以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となる様に、適宜拡大、縮小、或いは誇張して表示している。又、説明に必要な構成要素以外は図示を省略する場合がある。
尚、以下の形態に於いて、「基板上に」と記載された場合、基板の上に接する様に配置される場合、又は基板の上に他の構成物を介して配置される場合、又は基板の上に一部が接する様に配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表す物とする。
(実施形態1)
「電気光学装置」
ここでは、電気光学装置として、薄膜トランジスター(Thin Film Transistor:TFT)を画素のスイッチング素子として備えたアクティブマトリックス型の液晶装置を例に挙げて説明する。この液晶装置は、例えば、後述する投射型表示装置(プロジェクター)の光変調素子(液晶ライトバルブ)として好適に用いる事ができる。
図1は、実施形態1に係る液晶装置の構成を示す概略平面図である。図2は、実施形態1に係る液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図である。図3は、実施形態1に係る液晶装置の構成を示す概略断面図であり、詳しくは、図1のA−A’線に沿った一部の概略断面図である。まず、実施形態1に係る液晶装置1について、図1と図2、及び図3を参照して説明する。
図1及び図3に示す様に、実施形態1に係る液晶装置1は、第一基板としての素子基板20と、素子基板20に対向する様に配置された第二基板としての対向基板30と、シール材42と、電気光学材料としての液晶40とを備えている。素子基板20と対向基板30とは、対向する様に配置されている。図1に示す様に、素子基板20は対向基板30よりも大きく、両基板は、対向基板30の縁部に沿って枠状に配置されたシール材42を介して接合されている。
図1に示す様に、液晶40は、素子基板20と対向基板30とシール材42とに依って囲まれた空間に挟持されており、正又は負の誘電異方性を有している。シール材42は、例えば熱硬化性又は紫外線硬化性のエポキシ樹脂等の接着剤からなる。シール材42には、素子基板20と対向基板30との間隔を一定に保持する為のスペーサー(図示省略)が混入されている。
枠状に配置されたシール材42の内側には、枠状の周縁部を有する遮光部としての遮光層22や遮光層26、遮光層32が設けられている。遮光層22や遮光層26、遮光層32は、例えば遮光性の金属あるいは金属酸化物等からなる。遮光層22や遮光層26、遮光層32の内側は、複数の画素Pが配列された表示領域Eとなっている。画素Pは、例えば、略矩形状を有し、行列状に配列されている。
表示領域Eは、液晶装置1に於いて、実質的に表示に寄与する領域である。尚、液晶装置1は、表示領域Eの周囲を囲む様に設けられた、実質的に表示に寄与しないダミー領域を備えていても良い。
素子基板20の第一外周辺に沿って形成されたシール材42の表示領域Eと反対側には、第一外周辺に沿ってデータ線駆動回路51及び複数の外部接続端子54が設けられている。又、その第一外周辺に対向する他の第二外周辺に沿ったシール材42の表示領域E側には、検査回路53が設けられている。更に、これら二つの外周辺と直交し互いに対向する他の二つの外周辺に沿ったシール材42の内側には、走査線駆動回路52が設けられている。
検査回路53が設けられた第二外周辺のシール材42の表示領域E側には、2つの走査線駆動回路52を繋ぐ複数の配線55が設けられている。データ線駆動回路51や走査線駆動回路52に繋がる配線は、複数の外部接続端子54に接続されている。又、対向基板30の四つの隅には、素子基板20と対向基板30との間で電気的導通を取る為の上下導通部56が設けられている。尚、検査回路53の配置はこの構成に限定されず、データ線駆動回路51と表示領域Eとの間のシール材42の内側に沿った位置に設けても良い。
以下の説明では、データ線駆動回路51が設けられた第一外周辺に沿った方向を第一方向(X方向)とし、この第一外周辺と直交する方向を第二方向(Y方向)とする。X方向は、図1のA−A’線に平行な方向である。又、X方向及びY方向と直交し図1における上方に向かう方向をZ方向とする。本明細書では、液晶装置1の対向基板30側表面の法線方向(Z方向)から見る事を「平面視」と称する。
表示領域Eに於いて、画素Pを平面的に区画する様に、各画素Pの境界部に遮光層22aと遮光層26a(図3参照)とが、格子状に設けられている。要するに、素子基板20には、遮光層22aと遮光層26aとで、X方向とY方向とに沿ったブラックマトリックスが格子状に設けられている。この様に、画素Pは、遮光層22aと遮光層26aとからなるブラックマトリックスに依って格子状に区画されており、画素Pで遮光層22aと遮光層26aとに平面視で重ならない領域が画素Pに於ける開口領域(光変調部)となる。
図2に示す様に、表示領域Eには、走査線2とデータ線3とが互いに交差する様に形成され、走査線2とデータ線3との交差に対応して画素Pが設けられている。画素Pの其々には、画素電極28とスイッチング素子であるTFT24とが設けられている。
TFT24のソースドレインの一方は、データ線駆動回路51から延在するデータ線3に電気的に接続されている。データ線3には、データ線駆動回路51(図1参照)から画像信号S1,S2,…,Snが供給される。TFT24のゲートは、走査線駆動回路52から延在する走査線2の一部に電気的に接続されている。走査線2には、走査線駆動回路52から走査信号G1,G2,…,Gmが供給される。TFT24のソースドレインの他方は画素電極28に電気的に接続されている。
画像信号S1,S2,…,Snは、TFT24を一定期間だけオン状態とする事により、データ線3を介して画素電極28に所定のタイミングで書き込まれる。画素Pには、画素電極28に供給された画像信号S1,S2,…,Snを維持する為に、走査線2に沿って形成された容量線4と画素電極28との間に蓄積容量5が形成されている。蓄積容量5は液晶容量と並列に配置される。斯うして、各画素Pの液晶40に画像信号S1,S2,…,Snに応じた電圧が印加されると、印加された電圧により液晶40の配向状態が変化し、液晶40に入射した光が変調されて階調表示が可能となる。
図3に示す様に、液晶装置1は、素子基板20と対向基板30とを有しており、対向基板30は、更に、マイクロレンズアレイ10と、光路長調整層31と、遮光層32と、保護層33と、共通電極34と、配向膜35とを備えている。尚、図3では、説明を判り易くする為に5画素分の断面を描いてある。
マイクロレンズアレイ10は、第一透光性材11と第二透光性材13と第四透光性材14と第五透光性材16とを備えている。本実施形態では、これらに加えて更に第三透光性材17を備えている。但し、第三透光性材17は省略する事もできる。第一透光性材11と第二透光性材13とは、互いに異なる屈折率を有する光透過性の材料で、第一レンズML1を構成する。第四透光性材14と第五透光性材16とは、互いに異なる屈折率を有する光透過性の材料で、第二レンズML2を構成する。第三透光性材17は平坦化膜として機能する。
マイクロレンズアレイ10は、複数個のセルCLを備え、これら複数個のセルCLは、X方向及びY方向に於いて隣り合うセルCL同士が互いに接する様に行列状に配列されている(図4参照)。各セルCLには、マイクロレンズアレイ10の第一面に形成された第一レンズML1とマイクロレンズアレイ10の第二面に形成された第二レンズML2とが、平面視で重なり合う様に形成されている。マイクロレンズアレイ10の第一面とは、マイクロレンズアレイ10の法線の一方向(Z軸の正又は負の方向の一方)に面する側で、マイクロレンズアレイ10の第二面とは、マイクロレンズアレイ10の法線の他方向(Z軸の正又は負の方向の他方)に面する側である。図3の例では、Z軸の正の方向に面する側が第一面であり、概ね断面視でマイクロレンズアレイ10の上半分となっている。又、Z軸の負の方向に面する側が第二面であり、概ね断面視でマイクロレンズアレイ10の下半分となっている。即ち、断面視で、マイクロレンズアレイ10の一方の側(上方側)には複数個の第一レンズML1が形成され、マイクロレンズアレイ10の他方の側(下方側)には複数個の第二レンズML2が形成されている。尚、マイクロレンズアレイ10の各セルでは、第一レンズML1と第二レンズML2とで一つのレンズが構成されるので、これらを合わせてマイクロレンズMLと称する。
第一透光性材11は酸化珪素膜(SiOX、Xは1以上2以下の値)等の光透過性を有する無機材料からなる。酸化珪素膜は、無害で透光性に優れ、製造も加工も容易であるので、第一透光性材11を無害で透光性に優れ、製造も加工も容易な材料とする事ができる。第一透光性材11をなす酸化珪素膜の屈折率は1.46から1.50の範囲にある。本実施形態では、第一透光性材11は石英基板であり、対向基板30の基板となっている。第一透光性材11の液晶40側の面を上面11aとすると、第一透光性材11の上面11aからは複数個の凹部12が形成されており、凹部12の表面は、第一透光性材11と第二透光性材13との界面の一部となっている。各凹部12はマイクロレンズアレイ10のセルCL(図4参照)の一部を構成し、電気光学装置では、セルCLは画素Pに対応して設けられている。素子基板20に形成されている遮光層22aと遮光層26a(X方向とY方向とに沿った格子状のブラックマトリックス)は平面視ではマイクロレンズアレイ10のセルCLの境界を覆っている。凹部12は、その中央部に配置された平坦部12aと、平坦部12aの周囲に配置された曲面部12b及び周縁部12c(図10参照)とを有している。
第二透光性材13は、第一透光性材11を覆い、凹部12を埋め込む様に形成されている。第二透光性材13は、光透過性を有し、第一透光性材11とは異なる屈折率を有する材料からなる。より具体的には、第二透光性材13は、第一透光性材11よりも屈折率の高い無機材料からなる。この様な無機材料としては、例えば酸窒化珪素膜(SiON)や窒化珪素膜(SiN)、アルミナ膜(Al2O3)等が挙げられ、好ましい屈折率は1.60程度である。酸窒化珪素膜や窒化珪素膜は、無害で透光性に優れ、製造も加工も容易であるので、第二透光性材13を無害で透光性に優れ、製造も加工も容易な材料とする事ができる。本実施形態では、第二透光性材13として酸窒化珪素膜が用いられている。第二透光性材13にて凹部12が埋め込まれ、Z軸の正方向に凸状の第一レンズML1が構成される。
