JP2015165807A - 食道がんを検出するための方法およびプローブ - Google Patents

食道がんを検出するための方法およびプローブ Download PDF

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Abstract

【課題】高度の異形成および食道腺がんまたは低度の異形成を選択的に検出するための、プローブセットならびにプローブおよびプローブセットの使用方法の提供。【解決手段】プローブがサンプルに存在するそれらの核酸標的に特異的にハイブリダイズする条件下で、被験者から得られた生物サンプルを染色体プローブのセットと接触させて、サンプルにおける食道がん腫または前駆体病変を選択的に検出することを含む食道癌をスクリーニングする方法。その後、高度の異形成および食道腺がんまたは低度の異形成の存在または不在は、生物サンプルに対する染色体プローブセットについて検出されたハイブリダイゼーションパターンから特異に決定される食道癌をスクリーニングする方法。【選択図】図1A

Description

2004年には米国で、食道がんの14,250の新症例および約13,300の死亡例が存在するであろうと算定されている。これらの腫瘍の約80%は食道腺がん(EA)であり、残りの20%は偏平上皮がんであろう。EAの全部ではなくても大多数は、バレット食道(BE)、遠位の食道の正常な偏平上皮粘膜の、ゴブレット細胞を含有する分化された腸粘膜への化生によって惹起される新形成前の症状、を有する患者において生じると考えられる。BEは、慢性の胃食道逆流疾患(GERD)、1日当たり2000万人以上の米国人を冒す疾患によって惹起される。慢性GERDを有する人々の6〜14%がBEを発生させるであろう。BEを有する患者におけるEAの出現率は1年当たり約0.5%〜1.0%であると報告されており、そしてBEを有する患者について生涯のがんの危険性は約5%である。
BEを有する患者において食道腺がんへ導く組織学的段階は、次のとおりである:1)正常な層化偏平上皮の腸上皮化生(IM)、2)低度の異形成(LGD)、3)高度の異形成(HGD)および4)EA。BEと診断された患者は、LGD、HGDおよびEAを含む、新形成病変の発達に関して規則的な監視を受けるべきである。EAおよびHGDを有する患者は、遠位の食道切除または最近開発された治療、例えば光力学治療もしくは他の切除技術のいずれかにより積極的に処置されて、転移性および不治の疾病への進行を防がねばならない。LGDを有する患者は、HGDに進行する危険性にあるので、食道切除でなくても規則的な監視を必要とする。EAを有する患者の全5年間の生残は、わずか20%である。BEに関連する新形成を有する患者の生残率における増大が必要であれば、EAの新形成前駆体(すなわち、IM,LGDおよびHGD)の早期かつ正確な検出および処置が要求されるであろう。
組織学的結果は、現在では、患者が異形成および/またはEAを有するか否かを決定するための金の基準と考えられる。食道の規則的な内視鏡検査を実施し、そして罹患した食道の1〜2cm毎の4四分円の生検を得ることによって、BE患者がHGDおよびEAの発生についてモニターされることが現在では推奨される。しかしながら、この勧告は、主として、特に長い分節のBEを有する患者においてこの手法を実施することに要する延長される時間のために、高頻度で従われるものではない。新形成の発生についてバレット患者をモニターするための生検の使用に関する問題は、1)罹患した粘膜の限定されるサンプリング、2)4四分円の生検を1〜2cm毎に採取することの非実用性、および3)LGDおよびHGDの診断についての病理学者の乏しい観察者間の再現性を含む。1cm毎の4四分円の生検を利用する内視鏡監視は、罹患した粘膜の約1〜2%をサンプリングするのみであると評価されている。この限定されたサンプリングは、誤りの陰性病理結果または低い段階決定(under−staging)(例えば、HGDまたはEAを有する患者においてIMまたはLGDのみを示す病理結果)をもたらすかもしれない。かくして、LGD+IM+正常からHGDおよびEAを区別するため、および正常+IM患者からLGDを区別するための改良された方法および組成物へのニーズが存在する。
本発明の目的は、被験者における食道がん腫または前駆体病変についてスクリーニングする方法を提供することである。本方法は、食道がん腫または前駆体病変に関連する染色体異常を検出するためのインサイチューハイブリダイゼーションの使用を伴う。この方法では、標識された核酸プローブのセットがサンプルにおける食道細胞にハイブリダイズされて、サンプルにおける食道がん腫および/または前駆体病変が選択的に検出される。次いで、プローブのハイブリダイゼーションパターンが調査され、その後、食道がん腫およ
び/または前駆体病変の存在または不在と相関させられる。
本発明のさらなる目的は、本発明の方法における使用のための核酸プローブのセットを提供することである。プローブのセットは、生物サンプルにおける食道がん腫および/または前駆体病変を選択的に検出する能力を特徴とする。本セットは、低度の異形成(LGD)または高度の異形成(HGD)および食道腺がん(EA)に関連する染色体異常を担持する標的領域に対して相補的な染色体プローブを含む。個々の多プローブセットは、LGD、HGDおよびEAを検出するだけでなく、また、LGD+正常+IMからHGD+EAを,そして正常+IMからLGDを区別するために使用されてもよい。
本発明とともに使用するための適当なプローブは、遺伝子座に特異的な同定(identifier)プローブおよび染色体列挙(enumeration)プローブを含む。本発明のプローブセットは、8q24.12−13座特異的プローブ、7p12座特異的プローブ、17q11.2−12座特異的プローブ、20q13座特異的プローブ、染色体9列挙プローブ、染色体7列挙プローブ、5q21−22座特異的プローブ、5p15座特異的プローブ、17p13.1座特異的プローブ、染色体17列挙プローブおよび9p21座特異的プローブからなる群から選ばれる染色体プローブを含んでもよい。プローブセットは、染色体Y列挙プローブをさらに含んでもよい。
本発明のプローブセット内の個々のプローブの組み合わせ物は、本発明の方法において使用される場合、組み合わされた感受性(sensitivity)および特異性(specificity)のために選ばれるべきである。感受性、特異性および検出性に基づいて互いに補足するプローブであるように、食道がん腫および/または異形成に関連する最高頻度の染色体喪失(loss)または獲得(gain)を検出する染色体プローブが選ばれるべきである。本発明において、LGDの同定のために選ばれるプローブセットは、多くとも約0.7であるDFI値を有するであろう。HGD+EAの同定のために選ばれるプローブセットは、多くとも約0.5であるDFI値を有するであろう。いずれの場合でも、0.5未満のDFI値は、通常、なお一層良好な結果を提供するが、一方、多くとも約0.35のDFI値は、通常、なお一層良好な結果を提供する。
本発明は、個々の多プローブセットが高い感受性および特異性により食道がん腫または前駆体病変を検出することができるという発見に一部基づいている。本発明は、低度の異形成(LGD)、高度の異形成(HGD)または食道腺がん(EA)における染色体異常を担持する標的領域に対して相補的な染色体プローブを含む、そのようなプローブセットの使用のための組成物および方法を含む。本発明の個々の多プローブセットは、個々のプローブよりも高い感受性および特異性を提供し、したがって、各セット内のプローブは、そのセット内に含有される各個々のプローブよりも食道がん腫または前駆体病変の良好な指標を集合的に含む。本発明のプローブセットは、異形成および/または腺がんの正確な判別を提供する。本発明前には、高い感受性と特異性により食道腺がんまたは前駆体病変を選択的に検出する能力を有するプローブセットは報告されていなかった。
本発明は、また、個々の多プローブセットがLGD、HGDおよびEAを検出するだけでなく、また、LGD+IM+正常からHGDおよびEAを,ならびにIMおよび正常からLGDを区別するために使用されてもよい。本発明の方法およびプローブセットは、EAおよび/またはその新形成前駆体の早期かつ正確な検出を可能にする。判別は、適当な処置を決定し、そして不治の状態への疾病の進行を防ぐための重要な道具である(参照、発明の背景)。
本発明の文脈上、用語「食道がん腫」は、粘膜内がん腫および食道腺がんまたは食道が
んを含むことが意図される。用語「前駆体病変(precusor lesion)」は、組織学的分析によって決定されるような、低度および高度の異形成を含むことga意図される。用語「標的領域」または「核酸標的」は、特定の染色体の場所の喪失または獲得が食道がん腫および/または前駆体病変の存在の指標である場所に存在するヌクレオチド配列を指す。「標的領域」または「核酸標的」は、本発明のプローブによって特異的に認識され、そして本発明の方法において同プローブにハイブリダイズしなければならない。
染色体プローブ
本発明のプローブは、インサイチューハイブリダイゼーション技術、またはより好ましくは蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)技術とともに使用されるべきであり、この方法は当該技術分野において周知である。この技術では、標識された核酸プローブは、食道がん腫および/または前駆体病変の存在または不在の同定が望まれる生物サンプルにおいて、それらのそれぞれ相補的核酸標的にインサイチューでハイブリダイズされる。次いで、サンプル中のプローブの続いての検出が、被験者における異形成またはがんの臨床的診断と相関される。
用語「染色体プローブ」または「染色体プローブ組成物」は、染色体の領域に特異的にハイブリダイズする能力をもつポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの混合物を意味すると意図される。またプローブ標的とも言われる染色体領域は、プローブからプローブまでの長さにおいて変化してもよく、数千ヌクレオチドくらい小さいプローブ標的が検出されるけれども、典型的には約70,000ヌクレオチドから約800,000ヌクレオチドまでにわたり、そして反復配列標的を含む若干のプローブ標的は数メガ塩基の大きさにわたってもよい。染色体プローブは、しばしば、長さ約50〜約1,000ヌクレオチドの大きさにわたるポリヌクレオチドフラグメントからなり、そして興味ある領域を特異的に検出するそれらの能力によってのみ限定される。遺伝子座に特異的なプローブ標的は、好ましくは、少なくとも100,000ヌクレオチドを含む。本発明の染色体プローブは、検出を可能にする個々の部分と組み合わされるか、または会合されている。
本発明とともに使用するための適当なプローブは、座特異的同定プローブおよび染色体列挙プローブを含む。インサイチューハイブリダイゼーションのための座特異的プローブは、遺伝子異常がEAおよび/または異形成と相関される特異的な非反復遺伝子座を認識し、かつそれに結合する。プローブは、エクソン、イントロン、および/または標的領域の遺伝子発現もしくは遺伝子産物のプロセシングを制御する調節配列を含む、コーディングまたは非コーディング領域、またはその両方を標的としてもよい。特定の遺伝子座の標的化が所望される場合は、標的遺伝子の全長に沿ってハイブリダイズするプローブが、必ずしも要求されないが好適である。対照の細胞に較べて特定のサンプルの細胞では、プローブに対するシグナル数の増加または減少が、対応する領域についての獲得または喪失をそれぞれ指示する。必ずしも要求されないが、座特異的プローブは、遺伝子異常が食道がん腫または異形成と相関させられるがん遺伝子または腫瘍サプレッサー遺伝子を含んでもよい。そのような座を含んでなる領域にハイブリダイズするプローブは、例えば、8q24.12−13、9p21、17q11.2−12および20q13を含み、これらはそれぞれ、C−MYC、P16(腫瘍サプレッサー遺伝子)、HER2(がん遺伝子)およびZNF217(また、がん遺伝子)にハイブリダイズする。本発明の他の座特異的プローブは、例えば、17p13.1(p53)座特異的プローブ、7p12(EGFR)座特異的プローブ、5q21−22(APC)座特異的プローブおよび5p15座特異的プローブを含んでもよい。
染色体列挙プローブは、細胞における特定の染色体の数を列挙することができるすべてのプローブである。染色体列挙プローブは、特定の染色体の動原体の近傍領域(「ペリ−セントロメア」と呼ばれる)または動原体、典型的には反復DNA配列を、典型的に認識
