JP2015165659A - アルミニウムスカンジウム窒化物および温度補償要素を含む音響共振器 - Google Patents

アルミニウムスカンジウム窒化物および温度補償要素を含む音響共振器 Download PDF

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Abstract

【課題】音響共振器の性能を評価する為の測定基準として、電極と圧電材料間のエネルギー伝達効率を示す電気機械結合係数(kt2)があり、より高いレベルの電気機械結合係数(kt2)を有する音響共振器を提供する。【解決手段】音響共振器200は、基板105上に配置された第1の電極115tと、第1の電極上に配置され、アルミニウムスカンジウム窒化物を含む圧電層125と、圧電層上に配置された第2の電極135と、圧電層、第1の電極および第2の電極の温度係数の少なくとも一部を相殺する温度係数を有する温度補償要素とを含む。【選択図】図2

Description

関連出願に対する相互参照
本出願は、共同所有の、2013年11月27日に出願された米国特許出願第14/092,026号、2013年11月27日に出願された米国特許出願第14/092,793号、及び2013年11月27日に出願された米国特許出願第14/092,077号の米国特許規則§1.53(b)の下での一部継続出願であり、それら特許出願の各々は、2013年7月31日に出願された共同所有の米国特許出願第13/955,774号の米国特許規則§1.53(b)の下での一部継続出願であり、米国特許出願第13/955,774号は2013年2月28日に出願された共同所有の米国特許出願第13/781,491号の一部継続出願であり、米国特許出願第13/781,491号は2012年10月29日に出願された共同所有の米国特許出願第13/663,449号の一部継続出願であり、それらは参照により全体として本明細書に組み込まれる。また、米国特許出願第13/955,774号は、2011年8月12日に出願された共同所有の米国特許出願第13/208,883号の米国特許規則§1.53(b)の下での一部継続出願であり、米国特許出願第13/208,883号は2011年3月29日に出願された共同所有の米国特許出願第13/074,262号の一部継続出願であり、それらは参照により全体として本明細書に組み込まれる。また、米国特許出願第14/092,793号は、2013年2月14日に出願された共同所有の米国特許出願第13/766,993号の米国特許規則§1.53(b)の下での一部継続出願であり、米国特許出願第13/766,993号は2012年10月25日に出願された米国特許出願第13/660,941号の米国特許規則§1.53(b)の下での一部継続出願であり、それらは参照により全体として本明細書に組み込まれる。また、米国特許出願第14/092,077号は2013年2月14日に出願された米国特許出願第13/767,754号の米国特許規則§1.53(b)の下での一部継続出願である。
背景
音響共振器は、様々な電子応用形態において信号処理機能を実現するために使用され得る。例えば、幾つかの携帯電話および他の通信装置は、送信信号および/または受信信号用の周波数フィルタを実現するために音響共振器を使用する。異なる応用形態に従って、幾つかの異なるタイプの音響共振器が使用されることができ、例には、薄膜バルク音響共振器(Thin Film Bulk AcousticResonator:FBAR)、結合共振器フィルタ(Coupled Resonator Filter:CRF)、スタック型バルク音響共振器(Stacked Bulk Acoustic Resonator:SBAR)、二重バルク音響共振器(Double Bulk Acoustic Resonator:DBAR)、及びソリッドマウント共振器(Solidly Mounted Resonator:SMR)のようなバルク弾性波(Bulk Acoustic Wave:BAW)共振器が含まれる。
