JP2015148476A - 照度測定方法、照度測定装置、印刷装置、プログラム - Google Patents

照度測定方法、照度測定装置、印刷装置、プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】複数の発光素子が同時に発光した場合における照度分布を、輝度値に基づき算出すること。【解決手段】複数の発光素子それぞれによる光の輝度値を取得する。輝度値と、複数の発光素子と同じ種類の発光素子である1つの発光素子が発した光の分布情報と、複数の発光素子の配置情報とを用いて、複数の発光素子が同時に発光した場合における照度分布を算出する。【選択図】図4

Description

本発明は、照度の測定に関する。
紫外線を照射すると硬化するインク(以下「UVインク」という)を使用するプリンターが知られている。このようなプリンターには、通常、照射ユニットが設けられる。照射ユニットは、媒体上にドットとして形成されたUVインクに向けて、紫外線を照射する。照射ユニットとしては、複数のLED素子によって紫外線を照射するものが知られている。
この照射ユニットが正常に紫外線を照射できなくなると、UVインクの硬化が不充分になる虞がある。照射ユニットが正常か否かを検査するために、照射エネルギーに応じた値を算出する手法が知られている。照射エネルギーに応じた値とは、照射ユニットが発した光に含まれる青の輝度値を積分して得られる値である(例えば特許文献1)。
特開2012−171236号公報
上記先行技術が有する課題は、複数のLED素子が同時に発光した場合における照度分布を、輝度値に基づき測定できないことである。なお、照度分布の算出は、種々の用途において有益なものであり、この課題は、プリンターに利用されるものに限定されない。この他、装置の小型化や、低コスト化、省資源化、製造の容易化、使い勝手の向上等が望まれていた。
本発明は、先述した課題の少なくとも一部を解決するためのものであり、以下の形態として実現できる。
(1)本発明の一形態によれば、照度測定方法が提供される。この方法は、複数の発光素子それぞれによる光の輝度値を取得する輝度値取得手順と;前記輝度値と、前記複数の発光素子と同じ種類の発光素子である1つの発光素子が発した光の分布情報と、前記複数の発光素子の配置情報とを用いて、前記複数の発光素子が同時に発光した場合における照度分布を算出する照度算出手順とを含む。この形態によれば、複数の発光素子が同時に発光した場合における照度分布を、輝度値に基づき算出できる。輝度値に基づき照度分布が算出できるのは、分布情報と配置情報とを用いるからである。
(2)上記形態において、前記照度算出手順は;前記輝度値と前記分布情報と前記配置情報とを用いて、前記複数の発光素子が同時に発光した場合における輝度値の分布を算出する輝度算出手順と前記輝度値の分布を、前記照度分布に変換する変換手順とを含んでもよい。この形態によれば、輝度値の分布も算出できる。
(3)上記形態において、前記輝度算出手順は;前記各発光素子の光それぞれについて、前記輝度値と前記分布情報とを用い、輝度値の分布を算出する分布算出手順と;前記算出された各輝度値の分布を、前記配置情報を用いて重畳させることによって、前記複数の発光素子が同時に発光した場合における輝度値の分布を取得する重畳手順とを含んでもよい。この形態によれば、各発光素子の光それぞれについての輝度値の分布も算出できる。
(4)上記形態において、輝度値と照度との変換関係は、予め定められており;前記変換手順は、前記変換関係を参照することによって、前記輝度値の分布を前記照度分布に変換する手順でもよい。この形態によれば、輝度値と照度との関係を、都度、求める必要がなくなる。
(5)上記形態において、前記輝度値取得手順において取得される輝度値は、前記発光素子それぞれが有する波長特性によって補正された値でもよい。この形態によれば、発光素子の波長特性にばらつきがある場合でも、そのばらつきを補正した上で、照度分布を求めることができる。
本発明は、上記以外の種々の形態でも実現できる。例えば、照度測定装置や、照度測定装置を備えた印刷装置、上記の方法を実現するためのプログラム、このプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現できる。
プリンターの概略断面図。 照射ユニットの下面を示す図。 スキャナーユニットを説明する図。 照度分布算出処理を示すフローチャート。 平均B値の算出を例示する図。 ピーク波長とB値/R値との関係を示すグラフ。 輝度値とピーク波長との関係を示すグラフ。 ピーク波長の測定結果を例示するグラフ。 受光素子の相対分光応答度特性を示すグラフ。 照度の減衰マップ。 減衰マップを求めるための実験を説明する図。 減衰マップを求めるための実験結果を示すグラフ。 距離LとLED素子の配置との関係を示す図。 平均B値を例示する図。 B値の分布を示す図。 照度分布を示す図。 照度とB値との関係を示すグラフ。 照度分布を示すグラフ。 B値および照度、並びに紙幅方向の位置の関係を示すグラフ。 B値および照度、並びに紙幅方向の位置の関係を示すグラフ。 プリンターの概略断面図(実施形態2)。 照度分布算出処理が実行される様子を示す図(実施形態2)。
