JP2015151804A - 固定補助具及び固定構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】外部床の内部や下方の障害物による制約を受けることなく、外部床のうち任意の位置に支持部材を固定することのできる固定補助具、及び固定構造を提供すること。【解決手段】固定補助具300は、支持部材10のベース部11に対して上方から重ねられる平板状の押さえ部310と、押さえ部310から外側に向かって延びており、外部床100に対して対向配置される平板状の固定部330と、を備えている。ベース部11よりも外側となる位置において、固定補助具300の固定部330が外部床100に締結固定される。これにより、支持部材10が外部床100に固定される。【選択図】図4
Description
本発明は、太陽光パネル等を下方から支持する支持部材を、建物の屋根やベランダ等の外部床に固定するための固定補助具、及びこれを用いた固定構造に関する。
既存の建物の屋根やベランダ等の外部床に、太陽光パネル等の重量物(以下、「屋外設置物」とも称する)を後付けで設置する際には、屋外設置物を下方から支持するための支持部材が外部床に対して先ず取り付けられる。支持部材は、外部床に載置される平板状のベース部と、当該ベース部の略中央から上方に向かって延びる支持柱とを備えている。このような支持部材を介して屋外設置物が外部床に設置されるため、外部床の上面を覆う樹脂製の防水シートが屋外設置物との接触によって傷ついてしまう等の不具合が防止される。
外部床に対する支持部材の固定は、通常、ボルトやITハンガー等の締結部材を用いてベース部を外部床に締結固定することにより行われる。具体的には、ベース部に複数の孔(以下、「ベース孔」とも称する)を予め形成しておき、外部床のうちベース孔に対応する部分にもそれぞれ孔(以下、「床孔」とも称する)を形成しておく。ベース孔と床孔とが上面視で重なるように支持部材を外部床に設置した後、ベース孔及び床孔に締結部材を挿入して締結することにより、ベース部を外部床に締結固定する。尚、外部床に形成される床孔は必ずしも貫通孔であるとは限られず、有底の孔である場合もある。
ところで、外部床が例えば軽量気泡コンクリートパネル(ALC)からなり、その内部に鉄筋が配置されている場合には、当該鉄筋が障害物となって、上記のように床孔を形成することができないことがある。また、外部床に床孔(貫通孔)を形成することができたとしても、外部床の直下に配置された電気配線や配管等が障害物となって、締結部材による締結固定ができないことがある。
床孔を形成すべき位置に上記のような障害物が存在している場合には、当該位置ではベース部(支持部材)を締結固定することができない。このため、支持部材を固定する作業中において障害物の存在が判明した際には、外部床における支持部材の固定位置を変更することも考えられる。しかし、支持部材の固定位置、すなわち、(太陽光パネル等である)屋外設置物の固定位置は、太陽光の入射方向等を考慮して最適な位置とすべきものであるから、外部床の内部や下方の障害物によって制約されてしまうのは望ましくない。
そこで、下記特許文献1に記載された支持部材では、ベース部に形成されるベース孔の数を、実際に締結部材が挿入され締結固定される数(十分な引き抜き耐力を得るために必要な締結箇所の数)よりも多くしている。このような構成とすることにより、特定のベース孔の下方に床孔を形成すること等ができなかった場合には、支持部材の固定位置を変更することなく、他のベース孔の下方に床孔を形成し、当該位置においてベース部を締結固定することを試みることができる。その結果、支持部材の固定位置を変更することなく、障害物を避けてベース部を締結固定することのできる可能性が高くなっている。換言すれば、障害物の位置に制約されることなく任意の位置に支持部材を固定し、自由な位置や向きにおいて屋外設置物を設置することのできる可能性が高くなっている。
しかしながら、支持部材のうちベース部の大きさ(広さ)は限られている。このため、上記特許文献1に記載の支持部材のように、ベース部に多数のベース孔を形成していたとしても、外部床のうち各ベース孔に対応する位置の全てにおいて、外部床内部の障害物によって床孔を形成することができなかったり、形成された床孔の下方の障害物によって締結固定が妨げられたりする可能性がある。
