JP2015150618A - 多層溶接装置及び多層溶接方法 - Google Patents

多層溶接装置及び多層溶接方法 Download PDF

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佑馬 仲林
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利勝 山口
真佑 小川
Shinsuke Ogawa
真佑 小川
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Abstract

【課題】大型の管体の中心軸同士のズレを抑えながら、当該管体同士を効率よく繋ぎ合わせることが可能な多層溶接装置及び多層溶接方法を提供する。
【解決手段】多層溶接装置1は、突合わせられた上側管体2の開先2aと下側管体3の開先3aとを、周方向に延びる一側溶接パスP1に沿って一側から溶接する一側溶接部30と、2つの管体の中心軸2b、3bに関する情報を計測するための中心軸計測部20と、中心軸計測部20の計測結果に基づいて、一側溶接部30を制御する制御部40と、を備える。制御部は、一側溶接パスを周方向に沿って等間隔に複数の溶接区間p11〜18に分割し、2つの管体の中心軸に関する情報に基づいて、上側管体の中心軸が下側管体の中心軸に対して他側に最もずれた溶接区間p11から、順次選択的に他の溶接区間に移行して一側溶接部に溶接を行わせるようになっている。
【選択図】図5

Description

本発明の実施形態は、多層溶接装置及び多層溶接方法に関する。
大型の管体同士を繋ぎ合わせる方法として、上側管体の開先と下側管体の開先とを突合わせて、突合わせられた一対の開先を周方向に溶接する方法が知られている。とりわけ、原子力炉内に設置される大型の管体同士を繋ぎ合わせる場合には、互いの中心軸の位置ズレ精度を厳しく要求されることもある。従来では、大型の管体の中心軸同士のズレを抑えながら当該管体同士を繋ぎ合わせるために、2つの管体の開先を周方向に溶接して環状の溶接ビードを一層ずつ形成する度に、作業者が2つの管体の寸法を測定して2つの管体の位置を調整していた。しかしながら、2つの大型の管体の測定及び位置調整は容易ではなく、当該作業に多くの要員及び時間を必要とし効率的ではない。
そこで、大型の管体の中心軸を精度よく位置合わせするべく、各管体を拘束体を用いて位置決めする手法も知られている。
特開平9−99368号公報
しかしながら、大型の管体を位置決めして拘束するためには、大型かつ大重量な拘束体を用いる必要があり、コスト及び準備期間の観点から望ましくない。さらに、コスト及び準備時間が掛かるため拘束体を用いて事前に位置決め精度を検証することも困難である。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、大型の管体の中心軸同士のズレを抑えながら、当該管体同士を効率よく繋ぎ合わせることが可能な多層溶接装置及び多層溶接方法を提供することである。
実施の形態に係る多層溶接装置は、突合わせられた上側管体の開先と下側管体の開先とを、周方向に延びる溶接パスに沿って溶接した環状の溶接ビードを複数層形成する多層溶接装置である。多層溶接装置は、前記下側管体が載置される土台部と、前記土台部に載置された前記下側管体の中心軸に関する情報、及び、前記下側管体に突合わされた前記上側管体の中心軸に関する情報を計測するための中心軸計測部と、突合わせられた前記上側管体の開先と前記下側管体の開先とを、周方向に延びる一側溶接パスに沿って、前記上側管体及び前記下側管体の一側から溶接する一側溶接部と、前記中心軸計測部の計測結果に基づいて、前記一側溶接部を制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記一側溶接パスを周方向に沿って等間隔に複数の溶接区間に分割し、前記中心軸計測部によって計測された前記下側管体の中心軸に関する情報と前記上側管体の中心軸に関する情報とに基づいて、前記上側管体の中心軸が前記下側管体の中心軸に対して一側の反対側となる他側に最もずれた前記溶接区間から、順次選択的に他の溶接区間に移行して前記一側溶接部に溶接を行わせ、環状の溶接ビードを形成させるようになっている。
実施の形態に係る多層溶接方法は、突合わせられた上側管体の開先と下側管体の開先とを、周方向に延びる溶接パスに沿って溶接した環状の溶接ビードを複数層形成する多層溶接方法である。多層溶接方法は、前記下側管体の中心軸に関する情報、及び、前記下側管体に突合わされた前記上側管体の中心軸に関する情報を計測する工程と、突合わせられた前記上側管体の開先と前記下側管体の開先とを、周方向に延びる一側溶接パスに沿って、前記上側管体及び前記下側管体の一側から溶接する工程と、を備える。前記一側から溶接する工程において、前記一側溶接パスを周方向に沿って等間隔に複数の溶接区間に分割し、計測された前記下側管体の中心軸に関する情報と前記上側管体の中心軸に関する情報とに基づいて、前記上側管体の中心軸が前記下側管体の中心軸に対して一側の反対側となる他側に最もずれた前記溶接区間から、順次選択的に他の溶接区間に移行して溶接して環状の溶接ビードを形成する。
本発明の実施の形態の多層溶接装置によれば、制御部が、一側溶接パスを周方向に沿って等間隔に複数の溶接区間に分割し、上側管体の中心軸が下側管体の中心軸に対して他側に最もずれた溶接区間から、順次選択的に他の溶接区間に移行して一側溶接部に溶接を行わせるようになっている。このような形態によれば、上側管体の中心軸が下側管体の中心軸に対して他側に最もずれた溶接区間を、一側から溶接することで、上側管体の中心軸を下側管体の中心軸に対して一側に引き寄せることができる。このため、上側管体の中心軸と下側管体の中心軸とのズレが小さくなるように、当該管体同士を繋ぎ合わせることができる。また、各大型の管体の中心軸に関する情報を中心軸計測部によって計測することができるため、多くの要員及び時間を必要としない。また、大型の管体の中心軸を精度よく位置合わせするために、別個の拘束体等を準備する必要もないため、費用も準備期間も抑えることができる。したがって、本発明の実施の形態の多層溶接装置によれば、大型の管体の中心軸同士のズレを抑えながら、当該管体同士を効率よく繋ぎ合わせることができる。
本発明の実施の形態の多層溶接方法によれば、一側溶接パスを周方向に沿って等間隔に複数の溶接区間に分割し、上側管体の中心軸が下側管体の中心軸に対して他側に最もずれた溶接区間から、順次選択的に他の溶接区間に移行して溶接する。このような形態によれば、上側管体の中心軸が下側管体の中心軸に対して他側に最もずれた溶接区間を一側から溶接することで、上側管体の中心軸を下側管体の中心軸に対して一側に引き寄せることができる。このため、上側管体の中心軸と下側管体の中心軸とのズレが小さくなるように、当該管体同士を繋ぎ合わせることができる。また、大型の管体の中心軸同士を精度よく位置合わせするために、別個の拘束体等を準備する必要もないため、費用も準備期間も抑えることができる。したがって、本発明の実施の形態の多層溶接方法によれば、大型の管体の中心軸同士のズレを抑えながら、当該管体同士を効率よく繋ぎ合わせることができる。
一実施の形態による多層溶接装置の構成の一例を示す概略縦断面図。 図1に示す多層溶接装置において、2つの管体の中心軸を計測する方法を説明するための概略縦断面図。 図2に示す線III−IIIに沿った断面における多層溶接装置を示す概略横断面図。 図1に示す多層溶接装置の一側溶接部を拡大して示す概略正面図。 一側溶接パスを周方向に沿って等間隔に分割した複数の通常型溶接区間の一例を示す図。 一側溶接パスを周方向に沿って等間隔に分割した複数の回転型溶接区間の一例を示す図。 他側溶接パスを周方向に沿って等間隔に分割した複数の通常型溶接区間の一例を示す図。 他側溶接パスを周方向に沿って等間隔に分割した複数の回転型溶接区間の一例を示す図。 図1に示す多層溶接装置の制御部による制御の一例を示すフローチャート。 中心軸計測部の一変形例を示す概略正面図。