実施形態1を説明する。図1は、プリンター1の概略断面図である。プリンター1は、UVインクによる画像を媒体に形成する。UVインクは、紫外線の照射を受けると硬化する。この硬化は、UVインクに含まれる紫外線硬化樹脂に光重合反応が起こることによって生じる。本実施形態における媒体は、ロール状に巻かれたロール紙Sである。
プリンター1による画像の形成方法について説明する。プリンター1は、いわゆるラインプリンターである。ロール状に巻かれたロール紙Sは、搬送ローラー2A,2B等によって印刷領域に供給され、紙搬送方向の上流側から下流側へ一定の速度で搬送される。印刷領域に位置するロール紙Sは、裏面側からプラテン3によって支持されつつ、ヘッド4と対向する。ヘッド4が本発明の「記録部」の一例に相当している。
ヘッド4は、ヘッドYと、ヘッドMと、ヘッドCと、ヘッドKとを備える。ヘッドY,M,C,Kはそれぞれ、ロール紙Sの幅方向に亘って配置されている。ヘッドYはイエロー色のUVインクを、ヘッドMはマゼンタ色のUVインクを、ヘッドCはシアン色のUVインクを、ヘッドKはブラック色のUVインクを、ロール紙Sに向けて噴射する。
各ヘッド4の下面(ロール紙Sとの対向面)において、UVインクを噴射する多数のノズルが紙幅方向に所定の間隔で並んでいる。紙幅方向は、紙搬送方向と直交する方向である。ヘッド4の下をロール紙Sが通過する際にヘッド4からUVインクが噴射されることによって、ロール紙Sに各色によるドットが形成される。
その後、ロール紙Sは、裏面側からスキャナーユニット20によって支持されつつ、照射ユニット10と対向する。照射ユニット10は、紙搬送方向に移動するロール紙Sに向けて紫外線を照射する。この結果、ロール紙S上に形成されたドットは硬化する。こうして、ロール紙Sへの画像形成処理が完了する。画像が形成されたロール紙Sは、再びロール状に巻き取られる。スキャナーユニット20が本発明の「輝度値取得部」の一例に相当している。
図2は、照射ユニット10の下面を示す図である。照射ユニット10の下面には、複数のLEDパッケージ11が配列している。説明の便宜上、紙搬送方向の最も上流側のLEDパッケージ11の行から順に、1行目、2行目、…と呼び、紙幅方向の最も手前側のLEDパッケージ11の列から順に、1列目、2列目、…と呼ぶ。照射ユニット10が本発明の「照射部」の一例に相当している。
LEDパッケージ11の列数(紙幅方向のLEDパッケージ11の数)は、ロール紙Sの紙幅よりもやや広い領域をカバーできるように定められている。LEDパッケージ11の行数(紙搬送方向のLEDパッケージ11の数)は、ドットが充分に硬化するように定められている。
各LEDパッケージ11は、LED素子12と、封止部13とを有する。LED素子12は、ピーク波長が紫外線領域に属する光を発するUV−LEDである。封止部13は、LED素子12を封止する。LED素子12が本発明の「発光素子」の一例に相当している。
LEDパッケージ11は、寿命や故障によって、照射不良を起こす場合がある。照射不良とは、ロール紙S上における紫外線の照度(mW/cm2)が規定値よりも小さくなることである。照度が小さくなると、照射エネルギー(mJ/cm2)も小さくなる。照射エネルギーは、照度と照射時間との積である。照射エネルギーが小さくなると、ロール紙S上のドットの硬化が不充分になる虞がある。
ドットの硬化が不充分であると、ドットの硬化が不完全である部位が画像上で縞として視認されたり、硬化が不充分であるドットがロール紙Sから剥がれたりする等の現象が発生する。これらの現象は、画質の劣化の原因となる場合がある。プリンター1は、照射不良を検出するために、照度分布算出処理(図4と共に後述)を実施する。
図3は、スキャナーユニット20を説明する図である。スキャナーユニット20は、ガラス板21と、紙搬送方向に移動するキャリッジ22と、ラインセンサー23と、スキャナー側制御部24とを有する。スキャナーユニット20は、照射ユニット10の照射面10aと対向した状態で、ガラス板21に入射した光の輝度値を取得する。
ラインセンサー23は、本実施形態においてはCCDラインセンサーによって実現される。ラインセンサー23は、複数の受光素子28(図5参照)を備える。複数の受光素子28は、紙幅方向1行分のLED素子12による光を同時に受光できるように配列している。各受光素子28は、入射した光(ガラス板21からの光)を、その光量(光の強さ)に応じた電荷に変換し、その電荷を蓄積する。ラインセンサー23は、所定のタイミングで、各受光素子28の蓄積電荷を光量に応じた電気信号として、スキャナー側制御部24に転送する。
