JP2015149259A - 多層回路基板用導電ペーストおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 様々な種類のグリーンシートを積層して同時焼成する場合であっても、基板の反りを有効に低減することができる、多層回路基板用導電ペーストを提供する。
【解決手段】 本発明に係る導電ペーストは、導電性粉末として、少なくとも銀粉末を含有する。この銀粉末としては、アトマイズ法により製造され、平均粒径が2〜10μmの範囲内にあるとともに最大粒径が40μm以下であり、さらに薄片化されている第一銀粉末、並びに、化学的還元法またはアトマイズ法により製造され、最大粒径が40μm以下であり、球状および凝集状の少なくとも一方の形状になっている第二銀粉末が用いられる。導電性粉末の総量中、第一銀粉末の含有量は75質量%以下であり、かつ、導電ペーストの総量中、導電性粉末の合計量は50質量%を超えるように、これら導電性粉末の配合が調整される。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明に係る導電ペーストは、導電性粉末として、少なくとも銀粉末を含有する。この銀粉末としては、アトマイズ法により製造され、平均粒径が2〜10μmの範囲内にあるとともに最大粒径が40μm以下であり、さらに薄片化されている第一銀粉末、並びに、化学的還元法またはアトマイズ法により製造され、最大粒径が40μm以下であり、球状および凝集状の少なくとも一方の形状になっている第二銀粉末が用いられる。導電性粉末の総量中、第一銀粉末の含有量は75質量%以下であり、かつ、導電ペーストの総量中、導電性粉末の合計量は50質量%を超えるように、これら導電性粉末の配合が調整される。
【選択図】 なし
Description
本発明は多層回路基板用導電ペーストおよびその製造方法に関し、さらに詳しくは、各種グリーンシートと同時に焼成しても、反りの発生を有効に抑制することができる多層回路基板を提供可能な導電ペースト、並びに、この導電ペーストの製造方法に関する。
従来、セラミック多層回路基板としては、アルミナ多層回路基板が主に用いられていた。アルミナ多層回路基板を製造するためには、アルミナの焼結を行うために1500℃以上の高温を必要とし、またその温度に耐えるための導体材料としてモリブデン−マンガン(Mo−Mn)やタングステン(W)系の高温焼結用材料が使用されていた。
一方、最近ではアルミナよりも低温で焼成することのできる低温焼成基板が徐々に用いられ始めている。この低温焼成基板では、800〜1000℃の焼成温度で焼結が可能となり、そのため導体材料もMo−MnやWよりも低抵抗の銀(Ag)や銅(Cu)が使用できるようになり、高密度実装基板としてのCSP(チップサイズパッケージ)、あるいはMCM(マルチチップモジュール)に応用展開が図られつつある。
低温焼成基板は、一般にガラスフリット成分とセラミック成分を混合したものであって、ガラスフリットの低融点を利用して低温度で焼結させて基板とするものである。
このようなセラミック多層回路基板を製造する方法は、セラミックの基板となるグリーンシート(セラミックグリーンシート)上に導電ペーストを印刷し、またセラミック層間の電気的接続をとるためにグリーンシートのビアホールに導電ペーストを充填し、それらのグリーンシートを複数枚積層した後一括で焼成する方法である。グリーンシートは焼成によりセラミック基板となり、導電ペーストは焼成により配線電極層(いわゆる配線パターン)やビアホール電極層となる。
ところで、このようにして製造するセラミック多層回路基板には、焼成後に基板に反りが発生するという課題が知られている。基板の反りは、焼成時の収縮率の異なる材料であるグリーンシートと導電ペーストを同時に焼成するために起こる現象であり、当該反りが発生した状態では基板として使用できない。
特に、近年では、積層型セラミック電子部品においては、さらなる高密度化が要求されている。それゆえ、セラミック多層回路基板においても、高密度化を進めるべく収縮率のさらなる低減が要求されている。このような要求に対応する技術の代表的な一例として、特許文献1に開示されるセラミック多層回路基板用導電ペーストが提案されている。
このセラミック多層回路基板用導電ペーストでは、導電性粉末に含有される銀粉末として、アトマイズ法により製造され薄片化されたものが用いられている。これにより、銀粉末の形状の違いを導電ペーストの耐熱性の調整に利用することができる。それゆえ、導電ペーストの収縮率をグリーンシートの収縮率に近付けることが可能となり、収縮率のマッチングの幅を広げることが可能となる。
前述した基板の反りは、主として、焼成時に導電ペーストが収縮を開始する温度と、グリーンシートが収縮を開始する温度とが異なること、並びに、導電ペーストの収縮率とグリーンシートの収縮率とが互いに異なることに起因している。
特許文献1に開示される技術では、銀粉末として、アトマイズ法で得られた銀粉末を薄片化(フレーク化、鱗片化)したもの(アトマイズ銀薄片粉末)を少なくとも用いている。この銀粉末は、扁平な形状であることから収縮の異方性を有しているので、焼成時の収縮の際にグリーンシートに与える応力を緩和することができる。また、このアトマイズ銀薄片粉末は、薄片状であることから導電ペーストの耐熱性の調整に利用することができる。そのため、特許文献1に開示の技術によれば、導電ペーストの収縮率をグリーンシートの収縮率に対応させやすくできるとともに、導電ペーストの焼結開始温度を高めて、グリーンシートの焼結温度に近づけることができる。その結果、基板の反りを有効に低減することができる。
ここで、セラミック多層回路基板の用途が幅広くなっていることから、導電ペーストにより導電層を形成する対象であるグリーンシートとしても、様々な種類のものが用いられている。
例えば、積層型のチップインダクタは、種々の電子回路で広く用いられる素子の一つであって、特に近年では、電子回路の精密化または小型化の要求に伴って、ノイズカット用途での需要が増加している。このようなインダクタは、一般に、フェライトまたは酸化鉄等の磁性体材料を主成分として含有する磁性体系グリーンシートを積層して同時に焼成することにより製造される。
一般的なグリーンシートとしては、前記の通り、アルミナ等の絶縁セラミック材料を主成分とする絶縁セラミック系グリーンシートが知られているが、このような絶縁セラミック系グリーンシートの収縮挙動は、磁性体系グリーンシートの収縮挙動とは異なっていることが多い。そのため、絶縁セラミック系グリーンシートに応じて設計された導電ペーストを用いて、磁性体系グリーンシートに導電層を形成すると、基板に反りが発生しやすくなる。