代表的な音響共振器(例えば、FBAR)は、音響スタック(stack:積重体)と呼ばれる構造体において、2つの平板電極間に挟まれた圧電材料層を含む。入力電気信号が電極間に印加される場合、可逆性または逆圧電効果により、音響スタックは、圧電材料の分極に応じて機械的に膨張または収縮する。入力電気信号が時間と共に変化する場合、音響スタックの膨張および収縮は、様々な方向に音響共振器中を伝播する音波(音響波)を生成し、圧電効果により出力電気信号へ変換される。幾つかの音波は、音響スタックにわたる共振を達成し、この場合、共振周波数は、音響スタックの材料、寸法、及び動作条件のような要因によって決まる。音響共振器のこれら及び他の機械的特性は、その周波数応答を決定する。
音響共振器の性能を評価するために使用される1つの測定基準は、その電気機械結合係数(kt)であり、それは電極と圧電材料との間のエネルギー伝達の効率を示す。他の条件が同じなら、より高いktを有する音響共振器は一般に、より低いktを有する音響共振器に対して優れた性能を有すると考えられる。従って、4G及びLTEの応用形態のような高性能無線応用形態において、より高いレベルのktを有する音響共振器を使用することが一般に望ましい。
音響共振器のktは、圧電材料および電極の寸法、組成、及び構造特性のような幾つかの要因により影響を受ける。そしてまた、これら要因は、音響共振器を製作するために使用される材料および製造プロセスにより影響を受ける。従って、より高いレベルのktを有する音響共振器を製作するための継続的努力において、研究者は、音響共振器の設計および製造に対する改善された手法を探し続けている。
例示的な実施形態は、添付図面と共に読まれる場合に、以下の詳細な説明から最も良く理解される。様々な特徴要素が必ずしも一律の縮尺に従わずに描かれていることが強調される。実際には、寸法は、考察の明瞭化のために任意に増減され得る。適用可能および実用的であれば、同じ参照符号は同様の要素を指す。
代表的な実施形態による、音響共振器構造体の上面図である。 代表的な実施形態による、音響共振器構造体の断面図である。 別の代表的な実施形態による、音響共振器構造体の断面図である。 更に別の代表的な実施形態による、音響共振器構造体の断面図である。 更に別の代表的な実施形態による、音響共振器構造体の断面図である。 更に別の代表的な実施形態による、音響共振器構造体の断面図である。 更に別の代表的な実施形態による、音響共振器構造体の断面図である。
詳細な説明
以下の詳細な説明において、説明のために及び制限しないために、特定の細部を開示する例示的な実施形態が、本教示の完全な理解を提供するために記載される。しかしながら、本開示の利益を有する当業者には明らかなように、本明細書に開示された特定の細部から逸脱する、本教示に従った他の実施形態は、依然として添付の特許請求の範囲の範囲内にある。更に、よく知られた装置および方法の説明は、例示的な実施形態の説明を曖昧にしないように省略され得る。係る方法および装置は、明らかに本教示の範囲内にある。
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけであり、限定することを意図されていない。定義された用語は、関連する文脈において一般に理解される及び受け入れられるように、定義された用語の技術的意味、科学的意味または通常の意味に追加される。
用語「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「前記(the)」は、文脈で特に明示しない限り、単一の対象、及び複数の対象の双方を含む。このため、例えば、「デバイス(a device)」は、1つのデバイス及び複数のデバイスを含む。用語「実質的な」又は「実質的に」は、許容可能な限界内または又は程度内を意味する。用語「約」は、当業者にとって許容可能な限界内または量内を意味する。「〜より上に」、「〜より下に」、「上部」、「底部」、「上側」及び「下側」などのような相対的な用語は、添付図面に示されたように様々な要素の相互の関係を説明するために使用され得る。これらの相対的な用語は、図面に示された向きに加えて、デバイス及び/又は要素の異なる向きを包含することが意図されている。例えば、デバイスが図面の表示に対して反転された場合、例えば、別の要素の「上に」と説明された要素は、今度はその要素の「下に」あることになる。第1のデバイスが第2のデバイスに接続または結合されると言われている場合、これは、1つ又は複数の中間デバイスを利用して、2つのデバイスを互いに接続することができる例を包含する。対照的に、第1のデバイスが第2のデバイスに直接的に接続または直接的に結合されると言われている場合、これは、2つのデバイスが電気コネクタ(例えば、ワイヤ、ボンディング材料など)以外の任意の中間デバイスを用いずに互いに接続される例を包含する。