スキャナーユニット20は、縮小光学系のスキャナーである。キャリッジ22内には、ラインセンサー23に加えて、複数の反射ミラー25と、1つの集光レンズ26とが設けられている。ガラス板21に入射した光は、反射ミラー25で反射して集光レンズ26へ導かれる。集光レンズ26を通過した光は、収束した状態でラインセンサー23に入射する。
スキャナーユニット20のガラス板21には、減光フィルター27が取り付けられている。減光フィルター27は、照射ユニット10が照射する光量を減少させる。スキャナーユニット20は、ラインセンサー23に設けられたR(赤)G(緑)B(青)の各フィルターを利用してRGBデータを取得する。
図4は、照度分布算出処理を示すフローチャートである。照度分布算出処理は、プリンター1に接続された外部PCによって実行される。外部PCは、照度分布算出処理を実現するためのプログラムを記憶している。外部PCは、このプログラムを実行することによって、照射ユニット10とスキャナーユニット20とを制御する。照度分布算出処理は、製造時の検査や、所定期間プリンター1が使用された後におけるメンテナンス等のために実行される。外部PCが本発明の「照度算出部」の一例に相当している。本実施形態では、外部PCをプリンター1に接続して用いたが、プリンター1自身がPCを内部に備えるように構成してもよい。
初めに、LED素子12の発光による青色の輝度値(以下「B値」という)と、赤色の輝度値(以下「R値」という)とを、複数のLED素子12それぞれについて取得する(ステップS100)。各色の輝度値は、256階調で取得される。この取得は、LEDパッケージ11の行ごとに実行される。具体的には次のように実行される。1行目のLEDパッケージ11の直下の光が入射するようにキャリッジ22を移動させた後、1行目のLEDパッケージ11を発光させる。この際に取得されるB値とR値とを、1行目各列のLEDパッケージ11の発光によるものとして取得する。次に、2行目のLEDパッケージ11の直下の光が入射するようにキャリッジ22を移動させて、B値とR値とを取得する。同様にして、全行全列のB値とR値とを取得する。
続いて、各LED素子12の直下における平均B値と平均R値とを算出する(ステップS200)。図5は、平均B値の算出を例示する図である。本実施形態においては、各LED素子12の直下として定義された領域(以下「直下領域」という)は、図5において太線で示されており、それぞれ64個の受光素子28が収まっている。或るLED素子12の直下領域とは、そのLED素子12による発光が、受光素子28によって測定される輝度値に支配的な影響を及ぼす領域のことである。つまり、或るLED素子12の直下領域に位置する受光素子28によって測定された輝度値は、そのLED素子12による発光に影響される一方、他のLED素子12による発光には殆ど影響されない。本実施形態においては、各LED素子12の直下領域は、隙間なく隣接しているものとして定義される。
ステップS200においては、各直下領域に含まれる64個の受光素子28それぞれによって取得された測定結果に基づき、平均B値と平均R値とが算出される。
次に、各LED素子12のピーク波長を算出する(ステップS300)。図6は、ピーク波長と、B値/R値との関係を示すグラフである。B値/R値とは、平均B値および平均R値の比のことである。B値/R値の算出は、ステップS200において算出された平均B値を、ステップS200において算出された平均R値で割ることによって実現される。このグラフに示された近似直線の式は、外部PCに記憶されている。この近似直線の式に、B値/R値を代入することによって、ピーク波長が算出される。
図7は、輝度値と、ピーク波長との関係を示すグラフである。この関係は、図6に示された関係を規定するために、実験によって予め取得されたものである。この実験結果は、複数のLED素子についてB値とR値とを測定し、この測定結果を各LED素子のピーク波長ごとに整理することによって取得された。各LED素子のピーク波長は、別途の実験(測色器による測定)等によって個別に求めた。このLED素子は、プリンター1に用いられるLED素子12に近い性質を有するものとして用意された。換言するとこのLED素子は、LED素子12と同じ種類の発光素子ということができる。例えばこのLED素子は、プリンター1に組み込まれる前のLED素子12を用いてもよい。またプリンター1には組み込まれないが、プリンター1に組み込まれるLED素子12と同じ型式のLED素子を用いてもよい。また、プリンター1に組み込まれるLED素子12とは異なる型式のLED素子であるが、プリンター1に組み込まれるLED素子12と近い性質のLED素子を用いてもよい。図6に示された各点は、図7に示されたデータにおいて、ピーク波長毎に算出された平均値を示す。図6に示された近似直線は、各点を最小二乗法によってフィッティングしたものである。