グリーンシートとしては、絶縁セラミック系グリーンシートおよび磁性体系グリーンシート以外にも、誘電体材料を主成分とする誘電体系グリーンシート、圧電体材料を主成分とする圧電体系グリーンシート等が知られている。これらグリーンシートの収縮挙動は、絶縁セラミック系グリーンシートの収縮挙動と同様であるとは限らない。それゆえ、そのため、多層回路基板用導電ペーストには、より幅広い種類のグリーンシートに対応できる性能が要求されている。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、様々な種類のグリーンシートを積層して同時焼成する場合であっても、基板の反りを有効に低減することができる、多層回路基板用導電ペーストを提供することを目的とする。
本発明に係る多層回路基板用導電ペーストは、前記の課題を解決するために、グリーンシートを複数毎積層して、同時に焼成することによって多層回路基板を製造するに際して、当該グリーンシートの導電層の形成に用いられる導電ペーストであって、導電性粉末として、少なくとも銀粉末を含有し、当該銀粉末が、アトマイズ法により製造され、平均粒径が2〜10μmの範囲内にあるとともに最大粒径が40μm以下であり、さらに薄片化されている第一銀粉末、並びに、化学的還元法またはアトマイズ法により製造され、最大粒径が40μm以下であり、球状および凝集状の少なくとも一方の形状になっている第二銀粉末であり、前記導電性粉末の総量中、前記第一銀粉末の含有量が75質量%以下であり、かつ、前記導電ペーストの総量中、前記導電性粉末の合計量が50質量%を超えている構成である。
前記構成によれば、アトマイズ法により製造されて薄片化された第一銀粉末と、化学的還元法またはアトマイズ法により製造され、球状または凝集状もしくはその両方が混在してもよい第二銀粉末とを所定範囲で併用している。これにより、導電ペーストの耐熱性と応力緩和作用とを良好に維持することができるとともに、これら銀粉末の比率を調整することで、導電ペーストの収縮率を、様々な種類のグリーンシートの収縮率に近づけることが可能となる。その結果、様々な種類のグリーンシートを積層して同時焼成する場合であっても、基板の反りを有効に低減することができる。
前記構成の多層回路基板用導電ペーストにおいては、前記導電性粉末として、前記銀粉末以外に、パラジウム、白金、金、ニッケル、および銅の群から選択される少なくとも1種の金属の粉末を併用する構成であってもよい。
また、前記構成の多層回路基板用導電ペーストにおいては、前記グリーンシートは、絶縁セラミック材料を用いて形成される絶縁セラミック系グリーンシート、または、磁性体材料を用いて形成される磁性体系グリーンシートである構成であってもよい。
また、前記構成の多層回路基板用導電ペーストにおいては、前記導電性粉末の含有量は、85質量%以下である構成であってもよい。
また、本発明には、グリーンシートを複数毎積層して、同時に焼成することによって多層回路基板を製造するに際して、当該グリーンシートの導電層の形成に用いられる導電ペーストの製造方法であって、当該導電ペーストは、導電性粉末として、少なくとも銀粉末を用い、当該銀粉末として、アトマイズ法により製造され、平均粒径が2〜10μmの範囲内にあるとともに最大粒径が40μm以下であり、さらに薄片化されている第一銀粉末、並びに、化学的還元法またはアトマイズ法により製造され、最大粒径が40μm以下であり、球状および凝集状の少なくとも一方の形状になっている第二銀粉末の2種類を少なくとも用い、前記グリーンシートの焼成時の収縮率に合わせて、前記導電性粉末の総量中、前記第一銀粉末の含有量が75質量%以下となり、かつ、前記導電ペーストの総量中、前記導電性粉末の合計量が50質量%を超えるように、これら第一銀粉末および第二銀粉末の配合比を調整する、多層回路基板用導電ペーストの製造方法も含まれる。
本発明では、以上の構成により、様々な種類のグリーンシートを積層して同時焼成する場合であっても、基板の反りを有効に低減することができる、多層回路基板用導電ペーストを提供することができる、という効果を奏する。
以下、本発明の好ましい実施の形態について具体的に説明する。本発明に係る多層回路基板用導電ペースト(以下、単に導電ペーストと略す)は、グリーンシートを複数毎積層して、同時に焼成することによって多層回路基板を製造するに際して、当該グリーンシートの導電層の形成に用いられ、50質量%を超える導電性粉末を含有し、この導電性粉末として、第一銀粉末および第二銀粉末という異なる2種類の銀粉末を併用している構成となっている。
[第一銀粉末の構成]
本発明で用いられる第一銀粉末は、アトマイズ法により製造されるものを薄片化(フレーク化)したアトマイズ銀薄片粉末である。本発明でいうアトマイズ法とは、銀(Ag)を高温度で溶融し、そのAg液体をノズルから高速度で噴霧することによって、球状微粉化する方法である。具体的な方法としては、Ag液体をノズルから高速度で噴霧する際の媒体としてガスを用いるガスアトマイズ法、または、前記媒体として水を用いる水アトマイズ法を挙げることができるが、本発明で用いられる第一銀粉末は、いずれの方法によっても製造することができる。
本発明で用いられる第一銀粉末は、アトマイズ法により製造されるものを薄片化(フレーク化)したアトマイズ銀薄片粉末である。本発明でいうアトマイズ法とは、銀(Ag)を高温度で溶融し、そのAg液体をノズルから高速度で噴霧することによって、球状微粉化する方法である。具体的な方法としては、Ag液体をノズルから高速度で噴霧する際の媒体としてガスを用いるガスアトマイズ法、または、前記媒体として水を用いる水アトマイズ法を挙げることができるが、本発明で用いられる第一銀粉末は、いずれの方法によっても製造することができる。
第一銀粉末の平均粒径は、2〜10μmの範囲内であればよい。第一銀粉末の平均粒径が2μm未満であれば、得られる導電ペーストの収縮開始温度が低くなるため、得られる導電ペーストとグリーンシートとを同時に焼成したときに反りを十分に有効に軽減することができなくなる。また、平均粒径が10μmを超えれば、薄片化された第一銀粉末の寸法が大きくなりすぎるため、グリーンシート上にパターン印刷するときに、当該第一銀粉末がスクリーンの目詰まりを起こすおそれがある。なお、本発明における平均粒径とは、マイクロトラック社(Microtrac Inc.)製レーザ回折式粒度分布測定装置で、測定対象の粉末(粒子)を測定したときの累積頻度が50容積%での粒径をいうものとする。
第一銀粉末は、平均粒径が前記範囲内に入っていることに加え、その最大粒径は40μm以下となっている。第一銀粉末の最大粒径が40μmを超えると、導電ペーストを調製する際に、当該第一銀粉末が潰れることで、その粒径が相対的に大きな銀箔片が生じる。このような銀箔片は、前述したように、グリーンシート上にパターン印刷するときに、スクリーンの目詰まりを起こすおそれがある。
