JP2015163845A - 表面増強ラマンスペクトル用基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、堅固に基板に固定され、大面積(面積300μm?300μm以上の面積)の表面増強ラマンスペクトル用基板を提供することを課題とする。【解決手段】導電部材6と、導電部材6の一面に形成された固定化層2と、固定化層2の一面2aに配置された複数の金属ナノ粒子4と、を有し、各金属ナノ粒子4からの高電磁場によりラマン散乱が増強されることが可能な表面増強ラマンスペクトル用基板であって、金属ナノ粒子4は、粒径が1〜100nm以下であり、各金属ナノ粒子4は格子状にかつ等間隔で配列され、隣接する金属ナノ粒子4同士の間隔が前記粒径以下とされており、各金属ナノ粒子4の局在表面プラズモンが外部光により共鳴可能とされている表面増強ラマンスペクトル用基板50を用いることによって前記課題を解決できる。【選択図】図1
Description
本発明は、表面増強ラマンスペクトル用基板(SERS基板)に関する。
従来、表面増強ラマン分光用の基板については、荒れた銀薄膜表面や金ナノ粒子を凝集したものが使われてきた。しかし、銀薄膜表面は酸化しやすい事と、作製そのものにノウハウがあり、表面増強ラマン分光用の汎用的な基板とは言えない。又、金ナノ粒子凝集体は再現性が無く、表面増強ラマン分光用の強度を相対強度に議論するのも難しい。しかし、金ナノ粒子凝集体は、同じ凝集体(配列)構造を作製する手法が確立できれば、表面増強ラマン分光用の汎用的な基板として利用が可能で、高感度センサーなどへ応用が期待できる。
1〜100nmの粒径の金属ナノ粒子は、その半径に相当する大きさの局在電磁場を発生させることができる。そのため、金属ナノ粒子同士の間隔を1〜10nmとして、2次元状に配列した金属ナノ配列を基板上に備えた金属ナノ粒子配列構造体は、金属ナノ粒子の間隙中に大きな電磁場(以下、ホットスポットと呼ぶ)を発生させることができる。ラマン分光用の入射光がホットスポット中にある分子振動励起が生じる際には、入射時に電磁場強度の二乗、出射時に電磁場強度の二乗の増強を起こし、両者の効果により電磁場強度の四乗でラマン信号が増強される事が知られている。この効果を表面増強ラマン効果と呼び、一分子の振動を検出する事を可能とする。
金属ナノ粒子配列構造体を、表面増強ラマン分光用の汎用的な基板へ応用するためには、金属ナノ粒子の大きさ、形状、間隔が揃った金属ナノ粒子配列構造体を用いることが必要とされるので、金属ナノ粒子の大きさ、形状、間隔を制御することが技術的な鍵となる。
金属ナノ粒子配列構造体の作製技術については、既にいくつかの報告がある。例えば、ナノスペースリソグラフィ―(非特許文献1〜3)、電子ビームリソグラフィ(非特許文献4)が従来的な手法によるものであるが、リソグラフィ装置が高価な点と大規模な構造を作製するのは困難である点が課題となっている。
自己組織化手法による作製も試みられている。外圧を用いる手法としては、ラングミュラ―法(非特許文献5〜8)、ラングミュラ―・ブロジェット法(非特許文献9〜10)、ディップコーティング法(非特許文献11)、固液界面の利用(特許文献1)がある。また、外場を利用する方法としては、電気泳動法(非特許文献13、特許文献3)、溶媒蒸発法(非特許文献12、特許文献2)がある。しかし、これらの手法は、金属ナノ粒子配列構造体と固定基板との間に化学結合などの強い固定化手段を持たないので、金属ナノ粒子配列構造体が固定基板から容易に剥がれるなどの課題がある。
化学結合などの基板上への固定化手段に注目した技術としては、チオール結合(非特許文献14〜15)、CN結合(非特許文献16)、配位結合(非特許文献17〜18)がある。しかし、これらの方法では、高い被覆率を有する金属ナノ粒子配列構造体が得られていない。
なお、被覆率とは、特定の面積内において金属ナノ粒子配列が占める面積の割合である。
自己組織化手法による作製も試みられている。外圧を用いる手法としては、ラングミュラ―法(非特許文献5〜8)、ラングミュラ―・ブロジェット法(非特許文献9〜10)、ディップコーティング法(非特許文献11)、固液界面の利用(特許文献1)がある。また、外場を利用する方法としては、電気泳動法(非特許文献13、特許文献3)、溶媒蒸発法(非特許文献12、特許文献2)がある。しかし、これらの手法は、金属ナノ粒子配列構造体と固定基板との間に化学結合などの強い固定化手段を持たないので、金属ナノ粒子配列構造体が固定基板から容易に剥がれるなどの課題がある。
化学結合などの基板上への固定化手段に注目した技術としては、チオール結合(非特許文献14〜15)、CN結合(非特許文献16)、配位結合(非特許文献17〜18)がある。しかし、これらの方法では、高い被覆率を有する金属ナノ粒子配列構造体が得られていない。
なお、被覆率とは、特定の面積内において金属ナノ粒子配列が占める面積の割合である。
この中で、コスト面を除けば、リソグラフィ手法によるものが一番理想的である。図19は、リソグラフィ手法により形成した金ナノブロック体2次元配列構造体を示す模式図である。
図19に示すように、金ナノブロック体2次元配列構造体は、100nm×100nmの金ブロック構造を5nm以下の間隙距離で2次元アレイ状に配置されて構成されている。外部の光源から偏光を照射して金ブロックに局在表面プラズモン励起によるホットスポットを発現させることが実証されている(非特許文献19)。
図19に示すように、金ナノブロック体2次元配列構造体は、100nm×100nmの金ブロック構造を5nm以下の間隙距離で2次元アレイ状に配置されて構成されている。外部の光源から偏光を照射して金ブロックに局在表面プラズモン励起によるホットスポットを発現させることが実証されている(非特許文献19)。
しかし、金ナノブロック体2次元配列構造体を用いた場合には、ホットスポットの面密度が低く、金ブロック間の間隙距離を5nm程度に制御はできても、それ以上の精度は無く、金ナノブロック体の面内均一のラマン分光の表面増強効果を得ることができず、また、その表面増強因子も十分なものではなかった。
また、電子ビームリソグラフィ法を用いているので、安価に金ナノ粒子2次元アレイを作製することができないとともに、5nm×5nmの作製精度では面積300μm×300μmより小さなサイズの金ナノ粒子2次元アレイしか作成できないという問題があった。
更にまた、この金ナノブロック体2次元配列構造体は、基板上への固定化が弱く、溶液中や流体中で使用した場合、基板から容易に剥がれてしまうという問題があった。
また、電子ビームリソグラフィ法を用いているので、安価に金ナノ粒子2次元アレイを作製することができないとともに、5nm×5nmの作製精度では面積300μm×300μmより小さなサイズの金ナノ粒子2次元アレイしか作成できないという問題があった。
更にまた、この金ナノブロック体2次元配列構造体は、基板上への固定化が弱く、溶液中や流体中で使用した場合、基板から容易に剥がれてしまうという問題があった。
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本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、堅固に基板に固定され、大面積(面積300μm×300μm以上の面積)の表面増強ラマンスペクトル用基板を提供することを課題とする。
本発明者は、上記事情を鑑みて、試行錯誤することにより、近接場光アレイにおいて光近接場が高電磁場として作用し、高感度の表面増強ラマンスペクトル用基板として用いることが可能であること、また、近接場光アレイを構成する金属ナノ粒子としてコアシェル粒子を用いることにより、感度及び耐久性を飛躍的に増強できることを見出して、本発明を完成した。
本発明は、以下の構成を有する。
本発明は、以下の構成を有する。
(1) 導電部材と、前記導電部材の一面に形成された固定化層と、前記固定化層の一面に配置された複数の金属ナノ粒子と、を有し、各金属ナノ粒子からの高電磁場によりラマン散乱が増強されることが可能な表面増強ラマンスペクトル用基板であって、前記金属ナノ粒子は、粒径が1〜100nm以下であり、各金属ナノ粒子は格子状にかつ等間隔で配列され、隣接する金属ナノ粒子同士の間隔が前記粒径以下とされており、各金属ナノ粒子の局在表面プラズモンが外部光により共鳴可能とされていることを特徴とする表面増強ラマンスペクトル用基板。