図7に示されるように、390〜400nmの波長領域において、B値は直線的に増加し、R値は直線的に減少する。この結果、図6に示されるように、B値/R値の増加に対して、ピーク波長が線形に増加するという関係が取得される。
図8は、別途の実験等によって個別に測定されたLED素子のピーク波長の測定結果の一部を例示するグラフである。横軸は、LED素子12の紙幅方向の位置を示す。一部というのは、紙搬送方向についての分布が示されていないことを意味する。実際に取得されるピーク波長の分布は、3次元グラフによって示される。図8は、図示の都合上、紙搬送方向についての或る位置のみについて示したものである。図8に例示されるように、プリンター1に備えられたLED素子12のピーク波長には、ばらつきが存在する。
続いて、算出されたピーク波長が全て正常かを判定する(ステップS400)。具体的には、算出されたピーク波長が全て、予め定められた基準範囲内に収まっているかを判定する。この基準範囲は、光重合反応に有効に作用するピーク波長の範囲として決定される。
算出されたピーク波長の少なくとも一部が異常である場合(ステップS400、NO)、エラーメッセージを出力して、異常なLED素子12が交換されるまで待機する(ステップS450)。エラーメッセージの出力は、外部PCのディスプレイやスピーカーを用いて実施される。このエラーメッセージは、異常なLED素子12を特定する情報を含む。外部PCは、LED素子12が交換されか否かを、ユーザーからの入力によって検出する。
交換されたことを検出すると、ステップS100〜S300を再び実行する。この場合、交換されたLED素子12のみを対象に、ステップS100〜S300を再び実行する。
算出されたピーク波長が全て正常である場合(ステップS400、YES)、平均B値を補正する(ステップS500)。この補正は、ステップS300において算出したピーク波長と、受光素子28の相対分光応答度特性とを用いて実行する。補正された平均B値は、後のステップにおいて、照度分布の算出に用いられる。B値が用いられるのは、RGBの中で、波長が最も紫外線に近いからである。
図9は、受光素子28の相対分光応答度特性を示すグラフである。縦軸は受光素子28の感度を、横軸は測定対象の光の波長を示す。この関係は、複数の受光素子28の特性を平均化したものである。本実施形態の場合、約410nmにおいて最も感度がよいので、図9に示されるように約410nmにおける感度が100%に設定されている。他の波長における感度は、この設定に基づき規格化されたものである。感度が本発明の「受光感度」の一例に相当している。
ステップS500における補正は、補正後の平均B値をBa、補正前の平均B値をBb、算出されたピーク波長における感度をSと表記すると、Ba=Bb/Sによって実現される。
次に、B値の分布を算出する(ステップS600)。この分布は、直上のLED素子12(以下「着目LED」という)だけでなく、着目LED以外のLED素子12による発光の影響を加味して求められるものである。この算出は、複数のLED素子12それぞれによるB値の分布を重畳させることによって実現される。この重畳には、補正後の平均B値と光の減衰マップとが用いられる。
図10は、照度の減衰マップをテーブルによって示す。図10における行および列は、後述する式(1)のために、−5〜5によって定義される。ステップS600は、照度の減衰とB値の減衰とが一致すると見なし、このテーブルを用いてB値の分布を算出するステップである。このテーブルに示される関係は、外部PCに記憶されている。照度の減衰マップが本発明の「光の分布情報」の一例に相当している。
図10に示された各数値は、着目LEDの発光による照度を基準として規格化された値である。100%を格納したセルが、着目LEDの直下領域に対応する。100%が格納されたセルに対して上下左右に隣接し、52%が格納されたセルは、着目LEDに対して上下左右に隣接するLED素子12の直下領域に対応する。
図11は、上記の減衰マップを求めるための実験を説明する図である。この実験は、予め実施されたものである。この実験には、光源110と、照度計120とが用いられる。光源110は、LED素子12と同様な性質を有する。換言すると光源110は、LED素子12と同じ種類の発光素子ということができる。例えばこの光源110は、プリンター1に組み込まれる前のLED素子12を用いてもよい。またプリンター1には組み込まれないが、プリンター1に組み込まれるLED素子12と同じ型式のLED素子を用いてもよい。また、プリンター1に組み込まれるLED素子12とは異なる型式のLED素子であるが、プリンター1に組み込まれるLED素子12と近い性質のLED素子を用いてもよい。照度計120は、受光部125において受光する。
この実験は、照度計120によって測定される照度が、光源110と受光部125との水平方向の距離xに応じた減衰率を測定するために実行される。この実験において、光源110と受光部125との上下方向の距離yは固定される。距離yは、プリンター1における状態が再現されるように決定される。もちろん、この値に、ある程度の誤差は許容される。