アトマイズ法により得られた銀粉末を薄片化してアトマイズ銀薄片粉末(すなわち第一銀粉末)とする方法は特に限定されず、種々の公知の方法を用いることができる。具体的には、ボールミル、ビーズミル、アトライターミル等を用いて、アトマイズ法により得られた銀粉末を潰す方法が挙げられるが、特に限定されない。なお、薄片化された第一銀粉末の厚みおよび扁平部分長平均等については特に限定されない。
[第二銀粉末の構成]
本発明で用いられる第二銀粉末は、化学的還元法またはアトマイズ法により製造された球状または凝集状、もしくはこれらの混合物である。本発明でいう化学的還元法とは、還元剤等を用いてAgの化合物を還元することにより、球状微粉を製造する方法である。一般的には、酸化物還元法または塩化物還元法等が用いられるが特に限定されない。なお、アトマイズ法については前述した通りである。
本発明で用いられる第二銀粉末は、化学的還元法またはアトマイズ法により製造された球状または凝集状、もしくはこれらの混合物である。本発明でいう化学的還元法とは、還元剤等を用いてAgの化合物を還元することにより、球状微粉を製造する方法である。一般的には、酸化物還元法または塩化物還元法等が用いられるが特に限定されない。なお、アトマイズ法については前述した通りである。
第二銀粉末は、球状であってもよいし凝集状であってもよいが、本発明でいう凝集状とは、球状の粉末が凝集した状態を指す。第二銀粉末を凝集化させる方法は特に限定されない。一般に、化学的還元法で得られる球状の銀粉末は、その平均粒径が一次粒径で0.1〜2μm程度のものが多く、このような微小な銀粉末は凝集性が高い傾向にある。したがって、化学的還元法で得られた銀粉末であって、一次粒子が凝集した二次粒子を、本発明における第二銀粉末として用いることができる。また、化学的還元法またはアトマイズ法により得られた球状の銀粉末を、公知の手法で凝集化させてもよい。
第二銀粉末の平均粒径は特に限定されない。前記の通り、化学的還元法で得られる球状の銀粉末は、0.1〜2μmの範囲内の一次粒径を有するものが多いが、球状の第二銀粉末は、平均粒径が2μmを超えていてもよい。また、第二銀粉末が凝集状の場合であっても、その二次粒径は特に限定されない。ただし、第二銀粉末の最大粒径は、第一銀粉末と同様に、40μm以下となっている。第二銀粉末の最大粒径が40μmを超えると、前述したように、導電ペーストを調製する際に、当該第二銀粉末が潰れて銀箔片が生じやすくなる。
一般に、化学的還元法により製造される銀粉末は、前述したように微細な平均粒径となる。そのため、多層回路基板用導電ペーストに用いると、銀粉末の焼成がグリーンシートの焼成よりも格段に早く進むため、反りの発生を抑制することができない。そこで、特許文献1では、銀粉末としてアトマイズ銀薄片粉末を用いている。このアトマイズ銀薄片粉末は扁平形状であるため、焼成時には、アトマイズ銀薄片粉末の平面方向と厚み方向とで収縮率が異なると考えられている。つまり、アトマイズ銀薄片粉末は、導電ペースト中で異方性を有することになる。
それゆえ、アトマイズ銀薄片粉末を含有する導電ペーストを焼成すると、銀粉末の収縮応力は単一方向に集中せずに複数方向に分散する。これにより、焼成時における導電ペーストの収縮応力が緩和されるので、一般的な絶縁セラミック系グリーンシートと同時に焼成しても、基板の反りを低下することができる。
ただし、アトマイズ銀薄片粉末は、その薄片形状(扁平形状または鱗片形状)から導電ペースト中で充填密度が高くなる傾向にある。そのため、焼結時に銀粉末の焼結密度も高くなるため、絶縁セラミック系グリーンシート以外のグリーンシート(例えば、後述する磁性体系グリーンシート等)に対して、導電ペーストの収縮率が小さくなりすぎるおそれがある。この場合、一般的な絶縁セラミック系グリーンシートの場合とは収縮率の大小関係が逆になる(グリーンシートの収縮率が大きく導電ペーストの収縮率が小さくなる)だけになってしまう。それゆえ、導電ペーストの収縮率が小さくても、グリーンシートの収縮率との違いが大きければ、結果として、基板の反りが大きくなってしまう。
これに対して、本発明では、第一銀粉末および第二銀粉末を併用し、かつ、これらの配合比を調整することで、導電ペーストの耐熱性および応力の緩和を維持しつつ、その収縮率をグリーンシートの収縮率に近づけることができる。これにより、幅広い種類のグリーンシートに導電ペーストの収縮率を適応させることができるので、従来よりも一層反りの少ない多層回路基板を得ることができる。なお、第一銀粉末および第二銀粉末の配合量については後述する。
[導電ペーストの構成]
本発明に係る導電ペーストは、導電性粉末として、前述した第一銀粉末および第二銀粉末を含有しているが、これら第一銀粉末および第二銀粉末に該当しない銀粉末を含んでもよいし、銀以外の金属からなる公知の導電性粉末を含有してもよい。例えば、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、ニッケル(Ni)および銅(Cu)の群から選択される少なくとも1種の金属の粉末を併用することができる。つまり、本発明に係る導電ペーストは、導電性粉末として、前記第一銀粉末および前記第二銀粉末以外に、Pd粉末、Pt粉末、Au粉末、Ni粉末、またはCu粉末を含有してもよいし、Pd粉末、Pt粉末、Au粉末、Ni粉末およびCu粉末の中から選択される2種以上の粉末を含有してもよい。さらに本発明に係る導電ペーストにおいては、要求される特性等に応じて、前記群の金属の粉末以外に、他の金属、半金属または半導体の粉末を含んでもよい。
本発明に係る導電ペーストは、導電性粉末として、前述した第一銀粉末および第二銀粉末を含有しているが、これら第一銀粉末および第二銀粉末に該当しない銀粉末を含んでもよいし、銀以外の金属からなる公知の導電性粉末を含有してもよい。例えば、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、ニッケル(Ni)および銅(Cu)の群から選択される少なくとも1種の金属の粉末を併用することができる。つまり、本発明に係る導電ペーストは、導電性粉末として、前記第一銀粉末および前記第二銀粉末以外に、Pd粉末、Pt粉末、Au粉末、Ni粉末、またはCu粉末を含有してもよいし、Pd粉末、Pt粉末、Au粉末、Ni粉末およびCu粉末の中から選択される2種以上の粉末を含有してもよい。さらに本発明に係る導電ペーストにおいては、要求される特性等に応じて、前記群の金属の粉末以外に、他の金属、半金属または半導体の粉末を含んでもよい。
本発明に係る導電ペーストは、前記導電性粉末に加えて有機ビヒクルを含有しており、当該有機ビヒクル中に前記導電性粉末を分散させた構成となっている。
本発明で用いられる有機ビヒクルの具体的な構成は特に限定されず、導電ペーストの分野で公知の樹脂を好適に用いることができる。具体的には、例えば、特に限定されないが、エポキシ樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、イミド系樹脂、アミド系樹脂、ブチラール系樹脂、変性セルロース等が挙げられる。これら樹脂には公知の共重合体あるいは変性樹脂が含まれる。また、これら樹脂は1種類のみで用いられてもよいし、2種類以上が適宜選択されて用いられてもよい。
