JP2015151901A - 締結方法、および、締結装置 - Google Patents

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真一 金田
祐一 大東
Yuichi Daito
祐一 大東
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寛 采浦
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Abstract

【課題】タービン軸と回転部材およびコンプレッサインペラに安定した軸力を与える。【解決手段】締結方法は、温嵌めによって、タービン軸に仮締結されたコンプレッサインペラを、タービン軸に本締結する締結方法であって、締結部材の螺合過程で締結部材の回転角度もしくは回転量と、締付トルクとを計測する工程(S206)と、トルク勾配が、第1の傾きとなった後、第1の傾きよりも小さい第2の傾きとなると、第1の傾き、または、第2の傾きとなるときの締付トルク、および、回転角度もしくは回転量を解に持つ、締付トルクを示す回転角度もしくは回転量の1次関数に基づいて、締付トルクが0となる回転角度を特定し起点とする工程(S216)と、起点からの回転角度が設定値となると、締結部材の回転を停止させる工程(S218)と、を含む。【選択図】図5

Description

本発明は、タービン軸に回転部材を締結する締結方法、および、締結装置に関する。
従来、一端にタービンインペラが設けられ他端にコンプレッサインペラが設けられたシャフトが、ベアリングハウジングに回転自在に軸支された過給機が知られている。こうした過給機をエンジンに接続し、エンジンから排出される排気ガスによってタービンインペラを回転させるとともに、このタービンインペラの回転によって、シャフトを介してコンプレッサインペラを回転させる。こうして、過給機は、コンプレッサインペラの回転に伴い空気を圧縮してエンジンに送出する。
例えば、特許文献1に記載のように、シャフトの一端にタービンインペラが接合されてなるタービン軸には、ラジアル軸受が設けられる部位よりもコンプレッサインペラ側に、外径が小さくなる段差面が形成されている。このタービン軸の段差面まで、スラストカラーなどの回転部材とコンプレッサインペラを順次取り付け、最後にナットをタービン軸の軸端側に螺合して、段差面、回転部材、および、コンプレッサインペラ間の当接部分にナットによる締結力(軸力)を生じさせ、回転部材やコンプレッサインペラとタービン軸の回転ずれを抑制する。
特開2013−163972号公報
上記の軸力は、ナットを回転させる回転角度と相関があることから、ナットの締結において、当該回転角度を計測して、予め設定された設定角度までナットを回転させることで、所望の軸力を担保する角度法が用いられている。しかし、回転角度を計測する際、回転角度の起点となる位置がばらつくと、軸力にもバラつきが生じてしまう。
本発明の目的は、タービン軸と回転部材およびコンプレッサインペラに安定した軸力を与えることが可能となる締結方法、および、締結装置を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の締結方法は、温めたコンプレッサインペラの挿通孔にタービン軸を挿通して、タービン軸に形成された段差面と、コンプレッサインペラとの間に回転部材を挟み、コンプレッサインペラを冷却することで、挿通孔が縮小してタービン軸を締め付ける温嵌めによって、タービン軸に仮締結されたコンプレッサインペラを、タービン軸に本締結する締結方法であって、タービン軸のうち、コンプレッサインペラから突出した突出部に形成されたネジ溝に、締結部材を回転させて螺合する工程と、締結部材の螺合過程で締結部材の回転角度もしくは回転量と、締付トルクそれぞれの推移を計測する工程と、計測した回転角度もしくは回転量と、締付トルクの推移に基づいて、トルク勾配を特定する工程と、特定されたトルク勾配が、第1の傾きとなった後、第1の傾きよりも小さい第2の傾きとなると、第1の傾き、または、第2の傾きとなるときの締付トルク、および、回転角度もしくは回転量を解に持つ、締付トルクを示す回転角度もしくは回転量の1次関数に基づいて、締付トルクが0となる回転角度を特定し起点とする工程と、起点からの回転角度もしくは回転量が設定値になると、締結部材の回転を停止させる工程と、を含むことを特徴とする。
起点を特定する工程において、トルク勾配が、第1の傾きとなってから第2の傾きとなるまでに、締付トルクが減少するか否かを判定し、締付トルクが減少すると判定すると、温嵌めによって仮締結された時点で、コンプレッサインペラと回転部材、または、回転部材と段差面が、軸方向に離隔していたものと判定する工程を含んでもよい。
