JP2015147851A - 樹脂組成物および半導体装置 - Google Patents

樹脂組成物および半導体装置 Download PDF

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智將 樫野
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Abstract

【課題】耐熱性に優れた半導体封止材を形成し得る樹脂組成物および、かかる樹脂組成物の硬化物により半導体素子を封止してなる信頼性に優れた半導体装置を提供すること。【解決手段】本発明の樹脂組成物は、下記一般式(1)で表されるマレイミド化合物と、3つ以上のアリル基を備えるアリル化合物と、アミン化合物と、硬化触媒とを含有する。また、エポキシ樹脂を含有することが好ましい。さらに、イミダゾール化合物を含有することが好ましい。また、アリル化合物は、下記式(2)で表される化合物であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物および半導体装置に関する。
近年、電気エネルギーの有効活用等の観点から、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)を用いた素子を搭載するSiC/GaNパワー半導体装置が注目されている(例えば、特許文献1参照。)。
これらの素子は、従来のSiを用いた素子に比べて、電力損失を大幅に低減できるばかりでなく、より高い電圧や大電流、300℃に達する高温下であっても動作することが可能であるため、従来のSiパワー半導体装置では適用が難しかった用途への展開が期待されている。
このように、SiC/GaNを用いた素子(半導体素子)自体が前述のような過酷な状況下で動作可能となるため、これらの素子を保護するために半導体装置に設けられる半導体封止材に対しても従来以上の耐熱性が求められている。
ここで、従来のSiパワー半導体装置では、半導体封止材として、接着性、電気的安定性等の観点から、エポキシ系の樹脂組成物の硬化物を主材料として構成したものが一般的に用いられている。
このようなエポキシ系の樹脂組成物において、その構成材料であるエポキシ樹脂のエポキシ基当量、または、硬化剤(フェノール樹脂硬化剤)の水酸基当量を下げて架橋密度を上げたり、または、それら官能基(エポキシ基および水酸基)間を繋ぐ構造を剛直な構造にする等の手法を用いて、かかる樹脂組成物を用いて得られる半導体封止材の耐熱性を向上させることが検討されている。
しかしながら、このような検討によっても、エポキシ系の樹脂組成物を用いて得られる半導体封止材では、その耐熱性が十分に向上しているとは言えなかった。
そこで、エポキシ系の樹脂組成物に代えて、ビスマレイミドとアリル化合物とを含有する樹脂組成物の硬化物を半導体封止材として用いることが検討されている(例えば、非特許文献1)。
樹脂組成物をかかる構成のものとすることで、エポキシ系の樹脂組成物と比較して、その耐熱性を向上させることができるが、Siパワー半導体装置の使用条件により適した耐熱性を備える半導体封止材を形成することができる樹脂組成物について、現在、さらなる検討がなされているのが実状である。
また、このような耐熱性に対する検討は、半導体封止材に限らず、例えば、樹脂フィルム等についても同様になされている。
特開2005−167035号公報
大塚恵子他、第62回高分子学会年次大会予稿(2013)
本発明は、耐熱性に優れた半導体封止材を形成し得る樹脂組成物および、かかる樹脂組成物の硬化物により半導体素子を封止してなる信頼性に優れた半導体装置を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(16)に記載の本発明により達成される。
(1) 下記一般式(1)で表されるマレイミド化合物と、3つ以上のアリル基を備えるアリル化合物と、アミン化合物と、硬化触媒とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
Figure 2015147851
[一般式(1)中、各Xは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキレン基、下記一般式(3)で表される基、式「−SO−」もしくは「−CO−」で表される基、酸素原子、または単結合である。RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の炭化水素基である。各aは、独立して、0〜4の整数、bは、0〜3の整数である。nは、0以上の整数である。]
Figure 2015147851
[一般式(3)中、Yは、芳香族環を有する炭素数6〜30の炭化水素基であり、nは0以上の整数である。]
(2) 前記アリル化合物は、下記式(2)で表される化合物である上記(1)に記載の樹脂組成物。
Figure 2015147851
(3) 前記アミン化合物は、芳香族ジアミンである上記(1)または(2)に記載の樹脂組成物。
(4) 前記硬化触媒は、ラジカル発生剤である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(5) 前記ラジカル発生剤は、アセトフェノン誘導体およびテトラフェニルエタン誘導体のうちの少なくとも1種を含む上記(4)に記載の樹脂組成物。
(6) 前記アセトフェノン誘導体は、下記一般式(4−1)で表されるものである上記(5)に記載の樹脂組成物。
Figure 2015147851
[一般式(4−1)中、Xは、式「−CO−」で表される基、または、下記一般式(5)で表される基である。Xは、水素原子または芳香族環を有する炭素数6〜30の炭化水素基である。]
Figure 2015147851
[一般式(5)中、Yは、水酸基、トシル基(p−トルエンスルホニル基)、水素原子、アルコキシ基、または、芳香族環を有する炭素数6〜30の炭化水素基である。]
(7) 前記テトラフェニルエタン誘導体は、下記一般式(4−2)で表されるものである上記(5)または(6)に記載の樹脂組成物。
Figure 2015147851
[一般式(4−2)中、X、Xは、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、または、下記一般式(6)で表される基である。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基である。]
Figure 2015147851
[一般式(6)中、各Yは、それぞれ独立して、炭素数1〜4の炭化水素基である。]
(8) エポキシ樹脂を含有する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(9) イミダゾール化合物を含有する上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(10) 前記マレイミド化合物と、前記アリル化合物との配合比率は、重量比で3.0:1.0〜3.0:0.1である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(11) 前記マレイミド化合物と、前記アミン化合物との配合比率は、重量比で3.0:1.0〜3.0:0.1である上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(12) 前記硬化触媒の含有量は、前記マレイミド化合物と前記アリル化合物との合計100質量部に対して、0.1〜5.0質量部である上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(13) 前記樹脂組成物の硬化物におけるガラス転移点(Tg)が300℃以上である上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(14) 前記樹脂組成物の硬化物における5%重量減少温度(Td)が400℃以上である上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(15) 上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物により、半導体素子を封止してなるものであることを特徴とする半導体装置。