(2) 前記固定化層の層厚が10nm以下とされていることを特徴とする(1)に記載の表面増強ラマンスペクトル用基板。
(3) 前記金属ナノ粒子同士の間隔が1〜10nmとされていることを特徴とする(1)又は(2)に記載の表面増強ラマンスペクトル用基板。
(4) 前記金属ナノ粒子が、その表面に備えられた修飾部により互いに接合されてなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の表面増強ラマンスペクトル用基板。
(5) 前記金属ナノ粒子が金又は銀ナノ粒子であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の表面増強ラマンスペクトル用基板。
(6) 前記金属ナノ粒子がコアシェル粒子であり、前記コアシェル粒子のコアで金であり、シェルが金以外の材質であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の表面増強ラマンスペクトル用基板。
(7) 前記金以外の材質が銀、銅、アルミニウムであることを特徴とする(6)に記載の表面増強ラマンスペクトル用基板。
(8) 前記修飾部がチオール基を有する有機分子であり、前記チオール基が前記金属ナノ粒子に接合されていることを特徴とする(4)〜(7)のいずれかに記載の表面増強ラマンスペクトル用基板。
(9) 前記修飾部の有機分子が6以上20以下の炭素を備えたアルキル鎖を有していることを特徴とする(8)に記載の表面増強ラマンスペクトル用基板。
(10) 前記固定化層が少なくとも2つのチオール基を有する有機分子からなり、前記固定化層の一面側と他面側にそれぞれ少なくとも1つのチオール基が配置されており、前記他面側のチオール基が前記導電部材に接合されていることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の表面増強ラマンスペクトル用基板。
(11) 前記固定化層の有機分子が6以上20以下の炭素を備えたアルキル鎖を有していることを特徴とする(10)に記載の近表面増強ラマンスペクトル用基板。
(12) 前記導電部材が金又はITOからなることを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の表面増強ラマンスペクトル用基板。
本発明の表面増強ラマンスペクトル用基板は、導電部材と、前記導電部材の一面に形成された固定化層と、前記固定化層の一面に配置された複数の金属ナノ粒子と、を有し、各金属ナノ粒子からの高電磁場によりラマン散乱が増強されることが可能な表面増強ラマンスペクトル用基板であって、前記金属ナノ粒子は、粒径が1〜100nm以下であり、各金属ナノ粒子は格子状にかつ等間隔で配列され、隣接する金属ナノ粒子同士の間隔が前記粒径以下とされており、各金属ナノ粒子の局在表面プラズモンが外部光により共鳴可能とされている構成なので、金属ナノ粒子同士の間隔を1nm未満に制御して、高配列化した2次元アレイを作製でき、これにより、面内均一で、高強度のラマン分光の表面増強効果を得ることができ、高感度に被測定物を測定することができる。また、容易に、短時間で、安価に、大面積(面積300μm×300μm以上の面積)の表面増強ラマンスペクトル用基板を作製することができる。また、堅固に基板に固定され、溶液中や流体中で使用しても、基板から剥がされることなく、安定して易使用できる表面増強ラマンスペクトル用基板を提供することができる。
(本発明の第1の実施形態)
以下、添付図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板の一例を示す図であって、図1(a)は斜視図であり、図1(b)は縦断面図である。
図1に示すように、本発明の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板50は、導電部材6と、導電部材6の一面6aに化学結合により固定化された固定化層2と、固定化層2の一面2aに化学結合により固定化された光散乱粒子配列3と、を有して構成されている。
金属ナノ粒子配列3が、粒径が1〜100nm以下の金属ナノ粒子4が、前記粒径以下の間隙距離で、かつ、等間隔となるように配列されてなる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板の一例を示す図であって、図1(a)は斜視図であり、図1(b)は縦断面図である。
図1に示すように、本発明の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板50は、導電部材6と、導電部材6の一面6aに化学結合により固定化された固定化層2と、固定化層2の一面2aに化学結合により固定化された光散乱粒子配列3と、を有して構成されている。
金属ナノ粒子配列3が、粒径が1〜100nm以下の金属ナノ粒子4が、前記粒径以下の間隙距離で、かつ、等間隔となるように配列されてなる。
導電部材6は基板51の一面51a上に形成されている。
導電部材6は、金などの金属材料などからなる導電性基板を用いることができる。基板51として導電性基板を用いて、基板51を導電部材6としてもよい。
金やITOなどの薄膜を形成して、導電部材6としてもよい。この場合、基板51として、サファイア基板や石英基板、ガラス基板などの絶縁性基板を用いることが好ましい。これらの基板は、平坦性が高いので、導電部材6を平坦に、かつ、被覆率高く形成できるためである。
導電部材6は、金などの金属材料などからなる導電性基板を用いることができる。基板51として導電性基板を用いて、基板51を導電部材6としてもよい。
金やITOなどの薄膜を形成して、導電部材6としてもよい。この場合、基板51として、サファイア基板や石英基板、ガラス基板などの絶縁性基板を用いることが好ましい。これらの基板は、平坦性が高いので、導電部材6を平坦に、かつ、被覆率高く形成できるためである。
図2は、金属ナノ粒子配列3の一例を示す拡大平面図である。金属ナノ粒子4からの高電磁場NFも概念的に示している。
図2に示すように、金属ナノ粒子配列3は、金属ナノ粒子4が2次元状に規則的に配列されてなる。金属ナノ粒子4は、固定化層2全面で同一の規則性を有して配列されている。高電磁場NFは、金属ナノ粒子4の周りに規則的に形成されるので、高電磁場は、固定化層2全面で均一に発生される。
図2に示すように、金属ナノ粒子配列3は、金属ナノ粒子4が2次元状に規則的に配列されてなる。金属ナノ粒子4は、固定化層2全面で同一の規則性を有して配列されている。高電磁場NFは、金属ナノ粒子4の周りに規則的に形成されるので、高電磁場は、固定化層2全面で均一に発生される。
より具体的には、適切な波長分布を持つ光を1〜100nmの大きさの金属ナノ粒子4に照射することにより、金属ナノ粒子4の表面に高電磁場NFが発生する。これにより、金属ナノ粒子3から固定化層2全面で均一に高電磁場NFが発生する。
高電磁場NFの大きさは金属ナノ粒子の半径程度であることが知られている。ここで、高電磁場NFの大きさとは、金属ナノ粒子4の表面から高電磁場が及ぶ範囲である。
高電磁場NFの大きさは金属ナノ粒子の半径程度であることが知られている。ここで、高電磁場NFの大きさとは、金属ナノ粒子4の表面から高電磁場が及ぶ範囲である。
なお、金属ナノ粒子配列3は、このように理想的な配列に限られるものではない。
図3は、金属ナノ粒子配列3の別の一例を示す拡大図である。このように、同一の規則性を有して配列してなる金属ナノ粒子配列3からなる領域であるドメイン部8が、複数存在する形態としてもよい。このような形態としても、金属ナノ粒子4は固定化層2に強固に接合されているとともに、各ドメイン部8の間の金属ナノ粒子4により被覆されていない領域を小さくして、被覆率は高くすることができる。
ドメイン部8の大きさは、最近接の金属ナノ粒子4のみからなる第1近接領域であってもよく、2番目に近接する金属ナノ粒子4までを含む第2近接領域であってもよく、3番目に近接する金属ナノ粒子4までを含む第3近接領域であってもよい。