第二透光性材13は凹部12の深さよりも厚く形成されており、第二透光性材13の表面は略平坦な面となっている。即ち、第二透光性材13は、凹部12を埋めて第一レンズML1を構成する部分と、第一透光性材11の上面とマイクロレンズMLの表面を覆う平坦化層の役割を果たす部分とを有している。第二透光性材13の平坦な表面と凹部12の平坦部12aとは、ほぼ平行である。尚、本明細書にて、「ほぼ平行」とか「ほぼ一致」、「ほぼ等しい」等と記述した場合、これらは、設計概念上で平行であるとか、設計概念上で一致する、設計概念上で等しい、などを意味し、製造上の誤差や計測に伴う誤差、微細な差などで異なっている場合もこれらに含まれる。
第三透光性材17は、酸化珪素膜(SiOX、Xは1以上2以下の値)等の光透過性を有する無機材料や酸窒化珪素膜(SiON)や窒化珪素膜(SiN)等の光透過性を有する無機材料からなる。第三透光性材17は平坦化膜であると同時に光路調整膜でもある。従って、酸化珪素膜を用いると容易に平坦化を行う事ができ、更に光路長を容易に調整できる。本実施形態では、第三透光性材17として酸化珪素膜を用いている。一方、第三透光性材17を第二透光性材13や第四透光性材14と同じ材料としても良い。斯うすると、第二透光性材13と第三透光性材17との光学上の界面や第三透光性材17と第四透光性材14との光学上の界面がなくなるので、これらの光学上の界面での反射を抑制でき、光の利用効率を向上させる事ができる。第三透光性材17は、マイクロレンズMLから遮光層26a迄の距離を調整し、マイクロレンズMLにて集光された光が遮光層26aや遮光層22aに遮られず画素Pの開口領域を通過する様に設定されている。従って、第三透光性材17の厚みは、平坦化でき、且つ、光の波長に応じたマイクロレンズMLの焦点距離等の光学条件に基づいて適宜設定される。
第四透光性材14は、第二透光性材13上にて凸部15を形成している。第四透光性材14は、光透過性を有し、第五透光性材16とは異なる屈折率を有する材料からなる。より具体的には、第四透光性材14は、第五透光性材16よりも屈折率の高い無機材料からなる。この様な無機材料としては、例えば酸窒化珪素膜(SiON)や窒化珪素膜(SiN)、アルミナ膜(Al2O3)等が挙げられ、好ましい屈折率は1.60程度である。酸窒化珪素膜や窒化珪素膜は、無害で透光性に優れ、製造も加工も容易であるので、第四透光性材14を無害で透光性に優れ、製造も加工も容易な材料とする事ができる。本実施形態では、第四透光性材14として酸窒化珪素膜が用いられている。
第五透光性材16は酸化珪素膜(SiOX、Xは1以上2以下の値)等の光透過性を有する無機材料からなる。酸化珪素膜は、無害で透光性に優れ、製造も加工も容易であるので、第五透光性材16を無害で透光性に優れ、製造も加工も容易な材料とする事ができる。第五透光性材16をなす酸化珪素膜の屈折率は1.46から1.50の範囲にある。本実施形態では、第五透光性材16は化学気相堆積法(CVD法)にて形成された酸化珪素膜である。第五透光性材16は、第四透光性材14からなる複数個の凸部15を覆い、凸部15の表面は、第四透光性材14と第五透光性材16との界面の一部となっている。各凸部15はマイクロレンズアレイ10のセルCL(図4参照)の一部を構成し、Z軸の負方向に凸状の第二レンズML2となっている。
この様に、第一透光性材11と第五透光性材16とを同じ材料にて形成し、第二透光性材13と第四透光性材14とを同じ材料にて形成するのが製造上容易で、好ましい。尚、本明細書にて透光性材とは、光を透過する部材であり、可視光領域全体に渡って光を透過する透明部材や、可視光領域の一部の光を透過する着色部材等、を含んでいる。本実施形態では、透光性材に酸化珪素や酸窒化珪素等の透明部材が用いられているが、マイクロレンズアレイ10が特定波長の光に対して使用される場合、その波長の光を透過する材料を透光性材として用いる事ができる。
光路長調整層31は、マイクロレンズアレイ10を覆う様に設けられている。光路長調整層31は、光透過性を有し、例えば、第一透光性材11とほぼ同じ屈折率を有する無機材料からなる。光路長調整層31は、マイクロレンズMLから遮光層26a迄の距離を調整し、マイクロレンズMLにて集光された光が遮光層26aや遮光層22aに遮られず画素Pの開口領域を通過する様に設定されている。従って、光路長調整層31の厚みは、光の波長に応じたマイクロレンズMLの焦点距離等の光学条件に基づいて適宜設定される。光路長成膜として機能する第三透光性材17と光路長調整層31とは、其々独立に膜厚を調整し、マイクロレンズMLから遮光層26a迄の距離を精密に調整する事ができるが、場合に依っては一方を省略する事も可能である。
遮光層32は、光路長調整層31上(液晶40側)に設けられている。遮光層32は、素子基板20の遮光層22及び遮光層26に平面視で重なる様に枠状に形成されている。遮光層32に囲まれた領域(表示領域E)は、光が透過し得る領域となる。尚、平面視にて遮光層22aと遮光層26aとに重なる光路長調整層31上に、遮光層32と同じ材料にて更に不図示の遮光層を設けても良い。この不図示の遮光層は、各画素Pの隅若しくは各画素Pの周囲に配置され、マイクロレンズMLで集光しきれずに素子基板20側の遮光層22aや遮光層26aに当たり得る光を対向基板30側で反射して、液晶装置1の温度上昇を防ぐ効果をもたらす。
保護層33は、光路長調整層31と遮光層32とを覆う様に設けられている。共通電極34は、保護層33を覆う様に設けられている。共通電極34は、複数の画素Pに跨って形成されている。共通電極34は、例えば、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide、ITO)やインジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide、IZO)等の透明導電膜からなる。配向膜35は、共通電極34を覆う様に設けられている。
尚、保護層33は遮光層32を覆って、共通電極34の液晶40側の表面を平坦とする物で、必須な構成要素ではない。従って、例えば、導電性の遮光層32を共通電極34が直接覆う構成としても良い。
素子基板20は、基板21と、遮光層22及び遮光層22aと、絶縁層23と、TFT24と、絶縁層25と、遮光層26及び遮光層26aと、絶縁層27と、画素電極28と、配向膜29とを備えている。基板21は、例えばガラスや石英等の光透過性を有する材料からなる。
遮光層22及び遮光層22aは基板21上に設けられている。遮光層22は、上層の遮光層26に平面視で重なる様に枠状に形成されている。遮光層22a及び遮光層26aは、素子基板20の厚さ方向(Z方向)に於いて、TFT24をこれらの間に挟む様に配置されている。遮光層22a及び遮光層26aは、TFT24の少なくともチャネル形成領域とドレイン端と平面視で重なっている。遮光層22a及び遮光層26aが設けられている事により、TFT24への光の入射が抑制される。平面視にて、遮光層22aと遮光層26aとに囲まれた領域は、画素Pの開口領域であり、画素Pにて光が透過する領域となる。
絶縁層23は、基板21と遮光層22と遮光層22aとを覆う様に設けられている。絶縁層23は、例えば、SiO2等の無機材料からなる。
TFT24は、絶縁層23上に設けられている。TFT24は画素電極28を駆動するスイッチング素子である。TFT24は、図示しない半導体層とゲート電極とソース電極とドレイン電極とを含んでいる。半導体層には、ソースとチャネル形成領域とドレインとが形成されている。チャネル形成領域とソース、又は、チャネル形成領域とドレインとの界面にはLDD(Lightly Doped Drain)領域が形成されていても良い。
ゲート電極は、素子基板20に於いて平面視で半導体層のチャネル形成領域と重なる領域に絶縁層25の一部(ゲート絶縁膜)を介して形成されている。図示を省略するが、ゲート電極は、下層側に配置された走査線にコンタクトホールを介して電気的に接続されており、走査信号が印加される事に依ってTFT24をオン/オフ制御している。
絶縁層25は、絶縁層23とTFT24とを覆う様に設けられている。絶縁層25は、例えば、SiO2等の無機材料からなる。絶縁層25は、TFT24の半導体層とゲート電極との間を絶縁するゲート絶縁膜を含む。絶縁層25により、TFT24に依って生じる表面の凹凸が緩和される。絶縁層25上には、遮光層26及び遮光層26aが設けられている。そして、絶縁層25と遮光層26及び遮光層26aとを覆う様に、無機材料からなる絶縁層27が設けられている。
画素電極28は、絶縁層27上に、画素P毎に設けられている。画素電極28は画素Pの開口領域に平面視で重なる様に配置され、画素電極28のエッジ部は遮光層22a又は遮光層26aと重なっている。画素電極28は、例えば、ITOやIZO等の透明導電膜からなる。配向膜29は、画素電極28を覆う様に設けられている。液晶40は、素子基板20の配向膜29と対向基板30の配向膜35との間に挟持されている。
尚、TFT24と、TFT24に電気信号を供給する電極や配線等(図示しない)とは、平面視で遮光層22や遮光層22a及び遮光層26や遮光層26aに重なる領域に設けられている。これらの電極や配線等が遮光層22や遮光層22a及び遮光層26や遮光層26aを兼ねる構成であっても良い。
実施形態1に係る液晶装置1では、例えば、光源等から発せられた光は、マイクロレンズMLを備える対向基板30側から入射し、マイクロレンズMLに依って集光される。第一透光性材11側から上面11aの法線方向に沿ってマイクロレンズMLに入射する光のうち、マイクロレンズMLの平面視に於ける中央部(凹部12の平坦部12a)に入射した入射光L1は、マイクロレンズMLをそのまま直進し、液晶40を通過して素子基板20側に出射される。