そこで、支持部材のベース部を従来のものよりも大きくしておき、その全体に(様々な位置に)更に多数のベース孔を形成しておくことも考えられる。この場合には、いずれかのベース孔の下方において、外部床に床孔を形成してベース部を締結固定することのできる可能性は高くなるが、支持部材の大型化や重量増加に伴って作業性は悪くなってしまう。また、支持部材の材料コストが高くなってしまうという問題も生じる。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、外部床の内部や下方の障害物による制約を受けることなく、外部床のうち任意の位置に支持部材を固定することのできる固定補助具、及び固定構造を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る固定補助具は、建物の屋根やベランダ等の外部床に載置される平板状のベース部と、当該ベース部の略中央から上方に向かって延び、太陽光パネル等を下方から支えるための支持柱と、を有する支持部材を、前記外部床に対して固定するための固定補助具であって、前記ベース部に対して上方から重ねられる平板状の押さえ部と、前記押さえ部から外側に向かって延びており、前記外部床に対して対向配置される平板状の固定部と、を備え、前記ベース部よりも外側となる位置において、前記固定部が前記外部床に締結固定されることを特徴としている。
支持部材とは、建物の屋根やベランダ等の外部床に固定された状態で、太陽光パネル等の屋外設置物を下方から支えるための部材である。支持部材は、外部床に載置される平板状のベース部と、当該ベース部の略中央から上方に向かって延び、太陽光パネル等を下方から支えるための支持柱と、を有している。本発明に係る固定補助具は、このような支持部材を外部床に対して固定するためのものである。
本発明に係る固定補助具は、押さえ部と固定部とを備えている。押さえ部は、支持部材のベース部に対して上方から重ねられる平板状の部分である。固定部は、押さえ部から外側に向かって延びており、外部床に対して対向配置される平板状の部分である。本発明に係る固定補助具によれば、ベース部よりも外側となる位置において、固定部が外部床に締結固定される。それに伴い、押さえ部が支持部材のベース部を上方から押さえつけるため、支持部材も外部床に対して固定される。
外部床の内部に障害物が存在し、これによりベース部の下方に床孔を形成することができない場合や、外部床の下方に障害物が存在し、これによりベース部を締結固定することができない場合であっても、障害物を避けた位置において固定部を外部床に締結固定することで、支持部材のベース部を外部床に対して押さえつけて固定することができる。つまり、ベース部の下方に障害物があり、ベース部を直接外部床に締結固定することができないような場合であっても、その位置において支持部材を固定し得る可能性を高くすることができる。
尚、ベース部の下方に床孔を形成して、ベース部を外部床に直接締結固定することができる場合には、本発明に係る固定補助具は用いられず、従来の方法によって支持部材が固定される。つまり、固定補助具は必要に応じて補助的に用いられるものである。このように、支持部材のベース部を初めから大型化させておくのではなく、必要に応じて固定補助具を用いることによって、外部床の所定の位置において支持部材を締結固定し得る可能性を高くすることができる。
また、本発明に係る固定補助具では、前記押さえ部の略中央となる位置には、前記支持柱を挿通するための支持柱用貫通孔が形成されており、前記支持柱用貫通孔に前記支持柱が挿通された後、前記固定部が前記外部床に締結固定される前の状態においては、前記支持柱の中心軸周りに回転させることが可能であることも好ましい。
この好ましい態様では、押さえ部の略中央となる位置に、支持部材の支持柱を挿通するための支持柱用貫通孔が形成されている。また、支持柱用貫通孔に支持柱が挿通された後、固定部が外部床に締結固定される前の状態においては、支持柱の中心軸周りに回転させることが可能となっている。
固定部の下方側(ベース部よりも外側)においても障害物が存在し、外部床に対する固定部の締結固定が妨げられるような場合であっても、固定補助具を支持柱の中心軸周りに回転させれば、障害物を避けた位置において固定部を締結固定することができる。つまり、支持部材の位置を変更することなく、当該位置において支持部材を固定し得る可能性を更に高くすることができる。