図3は、金属ナノ粒子配列3の別の一例を示す拡大図である。このように、同一の規則性を有して配列してなる金属ナノ粒子配列3からなる領域であるドメイン部8が、複数存在する形態としてもよい。このような形態としても、金属ナノ粒子4は固定化層2に強固に接合されているとともに、各ドメイン部8の間の金属ナノ粒子4により被覆されていない領域を小さくして、被覆率は高くすることができる。
ドメイン部8の大きさは、最近接の金属ナノ粒子4のみからなる第1近接領域であってもよく、2番目に近接する金属ナノ粒子4までを含む第2近接領域であってもよく、3番目に近接する金属ナノ粒子4までを含む第3近接領域であってもよい。
図4は、金属ナノ粒子配列3をより拡大した図であって、図4(a)は図2のE部の拡大図であって、図4(b)は図2のF−F’線における断面図である。
図4に示すように、粒径Fmの金属ナノ粒子4は、修飾部5を介して、分子間相互作用により、互いに接続されている。これにより、金属ナノ粒子4の間の距離(間隙距離)Gm及び隣接する金属ナノ粒子4の中心Oの距離(粒子間距離)Lmがほぼ一定とされるとともに、金属ナノ粒子4同士を強固に接合することができる。なお、固定化層の厚さ(固定化層厚)Gs及び金属ナノ粒子4の中心Oから導電部材6の一面6aまでの距離(粒子基板間距離)Lsもほぼ一定とされている。
図4に示すように、粒径Fmの金属ナノ粒子4は、修飾部5を介して、分子間相互作用により、互いに接続されている。これにより、金属ナノ粒子4の間の距離(間隙距離)Gm及び隣接する金属ナノ粒子4の中心Oの距離(粒子間距離)Lmがほぼ一定とされるとともに、金属ナノ粒子4同士を強固に接合することができる。なお、固定化層の厚さ(固定化層厚)Gs及び金属ナノ粒子4の中心Oから導電部材6の一面6aまでの距離(粒子基板間距離)Lsもほぼ一定とされている。
金属ナノ粒子4としては、金ナノ粒子又は銀ナノ粒子を挙げることができる。金又は銀は、均一な形状及び均一な粒径の粒子を入手しやすく、また、金又は銀にはチオール基等を有する有機分子などの修飾部5を化学結合により接合させやすいためである。
しかし、これに限られるものではなく、金属ナノ粒子4としては、金属的な性質を持つ材料、あるいは少なくとも表面が金属で覆われている粒子であればよい。粒子の内部が空洞または絶縁体等であってもよい。
しかし、これに限られるものではなく、金属ナノ粒子4としては、金属的な性質を持つ材料、あるいは少なくとも表面が金属で覆われている粒子であればよい。粒子の内部が空洞または絶縁体等であってもよい。
金属ナノ粒子4の粒径Fmは1〜100nmとすることが好ましく、1〜50nmとすることがより好ましい。これにより、金属ナノ粒子配列3における金属ナノ粒子4の規則性を高めることができ、被覆率を向上させることができる。
また、金属ナノ粒子4の間隙距離Gmは、前記粒径以下とすることが好ましく、1〜10nmとすることが好ましく、1〜5nmとすることがより好ましい。これにより、金属ナノ粒子4同士を強固に結合することができる。また、高電磁場の強度を増強することができる。
また、金属ナノ粒子4の間隙距離Gmは、前記粒径以下とすることが好ましく、1〜10nmとすることが好ましく、1〜5nmとすることがより好ましい。これにより、金属ナノ粒子4同士を強固に結合することができる。また、高電磁場の強度を増強することができる。
各金属ナノ粒子4は、外部光により、その表面に局在表面プラズモンを発生させる。
この局在表面プラズモンは、外部光の光電場と共鳴して、局在表面プラズモン共鳴状態にある高電磁場を発する。これにより、図4に示すように、各金属ナノ粒子4は、周りに等方的に高電磁場NFを形成する。高電磁場NFの広がりは、粒子半径程度とされている。高電磁場NFは、金属ナノ粒子4側の光強度は強く、金属ナノ粒子4から離れるに従い、徐々に弱くなる。
この局在表面プラズモンは、外部光の光電場と共鳴して、局在表面プラズモン共鳴状態にある高電磁場を発する。これにより、図4に示すように、各金属ナノ粒子4は、周りに等方的に高電磁場NFを形成する。高電磁場NFの広がりは、粒子半径程度とされている。高電磁場NFは、金属ナノ粒子4側の光強度は強く、金属ナノ粒子4から離れるに従い、徐々に弱くなる。
金属ナノ粒子4は格子状にかつ等間隔で配列されているので、隣接する金属ナノ粒子4の間には、2つの金属ナノ粒子4からの高電磁場が2重に重なった領域NFO2が形成される。また、3つの隣接する金属ナノ粒子4で囲まれる領域には、3つの金属ナノ粒子4からの高電磁場が3重に重なった領域NFO3が形成される。
また、隣接する金属ナノ粒子4間では強い電場増強場が発生しており、領域NFO2及び領域NFO3では高電磁場の強度が増強されているだけで無く、電場も増強されている。
また、隣接する金属ナノ粒子4間では強い電場増強場が発生しており、領域NFO2及び領域NFO3では高電磁場の強度が増強されているだけで無く、電場も増強されている。
なお、金属ナノ粒子4間の電磁的な相互作用により、局在表面プラズモン共鳴周波数はレッドシフトする。つまり、この局在表面プラズモン共鳴周波数は、金属ナノ粒子4の大きさと金属ナノ粒子4間の間隙距離Gmの大きさを変えることにより制御することができる。
金属ナノ粒子4の粒径Fmと金属ナノ粒子4間の間隙距離Gmの大きさを適切に設定して局在表面プラズモン共鳴周波数をレッドシフトさせると、局在表面プラズモン共鳴周波数を制御できる。
金属ナノ粒子4の粒径Fmと金属ナノ粒子4間の間隙距離Gmの大きさを適切に設定して局在表面プラズモン共鳴周波数をレッドシフトさせると、局在表面プラズモン共鳴周波数を制御できる。
修飾部5としては、アルカンチオール等のチオール基を有する有機分子を用いることができる。金属ナノ粒子4として金ナノ粒子等を用いた場合、その表面に強固に接合できるとともに、金属ナノ粒子4同士の間隙距離Gmをほぼ一定に保つことができるためである。
更に、固定化層2としては、アルカンジオール等の2以上のチオール基を有する有機分子を用いることができる。導電部材6として金材料を用いた場合、その表面に化学結合により強固に接合できるとともに、前記有機分子の分子軸方向を固定化層の一面に垂直となるように前記有機分子を配列することにより、前記有機分子の長さを固定化層厚Gsとして、固定化層厚Gsをほぼ一定に保つことができるためである。
更に、固定化層2としては、アルカンジオール等の2以上のチオール基を有する有機分子を用いることができる。導電部材6として金材料を用いた場合、その表面に化学結合により強固に接合できるとともに、前記有機分子の分子軸方向を固定化層の一面に垂直となるように前記有機分子を配列することにより、前記有機分子の長さを固定化層厚Gsとして、固定化層厚Gsをほぼ一定に保つことができるためである。
固定化層厚Gsは1〜10nmとすることが好ましく、1〜5nmとすることがより好ましい。導電部材6内で金属ナノ粒子4と導電部材6の間にも局在表面プラズモン共鳴を生じて、各金属ナノ粒子4からの高電磁場の強度をより増強させることができる。固定化層厚Gsは10nm以下とすることにより、この効果を高めることができる。
図5は、金属ナノ粒子配列3の一例を示す図であって、図4に示した金属ナノ粒子配列3をより具体的に示した拡大図である。
金属ナノ粒子4としてAuを用い、修飾部5としてアルカンチオールを用い、固定化層2としてアルカンジオールを用いている。また、導電部材6の他面側には絶縁性基板からなる基板51が配置されている。
アルカンチオール及びアルカンジオールのアルキル鎖の長さを制御することにより、金属ナノ粒子4の間の間隙距離Gm及び粒子基板間距離Lsなどを制御できる。
金属ナノ粒子4としてAuを用い、修飾部5としてアルカンチオールを用い、固定化層2としてアルカンジオールを用いている。また、導電部材6の他面側には絶縁性基板からなる基板51が配置されている。
アルカンチオール及びアルカンジオールのアルキル鎖の長さを制御することにより、金属ナノ粒子4の間の間隙距離Gm及び粒子基板間距離Lsなどを制御できる。
(本発明の第2の実施形態)
図6は、金属ナノ粒子配列3の別の一例を示す図であって、図4に示した金属ナノ粒子配列3をより具体的に示した拡大図である。
