JP2015161628A - 渦電流探傷プローブ、渦電流探傷装置および渦電流探傷方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、渦電流探傷コイルに光を送受信する非接触かつ非磁性の距離センサを併設し、距離センサより得られる信号を渦電流探傷信号と同時計測することにより、リフトオフに起因する渦電流探傷信号を補正し、きずや材質の変化に起因する渦電流探傷信号とを分離することが記載されている。また、特許文献1では、渦電流探傷コイルに併設する距離センサを複数にした場合、各距離センサで得られる信号の演算でコイルの傾き7を算出することができ、高精度な渦電流探傷信号の補正が可能である、とされている。
例えば、ディファレンシャル(Differential)方式では、隣接する2つのコイルにおける信号の差分をとる。信号の差分をとることで、ディファレンシャル方式では、温度等の影響をキャンセルして局所的な欠陥の深さを高精度に測定することができる。一方、欠陥の深さがなだらかに変化する広域的な欠陥にディファレンシャル方式を適用した場合、2つのコイルの信号の差が小さくなり、欠陥の深さを高精度に測定することは困難である。
図1は、本発明の一実施形態における渦電流探傷装置の機能構成を示す概略ブロック図である。同図において、渦電流探傷装置1は、渦電流探傷プローブ100と、渦電流探傷装置本体200とを具備する。渦電流探傷プローブ100は、複数のクロスコイル111が配置されたプローブ本体110と、スイッチ120と、電流供給部130とを具備する。クロスコイル111の各々は、周コイル112と、軸コイル113とを具備する。渦電流探傷装置本体200は、表示部210と、操作入力部220と、記憶部280と、制御部290とを具備する。制御部290は、検出部291と、探傷方式切替部292と、深さ取得用情報選択部293と、深さ取得部294とを具備する。
なお、本実施形態では、円筒状の配管内部の欠陥の検出に渦電流探傷装置1を用いる場合を例に説明するが、渦電流探傷装置1の適用範囲はこれに限らない。渦電流探傷を実施可能な様々な探傷対象に渦電流探傷装置1を用いることができる。
クロスコイル111は、互いに交差する異なる軸線回りに巻回された複数のコイル(周コイル112および軸コイル113)を組み合わせて構成されている。
軸コイル113は、コイルの周の方向を配管の長手方向に合わせて配置されている。従って、軸コイル113では、コイルの軸の方向が配管の長手方向と直交している。
同図において、配管900の円筒形状に対応して、プローブ本体110にクロスコイル111が環状に配置されている。そして、クロスコイル111の各々は、周コイル112と軸コイル113とを含んで構成されている。
なお、本実施形態では、磁界発生用のコイルとインピーダンス測定用のコイルが同一である場合を例に説明するが、周コイル112や軸コイル113において、磁界発生用のコイルとインピーダンス測定用のコイルとが別々に設けられていてもよい。
なお、電流供給部130が用いる電源は、渦電流探傷装置1の外部に位置していてもよいし、渦電流探傷装置1の内部に位置していてもよい。例えば、電流供給部130が、商用電源など外部電源から電力の供給を受けて探傷用の電圧に変圧する変圧回路を含んで構成されていてもよい。あるいは、電流供給部130が、直流電力を出力する電池と、当該直流電力を交流電力に変換する直流/交流変換回路とを含んで構成されていてもよい。
図3は、クロスコイル111と電流供給部130との接続状態の第1の例を示す説明図である。同図では、1つのクロスコイル111と、電流供給部130と、スイッチ120のうち、当該クロスコイル111と電流供給部130との接続状態を切り替えるスイッチとが示されている。
図3に示すように、周コイル112、軸コイル113のそれぞれと電流供給部130とが、スイッチ120を介して配線されている。当該配線により、電流供給部130は、スイッチ120の状態に応じて、各クロスコイル111を構成する複数のコイル(周コイル112および軸コイル113)のそれぞれに交流電流を供給可能となっている。
以下では、渦電流探傷装置1がディファレンシャル方式で探傷を行うモードを「ディファレンシャルモード」と称する。
一方、欠陥の深さがなだらかに変化する広域的な欠陥にディファレンシャル方式を適用した場合、2つのコイルの信号の差が小さくなり、欠陥の深さを高精度に測定することが困難である。この点について、図4〜8を参照して説明する。