し、かつ結合する。動原体領域の喪失は、ほとんど常に完全な動原体の喪失をもたらすので、この場合には染色体の列挙が可能である。特定の染色体領域の欠失または増幅は、それが正常には内在している染色体全体の喪失または獲得(異数染色体性(aneusomy))から、特定の座に対応するシグナル数(コピー数)を対応する動原体のFISHシグナル数に対して較べることによって判別することができる。この比較を実施する1つの方法は、動原体を表すシグナル数によって座を表すシグナル数を割ることである。1未満の比率は座の欠失を示し、そして1を超える比率は座の獲得を示す。同様に、比較は、同じ染色体における2つの異なる座の間で、例えば、その染色体の2つの異なる腕において実施されて、染色体内の不均衡な獲得または喪失を指示することができる。染色体の動原体プローブの代わりに、当業者は、染色体の腕プローブが、染色体全体の喪失または獲得を推測するために替わりに使用されてもよいことを認識できる。しかしながら、そのようなプローブのシグナルの喪失が完全な染色体の喪失を必ずしも示さないかもしれないので、そのようなプローブは染色体の列挙において正確ではない。染色体列挙プローブの例は、Vysis,Inc.,Downers Grove,ILから市販されているCEP(R)プローブ(例えば、CEP12およびX/Yプローブ)を含む。
本発明のプローブセットは、8q24.12−13座特異的プローブ、7p12座特異的プローブ、17q11.2−12座特異的プローブ、20q13座特異的プローブ、染色体9の列挙プローブ、染色体7の染色体列挙プローブ、5q21−22座特異的プローブ、5p15座特異的プローブ、17p13.1座特異的プローブ、染色体17の染色体列挙プローブおよび9p21座特異的プローブからなる群から選ばれる染色体プローブを含んでもよい。プローブセットは、染色体Yの染色体列挙プローブをさらに含んでもよい。好適な実施態様では、本セットは、20q13座特異的プローブ、17q11.2−12座特異的プローブ、9p21座特異的プローブおよび8q24.12−13座特異的プローブを含んでもよい。
IM+正常からLGDを区別することができるプローブセットにおいて共通して現れる個々のプローブは、染色体7の染色体列挙プローブ、Y染色体の染色体列挙プローブおよび9p21座特異的プローブを含む。LGD+正常+IMからHGDおよびEAを区別することができるプローブセットにおいて共通して現れる個々のプローブは、5p15座特異的プローブ、8q24.12−13座特異的プローブ、7p12座特異的プローブ、5q21−22座特異的プローブ、9p21座特異的プローブ、染色体17の染色体列挙プローブ、染色体9列挙プローブ、17p13.1座特異的プローブ、17q11.2−12座特異的プローブおよび20q13座特異的プローブを含む。
IM+正常からLGDを検出し、そして/またはLGDを区別することができるプローブセットは、a)9p21座特異的プローブ;b)染色体9の染色体列挙プローブ;およびc)染色体7の染色体列挙プローブを含んでもよい。このセットは、a)9p21座特異的プローブ;b)染色体7の染色体列挙プローブ;およびc)5q21−22座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)9p21座特異的プローブ;b)染色体7の染色体列挙プローブ;およびc)5p15座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)17q11.2−12座特異的プローブ;b)9p21座特異的プローブ;およびc)染色体7の染色体列挙プローブを含んでもよい。このセットは、a)20q13座特異的プローブ;b)9p21座特異的プローブ;およびc)染色体7の染色体列挙プローブを含んでもよい。このセットは、a)9p21座特異的プローブ;b)7p12座特異的プローブ;およびc)染色体7の染色体列挙プローブを含んでもよい。このセットは、a)9p21座特異的プローブ;b)染色体17の染色体列挙プローブ;およびc)染色体7の染色体列挙プローブを含んでもよい。このセットは、a)9p21座特異的プローブ;b)染色体7の染色体列挙プローブ;およびc)染色体9の染色体列挙プローブを含んでもよい。このセットは、a)17p13.1座特異的プローブ;b)9p21座
特異的プローブ;およびc)染色体7の染色体列挙プローブを含んでもよい。このセットは、a)8q24.12−13座特異的プローブ;b)9p21座特異的プローブ;およびc)染色体7の染色体列挙プローブを含んでもよい。IMからLGDを検出し、そして/またはLGDを区別することができるセットのいずれも、Y染色体の染色体列挙プローブをさらに含んでもよい。
LGD+IM+正常からHGD/EAを検出し、そして/またはHGD/EAを区別することができるプローブセットは、a)20q13座特異的プローブ;b)染色体9の染色体列挙プローブ;c)7p12座特異的プローブ;およびd)5q21−22座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)17p13.1座特異的プローブ;b)染色体9の染色体列挙プローブ;c)17q11.2−12座特異的プローブ;およびd)5p15座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)17p13.1座特異的プローブ;b)20q13座特異的プローブ;c)17q11.2−12座特異的プローブ;およびd)5p15座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)染色体9の染色体列挙プローブ;b)8q24.12−13座特異的プローブ;c)7p12座特異的プローブ;およびd)5q21−22座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)染色体9の染色体列挙プローブ;b)7p12座特異的プローブ;c)5p15座特異的プローブ;およびd)5q21−22座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)17p13.1座特異的プローブ;b)17q11.2−12座特異的プローブ;c)5p15座特異的プローブ;およびd)5q21−22座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)17p13.1座特異的プローブ;b)20q13座特異的プローブ;c)17q11.2−12座特異的プローブ;およびd)9p21座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)17p13.1座特異的プローブ;b)17q11.2−12座特異的プローブ;c)染色体17の染色体列挙プローブ;およびd)5p15座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)17p13.1座特異的プローブ;b)17q11.2−12座特異的プローブ;c)8q24.12−13座特異的プローブ;およびd)5p15座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)17p13.1座特異的プローブ;b)17q11.2−12座特異的プローブ;c)7p12座特異的プローブ;およびd)5p15座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)17p13.1座特異的プローブ;b)17q11.2−12座特異的プローブ;c)染色体7の染色体列挙プローブ;およびd)5p15座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)20q13座特異的プローブ;b)17q11.2−12座特異的プローブ;c)8q24.12−13座特異的プローブ;およびd)5p15座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)20q13座特異的プローブ;b)17q11.2−12座特異的プローブ;c)9p21座特異的プローブ;およびd)8q24.12−13座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)17p13.1座特異的プローブ;b)20q13座特異的プローブ;c)17q11.2−12座特異的プローブ;およびd)9p21座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)20q13座特異的プローブ;b)17q11.2−12座特異的プローブ;c)7p12座特異的プローブ;およびd)5p15座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)20q13座特異的プローブ;b)17q11.2−12座特異的プローブ;c)染色体7の染色体列挙プローブ;およびd)5p15座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)20q13座特異的プローブ;b)7p12座特異的プローブ;c)5q21−22座特異的プローブ;およびd)5p15座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)17p13.1座特異的プローブ;b)染色体17の染色体列挙プローブ;c)17q11.2−12座特異的プローブ;およびd)5p15座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)染色体17プローブ;b)20q13座特異的プローブ;c)17q11.2−12座特異的プローブ;およびd)9p21座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)17p13.1座特異的プローブ;b)17q11.2−12座特異的プローブ;c)9p21座特異的プローブ;および
d)5p15座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)20q13座特異的プローブ;b)17q11.2−12座特異的プローブ;およびc)5p15座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)20q13座特異的プローブ;b)17q11.2−12座特異的プローブ;c)5p15座特異的プローブ;およびd)Y染色体の染色体列挙プローブを含んでもよい。このセットは、a)20q13座特異的プローブ;b)17q11.2−12座特異的プローブ;c)染色体17の染色体列挙プローブ;およびd)9p21座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)20q13座特異的プローブ;b)17q11.2−12座特異的プローブ;c)9p21座特異的プローブ;およびd)染色体9の染色体列挙プローブを含んでもよい。このセットは、a)20q13座特異的プローブ;b)17q11.2−12座特異的プローブ;c)9p21座特異的プローブ;およびd)5q21−22座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)17p13.1座特異的プローブ;b)20q13座特異的プローブ;c)染色体17の染色体列挙プローブ;およびd)5p15座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)20q13座特異的プローブ;b)17q11.2−12座特異的プローブ;c)染色体17の染色体列挙プローブ;およびd)5p15座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)20q13座特異的プローブ;b)17q11.2−12座特異的プローブ;c)5q21−22座特異的プローブ;およびd)5p15座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)17q11.2−12座特異的プローブ;b)17p13.1座特異的プローブ;c)染色体17の染色体列挙プローブ;d)9p21座特異的プローブ;およびe)8q24.12−13座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)17q11.2−12座特異的プローブ;b)染色体9の染色体列挙プローブ;c)5q21−22座特異的プローブ;およびd)5p15座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)染色体17の染色体列挙プローブ;b)17q11.2−12座特異的プローブ;およびc)5p15座特異的プローブを含んでもよい。このセットは、a)染色体17の染色体列挙プローブ;b)17q11.2−12座特異的プローブ;c)5p15座特異的プローブ;およびd)Y染色体の染色体列挙プローブを含んでもよい。
