JP2015146511A - 通信システム、通信端末、通信方法およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 複数の通信端末と通信装置との通信の衝突率を低下させることができるシステム、それに用いられる通信端末、その通信方法を提供する。【解決手段】 このシステムは、複数の通信端末と、複数の通信端末と通信を行う通信装置とを含み、通信装置が、複数の通信端末へデータを一斉送信するデータ送信手段を備え、各通信端末が、通信装置から送信されたデータを受信するデータ受信手段と、データを受信した旨の応答を通信装置へ送信する応答送信手段とを含む。データは、各通信端末に対して応答を送信する時間を指定する応答時間情報を含む。各通信端末の各応答送信手段は、データに含まれる応答時間情報に基づき、応答を通信装置へ送信する。【選択図】 図8
Description
本発明は、複数の通信端末と通信装置との間で通信を行う通信システム、通信端末、その通信端末により実行される通信方法およびその方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
IEEE802.15.4規格を採用する、通信端末の数が数百から数千といった大規模ネットワークでは、基本的に、CSMA/CAアクセス制御方式(略してCSMA/CA方式)と呼ばれる非同期型ネットワーク方式が採用される。これは、CSMA/CA方式でない同期型ネットワーク方式では、通信端末の数が非常に多いため、スーパーフレームやビーコン等のスケジュール設定が困難になるからである。
IEEE802.15.4規格は、家電向けの無線通信規格の1つであるZigBee(登録商標)等で利用され、低速ではあるが、低コスト、低消費電力で、高い信頼性とセキュリティを有している。ここで、ビーコンは、同期信号であり、スーパーフレームは、ビーコンにより区切られたデータ等が入れられるフレームである。
CSMA/CA方式では、他の通信端末と通信が衝突しないようにアクセス権を取得して通信を行う。すなわち、データを送信する前、他の通信端末の搬送波を検出するキャリア検出を行う。そして、他の通信端末との通信が検出されなければ、データ送信を開始し、検出された場合は、衝突を回避するために所定の時間間隔(バックオフ時間)を空けてデータの再送信を行う。
IEEE802.15.4規格では、再送信する回数が所定回数に達した場合、送信すべきデータを廃棄するようになっている。このデータの破棄は、ネットワークを構成する通信端末の数が増加するにつれて増加していく。そこで、データを破棄せず、保持しておき、再度衝突の有無を判定し、送信可能な場合に送信し、不可の場合はバックオフ時間を空けて再度判定を行い、破棄されるデータを少なくする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記の技術では、破棄されるデータを少なくできるものの、通信端末の数が増えれば、通信の衝突が増え、その衝突率が高くなるため、バックオフ時間の挿入回数が増加し、データ送信が正常に終了するまでに時間がかかるという問題があった。
そこで、その衝突率を低下させることができる通信システム、通信端末、通信方法等の提供が望まれていた。
本発明は、上記課題に鑑み、複数の通信端末と、複数の通信端末と通信を行う通信装置とを含む通信システムであって、通信装置が、複数の通信端末へデータを一斉送信するデータ送信手段を備え、各通信端末が、通信装置から送信されたデータを受信するデータ受信手段と、データを受信した旨の応答を通信装置へ送信する応答送信手段とを含み、データが、各通信端末に対して応答を送信する時間を指定する応答時間情報を含み、各通信端末の各応答送信手段が、データに含まれる応答時間情報に基づき、通信装置へ応答を送信する、通信システムが提供される。
本発明によれば、各通信端末に対してデータを送信する時間が指定されるので、通信の衝突率を低下させることができる。
図1は、本実施形態の通信システムとして、スター型に構成されたネットワークシステムの一例を示した図である。通信システム10は、複数の通信端末と、それら複数の通信端末と通信を行う通信装置とを含み、これら装置によりネットワークを構築している。このネットワークは、通信装置を中心とし、複数の通信端末が通信装置から放射状に接続されるスター型のほか、リング型、フルコネクタ型、ツリー型等のいかなる型であってもよい。
ちなみに、リング型は、複数の通信端末と通信装置とを各ノードとして環状に接続したもので、フルコネクト型は、各ノードが他の全てのノードと接続されているもので、ツリー型は、1つのノードから枝分かれするように他のノードが接続されているものである。