図5は、配管900の縦断面における局所的な欠陥の例を示す説明図である。同図では、配管900の縦断面(配管900の軸方向に平行な断面)が示されており、領域A12が局所的な欠陥となっている。
図7は、配管900の縦断面における広域的な欠陥の例を示す説明図である。同図では、配管900の縦断面が示されており、領域A22が広域的な欠陥となっている。
また、同図のグラフは、クロスコイル(例えば、クロスコイル111)を配管900の軸方向に移動させながらディファレンシャル方式で探傷を行った場合の、各位置における信号振幅検出値の例が示されている。この場合、例えば周コイル112の両端電圧と軸コイル113の両端電圧との差を信号振幅として用いる。当該信号振幅により、周コイル112におけるインピーダンスと軸コイル113におけるインピーダンスとの差が示される。
一方、図8に示す欠陥自体は、欠陥の深さがなだらかに変化している。すなわち、欠陥の深さの変化が比較的小さくなっている。このように欠陥の深さの変化が比較的小さい箇所では、周コイル112におけるインピーダンスと軸コイル113におけるインピーダンスとの差が小さく、信号振幅が小さくなる。信号振幅が小さくなることでノイズの影響を受け易くなるなど、欠陥の深さを高精度に測定することが困難になる。
図9の例では、軸コイル113と電流供給部130との間のスイッチが接続状態となっているのに対し、周コイル112と電流供給部130との間のスイッチは切断状態(OFF)となっている。この状態では、電流供給部130は、軸コイル113に電流を供給するが周コイル112には電流を供給しない。これにより、渦電流探傷装置1はアブソリュート方式による探傷を行う。
以下では、渦電流探傷装置1がディファレンシャル方式で探傷を行うモードを「ディファレンシャルモード」と称する。
渦電流探傷装置本体200は、例えば、パーソナルコンピュータ(Personal Computer;PC)などの情報処理装置によって実現される。
操作入力部220は、例えば押ボタンなどの入力デバイスを具備しユーザ操作を受け付ける。特に、操作入力部220は、探傷開始や探傷終了を指示するユーザ操作を受け付ける。
記憶部280が記憶する深さ取得用情報の各々は、検出部291が検出するインピーダンスの大きさと、探傷対象における欠陥の深さとの関係を示す情報(較正曲線)である。この深さ取得用情報は、渦電流探傷プローブ100の検出する信号振幅に基づいて、深さ取得部294が探傷対象における欠陥の深さを求めるために用いられる。
検出部291は、各クロスコイルにおけるコイルのインピーダンスを検出する。具体的には、ディファレンシャルモードにおいて検出部291は、周コイル112におけるインピーダンスと軸コイル113におけるインピーダンスとの差を示す信号振幅を検出する。また、アブソリュートモードにおいて検出部291は、周コイル112または軸コイル113のいずれか一方(電流の供給を受けるほう)のインピーダンスを示す信号振幅を検出する。
検出部291が検出する、コイルにおけるインピーダンスを示す信号振幅として、例えば、コイルの両端電圧の信号振幅を用いることができる。
ここで、ディファレンシャルモードは、電流供給部130が1つのクロスコイル111につき複数のコイルに電流を供給する状態の一例に該当する。また、アブソリュートモードは、電流供給部130が1つのクロスコイルにつき1つのコイルに電流を供給する状態の一例に該当ずる。
より具体的には、深さ取得用情報選択部293は、検出結果が広域的な欠陥の存在を示唆する場合に、広域的な欠陥用の深さ取得用情報を選択し、それ以外の場合は局所的な欠陥用の深さ取得用情報を選択する。
このように、深さ取得用情報選択部293が、欠陥の検出位置に依存する条件を用いることで、局所的な欠陥が複数存在する場合に広域的な欠陥であると誤判定する可能性を低減させることができる。これにより、適切な深さ取得用情報を選択できる可能性が高まり、この点において、欠陥の深さの測定精度を高めることができる。
図11は、渦電流探傷装置1が渦電流探傷を行う処理手順を示すフローチャートである。同図の処理において、渦電流探傷装置1は、ディファレンシャルモードで探傷を行う(ステップS101)。
より具体的には、探傷方式切替部292が、スイッチ120における、周コイル112と電流供給部130との間のスイッチと、軸コイル113と電流供給部130との間のスイッチとの両方を接続状態とする。これにより、探傷方式切替部292は、渦電流探傷装置1のモードをディファレンシャルモードにする。