染色体列挙プローブおよび座特異的同定プローブは、Vysis,Inc.(Downers Grove,IL)、Molecular Probes,Inc.(Eugene,OR)またはCytocell(Oxfordshire,UK)から市販品を得ることができる。そのようなプローブはまた、当該技術分野において既知である標準技術を用いて製造することができる。染色体プローブは、例えば、ペプチド核酸(PNA)から、またはヒトDNA配列の挿入物を含有する、プラスミド、細菌の人工染色体(BAC)およびP1人工染色体(PAC)のようなクローン化ヒトDNAから製造されてもよい。関心のある領域は、PCR増幅またはクローニングを介して得られてもよい。あるいはまた、染色体プローブは、合成により製造されてもよい。
本発明のプローブの検出は、セット内の各プローブがハイブリダイゼーションにより互いに区別されれば、当該技術分野において既知である多数の方法のいかなるものによっても達成することができる。標識含有部分が、直接または間接的に染色体プローブと会合されてもよい。用語「標識含有部分」または「検出部分」は、一般に、その標的に対するハイブリダイゼーションによりそのプローブの検出を可能にさせる、直接的でも間接的でも、染色体プローブと会合される分子基を指す。種々の標識含有部分は、各ハイブリダイズされるプローブが検出において肉眼的に他と区別できるように、特定のセット内の各個々のプローブについて選択されなければならない。好ましくは、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)が使用され、そして染色体プローブが明瞭な蛍光標識含有部分により標識される。蛍光団、特定の波長における照射により蛍光を発する有機分子は、染色体プローブに直接結合されてもよい。直接標識のFISHプローブは、それらが非直接標識のプローブよりも少ない処理時間しか要しないので、好適である。また、存在す
る蛍光団の全くの数が、同じサンプル内の多数の異なるプローブの可視化を容易にさせる。多数の蛍光団が、脂肪族アミン基を含有するDNAの標識を容易に受け入れる反応性形態物において市販されている。
核酸プローブに対する蛍光団の結合は、当該技術分野において周知であり、そしていかなる利用可能な手段によって達成されてもよい。蛍光団は、例えば、特定のヌクレオチドに共有結合で結合されてもよく、そして標識されたヌクレオチドは、ニックトランスレーション、ランダムプライミングおよびPCR標識化のような標準技術を用いてプローブ中に組み入れられる。あるいはまた、蛍光団は、アミノ基転移されたプローブのデオキシシチジンヌクレオチドに対してリンカーを介して共有結合されてもよい。プローブの標識方法は、米国特許第5,491,224号およびMolecular Cytogenetics:Protocols and Applications(2002),Y.−S.Fan,Ed.,Chapter 2,”Labeling Fluorescence in Situ Hybridization Probes for Genomic Targets,”L.Morrison et al.,p.21−40,Humana Pressにおいて記述されており、この両引用文献は引用によって本明細書に組み入れられている。
本発明とともに使用できる蛍光団は、例えば、7−アミノ−4−メチルクマリン−3−酢酸(AMCA)、TEXAS RED(Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR);5−(および−6)−カルボキシ−X−ローダミン、リサミン(lissamine)ローダミンB、5−(および−6)−カルボキシフルオレセイン;フルオレセイン−5−イソチオシアネート(FITC);7−ジエチルアミノクマリン−3−カルボン酸、テトラメチルローダミン−5−(および−6)−イソチオシアネート;5−(および−6)−カルボキシテトラメチルローダミン;7−ヒドロキシクマリン−3−カルボン酸;6−[フルオレセイン5−(および−6)−カルボキサミド]ヘキサン酸;N−(4,4−ジフルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4aジアザ−3−インダセンプロピオン酸;エオシン−5−イソチオシアネート;エリスロシン−5−イソチオシアネート;5−(および−6)−カルボキシローダミン6G;およびCASCADEブルーエクチラジド(aectylazide)(Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR)を含む。
当業者は、他の発光剤または染料が、標識含有部分として蛍光団の代わりに使用されてもよい。使用されてもよい他の発光剤は、例えば、放射発光、化学発光、生物発光およびリン光性標識含有部分を含む。あるいはまた、染色体プローブのインサイチューハイブリダイゼーションは、間接的な手段によって可視化される検出部分の使用を用いてもよい。プローブは、当該技術分野において既知の日常的方法を用いてビオチンまたはジゴキシゲニンにより標識され、次いで検出のためにさらに処理されてもよい。ビオチン含有プローブの可視化は、検出可能なマーカーに共役されたアビジンの続いての結合を介して達成できる。検出可能なマーカー蛍光団であってもよく、この場合には、プローブの可視化および判別はFISHについて上記のように達成されてもよい。標的領域にハイブリダイズされる染色体プローブは、また、不溶性の発色生成物の生成について、適当な基質と標識部分の酵素的反応によって可視化されてもよい。各プローブは、明確な標識部分の選択によってセット内の他のプローブと区別されてもよい。セット内のビオチン含有プローブは、アルカリホスファターゼ(AP)または西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ(HRP)および適当な基質に共役されたアビジンを用いる、続いてのインキュベーションを介して検出されてもよい。リン酸5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルおよびニトロブルーテトラゾリウム(NBT)は、アルカリホスファターゼのための基質として働くが、一方、ジアミノベンジジンはHRPの基質として働く。
蛍光団標識されたプローブまたはプローブ組成物が利用される実施態様では、検出方法は、蛍光顕微鏡法、流動細胞計測法、またはプローブハイブリダイゼーションを決定するための他の手段を伴ってもよい。すべての適当な顕微画像法が、多数の蛍光団を観察するために本発明の方法とともに使用されてもよい。蛍光顕微鏡法が使用される場合には、ハイブリダイズされたサンプルが、各蛍光団の励起のために適当な光線下、かつ適当なフィルターの使用により観察されてもよい。または、自動デジタル画像システム、例えばMetaSystemまたはApplied Imaging Systemが使用されてもよい。
本発明のいかなるプローブセットも、本発明の方法の実行において使用できる、他の試薬、場合によっては指示書とともに、キットとして包装されてもよい。有用なキットは、8q24.12−13座特異的プローブ、7p12座特異的プローブ、17q11.2−12座特異的プローブ、20q13座特異的プローブ、染色体9の染色体列挙プローブ、染色体7の染色体列挙プローブ、5q21−22座特異的プローブ、5p15座特異的プローブ、17p13.1座特異的プローブ、染色体17の染色体列挙プローブおよび9p21座特異的プローブからなる群から選ばれる染色体プローブを含んでなる1組以上のプローブセットを含んでもよい。本セットは、Y染色体の染色体列挙プローブをさらに含んでもよい。
インサイチュー・ハイブリダイゼーション
用語「インサイチュー」は、生物サンプル由来の細胞の染色体が、互いに関して染色体の実質的な崩壊または移転なしに、核から露出され、そして標識された染色体プローブに接近可能になることを意味すると意図される。「ハイブリダイゼーション」または「ハイブリダイズする」は、プローブと標的領域との間の特異的なハイブリッドの形成を指すことを意図している。典型的には、ハイブリッドは、一方が核酸標的を含み、他方がプローブの標識されたDNA核酸配列である、相補的な相対する一本鎖からなる二本鎖のらせん状形態部分を含む分子である。用語「インサイチュー・ハイブリダイゼーション」は、細胞学的または組織学的調製物または標本を含んでなる生物サンプル内に存在する標的に対するプローブのハイブリダイゼーションを意味すると意図される。インサイチュー・ハイブリダイゼーションにおいて、ハイブリッドはプローブと標的との間に形成される。「インサイチュー・ハイブリダイゼーション」は、ハイブリダイゼーション前および標的へのプローブのハイブリダイゼーション後のハイブリッドまたはプローブの検出前の変性を含んでもよい。生物学的標本は、スライド表面上に層として接着することができ、そして生物サンプルは、例えば、変性条件下、またはプローブ検出手順において典型的に遭遇されるような条件下で、それらの形態を維持するように処理される個々の染色体または染色体領域を含んでもよい。
プローブ選択法
本発明の方法における使用のためのプローブセットは、実施例に記述される原理を用いて選ぶことができる。プローブセット内の染色体プローブの組み合わせ物は、関心のある食道がん腫および異形成に関する感受性、特異性および検出性について選ばれる。
感受性は、それが存在する場合の疾病(例えば、LGD、HGDまたはEA)を検出するための試験(例えば、FISH)の性能を指す。より正確には、感受性は、真の陽性/(真の陽性+偽の(false)陰性)として定義される。高い感受性をもつ試験は、ほとんど偽陰性の結果を有しないが、一方低い感受性をもつ試験は多くの偽陰性結果を有する。他方、特異性は、疾病が存在しない場合に陰性結果を与える試験(例えば、FISH)の性能を指す。より正確には、特異性は、真の陰性/(真の陰性+偽の(false)陽性)として定義される。高い特異性をもつ試験は、ほとんど偽陽性の結果を有しないが、一方低い特異性をもつ試験は多くの偽陽性結果を有する。
一般に、LGDおよび/またはHGD+EAの検出のための最高の組み合わせ感受性および特異性をもつ染色体プローブセットが選ばれる。プローブの組み合わせ感受性および特異性は、パラメーターの理想からの距離(parameter distance from ideal)(DFI)によって表すことができる。DFI値は、0〜1.414の範囲であり、0は100%感受性と100%特異性を有するプローブセットを表し、そして1.414は0%感受性と0%特異性を有するプローブセットを表す。本発明では、LGDの同定のために選ばれるプローブセットは、多くとも約0.7であるDFI値を有するであろう。本発明では、HGD+EAの同定のために選ばれるプローブセットは、多くとも約0.5であるDFI値を有するであろう。約0.5未満のDFI値は、通常、なお良好な結果を与える。約0.35未満のDFI値は、通常、なお良好な結果を与える。
ヒトの観察者によって(そしてコンピューターに助けられる画像技術によらない)観察されるべきセット内のプローブ数は、ハイブリダイゼーションにおいて肉眼的に判別できるシグナルを与える独特な蛍光団の数によって限定される。例えば、現在では、単一のプローブセットにおいて4種以上の独特な蛍光団(ヒトの眼に対して赤色、緑色、水色および金色シグナルとして現れる)を有することは困難である。これが重要である理由は、アッセイの感受性が一般にセット内のプローブ数の増加とともに増加するからである。しかしながら、感受性における増大は、より多くのプローブの添加とともに次第に小さくなり、そしてある時点においてプローブセットへのさらなるプローブの包含は、アッセイの感受性における有意な増大と関連されない(「利益の減少」)。また、プローブセットにおける多数のプローブの包含は、アッセイの特異性を増大する能力を有することも注目されるべきである。これらの理由のために、この数が所望される検出の感受性と特異性を提供するので、本発明のプローブセットは、好ましくは、3種または好ましくは4種の染色体プローブを含む。
個々のプローブは、セット内の他のプローブを補足するそれらの能力に基づいて、本発明のプローブセットにおける包含のために選ばれるべきである。各プローブは、他のプローブが以前に同定しそこなった食道がん腫または前駆体病変のマーカーを同定しなければならない。どのプローブが互いに補足するかを決定する1つの方法は、1群の腫瘍標本において最低のDFI値をもつ単一のプローブを最初に同定することである。次いで、さらなるプローブが、最初のプローブが同定しそこなった腫瘍サンプルにおいて試験され、そして最低のDFI値をもつプローブがセットに追加されてもよい。次いで、これが、所望されるDFI値をもつ染色体プローブの完全なセットが達成されるまで、繰り返されてもよい。