(16) 前記半導体素子がSiC(炭化ケイ素)および/またはGaN(窒化ガリウム)を用いたものである上記(15)に記載の半導体装置。
本発明によれば、樹脂組成物中に、前記一般式(1)で表されるマレイミド化合物と、3つ以上のアリル基を備えるアリル化合物と、アミン化合物と、硬化触媒とを含有することに起因して、このものを硬化して得られる硬化物の耐熱性を向上させることができる。さらに、この硬化物を、高い破壊靭性値を有し、難燃性に優れたものとすることができる。
本発明の樹脂組成物を用いた半導体装置の一例を示す縦断面図である。 樹脂組成物の製造方法の一例を示す工程概略図である。
以下、本発明の樹脂組成物および半導体装置を好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
まず、本発明の樹脂組成物を説明するのに先立って、本発明の樹脂組成物を用いた半導体装置(本発明の半導体装置)について説明する。すなわち、本発明の樹脂組成物を、半導体封止用樹脂組成物に適用して、この樹脂組成物の硬化物により半導体素子を封止する封止材が構成された半導体装置について説明する。
<半導体装置>
図1は、本発明の樹脂組成物を用いた半導体装置の一例を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示す半導体装置10は、QFP(Quad Flat Package)型の半導体パッケージであり、半導体チップ(半導体素子)20と、半導体チップ20を接着層60を介して支持するダイパッド30と、半導体チップ20と電気的に接続されたリード40と、半導体チップ20を封止するモールド部(封止部)50とを有している。
ダイパッド30は、金属基板で構成され、半導体チップ20を支持する支持体として機能を有するものである。
このダイパッド30は、例えば、Cu、Fe、Niやこれらの合金(例えば、Cu系合金や、Fe−42Niのような鉄・ニッケル系合金)等の各種金属材料で構成される金属基板や、この金属基板の表面に銀メッキや、Ni−Pdメッキが施されているもの、さらにNi−Pdメッキの表面にPd層の安定性を向上するために設けられた金メッキ(金フラッシュ)層が設けられているもの等が用いられる。
また、ダイパッド30の平面視形状は、通常、半導体チップ20の平面視形状に対応し、例えば、正方形、長方形等の四角形とされる。
ダイパッド30の外周部には、複数のリード40が、放射状に設けられている。
このリード40のダイパッド30と反対側の端部は、モールド部50から突出(露出)している。
リード40は、導電性材料で構成され、例えば、前述したダイパッド30の構成材料と同一のものを用いることができる。
また、リード40には、その表面に錫メッキ等が施されていてもよい。これにより、マザーボードが備える端子に半田を介して半導体装置10を接続する場合に、半田とリード40との密着性を向上させることができる。
ダイパッド30には、接着層60を介して半導体チップ20が固着(固定)されている。
この接着層60は、特に限定されないが、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ポリイミド系接着剤およびシアネート系接着剤等の各種接着剤を用いて形成される。
また、半導体チップ20は、例えば、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)を用いたもので構成される。
この半導体チップ20は、電極パッド21を有しており、この電極パッド21とリード40とが、ワイヤー22で電気的に接続されている。これにより、半導体チップ20と各リード40とが電気的に接続されている。
このワイヤー22の材質は、特に限定されないが、ワイヤー22は、例えば、Au線やAl線で構成することができる。
そして、ダイパッド30、ダイパッド30の上面側に設けられた各部材およびリード40の内側の部分は、モールド部50により封止されている。その結果として、リード40の外側の端部がモールド部50から突出している。
このモールド部(半導体封止材)50が、本発明の樹脂組成物の硬化物により構成される。すなわち、本発明の樹脂組成物が半導体封止用樹脂組成物に適用されて、その硬化物により、モールド部50が構成されている。
以下、この樹脂組成物について説明する。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、下記一般式(1)で表されるマレイミド化合物と、3つ以上のアリル基を備えるアリル化合物と、アミン化合物と、硬化触媒とを含有するものである。
Figure 2015147851
[一般式(1)中、各Xは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキレン基、下記一般式(3)で表される基、式「−SO−」もしくは「−CO−」で表される基、酸素原子、または単結合である。RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の炭化水素基である。各aは、独立して、0〜4の整数、bは、0〜3の整数である。nは、0以上の整数である。]
Figure 2015147851
[一般式(3)中、Yは、芳香族環を有する炭素数6〜30の炭化水素基であり、nは0以上の整数である。]
前述のとおり、半導体チップ20を、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)を用いたものとすると、半導体チップ20は300℃に達する高温下であっても動作することが可能である。そのため、モールド部50としては、優れた耐熱性を有することが求められるが、モールド部50を、かかる構成の樹脂組成物の硬化物とすることにより、モールド部50は、優れた耐熱性を発揮することとなる。さらに、このモールド部50を、高い破壊靭性値を有し、難燃性に優れたものとすることができる。
具体的には、例えば、モールド部50のガラス転移点(Tg)を、好ましくは300℃以上、より好ましくは315℃以上に設定することができ、さらに、モールド部50の5%重量減少温度(Td)を、好ましくは400℃以上、より好ましくは450℃以上に設定することができる。
[マレイミド化合物]
マレイミド化合物は、下記一般式(1)で表される化合物であり、樹脂組成物に含まれる主材料のうちの1つである。
下記一般式(1)で表されるマレイミド化合物(以下、単に「マレイミド化合物」と言うこともある。)が樹脂組成物中に含まれることにより、樹脂組成物から得られる硬化物で構成されるモールド部50は、優れた耐熱性および耐燃性を発揮するものとなる。また、モールド部50中において、マレイミド化合物とナジイミド化合物とが重合反応することにより形成されるネットワークをより緻密なものとすることができる。すなわち、モールド部50の緻密度の向上を図ることができる。
Figure 2015147851
[一般式(1)中、各Xは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキレン基、下記一般式(3)で表される基、式「−SO−」もしくは「−CO−」で表される基、酸素原子、または単結合である。RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の炭化水素基である。各aは、独立して、0〜4の整数、bは、0〜3の整数である。nは、0以上の整数である。]
Figure 2015147851
[一般式(3)中、Yは、芳香族環を有する炭素数6〜30の炭化水素基であり、nは0以上の整数である。]
前記一般式(1)で表される化合物において、各Xは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキレン基、前記一般式(3)で表される基、式「−SO−」もしくは「−CO−」で表される基、酸素原子、または単結合を表す。
における炭素数1〜10のアルキレン基としては、特に限定されないが、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。