本発明に係る導電ペーストは、前記導電性粉末および前記有機ビヒクル以外に公知の添加剤等が加えられてもよい。添加剤としては、具体的には、例えば、導電性粉末の分散性を向上させる分散剤、導電ペーストの粘度や流動性等を調節するための増粘剤または溶剤、導電ペーストのチキソ性を調節するためのチクソトロピック付与剤、導電ペーストを焼成した後の接着力を向上させるガラスフリット、有機金属化合物等が挙げられる。これら添加剤は、本発明に係る導電ペーストの特性(特に、焼成に伴う反りの発生の抑制、あるいは、グリーンシートに対する収縮率の調整)を低下させない範囲で、公知の量を添加することができる。
本発明に係る導電ペーストに含有される前記導電性粉末の含有量は、50質量%を超え85質量%以下の範囲内であれば好ましい。また、有機ビヒクルの含有量は15質量%以上50質量%以下の範囲内であれば好ましい。導電性粉末が85質量%超または有機ビヒクルが15質量%未満であれば、ペースト状の組成物を得ることが困難となる場合がある。一方、導電性粉末が50質量%以下または有機ビヒクルが50質量%超であれば、焼成時の導電ペーストの乾燥性が低下するとともに、焼成時の導電ペーストの収縮率が大きくなる傾向にある。また、導電性ペーストの印刷時にかすれ等の不備が発生するおそれもある。
なお、前記含有量は、導電性粉末および有機ビヒクルの合計が100質量%となるときの組成であるが、これら以外の添加剤等を含んでいる場合には、導電性粉末、有機ビヒクルおよび添加剤の含有量は、当該添加剤の種類に応じて公知の範囲に適宜調整できることはいうまでもない。
また、第一銀粉末の含有量は、前記導電性粉末の総量(100質量%)中、75質量%以下であればよい。75質量%を超えると、導電ペーストの収縮率が小さくなりすぎて、グリーンシートの収縮率との差異が大きくなり、結果的に基板に反りが生じてしまうおそれがある。一方、第一銀粉末の含有量の下限値は特に限定されず、0質量%を超えていればよい。本発明では、第一銀粉末の一部を第二銀粉末に置き換えることによって、導電ペーストの収縮率を調整していることになる。そのため、第一銀粉末の全量を第二銀粉末に置き換えなければよい。
さらに、本発明に係る導電ペーストにおいては、前記導電性粉末の総量中における第一銀粉末および第二銀粉末の合計量は特に限定されず、第一銀粉末および第二銀粉末は前記導電性粉末の主成分であればよい。つまり、第一銀粉末および第二銀粉末の合計量は、前記導電性粉末の総量(100質量%)中50質量%を超えていればよい。本発明においては、併用可能な他の金属粉末(Pd粉末、Pt粉末、Au粉末、Ni粉末、またはCu粉末、あるいは、第一銀粉末および第二銀粉末以外の銀粉末、もしくは、これら以外の導電性粉末)を1種以上含有している場合には、これら他の金属の粉末は、50質量%未満であればよい。第一銀粉末および第二銀粉末が前記導電性粉末の50質量%未満であれば、グリーンシートとともに焼成したときに、有効に反りを軽減させることが困難となるため好ましくない。
本発明に係る導電ペーストの製造方法では、グリーンシートの焼成時の収縮率に合わせて、導電性粉末の総量中、第一銀粉末の含有量が75質量%以下となり、かつ、第一銀粉末および第二銀粉末の合計量が50質量%を超えるように、これら第一銀粉末および第二銀粉末の配合比を調整する。これ以外の具体的な工程または条件等については特に限定されず、公知の方法を好適に用いることができる。
一般的には、第一銀粉末および第二銀粉末を含む導電性粉末と、有機ビヒクルと、必要に応じて種々の添加剤を複数のロールを備える公知の混練装置にて混合および混練することによって製造することができる。また、本混練の前に公知の混練装置にて予備混練してもよい。なお、導電ペーストの組成、導電ペーストに要求される物性、または添加剤の種類等の条件によっては、各成分の混合または混練方法、添加方法等の種々の製造条件を公知の範囲内で変更することができ、あるいは、混合または混練以外の公知の工程を追加することができる。
[導電ペーストの用途]
本発明に係る導電ペーストは、グリーンシートの導電層の形成に用いられる。当該グリーンシートは、これを複数枚積層して焼成することによって、多層回路基板が製造される。グリーンシートの導電層としては、多層基板を構成する各基板上にパターン形成される配線電極層(いわゆる配線パターン)、上下の基板の導通を図るために、グリーンシートに形成されるビアホールに充填されるビアホール電極層が挙げられる。多層回路基板においては、配線電極層の大半とビアホール電極層とは各層(各基板)の間に形成されるので、これら電極層は多層回路基板の「内層」となる。また、多層回路基板の表面にも「表層」の配線電極層等が形成される。本発明に係る導電ペーストは、前記内層および表層のいずれの電極層の形成にも好適に用いることができる。
本発明に係る導電ペーストは、グリーンシートの導電層の形成に用いられる。当該グリーンシートは、これを複数枚積層して焼成することによって、多層回路基板が製造される。グリーンシートの導電層としては、多層基板を構成する各基板上にパターン形成される配線電極層(いわゆる配線パターン)、上下の基板の導通を図るために、グリーンシートに形成されるビアホールに充填されるビアホール電極層が挙げられる。多層回路基板においては、配線電極層の大半とビアホール電極層とは各層(各基板)の間に形成されるので、これら電極層は多層回路基板の「内層」となる。また、多層回路基板の表面にも「表層」の配線電極層等が形成される。本発明に係る導電ペーストは、前記内層および表層のいずれの電極層の形成にも好適に用いることができる。
本発明において、導電ペーストが塗布される対象であるグリーンシートは、多層回路基板で公知の構成のセラミック材料を主成分とするものであればよい。具体的には、例えば、アルミナ等の絶縁セラミック材料を主成分として含有する絶縁セラミック系グリーンシート、フェライト、酸化鉄等の磁性体材料を主成分として含有する磁性体系グリーンシート、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化チタン等の誘電体材料を主成分として含有する誘電体系グリーンシート、チタン酸ジルコン酸鉛等の圧電体材料を主成分として含有する圧電体系グリーンシート等が挙げられる。
なお、これらグリーンシートにおいて「主成分とする」とは、少なくとも50質量%以上の材料を含むことを意味する。したがって、これらグリーンシートには、他の材料が含まれてもよい。他の材料としては、例えば、後述する実施例等でも例示するように、ガラスフリット等のガラス材料が挙げられる。特に、ガラスフリットを含有することで、800〜1000℃の範囲内で低温焼成可能なグリーンシートを得ることができる。また、ガラスフリット等のガラス材料を主成分とするグリーンシート(ガラス系グリーンシート)も、導電ペーストの塗布対象に含まれる。さらに、これらグリーンシートの形成方法は特に限定されず、ドクターブレード法、カレンダロール法等の公知のシート化方法により形成されればよい。