判別分析は、どのプローブがEAおよびその前駆体病変を最良に検出できるかを決定するために使用することができる1つの方法である。この方法は、正常な標本のような対照標本に比較された場合、個々のプローブが、試験標本(例えば、LGD、HGDおよびEA)において異常細胞の統計学的差異パーセントを検出することができるか否かを調査する。染色体(または遺伝子座)の獲得または染色体(または遺伝子座)の喪失をもつ細胞の検出は、両方とも、LGD、HGDまたはEAを有するバレット食道患者における新形成細胞を同定するために使用することができる。しかしながら、染色体の喪失は、ランダムなシグナルの重複および/または低いハイブリダイゼーションに因って、時々、正常細胞における人工物として生じる。その結果、染色体獲得は、多くは、新形成細胞の存在の一層信頼できる指標である。
個々の染色体獲得および喪失のカットオフ(cutoff)値は、プローブセットを選ぶ場合に決定されなければならない。用語「カットオフ値」は、作成されるべき陽性決定
のためのセット内の特定のプローブまたはプローブの組み合わせ物について、遺伝的異常(すなわち、標的領域の喪失または獲得)を有する集団における細胞の絶対数またはパーセンテージのいずれかを意味すると意図される。特定のプローブについて喪失または獲得を担持している標本における細胞の数がカットオフ値よりも高い場合には、サンプルは、評価しうる病状(例えば、LGD、HGDまたはEA)について陽性であると決定される。
プローブは、EAおよびその前駆体病変を検出するそれらの能力については簡単に選択することができる。しかしながら、これらの病変を集合的に検出するのみならず、互いのものを区別する能力(例えば、HGD+EAとLGDを区別する能力)は、潜在的な臨床上の利用性を有する。この目的のために、分析は、IMおよび正常標本からLGD標本を、そしてLGD、IMおよび正常標本からHGDおよびEAを区別するための種々のプローブセットのDFI値を決定するために実施される。
食道の異形成および/またはがん腫に関する患者のスクリーニングおよび診断
この方法は、最初に、食道がん腫または前駆体病変を有すると疑われる被験者から食道細胞を含む生物サンプルを得ることを含む。次いで、サンプルが、サンプルに存在するそれらの核酸標的にプローブを特異的にハイブリダイズさせる条件下で、染色体プローブのセットと接触されて、何かあれば、サンプルにおける食道がん腫または前駆体病変が選択的に検出される。本セットのプローブは、画像化された(imaged)各ハイブリダイゼーションの結果、取り去られた(stripped)プローブ、および残っているプローブとその後にハイブリダイズされるサンプルにより、一回にまたは連続的にハイブリダイズされてもよい。また、多数のプローブセットがこの方式でサンプルにハイブリダイズされてもよい。染色体プローブのセットは、該セットが、生物サンプルにおける食道がん腫または前駆体病変を選択的に検出できるように選ばれる。本発明のすべてのプローブセットが本方法とともに使用することができる。本方法は、生物サンプルに対する染色体プローブのセットのハイブリダイゼーションパターンを検出することを含み、この場合、ハイブリダイゼーションパターンが被験者における食道がん腫または前駆体病変の存在または不在について指示する。好適な実施態様では、ハイブリダイゼーションパターンは先に記述されたようなFISHを介して検出される。
用語「生物サンプル」または「標本」は、食道細胞を含むサンプルを意味すると意図される。生物サンプルは、さらに、慢性胃食道逆流疾患、強皮症、食道腺がん、食道切除前、バレット食道または食道粘膜異常を有すると診断された被験者から得られてもよい。生物サンプルは、近位、中央または遠位の食道から得られてもよい。
生物サンプルは、当該技術分野におけるいかなる多数の方法を用いても得ることができる。通常は、食道の粘膜層が、十分な標本が得られるようにn−アセチル−システインのような粘膜溶解剤により食道粘膜から除去される必要があるであろう。食道の細胞を含む生物サンプルの例は、生検、細胞学的標本および切除標本から得られるものを含む。細胞学的標本は、内視鏡擦過標本またはバルーン(balloon)細胞学的標本であってもよい。生物標本はまた、パラフィン中に包埋され、そして本発明の方法において切片化されてもよい。典型的には、一旦得られた生物サンプルは、ハーベスト(harvest)され、そして当該技術分野において既知の標準的方法を用いてハイブリダイゼーション前に処理される。そのような処理は、典型的には、酸アルコール溶液、酸アセトン溶液またはアルデヒド溶液、例えばホルムアルデヒドおよびグルタルアルデヒドにおける固定を含む。3:1比のメタノール:氷酢酸が典型的には使用される。細胞はハイブリダイゼーション前に所望の密度まで濃縮されてもよい。
プローブをそれらの核酸標的に特異的にハイブリダイズさせる条件は、一般に、特異的
ハイブリッドを生成するための特定のハイブリダイゼーション手法において使用できる条件の組み合わせ物を含み、この条件は当業者によって容易に決定することができる。そのような条件は、典型的には、制御された温度、液相および染色体プローブと標的との接触を必要とする。ハイブリダイゼーション条件は、プローブ濃度、標的の長さ、標的とプローブのG−C含量、ハイブリダイゼーションバッファーの塩濃度、溶媒組成、温度、およびインキュベーション時間を含む、多くのファクターに依存して変わる。少なくとも1つの変性段階は、標的とプローブの接触を進めるであろう。あるいはまた、プローブと核酸標的の両方が、生物サンプルとプローブのその後の接触とともに、変性条件にかけられてもよい。ハイブリダイゼーションは、例えば、2〜4x食塩クエン酸ナトリウム(SSC)とホルムアルデヒドの約50:50容量比の混合液の液相において、範囲約25〜約55℃の温度で、具体的には範囲約0.5〜約96時間である時間、またはより好ましくは、範囲約32〜約40℃の温度で、範囲約2〜約16時間の間、プローブ/サンプルの続いてのインキュベーションにより達成されてもよい。特異性を増大するために、ブロッキング作用物、例えば、内容が引用によって本明細書に組み入れられている米国特許第5,756,696号に記述される無標識のブロッキング核酸の使用が、本発明の方法とともに使用されてもよい。他の条件は、当業者にとって容易に明らかであるように、サンプル中に存在する核酸標的へのプローブの特異的なハイブリダイゼーションのために容易に使用することができる。
適当なインキュベーション時間の終了時に、サンプルDNAに非特異的に結合された染色体プローブは一連の洗浄によって除去されてもよい。温度および塩濃度は所望のストリンジェンシーのために適当に選ばれる。要求されるストリンジェンシーのレベルは、ゲノム配列に関連される特異的なプローブ配列のコンプレキシティーに依存し、そして既知のゲノム組成物のサンプルに対して整然とハイブリダイズするプローブによって決定されるであろう。一般に、高いストリンジェンシー洗浄は、約0.2x〜約2xSSCおよび約0.1%〜約1%の非イオン性洗剤、例えばNonidet P−40(NP−40)により、範囲約65〜約80℃の温度で実施されてもよい。より低いストリンジェンシー洗浄が要求される場合、洗浄は増加された塩濃度により比較的低い温度で実施されてもよい。
FISHハイブリダイゼーションが実施された後、スライドは適当なフィルターを備えた蛍光顕微鏡により調査されて、新形成の診断と一致する染色体の異常を有する細胞(本発明では、LGD、HGDまたはEAと一致する染色体の異常を有する細胞の存在を指す)がスライド上に存在するか否かが決定される。この顕微鏡分析は、1)明らかに新形成ではない細胞、例えば炎症性細胞を除いて、ある数の連続する細胞(例えば、50または100個の細胞)におけるシグナルパターンを列挙するか、あるいは2)細胞が新形成であることを示唆する細胞学的特色(例えば、核の伸長、核の不規則性または斑状のクロマチン染色)を有する細胞についてスライドを走査し、そしてまさにそれらの細胞におけるシグナルパターンを列挙するか、いずれかによって実施することができる。これらの方法の各々は長所と短所を有し、そして2つの組み合わせが、時には要求されるであろう。
その事例が異常性について陽性であるか否かを知るために、ある種の異常性を含有する細胞の正確なパーセンテージが決定されねばならない場合には、連続する細胞を数える第1の技術が必要であろう。例えば、同型接合体または半接合体9p21喪失を示す事例が、LGDについて実際に陽性であるか否かを決定するためには、異常性を示す細胞のパーセンテージを知らなければならないであろう。また、新形成細胞が、LGDに関する事例であるような、有意な細胞学的異常性を現さない場合に、第1の技術が必要である。連続する細胞を数える最初の技術の欠点は、それが相当の時間を費し、したがって、それが比較的少数の細胞(例えば、50または100個の細胞)を数えるためにのみ実際的であることである。これに関する問題は、スライド上にはしばしば数千の細胞が存在し、時には
、細胞の総数の非常に小部分のみが実際に腫瘍細胞であることである。結果的に、第1の技術を用いることによって、限定されたサンプリングによる偽陰性結果の危険性がある。
幸いに、多数の細胞を迅速に調べることを可能にする走査技術(技術ナンバー2)は、限定されたサンプリングによる偽陰性結果の回避を助けるために使用することができる。この技術(内容が引用によって本明細書に組み入れられている米国特許第6,174,681号において開示されている)は、新形成についての必ずしも絶対的な診断ではないけれども、疑わしい細胞の特徴を有する細胞について、スライド、通常は全スライドを可視的に走査することによって実施される。走査は、スライド上の各顕微鏡視野を観察しながら、新形成を示唆する核の異常を有する細胞についてのみかなり迅速に調査することによって実施される。走査をする人は、スライド上の全視野の調査を試みるが、細胞が異常な細胞学的特徴を有しなければ、視野中の細胞のシグナルパターンを評価する時間を費さない。(DAPIによって見られる細胞学的特徴が、細胞が新形成であることを示唆する場合に、FISHがなお必要である理由が時には求められる。その理由は、特徴が示唆されるが、それらが必ずしも新形成の絶対的な診断ではないからである。)先に注目されたように、走査は、新形成の診断と一致する染色体の異常を有すると見られる細胞の一般に少部分に絞られる列挙を可能にする。走査はより速い分析を可能にし、そして陽性の結果が誤れない可能性を増大する。一般にDAPI(4,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール ジヒドロクロリド)核対比染色とともに実施されながらの走査は、また、他の対比染色、例えばヨウ化プロピジウム(propidium)により実施することができる。典型的には約0.4μg/ml〜約5μg/mlの濃度で使用されるヨウ化プロピジウムは、614nmの発光最大波長で観察できる赤色蛍光性のDNA特異的染料である。典型的には約125ng/ml〜約1000ng/mlの濃度で使用されるDAPIは、452nmの発光最大波長で観察できる青色蛍光性のDNA特異的染料である。染色体プローブのセットのハイブリダイゼーションパターンは、染色体の喪失および/または獲得の調査のために選ばれた細胞について検出され、記録される。ハイブリダイゼーションは、染色体プローブの各々によって生成される特定のシグナルの存在または不在によって検出される。用語「ハイブリダイゼーションパターン」は、前述の2つの技術の1つによるそのような調査について選ばれたそれらの細胞の各プローブシグナルの染色体ハイブリダイゼーションシグナルの数の定量を指すと意図される。各プローブに対してハイブリダイゼーションを示す領域数によって査定されながら、各細胞内の標的領域の数が決定されると、関連した染色体の獲得および/または喪失が定量できる。常染色体にハイブリダイズするプローブでは、1細胞当たり2個以上のプローブシグナルは獲得とみなされ、一方、2個未満は喪失とみなされる。Y染色体の染色体列挙プローブでは、男性において1細胞当たり1個以上のプローブシグナルは獲得とみなされ、一方、1細胞当たり1個未満のプローブシグナルは喪失とみなされる。獲得および/または喪失をもつ細胞(異常細胞)のパーセンテージが、各遺伝子座について記録される。試験された座の全てに関して異常細胞のパーセンテージがその座についてカットオフ値を超える場合は、サンプルは異常性(例えば、LGD、HGDまたはEA)について陽性とみなされてもよい。
分析を実施する人が、走査によって調査された全細胞の正確な数(しばしば数千において)の軌跡を保存しないので、走査技術により異常を示す細胞の正確なパーセンテージを決定することは不可能である。しかしながら、探査されている細胞(すなわち、顕著な染色体の異常性、例えば、多染色体性を示す細胞)は、スライド上に存在する細胞の総数と無関係な現存する新形成の可視的診断であるので、走査技術によりスライド上で観察される細胞の正確な数を知る必要はない。言い換えれば、走査技術を使用する場合、事例が新形成について陽性または陰性であるかを決定するために使用されるそれは、異常性を示す細胞のパーセンテージよりむしろ異常性を示す細胞の絶対数である。われわれのグループまたは他のグループの従来の研究は、4個くらいの少ない多染色性をもつ細胞(スライド上の正常と思われる細胞の総数とは無関係な)(すなわち、2種以上のプローブについて