図1には、通信装置としての無線コーディネータ11に、3つの通信端末としての無線デバイス12〜14が放射状に無線接続されたスター型に構成されたネットワークシステムが示されている。
無線コーディネータ11は、例えば、無線基地局、ルータ、PC、ワークステーション、タブレット端末等とすることができ、データとして、制御データフレームを3つの無線デバイス12〜14へ送信する。制御データフレームの内容については後述する。データは、制御データフレームに限られるものではなく、いかなるデータフレームであってもよい。
無線デバイス12〜14は、無線モジュールを機能部品として搭載した商品、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)等とすることができる。上記商品としては、電力をデジタルで計測し、メータ内に通信機能をもつ電力量計(スマートメータ)、温湿度センサー、照度センサー、流量センサー、照明、スイッチ、電源装置等を挙げることができる。無線デバイス12〜14は、直接または図示しないアクセスポイントを介して、無線コーディネータ11から送信された制御データフレームを受信することができる。
各無線デバイス12〜14は、無線コーディネータ11から送信された制御データフレームを受信した場合、受信することができた旨の応答を、応答フレーム(ACKパケット)として無線コーディネータ11へ送信する。これにより、無線コーディネータ11は、無線デバイス12〜14が正しく制御データフレームを受信できたことを知ることができる。正しく受信できない場合は、応答フレームを送信することはできない。
無線コーディネータ11と複数の無線デバイス12〜14との通信は、920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等の周波数を使用して行うことができる。通信システム10が、エネルギー管理システム(EMS)である場合、エリアカバー率が高い920MHz帯の周波数を使用することが望ましい。EMSは、電力の可視化、節電のための制御、蓄電器の制御等を行うための無線通信機能を備えたシステムである。このEMSは、住宅向けのものはHEMS、工場向けのものはFEMS、商業ビル向けのものはBEMS、地域全体向けのものはCEMSと呼ばれる。
図1では、各周波数帯を使用した無線通信を行うように構成されているが、Bluetooth(登録商標)や赤外線通信等であってもよい。また、無線コーディネータ11と複数のデバイス12〜14は、コーディネータと複数のデバイスから構成され、互いに有線接続されていてもよい。コーディネータの数、デバイスの数は、いかなる数であってもよい。
図2は、無線デバイス12のハードウェア構成を例示した図である。無線コーディネータ11も、無線デバイス12〜14も、無線通信を行うにあたって同様の構成を採用することができるため、ここでは、無線デバイス12についてのみ説明する。
無線デバイス12は、無線モジュール20を備える。無線モジュール20は、無線デバイス12の制御を行うCPU21と、CPU21に実行させるソフトウェアやデータ等を記憶し、CPU21に対して作業領域を与えるメモリ22と、無線通信を行うための無線回路23およびアンテナ24とを備えている。また、無線モジュール20は、電源の入力や、無線デバイス12に実装されたセンサー等より取得されたデータの入力を受け付け、そのセンサー等の制御を行うための外部インタフェース25を備えている。メモリ22は、設定情報等を記憶するEEPROM26、CPU21に対して作業領域を与えるRAM27、受け付けたデータ等を記憶するフラッシュメモリ28を備えている。
無線デバイス12は、CPU21がソフトウェアを実行して、応答フレームを送信し、また、センサー等からデータを取得し、データフレームとして送信するように無線回路23に指示する。無線回路23は、搬送波を変調して応答フレームやデータフレームを載せ、アンテナ24へ送り、アンテナ24から無線送信する。また、無線回路23は、無線コーディネータ11からの制御データフレームを、アンテナ24を介して受信する。無線回路23は、搬送波を復調して制御データフレームを取り出し、上記の応答フレームの送信やデータの取得等の処理を実行させるためにCPU21へ送る。
ここで、従来の通信システムについて簡単に説明しておく。従来の通信システムも、図1に示す構成と同様のスター型に構成されたネットワークシステムで、無線コーディネータと3つの無線デバイスを備えるものとする。従来の通信システムでは、無線コーディネータが1つの無線デバイス1を選択し、図3に示すように、その無線デバイス1に制御データフレームを送信する。無線デバイス1は、その制御データフレームを受信すると、受信することができた旨の応答を、ACKパケットとして無線コーディネータに返信する。この処理を、無線デバイス2、無線デバイス3に対して個別に行う。
