JP2015147185A - 下水処理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】下水を浄化処理して得られる再生水等の処理水を有効に活用できる下水処理システムの提供。
【解決手段】下水処理システム100は、下水を浄化処理して再生水W1を得る下水処理手段1と、下水処理手段1で得られた再生水W1から蒸留水W2を生成する蒸留手段2と、蒸留手段2で生成した蒸留水W2を電気分解して水素B及び酸素Aを発生させる電気分解手段3と、電気分解手段3に電気分解のための電力を供給する太陽光パネル5と、電気分解手段3で得られた水素Bを利用して熱を発生させる燃料電池4と、を備え、前記蒸留手段2は、下水処理手段1で得られた再生水W1を燃料電池4より発生した熱を利用して気化させ、水蒸気Sを得るボイラ21と、このボイラ21より発生した水蒸気Sを下水処理手段1で得られた再生水W1を利用して冷却し、液化させて蒸留水W2を得るコンデンサ20とを有するように構成されている。
【選択図】図2
【解決手段】下水処理システム100は、下水を浄化処理して再生水W1を得る下水処理手段1と、下水処理手段1で得られた再生水W1から蒸留水W2を生成する蒸留手段2と、蒸留手段2で生成した蒸留水W2を電気分解して水素B及び酸素Aを発生させる電気分解手段3と、電気分解手段3に電気分解のための電力を供給する太陽光パネル5と、電気分解手段3で得られた水素Bを利用して熱を発生させる燃料電池4と、を備え、前記蒸留手段2は、下水処理手段1で得られた再生水W1を燃料電池4より発生した熱を利用して気化させ、水蒸気Sを得るボイラ21と、このボイラ21より発生した水蒸気Sを下水処理手段1で得られた再生水W1を利用して冷却し、液化させて蒸留水W2を得るコンデンサ20とを有するように構成されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、下水を浄化処理して得られる再生水等の処理水を有効に活用することが可能な下水処理システムに関する。
下水道等を通じて下水処理場等に送られてくる下水(生活排水、し尿排水、一般産業排水及びこれらと雨水の混合水等)は、例えば標準活性汚泥法で浄化処理される。特許文献1には標準活性汚泥法により下水を浄化して再生水を得る下水処理システムが記載されており、この下水処理システムでは、まず沈砂池において土砂類を沈降除去するとともにスクリーンによって比較的大きなごみ等を取り除き、さらに第1沈殿池において沈砂池で取り除くことができなかった細かなごみ類の沈降除去を行う。その後、曝気槽において下水を曝気しながら活性汚泥と撹拌混合し、この曝気により形成されたフロックやその他のごみを第2沈殿池で沈降除去して、第2沈殿池の上澄み液として再生水を得ている。
ところで、上記のような標準活性汚泥法を含めて下水に何らかの浄化処理を行って得られた再生水は、飲用不可で若干の色がついているものの、臭いもなく窒素やリン等の肥料成分を豊富に含むものであるとともに、毎日大量に発生している。そのため、例えば樹木へ散水したり、工業用水として用いて再生水を有効に活用することが考えられるが、下水処理場外へ再生水を搬送する手間やコストが掛かる等の理由から、そのほとんどが河川に放流(散水)されているのが実状である。
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としており、具体的には、下水を浄化処理して得られる再生水等の処理水を有効に活用することができる下水処理システムを提供することを目的とする。
本発明は、かかる目的を達成するために次のような手段を講じたものである。
すなわち、本発明の下水処理システムは、下水を処理して処理水を得る下水処理手段と、前記下水処理手段で得られた処理水から蒸留水を生成する蒸留手段と、前記蒸留手段で生成した蒸留水を電気分解して水素及び酸素を発生させる電気分解手段と、前記電気分解手段に前記電気分解のための電力を供給する電力供給手段と、前記電気分解手段で得られた水素を利用して熱を発生させる熱発生手段と、を備え、前記蒸留手段は、前記下水処理手段で得られた処理水を前記熱発生手段より発生した熱を利用して気化させ、水蒸気を発生させる気化部と、この気化部より発生した水蒸気を前記下水処理手段で得られた処理水を利用して冷却し、液化させて前記蒸留水を得る液化部とを有することを特徴とする。