獲得を示す細胞)が、異常性について陽性である事例と確信をもって呼ぶのに十分であることを例証した(参照、Sokolova IA,et al.,J.Molecular Diagnostics,2000)。
先に注目されたように、単一プローブセット中の多数のプローブの包含は、単一プローブにより得られる以上にアッセイの感受性を増大する。しかしながら、この感受性の増大は、多数のプローブのいずれかが偽陽性の結果を与える機会が増加するので、特異性の喪失を伴うことがある。高い特異性を維持するために、単一遺伝子座の異常を示す細胞についての厳格なカットオフ基準を開発することができる。例えば、異常性について陽性の事例と呼ぶためには、細胞の少なくとも30%が同型接合体9p21の喪失を示さねばならないと規定することができる。さらに、単一のプローブについてこれらのカットオフを超えない事例では、細胞が異常であるとみなすためには、2種以上の座が同じ細胞内で獲得または喪失を表示することが規定でき、次いで標本が陽性であるか否かを確定するために適当なカットオフが適用される。例えば、獲得が食道の悪性腫瘍または前駆体病変を指示する場合には、例えば、サンプルが少なくとも2個以上の標的領域の獲得を示す少なくとも4個の細胞を含有するならば、サンプルは陽性であるとみなすことができる(参照、Sokolova IA,et al.,J.Molecular Diagnostics,2000)。
より具体的には、例えば、標本が次に示す基準を満たせば、それらは陽性とみなされた:
・ 細胞の≧13%が半接合体および/または同型接合体9p21喪失を示す(低度の異形成の診断とほとんど一致)。
・ 細胞の≧4%が8q24の獲得を示す(高度の異形成/腺がんの診断とほとんど一致)。
・ 細胞の≧8%が17q11の獲得を示す(高度の異形成/腺がんの診断とほとんど一致)。
・ 細胞の≧12%が20q13の獲得を示す(高度の異形成/腺がんの診断とほとんど一致)。より好適な実施態様では、細胞の≧16%が20q13の獲得を示す(高度の異形成/腺がんの診断とほとんど一致)。
・ 細胞の≧3%が多染色体性を示す(高度の異形成/腺がんの診断とほとんど一致)。
上記の数およびプローブは単なる例にすぎない。当業者は、より低いか、より高いレベルの感受性および特異性が、実施される特定のアッセイのために使用される基準およびプローブセットに応じてもち得ることを理解するであろう。例えば、「多染色体」をもつ細胞の最大パーセンテージ(例えば、≧5%)が異常性のカットオフとして利用される場合には、より低い感受性だが、より高い特異性が得ることができる。
実施例
プローブ選択
FISHプローブセット
FISHは3種のユニーク・プローブセットを用いて実施された。各プローブセットは、BE関連の新形成を有する患者においてしばしば変化されることが示されている染色体の動原体または特定の座に対する、4種の染色体列挙プローブ(CEP(R))または座特異的同定物(identifier)(LSI(R))を含有した(表1)。CEP7、CEP9およびCEP17プローブは、それらの染色体(例えば、染色体9における9p21)における対応するLSIプローブの対立遺伝子の獲得または喪失またはそれらの染色体の異数染色体性(aneusomy)を決定するために包含された。
Figure 2015165807
LSI(R)5q21−22(APC)プローブを除けば、LSI(R)およびCEP(R)プローブは、SpectrumOrangeTMで標識されて、Vysis,Inc.(Downers Grove,IL,www.vysis.com)から市販されている。SpectrumOrangeTM標識の代わりに、核酸出発材料はアミノ交換され、次いで、TEXAS RED(赤色)、6−[フルオレセイン5−(および−6)−カルボキサミド]ヘキサン酸(緑色)、7−ジエチルアミノクマリン−3−カルボン酸(水色)および5−(および−6)−カルボキシローダミン6G(金色)を用いて化学的に標識された。アミノ交換反応および標識方法は、引用によって本明細書に組み入れられた、Bittner,et al.,米国特許第5,491,224号に記述されている。
LSI(R)5q21−22(APC)プローブは、2種のBACクローン(Invitrogenから得られる同定番号RPCI11−60p20およびRPCI11−141i11)から作成された。コンティーグのサイズは約246kbであり、そしてAPC遺伝子はコンティーグのほぼ中心に置かれた。プローブはアミノ交換され、そして上記のように標識された。
研究集団
インスチチューショナル・レビュー・ボード(Institutional review Board(IRB))の承認がこの研究のために得られ、そしてインフォームド・コンセントがすべての登録された患者から得られた。研究は、2002年から2003年までにthe Mayo Clinic,Rochesterにおいて遭遇された174人の患者を含んだ。患者が、既に同定された病変の証明されたBEか、または研究に入る時点で病変の証明されたBEを有する場合に、彼らは研究に登録された。年令31〜87才にわたる17人の女性および153人の男性が研究された。
標本および病変の発見
細胞擦過標本は、n−アセチル−システインの噴霧により最初に粘膜層を除去した後、IM、BE関連新形成の疑われる場所、または既に診断されたBEの場所の表面上を胃腸シース・ブラシ(Hobbs Medical Inc.,Stafford Springs,Connecticut)で掃くことによって得られた。ブラシは直ちにPreservCyt(R) Solution(Cytyc Corporation,Boxborough,MA)を含有するビンに容れられ、そして処理のためにFISH研究所に送付された。
3種のプローブセットの少なくとも1つのために50細胞を超える、列挙のために十分な数の細胞を含有した内視鏡擦過標本についての病変知見は、174標本の170において列挙することができ、次のとおりであった:正常(N=34)、IM(N=28)、LGD(N=24)、HGD(N=67)およびEA(N=17)。多くの生検または粘膜内切除(EMR)により、擦過時点で1個以上の病変結果を有した標本は、観察された組
織学的類目のもっとも進行した類目にしたがって類別された(例えば、患者が、1つはIMであり、他方はHGDであった2つの生検を有した場合は、標本はHGD類に入れられた)。
FISH分析のための細胞の単離
標本は収集の72時間内に処理された。3:1メタノール:氷酢酸固定液の10mlを用いて4回、ブラシを洗浄し、そしてこの混合液を50ml三角遠心チューブに移すことによって、細胞がブラシから除去された。次いで、細胞は800xgで8分間の遠心によって沈降された。上澄液を除き、細胞ペレットは3:1メタノール:氷酢酸溶液の10ml中に再懸濁された。細胞懸濁液は次いで300xgで8分間遠心された。次いで、細胞ペレットの量に応じて、上澄液のすべてだが約50〜150μlが除去された。次いで、細胞ペレットは弱く回転することによって再懸濁され、そしてさらなる使用のために−4℃で保存された。
FISH分析のためのスライドの調製
細胞懸濁液の一部(通常約10〜50μl)がミクロピペッターを用いて3個のウェル(3種のプローブセットの各々について1ウェル)上に滴下された。セルラリティ(cellularity)(すなわち、ウェル中の細胞密度)は位相差顕微鏡を用いて調査された。セルラリティが低すぎる場合は、細胞ペレットのさらなる部分が、所望のセルラリティ(すなわち、最小の細胞重複をもつ1スポット当たり最大数の細胞)が達成されるまでウェルに添加されるか、または細胞ペレットが排出された。
FISHハイブリダイゼーション
FISHは次の様式で実施された:スライドが2X標準食塩クエン酸塩(SSC)において37℃13分間、10mMHCl中0.05mg/mlペプシンにおいて37℃14分間、リン酸塩緩衝食塩水(PBS)において室温(RT)で5分間、1%ホルムアルデヒドにおいてRTで5分間、そしてPBSにおいてRTで5分間インキュベートされた。次いで、スライドは、RTの70%、85%および100%エタノール溶液中に各2分間置かれ、そして風乾された。この前処理後、適当なプローブ混合液の5μl(1.5μlプローブ、3.5μl LSI/WCPハイブリダイゼーションバッファー)が指定された場所に適用された。次いで、スライドはカバースリップを施され、カバースリップの端がゴムセメントで密封され、そしてVysis HYBriteTM Denaturation/Hybridization Systemに置かれ、ここで、プローブと標的DNAが73℃で3分間同時に変性され、次いで、37℃で約15時間インキュベートされた。一夜のハイブリダイゼーション後、スライドは2XSSC/0.1%NP−40中で73℃40秒間洗浄され、そして2XSSC/0.1%NP−40中室温で数分間洗浄された。次いで、DAPIIの10μl対比染色が各ハイブリダイズされた場所に適用され、そしてスライドがカバースリップを施された。
FISHシグナルの列挙
スライドは、FITC/Texas Redのための二重通過フィルターとともに、DAPI対比染色、Spectrum Aqua(R)およびSpectrum Gold(R)のための単帯通過フィルターを備えたエピ蛍光(epi−fluorescence)顕微鏡により分析された。FISHシグナルの列挙は、患者の臨床学的または組織学的知見の知識なしに実施された。標本は、50〜100個の連続する非炎症性、非偏平上皮細胞における各プローブについてのシグナル数をカウントし、記録することによって分析された。偏平上皮細胞は、他の細胞タイプが存在しなかった副次的場合についてのみ列挙された。細胞を重複して数えないように注意が払われた。可能であれば1ハイブリダイゼーション当たり100個の細胞が列挙された。少なくとも50個の細胞の列挙が、データ分析に含まれる事例について要求された。
列挙データの分析
1標本当たり分析される50〜100細胞の各々が、常染色体における11の座に関して、座の正常な相補物(complement)(2つのFISHシグナル)、座の獲得(2つを超えるFISHシグナル)または座の喪失(2つ未満のFISHシグナル)を有するとして分類された。CEP Yでは、動原体配列の1つのコピーは正常であり、2つ以上のシグナルは獲得を示し、そしてゼロシグナルは喪失を示した。同じ染色体における多数の座(例えば、CEP17、17p13.1および17q11.2−12)では、また、その他に関して1つの座の相対的な獲得または喪失が、各細胞について記録された。1つの座の相対的な獲得は、1つを超える第2の座のFISHシグナルに対するその座におけるFISHシグナルの比によって指示された。相対的な喪失では、比は1未満であった。獲得および喪失をもつ細胞のパーセンテージは、各標本における各座について一覧表にされ、そして細胞パーセンテージの平均値(x)および標準偏差(s)が、列挙のために不十分なシグナル特性の標本を除いて、各診断群(正常、IM、LGD、HGD、EA;参照、表2および3)について計算された。
Figure 2015165807
(x1−x22/(s1 2+s2 2)[式中、x1およびs1は,IM、異形成またはがん群の1つを指し、そしてx2およびs2は、正常標本の群を指す]として定義される判別値(DV)は、座の獲得または喪失が、LGD、HGDまたはEAのいずれかを有する患者の群からのサンプルと、これらの異常の1つを表さない患者の群(すなわち、患者のIMおよび正常群)からのサンプルとの間を、区別する能力の測定値として使用された。比較的大きいDV値は、患者の2群の間を区別する比較的大きい能力を示した。判別のその他の測定値として、Studentのt検定が、2つの異なる標本群の異常細胞のパーセンテージに応用されて、差異が統計的に有意である(確率<0.05は有意とみなされる)か否かを決定した。
感受性および特異性は、12の座の各々について獲得または喪失を示す細胞のパーセンテージに対してカットオフを適用することによって計算された。標本は、それぞれ獲得または喪失をもつ細胞のパーセンテージがその座についてカットオフを超えた場合には、座の獲得または喪失について陽性とみなされた。特定の診断をもつ標本を検出する感受性は
