれた空間に音響マッチング液41を充填し、保持部材11と超音波探触子31の音響整合をとる。
図6は実施例2に係る保持部材の構成と音響整合手段の一例である。実施例1と同じ項目については説明を省略する。図6Aは被検体60を保持していない状態を、図6Bは被検体60を保持した状態を示している。
図6では、図4と同様に、保持部材10のうち被検体と対面する部材をシート部材11とし、超音波探触子側に対面する部材を網状部材12としている。保持部材10と超音波探触子31の音響整合は、超音波探触子の素子面外(超音波を受信する素子が並んだ面の周囲)に配置されたシール部材33で音響マッチング液41を保持することによって行う。
超音波探触子31の素子面外に配置されたシール部材33は、超音波探触子31と保持部材10間の音響マッチング液41をシールできればどんな材料や形状でも良い。例えばシリコーンゴムやウレタンゴムなどでできた、OリングやXリング、Uリングなどである。音響マッチング液41を保持するために、押し圧荷重を網状部材12に対し印加し、シール部材を圧縮してつぶすことが好ましい。シール部材12のつぶし量はシール部材の5
%〜30%である。
充填する音響マッチング液41は、実施例1同様にポンプ(不図示)により供給するなど、どんな手段を用いて供給しても良い。また、音響マッチング液41を充填すると気泡が混入する場合がある。この気泡を除去しやすくするために、シール部材33の一部を切り欠く構成としても良い。そして、超音波探触子の受信面と保持部材10に挟まれた空間に音響マッチング液41をポンプ(不図示)により常に供給し、音響マッチング液41をオーバーフローさせることにより、気泡を押し出すことができる。
また、シート部材11と被検体60の音響整合は、実施例1同様に、被検体からシート部材11に対し保持荷重が作用して両者が密着することにより実現できる。また、被検体60とシート部材11の音響整合を良くするために、被検体60あるいはシート部材11に超音波ジェルや水などの音響整合剤(不図示)を塗布することが好ましい。
本実施例の構成では、被検体60の保持荷重によって保持部材10が大きく変形した場合に、音響マッチング液41を、超音波探触子31の素子面、シール部材33、および保持部材10で囲まれた空間に保持することが困難である。従って、保持部材10は被検体60を保持した時でも変形が少ないことが好ましい。
変形量を抑えるための手法の一例を述べる。まず、網状部材12に張力を印加した状態で筺体20に固定し、初期張力を保持させる。次に、シート部材11を網状部材12に重ねて、超音波探触子31の撮像領域71の外で筐体に固定する。この構成であれば、網状部材12の張力によって、被検体の加重がかかったときの保持部材10の変形が抑制される。その結果、保持部材10と超音波探触子31の間の音響マッチング液41がこぼれる量を減らすことができる。
なお、保持部材10のシート部材11と網状部材12の順番は、図6の場合に限定されない。図7は、実施例2に係る保持部材の構成と音響整合手段の別の一例である。被検体60と対面する部材を網状部材12とし、超音波探触子31側に対面する部材をシート部材11としている。図7Aは被検体60を保持していない状態を、図7Bは被検体60を保持した状態を示している。
図7の構成の場合、超音波探触子31とシート部材11の音響整合は、シート部材11を介して網状部材12に被検体からの押し圧荷重を作用させ、シール部材33をつぶすことにより実現できる。その結果、シート部材10と超音波探触子31間の、シール部材33で囲まれた空間に、音響マッチング液41を保持できる。また、シート部材11と網状部材12および被検体60の音響整合は、網状部材12と被検体70の間に音響整合剤42を配置することにより行う。
本実施例では、音響マッチング液41を筺体20全体に封入する必要が無いため、走査機構32の浸水対応の機構設計や筺体内全体の水密設計の必要がなく、機構設計を簡易化できる。また、本実施例の筐体20には音響マッチング液を維持する機能は必要なく、保持部材や被検者を支持するベース部材としての機能があれば良い。そのため、側壁を支柱で代替するなどの簡略化も可能である。
また、超音波は被検体60を伝播するにつれ減衰していくため、保持部材10により被検体60を扁平に圧迫保持できないと、被検体60の深部を良好に診断できない。本実施例では、網状部材12に初期張力を保持することにより被検体60を図6Bのように扁平に圧迫できる。そのため超音波が被検体60を伝播する距離が短くなり、被検体60の深部まで良好に診断できる。
以上、本実施例の構成によっても、保持部材10のシート部材11と網状部材12を撮像領域外で固定し、音響整合手段により保持部材10と超音波探触子31を音響的に整合させることができる。また、シール部材の存在により少ない液量で音響整合が実現できる。したがって、被検体を測定に適した形状で安定的に保持しつつ、超音波探触子31の撮像領域の超音波の減衰や反射を低減できる。