この直鎖状のアルキレン基としては、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デカニレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。
また、分岐鎖状のアルキレン基としては、具体的には、−C(CH−(イソプロピレン基)、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−のようなアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−のようなアルキルエチレン基等が挙げられる。
なお、Xにおけるアルキレン基の炭素数は、1〜10であればよいが、1〜7であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。具体的には、このような炭素数を有するアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基が挙げられる。
また、各Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基であるが、炭素数1または2の炭化水素基、具体的には、例えば、メチル基またはエチル基であるのが好ましい。
さらに、各aは0〜4の整数であるが、0〜2の整数であることが好ましく、2であることがより好ましい。また、bは0〜3の整数であるが、0〜1の整数であることが好ましく、1であることがより好ましい。
また、nは0以上の整数であるが、0〜20であるのが好ましく、0〜4であるのがより好ましい。これにより、樹脂組成物から得られる硬化物で構成されるモールド部50は、より優れた耐熱性を発揮するものとなる。また、nが0〜4である場合、nが異なるものを含んでいる混合物であることが好ましい。これにより、前記効果をより顕著に発揮させることができる。
さらに、前記一般式(3)で表される基において、基Yは、芳香族環を有する炭素数6〜30の炭化水素基であり、nは0以上の整数である。
この芳香族環を有する炭素数6〜30の炭化水素基は、芳香族環のみからなるものでもよいし、芳香族環以外の炭化水素基を有していてもよい。基Yが有する芳香族環は、1つでもよいし、2つ以上でもよく、2つ以上の場合、これら芳香族環は、同一でも異なっていてもよい。また、前記芳香族環は、単環構造および多環構造のいずれでもよい。
具体的には、芳香族環を有する炭素数6〜30の炭化水素基としては、例えば、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、フェナントレイン、インダセン、ターフェニル、アセナフチレン、フェナレン等の芳香族性を有する化合物の核から水素原子を2つ除いた2価の基が挙げられる。
また、これら芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。ここで芳香族炭化水素基が置換基を有するとは、芳香族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部が置換基により置換されたことをいう。置換基としては、例えば、アルキル基が挙げられる。
この置換基としてのアルキル基としては、鎖状のアルキル基であることが好ましい。また、その炭素数は1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましく、1〜4であることが特に好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。
このような基Yは、ベンゼンまたはナフタレンから水素原子を2つ除いた基を有することが好ましく、前記一般式(3)で表される基としては、下記式(i)、(ii)のいずれかで表される基であることが好ましい。これにより、かかる基を備える樹脂組成物から得られる硬化物で構成されるモールド部50は、より優れた耐熱性を発揮するものとなる。
Figure 2015147851
[式中、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の炭化水素基である。fは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。]
さらに、前記一般式(3)で表される基において、nは、0以上の整数であればよいが、0〜5の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることがより好ましく、1または2であることが特に好ましい。
以上のことから、前記一般式(1)で表される化合物は、前記Xが、炭素数1〜3の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基であり、Rが1または2の炭化水素基であり、aおよびbが0〜2の整数であり、nが0〜4であることが好ましい。または前記式(i)、(ii)のいずれかで表される基であり、fが0であることが好ましい。これにより、かかる基を備える樹脂組成物から得られる硬化物で構成されるモールド部50は、より優れた耐熱性を発揮するものとなる。
したがって、前記一般式(1)で表される化合物の好ましい具体例としては、例えば、下記式(1a)、(1b)、(1c)に示すようなものが挙げられる。
Figure 2015147851
また、樹脂組成物中における、上記一般式(1)で表される化合物が、nが0〜4であり、nが異なる混合物で構成される場合、nが0である上記一般式(1)で表される化合物と、nが1〜4である上記一般式(1)で表される化合物の合計との配合比率は、重量比で1:0.2〜1:4であるのが好ましく、1:0.25〜1:1であるのがより好ましい。これにより、樹脂組成物から得られる硬化物で構成されるモールド部50の耐熱性および成形加工性をより優れたものとすることができる。
[アリル化合物]
アリル化合物は、化学式CH=CHCH−で表される置換基、すなわち2−プロペニル基(アリル基)を3つ以上備える化合物であり、樹脂組成物に含まれる主材料のうちの1つである。
3つ以上のアリル基を備えるアリル化合物(以下、単に「アリル化合物」と言うこともある。)が樹脂組成物中に含まれることにより、マレイミド化合物とアリル化合物とが重合反応することにより形成されるネットワークをより緻密なものとすることができるため、樹脂組成物から得られる硬化物で構成されるモールド部50は、優れた耐熱性および耐燃性を発揮するものとなる。さらに、モールド部50を、高い破壊靭性値を有するものとすることができる。
このようなアリル化合物としては、例えば、下記式(2)で表される化合物(以下、単に「化合物(2)」と言うこともある。)、トリメリット酸トリアリル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテルのような3つのアリル基を有するもの、ピロメリット酸テトラアリル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテルのような3つのアリル基を有するもの等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。
Figure 2015147851
このようなアリル化合物は、3つ以上のアリル基を備えるものであれば、特に限定されないが、例えば、イソシアヌル環を備え、このイソシアヌル環にアリル基が連結しているものであることが好ましい。これにより、モールド部50を、高いガラス転移点(Tg)を有するもの、すなわち、より優れた耐熱性を有するものとすることができる。さらに、モールド部50の熱膨張係数(CTE)を低くすることができ、モールド部50において、反りが生じるのを的確に抑制または防止することができる。したがって、アリル化合物としては、上記式(2)で表される化合物が好ましく用いられる。
また、樹脂組成物中において、マレイミド化合物と、アリル化合物との配合比率は、重量比で3.0:1.0〜3.0:0.1であるのが好ましく、3.0:0.8〜3.0:0.3であるのがより好ましい。これにより、樹脂組成物から得られる硬化物で構成されるモールド部50の耐熱性をより優れたものとすることができるとともに、モールド部50を、高い破壊靭性値を有するものとすることができる。
なお、アリル化合物は、アリル基の他に、エポキシ基を有するものであってもよい。これにより、モールド部50は、より優れた金属密着性を発揮するものとなる。
