JP2015149312A - Iii族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】III族窒化物半導体レーザ素子のc軸及びm軸に係るc−m面とIII族窒化物半導体レーザ素子の基板主面の法線軸に直交する平面との交差線に直交する基準面と活性層の端面との成す角度がc−m面における角度成分において小さくできる、III族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法を提供できる。
【解決手段】押圧によりレーザバー5d及び別の基板生産物51を形成する際に、基板生産物5を支持するように基板生産物5を支持台の第1支持面H1及び第2支持面H2上に配置すると共に、第1基準面R1に直交する直交面に対して角度THETAで傾斜した第2基準面R2に沿ってブレード5gが基板生産物5に対して移動可能なようにブレード5g及び基板生産物5を配置する。角度THETAが5度以上10度以下の範囲にあるとき、レーザ共振器を構成する第1端面はc−m面内において規定される角度に関して優れた垂直性を示す。
【選択図】図3

Description

本発明は、III族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法に関する。
特許文献1は、半導体レーザチップを製造する方法を開示する。特許文献2は、ウエハ分割装置を開示する。特許文献3は、六方晶GaN基板上に半導体層が積層形成された半導体レーザを歩留まり良くチップ分割を行う方法を開示する。
特開2000−124537号公報 特開2004−221392号公報 特開2002−185085号公報
特許文献1では、簡便・低コスト・歩留まり向上を目的として、透明な台上で弾性シートによる加圧で劈開を行う。これにより、スクライブ部以外での割れを防いでいる。特許文献2では、ウエハを左右対称の位置で劈開により分割できる分割装置を用いる。特許文献3では、半導体層を積層したGaN基板の裏面の表面ラフネスRaを低減して、歩留まり良くチップ分割を行う方法を開示する。
特許文献1〜3に開示された発明では、異方性のない材料を劈開することを目的としており、これ故に、分割されるべき対象物、ブレード、支持台が左右対称の構成で配置される。しかしながら、III族窒化物半導体レーザの技術分野では、半極性面を用いて半導体レーザが作製されている。このような半導体レーザでは、例えばレーザ共振器のための端面として、半導体結晶のへき開面を利用できない。また、半極性面を用いたIII族窒化物半導体レーザの作製では、III族窒化物半導体の結晶構造の対称性から外れた方向にレーザ共振器のための端面が延在するように、III族窒化物半導体レーザのための基板生産物の分割を行う。
本発明は、上記のような事情を鑑みて為されたものであり、III族窒化物半導体レーザ素子の半導体のc軸及びm軸により規定されるc−m面とIII族窒化物半導体レーザ素子の基板主面の法線軸に直交する平面との交差線に直交する基準面と活性層の端面との成す角度をc−m面における角度成分に関して小さくできる、III族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法を提供することを目的とする。
本発明に係る一側面は、III族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法に関する。この方法は、第1基準面に沿って延在する半極性主面を含みIII族窒化物半導体を備える基板と、前記半極性主面上に形成され活性層を含む半導体領域と、前記半導体領域の主面において第1方向に延在すると共に前記第1方向と交差する第2方向に配列された複数の第1電極と、複数のスクライブマークとを備える基板生産物を準備する工程と、前記基板生産物の第1面を支持するように前記基板生産物を支持台の第1支持面及び第2支持面上に配置すると共に、前記第1基準面に直交する直交面に対して角度THETAで傾斜した第2基準面に沿ってブレードが前記基板生産物に対して相対的に移動可能なように、前記ブレード、前記第1支持面、前記第2支持面及び前記基板生産物を配置する工程と、前記基板生産物に対して相対的に前記第2基準面に沿って前記ブレードを移動し前記基板生産物の第2面を前記第1支持面及び前記第2支持面上において押圧して、前記スクライブマークの位置で前記基板生産物を分離してレーザバー及び別の基板生産物を形成する工程と、を備え、前記複数のスクライブマークは、前記第1基板生産物の前記第1面に設けられ、前記第1基板生産物の前記第1面は前記第1基板生産物の前記第2面に反対側にあり、前記III族窒化物半導体のc軸方向を示すc軸ベクトルは、該III族窒化物半導体のm軸及び前記c軸により規定されるc−m面内において、前記半極性主面の法線ベクトルに対して角度ALPHAで傾斜して成しており、前記角度ALPHAは、71度以上79度以下又は101度以上109度以下の角度範囲にあり、前記レーザバーは、前記押圧による分離により形成される第1端面及び第2端面を有し、前記第1端面及び前記第2端面は前記c−m面に交差し、前記第1端面及び前記第2端面は、前記III族窒化物半導体レーザ素子のレーザ共振器を構成しており、前記レーザバー及び前記別の基板生産物を形成する際に、前記角度THETAは、前記レーザバーから前記別の基板生産物への向きに取られた角度として5度以上10度以下の範囲にある。
本発明の上記の目的および他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述から、より容易に明らかになる。
以上説明したように、本発明の一側面によれば、III族窒化物半導体レーザ素子の基板主面の法線軸に直交する平面と上記c−m面との交差線に直交する基準面と活性層の端面との成す角度をc−m面における角度成分において小さくできる、III族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法を提供できる。
図1は、実施形態に係るIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法の主要な工程を示す図面である。 図2は、本実施形態に係る作製方法によって作製されるIII族窒化物半導体レーザ素子のためのエピタキシャル基板及び基板生産物の構造を概略的に示す図面である。 図3は、III族窒化物半導体レーザ素子の製造に用いる基板生産物及びレーザバーを示す図面である。 図4は、III族窒化物半導体レーザ素子の製造に用いる基板生産物及びレーザバーを示す図面である。 図5は、共振器端面の品質をその角度に関して説明するための図面である。 図6は、実施例で作製されるレーザダイオードの構造を示す図面である。 図7は、加工された基板生産物を示す図面である。 図8は、基板生産物の形態を示す図面である。 図9は、基板生産物へのブレード進入角と、基板主面に垂直な方向に関する端面の垂直ずれ角との関係を示す図面である。 図10は、ブレード・基板角度と垂直ずれ角との関係を示す図面である。 図11は、同じレベルに配置された2つの受台に支持される基板生産物の割断を示す図面である。 図12は、異なるレベルに配置された2つの受台に支持される基板生産物の割断を示す図面である。
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、本実施の形態のいくつかの側面を説明する。