以下、図1乃至図8を参照して、一実施の形態による多層溶接装置1について説明する。図1は、一実施の形態による多層溶接装置1の構成の一例を示す縦断面図である。本実施の形態の多層溶接装置1は、例えば原子力炉内に設置される大型の管体2、3同士を繋ぎ合わせることを意図されている。2つの管体2、3は、突き合わせられて繋ぎ合わせられるが、各管体2、3のうちのこの突合わせられた端部には、開先加工が施されている。開先とは、JIS−Z3001に定義されているとおりであり、溶接する母材2、3間に設ける溝をいう。接合対象となる管体2、3として、例えば鋼製の管体が用いられる。
以下では、管体2、3の内面2c、3c側を一側とし、管体2、3の外面2d、3d側を他側として説明するが、当然に、管体2、3の内面2c、3c側を他側とし、管体2、3の外面2d、3d側を一側としてもよい。
図1に示すように、多層溶接装置1は、突合わせられた上側管体2の開先2aと下側管体3の開先3aとを、周方向に延びる溶接パスに沿って溶接し、環状の溶接ビードW1を複数層形成する装置である。多層溶接装置1は、下側管体3が載置される土台部10と、土台部10に載置された下側管体3の中心軸3bに関する情報、及び、上側管体2の中心軸2bに関する情報を計測するための中心軸計測部20と、を備えている。
このうち、土台部10は、水平面からなる接地面に載置されている。したがって、土台部10に載置された下側管体3及び上側管体2は、各々の中心軸2b、3bが鉛直方向と平行となるように配置されている。図1に示すように、土台部10は、下側管体3が載置される4つのブロック11を含んでいる。4つのブロック11は、下側管体3の中心軸3bに対して4回対称に配置されている。言い換えると、4つのブロック11は、周方向に沿って等しい間隔で配置されている。4つのブロック11は、下側管体3を受ける面の高さの差が1mm以内となるように調整されている。
中心軸計測部20は、上側管体2の中心軸2bを特定するために必要な情報、及び、下側管体3の中心軸3bを特定するために必要な情報を取得することができるものであれば特に限定されない。中心軸計測部20は、接触式の計測装置であってもよいし、非接触式の計測装置であってもよい。本実施の形態の中心軸計測部20は、非接触式の三次元測定機にて構成されている。具体的には、中心軸計測部20は、3次元レーザ測定機からなる。この3次元レーザ測定機は、測定対象物に設置したターゲット21にレーザ光を照射し、ターゲット21から反射したレーザ光を計測することにより、ターゲット21の3次元座標を計測するものである。以下、中心軸計測部20が3次元レーザ測定機からなる例について図2及び図3を参照して詳細に説明していく。図2及び図3は、それぞれ、2つの管体2、3の中心軸2b、3bを計測する方法を説明するための概略縦断面図及び概略横断面図である。
図2及び図3に示すように、中心軸計測部20は、土台部10が載置された接地面に載置され、下側管体3の内部に位置している。計測対象となるターゲット21は、予め管体2、3に形成された孔や溝に、設置されている。本実施の形態では、上側管体2の中心軸2bを計測するために、上側管体2の上端近傍に4つのターゲット21を配置している。下側管体3の中心軸3bを計測するために、下側管体3の下端近傍に4つのターゲット21を配置している。また、2つの管体2、3を突合わせた位置付近に歪みや変形等による異常がないかを確認するために、2つの管体2、3を突合わせた位置付近、図示する例では下側管体3の開先(上端)付近に、4つのターゲット21を配置している。
図3に示すように、上側管体2の上端近傍に配置された4つのターゲット21は、水平面に平行な平面内に配置されている。4つのターゲット21は、上側管体2の内面2cに沿って等しい間隔で並べられている。すなわち、4つのターゲット21は、上側管体2の中心軸2bに対して4回対称となっている。このようなターゲット21の配置によれば、互いに対向する2つのターゲット21を結ぶ直線L1と、残りの2つのターゲット21を結ぶ直線L2と、の交点を求めることにより、上側管体2の中心軸2b上の点の位置を特定することができる。さらに、4つのターゲット21が配置された平面を特定することにより、上側管体2の中心軸2bの延びる方向を特定することができる。したがって、このようなターゲット21の配置によれば、上側管体2の中心軸2bを精度よく特定することができる。
同様に、下側管体3の下端近傍に配置された4つのターゲット21は、水平面に平行な平面内に配置されている。4つのターゲット21は、下側管体3の内面3cに沿って等しい間隔で並べられている。すなわち、4つのターゲット21は、下側管体3の中心軸3bに対して4回対称となっている。このようなターゲット21の配置によれば、上側管体2の中心軸2bを特定したやり方と同様にして、下側管体3の中心軸3bを精度よく特定することができる。
一方、下側管体3の開先付近に配置された4つのターゲット21は、水平面に平行な平面内に配置されている。4つのターゲット21は、下側管体3の内面3cに沿って等しい間隔で並べられている。すなわち、4つのターゲット21は、下側管体3の中心軸3bに対して4回対称となっている。2つの管体2、3を突合わせた位置付近は、溶接による熱歪み等の影響を受け変形し易い。したがって、下側管体3の開先付近に配置された4つのターゲット21を用いて特定される下側管体3の中心軸が、下側管体3の下端付近に配置された4つのターゲット21を用いて特定される下側管体3の中心軸3bに対してどの程度ズレているか把握することで、2つの管体2、3を突合わせた位置付近において許容外の変形が発生していないか確認することができる。すなわち、下側管体3の開先付近の内面3cに4つのターゲット21を配置することで、2つの管体2、3を突合わせた位置付近における変形が許容内であることを保証し、2つの管体2、3を精度よく繋ぎ合わせることに寄与する。
図1に戻って、多層溶接装置1は、突合わせられた上側管体2の開先2aと下側管体3の開先3aとを、周方向に延びる一側溶接パスP1(図5参照)に沿って、上側管体2及び下側管体3の一側から溶接する一側溶接部30と、突合わせられた上側管体2の開先2aと下側管体3の開先3aとを、周方向に延びる他側溶接パスP2(図7参照)に沿って、上側管体2及び下側管体3の他側から溶接する他側溶接部50と、を備えている。
本実施の形態では、一側溶接部30は、管体2、3の内面2c、3c側から当該内面2c、3cの周方向に沿って溶接を行い、他側溶接部50は、管体2、3の外面2d、3d側から当該外面2d、3dの周方向に沿って溶接を行う。一側溶接部30及び他側溶接部50は、それぞれ、溶接トーチ31、51を有している。一側溶接部30及び他側溶接部50として、突合わせ溶接に用いられるそれ自体既知の溶接機が用いられる。一例として、一側溶接部30及び他側溶接部50として、MIG溶接機、MAG溶接機あるいはTIG溶接機が挙げられる。なお、一側溶接パスP1とは、環状の溶接ビードW1を一層形成するために、一側溶接部30の溶接トーチ31の先端が通る経路をいい、他側溶接パスP2とは、環状の溶接ビードW2を一層形成するために、他側溶接部50の溶接トーチ51の先端が通る経路をいう。