[アミン化合物]
アミン化合物は、樹脂組成物に含まれる主材料のうちの1つであり、マレイミド化合物と、アリル化合物との重合反応において、硬化剤としての機能を有するものである。
このようなアミン化合物が含まれることにより、樹脂組成物から得られる硬化物中において、マレイミド化合物とアリル化合物とが重合反応することにより形成されるネットワークをより緻密なものとすることができる。
アミン化合物としては、特に限定されないが、芳香族アミン、アルキルアミン、エーテルアミン、アルコールアミン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができるが、中でも、芳香族アミンであることが好ましい。これにより、樹脂組成物から得られる硬化物で構成されるモールド部50を、より優れた耐熱性を発揮するものとすることができる。
また、アミン化合物は、その分子中に、アミノ基を2個以上有するものであることが好ましく、2〜5個有するものであることがより好ましく、2個有するものであることがさらに好ましい。これにより、マレイミド化合物とアリル化合物とが重合反応することにより確実に緻密なネットワークを形成することができる。
これらのことから、アミン化合物は、芳香族ジアミンであることが好ましい。これにより、前記効果をより顕著に発揮させることができる。
芳香族ジアミンとしては、特に限定されず、例えば、メタフェニレンジアミン(MPDA)、パラフェニレンジアミン(PPD)、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MDA)、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(Bis−A−AF)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でもメタフェニレンジアミンが好ましい。これにより、前記ネットワークをより確実に緻密なものとすることができ、得られる硬化物すなわちモールド部50をより優れた強度を有するものとすることができる。
なお、これら芳香族ジアミンが備える芳香族環は、メチル基、エチル基のようなアルキル基および水酸基等の置換基を備えるものであってもよい。
また、樹脂組成物中において、マレイミド化合物と、アミン化合物との配合比率は、重量比で3.0:1.0〜3.0:0.1であるのが好ましく、3.0:0.8〜3.0:0.3であるのがより好ましい。これにより、樹脂組成物から得られる硬化物で構成されるモールド部50の耐熱性をより優れたものとすることができる。
[硬化触媒]
硬化触媒は、マレイミド化合物と、アリル化合物との重合反応、さらには、硬化剤としてのアミン化合物を介した重合反応を促進する触媒(硬化促進剤)としての機能を有するものである。
このような硬化触媒としては、特に限定されず、例えば、ラジカル発生剤、オニウム塩および有機金属化合物(金属錯体)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができ、中でも、ラジカル発生剤であることが好ましい。これにより、マレイミド化合物と、アリル化合物との重合反応、および、硬化剤としてのアミン化合物を介した重合反応を確実に促進させることができる。
(ラジカル発生剤)
ラジカル発生剤は、このものが分解することでラジカルを発生させ、発生したラジカルにより、上述した重合反応を促進させる。
このようなラジカル発生剤としては、例えば、アゾ化合物、一般式:R-O-O-R(2つのRは、それぞれ、独立した有機基である。)で表される有機過酸化物、アセトフェノン誘導体およびテトラフェニルエタン誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。
これらの中でも、ラジカル発生剤は、アセトフェノン誘導体およびテトラフェニルエタン誘導体のうちの少なくとも1種であることが好ましい。
アセトフェノン誘導体およびテトラフェニルエタン誘導体は、比較的安定であり、樹脂組成物中において自動分解が生じにくい化合物であることから、かかる樹脂組成物を用いて、マレイミド化合物とアリル化合物との重合反応を進行させて、樹脂組成物の硬化物で構成されるモールド部50を得る際に、アセトフェノン誘導体およびテトラフェニルエタン誘導体を、前記重合反応を促進する硬化触媒としての機能を確実に発揮させることができる。その結果、モールド部50の成形加工性、および成形加工時の安全性が向上するとともに、モールド部50の耐熱性が向上するという利点が得られる。
これらのうちアセトフェノン誘導体としては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(4−1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015147851
[一般式(4−1)中、Xは、式「−CO−」で表される基、または、下記一般式(5)で表される基である。Xは、水素原子、または、芳香族環を有する炭素数6〜30の炭化水素基である。]
Figure 2015147851
[一般式(5)中、Yは、水酸基、トシル基(p−トルエンスルホニル基)、水素原子、アルコキシ基、または、芳香族環を有する炭素数6〜30の炭化水素基である。]
前記一般式(4−1)で表される化合物において、基Xは、式「−CO−」で表される基、または、前記一般式(5)で表される基であり、前記一般式(5)中、基Yは、水酸基、トシル基(p−トルエンスルホニル基)、水素原子、アルコキシ基、または、芳香族環を有する炭素数6〜30の炭化水素基である。
この基Yが芳香族環を有する炭素数6〜30の炭化水素基である場合、この炭化水素基としては、前記基Yで説明した芳香族性を有する化合物において、その核から水素原子を1つ除いた1価の基が用いられること以外は、前記基Yで説明したのと同様のものが挙げられるが、中でも、ベンゼンの核から水素原子を1つ除いた1価の基、すなわちフェニル基であることが好ましい。
また、前記一般式(4−1)で表される化合物において、基Xは、水素原子、または、芳香族環を有する炭素数6〜30の炭化水素基である。
この基Xが芳香族環を有する炭素数6〜30の炭化水素基である場合、前記基Yで挙げたのと同様のものを用いることができる。
これらのことから、前記一般式(4−1)で表される化合物の具体的な化合物としては、例えば、下記式(4−1a)で表されるベンジル、下記式(4−1b)で表されるアセトフェノン(Ac)、下記式(4−1c)で表されるベンゾイン(BZ)、および、下記式(4−1d)で表されるトシルベンゾイン(TBZ)等が挙げられる。
Figure 2015147851
また、テトラフェニルエタン誘導体としては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(4−2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015147851
[一般式(4−2)中、X、Xは、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、または、下記一般式(6)で表される基である。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基である。]
Figure 2015147851
[一般式(6)中、各Yは、それぞれ独立して、炭素数1〜4の炭化水素基である。]
前記一般式(4−2)で表される化合物において、基Xおよび基Xは、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、または、前記一般式(6)で表される基であり、前記一般式(6)中、各基Yは、それぞれ独立して、炭素数1〜4の炭化水素基である。
各基Yは、それぞれ独立して、炭素数1〜4の炭化水素基であるが、炭素数1または2の炭化水素基、具体的には、例えば、メチル基またはエチル基であるのが好ましい。
また、基R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基であるが、炭素数1〜6の炭化水素基である場合、炭素数1または2の炭化水素基、具体的には、例えば、メチル基またはエチル基であるのが好ましい。