ここで処理水とは、下水に何らかの処理を行って得られる水であれば特に限定されず、例えば下水に浄化処理を行って得られる再生水等が挙げられる。
このような構成では、蒸留手段において処理水から不純物の少ない水である蒸留水を生成でき、この蒸留水を電気分解して水素及び酸素を発生させることができる。そして、このようにして得た水素を利用して熱発生手段から熱を発生させ、この熱で処理水を気化させた後、得られた水蒸気を新たに導入される処理水を利用して冷却して蒸留水を生成している。このように処理水から酸素及び水素を得ることができるとともに、得られた水素の少なくとも一部を処理水の気化に必要な熱を発生させるために利用することができる。また、処理水を気化させて水蒸気にするとともに、この水蒸気を冷却(液化)するために新たに導入される処理水を利用している。水素及び酸素は本システムや下水処理施設等で利用することが考えられることから、本下水処理システムでは、処理水を有効に活用することができるとともに、処理水の気化や水蒸気の液化に必要となるエネルギを本システム内で極力確保して低コスト化を実現することができる。
他の加熱装置を追加することなく気化部内で処理水を効率良く気化させるためには、前記液化部で水蒸気の冷却に利用した処理水を前記気化部内に供給し、この処理水を気化させて水蒸気とする構成にすることが好ましい。
前記下水処理手段が下水を貯留する曝気槽とこの曝気槽に酸素を含む気体を供給する気体供給部とを有し、少なくとも活性汚泥法により下水を浄化処理する場合に、当該浄化処理を効率良くかつ低コストで行うためには、前記電気分解手段で得られた酸素を前記気体供給部より供給される気体として利用可能な構成とすることが効果的である。
前記電力供給手段として再生可能エネルギを利用する発電装置を用いる場合に、太陽光等の再生可能エネルギを確保することができず電気分解を行うことができないときにも酸素や水素を利用可能にするためには、前記電気分解手段で前記電気分解によって発生する酸素及び水素の少なくとも一方を回収する気体回収部をさらに備える構成とすることが好ましい。
さらに下水処理場内の遊休地を有効に利用するためには、再生可能エネルギを利用する発電装置として太陽光発電装置を用い、この太陽光発電装置を下水処理場内の遊休地に設置していることが好ましい。
電気分解手段で発生する水素を利用して熱とともに電気をも得るためには、熱発生手段として燃料電池を用いることが好ましい。
以上説明した本発明によれば、従来、主として河川等に放流していた再生水等の処理水を有効に活用することができるとともに、処理水の気化や水蒸気の液化に必要となるエネルギを極力本システム内で確保して低コスト化を実現することができる下水処理システムを提供することが可能である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態である下水処理システム100は、下水を浄化処理して得られる処理水としての再生水W1を蒸留し、それによって得られた蒸留水W2を電気分解して水素及び酸素を発生させるものである。
このような下水処理システム100は下水処理場で用いられ、図1,2に示すように、下水から再生水W1を得る下水処理手段1と、コンデンサ20及びボイラ21から構成されて再生水W1から蒸留水W2を得る蒸留手段2と、蒸留水W2を電気分解して水素及び酸素を発生させる電気分解手段3と、電気分解手段3で発生した水素を利用して熱を発生させる燃料電池4とを備える。
下水処理手段1は、少なくとも標準活性汚泥法で下水を浄化処理して再生水W1を得るものであり、図示しない一次処理部で比較的大きな不純物(土砂やごみ等)が取り除かれた下水が流入する曝気槽11と、この曝気槽11内に少なくとも酸素を含む気体(マイクロバブル)を供給する気体供給部としてのブロワ13と、曝気槽11内で曝気処理が行われた下水が流入する最終沈殿池12とを有する。前記一次処理部は比較的大きな不純物をスクリーン(柵)でこし取ったり、沈砂池及び最初沈殿池で沈降させることで取り除くものであり、最初沈殿池での上澄み液を曝気槽11に流入させる。ブロワ13は、少なくとも酸素を含む気体として空気や後述する電気分解手段3で発生した酸素を曝気槽11内に送り出すものである。このようなブロワ13から少なくとも酸素を含む気体を曝気槽11内に送り込みつつ活性汚泥と下水とを撹拌混合することで、下水中には好気性微生物が繁殖する。この好気性微生物の働きにより下水に含まれる不純物のうち有機物が分解され、有機物を分解した好気性微生物やその分泌物等を含む活性汚泥は最終沈殿池12においてフロックを形成して沈殿する。このように沈殿した活性汚泥は曝気槽11に送り返されて上記のような有機物の分解に再度利用される。またこの最終沈殿池12内の上澄み液が再生水W1となる。この再生水W1は飲用不可で若干の色がついているものの、臭いがなく窒素やリン等の肥料成分を豊富に含むものである。このようにして得られた再生水W1は蒸留手段2に送られる。