グリーンシートに導電ペーストを塗布する方法も特に限定されない。具体的には、例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、スピンコート、ディップコート、バーコート、インクジェット等の公知の塗布方法を挙げることができる。これらの中でも、配線電極層(配線パターン)を形成するためにはスクリーン印刷が好適に用いられる。
導電ペーストを塗布した後のグリーンシートは公知の方法で積層され、公知の条件で焼成されることによって、多層回路基板が製造される。焼成によってグリーンシートはセラミック基板となり、導電ペーストは導電性粉末が融着することで導電層となる。ここで、本発明においては、導電ペーストが導電性粉末の主成分が第一銀粉末および第二銀粉末であるので、これら2種類の銀粉末の配合比を調整することで、グリーンシートの種類に合わせて収縮率を近づけることができる。その結果、反りの発生を抑制した多層回路基板を製造することができる。
また、本発明によれば、導電性粉末中の第一銀粉末および第二銀粉末の配合比を調整するだけでなく、これら銀粉末の含有量を調整したり、導電ペーストの組成そのものを調整したりすることで、収縮率を幅広く変化させることができる。それゆえ、グリーンシートの収縮率に対応させた導電ペーストを得ることができる。その結果、導電ペーストおよびグリーンシートと同時に焼成しても、反りが非常に少ない導体回路を形成することが可能となり、特に、高密度化された多層回路基板の製造に有効に用いることができる。
本発明に係る導電ペーストを用いて得られる多層回路基板は、セラミック材料を用いた積層型の電子部品に特に好適に用いられる。このような電子部品としては、チップ型の高密度実装基板、キャパシタ(コンデンサ)、インダクタ、圧電素子、バリスタ、サーミスタ等が挙げられるが、特に限定されない。
後述する実施例に示すように、本発明に係る導電ペーストは、第一銀粉末および第二銀粉末の配合比を調整することにより、絶縁セラミック系グリーンシートの収縮率にも磁性体系グリーンシートの収縮率にも好適に対応させることができる。絶縁セラミック系グリーンシートを用いた多層回路基板の一例としては高密度実装基板が挙げられ、磁性体系グリーンシートを用いた多層回路基板の一例としてはインダクタが挙げられる。インダクタは、電子回路を構成する各種素子のうち、抵抗素子およびキャパシタ等と並んで受動素子として重要であり、ノイズを除去するノイズカットフィルタとして用いられ、あるいは、キャパシタとともにLC型の共進回路を構成するために用いられる。
多層回路基板としてのインダクタは、積層型のチップとして構成されることが多い。積層型のチップインダクタは、電気絶縁性の複数の磁性体セラミックス層または低誘電性の誘電体セラミックス層が積層されることにより構成されており、各セラミックス層の上には、コイル1巻分に相当する環状の配線電極層(コイル電極層)が形成されている。それぞれのコイル電極層は、隣接する各セラミックス層に形成されたビアホール電極層を介して他のコイル電極層に接続され、積層方向に沿って重ね合わせられている。また、表裏の最外層(最上層および最下層)のセラミックス層は、チップの端面となるので、この箇所にも端面電極層が形成されている。
本発明に係る導電ペーストは、焼成によって磁性体セラミックス層となる磁性体系グリーンシートの収縮率、または、誘電体セラミックス層となる誘電体系グリーンシートの収縮率に対応する収縮率を実現することができる。そのため、本発明に係る導電ペーストは、少なくともコイル電極層の形成に好適に用いられ、ビアホール電極層および端面電極層の形成にも好適に用いられる。もちろん、本発明に係る導電ペーストは、このようなチップインダクタだけでなく、他の構成のインダクタの製造にも好適に用いることができる。さらに、本発明に係る導電ペーストは、インダクタ以外の前述した電子部品の製造に好適に用いることができる。
本発明について、実施例、比較例および参考例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、以下の実施例および比較例において、製造された基板サンプルの反り量の測定、並びに、所定パターンの評価は、次に示す方法により行った。
(反りの測定)
各実施例または各比較例において、得られた基板サンプルの全体の反り量を反りゲージ(デジマチック標準外側マイクロメータ、株式会社ミツトヨ製)を用いて測定し、当該全体の反り量から測定対象の基板サンプルの厚みを差し引いた値を、評価用の反り量とした。
各実施例または各比較例において、得られた基板サンプルの全体の反り量を反りゲージ(デジマチック標準外側マイクロメータ、株式会社ミツトヨ製)を用いて測定し、当該全体の反り量から測定対象の基板サンプルの厚みを差し引いた値を、評価用の反り量とした。
(所定パターンの評価)
各実施例または各比較例において、グリーンシートの上に導電ペーストを所定パターンでスクリーン印刷して目視で観察し、所定パターンに配線かすれ等の不備が確認されれば「×」、不備が確認されなければ「○」として評価した。
各実施例または各比較例において、グリーンシートの上に導電ペーストを所定パターンでスクリーン印刷して目視で観察し、所定パターンに配線かすれ等の不備が確認されれば「×」、不備が確認されなければ「○」として評価した。
(銀粉末の製造)
公知のアトマイズ法または化学的還元法により、種々の平均粒径を有する球状の銀粉末を製造した。また、アトマイズ法で得られた球状の銀粉末をボールミルにより潰す方法により薄片化し、アトマイズ銀薄片粉末を製造した。これにより、表1に示すように合計7種類の銀粉末の試料を得た。
公知のアトマイズ法または化学的還元法により、種々の平均粒径を有する球状の銀粉末を製造した。また、アトマイズ法で得られた球状の銀粉末をボールミルにより潰す方法により薄片化し、アトマイズ銀薄片粉末を製造した。これにより、表1に示すように合計7種類の銀粉末の試料を得た。
本実施例で用いられる銀粉末のうち、アトマイズ法で得られた球状の銀粉末の一例(表1のAg1)を図1(a)に、アトマイズ銀薄片粉末の一例(表1のAg4)を図1(b)に、化学的還元法で得られた球状の銀粉末の一例(表1ののAg6)を図1(c)に、化学的還元法で得られた凝集状の銀粉末の一例(表1のAg7)を図1(d)に示す。また、表1に示す7種類の銀粉末は、いずれも最大粒径が40μm以下となっている。
(比較例1)