金属ナノ粒子4として、コア粒子4aとしてAuを用い、シェル層4bとしてAgを用いたコアシェル金属ナノ粒子を用いた。修飾部5としてアルカンチオールを用い、固定化層2としてアルカンジオールを用いている。また、導電部材6の他面側には絶縁性基板からなる基板51が配置されている。
アルカンチオール及びアルカンジオールのアルキル鎖の長さを制御することにより、金属ナノ粒子4の間の間隙距離Gm及び粒子基板間距離Lsなどを制御できる。
図6は、金属ナノ粒子配列3の別の一例を示す図であって、図4に示した金属ナノ粒子配列3をより具体的に示した拡大図である。
金属ナノ粒子4として、コア粒子4aとしてAuを用い、シェル層4bとしてAgを用いたコアシェル金属ナノ粒子を用いた。修飾部5としてアルカンチオールを用い、固定化層2としてアルカンジオールを用いている。また、導電部材6の他面側には絶縁性基板からなる基板51が配置されている。
アルカンチオール及びアルカンジオールのアルキル鎖の長さを制御することにより、金属ナノ粒子4の間の間隙距離Gm及び粒子基板間距離Lsなどを制御できる。
〈表面増強ラマンスペクトル基板の製造方法〉
以下、本発明の第1又は第2の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板の製造方法を説明する。
本発明の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板の製造方法は、金属ナノ粒子を溶媒に分散して反応液を調整した後、前記反応液を液槽に満たしてから、2つの電極部を前記反応液に完全に浸漬させるように前記液槽の内部に対向配置させる第1工程と、前記2つの電極部に配線を介して接続した電源部から、前記2つの電極部に電圧を印加することにより前記金属ナノ粒子を電界移動させるとともに、前記反応液の液面を移動させて、前記電極部の一面に前記金属ナノ粒子が2次元状に配列されてなる金属ナノ粒子配列を形成する第2工程と、を有する。
以下、本発明の第1又は第2の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板の製造方法を説明する。
本発明の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板の製造方法は、金属ナノ粒子を溶媒に分散して反応液を調整した後、前記反応液を液槽に満たしてから、2つの電極部を前記反応液に完全に浸漬させるように前記液槽の内部に対向配置させる第1工程と、前記2つの電極部に配線を介して接続した電源部から、前記2つの電極部に電圧を印加することにより前記金属ナノ粒子を電界移動させるとともに、前記反応液の液面を移動させて、前記電極部の一面に前記金属ナノ粒子が2次元状に配列されてなる金属ナノ粒子配列を形成する第2工程と、を有する。
図7は、表面増強ラマンスペクトル基板の一例を示す工程図である。
図7(a)は、第1工程の終了時点の工程断面図であって、金属ナノ粒子などの金属ナノ粒子4を溶媒21に分散して反応液22を調整した後、反応液22を液槽23に満たしてから、2つの電極部25、26を反応液22に完全に浸漬させるように液槽23の内部に対向配置させた時点を示す図である。
図7(a)は、第1工程の終了時点の工程断面図であって、金属ナノ粒子などの金属ナノ粒子4を溶媒21に分散して反応液22を調整した後、反応液22を液槽23に満たしてから、2つの電極部25、26を反応液22に完全に浸漬させるように液槽23の内部に対向配置させた時点を示す図である。
溶媒21としては揮発性溶媒を用いる。また、金属ナノ粒子4は予め有機分子からなる修飾部5により覆った状態としている。
一の電極部25には、固定化層2を形成した導電部材6を用いている。導電部材6としては導電性基板を用い、固定化層2を他方の電極部26に向けて配置している。
2つの電極部25、26を反応液22に完全に浸漬させるような位置に、反応液22の液面22aが設定されている。
一の電極部25には、固定化層2を形成した導電部材6を用いている。導電部材6としては導電性基板を用い、固定化層2を他方の電極部26に向けて配置している。
2つの電極部25、26を反応液22に完全に浸漬させるような位置に、反応液22の液面22aが設定されている。
揮発性溶媒21は、水、アルコール類、ケトン類、エステル類、ハロゲン系溶媒、脂肪族炭化水素類、または芳香族炭化水素類、あるいはそれらの混合物のいずれかであることが好ましい。これにより、金属ナノ粒子4の組織構造形成における速度論的および熱力学的パラメータを制御することができる。
揮発性溶媒21は、無機塩、有機塩、あるいはその両方を含むことが好ましい。これにより、金属ナノ粒子4の電気泳動における電界から受ける力を制御することができる。
揮発性溶媒21は、無機塩、有機塩、あるいはその両方を含むことが好ましい。これにより、金属ナノ粒子4の電気泳動における電界から受ける力を制御することができる。
第2工程は、電源28から配線27を介して2つの電極部25、26に電圧を印加して反応液22に直流を流しながら、反応液22の溶媒21を揮発させる工程である。
反応液22に直流を流すと、反応液22中の金属ナノ粒子4は帯電しているので、電界移動を始め、いずれか一方の電極部に集まり始める。
例えば、マイナスに帯電した金属ナノ粒子4を用いた場合には、その逆のプラスの電位であるアノード電極に集まる。そのため、アノード電極として一の電極部25を用いれば、一の電極部25上に金属ナノ粒子4が集まる。
このように、金属ナノ粒子配列を形成させる導電部材6をアノード電極とするか、カソード電極にするかは、金属ナノ粒子4の帯電電位により決定する。
反応液22に直流を流すと、反応液22中の金属ナノ粒子4は帯電しているので、電界移動を始め、いずれか一方の電極部に集まり始める。
例えば、マイナスに帯電した金属ナノ粒子4を用いた場合には、その逆のプラスの電位であるアノード電極に集まる。そのため、アノード電極として一の電極部25を用いれば、一の電極部25上に金属ナノ粒子4が集まる。
このように、金属ナノ粒子配列を形成させる導電部材6をアノード電極とするか、カソード電極にするかは、金属ナノ粒子4の帯電電位により決定する。
金属ナノ粒子4は、電界×移動距離×帯電価数からなるイオンエネルギーを持つ。このイオンエネルギーにより、金属ナノ粒子4は、エネルギー障壁を超えて導電部材6に化学吸着する。このイオンエネルギーが無ければ、エネルギー障壁を超えて化学吸着をすることができず、物理吸着に留まる。
図7(b)は、第2工程の途中時点の工程断面図である。
図7(b)に示すように、電圧を印加している途中、揮発性溶媒21は、蓋部24の孔部24cから揮発し、反応液22の液面22aを低下させる。これにより、導電部材6の蓋部24側の部分が液面22aから露出される。
図7(b)に示すように、電圧を印加している途中、揮発性溶媒21は、蓋部24の孔部24cから揮発し、反応液22の液面22aを低下させる。これにより、導電部材6の蓋部24側の部分が液面22aから露出される。
固定化層2の一面上の部分であって、液面22a近傍の液面22aから露出された部分(以下、気液界面部29)では、金属ナノ粒子4の濃度が飽和に達し、過飽和状態での金属ナノ粒子4の2次元配列の核形成が生じる。
液面22aの低下とともに、気液界面部29の位置も低下する。これにより、蓋部24側から、金属ナノ粒子4の2次元配列の核形成が徐々に進行する。
そのため、金属ナノ粒子4の2次元配列の核形成速度が、反応液22の揮発性溶媒21の蒸発速度より早いと、金属ナノ粒子配列3の被覆率を100%に近い状態にすることができる。これにより、露出された導電部材6上の固定化層2上に、金属ナノ粒子配列3を被覆率高く形成することができる。
液面22aの低下とともに、気液界面部29の位置も低下する。これにより、蓋部24側から、金属ナノ粒子4の2次元配列の核形成が徐々に進行する。
そのため、金属ナノ粒子4の2次元配列の核形成速度が、反応液22の揮発性溶媒21の蒸発速度より早いと、金属ナノ粒子配列3の被覆率を100%に近い状態にすることができる。これにより、露出された導電部材6上の固定化層2上に、金属ナノ粒子配列3を被覆率高く形成することができる。