図4に、一側溶接部30を拡大して示す。図4に示すように、一側溶接部30は、一側案内部80によって支持され、当該一側案内部80によって周方向に案内される。この一側案内部80は、一側溶接部30の溶接トーチ31を管体2、3の開先2a、3aに対して一定の距離に保ちつつ、周方向に延びる一側溶接パスP1に沿って一側溶接部30を案内するためのものである。一側案内部80は、上側管体2の内面2cに固定されている。一側案内部80は、一側溶接部30の溶接トーチ31が2つの開先2a、3aを突合わせた位置に対面するように、一側溶接部30を支持している。とりわけ、一側溶接部30の溶接トーチ31が鉛直方向の可動域の中央に位置する際に2つの開先2a、3aを突合わせた位置に対面するのがよい。本実施の形態の一側案内部80は、ラック&ピニオン方式で一側溶接部30を周方向に案内するようになっている。具体的には、一側案内部80は、上側管体2の内面2cに溶接にて固定された固定部材81と、当該固定部材81に支持され、上側管体2の内面2cに沿って周方向に延びるラック部材82と、を含んでいる。一方、一側溶接部30には、ラック部材82と係合して当該ラック部材82に沿って移動する不図示のピニオンが設けられている。一側溶接部30に設けられたピニオンが、一側案内部80のレール部材82に沿って移動することにより、一側溶接部30が一側溶接パスP1に沿って案内される。
同様に、他側溶接部50は、他側案内部90によって支持され、当該他側案内部90によって周方向に案内される。この他側案内部90は、他側溶接部50の溶接トーチ51を管体2、3の開先2a、3aに対して一定の距離に保ちつつ、周方向に延びる他側溶接パスP2に沿って他側溶接部50を案内するためのものである。他側案内部90は、上側管体2の外面2dに固定されている。他側案内部90は、他側溶接部50の溶接トーチ51が2つの開先2a、3aを突合わせた位置に対面するように、他側溶接部50を支持している。とりわけ、他側溶接部50の溶接トーチ51が鉛直方向の可動域の中央に位置する際に2つの開先2a、3aを突合わせた位置に対面するのがよい。本実施の形態の他側案内部90は、ラック&ピニオン方式で他側溶接部50を周方向に案内するようになっている。具体的には、他側案内部90は、上側管体2の外面2dに溶接にて固定された固定部材91と、当該固定部材91に支持され、上側管体2の外面2dに沿って周方向に延びるラック部材92と、を含んでいる。一方、他側溶接部50には、ラック部材92と係合して当該ラック部材92に沿って移動する不図示のピニオンが設けられている。他側溶接部50に設けられたピニオンが、他側案内部90のレール部材92に沿って移動することにより、他側溶接部50が他側溶接パスP2に沿って案内される。
次に、一側溶接部30の溶接トーチ31が通る一側溶接パスP1について図5及び図6を参照して説明する。図5及び図6は、それぞれ、一側溶接パスP1を周方向に沿って等間隔に分割した複数の溶接区間p11〜18の一例及び他の例を示す図である。図5及び図6に示すように、一側溶接パスP1は、周方向に沿って等間隔に複数の溶接区間p11〜18に分割されている。本実施の形態では、一側溶接パスP1は、周方向に沿って等間隔に複数の通常型溶接区間p101〜108に分割されるか、あるいは、周方向に沿って等間隔に複数の回転型溶接区間p111〜118に分割される。図示する例では、通常型溶接区間p101〜108は、8つの区間からなり、回転型溶接区間p111〜118も、8つの区間からなる。通常型溶接区間p101〜108の各境界と、回転型溶接区間p111〜118の各境界とは、互いにずれている。具体的には、各回転型溶接区間p111〜118は、対応する通常型溶接区間p101〜108を、下側管体3の中心軸3bを中心として22.5°回転させた形態に対応している。後述するように、制御部40の制御に基づいて、一側溶接部30は、順次選択的に溶接区間p11〜18を移行して溶接を行っていくようになっている。
一方、他側溶接部50の溶接トーチ51が通る他側溶接パスP2も、図7及び図8に示すように、一側溶接部30の溶接トーチ31が通る一側溶接パスP1と略同様に構成されている。図7及び図8は、それぞれ、他側溶接パスP2を周方向に沿って等間隔に分割した複数の溶接区間p21〜28の一例及び他の例を示す図である。他側溶接パスP2も、周方向に沿って等間隔に複数の溶接区間p21〜28に分割されている。本実施の形態では、他側溶接パスP2は、周方向に沿って等間隔に複数の通常型溶接区間p201〜208に分割されるか、あるいは、周方向に沿って等間隔に複数の回転型溶接区間p211〜218に分割される。図示する例では、通常型溶接区間p201〜208は、8つの区間からなり、回転型溶接区間p211〜218も、8つの区間からなる。通常型溶接区間p201〜208の各境界と、回転型溶接区間p211〜218の各境界とは、互いにずれている。具体的には、各回転型溶接区間p211〜218は、対応する通常型溶接区間p201〜208を、下側管体3の中心軸3bを中心として22.5°回転させた形態に対応している。後述するように、制御部40の制御に基づいて、他側溶接部50は、順次選択的に溶接区間p21〜28を移行して溶接を行っていくようになっている。
さらに、本実施の形態の多層溶接装置1は、図1に示すように、一側溶接部30によって形成された環状の溶接ビードW1の総厚みを計測する一側ビード厚計測部60と、他側溶接部50によって形成された環状の溶接ビードW2の総厚みを計測する他側ビード厚計測部70と、を備えている。
一側ビード厚計測部60及び他側ビード厚計測部70は、対応する環状の溶接ビードW1、W2の総厚みを監視するために設けられている。さらに、一側ビード厚計測部60及び他側ビード厚計測部70は、一側溶接部30と他側溶接部50とを切り替えるタイミングを判断するための情報を取得するためにも設けられている。一側ビード厚計測部60及び他側ビード厚計測部70は、例えば非接触式の距離計であってもよい。本実施の形態の一側ビード厚計測部60及び他側ビード厚計測部70は、非接触式のレーザ距離計にて構成されている。非接触式のレーザ距離計からなる一側ビード厚計測部60及び他側ビード厚計測部70は、各々の投光面61、71からレーザ光を投射するようになっている。
本実施の形態では、4つの一側ビード厚計測部60が、下側管体3内に配置されている。各一側ビード厚計測部60の投光面61は、管体2、3の開先2a、3aの突合わせ位置に対面している。各一側ビード厚計測部60は、周方向に移動する一側溶接部30と干渉しないように、一側溶接部30よりも下側管体3の中心軸3b側に位置している。図示する例では、4つの一側ビード厚計測部60は、下側管体3の内面3cに沿って等しい間隔で並べられている。すなわち、4つの一側ビード厚計測部60は、下側管体3の中心軸3bに対して4回対称となっている。下側管体3の内面3cに沿って等しい間隔で並べられた複数の一側ビード厚計測部60を配置することにより、環状の溶接ビードW1の総厚みを精度よく計測することができる。
一方、4つの他側ビード厚計測部70が、下側管体3の外面3d側に配置されている。各他側ビード厚計測部70の投光面71は、管体2、3の開先2a、3aの突合わせ位置に対面している。各他側ビード厚計測部70は、周方向に移動する他側溶接部50と干渉しないように、他側溶接部50よりも下側管体3の外面3dから離間した位置に配置されている。図示する例では、4つの他側ビード厚計測部70は、下側管体3の外面3dに沿って等しい間隔で並べられている。すなわち、4つの他側ビード厚計測部70は、下側管体3の中心軸3bに対して4回対称となっている。下側管体3の外面3dに沿って等しい間隔で並べられた複数の他側ビード厚計測部70を配置することにより、環状の溶接ビードW2の総厚みを精度よく計測することができる。
さらに、図1に示すように、多層溶接装置1は、中心軸計測部20、一側ビード厚計測部60及び他側ビード厚計測部70の計測結果に基づいて、一側溶接部30及び他側溶接部50を制御する制御部40を備えている。制御部40は、例えば、必要なソフトウェアをインストールしたパーソナルコンピュータにて構成される。
本実施の形態の制御部40による制御について図9を参照して説明する。図9は、制御部40による制御の一例を示すフローチャートである。図9に示すように、制御部40は、中心軸計測部20によって計測された上側管体2の中心軸2bに関する情報と下側管体3の中心軸3bに関する情報とを取得する(STEP1)。続いて、この取得した情報から上側管体2の中心軸2b及び下側管体3の中心軸3bを特定する。次に、特定された上側管体2の中心軸2b及び下側管体3の中心軸3bに基づいて、順次選択的に溶接区間p11〜18を移行して一側溶接部30に溶接を行わせ、環状の溶接ビードW1を形成させる(STEP2)。