このような前記一般式(4−2)で表される化合物において、特に、基Xおよび基Xは、水素原子であることが好ましい。これにより、樹脂組成物中において自動分解が生じるのを的確に防止または抑制することができる。
これらのことから、前記一般式(4−2)で表される化合物の具体的な化合物としては、例えば、下記式(4−2a)で表されるベンゾピナコールが挙げられる。
Figure 2015147851
なお、有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ヘキシルパーオキシド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート等が挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4-ジメチル−4−メトキシ)バレロニトリル、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミド]等が挙げられる。
また、硬化触媒の含有量は、マレイミド化合物とアリル化合物との合計100質量部に対し、0.1〜5.0質量部であることが好ましく、0.1〜3.0質量部であることがより好ましい。硬化触媒の含有量をかかる範囲内に設定することにより、樹脂組成物から得られる硬化物で構成されるモールド部50の耐熱性をより優れたものとすることができる。
[その他の化合物]
また、本発明の樹脂組成物は、上述した各種化合物の他に、その他の化合物として、必要に応じて、エポキシ樹脂、イミダゾール化合物、無機充填材、密着助剤およびカップリング剤のうちの少なくとも1種が含まれていてもよい。以下、これらの化合物について説明する。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂は、マレイミド化合物と、アリル化合物との重合反応に関与する化合物である。
エポキシ樹脂が樹脂組成物中に含まれることにより、マレイミド化合物と、アリル化合物と、エポキシ樹脂との重合反応を経ることで得られる硬化物で構成されるモールド部50における、ダイパッド30やリード40のような金属材料で構成される部材に対する金属密着性を向上させることができる。
このエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般をさし、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェニレンまたはビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキルエポキシ樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、樹脂組成物中において、マレイミド化合物と、エポキシ樹脂との配合比率は、重量比で3.0:1.0〜3.0:0.1であるのが好ましく、3.0:0.8〜3.0:0.3であるのがより好ましい。これにより、樹脂組成物から得られる硬化物で構成されるモールド部50の耐熱性と金属密着性とのバランスをより優れたものとすることができる。
(イミダゾール化合物)
イミダゾール化合物は、アリル化合物がエポキシ基を備える場合、および/または、樹脂組成物中にエポキシ基を有するエポキシ樹脂が含まれる場合に、樹脂組成物中に含まれていることが好ましい。このような場合に、樹脂組成物中に含まれることで、エポキシ基が関与する重合反応を促進する硬化促進剤(硬化触媒)としてイミダゾール化合物が機能する。その結果、モールド部50の成形加工性が向上するとともに、モールド部50の耐熱性が向上するという利点が得られる。
イミダゾール化合物としては、特に限定されず、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾール、1−プロピル−2−メチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノメチル−2−メチル−イミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。これらの中でも、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールおよび2−エチル−4−メチルイミダゾールであることが好ましく、特に、2−メチルイミダゾール(2MZ)であることが好ましい。これらの化合物は、特に優れた前記硬化促進剤としての機能を有するものであることから、エポキシ基が関与する重合反応をより確実に促進させることができる。
イミダゾール化合物の含有量は、マレイミド化合物とアリル化合物とエポキシ樹脂の合計100質量部に対し、0.1〜5.0質量部であることが好ましく、0.1〜3.0質量部であることがより好ましい。イミダゾール化合物の含有量をかかる範囲内に設定することにより、樹脂組成物から得られる硬化物で構成されるモールド部50の耐熱性をより優れたものとすることができる。
なお、樹脂組成物中にイミダゾール化合物が含まれる場合、硬化促進剤として機能するものとして、イミダゾール化合物と、前述した硬化触媒との双方を含有するが、このように2つの硬化促進剤を含有する構成とすることにより、マレイミド化合物と、アリル化合物との重合反応、さらには、アミン化合物およびエポキシ樹脂を介した重合反応をより確実に進行させることができる。
(無機充填材)
無機充填材は、樹脂組成物の吸湿量の増加や、強度の低下を低減する機能を有するものである。
無機充填材としては、特に限定されず、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素および窒化アルミ等が挙げられ、最も好適に使用されるものとしては、球状の溶融シリカである。これらの無機質充填材は、1種類を単独で用いても2種類以上を混合して使用してもよい。またこれらがカップリング剤により表面処理されていてもかまわない。
樹脂組成物中における無機充填材の量の下限値は、樹脂組成物の全質量に対して、好ましくは65質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。下限値が上記範囲内であると、得られる樹脂組成物の硬化に伴う吸湿量の増加や、強度の低下が低減でき、したがって良好な耐半田クラック性を有する硬化物を得ることができる。
また、樹脂組成物中の無機充填材の量の上限値は、樹脂組成物の全質量に対して、好ましくは93質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下である。上限値が上記範囲内であると、得られる樹脂組成物は良好な流動性を有するとともに、良好な成形性を備える。
(密着助剤)
密着助剤は、樹脂組成物を硬化させることにより得られる硬化物で構成されるモールド部50と、半導体装置10におけるモールド部50以外の他の部材(例えば、ダイパッド30や、リード40)との密着性を向上させる機能を有するものである。
密着助剤としては、特に限定されず、例えば、トリアゾール化合物等が挙げられ、このトリアゾール化合物としては、1,2,4−トリアゾール環を有する化合物、1,2,3−トリアゾール環を有する化合物が挙げられる。具体的な化合物としては、例えば、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−メルカプト−1,2,3−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール、4,5−ジメルカプト−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−5−メルカプト−1,2,3−トリアゾール、3−ヒドラジノ−4−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾールおよび5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール−3−メタノール等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。これらのうち、少なくとも1つのメルカプト基を有する化合物であることが好ましい。