起点を特定する工程において、回転角度もしくは回転量が、任意の開始点から予め設定された設定区間に亘って変化する間に、トルク勾配の変化が設定範囲内に収まると、設定区間におけるトルク勾配の値に基づいて、トルク勾配が第1の傾き、または、第2の傾きであるかを判定してもよい。
上記課題を解決するために、本発明の締結装置は、温めたコンプレッサインペラの挿通孔にタービン軸を挿通して、タービン軸に形成された段差面と、コンプレッサインペラとの間に回転部材を挟み、コンプレッサインペラを冷却することで、挿通孔が縮小してタービン軸を締め付ける温嵌めによって、タービン軸に仮締結されたコンプレッサインペラを、タービン軸に本締結する締結装置であって、タービン軸のうち、コンプレッサインペラから突出した突出部に形成されたネジ溝に、締結部材を回転させて螺合する締結部と、締結部材の螺合過程で締結部材の回転角度もしくは回転量と、締付トルクそれぞれの推移を計測する計測部と、特定されたトルク勾配が、第1の傾きとなった後、第1の傾きよりも小さい第2の傾きとなると、第1の傾き、または、第2の傾きとなるときの締付トルク、および、回転角度もしくは回転量を解に持つ、締付トルクを示す回転角度もしくは回転量の1次関数に基づいて、締付トルクが0となる回転角度を特定し起点とし、起点からの回転角度もしくは回転量が設定値となると、締結部材の回転を停止させるように、締結部を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、タービン軸と回転部材およびコンプレッサインペラに安定した軸力を与えることが可能となる。
過給機の概略断面図である。 タービンハウジングとコンプレッサハウジングを取り付ける前の過給機の概略断面図である。 シャフトと回転部材およびコンプレッサインペラの締結を説明するための説明図である。 締結装置について説明するための図である。 締結方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 トルク曲線を説明するための第1の図である。 温嵌めによる締結部分を説明するための図である。 トルク曲線を説明するための第2の図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、過給機Cの概略断面図である。以下では、図1に示す矢印L方向を過給機Cの左側とし、矢印R方向を過給機Cの右側として説明する。図1に示すように、過給機Cは、過給機本体1を備えて構成される。この過給機本体1は、ベアリングハウジング2と、ベアリングハウジング2の左側に締結機構3によって連結されるタービンハウジング4と、ベアリングハウジング2の右側に締結ボルト5によって連結されるコンプレッサハウジング6と、が一体化されて形成されている。
ベアリングハウジング2のタービンハウジング4近傍の外周面には、ベアリングハウジング2の径方向に突出する突起2aが設けられている。また、タービンハウジング4のベアリングハウジング2近傍の外周面には、タービンハウジング4の径方向に突出する突起4aが設けられている。ベアリングハウジング2とタービンハウジング4は、突起2a、4aを締結機構3によってバンド締結して固定される。締結機構3は、突起2a、4aを挟持する締結バンド(Gカップリング)で構成される。
ベアリングハウジング2には、過給機Cの左右方向に貫通する軸受孔2bが形成されており、この軸受孔2bに設けられたラジアル軸受7によって、シャフト8が回転自在に軸支されている。シャフト8の左端部(一端)にはタービンインペラ9が一体的に固定されており、このタービンインペラ9がタービンハウジング4内に回転自在に収容されている。また、シャフト8の右端部(他端)にはコンプレッサインペラ10が一体的に固定されており、このコンプレッサインペラ10がコンプレッサハウジング6内に回転自在に収容されている。
コンプレッサハウジング6には、過給機Cの右側に開口するとともに不図示のエアクリーナに接続される吸気口11が形成されている。また、締結ボルト5によってベアリングハウジング2とコンプレッサハウジング6とが連結された状態では、これら両ハウジング2、6の対向面によって、空気を昇圧するディフューザ流路12が形成される。このディフューザ流路12は、シャフト8(コンプレッサインペラ10)の径方向内側から外側に向けて環状に形成されており、上記の径方向内側において、コンプレッサインペラ10を介して吸気口11に連通している。