一方、マイクロレンズMLの平面視に於ける周辺部(遮光層22aや遮光層26aと平面視にて重なる領域を含む領域)に入射した入射光L2は、仮にそのまま直進した場合、図3に破線で示す様に、遮光層26や遮光層26a等で遮光されて仕舞うが、本実施形態の電気光学装置では、マイクロレンズML(第一透光性材11と第二透光性材13との屈折率差に依る屈折)にて、周辺部に入射した入射光L2も画素Pの平面的な中心側へと集光される。液晶装置1では、この様にマイクロレンズML間の境界部(画素Pの境界部)への入射光も、境界部に於ける集光作用に依って画素Pの開口領域内に入射させられ、液晶40を通過する事ができる。この結果、素子基板20側から出射される光量が増大し、光の利用効率が高められる訳である。
「マイクロレンズの第一面」
図4は、実施形態1に係るマイクロレンズアレイの第一面の構成を説明する平面図である。図5は、実施形態1に係る第一レンズを説明する平面図である。続いて、実施形態1に係るマイクロレンズアレイ10が備えるマイクロレンズMLの第一面の構成及び作用について、図4と図5とを参照して説明する。
マイクロレンズアレイ10は、複数個のセルCLを備え、これら複数個のセルCLは、X方向及びY方向に於いて隣り合うセルCL同士が互いに接する様に行列状に配列されている。マイクロレンズアレイ10を電気光学装置に適応した際には、マイクロレンズアレイ10の一つのセルCLと電気光学装置の一つの画素Pとが、平面視にてアライメントされる。要するに、マイクロレンズアレイ10を構成する一つのセルCLのサイズとその平面視での位置とは、電気光学装置の一つの画素Pのサイズとその平面視での位置とに、設計概念上は一致している。即ち、製造誤差を除いて、セルCLのサイズとその平面視での位置とは、画素Pのサイズとその平面視での位置とに一致している。
マイクロレンズアレイ10は、第一面に形成された第一レンズ群UG1(図4参照)と、第二面に形成された第二レンズ群UG2(図7参照)と、を有している。即ち、第二レンズ群UG2は第一レンズ群UG1に対向する様に配置されている。図4に示す様に、第一レンズ群UG1には第一レンズML1が配置されており、第一レンズ群UG1は、少なくとも、第1の第一レンズML1−1と第2の第一レンズML1−2とを含んでいる。図4には、マイクロレンズアレイ10を構成する3行4列の12個のセルCLが描かれている。尚、図4では以下の説明を分かり易くする為に、各セルCLの名称を(1,1)、(1,2)、(1,3)、(1,4)、(2,1)、(2,2)、(2,3)、(2,4)、(3,1)、(3,2)、(3,3)、(3,4)としてある。又、図4には図示されていないが、マイクロレンズアレイ10が電気光学装置に組み込まれた場合、X方向及びY方向に於いて隣り合うセルCL同士の境界に沿う様に、遮光層22aや遮光層26aが素子基板20に配置されている。
図4に示す様に、セルCLは多角形の平面形状を有している。本実施形態ではセルCLは四角形で正方形であるが、長方形であっても構わないし、三角形や六角形で有っても構わない。セルCLの平面形状は画素Pの平面形状に合わせられる。各セルCLの第一面には多角形の第一レンズML1が配置されている。第一レンズML1が多角形とは、第一レンズML1の角部に形成されている円弧状の部分を無視すると、各第一レンズML1は複数本の直線状の境界を有する多角形に近似できるとの意味であり、本実施形態では正方形に近い多角形となっている。
各第一レンズML1はそのほぼ中央部に平坦部12aを有し、平坦部12aは平面視にて多角形である。平坦部12aはセルCLよりも小さく、第一レンズML1に概ね相似な多角形で、セルCLをなす少なくとも一つの辺(例えば、セルCLのX方向に延在する辺)と平坦部12aをなす少なくとも一つの辺(今の例の場合、平坦部12aで概ねX方向に延在する辺)とがなす角度は−15°以上+15°以下の範囲に入っている。斯うすると、第一レンズML1の平面視での形状とセルCLの形状とをセル角部を除いて概ね揃える事ができるので、光の利用効率が高いマイクロレンズアレイ10が実現する。即ち、セルCL内で第一レンズML1が形成されない領域を小さくする事ができる。本実施形態では、平坦部12aは四角形で正方形である。又、セルCLの平面視に於ける中心(セルCLの平面形状体の重心)と平坦部12aの平面視に於ける中心(平坦部12aの平面形状体の重心)とはほぼ一致している。
セルCLには非レンズ部とシリンドリカルレンズと球面レンズとが配置される。具体的に、非レンズ部は平坦部12aに形成され、シリンドリカルレンズは平坦部12aの外側で平坦部12aの辺に沿った領域に形成され、球面レンズは平坦部12aの角部の外側の領域に形成される。図3に示す様に、平坦部12aに入射したセルCLの法線に平行な入射光は、そのままほぼ直進する。シリンドリカルレンズに入射したセルCLの法線に平行な入射光は、シリンドリカルレンズにより平坦部12a側に光路が曲げられる。シリンドリカルレンズとは、一方向に屈折力を持って入射光を収束又は発散させ、この方向に直交する他方向では屈折力を持たないレンズである。従って、一方向に沿ったレンズ断面ではレンズ面は曲率を持って変化しているが、この方向に直交する他方向断面に沿ったレンズ断面ではレンズ面は直線となっている。球面レンズに入射したセルCLの法線に平行な入射光は、球面レンズにより平坦部12a側に光路が曲げられる。球面レンズは凸レンズで、平坦部12aの辺の交差部にて球面レンズの厚み(第二透光性材13の厚み)が最大となり、平坦部12aの交差部から離れるに従い球面レンズは薄くなって行く。
図4に示す様に、マイクロレンズアレイ10は第一レンズ群UG1を有する。第一レンズ群UG1にはM1×N1個(M1とN1との一方は1以上の整数で、他方は2以上の整数)の第一レンズML1が配置されている。本実施形態では一例としてM1=N1=3で、第一レンズ群UG1には9個の第一レンズML1が配置されている。具体的には、セル(1,1)には第1の第一レンズML1−1が配置され、セル(1,2)には第2の第一レンズML1−2が配置され、セル(1,3)には第3の第一レンズML1−3が配置され、セル(2,1)には第4の第一レンズML1−4が配置され、セル(2,2)には第5の第一レンズML1−5が配置され、セル(2,3)には第6の第一レンズML1−6が配置され、セル(3,1)には第7の第一レンズML1−7が配置され、セル(3,2)には第8の第一レンズML1−8が配置され、セル(3,3)には第9の第一レンズML1−9が配置されている。これらM1×N1個の第一レンズML1にて一つの第一レンズ群UG1が構成される。そして第一レンズ群UG1が第一方向又は第二方向に繰り返し配列されてマイクロレンズアレイ10の第一面を構成する。図4では、第一レンズ群UG1が第一方向(X方向)に繰り返し配列されているので、セル(1,4)には第1の第一レンズML1−1が配置され、セル(2,4)には第4の第一レンズML1−4が配置され、セル(3,4)には第7の第一レンズML1−7が配置されている。
第一レンズ群UG1に配置された第1の第一レンズML1−1と第2の第一レンズML1−2とは、第1の第一レンズML1−1の平面視に於ける方向(第1のレンズ方向)と第2の第一レンズML1−2の平面視に於ける方向(第2のレンズ方向)とが異なっている。図4に示す様に、第一レンズ群UG1に配置されたM1×N1個の第一レンズML1の平面視に於ける方向は総て異なっているのが理想的である。斯うすると、第一レンズML1の規則性に起因する回折を抑制できるので、光の利用効率が高いマイクロレンズアレイ10を実現できる訳である。
次に第一レンズML1の方向に関して図5を参照して説明する。本実施形態の第一レンズML1は多角形の平坦部12aを有し、第一レンズML1の外周形状は平坦部12aに概ね相似な多角形となる。図5に示す様に、セルCLを構成する一辺の方向を第一方向(X方向)とし、セルCL内の第一レンズML1(第iの第一レンズML1−i)の平坦部12aの一辺で第一方向(X方向)となす角が最もゼロに近い辺の方向をレンズ方向LXiとする。第iの第一レンズML1−i(iは1からM1×N1迄の整数)の平面視に於ける方向(第iのレンズ方向LXiが)第一方向に対してなす角度を第iレンズ角θiとする。例えば、第1のレンズ方向LX1が第一方向に対してなす角度は第1レンズ角θ1であり、第2のレンズ方向が第一方向に対してなす角度は第2レンズ角θ2である。図5(a)はθi=0°で、レンズ方向LXiと第一方向(X方向)とは平行である。図5(b)はθi=15°で、レンズ方向LXiと第一方向(X方向)とは15°の角度をなしている。図5(c)はθi=45°で、レンズ方向LXiと第一方向(X方向)とは45°の角度をなしている。本実施形態では、平坦部12aが正方形である為に、レンズ方向LXiと第一方向(X方向)とは−45°以上+45°以下の範囲の角度を取り得る。
第一レンズ群UG1に配置されたM1×N1個のマイクロレンズの其々は、レンズ方向LXと第一方向(X方向)との角度が−15°以上+15°以下の範囲になる様に配置されている。従って、第1レンズ角θ1と第2レンズ角θ2とは、共に−15°以上+15°以下の範囲にある。斯うすると、セルCL内で第一レンズML1が配置されない領域を小さくする事ができるので、セルに入射した入射光を効率良く集光する事が可能となる。本実施形態では、第1レンズ角θ1から第9レンズ角θ9まで総て異なった値となっており、これらは皆−15°以上+15°以下の範囲に入っている。具体的な一例としては、図4に示す様に、θ1=0°(第1の第一レンズML1−1)、θ2=−5°(第2の第一レンズML1−2)、θ3=−2°(第3の第一レンズML1−3)、θ4=+2°(第4の第一レンズML1−4)、θ5=+1°(第5の第一レンズML1−5)、θ6=+4°(第6の第一レンズML1−6)、θ7=−10°(第7の第一レンズML1−7)、θ8=+10°(第8の第一レンズML1−8)、θ9=+6°(第9の第一レンズML1−9)である。或いは、0°を中心に−15°以上+15°以下の範囲で等間隔に各レンズ角を設定しても良い。例えば、−12°、−9°、−6°、−3°、0°、+3°、+6°、+9°、+12°、を第1レンズ角θ1から第9レンズ角θ9に適当に割り振っても良い。