図12は、上記実験の結果を示すグラフである。つまり、照度の減衰率(%)と、上記の距離xとの関係を示すグラフである。本願における減衰率は、距離x=0の場合に100%(全く減衰していない)であり、減衰が進行するに連れて数値が小さくなるパラメーターとして定義される。図12に示されるように、減衰率は、距離xがL以上になるとほぼ0%に収束する。図10として示されたテーブルは、このグラフの横軸を2次元に拡張したものである。
図13は、上記の距離Lと、LED素子12の配置との関係を示す。図13に示されるように、仮にLED素子12が平面上に無数に配置されているとしても、着目LEDの直下領域に対して実質的に影響するのは、着目LEDを中心として半径L内に位置するLED素子12(以下「影響LED」という)のみであると見なすことができる。本実施形態の場合、影響LEDは、図13に示されるように上下左右方向についていえば、着目LEDの4つ隣までである。このことは、図10に示された減衰マップに反映されている。
具体的な数値を例にとって、ステップS600を説明する。図14は、ステップS200において求められた平均B値をテーブルによって例示する。図14においては、LED素子12が5行5列で配置されていると仮定し、各LED素子12の直下領域における平均B値が、各セルに格納された数値として示されている。
図15は、上記具体例の場合において算出されたB値の分布をテーブルによって示す。この算出は、次の式(1)によって実現される。
Figure 2015148476
Bcmnは、重畳後におけるm行n列目(1≦m,n≦5)のB値を示す。Bijは、重畳前におけるi行j列目(1≦i,j≦5)のB値を示す。Ri-m j-nは、減衰マップ(図10)におけるi−m行j−n列目(−4≦i−m,j−n≦4)の減衰率を示す。式(1)の計算を、m,nそれぞれに1〜5を代入して、25通りについて実施することによって、図15に示されたB値の分布が算出される。
例えばBc33を式(1)に基づき展開すると次のようになり、計算結果は図15の3行3列目に示された通りになる。なお、Bc33の場合、−2≦i−m,j−n≦2であり、Ri-m j-nとして使用される範囲は、図10において太線によって示されている。
Bc33=42×0.05+50×0.08+46×0.14+45×0.08+53×0.05+46×0.08+46×0.38+51×0.52+50×0.38+48×0.08+44×0.14+48×0.52+50×1+47×0.52+42×0.14+51×0.08+47×0.38+46×0.52+45×0.38+45×0.08+55×0.05+53×0.08+43×0.14+48×0.08+50×0.05=286.66
Bc11の場合、0≦i−m,j−n≦4であり、Ri-m j-nとして使用される範囲は、図10における二重線によって示されている。Bc11を式(1)に基づき展開すると次のようになり、計算結果は図15の1行1列目に示された通りになる。
Bc11=42×1+50×0.52+46×0.14+45×0.04+53×0.01+46×0.52+46×0.38+51×0.08+50×0.038+48×0.008+44×0.14+48×0.08+50×0.05+47×0.019+42×0.007+51×0.04+47×0.038+46×0.019+45×0.009+45×0+55×0.01+53×0.008+43×0.007+48×0+50×0=144.601
最後に、上記のようにして求めたB値の分布を、照度分布に変換する(ステップS700)。この変換は、重畳後のB値をそれぞれ定数倍することによって実現される。本実施形態においては、4倍が採用されている。図16は、ステップS700において算出された照度分布をテーブルによって示す。
図17は、照度とB値との関係を示すグラフである。グラフ上の各点は、実験によって求められた実測値である。グラフ上の直線は、各点を最小二乗法によってフィッティングしたものである。この実験は、或る同一条件下においてB値と照度とをそれぞれ測定することを、条件を変化させながら繰り返すことによって実施された。
上記の定数倍として乗算する値(4倍)は、近似直線の傾きとしての値である。なお、図17に示されるようにB値がゼロの場合でも照度はゼロではない(グラフにおけるy切片がゼロではない)。但し、本実施形態のステップS700においては、y切片をゼロと見なし、単純に傾きの値を乗算するという手法が採用されている。
図18は、照度分布算出処理によって取得された照度分布の一部を示すグラフである。縦軸は照度を、横軸は紙幅方向の位置を示す。一部というのは、図8と同様に、紙搬送方向についての或る位置のみについて示したことを意味する。