無線コーディネータから各無線デバイス1〜3へ送信される制御データフレームは、図4に示すような構成とされる。なお、その他のデータフレームも同様の構成である。これは、IEEE802.15.4規格におけるフレームフォーマットを例示したものである。制御データフレームは、Preamble、SFD、PHY Header、MAC Header、Data、FCSから構成される。Preambleは、受信側が同期をとるためのビット列である。SFDは、制御データフレームの開始を表すビット列である。PHY Headerは、OSI参照モデルにおける物理層に関する情報、例えば、伝送レート等の情報を含み、MAC Headerは、宛先および送信元を識別するためのMACアドレスを含む。Dataは、ここでは制御データである。FCSは、受信した制御データフレームに誤りがないか調べるために付加されるエラー訂正情報である。
図4に示すように、Dataのサイズが10バイトに対し、それ以外の無線通信用のデータは、合計23バイト必要となっている。センサーが内蔵されたスマートメータ等を無線デバイスとして使用した、いわゆるセンサーネットワークでは、データが少量のシステムも存在する。このようなシステムでは、無線通信用のデータの方が、データサイズが大きく、これを個別に各無線デバイスに送信するのは、非効率である。
また、センサーネットワークでは、920MHz帯を使用して通信を行うことが望ましいが、この920MHz帯を使用する無線通信機器には、送信時間制限が課せられる。例えば、電波産業界(ARIB)の標準規格ARIB STD−T108によれば、中心周波数922.4〜928.0MHzで、1機器における1時間当たりの送信時間の総和は、360秒以下に抑えなければならないと記載されている。このため、無線コーディネータが各無線デバイスに送信することができるフレーム数は限られており、無線デバイスの数が数百から数千といった大規模ネットワークでは、その送信時間制限により、フレームを送信できないおそれがある。
このような従来技術の問題に鑑み、マルチキャストフレームやブロードキャストフレームを使用して、無線コーディネータ11が、各無線デバイス12〜14のデータをパックし、一緒に、1フレームで送信することができる。
ただし、マルチキャストフレームやブロードキャストフレームでは、一般的に、フレームを受信することができたことを、送信先へ知らせるためのACKパケットの送信を規定していない。このため、無線コーディネータ11は、各無線デバイス12〜14が正しく受信したかを知ることはできない。そこで、各無線デバイス12〜14が、正しく受信した旨を通知するためのACKパケットを、無線コーディネータ11に送信するように構成すれば、無線コーディネータ11がそれを知ることが可能となる。しかしながら、無線デバイスの数が数百から数千といった大規模ネットワークでは、無線デバイスが一斉にそのデータフレームを送信すると、通信の衝突が起きてしまう。
そこで、無線コーディネータ11が複数の無線デバイス12〜14へ、マルチキャストフレームまたはブロードキャストフレームでデータとともに、応答フレームを送信する時間を指定する応答時間情報を送信するように構成する。この時間は、各無線デバイス12〜14からの応答フレームが衝突しない時間に指定される。各無線デバイス12〜14は、自機に対して指定された時間に応答フレームを送信するので、通信の衝突率を低下させることができる。また、送信時間が指定されているため、その送信時間までに時間がある場合は、省電力状態に入り、その時間になったときに復帰することが可能となり、無線デバイス12〜14の消費電力を低減させることができる。
図5は、制御データフレームに応答時間情報を含め、マルチキャストフレームで送信する場合の制御データフレームと応答フレームとしてのACKパケットの送信タイミングを例示した図である。無線コーディネータ11は、複数の無線デバイス12〜14にそれぞれ対応する無線デバイス1、2、3に対して、一斉に制御データを送信することができるので、図3に示した従来とは異なり、1回の送信で済む。また、無線デバイス1、2、3の順に所定時間だけずれて送信時間が指定されているので、通信の衝突率を低下させることができる。また、指定された時間が来るまでは、省電力状態へ入ることができるので、通信端末12〜14の、さらには通信システム10の消費電力を低減させることができる。