本願発明人が鋭意研究した所に依ると、従来のマイクロレンズを用いた電気光学装置で光の利用効率が低かった理由は、以下の様に説明される。即ち、特許文献1に記載されている様なマイクロレンズアレイを用いた電気光学装置では、画素とマイクロレンズとの配置が規則性(周期性)を有するので、画素やマイクロレンズの規則性に起因する回折が起こっていた。回折とは周期構造を持った遮光体や屈折率体を光波が通過した際に発生する現象で、回折で広がった光波が干渉して、光の強弱が観察される現象である。周期構造を通った光波は2次元フーリエ変換され、無限遠にてフランホッファー回折として投影される。その次数mの投影像はsinαm=λ(m/a)を満たす角度αmに現れる。ここでaとは周期構造の周期であり、λは光波の波長である。この為に、周期構造aが小さくなると投影像が現れる角度αmは大きくなり、0次スポットからその次数の投影像は遠くなる。従って周期構造aが小さい際に、つまり画素サイズが小さい際に、回折による光の広がりは大きくなる。
電気光学装置の高精細化に伴い、画素Pのサイズが4ミクロン(μm)から6ミクロン(μm)と小さくされる要請がある。これ程に画素が小さくなった場合には、回折の影響を無視できなくなる。従来の電気光学装置では、電気光学装置に入った光線はまずマイクロレンズアレイにて干渉し、更に画素にて干渉され、適当な回折パターンを持って投射レンズに入っていた。この際に、画素が小さければ小さい程、干渉による光束の広がり角度が大きくなり、投射レンズのF値との関係が大事になってくる。投射レンズはマイクロレンズアレイと画素に取って無限遠として扱えるので、回折パターンは角度αmの成分を持って広がる。その際に、投射レンズのF値が規定する角度範囲に入らない角度の光の割合が増え、明るさが低下していた、と考えられる。
そこで本実施形態のマイクロレンズアレイ10では、マイクロレンズMLの有する周期性を大きくして、マイクロレンズアレイ10に於ける回折現象を抑制している。その為にまず、図4に示す様に、マイクロレンズアレイ10の第一面では、第一レンズ群UG1に配置されたM1×N1個の第一レンズML1の平面視に於ける方向が異なる様にしている。これにより、第一レンズ群UG1内の第一レンズML1の形状が異なり、少なくとも第一レンズ群UG1内の第一レンズML1による干渉は或る程度抑制される。取り分け、サイズが4ミクロン(μm)から6ミクロン(μm)と云った10ミクロン(μm)以下の小さな画素Pに対応する電気光学装置に用いられるマイクロレンズアレイ10では、隣り合うセルCLに起因する回折を抑制すべく、周期構造(第一レンズ群UG1のサイズ)が数画素分(数セル分)以上となる様に、第一レンズ群UG1内の第一レンズML1を其々変えるのである。斯うすると、マイクロレンズアレイ10に起因する周期構造は複数個のセルCLとなるので、周期構造aの値が大きくなり、回折スポットが0次光(入射光方向)付近に集まってくる。即ち、投射レンズ117(図12参照)のF値が規定する角度範囲に入る角度の光の割合が増え、明るさが向上するのである。尚、第一レンズML1の方向を変える本実施形態の構成は画素Pのサイズが13ミクロン(μm)以上にも適している。
「表示領域に於ける第一レンズ配置」
図6は、実施形態1に係るマイクロレンズアレイで第一レンズの平面的な配置を説明する図である。次に、実施形態1に係るマイクロレンズアレイ10での第一レンズML1の配置に関する構成を、図6を参照して、説明する。
セルCLの規則性に起因する回折を抑制するには、マイクロレンズMLに起因する規則性の周期を波長よりも十分に大きくする事が好ましい。理想的にはマイクロレンズMLに起因する規則性の周期を光の波長の100倍程度以上とする。斯うすると、マイクロレンズMLの規則性に起因する回折は著しく抑制される。言い換えると、波長の100倍程度以内の範囲では、マイクロレンズアレイ10を構成するセルCLのマイクロレンズMLが皆異なっているのが理想的である。セルCLが異なるとはセルCLを構成するマイクロレンズMLの形状(第一レンズML1の方向や第二レンズML2の径)が其々固有である事を意味する。本実施形態では、光として主に可視光を想定しているので、可視光の干渉を抑制するには、70ミクロン(μm)程度の範囲内で、マイクロレンズMLは規則性を持たないのが理想的である。一方、電気光学装置では、画素P(セルCL)のサイズは7ミクロン(μm)程度と小さい場合もあり得るので、斯うした場合は、10セル×10セル程度の単位内ですべてのマイクロレンズMLが異なっているのが理想的と言える。マイクロレンズMLが異なっているとは、第一レンズML1又は第二レンズML2のどちらかが異なっていれば良いが、第一レンズML1が異なっていれば、第二レンズML2の形状に係わらず、マイクロレンズMLは異なる事になる。従って、具体的にはnの二乗個(n2個)のセルCLを第一レンズ群UG1として、第一レンズ群UG1でnの二乗個(n2個)の第一レンズML1は皆異なっている(nの二乗個(n2個)のセルCLでレンズ形状が皆異なっている)。そしてこの第一レンズ群UG1を繰り返す事で、マイクロレンズアレイ10を構成する。この場合、nは2以上20以下の範囲とし、nを10程度とするのが理想的である。
nを10とすると、100種類の異なったマイクロレンズMLを形成せねばならない。マイクロレンズアレイ10を更に容易に製造すべく、本実施形態では、図6に示す様に、第一レンズ群UG1に第1の第一レンズML1−1から第9の第一レンズML1−9まで、9種類の異なった第一レンズML1を準備し、これら9種類の第一レンズML1を含む集団を第一レンズ群UG1として、X方向及びY方向に繰り返してマイクロレンズアレイ10の第一面を構成している。第1の第一レンズML1−1から第9の第一レンズML1−9の一例は図4に描かれた通りである。図6では、6行9列の54個のセルCLが一例として示され、6個の第一レンズ群UG1がマイクロレンズアレイ10の第一面に認められる。斯うする事でセルCLの規則性に起因する回折が抑制され、光の利用効率は向上する。
「マイクロレンズの第二面」
図7は、実施形態1に係るマイクロレンズアレイの第二面の構成を説明する平面図である。続いて、実施形態1に係るマイクロレンズアレイ10が備えるマイクロレンズMLの第二面の構成及び作用について、図7を参照して説明する。
一つのマイクロレンズMLは平面的に重ねられた第一レンズML1と第二レンズML2とを含んで構成される。マイクロレンズMLの規則性をより無秩序にし、マイクロレンズアレイ10に依る回折現象をより効果的に抑制する為に、第二レンズML2が有する周期性も大きくする事が好ましい。
図7に示す様に、第二面に形成された第二レンズ群UG2には第二レンズML2が配置されており、第二レンズ群UG2は、少なくとも、第1の第二レンズML2−1と第2の第二レンズML2−2とを含んでいる。そして第1の第二レンズML2−1の平面視に於ける径と第2の第二レンズML2−2の平面視に於ける径とは異なっている。各セルCLの第二面には多角形の第二レンズML2が配置されている。第二レンズML2が多角形とは、第二レンズML2の角部に形成されている不規則な部分を無視すると、各第二レンズML2は複数本の直線状の境界を有する多角形に近似できるとの意味であり、本実施形態では正方形に近い多角形となっている。第二レンズML2の平面視に於ける径とは、厳密には、第二レンズML2の平面視での面積の平方根であるが、近似的には正方形と見なせる多角形の辺の長さや多角形の対角線の長さである。いずれにしても、第1の第二レンズML2−1の径は第2の第二レンズML2−2の径よりも大きくなっている。斯うする事で、第二レンズML2の規則性に起因する回折が抑制される。
第二レンズML2はそのほぼ中央部にコアとなる第四透光性材14aを有し、その外周に殻状の第四透光性材14bを有している。コアとなる第四透光性材14aと殻状の第四透光性材14bとが凸部15を構成しレンズとして機能するので、第四透光性材14bの外周が第二レンズML2の外周に相当する。但し、殻状の第四透光性材14bが隣同士で重なり合う領域では、概ねそれらの中間が第二レンズML2の外周となる。第二レンズML2は球面凸レンズで、セルCLの中央部付近にて球面レンズの厚み(第四透光性材14の厚み)が最大となり、中央部から離れるに従い球面レンズは薄くなって行く。或るセルでコアとなる第四透光性材14aとその隣のセルでコアとなる第四透光性材14aとの距離は、0.5ミクロン(μm)から5ミクロン(μm)程度とするのが好ましく、0.5ミクロン(μm)から1.0ミクロン(μm)程度するのがより好ましい。
図7に示す様に、マイクロレンズアレイ10は第二レンズ群UG2を有する。第二レンズ群UG2にはM2×N2個(M2とN2との一方は1以上の整数で、他方は2以上の整数)の第二レンズML2が配置されている。本実施形態では、M2=N2=2であり、一つの第二レンズ群UG2には4個の第二レンズML2が配置されている。図7には、マイクロレンズアレイ10を構成する3行4列の12個のセルCLが描かれており、各セルCLの名称が(1,1)、(1,2)、(1,3)、(1,4)、(2,1)、(2,2)、(2,3)、(2,4)、(3,1)、(3,2)、(3,3)、(3,4)とされている。具体的には、セル(1,1)には第1の第二レンズML2−1が配置され、セル(1,2)には第2の第二レンズML2−2が配置され、セル(2,1)には第3の第二レンズML2−3が配置され、セル(2,2)には第4の第二レンズML2−4が配置されている。これらM2×N2個の第二レンズML2にて一つの第二レンズ群UG2が構成される。そして第二レンズ群UG2が第一方向又は第二方向に繰り返し配列されてマイクロレンズアレイ10の第二面を構成する。図7では、第二レンズ群UG2が第一方向(X方向)と第二方向(Y方向)とに繰り返し配列されているので、セル(1,3)やセル(3,1)、セル(3,3)には第1の第二レンズML2−1が配置され、セル(1,4)やセル(3,2)、セル(3,4)には第2の第二レンズML2−2が配置され、セル(2,3)には第3の第二レンズML2−3が配置され、セル(2,4)には第4の第二レンズML2−4が配置されている。