樹脂組成物中における密着助剤の含有量は、樹脂組成物の全質量に対して、0.01〜2質量部であることが好ましく、0.03〜1質量部であることがより好ましい。密着助剤の含有量をかかる範囲内に設定することにより、前記効果をより顕著に発揮させることができる。
(カップリング剤)
カップリング剤は、樹脂組成物中に含まれる樹脂成分と無機充填材との密着性を向上させ機能を有するものであり、例えば、シランカップリング剤等が用いられる。
シランカップリング剤としては、各種のものを用いることができるが、例えば、エポキシシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、メルカプトシラン、ビニルシラン等が挙げられる。
具体的な化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニルγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−6−(アミノヘキシル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−(トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ベンゼンジメタナン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。これらのうちエポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシランが好ましく、アミノシランとしては、1級アミノシラン又はアニリノシランがより好ましい。
シランカップリング剤等のカップリング剤の配合割合の下限値としては、全樹脂組成物中0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上、特に好ましくは0.1質量%以上である。シランカップリング剤等のカップリング剤の配合割合の下限値が上記範囲内であれば、前記樹脂成分と無機充填材との界面強度が低下することがなく、半導体装置における良好な耐半田クラック性を得ることができる。
また、シランカップリング剤等のカップリング剤の配合割合の上限値としては、全樹脂組成物中1質量%以下が好ましく、より好ましくは0.8質量%以下、特に好ましくは0.6質量%以下である。シランカップリング剤の配合割合の上限値が上記範囲内であれば、樹脂成分と無機充填材との界面強度が低下することがなく、半導体装置における良好な耐半田クラック性を得ることができる。
さらに、本発明の樹脂組成物は、マレイミド化合物と、3つ以上のアリル基を備えるアリル化合物と、アミン化合物と、硬化触媒とを含むものであるが、上述したその他の化合物の他に、更に必要に応じて、カルナバワックス等の天然ワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス、ステアリン酸やステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸とその金属塩類及びパラフィン等の離型剤;カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン、フタロシアニン、ペリレンブラック等の着色剤;ハイドロタルサイト類や、マグネシウム、アルミニウム、ビスマス、チタン、ジルコニウムから選ばれる元素の含水酸化物等のイオントラップ剤;シリコーンオイル、ゴム等の低応力添加剤;臭素化エポキシ樹脂や三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ほう酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、フォスファゼン等の難燃剤;ヒンダードフェノール、リン化合物等の酸化防止剤等の各種添加剤を適宜配合しても差し支えない。
以上のような樹脂組成物は、例えば、以下のような樹脂組成物の製造方法を用いて製造することができる。
<樹脂組成物の製造方法>
図2は、樹脂組成物の製造方法の一例を示す工程概略図である。
以下、樹脂組成物の製造方法の各工程について、順次説明する。
(混練工程)
本工程は、マレイミド化合物と、アリル化合物と、アミン化合物と、硬化触媒と、必要に応じてその他の化合物とを混合(分散混合)、加熱溶融、混練することにより混練物を得る工程である。
以下、本工程について詳述する。
<1> まず、上述した樹脂組成物の構成材料、すなわち、マレイミド化合物と、アリル化合物と、アミン化合物と、硬化触媒と、必要に応じてその他の化合物について所定量秤量し、これらを配合することで組成分を調製する。そして、この組成分を、例えば、ミキサー、ジェットミルおよびボールミル等を用いて常温で均一に粉砕、混合(分散混合)する。
<2> 次に、混練機を用いて組成分を加温しながら溶融し混練を行い、混練物を得た後、この混練物を冷却する。
混練機としては、特に限定されないが、例えば、加熱ロール、ニーダーおよび押出機等を用いることができる。
また、組成分を溶融させる際の温度は、組成分の構成材料によって若干異なるが、通常、好ましくは50〜150℃、より好ましくは90〜130℃に設定される。これにより、マレイミド化合物とアリル化合物との双方を溶融状態とすることができるため、組成分に含まれる各樹脂成分が均一に分散されている組成分で構成される混練物を確実に得ることができる。
(粉砕工程)
本工程は、混練工程で得られた前記混練物を粉砕することにより、粉体で構成される樹脂組成物(粉砕物とされた混練物)を得る工程である。
この際、混練物の粉砕は、圧縮、衝撃、剪断、摩擦(摩砕)および冷凍からなる群から選ばれる少なくとも1種類の外力により粉砕を行うことができる。より具体的には、例えば、ウイングミル(三庄インダストリー社製)、マイティーミル(三庄インダストリー社製)、ジェットミル等の気流式粉砕機;振動ボールミル、連続式回転ボールミル、バッチ式ボールミル等のボールミル;湿式ポットミル、遊星ポットミル等のポットミル;ハンマーミル;ローラーミル等の粉砕機が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ジェットミル、ボールミル、ハンマーミルおよびポットミルが好ましく、ジェットミルがより好ましい。これにより、後述するようなメディアン径を有する粉体を確実に得ることができる。
混練物を粉砕して粉体を得る際の温度は、40℃以下に設定されているのが好ましく、10〜30℃であるのがより好ましい。これにより、混練物が粉砕されることにより形成された粉体が溶融状態となり、これに起因して、隣接する粉体同士が凝集してダマを形成してしまうのを確実に防止できるため、粉体が粒子状の形態を維持することとなる。
なお、本発明では混練物を粉砕して粉体を得る際の温度は前記混練物を粉砕した直後の温度である。
また、樹脂組成物中に含まれる各構成材料において、融点の概念がないものを用いる場合については、そのものの「融点」とは、本明細書中では、「軟化点」を意味することとする。
以上のような工程を経ることにより、粉体で構成される樹脂組成物を得ることができる。
なお、樹脂組成物は、前述のように、粉体で構成されるものとして保管、輸送してもよいが、その保管、輸送および成形作業の容易性の観点から樹脂成形体としてもよい。
以下、樹脂成形体として、上述した粉体を用いてタブレットを得る場合を一例に説明する。
(樹脂成形体成形工程)
本工程は、粉砕工程で得られた粉体で構成される樹脂組成物を成形(樹脂成形体成形)してタブレット状とすることにより、タブレット(樹脂成形体)で構成される樹脂組成物を得る工程である。
タブレット(樹脂成形体)は、例えば、前記粉体を加圧してタブレット状に成形することにより得ることができる。
以上のような工程を経ることにより、タブレットで構成される樹脂組成物を得ることができる。
なお、樹脂成形体は、タブレット状のタブレットに限定されず、その他、シート状、短冊状、ペレット状のもの等であってもよい。
また、以上のような樹脂組成物を用いて、半導体装置10は、例えば、以下のような半導体装置の製造方法を用いて製造される。
<半導体装置の製造方法>
半導体装置の製造方法には、上述した樹脂組成物で構成される粉体およびタブレットのうちの何れをも用いることができる。