また、コンプレッサハウジング6には、ディフューザ流路12よりもシャフト8(コンプレッサインペラ10)の径方向外側に位置する環状のコンプレッサスクロール流路13が設けられている。コンプレッサスクロール流路13は、不図示のエンジンの吸気口と連通するとともに、ディフューザ流路12にも連通している。したがって、コンプレッサインペラ10が回転すると、吸気口11からコンプレッサハウジング6内に空気が吸気されるとともに、当該吸気された空気は、コンプレッサインペラ10の翼間を流通する過程において遠心力の作用などにより増速され、ディフューザ流路12およびコンプレッサスクロール流路13で昇圧されてエンジンの吸気口に導かれることとなる。
タービンハウジング4には、過給機Cの左側に開口するとともに不図示の排気ガス浄化装置に接続される吐出口14が形成されている。また、タービンハウジング4には、流路15と、この流路15よりもシャフト8(タービンインペラ9)の径方向外側に位置する環状のタービンスクロール流路16とが設けられている。タービンスクロール流路16は、不図示のエンジンの排気マニホールドから排出される排気ガスが導かれる不図示のガス流入口と連通するとともに、上記の流路15にも連通している。したがって、ガス流入口からタービンスクロール流路16に導かれた排気ガスは、流路15およびタービンインペラ9を介して吐出口14に導かれるとともに、その流通過程においてタービンインペラ9を回転させることとなる。そして、上記のタービンインペラ9の回転力は、シャフト8を介してコンプレッサインペラ10に伝達されることとなり、コンプレッサインペラ10の回転力によって、上記のとおりに、空気が昇圧されてエンジンの吸気口に導かれることとなる。
図2は、タービンハウジング4とコンプレッサハウジング6を取り付ける前の過給機Cの概略断面図である。図1と同様、図2に示す矢印L方向を過給機Cの左側とし、矢印R方向を過給機Cの右側として説明する。図2に示すように、ベアリングハウジング2の内部には、シャフト8に作用するスラスト荷重を受ける2つのスラスト軸受20、21が、スラストカラー22を挟んで左右に配されている。スラスト軸受20、21およびスラストカラー22には、シャフト8が挿通されている。
スラストカラー22の右側には油切り23が隣接しており、油切り23の左側の端部がスラスト軸受21に挿通され、油切り23の右側がシールプレート24に挿通されている。そして、油切り23のうち、スラスト軸受21およびシールプレート24の間におけるシールプレート24寄りの部位が径方向外方に突出しており、潤滑油を径方向外方に飛散させることで、シールプレート24から右側への潤滑油漏れを抑制している。また、油切り23の右側にはコンプレッサインペラ10が隣接している。
スラストカラー22と油切り23で構成される回転部材25とコンプレッサインペラ10は、シャフト8と一体的に回転するようにシャフト8に締結されている。一方、スラスト軸受20とシャフト8、油切り23とスラスト軸受21、および、油切り23とシールプレート24は、互いに径方向に隙間が設けられており、相対回転可能となっている。
図3は、シャフト8と回転部材25およびコンプレッサインペラ10の締結を説明するための説明図である。シャフト8とタービンインペラ9は、シャフト8の一端にタービンインペラ9が溶接などで固定されてタービン軸を構成し、一体的に回転する。一方、コンプレッサインペラ10は、スラストカラー22や油切り23と共に、シャフト8と一体的に回転するように、ナット26(締結部材)による締結力で締結されている。
詳細には、図3に示すように、シャフト8には段差面8aが形成されており、この段差面8aを境にして、タービンインペラ9側の外径が、コンプレッサインペラ10側の外径よりも大径となるように形成されている。そして、スラストカラー22は、段差面8aに当接する位置までシャフト8に挿通される。
また、油切り23は、スラストカラー22に当接する位置までシャフト8に挿通され、コンプレッサインペラ10は、油切り23に当接する位置までシャフト8に挿通される。
ここで、コンプレッサインペラ10をシャフト8に締結する際には、コンプレッサインペラ10を温め、挿通孔10aを拡げた状態で、この挿通孔10aにシャフト8を圧入する。コンプレッサインペラ10が冷却されると、挿通孔10aが縮小してシャフト8が締め付けられる(所謂温嵌め)。