蒸留手段2はコンデンサ(凝縮器)20とボイラ21とを有する。コンデンサ20は、後述するボイラ21から供給される水蒸気Sが流入する本体容器200と、冷却水としての再生水W1を通す冷却水供給配管201とを有し、本体容器200内の水蒸気Sと冷却水供給配管201内の再生水W1とを熱交換させる装置である。下水処理手段1の最終沈殿池12から送られた再生水W1が冷却水供給配管201内に供給されると、本体容器200内では水蒸気Sが液化して蒸留水W2となる。冷却水供給配管201を通過した再生水W1は熱交換により温度が上昇して熱水(85℃程度)となり、このように温度が上昇した再生水W1の一部はボイラ21に送られる。また残りの一部は図示しない他のシステム(海藻養殖タンク等)に送られ、それらの加温に利用される。
ボイラ21は、後述する燃料電池4から得られた熱を利用することで、コンデンサ20より送られた再生水W1を気化させて水蒸気Sを得る装置である。ボイラ21からは再生水W1中の水(H2O)が水蒸気Sとなってコンデンサ20の本体容器200に送られることから、ボイラ21内には再生水W1中の不純物の濃度が高い濃縮液が残る。この濃縮液は、化学的酸素要求量(Chemical Oxygen Demand:COD)が高く、前記不純物として硝酸態窒素やリン酸塩等の肥料成分を含むので、液中から前記肥料成分を取り出したり、液肥として利用される。またこのような濃縮液を廃棄する際には、放流先の海が富栄養化して赤潮が発生することを抑制するため、適宜の手法や装置でリン成分等を取り除く処理を行う。
このようにして得られる蒸留水W2は、水(H2O)以外の成分である不純物の含有量が極めて少ないものであり、その後、電気分解手段3に送られる。なお、蒸留水W2に含まれる不純物としては、アンモニア等の水溶性で沸点が100℃以下の物質が考えられる。
図2に示すように、電気分解手段3は、コンデンサ20で生成された蒸留水W2を貯留する電解槽30と、この電解槽30に浸漬配置された正負一対の電極31a,31bとを有する。これら電極31a,31bには電力供給手段としての太陽光パネル5から電気分解用の電力が供給される。また、電解槽30には水酸化ナトリウム(NaOH)が添加されている。太陽光パネル5より得られた電力が前記電極31a,31bに印加されると、蒸留水W2が電気分解されて負電極31bから水素(H2)が発生するとともに正電極31aから酸素(O2)が発生する。前述のように蒸留水W2は不純物が少ないことから、この電気分解によって酸素及び水素以外の物質が発生することを抑制することができる。なお、電気分解に利用可能な不純物が少ない水を下水から得るために例えば再生水W1を活性炭や浸透膜(RO膜)等で処理して蒸留を行わないことも考えられるが、蒸留水W2はこのような処理を行った再生水W1よりも不純物の含有量が少なく、また燃料電池4からの熱で生成可能で活性炭や浸透膜等を定期的に交換する必要がないことから、ランニングコストを抑えることができるという利点を有する。
電気分解により発生した水素は気体回収部としての水素ガスホルダ34に回収され、酸素は気体回収部としての酸素ガスホルダ33に回収される。本実施形態では蒸留水W2を電解液にするために水酸化ナトリウムを電解槽30に添加しているが、蒸留水W2中に当該蒸留水W2を電解液にするための物質(例えばアンモニア等)が予め含まれる場合には、水酸化ナトリウムを添加しなくてもよいことがある。酸素ガスホルダ33に回収された酸素は、前記下水処理手段1で曝気に利用される。
一般的に太陽光パネルは太陽光発電装置又は太陽熱温水製造装置として利用されるが、本発明における太陽光パネル5は、太陽光が照射されて電力を発生させる太陽光発電装置として利用されており、下水処理場内の遊休地に設置されている。なお、太陽光発電装置には、太陽光パネル5のようなパネル型のものと、非パネル型(例えば集光型)のものがあり、パネル型の太陽光発電装置の代わりに非パネル型の太陽光発電装置を用いるようにしてもよい。ここで、一般的に下水処理場は都市の人口増加を想定して建設されており、多くの下水処理場には人口増加に伴う下水量増加のために下水処理施設を増設可能な拡張スペースが用意されている。しかしながら近年人口は減少傾向にあり、拡張スペースが遊休地として未使用状態であることから、このような遊休地を太陽光パネル5の設置に利用して有効に活用している。