本教示は一般に、薄膜バルク音響共振器(FBAR)又はソリッドマウント共振器(SMR)のような音響共振器に関するが、当該説明は便宜上、FBARを対象とする。材料および製造方法を含む、音響共振器の特定の細部が、1つ又は複数の以下の共同所有の米国特許および米国特許出願に見いだされ得る。即ち、Lakinによる米国特許第6,107,721号、Ruby他による米国特許第5,587,620号、米国特許第5,873,153号、米国特許第6,507,983号、米国特許第6,384,697号、米国特許第7,275,292号、及び米国特許第7,629,865号、Feng他による米国特許第7,280,007号、Jamneala他による米国特許出願公開第2007/0205850号、Ruby他による米国特許第7,388,454号、Choy他による米国特許出願公開第2010/0327697号、Choy他による米国特許出願公開第2010/0327994号、Nikkel他による米国特許出願第13/658,024号、Burak他による米国特許出願第13/663,449号、Burak他による米国特許出願第13/660,941号、Burak他による米国特許出願第13/654,718号、Ruby他による米国特許出願公開第2008/0258842号、及びKaitila他による米国特許第6,548,943号である。これら特許および特許出願の開示は特に、参照により全体として本明細書に組み込まれる。強調されることは、これら特許および特許出願に記載されたコンポーネント(構成要素)、材料および製造方法は代表例であり、当業者の理解範囲内にある他の製造方法および材料が企図される。
後述される特定の実施形態において、音響共振器構造体は、基板上に配置された第1の電極、第1の電極上に配置されてアルミニウムスカンジウム窒化物を含む圧電層、圧電層上に配置された第2の電極、及び圧電層、第1の電極、又は第2の電極の温度係数の少なくとも一部を相殺する温度係数を有する温度補償要素を含む。温度補償要素は、温度の変化に起因する性能の変動を低減することに貢献し、圧電層におけるスカンジウムの存在は、温度補償要素が存在することから結果として生じるかもしれないktの減少を補償することに貢献する。
図1は、代表的な実施形態による、音響共振器100の上面図であり、図2〜図7は、様々な実施形態に従って線A−A’に沿った、音響共振器100の断面図である。断面図は音響共振器100の様々な変形形態に対応し、それぞれ音響共振器200〜700と呼ばれる。音響共振器200〜700は、多くの同じ特徴要素を有し、そのため冗長性を避けるために、これら特徴要素の反復的な説明は省略され得る。
図1を参照すると、音響共振器100は、5つの辺(側部)を有する上側電極135を含み、この場合、接続側部101が相互接続102に電気接続を提供するように構成されている。相互接続102は、音響共振器100の圧電層(図1には示されない)に所望の音波を励起させるために上側電極135に電気信号を提供する。音響共振器100の当該辺はアポダイズ構成を有し、アポダイズ構成は、それら全てが異なる長さを有することを意味する。更に、当該辺は一般に、2つの辺が平行でないように構成される。一般に、FBAR形状は、5つの辺に制限されない。例えば、一般的な代替のFBAR設計は、四辺形、五角形および他の形状を含む。それは他の形状を有することができる。
図2〜図7は、代表的な実施形態による、音響共振器を示す断面図である。図2〜図7に示された例において、音響共振器は、説明の便宜上、FBARである。しかしながら、理解されるように、本教示の範囲から逸脱せずに、他のタイプの音響共振器が含まれ得る。図2〜図7に示された音響共振器のそれぞれは、アルミニウムスカンジウム窒化物を含む圧電層、並びに音響スタックの電極または圧電層内に又はそれらの上に配置された温度補償要素(例えば、温度補償層)を含む。理解されるように、同じ一般的な構成は、本教示の範囲から逸脱せずに、追加の構造的特徴要素を有する音響共振器に含まれ得る。