その後、シャフト8のうち、コンプレッサインペラ10から突出した突出部8bに形成されたネジ溝8cにナット26を螺合させる。こうして、シャフト8の段差面8aとナット26の間にスラストカラー22、油切り23、および、コンプレッサインペラ10を挟み込み、ナット26で締め付けることで(ナット26による締結力で)、シャフト8の軸方向の圧縮力(軸力)を生じさせる。この軸力によって、段差面8a、スラストカラー22、油切り23、コンプレッサインペラ10、および、ナット26それぞれの当接部分に摩擦抵抗が生じる。そのため、シャフト8に対し、回転部材25やコンプレッサインペラ10が相対回転してしまう回転ずれが抑制される。
上記の軸力は、ナット26を回転させる回転角度と相関があることから、ナット26の締結において、当該回転角度を計測して、予め設定された設定値までナット26を回転させることで、所望の軸力を担保する角度法が用いられている。しかし、回転角度を計測する際、回転角度の起点となる位置がばらつくと、軸力にもバラつきが生じてしまう。
そこで、本実施形態の締結装置は、回転角度と締付トルクの推移を示すトルク曲線に基づいて、シャフト8とコンプレッサインペラ10の締結を遂行する。以下、締結装置100の概略的な構成について説明した後、締結装置100による締結方法について詳述する。
図4は、締結装置100について説明するための図である。図4に示すように、締結装置100の基台100aの上方には、加熱部111、圧入部112、締結部113が設置されている。加熱部111は、円盤状のターンテーブル111aと不図示のヒータを有する。ターンテーブル111aは、基台100aに立設する柱部材111bによって中央部分が下方支持され、締結装置100における制御部115の制御に応じ、柱部材111bを中心に不図示のモータなどの動力によって回転する。
ターンテーブル111a上に搬送されたコンプレッサインペラ10は、シャフト8を挿通する挿通孔10aにヒータが挿通され、ターンテーブル111aが回転している間に、ヒータによって加熱されることで挿通孔10aの内径が拡大する。
タービンハウジング4、コンプレッサインペラ10、ナット26、および、コンプレッサハウジング6が取り付けられる前の過給機C、すなわち、コンプレッサインペラ10圧入前の過給機C(以下、圧入前過給機Cと称す)には、シャフト8の段差面8aに当接する位置までスラストカラー22が挿通された後、油切り23がスラストカラー22に当接する位置までシャフト8に挿通されている。この圧入前過給機Cに冶具J1が取り付けられて、ターンテーブル111aの下方に搬送される。
そして、ターンテーブル111aの回転によってコンプレッサインペラ10が圧入前過給機Cの上方に到達すると、組入部111cによって、圧入前過給機Cのシャフト8が、コンプレッサインペラ10に挿通される。この時点では、シャフト8とコンプレッサインペラ10の寸法関係からシャフト8が途中までしか挿通されない。そして、コンプレッサインペラ10が途中まで挿通された圧入前過給機Cは、冶具J1を冶具J2に取り換えられ、圧入部112に搬送される。
圧入部112は、油圧シリンダなどのアクチュエータ112aを有し、アクチュエータ112aが、制御部115の制御に応じた圧力でコンプレッサインペラ10を押圧することで、圧入前過給機Cのシャフト8がコンプレッサインペラ10に圧入される。
コンプレッサインペラ10が圧入された過給機C、すなわち、ナット26締結前の過給機C(以下、締結前過給機Cと称す)は、アクチュエータ112aによる押圧が継続した状態で、不図示の冷却部によって圧縮空気を噴射されるなどして冷却される。こうして、シャフト8とコンプレッサインペラ10の摩擦抵抗が大きくなる。
冷却された締結前過給機Cは、シャフト8のコンプレッサインペラ10側の軸端側にナット26が仮締めされ、冶具J2を冶具J3に取り換えられ、締結部113に搬送される。
締結部113は、ナットランナー113aを有し、ナットランナー113aが、制御部115の制御に応じたトルクで、締結前過給機Cの仮締めされたナット26を本締めする。
計測部114は、角度センサ114aおよびトルクセンサ114bで構成され、ナット26の螺合過程でナット26の回転角度と締付トルクそれぞれの推移を計測する。ここで、角度センサ114aは、ナット26の回転角度を、例えば、パルス信号として出力する。すなわち、回転角度は、パルス信号などの回転量に置き換えられて計測される。以下、制御部115は、回転角度を用いて制御を遂行する場合を例に挙げて説明するが、回転角度の代わりに回転量を用いて制御を遂行してもよい。
制御部115は、計測した回転角度と締付トルクの推移に基づいて、回転角度の起点を特定し、起点からの回転角度が設定値となると、ナット26の回転を停止させるように、締結部113を制御する。以下、制御部115の処理について、フローチャートを参照して詳述する。