揮発性溶媒の揮発速度は、孔部24cの開口径と長さ及び揮発性溶媒の蒸気の粘性で決まる流体力学的な抵抗(粘性×長さ/開口径)を調整する事により制御することができる。これにより、液面22aの移動速度を制御できる。
固定化層2への金属ナノ粒子4の化学吸着は、金属ナノ粒子4の2次元配列の核形成と同時に生じることになる。
前記イオンエネルギーが大き過ぎなければ、化学吸着を起こす前に、核形成に必要なエネルギー的に安定な物理位置に出会うだけの時間が十分にあることになり、化学吸着と2次元配列化は両立することができる。
前記イオンエネルギーが大き過ぎなければ、化学吸着を起こす前に、核形成に必要なエネルギー的に安定な物理位置に出会うだけの時間が十分にあることになり、化学吸着と2次元配列化は両立することができる。
図7(c)は、第2工程の終了時点の工程断面図である。導電部材6は完全に液面22aの上に出て、導電部材6上の固定化層2上に金属ナノ粒子配列3が形成されている。
被覆率が高く、金属ナノ粒子4が固定化層2に強固に接合した金属ナノ粒子配列3が形成される。
被覆率が高く、金属ナノ粒子4が固定化層2に強固に接合した金属ナノ粒子配列3が形成される。
更に、第2工程が終了した後に、導電部材6上の固定化層2上のナノ粒子配列3を40−70℃でアニールしてもよい。これにより、金属ナノ粒子4と固定化層2との化学結合をより強固にすることができる。
その後、導電部材6の表面を流水洗浄や適当な溶媒中で超音波洗浄することにより、導電部材6と化学結合していない金属ナノ粒子4を除去することができる。
この方法を用いることにより、面積(300μm×300μmより以上の面積)の表面増強ラマンスペクトル基板を容易にかつ安価に製造することができる。
その後、導電部材6の表面を流水洗浄や適当な溶媒中で超音波洗浄することにより、導電部材6と化学結合していない金属ナノ粒子4を除去することができる。
この方法を用いることにより、面積(300μm×300μmより以上の面積)の表面増強ラマンスペクトル基板を容易にかつ安価に製造することができる。
本発明の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板50は、導電部材6と、導電部材6の一面6aに形成された固定化層2と、固定化層2の一面2aに配置された複数の金属ナノ粒子4と、を有し、各金属ナノ粒子4からの高電磁場により増強可能な表面増強ラマンスペクトル基板であって、金属ナノ粒子4は、粒径が1〜100nm以下であり、金属ナノ粒子4は格子状にかつ等間隔で配列され、隣接する金属ナノ粒子4同士の間隔が前記粒径以下とされており、各金属ナノ粒子4の局在表面プラズモンが外部光により共鳴可能とされている構成なので、導電部材6と金属ナノ粒子4が固定化層2を介して強固に接合され、各金属ナノ粒子4の局在表面プラズモンが外部光により共鳴可能とされることにより、領域NFO2及び領域NFO3で高電磁場により増強可能な表面増強ラマンスペクトル基板を提供することができる。また、大面積(300μm×300μmより以上の面積)の表面増強ラマンスペクトル基板を提供することができる。
本発明の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板50は、固定化層2の層厚が10nm以下とされている構成なので、導電部材6内で金属ナノ粒子4と導電部材6の間にも局在表面プラズモン共鳴を生じさせ、各金属ナノ粒子4からの高電磁場の強度をより増強させ表面増強ラマンスペクトル基板を提供することができる。
本発明の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板50は、金属ナノ粒子4同士の間隔が1〜10nmとされている構成なので、外部光により共鳴可能とされた各金属ナノ粒子4の局在表面プラズモンにより、領域NFO2及び領域NFO3で高電磁場により増強可能な表面増強ラマンスペクトル基板を提供することができる。
本発明の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板50は、金属ナノ粒子4が、その表面に備えられた修飾部により互いに接合されてなる構成なので、金属ナノ粒子4同士が強固に接合され、領域NFO2及び領域NFO3で高電磁場の強度が増強された表面増強ラマンスペクトル基板を提供することができる。
本発明の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板50は、金属ナノ粒子4が金又は銀ナノ粒子である構成なので、金属ナノ粒子4を互いに分子間力により2次元面内の規則性を高く配列して、金属ナノ粒子4の間隙距離Gmを等しくし、被覆率の高い金属ナノ粒子配列を形成でき、また、導電部材6と金属ナノ粒子4が固定化層2を介して強固に接合され、各金属ナノ粒子4の局在表面プラズモンが外部光により共鳴可能とされることにより、高電磁場の強度が増強された表面増強ラマンスペクトル基板を提供することができる。
また、導電部材6と金属ナノ粒子4が固定化層2を介して例えば金チオール結合を化学結合により強固に接合され、各金属ナノ粒子4の局在表面プラズモンが外部光により共鳴可能とされることにより、高電磁場の強度が増強された表面増強ラマンスペクトル基板を提供することができる。
また、導電部材6と金属ナノ粒子4が固定化層2を介して例えば金チオール結合を化学結合により強固に接合され、各金属ナノ粒子4の局在表面プラズモンが外部光により共鳴可能とされることにより、高電磁場の強度が増強された表面増強ラマンスペクトル基板を提供することができる。
本発明の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板50は、前記金属ナノ粒子がコアシェル粒子であり、前記コアシェル粒子のコアで金であり、シェルが金以外の材質である構成なので、Auナノ粒子のコアにより、高電磁場の強度が増強された表面増強ラマンスペクトル基板を提供することができるとともに、シェルによって、Auの劣化を抑制して、耐久性を高めた基板とすることができる。
本発明の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板50は、前記金以外の材質が銀、銅、アルミニウムである構成なので、シェルを安定に形成でき、コアシェル粒子の形状を安定に保持することができる。
本発明の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板50は、修飾部5がチオール基を有する有機分子であり、前記チオール基が前記金属ナノ粒子に接合されている構成なので、2次元面内の規則性を高く配列し、高電磁場の強度が増強された表面増強ラマンスペクトル基板を提供することができる。また、金属ナノ粒子として金ナノ粒子を用いた場合に、強固な化学結合である金チオール結合を化学結合として用いて、堅固に導電部材6に固定された表面増強ラマンスペクトル基板を提供することができる。
本発明の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板50は、修飾部5の有機分子が6以上20以下の炭素を備えたアルキル鎖を有している構成なので、間隙距離Gmの制御性を高めるとともに、金属ナノ粒子相互間の結合を高めた表面増強ラマンスペクトル基板を提供することができる。
本発明の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板50は、前記修飾部の有機分子が6以上20以下の炭素を備えたアルキル鎖を有している構成なので、金属ナノ粒子同士を強固に接続し、2次元アレイ配列構造を保持できる。
本発明の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板50は、固定化層2が少なくとも2つのチオール基を有する有機分子からなり、固定化層2の一面側と他面側にそれぞれ少なくとも1つのチオール基が配置されており、前記他面側のチオール基が導電部材6に接合されている構成なので、固定化層2を堅固に導電部材6に固定した表面増強ラマンスペクトル基板を提供することができる。