図2を参照すると、FBARとすることができる音響共振器200は例えば、空洞(キャビティ)110(例えば、空気空洞)を有する基板105、基板105及び空洞110上に配置された下側電極115t、下側電極115tに隣接して基板105上に配置された第1の平坦化層120、下側電極115t及び第1の平坦化層120上に配置された圧電層125、圧電層125上に配置された上側電極135を含む。カラー(collar:つば)のような他のオプションの構造的特徴要素の配置に応じて、第2の平坦化層(図示せず)が、上側電極135に隣接して圧電層125上に配置されてもよい。全体として、下側電極115t、圧電層125、及び上側電極135が音響共振器200の音響スタックを構成する。
音響共振器200は更に、下側電極115tの温度補償層117として示された温度補償要素を含み、それは、温度変化に応じて、圧電層125の音速およびカットオフ周波数の変化を補償する。より具体的には、下側電極115tは、基板105上にこの順序で積み重ねられた、外側電極層116、温度補償層117、及び導電インターポーザ層118を含む。インターポーザ層118は、圧電層125から温度補償層117を分離し、そのため、温度補償層117が下側電極115t内に有効に埋め込まれる又はカプセル封入される。言い換えれば、温度補償層117は、下側電極115tの上面または底面上に形成されず、それ故に音響スタックにおいて、隣接する構成要素(例えば、圧電層125及び基板105)から分離される。特定の実施形態において、温度補償層117は、空洞110の周辺部内に配置される。例えば、それは、空気空洞の周辺部から約0〜2μm(ミクロン)の距離に配置されたエッジを有することができるが、この距離は変更され得る。代案として、温度補償層117の一方または双方のエッジは、空洞110の周辺部の外側に配置されてもよい。
第1の平坦化層120の存在は必須ではない。例えば、特定の代替の実施形態において、図3の音響共振器300により示されるように、第1の平坦化層120は省かれることができ、温度補償層117が先細になるように(テーパ状)エッチングされて、インターポーザ電極118及び外側電極層116に埋め込まれる。
インターポーザ層118の存在は必須ではないが、それは、製造プロセス中に、圧電層125の適切な成長を容易にし、(例えば、ウエットエッチング又はウエット解放プロセスに使用されるフッ化水素酸(HF)からの)温度補償層117の保護を提供する。また、インターポーザ層118の存在および厚さは、温度補償層117の温度補償効果に影響を及ぼす。更に、例えば低いシート抵抗の金属から作製された厚さが十分なインターポーザ層118は、温度補償層117を電気的に短絡することができ、それ故にその直列静電容量を除去し、場合によっては電気機械結合係数ktを増大させる。他方では、比較的厚いインターポーザ層118は、2つの高い音響エネルギー密度領域(温度補償層117及び圧電層125)を分離する低い音響エネルギー密度領域(インターポーザ層118)を形成することにより、スタックを音響的に不平衡にする可能性があり、今度は音響放射メカニズムに対する損失の増大、及びQ値および並列抵抗Rpの減少をもたらす可能性がある。様々な例示的な温度補償層および製造技術が、Burak他による米国特許出願第13/766、993号(2013年2月14日に出願)により説明されており、それは、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
外側電極層116及びインターポーザ層118及び/又は温度補償層117の相対的な厚さは、本教示の範囲から逸脱せずに、変更され得る。例えば、インターポーザ層118の厚さは増大されることができ、それ故に温度補償層117を下側電極115tへより深く「沈める」(及びアクティブな圧電層125から更に離す)。一般に、下側電極115t内の温度補償層117の厚さと位置ならびに外側電極層116及びインターポーザ層118の厚さは、許容可能な線形温度係数に対して結合係数を最大にするために最適化されるべきである。この最適化は例えば、当業者に明らかであるようなMasonモデルを用いて、音響スタックの等価回路をモデル化することにより、達成され得る。温度補償層117を沈めることにより温度係数の相殺効果に何らかの低下が存在するが、音響共振器200の結合係数は改善され得る。当業者に明らかであるように、例えば、Simplex方法のような多変量最適化技術を用いて、温度係数と結合係数との間のトレードオフに鑑みて、下側電極115tにおける温度補償層117の深さを最適化するためのアルゴリズムが開発され得る。更に、温度補償層117の深さは、最低限必要な結合係数および最大許容温度係数のような様々な制約により、制限され得る。同様に、温度補償層117の厚さは、音響共振器200の最適な結合係数および最低限の総合温度係数を提供するために調整され得る。また、温度補償層に関する係る最適化および対応する考察は、本明細書で説明される他のFBAR(例えば、後述される音響共振器300及び400)にも適用可能である。