図18は、実施形態と比較例との場合についての値を示す。図18に示されるように、実施形態の場合、両端付近を除き、照度がほぼ一定の値として算出された。両端付近において照度が急激に低下するのは、両端のLED素子12よりも外側だからである。
このような結果が得られた場合、照射ユニット10は正常であると判定される。なお、この実験結果は、別の実験によって測定された照度分布とほぼ一致した。別の実験とは、スキャナーユニット20の代わりに照度計120を用いて照度を取得し、この照度の値に波長補正を実施するというものである。この波長補正は、実施形態と同様に実施されるので、スキャナーユニット20によるB値とR値との測定結果が利用された。
上記の比較例は、照度分布算出処理において、ピーク波長による補正(ステップS500)を実施しない場合を示す。比較例においては、照度が紙幅方向の位置によって大きく変動するという結果が得られた。この変動は、実施形態との比較から、見かけ上のものであると考えられる。つまり、LED素子12のピーク波長のばらつきと、受光素子28の相対分光応答度とによって生じた変動であると考えられる。
図19及び図20は、B値および照度、並びに紙幅方向の位置の関係を示すグラフである。これらグラフに示された値は、波長補正が実施されていない。よって、紙幅方向の位置に応じてばらついている。図19及び図20によって示された照度は、照度計120によって測定された値である。
図19によって示されたB値は、照度分布算出処理におけるステップS100,S200,S600によって取得された値である。つまり、波長補正(ステップS500)と、照度への変換(ステップS700)とを省略した場合に得られる値である。
一方、図20によって示されたB値は、照度分布算出処理におけるステップS100,S200によって取得された値である。つまり、波長補正(ステップS500)と、輝度分布の重畳(ステップS600)と、照度への変換(ステップS700)とを省略した場合に得られる値である。
図19に示された2つの曲線は、波形に強い相関がある。これに対して、図20に示された2つの曲線は、波形に強い相関があるとはいえない。この違いは、B値の重畳を実施したか否かに起因すると考えられる。このようにB値の重畳は、照度分布を算出する手法として有効であることが示された。
以上に説明した実施形態1によれば、少なくとも以下の効果を得ることができる。
(A)照度計を用いなくても、スキャナーユニット20によって測定される輝度値を元に、照度分布を算出できる。スキャナーユニット20によって測定される輝度値の測定は、照度計による測定よりも短時間で実行できる。この結果、照度分布を短時間で算出できる。
(B)ピーク波長を輝度値に基づき算出するので、スキャナーユニット20を活用できる。
(C)算出されたピーク波長は、LED素子12の異常検出と、輝度値の補正とに利用されるので、有効に活用される。
(D)LED素子12のピーク波長のばらつきと、受光素子28の相対分光応答度との関係に基づき輝度値が補正されるので、算出される照度分布がより正確になる。
(E)各LED素子12による輝度値の分布や、全LED素子12が同時に発光した場合の輝度値の分布も合わせて取得できる。このような分布は、照度計120を用いる場合には取得しがたい情報である。
実施形態2を説明する。図21は、実施形態2のプリンター2を示す。プリンター2は、プリンター1と異なり、スキャナーユニットを備えない。よって、実施形態2においては、照度分布算出処理を実行するために、外部装置としてのスキャナーユニット310(図22)が用いられる。
図22は、実施形態2において照度分布算出処理が実行される様子を示す。照射ユニット210は、照度分布算出処理を実行するために、メンテナンス領域に配置されたスキャナーユニット310の上方に移動させられる。この移動は、プリンター2に備えられた機構によって自動的に実現される。なお、この移動は、人力によって実行されてもよい。
外部PC800は、照射ユニット210とスキャナーユニット310とを制御し、実施形態1と同じ照度分布算出処理を実行する。
ヘッド204は、照射ユニット210と一体に構成されているため、照射ユニット210と共に移動させられる。ヘッド204の移動先の下には、キャップ304が設置される。キャップ304は、ヘッド204のノズル面を封止するためのものである。
実施形態2によれば、プリンター2がスキャナーユニットを備えないので、プリンター2の小型化や省コストが実現される。また、実施形態2では、スキャナーユニット310を外部装置として用意したが、実施形態1と同様にスキャナーユニットをプリンターに内蔵すると共に、実施形態2と同様にスキャナーユニットをメンテナンス領域に配置するようにしてもよい。さらに、実施形態2ではヘッド204は、照射ユニット210と一体に構成されていたが、別々に構成し、別々にメンテナンス領域へ移動可能に構成してもよい。