図6は、無線コーディネータ11が各無線デバイス1、2、3へ送信する制御データフレームの構成を例示した図である。これも、図4と同様、IEEE802.15.4規格におけるフレームフォーマットを例示したものである。制御データフレームの構成は、図4に示した従来の構成と同様である。ただし、Dataのサイズが、従来より8バイト程大きくなっている。これは、各無線デバイス12〜14に対して指定すべき時間の情報(応答時間情報)を含めたためである。
応答時間情報は、各無線デバイス1、2、3につき、デバイスIDと、制御情報と、時間情報とを含んで構成される。これらの情報は、1つにパックされ、フレーム内のDataに入れられて、マルチキャストフレームで一斉送信される。なお、一斉送信するためのフレームであれば、決められた複数の無線デバイスへ同時にフレームを送信するために使用されるマルチキャストフレームに限られるものではない。これ以外のフレームとして、ネットワーク上にあるすべての無線デバイスに同時にフレームを送信するために使用されるブロードキャストフレームを用いることもできる。すなわち、マルチキャスト用、ブロードキャスト用のフレームを用いることができる。
デバイスID、制御情報、時間情報について、図7を参照して詳細に説明する。デバイスIDは、各無線デバイス1、2、3を識別するための端末識別情報で、固有のIDを示し、図7ではそれぞれ「0xff01」、「0xff02」、「0xff03」が割り当てられている。ここでは、無線デバイス毎にIDを割り当てているが、複数の無線デバイスをいくつかのグループに分け、そのグループ毎にIDを割り当ててもよい。
制御情報は、無線デバイス1、2、3が、自機が備えるセンサー等のユニットに対して行う制御に関する情報である。無線デバイス1、2、3がLED電源のON/OFFスイッチを制御するデバイスである場合、上記ユニットは、ON/OFFスイッチとなる。したがって、制御情報は、ONまたはOFFにするための情報とされる。図7では、ONが「0x0001」とされ、OFFが「0x0000」とされている。このため、無線デバイス1、2は、制御データフレームを受信すると、無線コーディネータ11に対して、指定された時間にACKパケットを送信するとともに、LED電源のスイッチをONにする。これに対し、無線デバイス3は、指定された時間にACKパケットを送信するとともに、LED電源のスイッチをOFFにする。
時間情報は、任意の時刻を示す情報であってもよいが、CSMA/CA方式で採用されるバックオフ時間に加算する任意のオフセット値とすることができる。オフセット値は、バックオフ時間が終了する時間を基準とし、その基準からの差で表される値である。
CSMA/CA方式では、無線デバイス等の無線通信機器がデータを送信する前に、現在、他の無線通信機器が通信を行っているかどうかの確認のために、キャリア検出を行う。キャリア(搬送波)が検出されなければ、データ送信を開始し、検出された場合は、バックオフ時間を空けて再送信する。このバックオフ時間は、一般的に用いられる乱数により算出される。算出されたバックオフ時間に加算されるオフセット値が、この時間情報に設定される。時間情報の単位は、例えばmsec(ミリ秒)とされる。
図7では、無線デバイス1に対して、時間情報であるオフセット値が0である「0x0000」に設定されている。したがって、無線デバイス1は、バックオフ時間が経過した時点で、ACKパケットを無線コーディネータ11へ送信する。無線デバイス2に対しては、オフセット値が10msecである「0x000A」に設定されている。したがって、無線デバイス2は、バックオフ時間に、この10msecを加えた時間の間、ACKパケットの送信が禁止され、その10msecが経過した時点でACKパケットを送信する。無線デバイス3に対しては、オフセット値が20msecである「0x0014」に設定されている。したがって、無線デバイス3は、バックオフ時間が経過し、さらに20msecが経過した時点でACKパケットを送信する。このようにして、送信時間を10msecずつずらすことにより、フレーム送信に伴う通信の衝突率を低下させることができる。
無線コーディネータ11から送信される制御データフレームは、一般的に、数秒毎に送信され、無線デバイス12〜14が数百μsec〜数msec間隔で送信することができるACKパケット等の送信フレームに比べ、頻繁に送信されるものではない。このため、応答時間に数十msecの時間が空いたところで、次の制御データの送信に悪影響を及ぼすものではない。