また、本発明に係る固定補助具では、前記固定部には、締結部材を挿通するための固定用貫通孔が複数箇所に形成されており、少なくとも二つの前記固定用貫通孔が、前記支持柱の中心軸からの距離において互いに異なるような位置に形成されていることも好ましい。
この好ましい態様では、固定部には、締結部材を挿通するための固定用貫通孔が複数箇所に形成されている。これらのうち、少なくとも二つの固定用貫通孔が、支持柱の中心軸からの距離において互いに異なるような位置に形成されている。換言すれば、支持柱の中心軸からの距離において他とは異なるような固定用貫通孔が、少なくとも一つ存在する。
このような構成であるから、固定補助具を支持柱の中心軸周りに回転させて行くと、高い確率で、いずれかの固定用貫通孔が障害物を避けた位置となる。換言すれば、いずれかの固定貫通孔が、その下方に障害物が無いような位置となるように、固定補助具を配置し得る可能性が高くなる。このため、支持部材の位置を変更することなく、当該位置において支持部材を固定し得る可能性を更に高くすることができる。
また、本発明に係る固定補助具では、前記押さえ部及び前記固定部の全体形状は、上面視において略長方形状であることも好ましい。
この好ましい態様では、押さえ部及び固定部の全体形状は、上面視において略長方形状である。このような構成により、障害物を避けるような位置に固定部を(回転させて)配置し得る可能性を犠牲にすることなく、固定補助具の全体形状を小型化することができる。
また、本発明に係る固定補助具では、前記支持部材が水平方向に移動してしまうことを規制するための規制部を更に備えたことも好ましい。
この好ましい態様では、支持部材が水平方向に移動してしまうことを規制するための規制部を更に備えている。支持部材は、上下方向の移動が規制されることに加え、水平方向の移動も規制される。このため、支持部材の固定位置が、正規の位置からずれてしまうことがない。
また、本発明に係る固定構造は、建物の屋根やベランダ等の外部床に載置された平板状のベース部と、当該ベース部の略中央から上方に向かって延びる支持柱と、を有する支持部材を、固定補助具によって前記外部床に対し固定してなる支持部材の固定構造であって、前記固定補助具は、前記ベース部に対して上方から重ねられた平板状の押さえ部と、前記押さえ部から前記ベース部よりも外側に向かって延びており、前記外部床に対して対向配置された平板状の固定部と、を備え、前記ベース部よりも外側となる位置において、前記固定部が前記外部床に締結固定されていることを特徴としている。
上記構成の本発明によれば、外部床の内部や下方に存在する障害物の位置に制約されることなく、任意の位置に支持部材を固定してなる支持部材の固定構造を提供することができる。
また、本発明に係る固定構造では、前記固定補助具が、前記支持部材が水平方向に移動してしまうことを規制するための規制部を更に備えていることも好ましい。
この好ましい態様では、支持部材の固定位置が、正規の位置からずれてしまうことのない固定構造とすることができる。
本発明によれば、外部床の内部や下方の障害物による制約を受けることなく、外部床のうち任意の位置に支持部材を固定することのできる固定補助具、及び固定構造を提供することができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1は支持部材を示す斜視図である。支持部材とは、建物の屋根やベランダ等の外部床に固定された状態で、太陽光パネル等の屋外設置物を下方から支えるための部材である。本実施形態においては、支持部材10の材料は鉄である。図1に示したように、支持部材10は、ベース部11と、支持柱15とを有している。
ベース部11は、支持部材10のうち下方側の部分であって、上面視において略円形を成す平板状(円盤状)となっている。支持部材10は、当該ベース部11の下面を外部床上に当接させた状態で、外部床に対して締結固定される。ベース部11には8つの貫通孔12が形成されている。これら貫通孔12は、ベース部11の周方向に沿って円形に並んでおり、互いに等間隔となっている。後に説明するように、貫通孔12は、ベース部11を外部床に締結固定する際において締結部材(ITハンガー200)を挿入するための孔である。
支持柱15は、ベース部11の上面から上方に向かって延びるように形成された円筒形状の部分である。支持柱15は、その中心軸がベース部11の上面の中心を通っており、且つベース部11の上面に対して垂直となっている。支持柱15は、太陽光パネル等の屋外設置物を下方から支えるための柱である。支持柱15はその上端において開口しており、内側面16には雌螺子が形成されている。