本発明の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板50は、固定化層2の有機分子が6以上20以下の炭素を備えたアルキル鎖を有している構成なので、液晶のような動的挙動はなく、固体表面上と同様に安定に固定化されている表面増強ラマンスペクトル基板を提供することができる。また、固定化層厚Gs及び粒子基板間距離Lsを均一とするとともに、固定化層2を堅固に導電部材6に固定した表面増強ラマンスペクトル基板を提供することができる。
本発明の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板50は、導電部材6が金又はITOからなる構成なので、2次元面内の規則性を高めた表面増強ラマンスペクトル基板を提供することができる。また、修飾部5としてチオール基を有する有機分子を用いた場合、強固な化学結合である金チオール結合を化学結合として用いることができる。
本発明の実施形態である表面増強ラマンスペクトル基板及びその製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。本実施形態の具体例を以下の実施例で示す。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<表面増強ラマンスペクトル基板製造プロセス>
まず、粒径Fmが約10nmの金ナノ粒子を予めドデカンチオール分子によって修飾した。
次に、ヘキサンチオール分子とドデカンチオール分子=3:1によって修飾した金ナノ粒子を、濃度5.7×1013/mlでn−ヘキサン:アセトン=10:1v/vからなる揮発性溶媒中に分散して、反応液を調整した。
また、金薄膜を設けたガラス基板(基板の大きさ15mm×15mm)の一面を1,6−ヘキサンジチオールによって修飾して、これを固定化層とした。
<表面増強ラマンスペクトル基板製造プロセス>
まず、粒径Fmが約10nmの金ナノ粒子を予めドデカンチオール分子によって修飾した。
次に、ヘキサンチオール分子とドデカンチオール分子=3:1によって修飾した金ナノ粒子を、濃度5.7×1013/mlでn−ヘキサン:アセトン=10:1v/vからなる揮発性溶媒中に分散して、反応液を調整した。
また、金薄膜を設けたガラス基板(基板の大きさ15mm×15mm)の一面を1,6−ヘキサンジチオールによって修飾して、これを固定化層とした。
次に、表面増強ラマンスペクトル基板製造装置の液槽に前記反応液を満たした。
次に、反応液中に炭素電極からなるアノード電極と、固定化層及び金薄膜(導電部材)を形成したガラス基板からなるカソード電極を浸漬した。
アノード電極とカソード電極は互いに電極面が対向するように配置し、電極面の間の距離は1.2mmとした。ガラス基板は、固定化層が対向電極側となるようにした。
次に、液槽の上部の開口部を蓋部により封じた。
次に、反応液中に炭素電極からなるアノード電極と、固定化層及び金薄膜(導電部材)を形成したガラス基板からなるカソード電極を浸漬した。
アノード電極とカソード電極は互いに電極面が対向するように配置し、電極面の間の距離は1.2mmとした。ガラス基板は、固定化層が対向電極側となるようにした。
次に、液槽の上部の開口部を蓋部により封じた。
次に、電源を制御して、アノード電極とカソード電極の間に1Vの電圧を印加した。
このとき、蓋部の孔部の開口径を調整して、反応液の液面を低下させる移動速度を、常温常圧(1気圧、25℃)で4mm/時間とした。
このとき、蓋部の孔部の開口径を調整して、反応液の液面を低下させる移動速度を、常温常圧(1気圧、25℃)で4mm/時間とした。
電極が反応液から完全に露出された段階で、カソード電極を取り出した。カソード電極の固定化層上に金ナノ粒子配列が形成されているのを目視確認した。
次に、金ナノ粒子配列が形成されたカソード電極を40−60℃でアニールした。
次に、金ナノ粒子配列が形成されたカソード電極の表面を流水洗浄し、更に、ヘキサン溶媒中で超音波洗浄した。
このようにして、実施例1−#1の表面増強ラマンスペクトル基板を形成した。
次に、金ナノ粒子配列が形成されたカソード電極を40−60℃でアニールした。
次に、金ナノ粒子配列が形成されたカソード電極の表面を流水洗浄し、更に、ヘキサン溶媒中で超音波洗浄した。
このようにして、実施例1−#1の表面増強ラマンスペクトル基板を形成した。
(実施例1−#2、実施例1−#3)
粒径23nmの金ナノ粒子を用いた他は実施例1−#1と同様にして、実施例1−#2の表面増強ラマンスペクトル基板を形成した。
粒径39nmの金ナノ粒子を用いた他は実施例1−#1と同様にして、実施例1−#3の表面増強ラマンスペクトル基板を形成した。
粒径23nmの金ナノ粒子を用いた他は実施例1−#1と同様にして、実施例1−#2の表面増強ラマンスペクトル基板を形成した。
粒径39nmの金ナノ粒子を用いた他は実施例1−#1と同様にして、実施例1−#3の表面増強ラマンスペクトル基板を形成した。
(比較例1)
ガラス基板(基板の大きさ15mm×15mm)上に金からなる導電性薄膜(以下、金薄膜)を形成した後、金薄膜の表面を1,6−ヘキサンジチオールによって修飾して、固定化層を形成した。
次に、HEXで修飾した金ナノ粒子を用い、固定化層及び金薄膜を形成したガラス基板の固定化層上に、公知のラングミュラ―手法により、近接場光2次元アレイを形成した。
ガラス基板(基板の大きさ15mm×15mm)上に金からなる導電性薄膜(以下、金薄膜)を形成した後、金薄膜の表面を1,6−ヘキサンジチオールによって修飾して、固定化層を形成した。
次に、HEXで修飾した金ナノ粒子を用い、固定化層及び金薄膜を形成したガラス基板の固定化層上に、公知のラングミュラ―手法により、近接場光2次元アレイを形成した。
<SEM観察>
実施例1の表面増強ラマンスペクトル基板についてSEM観察を行った。
図8は、実施例1−#1の粒径10nmの金ナノ粒子配列(10 Dod 2D array)の表面増強ラマンスペクトル基板のSEM像であって、挿入図は部分拡大図である。ドメイン構造を持つ金ナノ粒子配列が形成されていることが分かった。
実施例1の表面増強ラマンスペクトル基板についてSEM観察を行った。
図8は、実施例1−#1の粒径10nmの金ナノ粒子配列(10 Dod 2D array)の表面増強ラマンスペクトル基板のSEM像であって、挿入図は部分拡大図である。ドメイン構造を持つ金ナノ粒子配列が形成されていることが分かった。
同様の構造は、粒径23nmの金ナノ粒子配列の表面増強ラマンスペクトル基板(実施例1−#2)、及び、39nmの金ナノ粒子配列の表面増強ラマンスペクトル基板(実施例1―#3)でも観察され、基板の大きさ15mm×15mmのほぼ全域に亘っていた。
<消光スペクトルの測定>
図9は、実施例1−#1〜#3の表面増強ラマンスペクトル基板の消光スペクトルである。10Dod 2D arrayは、粒径10nmの表面増強ラマンスペクトル基板(実施例1−#1)、23Dod 2D arrayは、粒径23nm、39nmの表面増強ラマンスペクトル基板(実施例1−#2)、39Dod 2D arrayは、粒径39nmの表面増強ラマンスペクトル基板(実施例1−#3)のデータを示している。
図9は、実施例1−#1〜#3の表面増強ラマンスペクトル基板の消光スペクトルである。10Dod 2D arrayは、粒径10nmの表面増強ラマンスペクトル基板(実施例1−#1)、23Dod 2D arrayは、粒径23nm、39nmの表面増強ラマンスペクトル基板(実施例1−#2)、39Dod 2D arrayは、粒径39nmの表面増強ラマンスペクトル基板(実施例1−#3)のデータを示している。
粒径10nm、23nm、39nmの表面増強ラマンスペクトル基板の共鳴波長はそれぞれ605nm、722nm、966nmであった。共鳴ピークの半値幅が100−300nmと広いことも考慮すると、表面増強ラマンスペクトル基板の共鳴周波数が600〜1100nmの間で調整できる事が分かる。
ここで、消光スペクトルピークは、金属ナノ粒子配列を構成する金属ナノ粒子(金ナノ粒子)の局所プラズモン共鳴の周波数を示す。
ここで、消光スペクトルピークは、金属ナノ粒子配列を構成する金属ナノ粒子(金ナノ粒子)の局所プラズモン共鳴の周波数を示す。