本発明は、本明細書の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現できる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、先述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、先述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことができる。その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除できる。例えば、以下のものが例示される。
(a)照度分布の算出について:
減衰マップは、プリンターに備えられたLED素子を用いて取得されたものでもよい。例えば、照度分布算出処理のステップS600の前に、照度計を用いて或る1つのLED素子を測定対象にして、減衰マップを求めてもよい。
輝度値と照度との関係を、都度、算出してもよい。プリンターがおかれた環境下で算出すれば、外乱の影響を低減できる可能性がある。
重畳と、輝度値から照度への変換とについての手順は、どのように入れ替えてもよい。例えば、輝度値を照度に変換してから、重畳を実施してもよい。
照度分布を算出するステップを省略して、輝度の分布の算出で留めてもよい。先述したように、輝度の分布は、照度分布と相関があるので、輝度の分布に異常がなければ、照度分布に異常はないと推定してもよい。
輝度値の分布として求める波長は、青の波長でなくても、どのような波長でもよい。例えば、赤の波長でも、緑の波長でも、紫外線の波長でもよい。輝度値の分布として求める波長が、照度分布の算出対象となる波長に近ければ、より照度分布が正確に求められる可能性がある。
複数の波長それぞれを用いて照度分布を求め、これらの平均を照度分布として求めてもよい。
減衰マップは、例えば、LED素子の指向性を用いた理論計算から求めてもよい。
照度分布は、平面上の分布でなくても、例えば、直線上あるいは曲線上の分布であってもよいし、曲面上の分布であってもよいし、空間的(3次元的)な分布であってもよい。減衰マップは、分布としての次元に合わせたものが用いられてもよい。
輝度値(例えばB値)から照度への変換は、定数倍でなくてもよく、例えばy切片を含む直線の式でもよいし、高次の関数などを用いてもよい。
照度分布の算出を実施しなくてもよい。例えば、ピーク波長による異常検出のみを実施してもよい。
直下領域同士の間には隙間があってもよい。
(b)ピーク波長の算出について:
ピーク波長の算出に用いられる輝度値の波長は、青および赤の波長でなくてもよく、緑や紫外線、赤外線などの波長でもよい。
ピーク波長の算出に用いられる輝度値の種類は、1種類でもよいし3種類以上でもよい。
1種類のみを用いる場合は、輝度の絶対値に基づき、ピーク波長を算出してもよい。
複数種類の輝度値を用いる場合は、ピーク波長と関連する値として、輝度値の比でなくても、例えば、和、差、積、或いは他の計算結果を用いてもよい。
ピーク波長の算出は、実行しなくてもよい。この場合、予め調べられたピーク波長の値を用いて、これらの異常検出や補正を実施してもよい。
或いは、ピーク波長の算出を実行しないことに伴い、ピーク波長による異常検出(ステップS400)と、ピーク波長による補正(ステップS500)とを実施しなくてもよい。ピーク波長に基づく異常検出を実施しない場合であっても、照度分布が正常であれば、UVインクは正常に硬化すると考えられる。よって、照度分布が正常でない場合に、異常なLED素子12を交換するようにしてもよい。また、LED素子のピーク波長がほぼ均一であると考えられる場合は、補正を省略することによって処理負荷を減らしてもよい。
(c)照度分布算出処理について:
照度分布算出処理は、プリンターによって実行されてもよい。例えば、スキャナー側制御部や、プリンター側制御部によって実行されてもよい。この場合、実行するタイミングをプリンターが決定し、自動的に実行してもよい。例えば、照射の累計時間が所定値に達したことを契機に実行してもよい。
照度分布算出処理を実行するためのプログラムやデータは、外部PCやプリンター等に予め記憶されていなくてもよく、例えば、インターネットを介して取得されてもよい。
対象装置は、プリンター以外でもよい。例えば、半導体の製造のための照射装置を対象にしてもよい。
(d)その他:
スキャナーユニットを密着光学系のスキャナーにしてもよい。密着光学系のスキャナーでは、読み取り範囲の幅と同じ長さのラインセンサーを使用するため、複雑な光学経路を必要としない。よって、装置の小型化、省電力化を図ることができる。密着光学系のスキャナーでは、ガラス板に照射ユニットの照射面を密着させた状態で照射面を読み取らせるため、ラインセンサーは照射面から照射される光(紫外線)をより確実に受光することができる。よって、照射面が照射する光量(紫外線の照射エネルギー)に近い読み取りデータに基づいて、照射ユニットの照射不良を判定できる。