本実施の形態に係る一側面は、III族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法に関する。この方法は、(a)第1基準面に沿って延在する半極性主面を含みIII族窒化物半導体を備える基板と、前記半極性主面上に形成され活性層を含む半導体領域と、前記半導体領域の主面において第1方向に延在すると共に前記第1方向と交差する第2方向に配列された複数の第1電極と、複数のスクライブマークとを備える基板生産物を準備する工程と、(b)前記基板生産物の第1面を支持するように前記基板生産物を支持台の第1支持面及び第2支持面上に配置すると共に、前記第1基準面に直交する直交面に対して角度THETAで傾斜した第2基準面に沿ってブレードが前記基板生産物に対して相対的に移動可能なように、前記ブレード、前記第1支持面、前記第2支持面及び前記基板生産物を配列する工程と、前記基板生産物に対して前記ブレードを前記第2基準面に沿って相対的に移動し前記基板生産物の第1面を前記第1支持面及び前記第2支持面上において押圧して、前記スクライブマークの位置で前記基板生産物を分離してレーザバー及び別の基板生産物を形成する工程と、を備える。前記複数のスクライブマークは、前記基板生産物の前記第1面に設けられ、前記基板生産物の前記第1面は前記第1基板生産物の前記第2面に反対側にあり、前記III族窒化物半導体のc軸の方向を示すc軸ベクトルは、該III族窒化物半導体のm軸及び前記c軸により規定されるc−m面内において、前記半極性主面の法線ベクトルに対して角度ALPHAで傾斜して成しており、前記角度ALPHAは、71度以上79度以下又は101度以上109度以下の角度範囲にあり、前記レーザバーは、前記押圧による分離により形成される第1端面及び第2端面を有し、前記第1端面及び前記第2端面は前記c−m面に交差し、前記第1端面及び前記第2端面は、前記III族窒化物半導体レーザ素子のレーザ共振器を構成しており、前記レーザバー及び前記別の基板生産物を形成する際に、前記角度THETAは、前記レーザバーから前記別の基板生産物への向きに取られた角度として5度以上10度以下の範囲にある。
この作製方法によれば、押圧によりレーザバー及び別の基板生産物を形成する際に、基板生産物を支持台の第1支持面及び第2支持面上に配置すると共に、第1基準面に直交する直交面に対して角度THETAで傾斜した第2基準面に沿ってブレードが基板生産物に対して相対的に移動可能なように、ブレード、第1支持面、第2支持面及び基板生産物が配置されている。この角度THETAが上記の角度範囲にあるとき、スクライブマークの位置で基板生産物を分離して形成されたレーザバーの第1端面は、c−m面内において規定される角度に関して優れた垂直性を示す。ここで、角度THETAが、レーザバーから別の基板生産物への向きに取られた角度として規定される。
本実施の形態に係る一側面では、前記基板生産物を準備する前記工程において、前記半極性主面の法線軸の方向を示す法線ベクトルと前記III族窒化物半導体のa軸とによって規定されるa−n面と前記基板生産物の前記第1面との交差線の方向に延在する複数のスクライブマーク配列を形成することが好ましい。
この作製方法によれば、スクライブマークの配列は、押圧による分離の進行方向を案内する。上記の交差線の延在方向にスクライブマークの配列を形成するとき、レーザ共振器のための垂直性を有する端面をレーザバーに付与できるように第1端面の進展方向を案内できる。また、このようなスクライブマークの配列は、上記範囲の角度THETAと一緒になって、c−m面内において規定される角度に関してレーザバーの第1端面に優れた垂直性を付与するために良い。
本実施の形態に係る一側面は、前記III族窒化物半導体レーザ素子のための複数のIII族窒化物層を含むエピタキシャル基板を用意する工程と、前記エピタキシャル基板に加工を行う工程とを更に備えることができる。前記エピタキシャル基板の前記加工は、前記第1電極を形成すること、及び第2電極を形成することを含み、前記基板の厚さが50μm以上100μm以下になるような処理が施され、前記処理はスライス又は研削であり、前記第2面は、前記処理により形成された加工面と前記加工面上の前記第2電極を含む面との何れかであることができる。
この作製方法によれば、当該基板が50μm以上100μm以下の厚さを有するので、上記範囲の角度THETAと一緒になって、レーザバーの第1端面に優れた垂直性を付与するために良い。
本実施の形態に係る一側面では、前記スクライブは、レーザスクライバを用いて行われ、前記スクライブマークは、前記第1面から前記第2面の方向に延在するスクライブ溝を含むことができる。この作製方法によれば、レーザスクライバは、品質のそろったスクライブ線を形成するために役立つ。
本実施の形態に係る一側面では、前記半極性主面は、{20−21}面の半極性面から、前記III族窒化物半導体のm面の方向に−4度以上+4度以下の範囲の傾斜を有することが好ましい。この作製方法によれば、半極性主面が−4度以上+4度以下の範囲の傾斜を有するとき、優れた垂直性の第1端面を形成できる。
本実施の形態に係る一側面では、前記半極性主面は、{20−2−1}面の半極性面から、前記III族窒化物半導体のm面の方向に−4度以上+4度以下の範囲の傾斜を有することが好ましい。この作製方法によれば、半極性主面が−4度以上+4度以下の範囲の傾斜を有するとき、優れた垂直性の第1端面を形成できる。
本実施の形態に係る一側面では、前記半極性主面は、{20−21}面及び{20−2−1}面のいずれかの面を備えることが好ましい。この作製方法によれば、半極性主面が{20−21}面及び{20−2−1}面のいずれかの面を備えるとき、優れた垂直性の第1端面を形成できる。
本実施の形態に係る一側面では、前記基板は、GaN、AlGaN、AlN、InGaN及びInAlGaNの何れかを含むことが好ましい。この作製方法によれば、六方晶系のIII族窒化物を基板の材料として利用でき、また優れた垂直性の第1端面を形成できる。
本実施の形態に係る一側面では、前記第1端面における前記活性層の端面は、前記基板のm軸に直交する平面に対して、前記c−m面において(ALPHA−5)度より大きく(ALPHA+5)度未満の範囲の角度を成すことが好ましい。この作製方法によれば、上記の角度範囲の優れた垂直性を第1端面に付与できる。
本実施の形態に係る一側面では、前記活性層の端面は、前記c−m面と前記法線ベクトルとに直交する平面において、当該平面と前記c−m面との交線に直交する面から、−5度以上+5度以下の範囲の角度ずれを有していることが好ましい。この作製方法によれば、上記の角度範囲の優れた垂直性を第1端面に付与できる。
次いで、添付図面を参照しながら、本発明のIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法、及びIII族窒化物半導体レーザ素子に係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
図1は、実施形態に係るIII族窒化物半導体レーザ素子の作製方法の主要な工程を示す図である。
工程S101では、III族窒化物半導体レーザ素子のためのエピタキシャル基板を準備する。この準備のために、本実施例では、エピタキシャル基板を作製する。図2は、本実施形態に係る作製方法によって作製されるIII族窒化物半導体レーザ素子のためのエピタキシャル基板及び基板生産物の構造、並びに結果として得られるIII族窒化物半導体レーザ素子の構造を概略的に示す図面である。
III族窒化物半導体レーザ素子11は、利得ガイド型の構造を有するが、利得ガイド型の構造に限定されるものではなく、リッジ構造、埋込構造等を有することができる。
エピタキシャル基板Eでは、半導体レーザのための(半導体領域19に対応する部材)半導体領域が半導体基板(支持基体17に対応する部材)の主面上にエピタキシャルに成長されている。この結晶成長は、例えば有機金属気相成長法で行われることができる。支持基体17の主面は半極性面を備えるので、エピタキシャル基板Eでは、基板Sub及び半導体領域Epiの半導体のc軸は、基板Subの半極性主面SFの法線軸に対して傾斜している。この傾斜に起因して、本実施の形態に係るIII族窒化物半導体レーザ素子11のレーザ共振器のための端面としてへき開面を用いることができない。また、レーザ共振器端面の作製に際して、基板生産物の結晶半導体に係る対称性から外れた平面に沿った破断面を形成することになる。
III族窒化物半導体レーザ素子11の支持基体17は、エピタキシャル基板E及び基板生産物5の半導体基板に対応する。III族窒化物半導体レーザ素子11の半導体領域19は、エピタキシャル基板E及び基板生産物5の半導体領域Epiに対応する。
III族窒化物半導体レーザ素子11の構造とエピタキシャル基板E及び基板生産物5の構造との間には上記のような対応関係があるので、引き続く説明では、III族窒化物半導体レーザ素子11の構造を記述する。
III族窒化物半導体レーザ素子11は、レーザ構造体13、絶縁膜31、p側の電極15、及びn側の電極41を備える。レーザ構造体13は、支持基体17及び半導体領域19を含む。レーザ構造体13は、第1面13a及び第2面13bを含み、第1面13aは第2面13bの反対側の面である。III族窒化物半導体レーザ素子11は、基板生産物5の分離により作製されたレーザバーを介して作製される。支持基体17は、六方晶系III族窒化物半導体からなる。支持基体17は、主面17a及び裏面17bを有する。主面17aは半極性を示す。