ここで、制御部40が一側溶接部30に行わせる溶接の手順について図5を参照してさらに詳しく説明する。図5は、溶接区間p11〜18に沿って順次溶接していく手順の一例を説明するための図である。先ず、制御部40は、上側管体2の中心軸2bが下側管体3の中心軸3bに対して他側、すなわち外側に最もずれた溶接区間p11に沿って一側溶接部30に溶接を行わせる(STEP2−1)。これにより、上側管体2の中心軸2bを下側管体3の中心軸3bに対して一側、すなわち内側に引き寄せることができる。この結果、典型的には、上側管体2の中心軸2bが下側管体3の中心軸3bに対して一側にずれる。したがって、次に、他側に最もずれた溶接区間p11に対向する溶接区間p15に沿って一側溶接部30に溶接を行わせる(STEP2−2)。これにより、上側管体2の中心軸2bを下側管体3の中心軸3bに対して他側に引き戻すことができる。
次に、既に選択された2つの溶接区間p11、p15のいずれからも離間した溶接区間p17に沿って一側溶接部30に溶接を行わせる(STEP2−3)。これにより、上側管体2の中心軸2bが下側管体3の中心軸3bに対して溶接区間p17とは反対側に引き寄せられる。したがって、次に、直前に選択された溶接区間p17に対向する溶接区間p13に沿って一側溶接部30に溶接を行わせる(STEP2−4)。これにより、上側管体2の中心軸2bを下側管体3の中心軸3bに対して溶接区間p17側に引き戻すことができる。このように、偶数番目の溶接区間として、直前に選択された溶接区間に対向する溶接区間を選択する場合、当該直前に選択された溶接区間に対向する溶接区間側に引き寄せられた上側管体2の中心軸2bを、下側管体3の中心軸3bに対して直前に選択された溶接区間側に引き戻すことができる。
以下、同様な考えに基づいて、例えば溶接区間p18に沿って一側溶接部30に溶接を行わせた後(STEP2−5)、直前に選択された溶接区間p18に対向する溶接区間p14に沿って一側溶接部30に溶接を行わせる(STEP2−6)。その後、例えば溶接区間p16に沿って一側溶接部30に溶接を行わせた後(STEP2−7)、溶接区間p12に沿って一側溶接部30に溶接を行わせる(STEP2−8)。このように、順次選択的に溶接区間p11〜18を移行して一側溶接部30に溶接を行わせることにより、環状の溶接ビードW1が形成される(STEP2)。
また、このような溶接の手順において、溶接欠陥の発生を抑制するためには、各溶接区間p11〜18の始端位置及び終端位置は、任意の他の溶接区間p11〜18の始端位置及び終端位置のいずれともずれているのがよい。そこで、本実施の形態では、制御部40は、各溶接区間p11〜18に沿って一側溶接部30に溶接を行わせる際に、各溶接区間p11〜18の終端位置を所定の長さだけ超えた位置まで溶接を行わせるようになっている。具体的には、制御部40は、各溶接区間p11〜18の終端位置を50mmだけ超えた位置まで溶接を行わせるようになっている。これにより、各溶接区間p11〜18の始端位置及び終端位置が、任意の他の溶接区間p11〜18の始端位置及び終端位置のいずれとも重なることを防止することができ、溶接欠陥の発生を抑制することができる。
続いて、図9に示すように、制御部40は、一側ビード厚計測部60によって計測された溶接ビードW1の総厚みが予め定められた第1厚みを越えるか判別する(STEP3)。例えば、予め定められた第1厚みは、10mmに設定される。制御部40は、溶接ビードW1の総厚みが予め定められた第1厚み以下の場合には、上述したSTEP1〜3を繰返し行っていく。すなわち、制御部40は、中心軸計測部20によって計測された上側管体2の中心軸2bに関する情報と下側管体3の中心軸3bに関する情報とを再び取得する(STEP1)。続いて、この取得した情報から上側管体2の中心軸2b及び下側管体3の中心軸3bを特定する。次に、制御部40は、特定された上側管体2の中心軸2b及び下側管体3の中心軸3bに基づいて、順次選択的に溶接区間p11〜18を移行して一側溶接部30に溶接を行わせ、環状の溶接ビードW1を積み重ねさせていくようになっている(STEP2)。続いて、制御部40は、一側ビード厚計測部60によって計測された溶接ビードW1の総厚みが予め定められた第1厚みを越えるか判別する(STEP3)。
ここで、上述したように、一側溶接パスP1は、周方向に沿って等間隔に複数の通常型溶接区間p101〜108に分割される、あるいは、周方向に沿って等間隔に複数の回転型溶接区間p111〜118に分割される。本実施の形態では、第1層目の環状の溶接ビードW1を、通常型溶接区間p101〜108を用いて形成させるようになっており、第2層目の環状の溶接ビードW1を、回転型溶接区間p111〜118を用いて形成するようになっている。その後は、制御部40は、通常型溶接区間p101〜108を用いて環状の溶接ビードW1を形成させる制御と、回転型溶接区間p111〜118を用いて環状の溶接ビードW1を形成させる制御と、を交互に繰返し行うようになっている。
一側溶接部30に環状の溶接ビードW1を繰返し形成させていき、一側ビード厚計測部60が計測した溶接ビードW1の総厚みが予め定められた第1厚みを越えると、制御部40は、一側溶接部30から他側溶接部50に切り替えるようになっている。次に、制御部40は、中心軸計測部20によって計測された上側管体2の中心軸2bに関する情報と下側管体3の中心軸3bに関する情報とを取得する(STEP4)。続いて、この取得した情報から上側管体2の中心軸2b及び下側管体3の中心軸3bを特定する。次に、制御部40は、特定された上側管体2の中心軸2b及び下側管体3の中心軸3bに基づいて、順次選択的に溶接区間p21〜28を移行して他側溶接部50に溶接を行わせ、不図示の環状の溶接ビードW2を形成させる(STEP5)。
ここで、制御部40が他側溶接部50に行わせる溶接の手順について図7を参照してさらに詳しく説明する。先ず、制御部40は、上側管体2の中心軸2bが下側管体3の中心軸3bに対して一側、すなわち内側に最もずれた溶接区間p21に沿って他側溶接部50に溶接を行わせる(STEP5−1)。これにより、上側管体2の中心軸2bを下側管体3の中心軸3bに対して他側、すなわち外側に引き寄せることができる。この結果、典型的には、上側管体2の中心軸2bが下側管体3の中心軸3bに対して他側にずれる。したがって、次に、他側に最もずれた溶接区間p21に対向する溶接区間p25に沿って他側溶接部50に溶接を行わせる(STEP5−2)。これにより、上側管体2の中心軸2bを下側管体3の中心軸3bに対して一側に引き戻すことができる。
次に、既に選択された2つの溶接区間p21、p25のいずれからも離間した溶接区間p27に沿って他側溶接部50に溶接を行わせる(STEP5−3)。これにより、上側管体2の中心軸2bが下側管体3の中心軸3bに対して溶接区間p27とは反対側に引き寄せられる。したがって、次に、直前に選択された溶接区間p27に対向する溶接区間p23に沿って他側溶接部50に溶接を行わせる(STEP5−4)。これにより、上側管体2の中心軸2bを下側管体3の中心軸3bに対して溶接区間p27側に引き戻すことができる。このように、偶数番目の溶接区間として、直前に選択された溶接区間に対向する溶接区間を選択する場合、当該直前に選択された溶接区間に対向する溶接区間側に引き寄せられた上側管体2の中心軸2bを、下側管体3の中心軸3bに対して直前に選択された溶接区間側に引き戻すことができる。