本実施形態においては、図1に示したように支持柱15が比較的短く(低く)形成されており、屋外設置物の設置高さに合わせて形成された延長柱(不図示)の下端を、支持柱15に接続固定しうる構成となっている。延長柱は、その上端が屋外設置物に接続される円柱であって、その外側面のうち下端部近傍には雄螺子が形成されている。当該雄螺子を、内側面16に形成された雌螺子に螺合させることにより、延長柱の下端が支持柱15に対して接続固定される。
尚、外部床に対して固定される支持部材10の形状としては、図1に示したような形状に限られる必要はなく、例えば、上記のような支持柱15と延長柱とを一体のものとして形成してもよい。すなわち、支持柱15を図1に示したものよりも長く形成し、その上端を屋外設置物に直接接続するような態様としてもよい。
ここで、上記のような支持部材10を外部床に対して固定するための手順の一例を、図2を参照しながら説明する。図2(A)に示したように、外部床100は、軽量気泡コンクリートパネル(ALC)からなるALC層140と、発泡樹脂素材からなる断熱層130と、補強ボードからなる補強層120と、塩化ビニルシートからなる防水層110と、によって構成されている。ALC層140は最下層となっており、その上方側を断熱層130が覆っている。また、断熱層130の上方側を補強層120が覆っており、補強層120の上方側を防水層110が覆っている。
このような構成の外部床100に対して支持部材10を固定する際は、先ず、屋外設置物の設置位置や向きに合わせて、支持部材10の固定位置が決定される。その後、外部床100のうち支持部材10の固定位置となる部分において、防水層110、補強層120、及び断熱層130を取り除き、ALC層140を露出させる。その結果、図2(B)に示したように、ALC層140の上方側には凹状の空間150が形成される。空間150は、上面視において円形の空間であって、その直径は、支持部材10のベース部11の直径よりも僅かに大きくなっている。尚、このような外部床100の加工は、例えばホールソーを用いて容易に行うことができる。
続いて、図2(C)に示したように、空間150内に支持部材10を配置する。ALC層140の表面のうち露出した部分の中心と、ベース部11の中心とが略一致するように、ベース部11の下面をALC層140の表面に対して当接させる。
その後、ベース部11の貫通孔12から下方に向けて貫くように、ALC層140に貫通孔141を形成する。貫通孔141は、その直径が貫通孔12の直径と略同一である。このような貫通孔141は、複数(8つ)の貫通孔12のうち少なくとも2か所の貫通孔12の直下に形成される。
続いて、図2(D)に示したように、貫通孔12及び貫通孔141を貫くようにITハンガー200を上方側から挿入する。ITハンガー200の形状は一般的なものであって、その上端にはナット201が螺合されており、下端にはロールプレート202が回動自在に取り付けられている。ITハンガー200のナット201を締め付けると、ナット201とロールプレート202とによってベース部11及びALC層140が挟み込まれる。これにより、ベース部11がALC層140に対して締結固定される。
その後、空間150のうち支持部材10の周囲を発泡樹脂素材で埋めて、更にその上方を補強ボード及び塩化ビニルシートで覆った状態とすることにより、支持部材10の周囲から外部床100の内部に水が浸入することを防止する。このときに用いられる発泡樹脂素材や補強ボードとしては、空間150を形成する際に取り除かれた素材を再利用することができる。
以上が、支持部材10を外部床100に対して固定するための通常の手順である。
ところで、例えばALC層140の内部に鉄筋が配置されている場合には、当該鉄筋が障害物となって、上記のように貫通孔141を形成することができないことがある。図3(A)は、このような場合を模式的に示した図である。
図3(A)に示したように、ALC層140の内部のうち貫通孔12の下方に鉄筋(障害物OB1)が配置されていると、当該貫通孔12の下方には貫通孔141を形成することができない。このため、別の貫通孔12の下方に貫通孔141を形成する必要がある。
しかし、障害物OB1の位置や大きさによっては、ベース部11に形成された全ての貫通孔12について、それぞれの下方に貫通孔141を形成することができない場合も生じ得る。このような場合には、従来、障害物OB1の位置を避けるように、支持部材10の固定位置を変更する必要があった。