なお、図6および図7では、平面上の素子面にシール部材を配置して音響マッチング液を封入する空間を形成した。しかし探触子の形状はこれに限られない。例えば図3のようなお椀状の探触子に素子を配置し、お椀の内部を液体で満たしても良い。
なお、本発明は、被検者がどのような体位で超音波診断装置を使用していても適用可能である。例えば、被検者がうつ伏せに横たわる伏臥位において、乳房等の被検体を下に垂らす形態や、被検者が座位や立位にあるときに、被検体を上下から挟む形態が可能である。また、被検者が仰向けの状態の仰臥位でも適用可能である。これらの場合でも、開口部に保持部材を支持する筐体(ベース部材)を用いて、好適な測定が可能である。
上記説明では被検体に超音波を送信し、エコー波を受信する装置について説明した。しかし本発明は、被検体に光(好ましくはパルス光)を照射する光源を有し、被検体内部や表面の光吸収体で発生し伝播した光音響波を受信して特性情報を生成する被検体情報取得装置にも適用できる。
以上に示したように、本発明によれば、シート状の部材と網状部材を積層させた保持部材で被検体を保持して音響波を取得する装置において、音響波の多重反射を抑制しながら取得信号のS/N比を向上させることができる。
10:保持部材、11:シート部材、12:網状部材、20:筺体、30:超音波走査ユニット、31:超音波探触子、32:走査機構、40:音響マッチング手段、50:演算処理ユニット、70:固定領域、71:撮像領域

Claims (12)

  1. 開口部を有するベース部材と、
    シート部材と、被検体を保持する網状部材とを有する保持部材と、
    前記被検体から伝播する音響波を前記保持部材を介して受信して電気信号に変換する探触子と、
    前記探触子を、前記保持部材において前記音響波を受信する撮像領域において走査する走査手段と、
    前記電気信号に基づき前記被検体の特性情報を取得する処理手段と、
    少なくとも前記探触子と前記保持部材の間に配置された音響整合手段と、
    を備え、
    前記保持部材は、前記撮像領域外において前記開口部に固定される
    被検体情報取得装置。
  2. 前記ベース部材は、前記シート部材とともに水密容器を構成する筐体であり、
    前記音響整合手段は、前記水密容器に充填された音響マッチング液である
    請求項1に記載の被検体情報取得装置。
  3. 前記音響整合手段は、前記探触子と前記保持部材の間に充填される音響マッチング液である
    請求項1に記載の被検体情報取得装置。
  4. 前記探触子の素子面外に配置され、前記音響マッチング液を保持する空間を形成するシール部材を有する
    請求項3に記載の被検体情報取得装置。
  5. 前記音響マッチング液は、前記シール部材への荷重によって前記空間に保持される
    請求項4に記載の被検体情報取得装置。
  6. 前記網状部材は、張力を印加した状態で前記ベース部材に固定される
    請求項3ないし5のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  7. 前記網状部材は、前記ベース部材に固定され、前記シート部材は、前記撮像領域外で前記網状部材と固定される
    請求項1ないし6のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  8. 前記保持部材は、前記被検体の側に前記シート部材が配置され、前記探触子の側に前記網状部材が配置されたものである
    請求項1ないし7のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  9. 前記保持部材は、前記被検体の側に前記網状部材が配置され、前記探触子の側に前記シート部材が配置されたものである
    請求項1ないし7のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  10. 前記保持部材と前記被検体の間に音響整合剤を備える
    請求項1ないし9のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  11. 前記音響波は、前記探触子から前記被検体に送信されたのち反射したものである
    請求項1ないし10のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  12. 光源を備え、
    前記音響波は、前記光源から光を照射された被検体で発生したものである
    請求項1ないし10のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
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