図2に示されるように、カプセル封入された温度補償層117は、外側電極層116及びインターポーザ層118により取り囲まれている。温度補償層117をカプセル封入する例は、Burak他による米国特許出願第13/766,993号(2013年2月14日に出願)によってより詳細に説明されており、それは参照により全体として本明細書に組み込まれる。しかしながら、代替の実施形態において、温度補償層117は、カプセル封入されなくてもよく、又は部分的にカプセル封入されてもよく、そのため温度補償層117の少なくとも一部は、下側電極115tの1つ又は複数のエッジ(上側、下側または側部)において露出する。例えば、温度補償層117は、下側電極115tの全幅(図示された向きにおける水平方向)に延在することができる。また、例えば、温度補償層117の表面は、圧電層125の表面に当接することができ、つまりそれはインターポーザ層118が存在しない場合である。
下側電極115tにおいて、外側電極層116及びインターポーザ層118は、半導体プロセスに適合する様々な金属のような導電材料から形成されることができ、当該金属には例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ニオブ(Nb)、又はハフニウム(Hf)が含まれる。図示された実施形態において、外側電極層116及びインターポーザ層は、同じ導電材料(例えば、Mo)から形成される。しかしながら、様々な代替の実施形態において、外側電極層116及びインターポーザ層118は、異なる導電材料から形成されることができ、この場合、外側電極層116は、比較的より低い導電率および比較的より高い音響インピーダンスを有する材料から形成され、インターポーザ層118は、比較的より高い導電率および比較的より低い音響インピーダンスを有する材料から形成される。例えば、外側電極層116はWから形成されることができ、インターポーザ層118はMoから形成されることができるが、他の材料および/または材料の組み合わせが、本教示の範囲から逸脱せずに使用され得る。
温度補償層117は半導体プロセスに適合する様々な材料から形成されることができ、当該材料には例えば、正の温度係数を有する、ボロンシリケートガラス(BSG)、二酸化ケイ素(SiO)、クロム(Cr)又は酸化テルル(TeO(x))が含まれる。温度補償層117の正の温度係数は、圧電層125、上側電極135、下側電極115tの外側電極層116及びインターポーザ層118を含む音響スタックの他の材料の負の温度係数を相殺する。
基板105は例えば、シリコン(Si)、ガリウムヒ素(GaAs)、リン化インジウム(InP)、ガラス、サファイア、又はアルミナ等のような、半導体プロセスに適合する様々な材料から形成され得る。基板の空気空洞に関する様々な例示的な製造技術が、Grannen他による米国特許第7,345,410号(2008年3月18日)により説明されており、それは、参照により全体として本明細書に組み込まれる。圧電層125は例えば、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(ZnO)又はジルコン酸チタン酸塩(PZT)のような、半導体プロセスに適合する任意の圧電材料から形成され得る。更に、後述されるように、圧電材料は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)又はエルビウム(Er)のような少なくとも1つの希土類元素と化合され得る。