銀粉末として、アトマイズ法による球状の銀粉末Ag1のみを用いた(銀粉末Ag1は第二銀粉末に相当する)。この銀粉末Ag1および有機ビヒクル(樹脂成分:エチルセルロース、溶剤成分:ターピネオール)を表2に示す含有量で配合し、プラネタリーミキサーで予備混練した後に、3本ロールの混練装置(株式会社EME製UFO攪拌器)で混練することにより、比較例1の導電ペーストを調製した。
銀粉末として、アトマイズ法による球状の銀粉末Ag1のみを用いた(銀粉末Ag1は第二銀粉末に相当する)。この銀粉末Ag1および有機ビヒクル(樹脂成分:エチルセルロース、溶剤成分:ターピネオール)を表2に示す含有量で配合し、プラネタリーミキサーで予備混練した後に、3本ロールの混練装置(株式会社EME製UFO攪拌器)で混練することにより、比較例1の導電ペーストを調製した。
また、ガラスフリット(酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよび酸化ホウ素を主成分とする)50質量部と酸化アルミニウム50質量部とを混合したものをシート化して厚み0.75mmのアルミナ系の絶縁セラミック系グリーンシートを作製した。また、スピネル系フェライトの原料となる金属酸化物混合粉(酸化鉄を主成分とし、酸化銅、酸化ニッケル、および酸化亜鉛を含有する)をシート化して厚み1mmのフェライト系の磁性体系グリーンシートを作製した。これらグリーンシートの上に、それぞれ比較例1の導電ペーストを所定パターンでスクリーン印刷し、得られた所定パターンを前記の方法で評価した。その結果を表2に示す。
導電ペーストが印刷された各グリーンシートを、対気雰囲気条件下にて、常温から150℃までの昇温を1時間、150℃から500℃までの昇温を4時間、500℃から900℃までの昇温を1時間、900℃での保持を1時間、900℃から400℃までの降温を4時間の焼成条件で焼成した、これにより、多層回路基板の単層に対応する絶縁セラミック基板サンプルと、磁性体セラミック基板サンプルとを得た。これら各基板サンプルの反りを前記の方法で測定した。その結果を表2に示す。
(比較例2)
銀粉末として、アトマイズ銀薄片粉末Ag4のみを用いた(アトマイズ銀薄片粉末Ag4は第一銀粉末に相当する)以外は、比較例1と同様にして、比較例2の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表2に示す。
銀粉末として、アトマイズ銀薄片粉末Ag4のみを用いた(アトマイズ銀薄片粉末Ag4は第一銀粉末に相当する)以外は、比較例1と同様にして、比較例2の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表2に示す。
(比較例3)
銀粉末として、アトマイズ法による球状の銀粉末Ag2のみを用いた(銀粉末Ag2は第二銀粉末に相当する)以外は、比較例1と同様にして、比較例3の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表2に示す。
銀粉末として、アトマイズ法による球状の銀粉末Ag2のみを用いた(銀粉末Ag2は第二銀粉末に相当する)以外は、比較例1と同様にして、比較例3の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表2に示す。
(実施例1)
第一銀粉末としてアトマイズ銀薄片粉末Ag4を用いるとともに、第二銀粉末としてアトマイズ法による球状の銀粉末Ag1を用いて、表2に示す配合比で配合した以外は、比較例1と同様にして、実施例1の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表2に示す。
第一銀粉末としてアトマイズ銀薄片粉末Ag4を用いるとともに、第二銀粉末としてアトマイズ法による球状の銀粉末Ag1を用いて、表2に示す配合比で配合した以外は、比較例1と同様にして、実施例1の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表2に示す。
(実施例2)
第一銀粉末としてアトマイズ銀薄片粉末Ag4を用いるとともに、第二銀粉末として化学的還元法による球状の銀粉末Ag6を用いて、表2に示す配合比で配合した以外は、比較例1と同様にして、実施例1の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表2に示す。
第一銀粉末としてアトマイズ銀薄片粉末Ag4を用いるとともに、第二銀粉末として化学的還元法による球状の銀粉末Ag6を用いて、表2に示す配合比で配合した以外は、比較例1と同様にして、実施例1の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表2に示す。
(実施例3)
第一銀粉末としてアトマイズ銀薄片粉末Ag4を用いるとともに、第二銀粉末として化学的還元法による凝集状の銀粉末Ag7を用いて、表2に示す配合比で配合した以外は、比較例1と同様にして、実施例1の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表2に示す。
第一銀粉末としてアトマイズ銀薄片粉末Ag4を用いるとともに、第二銀粉末として化学的還元法による凝集状の銀粉末Ag7を用いて、表2に示す配合比で配合した以外は、比較例1と同様にして、実施例1の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表2に示す。
(比較例4,5)
第一銀粉末としてアトマイズ銀薄片粉末Ag4を用いるとともに、第二銀粉末としてアトマイズ法による球状の銀粉末Ag1を用いて、表3に示す配合比で配合した以外は、比較例1と同様にして、比較例4または5の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表3に示す。
第一銀粉末としてアトマイズ銀薄片粉末Ag4を用いるとともに、第二銀粉末としてアトマイズ法による球状の銀粉末Ag1を用いて、表3に示す配合比で配合した以外は、比較例1と同様にして、比較例4または5の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表3に示す。
(実施例4)
第一銀粉末であるアトマイズ銀薄片粉末Ag4と第二銀粉末である球状の銀粉末Ag1との配合比を、50:50から表3に示すように75:25に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表3に示す。
第一銀粉末であるアトマイズ銀薄片粉末Ag4と第二銀粉末である球状の銀粉末Ag1との配合比を、50:50から表3に示すように75:25に変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表3に示す。
(比較例6)