<ラマン散乱スペクトルの測定>
次に、ラマン散乱スペクトルの測定を行った。
水とDMSOの混合溶媒に、5.4Mの水酸化ナトリウムを加え、5mMのアントラセンカルボン酸を溶かした溶液を調整し、この溶液中に粒径23nmの金ナノ粒子配列の表面増強ラマンスペクトル基板(実施例1−#2)を浸漬した。
ラマン散乱スペクトルはHe/Neレーザ(632.8nm)の励起光を用いて、表面増強ラマンスペクトル基板上のアントラセンカルボン酸を検出した。
次に、ラマン散乱スペクトルの測定を行った。
水とDMSOの混合溶媒に、5.4Mの水酸化ナトリウムを加え、5mMのアントラセンカルボン酸を溶かした溶液を調整し、この溶液中に粒径23nmの金ナノ粒子配列の表面増強ラマンスペクトル基板(実施例1−#2)を浸漬した。
ラマン散乱スペクトルはHe/Neレーザ(632.8nm)の励起光を用いて、表面増強ラマンスペクトル基板上のアントラセンカルボン酸を検出した。
図10は、(実施例1−#2)上のアントラセンカルボン酸の光化学反応の結果を調べたラマン散乱スペクトルである。
709cm−1と1409cm−1のピークがアントラセンカルボン酸由来のものである。
709cm−1と1409cm−1のピークがアントラセンカルボン酸由来のものである。
(実施例2)
次に、金属ナノ粒子4として、コアシェル金属ナノ粒子を調製した。
コア粒子4aとしてAuを用い、シェル層4bとしてAgを用いた。
コア粒子4aの径は20、30、40nmのものを用いた。
シェル層4bは、硝酸銀とアスコロビン酸(還元剤)を金コロイド溶液中に加えて、銀シェル層の厚みを制御して、形成した。
シェル層:コア層のモル比を0.4、0.7、1.0.3.0で変えたものを調整した。
また、20nmのAuナノ粒子(試験例1)、40nmのAuナノ粒子(試験例2)も合わせて調製した。
次に、金属ナノ粒子4として、コアシェル金属ナノ粒子を調製した。
コア粒子4aとしてAuを用い、シェル層4bとしてAgを用いた。
コア粒子4aの径は20、30、40nmのものを用いた。
シェル層4bは、硝酸銀とアスコロビン酸(還元剤)を金コロイド溶液中に加えて、銀シェル層の厚みを制御して、形成した。
シェル層:コア層のモル比を0.4、0.7、1.0.3.0で変えたものを調整した。
また、20nmのAuナノ粒子(試験例1)、40nmのAuナノ粒子(試験例2)も合わせて調製した。
なお、銀シェル層の厚みを制御は、公知の手法(非特許文献21)に従った。
表1に、実施例2−#1〜#8、試験例1、2の条件、記号を示す。
表1に、実施例2−#1〜#8、試験例1、2の条件、記号を示す。
次に、ヘキサンチオール分子:ドデカンチオール分子=3:1によって修飾した金ナノ粒子を、濃度5.7×1013/ml程度でn−ヘキサン:アセトン=4:1(v/v)からなる揮発性溶媒中に分散して、反応液を調整した。
また、ITO薄膜を設けた石英基板(基板の大きさ15mm×15mm)の一面を1,6−ヘキサンジチオールと3−mercaptopropyltrimethoxysilaneによって修飾して、これを固定化層とした(非特許文献22)。
その他の表面増強ラマンスペクトル基板の作製法は実施例1と同じである。
このようにして、実施例2−#1〜#8の表面増強ラマンスペクトル基板を形成した。
その他の表面増強ラマンスペクトル基板の作製法は実施例1と同じである。
このようにして、実施例2−#1〜#8の表面増強ラマンスペクトル基板を形成した。
<コロイド溶液の消光スペクトルの測定>
次に、消光スペクトルを測定した。
図11は、実施例2−#1〜#8、試験例1、2の金属ナノ粒子の消光スペクトルであって、(a)は粒径20nmの結果、(b)は粒径40nmの結果を示すスペクトルである。
低波長側が銀由来の共鳴ピーク、長波長側が金由来の共鳴ピークであり、シェル層:コア層のモル比によって銀由来のピークがレッドシフト、金由来のピークがブルーシフトした。
次に、消光スペクトルを測定した。
図11は、実施例2−#1〜#8、試験例1、2の金属ナノ粒子の消光スペクトルであって、(a)は粒径20nmの結果、(b)は粒径40nmの結果を示すスペクトルである。
低波長側が銀由来の共鳴ピーク、長波長側が金由来の共鳴ピークであり、シェル層:コア層のモル比によって銀由来のピークがレッドシフト、金由来のピークがブルーシフトした。
<コアシェル金属ナノ粒子の構造評価>
図12は、試験例1の粒径20nmの金属ナノ粒子配列の評価結果である。(a)コロイド状態と配列状態の金属ナノ粒子の消光スペクトル、(b)配列のSEM像、(c) 金属ナノ粒子のTEM像とEDX像の重ね合わせ、(d)金属ナノ粒子のSEM像と粒径分布である。
図12は、試験例1の粒径20nmの金属ナノ粒子配列の評価結果である。(a)コロイド状態と配列状態の金属ナノ粒子の消光スペクトル、(b)配列のSEM像、(c) 金属ナノ粒子のTEM像とEDX像の重ね合わせ、(d)金属ナノ粒子のSEM像と粒径分布である。
図13は、実施例2−#6の粒径40nmの金属コアシェルナノ粒子配列の評価結果である。(a)コロイド状態と配列状態の金属ナノ粒子の消光スペクトル、(b)配列のSEM像、(c) 金属ナノ粒子のTEM像とEDX像の重ね合わせ、(d)金属ナノ粒子のSEM像と粒径分布である。
コア粒子の金粒子に、シェル層の銀が加わったコアシェル金属ナノ粒子のもので、シェル層:コア層のモル比=0.7:1である。
コア粒子の金粒子に、シェル層の銀が加わったコアシェル金属ナノ粒子のもので、シェル層:コア層のモル比=0.7:1である。
図13aに示すように、共鳴ピークがコアシェル金属ナノ粒子の場合にも、余り複雑なピーク形状を見せずにレッドシフトしていた。図12aと比べると、銀がシェル層になっている為にブルーシフトしていた。
共鳴ピークの波長は、配列化によるレッドシフトと、銀がシェル層になった為のブルーシフトの両方の効果があり、粒径が大きいほど前者は大きく、銀シェル層のモル比が大きいほど後者の効果が大きいので、この兼ね合いで共鳴波長が調整可能である。つまり粒径と共鳴波長は独立に制御可能である。
共鳴ピークの波長は、配列化によるレッドシフトと、銀がシェル層になった為のブルーシフトの両方の効果があり、粒径が大きいほど前者は大きく、銀シェル層のモル比が大きいほど後者の効果が大きいので、この兼ね合いで共鳴波長が調整可能である。つまり粒径と共鳴波長は独立に制御可能である。
金単独のナノ粒子とコアシェル金属ナノ粒子は配列化した際の被覆率には殆ど差は無い。
図12cと図13cから、金コア粒子の周りに銀シェル層が覆っていることが裏付けられていた。図12dと図13dは、粒径分布が、21±1.5nmと25±3.5nmであり、分布の大きさはそれほど顕著な差は無かった。
図12cと図13cから、金コア粒子の周りに銀シェル層が覆っていることが裏付けられていた。図12dと図13dは、粒径分布が、21±1.5nmと25±3.5nmであり、分布の大きさはそれほど顕著な差は無かった。
これらの構造評価から、金ナノ粒子単独と比べて、粒径や配列の被覆率に大きな差が無い事が分かる。特徴としては、共鳴波長と粒径の両方を制御できる様になった。
表1に、配列時の被覆率も合わせて示す。
概ね10%未満で粒径が制御できていた。又、配列時の被覆率は概ね60%より大きかった。
概ね10%未満で粒径が制御できていた。又、配列時の被覆率は概ね60%より大きかった。
図14は、実施例2−#1〜#8、試験例1、2の金属ナノ粒子配列の消光スペクトルである。(a)は粒径20nm、(b)は粒径40nmで、金をコア、銀をシェルとした構造で、構造は金と銀のモル比で表わしている。
図14に示すように。銀のモル比が大きいほどブルーシフトし、粒径が大きいほどレッドシフトした。
図14に示すように。銀のモル比が大きいほどブルーシフトし、粒径が大きいほどレッドシフトした。
図15に、コアシェル金属ナノ粒子の共鳴波長の範囲を示す。コア粒子は30nm及び40nmの場合が示した。金コア粒子に比べて、共鳴波長が幅広く調整できた。
図16は、実施例2−#1〜#4、試験例1の粒径20nmの金属ナノ粒子配列の表面増強ラマンスペクトル基板評価結果である。評価用のローダミン色素は蒸着により、8.2×1013個/cm2の密度で着けた。ラマン励起にはHe/Neレーザ(632.8nm)を用いた、