燃料電池4は固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)であり、図2に示すように、水素が供給される燃料極(水素極、アノード)40と、空気が供給される空気極(カソード)41と、燃料極40及び空気極41の間に介在する電解質膜42と、燃料極40、空気極41及び電解質膜42を挟んで配置される2枚のセパレータ43,44とを有する。燃料極40に水素ガスホルダ34に回収された水素を供給するとともに空気極41に空気を供給することで、燃料電池4からは熱及び電気が発生する。この電気は、下水処理場内や本下水処理システム100に利用可能であり、例えばブロワ13により曝気槽11に気体を送り出すために利用される。燃料電池4はその作動により発生した熱を燃料電池4外に効率的に供給可能な構成となっており、燃料電池4から発生した熱は、図1,2に示す蒸留手段2のボイラ21に供給され、ボイラ21内で再生水W1を気化させるために利用された後、再度燃料電池4に戻して循環する構成としている。なお、燃料電池4から発生した熱は、ボイラ21に供給された後、燃料電池4に戻さずに排気されるように構成してもよい。また、液体燃料電池4から発生した熱で水を加熱し、その熱水をボイラ21に供給して再生水W1を気化させるために利用するように構成してもよい。すなわち、熱媒体として本実施形態のように気体を用いる代わりに、液体を用いるようにしてもよい。この場合、熱水は再度燃料電池4に戻して循環させるようにしてもよく、戻さずに垂れ流すようにしてもよい。
以上のような下水処理システム100では、下水処理手段1において、空気や酸素ガスホルダ33に回収された酸素をブロワ13から曝気槽11に供給して曝気を行い、最終沈殿池12内において再生水W1を得る。図3は、ある都市の下水処理場において一日の下水の流れ込み量を時間毎に示すグラフであり、このグラフに基づくと一般家庭における食事の時間に当たると推測される午前7時から午前10時の間および午後7時から午後10時の間で下水の流れ込み量が増加している。このように下水処理場内に流れ込む下水の量は一日のうちで大きく変化するものであり、本実施形態では、流れ込む下水量が増加する上記の時間帯に酸素ガスホルダ33内の酸素を用いて曝気を行い、それ以外の時間帯では空気を用いて曝気を行ったり、一時的に曝気処理を停止して下水を溜めている。なお、曝気処理は、ブロワ13から送り込む空気に酸素ガスホルダ33内の酸素を混ぜて空気と前記酸素とを混合した気体を用いて行ってもよい。
下水処理手段1で得られた再生水W1は、冷却水としてコンデンサ20の冷却水供給配管201に送られた後、熱交換により熱水となって一部がボイラ21に送られる。ボイラ21に送られた再生水W1は、燃料電池4から発生した熱により気化して水蒸気Sとなり、コンデンサ20に送られて冷却水供給配管201内を流れる再生水W1により冷却されて液化し、蒸留水W2となる。この蒸留水W2は電気分解手段3に送られ、電気分解手段3では日中に太陽光パネル5で発生した電力を利用して蒸留水W2の電気分解を行い、水素及び酸素を発生させる。ここで発生した水素は水素ガスホルダ34に回収され、酸素は酸素ガスホルダ33に回収される。水素ガスホルダ34内の水素は燃料電池4に供給され、この水素を利用して燃料電池4から熱及び電力を発生させる。燃料電池4から発生した熱はボイラ21に供給されて再生水W1を気化させるために利用される。
以上のように本実施形態の下水処理システム100は、下水を浄化処理して処理水としての再生水W1を得る下水処理手段1と、前記下水処理手段1で得られた再生水W1から蒸留水W2を生成する蒸留手段2と、前記蒸留手段2で生成した蒸留水W2を電気分解して水素及び酸素を発生させる電気分解手段3と、前記電気分解手段3に前記電気分解のための電力を供給する電力供給手段としての太陽光パネル5と、前記電気分解手段3で得られた水素を利用して熱を発生させる熱発生手段としての燃料電池4と、を備え、蒸留手段2は、下水処理手段1で得られた再生水W1を燃料電池4より発生した熱を利用して気化させ、水蒸気Sを得る気化部としてのボイラ21と、このボイラ21より発生した水蒸気Sを下水処理手段1で得られた再生水W1を利用して冷却し、液化させて蒸留水W2を得る液化部としてのコンデンサ20とを有するように構成されている。