また、いずれかの貫通孔12の下方に貫通孔141を形成することができたとしても、外部床100(ALC層140)の直下に配置された電気配線や配管等が障害物となって、ITハンガー200による締結固定ができないことがある。図3(B)は、このような場合を模式的に示した図である。
図3(B)に示したように、ALC層140の下方(下面近傍の位置)に配管(障害物OB2)が配置されていると、ITハンガー200のロールプレート202が当該障害物OB2と干渉してしまうため、ITハンガー200による締結固定ができない。このため、別の貫通孔12の下方に貫通孔141を形成し、当該貫通孔141においてITハンガー200による締結固定を行う必要がある。
しかし、障害物OB2の位置や大きさによっては、ベース部11に形成された全ての貫通孔12について、直下に貫通孔141を形成した後にITハンガー200による締結固定ができない場合も生じ得る。このような場合にも、障害物OB2の位置を避けるように、支持部材10の固定位置を変更する必要があった。
尚、ALC層140内の鉄筋の位置や、ALC層140の下方における配管等の位置は、設計図面などによって予め知り得るものではある。このため、これらを避けるような位置(且つ、屋外設置物を最適な位置に固定し得る位置)に支持部材10を固定することが望ましい。しかしながら、建築後のリフォーム等によって鉄筋や配管の位置が(建築時の)設計図面とは異なっている場合もあり得る。そのような場合には、上記のように支持部材10を所望の位置に固定することができなくなる可能性がある。
以上に説明したように、障害物OB1、OB2の位置によっては、支持部材10の固定位置を変更する必要が生じていた。しかしながら、(太陽光パネル等である)屋外設置物の固定位置は、太陽光の入射方向等を考慮して最適な位置とすべきものであるから、障害物OB1、OB2の位置によって制約されてしまうのは望ましくない。
そこで、本実施形態に係る支持部材10の固定構造においては、障害物OB1、OB2によって支持部材10の締結固定が妨げられた場合には、固定補助具300を用いることにより、支持部材10を所望の位置に固定する。以下、図4及び図5を参照しながら、このような固定構造について説明する。
まず、図4を参照しながら、固定補助具300の形状について説明する。図4は、固定補助具300の形状を示す斜視図である。本実施形態においては、固定補助具300の材料は鉄である。図4に示したように、固定補助具300は、押さえ部310と、一対の延長部320と、一対の固定部330とを備えている。
押さえ部310は、上面視において略円形を成す平板状(円盤状)となっている。押さえ部310の上面視における外形は、ベース部11の外形と略等しい。
押さえ部310の中央には支持柱用貫通孔313が形成されている。支持柱用貫通孔313は、後に説明するように、支持部材10の支持柱15が挿通される孔であって、その内径が、支持柱15の外径よりも僅かに大きくなっている。上面視において、支持柱用貫通孔313の中心は押さえ部310の中心と一致している。
押さえ部310のうち支持柱用貫通孔313の周囲には、4つの貫通孔312が形成されている。これら貫通孔312は、押さえ部310の周方向に沿って円形に並んでおり、互いに等間隔となっている。それぞれの貫通孔312の内径は、ベース部11に形成された貫通孔12の内径と等しい。また、押さえ部310の中心から貫通孔312の中心までの距離は、ベース部11の中心から貫通孔12の中心までの距離に等しい。従って、押さえ部310をベース部11に上方から重ねて、貫通孔312の位置と貫通孔12の位置とを一致させること(全ての貫通孔312の直下に、貫通孔12が位置している状態とすること)が可能となっている。
延長部320は、押さえ部310の直径方向に沿ってそれぞれ両外側に延びるように形成された一対の板状部分である。それぞれの延長部320の形状は、互いに同一(対称)である。また、それぞれの延長部320の厚さは、押さえ部310の厚さと等しい。更に、それぞれの延長部320の下面は、押さえ部310の下面と同一の平面上に配置されている。
固定部330は、それぞれの延長部320の端部から更に外側に延びるように形成された一対の板状部分である。それぞれの固定部330は上面視において矩形となっており、その形状は互いに同一(対称)である。また、固定部330の厚さは、ベース部11の厚さに略等しい。