図8は、上記の処理を実現するための無線コーディネータ11および無線デバイス12の機能ブロック図である。無線デバイス13、14については、無線デバイス12と同様であるため、ここではその説明を省略する。無線コーディネータ11は、複数の無線デバイス12〜14へ制御データフレームを一斉送信するデータ送信部30を備える。データ送信部30は、送信する制御データフレームに、各無線デバイス12〜14に対して応答であるACKパケットを送信する時間を指定する応答時間情報を含める。そして、データ送信部30は、マルチキャストフレームまたはブロードキャストフレームとして各無線デバイス12〜14へ送信する。
応答時間情報は、各無線デバイス12〜14について指定された時間情報を少なくとも含み、時間情報に対応付けられた、各無線デバイス12〜14のデバイスIDも含まれる。また、応答時間情報は、デバイスIDに対応付けられた制御情報も含まれる。
無線デバイス12は、無線コーディネータ11のデータ送信部30から送信された制御データフレームを受信するデータ受信部31と、その制御データフレームを受信した旨の応答を、無線コーディネータ11へ送信する応答送信部32とを備える。応答送信部32は、受信したデータに含まれる応答時間情報に基づき、応答を無線コーディネータ11へ送信する。
実際には、応答送信部32は、受信した制御データフレームの中から、自機である無線デバイス12のデバイスIDを検索し、検索したデバイスIDに対応付けられた時間情報を取得する。そして、応答送信部32は、取得した時間情報により指定された時間に、応答としてのACKパケットを無線コーディネータ11へ送信する。その時間は、上記のようにバックオフ時間に加算するオフセット値により指定される。このため、通信システム10は、バックオフ時間を制御し、ACKパケットを送信していることになる。
無線デバイス12は、データ受信部31と応答送信部32のみを備えるものであってもよいが、設定されたオフセット値が閾値以上であるかを判断し、判断結果に応じて無線デバイス12を省電力状態へ移行させる判断部を備えることができる。判断部は、指定されたオフセット値に達したところで、無線デバイス12を省電力状態から復帰させることができる。
省電力状態へは、判断後すぐに移行させてもよいし、一定時間後に移行させてもよい。省電力状態からの復帰は、オフセット値に達したと同時であってもよいし、達して一定時間が経過した後であってもよい。また、その復帰は、オフセット値に達する直前であってもよい。これにより、無線デバイス12は、所定時間省電力状態になるため、無線デバイス12の消費電力を低減させることができる。
図9を参照して、無線デバイスにより実行される処理を詳細に説明する。ここでは、無線デバイス13について説明する。なお、無線デバイス12、14も無線デバイス13と同様の処理が実行されるため、その説明については省略する。無線デバイス13による処理は、無線コーディネータ11から制御データフレームがマルチキャストフレームまたはブロードキャストフレームとして送信され、それを正しく受信したことを受けて、ステップ900から開始する。
ステップ905では、バックオフ時間の挿入回数をカウントするバックオフカウンタのカウント値(NB)と、バックオフ時間を算出するために使用される、べき乗数であるBE(backoff exponent)の初期化を行う。この初期化では、NBは0、BEはデフォルト値に設定される。ここでは、デフォルト値を2として設定する。そして、受信した制御データフレームに含まれる応答時間情報から、オフセット値である10msecを取得する。
ステップ910では、バックオフ時間を設定する。バックオフ時間(backoff)は、式(1)により算出される。式(1)中、BOoffsetは、取得したオフセット値である。
ステップ915では、設定したバックオフ時間が経過した後、キャリア検出を行う。キャリア検出は、標準規格ARIB STD−T108によると、中心周波数922.4〜928.0MHzで、128μsec以上実施しなければならない。このため、128μsecの間、キャリア検出を行い、無線コーディネータ11と他の無線デバイスとの間で通信が行われているかを確認する。
ステップ920では、その確認の結果、他の無線デバイスのキャリアが検出されたかどうかを判断する。検出されない場合は、ステップ925へ進み、ACKパケットを無線コーディネータ11へ送信する。この場合、ステップ930へ進み、送信成功となる。検出された場合は、ステップ935へ進み、NBをカウントアップさせ、BEの更新を行う。
NBは、初期化により0に設定されているため、ここでは、1つカウントアップさせ、NB=0+1=1となる。BEは、式(2)により算出される。式(2)中、BEmaxは、BEの最大値で、ここでは、BEmaxを5に設定している。なお、式(2)は、カンマで区切られた複数の値から最小値を抽出する式である。