このように構成されているため、蒸留手段2において再生水W1から不純物の少ない水である蒸留水W2を生成でき、この蒸留水W2を電気分解手段3において電気分解して水素及び酸素を発生させることができる。そして、このようにして得た水素を利用して燃料電池4から熱を発生させ、この熱で再生水W1を気化させた後、得られた水蒸気Sを新たに導入される再生水W1を利用して冷却して蒸留水W2を生成している。このように再生水W1から酸素及び水素を得ることができるとともに、得られた水素の少なくとも一部を再生水W1の気化に必要な熱を発生させるために利用することができる。また、再生水W1を気化させて水蒸気Sにするとともに、この水蒸気Sを冷却(液化)するために新たに導入される再生水W1を利用している。水素及び酸素は本システム100や下水処理施設等で利用することが考えられることから、本下水処理システム100では、河川等に放流していた再生水W1を有効に活用することができるとともに、再生水W1の気化や水蒸気Sの液化に必要となるエネルギを本システム100内で極力確保して低コスト化を実現することができる。
特に、コンデンサ20で水蒸気Sの冷却に利用した再生水W1をボイラ21内に供給し、この再生水W1を気化させて水蒸気Sとする構成にしているので、ボイラ21内にすでに温度がある程度上昇している再生水W1を供給することができ、他の加熱装置を追加することなく少ない熱エネルギでボイラ21内の再生水W1を効率良く気化させることができる。
また下水処理手段1が、下水を貯留する曝気槽11とこの曝気槽11に酸素を含む気体を供給する気体供給部としてのブロワ13とを有し、少なくとも活性汚泥法により下水を浄化処理するものであり、電気分解手段3で得られた酸素をブロワ13より供給される気体として利用可能に構成されているので、空気(酸素含有量約20%)を用いるよりも曝気槽11内に酸素を効率良く供給することができる。そのため、曝気槽11が比較的小さい場合や汚水量が多い場合でも好気性微生物を活性化させて下水に含まれる有機物を十分に分解することができる。したがって、有機物に対する十分な分解能力を確保しつつブロワ13から供給する気体量の低減や当該気体の供給時間の短縮が可能であるので、ブロワ13に掛かる負荷を低減することができ、ブロワ13から気体を供給するために必要な電気代等を節約することができる。さらに、このときに利用する酸素として電気分解手段3で得られた酸素を用いることで、別途に他の酸素発生装置を設けたり液体酸素を購入する必要がなく、曝気処理に掛かるコストをさらに低減することができる。
さらに、電力供給手段として再生可能エネルギを利用する発電装置としての太陽光パネル5(太陽光発電装置)を用い、前記電気分解によって発生する酸素を回収する気体回収部としての酸素ガスホルダ33、及び水素を回収する気体回収部としての水素ガスホルダ34を備える構成としていることから、商用電源を利用するよりも低コストかつ少ない環境負荷で電気分解に必要な電力を入手できるとともに、この電力を利用して電気分解で得た酸素及び水素を前記ガスホルダ33,34に回収して貯蔵しておくことで、曇りの日等で太陽光が照射されておらず電気分解を行うことができない場合でも、前記ガスホルダ33,34より酸素や水素を取り出して利用することができる。酸素ガスホルダ33内の酸素は、例えば下水処理場への下水の流れ込み量が増える前述した時間帯に下水処理手段1において利用することが好ましい。
特に、太陽光パネル5を下水処理場内の遊休地に設置していることから、多くの下水処理場内に存在する遊休地を有効に利用することができる。
また熱発生手段として燃料電池4を用いていることから、電気分解手段3で発生する水素を利用して熱を得る際に電気をも発生させることができる。この電気は、例えばブロワ13から気体を発生させるために利用したり、太陽光パネル5による発電を行えない場合に電気分解手段3で電気分解に利用される。
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
例えば本実施形態において下水処理手段1では標準活性汚泥法により下水を処理しているが、これ以外の方法で処理されてもよい。