図4に示したように、それぞれの固定部330は、その上面の一部を延長部320の下面に当接させた状態で、延長部320に対して溶接固定されている。このため、固定部330のうち押さえ部310側の側面340は、延長部320の下面から下方に向かって延びる面となっている。また、一対の固定部330は、それぞれの側面340が互いに平行且つ向かい合うように配置されている。これら側面340同士の距離は、ベース部11の直径に略等しい。
それぞれの固定部330には、6つの貫通孔332が形成されている。貫通孔332の内径は、全て、ベース部11に形成された貫通孔12の内径と等しい。従って、貫通孔312の内径とも等しい。6つの貫通孔332は、押さえ部310側から見たときにおいて3行×2列に整列するように配置されている。換言すれば、押さえ部310の中心軸からの距離においてグループ分けすると、6つの貫通孔332が3つのグループ(各グル―プには二つの貫通孔332が属している)に分かれることとなる。
続いて、図5を参照しながら、固定補助具300を用いて支持部材10を外部床100に対して固定するための手順を説明する。
障害物OB1や障害物OB2が存在しており、これにより従来の手順(図2を参照しながら説明した手順)によっては支持部材10の固定が難しいと判断された場合、固定補助具300を用いて支持部材10を固定することが決定される。
この場合、支持部材10を空間150から一度取り出しておく。その後、図5(A)に示したように、空間150の周囲から防水層110、補強層120、及び断熱層130を更に取り除くことにより、空間150を拡げる。こときの空間150の大きさは、内部に固定補助具300を収納し得る大きさとしておく。図5(A)においては、このように拡げられる前の状態における空間150の形状を点線で示している。
続いて、図5(B)に示したように、空間150内に支持部材10を再び配置する。このときの支持部材10の位置は、当初の位置(従来の手順により固定しようとした際の位置)と同じ位置である。
支持部材10をALC層140の上に配置した後、図5(C)に示したように、支持部材10に対して固定補助具300を上方から被せた状態とする。具体的には、押さえ部310を、ベース部11に対して上方から重ねた状態とする。このとき、支持部材10の支持柱15は、押さえ部310の支持柱用貫通孔313に挿通されている。また、固定補助具300の固定部330は、ALC層140の上面に対向配置されている。本実施形態においては、固定部330の厚さがベース部11の厚さと等しいため、固定部330の下面がALC層140の上面に当接している。尚、図5(C)においては、固定部330に形成された複数の貫通孔332のうち、最も外側に形成されたもののみを図示しており、他の貫通孔332については図示を省略している。
その後、固定部330の貫通孔332から下方に向けて貫くように、ALC層140に貫通孔141を形成する。貫通孔141は、その直径が貫通孔332の直径と略同一である。このような貫通孔141は、それぞれの固定部330の下方において、複数(6つ)の貫通孔332のうち少なくとも2か所の貫通孔332の直下に形成されるのが望ましい。
続いて、図5(D)に示したように、貫通孔332及び貫通孔141を貫くように、それぞれの貫通孔141に対してITハンガー200を上方側から挿入する。以下は、図2(D)を参照しながら説明した従来の手順と同様に、ITハンガー200のナット201を締め付けて、固定部330をALC層140に対して締結固定する。
図5(D)に示した状態においては、ベース部11が押さえ部310によって上方から押さえつけられており、これにより、支持部材10が外部床100に対して固定されている。また、それぞれの固定部330の側面340が、ベース部11の側面を両側から挟み込んだ状態となっており、これにより支持部材10の水平方向の移動が規制されている。つまり、支持部材10は、上下方向の移動が(押さえ部310によって)規制されていることに加えて、側面340によって水平方向の移動も規制されている。このため、支持部材10の固定位置が、正規の位置からずれてしまうことが抑制されている。
その後、従来の手順と同様に、空間150のうち支持部材10の周囲を発泡樹脂素材で埋めて、更にその上方を補強ボード及び塩化ビニルシートで覆った状態とする。これにより、支持部材10の周囲から外部床100の内部に水が浸入することを防止する。