第1の平坦化層120は例えば、ホウケイ酸ガラス(BSG)から形成され得る。第1の平坦化層120は、音響共振器200が機能することに厳密には必要ではないが、その存在は様々な利点を与えることができる。例えば、第1の平坦化層120の存在は、音響共振器200の構造的安定性を改善することに貢献し、後続層の成長の品質を改善することができ、下側電極115tが空洞110を超えて延在するそのエッジを有さずに形成されることを可能にすることができる。また、第1の平坦化層120の存在は、下側電極の先細になること(テーパ)、及び下側電極の先細になるように(テーパ状)エッチングすることに起因した下側電極の斜面の上側での不十分な品質のALN成長を回避することに貢献する。平坦化の更なる潜在的な利点の例は、Burak他による米国特許出願公開第2013/0106534号に提示されており、それは参照により全体として本明細書に組み込まれる。下側電極115t及び上側電極135は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)又はアルミニウム(Al)のような1つ又は複数の導電金属材料から形成され得る。下側電極115t及び上側電極135は、同じ又は異なる材料から形成され得る。当然のことながら、本教示の範囲から逸脱せずに、他の材料が上記のもの及び音響共振器200の他の特徴要素へ混ぜられることができる。
図4を参照すると、音響共振器400は、上側電極135t中の温度補償層137として示された温度補償要素の配置を除いて、音響共振器200に類似する。即ち、音響共振器400は、空洞(キャビティ)110を有する基板105、基板105及び空洞110上に配置された下側電極115、下側電極115に隣接して基板105上に配置された第1の平坦化層120、下側電極115及び第1の平坦化層120上に配置された圧電層125、圧電層125上に配置され、温度補償層137を含む上側電極135tを含む。
上側電極135tは、圧電層125上にこの順序で積み重ねられた、導電インターポーザ層136、温度補償層137、及び外側電極層138を含む。インターポーザ層136は、圧電層125から温度補償層137を分離する。インターポーザ層136の存在は、特にそれが圧電層125の成長を支援するのに必要ではないので、必須ではないが、それは製造プロセス中に、(例えば、ウエットエッチングに使用されるフッ化水素酸(HF)からの)温度補償層137の保護を提供し、そうでなければ温度補償層137の温度補償効果に影響を及ぼす。代替の実施形態において、インターポーザ層136は含まれず、ひいては温度補償層137は圧電層125の上面に直接的に形成される。また、温度補償層137は上側電極135t内にカプセル封入されて示されているが、理解されるように、本教示の範囲から逸脱せずに、それは上側電極135tの全幅に延在してもよく、又は上側電極135t内にほんの部分的にカプセル封入されてもよい。また、上述されたように例えば、温度補償層137の表面は、圧電層125の表面に当接することができ、つまりそれはインターポーザ層136が存在しない場合である。
上側電極135tにおいて、インターポーザ層136及び外側電極層138は、外側電極層116及びインターポーザ層118に関して上述されたように、同じ又は異なる導電材料から形成され得る。一実施形態において、外側電極層138は、比較的より低い導電率および比較的より高い音響インピーダンスを有する材料から形成されることができ、インターポーザ層136は、比較的より高い導電率および比較的より低い音響インピーダンスを有する材料から形成され得る。例えば、外側電極層138はWから形成されることができ、インターポーザ層136はMoから形成されることができるが、他の材料および/または材料の組み合わせが、本教示の範囲から逸脱せずに使用され得る。温度補償層137は、半導体プロセスに適合する様々な材料から形成されることができ、当該材料には例えば、正の温度係数を有する、BSG、SiO、Cr又はTeO(x)が含まれる。
図5を参照すると、音響共振器500は、音響共振器300に類似して第1の平坦化層120が省かれて、温度補償層137が先細になるようにエッチングされていることを除いて、音響共振器400に類似する。
図6を参照すると、音響共振器600は、圧電層125t中の温度補償層127として示された温度補償要素の配置を除いて、音響共振器200に類似する。即ち、音響共振器600は、空洞(キャビティ)110を有する基板105、基板105及び空洞110上に配置された下側電極115、下側電極115に隣接して基板105上に配置された第1の平坦化層120、下側電極115及び第1の平坦化層120上に配置され、温度補償層127を含む圧電層125t、圧電層125t上に配置された上側電極135を含む。