図5は、締結方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。始めに、加熱部111は、コンプレッサインペラ10を加熱し、圧入部112は圧入前過給機Cのシャフト8にコンプレッサインペラ10を圧入する温嵌めを遂行する(S200)。そして、締結前過給機Cのシャフト8にナット26を仮締めし(S202)、締結部113がナット26の本締めを開始する(S204)。
計測部114は、ナット26の螺合過程(本締め過程)でナット26の回転角度と締付トルクの計測を開始する(S206)。
図6は、トルク曲線を説明するための第1の図である。計測部114が計測したナット26の回転角度と締付トルクを、縦軸にトルク、横軸に回転角度を取った図にプロットすると、図6(a)に破線で示すように、トルク曲線が描かれる。
図6(b)に示すように、トルク曲線においては、大まかに2つのトルク勾配27、28が形成される。これは、温嵌めによるシャフト8とコンプレッサインペラ10との摩擦力の影響による。
図7は、温嵌めによる締結部分を説明するための図である。図7にクロスハッチングで示すように、温嵌めによってコンプレッサインペラ10の挿通孔10aの内周面と、シャフト8の外周面との間には摩擦力が生じている。
その結果、ナット26を締め付けると、シャフト8のうち、図7中、区間Laの部分が弾性変形して軸方向に伸長する。ナット26の締め付けが進むと、図7にクロスハッチングで示す部位の摩擦力をナット26による引張応力が上回り、当該摩擦部分が滑る。その後は、図7中、区間Laよりも長い区間Lbの部分が弾性変形して軸方向に伸長することとなる。
このように、ナット26の締め付けに伴って、シャフト8のうち、弾性変形する部位が2段階に変化することから、図6(b)に示すように、トルク曲線には2つのトルク勾配27、28が形成される。すなわち、シャフト8のうち、区間Laが伸長しているときは、トルク勾配27が形成され、区間Laより長い区間Lbが伸長しているときは、トルク勾配27よりも傾斜が小さいトルク勾配28が形成される。
ここで、従来は、図6(c)に示す比較例のように、締付トルクが所定値αとなったときのナット26の回転角度を起点とし、起点から予め設定された設定値分、ナット26を回転させて本締めを遂行していた。これでは、例えば、回転部材25およびコンプレッサインペラ10間の摩擦係数の個体差などから、ナット26の締付トルクに対する回転角度がバラつき、回転角度の起点にもバラつきが生じてしまう。
本実施形態では、上記の温嵌めの特性を利用して、ナット26の回転角度の起点を特定している。具体的には、まず、制御部115は、回転角度と締付トルクの推移に基づいてトルク勾配を随時特定し、トルク勾配が、予め設定された第1の傾き(トルク勾配27)となったことを特定する(図5におけるS208)。ここで、第1の傾きには、例えば、予め適正範囲が定められており、制御部115は、トルク勾配が第1の傾きの適正範囲に入ると、トルク勾配が第1の傾きになったと判定する。
その後、制御部115は、回転角度の増加に伴って締付トルクの減少があるか否かを判定する(S210)。
図8は、トルク曲線を説明するための第2の図である。図8(a)に示すように、トルク曲線において、2つのトルク勾配27、28の間に、回転角度の増加に伴って締付トルクが減少する区間が生じる場合がある。
これは、例えば、コンプレッサインペラ10が軸方向に移動しきらないまま、段差面8a、回転部材25(スラストカラー22、油切り23)、および、コンプレッサインペラ10の間に、軸方向に隙間が残ってしまった場合に起きる。
上記のように、ナット26の締め付けが進むと、シャフト8とコンプレッサインペラ10の間の摩擦力をナット26による引張応力が上回り、当該摩擦部分が滑る。このとき、軸方向に隙間が残っていると、ナット26は容易に回転し、回転角度が増加しても締付トルクが減少することとなる。
このように、締付トルクの減少がある場合(図5におけるS210におけるYES)、制御部115は、温嵌めによって仮締結された時点で、コンプレッサインペラ10と回転部材25、または、回転部材25と段差面8aが、軸方向に離隔していたものと判定し、対象となっている締結前過給機Cを、生産ラインから除外し(S212)、当該締結処理を終了する。こうして、温嵌めにおける仮締結が適切なものを容易に選別することが可能となる。