第二レンズ群UG2に配置された第1の第二レンズML2−1と第2の第二レンズML2−2とは、第1の第二レンズML2−1の平面視に於ける径(第1のレンズ径)と第2の第二レンズML2−2の平面視に於ける径(第2のレンズ径)とが異なっている。図7に示す様に、第二レンズ群UG2に配置されたM2×N2個の第二レンズML2の平面視に於ける径は総て異なっているのが理想的である。斯うすると、第二レンズML2の規則性に起因する回折を抑制できるので、光の利用効率が高いマイクロレンズアレイ10を実現できる訳である。要するに、サイズが4ミクロン(μm)から6ミクロン(μm)と云った10ミクロン(μm)以下の小さな画素Pに対応する電気光学装置に用いられるマイクロレンズアレイ10では、隣り合うセルCLに起因する回折を抑制すべく、周期構造(第二レンズ群UG2のサイズ)が数画素分(数セル分)以上となる様に、第二レンズ群UG2内の第二レンズML2を其々変えるのである。斯うすると、マイクロレンズアレイ10に起因する周期構造は複数個のセルCLとなるので、周期構造aの値が大きくなり、回折スポットが0次光(入射光径)付近に集まってくる。即ち、投射レンズ117(図12参照)のF値が規定する角度範囲に入る角度の光の割合が増え、明るさが向上するのである。
「表示領域に於ける第二レンズ配置」
図8は、実施形態1に係るマイクロレンズアレイで第二レンズの平面的な配置を説明する図である。次に、実施形態1に係るマイクロレンズアレイ10での第二レンズML2の配置に関する構成を、図8を参照して、説明する。
セルCLの規則性に起因する回折をより強力に抑制するには、第一レンズML1に加え第二レンズML2も異なっている事が好ましい。従って、具体的にはnの二乗個(n2個)のセルCLを第二レンズ群UG2として、第二レンズ群UG2でnの二乗個(n2個)の第二レンズML2は皆異なっている(nの二乗個(n2個)のセルCLでレンズ形状が皆異なっている)のが理想的である。そしてこの第二レンズ群UG2を繰り返す事で、マイクロレンズアレイ10を構成する。この場合、nは2以上20以下の範囲とし、nを10程度とするのが理想的である。
nを10とすると、100種類の異なったマイクロレンズMLを形成せねばならない。マイクロレンズアレイ10を更に容易に製造すべく、本実施形態では、図8に示す様に、第二レンズ群UG2に第1の第二レンズML2−1から第4の第二レンズML2−4まで、4種類の異なった第二レンズML2を準備し、これら4種類の第二レンズML2を含む集団を第二レンズ群UG2として、X方向及びY方向に繰り返してマイクロレンズアレイ10の第二面を構成している。第1の第二レンズML2−1から第4の第二レンズML2−4の一例は図7に描かれた通りである。図8では、6行9列の54個のセルCLが一例として示され、12個の第二レンズ群UG2がマイクロレンズアレイ10の第二面に認められる。斯うする事でセルCLの規則性に起因する回折が抑制され、光の利用効率は更に向上する。
図4と図7を参照すると判る様に、セル(1,1)に配置されるマイクロレンズMLは第1の第一レンズML1−1と第1の第二レンズML2−1とから構成される。又、セル(1,2)に配置されるマイクロレンズMLは第2の第一レンズML1−2と第2の第二レンズML2−2とから構成される。セル(1,3)に配置されるマイクロレンズMLは第3の第一レンズML1−3と第1の第二レンズML2−1とから構成される。セル(1,4)に配置されるマイクロレンズMLは第1の第一レンズML1−1と第2の第二レンズML2−2とから構成される。セル(2,1)に配置されるマイクロレンズMLは第4の第一レンズML1−4と第3の第二レンズML2−3とから構成される。セル(2,2)に配置されるマイクロレンズMLは第5の第一レンズML1−5と第4の第二レンズML2−4とから構成される。セル(2,3)に配置されるマイクロレンズMLは第6の第一レンズML1−6と第3の第二レンズML2−3とから構成される。セル(2,4)に配置されるマイクロレンズMLは第4の第一レンズML1−4と第4の第二レンズML2−4とから構成される。セル(3,1)に配置されるマイクロレンズMLは第7の第一レンズML1−7と第1の第二レンズML2−1とから構成される。セル(3,2)に配置されるマイクロレンズMLは第8の第一レンズML1−8と第2の第二レンズML2−2とから構成される。セル(3,3)に配置されるマイクロレンズMLは第9の第一レンズML1−9と第1の第二レンズML2−1とから構成される。セル(3,4)に配置されるマイクロレンズMLは第7の第一レンズML1−7と第2の第二レンズML2−2とから構成される。この様に、第一レンズ群UG1にはM1×N1個(M1とN1との一方は1以上の整数で、他方は2以上の整数)の第一レンズML1が配置され、M1×N1個の第一レンズML1の平面視に於ける方向は総て異なっており、第二レンズ群UG2にはM2×N2個(M2とN2との一方は1以上の整数で、他方は2以上の整数)の第二レンズML2が配置され、M2×N2個の第二レンズML2の平面視に於ける径は総て異なっており、M1×N1とM2×N2とは異なる値であり、互いに約数になっていない事が好ましい。斯うすると、行方向に於けるレンズの周期はM1とM2との最小公倍数となり、列方向に於けるレンズの周期はN1とN2との最小公倍数となり、レンズ配列に関する周期性が大きくなるので、第一レンズML1や第二レンズML2等レンズの規則性に起因する回折をより効果的に抑制できる。実際に本実施形態では、マイクロレンズMLの周期性は行方向にも列方向にも6セルCL分と大きくなっている。斯うして、光の利用効率が高いマイクロレンズアレイ10が実現される。
「電気光学装置の製造方法」
図9は、実施形態1に係るマイクロレンズアレイの製造方法を示す概略断面図である。図10は、実施形態1に係るマイクロレンズアレイの製造方法を示す概略断面図である。図11は、実施形態1に係るマイクロレンズアレイの製造方法を示す概略断面図である。次に、実施形態1に係るマイクロレンズアレイ10を有する液晶装置1の製造方法を、図9乃至11を参照して、説明する。尚、図示しないが、マイクロレンズアレイ10の製造工程では、マイクロレンズアレイ10を複数枚取る事ができる大型の基板(マザー基板)で加工が行われ、最終的にそのマザー基板を切断して個片化する事に依り、複数のマイクロレンズアレイ10が得られる。従って、以下に説明する各工程では個片化する前のマザー基板の状態で加工が行われるが、ここでは、マザー基板の中の個別のマイクロレンズアレイ10に対する加工について説明する。
まず、基板上に第一透光性材11を形成する工程を行う。本実施形態では、石英基板が第一透光性材11の一部を兼用しているので、この工程は石英基板を準備する工程と、図9(a)に示す様に、第一透光性材11の上面11aに、酸化珪素膜等からなる制御膜70を形成する工程と、になる。制御膜70は、凹部12を形成する際におけるエッチングレートが石英基板と異なっており、凹部12を形成する際の深さ方向(Z方向)のエッチングレートに対して幅方向(W方向)のエッチングレートを調整する機能を有する。制御膜70のエッチングレートが速い程、曲面部12bが小さくなると共に、周縁部12cが大きくなり、周縁部12cの上面11aに対する傾斜は緩やかになる。制御膜70のエッチングレートが石英基板と同じであれば、周縁部12cが消失して円弧状の曲面部12bが上面11aに垂直に交わるので、制御膜70のエッチングレートは石英基板のエッチングレートよりも速い事が望まれる。斯うすると周縁部12cに入射した入射光L2がセルCLの中央方向に曲げられるからである。
制御膜70を形成した後、所定の温度で制御膜70のアニールを行う。制御膜70のエッチングレートは、アニール時の温度により変化する。従って、アニール時の温度を適宜設定する事により、制御膜70のエッチングレートを調整する事ができる。
次に、図9(b)に示す様に、第一透光性材11の制御膜70上の単位領域に開口部を有するマスク層71を形成する工程を進める。単位領域とはマイクロレンズアレイ10が完成した際にセルCLとなる領域である。この様なマスク層71は第一透光性材11の上面に、例えば、多結晶シリコン等で形成される。マスク層となる多結晶シリコンは、例えば、化学気相堆積法(CVD:Chemical Vapor Deposition)や物理気相堆積法(例えば、スパッタリング法等)等で堆積される。続いて、図9(c)に示す様に、堆積された薄膜にはフォトリソグラフィー法とドライエッチング処理とが施されて、開口部72を有するマスク層71が形成される。開口部72は、平面視にて、マイクロレンズアレイ10が完成した際に平坦部12aと同じ平面形状である。即ち、開口部72の平面視に於ける形状は、製造誤差を除いて、平坦部12aの平面視に於ける形状と合同である。従って、開口部72は、平面視にて、多角形である。又、開口部72は第1開口部と第2開口部とを有し、第1開口部の平面視に於ける方向と第2開口部の平面視に於ける方向とは異なっている。
次に、図9(d)に示す様に、マスク層を介して制御膜70と第一透光性材11とに等方性エッチングを施す事に依り、制御膜70と第一透光性材11とに凹部12を形成する工程を進める。即ち、マスク層を介して第一透光性材11に、例えばフッ化水素酸水溶液等のエッチング液を用いたウエットエッチング等の等方性エッチング処理を施す。エッチング液には、前述の如く、制御膜70のエッチングレートの方が第一透光性材11のエッチングレートよりも大きくなる材料を用いる。このエッチング処理により、第一透光性材11が上面側から開口部72を中心として等方的にエッチングされる。この結果、制御膜70と第一透光性材11に、開口部72に対応して凹部12が形成される。図10(a)に示す様に、等方性エッチングの進行に伴って凹部12が拡大され、凹部12のうち平面視でマスク層71の開口部72に対応する部分が略平坦な面となる。これにより、凹部12の中央部に平坦部12aが形成される。又、平坦部12aの周囲を囲む様に曲面部12bが形成される。もし、第一透光性材11とマスク層71との間に制御膜70が設けられていないと、曲面部12bが第一透光性材11の上面11aに到達する事となる。但し、本実施形態では、第一透光性材11とマスク層71との間に制御膜70が設けられており、制御膜70の単位時間当たりのエッチング量は第一透光性材11の単位時間当たりのエッチング量よりも多い。従って、制御膜70の開口部70aの拡大量は凹部12の深さ方向の拡大量よりも多くなるので、開口部70aの拡大に伴って、凹部12の幅方向も拡大する事となる。その為に第一透光性材11の幅方向における単位時間当たりのエッチング量は、深さ方向における単位時間当たりのエッチング量よりも多くなる。これにより、曲面部12bの周囲を囲む様にテーパー状の周縁部12cが形成される。