以下、同様な理由により、例えば溶接区間p28に沿って他側溶接部50に溶接を行わせた後(STEP5−5)、直前に選択された溶接区間p28に対向する溶接区間p24に沿って他側溶接部50に溶接を行わせる(STEP5−6)。その後、例えば溶接区間p26に沿って他側溶接部50に溶接を行わせた後(STEP5−7)、溶接区間p22に沿って他側溶接部50に溶接を行わせる(STEP5−8)。このように、順次選択的に溶接区間p21〜28を移行して他側溶接部50に溶接を行わせることにより、環状の溶接ビードW2が形成される(STEP5)。
また、このような溶接の手順において、溶接欠陥の発生を抑制するためには、各溶接区間p21〜28の始端位置及び終端位置は、任意の他の溶接区間p21〜28の始端位置及び終端位置のいずれともずれているのがよい。そこで、本実施の形態では、制御部40は、各溶接区間p21〜28に沿って他側溶接部50に溶接を行わせる際に、各溶接区間p21〜28の終端位置を所定の長さだけ超えた位置まで溶接を行わせるようになっている。具体的には、制御部40は、各溶接区間p21〜28の終端位置を50mmだけ超えた位置まで溶接を行わせるようになっている。これにより、各溶接区間p21〜28の始端位置及び終端位置が、任意の他の溶接区間p21〜28の始端位置及び終端位置のいずれとも重なることを防止することができ、溶接欠陥の発生を抑制することができる。
続いて、図9に示すように、制御部40は、他側ビード厚計測部70によって計測された溶接ビードW2の総厚みが予め定められた第2厚みを越えるか判別する(STEP6)。例えば、予め定められた第2厚みは、10mmに設定される。制御部40は、溶接ビードW2の総厚みが予め定められた第2厚み以下の場合には、上述したSTEP4〜6を繰返し行っていく。
ここで、上述したように、他側溶接パスP2は、周方向に沿って等間隔に複数の通常型溶接区間p201〜208に分割される、あるいは、周方向に沿って等間隔に複数の回転型溶接区間p211〜218に分割される。本実施の形態では、第1層目の環状の溶接ビードW2を、通常型溶接区間p201〜208を用いて形成させるようになっており、第2層目の環状の溶接ビードW2を、回転型溶接区間p211〜218を用いて形成するようになっている。その後は、制御部40は、通常型溶接区間p201〜208を用いて環状の溶接ビードW2を形成させる制御と、回転型溶接区間p211〜218を用いて環状の溶接ビードW2を形成させる制御と、を交互に繰返し行うようになっている。
他側溶接部50に環状の溶接ビードW2を繰返し形成させていき、他側ビード厚計測部70が計測した溶接ビードW2の総厚みが予め定められた第2厚みを越えると、制御部40は、他側溶接部50から一側溶接部30に切り替えるようになっている。その後、制御部40は、一側溶接部30及び他側溶接部50に環状の溶接ビードW1、W2を二層ずつ交互に形成させるようになっている。
具体的には、制御部40は、中心軸計測部20によって計測された上側管体2の中心軸2bに関する情報と下側管体3の中心軸3bに関する情報とを取得する(STEP7)。続いて、この取得した情報から上側管体2の中心軸2b及び下側管体3の中心軸3bを特定する。次に、制御部40は、特定された上側管体2の中心軸2b及び下側管体3の中心軸3bに基づいて、順次選択的に溶接区間p11〜18を移行して一側溶接部30に溶接を行わせ、環状の溶接ビードW1を形成する(STEP8)。このとき、制御部40は、通常型溶接区間p101〜108を用いて環状の溶接ビードW1を形成させる制御と、回転型溶接区間p111〜118を用いて環状の溶接ビードW1を形成させる制御と、が交互に行われるように制御する。続いて、制御部40は、一側ビード厚計測部60によって計測された溶接ビードW1の総厚みが予め定められた第3厚みを越えるか判別する(STEP9)。なお、第3厚みには、例えば、製品として目標とする総厚みから仕上げ溶接の厚みを引いた値が選定され、第3厚みは、少なくとも第1厚みよりも大きい。
図9に示すように、一側溶接部30に環状の溶接ビードW1を二層形成させた後、予め定められた第三厚み以下の場合には、制御部40は、一側溶接部30から他側溶接部50に切り替えるようになっている。そして、制御部40は、中心軸計測部20によって計測された上側管体2の中心軸2bに関する情報と下側管体3の中心軸3bに関する情報とを取得する(STEP10)。続いて、この取得した情報から上側管体2の中心軸2b及び下側管体3の中心軸3bを特定する。次に、制御部40は、特定された上側管体2の中心軸2b及び下側管体3の中心軸3bに基づいて、順次選択的に溶接区間p21〜28を移行して他側溶接部50に溶接を行わせ、環状の溶接ビードW2を形成する(STEP11)。このとき、制御部40は、通常型溶接区間p201〜208を用いて環状の溶接ビードW2を形成させる制御と、回転型溶接区間p211〜218を用いて環状の溶接ビードW2を形成させる制御と、が交互に行われるように制御する。続いて、制御部40は、他側ビード厚計測部70によって計測された溶接ビードW2の総厚みが予め定められた第4厚みを越えるか判別する(STEP12)。なお、第4厚みには、例えば、製品として目標とする総厚みから仕上げ溶接の厚みを引いた値が選定され、第4厚みは、少なくとも第2厚みよりも大きい。
このように、一側溶接部30及び他側溶接部50に環状の溶接ビードW1、W2を二層ずつ交互に形成させていき、一側ビード厚計測部60によって計測された溶接ビードW1の総厚みが予め定められた第3厚みを越えると、制御部40は、一側溶接部30に仕上げ溶接を行わせる(STEP13)。これによって、一側溶接部30による溶接が完了する。また、他側ビード厚計測部70によって計測された溶接ビードW2の総厚みが予め定められた第4厚みを越えると、制御部40は、他側溶接部50に仕上げ溶接を行わせる(STEP14)。これによって、他側溶接部50による溶接も完了する。
次に、以上のような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
本実施の形態の多層溶接方法は、中心軸計測部20によって、上側管体2の中心軸2bに関する情報、及び、下側管体3の中心軸3bに関する情報を取得する工程と(STEP1)、突合わせられた上側管体2の開先2aと下側管体3の開先3aとを、周方向に延びる一側溶接パスP1に沿って一側から溶接する工程と、突合わせられた上側管体2の開先2aと下側管体3の開先3aとを、周方向に延びる他側溶接パスP2に沿って他側から溶接する工程と、を備える。
図5に示すように、一側から溶接する工程において、先ず、制御部40によって、一側溶接パスP1を周方向に沿って等間隔に複数の溶接区間p11〜18に分割される。続いて、制御部40によって、取得された上側管体2の中心軸2bに関する情報と下側管体3の中心軸3bに関する情報とに基づいて、上側管体2の中心軸2bが下側管体3の中心軸3bに対して他側に最もずれた溶接区間p11から、順次選択的に他の溶接区間p12〜18に移行して一側溶接部30に溶接を行わせ環状の溶接ビードW1が形成される(STEP2)。なお、一側溶接部30に行わせる溶接の手順については、図5を参照して説明した手順の通りである。
その後、一側ビード厚計測部60によって溶接ビードW1の総厚みが計測される。続いて、制御部40によって、一側ビード厚計測部60によって計測された溶接ビードW1の総厚みが予め定められた第1厚みを越えるか判別される(STEP3)。計測された溶接ビードW1の総厚みが予め定められた第1厚み以下の場合には、制御部40によって、上述したSTEP1〜3が繰返し行われていく。