レーザ構造体13の第1面13aの法線軸(支持基体17の主面17aの法線)NXは、例えば直交座標系Sのz軸の方向に向く。III族窒化物半導体レーザ素子11の支持基体17の主面17aは例えばx−y面に平行に延在する。また、図2には、代表的なc面SCが描かれている。支持基体17の六方晶系III族窒化物半導体のc軸は、軸CXに対応している。c軸(軸CX)は、支持基体17の六方晶系III族窒化物半導体のm軸の方向に、ゼロより大きな角度ALPHAで法線軸NXに対して傾斜している。c軸ベクトルVCは、c軸の方向を示すベクトルである。法線ベクトルNVは、法線軸NXに沿ってレーザ構造体13の第2面13bから第1面13aに向かうベクトルであり、第1面13a及び主面17aの両方に垂直である。c軸ベクトルVCと法線ベクトルNVとの間の角度は、角度ALPHAである。本実施例では、角度ALPHAは、71度以上79度以下の範囲内と101度以上109度以下の範囲内との何れかにあることができる。角度ALPHAは71度以上79度以下の範囲内にあることができる。或いは、角度ALPHAは101度以上109度以下の範囲内であることができる。
半導体領域19は、支持基体17の半極性主面の上に設けられている。半導体領域19は、半導体層20、n側のクラッド層21、n側光ガイド層35a、n側光ガイド層35b、活性層25、p側光ガイド層37、p側ブロック層39、p側光ガイド層38、p側のクラッド層23及びコンタクト層33を含む。
半導体層20は、支持基体17の半極性主面の上に設けられている。半導体層20は、n型窒化ガリウム系半導体からなり、例えばn型GaN等からなる。
クラッド層21は、半導体層20の上に設けられている。クラッド層21は、n型窒化ガリウム系半導体からなり、例えばn型AlGaN、n型InAlGaN等からなる。n側光ガイド層35aは、n側のクラッド層21の上に設けられている。n側光ガイド層35bは、n側光ガイド層35aの上に設けられている。n側光ガイド層35a及びn側光ガイド層35bは、例えばGaN、InGaN等からなる。
活性層25は、n側のクラッド層21とp側のクラッド層23との間に設けられる。活性層25は、n側光ガイド層35bとp側光ガイド層37との間に設けられている。活性層25は窒化ガリウム系半導体層を含み、この窒化ガリウム系半導体層は例えば井戸層25aである。活性層25は窒化ガリウム系半導体からなる障壁層25bを含み、井戸層25a及び障壁層25bは交互に配列されている。井戸層25aは、例えばInGaN等からなり、障壁層25bは例えばGaN、InGaN等からなる。活性層25は、波長360nm以上600nm以下の光を発生するように設けられた量子井戸構造を含むことができる。半極性面の利用により、波長430nm以上550nm以下の光の発生に好適である。
p側光ガイド層37は、活性層25の上に設けられている。p側光ガイド層37は、アンドープ窒化ガリウム系半導体からなり、例えば、GaN、InGaN等からなる。
p側光ガイド層38は、p側光ガイド層37上に、本実施例ではより具体的にp側ブロック層39の上に設けられている。p側光ガイド層38は、p側ブロック層39とクラッド層23との間に設けられている。p側光ガイド層38は、p型窒化ガリウム系半導体からなり、例えば、p型GaN、p型InGaN等からなる。
必要な場合には、半導体領域19はp側ブロック層39を備えることができる。p側ブロック層39は、p型窒化ガリウム系半導体からなり、例えばp型AlGaN等からなる。本実施例では、p側光ガイド層37は、活性層25とp側ブロック層39との間に設けられている。p側ブロック層39は、p側光ガイド層37とp側光ガイド層38との間に設けられるが、p側ブロック層39の位置はこれに限定されるものではない。
クラッド層23は、p側光ガイド層38の上に設けられている。クラッド層23は、p側光ガイド層38とコンタクト層33との間に設けられている。クラッド層23は、p型窒化ガリウム系半導体からなり、例えば、p型AlGaN、p型InAlGaN等からなる。
コンタクト層33は、クラッド層23の上に設けられている。コンタクト層33は、p型窒化ガリウム半導体からなり、例えば、p型GaN等からなる。
半導体層20、クラッド層21、n側光ガイド層35a、n側光ガイド層35b、活性層25、p側光ガイド層37、p側ブロック層39、p側光ガイド層38、クラッド層23及びコンタクト層33は、主面17a(レーザ構造体13のエピ面の第1面13a)の法線軸NXに沿って順に配列されている。
法線軸NXは、半極性主面SFの法線であり、基板生産物5の表面5aに対しても垂直である。法線ベクトルNVは、基板Subの半極性主面SFにおける法線軸NXの方向を向いており、法線軸NXに沿って半極性主面SFから半導体領域Epiの方向に向いている。法線ベクトルNVは、基板生産物5の表面5a及び半極性主面SFに対して垂直である。法線軸NX及び法線ベクトルNVは、直交座標系Sのz軸に平行である。基板生産物5の表面5aはx−y平面に平行であり、また半極性主面SFもx−y平面に平行である。
図2には、結晶座標系CRが記載されている。基板Subの六方晶系III族窒化物半導体のc軸方向を示すc軸ベクトルVCは、半極性主面SFの法線ベクトルNVに対して角度ALPHAの傾斜角を成している。角度ALPHAは、71度以上79度以下の範囲と、101度以上109度以下の範囲との何れかの範囲内にある。なお、図2に示される角度ALPHAは、一例として、71度以上79度以下の範囲内にある。基板Subの六方晶系III族窒化物半導体のa軸は、y軸を示す方向と逆向きである。基板SubのIII族窒化物半導体のc軸(c軸の方向を示すc軸ベクトルVC)、基板SubのIII族窒化物半導体のm軸(m軸の方向を示すm軸ベクトルVM)と、及び法線軸NX(法線軸NXの方向を示す法線ベクトルNV)は、y軸に直交しており、またz−x面内に平行であることができる。基板Subの六方晶系III族窒化物半導体のc軸(c軸ベクトルVC)、基板Subの六方晶系III族窒化物半導体のm軸(m軸ベクトルVM)、及び法線軸NX(法線ベクトルNV)は、a軸に直交していることができる。
工程S102では、エピタキシャル基板Eに加工を行う。エピタキシャル基板Eの加工は、第1電極(p側の電極15)を形成すること、基板Subの裏面に裏面処理(基板の裏面の研磨により基板の厚さを薄くすること)を行うこと、及び第2電極(n側の電極41)、を形成することを含むことができ、またリッジ構造を形成することを含んでいても良い。必要な場合には、基板生産物5(エピタキシャル基板E)のエピ面を覆うように絶縁膜の堆積を行うことができる。また、エピタキシャル基板Eの加工では、この絶縁膜の開口により絶縁膜31を形成することができる。
基板Subの厚さが例えば50μm以上100μm以下になるように処理が施される。この処理は、例えばスライス又は研磨であることができる。スライスでは、基板Subをインゴットから切り出す際に行われ、研磨としては、裏面電極を形成する前に基板生産物5に裏面研磨が適用される。基板生産物5の第1面は、裏面処理により形成された加工面と該加工面上の第2電極(電極41)を含む面との何れかであることができる。
絶縁膜31及び電極15は、半導体領域19のp側の表面19a(レーザ構造体13の第1面13a)上に設けられている。絶縁膜31は、半導体領域19の表面19aを覆っており、半導体領域19は絶縁膜31と支持基体17との間に位置する。絶縁膜31は開口31aを有し、開口31aは半導体領域19の表面19aとc−m面との交差線LIXの方向に延在し、例えばストライプ形状を成す。電極15は、開口31aを介して半導体領域19の表面19a(コンタクト層33)に接触を成しており、電極15及び開口31aは交差線LIXの方向に延在する。n側の電極41は、レーザ構造体13の第2面13b(支持基体17の裏面17b)に設けられており、本実施例では、第2面13b(裏面17b)の全体を覆っている。
絶縁膜31は、シリコン系無機絶縁膜、金属酸化膜等からなり、例えばSiOである。電極41は、例えばTi/Al/Ti/Auからなり、電極15は、例えばNi/Auからなる。また、III族窒化物半導体レーザ素子11は、パッド電極を有する。このパッド電極は電極15に接続されており、例えばTi/Alからなる。