BEは、初期化において2に設定されたため、式(2)により、BE+1=3と、最大値5とが比較され、小さい方の3が算出される。
ステップ940では、カウントアップさせたNBが、最大バックオフ回数Mを超えたかどうかを判断する。ここでは、Mを5に設定している。まだ、NBは1であるため、ステップ910へ戻り、backoffの設定を行う。なお、NBがMを超えた場合、ステップ945へ進み、ACKパケットを送信することはできず、送信失敗となる。このようにして、送信成功または送信失敗となったところで、ステップ950へ進み、この処理を終了する。
以上のようにして、オフセット値をバックオフ時間に加算することにより、各無線デバイスから送信されるACKパケットの送信時間を、オフセット値の時間だけずらすことができるため、フレーム送信に伴う通信の衝突率を低下させることができる。
図9に示した処理では、無線デバイス13が通常の動作状態のままとされているが、実際にACKパケットを送信するまでに時間がある場合、その間の消費電力が無駄である。そこで、その間、省電力状態へ移行し、送信時間になったところで復帰してACKパケットを送信することが望ましい。この場合の処理について、図10を参照して詳細に説明する。
図9に示した処理と同様、無線デバイス13による処理は、無線コーディネータ11からデータがマルチキャストフレームまたはブロードキャストフレームとして送信され、それを正しく受信したことを受けて、ステップ1000から開始する。
ステップ1005では、NBと、BEの初期化を行う。この初期化では、NBは0、BEはデフォルト値に設定される。ここでも、デフォルト値を2として設定する。そして、受信したデータに含まれる応答時間情報から、オフセット値である10msecを取得する。
ステップ1010では、バックオフ時間を設定する。バックオフ時間(backoff)は、上記式(1)により算出される。ステップ1015では、無線デバイス13が省電力状態に入る所定の閾値であるバックオフのオフセット値(BOoffset_sleep)より、BOoffsetが小さいかどうかを判断する。ここでは、BOoffset_sleepが5msecに設定されているものとする。すると、このときのBOoffsetが10msecであることから、小さくないと判断し、ステップ1020へ進む。
ステップ1020では、BOoffsetが経過するまでの間、省電力状態に入る。その時間が経過したところでステップ1025へ進む。また、ステップ1015で、小さいと判断した場合は直接ステップ1025へ進む。ステップ1025では、ステップ1010で設定したバックオフ時間が経過した後、キャリア検出を行う。キャリア検出は、標準規格ARIB STD−T108によると、中心周波数922.4〜928.0MHzで、128μsec以上実施しなければならない。このため、128μsecの間、キャリア検出を行い、無線コーディネータ11と他の無線デバイスとの間で通信が行われているかを確認する。
ステップ1030では、その確認の結果、他の無線デバイスのキャリアが検出されたかどうかを判断する。検出されない場合は、ステップ1035へ進み、ACKパケットを無線コーディネータ11へ送信する。この場合、ステップ1040へ進み、送信成功となる。検出された場合は、ステップ1045へ進み、NBをカウントアップさせ、BEの更新を行う。
NBは、初期化により0とされているため、ここでは、1つカウントアップさせ、NB=0+1=1となる。BEは、上記式(2)により算出される。ここでも、BEmaxは、5に設定されている。BEは、初期化において2に設定されたため、上記式(2)により、BE+1=3と、最大値5とが比較され、小さい方の3が算出される。
ステップ1050では、カウントアップさせたNBが、最大バックオフ回数Mを超えたかどうかを判断する。ここでも、Mは、5に設定されている。このとき、NBは1であるため、ステップ1010へ戻り、backoffの設定を行う。なお、NBがMを超えた場合、ステップ1055へ進み、ACKパケットを送信することはできず、送信失敗となる。このようにして、送信成功または送信失敗となったところで、ステップ1060へ進み、この処理を終了する。
以上のようにして、バックオフのオフセット値を、バックオフ時間に加算することにより、各無線デバイスから送信されるACKパケットの送信時間を、オフセット値の時間だけずらすことができるため、フレームの衝突率を低下させることができる。また、バックオフのオフセット値の時間が経過するまでの間、省電力状態に入ることで、無線デバイス12〜14の消費電力、さらには通信システム10の消費電力を低減させることができる。