また、本実施形態では、電気分解を行うために必要な電力を得るために太陽光パネル5を用いているが、水力や風力等の太陽光以外の再生可能エネルギを利用する発電装置を利用してもよく、商用電源を利用してもよい。また、発電と同時に温水を製造するタイプの太陽光パネル又は非パネル型の太陽光発電装置を用いて、電気分解に必要な電力を得るとともに、温水の熱を適宜の箇所で使う(熱利用する)ようにしてもよい。
さらに、本実施形態では処理水として再生水W1を利用したが、これの代わりに下水をメタン発酵槽内でメタン発酵させて得られる消化液を用いてもよい。
また、本実施形態では熱発生手段として燃料電池4を用いているが、電気分解手段3で発生した水素を利用して熱を得ることができる他の装置を用いてもよい。他の装置としては、例えば水素発電機等が挙げられる。また、燃料電池4と固体伝熱器等とを組み合わせて使用して熱発生手段を構成するようにしてもよく、この場合、水素を利用して燃料電池4で発生した電力を利用して固体伝熱器等により熱を発生させ、その熱をボイラ21に供給する構成とする。
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
1…下水処理手段
2…蒸留手段
3…電気分解手段
4…熱発生手段(燃料電池)
5…電力供給手段(太陽光パネル)
11…曝気槽
13…気体供給部(ブロワ)
20…液化部(コンデンサ)
21…気化部(ボイラ)
33…気体回収部(酸素ガスホルダ)
34…気体回収部(水素ガスホルダ)
100…下水処理システム
W1…処理水(再生水)
W2…蒸留水
2…蒸留手段
3…電気分解手段
4…熱発生手段(燃料電池)
5…電力供給手段(太陽光パネル)
11…曝気槽
13…気体供給部(ブロワ)
20…液化部(コンデンサ)
21…気化部(ボイラ)
33…気体回収部(酸素ガスホルダ)
34…気体回収部(水素ガスホルダ)
100…下水処理システム
W1…処理水(再生水)
W2…蒸留水
Claims (6)
- 下水を処理して処理水を得る下水処理手段と、
前記下水処理手段で得られた処理水から蒸留水を生成する蒸留手段と、
前記蒸留手段で生成した蒸留水を電気分解して水素及び酸素を発生させる電気分解手段と、
前記電気分解手段に前記電気分解のための電力を供給する電力供給手段と、
前記電気分解手段で得られた水素を利用して熱を発生させる熱発生手段とを備え、
前記蒸留手段は、前記下水処理手段で得られた処理水を前記熱発生手段より発生した熱を利用して気化させ、水蒸気を発生させる気化部と、この気化部で発生した水蒸気を前記下水処理手段で得られた処理水を利用して冷却し、液化させて前記蒸留水を得る液化部とを有することを特徴とする下水処理システム。 - 前記液化部で水蒸気の冷却に利用した処理水を前記気化部内に供給し、この処理水を気化させて前記水蒸気とする構成としていることを特徴とする請求項1記載の下水処理システム。
- 前記下水処理手段は、下水を貯留する曝気槽とこの曝気槽に酸素を含む気体を供給する気体供給部とを有し、少なくとも活性汚泥法により下水を浄化処理するものであって、前記電気分解手段で得られた酸素を前記気体供給部より供給可能な構成としていることを特徴とする請求項1又は2記載の下水処理システム。
- 前記電力供給手段として再生可能エネルギを利用する発電装置を用い、
前記電気分解手段で前記電気分解によって発生する酸素及び水素をそれぞれ回収する気体回収部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の下水処理システム。 - 再生可能エネルギを利用する発電装置として太陽光発電装置を用い、
この太陽光発電装置を下水処理場内の遊休地に設置していることを特徴とする請求項4記載の下水処理システム。 - 前記熱発生手段として燃料電池を用いることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の下水処理システム。
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2014
- 2014-02-06 JP JP2014021768A patent/JP2015147185A/ja active Pending
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