以上に説明したように、本実施形態に係る支持部材10の固定構造においては、支持部材10のベース部11よりも外側となる位置において、固定補助具300の固定部330が外部床100に締結固定される。それに伴い、押さえ部310がベース部11を上方から押さえつけるため、支持部材10も外部床100に対して固定される。
外部床100の内部に障害物OB1が存在し、これによりベース部11の下方に貫通孔141を形成することができない場合や、外部床100の下方に障害物OB2が存在し、これによりベース部11を締結固定することができない場合であっても、障害物(OB1、OB2)を避けた位置において固定部330を外部床100に締結固定することで、支持部材10のベース部11を外部床100に対して押さえつけて固定することができる。つまり、ベース部11の下方に障害物(OB1、OB2)があり、ベース部11を直接外部床100に締結固定することができないような場合であっても、当該位置において支持部材10を固定し得る可能性を高くすることが可能となっている。
尚、固定部330に形成された全ての貫通孔312の下方に、障害物が存在している場合もありうる。このような場合には、支持柱用貫通孔313に支持柱15が挿通された後、固定部330が外部床100に締結固定される前の状態において、支持柱15の中心軸周りに固定補助具300を回転させることにより、貫通孔141を形成する位置を変更すればよい。
このように、貫通孔141を形成する位置を変更することによって、支持部材10の位置を変更することなく、当該位置において支持部材10を固定し得る可能性が更に高くなる。
また、図4を参照しながら説明したように、固定補助具300のそれぞれの固定部330には、貫通孔332が複数箇所(6箇所)に形成されている。これらのうち、少なくとも二つの貫通孔332が、支持柱15の中心軸(支持柱用貫通孔313の中心軸といってもよい)からの距離において互いに異なるような位置に形成されている。換言すれば、支持柱15の中心軸からの距離において他とは異なるような貫通孔332が、少なくとも一つ存在している。
このような構成であるから、固定補助具300を支持柱15の中心軸周りに回転させて行くと、高い確率で、いずれかの貫通孔332が障害物(OB1、OB2)を避けた位置となる。換言すれば、いずれかの貫通孔332が、その下方に障害物(OB1、OB2)が無いような位置となるように、固定補助具300を配置し得る可能性が高くなっている。このため、支持部材10の位置を変更することなく、当該位置において支持部材10を固定し得る可能性が更に高くなっている。
また、固定補助具300の全体形状(押さえ部310、一対の延長部320、及び一対の固定部330からなる全体の形状)は、上面視において略長方形状となっている。このような構成により、障害物を避けるような位置に固定部330を(回転させて)配置し得る可能性を犠牲にすることなく、固定補助具300の全体形状が小型化されている。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
10:支持部材
11:ベース部
12:貫通孔
15:支持柱
16:内側面
100:外部床
110:防水層
120:補強層
130:断熱層
140:ALC層
141:貫通孔
150:空間
200:ハンガー
201:ナット
202:ロールプレート
300:固定補助具
310:押さえ部
312:貫通孔
313:支持柱用貫通孔
320:延長部
330:固定部
332:貫通孔
340:側面
OB1,OB2:障害物
11:ベース部
12:貫通孔
15:支持柱
16:内側面
100:外部床
110:防水層
120:補強層
130:断熱層
140:ALC層
141:貫通孔
150:空間
200:ハンガー
201:ナット
202:ロールプレート
300:固定補助具
310:押さえ部
312:貫通孔
313:支持柱用貫通孔
320:延長部
330:固定部
332:貫通孔
340:側面
OB1,OB2:障害物
Claims (7)
- 建物の屋根やベランダ等の外部床に載置される平板状のベース部と、当該ベース部の略中央から上方に向かって延び、太陽光パネル等を下方から支えるための支持柱と、を有する支持部材を、前記外部床に対して固定するための固定補助具であって、
前記ベース部に対して上方から重ねられる平板状の押さえ部と、
前記押さえ部から外側に向かって延びており、前記外部床に対して対向配置される平板状の固定部と、を備え、