圧電層125tは、下側電極115上にこの順序で積み重ねられた、第1の圧電副層125t−1、温度補償層127、及び第2の圧電副層125t−2を含む。従って、図示された実施形態において、温度補償層127は、圧電層125t内に埋め込まれている。言い換えれば、温度補償層127は、圧電層125tの上面または底面に形成されず、それ故に音響スタックの隣接する構成要素(例えば、下側電極115及び上側電極135)から分離されている。図示された実施形態において、温度補償層127は例えば、圧電層125tの全厚さのほぼ半分のところに配置される。圧電層125tの第1の圧電副層125t−1及び第2の圧電副層125t−2は、同じ材料から形成されることができ、この場合、温度補償層127は中間に形成される。温度補償層127は、半導体プロセスに適合する様々な材料から形成されることができ、当該材料には例えば、正の温度係数を有する、BSG、SiO、Cr又はTeO(x)が含まれる。温度補償層127の正の温度係数は、圧電層125t、下側電極115、及び上側電極135を含む音響スタックの他の材料の負の温度係数を相殺する。また、温度補償層127は圧電層125t内にカプセル封入されて示されているが、理解されるように、本教示の範囲から逸脱せずに、それは圧電層125tの全幅に延在してもよく、又は圧電層125t内にほんの部分的にカプセル封入されてもよい。また、例えば、温度補償層127の表面は、下側電極115又は上側電極135の一方の表面に当接することができる。更に、音響共振器200〜500に類似して、温度補償層127は、本教示の範囲から逸脱せずに、温度補償層127の下、上または両側に配置された金属層内にカプセル封入されてもよい。
図7を参照すると、音響共振器700は、第1の平坦化層120が省かれて、温度補償層127が先細になるようにエッチングされて、金属層705内にカプセル封入されていることを除いて、音響共振器600に類似する。
一般に、音響共振器100〜700において、代表的な温度補償層117、127及び/又は137のような温度補償層の追加は、対応する音響共振器デバイスの電気機械結合係数ktを低減する。補償するために、圧電層125、125tは、本質的により高い圧電係合係数を有する材料(例えば、AlNの代わりにZnO)から形成され得る。また、様々な実施形態において、圧電層125、125tは例えば、圧電層125、125tにおいて圧電結合係数e33を増加させるために、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)又はエルビウム(Er)のような1つ又は複数の希土類元素で「ドーピング」されることができ、それによって、温度補償層117、127又は137によりもたらされる音響共振器の電気機械結合係数ktの低下の少なくとも一部を埋め合わせる。電気機械結合係数ktを改善するために圧電層を1つ又は複数の希土類元素でドーピングする例は、Bradley他による2012年10月27日に出願された米国特許出願第13/662,425号、及びGrannen他による2012年10月27日に出願された米国特許出願第13/662,460号により提供され、それらは参照により全体として本明細書に組み込まれる。
温度補償材料に起因したktの減少を補償することに加えて、スカンジウムのような材料で「ドーピング」された圧電層は、従来の圧電層に比べて、幾つかの更なる利点を提供することができる。例えば、アルミニウムスカンジウム窒化物は、音速を低減することに貢献し、それにより改善された性能を可能にする、又は同じ周波数(及び同時に起こる共振器面積の減少)に戻るために共振器の全ての層の厚さの縮小を可能にすることができる。また、アルミニウムスカンジウム窒化物は、より高い誘電率を有する傾向があり、同じ全インピーダンスに対して更なる共振器面積の低減を可能にする。更に、比例的により厚い電極は、改善されたQ値を提供する傾向があり、それは挿入損失を低減することに貢献する。これは、より良好な性能、又は更なるダイの縮小に関して圧電層を更にもっと薄くすることによって有効にktを縮小することに使用され得る。一般に、これら及び他の潜在的な利点の大きさは、圧電層120のスカンジウムの量に応じて変化するかもしれない。特定の実施形態において、上述されたように、圧電層は、約3〜10重量%のスカンジウムを有するアルミニウムスカンジウム窒化物からなることができる。