、陽性であった群における標本の分数(fraction)に等しい。カウントするために十分な性質のFISHシグナルをもつ少なくとも50個の細胞を提供しない標本は計算から除外された。対照群に対する特異性は、1マイナス同じ基準を用いて陽性であった対照群の標本(偽陽性)の分数として計算された。プローブの組み合わせ物では、カットオフは各標的化された座に対して独立に適用された。プローブ組み合わせ物によって標的化された座のいずれかがそれぞれのカットオフについて陽性であった場合は、標本は陽性とみなされた。パラメーター「理想からの距離(DFI)」は、両感受性および特異性を組み入れており、各プローブまたはプローブの組み合わせ物の相対性能を調査するために使用された。DFIは[(1−感受性)2+(1−特異性)21/2として定義される。DFIは、100%感受性および100%特異性の性能をもつアッセイでは0であり、そして0%特異性および0%感受性をもつアッセイでは1.414に増加する。
プローブの補足は、カットオフ値の全範囲にわたって、4プローブの組み合わせ物までのすべての可能なプローブ組み合わせ物について感受性、特異性およびDFI値を計算することによって評価された。判別分析(表4)において0.05未満のp−値を与えるプローブのみが、これらの計算において利用されて、低DFI値がランダムな事象の組み合わせからもたらされる可能性を低下させ、そして計算時間を低減させた。1%の増加量における0と100%異常細胞との間のカットオフ値が、各単一プローブについて計算された。組み合わせ物における各プローブは異なる最適カットオフ値を有するので、カットオフ値は、特定の組み合わせ物における各プローブについて独立に変化された。0および100%および1%増加細胞の間のカットオフ値の独立した変化は、プローブ組み合わせ物について実用的ではなかったので、各座および各診断群における異常細胞の平均パーセンテージの標準偏差に基づくカットオフが最初に計算された。カットオフ値はx+n*sとして作成され、式中、xおよびsは、対照標本群における特定の座についての平均値および標準偏差であり(LGDについてのxおよびsはEA+HGDを判別するために使用され、そしてIMについてのxおよびsはLGDを判別するために使用された)、そしてnは典型的には0.2の増加量における−1〜5の範囲の乗数である。プローブ組み合わせ物では、カットオフは,組み合わせ物中の各プローブ個々にについて独立のxおよびsを用いるが、nの同じ値を用いて計算された。この手法は、対照群における異常性のレベルおよび偏差の度合に基づき各プローブに対して調節されたカットオフ値を提供した。第1の近似値に対して、xにおけるカットオフ値およびsの共通乗数を基礎とすることは、カットオフ値の特定のセットのための組み合わせ物における各プローブについて対照群に対して類似の特異性を確立する(対照群内の異常細胞のパーセンテージの正規分布を仮定して)。各カットオフまたはカットオフ値のセットにおけるプローブおよびプローブ組み合わせ物は、より良好な性能を同定するために最低から最高DFIまで分類された。最高性能のプローブ組み合わせ物のための最適カットオフ値(最低DFI値)は、対照標本群のxおよびsを用いて確立された最適カットオフに隣接する1%異常細胞増加量におけるカットオフ値を変えることによってさらに改善された。
eceiver perator haracteristics(ROC)グラフは、試験されたカットオフ値の範囲にわたる特定のプローブまたはプローブ組み合わせ物について感受性対1−特異性をプロットすることによって生成された(上記参照)。プローブ組み合わせ物において独立に変えられたカットオフ値は、各特異性値について多数の感受性値を生成するので、各特異性値における最高の感受性値のみがプロットされて、各特異性についてのカットオフ値の最適組み合わせ物を表した。プローブまたはプローブ組み合わせ物の相対性能は、曲線下面積(より大きい面積によって示されるより良好な性能)によるか、またはグラフ上の点(0,1)に対する最接近距離(100%特異性、100%感受性)によってこれらの曲線から調査することができる。点(0,1)に対する曲線上のすべての点の距離がDFI値に等しく、そしてより低いDFI値をもつプローブ組み合わせ物は、より高いDFI値をもつそれらよりも良好に働くことに注目。最低D
FI値に関連する細胞カットオフ値は、次に、より低いDFI値が、感受性および特異性の相対的な臨床的重要性を考慮した後に選ばれてもよいあるものをもつ、ROC曲線上の点を通じる最適カットオフを設定するための基礎として使用することができる。例えば、若干高い感受性であるがより低い特異性をもつ曲線上の点は、医学的必要性に応じて、より低い感受性およびより高い特異性を有する曲線上のその他の点の上に選ばれてもよい。
結果
判別分析
LGD、HGDおよびEAを有する患者の群とこれらの異常性有しない患者(すなわち、「正常」またはIMの診断を有する患者)とを判別する各FISHプローブの能力は、各組織学的類目内の異常(非二染色体性)細胞の度数を比較することによって最初に試験された。表2は、評価された標本数(N)、獲得または喪失をもつ細胞の平均パーセントおよび正常な標本群内の各座および座の比について獲得または喪失をもつ細胞のパーセンテージの標準偏差を列挙している。平均値および標準偏差は、組織学的類目の各々について計算されたが、簡潔のために、HGDについての値のみが表3では列挙されている。また、表3は、DVおよびp−値、HGDと正常標本とを区別する特定のプローブまたはプローブ比率の能力を反映する量を列挙している。組織学的群のすべてについてのDVおよびp−値が正常標本群に対して比較され、そして表4に列挙されている。DVおよびp−値は、より低いp−値がより高いDVを伴った点で一致した。DVおよびp−値についての表4におけるNAの記入は、診断群の平均値が正常群のそれよりも低かったことを示す。
Figure 2015165807
Figure 2015165807
表4に挙げられたp−値は、染色体7および17動原体の獲得が、正常標本よりもIM標本において有意に高い細胞のパーセンテージで生じることを示している。さらに、9p21座の喪失は、正常標本よりもIM標本について有意に高い細胞のパーセンテージにお
いて生じる。LGD標本では、1細胞当たりのシグナル数によるか、またはCEP9シグナルの数に対する比によるかいずれかによって測定される9p21座の喪失は有意であった。IM標本に較べてLGD標本のより低いp−値および高いDVは、9p21座の喪失が、IM標本よりもLGD標本を、より良好に正常標本と区別できることを示している。5p15座の獲得は、正常標本群よりもLGD標本群において、有意に、より共通していた。
CEP Yおよび9p21/CEP9および17p13.1/CEP17の比を除いて、正常群に較べて有意に高い獲得を示すすべての個々の座または座の比とともに、異常な座の数は、IMまたはLGD標本のいずれよりもHGD標本についてかなり多かった(表3および4)。有意に高いレベルの喪失は、5p15、5q21−22、9p21、17p13.1、CEP Y,5p15/5q21−22、7p12/CEP7、9p21/CEP9および17p13.1/CEP17について明白であった。
HGD標本と同様に、17p13.1、CEP Y、7p12/CEP7、9p21/CEP9および17p13.1/CEP17を除く試験されたすべての座および座の比を含む、多くのEA標本(表4)は、正常標本に較べて獲得をもつ細胞の有意に増大したパーセンテージを示した。喪失をもつ細胞の有意に増大したパーセンテージは、5q21−22、9p21、CEP Y、9p21/CEP9および17p13.1/CEP17について見出された。
異常性対組織学的進行
図1Aおよび1Bは、各組織学的類目について各座または座の比で獲得または喪失をそれぞれ表す細胞の平均パーセンテージを示す。特定の座または座の比では、座の獲得をもつ細胞の平均パーセンテージは、通常、正常からEAへの進行とともに増加し、最大の増加はLGDからHGDへ、およびHGDからEAへの移行において起きた。この傾向からの唯一の明らかな解離は、CEP Yおよび比9p/CEP9と17p/CEP17の獲得であった。CEP Yの獲得を示す細胞数の最大の増加は、正常からIMへの移行において起きたが、獲得のレベルは、9p/CEP9と17p/CEP17比の組織ステージに対してはかなり鈍感であった。
座の獲得をもつ細胞のパーセンテージにおけるもっとも顕著な増加は、LGDからHGDへの移行において生じた。これは、5p15、CEP7、7p12、8q24、CEP9、CEP17、17q、20q、5p/5qおよび17q/17pについて事実であった。9p21、17p、7p/CEP7および17q/CEP17では、獲得を示す細胞のパーセントにおけるもっとも顕著な増加はHGDからEAへの進行とともにきたが、一方、CEP Yは,正常からIMへの移行において最大の増加を示す唯一の座であった。
9p21、17p、CEP Y,9p/CEP9および17p/CEP17のみが、正常からEAへの組織学的類目の進行とともに喪失レベルの最大増加を明確に示した。9p21およびその対CEP9比では、これらの異常を示す細胞のパーセンテージにおける最大の増加は、IMからLGDへの移行において観察されたが、17p、17p/CEP17およびCEP Yでは、最大の増加はLGDからHGDへの移行においてあった。
単一プローブの感受性、特異性およびDFI値
感受性、特異性およびDFI値が、カットオフ値の範囲にわたって個々のプローブについて計算された。組み合わされたEAとHGD群対正常〜LGD群では、最良のDFI値(すなわち、最低のDFI値)は、CEP Yの喪失ならびに8q24.12−13、17q11.2−12、CEP17、7p12および20q13の獲得について得られた。これらのプローブでは、CEP Yの喪失、ならびに8q24.12−13、7p12お
よび20q13の獲得は、それがLGDからHGDへの移行に関係しているように、単一プローブの性能を調査する種々の方法によって首尾一貫して同定された。さらに、17q11.2−12、17q11.2−12/CEP17および17q11.2−12/17p12の獲得はすべて、種々の分析方法によって高く位置付けられた。
LGD群対組み合わされた正常とIM群についての同様な分析は、9p21、9p21/CEP9、5p15、CEP YおよびCEP17についての最良のDFI値(すなわち、最低のDFI値)、ならびに8q24.12−13および20q13の獲得を現した。これらのプローブでは、9p21および9p21/CEP9、およびより低い程度まで5p15が、それがIMからLGDへの移行に関係しているように、単一プローブの性能を調査する種々の方法によって首尾一貫して同定された。
補足分析
どのプローブが組み合わせにおいて最良に働くかを決定するために、補足分析が実施された。感受性、特異性およびDFI値が、診断類目の各々についてすべての可能なプローブ組み合わせ物について計算された。4種のプローブが、顕微鏡をとおして観察するために適当な多色プローブセット(可視光線放出標識)に容易に組み合わされるので、4プローブまでの組み合わせ物が分析された。最初の分析では、カットオフ値が、比較される2種の標本群の異常性の低い標本(例えば、LGD標本に較べられる場合の正常+IM)の獲得または喪失をもつ細胞のパーセンテージの平均プラス標準偏差の倍数として生成された。表5Aは、n、DFI、感受性および特異性の関連値とともに正常+IM+LGD群に対する腺がん+HGD群のDFIに基づく4プローブの最高性能組み合わせ物を列挙している。表6Aは、正常+IM群に対するLGD群のDFIに基づく4プローブの最高性能組み合わせ物を列挙している。表5Cおよび6Cは、LGD対正常+IM(メタ)、HGD対正常+IM+LGD、EA対正常+IM+LGD+HGDおよびEA+HGD対正常+IM+LGDについて、4プローブ組み合わせ物およびそれらのそれぞれDFI値を挙げている。
表5Aおよび6Aに挙げられた多くの最高性能プローブ組み合わせ物では、これらのすべてが本発明のプローブ組み合わせ物であって、最適カットオフ値は、表5Aおよび6Aにおけるn値に基づくカットオフ付近の小範囲(例えば、10〜20%)にわたって、各組み合わせ物中の各プローブの1%の異常細胞増量におけるカットオフを独立に変えることによってさらに改良された。この方法のために改良された最適カットオフ値およびDFI値が表5Bおよび6Bにおいて列挙されている。
レシーバー・オペレーター曲線(Reciever Operator Curves)
ROCプロットは、補足分析から選ばれた多数の4プローブ組み合わせ物を用いて生成された。比較的低いDFI値によって判定されるように、少数のより良好な性能の4プローブ組み合わせ物のためのROC曲線が図2および3においてプロットされる。図2のROC曲線は、正常、IMおよびLGD標本の集合群に対してEAプラスHGD標本を検出するための感受性と特異性との間の関係を図示している。(0,1)の理想点にもっとも密接する各々これらの曲線の領域は、等しい感受性および特異性の値の近くに生じる。感受性および特異性が等しいこれらの曲線における点は、約77%〜80%の範囲(DFI=0.32〜0.28)である。したがって、ファンクショナル・ベース(functional base)において、最高性能のプローブ組み合わせ物は、0.33未満のDFI値を与えることができるプローブのそれらの組み合わせ物であるとみなすことができる。しかしながら、DFI値>0.33をもつプローブ組み合わせ物もなお価値があるかもしれない。生検とともに最近の内視鏡の感受性および特異性は、生検+IM+LGDからEA+HGDを区別することでは約70%であると評価されている。これは0.42の