スキャナーユニットは、受光素子を移動させることなく、全LED素子それぞれの輝度値を取得できるように構成されてもよい。或いは、紙搬送方向以外の方向に移動させることによって、全LED素子それぞれの輝度値を取得できるように構成されてもよい。
減光フィルターを設けなくてもよい。この場合、例えば、ラインセンサー(受光素子)の電荷蓄積時間を短くするようにしてもよい。
紫外線照射の光源として、例えば、メタルハライドランプ、水銀ランプなどを使用してもよい。
UVインクが充分には硬化しない程度の紫外線を照射する仮照射ユニットをヘッドの間に設け、UVインクを充分に硬化させる本照射ユニットを紙搬送方向の下流側に設けるようにしてもよい。そうすることで、各ヘッドから噴射される異色のインクの滲みや混色を抑制できる。この場合、仮照射ユニットに対しても本照射ユニットに対しても、照度分布算出処理を実施してもよい。
インクが硬化する光は、どのような波長範囲でもよく、例えば、可視光でもよい。
媒体は、フィルムや布地であってもよいし、カット紙であってもよい。
1…プリンター
2…プリンター
2A…搬送ローラー
2B…搬送ローラー
3…プラテン
4…ヘッド
10…照射ユニット
10a…照射面
11…LEDパッケージ
12…LED素子
13…封止部
20…スキャナーユニット
21…ガラス板
22…キャリッジ
23…ラインセンサー
24…スキャナー側制御部
25…反射ミラー
26…集光レンズ
27…減光フィルター
28…受光素子
30…プリンター側制御部
110…光源
120…照度計
125…受光部
204…ヘッド
210…照射ユニット
304…キャップ
310…スキャナーユニット
800…外部PC
S…ロール紙
C…ヘッド
M…ヘッド
Y…ヘッド
K…ヘッド

Claims (8)

  1. 複数の発光素子それぞれによる光の輝度値を取得する輝度値取得手順と、
    前記輝度値と、前記複数の発光素子と同じ種類の発光素子である1つの発光素子が発した光の分布情報と、前記複数の発光素子の配置情報とを用いて、前記複数の発光素子が同時に発光した場合における照度分布を算出する照度算出手順と
    を含む照度測定方法。
  2. 請求項1に記載の照度測定方法であって、
    前記照度算出手順は、
    前記輝度値と前記分布情報と前記配置情報とを用いて、前記複数の発光素子が同時に発光した場合における輝度値の分布を算出する輝度算出手順と
    前記輝度値の分布を、前記照度分布に変換する変換手順とを含む
    照度測定方法。
  3. 請求項2に記載の照度測定方法であって、
    前記輝度算出手順は、
    前記各発光素子の光それぞれについて、前記輝度値と前記分布情報とを用い、輝度値の分布を算出する分布算出手順と、
    前記算出された各輝度値の分布を、前記配置情報を用いて重畳させることによって、前記複数の発光素子が同時に発光した場合における輝度値の分布を取得する重畳手順とを含む
    照度測定方法。
  4. 輝度値と照度との変換関係は、予め定められており、
    前記変換手順は、前記変換関係を参照することによって、前記輝度値の分布を前記照度分布に変換する手順である
    請求項2又は請求項3に記載の照度測定方法。
  5. 前記輝度値取得手順において取得される輝度値は、前記発光素子それぞれが有する波長特性によって補正された値である
    請求項1から請求項4までの何れか一項に記載の照度測定方法。
  6. 複数の発光素子それぞれによる光の輝度値を取得する輝度値取得部と、
    前記輝度値と、前記複数の発光素子と同じ種類の発光素子である1つの発光素子が発した光の分布情報と、前記複数の発光素子の配置情報とを用いて、前記複数の発光素子が同時に発光した場合における照度分布を算出する照度算出部と
    を含む照度測定装置。
  7. 記録媒体に液体を噴射可能な記録部と、
    複数の発光素子を有し、前記液体の反応用の光を照射可能な照射部と、
    前記複数の発光素子それぞれによる光の輝度値を取得する輝度値取得部と、
    前記輝度値と、前記複数の発光素子と同じ種類の発光素子である1つの発光素子が発した光の分布情報と、前記複数の発光素子の配置情報とを用いて、前記複数の発光素子が同時に発光した場合における照度分布を算出する照度算出部と
    を含む印刷装置。
  8. 複数の発光素子それぞれによる光の輝度値を取得する輝度値取得手順と、
    前記輝度値と、前記複数の発光素子と同じ種類の発光素子である1つの発光素子が発した光の分布情報と、前記複数の発光素子の配置情報とを用いて、前記複数の発光素子が同時に発光した場合における照度分布を算出する照度算出手順と
    をコンピューターに実行させるためのプログラム。
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