締付トルクの減少がなければ(S210におけるNO)、制御部115は、トルク勾配の特定を継続し、トルク勾配が、第1の傾きよりも小さい、予め設定された第2の傾き(トルク勾配28)となったことを特定する(S214)。ここで、第2の傾きには、例えば、予め適正範囲が定められており、制御部115は、トルク勾配が第2の傾きの適正範囲に入ると、トルク勾配が第2の傾きになったと判定する。
その後、制御部115は、第2の傾きとなるときの締付トルク、および、回転角度を解に持つ、締付トルクを示す回転角度の1次関数に基づいて、締付トルクが0となる回転角度を特定して起点とする(S216)。この1次関数は、締付トルクを変数y、回転角度を変数x、第2の傾きを定数a、切片を定数bとすると、下記の数式1で表される。
y=ax+b …(数式1)
図6(c)において、この1次関数はトルク曲線に一部が重なるとともにトルク勾配28を示す直線と大凡等しく、起点は、トルク勾配28の直線とトルク0の座標軸との交点となる。
言い換えれば、トルク曲線において、第2の傾きとなった回転角度から、第2の傾きで締付トルクが0となるまで仮想線を引いたとき、締付トルクが0となる回転角度を起点とすることとなる。
制御部115は、特定した起点からの回転角度が、予め設定された設定値となると、ナット26の回転を停止させ、本締結を完了し(S218)、当該締結処理を終了する。
上述したトルク勾配27、28の特定ステップS208、S214において、制御部115は、回転角度が、任意の開始点から予め設定された設定区間に亘って変化する間に、トルク勾配の変化が設定範囲内に収まると、設定区間におけるトルク勾配の値に基づいて、第1の傾き、または、第2の傾きであるかを判定する。
具体的には、例えば、回転角度がX度(Xは予め設定された値)に亘って、トルク勾配の変化がY±Z(Yは任意の値、Zは予め設定された値)の範囲に収まっていると、制御部115は、X度の区間におけるトルク勾配の平均値が、第1の傾き、または、第2の傾きであるかを判定する。ここで、トルク勾配の算出は、例えば最小二乗法のような統計処理を行っても構わない。
そのため、設定値や設定範囲の値を適正に設定すれば、トルク勾配を誤判定したり、トルク勾配の特定に要する回転角度の範囲が大きくなり過ぎて、トルク勾配の特定が不可能となったりする事態を回避することが可能となる。
上述した実施形態では、トルク勾配が、第1の傾きとなってから第2の傾きとなるまでに、締付トルクが減少したと判定すると、温嵌めによって仮締結された時点で、コンプレッサインペラ10と回転部材25、または、回転部材25と段差面8aが、軸方向に離隔していたものと判定する場合について説明した。しかし、第1の傾きとなってから第2の傾きとなるまでに、締付トルクが減少するか否かを判定する工程は必須の工程ではない。
また、上述した実施形態では、締付トルクの減少があった締結前過給機Cを生産ラインから除外する場合について説明した。ここで、制御部115は、締付トルクの減少があった締結前過給機Cについて、図8(a)に示すように締付トルクの減少後に第2の傾きがある場合は、生産ラインから除外せずに、第2の傾き特定S214に戻ってもよい。
また、上述した実施形態では、制御部115は、トルク勾配が第2の傾きとなった区間における任意の締付トルク、および、回転角度を解に持ち、締付トルクを示す回転角度の1次の関数に基づいて、締付トルクが0となる回転角度を起点として特定する場合について説明した。しかし、制御部115は、図8(b)に示すように、トルク勾配が第1の傾きとなった区間における任意の締付トルク、および、回転角度を解に持ち、締付トルクを示す回転角度の1次の関数(トルク勾配27を示す直線)に基づいて、締付トルクが0となる回転角度を起点として特定してもよい。
トルク曲線において、第1の傾き、および、第2の傾きとなる部位は、再現性が高く安定して形成されることから、図6(b)や図8(b)を参照して説明した手段で特定される起点は、個体差によるブレが少ない。このようなブレの少ない起点から、予め設定された設定値までナット26を回転させて締結することで、シャフト8と回転部材25およびコンプレッサインペラ10に安定した軸力を与えることが可能となる。
また、上述した実施形態では、回転部材25がスラストカラー22と油切り23で構成される場合について説明したが、回転部材として、スラストカラー22および油切り23は必須の構成ではなく、また、ナット26の締結力でシャフト8と一体的に締結される他の部材を回転部材に含んでもよい。
さらに、上述した実施形態のトルク傾きから起点を算出し、設定角度まで本締めする締結方法は、コンプレッサインペラ10がタービン軸にスキマをもって挿入される形態にも適用可能である。この場合、トルク勾配を特定する傾きは1つで構わない。