タブレットを用いて半導体装置を製造する方法としては、例えば、前述した半導体装置10を構成する各部材のうちモールド部50を除く各部材を、金型キャビティ内に設置した後、タブレットをトランスファーモールド、コンプレッションモールド等の成形方法で成形、硬化させることにより、モールド部50を除く各部材を封止する方法が挙げられる。
粉体を用いて半導体装置を製造する方法としては、例えば、篩分等により粒度を整えた粉体を用いて、コンプレッションモールド法を適用して、粉体で構成される樹脂組成物を成形、硬化させることにより、モールド部50を除く各部材を封止する方法が挙げられる。
また、成形温度は、好ましくは150〜250℃、より好ましくは160〜220℃、更に好ましくは175〜200℃に設定される。
さらに、成形時間は、好ましくは30〜600秒、より好ましくは45〜240秒、さらに好ましくは60〜180秒に設定される。
樹脂組成物を成形後にPMC(ポストモールドキュア)する場合の加熱温度は、特に限定されないが、例えば、150〜250℃であるのが好ましく、180〜220℃であるのがより好ましい。
また、成形後にPMC(ポストモールドキュア)する場合の加熱時間は、特に限定されないが、例えば、0.5〜10時間であるのが好ましく、1〜5時間であるのがより好ましい。
樹脂組成物を成形後にPMC(ポストモールドキュア)する際の条件を前記範囲内に設定することにより、樹脂組成物をより確実に硬化させることができる。
なお、本実施形態では、半導体装置10を、クワッド・フラット・パッケージ(QFP)に適用する場合について説明したが、かかる場合に限定されず、各種の形態の半導体パッケージに適用することができ、例えば、デュアル・インライン・パッケージ(DIP)、プラスチック・リード付きチップ・キャリヤ(PLCC)、ロー・プロファイル・クワッド・フラット・パッケージ(LQFP)、スモール・アウトライン・パッケージ(SOP)、スモール・アウトライン・Jリード・パッケージ(SOJ)、薄型スモール・アウトライン・パッケージ(TSOP)、薄型クワッド・フラット・パッケージ(TQFP)、テープ・キャリア・パッケージ(TCP)、ボール・グリッド・アレイ(BGA)、チップ・サイズ・パッケージ(CSP)、マトリクス・アレイ・パッケージ・ボール・グリッド・アレイ(MAPBGA)、チップ・スタックド・チップ・サイズ・パッケージ等のメモリやロジック系素子に適用されるパッケージに適用できる他、パワートランジスタなどのパワー系素子を搭載するTO−220等のパッケージにも適用することができる。
また、本実施形態では、本発明の樹脂組成物を、半導体封止用樹脂組成物に適用した場合、すなわち、樹脂組成物を硬化させることにより得られる硬化物を半導体装置10が備えるモールド部50に適用する場合について説明したが、この場合に限定されず、例えば、本発明の樹脂組成物の硬化物を、高耐熱性の樹脂フィルム、プリプレグ、積層板およびプリント配線基板等に適用することができる。
以上、本発明の樹脂組成物および半導体装置について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の樹脂組成物には、同様の機能を発揮し得る、任意の成分が添加されていてもよい。
また、本発明の半導体装置の各部の構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することもできる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
なお、本発明はこれらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
1.原材料の準備
まず、各実施例および比較例の樹脂組成物で用いた原材料を以下に示す。
なお、特に記載しない限り、各成分の配合量は、質量部とする。
(マレイミド化合物1)
マレイミド化合物(BMI)1として、前記式(1a)で表される化合物において、n=0のものが70%、n=1のものが24%、n=2のものが6%の配合比率となっているものを用意した。
(マレイミド化合物2)
マレイミド化合物(BMI)2として、前記式(1a)で表される化合物において、n=0のものを用意した。
(アリル化合物1)
アリル化合物1として、3つのアリル基を備える前記式(2)で表される化合物を用意した。なお、かかる化合物の分子量は249である。
(アリル化合物2)
アリル化合物2として、3つのアリル基を備えるトリメリット酸トリアリルを用意した。
(アリル化合物3)
アリル化合物3として、2つのアリル基を備えるフタル酸ジアリル(o−DAP)を用意した。
(エポキシ化合物1)
エポキシ化合物1として、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製、YX4000K、エポキシ当量185g/eq)を用意した。
(フェノール化合物1)
フェノール化合物1として、フェノールノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト(株)製、PR−51714、水酸基当量104g/eq)を用意した。
(アミン化合物1)
アミン化合物(芳香族ジアミン)1として、メタフェニレンジアミンを用意した。
(アミン化合物2)
アミン化合物(芳香族ジアミン)2として、4,4’−ジアミノジフェニルメタンを用意した。
(ラジカル発生剤1)
ラジカル発生剤(アセトフェノン誘導体)1として、前記式(4−1c)で表されるベンゾインを用意した。
(ラジカル発生剤2)
ラジカル発生剤(テトラフェニルエタン誘導体)2として、前記式(4−2a)で表されるベンゾピナコールを用意した。
(イミダゾール化合物1)
イミダゾール化合物1として、2−メチルイミダゾールを用意した。
(イミダゾール化合物2)
イミダゾール化合物2として、2−フェニルイミダゾールを用意した。
(硬化触媒1)
硬化触媒1として、トリフェニルホスフィンを用意した。
(無機充填材1)
無機充填材1として、溶融球状シリカ(平均粒径30μm)を用意した。
2.樹脂組成物の製造
[実施例1]
まず、マレイミド化合物1(17.47質量部)、アリル化合物1(2.62質量部)と、アミン化合物1(1.70質量部)、ラジカル発生剤1(0.17質量部)、イミダゾール化合物1(0.04質量部)、無機充填材1(78.00質量部)をそれぞれ秤量し、これらをミキサーを用いて混合した後、ロールを用いて100℃、5分混練することにより混練物を得た。次いで、この混練物を、冷却後粉砕することで、粉体で構成される実施例1の樹脂組成物を得た。
[実施例2〜12、比較例1、2]
表1の配合に従い、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
3.評価
得られた各実施例および比較例の樹脂組成物を、以下の方法で評価した。
3−1.硬化性の評価
硬化性の評価としてゲルタイムの評価を実施した。各実施例および比較例の樹脂組成物を表面温度175℃の熱板上においてからタックフリーになるまでの時間を測定しゲルタイムとした。
また、判定基準はゲルタイムの値が30秒以上50秒以下のものを◎、10秒以上30秒未満のものまたは50秒を超え70秒以下のものを○、10秒未満のものまたは70秒を超えるものを×とした。
3−2.成形加工性の評価
低圧トランスファー成形機(コータキ精機社製、「KTS−30」)を用いて、EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型に、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、保圧時間120sの条件で各実施例および比較例の封止樹脂組成物を注入、硬化させ、スパイラルフローを測定した。
また、判定基準は、スパイラルフローが150cm以上200cm以下のものを◎、80cm以上150cm未満のものまたは200cmを超え250cm以下のものを○、80cm未満のものまたは250cmを超えるものを×とした。
3−3.ガラス転移温度(Tg)の評価
各実施例および各比較例の樹脂組成物のガラス転移温度は、JIS K 6911に準じて測定した。