工程S103では、基板生産物5を準備する。基板生産物5は、III族窒化物半導体を備える基板(素子の支持基体17)と、活性層(素子の活性層25)を含む半導体領域(素子の半導体領域19)と、この半導体領域上に設けられた複数の第1電極(電極15)の配列と、複数のスクライブマーク5bの配列とを備える。基板(素子の支持基体17)は、第1基準面R1と実質的に平行に延在する半極性主面(主面17a)を含む。半導体領域(半導体領域19)は、この半極性主面(主面17a)上に形成された活性層(活性層25)を含む。複数の第1電極(電極15)は、半導体領域(半導体領域19)の主面(表面19a)において第1方向(図2に示された座標系のx方向)に延在すると共に第1方向と交差する第2方向(図2に示された座標系のy方向)に配列される。
基板Subの材料は、GaN、AlGaN、AlN、InGaN及びInAlGaNの何れかを含む。基板Subは、半極性主面SF(III族窒化物半導体レーザ素子11における主面17aに対応)を有しており、半極性主面SFは六方晶系III族窒化物半導体を備える。
半極性主面SFは、{20−21}面及び{20−2−1}面の何れかの半極性面から、基板Subの六方晶系III族窒化物半導体のm面の方向に−4度以上+4度以下の範囲の傾斜を有する。また、半極性主面SFは、{20−21}面及び{20−2−1}面の何れかであることができる。このような半極性主面SF上には、半導体領域Epiがエピタキシャル成長によって形成される。この半導体領域Epiは基板Subの半極性主面SFに接している。
基板生産物5は、半導体領域Epiの表面上に設けられた絶縁膜(III族窒化物半導体レーザ素子11の絶縁膜31)と、p側電極(III族窒化物半導体レーザ素子11の電極15)と、n側電極(III族窒化物半導体レーザ素子11の電極41)とを有し、これらは、基板Sub及び半導体領域Epi上に設けられている。基板生産物5のp側の表面5a(第1面13a)に、p側電極が設けられている。基板Subの裏面には、この面を覆うようにn側電極が設けられている。このn側電極の表面は、基板生産物5の裏面5e(第2面)に含まれる。基板生産物5は、III族窒化物半導体レーザ素子11のサイズを有する複数の素子区画の二次元配列を備える。この二次元配列は、引き続く工程で、基板生産物5から順に分離されて作成されるレーザバーのための複数の素子区画を含む複数の一次元配列を備える。これらの一次元配列の各々をレーザバー区画として参照する。本実施例では、基板生産物5において複数のレーザバー区画はc−m面に沿って一次元に配列される。各レーザバー区画はa軸方向に一次元に配列された素子区画の列を含む。
基板生産物5の表面5aをスクライブする。このスクライブにより、スクライブマーク5bが形成される。スクライブマーク5bは、a軸の方向と法線軸NXとによって規定されるa−n面に沿って配列されており、基板生産物5の表面5aから基板生産物5の裏面5eの方向に延びる。スクライブマーク5bは、a軸方向に延在している。スクライブマーク5bは、例えば、基板生産物5の一のエッジに形成されることができる。
スクライブは、例えばレーザスクライバを用いて行われることができる。レーザスクライバは、品質のそろったスクライブ線を形成するために役立つ。図2を参照すると、二つのスクライブマーク5bが既に形成されており、レーザビームLBを用いてスクライブマーク5cの形成が進められている。スクライブマーク5bの長さは、a−n面と表面5aとの交差線よりも短く、この交差線の一部分にレーザビームLBの照射が行われる。スクライブマーク5bはスクライブ溝を含み、このスクライブ溝が、基板生産物5の第2面13bの反対側にある第1面13aに設けられる。スクライブ溝は、レーザ構造体13の第1面13aから第2面13bへの方向に延在する。スクライブ溝は、レーザビームLBを基板生産物5の表面5aに照射することにより形成され、また表面5aから半導体領域Epiを介して基板Subに到達している。
図3は、III族窒化物半導体レーザ素子の製造に用いる基板生産物及びレーザバーを示す図面である。基板生産物5から、別の基板生産物及びレーザバーの作製は、例えば分離装置を用いて行うことができる。別の基板生産物及びレーザバーの作製のために、工程S104では、分離装置のブレード5g、分離装置の第1支持面H1及び第2支持面H2、並びに基板生産物5の配置を行う。
図3に示されるように、基板生産物5の表面5aを支持台Hに向けて、基板生産物5を支持台Hに置く。支持台Hは、基板生産物5を支持するために設けられる。支持台Hは、表面Haと、裏面Hbと、孔部HLとを有する。表面Haは、基板生産物5が搭載される面である。裏面Hbは、表面Haの反対側にある面である。孔部HLは、表面Haから裏面Hbに貫通する部分である。孔部HLは、表面Haに沿って延びており支持台Hにおいて規定される基準軸Aaと直交する方向に延在する。基準軸Aaに直交する方向の孔部HLの幅は、基板生産物5の表面5aの径より長い。ブレード5gは、基板生産物5が支持台Hに支持されているとき、裏面5eから支持台Hへの方向に向けた押圧を基板生産物5に可能にする。支持台Hは、第1支持面H1及び第2支持面H2を有し、第1支持面H1及び第2支持面H2は互いに分離されており、本実施例では第1支持面H1及び第2支持面H2は孔部HLにより分離されている。
図3に示すように、ブレード5gを孔部HLに位置合わせできるように、支持台Hの表面Ha上にブレード5gが設置されている。また、この分離装置は、支持台H、ブレード5g、モニタカメラ6a及び表示装置6cを備える。ブレード5gを孔部HLに位置合わせできるように、支持台Hの裏面Hbから離れてモニタカメラ6aが設置されている。ブレード5gとモニタカメラ6aとの間に、支持台H及び孔部HLが位置しており、このような配置の支持台H上に基板生産物5を置く。
モニタカメラ6aは、レンズ6bを有する。モニタカメラ6aには、表示装置6cが接続されている。表示装置6cはディスプレイを有し、このディスプレイには、モニタカメラ6aからの取得画像が表示される。ブレード5g及びモニタカメラ6aの位置を確認できように、基板生産物5が支持台Hの上に搭載されていない場合には、表示装置6cのディスプレイには、孔部HLを介してブレード5gのエッジ5hが表示される。表示装置6cのディスプレイを見ながら、エッジ5hの表示位置に、表面5aとスクライブマーク5bとの交差線P1を合わせるように、支持台H及びブレード5gの少なくともいずれか一方を調整して、支持台H上に搭載されている基板生産物5及びブレード5gに所望の配置を適用できる。
ブレード5gは、ナイフエッジ状のエッジ5hを有する。ブレード5gの向きを示す軸方向ベクトルVXは、エッジ5hの先端から、ブレード5gの根本5iに向かう方向を示す。軸方向ベクトルVXは、モニタカメラ6a(具体的にはレンズ6b)からブレード5gのエッジ5hに向かう方向を向いている。これ故に、軸方向ベクトルVXは、ブレード5gのナイフエッジの向きと反対に向いている。エッジ5hは、押圧可能なように一の方向に延在しており、この向きは、図2、図3及び図4においてy軸方向である。基板生産物5の押圧の際には、エッジ5hは、基板生産物5のa軸の方向に延在している。
基板生産物5を支持するように、基板生産物5を分離装置の支持台Hの第1支持面H1及び第2支持面H2上に配置すると共に、基板生産物5の第1基準面R1に直交する直交面に対して角度THETAで傾斜した第2基準面R2に沿ってブレード5gが基板生産物5に対して相対的に移動可能なように、ブレード5g、第1支持面H1、第2支持面H2及び基板生産物5を配列する。
図3に示される例では、複数のスクライブマーク5bのうちで最も端にある一のスクライブマーク(ここでは、形成されるべきレーザバーと別の基板生産物51との境界を示すスクライブマーク5b1)が孔部HLの上に位置している。また、スクライブマーク5b1は、孔部HLに沿って延在しており、この配置を第1支持面及び第2支持面上において維持するように、基板生産物5を支持台Hに固定する。