DFI値に対応する。したがって、0.42未満のDFI値を提供するプローブ組み合わせ物は、現存する方法を超える性能改善を提供するが、同時に、内視鏡検査において一層単純かつ迅速なサンプリングを提供するであろう。EA+HGD対正常〜LGDを検出するために種々の組み合わせ物において有用であることが見出されたプローブは、5p15、8q24.12−13、7p12、5q21−22、9p21、CEP17、17p13.1、17q11.2−12および20q13.2(各座における獲得)を含む。
図3において示されるROC曲線は、正常+IM標本に対してLGD標本を検出するための感受性と特異性との関係を図示している。等しい感受性および特異性の点は、約55%から70%まで(DFI=0.64〜.42)にわたる。したがって、操作上、0.64未満のDFI値を与えるプローブ組み合わせ物は、より良好な性能をもつとみなすことができる。EA+HGDの検出において良好に働き、そしてまたLGD対正常+IMの検出において最良の実用性を示したプローブ組み合わせ物は、プローブ組み合わせ物中に9p21を含んだ。EAプラスHGDを検出するために最適な感受性を提供するために、9p21の獲得が感受性と特異性の計算において使用されたが、9p21の喪失はLGDの検出のために最適であったことに注目。
Figure 2015165807
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プローブセット8q24.12−13、9p21、17q11.2−12および20q13
両、図2および3における最高性能のプローブセットの1つが、8q24.12−13、9p21、17q11.2−12および20q13のセットである。まさにこのプローブ組み合わせ物のROC曲線が図4に示される。これらのROC曲線は、個々にEA、HGDおよびLGD対正常標本、ならびにEA+HGD対正常標本を検出するための特異性および感受性を含む。等しい感受性と特異性は、EA+HGD対正常+IM+LGD標本では約80%(DFI=0.29)、そしてLGD対正常+IM標本では約70%(DFI=0.42)において生じる。これらのDFI値を達成するために使用されるカットオフが、表5および6において列挙される(改良されたカットオフ値)。EA対正常標本を検出するためのROC曲線は、HGD対正常標本についての同様な曲線よりも良好な性能を示し、そしてHGD対正常標本のためのROC曲線は、LGD対正常標本についての曲線よりも良好な性能を示した。このことは、平均してEA標本が、HGD標本よりも高い異常細胞のパーセンテージを有し、そしてHGD標本が、LGD標本よりも高い異常細胞のパーセンテージを有する(図1Aおよび1B,参照)ので、その結果、より高いカットオフの使用を可能にして特異性を改良し、一方感受性を最少限度に減少させることが期待される。性能は、EA+HGD対正常標本単独についての性能よりもEA+HGD対正常+IM+LGD標本について低い。このことは驚くべきことではない、何故ならば、LGD群の若干の患者は、特に、生検を受けなかったがFISHによってサンプリングされたHGD病変を有したからである。これらの事例は、FISHによっては偽陽性結果とみられるであろうし、その結果、本研究者らの分析において偽陽性と思われた(以下参照)。
予期される陽性事例
「偽陽性(false positive)」のFISH結果(すなわち、陰性の病理結果をもつ患者についての陽性FISH結果)が、本研究の経過を通じて予期され、そして観察された。「偽陽性」FISH結果に関する可能な説明は、次のこと含む:1)FISH結果が異常性についての真に誤った陽性である、2)FISHが内視鏡による不完全なサンプリングのために生検されなかった病変を検出している、3)生検が病理学者によって不正確に正常と解釈された、または4)組織学的変化が同定できる前に遺伝的変化を検出している。「偽陽性」FISH結果の有意な部分が、真に誤った陽性結果とは信じられず、むしろ、FISHが、「金の基準」(すなわち、生検)によって検出されなかった異常性を検出した事例を表すと信じられる。この現象は、腫瘍の再発をモニターされている患者において再発性乳がんを検出するためにFISHを用いた場合に、既に、観察されていた。これらの患者の長期の追跡は、明らかな偽陽性FISH結果を有するこれらの患者の高い割合が、最後には生検で証明される腫瘍を発生することを示した。この理由のために、「偽陽性」の結果は、それらが、腫瘍が他の手段によって同定できる前に検出された事例をしばしば表すので、時には予期される陽性FISH結果と呼ばれる。バレット食道のプローブセットにより観察された「偽陽性」FISH結果が、実際に予期される陽性であるか否を、追跡データは決定する必要がある。
食道がんの検出
限定されない本発明の例として、先の実施例1において記述された4色のプローブセット8q24.12−13、9p21、17q11.2−12および20q13は、LGD、HGDまたはEAの診断と一致する染色体異常を有する細胞の存在について食道擦過サンプルを調査するために使用された。サンプルはFISHハイブリダイゼーションのために調製され、そしてプローブ選択研究(先の実施例1)に記述され、かつ以下に記述されるプローブセットを用いるハイブリダイゼーションにかけられた。最初の100細胞の列挙が多染色体性について陰性であった事例では、残りのスライドが、形態的に異常な細胞
(例えば、核の伸長、核の不規則性およびまだらなクロマチン染色)について走査され、そしてこれらの細胞のFISHハイブリダイゼーションパターンがまた記録された。
細胞の収穫
50ml遠心チューブおよび1.8mlミクロ遠心チューブが適当な患者の確認符号で標識された。標本容器(食道ブラシを含有するPreservCytTM液容器)が細胞を再懸濁するために激しく振盪された。標本容器中の溶液は、標本容器中に細胞ブラシを確実に残して、50ml遠心チューブに移された。3:1メタノール:酢酸固定液20mlが標本容器に添加された。次いで、標本容器の内容物(固定液およびブラシ)がペトリ皿に移された。ブラシは固定液中にメスを用いて手でこすり取られ、次いでペトリ皿中の溶液が標本容器中に戻された。ブラシは廃棄された。次いで、標本容器中の溶液が標識を付された50mlチューブに移された。3:1メタノール:酢酸固定液10mlが標本容器に添加された。標本容器は手で激しく振盪されて何か残っている細胞を分離し、50mlチューブに移した。標本容器は廃棄された。
50mlチューブ中の溶液は800gで8分間遠心された。上澄液のすべて約5mlが、次いで真空吸引によって除去された。3:1メタノール:酢酸10mlが50mlチューブに添加され、細胞ペレットが静かに再懸濁された。次いで、溶液が300gで8分間遠心された。次いで上澄液が、ペレットの上部溶液約2mlを確実に残して吸引された。ペレットは再び再懸濁された。標本は、使い捨てピペットを用いて、予め標識を付した1.8mlミクロ遠心チューブに移され、4℃で保存された。長期の保存のためには、チューブは、保存前に3:1メタノール:酢酸固定液で上部まで確実に満たされて、同じ1.8mlミクロ遠心チューブにおいて−70℃で保存された。
スライドの調製
所望の標本を含有する1.8mlミクロ遠心チューブがバランスされた遠心機中に置かれ、800gで2分間回転された。使い捨てピペットが使用されて固定液の上層の大部分、通常0.25mlラインまで除去された。適当な患者の確認符号を付されたスライドが45℃のホットプレート上に置かれた。ピペットが使用されて細胞ペレットを再懸濁し、その溶液の10μlがスライドの10mmの刻まれたリングの上にピペットで添加された。次いで、スライドは位相差顕微鏡下で検査されてセルラリティ(cellularity)(すなわち、細胞の密度)が調査された。セルラリティが不十分であった場合は、さらなる量のペレットが、十分なセルラリティ(最小の細胞重複をもつ1リング当たり最大数の細胞)が達成されるまで1度に10μlづつスライド上に滴下された。セルラリティが高すぎる場合は、標本ペレットが3:1メタノール:酢酸固定液により希釈され、そして上記方法が新しい刻まれたリングにおいて繰り返された。
前処理
スライドがハイブリダイゼーションの当日に調製される場合は、スライドは15分間45℃ホットプレート上に置かれるか;さもなくば、スライドはこの段階を必要としなかった。化学薬品およびスライドがVP2000プロセッサー中に装填され、そしてスライドは次の溶液を通過された:1)10分間37℃、2.0xSSC(食塩クエン酸塩);2)13分間37℃、0.005%ペプシン作用溶液(pH2.0);3)各5分間室温で、PBS、1%ホルムアルデヒド溶液、次いで新鮮な室温PBS;4)各2分間室温で、70%エタノール、85%エタノール、次いで100%エタノール。スライドは風乾された。
変性/ハイブリダイゼーション
プローブ混合液の4μlが、プローブがハイブリダイズされる細胞を含有するスライドの刻まれたリング上に置かれた。12mmの円板カバースリップがハイブリダイゼーショ
ン領域をおおって置かれ、次いでカバースリップの端がゴムセメントの連続するビーズにより密封された。スライドは、HYBriteTM変性/ハイブリダイゼーションシステムに置かれ、そして管(canal)が水で満たされた。スライドは73℃で3分間加熱され、次いで、37℃で最小8時間維持された。
洗浄および対比染色
スライドがHYBriteTMから取り出され、ラバーセメントが除去された。カバースリップがゴムセメントの除去によって離れない場合、スライドは、カバースリップがひとりでに落ちるまで、室温の0.1%NP−40/2.0XSSC中に浸された。次いで、スライドは、73℃0.1%NP−40/2.0XSSCを含有するCoplinジャー中に最小2分間置かれた。次いで、スライドは室温の0.1%NP−40/2.0xSSC中に最小5分間置かれた。ピペットを使用して、DAPI−1対比染色液(antifade封入液中1000ngDAPI/ml)の10μlがハイブリダイゼーションリングに適用された。24x50カバースリップが各スライドの上に置かれた。ペーパータオルがカバースリップの上部に置かれて、余分の液体が除去された。ピペットのプラスティック末端がカバースリップに十文字に軽く押し付けられて、気泡が除去された。各スライドの背面がペーパータオルで拭われ、そして分析用トレーに置かれた。
分析
浸油の1滴がハイブリダイズされたリングの直接上のカバースリップに置かれた。スライドは、DAPI対比染色を観察するためのフィルター、Spectrum−Red/Spectrum−GreenTM、Spectrum−RedTM、Spectrum−GreenTM、Spectrum−AquaTMおよびSpectrum−GoldTM蛍光団を備えたエピ蛍光(epi−fluorescence)顕微鏡により調査された。スライドの迅速な初期走査が実施されて、シグナル品質が調査され、そしてハイブリダイゼーションが成功したか否かが決定された。次いで、スライドは、40xまたは63x対物レンズを用いて、ハイブリダイゼーションリングの1つの端から開始し、リングの反対の端に向かって規則的な方式で進めることによって、顕微鏡により分析された(図5)。次いで、4プローブ(例えば、8q24、9p21、17q11、20q13)の各々のシグナルパターンが、100個の連続する非偏平上皮、非炎症性細胞について記録された。偏平上皮細胞のみが観察された事例では、シグナルパターンはこれらの細胞において列挙され、偏平上皮細胞のみが見られたことを確実に注意させた。多染色体性(すなわち、4プローブの2個以上の獲得)をもつ5個以上の細胞が最初の100細胞のカウントにおいて見られた場合、さらなる分析は必要とされない。しかしながら、多染色体性をもつ5個未満の細胞が観察される場合は、スライドの残りが、新形成の疑われる核の形態学的特徴(例えば、核の伸長、核の不規則性、まだらなクロマチン染色)をもつ細胞について走査することができ、そしてこれらの細胞のシグナルパターンが、それらが走査によって観察され、そして100細胞の列挙の一部として観察されたものではないことに注目して記録された。この走査方法は、引用によって本明細書に組み入れられている米国特許第6,376,188号および同第6,17468号に記述された方法と本質的に同じである。