例示的な実施形態が本明細書に開示されたが、当業者ならば理解されるように、本教示に従った多くの変形形態が、可能であり、依然として添付の特許請求の範囲の範囲内にある。例えば、上述されたように、カラー(collar)及び/又はフレームの場所、寸法、及び材料は、様々に変更され得る。更に、説明されたデバイスの様々な性能特性を更に改善するために、他の特徴要素が追加および/または取り除かれ得る。これら及び他の変形形態は、本明細書、図面、及び特許請求の範囲を精査した後に、当業者には明らかになるであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲の思想および範囲内にあることを除いて、制限されるべきではない。

Claims (20)

  1. 音響共振器構造体であって、
    基板上に配置された第1の電極と、
    前記第1の電極上に配置され、アルミニウムスカンジウム窒化物を含む圧電層と、
    前記圧電層上に配置された第2の電極と、
    前記圧電層、前記第1の電極、又は前記第2の電極の温度係数の少なくとも一部を相殺する温度係数を有する温度補償要素とを含む、音響共振器構造体。
  2. 前記アルミニウムスカンジウム窒化物が、約3〜10重量%のスカンジウムを含む、請求項1に記載の音響共振器構造体。
  3. 前記温度補償要素が、酸化ケイ素を含む、請求項1に記載の音響共振器構造体。
  4. 前記温度補償要素が、前記第1の電極と前記圧電層との間に配置された温度補償層からなる、請求項1に記載の音響共振器構造体。
  5. 前記温度補償層の上に形成され、前記第1の電極と接触するインターポーザ層を更に含む、請求項4に記載の音響共振器構造体。
  6. 前記温度補償要素が、前記第2の電極上に配置された温度補償層からなる、請求項1に記載の音響共振器構造体。
  7. 前記温度補償層の上に形成され、前記第2の電極と接触するインターポーザ層を更に含む、請求項6に記載の音響共振器構造体。
  8. 前記温度補償要素が、前記圧電層内に埋め込まれた温度補償層からなる、請求項1に記載の音響共振器構造体。
  9. 前記温度補償層の上に形成された第1のインターポーザ層、及び前記温度補償層の下に形成された第2のインターポーザ層を更に含む、請求項8に記載の音響共振器構造体。
  10. 前記基板に配置された空気空洞を更に含み、前記温度補償要素が、前記空気空洞の周辺部内に配置されている、請求項1に記載の音響共振器構造体。
  11. 前記温度補償要素が、前記空気空洞の周辺部から約0〜2μm(ミクロン)の距離に配置されたエッジを有する、請求項10に記載の音響共振器構造体。
  12. 前記温度補償要素の温度係数が正の温度係数であり、前記圧電層、前記第1の電極および前記第2の電極の温度係数が負の温度係数である、請求項1に記載の音響共振器構造体。
  13. 音響共振器構造体であって、
    基板上に配置された第1の電極と、
    前記第1の電極上に配置され、少なくとも1つの希土類元素と化合された圧電材料を含む圧電層と、
    前記圧電層上に配置された第2の電極と、
    前記圧電層、前記第1の電極、又は前記第2の電極の温度係数の少なくとも一部を相殺する温度係数を有する温度補償要素とを含む、音響共振器構造体。
  14. 前記少なくとも1つの希土類元素がスカンジウム(Sc)からなる、請求項13に記載の音響共振器構造体。
  15. 前記少なくとも1つの希土類元素が、イットリウム(Y)、ランタン(La)及びエルビウム(Er)の少なくとも1つからなる、請求項13に記載の音響共振器構造体。
  16. 前記圧電層が、約3〜10重量%の前記少なくとも1つの希土類元素を含む、請求項13に記載の音響共振器構造体。
  17. 前記温度補償要素が、ボロンシリケートガラス(BSG)、二酸化ケイ素(SiO)、クロム(Cr)又は酸化テルル(TeO(x))の少なくとも1つを含む、請求項13に記載の音響共振器構造体。
  18. 前記温度補償要素が、前記第1の電極と前記圧電層との間に配置された温度補償層からなる、請求項13に記載の音響共振器構造体。
  19. 前記温度補償要素が、前記第2の電極上に配置された温度補償層からなる、請求項13に記載の音響共振器構造体。
  20. 前記温度補償要素が、前記圧電層内に埋め込まれた温度補償層からなる、請求項13に記載の音響共振器構造体。
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