基板生産物5の位置決めに際して、支持台Hの表面Haに直交している基準面とブレード5gを基板生産物5の裏面5eに押圧する押圧方向との成す角度は、角度THETAに決定される。角度THETAに係る説明を行うに際して、基板生産物5のc軸及びm軸によって規定されるc−m面、及び支持台Hの表面Haに垂直であり基板生産物5のa軸方向に延在する基準面Ab(又は、基板生産物5の延在方向に示す第1基準面R1に垂直であり基板生産物5のa軸方向に延在する基準面)を参照する。基板生産物5における複数のレーザバー区画は、スクライブマーク5b1により、一のレーザバー区画のための第1部分と、残りの複数のレーザバー区画のための第2部分とに分けられる。角度THETAは、基準面Abを基準にしてc−m面において基板生産物5の第1部分から基板生産物5の第2部分の向きにプラスの角度として取られる。このような形態において、第1基準面R1に直交する直交面に対して角度THETAで傾斜する第2基準面R2に沿って、ブレード5gが基板生産物に対して相対的に移動可能なように、基板生産物5、第1支持面H1、第2支持面H2及びブレード5gを配列させる。ここで、直交面及び第2基準面R2は、a軸方向に延在する。角度THETAの傾斜のために、支持台H及びブレード5gの少なくともいずれか一方の角度を変更することができる。ブレード5gの押圧方向を示す第2基準面R2は、スクライブマーク5b1の位置において基板生産物5の第1部分の表面(エピ面)に対して鋭角を成し、スクライブマーク5b1の位置において基板生産物5の第2部分の表面(エピ面)に対して鈍角を成す。ブレード5gを裏面5eに押圧する押圧の向きは、軸方向ベクトルVXと逆向きである。本実施例では、角度THETAは、5度以上10度以下の範囲にある。
工程S105では、基板生産物5の押圧により、レーザバー5d及び別の基板生産物51を形成する。この工程では、基板生産物5を割断して、レーザバー5d及び他の基板生産物51を作製する。
図4を参照すると、レーザバー5dが既に分離されている。図3では、レーザバー5dは未だ分離されていない。図3及び図4には、図3に示す基板生産物5を保護するためのシートTF(例えば保護シート)が描かれている。図4のI−I線に沿ってとられた断面が図3に示される。
ブレード5gの位置決めの一例では、ブレード5gの押圧方向を示す第2基準面R2がスクライブマーク5b1と基板生産物5の表面5aとの交差線P1(基準面Abも交差線P1を通過する)を通過するように、c−m面に沿った方向(a軸に直交する方向)にブレード5gの位置決めを行う。
例えば、第2基準面R2に沿って基板生産物5に向けてブレード5gを移動すると共に第1支持面H1及び第2支持面H2上において基板生産物5の裏面5eにブレード5gを押し当てて基板生産物5を押圧する。この押圧により、基板生産物5からレーザバー5d及び別の基板生産物51を形成する。
ブレード5gの位置及び角度が決定された後に、ブレード5gを基板生産物5の裏面5eに押し当てる。この押し当ての際に、ブレード5gの軸方向ベクトルVXが法線ベクトルNVに対し角度THETAで傾いている。この傾斜状態で、基板生産物5の裏面5eにブレード5gのエッジ5hを押し当てる押圧によって基板生産物5を割断して、素子区画の一次元配列を含むレーザバー5dを形成する。レーザバー5dは、割断によって形成された端面5fを有する。この端面5fは、レーザバー5dの表面(割断前の表面5aによって与えられる面)からレーザバー5dの裏面(割断前の裏面5eによって与えられる面)にまで延在する。基板生産物5におけるc軸ベクトルVCは、半極性主面SFの法線ベクトルNVに対して角度ALPHAの傾斜を成しているので、基板生産物5からレーザバー5dが割断によって形成される端面5f(第1及び第2端面。素子の割断面27及び割断面29)は劈開面ではない。しかし、端面5fを半導体レーザの共振器ミラーとして利用できる。
上記の説明から理解されるように、レーザバー5dは、第1及び第2端面として、押圧による分離により形成される端面5fを有する。第1端面及び第2端面は、既に説明したc−m面に交差するように延在している。第1端面及び第2端面は、III族窒化物半導体レーザ素子11のレーザ共振器を構成する。レーザバー5d及び別の基板生産物51を形成する際に、角度THETAは、レーザバー5dから別の基板生産物51への向きに正の角度として取られた角度、例えば5度以上10度以下の範囲にある。
この作製方法によれば、押圧によりレーザバー5d及び別の基板生産物51を形成する際に、直交面(第1基準面R1に直交しa軸方向に延在する平面)に対して第2基準面R2(a軸方向に延在し角度THETAで傾斜する平面)に沿ってブレード5gが基板生産物5に対して相対的に移動可能であるように、基板生産物5を支持台の第1支持面H1及び第2支持面H2上に配置すると共に、ブレード5g、第1支持面H1、第2支持面H2及び基板生産物5の位置決めを行う。ここで、角度THETAが、レーザバー5dから別の基板生産物51への向きに取られた角度として規定される。この角度THETAが、5度以上10度以下の範囲にあるとき、レーザ共振器を構成する第1端面及び第2端面は、c−m面内において規定される角度に関して優れた垂直性を示す。
スクライブマークの位置で基板生産物5を分離して形成されたレーザバー5dの端面5fは、III族窒化物半導体レーザ素子11における割断面27及び割断面29に対応する。割断面27及び割断面29は、c−m面に交差する。III族窒化物半導体レーザ素子11のレーザ共振器は、割断面27及び割断面29を含み、割断面27及び割断面29の一方から他方に、レーザ導波路が延在している。III族窒化物半導体レーザ素子11のレーザ共振器の共振器長は、例えば500μm程度である。割断面27及び割断面29は、第1面13aのエッジ13cから第2面13b(レーザ構造体の裏面)のエッジ13dまで延在する。割断面27及び割断面29は、c面、m面又はa面といった、これまでのへき開面とは異なる。
III族窒化物半導体レーザ素子11によれば、レーザ共振器を構成する割断面27及び割断面29がc−m面に交差するので、半極性の主面17aとc−m面との交差線の方向に延在するレーザ導波路を設けることができる。従って、III族窒化物半導体レーザ素子11は、低しきい値電流を可能にするレーザ共振器を有することになる。
本実施例では、スクライブマークは、主面17aの法線軸NXの方向を示す法線ベクトルとIII族窒化物半導体のa軸とによって規定されるa−n面と、基板生産物5の第1面13aとの交差線に沿って配列される。この作製方法によれば、スクライブマークの配列は、押圧による分離の進行方向を案内する。上記の交差線の延在方向にスクライブマークの配列を形成するとき、レーザバーの第1端面の形成に際して、c−m面内において規定される角度に関して優れた垂直性を示すように第1端面の延在方向を案内できる。角度THETAの上記範囲と一緒になって、レーザバーの第1端面(及び第2端面)に優れた垂直性を付与するために良い。
支持基体17は、50μm以上100μm以下の厚さDSUBを有する。支持基体17の材料は、GaN、AlGaN、AlN、InGaN及びInAlGaNの何れかを含む。このような厚さの薄い基板Subは、角度THETAの上記範囲と一緒になって、レーザバーの第1端面(及び第2端面)に優れた垂直性を付与するために良い。基板Subでは、半極性主面SFは、{20−21}面と{20−2−1}面との何れかの半極性面からm面方向に−4度以上+4度以下の範囲の傾斜を有する。また、半極性主面SFが、{20−21}面と{20−2−1}面との何れかであることができる。
図5は、実施形態に係るIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法により作製される端面の角度ずれを説明するための図である。次いで、図5を参照しながら、レーザバーの端面5fの品質を説明する。端面5fは、c面、m面及びa面といったこれまでのへき開面とは異なる。端面5fの形成は、スクライブマーク5bに沿って進展するので、端面5fは、a−n面に沿って延在する。また、端面5fはc−m面に交差するので、III族窒化物半導体レーザ素子のレーザ共振器を構成するために使用できる。このように形成された端面5fは、共振器ミラーに十分な垂直性及び平坦性を有する。端面5fにおける半導体領域の活性層の端面(図5に示す端面SE)は、基板Subのm軸に直交する平面に対して、六方晶系III族窒化物半導体のc軸及びm軸によって規定されるc−m面(第1平面S1)において(ALPHA−5)度以上(ALPHA+5)度以下の範囲の角度を成す。また、半導体領域の活性層の端面(図5に示す端面SE)は、c−m面及び法線ベクトルNV(法線軸NX)に直交する第2平面S2において、この第2平面S2とc−m面との交差線LIX(図5において導波路Idの延在方向を示す線)に直交する面WGを基準に−5度以上+5度以下の範囲の角度を有している。従って、上記のような端面5fは、共振器ミラーに必要な平坦性と垂直性とを活性層の端面SEに提供できる。上記のように作製されたIII族窒化物半導体レーザ素子11において、レーザ構造体13は、c−m面に交差する割断面27及び割断面29を含む。III族窒化物半導体レーザ素子11のレーザ導波路は、n側のクラッド層21、p側のクラッド層23及び活性層25を含み、交差線LIXの方向に延在する。