曲面部12bは、平坦部12aに連続して設けられており、円弧状の断面形状を有している。曲面部12bは、マイクロレンズMLが完成した際にレンズとしての集光機能を有しており、上面11aの法線方向に沿って曲面部12bに入射する光は、セルCLの平面的な中心側へ集光される。従って、曲面部12bにより、画素Pの中央部よりも外側に入射して、電気光学装置でそのまま直進すれば遮光層26で遮光される光を、画素Pの開口領域内に入射させる事ができる様になる。
周縁部12cは、曲面部12bに連続して設けられている。周縁部12cは、W方向に於いては上面11aに接続されており、X方向に於いては隣り合う凹部12の周縁部12cに接続されている。周縁部12cは、上面11aから曲面部12bに向かって傾斜する傾斜面、いわゆるテーパー状の面となっている。従って、マイクロレンズMLが完成した際に上面11aの法線方向に沿って周縁部12cに入射する光は、セルCLの平面的な中心側へ屈折するので、電気光学装置でそのまま直進すれば遮光層26で遮光される光を、画素Pの開口領域内に入射させる事ができる様になる。
又、マイクロレンズMLが完成した際に周縁部12cは、レンズとしての集光機能を有していない。従って、上面11aの法線方向に沿って周縁部12cに入射する光は略同一の角度で屈折するので、液晶40に入射する光の角度のばらつきを抑える事ができる。
上述した様に、凹部12における平坦部12aの形状は、マスク層71の開口部72の形状により制御する事ができる。又、凹部12における曲面部12b及び周縁部12cのそれぞれの大きさは、第一透光性材11の深さ方向のエッチングレートに対する幅方向のエッチングレートにより制御され、このエッチングレートの差は制御膜70のアニール時の温度設定により調整できる。
次に、図10(b)に示す様に、第一透光性材11からマスク層71を除去した後、第一透光性材11よりも屈折率が高い第二透光性材13を、凹部12を覆う様に形成する工程を進める。即ち、凹部12を第一透光性材11の屈折率とは異なる屈折率を有する第二透光性材13にて埋め込む工程を進める。まず、第一透光性材11の全領域を覆い、凹部12を埋め込む様に、光透過性を有し、第一透光性材11よりも高い屈折率を有する無機材料からなる第二透光性材13を成膜する。第二透光性材13は、例えばCVD法を用いて形成する事ができる。第二透光性材13は第一透光性材11の上面に堆積する様に形成される為、第二透光性材13の表面は第一透光性材11の凹部12に起因する凹凸が反映された凹凸形状となる。第二透光性材13を堆積した後に、第二透光性材13の表面を平坦化する工程を進める。即ち、凹凸形状の第二透光性材13に対して平坦化処理を施す。平坦化処理では、例えば、化学機械的研磨法(Chemical Mechanical Polishing、CMP)等を用いて、第二透光性材13の上層の凹凸が形成された部分を研磨して除去する事により、第二透光性材13の上面が平坦化される。即ち、図10(b)に示す2点鎖線より上方の部分を研磨して除去する事により、第二透光性材13の上面が平坦化される。斯うして、図10(c)に示す様に、第二透光性材13の上面が平坦化される。
次に、図10(c)に示す様に、平坦化された第二透光性材13上に第三透光性材17にて平坦化膜を形成する工程を進める。即ち、平坦化された第二透光性材13の上面に平坦化膜として機能する第三透光性材17を形成する。第三透光性材17は、例えばCVD法を用いて形成する事ができる。次に、平坦化膜上に第四透光性材140を形成する工程を進める。第四透光性材140は、例えばCVD法を用いて形成する事ができる。
次に、第四透光性材140上に第1形状をなすフォトレジスト741と第2形状をなすフォトレジスト742とを形成する工程を進める。まず、図11(a)に示す様に、レジスト層74は、例えば、露光部分が現像により除去されるポジ型の感光性レジストで形成される。レジスト層74は、例えば、スピンコート法やロールコート法などで形成することができる。続いて、レジスト層74をパターニングする。この際に、第1形状の平面視に於ける径と第2形状の平面視に於ける径とが異なる様にする。要するに、遮光部711及び遮光部712を含む、面積が互いに異なる4種類の遮光部を有するマスク層71を介して、レジスト層74を露光し現像する。遮光部711及び遮光部712を含む遮光部は、凸部151(第1の第二レンズML2−1)と凸部152(第2の第二レンズML2−2)との其々が形成される位置に対応して設けられる。レジスト層74のうち、遮光部711および遮光部712を含む遮光部と重なる領域以外の領域が露光される。
次に、図11(b)に示す様に、レジスト層74のうち露光された部分を現像して除去する。これにより、レジスト層74のうち、遮光部711及び遮光部712を含む遮光部と重なった部分が島状に分断されて残留する。この結果、遮光部711と重なった部分である第1形状をなすフォトレジスト741と、遮光部712と重なった部分である第2形状をなすフォトレジスト742とを含む複数のレジスト部が形成される。第1形状をなすフォトレジスト741が後の工程で形成される第1の第二レンズML2−1に対応する。同様に、第2形状をなすフォトレジスト742が第2の第二レンズML2−2に対応し、不図示の第3形状をなすフォトレジストが第3の第二レンズML2−3に対応し、不図示の第4形状をなすフォトレジストが第4の第二レンズML2−4に対応する。
尚、第1形状をなすフォトレジスト741から第4形状をなすフォトレジストの平面形状は、略矩形に限定される物ではなく、略円形など他の形状であっても良い。例えば、第1形状をなすフォトレジスト741から第4形状をなすフォトレジストの平面形状を略円形とすると、後の工程で形成される第二レンズML2の平面形状も略円形となる。尚、第1形状をなすフォトレジスト741から第4形状をなすフォトレジストの平面形状は、レジスト層74をパターニングするマスク層71における遮光部の平面形状によって所望の形状に設定することが可能である。
次に、第1形状をなすフォトレジスト741と第2形状をなすフォトレジスト742とを含む複数のレジスト部を、リフローさせる工程を進める。具体的には、第1形状をなすフォトレジスト741から第4形状をなすフォトレジストを含む複数のレジスト部を加熱することにより軟化(溶融)させて、リフローさせる。溶融した各レジスト部は、流動状態となり、表面張力の作用で表面が曲面状に変形する。これにより、図11(c)に示す様に、第四透光性材140上に残留した第1形状をなすフォトレジスト741及び第2形状をなすフォトレジスト742を含む複数のレジスト部から略球面状または略楕円球面状のレジスト凸部751及びレジスト凸部752を含む複数のレジスト凸部が形成される。
尚、曲面状に形成されたレジスト凸部751及びレジスト凸部752を含む複数のレジスト凸部の厚さ(高さ)は、図11(a)に示す工程において形成されたレジスト層74の厚さよりも厚くなっても良い。また、レジスト凸部751とレジスト凸部752とでは、加熱する前の第1形状をなすフォトレジスト741の体積が第2形状をなすフォトレジスト742の体積よりも大きいため、レジスト凸部751がレジスト凸部752よりも厚くなっても良い。
尚、レジスト層74からレジスト凸部751及びレジスト凸部752を含む複数のレジスト凸部を形成する方法として、上記のリフロー処理する方法以外の方法を用いても良い。例えば、グレイスケールマスクや面積階調マスクを用いて露光する方法、多段階露光する方法などを用いて、レジスト層74から複数のレジスト凸部を形成する事ができる。
次に、図11(d)に示す様に、リフローされた第1形状をなすフォトレジスト(レジスト凸部751)とリフローされた第2形状をなすフォトレジスト(レジスト凸部752)と第四透光性材140とに異方性エッチングを施す事に依り、第四透光性材140に凸部151や凸部152を形成する工程を進める。一例としては、レジスト凸部751及びレジスト凸部752を含む複数のレジスト凸部と第四透光性材140とに上方側から、ドライエッチングなどの異方性エッチングを施す。これにより、レジスト凸部751及びレジスト凸部752を含む複数のレジスト凸部が徐々に除去され、複数のレジスト凸部の除去に伴って第四透光性材140の露出する部分がエッチングされる。この結果、レジスト凸部751及びレジスト凸部752を含む複数のレジスト凸部の形状が第四透光性材140に転写されて、凸部151及び凸部152を含む複数の凸部を有するコアとなる第四透光性材14aが形成される。
尚、異方性エッチングにおいて、レジスト凸部751及びレジスト凸部752を含む複数のレジスト凸部と第四透光性材140とを略同一のレートでエッチングできる条件とすることで、レジスト凸部と第四透光性材140上に形成される凸部151及び凸部152を含む複数の凸部15とを略同一の形状とすることができる。
次に、図11(e)に示す様に、コアとなる第四透光性材14a上に第四透光性材14aを追加成膜し、殻状の第四透光性材14bを形成する。コアとなる第四透光性材14aの平面視での大きさはセルCLよりも小さいが、殻状の第四透光性材14bを追加形成してこれを凸部15とする事で、第二レンズML2の平面視での大きさはセルCLの大きさとほぼ同等となる。次に、凸部15を第四透光性材14の屈折率とは異なる屈折率を有する第五透光性材16にて覆う工程を進める。凸部151及び凸部152を含む複数の凸部15が形成された第四透光性材14を覆う様に、光透過性を有し、第四透光性材14の材料よりも低い屈折率を有する無機材料からなる第五透光性材16を形成する。第五透光性材16は、例えばCVD法を用いて形成する事ができる。第五透光性材16は凸部151及び凸部152を含む複数の凸部15が形成された第四透光性材14の上に堆積する様に形成される為、第五透光性材16の上層の部分は複数の凸部15に起因する凹凸が反映された凹凸形状となる。