本実施の形態では、一側から溶接する工程は、一側溶接パスP1を周方向に沿って等間隔に複数の通常型溶接区間p101〜108に分割し、取得された上側管体2の中心軸2bに関する情報と下側管体3の中心軸3bに関する情報とに基づいて、上側管体2の中心軸2bが下側管体3の中心軸3bに対して他側に最もずれた溶接区間p11から、順次選択的に他の溶接区間p12〜18に移行して溶接して環状の溶接ビードを形成する第1工程と、一側溶接パスP1を周方向に沿って等間隔に複数の回転型溶接区間p111〜118に分割し、取得された上側管体2の中心軸2bに関する情報と下側管体3の中心軸3bに関する情報とに基づいて、上側管体2の中心軸2bが下側管体3の中心軸3bに対して他側に最もずれた溶接区間p11から、順次選択的に他の溶接区間p12〜18に移行して溶接して環状の溶接ビードW1を形成する第2工程と、を含んでいる。そして、第1工程における通常型溶接区間p101〜108の各境界と、第2工程における回転型溶接区間p111〜118の各境界とは、互いにずれている。上述したSTEP1〜3が繰返し行われていく場合、第1工程と第2工程とが交互に繰返し行われるように制御される。
環状の溶接ビードW1を繰返し形成していき、一側溶接部30が計測した溶接ビードW1の総厚みが予め定められた第1厚みを越えると、他側から溶接する工程を開始する。具体的には、先ず、中心軸計測部20によって上側管体2の中心軸3bに関する情報と下側管体3の中心軸3bに関する情報とが取得される(STEP4)。続いて、制御部40によって、取得された上側管体2の中心軸2b及び下側管体3の中心軸3bに基づいて、順次選択的に溶接区間p21〜28を移行して他側溶接部50に溶接を行わせ環状の溶接ビードW2が形成される(STEP5)。なお、他側溶接部50に行わせる溶接の手順については、図7を参照して説明した手順の通りである。
その後、他側ビード厚計測部70によって溶接ビードW2の総厚みが計測される。続いて、制御部40によって、他側ビード厚計測部70によって計測された溶接ビードW2の総厚みが予め定められた第2厚みを越えるか判別される(STEP6)。計測された溶接ビードW2の総厚みが予め定められた第2厚み以下の場合には、制御部40によって、上述したSTEP4〜6が繰返し行われていく。
本実施の形態では、他側から溶接する工程は、他側溶接パスP2を周方向に沿って等間隔に複数の通常型溶接区間p201〜208に分割し、取得された上側管体2の中心軸2bに関する情報と下側管体3の中心軸3bに関する情報とに基づいて、上側管体2の中心軸2bが下側管体3の中心軸3bに対して一側に最もずれた溶接区間p21から、順次選択的に他の溶接区間p22〜28に移行して溶接して環状の溶接ビードを形成する第3工程と、他側溶接パスP2を周方向に沿って等間隔に複数の回転型溶接区間p211〜218に分割し、取得された上側管体2の中心軸2bに関する情報と下側管体3の中心軸3bに関する情報とに基づいて、上側管体2の中心軸2bが下側管体3の中心軸3bに対して一側に最もずれた溶接区間p21から、順次選択的に他の溶接区間p22〜28に移行して溶接して環状の溶接ビードW2を形成する第4工程と、を含みんでいる。そして、第3工程における通常型溶接区間p201〜208の各境界と、第4工程における回転型溶接区間p211〜218の各境界とは、互いにずれている。上述したSTEP4〜6が繰返し行われていく場合、第3工程と第4工程とが交互に繰返し行われるように制御される。
環状の溶接ビードW2を繰返し形成していき、他側ビード厚計測部70が計測した溶接ビードW2の総厚みが予め定められた第2厚みを越えると、一側から溶接する工程に切替り、以降一側から溶接する工程と他側から溶接する工程とを交互に二回ずつ行っていく。
一側から溶接する工程と他側から溶接する工程とを交互に二回ずつ行っていき、一側ビード厚計測部60によって計測された溶接ビードW1の総厚みが予め定められた第3厚みを越えると、一側から仕上げ溶接を行う(STEP13)。これによって、一側からの溶接が完了する。また、他側ビード厚計測部70によって計測された溶接ビードW2の総厚みが予め定められた第4厚みを越えると、他側から仕上げ溶接を行う(STEP14)。これによって、他側からの溶接も完了する。
以上のように、本実施の形態の多層溶接装置1によれば、制御部40が、一側溶接パスP1を周方向に沿って等間隔に複数の溶接区間p11〜18に分割し、上側管体2の中心軸2bが下側管体3の中心軸3bに対して他側に最もずれた溶接区間p11から、順次選択的に他の溶接区間p12〜p18に移行して一側溶接部30に溶接を行わせるようになっている。このような形態によれば、上側管体2の中心軸2bが下側管体3の中心軸3bに対して他側に最もずれた溶接区間p11を、一側溶接部30によって一側から溶接することで、上側管体2の中心軸2bを下側管体3の中心軸3bに対して一側に引き寄せることができる。このため、上側管体2の中心軸2bと下側管体3の中心軸3bとのズレが小さくなるように、当該管体2、3同士を繋ぎ合わせることができる。また、各大型の管体2、3の中心軸2b、3bに関する情報を中心軸計測部20によって計測することができるため、多くの要員及び時間を必要としない。また、大型の管体2、3の中心軸2b、3bを精度よく位置合わせするために、別個の拘束体等を準備する必要もないため、費用も準備期間も抑えることができる。したがって、本実施の形態の多層溶接装置1によれば、大型の管体2、3の中心軸2b、3b同士のズレを抑えながら、当該管体2、3同士を効率よく繋ぎ合わせることができる。
また、本実施の形態の多層溶接装置1によれば、制御部40は、一側溶接部30に環状の溶接ビードW1を繰返し形成させ、一側ビード厚計測部60が計測した溶接ビードW1の総厚みが予め定められた第1厚みを越えると、他側溶接部50に溶接を行わせるようになっている。このような形態によれば、一側に形成される溶接ビードW1の総厚みを管理することに加えて、一側溶接部30から他側溶接部50に、駆動対象を効率よく自動で切り替えることができる。
また、本実施の形態の多層溶接装置1によれば、制御部40は、他側溶接パスP2を周方向に沿って等間隔に複数の溶接区間p21〜28に分割し、中心軸計測部20によって計測された上側管体2の中心軸2bに関する情報と下側管体3の中心軸3bに関する情報とに基づいて、上側管体2の中心軸2bが下側管体3の中心軸3bに対して一側に最もずれた溶接区間p21から、順次選択的に他の溶接区間p22〜28に移行して他側溶接部50に溶接を行わせ、環状の溶接ビードW2を形成させるようになっている。このような形態によれば、上側管体2の中心軸2bが下側管体3の中心軸3bに対して一側に最もずれた溶接区間p21を、他側溶接部50によって他側から溶接することで、上側管体2の中心軸2bを下側管体3の中心軸3bに対して他側に引き寄せることができる。このため、上側管体2の中心軸2bと下側管体3の中心軸3bとのズレが小さくなるように、当該管体2、3同士を繋ぎ合わせることができる。
また、本実施の形態の多層溶接装置1によれば、制御部40は、他側溶接部50に環状の溶接ビードW2を繰返し形成させ、他側ビード厚計測部70が計測した溶接ビードW2の総厚みが予め定められた第2厚みを越えると、一側溶接部30及び他側溶接部50に環状の溶接ビードW1、W2を二層ずつ交互に形成させるようになっている。このような形態によれば、他側に形成される溶接ビードW2の総厚みを管理することに加えて、一側溶接部30による溶接と、他側溶接部50による溶接と、をバランスよく行わせることができる。
本実施の形態の多層溶接方法によれば、一側溶接パスP1を周方向に沿って等間隔に複数の溶接区間p11〜18に分割し、上側管体2の中心軸2bが下側管体3の中心軸3bに対して他側に最もずれた溶接区間p11から、順次選択的に他の溶接区間p11〜18に移行して溶接する。このような形態によれば、上側管体2の中心軸2bが下側管体3の中心軸3bに対して他側に最もずれた溶接区間p11〜18を一側から溶接することで、上側管体2の中心軸2bを下側管体3の中心軸3bに対して一側に引き寄せることができる。このため、上側管体2の中心軸2bと下側管体3の中心軸3bとのズレが小さくなるように、当該管体2、3同士を繋ぎ合わせることができる。また、大型の管体2、3の中心軸2b、3b同士を精度よく位置合わせするために、別個の拘束体等を準備する必要もないため、費用も準備期間も抑えることができる。したがって、本実施の形態の多層溶接方法によれば、大型の管体2、3の中心軸2b、3b同士のズレを抑えながら、当該管体2、3同士を効率よく繋ぎ合わせることができる。