なお、基板生産物5から一又は複数のレーザバー5dが分離された後には、残余の基板生産物51が形成されるが、このような残余の基板生産物51に対しても、基板生産物5及びスクライブマーク5b1に対する上述の手順を適用できる。
工程S106では、レーザバー5dの端面5fに誘電体多層膜を形成してレーザバー生産物を形成する。この後に、工程S107では、このレーザバー生産物を個々のIII族窒化物半導体レーザ素子(III族窒化物半導体レーザ素子11に対応)に分離する。このようにして、III族窒化物半導体レーザ素子11がレーザバー5dから形成される。
以上説明したように、基板生産物5に関連する第1基準面R1に直交する直交面に対して角度THETAで傾斜した方向(第2基準面R2の方向)に沿ってブレード5gを移動して基板生産物5を押圧する。この押圧は、図3における複数のスクライブマーク5bのうち最も端にあるスクライブマーク5b1を目指して行われる。押圧に際して、スクライブマーク5b1において、第2基準面R2が別の基板生産物51のエピ面に成す角度は、第2基準面R2がレーザバーの裏面に成す角度より小さい。スクライブマーク5b1において、第2基準面R2が別の基板生産物51の裏面に成す角度は鋭角であり、第2基準面R2がレーザバーの裏面に成す角度は鈍角である。
基板生産物5において六方晶系III族窒化物のc軸ベクトルVCと半極性主面SFの法線ベクトルNVとの間の角度ALPHAは、71度以上79度以下の範囲と101度以上109度以下の範囲との何れかにある。基板生産物5への押圧角として、角度THETAが正の角度として例えば5度以上10度以下の範囲にある。この組み合わせによって、このブレード5gの押圧による分離によって形成されるレーザバー5dの端面5fは、共振器ミラーとして十分な平坦性及び垂直性を有する。従って、このレーザバー5dから作製されるIII族窒化物半導体レーザ素子11の発振しきい値電流Ithは低減される。具体的には、{20−21}面と{20−2−1}面との何れかの面からm面の方向に−4度以上+4度以下の範囲の傾斜を有する半極性主面SFを有する基板生産物5に対し本実施形態に係る作製方法が適用できる。特に、{20−21}面と{20−2−1}面との何れかの半極性主面SFを有する基板生産物5に作製方法を適用して、緑色発光(波長510nm〜540nm)の半導体レーザを作製できる。
以上説明した共振器端面を形成する方法においては、スクライブマーク5bが、a−n面に沿って形成されるので、ブレード5gを用いて作製されたレーザバー5dの端面もa−n面に沿って延在する。従って、共振器ミラーとして用いられる端面をc−m面に直交するように形成できる。スクライブマーク5bが表面5aから裏面5eの方向に延びているので、レーザバー5dの分離が容易に行える。また、スクライブは、レーザスクライバを用いて行われるので、スクライブマークが均一な品質で形成される。スクライブマークは、基板Subに到達するスクライブ溝を含むので、レーザバー5dの分離の方向を案内できる。
また、III族窒化物半導体レーザ素子11のための端面を形成する方法においては、基板Subの厚さ(支持基体17の厚さDSUB)は400μm以下であることが、レーザ共振器のための良質な割断面を得るために良い。特に、基板Subの厚さが50μm以上100μm以下であるときでも、基板Subの剛性は高い。基板Subの加工にスライス又は研磨を適用するとき、加工面に十分な平坦性が実現できる。GaN、AlGaN、AlN、InGaN及びInAlGaNといった窒化物系半導体材料は、基板Subの加工を可能にする。このような加工の結果、III族窒化物半導体レーザ素子11では、支持基体17の厚さDSUBは50μm以上100μm以下であることになる。この場合にも、ハンドリングを煩うことなく生産歩留まりを向上できる。半極性の主面17aは、{20−21}面と{20−2−1}面との何れかであることができる。更に、{20−21}面と{20−2−1}面との何れかの面から−4度以上+4度以下の範囲で微傾斜した面も半極性の主面17aとして良い。これら典型的な半極性の主面17aにおいて、III族窒化物半導体レーザ素子11のレーザ共振器を構成できる程度の十分な平坦性及び垂直性の割断面27及び割断面29を提供できる。また、これらの典型的な面方位にわたる角度の範囲において、十分な平坦性及び垂直性を示す端面が得られる。
支持基体17(基板Sub)の積層欠陥密度は、1×10cm−3以下であることができる。積層欠陥密度が1×10cm−3以下であるので、偶発的な事情により割断面の平坦性及び/又は垂直性が乱れる可能性が比較的に低い。また、支持基体17の材料は、GaN、AlN、AlGaN、InGaN及びInAlGaNの何れかの窒化ガリウム系半導体を含む。これらの窒化ガリウム系半導体からなる基板を用いるとき、共振器として利用可能な割断面27及び割断面29を得ることができる。AlN又はAlGaN基板を用いるとき、偏光度を大きくでき、また低屈折率により光閉じ込めを強化できる。InGaN基板を用いるとき、基板と発光層との格子不整合率を小さくでき、結晶品質を向上できる。
(実施例1)
以下の通り有機金属気相成長法によりレーザダイオードを作製する。図6は、実施例で作製されるレーザダイオードの構造を示す。原料にはトリメチルガリウムTMGa、トリメチルアルミニウムTMAl、トリメチルインジウムTMIn、アンモニアNH、シランSiHを用いる。m軸方向に75度の角度で傾斜した(20−21)面を主面とするGaN基板を準備する。この基板を反応炉内のサセプタ上に配置した後に、以下の成長手順でエピタキシャル積層を成長する。なお、基板として、HVPE法で厚く成長した(0001)GaNインゴットからで切り出して、m軸方向に75度の角度を成す(20−21)面の主面を有するGaN基板を作製できる。
まず、厚さ1000nm程度のn型GaNを成長する。次に、厚さ1200nm程度のn型InAlGaN層(n側のクラッド層)を成長する。引き続き、厚さ200nm程度のn型GaN層(n側の光ガイド層)と厚さ65nm程度のアンドープInGaN層(n側の光ガイド層)とを成長する。この後に、活性層を成長する。活性層は、15nm程度の厚みの複数のGaN層(障壁層)と3nm程度の厚みの複数のInGaN層(井戸層)とが交互に設けられた3周期MQWを有する。
続いて、厚さ65nm程度のアンドープInGaN層(p側の光ガイド層)と、厚さ20nm程度のp型AlGaN層と、厚さ200nm程度のp型GaN層(p側の光ガイド層)とを成長する。次に、厚さ400nm程度のp型InAlGaN層(p側のクラッド層)を成長する。次いで、厚さ50nm程度のp型GaN層(コンタクト層)を成長する。
SiOの絶縁膜をp型GaN層の上に成膜した後に、フォトリソグラフィを用いて幅10μm程度のストライプ窓をパターニングして後に、ウエットエッチングによりストライプ窓を絶縁膜に形成する。ストライプ窓を絶縁膜に形成した後に、Ni/Auから成るp側電極とTi/Alから成るパッド電極PADとを蒸着により形成する。GaN基板の裏面をダイヤモンドスラリーを用いて研磨する。この研磨された裏面(研磨面)に、Ti/Al/Ti/Auから成るn側電極を蒸着により形成する。以上のようにして、基板生産物を作製できる。
(実施例2)
図7は、加工された基板生産物SPを示す図面である。図7に示されるように、基板生産物SPは、直方体の形状を成す。基板生産物SPは、{20−21}面を主面として有するGaN基板と、このGaN基板の主面上に設けられた半導体領域とを含む。基板生産物SPの半導体領域には、第1方向に延在すると共に該第1方向と交差する第2方向に配列されたストライプ状のオーミック電極ESTが設けられている。個々の半導体レーザチップ(基板生産物SPの素子区画)毎に、パッド電極PADが二次元に配列されている。基板生産物SPのエピ面には、スクライブマークSCBの配列が形成されている。図7には、基板生産物の面方位を示すために、III族窒化物のc軸、a軸及び、m軸を示す座標系が描かれている。
基板生産物SPは、複数の素子区画SCTの二次元配列を含む。各素子区画SCTは、基板生産物SPの主面においてIII族窒化物半導体レーザ素子11のサイズを有する。この二次元配列は、引き続く工程で、基板生産物5から順に分離されて作成されるレーザバーのための複数の素子区画SCTを含む複数の一次元配列を備える。これらの一次元配列の各々をレーザバー区画LBSCTとして参照する。本実施例では、基板生産物5において複数のレーザバー区画LBSCTはc−m面に沿って一次元に配列される。各レーザバー区画LBSCTはa軸方向に一次元に配列された素子区画SCTの列を含む。