続いて、図11(e)に示す第五透光性材16に対してCMP処理などの平坦化処理を施し、第五透光性材16の上層の凹凸が形成された部分(図11(e)に示す2点鎖線より上方の部分)を研磨して除去することにより、第五透光性材16の上面を平坦化する。第五透光性材16に平坦化処理を施した結果、図3に示す様に、第五透光性材16の上面(第五透光性材16と光路長調整層31との界面)が平坦化されて、マイクロレンズアレイ10が完成する。
次に、公知の技術を用いて、マイクロレンズアレイ10上に、光路長調整層31と、遮光層32と、保護層33と、共通電極34と、配向膜35とを順に形成して対向基板30を得る。以降の工程は、詳細な図示を省略し、図3を参照して説明する。一方、基板21上に、遮光層22と、絶縁層23と、TFT24と、絶縁層25と、遮光層26と、絶縁層27と、画素電極28と、配向膜29とを順に形成して素子基板20を得る。
次に、素子基板20と対向基板30との間に、熱硬化性又は光硬化性の接着剤をシール材42(図1参照)として配置して硬化させる。これにより、素子基板20と対向基板30とが接合されて、液晶装置1が完成する。
尚、マイクロレンズアレイ10は、電気光学装置に適応される他に、フライアイレンズとして、各種の光学機器に用いる事もできる。
「電子機器」
次に、電子機器について図12を参照して説明する。図12は、実施形態1に係る電子機器としてのプロジェクターの構成を示す概略図である。
図12に示す様に、実施形態1に係る電子機器としてのプロジェクター(投射型表示装置)100は、偏光照明装置110と、2つのダイクロイックミラー104,105と、3つの反射ミラー106,107,108と、5つのリレーレンズ111,112,113,114,115と、3つの液晶ライトバルブ121,122,123と、クロスダイクロイックプリズム116と、投射レンズ117とを備えている。
偏光照明装置110は、例えば超高圧水銀灯やハロゲンランプ等の白色光源からなる光源としてのランプユニット101と、インテグレーターレンズ102と、偏光変換素子103とを備えている。ランプユニット101と、インテグレーターレンズ102と、偏光変換素子103とは、システム光軸Lsに沿って配置されている。
ダイクロイックミラー104は、偏光照明装置110から出射された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー105は、ダイクロイックミラー104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
ダイクロイックミラー104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー106で反射した後にリレーレンズ115を経由して液晶ライトバルブ121に入射する。ダイクロイックミラー105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ114を経由して液晶ライトバルブ122に入射する。ダイクロイックミラー105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ111,112,113と2つの反射ミラー107,108とで構成される導光系を経由して液晶ライトバルブ123に入射する。
光変調素子としての透過型の液晶ライトバルブ121,122,123は、クロスダイクロイックプリズム116の色光ごとの入射面に対して其々対向する様に配置されている。液晶ライトバルブ121,122,123に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調され、クロスダイクロイックプリズム116に向けて出射される。
クロスダイクロイックプリズム116は、4つの直角プリズムが貼り合わされて構成されており、その内面には赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜に依って3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ117に依ってスクリーン130上に投射され、画像が拡大されて表示される。
液晶ライトバルブ121は、上述した液晶装置1が適用されたものである。液晶ライトバルブ121は、色光の入射側と出射側とに於いてクロスニコルに配置された一対の偏光素子の間に隙間を置いて配置されている。他の液晶ライトバルブ122,123も同様である。
実施形態1に係るプロジェクター100の構成によれば、複数の画素Pが高精細に配置されていても、入射した色光を効率よく利用可能なマイクロレンズMLを有する液晶装置1を備えているので、品質が高く明るいプロジェクター100を提供する事ができる。
(実施形態2)
「第一レンズが異なる形態」
図13は、実施形態2に係るマイクロレンズアレイの第一面の構成を説明する平面図である。次に、図13を参照して実施形態2に係わるマイクロレンズアレイ10を説明する。尚、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明は省略する。
本実施形態のマイクロレンズアレイ10では、マイクロレンズアレイ10を構成する第一レンズML1が異なっている。それ以外は実施形態1と同様である。図4に示された実施形態1のマイクロレンズアレイ10では第一レンズ群UG1を構成する第一レンズML1は其々その方向が異なっていたが、本実施形態では第一レンズの径が異なっている。それ以外は実施形態1と概ね同様である。
本実施形態のマイクロレンズアレイ10は、第一面に形成された第一レンズ群UG1と、第二面に形成された第二レンズ群UG2とを含んでいる。第一レンズ群UG1には第1の第一レンズML1−1と第2の第一レンズML1−2とを含むM1×N1個(M1とN1との一方は1以上の整数で、他方は2以上の整数)の第一レンズML1が配置されている。本実施形態ではM1=N1=2で、一つの第一レンズ群UG1に4個の第一レンズML1が配置されている。そして第1の第一レンズML1−1の平面視に於ける径と第2の第一レンズML1−2の平面視に於ける径とは異なっている。図13に示す様に、第一レンズ群UG1に配置されたM1×N1個の第一レンズML1の平面視に於ける径は総て異なっているのが理想的である。第一レンズML1の平面視に於ける径とは、厳密には、第一レンズML1の平面視での面積の平方根であるが、近似的には正方形と見なせる多角形の辺の長さや多角形の対角線の長さである。いずれにしても、第1の第一レンズML1−1の径は第2の第一レンズML1−2の径よりも大きくなっている。斯うする事で、第一レンズML1の規則性に起因する回折を抑制できるので、光の利用効率が高いマイクロレンズアレイ10を実現できる訳である。
各第一レンズML1はそのほぼ中央部に平坦部12aを有し、平坦部12aの平面視に於ける径は第1の第一レンズML1−1と第2の第一レンズML1−2とでは異なっている。平坦部12aの平面視に於ける径は0.8ミクロン(μm)から2.0ミクロン(μm)の範囲で異なっているのが好ましく、本実施形態では、第1の第一レンズML1−1の平坦部12aは1.2ミクロン(μm)で、第2の第一レンズML1−2の平坦部12aは1.0ミクロン(μm)で、第3の第一レンズML1−3の平坦部12aは0.8ミクロン(μm)で、第4の第一レンズML1−4の平坦部12aは1.4ミクロン(μm)である。或いは、0.8ミクロン(μm)以上2.0ミクロン(μm)以下の範囲で、平坦部12aの平面視に於ける径をM1×N1個の等間隔に設定しても良い。例えば、第一レンズML1が9個で第一レンズ群UG1を構成する場合、0.80ミクロン(μm)、0.95ミクロン(μm)、1.10ミクロン(μm)、1.25ミクロン(μm)、1.40ミクロン(μm)、1.55ミクロン(μm)、1.70ミクロン(μm)、1.85ミクロン(μm)、2.00ミクロン(μm)、を第1の第一レンズML1−1の平坦部12aの径から第9の第一レンズML1−9の平坦部12aの径に適当に割り振っても良い。
セルCLには非レンズ部と球面レンズとが配置される。具体的に、非レンズ部は平坦部12aに形成され、球面レンズは平坦部12aの外側の領域に形成される。図3に示す様に、平坦部12aに入射したセルCLの法線に平行な入射光は、そのままほぼ直進する。球面レンズに入射したセルCLの法線に平行な入射光は、球面レンズにより平坦部12a側に光路が曲げられる。球面レンズは凸レンズで、平坦部12aの辺で球面レンズの厚み(第二透光性材13の厚み)が最大となり、平坦部12aの交差部から離れるに従い球面レンズは薄くなって行く。
マイクロレンズアレイ10の製造方法は実施形態1と同様であるが、開口部72を形成する際に、第1開口部の平面視に於ける径と第2開口部の平面視に於ける径とが異なる様にする。更に、より好ましくは、第一レンズ群UG1に配置されたM1×N1個の第一レンズML1の開口部72に於ける径が総て異なる様にする。これは、開口部72の形状が平坦部12aの形状となり、開口部72が大きい程第一レンズML1の径が大きくなるからである。
斯うした構成としても実施形態1と同様の効果が得られる。尚、第一レンズML1の径を変える本実施形態の構成は画素Pのサイズが13ミクロン(μm)以下により適している。
(実施形態3)
「単位セル群が異なる形態1」
図14は、実施形態3に係わるマイクロレンズアレイの一例を説明した図である。次に、図14を参照して実施形態3に係わるマイクロレンズアレイ10を説明する。尚、実施形態1乃至2と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明は省略する。
図14に示す本実施形態のマイクロレンズアレイ10では、マイクロレンズアレイ10を構成する第i単位セル群UGiが異なっている。iは1又は2で、第i単位セル群UGiは第一レンズ群UG1又は第二レンズ群UG2である。それ以外は実施形態1乃至2と同様である。図6に示された実施形態1のマイクロレンズアレイ10では第一レンズ群UG1は9個の異なった第一レンズML1で構成され、この第一レンズ群UG1が繰り返し配置されていた。又、図8に示された実施形態1のマイクロレンズアレイ10では第二レンズ群UG2は4個の異なった第二レンズML2で構成され、この第二レンズ群UG2が繰り返し配置されていた。