100細胞の列挙の終了後、細胞カウントが調査されて、異形成またはEAの診断と一致する1個以上の染色体異常が存在するか否かが決定された。観察され、そして異形成または腺がんのいずれかの診断と一致した染色体の変化は、多染色体性(すなわち、2個以上のシグナルの獲得)、四染色体性、単一シグナルの獲得、増幅(例えば、HER−2増幅)および欠失(例えば、9p21欠失)を含む。
診断基準
標本が次に示す基準を満たせば、それらは陽性とみなされた:
・ 細胞の≧13%が半接合体および/または同型接合体9p21喪失を示す(低度の
異形成の診断とほとんど一致)。
・ 細胞の≧4%が8q24の獲得を示す(高度の異形成/腺がんの診断とほとんど一致)。
・ 細胞の≧8%が17q11の獲得を示す(高度の異形成/腺がんの診断とほとんど一致)。
・ 細胞の≧16%が20q13の獲得を示す(高度の異形成/腺がんの診断とほとんど一致)。
・ 細胞の≧3%が多染色体性を示す(高度の異形成/腺がんの診断とほとんど一致)。
次に示す代表的な例は、8q24、9p21、17q11および20q13に対するプローブを含有する4プローブFISHカクテルを用いる4人の患者についてのFISH列挙の結果(すなわち、100細胞列挙)およびそれらの解釈を示す。これらの実施例は、プローブセットが、どのようにして異形成および腺がんを検出するために使用することができるかを具体的に説明している。
患者1
この患者についての1つの100細胞列挙結果が以下に示される(表7)。異常シグナルパターンをもつ細胞(すなわち、シグナルパターンが4プローブの各々について2個のコピーを示さなかった細胞)が初めに示されている。列挙結果は、細胞の41個(表において示される初めの41個)が多染色体性(すなわち、4プローブの2個以上の獲得)を表したことを示している。残りの59個の細胞は正常とみなされた。1つの座について2つのシグナルの期待される正常パターンを有しない2個の細胞(細胞42および43)は、このタイプの異常性についてのカットオフが達成されなかったので、異常とみなされなかった。この患者の標本は、腫瘍について陽性とみなされ、そしてこの結果はHGD/EAの診断とほとんど一致している。
Figure 2015165807
Figure 2015165807
患者2
この患者についての1つの100細胞列挙結果が以下に示される(表8)。異常シグナルパターンをもつ細胞(すなわち、シグナルパターンが4プローブの各々について2個のコピーを示さなかった細胞)が初めに示されている。列挙結果は、8q24の獲得をもつ23個の細胞を示している。残りの77個の細胞は正常とみなされた。この患者標本は陽性とみなされ、そしてこの結果はHGD/EAの診断とほとんど一致している。
Figure 2015165807
Figure 2015165807
患者3
この患者についての1つの100細胞列挙結果が以下に示される(表9)。異常シグナルパターンをもつ細胞(すなわち、シグナルパターンが4プローブの各々について2個のコピーを示さなかった細胞)が初めに示されている。列挙結果は、細胞の52個(表において示される初めの52個)が同型接合体または半接合体9p21喪失のいずれかを表したことを示している。残りの48個の細胞は正常とみなされた。2,2,1,2のシグナルパターンを有する細胞53は、1つの座について2つのシグナルの期待される正常パターンを有しないが、このタイプの異常性(すなわち、一染色体性8q24)についてのカットオフが達成されなかったので、正常とみなされた。この患者の標本は陽性とみなされ、そしてこの結果はLGDの診断とほとんど一致している。
Figure 2015165807
Figure 2015165807
患者4
この患者についての1つの100細胞列挙結果が以下に示される(表10)。異常シグナルパターンをもつ細胞(すなわち、シグナルパターンが4プローブの各々について2個のコピーを示さなかった細胞)が初めに示されている。列挙結果は、1つの座について2つのシグナルの期待される正常パターンを有しない3個の細胞(細胞1〜3)を示してい
るが、しかし、これらの細胞は、何らかの異常性についてのカットオフが達成されなかったので、異常とみなされなかった。この患者の標本は陰性とみなされた。
Figure 2015165807
Figure 2015165807
他の実施態様
本発明は、その詳細な記述とともに説明されたが、前記記述は本発明の範囲を具体的に説明するものであって、限定するものではないことを意図していると理解されるべきである。
以下に本発明の主な特徴と態様を列挙する。
1.
a.食道がん腫を有すると疑われる被験者から食道細胞を含む生物サンプルを得て;
b.サンプルに存在するプローブの核酸標的にプローブを特異的にハイブリダイズさせる条件下で、サンプルを染色体プローブのセットと接触させて、もしあれば、サンプルにおける食道がん腫または前駆体病変を選択的に検出し;そして
c.ハイブリダイゼーションパターンが被験者における食道がん腫または前駆体病変の存在または不在を示す、生物サンプルに対する染色体プローブのセットについてのハイブリダイゼーションパターンを検出すること:
を含んでなる、被験者における食道がん腫または前駆体病変についてスクリーニングする方法。
2. 選択的に検出されるがん腫前駆体病変が低度の異形成(LGD)である、1.の方法。
3. 選択的に検出されるがん腫または前駆体病変が高度の異形成(HGD)および食道腺がん(EA)からなる群から選ばれる、1.の方法。
4. 生物サンプルが、生検、細胞学的標本および切除標本からなる群から選ばれる標本から得られる細胞を含む、1.の方法。
5. 染色体プローブが蛍光により標識される、1.の方法。
6. 生物サンプルが細胞学的擦過標本を含む、4.の方法。
7. 被験者が、慢性胃食道逆流疾患およびバレット食道からなる群から選ばれる症状を有すると診断された、1.の方法。
8. 染色体プローブのセットが、該前駆体病変について多くとも約0.7のDFIを特徴とする、2.の方法。
9. 染色体プローブのセットが、該前駆体病変について多くとも約0.35のDFIを特徴とする、8.の方法。
10. 染色体プローブのセットが、該食道がん腫または前駆体病変について多くとも約0.5のDFIを特徴とする、3.の方法。
11. 染色体プローブのセットが、該前駆体病変について多くとも約0.35のDFIを特徴とする、10.の方法。
12. 該セットが、8q24.12−13座特異的プローブ、7p12座特異的プローブ、17q11.2−12座特異的プローブ、20q13座特異的プローブ、染色体9の染色体列挙プローブ、染色体7の染色体列挙プローブ、5q21−22座特異的プローブ、5p15座特異的プローブ、17p13.1座特異的プローブ、染色体17の染色体列挙プローブおよび9p21座特異的プローブからなる群から選ばれる少なくとも3種の染
色体プローブを含む、1.の方法。
13. 該セットが、Y染色体の染色体列挙プローブをさらに含む、12.の方法。
14. 該セットが、少なくとも1種の染色体列挙プローブを含む、12.の方法。
15. 該セットが、20q13座特異的プローブ、17q11.2−12座特異的プローブ、9p21座特異的プローブおよび8q24.12−13座特異的プローブを含む、12.の方法。
16. ハイブリダイゼーションパターンが、核の大きさ、核の形または核の染色における異常に基づいて予め選ばれる生物サンプルからの細胞において検出される、1.の方法。
17. 染色体プローブのセットが、生物サンプルにおける食道がん腫または前駆体病変を選択的に検出することができる、染色体プローブのセットを含んでなる、組成物。
18. がん腫前駆体病変が低度の異形成(LGD)である、17.の組成物。
19. がん腫または前駆体病変が高度の異形成(HGD)および食道腺がん(EA)からなる群から選ばれる、17.の方法。
20. 染色体プローブが蛍光により標識される、17.の組成物。
21. 染色体プローブのセットが、該前駆体病変について多くとも約0.7のDFIを特徴とする、18.の組成物。
22. 染色体プローブのセットが、該前駆体病変について多くとも約0.35のDFIを特徴とする、21.の組成物。
23. 染色体プローブのセットが、該食道がん腫または前駆体病変について多くとも約0.5のDFIを特徴とする、19.の組成物。
24. 染色体プローブのセットが、該前駆体病変について多くとも約0.35のDFIを特徴とする、23.の組成物。
25. 該セットが、8q24.12−13座特異的プローブ、7p12座特異的プローブ、17q11.2−12座特異的プローブ、20q13座特異的プローブ、染色体9の染色体列挙プローブ、染色体7の染色体列挙プローブ、5q21−22座特異的プローブ、5p15座特異的プローブ、17p13.1座特異的プローブ、染色体17の染色体列挙プローブおよび9p21座特異的プローブからなる群から選ばれる少なくとも3種の染色体プローブを含む、17.の組成物。
26. 該セットが、Y染色体の染色体列挙プローブをさらに含む、25.の組成物。
27. 該セットが、少なくとも1種の染色体列挙プローブを含む、25.の組成物。
28. 該セットが、20q13座特異的プローブ、17q11.2−12座特異的プローブ、9p21座特異的プローブおよび8q24.12−13座特異的プローブを含む、25.の組成物。
29. 生物サンプルがパラフィン中に包埋される、1.の方法。
各組織学的類目について、それぞれ、座の獲得または喪失を現す細胞の平均パーセンテージを示す。 各組織学的類目について、それぞれ、座の獲得または喪失を現す細胞の平均パーセンテージを示す。 種々の可能な4プローブ組み合わせ物について、正常、IMおよびLGD標本の集合群に較べてEA+HGD標本を検出するための感受性および特異性間の関係を図示するROC曲線を示す。 種々の可能なプローブ組み合わせ物について、正常+IM標本に較べてLGD標本を検出するための感受性および特異性間の関係を図示するROC曲線を示す。 8q24.12−13、9p21、17q11.2−12および20q13のプローブセットについて、正常な標本に較べてEA、HGD、LGDおよびEA+HGD標本を個々に検出するため,ならびに正常+IM+LGD標本に較べてEA+HGD標本を、ならびに正常+IM標本に較べてLGDを検出するための、感受性および特異性間の関係を図示するROC曲線を示す。 100細胞カウントを実施するために使用される方法を示す。

Claims (15)

  1. a.食道がん腫に関する状態が未知であるヒト被験者からの食道細胞を含む生物サンプルを、該サンプルにおける食道がん腫または前駆体病変を検出するために、該サンプルに存在するプローブの核酸標的にプローブを特異的にハイブリダイズさせる条件下で、20q13座特異的プローブ、17q11.2−12座特異的プローブ、9p21座特異的プローブおよび8q24.12−13座特異的プローブからなるプローブセットと接触させること;そして
    b.生物サンプルに対する染色体プローブのセットについての増減を評価してハイブリダイゼーションパターンが被験者における食道がん腫または前駆体病変の存在または不在の指標であるハイブリダイゼーションパターンを検出すること:
    を含んでなる、方法。
  2. 検出されるがん腫前駆体病変が低度の異形成(LGD)である、請求項1の方法。
  3. 検出されるがん腫または前駆体病変が高度の異形成(HGD)および食道腺がん(EA)からなる群から選ばれる、請求項1の方法。
  4. 生物サンプルが、生検、細胞学的標本および切除標本からなる群から選ばれる標本から得られる細胞を含む、請求項1の方法。
  5. 染色体プローブが蛍光により標識される、請求項1の方法。
  6. 生物サンプルが細胞学的擦過標本を含む、請求項4の方法。
  7. 被験者が、慢性胃食道逆流疾患およびバレット食道からなる群から選ばれる症状を有する、請求項1の方法。
  8. 染色体プローブのセットが、該前駆体病変について0.7以下のDFIを特徴とする、請求項2の方法。
  9. 染色体プローブのセットが、該前駆体病変について0.35以下のDFIを特徴とする、請求項8の方法。
  10. 染色体プローブのセットが、該食道がん腫または前駆体病変について0.5以下のDFIを特徴とする、請求項3の方法。
  11. 染色体プローブのセットが、該前駆体病変について0.35以下のDFIを特徴とする、請求項10の方法。
  12. 該セットが、Y染色体の染色体列挙プローブをさらに含む、請求項1の方法。
  13. 該セットが、少なくとも1種の染色体列挙プローブを含む、請求項1の方法。
  14. ハイブリダイゼーションパターンが、核の大きさ、核の形または核の染色における異常に基づいて予め選ばれる生物サンプルからの細胞において検出される、請求項1の方法。
  15. 生物サンプルがパラフィンに包埋される、請求項1の方法。
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