前記ベース部よりも外側となる位置において、前記固定部が前記外部床に締結固定されることを特徴とする固定補助具。 - 前記押さえ部の略中央となる位置には、前記支持柱を挿通するための支持柱用貫通孔が形成されており、
前記支持柱用貫通孔に前記支持柱が挿通された後、前記固定部が前記外部床に締結固定される前の状態においては、前記支持柱の中心軸周りに回転させることが可能であることを特徴とする、請求項1に記載の固定補助具。 - 前記固定部には、締結部材を挿通するための固定用貫通孔が複数箇所に形成されており、
少なくとも二つの前記固定用貫通孔が、前記支持柱の中心軸からの距離において互いに異なるような位置に形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の固定補助具。 - 前記押さえ部及び前記固定部の全体形状は、上面視において略長方形状であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の固定補助具。
- 前記支持部材が水平方向に移動してしまうことを規制するための規制部を更に備えたことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の固定補助具。
- 建物の屋根やベランダ等の外部床に載置された平板状のベース部と、当該ベース部の略中央から上方に向かって延びる支持柱と、を有する支持部材を、固定補助具によって前記外部床に対し固定してなる支持部材の固定構造であって、
前記固定補助具は、
前記ベース部に対して上方から重ねられた平板状の押さえ部と、
前記押さえ部から前記ベース部よりも外側に向かって延びており、前記外部床に対して対向配置された平板状の固定部と、を備え、
前記ベース部よりも外側となる位置において、前記固定部が前記外部床に締結固定されていることを特徴とする支持部材の固定構造。 - 前記固定補助具が、前記支持部材が水平方向に移動してしまうことを規制するための規制部を更に備えていることを特徴とする、請求項6に記載の固定構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014027933A JP2015151804A (ja) | 2014-02-17 | 2014-02-17 | 固定補助具及び固定構造 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2015151804A true JP2015151804A (ja) | 2015-08-24 |
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ID=53894358
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JP2014027933A Pending JP2015151804A (ja) | 2014-02-17 | 2014-02-17 | 固定補助具及び固定構造 |
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JP (1) | JP2015151804A (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2010085357A2 (en) * | 2009-01-26 | 2010-07-29 | Single Source Roofing Corporation | Mobile photovoltaic panel structure and assembly |
JP2011026859A (ja) * | 2009-07-27 | 2011-02-10 | Gantan Beauty Ind Co Ltd | 持出部材の設置構造、その設置施工方法、及びそれを用いた外設部材の取付構造、改修構造 |
JP2011236590A (ja) * | 2010-05-07 | 2011-11-24 | Alps Co Ltd | 屋根に載置する物品の取り付け台 |
-
2014
- 2014-02-17 JP JP2014027933A patent/JP2015151804A/ja active Pending
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