図8の(a)部に示されるように、この基板生産物SPがシートTF(例えば粘着シート)に貼り付けられ、シートTFは金属製の枠に固定される。これにより、枠を取り扱うことにより、図8の(b)部に示されるように、分割装置において基板生産物SPの向き及び位置を調整できる。
具体的な実験の配置は以下のように行われる。
直径50mm及び厚み300μmの半極性{20−21}GaN基板上に、有機金属化学気相成長法により、エピタキシャル多層膜構造を成長する。フォトリソグラフィ法、反応性イオンエッチングによりリッジ構造を持つレーザダイオードを作製する。リッジストライプの間隔は400μmである。リッジストライプは基板のa軸方向と垂直な方向に延在する。GaN基板とエピタキシャル層との合計厚が100μmになるように、基板裏面を研磨する。レーザダイオードの共振器長は500μmになるように、スクライブ溝の配列を形成した。スクライブ溝はa軸方向に配列されており、そのピッチは、例えば400μmである。
レーザダイオード作製プロセスを終えた直径50mmの生産物から、基板生産物SP(例えばサイズ10mm×8mmの矩形)を作製する。基板生産物SPでは、ストライプ方向及びこのストライプと垂直方向に、それぞれ、20個のレーザダイオードが配列されている。基板生産物SPの作製のための加工は、分割装置を用いて生産物からの切り出しにより行われる。なお、実施例1において作製された基板生産物からレーザバーを作製できる。
矩形の基板生産物SPのエピタキシャル層の側に、ストライプ方向と垂直に、レーザスクライバを用いて共振器長となる500μm間隔にミシン目のスクライブラインを形成する。スクライブラインはリッジストライプ部から例えば約100μm以上の距離で離間されており、スクライブラインの長さは例えば200μm以上である。
共振器ミラーの形成には、レーザスクライバを用いる。波長355nmのYAGレーザを用いて100mWのレーザの出力、5mm/sのレーザの走査速度の条件によりスクライブマークを形成する。スクライブマークは400μmピッチで配置されている。スクライブマークを基板生産物SPに形成した後に、実施形態に係る分離装置を用いて基板生産物を割断して、レーザバーを作製した。この割断によって、レーザバーに、共振器ミラーのために端面が提供される。
粘着性及び伸縮性を持つポリエチレンシートに矩形の基板生産物を貼り付けると共にポリエチレンシートを直径10cmの金属枠に取り付ける。ポリエチレンシートに基板生産物SPの基板裏面が向いている。基板生産物SPのエピ面の側は、ポリエチレンシートに覆われていない。
左右の支持台の高さ及び傾斜角を左右独立して変更可能な割断装置を用いて矩形の基板生産物SPをリッジストライプ方向と垂直な方向に割断して、レーザ共振器面を含むレーザバーを形成する。
基板生産物SPの割断は以下のようにして行うことができる。まず、図3及び図4に示されるように、ブレード5gの押圧方向と支持台Hの表面Haとが直交するように、基板生産物SPを支持台Hに置く。次に、複数のスクライブマーク5bの中で最も端にある一のスクライブマークが支持台Hの孔部HLの上に位置すると共に孔部HLに沿って延びるように、基板生産物を支持台Hに固定する。次に、c−m面において、ブレード5gの押圧方向とa軸とによって規定される基準面Abに対して基板生産物が角度THETAの傾斜を成すように支持台の角度を変更して、ブレード進入角を決定する。次に、表示装置6cのディスプレイを見ながら、表面5aに形成されているスクライブマーク5bが、ディスプレイにおいてブレード5gのエッジ5hが表示されるべき箇所と重なるように、ブレードと基板生産物SPとの位置合わせを行う。そして、基板生産物SPの裏面(基板生産物5の裏面5e)に向けてブレード5gを移動することによって基板生産物SPを割断し、レーザバー(レーザバー5d)を基板生産物SPから分離する。これにより、レーザバーを作製できる。この割断によって形成された端面5fを共振器ミラーとして利用できる。このレーザバーを更に分離して、個々のIII族窒化物半導体レーザ素子(III族窒化物半導体レーザ素子11)を得る。このIII族窒化物半導体レーザ素子は、割断面から成る共振器ミラーを有する。
図9は、基板生産物へのブレード進入角と、基板主面に垂直な方向に対する端面の角度との関係を示す。端面のずれ角の見積もりを以下のように行った。割断により作製したレーザバーの共振器端面の断面を観察できるように、共振器端面に交差する断面をレーザバーの分割により形成して観察用試料を作製する。この試料の断面を電子顕微鏡(倍率1000倍)で観察すると共に、画像の撮影を行う。この画像上において、レーザエピ表面とレーザエピ側割断面との角度を見積もる。図9の(a)部は、ブレード進入角(横軸)とずれ角(縦軸)との関係を示す。図9の(a)部の縦軸に示される角度(ズレ角度)の符号は、図9の(b)部に示されるように規定される。エピ面からの観察により共振器端面が見えるとき、共振器端面の角度は負として規定され、基板裏面からの観察により共振器端面が見えるとき、共振器端面の角度は正として規定される。
図9の(a)の結果の具体的な数値を示す。
ブレード進入角(横軸)、角度(縦軸)。
0, -3.5。
0, -6.6。
1.7, -4.5。
3.0, -3.9。
7.6, -0.7。
10.7, 5.6。
12.2, 4.4。
21.0, 6.5。
図9の結果によれば、ずれ角(縦軸)が−5度より大きく+5度未満の範囲に収めるためには、ブレード進入角(横軸)は8度以上13度以下の範囲である。ずれ角(縦軸)が−4度以上+4度以下の範囲に収めるためには、ブレード進入角(横軸)は7度以上12度以下の範囲である。また、垂直ずれ角(縦軸)が−2度以上+2度以下の範囲に収めるためには、ブレード進入角(横軸)は5度以上10度以下の範囲である。
実施例に係るIII族窒化物半導体レーザ素子に対し、通電による評価を、室温において行う。パルス幅500ns及びデューティ比0.1%のパルス駆動により、電流−光出力特性(I−L特性)を調べる。この測定では、III族窒化物半導体レーザ素子の表面電極に金属針を接触されて、III族窒化物半導体レーザ素子に通電した。光出力測定では、III族窒化物半導体レーザ素子の端面からの光をフォトダイオードによって受光して、フォトダイオードからの電気信号により発光量を見積もる。
(実施例3)
図10は、ブレード・基板角度(横軸)とずれ角(縦軸)との関係を示す。
ブレードで基板生産物SPを押圧する際に、基板生産物が割れてレーザバー及び別の基板生産物が形成される前に基板生産物が撓んで屈曲する。図11の(a)部は、同じレベルに配置された2つの受台に支持される基板生産物の撓みを示しており、この撓んだ基板生産物SPがまさに割れるときを模式的に示している。この角度を「基板−ブレード角度」として参照する。同じレベルの配置では、基板生産物SPの一端部(第1部分)には、基板生産物SPから作製されるべきレーザバーのための素子区画の一列が位置する。基板生産物SPの残り部(第2部分)には、基板生産物SPから引き続き順次に作製されるべきレーザバーのための素子区画の複数の列が位置する。図11の(b)部は、同じレベルに配置された2つの受台に支持される基板生産物の押圧により作製されたレーザバーの共振器端面の縦断面の走査型電子顕微鏡像を示す図面である。基板生産物の撓みにより弓なりの縦断面が観察され、レーザ共振器端面が垂直に形成されていない事が確認できる。
図12の(a)部は、異なるレベルに配置された2つの受台に支持される基板生産物の撓みを示しており、この撓んだ基板生産物SPがまさに割れるときを模式的に示している。異なるレベルの配置においても、基板生産物の一端部(第1部分)は、基板生産物から作製されるべきレーザバーのための素子区画の一列を備えると共に、基板生産物の残り部(第2部分)は、基板生産物から引き続き順次に作製されるべきレーザバーのための素子区画の複数の列を備える。図12の(a)部に示されるように、基板生産物の第1部分は左の受け台で支持されると共に、基板生産物の第2部分は右の受台で支持される。異なるレベルの配置では、左の受台に対して、右の受台が相対的に高い。また、このような相対的な高ささを受台に付与できるように、基板生産物SPに対してブレードの移動方向を傾斜させてもよい。図12の(b)部は、異なるレベルに配置された2つの受台に支持される基板生産物SPの押圧により作製されたレーザバーの共振器端面の縦断面の走査型電子顕微鏡像を示す図面である。基板性生物の撓み形状の変化によりレーザエピ側縦断面が垂直に形成されていることが確認できる。