第一銀粉末であるアトマイズ銀薄片粉末Ag4と第二銀粉末である球状の銀粉末Ag1との配合比を、75:25から表3に示すように80:20に変えた以外は、実施例4と同様にして、比較例6の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表3に示す。
第一銀粉末であるアトマイズ銀薄片粉末Ag4と第二銀粉末である球状の銀粉末Ag1との配合比を、75:25から表3に示すように80:20に変えた以外は、実施例4と同様にして、比較例6の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表3に示す。
(実施例5)
第一銀粉末であるアトマイズ銀薄片粉末Ag4と第二銀粉末である球状の銀粉末Ag6との配合比を、50:50から表3に示すように75:25に変えた以外は、実施例2と同様にして、実施例5の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表3に示す。
第一銀粉末であるアトマイズ銀薄片粉末Ag4と第二銀粉末である球状の銀粉末Ag6との配合比を、50:50から表3に示すように75:25に変えた以外は、実施例2と同様にして、実施例5の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表3に示す。
(比較例7)
第一銀粉末であるアトマイズ銀薄片粉末Ag4と第二銀粉末である球状の銀粉末Ag6との配合比を、75:25から表3に示すように80:20に変えた以外は、実施例5と同様にして、比較例7の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表3に示す。
第一銀粉末であるアトマイズ銀薄片粉末Ag4と第二銀粉末である球状の銀粉末Ag6との配合比を、75:25から表3に示すように80:20に変えた以外は、実施例5と同様にして、比較例7の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表3に示す。
(実施例6)
第一銀粉末であるアトマイズ銀薄片粉末Ag4と第二銀粉末である球状の銀粉末Ag7との配合比を、50:50から表3に示すように75:25に変えた以外は、実施例3と同様にして、実施例6の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表3に示す。
第一銀粉末であるアトマイズ銀薄片粉末Ag4と第二銀粉末である球状の銀粉末Ag7との配合比を、50:50から表3に示すように75:25に変えた以外は、実施例3と同様にして、実施例6の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表3に示す。
(比較例8)
第一銀粉末であるアトマイズ銀薄片粉末Ag4と第二銀粉末である凝集状の銀粉末Ag7との配合比を、75:25から表3に示すように80:20に変えた以外は、実施例6と同様にして、比較例8の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表3に示す。
第一銀粉末であるアトマイズ銀薄片粉末Ag4と第二銀粉末である凝集状の銀粉末Ag7との配合比を、75:25から表3に示すように80:20に変えた以外は、実施例6と同様にして、比較例8の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表3に示す。
(比較例9)
銀粉末として、アトマイズ銀薄片粉末Ag3のみを用いた(アトマイズ銀薄片粉末Ag3は、平均粒径が第一銀粉末に要求される下限値に満たないものである)以外は、比較例1と同様にして、比較例9の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表4に示す。
銀粉末として、アトマイズ銀薄片粉末Ag3のみを用いた(アトマイズ銀薄片粉末Ag3は、平均粒径が第一銀粉末に要求される下限値に満たないものである)以外は、比較例1と同様にして、比較例9の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表4に示す。
(比較例10)
銀粉末として、アトマイズ銀薄片粉末Ag5のみを用いた(アトマイズ銀薄片粉末Ag3は、平均粒径が第一銀粉末に要求される上限値を超えたものである)以外は、比較例1と同様にして、比較例10の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表4に示す。
銀粉末として、アトマイズ銀薄片粉末Ag5のみを用いた(アトマイズ銀薄片粉末Ag3は、平均粒径が第一銀粉末に要求される上限値を超えたものである)以外は、比較例1と同様にして、比較例10の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表4に示す。
(比較例11〜13)
銀粉末として、アトマイズ銀薄片粉末Ag3を用いるとともに、アトマイズ法による球状の銀粉末Ag1、化学的還元法による球状の銀粉末Ag6、または、化学的還元法による凝集状の銀粉末Ag7を用いて、表4に示す配合比で配合した以外は、比較例9と同様にして、比較例11,12または13の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表4に示す。
銀粉末として、アトマイズ銀薄片粉末Ag3を用いるとともに、アトマイズ法による球状の銀粉末Ag1、化学的還元法による球状の銀粉末Ag6、または、化学的還元法による凝集状の銀粉末Ag7を用いて、表4に示す配合比で配合した以外は、比較例9と同様にして、比較例11,12または13の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表4に示す。
(比較例14〜16)
銀粉末として、アトマイズ銀薄片粉末Ag5を用いるとともに、アトマイズ法による球状の銀粉末Ag1、化学的還元法による球状の銀粉末Ag6、または、化学的還元法による凝集状の銀粉末Ag7を用いて、表4に示す配合比で配合した以外は、比較例10と同様にして、比較例14,15または16の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表4に示す。
銀粉末として、アトマイズ銀薄片粉末Ag5を用いるとともに、アトマイズ法による球状の銀粉末Ag1、化学的還元法による球状の銀粉末Ag6、または、化学的還元法による凝集状の銀粉末Ag7を用いて、表4に示す配合比で配合した以外は、比較例10と同様にして、比較例14,15または16の導電ペーストを調製した。この導電ペーストを用いて、比較例1と同様にして、スクリーン印刷して得られた所定パターンを前記の方法で評価するとともに、絶縁セラミック基板サンプルおよび磁性体セラミック基板サンプルを得て、その反りを前記の方法で測定した。所定パターンの評価結果および反りの測定結果を表4に示す。