図16aは、ラマン散乱分光の結果が示されている。
表面増強ラマンスペクトル基板によってローダミン色素の検出信号の大きさが異なるのが分かる。図16bは、1510cm−1の信号を用いて、表面増強因子を評価した結果を、シェル層の銀;コア層の金のモル比をパラメータとして示す。
増強因子が最大で105程度である。表面増強因子算出法は公知の方法(非特許文献21)に従って行った。
表面増強ラマンスペクトル基板によってローダミン色素の検出信号の大きさが異なるのが分かる。図16bは、1510cm−1の信号を用いて、表面増強因子を評価した結果を、シェル層の銀;コア層の金のモル比をパラメータとして示す。
増強因子が最大で105程度である。表面増強因子算出法は公知の方法(非特許文献21)に従って行った。
図17は、表面増強ラマンスペクトルの増強因子評価に使ったローダミン色素の1510cm−1の信号の基板内でマッピング像である。
Logでプロットしている理由は、増強因子が桁で変わる可能性があるかどうかのチェックの為である。この像から1桁変わらないことを示しており、表面増強ラマンスペクトル基板の均一性を示している。
Logでプロットしている理由は、増強因子が桁で変わる可能性があるかどうかのチェックの為である。この像から1桁変わらないことを示しており、表面増強ラマンスペクトル基板の均一性を示している。
図18は、実施例2−#5〜#8、試験例2の粒径40nmの金属ナノ粒子配列の表面増強ラマンスペクトル基板評価結果である。
評価用のローダミン色素は蒸着により、8.2×1013個/cm2の密度で着けた。
ラマン励起にはHe/Neレーザ(632.8nm)を用いた。
図18aは、ラマン散乱分光の結果が示されている。
表面増強ラマンスペクトル基板によってローダミン色素の検出信号の大きさが異なるのが分かる。
評価用のローダミン色素は蒸着により、8.2×1013個/cm2の密度で着けた。
ラマン励起にはHe/Neレーザ(632.8nm)を用いた。
図18aは、ラマン散乱分光の結果が示されている。
表面増強ラマンスペクトル基板によってローダミン色素の検出信号の大きさが異なるのが分かる。
図18bは、1510cm−1の信号を用いて、表面増強因子を評価した結果を、シェル層の銀;コア層の金のモル比をパラメータとして示す。
増強因子が最大で107程度である。コア粒子が20nmに比べて大きくなっている理由は粒径の差である。ラマン散乱断面積は概ね体積に比例することが知られている。
増強因子が最大で107程度である。コア粒子が20nmに比べて大きくなっている理由は粒径の差である。ラマン散乱断面積は概ね体積に比例することが知られている。
<機械的強度(化学結合強度)の測定>
また、導電性基板への化学結合による、金ナノ粒子と導電部材(ガラス基板上の金薄膜)との間の機械的強度を、ヘキサン溶媒中の超音波洗浄(24.8nm、5分)により確かめた。
比較例1の近接場光2次元アレイは、18%しか残留しなかった。
一方、実施例1の近接場光2次元アレイは、71%残留した。
また、導電性基板への化学結合による、金ナノ粒子と導電部材(ガラス基板上の金薄膜)との間の機械的強度を、ヘキサン溶媒中の超音波洗浄(24.8nm、5分)により確かめた。
比較例1の近接場光2次元アレイは、18%しか残留しなかった。
一方、実施例1の近接場光2次元アレイは、71%残留した。
機械的強度の測定結果は、金属ナノ粒子配列が固定化層を介して導電部材に化学的に結合していることを示し、溶媒中の超音波洗浄でも機械的強度を維持する耐性の効果を持つことを実証した。
この機械的強度は、表面増強ラマンスペクトル基板に対して様々な処理を行う際に、技術的に重要な点である。
この機械的強度は、表面増強ラマンスペクトル基板に対して様々な処理を行う際に、技術的に重要な点である。
本発明の表面増強ラマンスペクトル基板は、一分子検出の感度がある表面増強ラマンスペクトル基板として使われうる高感度な表面増強ラマンスペクトル基板に関するものであり、環境有害物質の検出やウイルス等の検出に利用することができ、化学センサーやバイオセンサーなどの化学・バイオ計測の産業等に利用可能性がある。
2…固定化層、2a…一面、3…金属ナノ粒子配列、4…金属ナノ粒子、5…修飾部、6…導電部材、8…ドメイン部、21…溶媒、22…反応液、22a…液面、23…液槽、23c…開口部、24…蓋部、24c…孔部、25、26…電極部、27…配線、28…電源部、29…気液界面部、50…表面増強ラマンスペクトル基板、51…基板、Fm…粒径、Fc…コア粒子粒径、Gm…間隙距離(間隔)、Lm…粒子間距離、O…中心、Ls…粒子基板間距離、Gs…固定化層厚、NF、NFO2、NFO3…高電磁場。
Claims (12)
- 導電部材と、前記導電部材の一面に形成された固定化層と、前記固定化層の一面に配置された複数の金属ナノ粒子と、を有し、各金属ナノ粒子からの高電磁場によりラマン散乱が増強されることが可能な表面増強ラマンスペクトル用基板であって、
前記金属ナノ粒子は、粒径が1〜100nm以下であり、
各金属ナノ粒子は格子状にかつ等間隔で配列され、隣接する金属ナノ粒子同士の間隔が前記粒径以下とされており、
各金属ナノ粒子の局在表面プラズモンが外部光により共鳴可能とされていることを特徴とする表面増強ラマンスペクトル用基板。 - 前記固定化層の層厚が10nm以下とされていることを特徴とする請求項1に記載の表面増強ラマンスペクトル用基板。
- 前記金属ナノ粒子同士の間隔が1〜10nmとされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表面増強ラマンスペクトル用基板。
- 前記金属ナノ粒子が、その表面に備えられた修飾部により互いに接合されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面増強ラマンスペクトル用基板。
- 前記金属ナノ粒子が金又は銀ナノ粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面増強ラマンスペクトル用基板。
- 前記金属ナノ粒子がコアシェル粒子であり、前記コアシェル粒子のコアで金であり、シェルが金以外の材質であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面増強ラマンスペクトル用基板。
- 前記金以外の材質が銀、銅、アルミニウムであることを特徴とする請求項6に記載の表面増強ラマンスペクトル用基板。
- 前記修飾部がチオール基を有する有機分子であり、前記チオール基が前記金属ナノ粒子に接合されていることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の表面増強ラマンスペクトル用基板。
- 前記修飾部の有機分子が6以上20以下の炭素を備えたアルキル鎖を有していることを特徴とする請求項8に記載の表面増強ラマンスペクトル用基板。
- 前記固定化層が少なくとも2つのチオール基を有する有機分子からなり、前記固定化層の一面側と他面側にそれぞれ少なくとも1つのチオール基が配置されており、
前記他面側のチオール基が前記導電部材に接合されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の表面増強ラマンスペクトル用基板。 - 前記固定化層の有機分子が6以上20以下の炭素を備えたアルキル鎖を有していることを特徴とする請求項10に記載の近表面増強ラマンスペクトル用基板。
- 前記導電部材が金又はITOからなることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の表面増強ラマンスペクトル用基板。
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-
2014
- 2014-02-28 JP JP2014039309A patent/JP2015163845A/ja active Pending
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