また、本実施の形態の多層溶接方法によれば、第1工程における通常型溶接区間p101〜108の各境界と、第2工程における回転型溶接区間p111〜118の各境界とは、互いにずれている。このような形態によれば、第1工程における通常型溶接区間p101〜108の各境界と、第2工程における回転型溶接区間p111〜118の各境界とが、互いに重なり合うことを防止することができ、溶接欠陥の発生を効果的に抑制することができる。
また、本実施の形態の多層溶接方法によれば、一側から溶接する工程を繰返し行うことにより形成された溶接ビードW1の総厚みが予め定められた第1厚みを越えたときに、他側から溶接する工程を開始する。このような形態によれば、一側からの溶接と他側からの溶接とを効率よく切り替えることができる。
さらに、本実施の形態の多層溶接方法によれば、他側溶接パスP2を周方向に沿って等間隔に複数の溶接区間p21〜28に分割し、上側管体2の中心軸2bが下側管体3の中心軸3bに対して一側に最もずれた溶接区間p21から、順次選択的に他の溶接区間p22〜28に移行して溶接する。このような形態によれば、上側管体2の中心軸2bが下側管体3の中心軸3bに対して一側に最もずれた溶接区間p22〜28を他側から溶接することで、上側管体2の中心軸2bを下側管体3の中心軸3bに対して他側に引き寄せることができる。このため、上側管体2の中心軸2bと下側管体3の中心軸3bとのズレが小さくなるように、当該管体2、3同士を繋ぎ合わせることができる。また、大型の管体2、3の中心軸2b、3b同士を精度よく位置合わせするために、別個の拘束体等を準備する必要もないため、費用も準備期間も抑えることができる。したがって、本実施の形態の多層溶接方法によれば、大型の管体2、3の中心軸2b、3b同士のズレを抑えながら、当該管体2、3同士を効率よく繋ぎ合わせることができる。
また、本実施の形態の多層溶接方法によれば、第3工程における通常型溶接区間p201〜208の各境界と、第4工程における回転型溶接区間p211〜218の各境界とは、互いにずれている。このような形態によれば、第3工程における通常型溶接区間p201〜208の各境界と、第4工程における回転型溶接区間p211〜218の各境界とが、互いに重なり合うことを防止することができ、溶接欠陥の発生を効果的に抑制することができる。
また、本実施の形態による多層溶接方法によれば、他側から溶接する工程を繰返し行うことにより形成された溶接ビードW2の総厚みが予め定められた第2厚みを越えたときに、一側から溶接する工程と他側から溶接する工程とを交互に二回ずつ行う。このような形態によれば、一側からの溶接と他側からの溶接とをバランスよく切り替えて行わせることができる。
≪変形例≫
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
上述した実施の形態では、図1に示すように、中心軸計測部20が、下側管体3の内部に配置された3次元レーザ測定機からなる例を示したが、このような例に限定されない。図9に、中心軸計測部20の他の例を示す。図9に示す例では、中心軸計測部20は、非接触式の複数のレーザ計測器22を有している。各レーザ計測器22は、精度良く組立てられた架台23に設置されている。
各レーザ計測器22は、管体2、3上の測定対象となる位置との距離を計測ことができる。図9に示す例では、8つのレーザ計測器22が、下側管体3の外面3d下部の各位置との距離を計測すべく設けられており、8つのレーザ計測器22が、上側管体2の外面2d上部の各位置との距離を計測すべく設けられている。下側管体3の外面3dとの距離を計測すべく設けられた8つのレーザ計測器22は、水平面に平行な平面内に配置され、下側管体3の外面3dから離間している。この8つのレーザ計測器22は、下側管体3の外面3dを取り囲むように、周方向に沿って等しい間隔で並べられている。すなわち、8つのレーザ計測器22は、下側管体3の中心軸3bに対して8回対称となっている。同様に、上側管体2の外面2dとの距離を計測すべく設けられた8つのレーザ計測器22は、水平面に平行な平面内に配置され、上側管体2の外面2dから離間している。この8つのレーザ計測器22は、上側管体2の外面2dを取り囲むように、周方向に沿って等しい間隔で並べられている。すなわち、8つのレーザ計測器22は、上側管体2の中心軸2bに対して8回対称となっている。
中心軸計測部20の各レーザ計測器22によって計測された上側管体2の中心軸2bに関する情報、及び、下側管体3の中心軸3bに関する情報は、制御部40に送られる。制御部40は、計測された各レーザ計測器22の上側管体2の中心軸2bに関する情報、及び、下側管体3の中心軸3bに関する情報に基づいて、上側管体2の中心軸2bが下側管体3の中心軸3bに対して他側に最もずれた溶接区間p11から、順次選択的に他の溶接区間p12〜18に移行して一側溶接部30に溶接を行わせるようになっている。具体的には、制御部40は、各レーザ計測器22によって計測された距離の値を対比して、上側管体2の中心軸2bが下側管体3の中心軸3bに対して他側に最もずれた溶接区間p11を特定する。そして、制御部40は、この特定した溶接区間p11から、順次選択的に他の溶接区間p12〜18に移行して一側溶接部30に溶接を行わせるようになっている。制御部40のその他の制御は、上述した実施の形態と略同様なため、ここではこれ以上詳細な説明を省略する。
図9に示す変形例によれば、比較的安価な複数のレーザ計測器22を用いて中心軸計測部20を実現することができるため、多層溶接装置1を安価に作製することができる。
なお、実施の形態は例示であり、各々の実施の形態を適宜組み合わせて実施することもでき、発明の範囲はそれに限定されない。
1… 多層溶接装置、 2… 上側管体、 2a… 開先、 2b… 中心軸、 2c…内面、 2d… 外面、 3… 下側管体、 3a… 開先、 3b… 中心軸、 3c…内面、 3d… 外面、 10… 土台部、 20… 中心軸計測部、 21… ターゲット、 22… レーザ計測器、 23… 架台、 30… 一側溶接部、 31… 溶接トーチ、 40… 制御部、 50… 他側溶接部、 51… 溶接トーチ、 60… 一側ビード厚計測部、 61… 投光面、 70… 他側ビード厚計測部、 71… 投光面、 80… 一側案内部、 81… 固定部材、 82… ラック部材、 90… 他側案内部、 91… 固定部材、 92… ラック部材、 P1… 一側溶接パス、 p11〜18… 溶接区間、 p101〜108… 通常型溶接区間、 p111〜118… 回転型溶接区間、 P2… 他側溶接パス、 p21〜28… 溶接区間、 p201〜208… 通常型溶接区間、 p211〜218… 回転型溶接区間、 W1… 一側溶接ビード、 W2… 他側溶接ビード

Claims (13)

  1. 突合わせられた上側管体の開先と下側管体の開先とを、周方向に延びる溶接パスに沿って溶接し環状の溶接ビードを複数層形成する多層溶接装置であって、
    前記下側管体が載置される土台部と、
    前記土台部に載置された前記下側管体の中心軸に関する情報、及び、前記下側管体に突合わされた前記上側管体の中心軸に関する情報を計測するための中心軸計測部と、
    突合わせられた前記上側管体の開先と前記下側管体の開先とを、周方向に延びる一側溶接パスに沿って、前記上側管体及び前記下側管体の一側から溶接する一側溶接部と、
    前記中心軸計測部の計測結果に基づいて、前記一側溶接部を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記一側溶接パスを周方向に沿って等間隔に複数の溶接区間に分割し、前記中心軸計測部によって計測された前記上側管体の中心軸に関する情報と前記下側管体の中心軸に関する情報とに基づいて、前記上側管体の中心軸が前記下側管体の中心軸に対して一側の反対側となる他側に最もずれた前記溶接区間から、順次選択的に他の溶接区間に移行して前記一側溶接部に溶接を行わせ、環状の溶接ビードを形成させるようになっている、多層溶接装置。