(実施例1〜6および比較例1〜16の対比)
比較例1〜3の対比から、同じアトマイズ法により得られた銀粉末であっても、球状の銀粉末より薄片化された銀粉末(第一銀粉末)を用いた導電ペーストであれば、絶縁セラミック基板および磁性体セラミック基板のいずれにおいても、基板の反りを有効に低減することができる。さらに、比較例1〜3と実施例1との対比から、導電ペーストの第一銀粉末の一部を第二銀粉末に置き換えることで、基板の反りをさらに一層有効に低減することができる。
比較例1〜3の対比から、同じアトマイズ法により得られた銀粉末であっても、球状の銀粉末より薄片化された銀粉末(第一銀粉末)を用いた導電ペーストであれば、絶縁セラミック基板および磁性体セラミック基板のいずれにおいても、基板の反りを有効に低減することができる。さらに、比較例1〜3と実施例1との対比から、導電ペーストの第一銀粉末の一部を第二銀粉末に置き換えることで、基板の反りをさらに一層有効に低減することができる。
また、実施例1〜3の対比から、導電ペーストの第二銀粉末が化学的還元法で得られた球状または凝集状であると、アトマイズ法で得られた球状よりも反りが低減できる傾向にあること、化学的還元法で得られた第二銀粉末が凝集状であると、球状よりも反りが低減できる傾向にあることがわかる。
また、比較例2、比較例4および比較例5、並びに実施例1の結果から、導電ペーストの総量中の導電性粉末の合計量が50質量%を超え85質量%以下の範囲内であればよいことが分かる。
また、実施例4〜6と比較例6〜8の対比から、導電ペーストに含有される第一銀粉末の含有量が、導電性粉末の総量中75質量%を超えると、比較例1または2と同程度に基板の反りが増加することが分かる。
また、実施例4〜6と比較例11〜16の対比から、第一銀粉末の平均粒径は、2〜10μmの範囲内が好ましいことが分かる。なお、比較例9,10と比較例11〜16との対比から、導電ペーストの第一銀粉末の一部を第二銀粉末に置き換えることで、基板の反りをさらに一層有効に低減できることが分かる。
ここで、導電性粉末と有機ビヒクルの配合比が50:50質量%の比較例5、並びに、第一銀粉末としてAg5を用いた比較例10、比較例14〜16では、アルミナ系の絶縁セラミック系グリーンシートにおいては、フェライト系の磁性体系グリーンシートにおいても、比較的良好な反り量の低減が得られている。しかしながら、前述した通り、導電性粉末の配合比が少なすぎるか有機ビヒクルの配合比が多すぎるかしたとき、もしくは、第一銀粉末の平均粒径が10μmを超えているときには、グリーンシート上にパターン印刷するときに、第一銀粉末がスクリーンの目詰まりを起こしやすい。実際、表3および表4のパターン形成の結果に示すように、比較例5、比較例10、比較例14〜16のいずれにおいても、グリーンシート上に印刷した所定パターンに配線かすれ等の不備が見られた。したがって、第一銀粉末の平均粒径の上限は、前記の通り10μmであることが好ましいことが分かる。
なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明に係る導電ペーストは、グリーンシートを積層して製造される多層回路基板の導電層の形成に好適に用いることができる。したがって、本発明は、多層回路基板として構成される種々の電子部品の分野に広く好適に用いることができる。
Claims (5)
- グリーンシートを複数毎積層して、同時に焼成することによって多層回路基板を製造するに際して、当該グリーンシートの導電層の形成に用いられる導電ペーストであって、
導電性粉末として、少なくとも銀粉末を含有し、
当該銀粉末が、アトマイズ法により製造され、平均粒径が2〜10μmの範囲内にあるとともに最大粒径が40μm以下であり、さらに薄片化されている第一銀粉末、並びに、
化学的還元法またはアトマイズ法により製造され、最大粒径が40μm以下であり、球状および凝集状の少なくとも一方の形状になっている第二銀粉末であり、
前記導電性粉末の総量中、前記第一銀粉末の含有量が75質量%以下であり、かつ、前記導電ペーストの総量中、前記導電性粉末の合計量が50質量%を超えていることを特徴とする、
多層回路基板用導電ペースト。 - 前記導電性粉末として、前記銀粉末以外に、パラジウム、白金、金、ニッケル、および銅の群から選択される少なくとも1種の金属の粉末を併用することを特徴とする、
請求項1に記載の多層回路基板用導電ペースト。 - 前記グリーンシートは、
絶縁セラミック材料を用いて形成される絶縁セラミック系グリーンシート、または、磁性体材料を用いて形成される磁性体系グリーンシートであることを特徴とする、
請求項1または2に記載の多層回路基板用導電ペースト。 - 前記導電性粉末の含有量は、85質量%以下であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の多層回路基板用導電ペースト。
- グリーンシートを複数毎積層して、同時に焼成することによって多層回路基板を製造するに際して、当該グリーンシートの導電層の形成に用いられる導電ペーストの製造方法であって、
当該導電ペーストは、導電性粉末として、少なくとも銀粉末を用い、
当該銀粉末として、アトマイズ法により製造され、平均粒径が2〜10μmの範囲内にあるとともに最大粒径が40μm以下であり、さらに薄片化されている第一銀粉末、並びに、
化学的還元法またはアトマイズ法により製造され、最大粒径が40μm以下であり、球状および凝集状の少なくとも一方の形状になっている第二銀粉末の2種類を少なくとも用い、
前記グリーンシートの焼成時の収縮率に合わせて、前記導電性粉末の総量中、前記第一銀粉末の含有量が75質量%以下となり、かつ、前記導電ペーストの総量中、前記導電性粉末の合計量が50質量%以上となるように、これら第一銀粉末および第二銀粉末の配合比を調整することを特徴とする、
多層回路基板用導電ペーストの製造方法。
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JP2014023106A JP2015149259A (ja) | 2014-02-10 | 2014-02-10 | 多層回路基板用導電ペーストおよびその製造方法 |
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TWI754669B (zh) * | 2016-09-27 | 2022-02-11 | 日商則武股份有限公司 | 銀糊及電子元件 |
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- 2014-02-10 JP JP2014023106A patent/JP2015149259A/ja active Pending
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