図10を再び参照すると、ずれ角度がゼロに近づけるためには、7‐8度程度の基板−ブレード角度を実現することが好ましい。
また、図12の(b)部に示された走査型電子顕微鏡像における共振器端面の縦断面の垂直性は、図11の(b)部に示された走査型電子顕微鏡像における共振器端面の縦断面の垂直性より優れる。図12の(a)部に示される受台(異なるレベルに配置された2つの受台)の配置により生成される基板生産物SPの撓みは、共振器端面の縦断面に優れた垂直性を提供できる。基板生産物の押圧面とブレードの押圧方向との成す角度を直角から相対的に傾けることによって、基板生産物SPからレーザバーを作成する際にブレード・基板角度を変更できる。上記の相対的な傾斜は、例えば基板生産物SPを配置する2つの支持面のレベル差(例えば高さの差)を設けることにより実現できる。
以上、好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、III族窒化物半導体レーザ素子の基板主面の法線軸に直交する平面とc−m面との交差線に直交する基準面と活性層の端面との成す角度がc−m面における角度成分において小さくできる、III族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法を提供できる。
11…III族窒化物半導体レーザ素子、13…レーザ構造体、13a…第1面、13b…第2面、17b…裏面、5e…裏面、Hb…裏面、13c,13d,5h…エッジ、15…電極、17…支持基体、17a…主面、19…半導体領域、19a…表面、5a…表面、Ha…表面、20…半導体層、21…クラッド層、23…クラッド層、25…活性層、25a…井戸層、25b…障壁層、27,29…割断面、31…絶縁膜、31a…開口、33…コンタクト層、35a,35b…n側光ガイド層、37,38…p側光ガイド層、41…電極、5,51…基板生産物、5b,5b1,5c…スクライブマーク、5d…レーザバー、5f…端面、5i…根本、SE…端面、5g…ブレード、6a…モニタカメラ、6b…レンズ、6c…表示装置、Aa…基準軸、Ab…基準面、CR…結晶座標系、CX…軸、H…支持台、HL…孔部、Id…導波路、LB…レーザビーム、LIX…交差線、Epi…半導体領域、NV…法線ベクトル、NX…法線軸、P1…交差線、S…直交座標系、SC…c面、SF…半極性主面、Sub…基板、TF…シート、VC…c軸ベクトル、VM…m軸ベクトル、VX…軸方向ベクトル。

Claims (10)

  1. III族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法であって、
    第1基準面に沿って延在する半極性主面を含みIII族窒化物半導体を備える基板と、前記半極性主面上に形成され活性層を含む半導体領域と、前記半導体領域の主面において第1方向に延在すると共に前記第1方向と交差する第2方向に配列された複数の第1電極と、スクライブマークとを備える基板生産物を準備する工程と、
    前記基板生産物の第1面を支持するように前記基板生産物を支持台の第1支持面及び第2支持面上に配置すると共に、前記第1基準面に直交する直交面に対して角度THETAで傾斜した第2基準面に沿ってブレードが前記基板生産物に対して相対的に移動可能なように、前記ブレード、前記第1支持面、前記第2支持面及び前記基板生産物を配置する工程と、
    前記基板生産物に対して相対的に前記第2基準面に沿って前記ブレードを移動し前記基板生産物の第2面を前記第1支持面及び前記第2支持面上において押圧して、前記スクライブマークの位置で前記基板生産物を分離してレーザバー及び別の基板生産物を形成する工程と、
    を備え、
    前記スクライブマークは、前記基板生産物の前記第1面に設けられ、前記基板生産物の前記第1面は前記基板生産物の前記第2面に反対側にあり、
    前記III族窒化物半導体のc軸の方向を示すc軸ベクトルは、前記III族窒化物半導体のm軸及び前記c軸により規定されるc−m面内において、前記半極性主面の法線ベクトルに対して角度ALPHAで傾斜して成しており、前記角度ALPHAは、71度以上79度以下又は101度以上109度以下の角度範囲にあり、
    前記レーザバーは、前記押圧による分離により形成される第1端面及び第2端面を有し、前記第1端面及び前記第2端面は前記c−m面に交差し、前記第1端面及び前記第2端面は、前記III族窒化物半導体レーザ素子のレーザ共振器を構成しており、
    前記レーザバー及び前記別の基板生産物を形成する際に、前記角度THETAは、前記レーザバーから前記別の基板生産物への向きに取られた角度として5度以上10度以下の範囲にある、III族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法。
  2. 前記基板生産物を準備する前記工程において、前記半極性主面の前記法線ベクトルと前記III族窒化物半導体のa軸とによって規定されるa−n面と前記基板生産物の前記第1面との交差線の方向に延在する複数のスクライブマーク配列を形成する、請求項1に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法。
  3. 前記III族窒化物半導体レーザ素子のための複数のIII族窒化物層と、前記III族窒化物層を搭載する半導体基板とを含むエピタキシャル基板を用意する工程と、
    前記エピタキシャル基板に加工を行う工程と、
    を更に備え、
    前記エピタキシャル基板の前記加工は、前記第1電極を形成すること及び第2電極を形成することを含み、
    前記基板の厚さが50μm以上100μm以下になるような処理が「施されており、前記処理はスライス又は研削であり、前記第2面は、前記処理により形成された加工面と前記加工面上の前記第2電極を含む面との少なくともいずれかである、請求項1又は請求項2に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法。
  4. 前記スクライブは、レーザスクライバを用いて行われ、
    前記スクライブマークは、前記第1面から前記第2面の方向に延在するスクライブ溝を含む、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法。
  5. 前記半極性主面は、{20−21}面の半極性面から、前記III族窒化物半導体のm面の方向に−4度以上+4度以下の範囲の傾斜を有する、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法。
  6. 前記半極性主面は、{20−2−1}面の半極性面から、前記III族窒化物半導体のm面の方向に−4度以上+4度以下の範囲の傾斜を有する、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法。
  7. 前記半極性主面は、{20−21}面及び{20−2−1}面のいずれかの面を備える、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法。
  8. 前記基板は、GaN、AlGaN、AlN、InGaN及びInAlGaNの何れかを含む、請求項1〜請求項7の何れか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法。
  9. 前記第1端面における前記活性層の端面は、前記m軸に直交する基準面に対して、前記c−m面において(ALPHA−5)度より大きく(ALPHA+5)度未満の範囲内の角度を成す、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法。
  10. 前記活性層の端面は、前記c−m面と前記法線ベクトルとに直交する平面において、当該平面と前記c−m面との交差線に直交する面を基準にして−5度以上+5度以下の範囲内の角度を有している、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ素子を作製する方法。
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