すなわち、各実施例および各比較例の樹脂組成物について、低圧トランスファー成形機(コータキ精機社製、「KTS−30」)を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間120sで、80mm×10mm×4mmの試験片を成形し、250℃4時間で後硬化し、動的粘弾性(エーアンドディ社製、「DDV−25GP」)を測定し(昇温速度:5℃/分、周波数:10Hz、荷重:800g)、tanδピーク温度をガラス転移温度として読み取った。
3−4.5%重量減少温度(Td)の評価
低圧トランスファー成形機(コータキ精機社製、「KTS−30」)を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間120sの条件で、各実施例および比較例の樹脂組成物を注入成形して、直径50mm、厚さ3mmの円盤状に成形し、250℃で4時間硬化させることで各実施例および比較例の耐熱試験片を作製した。
次に、各実施例および各比較例の試験片について、熱天秤装置(ブルカーエイエックスエス社製、「TG−DTA2000」)を用いて、大気中の5%重量減少温度(Td)を測定した。
3−5.耐燃性の評価
低圧トランスファー成形機(コータキ精機社製、「KTS−30」)を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間120sの条件で、各実施例および各比較例の樹脂組成物を注入成形して、3.2mm厚の耐燃試験片を作製した。
得られた耐熱試験片について、UL94垂直法の規格に則り耐燃試験を行った。
なお、表1には、判定後の耐燃ランク(クラス)を示した。
3−6.温度サイクル性試験
低圧トランスファー成形機(コータキ精機社製、「KTS−30」)を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間120sで160ピンLQFP(パッケージサイズは24mm×24mm、厚み1.4mm、SiCチップサイズは7.0mm×7.0mm、リードフレームはCu製)を成形し、250℃で4時間硬化させることでテスト用素子を作製した。封止したテスト用素子を、−65℃〜250℃で100サイクルまたは200サイクル繰り返し、パッケージクラックや部材間剥離の有無を判定した(不良数/サンプル数)。
3−7.高温保管試験
3−6と同様の方法で作製したテスト用素子を、250℃で100時間または200時間連続で加熱処理をし、パッケージクラックや部材間剥離の有無を判定した(不良数/サンプル数)。
以上のようにして得られた各実施例および比較例の樹脂組成物における評価結果を、それぞれ、下記の表1に示す。
Figure 2015147851
表1に示したように、各実施例では、優れた硬化性、成形加工性、耐熱性、耐燃性、信頼性を示す結果となった。
これに対して、比較例1は、各実施例に比較して耐熱性、信頼性に劣る結果となった。
また、比較例2では、各実施例と比較して耐燃性、信頼性に劣る結果となった。
10 半導体装置
20 半導体チップ
21 電極パッド
22 ワイヤー
30 ダイパッド
40 リード
50 モールド部(半導体封止材)
60 接着層

Claims (16)

  1. 下記一般式(1)で表されるマレイミド化合物と、3つ以上のアリル基を備えるアリル化合物と、アミン化合物と、硬化触媒とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
    Figure 2015147851
    [一般式(1)中、各Xは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキレン基、下記一般式(3)で表される基、式「−SO−」もしくは「−CO−」で表される基、酸素原子、または単結合である。RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の炭化水素基である。各aは、独立して、0〜4の整数、bは、0〜3の整数である。nは、0以上の整数である。]
    Figure 2015147851
    [一般式(3)中、Yは、芳香族環を有する炭素数6〜30の炭化水素基であり、nは0以上の整数である。]
  2. 前記アリル化合物は、下記式(2)で表される化合物である請求項1に記載の樹脂組成物。
    Figure 2015147851
  3. 前記アミン化合物は、芳香族ジアミンである請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記硬化触媒は、ラジカル発生剤である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記ラジカル発生剤は、アセトフェノン誘導体およびテトラフェニルエタン誘導体のうちの少なくとも1種を含む請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. 前記アセトフェノン誘導体は、下記一般式(4−1)で表されるものである請求項5に記載の樹脂組成物。
    Figure 2015147851
    [一般式(4−1)中、Xは、式「−CO−」で表される基、または、下記一般式(5)で表される基である。Xは、水素原子または芳香族環を有する炭素数6〜30の炭化水素基である。]
    Figure 2015147851
    [一般式(5)中、Yは、水酸基、トシル基(p−トルエンスルホニル基)、水素原子、アルコキシ基、または、芳香族環を有する炭素数6〜30の炭化水素基である。]
  7. 前記テトラフェニルエタン誘導体は、下記一般式(4−2)で表されるものである請求項5または6に記載の樹脂組成物。
    Figure 2015147851
    [一般式(4−2)中、X、Xは、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、または、下記一般式(6)で表される基である。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基である。]
    Figure 2015147851
    [一般式(6)中、各Yは、それぞれ独立して、炭素数1〜4の炭化水素基である。]
  8. エポキシ樹脂を含有する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. イミダゾール化合物を含有する請求項1ないし8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. 前記マレイミド化合物と、前記アリル化合物との配合比率は、重量比で3.0:1.0〜3.0:0.1である請求項1ないし9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  11. 前記マレイミド化合物と、前記アミン化合物との配合比率は、重量比で3.0:1.0〜3.0:0.1である請求項1ないし10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  12. 前記硬化触媒の含有量は、前記マレイミド化合物と前記アリル化合物との合計100質量部に対して、0.1〜5.0質量部である請求項1ないし11のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  13. 前記樹脂組成物の硬化物におけるガラス転移点(Tg)が300℃以上である請求項1ないし12のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  14. 前記樹脂組成物の硬化物における5%重量減少温度(Td)が400℃以上である請求項1ないし13のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  15. 請求項1ないし14のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物により、半導体素子を封止してなるものであることを特徴とする半導体装置。
  16. 前記半導体素子がSiC(炭化ケイ素)および/またはGaN(窒化ガリウム)を用いたものである請求項15に記載の半導体装置。
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