第i単位セル群UGi(第一レンズ群UG1や第二レンズ群UG2)の構成はこれに限られず、様々形態が可能である。例えば、図14に示す様に、第i単位セル群UGiはnの二乗個の異なった第iレンズMLiを含むが、第i単位セル群UGiの中でこれらの第iレンズMLiの配置を変えても良い。本実施形態では、複数種類の第i単位セル群UGiを準備し、各第i単位セル群UGiで第iレンズMLiの配置が変えられている。例えば、図14に示す様に、第1の第iレンズMLi−1から第4の第iレンズMLi−4まで、4種類の異なった第iレンズMLiを準備し、これら4種類の第iレンズMLiの配置を変えた複数種類の第i単位セル群UGiを作る。図14の例では第1の第i単位セル群UGi−1から第9の第i単位セル群UGi−9迄9種類の第i単位セル群UGiが作られ、各第i単位セル群UGiの中で4種類の異なった第iレンズMLiの配置が変えられている。例えば、第i単位セル群UGiは第1の第i単位セル群UGi−1と第2の第i単位セル群UGi−2とを有し、第1の第i単位セル群UGi−1と第2の第i単位セル群UGi−2とでは、第1の第iレンズMLi−1と第2の第iレンズMLi−2との配置関係が異なっている。この様に複数種類の第i単位セル群UGiを用いてマイクロレンズアレイ10を構成しても良い。斯うすると、マイクロレンズアレイ10に起因する回折はより強く抑制されるので、マイクロレンズアレイ10の光利用効率は更に向上する事になる。
(実施形態4)
「単位セル群が異なる形態2」
図15は、実施形態4に係わるマイクロレンズアレイの一例を説明した図である。次に、図15を参照して実施形態4に係わるマイクロレンズアレイ10を説明する。尚、実施形態1乃至2と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明は省略する。
図15に示す本実施形態のマイクロレンズアレイ10では、マイクロレンズアレイ10を構成する第i単位セル群UGi(第一レンズ群UG1や第二レンズ群UG2)の配列が異なっている。それ以外は実施形態1乃至2と同様である。図6に示された実施形態1のマイクロレンズアレイ10では第一レンズ群UG1がX方向とY方向とに繰り返し配列されていた。又、図8に示された実施形態1のマイクロレンズアレイ10では第二レンズ群UG2がX方向とY方向とに繰り返し配列されていた。第i単位セル群UGiの配列はこれに限られず、様々形態が可能である。例えば、図15に示す様に、第i単位セル群UGiが、第i単位セル群UGiの行又は列毎にずれて配置されていても良い。
図15に一点鎖線にて囲んで示す様に、マイクロレンズアレイ10に於いては、互いに異なる第iレンズMLi(第1の第iレンズMLi−1、第2の第iレンズMLi−2、第3の第iレンズMLi−3、第4の第iレンズMLi−4)からなる2×2個の第iレンズMLiを単位とする第i単位セル群UGiが繰り返し配列されている。本実施形態では、隣り合う第i単位セル群UGiの行毎に第i単位セル群UGiがX方向に沿って相互にずれて配列されている。具体的には、第i単位セル群UGiの奇数行(第i単位セル群UGiの第1行UGi−R1や第i単位セル群UGiの第3行UGi−R3等)と第i単位セル群UGiの偶数行(第i単位セル群UGiの第2行UGi−R2等)とはX方向に沿って1セル分ずれて配列されている。斯うすると、第iレンズMLiの繰り返しの配列パターンは、列方向(Y方向)に関しては、4セル毎と倍になる。この様に、第i単位セル群UGiが、第i単位セル群UGiの行又は列毎にずれて配置されたマイクロレンズアレイ10としても良い。斯うすると、マイクロレンズアレイ10に起因する回折はより強く抑制されるので、マイクロレンズアレイ10の光利用効率は更に向上する事になる。
(実施形態5)
「単位セル群が異なる形態3」
図16は、実施形態5に係わるマイクロレンズアレイの一例を説明した図である。次に、図16を参照して実施形態5に係わるマイクロレンズアレイ10を説明する。尚、実施形態1乃至2と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明は省略する。
図16に示す本実施形態のマイクロレンズアレイ10では、マイクロレンズアレイ10を構成する第i単位セル群UGi(第一レンズ群UG1や第二レンズ群UG2)の配列が異なっている。それ以外は実施形態1乃至2と同様である。上述の実施形態1乃至2に係るマイクロレンズアレイ10での第i単位セル群UGiの配列は、上述の形態に限定されない。例えば、図16(a)に太線で囲んで示すように、3×3個の第iレンズMLiを単位とする第i単位セル群UGiが第i単位セル群UGiの行又は列毎にずれて配置された構成としても良い。例えば、図16(a)に示す様に、第i単位セル群UGiの第1行UGi−R1、第i単位セル群UGiの第2行UGi−2、及び第i単位セル群UGiの第3行UGi−R3で3×3個の第iレンズMLiを単位とする第i単位セル群UGiを相互にずらして配列された構成とする事で、第iレンズMLiの繰り返しの配列パターンは列方向(Y方向)に関しては、9セル毎と3倍になる。斯うして、マイクロレンズアレイ10に起因する回折はより強く抑制されるので、マイクロレンズアレイ10の光利用効率は更に向上する事になる。
更には、第i単位セル群UGiは第1の第i単位セル群UGi−1と第2の第i単位セル群UGi−2とを有し、第1の第i単位セル群UGi−1に配置されるレンズの数と第2の第i単位セル群UGi−2に配置されるレンズの数とを異ならせても良い。例えば、図16(b)に示される様に、2×2個の第iレンズMLiを単位とする第1の第i単位セル群UGi−1と、3×3個の第iレンズMLiを単位とする第2の第i単位セル群UGi−2とを組み合わせても良い。
図16(b)に示す例では、第iレンズMLiの繰り返しの配列パターンが9画素毎となる第2の第i単位セル群UGi−2が表示領域Eの外周部に配置され、4画素毎となる第1の第i単位セル群UGi−1がその内側に配置されている。第iレンズMLiに起因する光の回折は、中央部よりも外周部で生じ易い事が知られている。そこで、中央部に配置する第1の第i単位セル群UGi−1と比べて繰り返しの周期が大きい第2の第i単位セル群UGi−2を外周部に配置する事で、第iレンズMLiに起因する回折光の干渉を効果的に抑える事ができる。
本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
(実施形態6)
「断面形状が異なる形態」
図17は、実施形態6に係わる液晶装置の構成を示す概略断面図である。次に、図176を参照して実施形態6に係わるマイクロレンズアレイ10を説明する。尚、実施形態1乃至5と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明は省略する。
図17に示す本実施形態の液晶装置1では、マイクロレンズアレイ10が遮光層32を含んでいる点が実施形態1と異なっており、それ以外は概ね実施形態1と同じである。本実施形態では、遮光層32は第三透光性材17上(液晶40側)に設けられている。第四透光性材14は、第三透光性材17と遮光層32とを覆う様に設けられ、第四透光性材14の下部(第三透光性材17側)は、保護層33としても機能している。この様に、マイクロレンズアレイ10が遮光層32を含んでいても良い。
この様なマイクロレンズアレイ10は次の様に製造される。図10(c)に示す様に、第三透光性材17が形成された後に遮光層32を形成する。次いで、第四透光性材140を第三透光性材17と遮光層32とを覆う様に厚く堆積する。更に、CMP法を用いて、第四透光性材140の表面を平坦化する。その後は、図11に示す実施形態1と同様な工程を経る。
この他にも遮光層32が第二透光性材13の平坦化された表面(第二透光性材13と第三透光性材17との界面)に遮光層32を形成し、第二透光性材13と遮光層32とを覆う様に第三透光性材17を形成しても良い。
斯うした構成をなす事で、遮光層32や隣接するセルCLの境界を遮光するブラックマトリックスを備えたマイクロレンズアレイ10が実現される。本実施形態の構成としても、実施形態1乃至5と同じ効果が得られる。
(変形例1)
「平坦部の形状が異なる形態」
図18は、変形例1に係わるマイクロレンズの一例を説明した図である。次に、図18を参照して変形例1に係わるマイクロレンズアレイ10を説明する。尚、実施形態1乃至6と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明は省略する。
実施形態1のマイクロレンズアレイ10では、図4や図5に示される様に、平坦部12aは四角形であった。これに対して、本変形例では、平坦部12aの形状が異なっている。それ以外は実施形態1と同様である。
図18に示す様に、平坦部12aの形状は、平坦部12aの中心の回りに±15°以内での回転対称性を示さない平面形状であれば、その平面形状は限定されない。例えば、図18(a)に示す様に、平坦部12aの形状を正六角形としても良い。正六角形は中心の回りに60°の回転対称性を有すが、±15°以内では回転対称性を示さない。その為に、セルCL毎にマイクロレンズMLの方向を±15°以内で変える事が可能となる。
又、例えば、図18(b)に示す様に、平坦部12aの形状を十字形としても良い。十字形は中心の回りに90°の回転対称性を有すが、±15°以内では回転対称性を示さない。その為に、セルCL毎にマイクロレンズMLの方向を±15°以内で変える事が可能となる。
又、例えば、図18(c)に示す様に、平坦部12aの形状を円の一部に角が設けられた雫形としても良い。雫形は回転対称性を示さない。その為に、セルCL毎にマイクロレンズMLの方向を±15°以内で変える事が可能となる。
これらの例が示した様に、平坦部12aの形状は、中心の回りに±15°以内の回転対称性を示さない形状であれば、如何なる形状でも構わない。