また、上述した実施形態では、温めたコンプレッサインペラ10の挿通孔10aにシャフト8を挿通して、コンプレッサインペラ10を冷却することで、挿通孔10aが縮小してシャフト8を締め付ける温嵌めについて説明した。しかし、シャフト8を冷やして、コンプレッサインペラ10の挿通孔10aに挿通して、シャフト8が温まることで、シャフト8が拡径してコンプレッサインペラ10に締め付けられる冷し嵌めにも適用可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、タービン軸に回転部材を締結する締結方法、および、締結装置に利用することができる。
8 シャフト(タービン軸)
8a 段差面
8b 突出部
8c ネジ溝
9 タービンインペラ(タービン軸)
10 コンプレッサインペラ
10a 挿通孔
25 回転部材
26 ナット(締結部材)
100 締結装置
113 締結部
114 計測部
115 制御部

Claims (4)

  1. 温めたコンプレッサインペラの挿通孔にタービン軸を挿通して、該タービン軸に形成された段差面と、該コンプレッサインペラとの間に回転部材を挟み、該コンプレッサインペラを冷却することで、該挿通孔が縮小して該タービン軸を締め付ける温嵌めによって、該タービン軸に仮締結された該コンプレッサインペラを、該タービン軸に本締結する締結方法であって、
    前記タービン軸のうち、前記コンプレッサインペラから突出した突出部に形成されたネジ溝に、締結部材を回転させて螺合する工程と、
    前記締結部材の螺合過程で該締結部材の回転角度もしくは回転量と、締付トルクそれぞれの推移を計測する工程と、
    計測した回転角度もしくは回転量と、締付トルクの推移に基づいて、トルク勾配を特定する工程と、
    特定された前記トルク勾配が、第1の傾きとなった後、該第1の傾きよりも小さい第2の傾きとなると、該第1の傾き、または、該第2の傾きとなるときの前記締付トルク、および、前記回転角度もしくは回転量を解に持つ、該締付トルクを示す該回転角度もしくは回転量の1次関数に基づいて、締付トルクが0となる回転角度を特定し起点とする工程と、
    前記起点からの回転角度もしくは回転量が設定値になると、前記締結部材の回転を停止させる工程と、
    を含むことを特徴とする締結方法。
  2. 前記起点を特定する工程において、トルク勾配が、前記第1の傾きとなってから前記第2の傾きとなるまでに、締付トルクが減少するか否かを判定し、
    前記締付トルクが減少すると判定すると、前記温嵌めによって仮締結された時点で、前記コンプレッサインペラと前記回転部材、または、該回転部材と前記段差面が、軸方向に離隔していたものと判定する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の締結方法。
  3. 前記起点を特定する工程において、回転角度もしくは回転量が、任意の開始点から予め設定された設定区間に亘って変化する間に、トルク勾配の変化が設定範囲内に収まると、該設定区間におけるトルク勾配の値に基づいて、トルク勾配が前記第1の傾き、または、前記第2の傾きであるかを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の締結方法。
  4. 温めたコンプレッサインペラの挿通孔にタービン軸を挿通して、該タービン軸に形成された段差面と、該コンプレッサインペラとの間に回転部材を挟み、該コンプレッサインペラを冷却することで、該挿通孔が縮小して該タービン軸を締め付ける温嵌めによって、該タービン軸に仮締結された該コンプレッサインペラを、該タービン軸に本締結する締結装置であって、
    前記タービン軸のうち、前記コンプレッサインペラから突出した突出部に形成されたネジ溝に、締結部材を回転させて螺合する締結部と、
    前記締結部材の螺合過程で該締結部材の回転角度もしくは回転量と、締付トルクそれぞれの推移を計測する計測部と、
    特定された前記トルク勾配が、第1の傾きとなった後、該第1の傾きよりも小さい第2の傾きとなると、該第1の傾き、または、該第2の傾きとなるときの前記締付トルク、および、前記回転角度もしくは回転量を解に持つ、該締付トルクを示す該回転角度もしくは回転量の1次関数に基づいて、締付トルクが0となる回転角度を特定し起点とし、該起点からの回転角度もしくは回転量が設定値となると、該締結部材の回転を停止させるように、前記締結部を制御する制御部と、
    を備えることを特徴とする締結装置。
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