これまで本発明の通信システム、その通信システムに用いられる通信端末および通信方法について図面に示した実施形態を参照しながら詳細に説明してきた。本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態や、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。したがって、上記通信方法をコンピュータに実行させるためのプログラムや、そのプログラムが記録された記録媒体等も提供することができるものである。
10…通信システム、11…無線コーディネータ、12〜14…無線デバイス、20…無線モジュール、21…CPU、22…メモリ、23…無線回路、24…アンテナ、25…外部インタフェース、26…EEPROM、27…RAM、28…フラッシュメモリ、30…データ送信部、31…データ受信部、32…応答送信部
Claims (10)
- 複数の通信端末と、前記複数の通信端末と通信を行う通信装置とを含む通信システムであって、
前記通信装置が、前記複数の通信端末へデータを一斉送信するデータ送信手段を備え、
各前記通信端末が、前記通信装置から送信された前記データを受信するデータ受信手段と、前記データを受信した旨の応答を前記通信装置へ送信する応答送信手段とを含み、
前記データが、各前記通信端末に対して前記応答を送信する時間を指定する応答時間情報を含み、
各前記通信端末の各前記応答送信手段が、前記データに含まれる前記応答時間情報に基づき、前記通信装置へ前記応答を送信する、通信システム。 - 前記データ送信手段は、前記データを、マルチキャストフレームまたはブロードキャストフレームとして送信する、請求項1に記載の通信システム。
- 前記応答時間情報は、各前記通信端末を識別するための端末識別情報と、各前記通信端末に対して指定された時間の時間情報とを含み、
前記応答送信手段は、自機の前記端末識別情報に対応する前記時間情報に基づき、前記応答を前記通信装置へ送信する、請求項1または2に記載の通信システム。 - 前記時間情報は、通信の衝突を回避するために設定されるバックオフ時間に加算されるオフセット値であり、前記オフセット値により前記応答を送信する時間が制御される、請求項3に記載の通信システム。
- 各前記通信端末が、当該通信端末に設定された前記オフセット値が閾値以上であるか否かを判断し、前記オフセット値が前記閾値以上であると判断した場合に、前記閾値以上と判断された当該通信端末を省電力状態に移行させる判断手段をさらに含む、請求項4に記載の通信システム。
- 複数の通信端末と、前記複数の通信端末と通信を行う通信装置とを含む通信システムに用いられる当該通信端末であって、
前記通信装置から送信されたデータを受信するデータ受信手段と、
前記データを受信した旨の応答を前記通信装置へ送信する応答送信手段とを含み、
前記データが、前記通信端末に対して前記応答を送信する時間を指定する応答時間情報を含み、
前記応答送信手段が、前記データに含まれる前記応答時間情報に基づき、前記通信装置へ前記応答を送信する、通信端末。 - 前記応答時間情報は、通信の衝突を回避するために設定されるバックオフ時間に加算されるオフセット値を含み、前記オフセット値により前記応答を送信する時間が制御される、請求項6に記載の通信端末。
- 前記通信端末に設定された前記オフセット値が閾値以上であるか否かを判断し、前記オフセット値が前記閾値以上であると判断した場合に、前記閾値以上と判断された当該通信端末を省電力状態に移行させる判断手段をさらに含む、請求項7に記載の通信端末。
- 複数の通信端末と、前記複数の通信端末と通信を行う通信装置とを含む通信システムに用いられる当該通信端末により実行される通信方法であって、
前記通信装置から送信されたデータを受信するステップと、
前記データを受信した旨の応答を前記通信装置へ送信するステップとを含み、
前記データが、前記通信端末に対して前記応答を送信する時間を指定する応答時間情報を含み、
前記送信するステップが、前記データに含まれる前記応答時間情報に基づき、前記通信装置へ前記応答を送信する、通信方法。 - 請求項9に記載の通信方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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2014
- 2014-02-03 JP JP2014018514A patent/JP2015146511A/ja active Pending
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