  2. 前記制御部は、前記上側管体の中心軸が前記下側管体の中心軸に対して他側に最もずれた前記溶接区間に沿って前記一側溶接部に溶接を行わせた後に、続いて、当該他側に最もずれた溶接区間に対向する溶接区間に沿って前記一側溶接部に溶接を行わせるようになっている、請求項1に記載の多層溶接装置。
  3. 前記制御部は、前記一側溶接部に前記一側溶接パスに沿って環状の溶接ビードを形成させた後に前記中心軸計測部によって計測された前記上側管体の中心軸に関する情報及び前記下側管体の中心軸に関する情報を読み込んで、次の一側溶接パスにおいて、前記上側管体の中心軸が前記下側管体の中心軸に対して他側に最もずれた前記溶接区間から、順次選択的に他の溶接区間に移行して前記一側溶接部に溶接を行わせ、更なる環状の溶接ビードを形成させるようになっている、請求項1または2に記載の多層溶接装置。
  4. 突合わせられた上側管体の開先と下側管体の開先とを、周方向に延びる他側溶接パスに沿って、前記上側管体及び前記下側管体の他側から溶接する他側溶接部と、
    前記一側溶接部によって形成された環状の溶接ビードの総厚みを計測する一側ビード厚計測部と、をさらに備え、
    前記制御部は、前記一側ビード厚計測部の計測結果にも基づいて、前記一側溶接部及び前記他側溶接部を制御するようになっており、
    前記制御部は、前記一側溶接部に環状の溶接ビードを繰返し形成させ、前記一側ビード厚計測部が計測した溶接ビードの総厚みが予め定められた第1厚みを越えると、前記他側溶接部に溶接を行わせるようになっている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の多層溶接装置。
  5. 前記制御部は、
    前記他側溶接パスを周方向に沿って等間隔に複数の溶接区間に分割し、前記中心軸計測部によって計測された前記上側管体の中心軸に関する情報と前記下側管体の中心軸に関する情報とに基づいて、前記上側管体の中心軸が前記下側管体の中心軸に対して一側に最もずれた前記溶接区間から、順次選択的に他の溶接区間に移行して前記他側溶接部に溶接を行わせ、環状の溶接ビードを形成させるようになっている、請求項4に記載の多層溶接装置。
  6. 前記他側溶接部によって形成された環状の溶接ビードの総厚みを計測する他側ビード厚計測部をさらに備え、
    前記制御部は、前記他側ビード厚計測部の計測結果にも基づいて、前記一側溶接部及び前記他側溶接部を制御するようになっており、
    前記制御部は、前記他側溶接部に環状の溶接ビードを繰返し形成させ、前記他側ビード厚計測部が計測した環状の溶接ビードの総厚みが予め定められた第2厚みを越えると、 前記一側溶接部及び前記他側溶接部に環状の溶接ビードを二層ずつ交互に形成させるようになっている、請求項4または5に記載の多層溶接装置。
  7. 突合わせられた上側管体の開先と下側管体の開先とを、周方向に延びる溶接パスに沿って溶接した環状の溶接ビードを複数層形成する多層溶接方法であって、
    前記下側管体の中心軸に関する情報、及び、前記下側管体に突合わされた前記上側管体の中心軸に関する情報を取得する工程と、
    突合わせられた前記上側管体の開先と前記下側管体の開先とを、周方向に延びる一側溶接パスに沿って、前記上側管体及び前記下側管体の一側から溶接する工程と、を備え、
    前記一側から溶接する工程において、前記一側溶接パスを周方向に沿って等間隔に複数の溶接区間に分割し、取得された前記上側管体の中心軸に関する情報と前記下側管体の中心軸に関する情報とに基づいて、前記上側管体の中心軸が前記下側管体の中心軸に対して一側の反対側となる他側に最もずれた前記溶接区間から、順次選択的に他の溶接区間に移行して溶接を行い環状の溶接ビードを形成する、多層溶接方法。
  8. 前記一側から溶接する工程において、前記上側管体の中心軸が前記下側管体の中心軸に対して他側に最もずれた前記溶接区間に沿って溶接を行った後に、続いて、当該他側に最もずれた溶接区間に対向する溶接区間に沿って溶接を行う、請求項7に記載の多層溶接方法。
  9. 前記一側から溶接する工程は、前記一側溶接パスを周方向に沿って等間隔に複数の通常型溶接区間に分割し、取得された前記上側管体の中心軸に関する情報と前記下側管体の中心軸に関する情報とに基づいて、前記上側管体の中心軸が前記下側管体の中心軸に対して他側に最もずれた前記溶接区間から、順次選択的に他の溶接区間に移行して溶接を行い環状の溶接ビードを形成する第1工程と、
    前記一側溶接パスを周方向に沿って等間隔に複数の回転型溶接区間に分割し、取得された前記上側管体の中心軸に関する情報と前記下側管体の中心軸に関する情報とに基づいて、前記上側管体の中心軸が前記下側管体の中心軸に対して他側に最もずれた前記溶接区間から、順次選択的に他の溶接区間に移行して溶接を行い環状の溶接ビードを形成する第2工程と、を含み、
    前記第1工程における通常型溶接区間の各境界と、前記第2工程における回転型溶接区間の各境界とは、互いにずれており、
    前記第1工程と前記第2工程とを交互に繰返し行う、請求項7または8に記載の多層溶接方法。
  10. 突合わせられた上側管体の開先と下側管体の開先とを、周方向に延びる他側溶接パスに沿って、前記上側管体及び前記下側管体の他側から溶接する工程をさらに備え、
    前記一側から溶接する工程を繰返し行うことにより形成された環状の溶接ビードの総厚みが予め定められた第1厚みを越えたときに、前記他側から溶接する工程を開始する、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の多層溶接方法。
  11. 前記他側から溶接する工程において、前記他側溶接パスを周方向に沿って等間隔に複数の溶接区間に分割し、取得された前記上側管体の中心軸に関する情報と前記下側管体の中心軸に関する情報とに基づいて、前記上側管体の中心軸が前記下側管体の中心軸に対して一側に最もずれた前記溶接区間から、順次選択的に他の溶接区間に移行して溶接を行い環状の溶接ビードを形成する、請求項10に記載の多層溶接方法。
  12. 前記他側から溶接する工程は、前記他側溶接パスを周方向に沿って等間隔に複数の通常型溶接区間に分割し、取得された前記上側管体の中心軸に関する情報と前記下側管体の中心軸に関する情報とに基づいて、前記上側管体の中心軸が前記下側管体の中心軸に対して一側に最もずれた前記溶接区間から、順次選択的に他の溶接区間に移行して溶接を行い環状の溶接ビードを形成する第3工程と、
    前記他側溶接パスを周方向に沿って等間隔に複数の回転型溶接区間に分割し、計測された前記上側管体の中心軸に関する情報と前記下側管体の中心軸に関する情報とに基づいて、前記上側管体の中心軸が前記下側管体の中心軸に対して一側に最もずれた前記溶接区間から、順次選択的に他の溶接区間に移行して溶接を行い環状の溶接ビードを形成する第4工程と、を含み、
    前記第3工程における通常型溶接区間の各境界と、前記第4工程における回転型溶接区間の各境界とは、互いにずれており、
    前記第3工程と前記第4工程とを交互に繰返し行う、請求項10または11に記載の多層溶接方法。
  13. 前記他側から溶接する工程を繰返し行うことにより形成された環状の溶接ビードの総厚みが予め定められた第2厚みを越えたときに、前記一側から溶接する工程と前記他側から溶接する工程とを交互に二回ずつ行う、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の多層溶接方法。
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