そして、渦電流探傷プローブ100が、配管900内の探傷範囲を移動し、渦電流探傷装置1は、サンプリング毎に図12の処理を行う。
次に、深さ取得部294は、ステップS101で検出部291が検出した信号振幅に基づいて、欠陥の深さを取得する(ステップS202)。
より具体的には、ディファレンシャルモードでは、深さ取得用情報選択部293はディファレンシャルモード用の深さ取得用情報を選択する。そして、深さ取得部294は、深さ取得用情報選択部293が選択したディファレンシャルモード用の深さ取得用情報を用いて、検出部291が検出した信号振幅を欠陥の深さに換算する。
そして、表示部210は、ステップS202で深さ取得部294が取得した欠陥の深さを表示する(ステップS203)。
その後、図12の処理を終了する。
探傷範囲全体を探傷するために、渦電流探傷プローブ100が自走式で配管900内を移動するようにしてもよいし、人力で渦電流探傷プローブ100を移動させるようにしてもよい。
なお、深さ取得部294の機能をユーザが実行する場合は、検出部291が検出した信号振幅を表示部210が表示する。そして、ユーザは、表示部210が表示している信号振幅を、所定の較正曲線を用いて欠陥の深さに換算する。
例えば、上述したように探傷範囲内に欠陥が検出された場合、探傷方式切替部292は、探傷方式切替条件が成立していると判定する。ここで、欠陥の有無の判定において、欠陥の深さが所定の閾値以上か否かという判定条件を用いることができる。例えば、探傷範囲におけるいずれかの位置で欠陥の深さが所定の閾値以上となっている場合、探傷方式切替部292は、探傷方式切替条件が成立していると判定する。
なお、モードの切り替えをユーザが行う場合は、ステップS102における探傷方式切替条件として、アブソリュートモードでの探傷を指示するユーザ操作の有無を用いる。
一方、ステップS102において、探傷方式切替条件が成立していると判定した場合(ステップS102:YES)、渦電流探傷装置1は、アブソリュートモードで探傷を行う(ステップS103)。
そして、渦電流探傷プローブ100が、配管900内の探傷範囲を移動し、渦電流探傷装置1は、サンプリング毎に図13の処理を行う。
次に、深さ取得用情報選択部293は、ステップS111で検出部291が検出した信号振幅について、広域的な欠陥用の深さ取得用情報を選択するための条件(以下、「広域条件」と称する)が成立しているか否かを判定する(ステップS302)。
そして、深さ取得部294は、ステップS301で検出部291が検出した信号振幅に基づいて、欠陥の深さを取得する(ステップS331)。より具体的には、深さ取得部294は、深さ取得用情報選択部293が選択した広域的な欠陥用の深さ取得用情報を用いて、検出部291が検出した信号振幅を欠陥の深さに換算する。
そして、表示部210は、ステップS331で深さ取得部294が取得した欠陥の深さを表示する(ステップS332)。
その後、図13の処理を終了する。
その後、ステップS331へ遷移する。
ディファレンシャルモードの場合と同様、渦電流探傷プローブ100が自走式で配管900内を移動するようにしてもよいし、人力で渦電流探傷プローブ100を移動させるようにしてもよい。
配管内においては、一般的には軸方向の欠陥が発生し易い。渦電流探傷装置1がアブソリュートモードにおいて周コイル112を用いるようにすることで、かかる軸方向の欠陥を検出し易くなる。
図11に戻って、ステップS103の後、図11の処理を終了する。
そして、スイッチ120は、各クロスコイル111を構成する周コイル112と軸コイル113とのうち少なくとも一つのコイルに電流が供給されるように、電流供給部130と周コイル112との接続や、電流供給部130と軸コイル113との接続を切り替える。
このように、渦電流探傷プローブ100がディファレンシャル方式とアブソリュート方式との切替を行うことで、探傷対象に局所的な欠陥と、欠陥の深さがなだらかに変化する広域的な欠陥とが混在する場合でも、両方の欠陥の深さを、より精度よく得ることができる。
これにより、渦電流探傷装置1は、ディファレンシャルモードにて欠陥が検出された場合にアブソリュートモードへの切替を行うなど、ディファレンシャルモードでの検出部291の検出結果に応じて自動的にアブソリュートモードへの切替を行うことができる。
これにより、深さ取得部294は、欠陥の大きさに応じた深さ取得用情報を用いて欠陥の深さを求めることができる。この点において、渦電流探傷装置1では、探傷対象に局所的な欠陥と広域的な欠陥とが混在する場合でも、両方の欠陥の深さを、より精度よく得ることができる。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
100 渦電流探傷プローブ
110 プローブ本体
111 クロスコイル
112 周コイル
113 軸コイル
120 スイッチ
130 電流供給部
200 渦電流探傷装置本体
210 表示部
220 操作入力部
280 記憶部
290 制御部
291 検出部
292 探傷方式切替部
293 深さ取得用情報選択部
294 深さ取得部
Claims (6)
- 互いに交差する異なる軸線回りに巻回された複数のコイルを組み合わせたクロスコイルを、複数配置したプローブ本体と、
各クロスコイルを構成する前記複数のコイルのそれぞれに電流を供給可能な電流供給部と、
各クロスコイルを構成する前記複数のコイルのうち少なくとも一つのコイルに電流が供給されるように、前記電流供給部と前記コイルとの接続を切り替えるスイッチと、
を具備する渦電流探傷プローブ。 - 互いに交差する異なる軸線回りに巻回された複数のコイルを組み合わせたクロスコイルを、複数配置したプローブ本体と、
各クロスコイルを構成する前記複数のコイルのそれぞれに電流を供給可能な電流供給部と、
各クロスコイルを構成する前記複数のコイルのうち少なくとも一つのコイルに電流が供給されるように、前記電流供給部と前記コイルとの接続を切り替えるスイッチと、
各クロスコイルにおけるコイルのインピーダンスを検出する検出部と、
を具備する渦電流探傷装置。 - 前記電流供給部が1つのクロスコイルにつき複数のコイルに電流を供給する状態での前記検出部の検出結果が所定の条件を満たす場合、前記スイッチの接続関係を、前記電流供給部が1つのクロスコイルにつき1つのコイルに電流を供給するように切り替える探傷方式切替部を具備する請求項2に記載の渦電流探傷装置。
- 前記検出部が検出する前記インピーダンスの大きさと、探傷対象における欠陥の深さとの関係を示す深さ取得用情報を複数記憶する記憶部と、
前記電流供給部が1つのクロスコイルにつき1つのコイルに電流を供給する状態での前記検出部の検出結果に応じて、前記記憶部が記憶する深さ取得用情報のいずれかを選択する深さ取得用情報選択部と、
前記深さ取得用情報選択部が選択した深さ取得用情報を用いて、前記検出部の検出結果から探傷対象における欠陥の深さを求める深さ取得部と、
を具備する請求項2または請求項3に記載の渦電流探傷装置。 - 互いに交差する異なる軸線回りに巻回された複数のコイルを組み合わせたクロスコイルを、複数配置したプローブ本体と、
各クロスコイルを構成する前記複数のコイルのそれぞれに電流を供給可能な電流供給部と、
各クロスコイルを構成する前記複数のコイルのうち少なくとも一つのコイルに電流が供給されるように、前記電流供給部と前記コイルとの接続を切り替えるスイッチと、
各クロスコイルにおけるコイルのインピーダンスを検出する検出部と、
を具備する渦電流探傷装置を用いる渦電流探傷方法であって、
前記電流供給部が1つのクロスコイルにつき複数のコイルに電流を供給する状態での前記検出部の検出結果が所定の条件を満たす場合、前記スイッチの接続関係を、前記電流供給部が1つのクロスコイルにつき1つのコイルに電流を供給するように切り替える探傷方式切替ステップを有する渦電流探傷方法。 - 互いに交差する異なる軸線回りに巻回された複数のコイルを組み合わせたクロスコイルを、複数配置したプローブ本体と、
各クロスコイルを構成する前記複数のコイルのそれぞれに電流を供給可能な電流供給部と、
各クロスコイルを構成する前記複数のコイルのうち少なくとも一つのコイルに電流が供給されるように、前記電流供給部と前記コイルとの接続を切り替えるスイッチと、
各クロスコイルにおけるコイルのインピーダンスを検出する検出部と、
を具備する渦電流探傷装置を用いる渦電流探傷方法であって、
前記電流供給部が1つのクロスコイルにつき1つのコイルに電流を供給する状態での前記検出部の検出結果に応じて、
前記検出部が検出する前記インピーダンスの大きさと、探傷対象における欠陥の深さとの関係を示す、複数の深さ取得用情報のうちいずれかを選択する判定情報選択ステップと、
前記深さ取得用情報選択ステップにて選択した深さ取得用情報を用いて、前記検出部の検出結果から探傷対象における欠陥の深さを求める深さ取得ステップと、
を有する渦電流探傷方法。
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